光学変換装置及び同装置を含む電子機器
【課題】例えば量子ドットを含む層の材料の選択範囲を広げた光電変換装置を提供する。
【解決手段】本発明の一態様の光電変換装置は、第1導電型基板(p型単結晶シリコン基板100)、第1の中間層(i型半導体層110または絶縁層160)、及び第2導電型半導体層(n型半導体層120)を備える。そして、第1の中間層(i型半導体層110または絶縁層160)は少なくともコアを備えた量子ドット(ナノ粒子)を含んでいる。第1導電型基板は単結晶シリコンなどの結晶半導体によって形成される。
【解決手段】本発明の一態様の光電変換装置は、第1導電型基板(p型単結晶シリコン基板100)、第1の中間層(i型半導体層110または絶縁層160)、及び第2導電型半導体層(n型半導体層120)を備える。そして、第1の中間層(i型半導体層110または絶縁層160)は少なくともコアを備えた量子ドット(ナノ粒子)を含んでいる。第1導電型基板は単結晶シリコンなどの結晶半導体によって形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学変換装置等に関し、特に、量子ドットを用いた光電変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギーかつ省資源でクリーンなエネルギー源として太陽電池(光電変換装置)の開発が盛んに行われている。太陽電池は、光起電力効果を利用し、光エネルギーを直接電力に変換する電力機器である。その構成には、有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池、多接合構造太陽電池など多種の構造体が検討されている。中でも、単結晶シリコン上にアモルファスシリコン層を形成する、いわゆるHIT(Heterojunction with Intrinsic Thin layer)型の太陽電池は高い効率を得ることができる構造であり、モジュール効率20%以上のものも開発されている。HIT型の太陽電池については、下記特許文献1などに開示されている。
【0003】
また、理論的には60%以上の変換効率を可能にする次世代の太陽電池として量子ドット(ナノ粒子)を用いた太陽電池が注目を浴びている。例えば、下記特許文献2には、誘電体材料薄層を配して隔てられた複数の結晶質半導体材料量子ドットを有する太陽電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−130671号公報
【特許文献2】特表2007−535806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1において開示されている構成は、1つのPN接合による単接合の構造であるため、変換効率の理論限界は25%程度であり、これ以上の変換効率を得ることが困難である。
【0006】
また、上記特許文献2において詳細に検討されている構成では、量子井戸から電荷(電子)を効率よく取り出せない恐れがある。上記特許文献2の記載において、超格子構造によればミニバンドが形成され電荷(電子)を効率よく取り出せる旨の検討がなされている。しかし、量子ドットを規則正しく配置された超格子構造の装置を製造するためには高度な技術を要する。さらに、ミニバンドを形成するには、数nm〜数十nmの直径の量子ドットにおける粒径ばらつきを10%以下に抑える必要があり、この点でも技術的に困難である。
【0007】
そこで、本発明に係る具体的態様は、複雑な技術を用いることなく変換効率の良好な光電変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様の光電変換装置は、第1導電型の半導体を含む第1導電型基板と、前記第1導電型基板の上に形成された第1の中間層と、前記第1の中間層の上に形成された、第2導電型の半導体を含む第2導電型半導体層と、を備える。そして、前記第1の中間層は、ナノ粒子を含んでおり、前記ナノ粒子は第1材料からなるコアを備えていること、を特徴としている。
【0009】
かかる構成の光電変換装置によれば、超格子構造のように高度な製造技術を要する構造を採用することなく、量子ドットを含む第1の中間層を備えた、いわゆるHIT構造の光電変換装置を提供することができる。また、量子ドットを含む構成にすることにより複数エキシトン生成(MEG:Multiple Exciton Generation)が発生しやすくなり、変換効率に優れた光電変換装置を提供できる。
【0010】
また、前記第1導電型基板は少なくとも一部が第1導電型の半導体であり、前記第2導電型半導体層は少なくとも一部が第2導電型の半導体であることが好ましい。
【0011】
また、前記ナノ粒子は、さらに、前記コアを被覆する第2材料からなるシェルを備えることが好ましい。
【0012】
かかる構成では、ナノ粒子におけるコアは第2材料からなるシェルによって覆われ、このシェルに接している。この構成によれば、ナノ粒子が含まれる中間層を構成する材料よりも吸収係数の高い材料をコアの材料として用いることが可能となるため、さらに変換効率の高い光電変換効率を得ることができる。
【0013】
また、前記第2材料のバンドギャップは、前記第1材料のバンドギャップよりも大きく、かつ前記第1の中間層が含む第3材料のバンドギャップよりも大きいことが好ましい。
【0014】
これによれば、第1材料と第2材料とのバンドギャップにより量子井戸が形成されるとともに、この第1材料と接する材料をトンネルさせることによって、量子井戸内の電荷を容易に取り出すことが可能となる。よって、さらに変換効率の高い光電変換装置を得ることができる。
【0015】
また、前記第1材料の吸収係数は、前記第3材料の吸収係数よりも大きいことが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、第1の中間層よりも量子ドットのコアにおいてより多くの光を吸収することが可能となり、これによってMEGが発生する割合が大きくなる。ひいては、光電変換装置の変換効率を高めることが可能となる。
【0017】
また、前記第1導電型基板は、第1導電型の単結晶シリコンまたは多結晶シリコン基板で構成されており、前記第3材料は、i型アモルファスシリコンで構成されており、さらに前記第2導電型半導体層は、第2導電型のアモルファスシリコンで構成されてもよい。
【0018】
また、第1の中間層は絶縁体を含んでもよい。
【0019】
また、本発明の一形態は上記いずれかの光電変換装置を備えた電子機器を含む。
【0020】
一方で、本発明の一態様の光電変換装置の製造方法は、第1導電型の半導体からなる第1導電型基板の上に第1の中間層を形成する工程と、前記第1の中間層の上に第2導電型の半導体からなる第2導電型半導体層を形成する工程と、を備える。そして、前記第1の中間層は、第1材料からなるコアを備えたナノ粒子を含んでおり、前記第1導電型の半導体が結晶半導体であること、を特徴とする。
【0021】
かかる方法によれば、比較的簡単な製造技術を用いつつ、変換効率に優れた光電変換装置を製造することができる。
【0022】
また、前記第2導電型半導体層を形成する工程において、前記コアが前記第1材料のバンドギャップより大きいバンドギャップを有する材料に接するよう形成されることが好ましい。
【0023】
かかる方法によれば、第1材料とこの第1材料と接する材料とのバンドギャップにより量子井戸が形成されるとともに、この第1材料と接する材料をトンネルさせることによって、量子井戸内の電荷を容易に取り出すことが可能な光電変換装置を製造することができる。よって、さらに変換効率の高い光電変換装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態1における光電変換装置の構成を示す断面図。
【図2】量子ドットの構成を示す断面図。
【図3】実施形態1における光電変換装置の製造工程における第1の断面図。
【図4】実施形態1における光電変換装置の製造工程における第2の断面図。
【図5】実施形態1における光電変換装置の製造工程における第3の断面図。
【図6】実施形態1における光電変換装置の製造工程における第4の断面図。
【図7】実施形態2における光電変換装置の構成を示す断面図。
【図8】実施形態3における光電変換装置の構成を示す断面図。
【図9】本発明の光電変換装置を適用した電卓を示す平面図。
【図10】本発明の光電変換装置を適用した携帯電話機を示す平面図。
【図11】本発明の光電変換装置を適用した腕時計を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る実施形態について、以下の構成に従って、図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する実施形態はあくまで本発明の一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、各図面において、同一の部品には同一の符号を付しており、その説明を省略する場合がある。
1.定義
2.実施形態1
(1)光電変換装置の構成例
(2)光電変換装置の製造方法
3.実施形態2
(1)光電変換装置の構成例
4.実施形態3
(1)光電変換装置の構成例
(2)光電変換装置の製造方法
5.本発明の特徴
6.応用例
【0026】
<1.定義>
まず、本明細書における用語を以下の通り定義する。
「上」「下」:本明細書では、理解を容易にするため、図面の上方向及び下方向をそれぞれ上及び下と呼ぶ。ただし、実際の構成においては上下が逆になっていたり、横になっていたりすることもあるが、積層関係が同様の構成についても本発明の範囲に含むものとする。
【0027】
<2.実施形態1>
まず、本発明の光電変換装置、及び光電変換装置の製造方法に関する実施形態1について、図面を参照しながら説明する。
【0028】
<(1)光電変換装置の構成例>
図1は、本実施形態1における光電変換装置の構成を示す断面図である。図1に示すように、光電変換装置は、p型(第1導電型)の半導体基板であるp型単結晶シリコン基板100、i型半導体層110、及びn型(第2導電型)の半導体層であるn型半導体層120が積層されて構成される。また、本実施形態1の光電変換装置は、n型半導体層120の上に透明電極130を備え、p型単結晶シリコン基板100の下に金属電極140を備える。また、透明電極130には複数の集電極150が電気的に接続されており、金属電極140には複数の集電極150が電気的に接続されている。
【0029】
第1、第2導電型は、p型又はn型であり、p型の場合は、ホウ素(B)などのp型不純物を、n型の場合は、リン(P)などのn型不純物を有する。i型(真性、intrinsic)とは、不純物が注入されておらず、p型またはn型の層と比較し、不純物濃度が低い層を意味する。
【0030】
p型単結晶シリコン基板100は、例えば厚さ200μmの、p型の単結晶シリコンによって構成される。
【0031】
i型半導体層110は、量子ドット(ナノ粒子)111を含むアモルファスシリコンによって構成される。図2は、量子ドット111の構成を示す断面図である。図2に示されるように、本実施形態1で用いられる量子ドット111(d)はコア−シェル構造になっており、粒状材料からなるコアc、及びこのコアcの外周を被覆する被覆材料からなるシェルsとを有する。本実施形態1では、一例として、コアcとして粒径3nmの硫化鉛(PbS)を、シェルsとして2nm厚の酸化シリコン(SiO2)を用いる。i型半導体層110の厚さは、例えば20nmである。
【0032】
なお、このような量子ドット111は、例えば、分子線エピタキシーや化学蒸着、また、ガス中蒸着法、ホットソープ法、コロイド湿式化学法などを用いてコア部およびその外周のシェル部の製造が可能であり、例えば、カンタムドット社(Quantum Dot)やエビデントテクノロジー社(Evident Technologies)によってコア−シェル構造の量子ドット分散液が製造・販売されている。また、コアcとしては、硫化鉛(PbS)のほか、粒径1nm以上20nm以下のゲルマニウム(Ge)またはセレン化鉛(PbSe)などを用いることができる。また、シェルsとしては厚さ0.5nm〜10nmであって、バンドギャップがコアcのバンドギャップ及びi型半導体層110を形成するアモルファスシリコンのバンドギャップより大きい材料を用いることができ、例えば酸化シリコン(SiO2)などの絶縁体を用いる。
【0033】
n型半導体層120は、n型不純物を注入されたアモルファスシリコンによって構成される。n型半導体層120の厚さは、例えば10nmである。
【0034】
透明電極130は、例えばインジウムを添加した酸化錫(ITO)、フッ素ドープした酸化錫(FTO)、酸化インジウム(IO)、または酸化錫(SnO2)などで構成される。透明電極130の厚さは、例えば5μmである。
【0035】
金属電極140は、例えばAl(アルミニウム)を用いることができる。この他、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、白金(Pt)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、またはタンタル(Ta)などの金属材料を用いることもできる。金属電極の厚さは、例えば5μmである。
【0036】
透明電極130に接続された集電極150は、太陽電池で発生した電圧を透明電極130を通じて集電極150に集めて効率的に外部に取り出すよう構成される。また、金属電極140に接続された集電極150は、太陽電池で発生した電圧を金属電極140を通じて集電極に集めて効率的に外部に取り出すよう構成される。集電極150は、銀(Ag)などの導電体を用いることができる。
【0037】
<(2)光電変換装置の製造方法>
次に、図3乃至図6を参照しながら、本実施形態1の光電変換装置の製造方法について説明する。
【0038】
<p型単結晶シリコン基板上にシリコンの前駆体液を塗布する工程>
まず、図3に示すように、p型単結晶シリコン基板100上に、量子ドット111を分散させたシリコンの前駆体液112を塗布する。塗布する方法としては、例えばスピンコート法、スプレー法、またはインクジェット法などの方法を用いることができる。前駆体液とは特定物質を得るための前段階の物質を指し、ここではi型半導体層110を形成するための液体シリコン材料を指す。シリコンの前駆体液112としては、例えば、シクロペンタシラン(Si5H10)に紫外線を照射するなどして、重合させてポリシランとしたものを有機溶媒で希釈した溶解液体を用いる。
【0039】
<シリコンの前駆体液をアモルファスシリコン化する工程>
次に、シリコンの前駆体液112を塗布したp型単結晶シリコン基板100を例えば窒素中で焼成することで熱処理を施し、シリコンの前駆体液112をアモルファスシリコン化する。これにより、図4に示すように、量子ドット113を分散状態で含有するi型半導体層110が形成される。
【0040】
<n型半導体層を形成する工程>
次に、図5に示すように、i型半導体層110上に、n型半導体層120を形成する。本工程では、まず、i型半導体層110上に黄燐(P4)などのn型不純物を加えたシリコンの前駆体液(例えば前述のポリシラン溶液)をスピンコート法で塗布する。その後、このシリコンの前駆体液に熱処理を施すことによって、n型のアモルファスシリコン層であるn型半導体層120を形成する。
【0041】
<電極を形成する工程>
次に、図6に示すように、n型半導体層120の上に透明電極130を、p型単結晶シリコン基板100の下に金属電極140を形成する。透明電極130及び金属電極140は、いずれもスパッタ法、蒸着法、またはスクリーン印刷法などの方法で形成することができる。
【0042】
<集電極を形成する工程>
次に、図1に示すように、透明電極130の上及び金属電極140の下に、集電極150を形成する。集電極150は、スパッタ法またはスクリーン印刷法などの方法で形成することができる。
【0043】
<3.実施形態2>
次に、本発明の光電変換装置に関する実施形態2について、図7を参照しながら説明する。本実施形態2は、実施形態1におけるi型半導体層110が絶縁層160になっている点で相違しており、以下においてはこの相違点を中心に説明し、実施形態1と同様の部分については説明を省略する。
【0044】
<(1)光電変換装置の構成例>
図7は、本実施形態2における光電変換装置の構成を示す断面図である。図7に示すように、光電変換装置は、p型(第1導電型)の半導体基板であるp型単結晶シリコン基板100、絶縁層160、及びn型(第2導電型)の半導体層であるn型半導体層120が積層されて構成される。また、n型半導体層120の上に透明電極130を備え、p型単結晶シリコン基板100の下に金属電極140を備える。また、透明電極130には複数の集電極150が電気的に接続されており、金属電極140には複数の集電極150が電気的に接続されている。
【0045】
絶縁層160は、量子ドット113を含む絶縁体によって構成される。量子ドット113は、実施形態1とは異なりコア−シェル構造ではなく、コアのみからなる。量子ドット113のコアを構成する材料は、例えば硫化鉛(PbS)などを用いる。なお、このコアを構成する材料は硫化鉛(PbS)に限られるものではないが、量子効果を発生させるため、量子ドット113のコアのバンドギャップは、絶縁層160を形成する絶縁体のバンドギャップよりも小さくする。絶縁層160の厚さは、例えば10nmである。
【0046】
<(2)光電変換装置の製造方法>
次に、本実施形態2における光電変換装置の製造方法について説明するが、絶縁層160を形成する工程以外は実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0047】
絶縁層160は、実施形態1で説明したシリコンの前駆体液を、二段階焼成によって焼成することで形成される。二段階焼成とは、最初に窒素中で焼成した後に、酸素を含む大気中で焼成する方法である。具体的には、例えば窒素中において250℃で5分間焼成した後、大気中において350℃で15分間焼成する。これによって、シリコンの前駆体液が酸化し、絶縁体である酸化シリコン(SiO2)からなる絶縁層160を生成する。
【0048】
<4.実施形態3>
次に、本発明の光電変換装置、及び光電変換装置の製造方法に関する実施形態3について、図8を参照しながら説明する。本実施形態3と実施形態1とを比較すると、本実施形態3では、p型単結晶シリコン基板100の上のみならず、下にもi型半導体層170及び高濃度p型半導体層180などが形成されている点で相違する。本実施形態3のような構成の光電変換装置を、両面構造と呼ぶことがある。以下、実施形態1との相違点を中心に説明する。
【0049】
<(1)光電変換装置の構成例>
図8は、本実施形態3における光電変換装置の構成を示す断面図である。図8に示すように、光電変換装置は、p型(第1導電型)の半導体基板であるp型単結晶シリコン基板100、i型半導体層110、及びn型(第2導電型)の半導体層であるn型半導体層120が積層されて構成される。さらに本実施形態3では、p型単結晶シリコン基板100の下に、i型半導体層170、及び高濃度p型(第1導電型)の半導体層である高濃度p型半導体層180が積層されて構成されている。また、n型半導体層120の上及び高濃度p型半導体層180の下にそれぞれ透明電極130及び190を備える。また、透明電極130には複数の集電極150が電気的に接続されており、透明電極190には複数の集電極150が電気的に接続されている。
【0050】
i型半導体層170は、p型単結晶シリコン基板100の上に形成されたi型半導体層110と同様に、量子ドット(ナノ粒子)111を含むアモルファスシリコンによって構成される。この量子ドット111は、実施形態1における量子ドット111と同様にコア−シェル構造になっており、コアcとシェルsの材料は上部のi型半導体層110に含有される量子ドットの材料と同じでもよいし、コアcとシェルsのどちらかの材料もしくは両方の材料が異なっていてもよい。量子ドット111としては、実施形態1と同様の構成のもののほか、例えば粒径3nmのゲルマニウム(Ge)からなるコアcと、厚さ2nmの酸化ゲルマニウム(GeO2)からなるシェルsを備えるものなどを用いることもできる。i型半導体層170の厚さは、例えば20nmである。
【0051】
高濃度p型半導体層180は、p型単結晶シリコン基板100よりも不純物濃度が高くなっており、例えばp型半導体層180と比べて2倍〜100倍程度の不純物を含有し、例えばアモルファスシリコンなどで構成されている。高濃度p型半導体層180の厚さは、例えば10nmである。
【0052】
透明電極190は、透明電極130と同様の材料で形成される。透明電極190の厚さは、例えば5μmである。
【0053】
<(2)光電変換装置の製造方法>
次に、本実施形態3の光電変換装置の製造方法について、簡単に説明する。
【0054】
まず、実施形態1で説明した方法で、p型単結晶シリコン基板100、i型半導体層110、n型半導体層120、透明電極130、及び集電極150を形成する。その後、i型半導体層110の形成方法と同じ方法で、p型単結晶シリコン基板100の下にi型半導体層170を形成する。次に、i型半導体層170の下に、ホウ素(B)などのp型不純物を加えたシリコンの前駆体液を塗布した後に熱処理を施し、p型のアモルファスシリコン層である高濃度p型半導体層180を形成する。そして、高濃度p型半導体層180の下に透明電極190を形成し、さらにその下に複数の集電極150を形成する。これによって、図8に示すような光電変換装置を製造することができる。
【0055】
各層を形成する順番は上記に限らず、例えば次のような順番で形成することができる。p型シリコン基板100の上にi型半導体層110を形成した直後に、i型半導体層170を形成し、その後n型半導体層120と180を形成する。さらに透明電極130と190を形成し、最後に集電極150を形成する。また、例えばi型半導体層110とi型半導体層170が同じ材料からなる量子ドット111を含む場合には、i型半導体層110とi型半導体層170とを同時に形成してもよい。
【0056】
<5.本発明の特徴>
ここで、本発明の特徴について具体的に説明する。
【0057】
まず、本発明の一形態である光電変換装置は、上述の各実施形態で説明したように、第1導電型基板(p型単結晶シリコン基板100)、第1の中間層(i型半導体層110または絶縁層160)、及び第2導電型半導体層(n型半導体層120)を備える。そして、第1の中間層(i型半導体層110または絶縁層160)は少なくともコアを備えた量子ドット(ナノ粒子)を含んでいる。また、第1導電型基板は単結晶シリコンなどの結晶半導体によって形成される。
【0058】
量子ドット(111)がバンドギャップの2倍以上のエネルギーの光子(フォトン)を吸収したとき、1個の光子から2個のキャリア(エキシトン)が発生することがある。これを複数エキシトン生成(MEG)効果とよぶ。例えば、1.1eVのバンドギャップを有するシリコンでは、2.2eV以上の高エネルギーの光を吸収してMEGが発生すると、2つのエキシトンを生成する。MEGが発生するとより多くのキャリアが発生するので、変換効率が高くなる。
【0059】
本発明の一形態としての上記構成によれば、超格子構造のように高度な製造技術を要する構造を採用することなく、量子ドットを含む層である第1の中間層を備えた、いわゆるHIT構造の光電変換装置を提供することができる。また、第1の中間層を半導体とすることで、MEGによって発生したキャリアを効率的に取り出すことができるようになり、変換効率に優れた光電変換装置を提供できる。
【0060】
また、実施形態1で説明しているように、第1の中間層(i型半導体層110)が含む量子ドット111(ナノ粒子)が、コア−シェル構造であることが好ましい。
【0061】
この構造の光電変換装置では、量子ドット111のコアcはシェルsによって覆われている。また、量子ドット111はi型半導体層110に含まれている。この構成によれば、コアcの材料としてi型半導体層110を構成する材料よりも吸収係数の高いものを採用することが可能となる。これによって、より変換効率の高い光電変換装置を提供することができる。
【0062】
また、各実施形態で説明しているように、量子ドット(111)のコアcが、このコアcを構成する材料よりも大きいバンドギャップを有するシェルsに被覆されている。すなわち、コア−シェル構造の量子ドット111を用いた実施形態1及び4では、シェルsのバンドギャップがコアcのバンドギャップより大きい。
【0063】
本発明の上記のような構成の光電変換装置によれば、コアcの材料とシェルsの材料とのバンドギャップにより量子井戸が形成されるとともに、シェルsをトンネルさせることによって、量子井戸内の電荷を容易に取り出すことが可能となる。よって、さらに変換効率の高い光電変換装置を得ることができる。
【0064】
また、コアcを構成する材料の吸収係数が、第1の中間層(i型半導体層110)が含む材料の吸収係数よりも高いことが好ましい。
【0065】
かかる構成によれば、第1の中間層よりも量子ドットのコアcにおいてより多くの光を吸収することが可能となり、これによってMEGが発生する割合が大きくなる。ひいては、光電変換装置の変換効率を高めることが可能となる。
【0066】
また、第1導電型基板は第1導電型の単結晶シリコンまたは多結晶シリコン基板で構成され、中間層はi型アモルファスシリコンで構成されており、さらに第2導電型半導体層は、第2導電型のアモルファスシリコンで構成されてもよい。
【0067】
また、コアc、シェルs、及びi型半導体層110のそれぞれの材料は、シェルsのバンドギャップが最も高くなるような材料を選択する。これによれば、効果的に量子効果を発生させて電荷を取り出すことができるようになり、光電変換装置の変換効率を高めることができる。
【0068】
なお、コアcのバンドギャップをシリコンと同程度の0.9〜1.4eVの範囲にすると、量子効果をさらに効果的に発生させることができるため好ましい。
【0069】
また、本発明の一態様の光電変換装置の製造方法は、(1)第1導電型基板(p型単結晶シリコン基板100)の上に第1の中間層(i型半導体層110または絶縁層160)を形成する工程と、(2)この第1の中間層の上に第2導電型半導体層(n型半導体層120)を形成する工程と、を備える。そして、第1の中間層は、コアを備えたナノ粒子(量子ドット)を含んでおり、第1導電型基板が結晶半導体であることを特徴とする。
【0070】
この方法によれば、超格子構造のように高度な製造技術を用いることなく、比較的容易な方法によって変換効率に優れた光電変換装置を製造することができる。
【0071】
また、第2導電型半導体層(n型半導体層120)を形成する工程において、コアcが、コアcのバンドギャップより大きいバンドギャップを有する材料に接するよう形成されることが好ましい。
【0072】
この方法によれば、コアcの材料とコアcに接する材料とのバンドギャップにより量子井戸が形成されるとともに、コアcと接する材料をトンネルさせることによって量子井戸内の電荷を容易に取り出すことができる光電変換装置を製造することができる。これにより、さらに変換効率の高い光電変換装置を提供することができる。
【0073】
なお、上記各実施形態はいずれも本発明の一形態に過ぎず、本発明はこれらの実施形態に基づいて当業者が想到し得る範囲の発明を包含する。
【0074】
例えばこれらの実施形態1は、当業者が想到し得る範囲において互いに矛盾しない範囲で組み合わせることができる。例えば、実施形態3に示したいわゆる両面構造の光電変換装置において、i型半導体層170は量子ドットを含まない構造としてもよい。
【0075】
また、実施形態におけるn型半導体及びp型半導体は、それぞれを逆にした構成にしてもよい。例えば実施形態3では、p型単結晶シリコン基板100をn型単結晶シリコン基板とし、n型半導体層120をp型半導体層とし、高濃度p型半導体層180を高濃度n型半導体層とすることなどができる。
【0076】
また、各実施形態におけるn型半導体層120及び180並びにi型半導体層110及び170はアモルファスシリコンによって形成される例を挙げたが、他の半導体材料によって形成してもよい。
【0077】
また、実施形態においては、シリコンの前駆体液としてシクロペンタシラン(Si5H10)を用いたが、他のケイ素化合物を重合させて用いてもよい。
【0078】
また、各実施形態に記載の製造条件や各層の厚みなどはあくまで一例に過ぎず、これらの条件や厚みなどに限定されるものではない。
【0079】
<6.応用例>
上記光電変換装置は、各種電子機器に組み込むことができる。適用できる電子機器に制限はないがその一例について説明する。
【0080】
図9は、本発明の太陽電池(光電変換装置)を適用した電卓を示す平面図、図10は、本発明の太陽電池(光電変換装置)を適用した携帯電話機(PHSも含む)を示す斜視図、図11は電子機器の一例である腕時計を示す斜視図である。
【0081】
図9に示す電卓300は、本体部301と、本体部301の上面(前面)に設けられた表示部302、複数の操作ボタン303および光電変換素子設置部304とを備えている。
【0082】
図9に示す構成では、光電変換素子設置部304には、光電変換素子10が5つ直列に接続されて配置されている。この光電変換素子10として上記光電変換装置を組み込むことができる。
【0083】
図10に示す携帯電話機400は、本体部401と、本体部401の前面に設けられた表示部402、複数の操作ボタン403、受話口404、送話口405および光電変換素子設置部406とを備えている。
【0084】
図10に示す構成では、光電変換素子設置部406が、表示部402の周囲を囲むようにして設けられ、光電変換素子10が複数、直列に接続されて配置されている。この光電変換素子10として上記光電変換装置を組み込むことができる。
【0085】
図11に示す腕時計500は、表示部501を備え、例えば、この表示部501の外周に、上記光電変換装置を組み込むことができる。
【0086】
なお、本発明の電子機器としては、図9に示す電卓、図10に示す携帯電話機、及び図11に示す腕時計の他、例えば、光センサー、光スイッチ、電子手帳、電子辞書、クロック等に適用することもできる。
【符号の説明】
【0087】
10……光電変換素子、100……p型単結晶シリコン基板、110……i型半導体層、111……量子ドット、112……シリコン前駆体液、113……量子ドット、120……n型半導体層、130……透明電極、140……金属電極、150……集電極、160……絶縁層、170……i型半導体層、180……高濃度p型半導体層、190……透明電極、300……電卓、301……本体部、302……表示部、303……操作ボタン、304……光電変換素子設置部、400……携帯電話機、401……本体部、402……表示部、403……操作ボタン、404……受話口、405……送話口、406……光電変換素子設置部、500……腕時計、501……表示部、c……コア、s……シェル
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学変換装置等に関し、特に、量子ドットを用いた光電変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギーかつ省資源でクリーンなエネルギー源として太陽電池(光電変換装置)の開発が盛んに行われている。太陽電池は、光起電力効果を利用し、光エネルギーを直接電力に変換する電力機器である。その構成には、有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池、多接合構造太陽電池など多種の構造体が検討されている。中でも、単結晶シリコン上にアモルファスシリコン層を形成する、いわゆるHIT(Heterojunction with Intrinsic Thin layer)型の太陽電池は高い効率を得ることができる構造であり、モジュール効率20%以上のものも開発されている。HIT型の太陽電池については、下記特許文献1などに開示されている。
【0003】
また、理論的には60%以上の変換効率を可能にする次世代の太陽電池として量子ドット(ナノ粒子)を用いた太陽電池が注目を浴びている。例えば、下記特許文献2には、誘電体材料薄層を配して隔てられた複数の結晶質半導体材料量子ドットを有する太陽電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−130671号公報
【特許文献2】特表2007−535806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1において開示されている構成は、1つのPN接合による単接合の構造であるため、変換効率の理論限界は25%程度であり、これ以上の変換効率を得ることが困難である。
【0006】
また、上記特許文献2において詳細に検討されている構成では、量子井戸から電荷(電子)を効率よく取り出せない恐れがある。上記特許文献2の記載において、超格子構造によればミニバンドが形成され電荷(電子)を効率よく取り出せる旨の検討がなされている。しかし、量子ドットを規則正しく配置された超格子構造の装置を製造するためには高度な技術を要する。さらに、ミニバンドを形成するには、数nm〜数十nmの直径の量子ドットにおける粒径ばらつきを10%以下に抑える必要があり、この点でも技術的に困難である。
【0007】
そこで、本発明に係る具体的態様は、複雑な技術を用いることなく変換効率の良好な光電変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様の光電変換装置は、第1導電型の半導体を含む第1導電型基板と、前記第1導電型基板の上に形成された第1の中間層と、前記第1の中間層の上に形成された、第2導電型の半導体を含む第2導電型半導体層と、を備える。そして、前記第1の中間層は、ナノ粒子を含んでおり、前記ナノ粒子は第1材料からなるコアを備えていること、を特徴としている。
【0009】
かかる構成の光電変換装置によれば、超格子構造のように高度な製造技術を要する構造を採用することなく、量子ドットを含む第1の中間層を備えた、いわゆるHIT構造の光電変換装置を提供することができる。また、量子ドットを含む構成にすることにより複数エキシトン生成(MEG:Multiple Exciton Generation)が発生しやすくなり、変換効率に優れた光電変換装置を提供できる。
【0010】
また、前記第1導電型基板は少なくとも一部が第1導電型の半導体であり、前記第2導電型半導体層は少なくとも一部が第2導電型の半導体であることが好ましい。
【0011】
また、前記ナノ粒子は、さらに、前記コアを被覆する第2材料からなるシェルを備えることが好ましい。
【0012】
かかる構成では、ナノ粒子におけるコアは第2材料からなるシェルによって覆われ、このシェルに接している。この構成によれば、ナノ粒子が含まれる中間層を構成する材料よりも吸収係数の高い材料をコアの材料として用いることが可能となるため、さらに変換効率の高い光電変換効率を得ることができる。
【0013】
また、前記第2材料のバンドギャップは、前記第1材料のバンドギャップよりも大きく、かつ前記第1の中間層が含む第3材料のバンドギャップよりも大きいことが好ましい。
【0014】
これによれば、第1材料と第2材料とのバンドギャップにより量子井戸が形成されるとともに、この第1材料と接する材料をトンネルさせることによって、量子井戸内の電荷を容易に取り出すことが可能となる。よって、さらに変換効率の高い光電変換装置を得ることができる。
【0015】
また、前記第1材料の吸収係数は、前記第3材料の吸収係数よりも大きいことが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、第1の中間層よりも量子ドットのコアにおいてより多くの光を吸収することが可能となり、これによってMEGが発生する割合が大きくなる。ひいては、光電変換装置の変換効率を高めることが可能となる。
【0017】
また、前記第1導電型基板は、第1導電型の単結晶シリコンまたは多結晶シリコン基板で構成されており、前記第3材料は、i型アモルファスシリコンで構成されており、さらに前記第2導電型半導体層は、第2導電型のアモルファスシリコンで構成されてもよい。
【0018】
また、第1の中間層は絶縁体を含んでもよい。
【0019】
また、本発明の一形態は上記いずれかの光電変換装置を備えた電子機器を含む。
【0020】
一方で、本発明の一態様の光電変換装置の製造方法は、第1導電型の半導体からなる第1導電型基板の上に第1の中間層を形成する工程と、前記第1の中間層の上に第2導電型の半導体からなる第2導電型半導体層を形成する工程と、を備える。そして、前記第1の中間層は、第1材料からなるコアを備えたナノ粒子を含んでおり、前記第1導電型の半導体が結晶半導体であること、を特徴とする。
【0021】
かかる方法によれば、比較的簡単な製造技術を用いつつ、変換効率に優れた光電変換装置を製造することができる。
【0022】
また、前記第2導電型半導体層を形成する工程において、前記コアが前記第1材料のバンドギャップより大きいバンドギャップを有する材料に接するよう形成されることが好ましい。
【0023】
かかる方法によれば、第1材料とこの第1材料と接する材料とのバンドギャップにより量子井戸が形成されるとともに、この第1材料と接する材料をトンネルさせることによって、量子井戸内の電荷を容易に取り出すことが可能な光電変換装置を製造することができる。よって、さらに変換効率の高い光電変換装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態1における光電変換装置の構成を示す断面図。
【図2】量子ドットの構成を示す断面図。
【図3】実施形態1における光電変換装置の製造工程における第1の断面図。
【図4】実施形態1における光電変換装置の製造工程における第2の断面図。
【図5】実施形態1における光電変換装置の製造工程における第3の断面図。
【図6】実施形態1における光電変換装置の製造工程における第4の断面図。
【図7】実施形態2における光電変換装置の構成を示す断面図。
【図8】実施形態3における光電変換装置の構成を示す断面図。
【図9】本発明の光電変換装置を適用した電卓を示す平面図。
【図10】本発明の光電変換装置を適用した携帯電話機を示す平面図。
【図11】本発明の光電変換装置を適用した腕時計を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る実施形態について、以下の構成に従って、図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する実施形態はあくまで本発明の一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、各図面において、同一の部品には同一の符号を付しており、その説明を省略する場合がある。
1.定義
2.実施形態1
(1)光電変換装置の構成例
(2)光電変換装置の製造方法
3.実施形態2
(1)光電変換装置の構成例
4.実施形態3
(1)光電変換装置の構成例
(2)光電変換装置の製造方法
5.本発明の特徴
6.応用例
【0026】
<1.定義>
まず、本明細書における用語を以下の通り定義する。
「上」「下」:本明細書では、理解を容易にするため、図面の上方向及び下方向をそれぞれ上及び下と呼ぶ。ただし、実際の構成においては上下が逆になっていたり、横になっていたりすることもあるが、積層関係が同様の構成についても本発明の範囲に含むものとする。
【0027】
<2.実施形態1>
まず、本発明の光電変換装置、及び光電変換装置の製造方法に関する実施形態1について、図面を参照しながら説明する。
【0028】
<(1)光電変換装置の構成例>
図1は、本実施形態1における光電変換装置の構成を示す断面図である。図1に示すように、光電変換装置は、p型(第1導電型)の半導体基板であるp型単結晶シリコン基板100、i型半導体層110、及びn型(第2導電型)の半導体層であるn型半導体層120が積層されて構成される。また、本実施形態1の光電変換装置は、n型半導体層120の上に透明電極130を備え、p型単結晶シリコン基板100の下に金属電極140を備える。また、透明電極130には複数の集電極150が電気的に接続されており、金属電極140には複数の集電極150が電気的に接続されている。
【0029】
第1、第2導電型は、p型又はn型であり、p型の場合は、ホウ素(B)などのp型不純物を、n型の場合は、リン(P)などのn型不純物を有する。i型(真性、intrinsic)とは、不純物が注入されておらず、p型またはn型の層と比較し、不純物濃度が低い層を意味する。
【0030】
p型単結晶シリコン基板100は、例えば厚さ200μmの、p型の単結晶シリコンによって構成される。
【0031】
i型半導体層110は、量子ドット(ナノ粒子)111を含むアモルファスシリコンによって構成される。図2は、量子ドット111の構成を示す断面図である。図2に示されるように、本実施形態1で用いられる量子ドット111(d)はコア−シェル構造になっており、粒状材料からなるコアc、及びこのコアcの外周を被覆する被覆材料からなるシェルsとを有する。本実施形態1では、一例として、コアcとして粒径3nmの硫化鉛(PbS)を、シェルsとして2nm厚の酸化シリコン(SiO2)を用いる。i型半導体層110の厚さは、例えば20nmである。
【0032】
なお、このような量子ドット111は、例えば、分子線エピタキシーや化学蒸着、また、ガス中蒸着法、ホットソープ法、コロイド湿式化学法などを用いてコア部およびその外周のシェル部の製造が可能であり、例えば、カンタムドット社(Quantum Dot)やエビデントテクノロジー社(Evident Technologies)によってコア−シェル構造の量子ドット分散液が製造・販売されている。また、コアcとしては、硫化鉛(PbS)のほか、粒径1nm以上20nm以下のゲルマニウム(Ge)またはセレン化鉛(PbSe)などを用いることができる。また、シェルsとしては厚さ0.5nm〜10nmであって、バンドギャップがコアcのバンドギャップ及びi型半導体層110を形成するアモルファスシリコンのバンドギャップより大きい材料を用いることができ、例えば酸化シリコン(SiO2)などの絶縁体を用いる。
【0033】
n型半導体層120は、n型不純物を注入されたアモルファスシリコンによって構成される。n型半導体層120の厚さは、例えば10nmである。
【0034】
透明電極130は、例えばインジウムを添加した酸化錫(ITO)、フッ素ドープした酸化錫(FTO)、酸化インジウム(IO)、または酸化錫(SnO2)などで構成される。透明電極130の厚さは、例えば5μmである。
【0035】
金属電極140は、例えばAl(アルミニウム)を用いることができる。この他、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、白金(Pt)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、またはタンタル(Ta)などの金属材料を用いることもできる。金属電極の厚さは、例えば5μmである。
【0036】
透明電極130に接続された集電極150は、太陽電池で発生した電圧を透明電極130を通じて集電極150に集めて効率的に外部に取り出すよう構成される。また、金属電極140に接続された集電極150は、太陽電池で発生した電圧を金属電極140を通じて集電極に集めて効率的に外部に取り出すよう構成される。集電極150は、銀(Ag)などの導電体を用いることができる。
【0037】
<(2)光電変換装置の製造方法>
次に、図3乃至図6を参照しながら、本実施形態1の光電変換装置の製造方法について説明する。
【0038】
<p型単結晶シリコン基板上にシリコンの前駆体液を塗布する工程>
まず、図3に示すように、p型単結晶シリコン基板100上に、量子ドット111を分散させたシリコンの前駆体液112を塗布する。塗布する方法としては、例えばスピンコート法、スプレー法、またはインクジェット法などの方法を用いることができる。前駆体液とは特定物質を得るための前段階の物質を指し、ここではi型半導体層110を形成するための液体シリコン材料を指す。シリコンの前駆体液112としては、例えば、シクロペンタシラン(Si5H10)に紫外線を照射するなどして、重合させてポリシランとしたものを有機溶媒で希釈した溶解液体を用いる。
【0039】
<シリコンの前駆体液をアモルファスシリコン化する工程>
次に、シリコンの前駆体液112を塗布したp型単結晶シリコン基板100を例えば窒素中で焼成することで熱処理を施し、シリコンの前駆体液112をアモルファスシリコン化する。これにより、図4に示すように、量子ドット113を分散状態で含有するi型半導体層110が形成される。
【0040】
<n型半導体層を形成する工程>
次に、図5に示すように、i型半導体層110上に、n型半導体層120を形成する。本工程では、まず、i型半導体層110上に黄燐(P4)などのn型不純物を加えたシリコンの前駆体液(例えば前述のポリシラン溶液)をスピンコート法で塗布する。その後、このシリコンの前駆体液に熱処理を施すことによって、n型のアモルファスシリコン層であるn型半導体層120を形成する。
【0041】
<電極を形成する工程>
次に、図6に示すように、n型半導体層120の上に透明電極130を、p型単結晶シリコン基板100の下に金属電極140を形成する。透明電極130及び金属電極140は、いずれもスパッタ法、蒸着法、またはスクリーン印刷法などの方法で形成することができる。
【0042】
<集電極を形成する工程>
次に、図1に示すように、透明電極130の上及び金属電極140の下に、集電極150を形成する。集電極150は、スパッタ法またはスクリーン印刷法などの方法で形成することができる。
【0043】
<3.実施形態2>
次に、本発明の光電変換装置に関する実施形態2について、図7を参照しながら説明する。本実施形態2は、実施形態1におけるi型半導体層110が絶縁層160になっている点で相違しており、以下においてはこの相違点を中心に説明し、実施形態1と同様の部分については説明を省略する。
【0044】
<(1)光電変換装置の構成例>
図7は、本実施形態2における光電変換装置の構成を示す断面図である。図7に示すように、光電変換装置は、p型(第1導電型)の半導体基板であるp型単結晶シリコン基板100、絶縁層160、及びn型(第2導電型)の半導体層であるn型半導体層120が積層されて構成される。また、n型半導体層120の上に透明電極130を備え、p型単結晶シリコン基板100の下に金属電極140を備える。また、透明電極130には複数の集電極150が電気的に接続されており、金属電極140には複数の集電極150が電気的に接続されている。
【0045】
絶縁層160は、量子ドット113を含む絶縁体によって構成される。量子ドット113は、実施形態1とは異なりコア−シェル構造ではなく、コアのみからなる。量子ドット113のコアを構成する材料は、例えば硫化鉛(PbS)などを用いる。なお、このコアを構成する材料は硫化鉛(PbS)に限られるものではないが、量子効果を発生させるため、量子ドット113のコアのバンドギャップは、絶縁層160を形成する絶縁体のバンドギャップよりも小さくする。絶縁層160の厚さは、例えば10nmである。
【0046】
<(2)光電変換装置の製造方法>
次に、本実施形態2における光電変換装置の製造方法について説明するが、絶縁層160を形成する工程以外は実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0047】
絶縁層160は、実施形態1で説明したシリコンの前駆体液を、二段階焼成によって焼成することで形成される。二段階焼成とは、最初に窒素中で焼成した後に、酸素を含む大気中で焼成する方法である。具体的には、例えば窒素中において250℃で5分間焼成した後、大気中において350℃で15分間焼成する。これによって、シリコンの前駆体液が酸化し、絶縁体である酸化シリコン(SiO2)からなる絶縁層160を生成する。
【0048】
<4.実施形態3>
次に、本発明の光電変換装置、及び光電変換装置の製造方法に関する実施形態3について、図8を参照しながら説明する。本実施形態3と実施形態1とを比較すると、本実施形態3では、p型単結晶シリコン基板100の上のみならず、下にもi型半導体層170及び高濃度p型半導体層180などが形成されている点で相違する。本実施形態3のような構成の光電変換装置を、両面構造と呼ぶことがある。以下、実施形態1との相違点を中心に説明する。
【0049】
<(1)光電変換装置の構成例>
図8は、本実施形態3における光電変換装置の構成を示す断面図である。図8に示すように、光電変換装置は、p型(第1導電型)の半導体基板であるp型単結晶シリコン基板100、i型半導体層110、及びn型(第2導電型)の半導体層であるn型半導体層120が積層されて構成される。さらに本実施形態3では、p型単結晶シリコン基板100の下に、i型半導体層170、及び高濃度p型(第1導電型)の半導体層である高濃度p型半導体層180が積層されて構成されている。また、n型半導体層120の上及び高濃度p型半導体層180の下にそれぞれ透明電極130及び190を備える。また、透明電極130には複数の集電極150が電気的に接続されており、透明電極190には複数の集電極150が電気的に接続されている。
【0050】
i型半導体層170は、p型単結晶シリコン基板100の上に形成されたi型半導体層110と同様に、量子ドット(ナノ粒子)111を含むアモルファスシリコンによって構成される。この量子ドット111は、実施形態1における量子ドット111と同様にコア−シェル構造になっており、コアcとシェルsの材料は上部のi型半導体層110に含有される量子ドットの材料と同じでもよいし、コアcとシェルsのどちらかの材料もしくは両方の材料が異なっていてもよい。量子ドット111としては、実施形態1と同様の構成のもののほか、例えば粒径3nmのゲルマニウム(Ge)からなるコアcと、厚さ2nmの酸化ゲルマニウム(GeO2)からなるシェルsを備えるものなどを用いることもできる。i型半導体層170の厚さは、例えば20nmである。
【0051】
高濃度p型半導体層180は、p型単結晶シリコン基板100よりも不純物濃度が高くなっており、例えばp型半導体層180と比べて2倍〜100倍程度の不純物を含有し、例えばアモルファスシリコンなどで構成されている。高濃度p型半導体層180の厚さは、例えば10nmである。
【0052】
透明電極190は、透明電極130と同様の材料で形成される。透明電極190の厚さは、例えば5μmである。
【0053】
<(2)光電変換装置の製造方法>
次に、本実施形態3の光電変換装置の製造方法について、簡単に説明する。
【0054】
まず、実施形態1で説明した方法で、p型単結晶シリコン基板100、i型半導体層110、n型半導体層120、透明電極130、及び集電極150を形成する。その後、i型半導体層110の形成方法と同じ方法で、p型単結晶シリコン基板100の下にi型半導体層170を形成する。次に、i型半導体層170の下に、ホウ素(B)などのp型不純物を加えたシリコンの前駆体液を塗布した後に熱処理を施し、p型のアモルファスシリコン層である高濃度p型半導体層180を形成する。そして、高濃度p型半導体層180の下に透明電極190を形成し、さらにその下に複数の集電極150を形成する。これによって、図8に示すような光電変換装置を製造することができる。
【0055】
各層を形成する順番は上記に限らず、例えば次のような順番で形成することができる。p型シリコン基板100の上にi型半導体層110を形成した直後に、i型半導体層170を形成し、その後n型半導体層120と180を形成する。さらに透明電極130と190を形成し、最後に集電極150を形成する。また、例えばi型半導体層110とi型半導体層170が同じ材料からなる量子ドット111を含む場合には、i型半導体層110とi型半導体層170とを同時に形成してもよい。
【0056】
<5.本発明の特徴>
ここで、本発明の特徴について具体的に説明する。
【0057】
まず、本発明の一形態である光電変換装置は、上述の各実施形態で説明したように、第1導電型基板(p型単結晶シリコン基板100)、第1の中間層(i型半導体層110または絶縁層160)、及び第2導電型半導体層(n型半導体層120)を備える。そして、第1の中間層(i型半導体層110または絶縁層160)は少なくともコアを備えた量子ドット(ナノ粒子)を含んでいる。また、第1導電型基板は単結晶シリコンなどの結晶半導体によって形成される。
【0058】
量子ドット(111)がバンドギャップの2倍以上のエネルギーの光子(フォトン)を吸収したとき、1個の光子から2個のキャリア(エキシトン)が発生することがある。これを複数エキシトン生成(MEG)効果とよぶ。例えば、1.1eVのバンドギャップを有するシリコンでは、2.2eV以上の高エネルギーの光を吸収してMEGが発生すると、2つのエキシトンを生成する。MEGが発生するとより多くのキャリアが発生するので、変換効率が高くなる。
【0059】
本発明の一形態としての上記構成によれば、超格子構造のように高度な製造技術を要する構造を採用することなく、量子ドットを含む層である第1の中間層を備えた、いわゆるHIT構造の光電変換装置を提供することができる。また、第1の中間層を半導体とすることで、MEGによって発生したキャリアを効率的に取り出すことができるようになり、変換効率に優れた光電変換装置を提供できる。
【0060】
また、実施形態1で説明しているように、第1の中間層(i型半導体層110)が含む量子ドット111(ナノ粒子)が、コア−シェル構造であることが好ましい。
【0061】
この構造の光電変換装置では、量子ドット111のコアcはシェルsによって覆われている。また、量子ドット111はi型半導体層110に含まれている。この構成によれば、コアcの材料としてi型半導体層110を構成する材料よりも吸収係数の高いものを採用することが可能となる。これによって、より変換効率の高い光電変換装置を提供することができる。
【0062】
また、各実施形態で説明しているように、量子ドット(111)のコアcが、このコアcを構成する材料よりも大きいバンドギャップを有するシェルsに被覆されている。すなわち、コア−シェル構造の量子ドット111を用いた実施形態1及び4では、シェルsのバンドギャップがコアcのバンドギャップより大きい。
【0063】
本発明の上記のような構成の光電変換装置によれば、コアcの材料とシェルsの材料とのバンドギャップにより量子井戸が形成されるとともに、シェルsをトンネルさせることによって、量子井戸内の電荷を容易に取り出すことが可能となる。よって、さらに変換効率の高い光電変換装置を得ることができる。
【0064】
また、コアcを構成する材料の吸収係数が、第1の中間層(i型半導体層110)が含む材料の吸収係数よりも高いことが好ましい。
【0065】
かかる構成によれば、第1の中間層よりも量子ドットのコアcにおいてより多くの光を吸収することが可能となり、これによってMEGが発生する割合が大きくなる。ひいては、光電変換装置の変換効率を高めることが可能となる。
【0066】
また、第1導電型基板は第1導電型の単結晶シリコンまたは多結晶シリコン基板で構成され、中間層はi型アモルファスシリコンで構成されており、さらに第2導電型半導体層は、第2導電型のアモルファスシリコンで構成されてもよい。
【0067】
また、コアc、シェルs、及びi型半導体層110のそれぞれの材料は、シェルsのバンドギャップが最も高くなるような材料を選択する。これによれば、効果的に量子効果を発生させて電荷を取り出すことができるようになり、光電変換装置の変換効率を高めることができる。
【0068】
なお、コアcのバンドギャップをシリコンと同程度の0.9〜1.4eVの範囲にすると、量子効果をさらに効果的に発生させることができるため好ましい。
【0069】
また、本発明の一態様の光電変換装置の製造方法は、(1)第1導電型基板(p型単結晶シリコン基板100)の上に第1の中間層(i型半導体層110または絶縁層160)を形成する工程と、(2)この第1の中間層の上に第2導電型半導体層(n型半導体層120)を形成する工程と、を備える。そして、第1の中間層は、コアを備えたナノ粒子(量子ドット)を含んでおり、第1導電型基板が結晶半導体であることを特徴とする。
【0070】
この方法によれば、超格子構造のように高度な製造技術を用いることなく、比較的容易な方法によって変換効率に優れた光電変換装置を製造することができる。
【0071】
また、第2導電型半導体層(n型半導体層120)を形成する工程において、コアcが、コアcのバンドギャップより大きいバンドギャップを有する材料に接するよう形成されることが好ましい。
【0072】
この方法によれば、コアcの材料とコアcに接する材料とのバンドギャップにより量子井戸が形成されるとともに、コアcと接する材料をトンネルさせることによって量子井戸内の電荷を容易に取り出すことができる光電変換装置を製造することができる。これにより、さらに変換効率の高い光電変換装置を提供することができる。
【0073】
なお、上記各実施形態はいずれも本発明の一形態に過ぎず、本発明はこれらの実施形態に基づいて当業者が想到し得る範囲の発明を包含する。
【0074】
例えばこれらの実施形態1は、当業者が想到し得る範囲において互いに矛盾しない範囲で組み合わせることができる。例えば、実施形態3に示したいわゆる両面構造の光電変換装置において、i型半導体層170は量子ドットを含まない構造としてもよい。
【0075】
また、実施形態におけるn型半導体及びp型半導体は、それぞれを逆にした構成にしてもよい。例えば実施形態3では、p型単結晶シリコン基板100をn型単結晶シリコン基板とし、n型半導体層120をp型半導体層とし、高濃度p型半導体層180を高濃度n型半導体層とすることなどができる。
【0076】
また、各実施形態におけるn型半導体層120及び180並びにi型半導体層110及び170はアモルファスシリコンによって形成される例を挙げたが、他の半導体材料によって形成してもよい。
【0077】
また、実施形態においては、シリコンの前駆体液としてシクロペンタシラン(Si5H10)を用いたが、他のケイ素化合物を重合させて用いてもよい。
【0078】
また、各実施形態に記載の製造条件や各層の厚みなどはあくまで一例に過ぎず、これらの条件や厚みなどに限定されるものではない。
【0079】
<6.応用例>
上記光電変換装置は、各種電子機器に組み込むことができる。適用できる電子機器に制限はないがその一例について説明する。
【0080】
図9は、本発明の太陽電池(光電変換装置)を適用した電卓を示す平面図、図10は、本発明の太陽電池(光電変換装置)を適用した携帯電話機(PHSも含む)を示す斜視図、図11は電子機器の一例である腕時計を示す斜視図である。
【0081】
図9に示す電卓300は、本体部301と、本体部301の上面(前面)に設けられた表示部302、複数の操作ボタン303および光電変換素子設置部304とを備えている。
【0082】
図9に示す構成では、光電変換素子設置部304には、光電変換素子10が5つ直列に接続されて配置されている。この光電変換素子10として上記光電変換装置を組み込むことができる。
【0083】
図10に示す携帯電話機400は、本体部401と、本体部401の前面に設けられた表示部402、複数の操作ボタン403、受話口404、送話口405および光電変換素子設置部406とを備えている。
【0084】
図10に示す構成では、光電変換素子設置部406が、表示部402の周囲を囲むようにして設けられ、光電変換素子10が複数、直列に接続されて配置されている。この光電変換素子10として上記光電変換装置を組み込むことができる。
【0085】
図11に示す腕時計500は、表示部501を備え、例えば、この表示部501の外周に、上記光電変換装置を組み込むことができる。
【0086】
なお、本発明の電子機器としては、図9に示す電卓、図10に示す携帯電話機、及び図11に示す腕時計の他、例えば、光センサー、光スイッチ、電子手帳、電子辞書、クロック等に適用することもできる。
【符号の説明】
【0087】
10……光電変換素子、100……p型単結晶シリコン基板、110……i型半導体層、111……量子ドット、112……シリコン前駆体液、113……量子ドット、120……n型半導体層、130……透明電極、140……金属電極、150……集電極、160……絶縁層、170……i型半導体層、180……高濃度p型半導体層、190……透明電極、300……電卓、301……本体部、302……表示部、303……操作ボタン、304……光電変換素子設置部、400……携帯電話機、401……本体部、402……表示部、403……操作ボタン、404……受話口、405……送話口、406……光電変換素子設置部、500……腕時計、501……表示部、c……コア、s……シェル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体を含む第1導電型基板と、
前記第1導電型基板の上に形成された第1の中間層と、
前記第1の中間層の上に形成された、第2導電型の半導体を含む第2導電型半導体層と、を備え、
前記第1の中間層は、ナノ粒子を含んでおり、
前記ナノ粒子は第1材料からなるコアを備えていること、を特徴とする、
光電変換装置。
【請求項2】
前記第1導電型基板は少なくとも一部が第1導電型の半導体であり、
前記第2導電型半導体層は少なくとも一部が第2導電型の半導体であることを特徴とする
請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記ナノ粒子は、さらに、前記コアを被覆する第2材料からなるシェルを備えたことを特徴とする
請求項1または2に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記第2材料のバンドギャップは、前記第1材料のバンドギャップよりも大きく、かつ前記第1の中間層が含む第3材料のバンドギャップよりも大きいことを特徴とする、
請求項3に記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記第1材料の吸収係数は、前記第3材料の吸収係数よりも大きいことを特徴とする、
請求項4に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記第1導電型基板は、第1導電型の単結晶シリコンまたは多結晶シリコン基板で構成されており、
前記第3材料は、i型アモルファスシリコンで構成されており、
さらに前記第2導電型半導体層は、第2導電型のアモルファスシリコンで構成されていることを特徴とする、
請求項4または5に記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記第1の中間層は絶縁体を含む
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光電変換装置を備えた電子機器。
【請求項9】
第1導電型の半導体からなる第1導電型基板の上に第1の中間層を形成する工程と、
前記第1の中間層の上に第2導電型の半導体からなる第2導電型半導体層を形成する工程と、を備え、
前記第1の中間層は、第1材料からなるコアを備えたナノ粒子を含んでおり、
前記第1導電型の半導体が結晶半導体であること、を特徴とする、
光電変換装置の製造方法。
【請求項10】
前記第2導電型半導体層を形成する工程において、前記コアが前記第1材料のバンドギャップより大きいバンドギャップを有する材料に接するよう形成されることを特徴とする、
請求項9に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項1】
第1導電型の半導体を含む第1導電型基板と、
前記第1導電型基板の上に形成された第1の中間層と、
前記第1の中間層の上に形成された、第2導電型の半導体を含む第2導電型半導体層と、を備え、
前記第1の中間層は、ナノ粒子を含んでおり、
前記ナノ粒子は第1材料からなるコアを備えていること、を特徴とする、
光電変換装置。
【請求項2】
前記第1導電型基板は少なくとも一部が第1導電型の半導体であり、
前記第2導電型半導体層は少なくとも一部が第2導電型の半導体であることを特徴とする
請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記ナノ粒子は、さらに、前記コアを被覆する第2材料からなるシェルを備えたことを特徴とする
請求項1または2に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記第2材料のバンドギャップは、前記第1材料のバンドギャップよりも大きく、かつ前記第1の中間層が含む第3材料のバンドギャップよりも大きいことを特徴とする、
請求項3に記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記第1材料の吸収係数は、前記第3材料の吸収係数よりも大きいことを特徴とする、
請求項4に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記第1導電型基板は、第1導電型の単結晶シリコンまたは多結晶シリコン基板で構成されており、
前記第3材料は、i型アモルファスシリコンで構成されており、
さらに前記第2導電型半導体層は、第2導電型のアモルファスシリコンで構成されていることを特徴とする、
請求項4または5に記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記第1の中間層は絶縁体を含む
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光電変換装置を備えた電子機器。
【請求項9】
第1導電型の半導体からなる第1導電型基板の上に第1の中間層を形成する工程と、
前記第1の中間層の上に第2導電型の半導体からなる第2導電型半導体層を形成する工程と、を備え、
前記第1の中間層は、第1材料からなるコアを備えたナノ粒子を含んでおり、
前記第1導電型の半導体が結晶半導体であること、を特徴とする、
光電変換装置の製造方法。
【請求項10】
前記第2導電型半導体層を形成する工程において、前記コアが前記第1材料のバンドギャップより大きいバンドギャップを有する材料に接するよう形成されることを特徴とする、
請求項9に記載の光電変換装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−176225(P2011−176225A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40607(P2010−40607)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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