光学多層フィルムおよびその製造方法
【課題】反射防止性、帯電防止性、耐薬品性および耐湿性に優れる光学多層フィルムおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】光学多層膜フィルム10は、光を透過させるための基材フィルム1と、基材フィルム1の上面にハードコート層2と複数層からなる反射防止膜3と、防汚層4と、を備えて構成される。反射防止膜3は低屈折率層と高屈折率層とを交互に積層したもので、基材フィルム1側から外側に向けて順に配置された第1層31、第2層32、第3層33、第4層34、第5層35、第6層36、第7層であるアモルファスシリコン層37および第8層38から構成される。このうち、第1層31、第3層33、第5層35および第8層38が低屈折率層であり、第2層32、第4層34および第6層36が高屈折率層である。
【解決手段】光学多層膜フィルム10は、光を透過させるための基材フィルム1と、基材フィルム1の上面にハードコート層2と複数層からなる反射防止膜3と、防汚層4と、を備えて構成される。反射防止膜3は低屈折率層と高屈折率層とを交互に積層したもので、基材フィルム1側から外側に向けて順に配置された第1層31、第2層32、第3層33、第4層34、第5層35、第6層36、第7層であるアモルファスシリコン層37および第8層38から構成される。このうち、第1層31、第3層33、第5層35および第8層38が低屈折率層であり、第2層32、第4層34および第6層36が高屈折率層である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学多層フィルムおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CRT、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル(PDP)等の光学表示装置において、表示画面上への外光の写りこみによって画像を認識しづらくなるという問題があったため、可視光領域の光に対して反射率の低い(反射防止効果)反射防止積層体を光学表示装置の表示画面上に設けることが行われている。
また、反射防止積層体に導電性を持たせることにより、静電気の発生を抑制(帯電防止効果)して表面にほこり等のゴミが付着することを防止したり、PDP等の光学表示装置から発生する不要電磁波をシールドしたりすることができる。
これらの反射防止性および帯電防止性を備えた光学機能性フィルターが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の光学機能性フィルターは、高屈折率透明薄膜層と金属薄膜層とが交互に設けられた反射防止積層体を有しており、高屈折率透明薄膜層の材料として特に酸化インジウムと酸化錫との混合物(ITO)が好適に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−184849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ITOは、透明性と導電性には優れているものの、酸やアルカリなどの薬品により侵されやすいという問題がある。例えば、人の汗は塩分を含んだ酸であり、この汗により、ITOが侵食されることもある。また、ITOはむくみが発生しやすく、耐湿性が不十分だという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、反射防止性、帯電防止性、耐薬品性および耐湿性に優れる光学多層フィルムおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光学多層フィルムは、透明な基材フィルムの表面に低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層されてなる反射防止膜を備えた光学多層フィルムであって、前記反射防止膜には、アモルファスシリコン層が含まれていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、反射防止膜にアモルファスシリコン層が含まれているので、帯電防止効果を発揮することができる。また、反射防止膜に含まれるアモルファスシリコン層は、反射防止膜の透明性や反射防止性を阻害することも少ない。さらに、アモルファスシリコン層は、酸やアルカリのような侵食性物質に対する耐久性に優れるとともに、むくみが発生しにくく耐湿性に優れている。
したがって、帯電防止性、反射防止性、耐薬品性および耐湿性に優れる光学多層フィルムを提供することができる。
【0008】
なお、反射防止膜を構成する低屈折率層がSiO2層である場合には、アモルファスシリコン層の主成分が同じSiであることより不純物とならず、また層間密着性にも優れる。また、アモルファスシリコン層が経時変化により酸化物となってもSiO2になるだけであり、光学的、品質的に問題を生じない。
【0009】
本発明の光学多層フィルムにおいて、前記アモルファスシリコン層の総厚みが1nm以上10nm以下であることが好ましい。
ここで、アモルファスシリコン層は1層(単層)である必要はなく、複数層で構成されていてもよい。
アモルファスシリコン層の総厚みが1nm以上であるので、十分な導電性を発揮することができる。また、アモルファスシリコン層の総厚みが10nm以下であるので、反射防止効果に悪影響を与えることもない。なお、アモルファスシリコン層の総厚みのより好ましい範囲は、2nm以上10nm以下である。
【0010】
本発明の光学多層フィルムにおいて、前記反射防止膜の上面に、防汚層が設けられたことが好ましい。
本発明によれば、反射防止膜に含まれるアモルファスシリコン層のアモルファスシリコンが使用環境中で酸化されることを防止することができる。このため、光学多層フィルムの優れた帯電防止効果を長期間持続させることができる。
【0011】
本発明の光学多層フィルムにおいて、表面電気抵抗が1×1011Ω以下であることが好ましい。
本発明によれば、光学多層フィルムの表面電気抵抗が1×1011Ω以下であるので、十分な帯電防止効果を期待できる。なお、表面電気抵抗のより好ましい範囲は1×1010Ω以下である。
【0012】
本発明の光学多層フィルムにおいて、550nmの波長における前記アモルファスシリコン層の屈折率が1.7以上であることが好ましい。
本発明によれば、アモルファスシリコン層の屈折率が1.7以上であるので、アモルファスシリコン層を構成する物質の導電性が高くなる。すなわち、帯電防止性に優れた光学多層フィルムを提供することができる。また、導電層の屈折率を高くして反射防止膜の中の高屈折率層の屈折率に近づけることにより、高屈折率層としての役割を持たせることも可能となる。
【0013】
本発明の光学多層フィルムにおいて、前記基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレートで形成されることが好ましい。
本発明によれば、反射防止性および帯電防止性に優れるとともに酸やアルカリなどの薬品に侵されにくいポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを提供することができる。このようなPETフィルムは、CRT(Cathode Ray Tube、ブラウン管)、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル(PDP)等の光学表示装置の表示画面上に設けられる。
【0014】
本発明の光学多層フィルムの製造方法は、基材フィルム上に反射防止膜を形成する光学多層フィルムの製造方法であって、前記反射防止膜を真空蒸着にて前記基材フィルムの表面に形成することを特徴とする。
【0015】
本発明の製造方法によれば、内部に含まれるアモルファスシリコン層を含めて真空蒸着により反射防止膜を形成するので、簡易な装置と方法により上述した効果を奏する光学多層フィルムを製造することができる。また、低屈折率層がSiO2層である場合は、真空蒸着機内に材料としてのSi粒を共通に用いることができるので、アモルファスシリコン層の成膜が非常に簡便である。SiO2層をSiO2粒を用いて成膜する場合であっても、材料としてのSi粒を別途用意するだけでよいので簡便である。
なお、本発明におけるアモルファスシリコン層を成膜する際、残留ガスとして酸素、水、水素等が含まれることがある。したがって、アモルファスシリコン層は、残留ガスとの反応により若干の酸化あるいは水素を含有したアモルファスシリコンになっている場合がある。また、アモルファスシリコン層を成膜する際、チャンバー内に酸素を導入して成膜する場合がある。この際にアモルファスシリコン層表面が酸化反応することもある。また、アモルファスシリコン層はTiO2層やSiO2層などの酸化物層に挟まれていることもある。そのために多層膜界面の酸素拡散により、アモルファスシリコン層が若干酸化されることもあり得る。このように、若干の酸化あるいは水素を含有したアモルファスシリコンになっている場合でも、本発明の上述の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の光学多層フィルムの構成を示す断面図。
【図2】本実施例における耐薬品性試験を行うためにフィルム表面に傷を付与するための装置を示す概略図。
【図3】前記フィルム表面に傷を付与するための装置の運転状態を示す概略図。
【図4】本実施例におけるアモルファスシリコン層の各厚みにおける表面電気抵抗を示すグラフ。
【図5】本実施例におけるアモルファスシリコン層の各厚みにおける反射率を示すグラフ。
【図6】本実施例における防汚層の有無による表面電気抵抗を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、本発明はこの実施形態によって何等限定されるものではない。
(光学多層フィルムの構成)
図1は、本発明にかかる光学多層フィルム10の構成を模式的に示す図である。光学多層フィルム10は、光を透過させるための基材フィルム1と、基材フィルム1の上面にハードコート層2と複数層からなる反射防止膜3と、防汚層4と、を備えて構成される。
【0018】
基材フィルム1は、PETフィルムである。PETフィルムは、CRT、液晶表示装置、PDP等の光学表示装置など各種用途に用いられる。
ハードコート層2は、耐擦傷性を向上させる機能を有する。ハードコート層2に使用される材料として、メラミン系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられるが、シリコーン系樹脂を用いたハードコート層が最も好ましい。例えば、金属酸化物微粒子、シラン化合物からなるコーティング組成物を塗布し硬化させてハードコート層2を設ける。このコーティング組成物にはコロイダルシリカおよび多官能性エポキシ化合物等の成分が含まれていてもよい。
金属酸化物微粒子としては、SiO2、Al2O3、SnO2、Sb2O5、Ta2O5、CeO2、La2O3、Fe2O3、ZnO、WO3、ZrO2、In2O3、TiO2等の金属酸化物からなる微粒子または2種以上の金属酸化物からなる複合微粒子を、分散媒、例えば水、アルコール系またはその他の有機溶媒にコロイド状に分散させたものが挙げられる。
このようなハードコート層2は、ディッピング法、スピンナー法、スプレー法、フロー法等により上述の組成物を塗布した後、40℃以上200℃以下の温度で数時間加熱乾燥することにより形成される。
【0019】
反射防止膜3は、可視光領域(550nm)における屈折率が1.3〜1.5である低屈折率層と、屈折率が1.8〜2.60である高屈折率層とを交互に積層したものである。この反射防止膜3は、基材フィルム1側から外側に向けて順に配置された第1層31、第2層32、第3層33、第4層34、第5層35、第6層36、第7層であるアモルファスシリコン層37および第8層38から構成され、このうち、第1層31、第3層33、第5層35および第8層38が低屈折率層であり、第2層32、第4層34および第6層36が高屈折率層である。
【0020】
反射防止膜3の低屈折率層および高屈折率層である第1層31、第2層32、第3層33、第4層34、第5層35、第6層36および第8層38に使用される無機物の例としては、SiO2、ZrO2、TiO2、TiO、Ti2O3、Ti2O5、Al2O3、TaO2、Ta2O5、NbO、Nb2O3、NbO2、Nb2O5、CeO2、Y2O3、SnO2、MgF2、WO3、HfO2、あるいはこれらの混合物などが挙げられる。これらの無機物は単独で用いるかもしくは2種以上の混合物を用いる。例えば、第1層31、第3層33、第5層35および第8層38をSiO2の層とし、第2層32、第4層34および第6層36をTiO2の層とすることができる。
なお、二酸化ケイ素(SiO2)からなる低屈折率層は、可視光領域の屈折率nが1.40〜1.50である。また、酸化チタン(TiO2)からなる高屈折率層は、可視光領域(550nm)の屈折率が2.10〜2.60である。
【0021】
第7層であるアモルファスシリコン層37に使用される材料としては、いわゆるアモルファスシリコンを用いる。
アモルファスシリコン層37の厚みは、好ましくは1nm以上10nm以下、より好ましくは2nm以上10nm以下の範囲に形成される。アモルファスシリコン層37の厚みが1nm未満であると、帯電防止効果を十分得ることができない。また、アモルファスシリコン層37の厚みが10nmを超えても帯電防止性の向上はさほど望めず、むしろ透明性が悪化するおそれがある。
また、アモルファスシリコン層37は、層全体が連続して形成されていなくてもよく、例えば、不連続な島状に形成された層であってもよい。この場合は、層全体の平均的な厚みが上記の範囲内であればよい。
アモルファスシリコン層37は、前述の高屈折率層の一部として設けられることが好ましい。本実施形態では、第6層36に隣接して設けられ、第6層36の一部として反射防止性にも寄与する。そのため、アモルファスシリコン層37の550nmにおける屈折率は、1.7以上であることが好ましい。
なお、アモルファスシリコン層37は、多層膜である反射防止膜3のどの位置に形成してもよい。望ましくは表面での酸化を防止するために反射防止膜3の最外層とならない位置が望ましい。例えば、高屈折率層36の中にアモルファスシリコン層を形成してもよい。
【0022】
なお、本実施形態は、反射防止膜3が必ずしも8層で構成されるものに限定されるものではなく、例えば、第1層31が基材フィルム1側であり、低屈折率層と高屈折率層とが交互に配置されていれば、他の層構成であってもよい。例えば、第1層、第2層、第3層、第4層、第5層であるアモルファスシリコン層および第6層の6層から構成するものでもよい。
反射防止膜3の各層を形成するには、通常のイオンアシスト(IAD)蒸着法が好適に用いられるが、これ以外にも通常の真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等を用いても良い。
【0023】
防汚層4は、パーフルオロアルキル基を有する分子量が1000〜10000であるフッ素含有有機ケイ素化合物を含んで形成される。
フッ素含有有機ケイ素化合物の分子量が1000未満であると、フッ素含有有機ケイ素化合物中のフッ素量が十分でなく、汚れの拭取り性の向上が難しい。一方分子量が10000を超えると、フッ素量は十分であるものの、反射防止膜3への処理が困難となる。例えば、真空蒸着法において、分子量が大きいゆえに蒸着源から反射防止膜3への飛翔距離が制限されるため、高真空化等の設備的負担が増加する。
フッ素含有有機ケイ素化合物は、以下の一般式(1)および(2)で表される。
【0024】
【化1】
【0025】
上記式(1)中、Rf1はパーフルオロアルキル基、X1は水素、臭素、またはヨウ素、Yは水素または低級アルキル基、Zはフッ素またはトリフルオロメチル基、R1は水酸基または加水分解可能な基、R2は水素または一価の炭化水素を表す。また、a、b、c、d、eは0または1以上の整数で、a+b+c+d+eは少なくとも1以上であり、a、b、c、d、eでくくられた各繰り返し単位の存在順位は、上記式(1)において限定されない。fは0、1または2を表す。gは1,2または3を表す。hは1以上の整数を表す。
【0026】
【化2】
【0027】
上記式(2)中、Rf2は−(CkF2k)O−(kは1〜6の整数)で表される単位を含み、分岐を有しない直鎖状のパーフルオロポリアルキレンエーテル構造を有する二価の基を表す。R3は炭素原子数1〜8の一価の炭化水素基であり、X2は加水分解性基またはハロゲン原子を表す。pは0、1または2を表す。nは1〜5の整数を表す。mおよびrは2または3を表す。
防汚層4を形成するには、通常の真空蒸着、イオンアシスト、イオンプレーティング、スパッタリング等を用いることができる。
【0028】
(光学多層フィルムの製造方法)
次に、光学多層フィルムの製造方法について説明する。
本実施形態では、一般的なイオンアシストを用いた電子ビーム蒸着(いわゆるIAD法)を実施可能な電子ビーム蒸着装置により、ハードコート層2が形成された基材フィルム1の上に反射防止膜3を形成する。
電子ビーム蒸着装置は、図示しないが、基材フィルム1を載置可能な支持台と蒸着材料を充填するるつぼと電子ビームとイオン銃とを備えた真空蒸着チャンバーを有している。
具体的には、基材フィルム1を真空蒸着チャンバー内に配置した後、真空蒸着チャンバー内の下部に蒸着材料を充填したるつぼを配置し、電子ビームにより蒸着材料を蒸発させる。蒸着材料として、TiO2成膜用にはTiOY粒(0≦Y≦2)、SiO2成膜用にはSiO2粒またはSi粒、アモルファスシリコン成膜用にはSi粒がそれぞれ好ましく用いられる。同時にイオン銃によりイオン化した酸素を加速照射することにより、基材フィルム1の表面に形成されたハードコート層2の上に蒸着材料を蒸着させる。
【0029】
ここで、高屈折率層を構成する第2層32、第4層34、第6層36を形成するにあたり、その成膜条件は、電子ビームにより加速電圧が5〜10kV、電流値が50〜500mAでるつぼ内の蒸着材料を加熱蒸発させ薄膜を形成させる。成膜中はイオン銃にて加速電圧は200〜1000V、電流値100〜500mAでイオンアシストを実施する。
低屈折率層となる第1層31、第3層33、第5層35、第8層38およびアモルファスシリコン層37を形成するためには、電子ビームにより加速電圧が5〜10kV、電流値が50〜500mAでるつぼ内の蒸着材料を加熱蒸発させ薄膜を形成させる。ここではイオンアシストは実施していないが、高屈折率層を構成したときと同じようにイオンアシストを適時実施してもよい。
【0030】
各層は、膜厚を測定しながら形成され、所望の膜厚になった時点で蒸着を停止する。以上のようにして各層が形成され、反射防止膜3となる。
そして、反射防止膜3の上に防汚層4を真空蒸着により形成する。蒸着材料として上述の式(1)で示される組成物を含むフッ素含有有機ケイ素化合物を用いた。
【0031】
(本実施形態の作用効果)
以上、説明した本実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
本実施形態では、反射防止膜3の一部にアモルファスシリコンからなるアモルファスシリコン層37を設けたので、反射防止効果や透明性を損なわずに帯電防止効果を十分に得ることができる。しかも、アモルファスシリコン層37がアモルファスシリコンで形成されるので、むくみの発生がなく耐湿性に優れ、酸やアルカリといった反応性(侵食性)の高い薬品に対しても十分な耐性を発揮することができる。
また、アモルファスシリコン層37の厚みを1nm以上10nm以下としたので、これらの特性(反射防止性、帯電防止性、耐薬品性)をバランスよく効率的に発揮することができる。
【0032】
さらに、本実施形態では、反射防止膜3の表面に防汚層4を積層させた。防汚層4により、反射防止膜3中のアモルファスシリコンが使用環境中の空気あるいは水分と反応して酸化が進行することを防止することができる。これにより、光学多層フィルム10の表面電気抵抗を低く抑えることができ、長期間に渡って十分な帯電防止効果を得ることができる。
特に、防汚層4はフッ素含有有機ケイ素化合物で形成されている。フッ素含有有機ケイ素化合物は分子量が高いので、防汚層4に含まれるフッ素の量が多く、より撥水撥油性を向上させることができ、ごみの付着を防止することができる。
【0033】
(変形例)
なお、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
上記実施形態では、反射防止膜3が8層構成されているが、これに限定されるものではなく、所望の光学特性に応じて適宜積層させればよい。
また、上記実施形態では、低屈折率層である第8層38と高屈折率層である第6層36との間にアモルファスシリコン層37が設けられたが、アモルファスシリコン層37は反射防止膜3のいずれの位置に設けられてもよい。ただし、反射防止膜3の最表層には低屈折率層を設けることが好ましい。
さらに、アモルファスシリコン層37は反射防止膜3の高屈折率層の一部として設けられてもよい。例えば、最表層から順次、低屈折率層、アモルファスシリコン層37、低屈折率層、高屈折率層・・・という構成にすることもできる。この場合、アモルファスシリコン層37が高屈折率層として機能するため、アモルファスシリコン層37の550nmにおける屈折率は、1.7以上であることが好ましい。
【実施例】
【0034】
次に、本発明の実施例について説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0035】
<試験1>
〔実施例1〜7〕
まず、基材フィルムであるPETフィルムにハードコート層を形成した。
ハードコート層としては、本来の機能である耐擦傷性を向上するものであれば特に限定されない。ハードコート層に使用される材料として、例えば、メラミン系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられるが、シリコーン系樹脂を用いたハードコート層が最も好ましい。例えば、金属酸化物微粒子、シラン化合物からなるコーティング組成物を塗布し硬化させてハードコート層を設ける。このコーティング組成物にはコロイダルシリカ、および多官能ポキシ化合物等の成分が含まれていてもよい。金属酸化物微粒子の具体例としてはSiO2、Al2O3、SnO2、Sb2O5,Ta2O5、CeO2、La2O3、Fe2O3、ZnO、WO3、ZrO2、In2O3、TiO2等の金属酸化物からなる微粒子または2種以上の金属の金属酸化物からなる複合微粒子を、分散媒たとえば水、アルコール系もしくはその他の有機溶媒にコロイド状に分散させたものがあげられる。
このようなハードコート層を形成する方法としては、ディッピング法、スピンナー法、スプレー法、フロー法により、ハードコート層の組成物を塗布した後、40〜200℃の温度で数時間加熱乾燥する。
次に、前述の電子ビーム蒸着装置を用いて、ハードコート層の上に反射防止膜を形成した。反射防止膜の各層の膜厚構成を以下の表1に示す。各層の成膜条件は以下の通りである。なお、膜厚の測定は、光学式の膜厚計を用いて成膜時に実施した。
【0036】
(低屈折率層の成膜条件)
蒸着材料として顆粒状のSiO2を用いた。イオンアシストを行わず、真空蒸着により第1層、第3層、第5層および第8層を低屈折率層(SiO2層)として成膜した。成膜レートは、2.0nm/secであった。
(高屈折率層の成膜条件)
蒸着材料として顆粒状のTiO2を用いた。酸素ガスを導入しながらイオンアシスト蒸着を行って、第2層、第4層および第6層を高屈折率層(TiO2層)として成膜した。成膜レートは、0.4nm/secであった。
(アモルファスシリコン層の成膜条件)
第7層をアモルファスシリコン層として成膜した。
蒸着材料として顆粒状のSiを用いた。イオンアシストを行わず、真空蒸着により成膜した。成膜レートは、0.1nm/secであった。
【0037】
そして、反射防止膜の表面に防汚層を真空蒸着により形成した。蒸着材料として上述の式(1)で表される組成物を含有する、ダイキン工業株式会社製のフッ素含有有機ケイ素化合物(製品名「オプツールDSX」)を用いた。具体的には、オプツールDSXを、フッ素系溶剤(ダイキン工業株式会社製、製品名「デムナムソルベント」)に希釈して固形部濃度3%を調整し、これを多孔質セラミックス製のペレットに1g含浸させ乾燥させたものを蒸発源として使用した。蒸着は、ハロゲンランプを用いて蒸発源のペレットを630℃に加熱することにより行った。なお、蒸着時間は3分であった。
【0038】
〔比較例1〕
第7層を設けないこと以外は、実施例1と同様の層構成とした。
〔比較例2〜7〕
第7層をITO層としたこと以外は、実施例1と同様の層構成とした。
【0039】
実施例1〜7および比較例1〜7の反射防止膜の構成を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
実施例1〜7および比較例1〜7について、帯電防止性、耐薬品性、耐湿性の評価を行った。評価方法は以下の通りである。
【0042】
(帯電防止性)
光学多層フィルムの表面電気抵抗を、三菱ケミカル社製の測定機器(製品名「ハイレスターUP MCP−HT45」)を用いて測定した。具体的には、光学多層フィルムの表面に金属電極を当接させ、電極間に1kVの電圧を印加し、このときの電気抵抗値を測定した。この表面電気抵抗は帯電防止性の目安となり、1×1011Ω以下であれば帯電防止性が認められ、1×1010Ω以下であればかなり優れた帯電防止性を有していると言える。測定結果を図2に示す。また、この測定値に基づいた評価基準は以下の通りである。
◎:表面電気抵抗が1×1010Ω以下。
○:表面電気抵抗が1×1011Ω以下。
×:表面電気抵抗が1×1011Ωを越える。
【0043】
(耐薬品性)
以下のようにして光学多層フィルムの表面に傷をつけ、その後、薬液浸漬を行った。そして、処理後の光学多層フィルムについて反射防止膜の剥離(膜剥がれ)の有無を観察して以下の基準により耐薬品性を評価した。評価結果を表2に示す。
○:反射防止膜の剥離がない。
×:反射防止膜の剥離がある。
【0044】
(1)擦傷方法
図2(A),(B)に示すように評価用の光学多層膜フィルム10をドラム52の内壁に4つ貼り付け、擦傷用として不織布53とオガクズ54を入れる。そして、蓋をした後、図3に示すようにドラム管52を30rpmで30分間回転させる。
(2)薬液浸漬方法
人の汗を模した薬液(純水に乳酸50g/L、塩を100g/L溶解した溶液)を50℃に保持しながら、(1)の工程後の光学多層膜フィルムを100時間浸漬する。
【0045】
(耐湿性)
光学多層フィルムを恒温恒湿度(60℃、98%RH)の環境下で8日間放置し、むくみの発生の有無を以下の方法により判定した。
光学多層フィルムの表面における蛍光灯の反射光を観察する。反射光の像の輪郭がくっきりと明瞭に観察できる場合は「むくみ無し:○」と判定し、反射光の像の輪郭がぼやけているまたはかすれて観察できる場合は「むくみ有り:×」と判定する。評価結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
(評価結果)
図4に示すように、アモルファスシリコン層を設けた実施例1〜7では、表面電気抵抗が小さく、優れた帯電防止性を発揮している。また、表2に示すように、耐薬品性および耐湿性にも優れている。
一方、アモルファスシリコン層を有しない比較例1では、帯電防止性が得られない。
また、アモルファスシリコン層の代わりにITO層を有する比較例2〜7では、アモルファスシリコン層を有する実施例1〜7に比べて表面電気抵抗が大きく、十分な帯電防止性が得られていない。さらに、耐薬品性が良好でない。特に、比較例6および7ではむくみが発生し、耐湿性が十分でない。
【0048】
<試験2>
上述の実施例1〜7の光学多層フィルムの光学特性に変化がないことを確認するために、分光反射率を測定し、図5に示す分光反射率曲線を得た。図5に示されるように、実施例1〜7と、比較例1とを比較すると、アモルファスシリコン層の厚みが大きくなっても反射率に関して大きな差はなく、光学特性に問題ないことを確認できた。
【0049】
<試験3>
次に、実施例4および以下の比較例8の光学多層フィルムについて、作製直後と作製後14日経過した後の表面電気抵抗を、三菱ケミカル社製の測定機器(製品名「ハイレスターUP MCP−HT45」)を用いて測定した。測定結果を図6に示す。
〔比較例8〕
実施例4の光学多層フィルムの防汚層が積層されていないものを用いた。
【0050】
図6に示すように、防汚層が反射防止膜の表面に形成されている実施例4では、14日経過後であっても、表面電気抵抗が維持されている。すなわち、帯電防止効果を長期間に渡って維持することができる。
一方、比較例8では、14日経過後の表面電気抵抗が作製直後の表面電気抵抗に比べて格段に大きくなっている。すなわち、時間が経過するにしたがって帯電防止効果が失われている。
これは、反射防止膜に含まれるアモルファスシリコン層のアモルファスシリコンが、使用環境中の空気(酸素や水分)と反応して徐々に酸化が進行し、表面電気抵抗が上昇しているためである。したがって、反射防止膜の表面に防汚層を積層することで、より長期間に渡って帯電防止効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、帯電防止性および耐薬品性に優れた光学多層フィルムおよびその製造方法であり、CRTや液晶表示装置やPDP等の光学表示装置の分野で好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1…基材フィルム、2…ハードコート層、3…反射防止膜、37…アモルファスシリコン層、4…防汚層、10…光学多層フィルム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学多層フィルムおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CRT、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル(PDP)等の光学表示装置において、表示画面上への外光の写りこみによって画像を認識しづらくなるという問題があったため、可視光領域の光に対して反射率の低い(反射防止効果)反射防止積層体を光学表示装置の表示画面上に設けることが行われている。
また、反射防止積層体に導電性を持たせることにより、静電気の発生を抑制(帯電防止効果)して表面にほこり等のゴミが付着することを防止したり、PDP等の光学表示装置から発生する不要電磁波をシールドしたりすることができる。
これらの反射防止性および帯電防止性を備えた光学機能性フィルターが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の光学機能性フィルターは、高屈折率透明薄膜層と金属薄膜層とが交互に設けられた反射防止積層体を有しており、高屈折率透明薄膜層の材料として特に酸化インジウムと酸化錫との混合物(ITO)が好適に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−184849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ITOは、透明性と導電性には優れているものの、酸やアルカリなどの薬品により侵されやすいという問題がある。例えば、人の汗は塩分を含んだ酸であり、この汗により、ITOが侵食されることもある。また、ITOはむくみが発生しやすく、耐湿性が不十分だという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、反射防止性、帯電防止性、耐薬品性および耐湿性に優れる光学多層フィルムおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光学多層フィルムは、透明な基材フィルムの表面に低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層されてなる反射防止膜を備えた光学多層フィルムであって、前記反射防止膜には、アモルファスシリコン層が含まれていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、反射防止膜にアモルファスシリコン層が含まれているので、帯電防止効果を発揮することができる。また、反射防止膜に含まれるアモルファスシリコン層は、反射防止膜の透明性や反射防止性を阻害することも少ない。さらに、アモルファスシリコン層は、酸やアルカリのような侵食性物質に対する耐久性に優れるとともに、むくみが発生しにくく耐湿性に優れている。
したがって、帯電防止性、反射防止性、耐薬品性および耐湿性に優れる光学多層フィルムを提供することができる。
【0008】
なお、反射防止膜を構成する低屈折率層がSiO2層である場合には、アモルファスシリコン層の主成分が同じSiであることより不純物とならず、また層間密着性にも優れる。また、アモルファスシリコン層が経時変化により酸化物となってもSiO2になるだけであり、光学的、品質的に問題を生じない。
【0009】
本発明の光学多層フィルムにおいて、前記アモルファスシリコン層の総厚みが1nm以上10nm以下であることが好ましい。
ここで、アモルファスシリコン層は1層(単層)である必要はなく、複数層で構成されていてもよい。
アモルファスシリコン層の総厚みが1nm以上であるので、十分な導電性を発揮することができる。また、アモルファスシリコン層の総厚みが10nm以下であるので、反射防止効果に悪影響を与えることもない。なお、アモルファスシリコン層の総厚みのより好ましい範囲は、2nm以上10nm以下である。
【0010】
本発明の光学多層フィルムにおいて、前記反射防止膜の上面に、防汚層が設けられたことが好ましい。
本発明によれば、反射防止膜に含まれるアモルファスシリコン層のアモルファスシリコンが使用環境中で酸化されることを防止することができる。このため、光学多層フィルムの優れた帯電防止効果を長期間持続させることができる。
【0011】
本発明の光学多層フィルムにおいて、表面電気抵抗が1×1011Ω以下であることが好ましい。
本発明によれば、光学多層フィルムの表面電気抵抗が1×1011Ω以下であるので、十分な帯電防止効果を期待できる。なお、表面電気抵抗のより好ましい範囲は1×1010Ω以下である。
【0012】
本発明の光学多層フィルムにおいて、550nmの波長における前記アモルファスシリコン層の屈折率が1.7以上であることが好ましい。
本発明によれば、アモルファスシリコン層の屈折率が1.7以上であるので、アモルファスシリコン層を構成する物質の導電性が高くなる。すなわち、帯電防止性に優れた光学多層フィルムを提供することができる。また、導電層の屈折率を高くして反射防止膜の中の高屈折率層の屈折率に近づけることにより、高屈折率層としての役割を持たせることも可能となる。
【0013】
本発明の光学多層フィルムにおいて、前記基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレートで形成されることが好ましい。
本発明によれば、反射防止性および帯電防止性に優れるとともに酸やアルカリなどの薬品に侵されにくいポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを提供することができる。このようなPETフィルムは、CRT(Cathode Ray Tube、ブラウン管)、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル(PDP)等の光学表示装置の表示画面上に設けられる。
【0014】
本発明の光学多層フィルムの製造方法は、基材フィルム上に反射防止膜を形成する光学多層フィルムの製造方法であって、前記反射防止膜を真空蒸着にて前記基材フィルムの表面に形成することを特徴とする。
【0015】
本発明の製造方法によれば、内部に含まれるアモルファスシリコン層を含めて真空蒸着により反射防止膜を形成するので、簡易な装置と方法により上述した効果を奏する光学多層フィルムを製造することができる。また、低屈折率層がSiO2層である場合は、真空蒸着機内に材料としてのSi粒を共通に用いることができるので、アモルファスシリコン層の成膜が非常に簡便である。SiO2層をSiO2粒を用いて成膜する場合であっても、材料としてのSi粒を別途用意するだけでよいので簡便である。
なお、本発明におけるアモルファスシリコン層を成膜する際、残留ガスとして酸素、水、水素等が含まれることがある。したがって、アモルファスシリコン層は、残留ガスとの反応により若干の酸化あるいは水素を含有したアモルファスシリコンになっている場合がある。また、アモルファスシリコン層を成膜する際、チャンバー内に酸素を導入して成膜する場合がある。この際にアモルファスシリコン層表面が酸化反応することもある。また、アモルファスシリコン層はTiO2層やSiO2層などの酸化物層に挟まれていることもある。そのために多層膜界面の酸素拡散により、アモルファスシリコン層が若干酸化されることもあり得る。このように、若干の酸化あるいは水素を含有したアモルファスシリコンになっている場合でも、本発明の上述の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の光学多層フィルムの構成を示す断面図。
【図2】本実施例における耐薬品性試験を行うためにフィルム表面に傷を付与するための装置を示す概略図。
【図3】前記フィルム表面に傷を付与するための装置の運転状態を示す概略図。
【図4】本実施例におけるアモルファスシリコン層の各厚みにおける表面電気抵抗を示すグラフ。
【図5】本実施例におけるアモルファスシリコン層の各厚みにおける反射率を示すグラフ。
【図6】本実施例における防汚層の有無による表面電気抵抗を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、本発明はこの実施形態によって何等限定されるものではない。
(光学多層フィルムの構成)
図1は、本発明にかかる光学多層フィルム10の構成を模式的に示す図である。光学多層フィルム10は、光を透過させるための基材フィルム1と、基材フィルム1の上面にハードコート層2と複数層からなる反射防止膜3と、防汚層4と、を備えて構成される。
【0018】
基材フィルム1は、PETフィルムである。PETフィルムは、CRT、液晶表示装置、PDP等の光学表示装置など各種用途に用いられる。
ハードコート層2は、耐擦傷性を向上させる機能を有する。ハードコート層2に使用される材料として、メラミン系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられるが、シリコーン系樹脂を用いたハードコート層が最も好ましい。例えば、金属酸化物微粒子、シラン化合物からなるコーティング組成物を塗布し硬化させてハードコート層2を設ける。このコーティング組成物にはコロイダルシリカおよび多官能性エポキシ化合物等の成分が含まれていてもよい。
金属酸化物微粒子としては、SiO2、Al2O3、SnO2、Sb2O5、Ta2O5、CeO2、La2O3、Fe2O3、ZnO、WO3、ZrO2、In2O3、TiO2等の金属酸化物からなる微粒子または2種以上の金属酸化物からなる複合微粒子を、分散媒、例えば水、アルコール系またはその他の有機溶媒にコロイド状に分散させたものが挙げられる。
このようなハードコート層2は、ディッピング法、スピンナー法、スプレー法、フロー法等により上述の組成物を塗布した後、40℃以上200℃以下の温度で数時間加熱乾燥することにより形成される。
【0019】
反射防止膜3は、可視光領域(550nm)における屈折率が1.3〜1.5である低屈折率層と、屈折率が1.8〜2.60である高屈折率層とを交互に積層したものである。この反射防止膜3は、基材フィルム1側から外側に向けて順に配置された第1層31、第2層32、第3層33、第4層34、第5層35、第6層36、第7層であるアモルファスシリコン層37および第8層38から構成され、このうち、第1層31、第3層33、第5層35および第8層38が低屈折率層であり、第2層32、第4層34および第6層36が高屈折率層である。
【0020】
反射防止膜3の低屈折率層および高屈折率層である第1層31、第2層32、第3層33、第4層34、第5層35、第6層36および第8層38に使用される無機物の例としては、SiO2、ZrO2、TiO2、TiO、Ti2O3、Ti2O5、Al2O3、TaO2、Ta2O5、NbO、Nb2O3、NbO2、Nb2O5、CeO2、Y2O3、SnO2、MgF2、WO3、HfO2、あるいはこれらの混合物などが挙げられる。これらの無機物は単独で用いるかもしくは2種以上の混合物を用いる。例えば、第1層31、第3層33、第5層35および第8層38をSiO2の層とし、第2層32、第4層34および第6層36をTiO2の層とすることができる。
なお、二酸化ケイ素(SiO2)からなる低屈折率層は、可視光領域の屈折率nが1.40〜1.50である。また、酸化チタン(TiO2)からなる高屈折率層は、可視光領域(550nm)の屈折率が2.10〜2.60である。
【0021】
第7層であるアモルファスシリコン層37に使用される材料としては、いわゆるアモルファスシリコンを用いる。
アモルファスシリコン層37の厚みは、好ましくは1nm以上10nm以下、より好ましくは2nm以上10nm以下の範囲に形成される。アモルファスシリコン層37の厚みが1nm未満であると、帯電防止効果を十分得ることができない。また、アモルファスシリコン層37の厚みが10nmを超えても帯電防止性の向上はさほど望めず、むしろ透明性が悪化するおそれがある。
また、アモルファスシリコン層37は、層全体が連続して形成されていなくてもよく、例えば、不連続な島状に形成された層であってもよい。この場合は、層全体の平均的な厚みが上記の範囲内であればよい。
アモルファスシリコン層37は、前述の高屈折率層の一部として設けられることが好ましい。本実施形態では、第6層36に隣接して設けられ、第6層36の一部として反射防止性にも寄与する。そのため、アモルファスシリコン層37の550nmにおける屈折率は、1.7以上であることが好ましい。
なお、アモルファスシリコン層37は、多層膜である反射防止膜3のどの位置に形成してもよい。望ましくは表面での酸化を防止するために反射防止膜3の最外層とならない位置が望ましい。例えば、高屈折率層36の中にアモルファスシリコン層を形成してもよい。
【0022】
なお、本実施形態は、反射防止膜3が必ずしも8層で構成されるものに限定されるものではなく、例えば、第1層31が基材フィルム1側であり、低屈折率層と高屈折率層とが交互に配置されていれば、他の層構成であってもよい。例えば、第1層、第2層、第3層、第4層、第5層であるアモルファスシリコン層および第6層の6層から構成するものでもよい。
反射防止膜3の各層を形成するには、通常のイオンアシスト(IAD)蒸着法が好適に用いられるが、これ以外にも通常の真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等を用いても良い。
【0023】
防汚層4は、パーフルオロアルキル基を有する分子量が1000〜10000であるフッ素含有有機ケイ素化合物を含んで形成される。
フッ素含有有機ケイ素化合物の分子量が1000未満であると、フッ素含有有機ケイ素化合物中のフッ素量が十分でなく、汚れの拭取り性の向上が難しい。一方分子量が10000を超えると、フッ素量は十分であるものの、反射防止膜3への処理が困難となる。例えば、真空蒸着法において、分子量が大きいゆえに蒸着源から反射防止膜3への飛翔距離が制限されるため、高真空化等の設備的負担が増加する。
フッ素含有有機ケイ素化合物は、以下の一般式(1)および(2)で表される。
【0024】
【化1】
【0025】
上記式(1)中、Rf1はパーフルオロアルキル基、X1は水素、臭素、またはヨウ素、Yは水素または低級アルキル基、Zはフッ素またはトリフルオロメチル基、R1は水酸基または加水分解可能な基、R2は水素または一価の炭化水素を表す。また、a、b、c、d、eは0または1以上の整数で、a+b+c+d+eは少なくとも1以上であり、a、b、c、d、eでくくられた各繰り返し単位の存在順位は、上記式(1)において限定されない。fは0、1または2を表す。gは1,2または3を表す。hは1以上の整数を表す。
【0026】
【化2】
【0027】
上記式(2)中、Rf2は−(CkF2k)O−(kは1〜6の整数)で表される単位を含み、分岐を有しない直鎖状のパーフルオロポリアルキレンエーテル構造を有する二価の基を表す。R3は炭素原子数1〜8の一価の炭化水素基であり、X2は加水分解性基またはハロゲン原子を表す。pは0、1または2を表す。nは1〜5の整数を表す。mおよびrは2または3を表す。
防汚層4を形成するには、通常の真空蒸着、イオンアシスト、イオンプレーティング、スパッタリング等を用いることができる。
【0028】
(光学多層フィルムの製造方法)
次に、光学多層フィルムの製造方法について説明する。
本実施形態では、一般的なイオンアシストを用いた電子ビーム蒸着(いわゆるIAD法)を実施可能な電子ビーム蒸着装置により、ハードコート層2が形成された基材フィルム1の上に反射防止膜3を形成する。
電子ビーム蒸着装置は、図示しないが、基材フィルム1を載置可能な支持台と蒸着材料を充填するるつぼと電子ビームとイオン銃とを備えた真空蒸着チャンバーを有している。
具体的には、基材フィルム1を真空蒸着チャンバー内に配置した後、真空蒸着チャンバー内の下部に蒸着材料を充填したるつぼを配置し、電子ビームにより蒸着材料を蒸発させる。蒸着材料として、TiO2成膜用にはTiOY粒(0≦Y≦2)、SiO2成膜用にはSiO2粒またはSi粒、アモルファスシリコン成膜用にはSi粒がそれぞれ好ましく用いられる。同時にイオン銃によりイオン化した酸素を加速照射することにより、基材フィルム1の表面に形成されたハードコート層2の上に蒸着材料を蒸着させる。
【0029】
ここで、高屈折率層を構成する第2層32、第4層34、第6層36を形成するにあたり、その成膜条件は、電子ビームにより加速電圧が5〜10kV、電流値が50〜500mAでるつぼ内の蒸着材料を加熱蒸発させ薄膜を形成させる。成膜中はイオン銃にて加速電圧は200〜1000V、電流値100〜500mAでイオンアシストを実施する。
低屈折率層となる第1層31、第3層33、第5層35、第8層38およびアモルファスシリコン層37を形成するためには、電子ビームにより加速電圧が5〜10kV、電流値が50〜500mAでるつぼ内の蒸着材料を加熱蒸発させ薄膜を形成させる。ここではイオンアシストは実施していないが、高屈折率層を構成したときと同じようにイオンアシストを適時実施してもよい。
【0030】
各層は、膜厚を測定しながら形成され、所望の膜厚になった時点で蒸着を停止する。以上のようにして各層が形成され、反射防止膜3となる。
そして、反射防止膜3の上に防汚層4を真空蒸着により形成する。蒸着材料として上述の式(1)で示される組成物を含むフッ素含有有機ケイ素化合物を用いた。
【0031】
(本実施形態の作用効果)
以上、説明した本実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
本実施形態では、反射防止膜3の一部にアモルファスシリコンからなるアモルファスシリコン層37を設けたので、反射防止効果や透明性を損なわずに帯電防止効果を十分に得ることができる。しかも、アモルファスシリコン層37がアモルファスシリコンで形成されるので、むくみの発生がなく耐湿性に優れ、酸やアルカリといった反応性(侵食性)の高い薬品に対しても十分な耐性を発揮することができる。
また、アモルファスシリコン層37の厚みを1nm以上10nm以下としたので、これらの特性(反射防止性、帯電防止性、耐薬品性)をバランスよく効率的に発揮することができる。
【0032】
さらに、本実施形態では、反射防止膜3の表面に防汚層4を積層させた。防汚層4により、反射防止膜3中のアモルファスシリコンが使用環境中の空気あるいは水分と反応して酸化が進行することを防止することができる。これにより、光学多層フィルム10の表面電気抵抗を低く抑えることができ、長期間に渡って十分な帯電防止効果を得ることができる。
特に、防汚層4はフッ素含有有機ケイ素化合物で形成されている。フッ素含有有機ケイ素化合物は分子量が高いので、防汚層4に含まれるフッ素の量が多く、より撥水撥油性を向上させることができ、ごみの付着を防止することができる。
【0033】
(変形例)
なお、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
上記実施形態では、反射防止膜3が8層構成されているが、これに限定されるものではなく、所望の光学特性に応じて適宜積層させればよい。
また、上記実施形態では、低屈折率層である第8層38と高屈折率層である第6層36との間にアモルファスシリコン層37が設けられたが、アモルファスシリコン層37は反射防止膜3のいずれの位置に設けられてもよい。ただし、反射防止膜3の最表層には低屈折率層を設けることが好ましい。
さらに、アモルファスシリコン層37は反射防止膜3の高屈折率層の一部として設けられてもよい。例えば、最表層から順次、低屈折率層、アモルファスシリコン層37、低屈折率層、高屈折率層・・・という構成にすることもできる。この場合、アモルファスシリコン層37が高屈折率層として機能するため、アモルファスシリコン層37の550nmにおける屈折率は、1.7以上であることが好ましい。
【実施例】
【0034】
次に、本発明の実施例について説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0035】
<試験1>
〔実施例1〜7〕
まず、基材フィルムであるPETフィルムにハードコート層を形成した。
ハードコート層としては、本来の機能である耐擦傷性を向上するものであれば特に限定されない。ハードコート層に使用される材料として、例えば、メラミン系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられるが、シリコーン系樹脂を用いたハードコート層が最も好ましい。例えば、金属酸化物微粒子、シラン化合物からなるコーティング組成物を塗布し硬化させてハードコート層を設ける。このコーティング組成物にはコロイダルシリカ、および多官能ポキシ化合物等の成分が含まれていてもよい。金属酸化物微粒子の具体例としてはSiO2、Al2O3、SnO2、Sb2O5,Ta2O5、CeO2、La2O3、Fe2O3、ZnO、WO3、ZrO2、In2O3、TiO2等の金属酸化物からなる微粒子または2種以上の金属の金属酸化物からなる複合微粒子を、分散媒たとえば水、アルコール系もしくはその他の有機溶媒にコロイド状に分散させたものがあげられる。
このようなハードコート層を形成する方法としては、ディッピング法、スピンナー法、スプレー法、フロー法により、ハードコート層の組成物を塗布した後、40〜200℃の温度で数時間加熱乾燥する。
次に、前述の電子ビーム蒸着装置を用いて、ハードコート層の上に反射防止膜を形成した。反射防止膜の各層の膜厚構成を以下の表1に示す。各層の成膜条件は以下の通りである。なお、膜厚の測定は、光学式の膜厚計を用いて成膜時に実施した。
【0036】
(低屈折率層の成膜条件)
蒸着材料として顆粒状のSiO2を用いた。イオンアシストを行わず、真空蒸着により第1層、第3層、第5層および第8層を低屈折率層(SiO2層)として成膜した。成膜レートは、2.0nm/secであった。
(高屈折率層の成膜条件)
蒸着材料として顆粒状のTiO2を用いた。酸素ガスを導入しながらイオンアシスト蒸着を行って、第2層、第4層および第6層を高屈折率層(TiO2層)として成膜した。成膜レートは、0.4nm/secであった。
(アモルファスシリコン層の成膜条件)
第7層をアモルファスシリコン層として成膜した。
蒸着材料として顆粒状のSiを用いた。イオンアシストを行わず、真空蒸着により成膜した。成膜レートは、0.1nm/secであった。
【0037】
そして、反射防止膜の表面に防汚層を真空蒸着により形成した。蒸着材料として上述の式(1)で表される組成物を含有する、ダイキン工業株式会社製のフッ素含有有機ケイ素化合物(製品名「オプツールDSX」)を用いた。具体的には、オプツールDSXを、フッ素系溶剤(ダイキン工業株式会社製、製品名「デムナムソルベント」)に希釈して固形部濃度3%を調整し、これを多孔質セラミックス製のペレットに1g含浸させ乾燥させたものを蒸発源として使用した。蒸着は、ハロゲンランプを用いて蒸発源のペレットを630℃に加熱することにより行った。なお、蒸着時間は3分であった。
【0038】
〔比較例1〕
第7層を設けないこと以外は、実施例1と同様の層構成とした。
〔比較例2〜7〕
第7層をITO層としたこと以外は、実施例1と同様の層構成とした。
【0039】
実施例1〜7および比較例1〜7の反射防止膜の構成を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
実施例1〜7および比較例1〜7について、帯電防止性、耐薬品性、耐湿性の評価を行った。評価方法は以下の通りである。
【0042】
(帯電防止性)
光学多層フィルムの表面電気抵抗を、三菱ケミカル社製の測定機器(製品名「ハイレスターUP MCP−HT45」)を用いて測定した。具体的には、光学多層フィルムの表面に金属電極を当接させ、電極間に1kVの電圧を印加し、このときの電気抵抗値を測定した。この表面電気抵抗は帯電防止性の目安となり、1×1011Ω以下であれば帯電防止性が認められ、1×1010Ω以下であればかなり優れた帯電防止性を有していると言える。測定結果を図2に示す。また、この測定値に基づいた評価基準は以下の通りである。
◎:表面電気抵抗が1×1010Ω以下。
○:表面電気抵抗が1×1011Ω以下。
×:表面電気抵抗が1×1011Ωを越える。
【0043】
(耐薬品性)
以下のようにして光学多層フィルムの表面に傷をつけ、その後、薬液浸漬を行った。そして、処理後の光学多層フィルムについて反射防止膜の剥離(膜剥がれ)の有無を観察して以下の基準により耐薬品性を評価した。評価結果を表2に示す。
○:反射防止膜の剥離がない。
×:反射防止膜の剥離がある。
【0044】
(1)擦傷方法
図2(A),(B)に示すように評価用の光学多層膜フィルム10をドラム52の内壁に4つ貼り付け、擦傷用として不織布53とオガクズ54を入れる。そして、蓋をした後、図3に示すようにドラム管52を30rpmで30分間回転させる。
(2)薬液浸漬方法
人の汗を模した薬液(純水に乳酸50g/L、塩を100g/L溶解した溶液)を50℃に保持しながら、(1)の工程後の光学多層膜フィルムを100時間浸漬する。
【0045】
(耐湿性)
光学多層フィルムを恒温恒湿度(60℃、98%RH)の環境下で8日間放置し、むくみの発生の有無を以下の方法により判定した。
光学多層フィルムの表面における蛍光灯の反射光を観察する。反射光の像の輪郭がくっきりと明瞭に観察できる場合は「むくみ無し:○」と判定し、反射光の像の輪郭がぼやけているまたはかすれて観察できる場合は「むくみ有り:×」と判定する。評価結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
(評価結果)
図4に示すように、アモルファスシリコン層を設けた実施例1〜7では、表面電気抵抗が小さく、優れた帯電防止性を発揮している。また、表2に示すように、耐薬品性および耐湿性にも優れている。
一方、アモルファスシリコン層を有しない比較例1では、帯電防止性が得られない。
また、アモルファスシリコン層の代わりにITO層を有する比較例2〜7では、アモルファスシリコン層を有する実施例1〜7に比べて表面電気抵抗が大きく、十分な帯電防止性が得られていない。さらに、耐薬品性が良好でない。特に、比較例6および7ではむくみが発生し、耐湿性が十分でない。
【0048】
<試験2>
上述の実施例1〜7の光学多層フィルムの光学特性に変化がないことを確認するために、分光反射率を測定し、図5に示す分光反射率曲線を得た。図5に示されるように、実施例1〜7と、比較例1とを比較すると、アモルファスシリコン層の厚みが大きくなっても反射率に関して大きな差はなく、光学特性に問題ないことを確認できた。
【0049】
<試験3>
次に、実施例4および以下の比較例8の光学多層フィルムについて、作製直後と作製後14日経過した後の表面電気抵抗を、三菱ケミカル社製の測定機器(製品名「ハイレスターUP MCP−HT45」)を用いて測定した。測定結果を図6に示す。
〔比較例8〕
実施例4の光学多層フィルムの防汚層が積層されていないものを用いた。
【0050】
図6に示すように、防汚層が反射防止膜の表面に形成されている実施例4では、14日経過後であっても、表面電気抵抗が維持されている。すなわち、帯電防止効果を長期間に渡って維持することができる。
一方、比較例8では、14日経過後の表面電気抵抗が作製直後の表面電気抵抗に比べて格段に大きくなっている。すなわち、時間が経過するにしたがって帯電防止効果が失われている。
これは、反射防止膜に含まれるアモルファスシリコン層のアモルファスシリコンが、使用環境中の空気(酸素や水分)と反応して徐々に酸化が進行し、表面電気抵抗が上昇しているためである。したがって、反射防止膜の表面に防汚層を積層することで、より長期間に渡って帯電防止効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、帯電防止性および耐薬品性に優れた光学多層フィルムおよびその製造方法であり、CRTや液晶表示装置やPDP等の光学表示装置の分野で好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1…基材フィルム、2…ハードコート層、3…反射防止膜、37…アモルファスシリコン層、4…防汚層、10…光学多層フィルム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な基材フィルムの表面に低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層されてなる反射防止膜を備えた光学多層フィルムであって、
前記反射防止膜には、アモルファスシリコン層が含まれている
ことを特徴とする光学多層フィルム。
【請求項2】
請求項1に記載の光学多層フィルムにおいて、
前記アモルファスシリコン層の総厚みが1nm以上10nm以下である
ことを特徴とする光学多層フィルム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光学多層フィルムにおいて、
前記反射防止膜の上面に、防汚層が設けられた
ことを特徴とする光学多層フィルム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の光学多層フィルムにおいて、
表面電気抵抗が1×1011Ω以下である
ことを特徴とする光学多層フィルム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の光学多層フィルムにおいて、
550nmの波長における前記アモルファスシリコン層の屈折率が1.7以上である
ことを特徴とする光学多層フィルム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学多層フィルムにおいて、
前記基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレートで形成される
ことを特徴とする光学多層フィルム。
【請求項7】
基材フィルム上に反射防止膜を形成する光学多層フィルムの製造方法であって、
前記反射防止膜を真空蒸着にて前記基材フィルムの表面に形成する
ことを特徴とする光学多層フィルムの製造方法。
【請求項1】
透明な基材フィルムの表面に低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層されてなる反射防止膜を備えた光学多層フィルムであって、
前記反射防止膜には、アモルファスシリコン層が含まれている
ことを特徴とする光学多層フィルム。
【請求項2】
請求項1に記載の光学多層フィルムにおいて、
前記アモルファスシリコン層の総厚みが1nm以上10nm以下である
ことを特徴とする光学多層フィルム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光学多層フィルムにおいて、
前記反射防止膜の上面に、防汚層が設けられた
ことを特徴とする光学多層フィルム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の光学多層フィルムにおいて、
表面電気抵抗が1×1011Ω以下である
ことを特徴とする光学多層フィルム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の光学多層フィルムにおいて、
550nmの波長における前記アモルファスシリコン層の屈折率が1.7以上である
ことを特徴とする光学多層フィルム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学多層フィルムにおいて、
前記基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレートで形成される
ことを特徴とする光学多層フィルム。
【請求項7】
基材フィルム上に反射防止膜を形成する光学多層フィルムの製造方法であって、
前記反射防止膜を真空蒸着にて前記基材フィルムの表面に形成する
ことを特徴とする光学多層フィルムの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2010−210945(P2010−210945A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56917(P2009−56917)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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