説明

光学式ガス計測装置および光学式ガス計測方法

【課題】より高い精度でガスを分析することができること。
【解決手段】測定対象ガスに含まれる複数の成分を分析する光学式ガス計測装置である。光学式ガス計測装置は、測定対象の成分毎に使用するレーザ光を切り替え、計測セルを通過する測定レーザ光と計測セルを通過しない参照レーザ光に分割して使用することで差分信号を検出する。受光手段で受光した測定レーザ光の強度と参照レーザ光の強度との差分信号を生成する信号処理手段は、測定レーザ光の強度と参照レーザ光の強度との差分を検出する検出感度が異なる差分検出器を複数備え、計測セルに入射させるレーザ光の波長に応じて、解析装置に差分信号を入力する差分検出器を切り替えることで、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象のガスにレーザ光を照射してガスに含まれる複数の成分を分析する光学式ガス計測装置および光学式ガス計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
管路内を流れるガス(気体)に含まれる複数の成分を分析する方法として、管路内を流れるガスにレーザ光を照射して分析する方法がある。例えば、本件出願人が出願した特許文献1には、内燃機関から排出される排ガスの流通する排気経路中にレーザ光を照射し、排ガスを透過したレーザ光に基づいて、前記排ガスを分析する排ガス分析装置が記載されている。排ガス分析装置は、排ガスの成分に合わせた吸収波長を有する複数のレーザ光を発生させるレーザ光発生部と、該レーザ光発生部で発生させた複数のレーザ光をそれぞれ信号用レーザ光と参照用レーザ光に分波する分波部と、該分波部で分波された各信号用レーザ光を単一の信号用レーザ光に合波する信号用合波部と、分波部で分波された各参照用レーザ光を単一の参照用レーザ光に合波する参照用合波部と、排気経路に単一の信号用レーザ光を照射する照射部および排気経路を通過した単一の信号用レーザ光を受光する受光部を備えるセンサ部と、センサ部で検出したレーザ光の光強度と単一の参照用レーザ光の光強度の差分から各成分を算出するパーソナルコンピュータと、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4490333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の排ガス分析装置は、排ガス、つまり配管を流れる測定対象のガスの各成分に対応するレーザ光を用い、当該レーザ光を排気経路、つまり測定対象のガスが流通する管路に入射させる測定光と、管路を通過しない参照光とに分岐し、管路を通過した測定光と管路を通過しない参照光との差分を検出することで、測定対象の成分を分析することができる。また、特許文献1に記載の排ガス分析装置は、測定対象のガスの各成分に対応する複数のレーザ光を合波し1つの測定経路とすることで、装置構成を簡単にすることができ、装置を安価にすることができる。ここで、特許文献1に記載の排ガス分析装置は、測定対象のガスの各成分を計測することができるが、計測精度が低い成分が生じる場合がある。
【0005】
例えば、特許文献1に記載の排ガス分析装置は、計測対象の成分(化学種)の中で、他の成分に比べて、特に強い光吸収量を示す成分(例えば、排気ガスではHO)があると、その光吸収量の計測値で差分検出器が飽和し、他の成分(化学種)の光吸収量の計測値が低く抑えられ、その成分の計測感度が低くなってしまう。つまり、排ガス分析装置は、強い光吸収量の成分を検出するための差分検出器を用いると、弱い光吸収量の検出感度が低くなってしまう。ここで、光吸収量は、濃度×成分の固有の吸収強度で決まる。このため、測定対象のガスに含まれる濃度が同じでも成分の固有の吸収強度が他の成分よりも大きいと光吸収量が他の成分より強くなり、成分の固有の吸収強度が同程度でも測定対象のガスに含まれる濃度が他の成分よりも高いと光吸収量が他の成分より強くなる。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、より高い精度で測定対象のガスに含まれる複数種類の物質を分析することができる光学式ガス分析装置及びガス分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、測定対象ガスに含まれる複数の成分を分析する光学式ガス計測装置であって、測定対象ガスが流れる計測セルと、前記ガスの測定対象の複数の成分に対応する波長を含む複数のレーザ光を切り替えて出力でき、出力したレーザ光を測定レーザ光と参照レーザ光に分岐する発光部ユニット、前記測定レーザ光を前記計測セルに入射させる測定光光学系および前記参照レーザ光を案内する参照光光学系を備える発光手段と、前記発光手段の動作を制御し、測定を行う測定対象の成分に対応する波長のレーザ光を選択し、選択した前記レーザ光を前記計測セルに入射させ、当該測定対象の成分の計測が終了した後、次に測定を行う測定対象の成分に対応する波長のレーザ光を選択し、選択した前記レーザ光を前記計測セルに入射させる発光制御手段と、前記計測セルを通過した前記測定レーザ光を受光する第1受光装置および前記参照光光学系で案内された前記参照レーザ光を受光する第2受光装置を備える受光手段と、前記受光手段で受光した前記測定レーザ光の強度と前記参照レーザ光の強度との差分信号を生成する信号処理手段と、前記信号処理手段で生成された信号に基づいて測定対象の成分を分析する解析装置と、を備え、前記信号処理手段は、前記測定レーザ光の強度と前記参照レーザ光の強度との差分を検出する検出感度が異なる差分検出器を複数備え、前記計測セルに入射させるレーザ光の波長に応じて、前記解析装置に差分信号を入力する前記差分検出器を切り替えることを特徴とする。
【0008】
また、前記発光部ユニットは、前記ガスの測定対象の成分に対応する波長を含むレーザ光を射出する発光部、前記発光部から射出されたレーザ光を測定レーザ光と参照レーザ光に分岐部する分波器および前記分波器で分波された測定レーザ光と前記参照レーザ光とをそれぞれ案内する発光部光学系を備え、それぞれ異なる成分に対応する波長を含むレーザ光を射出させる複数の発光部ユニットと、複数の前記発光部ユニットの前記測定レーザ光を合波する第1合波器と、複数の前記発光部ユニットの前記参照レーザ光を合波する第2合波器とを備え、前記測定光光学系は、前記第1合波器で合波された前記測定レーザ光を前記計測セルに入射させ、前記参照光光学系は、前記第2合波器で合波された前記参照レーザ光を案内し、前記発光制御手段は、レーザ光を出力させる前記発光部ユニットを時間毎に切り替え、1つの前記発光部ユニットから出力されたレーザ光を前記計測セルに入射させ、前記信号処理手段は、前記計測セルに入射させるレーザ光を出力する前記発光部ユニットに応じて、前記解析装置に出力する差分信号を検出する前記差分検出器を切り替えることが好ましい。
【0009】
また、前記信号処理手段は、前記第1受光装置から出力される受光信号を入力する前記差分検出器を切り替える第1信号切替装置と、前記第2受光装置から出力される受光信号を入力する前記差分検出器を切り替える第2信号切替装置と、を備え、前記第1信号切替装置と前記第2信号切替装置とが受光信号を入力する前記差分検出器を切り替えることで、前記解析装置に差分信号を入力する前記差分検出器を切り替えることが好ましい。
【0010】
また、前記信号処理手段は、複数の前記差分検出器から出力される差分信号のうち、前記解析装置に入力する差分信号を切り替える信号切替装置を有することが好ましい。
【0011】
また、前記解析装置は、それぞれのガス種類の前記差分信号の大きさに基づいて、それぞれのガス種類の分析時に使用する差分信号を出力する前記差分検出器を決定し、前記信号処理手段の動作を制御することが好ましい。
【0012】
また、前記信号処理手段は、計測開始時の計測では、検出感度がより低い差分検出器から出力される差分信号を前記解析装置に出力することが好ましい。
【0013】
また、前記信号処理手段は、前記差分検出器の感度と、当該差分検出器と感度が隣接している前記差分検出器の感度と、の差が5倍以上20倍以下であることが好ましい。
【0014】
また、前記信号処理手段は、前記差分検出器を2つ備えていることが好ましい。
【0015】
また、前記発光制御手段は、測定を行う測定対象の成分に対応する波長のレーザ光を、前記測定対象の成分に対応する波長を含む範囲で掃引させて前記発光部ユニットから出力させることが好ましい。
【0016】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、測定対象ガスが流れる計測セルと、前記ガスの測定対象の複数の成分に対応する波長を含む複数のレーザ光を切り替えて出力でき、出力したレーザ光を測定レーザ光と参照レーザ光に分岐する発光部ユニット、前記測定レーザ光を前記計測セルに入射させる測定光光学系および前記参照レーザ光を案内する参照光光学系を備える発光手段と、前記発光手段の動作を制御し、測定を行う測定対象の成分に対応する波長のレーザ光を選択し、選択した前記レーザ光を前記計測セルに入射させ、当該測定対象の成分の計測が終了した後、次に測定を行う測定対象の成分に対応する波長のレーザ光を選択し、選択した前記レーザ光を前記計測セルに入射させる発光制御手段と、前記計測セルを通過した前記測定レーザ光を受光する第1受光装置および前記参照光光学系で案内された前記参照レーザ光を受光する第2受光装置を備える受光手段と、前記受光手段で受光した前記測定レーザ光の強度と前記参照レーザ光の強度との差分信号を生成する信号処理手段と、前記信号処理手段で生成された信号に基づいて測定対象の成分を分析する解析装置と、を備え、前記信号処理手段は、測定レーザ光の強度と前記参照レーザ光の強度との差分を検出する検出感度が異なる差分検出器を複数備える光学式ガス計測装置で測定対象ガスに含まれる複数の成分を分析する光学式ガス計測方法であって、前記計測セルに入射させるレーザ光の波長を検出するステップと、前記検出したレーザ光の波長に基づいて解析装置に差分信号を入力する前記差分検出器を切り替えるステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる光学式ガス計測装置及び光学式ガス計測方法は、より高い精度でガスを分析することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の光学式ガス計測装置の一実施形態であるガス濃度計測装置の一例の概略構成を示す模式図である。
【図2】図2は、第1ドライバから第1LDに供給される電流信号の一例を示す説明図である。
【図3】図3は、計測セルに入射するレーザ光の強度と時間の関係の一例を示す説明図である。
【図4】図4は、ガス濃度計測装置の計測動作を示すフロー図である。
【図5】図5は、第1差分検出器で検出される差分信号の一例を示す説明図である。
【図6】図6は、第2差分検出器で検出される差分信号の一例を示す説明図である。
【図7】図7は、ガス濃度計測装置の他の例の概略構成を示す模式図である。
【図8】図8は、ガス濃度計測装置の計測動作を示すフロー図である。
【図9】図9は、第1差分検出器で検出される差分信号の一例を示す説明図である。
【図10】図10は、第2差分検出器で検出される差分信号の一例を示す説明図である。
【図11】図11は、ガス濃度計測装置の他の例の概略構成を示す模式図である。
【図12】図12は、ガス濃度計測装置の計測動作を示すフロー図である。
【図13】図13は、ガス濃度計測装置の差分検出器の決定処理の一例を示すフロー図である。
【図14】図14は、ガス濃度計測装置を備える試験装置の概略構成を示す模式図である。
【図15】図15は、図14に示す試験装置の計測結果の一例を示すグラフである。
【図16】図16は、図14に示す試験装置の計測結果の他の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明にかかる光学式ガス計測装置およびガス計測方法の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、下記実施形態では、本発明を、管路を流れる排ガス(測定対象のガス)に含まれる複数の対象成分の濃度を計測するガス濃度計測装置として用いた場合について説明するが、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0020】
また、ガス濃度計測装置として用いる場合は、管路を流れる種々のガスについて複数の成分(ガス種、化学種)の濃度を計測することができる。例えば、ガス濃度計測装置をディーゼルエンジンに取付、ディーゼルエンジンから排出される排ガスに含まれる複数の成分の濃度を計測してもよい。なお、排ガスを排出する機関、つまり測定対象のガスを排出(供給)する装置は、これに限定されず、ガソリンエンジンや、ガスタービン等種々の内燃機関を用いることができる。また、内燃機関を有する装置としては、車両、船舶、発電機等種々の装置が例示される。さらに、ゴミ焼却炉から排出される排ガスに含まれる複数の測定対象の成分の濃度を計測することもできる。測定対象となる成分(物質、ガス種、化学種)としては、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、メタン(CH)、水(HO)が例示される。また、窒素酸化物、硫化酸化物、アンモニア等を測定対象となる成分(物質)とすることもできる。
【0021】
(実施形態1)
図1は、本発明の光学式ガス計測装置の一実施形態であるガス濃度計測装置の概略構成を示す模式図である。図1に示すガス濃度計測装置10は、計測セル(ガス計測セル)12と、発光手段14と、発光制御手段15と、受光手段16と、信号処理手段18と、解析装置20と、を有する。
【0022】
計測セル12は、排ガスが流れる管路である。計測セル12は、配管からサンプリングされた排ガスが流入し、計測が終了した排ガスが外部に排出される。計測セル12は、基本的に排ガスの流入管および排ガスの流出管と連結された主管と、レーザ光を主管内に入射させる入射管と、主管を通過したレーザ光を出射させる出射管とを有する。なお、入射管及び出射管には、レーザ光が通過可能な窓が設けられている。主管は、円筒状の管状部材であり、一方の端部近傍に流入管が連結され、他方の端部近傍に流出管が連結されている。つまり、主管は、排ガスが流れる流路の一部となる位置に配置されている。これにより、排ガスは、流入管、主管、流出管の順に流れる。また、流入管を流れる排ガスは、基本的に全て主管に流れ、その後、流出管に流れる。
【0023】
計測セル12は、入射管からレーザ光が入射され、出射管から出射される。なお、レーザ光の主管内の通過経路は、種々の設定とすることができる。例えば、主管の軸方向に直交する方向にレーザ光が通過するようにすることができる。また、主管の軸方向に対して所定角度傾斜させてレーザ光を通過させるようにしてもよい。また、反射部材を設け、主管内でレーザ光を反射させ、主管内を往復させて通過させるようにしてもよい。
【0024】
なお、計測セル12は、排ガスが流れる第1配管と第2配管との間に設けてもよい。つまり、計測対象のガスが流れる管路中に計測セルを設けてもよい。この場合、排ガスは、第1配管の上流側から供給され、第1配管、計測セル12、第2配管を通過し、第2配管よりも下流に排出される。なお、第1配管の上流側には、排ガスの発生装置(供給装置)が配置されている。
【0025】
発光手段14は、第1LD34aと、第2LD34bと、第3LD34cと、第4LD34dと、分波器38a、38b、38c、38dと、合波器42a、42bと、集光光学系43と、を有する。また、発光手段14は、レーザ光を案内する光ファイバ36a、36b、36c、36d、40a、40b、40c、40d、41a、41b、41c、41d、44で、各部が繋がっている。
【0026】
第1LD34a、第2LD34bと、第3LD34cと、第4LD34dと、は、それぞれ異なる測定対象の成分を測定する波長域のレーザ光を出力する発光素子である。例えば、第1LD34aは、水を測定することができる波長域のレーザ光L1を出力する発光素子であり、第2LD34bは、一酸化炭素を測定することができる波長域のレーザ光L2を出力する発光素子であり、第3LD34cは、二酸化炭素を測定することができる波長域のレーザ光L3を出力する発光素子であり、第4LD34dは、メタンを測定することができる波長域のレーザ光L4を出力する発光素子である。なお、測定対象の成分を測定できる波長域のレーザ光とは、測定対象の成分に対応する波長を含むレーザ光である。例えば、測定対象の成分を測定できる波長域のレーザ光は、測定対象物質により吸収または散乱される波長を含むレーザ光である。
【0027】
ここで、発光手段14は、第1LD34a、光ファイバ36a、40a、41a、分波器38aが一つの発光部ユニットとなり、第2LD34b、光ファイバ36b、40b、41b、分波器38bが一つの発光部ユニットとなり、第3LD34c、光ファイバ36c、40c、41c、分波器38cが一つの発光部ユニットとなり、第4LD34d、光ファイバ36d、40d、41d、分波器38dが一つの発光部ユニットとなる。発光部ユニットは、第1LD34a、第2LD34bと、第3LD34cと、第4LD34dと、で出力されるレーザ光の波長が異なるのみで、基本的に同じ構成である。以下、代表して第1LD34a、光ファイバ36a、40a、41a、分波器38aを有する発光部ユニットについて説明する。
【0028】
まず、第1LD34aは、上述したようにレーザ光L1を出力する発光素子である。次に、光ファイバ36a、40a、41aは、レーザ光を案内する部材(導光部材)である。光ファイバ36aは、第1LD34aと分波器38aとを連結しており、第1LD34aから出力されたレーザ光を分波器38aに入射させる。光ファイバ40aは、分波器38aと合波器42aとを連結しており、分波器38aから出力されたレーザ光を合波器42aに入射させる。光ファイバ41aは、分波器38aと合波器42bとを連結しており、分波器38aから出力されたレーザ光を合波器42bに入射させる。
【0029】
分波器38aは、第1LD34aから射出されたレーザ光を2つのレーザ光に分光する。具体的には、分波器38aは、第1LD34aから射出されたレーザ光L1を2つのレーザ光L1に分光する。
【0030】
第1LD34a、光ファイバ36a、40a、41a、分波器38aを有する発光部ユニットは、以上のような構成であり、第1LD34aから射出されたレーザ光L1が光ファイバ36aを通過して分波器38aに入射される。第1LD34aから射出されたレーザ光L1は、分波器38aで2つに分割され、一方のレーザ光L1が合波器42aに入射され、他方のレーザ光L1が合波器42bに入射される。
【0031】
同様に、第2LD34b、光ファイバ36b、40b、41b、分波器38bを有する発光部ユニットは、第2LD34bから射出されたレーザ光L2が光ファイバ36bを通過して分波器38bに入射される。第2LD34bから射出されたレーザ光L2は、分波器36bで2つに分割され、一方のレーザ光L2が合波器42aに入射され、他方のレーザ光L2が合波器42bに入射される。
【0032】
第3LD34c、光ファイバ36c、40c、41c、分波器38cを有する発光部ユニットは、第3LD34cから射出されたレーザ光L3が光ファイバ36cを通過して分波器38cに入射される。第3LD34cから射出されたレーザ光L3は、分波器38cで2つに分割され、一方のレーザ光L3が合波器42aに入射され、他方のレーザ光L3が合波器42bに入射される。
【0033】
第4LD34d、光ファイバ36d、40d、41d、分波器38dを有する発光部ユニットは、第4LD34dから射出されたレーザ光L4が光ファイバ36dを通過して分波器38dに入射される。第4LD34dから射出されたレーザ光L4は、分波器38dで2つに分割され、一方のレーザ光L4が合波器42aに入射され、他方のレーザ光L4が合波器42bに入射される。
【0034】
なお、発光部ユニットは、分波器38a、38b、38c、38dの下流側に一定範囲で減衰量を変更することができる調整機構(VOA)を設けてもよい。
【0035】
合波器42a、42bは、複数のレーザ光を合波する。合波器42aは、光ファイバ40a、40b、40c、40dとそれぞれ連結されており、光ファイバ40a、40b、40c、40dを通過した一方のレーザ光L1、L2、L3、L4とを合波する。合波器42bは、光ファイバ41a、41b、41c、41dとそれぞれ連結されており、光ファイバ41a、41b、41c、41dを通過した他方のレーザ光L1、L2、L3、L4とを合波する。合波器42aで合波されたレーザ光は、測定レーザ光となる。合波器42bで合波されたレーザ光は、参照レーザ光となる。
【0036】
集光光学系43は、合波器42aから出力された測定レーザ光を計測セル12の入射部に案内する光学系である。集光光学系43は、レンズ等を有し、合波器42aから出力された測定レーザ光を集光して計測セル12に入射させる。光ファイバ44は、合波器42bから出力された参照レーザ光を案内する光学部材である。
【0037】
発光制御手段15は、第1ドライバ47aと、第2ドライバ47bと、第3ドライバ47cと、第4ドライバ47dと、LD制御器48と、を有する。第1ドライバ47aと、第2ドライバ47bと、第3ドライバ47cと、第4ドライバ47dと、は、電流信号を出力する駆動部である。第1ドライバ47aは、第1LD34aに電流信号を出力する。第2ドライバ47bは、第2LD34bに電流信号を出力する。第3ドライバ47cは、第3LD34cに電流信号を出力する。第4ドライバ47dは、第4LD34dに電流信号を出力する。
【0038】
LD制御器48は、第1ドライバ47aと、第2ドライバ47bと、第3ドライバ47cと、第4ドライバ47dとのそれぞれに制御信号を送り、第1ドライバ47aと、第2ドライバ47bと、第3ドライバ47cと、第4ドライバ47dとの動作を制御する。
【0039】
ここで、図2は、第1ドライバから第1LDに供給される電流信号の一例を示す説明図である。LD制御器48は、電流信号の電流値が徐々に増加し、一定時間経過後に電流値が最大値から0に変化する制御信号を第1ドライバ47aに送る。第1ドライバ47aは、LD制御器48から、制御信号を受信したら、図2に示すように、時間tsから時間teの間で電流値が徐々に線形で増加する電流信号を第1LD34aに送る。
【0040】
また、LD制御器48は、第1ドライバ47aに電流信号の電流値が徐々に増加し、一定時間経過後に電流値が最大値から0に変化する制御信号を送ったら、第2ドライバ47bに同様の制御信号を送る。LD制御器48は、第2ドライバ47bに電流信号の電流値が徐々に増加し、一定時間経過後に電流値が最大値から0に変化する制御信号を送ったら、第3ドライバ47cに同様の制御信号を送る。LD制御器48は、第3ドライバ47cに電流信号の電流値が徐々に増加し、一定時間経過後に電流値が最大値から0に変化する制御信号を送ったら、第4ドライバ47dに同様の制御信号を送る。LD制御器48は、第4ドライバ47dに電流信号の電流値が徐々に増加し、一定時間経過後に電流値が最大値から0に変化する制御信号を送ったら、第1ドライバ47aに同様の制御信号を送る。また、LD制御器48は、第1ドライバ47aと、第2ドライバ47bと、第3ドライバ47cと、第4ドライバ47dに送るLD制御信号(各発光部ユニットの駆動状態を示す信号)を信号処理手段18、解析装置20にも送る。
【0041】
発光制御手段15は、以上のように、LD制御器48で、第1ドライバ47a、第2ドライバ47b、第3ドライバ47cおよび第4ドライバ47dに対して1つずつ順番に電流信号の電流値が徐々に増加し、一定時間経過後に電流値が最大値から0に変化する制御信号を送ることで、第1LD34aと、第2LD34bと、第3LD34cと、第4LD34dとの1つずつから順番にレーザ光を出力させることができる。また、制御信号を図2に示すように、一定時間経過後に電流値が最大値から0に変化する制御信号とすることで、第1LD34aと、第2LD34bと、第3LD34cと、第4LD34dとのそれぞれから出力されるレーザ光は時間により出力される波長が変化する。つまり、第1LD34aと、第2LD34bと、第3LD34cと、第4LD34dとのそれぞれから出力されるレーザ光は、波長が掃引されたレーザ光となる。
【0042】
ここで、図3は、計測セルに入射するレーザ光の強度と時間の関係の一例を示す説明図である。発光手段14および発光制御手段15は、このように複数の発光部ユニットから順番に掃引されたレーザ光を出力させることで、合波部42aから出力される測定レーザ光、合波部42bから出力される参照レーザ光は、図3に示すようにレーザ光の出力が徐々に増加し、一定時間経過後に出力が最大値から0に変化する波形が複数回繰り返される。ここで、時間t1sから時間t1eの間の出力波形72は、レーザ光L1の出力波形であり、時間t2sから時間t2eの間の出力波形74は、レーザ光L2の出力波形であり時間t3sから時間t3eの間の出力波形76は、レーザ光L3の出力波形であり、時間t4sから時間t4eの間の出力波形78は、レーザ光L4の出力波形である。なお、図3では、波形72、74、76、78とも同じになるが、出力されるレーザ光の波長、掃引される波長範囲は、波形72、74、76、78とも異なる波長、波長範囲となる。つまり、発光手段14および発光制御手段15は、発光部ユニットの1つ1つから順番にレーザ光を出力され、1つの発光部ユニットから出力されたレーザ光を計測セル12に順番に入射させる。
【0043】
図1に戻り、ガス濃度計測装置10についての説明を続ける。受光手段16は、2つの受光装置50a、50bを有する。受光装置50aは、合波部42aで合波され、集光光学系43を通過して発光手段14から出力された後、計測セル12を通過した測定レーザ光を受光する。また、受光装置50bは、発光手段14の合波部42bから出力された後、光ファイバ44を通過し、計測セル12を通過していない参照レーザ光を受光する。受光装置50a、50bは、例えば、フォトダイオード(PD、Photodiode)等の光検出器であり、受光したレーザ光の強度を検出する。受光手段16は、受光したレーザ光の強度を受光信号として、信号処理手段18に送る。
【0044】
信号処理手段18は、受光手段16の受光装置50a、受光装置50bから出力される受光信号を処理する手段であり、第1信号切替装置60a、第2信号切替装置60b、第1差分検出器62a、第2差分検出器62bを有する。
【0045】
第1信号切替装置60aは、受光装置50a、第1差分検出器62a、第2差分検出器62bと連結されており、受光装置50aから出力された受光信号(測定レーザ光の受光信号)を第1差分検出器62aに入力するか、第2差分検出器62bに入力するか切り替える。具体的には、第1信号切替装置60aは、LD制御器48から出力される制御信号に基づいて、受光信号の出力先を第1差分検出器62aと第2差分検出器62bとの間で切り替える。
【0046】
第2信号切替装置60bは、受光装置50b、第1差分検出器62a、第2差分検出器62bと連結されており、受光装置50bから出力された受光信号(参照レーザ光の受光信号)を第1差分検出器62aに入力するか、第2差分検出器62bに入力するか切り替える。具体的には、第2信号切替装置60bは、LD制御器48から出力される制御信号に基づいて、受光信号の出力先を第1差分検出器62aと第2差分検出器62bとの間で切り替える。
【0047】
第1差分検出器62aは、第1信号切替装置60aから送られる受光信号と、第2信号切替装置60bから送られる受光信号とを検出し、検出した差分を差分信号として、解析装置20に送る。第2差分検出器62bは、第1差分検出器62aと同様に、第1信号切替装置60aから送られる受光信号と、第2信号切替装置60bから送られる受光信号とを検出し、検出した差分を差分信号として、解析装置20に送る。ここで、第1差分検出器62aと、第2差分検出器62bと、は、差分信号のゲイン、つまり検出可能な差分信号の強度の差、分解能が異なる以外は基本的に同様の構成である。本実施形態では、第1差分検出器62aが、第2差分検出器62bよりも検出可能な差分信号の強度の差が大きい、つまりより大きな差分信号を検出することができる。第1差分検出器62aは、第2差分検出器62bよりも検出可能な差分信号の強度の差が大きい分、第2差分検出器62bよりも分解能が低い。なお、信号処理手段18の動作については後述する。
【0048】
解析装置20は、第1差分検出器62a、第2差分検出器62bから送られる信号と、発光手段14を駆動させている条件等に基づいて、解析を行い、複数の測定対象の成分の濃度を算出する。つまり、解析装置20は、差分信号を出力した差分検出器、レーザ光の出力強度、差分信号の大きさと濃度との関係等に基づいて、差分信号を解析し、排ガスに含まれる測定対象の成分の濃度を算出する。このように、解析装置20は、差分信号を解析することで、計測セル12中の排ガスの測定対象の成分によるレーザ光の吸収量を算出し、その吸収量に基づいて、排ガスに含まれる測定対象の成分の濃度を算出する。
【0049】
ガス濃度計測装置10は、以上のような構成であり、発光制御手段15により発光手段14を制御し、各LDから順次レーザ光を出力させる。また、発光手段14は、出力したレーザ光を測定レーザ光と参照レーザ光に分離する。その後、測定レーザ光を計測セル12の所定経路を通過させた後、受光手段16に到達させる。なお、計測セル12内の排ガス中に測定対象の成分が含まれていると、計測セル12を通過する測定レーザ光の一部が測定対象の成分により吸収、散乱される。そのため、測定レーザ光は、排ガス中の測定対象の成分の濃度によって、受光手段16に到達するレーザ光の出力が変化する。また、参照レーザ光は、計測セル12を通過させずに受光手段16に到達させる。受光手段16は、受光した測定レーザ光と参照レーザ光をそれぞれ受光信号に変換し、信号処理手段18に出力する。信号処理手段18は、受光手段16から送られる受光信号を加工して差分信号として、解析装置20に出力する。解析装置20は、差分信号と各種条件に基づいて、差分信号の大きさ(測定レーザ光の減少割合)から計測セル12内を流れる排ガスの測定対象物の濃度を算出する。また、ガス濃度計測装置10は、計測セル12に入射されるレーザ光を切り替えることで、複数の測定対象の成分の濃度を順次、算出及び/または計測することができる。
【0050】
次に、ガス濃度計測装置10の動作をより詳細に説明する。ここで、図4は、ガス濃度計測装置の計測動作を示すフロー図である。図5は、第1差分検出器で検出される差分信号の一例を示す説明図である。図6は、第2差分検出器で検出される差分信号の一例を示す説明図である。図4に示す処理は、信号処理手段18で実行する処理である。なお、図4に示す処理は、信号処理手段18の第1信号切替装置60aと、第2信号切替装置60bがLD制御信号に基づいてそれぞれ実行する。まず、信号処理手段18は、ステップS12として、LD制御信号を受信する。信号制御手段18は、ステップS12でLD制御信号を受信したら、ステップS14として、第1差分検出器で処理するかを判定する。つまり、LD制御信号に基づいて、レーザ光を出力しているLD、つまり測定対象の成分を特定し、当該成分の測定時に使用する差分検出器が第1差分検出器であるかを判定する。なお、LD制御信号と使用する差分検出器との関係は予め設定しておけばよい。
【0051】
信号処理手段18は、ステップS14で第1差分検出器で処理する(Yes)と判定した場合、ステップS16として、受光信号を第1差分検出器に送信し、ステップS20に進む。信号処理種手段18は、ステップS14で第1差分検出器で処理しない(No)と判定した場合、ステップS18として、受光信号を第2差分検出器に送信し、ステップS20に進む。信号処理手段18は、ステップS20として、処理終了かを判定する。信号処理手段18は、ステップS20で処理終了ではない(No)と判定した場合、ステップS12に進み本処理を繰り返す。信号処理手段18は、ステップS20で処理終了である(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
【0052】
ガス濃度計測装置10は、図4に示すように、LD制御信号に基づいて、受光信号を第1差分検出器62aで処理するか第2差分検出器62bで処理するかを切り替えることで、レーザ光を出力する発光部ユニット、測定対象の成分に対応した、適切な差分検出器で差分信号を検出することができる。具体的には、ガス濃度計測装置10は、図5および図6に示すように、時間t1sから時間t1eの間、つまり第1LD34aからレーザ光が出力されている間に検出される受光信号は、第1差分検出器62aに入力させることで、第1差分検出器62aで差分信号82を検出することができる。ガス濃度計測装置10は、時間t2sから時間t4eの間、つまり第2LD34b、第3LD34c、第4LD34dからレーザ光が出力されている間に検出される受光信号は、第2差分検出器62bに入力させることで、第2差分検出器62bで差分信号84、86、88を検出することができる。
【0053】
ガス濃度計測装置10は、以上のように、ゲインが異なる複数の差分検出器を設け、測定する成分(ガス種、化学種)毎、つまり計測セルに入射されるレーザ光の波長(波長帯)毎に、使用する差分検出器を切り替えることで、それぞれのガス種をより高精度に検出することができる。つまり、ガス濃度計測装置10は、差分信号の強度が異なる複数種類の成分を計測する場合でも、一部の成分の差分信号が小さくて適切な分解能で濃度を計測できない、また、差分信号が大きくて値がオーバーフローして正確な値が分からない等の事態が発生することを抑制することができる。また、ガス濃度計測装置10は、差分検出器のゲイン、感度を変更する必要もないため、安価な差分検出器を用いることができる。
【0054】
ガス濃度計測装置10は、第1信号切替装置60aと第2信号切替装置60bを設け、受光信号を第1差分検出器62aと第2差分検出器62bのいずれに入力するかを切り替えることで、第1差分検出器62aと第2差分検出器62b、基本的に第2差分検出器62bに処理可能な出力よりも大きい差分信号が入力することを抑制することができる。これにより、装置の寿命を長くすることができる。
【0055】
なお、本実施形態では、差分検出器を2つ用いたが、差分検出器の数はこれに限定されない。ガス濃度計測装置10は、本実施形態のように差分検出器を2つとすることで、構成を簡単にすることができる。ここで、ガス濃度計測装置10は、差分検出器の感度(ゲイン)と、当該差分検出器と感度が隣接している差分検出器の感度と、の差が5倍以上20倍以下であることが好ましく、感度の差を10倍とすることがより好ましい。これにより、より少ない差分検出器の数で、より広範囲の出力の差分信号を好適に検出することができ、濃度をより高い精度で検出することができる。例えば、排ガスに含まれる複数成分を計測する場合、HO計測に用いている波長と、CO計測波長で比較すると、温度600℃の条件でのHO(約12%)による光吸収量を1とすると、通常のガソリンエンジン出口でのCO最大発生量(約6%)による光吸収量は0.18となる。このため、他成分計測(例えばCO)用の差分検出器のゲイン(感度)を、HO計測に用いる差分検出器のゲインの約5倍以上とすることで、HOと、COを含む他の成分と、の両方を高い精度で検出することができる。また、定常運転時のCO濃度は、低く(約0.2%以下)。このため、HO(約12%)による光吸収量を1とすると、定常運転時のCOの光吸収量は、0.006となる。この場合、ガス濃度計測装置の差分検出器のゲインの観点から見ると、この時の計測値はCO計測範囲の1/10程度で良い。このため、2つの差分検出器のゲインの差を20倍以下とすることで精度を高く維持することができる。
【0056】
なお、ガス濃度計測装置10は、レーザ光の波長を掃引することで、測定対象の成分の検出結果のピーク値を高い精度で検出することができる。また、ガス濃度計測装置10は、測定対象ガスの計測セル12の移動に対して短い時間で1つのガス種の計測を行うことができる。これにより、ガス濃度計測装置10は、複数の成分を順次計測しても、基本的に同一の対象に対する計測を実行できる。
【0057】
(実施形態2)
上記実施形態では、受光信号を入力させる差分検出器を切り替えることで、解析する差分信号を検出する差分検出器を切り換えたが本発明はこれに限定されない。以下、図7から図10を用いて、他の実施形態について説明する。ここで、図7は、ガス濃度計測装置の他の例の概略構成を示す模式図である。なお、図7に示すガス濃度計測装置100は、信号処理手段118を除いて他の構成は、ガス濃度計測装置10と同様の構成である。そこで、ガス濃度計測装置100の構成で、ガス濃度計測装置10と同様の構成の部分は、同一の符号を付してその説明は省略し、以下、ガス濃度計測装置100に特有の点を説明する。
【0058】
図7に示すガス濃度計測装置100は、計測セル12と、発光手段14と、発光制御手段15と、受光手段16と、信号処理手段118と、解析装置20と、を有する。なお計測セル12と、発光手段14と、発光制御手段15と、受光手段16と、解析装置20と、は、図1に示すガス濃度計測装置10の各部と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0059】
信号処理手段118は、受光手段16の受光装置50a、受光装置50bから出力される受光信号を処理する手段であり、第1差分検出器62a、第2差分検出器62b、信号切替装置164を有する。
【0060】
第1差分検出器62aは、受光装置50aから送られる受光信号と、受光装置50bから送られる受光信号とを検出し、検出した差分を差分信号として、信号切替装置164に送る。第2差分検出器62bは、受光装置50aから送られる受光信号と、受光装置50bから送られる受光信号とを検出し、検出した差分を差分信号として、信号切替装置164に送る。ここで、第1差分検出器62aおよび第2差分検出器62bは、ガス濃度計測装置10の第1差分検出器62aおよび第2差分検出器62bと同様の構成である。
【0061】
信号切替装置164は、第1差分検出器62a、第2差分検出器62b、解析装置20と連結されており、第1差分検出器62aから出力された差分信号を解析装置20に入力するか、第2差分検出器62bから出力された差分信号を解析装置20に入力するかを切り替える。具体的には、信号切替装置164は、LD制御器48から出力されるLD制御信号に基づいて、第1差分検出器62aの差分信号と第2差分検出器62bの差分信号のいずれを解析装置20に入力するかを切り替える。
【0062】
次に、ガス濃度計測装置100の動作を説明する。ここで、図8は、ガス濃度計測装置の計測動作を示すフロー図である。図9は、第1差分検出器で検出される差分信号の一例を示す説明図である。図10は、第2差分検出器で検出される差分信号の一例を示す説明図である。図8に示す処理は、信号処理手段118の信号切替装置164で実行する処理である。まず、信号処理手段118は、ステップS32として、LD制御信号を受信する。信号制御手段118は、ステップS32でLD制御信号を受信したら、ステップS34として、第1差分検出器で処理するかを判定する。つまり、LD制御信号に基づいて、レーザ光を出力しているLD、つまり測定対象の成分を特定し、当該成分の測定時に使用する差分検出器が第1差分検出器であるかを判定する。なお、LD制御信号と使用する差分検出器との関係は予め設定しておけばよい。
【0063】
信号処理手段118は、ステップS34で第1差分検出器で処理する(Yes)と判定した場合、ステップS36として、第1差分検出器の検出結果を解析装置に送信し、ステップS40に進む。つまり、信号処理手段118の信号切替装置164は、第1差分検出器62aから出力された差分信号を解析装置20に送る。信号処理手段118は、ステップS34で第1差分検出器で処理しない(No)と判定した場合、ステップS38として、第2差分検出器の検出結果を解析装置に送信し、ステップS40に進む。つまり、信号処理手段118の信号切替装置164は、第2差分検出器62bから出力された差分信号を解析装置20に送る。信号処理手段118は、ステップS40として、処理終了かを判定する。信号処理手段118は、ステップS40で処理終了ではない(No)と判定した場合、ステップS32に進み本処理を繰り返す。信号処理手段118は、ステップS40で処理終了である(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
【0064】
ガス濃度計測装置100は、図8に示すように、LD制御信号に基づいて、第1差分検出器62aで処理した差分信号を解析装置20に送るか、第2差分検出器62bで処理した差分信号を解析装置20に送るかを切り替えることでも、レーザ光を出力する発光部ユニット、測定対象の成分に対応した、適切な差分検出器で差分信号を検出することができる。
【0065】
具体的には、ガス濃度計測装置100は、図9および図10に示すように時間t1sから時間t4eの間、第1差分検出器62aと第2差分検出器62bの両方で差分信号が検出される。ガス濃度計測装置100は、第1差分検出器62aと第2差分検出器62bの両方で差分信号を検出しつつ、信号切替装置164でLD制御信号に基づいて解析装置20に入力させる差分信号を切り替える。具体的には、信号切替装置164は、時間t1sから時間t1eの間、つまり第1LD34aからレーザ光が出力されている間、図9に示すように、第1差分検出器62aから出力した差分信号を解析装置20に入力させる。これにより、ガス濃度計測装置100は、点線170で囲われている差分信号が解析装置20に入力される。信号切替装置164は、時間t2sから時間t4eの間、つまり第2LD34b、第3LD34c、第4LD34dからレーザ光が出力されている間、図10に示すように、第2差分検出器62bから出力した差分信号を解析装置20に入力させる。これにより、ガス濃度計測装置100は、点線172で囲われている差分信号が解析装置20に入力される。
【0066】
ガス濃度計測装置100は、受光手段16から出力される受光信号をそのまま差分検出器に入力させることができるため、つまり信号の分岐や信号切替装置を通過しない構成にできるため、差分検出器に入力される信号をよりノイズの少ない信号とすることができる。これにより、差分信号のノイズをより少なくすることができる。
【0067】
(実施形態3)
以下、図11から図13を用いて、他の実施形態について説明する。ここで、図11は、ガス濃度計測装置の他の例の概略構成を示す模式図である。なお、図11に示すガス濃度計測装置200は、基本的に解析装置220を除いて他の構成は、ガス濃度計測装置10と同様の構成である。そこで、ガス濃度計測装置200の構成で、ガス濃度計測装置10と同様の構成の部分は、同一の符号を付してその説明は省略し、以下、ガス濃度計測装置200に特有の点を説明する。
【0068】
図11に示すガス濃度計測装置200は、計測セル12と、発光手段14と、発光制御手段15と、受光手段16と、信号処理手段18と、解析装置220と、を有する。なお計測セル12と、発光手段14と、発光制御手段15と、受光手段16と、信号処理手段18と、は、図1に示すガス濃度計測装置10の各部と同様の構成であるので、説明を省略する。ここで、ガス濃度計測装置200の信号処理手段18の第1信号切替装置60a、第2信号切替装置60bは、LD制御器48から送られるLD制御信号ではなく、解析装置220から送信される信号に基づいて、受光信号を入力する差分検出器を切り替える。
【0069】
解析装置220は、上述した解析装置20と同様に差分信号等に基づいて、測定対象の成分(ガス種)の濃度の計測と並行して、解析に使用する差分信号を成分(ガス種)毎に決定する。つまり、解析装置220は、成分(ガス種)毎に第1差分検出器62aの差分信号で濃度検出を行うか、第2差分検出器62bの差分信号で濃度検出を行うかを判定し、判定結果に基づいて、第1信号切替装置60aと第2信号切替装置60bとの動作を制御する。
【0070】
次に、ガス濃度計測装置200の動作をより詳細に説明する。ここで、図12は、ガス濃度計測装置の計測動作を示すフロー図である。図13は、ガス濃度計測装置の差分検出器の決定処理の一例を示すフロー図である。図12に示す処理は、信号処理手段18および解析装置220で実行する処理である。
【0071】
ガス濃度計測装置200の解析装置220は、ステップS60として、解析結果に基づいて対象ガス種(測定対象の成分)毎に使用する差分検出器を決定する。解析装置220は、過去の解析結果を用いて、ガス種毎に第1差分検出器62aの差分信号を解析に用いるか、第2差分検出器62bの差分信号を解析に用いるかを決定する。なお、ステップS60の処理については、後述する。
【0072】
解析装置220は、ステップS62として、LD制御信号を受信する。解析装置220は、ステップS62でLD制御信号を受信したら、ステップS64として、第1差分検出器で処理するかを判定する。つまり、LD制御信号に基づいて、レーザ光を出力しているLD、つまり測定対象の成分を特定し、当該成分の測定時に使用する差分検出器が第1差分検出器であるかを判定する。なお、解析装置220は、ステップS60で決定した関係を用いて、LD制御信号と使用する差分検出器との関係を特定する。
【0073】
解析装置220は、ステップS64で第1差分検出器で処理する(Yes)と判定した場合、ステップS66として、受光信号を第1差分検出器に送信し、ステップS70に進む。解析装置220は、第1信号切替装置60a、第2信号切替装置60bに制御信号を送信し、受光信号を第1信号切替装置60a、第2信号切替装置60bから第1差分検出器62aに送信させる。解析装置220は、ステップS64で第1差分検出器で処理しない(No)と判定した場合、ステップS68として、受光信号を第2差分検出器に送信し、ステップS70に進む。解析装置220は、第1信号切替装置60a、第2信号切替装置60bに制御信号を送信し、受光信号を第1信号切替装置60a、第2信号切替装置60bから第2差分検出器62bに送信させる。
【0074】
解析装置220は、ステップS70として、処理終了かを判定する。信号処理手段18は、ステップS70で処理終了ではない(No)と判定した場合、ステップS72で解析を一定回数以上実行したかを判定する。つまり、ステップS60で決定した関係を用いて測定対象の成分の濃度の検出を一定回数以上実行したかを判定する。解析装置220は、ステップS72で解析を一定回数以上実行した(Yes)と判定した場合、ステップS60に進み、使用する差分検出器を再度決定する。解析装置220は、ステップS72で解析を一定回数以上実行していない(No)と判定した場合、ステップS62に進み本処理を繰り返す。解析装置220は、ステップS70で処理終了である(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
【0075】
次に、図13を用いて、ステップS60の処理について説明する。解析装置220は、ステップS80として、ガス種の差分信号の大きさを検出する。解析装置220は、該当するガス種の濃度を検出する際に使用した差分信号に基づいて判定すればよく、直近の1回分の検出結果のみを使用して差分信号の大きさを検出しても、直近の複数回分の検出結果を使用して差分信号の大きさを検出してもよい。ここで、解析装置220は、第1差分検出器の感度と第2差分検出器の感度との関係に基づいて差分信号の大きさを演算し、第1差分検出器と第2差分検出器のいずれの検出結果を使用する場合も同じ基準で差分信号を判定できる状態で検出する。
【0076】
解析装置220は、ステップS80で、対象のガス種の差分信号の大きさを検出したら、ステップS82として、差分信号の大きさが所定値以上であるかを判定する。解析装置220は、ステップS82で差分信号の大きさが所定値以上である(Yes)と判定した場合、ステップS84として、第1差分検出器で解析するガス種に設定し、ステップS88に進む。つまり、解析装置220は、当該ガス種の解析時は、第1差分検出器で検出した差分信号を用いる設定とする。解析装置220は、ステップS82で差分信号の大きさが所定値以上ではない(No)と判定した場合、ステップS86として、第2差分検出器で解析するガス種に設定し、ステップS88に進む。つまり、解析装置220は、当該ガス種の解析時は、第2差分検出器で検出した差分信号を用いる設定とする。
【0077】
解析装置220は、ステップS84、S86の処理を実行したら、ステップS88としてすべてのガス種の設定を終了したかを判定する。解析装置220は、ステップS88でガス種の設定を終了していない(No)と判定した場合、ステップS80に進み、設定していないガス種に対して上記処理を実行する。解析装置220は、ステップS88でガス種の設定を終了した(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
【0078】
ガス濃度計測装置200は、上述したように、解析結果に基づいて使用する差分信号を切り替えることで、より高い精度で計測を実行することができる。例えば、計測中に測定対象の成分の濃度が変化し、差分信号の大きさが変化する場合も、変化に応じて使用する差分検出器を切り替えることができる。これにより、より高い精度で測定対象の成分の濃度を計測することができる。
【0079】
ガス濃度計測装置200は、成分(ガス種)の解析開始時は、より感度の低い側、より大きい受光信号の出力の差を検出できる側の差分検出器を使用することが好ましい。これにより、差分検出器にかかる負荷を小さくすることができる。また、ガス濃度計測装置200は、信号処理手段の構成をガス濃度計測装置10と同様の構成としたが、ガス濃度計測装置100と同様の構成とした場合も同様の処理を実行することができる。
【0080】
また、上記実施形態のガス濃度計測装置10、100、200は、いずれも発光手段の発光部ユニットを4つの場合として説明したが、発光部ユニットの数、つまりLDの数は、特に限定されない。ガス濃度計測装置10、100、200は、LDを2つ以上備えていればよい。また、発光手段は、発光部ユニットを複数備えて、計測対象の成分にそれぞれ対応する複数のレーザ光を出力させたが、これに限定されない。ガス濃度計測装置10、100、200は、出力するレーザ光の波長を切り替えることができるレーザ光出力装置を設け、当該レーザ光出力装置で出力するレーザ光の波長を、時間毎に順次切り替えるようにしてもよい。このように、1つのレーザ光出力装置でレーザ光を切り替えることで、それぞれ別々の成分に対応した波長のレーザ光を出力するようにしてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、いずれも計測セルの主管と、排ガスを流す案内管とを別部材としたが、一体としてもよい。例えば、計測セルの主管が排ガスを排出する装置に直接連結してもよい。
【0082】
また、計測セルの主管の管形状は、レーザ光が通過できればよく、断面が円となる管としても、断面が多角形になる管としても、断面が楕円形となる管としてもよい。また、管の内周の断面と外周の断面が異なる形状となってもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、測定対象の成分の濃度を計測したが、これに限定されない。例えば、濃度ではなく量を計測してもよい。
【0084】
[計測例]
次に、図14から図16を用いて、計測例について説明する。図14は、ガス濃度計測装置を備える試験装置の概略構成を示す模式図である。図15は、図14に示す試験装置の計測結果の一例を示すグラフである。図16は、図14に示す試験装置の計測結果の他の例を示すグラフである。
【0085】
図14に示す試験装置300は、ガス濃度計測装置302を内燃機関ユニット304に取り付けている。また、試験装置300は、ガス濃度計測装置302の計測結果をPC306に出力する。なお、内燃機関ユニット304は、自動車に設置されるエンジンと同様の構成である。内燃機関ユニット304は、内燃機関であり排ガスを排出するエンジン310と、エンジン310を制御するECU312と、エンジン310の出力軸に連結されたギヤ314と、エンジン310の出力軸とギヤ314を介して連結された制御用ダイナモ316と、ECU312と制御用ダイナモ316の動作を制御して内燃機関ユニット304の動作を制御するベンチ制御装置318と、エンジン310から排出される排ガスを案内する排気管320と、排ガスに含まれる各種物質、主に窒素酸化物を除去する触媒322と、を有する。なお、制御用ダイナモ316は、発電機等であり、エンジン310の回転の抵抗となり、エンジン310に対して負荷を与えることができる。
【0086】
ガス濃度計測装置302は、内燃機関ユニット304の排気管320に配置されている。ガス濃度計測装置302は、計測セル332と、多成分レーザ排ガス計測装置334と、光ファイバ336と、信号線338と、を有する。ガス濃度計測装置302は、各部を模式的に示しているが、上述したガス濃度計測装置10と基本的に同様の構成である。ガス濃度計測装置302は、計測セル332がガス濃度計測装置10の計測セル12に対応する。また、多成分レーザ排ガス計測装置334は、ガス濃度計測装置10の発光手段14、発光制御手段15、受光手段15の受光装置50b、信号処理手段18、解析装置20の各部が内蔵されている。光ファイバ336は、集光光学系から出力された計測レーザ光を案内する光学部材である。また、ガス濃度計測装置302は、受光手段16の受光装置50aに相当する受光装置が計測セル332に取り付けられている。信号線338は、受光装置が受光した受光信号を多成分レーザ排ガス計測装置334に送信する。
【0087】
本計測例では、試験装置300を用いて、エンジン310から排出される排ガスの成分をガス濃度計測装置302で計測した。本計測例では、エンジン310の始動時の一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、メタン(CH)、水(HO)の計測を行った。
【0088】
まず、比較のためにガス濃度計測装置302を用いて、1つの差分検出器のみで一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、メタン(CH)、水(HO)のすべての濃度を計測した。計測結果を図15に示す。次に、ガス濃度計測装置302を上述した方法、具体的には、第2差分検出器で検出した差分信号を用いて、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、メタン(CH)を計測し、第1差分検出器で検出した差分信号を用いて、水(HO)の濃度を計測した。計測結果を図16に示す。
【0089】
図15および図16に示すように、1つの差分検出器で全ての成分の計測を行った場合(図15参照)よりも、2つの差分検出器を用いて、成分に応じて使用する差分検出器を切り替える(図16参照)ことでより鮮明な解析結果を検出できることがわかる。
【符号の説明】
【0090】
10、100、200 ガス濃度計測装置
12 計測セル
14 発光手段
15 発光制御手段
16 受光手段
18 信号処理手段
20 解析装置
34a 第1LD
34b 第2LD
34c 第3LD
34d 第4LD
36a、36b、36c、36d、40a、40b、40c、40d、41a、41b、41c、41d、44 光ファイバ
38a、38b、38c、38d 分波器
42a、42b 合波器
43 集光光学系
47a 第1ドライバ
47b 第2ドライバ
47c 第3ドライバ
47d 第4ドライバ
48 LD制御器
50a、50b 受光装置
60a 第1信号切替装置
60b 第2信号切替装置
62a、62b 差分検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象ガスに含まれる複数の成分を分析する光学式ガス計測装置であって、
測定対象ガスが流れる計測セルと、
前記ガスの測定対象の複数の成分に対応する波長を含む複数のレーザ光を切り替えて出力でき、出力したレーザ光を測定レーザ光と参照レーザ光に分岐する発光部ユニット、前記測定レーザ光を前記計測セルに入射させる測定光光学系および前記参照レーザ光を案内する参照光光学系を備える発光手段と、
前記発光手段の動作を制御し、測定を行う測定対象の成分に対応する波長のレーザ光を選択し、選択した前記レーザ光を前記計測セルに入射させ、当該測定対象の成分の計測が終了した後、次に測定を行う測定対象の成分に対応する波長のレーザ光を選択し、選択した前記レーザ光を前記計測セルに入射させる発光制御手段と、
前記計測セルを通過した前記測定レーザ光を受光する第1受光装置および前記参照光光学系で案内された前記参照レーザ光を受光する第2受光装置を備える受光手段と、
前記受光手段で受光した前記測定レーザ光の強度と前記参照レーザ光の強度との差分信号を生成する信号処理手段と、
前記信号処理手段で生成された信号に基づいて測定対象の成分を分析する解析装置と、を備え、
前記信号処理手段は、前記測定レーザ光の強度と前記参照レーザ光の強度との差分を検出する検出感度が異なる差分検出器を複数備え、前記計測セルに入射させるレーザ光の波長に応じて、前記解析装置に差分信号を入力する前記差分検出器を切り替えることを特徴とする光学式ガス計測装置。
【請求項2】
前記発光部ユニットは、前記ガスの測定対象の成分に対応する波長を含むレーザ光を射出する発光部、前記発光部から射出されたレーザ光を測定レーザ光と参照レーザ光に分岐部する分波器および前記分波器で分波された測定レーザ光と前記参照レーザ光とをそれぞれ案内する発光部光学系を備え、それぞれ異なる成分に対応する波長を含むレーザ光を射出させる複数の発光部ユニットと、複数の前記発光部ユニットの前記測定レーザ光を合波する第1合波器と、複数の前記発光部ユニットの前記参照レーザ光を合波する第2合波器とを備え、
前記測定光光学系は、前記第1合波器で合波された前記測定レーザ光を前記計測セルに入射させ、
前記参照光光学系は、前記第2合波器で合波された前記参照レーザ光を案内し、
前記発光制御手段は、レーザ光を出力させる前記発光部ユニットを時間毎に切り替え、1つの前記発光部ユニットから出力されたレーザ光を前記計測セルに入射させ、
前記信号処理手段は、前記計測セルに入射させるレーザ光を出力する前記発光部ユニットに応じて、前記解析装置に出力する差分信号を検出する前記差分検出器を切り替えることを特徴とする請求項1に記載の光学式ガス計測装置。
【請求項3】
前記信号処理手段は、前記第1受光装置から出力される受光信号を入力する前記差分検出器を切り替える第1信号切替装置と、前記第2受光装置から出力される受光信号を入力する前記差分検出器を切り替える第2信号切替装置と、を備え、
前記第1信号切替装置と前記第2信号切替装置とが受光信号を入力する前記差分検出器を切り替えることで、前記解析装置に差分信号を入力する前記差分検出器を切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載の光学式ガス計測装置。
【請求項4】
前記信号処理手段は、複数の前記差分検出器から出力される差分信号のうち、前記解析装置に入力する差分信号を切り替える信号切替装置を有することを特徴とする請求項1または2に記載の光学式ガス計測装置。
【請求項5】
前記解析装置は、それぞれのガス種類の前記差分信号の大きさに基づいて、それぞれのガス種類の分析時に使用する差分信号を出力する前記差分検出器を決定し、前記信号処理手段の動作を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の光学式ガス計測装置。
【請求項6】
前記信号処理手段は、計測開始時の計測では、検出感度がより低い差分検出器から出力される差分信号を前記解析装置に出力することを特徴とする請求項5に記載の光学式ガス計測装置。
【請求項7】
前記信号処理手段は、前記差分検出器の感度と、当該差分検出器と感度が隣接している前記差分検出器の感度と、の差が5倍以上20倍以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の光学式ガス計測装置。
【請求項8】
前記信号処理手段は、前記差分検出器を2つ備えていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の光学式ガス計測装置。
【請求項9】
前記発光制御手段は、測定を行う測定対象の成分に対応する波長のレーザ光を、前記測定対象の成分に対応する波長を含む範囲で掃引させて前記発光部ユニットから出力させることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の光学式ガス計測装置。
【請求項10】
測定対象ガスが流れる計測セルと、前記ガスの測定対象の複数の成分に対応する波長を含む複数のレーザ光を切り替えて出力でき、出力したレーザ光を測定レーザ光と参照レーザ光に分岐する発光部ユニット、前記測定レーザ光を前記計測セルに入射させる測定光光学系および前記参照レーザ光を案内する参照光光学系を備える発光手段と、前記発光手段の動作を制御し、測定を行う測定対象の成分に対応する波長のレーザ光を選択し、選択した前記レーザ光を前記計測セルに入射させ、当該測定対象の成分の計測が終了した後、次に測定を行う測定対象の成分に対応する波長のレーザ光を選択し、選択した前記レーザ光を前記計測セルに入射させる発光制御手段と、前記計測セルを通過した前記測定レーザ光を受光する第1受光装置および前記参照光光学系で案内された前記参照レーザ光を受光する第2受光装置を備える受光手段と、前記受光手段で受光した前記測定レーザ光の強度と前記参照レーザ光の強度との差分信号を生成する信号処理手段と、前記信号処理手段で生成された信号に基づいて測定対象の成分を分析する解析装置と、を備え、前記信号処理手段は、測定レーザ光の強度と前記参照レーザ光の強度との差分を検出する検出感度が異なる差分検出器を複数備える光学式ガス計測装置で測定対象ガスに含まれる複数の成分を分析する光学式ガス計測方法であって、
前記計測セルに入射させるレーザ光の波長を検出するステップと、
前記検出したレーザ光の波長に基づいて解析装置に差分信号を入力する前記差分検出器を切り替えるステップと、を有することを特徴とする光学式ガス計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−96810(P2013−96810A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239200(P2011−239200)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】