説明

光学成分計

【課題】被測定部の表面に顕在しない物質の成分分布を高精細に検出可能な光学成分計を提供する。
【解決手段】サンプル2に対向する検出端側で、第1の光ファイバー13aと第2のファイバー13bとが開口端どうしが隣接してアレイ状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定部の表面に顕在しない物質(表面皮下の物質)の分光特性に応じて波長の異なる光を照射して得られる反射光より当該物質の成分分布を検出する光学成分計に関する。
【背景技術】
【0002】
被測定部に含有される物質の分光特性に応じた光を照射して得られる反射光より当該物質の重量成分を検出する光学成分計としては、様々な装置や方法が提案されている。たとえば、被測定部の水分率を測定する水分測定装置としては、波長が異なる2種類の単色光を光源からガラスファイバーを通じてプローブに導いて被測定部に照射し、該被測定部からの反射光がガラスファイバーを通じて測定部へ導かれて電気信号に変換され、反射光の強度変化より吸光度を算出してサンプルデータと比較することにより水分率を検出できるようになっている(特許文献1)。
【0003】
また、被測定部に水分測定赤外線と参照赤外線を照射し、被測定部からの水分測定赤外線の反射光量と参照赤外線の反射光量から吸光度を求め、該吸光度に基づいて水分値を求める赤外線水分測定装置も提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2000−146834号
【特許文献2】特開平8−159960号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1にかかる水分測定装置は、照射用光ファイバーと反射用光ファイバーを組み合わせた微細な照射面積の水分量を検出するのに有効であるが、単に照射用光ファイバーと反射用光ファイバーを組み合わせたスポット的な測定のみならず、被測定部の表面に顕在しない物質(表面皮下の物質)の成分分布を解析したいとのニーズがある。また、光ファイバーの開口端から直接光照射した場合に、被測定部からの反射光が散乱して反射用光ファイバーの開口端へ効率良く導光できるか不明である。
また、特許文献2のように、レンズ系を経て参照光及び吸収光を照射して反射光を受光する場合には装置が大型化し、光の透過面積が大きくなり被測定部の計測部位に制約が生ずる。
更には、手が入らない微小空間に挿入して特定の物質の成分分布を検出したいという場合や、生体内外の部位において特定の物質の成分分布を検出したいというニーズもある。
【0005】
本発明は上述した課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、被測定部の表面に顕在しない物質の成分分布を高精細に検出可能な光学成分計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
物質の分光特性に応じて波長の異なる吸収光と参照光とを各々発光する複数の光源と、吸収光と参照光とを第1の光ファイバーを通じて被測定部へ直接照射する発光部と、被測定部からの反射光を第2の光ファイバーを通じて受光素子で直接受光する受光部と、受光素子で光電変換された電気信号より被測定部からの吸収光及び参照光に対応する反射光レベルの比を算出して予め記憶したサンプルデータと比較することにより物質の成分データを特定し成分分布を解析する制御部を具備した光学成分計であって、被測定部に対向する検出端側で、第1の光ファイバーと第2のファイバーとが開口端どうしが隣接してアレイ状に形成されていることを特徴とする。
また、第2の光ファイバーの両側に第1の光ファイバーが隣接してアレイ状に形成されることを特徴とする。
また、第1の光ファイバーと第2の光ファイバーとが一対で交互に配列されて複数対アレイ状に形成されることを特徴とする。
或いは、被測定部に対向する検出端側で第1の光ファイバーと第2の光ファイバーとが隣接してフレキシブルな金属細管内に挿入されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上述した光学成分計を用いれば、被測定部に対向する検出端側で、第1の光ファイバーと第2のファイバーとが開口端どうしが隣接してアレイ状に形成されているので、被測定部に非接触で第1の光ファイバーより吸収光及び参照光を照射し、当該被測定部からの反射光を第2の光ファイバーを通じて受光素子で受光することで、制御部が被測定部の微細な面積の表面に顕在しない物質の成分分布を検出できる。特に、被検出部が凹凸面などであっても口径が数十μm〜数百μm程度の光ファイバーの微細な開口面積で被測定部の表面に顕在しない物質の成分分布を高精細に検出することができる。
また、第2の光ファイバーの両側に第1の光ファイバーが隣接してアレイ状に形成されるか、第1の光ファイバーと第2の光ファイバーとが一対で交互に配列されて複数対アレイ状に形成されることにより、被測定部からの反射光を効率良く取り込んで物質の成分分布を高精度に測定できる。
また、第1の光ファイバーと第2の光ファイバーとが隣接してフレキシブルな金属細管内に挿入されることにより、狭い空間部や生体内に進入させて被測定部の物質の成分分布を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係る光学成分計の最良の実施形態について添付図面とともに詳細に説明する。本実施形態は、被測定部の表面に顕在しない物質の成分分布の検出に好適に用いられ、被測定部表面に蓄積或いは滞留する物質成分については反射光の拡散が生じ易いため検出対象外とする。以下では、一例として被測定部の表面皮下の水分量を検出する光学成分計について説明する。
【0009】
先ず、図1及び図2を参照して光学成分計の概略構成について説明する。
図1において、1は光学成分計である。光学成分計1は被測定部(サンプル)2の表面に顕在しない(表面皮下の)水分量を検出する。計測器本体3には、サンプル2の表面皮下の物質の分光特性に応じて波長の異なる光を照射する発光部4及びサンプル2からの反射光を受光する受光部5が設けられている。
【0010】
図2において、発光部4の構成について説明する。光合波器6には、検出対象となる物質(水分)の分光特性に応じた波長の異なる複数の光源が設けられている。即ち、本実施例では、検出対象となる水の吸光度を有する吸収光(波長λ1=1450nm)を発光する吸収光源7(例えばLD光源又はLED光源)、検出対象となる水の吸光度に無関係な参照光(波長λ2=1300nm)を発光する参照光源8及びハーフミラー9が設けられている。吸収光源7と参照光源8とは、ハーフミラー9に対し入光角度が90度異なる位置に設けられている。ハーフミラー9には誘電体膜が形成されており、吸収光源7から照射された吸収光を透過させ、参照光源8から照射された参照光を全反射させて、光合波を形成するようになっている。このように波長の異なる吸収光と参照光と入光インターフェース12を通じて一の第1の光ファイバー13aによって伝搬される。入光インターフェース12は、ハーフミラー9を通じて吸収光及び参照光を効率よく第1の光ファイバー13aに導くために用いられる。
【0011】
図1において、吸収光源7及び参照光源8は発振回路10より方形波駆動信号が出力され光源駆動回路11を駆動して各光源7、8が点灯するようになっている。具体的には、発振回路10より出力される方形波信号の前半周期は吸収光源7の駆動信号となり、後半周期は参照光源8の駆動信号となる。光源駆動回路11は方形波出力信号の前半周期で吸収光源7を点灯させ、後半周期で参照光源8を交互に点灯させる。第1の光ファイバー13aは、一の導光路を通じて参照光と吸収光とをサンプル2に光照射する。尚、第1の光ファイバー13aを複数本設けて吸収光及び参照光を第1の光ファイバー13aから各々照射する場合には光合波器6を省略することができ、部品点数を省略して装置コストを削減することができる。
【0012】
図1において、受光部5は、サンプル2からの反射光を第2の光ファイバー13bを通じて受光インターフェース14を通じて受光素子15で受光して光電変換する。受光インターフェース14は、第2の光ファイバー13bを経由する反射光を効率よく受光素子15に導くために用いられる。第1、第2の光ファイバー13a、13bのサンプル2に対向する検出側端部は並設されている。即ち、サンプル2に対向する検出側端部において口径がφ200μm以下の第1、第2の光ファイバー13a、13bどうしが隣接(外接)して設けられる。第1、第2の光ファイバー13a、13bとしては、例えばコア径50μm、クラッド径125μmの石英光ファイバーの場合、サンプル2とファイバー開口端との距離が約1mmで、サンプル2の測定面積は約0.5mm2〜0.7mm2程度の微小エリアの測定が可能になる。
【0013】
図1において、受光素子15の出力(電気信号)は、受光素子増幅回路16において所定の増幅度で増幅される。この受光素子増幅回路16で増幅された出力信号には、サンプル2の吸光度の差異に対応した電気信号(吸収光に対応した反射光成分と参照光に対応した反射光成分)が含まれる。この電気信号を二つのアナログスイッチからなる分離回路17において吸収光に対応する反射光成分と参照光に対応した反射光成分とに分離する。分離回路17には、光源駆動回路11の吸収光源7の点灯周期と参照光源8の点灯周期に応じて信号を分離する。
【0014】
分離回路17により分離された吸収光に対応した電気信号と参照光に対応した電気信号は、成分出力回路18にて各々平滑増幅(直流化)された後、制御部を構成するマイクロコンピュータ19に供給される。マイクロコンピュータ19は、成分出力回路18から出力された二つの直流化信号の比を演算し、その比に基づいてサンプル2の重量成分を演算する。このマイクロコンピュータ19における演算処理の結果(成分データ)は、解析ソフトを用いて成分分布が解析され表示部20に表示される。更にはマイクロコンピュータ19の成分データは計測信号としてアナログ出力され、ペンレコーダ等にリアルタイムで記録できるようにしても良い。或いはマイクロコンピュータ19による演算処理結果は、外部パーソナルコンピュータ21に転送して解析表示することも可能である。
【0015】
次に、発光部4と受光部5に各々接続する光ファイバー線路の構成例について説明する。
サンプル2に対向する検出端側で第1の光ファイバー13aと第2のファイバー13bとが開口端どうしが隣接してアレイ状に形成されている。具体的には、図3において、第1の光ファイバー13a及び第2の光ファイバー13bが複数本ずつアレイ状に束ねられて設けられる場合を例示している。第1の光ファイバー13aは検出端部で複数本まとめて第1の光ファイバーアレイ13cが形成されている。該第1の光ファイバーアレイ13cは入光インターフェース12に接続され、該入光インターフェース12は光合波器6に接続されている。また、第2の光ファイバー13bは検出端部で複数本まとめて第2の光ファイバーアレイ13dが形成されている。第2の光ファイバーアレイ13dは受光インターフェース14a、14b、…14nを介して受光素子15a、15b、…15nに接続されている。受光素子15a、15b、…15nで光電変換された電気信号は、マルチプレクサ22を経て受光素子増幅回路16に順次出力されて増幅された後、図1と同様に分離回路17により吸収光に対応した電気信号と参照光に対応した電気信号とに分離されて、成分出力回路18にて各々平滑増幅(直流化)された後、マイクロコンピュータ19に入力される。
【0016】
図4(a)(b)において、第2の光ファイバー13bの両側に第1の光ファイバー13aが隣接してアレイ状に形成されている。即ち、2本の第1の光ファイバー13aのうち一方を吸収光源7からの吸収光(波長λ1)の導光路として用い、他方を参照光源8からの参照光(波長λ2)の導光路として用いている(λ1>λ2)。第1の光ファイバー13a及び第2の光ファイバー13bは、開口端側で光ファイバーアレイ挿入ホルダ23aと光ファイバーアレイ押さえホルダ23bに挟み込まれて密接して並設される。光ファイバーアレイ挿入ホルダ23aには、第1、第2の光ファイバー13a、13bを収容する凹部23c(若しくは凹溝)が形成されており、該凹部23cに第2の光ファイバー13bの両側に第1の光ファイバー13aが隣接して収容される。光ファイバーアレイ挿入ホルダ23aと光ファイバーアレイ押さえホルダ23bとは、溶着、接着、凹凸嵌合など様々な構造で一体に組み合わされる。発光部4に光合波器6が不要であるので部品点数が減り装置コストを低減できるうえに、サンプル2からの反射光を効率良く取り込んで物質の成分分布が高精度に測定できる。尚、第2の光ファイバー13bの両側に第1の光ファイバー13aが隣接したアレイが、凹部23cに複数セット連続して設けられてもよいし、これらが複数列設けられていても良い。
【0017】
また、図5(a)(b)において、発光部4に接続する第1の光ファイバー13aと、受光部5に接続する第2の光ファイバー13bとが一対で交互に配列され、複数対アレイ状に形成されている。この場合、複数対設けられる第1、第2の光ファイバー13a、13bは、開口端側で光ファイバーアレイ挿入ホルダ23aと光ファイバーアレイ押さえホルダ23bに挟み込まれて隣接して並設される。光ファイバーアレイ挿入ホルダ23aには、光ファイバーを収容する凹部23c(若しくは凹溝)が形成されており、該凹部23cに第1、第2の光ファイバー13a、13bが交互に並んで複数対収容される。光ファイバーアレイ挿入ホルダ23aと光ファイバーアレイ押さえホルダ23bとは、溶着、接着、凹凸嵌合など様々な構造で一体に組み合わされる。尚、複数対の第1、第2の光ファイバー13a、13bは凹部23cに一列配置されていても良いが、複数列設けられていても良い。
【0018】
この場合、第1の光ファイバー13aは1本で吸収光(波長λ1)及び参照光(波長λ2)を光合波して導光するため、図1のように、第1の光ファイバー13aは入光用インターフェース12を介して光合波器6へ接続される。第1の光ファイバー13aは、光合波器6の吸収光源7及び参照光源8より各々照射される吸収光及び参照光を導光して直接サンプル2に照射する。また、第2の光ファイバー13bは、図1のように受光用インターフェース14を介して受光素子15に接続される。第2の光ファイバー13bは、サンプル2からの反射光を直接導光して受光素子15で受光するようになっている。
【0019】
また、図6において、サンプル2に対向する検出端側で第1の光ファイバー13aと第2の光ファイバー13bとが隣接して、例えばフレキシブルな金属細管24内に挿入されている。金属細管24は、例えば電鋳めっきにより形成される内径φ160μm程度のニッケル細管などが好適に用いられる。この場合第1、第2の光ファイバー13a、13bは外径φ80μmの金属細管24内で互いに外接するように挿入される。このように、第1、第2の光ファイバー13a、13bをカテーテル型に形成することで、微小空間に挿入して物質の成分分布を検出することや、生体内に挿入して被測定部からの特定物質を検出することもできる。尚、生体整合をとるため、金属細管24の表面には、抗菌材料、例えば金、白金などの金属めっきが施されているのが好ましい。
【0020】
また、検出する物質に応じて吸収光を照射する吸収光源7は脱着可能に設けられていると、検出物質(たとえば、水や油など)の吸光特性に応じた波長の光源と交換することで、一の物質のみならず他の物質の成分分布の検出を行うことができる。
【0021】
第1の光ファイバー13aより照射した吸収光及び参照光を照射して第2の光ファイバー13bで受光する場合、被測定部における凹凸や、光ファイバーアレイの開口端の姿勢によって、受光部5で受光する受光量が低下するおそれがある。一般に、図7(b)において、発光部4の検出端と被測定部までの距離をd、受光部5の受光量をLとすると、距離dと受光量Lとの間にはL∝1/d2の関係がある。このため、図7(a)において、サンプル2から第2の光ファイバー13bの端部までの距離dが長くなると、受光量が減少して検出精度に影響する。よって、第2の光ファイバー13bの開口端を第1の光ファイバー13aの開口端より下方に突出した状態でアレイ状に配置して反射光のみかけの光路長を短縮することで、光結合効率を向上させ、サンプル2の凹凸や受光部5における受光量の減少を補うことができ、安定した測定が行なえる。尚、第2の光ファイバー13bの突出量は任意であるが、突出量を大きくすると計測エリアを狭めるおそれもあるが、計測エリアが微小エリアであるため、測定に影響することはない。
【0022】
図8において、第1、第2の光ファイバー13a、13bよりなる光ファイバーアレイを収納する筒体(或いは図4(b)、図5(b)に示す凹溝状のホルダ)24を設け、該筒体24の第1の光ファイバー13aを囲む開口部内周面に鏡面部25を設けても良い。これにより、第1の光ファイバー13aよりサンプル2に向けて効率良く照射光(吸収光及び参照光)が各々照射され、サンプル2から反射光が拡散するのを鏡面部25により防ぎ、第2の受光ファイバー13bにおいて光結合効率を高めて受光することができる。具体的には、例えばニッケル製の金属筒体24に第1、第2の光ファイバー13a、13bよりなる光ファイバーアレイを収納する場合、開口端の内壁面に金めっきを施して鏡面部25が形成される。
【0023】
また、図9において第1、第2の光ファイバー13a、13bよりなる光ファイバーアレイにおいて、補助光ファイバー13eを設けて被測定部までの距離を測定するようにしてもよい。補助光ファイバー13eの光源には例えば赤色LEDが用いられ、光ファイバーアレイが被測定部であるサンプル2のいずれを測定しているのかを照射光のスポット(可視光)により視認することができる。また、サンプル2からの反射光を受光することで、サンプル2からの距離dを測定することができ、該測定距離に基づいて予め測定されたデータをもとに光量の絶対値を補正するようにしてもよい。具体的には、光量が足りない場合には、光源の駆動回路の発振パルス幅を広げるように制御しても良いし、演算回路により光量を所定の距離で測定した光量に補正するようにしてもよい。
【0024】
図10(a)〜(d)は、図7(a)から図9に示す第1、第2の光ファイバーの検出端部の構成を組み合わせた応用例を示すものである。図10(a)は、図7(a)に示す第2の光ファイバー13bの検出端を第1の光ファイバー13aの検出端より下方へ突出させて配置した構成と、図8に示す光ファイバーアレイを筒体24に収納する構造を組み合わせたものである。図10(b)は、図7(a)の第2の光ファイバー13bの検出端を第1の光ファイバー13aの検出端より下方へ突出させて配置した構成に、図9の補助光ファイバー13eを加えた構成を組み合わせたものである。図10(c)は、図8に示す光ファイバーアレイを筒体24に収納する構造と、図9の補助光ファイバー13eを加えた構成を組み合わせたものである。図10(d)は、図7(a)の第2の光ファイバー13bの検出端を吐出させ、図8の光ファイバーアレイを筒体24に収納し、図9の補助光ファイバー13eを加えた構成を示す。
いずれの態様も、サンプル2から反射する反射光の光結合効率を向上させることができ、補助光ファイバー13eを用いた場合には、光ファイバーアレイの検出端からサンプル2までの距離がばらついても測定された光量の絶対値を補正できるので、安定した計測が可能となる。
【0025】
更には、図11において、光ファイバーアレイを構成する各光ファイバー13a、13bは、反射率の高いコア26と反射率の低いクラッド27の同軸構造が用いられており、クラッド27の径方向の厚さを化学的方法(ケミカルエッチング等)或いは機械的方法(研磨等)により薄くすることで、サンプル2より反射する反射光の光結合効率を向上することができる。例えば、光ファイバー1本あたりのコア26の直径をφr1とし、クラッド27の直径をφr2とするとr1/(r1+r2)を1に近づけるようにr1とr2の比率を変えることで反射光の光結合効率を高めて受光することができるため、スポット的な物質の成分分布を高精細に検出できる。尚、図11は図7(a)の光ファイバーアレイについて適用した場合であるが、図8や図9の光ファイバーアレイについて適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】光学成分計のブロック構成図である。
【図2】光合波器の説明図である。
【図3】第1、第2の光ファイバーの検出端部の説明図である。
【図4】他例に係る第1、第2の光ファイバーの検出端部の説明図である。
【図5】他例に係る第1、第2の光ファイバーの検出端部の説明図である。
【図6】他例に係る第1、第2の光ファイバーの検出端部の説明図である。
【図7】他例に係る第1、第2の光ファイバーの検出端部の説明図及び受光量と検出距離との関係を示すグラフ図である。
【図8】他例に係る第1、第2の光ファイバーの検出端部の説明図である。
【図9】他例に係る第1、第2の光ファイバーの検出端部の説明図である。
【図10】他例に係る第1、第2の光ファイバーの検出端部のバリエーションを示す説明図である。
【図11】他例に係る第1、第2の光ファイバーの検出端部の説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1 光学成分計
2 サンプル
3 計測器本体
4 発光部
5 受光部
6 光合波器
7 吸収光源
8 参照光源
9 ハーフミラー
10 発振回路
11 光源駆動回路
12 入光インターフェース
13a 第1の光ファイバー
13b 第2の光ファイバー
13c 第1の光ファイバーアレイ
13d 第2の光ファイバーアレイ
13e 補助光ファイバー
14 受光インターフェース
15 受光素子
16 受光素子増幅回路
17 分離回路
18 成分出力回路
19 マイクロコンピュータ
20 表示部
21 外部パーソナルコンピュータ
22 マルチプレクサ
23a 光ファイバーアレイ挿入ホルダ
23b 光ファイバーアレイ押さえホルダ
23c 凹部
24 筒体
25 鏡面部
26 コア
27 クラッド



【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質の分光特性に応じて波長の異なる吸収光と参照光とを各々発光する複数の光源と、
吸収光と参照光とを第1の光ファイバーを通じて被測定部へ直接照射する発光部と、
被測定部からの反射光を第2の光ファイバーを通じて受光素子で直接受光する受光部と、
受光素子で光電変換された電気信号より被測定部からの吸収光及び参照光に対応する反射光レベルの比を算出して予め記憶したサンプルデータと比較することにより物質の成分データを特定し成分分布を解析する制御部を具備した光学成分計であって、
被測定部に対向する検出端側で、第1の光ファイバーと第2のファイバーとが開口端どうしが隣接してアレイ状に形成されていることを特徴とする光学成分計。
【請求項2】
第2の光ファイバーの両側に第1の光ファイバーが隣接してアレイ状に形成されることを特徴とする請求項1記載の光学成分計。
【請求項3】
第1の光ファイバーと第2の光ファイバーとが一対で交互に配列されて複数対アレイ状に形成されることを特徴とする請求項1記載の光学成分計。
【請求項4】
被測定部に対向する検出端側で第1の光ファイバーと第2の光ファイバーとが隣接して金属細管内に挿入されていることを特徴とする請求項1記載の光学成分計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−91008(P2006−91008A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−244151(P2005−244151)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(391026472)セラテックジャパン株式会社 (2)
【出願人】(804000015)株式会社信州TLO (30)
【Fターム(参考)】