説明

光学材料用内部離型剤及びそれを含む重合性組成物

【課題】本発明は、離型性、得られる樹脂の透明性ともにバランスの取れた、光学用透明樹脂として好適に使用されるポリチオウレタン樹脂を得ることができる光学材料用内部離型剤を提供することである。
【解決手段】一般式(1)で表されるリン酸モノエステル(A)30重量%〜99重量%と一般式(2)で表されるリン酸ジエステル(B)70重量%〜1重量%を含んでなる光学材料用内部離型剤(ただし、(A)と(B)の合計を100重量%とする。)を用いることにより、離型性、得られる樹脂の透明性ともにバランスの取れた、光学用透明樹脂として好適に使用されるポリチオウレタン樹脂を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学材料用内部離型剤、ポリチオウレタン樹脂を与える重合性組成物及びそれより得られる光学材料及びその製造方法に関するものである。本発明によって得られるポリチオウレタン樹脂は、プラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー、情報記録基板、フィルター、発光ダイオード等の光学材料等に用いられ、特に眼鏡用プラスチックレンズ材料として好適に使用される。
【背景技術】
【0002】
プラスチックレンズは、無機レンズに比べ軽量で割れ難く、染色が可能なため近年、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学素子に急速に普及してきている。これまでに様々なレンズ用樹脂素材が開発され使用されており、その中でも代表的な例として、ポリチオール化合物とポリイソシアナート化合物から得られるポリチオウレタン樹脂が挙げられる(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5)。
【0003】
ポリチオウレタン樹脂からなるプラスチックレンズを注型重合によって製造する際に、鋳型からの離型性向上のために、該重合性組成物に酸性リン酸エステル等の内部離型剤を添加する場合がある。光学材料用内部離型剤として使用される酸性リン酸エステル、中でも、アルキル鎖を持つ酸性リン酸エステルに関しては様々な技術が開示されており、特許第2133610号公報では炭素数1〜8のアルキル鎖を持つリン酸ジエステル、特表2001−505232号公報では炭素数2〜6のアルキル鎖を持つリン酸モノ、ジエステル混合物、特開2002−234997号公報には炭素数9〜30のアルキル鎖を持つリン酸モノ、ジエステル混合物が報告されている(特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9)。
【0004】
上記に挙げた特許第2133610号公報に記載の炭素数1〜8のアルキル鎖を持つリン酸ジエステルは、該公報の実施例に記載されているように、重合性組成物100重量部に対して、該酸性リン酸エステルは0.6重量部から2.5重量部と多く、また特表2001−505232号公報に記載の炭素数2〜6のアルキル鎖を持つリン酸モノ、ジエステル混合物も、該公報の実施例に記載されているように、重合性組成物100重量部に対して0.5重量部から0.8重量部と多いために、得られる樹脂の物性低下を招く場合があった。そのため光学材料用内部離型剤の添加量を少なくすることを目的に、離型性良好な光学材料用内部離型剤の開発が望まれている。また特開2002−234997号公報に記載の炭素数9〜30のアルキル鎖を持つリン酸モノ、ジエステル混合物においては、離型性は良好なものの、得られる樹脂が白濁する場合があり、透明性を要求される光学材料として適さない場合があった。
【特許文献1】特許第1789084号公報
【特許文献2】特許第2621991号公報
【特許文献3】特許第3444682号公報
【特許文献4】特許第2668364号公報
【特許文献5】特許第2031181号公報
【特許文献6】特許第2141014号公報
【特許文献7】特許第2133610号公報
【特許文献8】特表2001−505232号公報
【特許文献9】特開2002−234997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、離型性、得られる樹脂の透明性ともにバランスの取れた、光学用透明樹脂として好適に使用されるポリチオウレタン樹脂が得られる光学材料用内部離型剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を行ってきた。その結果、アルキル鎖の炭素数8である、一般式(1)で表されるリン酸モノエステル(A)30重量%〜99重量%と一般式(2)で表されるリン酸ジエステル(B)70重量%〜1重量%を含んでなる光学材料用内部離型剤(ただし、(A)と(B)の合計を100重量%とする。)を用いることで、重合性組成物100重量部に対して0.05から0.40重量部という、少ない添加量で良好な離型性を発現し、且つ得られる樹脂の透明性も良好なポリチオウレタン樹脂を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は
[1] 一般式(1)で表されるリン酸モノエステル(A)30重量%〜99重量%と一般式(2)で表されるリン酸ジエステル(B)70重量%〜1重量%を含んでなる光学材料用内部離型剤(ただし、(A)と(B)の合計を100重量%とする。)に関する。
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、Rは炭素数8の脂肪族または芳香族有機残基を示す。)
【0010】
【化2】

【0011】
(式中、R、Rは炭素数8の脂肪族または芳香族有機残基を示す。R、Rはそれぞれ結合して環を構成してもよく、同一でも異なっていてもよい。)
以下、[2]から[9]は、それぞれ本発明の好ましい実施態様の1つである。
【0012】
[2] リン酸モノエステル(A)がリン酸モノ−2−エチルへキシル、リン酸モノ−n−オクチルより選ばれる一種または二種以上の化合物であり、リン酸ジエステル(B)がリン酸ジ−2−エチルへキシル、リン酸ジ−n−オクチルより選ばれる一種または二種以上の化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の光学材料用内部離型剤。
[3] イソ(チオ)シアナート類と活性水素化合物類の合計100重量部に対して、請求項1から2のいずれかに記載の光学材料用内部離型剤を0.05から0.40重量部含有することを特徴とする、ポリチオウレタン系重合性組成物。
[4] イソシアナート類におけるイソシアナト基とイソチオシアナト基の官能基数に対する、活性水素化合物類におけるメルカプト基と水酸基の官能基数の比率が0.8から1.2の範囲内であることを特徴とする、[3]に記載の重合性組成物。
【0013】
[5] イソシアナート類がm−キシリレンジイソシアナート、2,5−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよびヘキサメチレンジイソシアナートより選ばれる一種または二種以上の化合物であり、活性水素化合物類が4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアンおよび2−(2,2−ビス(メルカプトジメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタンより選ばれる一種または二種以上の化合物であることを特徴とする、[3]または[4]のいずれかに記載の重合性組成物。
【0014】
[6] [3]から[5]のいずれかに記載の重合性組成物を加熱硬化させて得られるポリチオウレタン樹脂。
[7] [6]記載のポリチオウレタン樹脂からなる光学材料。
[8] [7]記載の光学材料からなるプラスチックレンズ。
[9] [3]から[5]のいずれかに記載の重合性組成物を注型重合することを特徴とする、ポリチオウレタン樹脂の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、離型性良好で、且つ得られる樹脂の透明性も良好なポリチオウレタン樹脂を得ることができる、光学材料用内部離型剤を見出した。このような光学材料用内部離型剤は、高い屈折率および高い透明性が要求されるプラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー、情報記録基板、フィルター、発光ダイオード等の光学材料等の樹脂分野、特に眼鏡用プラスチックレンズ材料の分野において好適に使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、一般式(1)で表されるリン酸モノエステル(A)30重量%〜99重量%と一般式(2)で表されるリン酸ジエステル(B)70重量%〜1重量%を含んでなる光学材料用内部離型剤(ただし、(A)と(B)の合計を100重量%とする。)に関する。
【0017】
本発明で示すリン酸モノエステルとは、一般式(1)で示される化合物で、式中のRが炭素数8の脂肪族または芳香族有機残基を示す化合物をいう。
【0018】
一般式(1)中のRとしては、炭素数8の脂肪族または芳香族有機残基であれば特に限定されないが、好ましくは脂肪族化合物から誘導される有機残基、環状脂肪族化合物から誘導される有機残基、芳香族化合物から誘導される有機残基等が挙げられる。
【0019】
脂肪族化合物から誘導される有機残基としては、たとえば、オクタン、メチルへプタン、ジメチルヘキサン、エチルヘキサン、トリメチルペンタン、エチルメチルペンタン、プロピルペンタン、オクテン、メチルへプテン、ジメチルヘキセン、エチルヘキセン、トリメチルペンテン、エチルメチルペンテン、プロピルペンテン、オクチン、メチルへプチン、ジメチルヘキシン、エチルヘキシン、トリメチルペンチン、エチルメチルペンチン、プロピルペンチン等から誘導される有機残基が挙げられる。
【0020】
環状脂肪族化合物から誘導される有機残基としては、たとえば、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トリメチルシクロペンタン、エチルメチルシクロペンタン、プロピルシクロペンタン、テトラメチルシクロブタン、ジエチルシクロブタン、メチルプロピルシクロブタン、ブチルシクロブタン、ジメチルシクロヘキセン、エチルシクロヘキセン、トリメチルシクロペンテン、エチルメチルシクロペンテン、プロピルシクロペンテン、テトラメチルシクロブテン、ジエチルシクロブテン、メチルプロピルシクロブテン、ブチルシクロブテン等から誘導される有機残基が挙げられる。
【0021】
芳香族化合物から誘導される有機残基としては、ジメチルベンゼン、エチルベンゼン等から誘導される有機残基が挙げられるが、これら例示有機残基のみに限定されるものではない。
【0022】
これら例示した一般式(1)中のRのうち、脂肪族化合物から誘導される有機残基、環状脂肪族化合物から誘導される有機残基が好ましい。さらに好ましくは、脂肪族化合物から誘導される有機残基であり、より好ましくは、飽和脂肪族炭化水素化合物から誘導される有機残基である。
【0023】
本発明で示すリン酸モノエステルとしては、たとえば、脂肪族残基を持つリン酸モノエステル、環状脂肪族残基を持つモノリン酸エステル、芳香族残基を持つリン酸モノエステル等が挙げられる。
【0024】
脂肪族残基を持つリン酸モノエステルとしては、リン酸モノ−n−オクチル、リン酸モノメチルへプチル、リン酸モノジメチルヘキシル、リン酸モノエチルヘキシル、リン酸モノトリメチルペンチル、リン酸モノエチルメチルペンチル、リン酸モノプロピルペンチル、リン酸モノ−n−オクテニル、リン酸モノメチルへプテニル、リン酸モノジメチルヘキセニル、リン酸モノエチルヘキセニル、リン酸モノトリメチルペンテニル、リン酸モノエチルメチルペンテニル、リン酸モノプロピルペンテニル、リン酸モノ−n−オクチニル、リン酸モノメチルへプチニル、リン酸モノジメチルヘキシニル、リン酸モノエチルヘキシニル、リン酸モノトリメチルペンチニル、リン酸モノエチルメチルペンチニル、リン酸モノプロピルペンチニル等が挙げられる。
【0025】
環状脂肪族残基を持つリン酸モノエステルとしては、リン酸モノジメチルシクロヘキシル、リン酸モノエチルシクロヘキシル、リン酸モノトリメチルシクロペンチル、リン酸モノエチルメチルシクロペンチル、リン酸モノプロピルシクロペンチル、リン酸モノテトラメチルシクロブチル、リン酸モノジエチルシクロブチル、リン酸モノメチルプロピルシクロブチル、リン酸モノブチルシクロブチル、リン酸モノジメチルシクロヘキセニル、リン酸モノエチルシクロヘキセニル、リン酸モノトリメチルシクロペンテニル、リン酸モノエチルメチルシクロペンテニル、リン酸モノプロピルシクロペンテニル、リン酸モノテトラメチルシクロブテニル、リン酸モノジエチルシクロブテニル、リン酸モノメチルプロピルシクロブテニル、リン酸モノブチルシクロブテニル等が挙げられる。
【0026】
芳香族残基を持つリン酸モノエステルとしては、リン酸モノジメチルフェニル、リン酸モノエチルフェニル等が挙げられるが、これら例示化合物のみに限定されるものではない。
【0027】
これら例示化合物のうち、リン酸モノ−n−オクチル、リン酸モノメチルへプチル、リン酸モノジメチルヘキシル、リン酸モノエチルヘキシル、リン酸モノトリメチルペンチル、リン酸モノエチルメチルペンチル、リン酸モノプロピルペンチルがより好ましい。さらに好ましくは、リン酸モノ−2−エチルヘキシル、リン酸モノ−n−オクチルである。これらリン酸モノエステルは単独でも、2種類以上を混合しても使用することができる。
【0028】
本発明で示すリン酸ジエステルとは、一般式(2)で示される化合物で、式中のR、Rが炭素数8の脂肪族または芳香族有機残基を示す化合物をいう。R、Rはそれぞれ結合して環を構成してもよく、同一でも異なっていてもよい。
【0029】
一般式(1)中のR、Rとしては、炭素数8の脂肪族または芳香族有機残基であれば特に限定されないが、好ましくは脂肪族化合物から誘導される有機残基、環状脂肪族化合物から誘導される有機残基、芳香族化合物から誘導される有機残基等が挙げられる。
【0030】
脂肪族化合物から誘導される有機残基としては、たとえば、オクタン、メチルへプタン、ジメチルヘキサン、エチルヘキサン、トリメチルペンタン、エチルメチルペンタン、プロピルペンタン、オクテン、メチルへプテン、ジメチルヘキセン、エチルヘキセン、トリメチルペンテン、エチルメチルペンテン、プロピルペンテン、オクチン、メチルへプチン、ジメチルヘキシン、エチルヘキシン、トリメチルペンチン、エチルメチルペンチン、プロピルペンチン等から誘導される有機残基が挙げられる。
【0031】
環状脂肪族化合物から誘導される有機残基としては、たとえば、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トリメチルシクロペンタン、エチルメチルシクロペンタン、プロピルシクロペンタン、テトラメチルシクロブタン、ジエチルシクロブタン、メチルプロピルシクロブタン、ブチルシクロブタン、ジメチルシクロヘキセン、エチルシクロヘキセン、トリメチルシクロペンテン、エチルメチルシクロペンテン、プロピルシクロペンテン、テトラメチルシクロブテン、ジエチルシクロブテン、メチルプロピルシクロブテン、ブチルシクロブテン等から誘導される有機残基が挙げられる。
【0032】
芳香族化合物から誘導される有機残基としては、ジメチルベンゼン、エチルベンゼン等から誘導される有機残基が挙げられるが、これら例示化合物のみに限定されるものではない。
【0033】
これら例示した一般式(2)中のR、Rのうち、脂肪族化合物から誘導される有機残基、環状脂肪族化合物から誘導される有機残基がより好ましい。さらに好ましくは、脂肪族化合物から誘導される有機残基である。
【0034】
本発明で示すリン酸ジエステルとしては、たとえば、脂肪族残基を持つリン酸ジエステル、環状脂肪族残基を持つリン酸ジエステル、芳香族残基を持つリン酸ジエステル等が挙げられる。
【0035】
脂肪族残基を持つリン酸ジエステルとしては、リン酸ジ−n−オクチル、リン酸ジ(メチルへプチル)、リン酸ジ(ジメチルヘキシル)、リン酸ジ(エチルヘキシル)、リン酸ジ(トリメチルペンチル)、リン酸ジ(エチルメチルペンチル)、リン酸ジ(プロピルペンチル)、リン酸(メチルへプチル)(n−オクチル)、リン酸(ジメチルヘキシル)(n−オクチル)、リン酸(エチルヘキシル)(n−オクチル)、リン酸(n−オクチル)(トリメチルペンチル)、リン酸(エチルメチルペンチル)(n−オクチル)、リン酸(n−オクチル)(プロピルペンチル)、リン酸(ジメチルヘキシル)(メチルへプチル)、リン酸(エチルヘキシル)(メチルへプチル)、リン酸(メチルへプチル)(トリメチルペンチル)、リン酸(エチルメチルペンチル)(メチルへプチル)、リン酸(メチルへプチル)(プロピルペンチル)、リン酸(ジメチルヘキシル)(エチルヘキシル)、リン酸(ジメチルヘキシル)(トリメチルペンチル)、リン酸(ジメチルヘキシル)(エチルメチルペンチル)、リン酸(ジメチルヘキシル)(プロピルペンチル)、リン酸(エチルヘキシル)(トリメチルペンチル)、リン酸(エチルヘキシル)(エチルメチルペンチル)、リン酸(エチルヘキシル)(プロピルペンチル)等が挙げられる。
【0036】
環状脂肪族残基を持つリン酸ジエステルとしては、リン酸ジ(ジメチルシクロヘキシル)、リン酸ジ(エチルシクロヘキシル)、リン酸ジ(トリメチルシクロペンチル)、リン酸ジ(エチルメチルシクロペンチル)、リン酸ジ(プロピルシクロペンチル)、リン酸(ジメチルシクロヘキシル)(エチルシクロヘキシル)、リン酸(ジメチルシクロヘキシル)(トリメチルシクロペンチル)、リン酸(ジメチルシクロヘキシル)(エチルメチルシクロペンチル)、リン酸(ジメチルシクロヘキシル)(プロピルシクロペンチル)、リン酸(エチルシクロヘキシル)(トリメチルシクロペンチル)、リン酸(エチルシクロヘキシル)(エチルメチルシクロペンチル)、リン酸(エチルシクロヘキシル)(プロピルシクロペンチル)、リン酸(エチルメチルシクロペンチル)(トリメチルシクロペンチル)、リン酸(プロピルシクロペンチル)(トリメチルシクロペンチル)、リン酸(エチルメチルシクロペンチル)(プロピルシクロペンチル)、リン酸(ジメチルシクロヘキシル)(n−オクチル)、リン酸(ジメチルシクロヘキシル)(メチルへプチル)、リン酸(ジメチルシクロヘキシル)(ジメチルヘキシル)、リン酸(ジメチルシクロヘキシル)(エチルヘキシル)、リン酸(ジメチルシクロヘキシル)(トリメチルペンチル)、リン酸(ジメチルシクロヘキシル)(エチルメチルペンチル)、リン酸(ジメチルシクロヘキシル)(プロピルペンチル)、リン酸(エチルシクロヘキシル)(n−オクチル)、リン酸(エチルシクロヘキシル)(メチルへプチル)、リン酸(ジメチルヘキシル(エチルシクロヘキシル))、リン酸(エチルシクロヘキシル)(エチルヘキシル)、リン酸(エチルシクロヘキシル)(トリメチルペンチル)、リン酸(エチルシクロヘキシル)(エチルメチルペンチル)、リン酸(エチルシクロヘキシル)(プロピルペンチル)等が挙げられる。
【0037】
芳香族残基を持つリン酸ジエステルとしては、リン酸ジ(ジメチルフェニル)、リン酸ジ(エチルフェニル)、リン酸(ジメチルフェニル)(n−オクチル)、リン酸(ジメチルフェニル)(メチルへプチル)、リン酸(ジメチルヘキシル)(ジメチルフェニル)、リン酸(ジメチルフェニル)(エチルヘキシル)、リン酸(ジメチルフェニル)(トリメチルペンチル)、リン酸(ジメチルフェニル)(エチルメチルペンチル)、リン酸(ジメチルフェニル)(プロピルペンチル)、リン酸(エチルフェニル)(n−オクチル)、リン酸(エチルフェニル)(メチルへプチル)、リン酸(ジメチルヘキシル)(エチルフェニル)、リン酸(エチルヘキシル)(エチルフェニル)、リン酸(エチルフェニル)(トリメチルペンチル)、リン酸(エチルメチルペンチル)(エチルフェニル)、リン酸(エチルフェニル)(プロピルペンチル)、リン酸(ジメチルシクロヘキシル)(ジメチルフェニル)、リン酸(ジメチルフェニル)(エチルシクロヘキシル)、リン酸(ジメチルフェニル)(トリメチルシクロペンチル)、リン酸(ジメチルフェニル)(エチルメチルシクロペンチル)、リン酸(ジメチルフェニル)(プロピルシクロペンチル)、リン酸(ジメチルシクロヘキシル)(エチルフェニル)、リン酸(エチルシクロヘキシル)(エチルフェニル)、リン酸(エチルフェニル)(トリメチルシクロペンチル)、リン酸(エチルメチルシクロペンチル)(エチルフェニル)、リン酸(エチルフェニル)(プロピルシクロペンチル)等が挙げられるが、これら例示化合物のみに限定されるものではない。
【0038】
これら例示化合物のうち、リン酸ジ−n−オクチル、リン酸ジ(メチルへプチル)、リン酸ジ(ジメチルヘキシル)、リン酸ジ(エチルヘキシル)、リン酸ジ(トリメチルペンチル)、リン酸ジ(エチルメチルペンチル)、リン酸ジ(プロピルペンチル)、リン酸ジ(ジメチルシクロヘキシル)、リン酸ジ(エチルシクロヘキシル)、リン酸ジ(トリメチルシクロペンチル)、リン酸ジ(エチルメチルシクロペンチル)、リン酸ジ(プロピルシクロペンチル)がより好ましい。さらに好ましくは、リン酸ジ−2−エチルヘキシル、リン酸ジ−n−オクチルである。これらリン酸ジエステルは単独でも、2種類以上を混合しても使用することができる。
【0039】
本発明に係る光学材料用内部離型剤とは、一般式(1)で表されるリン酸モノエステル(A)30重量%〜99重量%と一般式(2)で表されるリン酸ジエステル(B)70重量%〜1重量%を含んでなるものをいう。好ましくは、リン酸モノエステル(A)30重量%〜70重量%とリン酸ジエステル(B)70重量%〜30重量%、さらに好ましくは、リン酸モノエステル(A)35重量%〜65重量%とリン酸ジエステル(B)65重量%〜35重量%である(ただし、(A)と(B)の合計を100重量%とする。)。また本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を含んでいても良い。前記範囲内で、良好な離型性、得られる樹脂の透明性が得られ、また従来と同様なポリチオウレタン樹脂の物性が得られ、好ましい。
【0040】
本発明で示す光学材料用内部離型剤の使用量は、イソ(チオ)シアナート類と活性水素化合物類との合計100重量部に対して、0.05重量部から0.40重量部の範囲であり、0.06重量部から0.30重量部の範囲が好ましく、0.08から0.20重量部の範囲がより好ましい。前記範囲内で、良好な離型性、得られる樹脂の透明性が得られ、また従来と同様なポリチオウレタン樹脂の物性が得られ、好ましい。これら使用量は、使用するモノマーや触媒の種類と使用量、成形物の形により適宜決められる。
【0041】
本発明で示すポリチオウレタン系重合性組成物とは、イソ(チオ)シアナート類、活性水素化合物類及び光学材料用内部離型剤を含む重合性組成物をいい、
本発明で示すポリチオウレタン樹脂は、前記重合性組成物を主成分とする組成物を重合してなる樹脂をいう。
【0042】
本発明で示すイソ(チオ)シアナート類とは、分子内に少なくとも1以上のイソシアナト基および/またはイソチオシアナト基を有する化合物をいう。アルキル基、脂肪族環、芳香環を含んでもよい、脂肪族または芳香族化合物であり、イソシアナト基およびイソチオシアナト基以外の官能基を有していてもよい。また分子内に硫黄原子等を含んでいてもよい。また二量体、三量体、プレポリマーを含んでいてもよい。好ましくは、2から4のイソシアナト基および/またはイソチオシアナト基を有する脂肪族または芳香族化合物であり、さらに好ましくは、2から3のイソシアナト基を有する脂肪族または芳香族化合物である。
【0043】
本発明で示すイソ(チオ)シアナート類としては、たとえば、脂肪族イソシアナート化合物、脂環族イソシアナート化合物、芳香族イソシアナート化合物、含硫脂肪族イソシアナート化合物、含硫芳香族イソシアナート化合物、複素環イソシアナート化合物、脂肪族イソチオシアナート化合物、脂環族イソチオシアナート化合物、芳香族イソチオシアナート化合物、含硫脂肪族イソチオシアナート化合物、含硫芳香族イソチオシアナート化合物、複素環イソチオシアナート化合物等が挙げられる。
【0044】
脂肪族イソシアナート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアナート、2,2−ジメチルペンタンジイソシアナート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアナート、ブテンジイソシアナート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、1,6,11−ウンデカトリイソシアナート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアナート、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル等が挙げられる。
【0045】
脂環族イソシアナート化合物としては、イソホロンジイソシアナート、1,2−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、シクロヘキサンジイソシアナート、メチルシクロヘキサンジイソシアナート、ジシクロヘキシルジメチルメタンイソシアナート、2,2−ジメチルジシクロヘキシルメタンイソシアナート、2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタン、3,8−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、3,9−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,8−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,9−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン等が挙げられる。
【0046】
芳香族イソシアナート化合物としては、o−キシリレンジイソシアナート、m−キシリレンジイソシアナート、p−キシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトプロピル)ベンゼン、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトブチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)ナフタリン、ビス(イソシアナトメチル)ジフェニルエーテル、フェニレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、エチルフェニレンジイソシアナート、イソプロピルフェニレンジイソシアナート、ジメチルフェニレンジイソシアナート、ジエチルフェニレンジイソシアナート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアナート、トリメチルベンゼントリイソシアナート、ベンゼントリイソシアナート、ビフェニルジイソシアナート、トルイジンジイソシアナート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアナート、3,3−ジメチルジフェニルメタン−4,4−ジイソシアナート、ビベンジル−4,4−ジイソシアナート、ビス(イソシアナトフェニル)エチレン、3,3−ジメトキシビフェニル−4,4−ジイソシアナート、ヘキサヒドロベンゼンジイソシアナート、ヘキサヒドロジフェニルメタン−4,4−ジイソシアナート等が挙げられる。
【0047】
含硫脂肪族イソシアナート化合物としては、ビス(イソシアナトエチル)スルフィド、ビス(イソシアナトプロピル)スルフィド、ビス(イソシアナトヘキシル)スルフィド、ビス(イソシアナトメチル)スルホン、ビス(イソシアナトメチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトプロピル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトメチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)エタン、ビス(イソシアナトメチルチオ)エタン、1,5−ジイソシアナト−2−イソシアナトメチル−3−チアペンタン等が挙げられる。
【0048】
含硫芳香族イソシアナート化合物としては、ジフェニルスルフィド−2,4−ジイソシアナート、ジフェニルスルフィド−4,4−ジイソシアナート、3,3−ジメトキシ−4,4−ジイソシアナトジベンジルチオエーテル、ビス(4−イソシアナトメチルベンゼン)スルフィド、4,4−メトキシベンゼンチオエチレングリコール−3,3−ジイソシアナート、ジフェニルジスルフィド−4,4−ジイソシアナート、2,2−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5−ジイソシアナート、3,3−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5−ジイソシアナート、3,3−ジメチルジフェニルジスルフィド−6,6−ジイソシアナート、4,4−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5−ジイソシアナート、3,3−ジメトキシジフェニルジスルフィド−4,4−ジイソシアナート、4,4−ジメトキシジフェニルジスルフィド−3,3−ジイソシアナート等が挙げられる。
【0049】
複素環イソシアナート化合物としては、2,5−ジイソシアナトチオフェン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)チオフェン、2,5−ジイソシアナトテトラヒドロチオフェン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、3,4−ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、2,5−ジイソシアナト−1,4−ジチアン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,4−ジチアン、4,5−ジイソシアナト−1,3−ジチオラン、4,5−ビス(イソシアナト−メチル)−1,3−ジチオラン、4,5−ビス(イソシアナトメチル)−2−メチル−1,3−ジチオラン等が挙げられるが、これら例示化合物のみに限定されるものではない。
【0050】
脂肪族イソチオシアナート化合物としては、ヘキサメチレンジイソチオシアナート、2,2−ジメチルペンタンジイソチオシアナート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソチオシアナート、ブテンジイソチオシアナート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソチオシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソチオシアナート、1,6,11−ウンデカトリイソチオシアナート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソチオシアナート、1,8−ジイソチオシアナト−4−イソチオシアナートメチルオクタン、ビス(イソチオシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソチオシアナトエチル)エーテル等が挙げられる。
【0051】
脂環族イソチオシアナート化合物としては、イソホロンジイソチオシアナート、1,2−ビス(イソチオシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソチオシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソチオシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソチオシアナート、シクロヘキサンジイソチオシアナート、メチルシクロヘキサンジイソチオシアナート、ジシクロヘキシルジメチルメタンイソチオシアナート、2,2−ジメチルジシクロヘキシルメタンイソチオシアナート、2,5−ビス(イソチオシアナトメチル)ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタン、2,6−ビス(イソチオシアナトメチル)ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタン、3,8−ビス(イソチオシアナトメチル)トリシクロデカン、3,9−ビス(イソチオシアナトメチル)トリシクロデカン、4,8−ビス(イソチオシアナトメチル)トリシクロデカン、4,9−ビス(イソチオシアナトメチル)トリシクロデカン等が挙げられる。
【0052】
芳香族イソチオシアナート化合物としては、o−キシリレンジイソチオシアナート、m−キシリレンジイソチオシアナート、p−キシリレンジイソチオシアナート、ビス(イソチオシアナトエチル)ベンゼン、ビス(イソチオシアナトプロピル)ベンゼン、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソチオシアナート、ビス(イソチオシアナトブチル)ベンゼン、ビス(イソチオシアナトメチル)ナフタリン、ビス(イソチオシアナトメチル)ジフェニルエーテル、フェニレンジイソチオシアナート、トリレンジイソチオシアナート、エチルフェニレンジイソチオシアナート、イソプロピルフェニレンジイソチオシアナート、ジメチルフェニレンジイソチオシアナート、ジエチルフェニレンジイソチオシアナート、ジイソプロピルフェニレンジイソチオシアナート、トリメチルベンゼントリイソチオシアナート、ベンゼントリイソチオシアナート、ビフェニルジイソチオシアナート、トルイジンジイソチオシアナート、4,4−ジフェニルメタンジイソチオシアナート、3,3−ジメチルジフェニルメタン−4,4−ジイソチオシアナート、ビベンジル−4,4−ジイソチオシアナート、ビス(イソチオシアナトフェニル)エチレン、3,3−ジメトキシビフェニル−4,4−ジイソチオシアナート、フェニルイソチオシアナトエチルイソシアナート、ヘキサヒドロベンゼンジイソチオシアナート、ヘキサヒドロジフェニルメタン−4,4−ジイソチオシアナート等が挙げられる。
【0053】
含硫脂肪族イソチオシアナート化合物としては、ビス(イソチオシアナトエチル)スルフィド、ビス(イソチオシアナトプロピル)スルフィド、ビス(イソチオシアナトヘキシル)スルフィド、ビス(イソチオシアナトメチル)スルホン、ビス(イソチオシアナトメチル)ジスルフィド、ビス(イソチオシアナトプロピル)ジスルフィド、ビス(イソチオシアナトメチルチオ)メタン、ビス(イソチオシアナトエチルチオ)メタン、ビス(イソチオシアナトエチルチオ)エタン、ビス(イソチオシアナトメチルチオ)エタン、1,5−ジイソチオシアナト−2−イソチオシアナトメチル−3−チアペンタン等が挙げられる。
【0054】
含硫芳香族イソチオシアナート化合物としては、ジフェニルスルフィド−2,4−ジイソチオシアナート、ジフェニルスルフィド−4,4−ジイソチオシアナート、3,3−ジメトキシ−4,4−ジイソチオシアナトジベンジルチオエーテル、ビス(4−イソチオシアナトメチルベンゼン)スルフィド、4,4−メトキシベンゼンチオエチレングリコール−3,3−ジイソチオシアナート、ジフェニルジスルフィド−4,4−ジイソチオシアナート、2,2−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5−ジイソチオシアナート、3,3−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5−ジイソチオシアナート、3,3−ジメチルジフェニルジスルフィド−6,6−ジイソチオシアナート、4,4−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5−ジイソチオシアナート、3,3−ジメトキシジフェニルジスルフィド−4,4−ジイソチオシアナート、4,4−ジメトキシジフェニルジスルフィド−3,3−ジイソチオシアナート等が挙げられる。
【0055】
複素環イソチオシアナート化合物としては、2,5−ジイソチオシアナトチオフェン、2,5−ビス(イソチオシアナトメチル)チオフェン、2,5−ジイソチオシアナトテトラヒドロチオフェン、2,5−ビス(イソチオシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、3,4−ビス(イソチオシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、2,5−ジイソチオシアナト−1,4−ジチアン、2,5−ビス(イソチオシアナトメチル)−1,4−ジチアン、4,5−ジイソチオシアナト−1,3−ジチオラン、4,5−ビス(イソチオシアナトメチル)−1,3−ジチオラン、4,5−ビス(イソチオシアナトメチル)−2−メチル−1,3−ジチオラン等が挙げられるが、これら例示化合物のみに限定されるものではない。
【0056】
これら例示化合物のうち、脂肪族イソシアナート化合物、脂環族イソシアナート化合物が好ましく、m−キシリレンジイソシアナート、2,5−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアナートがより好ましい。これらイソ(チオ)シアナート類は単独でも、2種類以上を混合しても使用することができる。
【0057】
本発明で示す活性水素化合物類とは、分子内に少なくとも1以上の水酸基および/またはメルカプト基を有する化合物をいう。アルキル基、脂肪族環、芳香環を含んでもよい、脂肪族または芳香族化合物であり、水酸基およびメルカプト基以外の官能基を有していてもよい。また分子内に硫黄原子等を含んでいてもよい。好ましくは、2から4の水酸基および/またはメルカプト基を有する脂肪族または芳香族化合物であり、さらに好ましくは、2から4のメルカプト基を有する脂肪族または芳香族化合物である。
【0058】
本発明で示す活性水素化合物類としては、たとえば、脂肪族チオール化合物、エステル結合を含む脂肪族チオール化合物、複素環チオール化合物、ジチオアセタールもしくはジチオケタール骨格を有するチオール化合物、オルトトリチオ蟻酸エステル骨格を有するチオール化合物、水酸基を有するチオール化合物、アルコール化合物等が挙げられる。
【0059】
脂肪族チオール化合物としては、メタンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,1−プロパンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、2,2−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,2,3−プロパントリチオール、1,1−シクロヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2−メチルシクロヘキサン−2,3−ジチオール、1,1−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、1,2−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2−メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3−メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,2−ビス(3−メルカプトプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,3−ビス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2−メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3−メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5−ジメルカプト−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトメチル−2,5−ジメチル−1,4−ジチアン等が挙げられる。
【0060】
エステル結合を含む脂肪族チオール化合物としては、2,3−ジメルカプトコハク酸(2−メルカプトエチルエステル)、チオリン、ゴ酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノ−ル(2−メルカプトアセテート)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(3−メルカプトプロピオネート)、3−メルカプト−1,2−プロパンジオールジ(2−メルカプトアセテート)、3−メルカプト−1,2−プロパンジオールジ(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、グリセリントリス(2−メルカプトアセテート)、グリセリントリス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−シクロヘキサンジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−シクロヘキサンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、これらのチオグリコール酸およびメルカプトプロピオン酸のエステル、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピネート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピネート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(2−メルカプトアセテート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、チオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−チオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−ジチオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)等が挙げられる。
【0061】
芳香族チオール化合物としては、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、2,5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,3−ジ(p−メトキシフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、1,3−ジフェニルプロパン−2,2−ジチオール、フェニルメタン−1,1−ジチオール、2,4−ジ(p−メルカプトフェニル)ペンタン、1,4−ナフタレンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、2,6−ナフタレンジチオール、2,7−ナフタレンジチオール、2,4−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、4,5−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、9,10−アントラセンジメタンチオール、1,2,3,4−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,4,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、2,2´−ジメルカプトビフェニル、4,4´−ジメルカプトビフェニル、4,4´−ジメルカプトビベンジル、2,5−ジクロロベンゼン−1,3−ジチオール、1,3−ジ(p−クロロフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、3,4,5−トリブロム−1,2−ジメルカプトベンゼン、2,3,4,6−テトラクロル−1,5−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン等が挙げられる。
【0062】
複素環チオール化合物としては、2−メチルアミノ−4,6−ジチオールsym−トリアジン、2−エチルアミノ−4,6−ジチオールsym−トリアジン、2−アミノ−4,6−ジチオールsym−トリアジン、2−モルホリノ−4,6−ジチオールsym−トリアジン、2−シクロヘキシルアミノ−4,6−ジチオールsym−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ジチオールsym−トリアジン、2−フェノキシ−4,6−ジチオールsym−トリアジン、2−チオベンゼンオキシ−4,6−ジチオールsym−トリアジン、2−チオブチルオキシ−4,6−ジチオールsym−トリアジン、3,4−チオフェンジチオール、ビスムチオール等が挙げられる。
【0063】
ジチオアセタールもしくはジチオケタール骨格を有するチオール化合物としては、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,1,2,2−テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアン、1,1,5,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−3−チアペンタン、1,1,6,6−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−3,4−ジチアヘキサン、2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エタンチオール、2−(4,5−ジメルカプト−2−チアペンチル)−1,3−ジチアシクロペンタン、2,5−ビス(4,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−2−チアブチル)−1,4−ジチアン、2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−プロパンジチオール、3−メルカプトメチルチオ−1,7−ジメルカプト−2,6−ジチアヘプタン、3,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,9−ジメルカプト−2,5,8−トリチアノナン、3−メルカプトメチルチオ−1,6−ジメルカプト−2,5−ジチアヘキサン、2−(2,2−ビス(メルカプトジメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタン、1,1,9,9−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−5−(3,3−ビス(メルカプトメチルチオ)−1−チアプロピル)3,7−ジチアノナン、トリス(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)メタン、トリス(4,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−2−チアブチル)メタン、テトラキス(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)メタン、テトラキス(4,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−2−チアブチル)メタン、3,5,9,11−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,13−ジメルカプト−2,6,8,12−テトラチアトリデカン、3,5,9,11,15,17−ヘキサキス(メルカプトメチルチオ)−1,19−ジメルカプト−2,6,8,12,14,18−ヘキサチアノナデカン、9−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−3,5,13,15−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,17−ジメルカプト−2,6,8,10,12,16−ヘキサチアヘプタデカン、3,4,8,9−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,11−ジメルカプト−2,5,7,10−テトラチアウンデカン、3,4,8,9,13,14−ヘキサキス(メルカプトメチルチオ)−1,16−ジメルカプト−2,5,7,10,12,15−ヘキサチアヘキサデカン、8−[ビス(メルカプトメチルチオ)メチル]−3,4,12,13−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,15−ジメルカプト−2,5,7,9,11,14−ヘキサチアペンタデカン、4,6−ビス[3,5−ビス(メルカプトメチルチオ)−7−メルカプト−2,6−ジチアヘプチルチオ]−1,3−ジチアン、4−[3,5−ビス(メルカプトメチルチオ)−7−メルカプト−2,6−ジチアヘプチルチオ]−6−メルカプトメチルチオ−1,3−ジチアン、1,1−ビス[4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニールチオ]−1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1−[4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニールチオ]−3−[2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル]−7,9−ビス(メルカプトメチルチオ)−2,4,6,10−テトラチアウンデカン、1,5−ビス[4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニールチオ]−3−[2−(1,3−ジチエタニル)]メチル−2,4−ジチアペンタン、4,6−ビス{3−[2−(1,3−ジチエタニル)]メチル−5−メルカプト−2,4−ジチアペンチルチオ}−1,3−ジチアン、4,6−ビス[4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニールチオ]−6−[4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニールチオ]−1,3−ジチアン、3−[2−(1,3−ジチエタニル)]メチル−7,9−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,11−ジメルカプト−2,4,6,10−テトラチアウンデカン、9−[2−(1,3−ジチエタニル)]メチル−3,5,13,15−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,17−ジメルカプト−2,6,8,10,12,16−ヘキサチアヘプタデカン、3−[2−(1,3−ジチエタニル)]メチル−7,9,13,15−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,17−ジメルカプト−2,4,6,10,12,16−ヘキサチアヘプタデカン、3,7−ビス[2−(1,3−ジチエタニル)]メチル−1.9−ジメルカプト−2,4,6,8−テトラチアノナン、4−[3,4,8,9−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−11−メルカプト−2,5,7,10−テトラチアウンデシル]−5−メルカプトメチルチオ−1,3−ジチオラン、4,5−ビス[3,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−6−メルカプト−2,5−ジチアヘキシルチオ]−1,3−ジチオラン、4−[3,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−6−メルカプト−2,5−ジチアヘキシルチオ]−5−メルカプトメチルチオ−1,3−ジチオラン、4−[3−ビス(メルカプトメチルチオ)メチル−5,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−8−メルカプト−2,4,7−トリチアオクチル]−5−メルカプトメチルチオ−1,3−ジチオラン、2−{ビス[3,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−6−メルカプト−2,5−ジチアヘキシルチオ]メチル}−1,3−ジチエタン、2−[3,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−6−メルカプト−2,5−ジチアヘキシルチオ]メルカプトメチルチオメチル−1,3−ジチエタン、2−[3,4,8,9−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−11−メルカプト−2,5,7,10−テトラチアウンデシルチオ]メルカプトメチルチオメチル−1,3−ジチエタン、2−[3−ビス(メルカプトメチルチオ)メチル−5,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−8−メルカプト−2,4,7−トリチアオクチル]メルカプトメチルチオメチル−1,3−ジチエタン、4,5−ビス{1−[2−(1,3−ジチエタニル)]−3−メルカプト−2−チアプロピルチオ}−1,3−ジチオラン、4−{1−[2−(1,3−ジチエタニル)]−3−メルカプト−2−チアプロピルチオ}−5−[1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)−4−メルカプト−3−チアブチルチオ]−1,3−ジチオラン、2−{ビス[4−(5−メルカプトメチルチオ−1,3−ジチオラニル)チオ]メチル}−1,3−ジチエタン、4−[4−(5−メルカプトメチルチオ−1,3−ジチオラニル)チオ]−5−{1−[2−(1,3−ジチエタニル)]−3−メルカプト−2−チアプロピルチオ}−1,3−ジチオラン、さらにこれらのオリゴマー等が挙げられる。
【0064】
オルトトリチオ蟻酸エステル骨格を有するチオール化合物としては、トリス(メルカプトメチルチオ)メタン、トリス(メルカプトエチルチオ)メタン、1,1,5,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−2,4−ジチアペンタン、ビス[4,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアブチル]−(メルカプトメチルチオ)メタン、トリス[4,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアブチル]メタン、2,4,6−トリス(メルカプトメチルチオ)−1,3,5−トリチアシクロヘキサン、2,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3,5−トリチアシクロヘキサン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−2−チアプロパン、ビス(メルカプトメチル)メチルチオ−1,3,5−トリチアシクロヘキサン、トリス[(4−メルカプトメチル−2,5−ジチアシクロヘキシル−1−イル)メチルチオ]メタン、2,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアシクロペンタン、2−メルカプトエチルチオ−4−メルカプトメチル−1,3−ジチアシクロペンタン、2−(2,3−ジメルカプトプロピルチオ)−1,3−ジチアシクロペンタン、4−メルカプトメチル−2−(2,3−ジメルカプトプロピルチオ)−1,3−ジチアシクロペンタン、4−メルカプトメチル−2−(1,3−ジメルカプト−2−プロピルチオ)−1,3−ジチアシクロペンタン、トリス[2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)−2−チアプロピル]メタン、トリス[4,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−3−チアブチル]メタン、2,4,6−トリス[3,3−ビス(メルカプトメチルチオ)−2−チアプロピル]−1,3,5−トリチアシクロヘキサン、テトラキス[3,3−ビス(メルカプトメチルチオ)−2−チアプロピル]メタン、さらにこれらのオリゴマー等が挙げられる。
【0065】
水酸基を有するチオール化合物としては、2−メルカプトエタノール、3−メルカプトプロパノール、4−メルカプトブタノール、5−メルカプトペンタノール、6−メルカプトヘキサノール、7−メルカプトヘプタノール、8−メルカプトオクタノール、5−メルカプト−3−チアペンタノール等が挙げられる。
【0066】
アルコール化合物としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,7ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、チオジエタノール、ジチオジエタノール、チオジプロパノール、ジチオジプロパノール、さらにこれらのオリゴマー等が挙げられるが、これら例示化合物のみに限定されるものではない。
【0067】
これら例示化合物のうち、脂肪族チオール化合物、エステル結合を含む脂肪族チオール化合物、ジチオアセタールもしくはジチオケタール骨格を有するチオール化合物、オルトトリチオ蟻酸エステル骨格を有するチオール化合物、水酸基を有するチオール化合物、アルコール化合物が好ましく、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアン、2−(2,2−ビス(メルカプトジメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールがより好ましい。これら活性水素化合物類は単独でも、2種類以上を混合しても使用することができる。
【0068】
本発明で示すイソ(チオ)シアナート類におけるイソシアナト基とイソチオシアナト基の官能基数に対する、活性水素化合物類におけるメルカプト基と水酸基の官能基数の比率は0.8から1.2の範囲内であり、好ましくは0.85から1.15の範囲内であり、さらに好ましくは0.9から1.1の範囲内である。前記範囲内で、光学材料、特に眼鏡用プラスチックレンズ材料として好適に使用される樹脂を得ることができる。
【0069】
また得られる樹脂の光学物性の調節あるいは、耐衝撃性、比重等の諸物性の調節及び、モノマーの取扱い性の調整を目的に、樹脂改質剤を加えることができる。
【0070】
本発明で示す樹脂改質剤としては、たとえば、アミン化合物、エポキシ樹脂、有機酸及びその無水物、(メタ)アクリレート化合物等を含むオレフィン化合物等が挙げられる。
樹脂改質剤として添加することができるアミン化合物としては、たとえば、単官能1級アミン化合物、1級ポリアミン化合物、単官能2級アミン化合物、2級ポリアミン化合物等が挙げられる。
【0071】
単官能1級アミン化合物としては、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、ter−ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、3−ペンチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、1,2−ジメチルヘキシルアミン、アリルアミン、アミノメチルビシクロヘプタン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、2,3−ジメチルシクロヘキシルアミン、アミノメチルシクロヘキサン、アニリン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、2,3−、あるいは4−メチルベンジルアミン、o−、m−、あるいはp−メチルアニリン、o−、m−、あるいはp−エチルアニリン、アミノモルホリン、ナフチルアミン、フルフリルアミン、α−アミノジフェニルメタン、トルイジン、アミノピリジン、アミノフェノ−ル、アミノエタノ−ル、1−アミノプロパノ−ル、2−アミノプロパノール、アミノブタノール、アミノペンタノール、アミノヘキサノール、メトキシエチルアミン、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、3−エトキシプロピルアミン、3−プロポキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、3−イソプロポキシプロピルアミン、3−イソブトキシプロピルアミン、2,2−ジエトキシエチルアミン等が挙げられる。
【0072】
1級ポリアミン化合物としてはエチレンジアミン、1,2−、あるいは1,3−ジアミノプロパン、1,2−、1,3−、あるいは1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,2−、1,3−、あるいは1,4−ジアミノシクロヘキサン、o−、m−あるいはp−ジアミノベンゼン、3,4−あるいは4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−あるいは4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−、あるいは4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、2,7−ジアミノフルオレン、1,5−、1,8−、あるいは2,3−ジアミノナフタレン、2,3−、2,6−、あるいは3,4−ジアミノピリジン、2,4−、あるいは2,6−ジアミノトルエン、m−、あるいはp−キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノメチルビシクロヘプタン、1,3−、あるいは1,4−ジアミノメチルシクロヘキサン、2−、あるいは4−アミノピペリジン、2−、あるいは4−アミノメチルピペリジン、2−、あるいは4−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチルモルホリン、N−アミノプロピルモルホリン等が挙げられる。
【0073】
単官能2級アミン化合物としては、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−3−ペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、メチルヘキシルアミン、ジアリルアミン、N−メチルアリルアミン、ピペリジン、ピロリジン、ジフェニルアミン、N−メチルアミン、N−エチルアミン、ジベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、N−エチルベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、ジナフチルアミン、1−メチルピペラジン、モルホリン等が挙げられる。
【0074】
2級ポリアミン化合物としては、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,5−ジアミノペンタン、N,N’−ジメチル−1,6−ジアミノヘキサン、N,N’−ジメチル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチル−1,2−ジアミノプロパン、N,N’−ジエチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジエチル−1,2−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,3−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,4−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,5−ジアミノペンタン、N,N’−ジエチル−1,6−ジアミノヘキサン、N,N’−ジエチル−1,7−ジアミノヘプタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2,6−ジメチルピペラジン、ホモピペラジン、1,1−ジ−(4−ピペリジル)メタン、1,2−ジ−(4−ピペリジル)エタン、1,3−ジ−(4−ピペリジル)プロパン、1,4−ジ−(4−ピペリジル)ブタン、テトラメチルグアニジン等が挙げられるが、これら例示化合物のみに限定されるものではない。これらアミン化合物は単独でも、2種類以上を混合しても使用することができる。
【0075】
樹脂改質剤として添加することができるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAグリシジルエーテル等の多価フェノール化合物とエピハロヒドリン化合物との縮合反応により得られるフェノール系エポキシ化合物及び、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル等の多価アルコール化合物とエピハロヒドリン化合物との縮合により得られるアルコール系エポキシ化合物及び、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートや1,2−ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等の多価有機酸化合物とエピハロヒドリン化合物との縮合により得られるグリシジルエステル系エポキシ化合物及び、一級及び二級ジアミン化合物とエピハロヒドリン化合物との縮合により得られるアミン系エポキシ化合物及び、ビニルシクロヘキセンジエポキシド等の脂肪族多価エポキシ化合物等が挙げられるが、これら例示化合物のみに限定されるものではない。これらエポキシ樹脂は単独でも、2種類以上を混合しても使用することができる。
【0076】
樹脂改質剤として添加することができる有機酸及びその無水物としては、チオジグリコール酸、チオジプロピオン酸、ジチオジプロピオン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルノルボルネン酸無水物、メチルナルボルナン酸無水物、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられるが、これら例示化合物のみに限定されるものではない。これら有機酸及びその無水物は単独でも、2種類以上を混合しても使用することができる。
【0077】
樹脂改質剤として添加することができるオレフィン化合物としては、たとえば、(メタ)アクリレート化合物、アリル化合物、ビニル化合物等が挙げられる。
【0078】
(メタ)アクリレート化合物としては、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ブチキシエチルアクリレート、ブトキシメチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシメチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールビスグリシジルアクリレート、エチレングリコールビスグリシジルメタクリレート、ビスフェノ−ルAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、2,2−ビス(4−アクロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクロキシジエトキシフェニル)プロパン、ビスフェノ−ルFジアクリレート、ビスフェノールFジメタクリレート、1,1−ビス(4−アクロキシエトキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−メタクロキシエトキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−アクロキシジエトキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−メタクロキシジエトキシフェニル)メタン、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、メチルチオアクリレート、メチルチオメタクリレート、フェニルチオアクリレート、ベンジルチオメタクリレート、キシリレンジチオールジアクリレート、キシリレンジチオールジメタクリレート、メルカプトエチルスルフィドジアクリレート、メルカプトエチルスルフィドジメタクリレート等が挙げられる。
【0079】
アリル化合物としては、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等が挙げられる。
【0080】
ビニル化合物としては、スチレン、クロロスチレン、メチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ジビニルベンゼン、3,9−ジビニルスピロビ(m−ジオキサン)等のビニル化合物等が挙げられるが、これら例示化合物のみに限定されるものではない。これらオレフィン化合物は単独でも、2種類以上を混合しても使用することができる。
【0081】
イソ(チオ)シアナート類と活性水素化合物類および光学材料用内部離型剤、触媒、その他添加剤を混合して重合性組成物を調製する場合の温度は通常25℃以下で行われる。組成物のポットライフの観点から、さらに低温にすると好ましい場合がある。ただし、光学材料用内部離型剤や触媒、添加剤のモノマーへの溶解性が良好でない場合は、あらかじめ加温して、モノマーであるイソ(チオ)シアナート類または活性水素化合物類、あるいは樹脂改質剤に溶解させることも可能である。
【0082】
本発明で示すポリチオウレタン樹脂の製造方法としては、特に限定されないが、好ましい製造方法として注型重合が挙げられ、ガスケットまたはテープ等で保持された成型モールド間に重合性組成物を注入する。この時、得られるプラスチックレンズに要求される物性によっては、必要に応じて、減圧下での脱泡処理や加圧、減圧等の濾過処理等を行うことが好ましい場合が多い。
【0083】
重合条件については、重合性組成物、触媒の種類と使用量、モールドの形状等によって大きく条件が異なるため限定されるものではないが、およそ、−50から150℃の温度で1から50時間かけて行われる。場合によっては、10から150℃の温度範囲で保持または徐々に昇温して、1から25時間で硬化させることが好ましい。
【0084】
本発明で示すポリチオウレタン樹脂については、必要に応じて、アニール等の処理を行ってもよい。処理温度は通常50から150℃の間で行われるが、90から140℃で行うことが好ましく、100から130℃で行うことがより好ましい。
【0085】
本発明で示すポリチオウレタン樹脂の成形時は、目的に応じて公知の成形法と同様に、鎖延長剤、架橋剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色防止剤、油溶染料、充填剤、密着性向上剤などの種々の添加剤を加えてもよい。
【0086】
本発明で示すポリチオウレタン樹脂は、注型重合時のモールドを変えることにより種々の形状の成形体として得ることができ、眼鏡レンズ、カメラレンズ、発光ダイオード(LED)等の光学用樹脂としての各種用途に使用することが可能である。特に、眼鏡レンズ、カメラレンズ、発光ダイオード等の光学材料、光学素子として好適である。
【0087】
本発明で示すポリチオウレタン樹脂を用いたプラスチックレンズは必要に応じて、片面又は両面にコーティング層を施して用いてもよい。コーティング層としては、プライマー層、ハードコート層、反射防止膜層、防曇コート膜層、防汚染層、撥水層等が挙げられる。これらのコーティング層はそれぞれ単独で用いることも複数のコーティング層を多層化して使用してもよい。両面にコーティング層を施す場合、それぞれの面に同様なコーティング層を施しても、異なるコーティング層を施してもよい。
【0088】
これらのコーティング層はそれぞれ、紫外線からレンズや目を守る目的で紫外線吸収剤、赤外線から目を守る目的で赤外線吸収剤、レンズの耐候性の向上を目的で光安定剤や酸化防止剤、レンズのファッション性を高める目的で染料や顔料、さらにフォトクロミック染料やフォトクロミック顔料、帯電防止剤、その他、レンズの性能を高めるための公知の添加剤を併用してもよい。塗布によるコーティングを行う層に関しては塗布性の改善を目的とした各種レベリング剤を使用してもよい。
【0089】
プライマー層は通常、後述するハードコート層と光学レンズとの間に形成される。プライマー層は、その上に形成するハードコート層とレンズとの密着性を向上させることを目的とするコーティング層であり、場合により耐衝撃性を向上させることも可能である。
プライマー層には得られた光学レンズに対する密着性の高いものであればいかなる素材でも使用できるが、通常、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、メラニン系樹脂、ポリビニルアセタールを主成分とするプライマー組成物などが使用される。プライマー組成物は組成物の粘度を調整する目的でレンズに影響を及ぼさない適当な溶剤を用いてもよい。無論、無溶剤で使用してもよい。
【0090】
プライマー組成物は塗布法、乾式法のいずれの方法によっても形成させることができる。塗布法を用いる場合、レンズへスピンコート、ディップコートなど公知の塗布方法で塗布された後、固化させることによりプライマー層が形成される。乾式法で行う場合は、CVD法や真空蒸着法などの公知の乾式法で形成される。プライマー層を形成するに際し、密着性の向上を目的として、必要に応じてレンズの表面は、アルカリ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの前処理を行っておいてもよい。
【0091】
ハードコート層は、レンズ表面に耐擦傷性、耐摩耗性、耐湿性、耐温水性、耐熱性、耐候性等機能を与えることを目的としたコーティング層である。
【0092】
ハードコート層は、一般的には硬化性を有する有機ケイ素化合物とSi,Al,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,InおよびTiの元素群から選ばれる元素の酸化物微粒子の1種以上および/またはこれら元素群から選ばれる2種以上の元素の複合酸化物から構成される微粒子の1種以上を含むハードコート組成物が使用される。
【0093】
ハードコート組成物には前記成分以外にアミン類、アミノ酸類、金属アセチルアセトネート錯体、有機酸金属塩、過塩素酸類、過塩素酸類の塩、酸類、金属塩化物および多官能性エポキシ化合物の少なくともいずれかを含むことが好ましい。ハードコート組成物にはレンズに影響を及ぼさない適当な溶剤を用いてもよい。無論、無溶剤で使用してもよい。
【0094】
ハードコート層は、通常、ハードコート組成物をスピンコート、ディップコートなど公知の塗布方法で塗布した後、硬化して形成される。硬化方法としては、熱硬化、紫外線や可視光線などのエネルギー線照射による硬化方法等が挙げられる。干渉縞の発生を抑制するため、ハードコート層の屈折率は、レンズとの屈折率の差が±0.1の範囲にあるのが好ましい。
【0095】
反射防止層は、通常、必要に応じて前記ハードコート層の上に形成される。反射防止層には無機系および有機系があり、無機系の場合、SiO、TiO等の無機酸化物を用い、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビ−ムアシスト法、CVD法などの乾式法により形成される。有機系の場合、有機ケイ素化合物と、内部空洞を有するシリカ系微粒子とを含む組成物を用い、湿式により形成される。
【0096】
反射防止層は単層および多層があり、単層で用いる場合はハードコート層の屈折率よりも屈折率が少なくとも0.1以上低くなることが好ましい。効果的に反射防止機能を発現するには多層膜反射防止膜とすることが好ましく、その場合、低屈折率膜と高屈折率膜とを交互に積層する。この場合も低屈折率膜と高屈折率膜との屈折胃率差は0.1以上であることが好ましい。高屈折率膜としては、ZnO、TiO、CeO、Sb、SnO、ZrO、Ta等の膜があり、低屈折率膜としては、SiO膜等が挙げられる。
【0097】
反射防止膜層の上には、必要に応じて防曇コート膜層、防汚染層、撥水層を形成させてもよい。防曇コート層、防汚染層、撥水層を形成する方法としては、反射防止機能に悪影響をもたらすものでなければ、その処理方法、処理材料等については特に限定されずに、公知の防曇コート処理方法、防汚染処理方法、撥水処理方法、材料を使用することができる。例えば、防曇コート、防汚染処理方法では、表面を界面活性剤で覆う方法、表面に親水性の膜を付加して吸水性にする方法、表面を微細な凹凸で覆い吸水性を高める方法、光触媒活性を利用して吸水性にする方法、超撥水性処理を施して水滴の付着を防ぐ方法などが挙げられる。また、撥水処理方法では、フッ素含有シラン化合物等を蒸着やスパッタによって撥水処理層を形成する方法や、フッ素含有シラン化合物を溶媒に溶解したあと、コーティングして撥水処理層を形成する方法等が挙げられる。
【0098】
本発明のポリチオウレタン樹脂を用いたプラスチックレンズはファッション性やフォトクロミック性の付与などを目的として、目的に応じた色素を用い、染色して使用してもよい。
レンズの染色は公知の染色方法で実施可能であるが、通常、以下に示す方法で実施される。
【0099】
(1)レンズを染色液に浸漬する方法、(2) 色素を含有するコーティング剤を用いてコーティングする方法、又は染色可能なコーティング層を設け、そのコーティング層を染色する方法、(3) 原料モノマーに染色可能な材料を含有させて重合する方法、及び(4) 昇華性色素を加熱して昇華させる方法。
【0100】
(1)の方法は、一般的には、使用する色素を溶解または均一に分散させた染色液中に所定の光学面に仕上げられたレンズ生地を浸漬(染色工程)した後、必要に応じてレンズを加熱して色素を固定化(染色後アニール工程)する方法である。染色工程に用いられる色素は公知の色素であれば特に限定されないが、通常は油溶染料もしくは分散染料が使用される。染色工程で使用される溶剤は用いる色素が溶解可能もしくは均一に分散可能なものであれば特に限定されない。この染色工程では、必要に応じて染色液に色素を分散させるための界面活性剤や、染着を促進するキャリアを添加してもよい。染色工程は、色素及び必要に応じて添加される界面活性剤を水又は水と有機溶媒との混合物中に分散させて染色浴を調製し、この染色浴中に光学レンズを浸漬し、所定温度で所定時間染色を行う。染色温度及び時間は、所望の着色濃度により変動するが、通常、120℃以下で数分から数十時間程度でよく、染色浴の染料濃度は0.01から10重量%で実施される。また、染色が困難な場合は加圧下で行ってもよい。必要に応じて実施される染色後アニール工程は、染色されたレンズ生地に加熱処理を行う工程である。加熱処理は、染色工程で染色されたレンズ生地の表面に残る水を溶剤等で除去したり、溶媒を風乾したりした後に、例えば大気雰囲気の赤外線加熱炉、あるいは抵抗加熱炉等の炉中に所定時間滞留させる。染色後アニール工程は、染色されたレンズ生地の色抜けを防止する(色抜け防止処理)と共に、染色時にレンズ生地の内部に浸透した水分の除去が行われる。
【0101】
(2)の方法は、プラスチックレンズ素材に直接染色するのではなく、色素を分散又は溶解した有機コーティング液をプラスチックレンズに塗布した後、硬化処理することにより、染色されたコーティング層をレンズ表面に形成する方法、もしくはプラスチックレンズ表面に染色可能なコーティング層を形成してから(1)の方法を採る、すなわち、染色液中にプラスチックレンズを浸漬し、加熱することにより染色する方法である。
【0102】
(3)の方法は、プラスチックレンズの原料モノマーに予め染料を溶解してから重合する方法である。使用する色素は原料モノマーに均一に溶解または光学的性質を損なわない程度に分散できるものであれば特に限定されない。
【0103】
(4)の方法には、(イ) 固形昇華性色素を昇華させテープラスチックレンズを染色する方法、(ロ) 昇華性色素を含む溶液を塗布してなる基体をプラスチックレンズに非接触状態で対向させ、基体及びレンズを加熱することにより染色する方法、(ハ) 昇華性色素を含有する着色層と、粘着層とからなる転写層をプラスチックレンズに転写した後、加熱することにより染色する方法があり、本発明の光学レンズはいずれの方法で染色してもよい。使用する色素は昇華性を有している色素であれば特に限定されない。
【実施例】
【0104】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。離型性、樹脂の透明性及び、レンズの性能試験(屈折率、アッベ数、耐熱性)は以下の試験方法により評価した。
離型性:直径8cm、厚9mmからなる成型ガラスモールドを用いて重合を行い、終了後、室温まで冷却した際に、離型していたものを「○」(離型性良好)、それ以外のもの(熱、冷却、振動、歪みを加える等、外的要素を加えて離型したものも含む)については「×」(離型性不良)とした。
樹脂の透明性:得られた樹脂を暗所にてプロジェクターに照射して、レンズの曇り及び不透明物質の有無を目視にて判断した。レンズの曇り及び不透明物質がないものを「○」(透明性あり)、あるものを「×」(透明性なし)とした。
屈折率(ne)、アッベ数(νe):プルフリッヒ屈折計を用い、20℃で測定した。
耐熱性:TMAペネートレーション法(50g荷重、ピン先0.5mmφ、昇温速度10℃/min)でのガラス転移温度(Tg)(℃)を耐熱性とした。
【0105】
[実施例1]
m−キシリレンジイソシアナート30.5g、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)39.5g、ジ−n−ブチルチンジクロリド0.0056g(重合性組成物総重量に対して80ppm)、紫外線吸収剤(共同薬品株式会社、商品名バイオソーブ583)0.035g(重合性組成物総重量に対して500ppm)、リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの混合物(大八化学工業、商品名AP8;リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの合計に対するリン酸モノ−2−エチルへキシルの割合:51重量%)0.042g(重合性組成物総重量に対して600ppm)を20℃にて混合溶解し、均一溶液とした。この混合溶液を400Paにて1時間脱泡を行った後、1μmPTFE製フィルターでろ過を行い、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。このモールド型を重合オーブンへ投入、25℃〜120℃まで21時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出した。モールド型からの樹脂の離型性は良好で、外的要素を加えないで離型した。得られた樹脂をさらに130℃で4時間アニール処理を行った。得られた樹脂は透明性があり、屈折率(ne)1.598、アッベ数(νe)36、耐熱性(Tg)90℃と、光学用透明樹脂として好適であった。評価結果は[表1]に示した。
【0106】
[実施例2]
m−キシリレンジイソシアナート30.5g、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)39.5g、ジ−n−ブチルチンジクロリド0.0056g(重合性組成物総重量に対して80ppm)、紫外線吸収剤(共同薬品株式会社、商品名バイオソーブ583)0.035g(重合性組成物総重量に対して500ppm)、リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの混合物(大八化学工業、商品名AP8;リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの合計に対するリン酸モノ−2−エチルへキシルの割合:51重量%)0.070g(重合性組成物総重量に対して1000ppm)を20℃にて混合溶解し、均一溶液とした。この混合溶液を400Paにて1時間脱泡を行った後、1μmPTFE製フィルターでろ過を行い、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。このモールド型を重合オーブンへ投入、25℃〜120℃まで21時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出した。モールド型からの樹脂の離型性は良好で、外的要素を加えないで離型した。得られた樹脂をさらに130℃で4時間アニール処理を行った。得られた樹脂は透明性があり、屈折率(ne)1.598、アッベ数(νe)36、耐熱性(Tg)90℃と、光学用透明樹脂として好適であった。評価結果は[表1]に示した。
【0107】
[実施例3]
m−キシリレンジイソシアナート30.5g、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)39.5g、ジ−n−ブチルチンジクロリド0.0056g(重合性組成物総重量に対して80ppm)、紫外線吸収剤(共同薬品株式会社、商品名バイオソーブ583)0.035g(重合性組成物総重量に対して500ppm)、リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの混合物(大八化学工業、商品名AP8;リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの合計に対するリン酸モノ−2−エチルへキシルの割合:51重量%)0.210g(重合性組成物総重量に対して3000ppm)を20℃にて混合溶解し、均一溶液とした。この混合溶液を400Paにて1時間脱泡を行った後、1μmPTFE製フィルターでろ過を行い、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。このモールド型を重合オーブンへ投入、25℃〜120℃まで21時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出した。モールド型からの樹脂の離型性は良好で、外的要素を加えないで離型した。得られた樹脂をさらに130℃で4時間アニール処理を行った。得られた樹脂は透明性があり、屈折率(ne)1.598、アッベ数(νe)36、耐熱性(Tg)90℃と、光学用透明樹脂として好適であった。評価結果は[表1]に示した。
【0108】
[実施例4]
m−キシリレンジイソシアナート30.5g、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)39.5g、ジ−n−ブチルチンジクロリド0.0056g(重合性組成物総重量に対して80ppm)、紫外線吸収剤(共同薬品株式会社、商品名バイオソーブ583)0.035g(重合性組成物総重量に対して500ppm)、リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの混合物(リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの合計に対するリン酸モノ−2−エチルへキシルの割合:30重量%)0.042g(重合性組成物総重量に対して600ppm)を20℃にて混合溶解し、均一溶液とした。この混合溶液を400Paにて1時間脱泡を行った後、1μmPTFE製フィルターでろ過を行い、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。このモールド型を重合オーブンへ投入、25℃〜120℃まで21時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出した。モールド型からの樹脂の離型性は良好で、外的要素を加えないで離型した。得られた樹脂をさらに130℃で4時間アニール処理を行った。得られた樹脂は透明性があり、屈折率(ne)1.598、アッベ数(νe)36、耐熱性(Tg)90℃と、光学用透明樹脂として好適であった。評価結果は[表1]に示した。
【0109】
[実施例5]
m−キシリレンジイソシアナート30.5g、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)39.5g、ジ−n−ブチルチンジクロリド0.0056g(重合性組成物総重量に対して80ppm)、紫外線吸収剤(共同薬品株式会社、商品名バイオソーブ583)0.035g(重合性組成物総重量に対して500ppm)、リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの混合物(リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの合計に対するリン酸モノ−2−エチルへキシルの割合:96重量%)0.042g(重合性組成物総重量に対して600ppm)を20℃にて混合溶解し、均一溶液とした。この混合溶液を400Paにて1時間脱泡を行った後、1μmPTFE製フィルターでろ過を行い、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。このモールド型を重合オーブンへ投入、25℃〜120℃まで21時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出した。モールド型からの樹脂の離型性は良好で、外的要素を加えないで離型した。得られた樹脂をさらに130℃で4時間アニール処理を行った。得られた樹脂は透明性があり、屈折率(ne)1.598、アッベ数(νe)36、耐熱性(Tg)90℃と、光学用透明樹脂として好適であった。評価結果は[表1]に示した。
【0110】
[実施例6]
m−キシリレンジイソシアナート30.5g、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)39.5g、ジ−n−ブチルチンジクロリド0.0056g(重合性組成物総重量に対して80ppm)、紫外線吸収剤(共同薬品株式会社、商品名バイオソーブ583)0.035g(重合性組成物総重量に対して500ppm)、リン酸モノ−n−オクチルとリン酸ジ−n−オクチルの混合物(リン酸モノ−n−オクチルとリン酸ジ−n−オクチルの合計に対するリン酸モノ−n−オクチルの割合:50重量%)0.042g(重合性組成物総重量に対して600ppm)を20℃にて混合溶解し、均一溶液とした。この混合溶液を400Paにて1時間脱泡を行った後、1μmPTFE製フィルターでろ過を行い、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。このモールド型を重合オーブンへ投入、25℃〜120℃まで21時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出した。モールド型からの樹脂の離型性は良好で、外的要素を加えないで離型した。得られた樹脂をさらに130℃で4時間アニール処理を行った。得られた樹脂は透明性があり、屈折率(ne)1.598、アッベ数(νe)36、耐熱性(Tg)90℃と、光学用透明樹脂として好適であった。評価結果は[表1]に示した。
【0111】
[実施例7]
m−キシリレンジイソシアナート36.4g、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン33.6g、ジ−n−ブチルチンジクロリド0.0105g(重合性組成物総重量に対して150ppm)、紫外線吸収剤(共同薬品株式会社、商品名バイオソーブ583)0.035g(重合性組成物総重量に対して500ppm)、リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの混合物(大八化学工業、商品名AP8;リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの合計に対するリン酸モノ−2−エチルへキシルの割合:51重量%)0.070g(重合性組成物総重量に対して1000ppm)を20℃にて混合溶解し、均一溶液とした。この混合溶液を400Paにて1時間脱泡を行った後、1μmPTFE製フィルターでろ過を行い、ガラスモールドとテ−プからなるモールド型へ注入した。このモールド型を重合オーブンへ投入、25℃〜120℃まで21時間かけて徐々に昇温して重合した重合終了後、オーブンからモールド型を取り出した。モールド型からの樹脂の離型性は良好で、外的要素を加えないで離型した。得られた樹脂をさらに130℃で4時間アニール処理を行った。得られた樹脂は透明性があり、屈折率(ne)1.665、アッベ数(νe)32、耐熱性(Tg)89℃と、光学用透明樹脂として好適であった。評価結果は[表1]に示した。
【0112】
[実施例8]
2,5−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタンと2,6−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタンとの混合物35.4g、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン17.9g、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)16.7g、ジ−n−ブチルチンジクロリド0.035g(重合性組成物総重量に対して500ppm)、紫外線吸収剤(共同薬品株式会社、商品名バイオソーブ583)0.035g(重合性組成物総重量に対して500ppm)、リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの混合物(大八化学工業、商品名AP8;リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの合計に対するリン酸モノ−2−エチルへキシルの割合:51重量%)0.084g(重合性組成物総重量に対して1200ppm)を20℃にて混合溶解し、均一溶液とした。この混合溶液を400Paにて1時間脱泡を行った後、1μmPTFE製フィルターでろ過を行い、ガラスモールドとテ−プからなるモールド型へ注入した。このモールド型を重合オーブンへ投入、25℃〜120℃まで21時間かけて徐々に昇温して重合した重合終了後、オーブンからモールド型を取り出した。モールド型からの樹脂の離型性は良好で、外的要素を加えないで離型した。得られた樹脂をさらに130℃で4時間アニール処理を行った。得られた樹脂は透明性があり、屈折率(ne)1.598、アッベ数(νe)41、耐熱性(Tg)118℃と、光学用透明樹脂として好適であった。評価結果は[表1]に示した。
【0113】
[実施例9]
1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとの混合物32.6g、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンと4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンと4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンとの混合物19.4g、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)18.0g、ジ−n−ブチルチンジクロリド0.070g(重合性組成物総重量に対して1000ppm)、紫外線吸収剤(共同薬品株式会社、商品名バイオソーブ583)0.035g(重合性組成物総重量に対して500ppm)、リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの混合物(大八化学工業、商品名AP8;リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの合計に対するリン酸モノ−2−エチルへキシルの割合:51重量%)0.140g(重合性組成物総重量に対して2000ppm)を20℃にて混合溶解し、均一溶液とした。この混合溶液を400Paにて1時間脱泡を行った後、1μmPTFE製フィルターでろ過を行い、ガラスモールドとテ−プからなるモールド型へ注入した。このモールド型を重合オーブンへ投入、25℃〜120℃まで21時間かけて徐々に昇温して重合した重合終了後、オーブンからモールド型を取り出した。モールド型からの樹脂の離型性は良好で、外的要素を加えないで離型した。得られた樹脂をさらに130℃で4時間アニール処理を行った。得られた樹脂は透明性があり、屈折率(ne)1.596、アッベ数(νe)40、耐熱性(Tg)104℃と、光学用透明樹脂として好適であった。評価結果は[表1]に示した。
【0114】
[実施例10]
1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとの混合物29.4g、ヘキサメチレンジイソシアナート2.8g、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンと4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンと4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンとの混合物19.6g、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)18.2g、ジ−n−ブチルチンジクロリド0.070g(重合性組成物総重量に対して1000ppm)、紫外線吸収剤(共同薬品株式会社、商品名バイオソーブ583)0.035g(重合性組成物総重量に対して500ppm)、リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの混合物(大八化学工業、商品名AP8;リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの合計に対するリン酸モノ−2−エチルへキシルの割合:51重量%)0.140g(重合性組成物総重量に対して2000ppm)を20℃にて混合溶解し、均一溶液とした。この混合溶液を400Paにて1時間脱泡を行った後、1μmPTFE製フィルターでろ過を行い、ガラスモールドとテ−プからなるモールド型へ注入した。このモールド型を重合オーブンへ投入、25℃〜120℃まで21時間かけて徐々に昇温して重合した重合終了後、オーブンからモールド型を取り出した。モールド型からの樹脂の離型性は良好で、外的要素を加えないで離型した。得られた樹脂をさらに130℃で4時間アニール処理を行った。得られた樹脂は透明性があり、屈折率(ne)1.596、アッベ数(νe)40、耐熱性(Tg)101℃と、光学用透明樹脂として好適であった。評価結果は[表1]に示した。
【0115】
[実施例11]
m−キシリレンジイソシアナート31.0g、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパンと4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアンと2−(2,2−ビス(メルカプトジメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタンとの混合物39.0g、ジ−n−ブチルチンジクロリド0.014g(重合性組成物総重量に対して200ppm)、紫外線吸収剤(共同薬品株式会社、商品名バイオソーブ583)0.035g(重合性組成物総重量に対して500ppm)、リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの混合物(大八化学工業、商品名AP8;リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの合計に対するリン酸モノ−2−エチルへキシルの割合:51重量%)0.084g(重合性組成物総重量に対して1200ppm)を20℃にて混合溶解し、均一溶液とした。この混合溶液を400Paにて1時間脱泡を行った後、1μmPTFE製フィルターでろ過を行い、ガラスモールドとテ−プからなるモールド型へ注入した。このモールド型を重合オーブンへ投入、25℃〜120℃まで21時間かけて徐々に昇温して重合した重合終了後、オーブンからモールド型を取り出した。モールド型からの樹脂の離型性は良好で、外的要素を加えないで離型した。得られた樹脂をさらに130℃で4時間アニール処理を行った。得られた樹脂は透明性があり、屈折率(ne)1.695、アッベ数(νe)30、耐熱性(Tg)100℃と、光学用透明樹脂として好適であった。評価結果は[表1]に示した。
【0116】
[比較例1]
リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの混合物(大八化学工業、商品名AP8;リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの合計に対するリン酸モノ−2−エチルへキシルの割合:51重量%)をリン酸ジ−n−ブチル(東京化成工業、市販試薬)に変えて、添加量0.105g(重合性組成物総重量に対して1500ppm)で、[実施例1]と同様な操作を行った。重合終了後、外的要素を加えても、モールド型から樹脂を離型することはできなかった。評価結果は[表1]に示した。
【0117】
[比較例2]
リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの混合物(大八化学工業、商品名AP8;リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの合計に対するリン酸モノ−2−エチルへキシルの割合:51重量%)をリン酸ジ−2−エチルへキシル(東京化成工業、市販試薬)に変えて、添加量0.070g(重合性組成物総重量に対して1000ppm)で、[実施例1]と同様な操作を行った。重合終了後、モールド型から樹脂は離型していなかったが、外的要素を加えると離型した。評価結果は[表1]に示した。
【0118】
[比較例3]
リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの混合物(大八化学工業、商品名AP8;リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの合計に対するリン酸モノ−2−エチルへキシルの割合:51重量%)をリン酸モノ−n−ブチルとリン酸ジ−n−ブチルの混合物(東京化成工業、市販試薬;リン酸モノ−n−ブチルとリン酸ジ−n−ブチルの合計に対するリン酸モノ−n−ブチルの割合:46重量%)に変えて、添加量0.070g(重合性組成物総重量に対して1000ppm)で、[実施例1]と同様な操作を行った。重合終了後、外的要素を加えても、モールド型から樹脂を離型することはできなかった。評価結果は[表1]に示した。
【0119】
[比較例4]
リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの混合物(大八化学工業、商品名AP8;リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの合計に対するリン酸モノ−2−エチルへキシルの割合:51重量%)をリン酸モノイソデシルとリン酸ジイソデシルの混合物(大八化学工業、商品名AP10;リン酸モノイソデシルとリン酸ジイソデシルの合計に対するリン酸モノイソデシルの割合:52重量%)に変えて、添加量0.070g(重合性組成物総重量に対して1000ppm)で、[実施例1]と同様な操作を行った。重合終了後、モールド型からの樹脂の離型性は良好で、外的要素を加えないで離型したが、得られた樹脂は曇りが確認され、光学用透明樹脂として不適であった。評価結果は[表1]に示した。
【0120】
[比較例5]
リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの混合物(大八化学工業、商品名AP8;リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの合計に対するリン酸モノ−2−エチルへキシルの割合:51重量%)をリン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの混合物(リン酸モノ−2−エチルへキシルとリン酸ジ−2−エチルへキシルの合計に対するリン酸モノ−2−エチルへキシルの割合:20重量%)に変えて、添加量0.042g(重合性組成物総重量に対して600ppm)で、[実施例1]と同様な操作を行った。重合終了後、外的要素を加えても、モールド型から樹脂を離型することはできなかった。評価結果は[表1]に示した。
【0121】
【表1】

【0122】
本発明の光学材料用内部離型剤は、[実施例1]、[比較例1] 、[比較例2] 、[比較例3]より、特許第2133610号公報に記載の炭素数1〜8のアルキル鎖を持つリン酸ジエステル、特表2001−505232号公報に記載の炭素数2〜6のアルキル鎖を持つリン酸モノ、ジエステル混合物よりも離型性は良好であり、また[実施例1]、[比較例4]より、特開2002−234997号公報に記載の炭素数9〜30のアルキル鎖を持つリン酸モノ、ジエステル混合物よりも得られる樹脂の透明性は良好であることは明らかである。よって本発明は、離型性、得られる樹脂の透明性ともにバランスの取れた、光学材料用内部離型剤であると言える。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明により、離型性、得られる樹脂の透明性ともにバランスの取れた、光学用透明樹脂として好適に使用されるポリチオウレタン樹脂を提供することに貢献する。
【0124】
本発明によって得られるポリチオウレタン樹脂は、プラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー、情報記録基板、フィルター、発光ダイオード等の光学材料等に用いられ、特に眼鏡用プラスチックレンズ材料として好適に使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表されるリン酸モノエステル(A)30重量%〜99重量%と一般式(2)で表されるリン酸ジエステル(B)70重量%〜1重量%を含んでなる光学材料用内部離型剤(ただし、(A)と(B)の合計を100重量%とする。)。
【化1】

(式中、Rは炭素数8の脂肪族または芳香族有機残基を示す。)
【化2】

(式中、R、Rは炭素数8の脂肪族または芳香族有機残基を示す。R、Rはそれぞれ結合して環を構成してもよく、同一でも異なっていてもよい。)
【請求項2】
リン酸モノエステル(A)がリン酸モノ−2−エチルへキシル、リン酸モノ−n−オクチルより選ばれる一種または二種以上の化合物であり、リン酸ジエステル(B)がリン酸ジ−2−エチルへキシル、リン酸ジ−n−オクチルより選ばれる一種または二種以上の化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の光学材料用内部離型剤。
【請求項3】
イソ(チオ)シアナート類と活性水素化合物類の合計100重量部に対して、請求項1から2のいずれかに記載の光学材料用内部離型剤を0.05から0.40重量部含有することを特徴とする、ポリチオウレタン系重合性組成物。
【請求項4】
イソ(チオ)シアナート類におけるイソシアナト基とイソチオシアナト基の官能基数に対する、活性水素化合物類におけるメルカプト基と水酸基の官能基数の比率が0.8から1.2の範囲内であることを特徴とする、請求項3に記載の重合性組成物。
【請求項5】
イソ(チオ)シアナート類がm−キシリレンジイソシアナート、2,5−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよびヘキサメチレンジイソシアナートより選ばれる一種または二種以上の化合物であり、活性水素化合物類が4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアンおよび2−(2,2−ビス(メルカプトジメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタンより選ばれる一種または二種以上の化合物であることを特徴とする、請求項3または4のいずれかに記載の重合性組成物。
【請求項6】
請求項3から5のいずれかに記載の重合性組成物を加熱硬化させて得られるポリチオウレタン樹脂。
【請求項7】
請求項6記載のポリチオウレタン樹脂からなる光学材料。
【請求項8】
請求項7記載の光学材料からなるプラスチックレンズ。
【請求項9】
請求項3から5のいずれかに記載の重合性組成物を注型重合することを特徴とする、ポリチオウレタン樹脂の製造方法。

【公開番号】特開2008−255221(P2008−255221A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−98835(P2007−98835)
【出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】