説明

光学機器

【課題】 より沈胴長の短縮と、鏡筒外径の拡大量を最小におさえることで、薄型でコンパクトな光学機器を実現する。
【解決手段】 沈胴長を短縮する為に、光学系の一部を光軸上から異なる位置に退避して、その分沈胴量を増やした沈胴鏡筒を用いた光学機器において、その退避する群鏡筒は、その光学機器の光量を調整する可動遮光部材の、通常撮影状態作動範囲を含む範位置に、退避する事を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルスチルカメラ等に搭載される、撮影レンズに関する物で有り、非撮影時に薄く携帯性を良くする為、沈胴構造を用いたレンズ鏡筒を含む光学機器装置に関する物である。
【背景技術】
【0002】
従来、レンズ鏡筒を大きな量で沈胴させる為、特許文献1に示す様に、光学系の一部のレンズを光軸と直交方向に退避させ、その退避した事により、より沈胴量を増やし、薄型のカメラを実現する物が知られている。
【0003】
また、特許文献2の様に、その退避するレンズ群が、元の光軸と約直交と成る様に退避し、薄型のカメラを実現する物も知られている。
【特許文献1】特開2003−149723号公報
【特許文献2】特開昭63−135907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前者の元の光軸と平行のまま退避する物は、その退避レンズ群が厚みより径の方が大きい場合、鏡筒全体径が大きく成る量が大きい。その為、鏡筒径の拡大を出来るだけ少なくする為には、後者の様に元の光軸と約直交状態に退避するのが望ましい。しかしながら、その退避する群が約直交状態にすると、その沈胴させる量が、退避レンズのスペースにより規制される場合がある。つまり、残された光軸上の群間隔を干渉しない最小とする位置まで達する前に、前記退避レンズ群が、撮影時に光量を制御する光量調整装置と、撮像素子等を保持し、レンズ鏡筒の後部端に相当するマウント面との間の間隔に、配置された時、先に間隔が最小となってしまい、本線系の最短短縮に至らない事が多い。
【0005】
そこで、沈胴長を最小とする為に、退避する群鏡筒を、何処に収めるかと言う事に成るが、マウント面側に飛び出してしまっては、せっかくカメラセットを薄くする目的から、意味が無くなる。次に光量調整装置に干渉しない光軸から離れた位置まで退避させれば、十分な沈胴量が確保出来る様に成るが、その場合、退避群鏡筒位置が光軸から非常に離れる事から、その退避鏡筒を含む鏡筒の径が極端に大きく成り、元の目的の薄く、かつ、鏡筒外径を最小に押さえると言う目的から外れてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の問題を解決する為に、退避群鏡筒が、撮影時に光量調整する光量調整装置の遮光動作部材で有る絞り羽根や、シャッター羽根の動作範囲を含む位置に退避群鏡筒が、退避することにより、沈胴時の鏡筒全長を薄くし、かつ、退避群の光軸からの距離を最小に押さえ、それらを含むレンズ鏡筒の外径を必要以上に大きくしないで、最短沈胴長を実現する物で有る。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように、本発明によれば、沈胴時に光学系の一部の群が、光軸と異なる位置に退避する時、通常撮影時に絞り又は、シャッターの羽根の動作範囲に、含まれる領域まで退避鏡筒が、位置する事により、より、沈胴長の短縮と、その時の鏡筒外径の拡大量を最小におさえ、薄型でコンパクトな光学機器を実現する事が可能と成る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を図示の実施例にしたがって詳細に説明する。
【0009】
図1から図7は本発明の実施例である。
【0010】
図1は、本発明を実施した光学機器の外観。
【0011】
図2は、本発明を実施した鏡筒の撮影時の主断面図。
【0012】
図3は、本発明を実施した鏡筒の沈胴時の主断面図。
【0013】
図4は、本発明を実施した光量調整装置と退避群鏡筒の退避時干渉領域。
【0014】
図5〜図7は、本発明を実施した光量調整装置の動作図で有る。
【0015】
図8は、2群鏡筒が光量調整装置と干渉しない位置までだけ沈胴した従来例。
【0016】
図1のA1は、撮影鏡筒部で有る。図2・図3は、その撮影鏡筒部の断面で有る。
【0017】
1は前キャップ、2は飾り名版、3は1群鏡筒、4はバリア、5は、第二カム環、6は、第二直進キー、7は、第一カム環、8は、内径にカム溝を有する固定鏡筒、9は、第一直進キー、10は、絞りシッター、11は、2群鏡筒、12は3群鏡筒、13は、CCDホルダー、14は、CCD、L1は、1群レンズ、L2は、2群レンズ、L3は3群レンズ、L4は、ローパスフィルター(LPF)である。
【0018】
また、11aは遮光部材動作面上に2群鏡筒が入り込む領域で、11b、11cは遮光部材と2群鏡筒の干渉する領域で有る。
【0019】
図2は、通常撮影状態で、1群鏡筒3に保持された1群レンズL1と、2群鏡筒11に保持された2群レンズL2が、所定の間隔で配置され、ズーム位置が設定される。3群鏡筒12に保持された3群レンズL3が、光軸方向に移動する事により、フォーカシング動作が行われる。光量調整として絞りシャッター10により、絞り径の設定と、シャッター動作が行われ、ピント面に結像した像をCCD14にて、電気信号に変換され、デジタル画像が形成される。
【0020】
光量調整の絞りシッターは、開放や、中間絞りの位置から、閉じきる事により、絞り機能とシッター機能を兼用している。専用の絞り羽根と、シッター羽根を別に用意しても、同じで有る。
【0021】
図3は、沈胴状態の撮影鏡筒の断面図で、2群鏡筒11が、光軸と異なる位置に退避し、その一部が光量調整の絞りシャッターの遮光動作部材の作動範囲を含む位置まで退避する事により、光軸上に残ったレンズ群間隔を最小位置まで短く収まっている状態を示している。
【0022】
図4は、絞りシャッター10をピント面側から見た図で、クローズ状態の図で有る。
【0023】
2群鏡筒11の一部が、同一面上まで来た場合の領域が11aで有る。図5は、図4のシャッター羽根のみを、開放状態とクローズ状態、またその中間点を図示した物で有る。
【0024】
図2の通常撮影状態から、沈胴動作を行う場合、図5の開放状態では2群鏡筒の退避で干渉してしまう為、2群退避動作が出来ない。そこで、絞りシャッター羽根を閉じる方向に動作する。次に、2群鏡筒11が、図2の様に、11a→11b→11c→11dと光軸と異なる位置に退避する。その後、沈胴動作を行う事により、図3の様に、沈胴状態に成る。
【0025】
通常、2群鏡筒11の退避動作は、沈胴動作に連動して行う事が多い。当然、専用の駆動部を設けて、退避させても良いが、専用の駆動部を設けない方が、コストだけでなく、スペース的にも小型化に有利である。この場合、絞りシャッター羽根10a、10bが、完全に2群鏡筒の退避時に干渉する領域からの退避が、終了してから沈胴動作開始では、沈胴動作がその待ち時間だけ、遅れてしまう。そこで、2群鏡筒の干渉範囲から絞りシャッター羽根10a、10bが、退避鏡筒が来る前に確実に退避終了できるなら、絞りシャッター羽根の退避動作終了前に、沈胴動作が開始されても良い。結果的に、干渉領域から羽根が退避してから、2群鏡筒が干渉領域に入り込むので有れば、干渉問題は起こらない。
【0026】
沈胴位置で有る図3より、通常撮影状態に繰り出す場合は、繰り出し動作により、2群鏡筒が、光軸と異なる位置から、光軸上に戻る。その後、絞りシャッター羽根は、2群鏡筒との干渉領域を含む位置まで、動作する事が可能と成る。
【0027】
図6は、撮影状態から沈胴状態へのフローチャートで有る。
【0028】
図7は、沈胴状態から撮影状態へのフローチャートで有る。
【0029】
図8は従来例で、絞りシャッター羽根の動作範囲と、2群鏡筒が光軸方向で干渉しない範囲での退避動作の為、光軸上のレンズ群の間隔が最小に成る前に、退避2群が、CCDを保持するマウント面と、光量調整の絞りシャッターユニットの間で最短間隔となり、光軸上のレンズ群間隔を最小まで出来ない例で有る。
図8のY寸法に対し、図3のX寸法は、明らかに小さい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明を実施した光学装置の外観図。
【図2】図1の鏡筒部通常撮影状態の主断面図。
【図3】図1の鏡筒部沈胴状態の主断面図。
【図4】図2・3のピント面から光量調整装置10を見た図。
【図5】図4から羽根のみを表示し、クローズ・中間・開放状態を示した図。
【図6】撮影状態から、沈胴動作するフローチャート。
【図7】沈胴状態から、撮影状態に動作するフローチャート。
【図8】退避鏡筒が、光量調整装置に干渉しない位置までだけ沈胴した従来例の図。
【符号の説明】
【0031】
1 前キャップ
2 飾り名版
3 1群鏡筒
4 バリア
5 第二カム環
6 第二直進キー
7 第一カム環
8 固定鏡筒
9 第一直進キー
10 絞りシッター
11 2群鏡筒
12 3群鏡筒
13 CCDホルダー
14 CCD
L1 1群レンズ
L2 2群レンズ
L3 3群レンズ
L4 ローパスフィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
沈胴長を短縮する為に、光学系の一部を光軸上から異なる位置に退避して、その分沈胴量を増やした沈胴鏡筒を用いた光学機器において、
その退避する群鏡筒は、その光学機器の光量を調整する可動遮光部材の、通常撮影状態作動範囲を含む範位置に、退避する事を特徴とする光学機器。
【請求項2】
通常撮影状態から、沈胴動作を開始する際は、光量を調整する可動遮光部材を光学系の一部が退避する時に含まれる範囲から退避して、その後、光学系の一部が退避する事を特徴とする光学機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−39375(P2006−39375A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221723(P2004−221723)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】