説明

光学活性なシアノヒドリン化合物の製造方法

【課題】光学活性なシアノヒドリン化合物の製造方法の提供。
【解決手段】塩化アルミニウムと式1


(式中、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基等を表わす。ただし、RとRが同一であることはない。)で示される光学活性なビスオキサゾリルピリジン化合物とを作用させて不斉錯体を得、次いで、該不斉錯体およびシリル化合物の存在下にアルデヒド化合物とシアン化水素とを反応させる光学活性なシアノヒドリン化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学活性なシアノヒドリン化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学活性なシアノヒドリン化合物の製造方法としては、例えば、光学活性バナジル触媒の存在下でアルデヒドをシアン化水素と反応させる方法(特許文献1参照)が知られている。一方、塩化アルミニウムと光学活性なビスオキサゾリルピリジン化合物とを作用させて不斉錯体を得、該不斉錯体の存在下にアルデヒド化合物とトリメチルシリルシアニドとを反応させて光学活性なシアノヒドリン化合物のO−シリルエーテルを製造する方法(非特許文献1参照)も知られている。
【0003】
特許文献1に記載の方法では、高価なバナジウム化合物から調製された触媒を用いるため、本発明者は、より安価な塩化アルミニウムから調製された不斉錯体を用いる光学活性なシアノヒドリン化合物の製造方法を検討した。しかしながら、非特許文献1に記載の不斉錯体の存在下にアルデヒド化合物とシアン化水素とを混合しただけでは、光学活性なシアノヒドリン化合物を得ることができなかった。
【特許文献1】特表2004−533490号公報
【非特許文献1】Tetrahedron: Asymmetry, Vol. 8, p. 1279 (1997)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような状況のもと、本発明者は、安価な塩化アルミニウムから調製された不斉錯体を用いる光学活性なシアノヒドリン化合物の製造方法について鋭意検討したところ、アルデヒド化合物とシアン化水素との反応を、さらにシリル化合物の存在下に行えば、光学活性なシアノヒドリン化合物が得られることを見出し、本発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明は、塩化アルミニウムと式(1)

(式中、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜11のアラルキル基を表わす。ただし、RとRが同一であることはない。)
で示される光学活性なビスオキサゾリルピリジン化合物とを作用させて不斉錯体を得、次いで、該不斉錯体およびシリル化合物の存在下に式(2)

(式中、QおよびQはそれぞれ同一または相異なって水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数2〜6のアルカンカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルカンスルホニルオキシ基、置換されていてもよいベンゼンスルホニルオキシ基、炭素数1〜10のトリアルキルシリルオキシ基または置換されていてもよい炭素数6〜10のアリールオキシ基を表わす。)
で示されるアルデヒド化合物とシアン化水素とを反応させる式(3)

(式中、QおよびQは上記と同一の意味を表わし、*は当該炭素原子が光学活性中心であることを表わす。)
で示される光学活性なシアノヒドリン化合物の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、より安価な不斉錯体を用いて光学活性なシアノヒドリン化合物が得られるので、本発明は工業的に有利である。また、生成物がO−シリルエーテルである場合は脱シリル化して光学活性なシアノヒドリン化合物を得る必要があるが、本発明によれば、光学活性なシアノヒドリン化合物が直接得られる点においても、本発明は有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0008】
本発明に用いられる塩化アルミニウムは、市販のものを用いてもよいし、任意の公知の方法により製造して用いてもよい。その使用量は、上記式(2)で示されるアルデヒド化合物に対し、通常0.001モル倍以上であればよく、好ましくは0.01〜1モル倍である。
【0009】
上記式(1)において、RおよびRで示される炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
【0010】
炭素数6〜10のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0011】
炭素数7〜11のアラルキル基としては、例えばベンジル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0012】
式(1)で示される光学活性なビスオキサゾリルピリジン化合物(以下、光学活性ビスオキサゾリルピリジン(1)と略記する。)としては、例えば、光学活性な2,6−ビス(4’−メチル−2’−オキサゾリル)ピリジン、光学活性な2,6−ビス(4’−エチル−2’−オキサゾリル)ピリジン、光学活性な2,6−ビス(4’−イソプロピル−2’−オキサゾリル)ピリジン、光学活性な2,6−ビス(4’−tert−ブチル−2’−オキサゾリル)ピリジン、光学活性な2,6−ビス(4’−sec−ブチル−2’−オキサゾリル)ピリジン、光学活性な2,6−ビス(4’−イソブチル−2’−オキサゾリル)ピリジン、光学活性な2,6−ビス(4’−フェニル−2’−オキサゾリル)ピリジン、光学活性な2,6−ビス(4’−ナフチル−2’−オキサゾリル)ピリジン、光学活性な2,6−ビス(4’−ベンジル−2’−オキサゾリル)ピリジン、光学活性な2,6−ビス(4’−ナフチルメチル−2’−オキサゾリル)ピリジン等が挙げられる。これらは、S体であってもR体であってもよく、また、S体かR体の一方が過剰に含まれていれば、S体とR体の混合物であってもよい。光学活性ビスオキサゾリルピリジン(1)は、市販のものを用いてもよいし、例えば、特開平2−36181号公報等に記載の公知の方法により製造して用いてもよい。
【0013】
光学活性ビスオキサゾリルピリジン(1)の使用量は、塩化アルミニウムに対し、通常0.8〜5モル倍、好ましくは1〜2モル倍である。
【0014】
塩化アルミニウムと光学活性ビスオキサゾリルピリジン(1)とを作用させれば、不斉錯体が得られるが、かかる作用は、通常、溶媒の存在下で行われる。かかる溶媒としては、例えば、塩化メチレン、1,2−ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素;等が挙げられる。溶媒の使用量は、特に限定されないが、通常、塩化アルミニウムに対し10〜500重量倍である。
【0015】
かかる作用は水の非存在下で行われることが好ましい。さらに、アルゴンや窒素等の不活性ガスの雰囲気下で行われることが好ましい。
【0016】
作用温度は、通常−20℃以上であればよく、好ましくは−5〜50℃である。溶媒として芳香族炭化水素を用いる場合、50℃より高温で作用させると副反応が生起するおそれがある。作用時間は、通常1分〜5時間の範囲である。
【0017】
上記式(2)においてQおよびQで示される基のうち、炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。かかるアルキル基上に置換していてもよい基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基等の炭素数1〜4のアルキルチオ基;フェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基等のアルキル基で置換されていてもよいアリールオキシ基;フェニルチオ基、2,5−ジメチルフェニルチオ基等のアルキル基で置換されていてもよいアリールチオ基;メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキルスルホニル基;ベンゼンスルホニル基、パラトルエンスルホニル基、オルトニトロベンゼンスルホニル基等のアルキル基またはニトロ基で置換されていてもよいベンゼンスルホニル基;等が例示される。これらの基で置換されたアルキル基の具体例としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メチルチオメチル基、フェニルチオメチル基、2,5−ジメチルフェノキシメチル基、メタンスルホニルメチル基、クロロメタンスルホニルメチル基、トリフルオロメタンスルホニルメチル基、4−ベンゼンスルホニルメチル基、4−ニトロベンゼンスルホニルメチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−メチルチオエチル基、2−フェニルチオエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、2−トリフルオロメタンスルホニルエチル基、2−ベンゼンスルホニルエチル基、2−(4−ニトロベンゼンスルホニル)エチル基等が挙げられる。
【0018】
炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。かかるアルコキシ基上に置換していてもよい基としては、フッ素原子等のハロゲン原子が例示される。かかる基で置換されたアルコキシ基の具体例としては、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロポキシ基等が挙げられる。
【0019】
炭素数2〜6のアルカンカルボニルオキシ基としては、例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ネオペンタンカルボニルオキシ基等が挙げられる。かかるアルカンカルボニルオキシ基上に置換していてもよい基としては、フェニル基、ナフチル基等のアリール基が例示される。これらの基で置換されたアルカンカルボニルオキシ基の具体例としては、フェニルアセトキシ基、ナフチルアセトキシ基等が挙げられる。
【0020】
炭素数1〜4のアルカンスルホニルオキシ基としては、例えばメタンスルホニルオキシ基等が挙げられる。かかるアルカンスルホニルオキシ基上に置換していてもよい基としては、フッ素原子等のハロゲン原子が例示される。かかる基で置換されたアルカンスルホニルオキシ基の具体例としては、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等が挙げられる。
【0021】
ベンゼンスルホニルオキシ基上に置換していてもよい基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基やニトロ基等が例示される。これらの基で置換されたベンゼンスルホニルオキシ基の具体例としては、パラトルエンスルホニルオキシ基、オルトニトロベンゼンスルホニルオキシ基、パラニトロベンゼンスルホニルオキシ基等が挙げられる。
【0022】
炭素数1〜10のトリアルキルシリルオキシ基としては、例えばトリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリプロピルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基等が挙げられる。
【0023】
炭素数6〜10のアリールオキシ基としては、例えばフェノキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。かかるアリールオキシ基上に置換していてもよい基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;フッ素原子等のハロゲン原子;等が例示される。これらの基で置換されたアリールオキシ基の具体例としては、4−メチルフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−エトキシフェノキシ基、2−フルオロフェノキシ基、4−フルオロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基等が挙げられる。
【0024】
上記式(2)で示されるアルデヒド化合物(以下、アルデヒド(2)と略記する。)としては、例えば、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、2−エチルベンズアルデヒド、2−イソプロピルベンズアルデヒド、4−tert−ブチルベンズアルデヒド、2−メトキシメチルベンズアルデヒド、2−(2−メトキシエチル)ベンズアルデヒド、2−エトキシメチルベンズアルデヒド、2−メチルチオメチルベンズアルデヒド、2−(2−メチルチオエチル)ベンズアルデヒド、2−エチルチオメチルベンズアルデヒド、2−フェノキシメチルベンズアルデヒド、2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンズアルデヒド、4−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンズアルデヒド、2−フェニルチオメチルベンズアルデヒド、2−(2,5−ジメチルフェニルチオメチル)ベンズアルデヒド、2−メタンスルホニルメチルベンズアルデヒド、2−トリフルオロメタンスルホニルメチルベンズアルデヒド、2−ベンゼンスルホニルメチルベンズアルデヒド、2−パラトルエンスルホニルメチルベンズアルデヒド、2−(オルトニトロベンゼンスルホニルメチル)ベンズアルデヒド、2−メトキシベンズアルデヒド、3−メトキシベンズアルデヒド、4−メトキシベンズアルデヒド、2−エトキシベンズアルデヒド、2−イソプロポキシベンズアルデヒド、2−ジフルオロメトキシベンズアルデヒド、2−トリフルオロメトキシベンズアルデヒド、2−ペンタフルオロエトキシベンズアルデヒド、2−[1’,1’,1’,3’,3’,3’−ヘキサフルオロ−2’−プロポキシ]ベンズアルデヒド、2−アセトキシベンズアルデヒド、4−アセトキシベンズアルデヒド、2−プロピオニルオキシベンズアルデヒド、2−ブチリルオキシベンズアルデヒド、2−ピバロイルオキシベンズアルデヒド、2−フェニルアセトキシベンズアルデヒド、4−フェニルアセトキシベンズアルデヒド、2−ナフチルアセトキシベンズアルデヒド、2−メタンスルホニルオキシベンズアルデヒド、2−トリフルオロメタンスルホニルオキシベンズアルデヒド、2−パラトルエンスルホニルオキシベンズアルデヒド、2−オルトニトロベンゼンスルホニルオキシベンズアルデヒド、2−パラニトロベンゼンスルホニルオキシベンズアルデヒド、2−トリメチルシリルオキシベンズアルデヒド、2−トリエチルシリルオキシベンズアルデヒド、2−トリプロピルシリルオキシベンズアルデヒド、2−tert−ブチルジメチルシリルオキシベンズアルデヒド、2−フェノキシベンズアルデヒド、3−フェノキシベンズアルデヒド、2−ナフチルオキシベンズアルデヒド、2−(4−メチルフェノキシ)ベンズアルデヒド、2−(2−メチルフェノキシ)ベンズアルデヒド、2−(2,4−ジメチルフェノキシ)ベンズアルデヒド、2−(2,4−ジ−tert−ブチルフェノキシ)ベンズアルデヒド、2−(4−メトキシフェノキシ)ベンズアルデヒド、2−(4−エトキシフェノキシ)ベンズアルデヒド、2−(2−フルオロフェノキシ)ベンズアルデヒド、2−(4−フルオロフェノキシ)ベンズアルデヒド、2−ペンタフルオロフェノキシベンズアルデヒド、2−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)−4−メトキシメチルベンズアルデヒド、2−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)−4−メチルチオメチルベンズアルデヒド、2−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)−4−フェニルチオメチルベンズアルデヒド、2−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)−4−トリフルオロメトキシベンズアルデヒド、2−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)−4−ペンタフルオロエトキシベンズアルデヒド、2−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)−4−アセトキシベンズアルデヒド、2−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)−4−ベンゾイルオキシベンズアルデヒド、2−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)−4−トリメチルシリルオキシベンズアルデヒド、2−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)−4−トリエチルシリルオキシベンズアルデヒド、2−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)ベンズアルデヒド、2−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)−4−フェノキシベンズアルデヒド、2−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)−4−ペンタフルオロフェノキシベンズアルデヒド等が挙げられる。アルデヒド(2)は、市販のものを用いてもよいし、任意の公知の方法により製造して用いてもよい。
【0025】
本発明に用いられるシアン化水素は、気体、液体および溶液のいずれの状態であってもよい。溶液として用いる場合の溶媒としては、例えば、塩化メチレン、1,2−ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素;tert−ブチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒;等が挙げられる。溶媒の使用量は、シアン化水素に対し1重量倍以上であればよい。シアン化水素の使用量は、アルデヒド(2)に対し、1モル倍以上であればよい。好ましくは1.1〜3.0モル倍の範囲である。シアン化水素は市販のものを用いてもよいし、任意の公知の方法により製造して用いてもよい。
【0026】
本発明に用いられるシリル化合物は、例えば、塩化トリメチルシリル、塩化トリエチルシリル等のハロゲン化トリアルキルシリル化合物;シアン化トリメチルシリル等のシアン化トリアルキルシリル化合物;ヘキサメチルジシラザン、トリス(トリメチルシリル)アミン等のシリルアミン化合物;等が挙げられる。シアン化トリアルキルシリル化合物が好ましく、シアン化トリメチルシリルがより好ましい。シリル化合物の使用量は、アルデヒド(2)に対して、通常0.01〜0.5モル倍、好ましくは0.05〜0.2モル倍の範囲である。
【0027】
本反応は、通常、溶媒の存在下で実施される。かかる溶媒としては、例えば、キシレン、トルエン、クロロベンゼン、オルト−ジクロロベンゼン、ベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル溶媒;ジクロロメタン、1、2−ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒;等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。ハロゲン化炭化水素溶媒が好ましく、ジクロロメタンがより好ましい。溶媒の使用量は特に限定されないが、経済性の観点から、アルデヒド(2)に対して、通常100重量倍以下である。上記の不斉錯体の調製に溶媒を用いたり、シアン化水素として溶液を用いたりしたときは、これらの溶媒を本反応の溶媒の全部または一部として用いることができる。
【0028】
本反応の反応温度は、通常−80〜50℃であり、得られる上記(3)で示される光学活性なシアノヒドリン化合物(以下、光学活性シアノヒドリン(3)と略記する、)の収率や鏡像異性体過剰率の観点から、0〜35℃の範囲が好ましい。常圧下で本反応を行ってもよいし、加圧下で本反応を行ってもよい。ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、NMR等の通常の分析手段により、反応の進行を確認することができる。
【0029】
本反応は、塩化アルミニウムと光学活性ビスオキサゾリルピリジン(1)とを作用させて得られる不斉錯体(以下、不斉錯体と略記する。)とシリル化合物とアルデヒド(2)とシアン化水素とを混合することにより実施され、それらの混合順番は特に限定されない。例えば、不斉錯体を所定の反応温度に調整し、そこにアルデヒド(2)とシリル化合物を加え、最後にシアン化水素を加えていく方法;不斉錯体とアルデヒド(2)とシリル化合物を混合し、得られた混合物を所定の反応温度に調整し、そこにシアン化水素を加えていく方法;不斉錯体を所定の反応温度に調整し、そこにシリル化合物を加え、最後にアルデヒド(2)とシアン化水素とを同時並行的に加えていく方法;不斉錯体を所定の反応温度に調整し、そこにシアン化水素とシリル化合物とを加え、最後にアルデヒド(2)を加えていく方法;不斉錯体とシアン化水素を混合し、得られた混合物を所定の反応温度に調整し、そこにアルデヒド(2)を加えていく方法;アルデヒド(2)を所定の反応温度に調整し、そこに不斉錯体とシリル化合物を加え、最後にシアン化水素を加えていく方法;アルデヒド(2)と不斉錯体とシリル化合物を混合し、得られた混合物を所定の反応温度に調整し、そこにシアン化水素を加えていく方法;アルデヒド(2)を所定の反応温度に調整し、そこにシアン化水素とシリル化合物を加え、最後に不斉錯体を加える方法;アルデヒド(2)とシアン化水素とシリル化合物を混合し、得られた混合物を所定の反応温度に調整し、そこに不斉錯体を加える方法;アルデヒド(2)とシリル化合物を混合し、得られた混合物を所定の反応温度に調整し、そこにシアン化水素と不斉錯体とを同時並行的に加えていく方法;等が挙げられる。なかでも、不斉錯体を所定の反応温度に調整し、そこにアルデヒド(2)とシリル化合物を加え、最後にシアン化水素を加えていく方法が好ましい。
【0030】
かくして得られる反応混合物には、通常、光学活性シアノヒドリン(3)が主生成物として含まれており、該反応混合物を、酸性水処理、水洗処理、分液処理等の後処理に付した後、濃縮処理、晶析処理、ろ過処理等の通常の単離処理に付すことにより、光学活性シアノヒドリン(3)を単離することができる。単離された光学活性シアノヒドリン(3)は、さらに再結晶、蒸留、カラムクロマトグラフィー等の通常の手段により精製されてもよい。
【0031】
かくして得られる光学活性シアノヒドリン(3)としては、例えば、光学活性な2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−メチル−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なp−メチル−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−エチル−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−イソプロピル−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なp−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−メトキシメチル−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−(2−メトキシエチル)−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−エトキシメチル−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−メチルチオメチル−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−(2−メチルチオエチル)−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−エチルチオメチル−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−フェノキシメチル−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なp−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−フェニルチオメチル−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−(2,5−ジメチルフェニルチオメチル)−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−メタンスルホニルメチル−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−トリフルオロメタンスルホニルメチル−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−ベンゼンスルホニルメチル−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−パラトルエンスルホニルメチル−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−(オルトニトロベンゼンスルホニルメチル)−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−メトキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なm−メトキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なp−メトキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−エトキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−イソプロポキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−ジフルオロメトキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−トリフルオロメトキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−ペンタフルオロエトキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−[1’,1’,1’,3’,3’,3’−ヘキサフルオロ−2’−プロポキシ]−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−アセトキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なp−アセトキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−プロピオニルオキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−ブチリルオキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−ピバロイルオキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−フェニルアセトキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なp−フェニルアセトキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−ナフチルアセトキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−メタンスルホニルオキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−パラトルエンスルホニルオキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−オルトニトロベンゼンスルホニルオキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−オルトニトロベンゼンスルホニルオキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−トリメチルシリルオキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−トリエチルシリルオキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−トリプロピルシリルオキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−ナフチルオキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−(4−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−(2−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−(2,4−ジメチルフェノキシ)−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−(2,4−ジ−tert−ブチルフェノキシ)−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−(4−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−(4−エトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−(2−フルオロフェノキシ)−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−(4−フルオロフェノキシ)−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−ペンタフルオロフェノキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)−p−メトキシメチル−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)−p−メチルチオメチル−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)−p−フェニルチオメチル−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)−p−ジメチルアミノメチル−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)−p−トリフルオロメトキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)−p−ペンタフルオロエトキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)−p−アセトキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)−p−ベンゾイルオキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)−p−トリメチルシリルオキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)−p−トリエチルシリルオキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)−p−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)−p−フェノキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド、光学活性なo−(2,6−ジメチルフェノキシメチル)−p−ペンタフルオロフェノキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニド等が挙げられる。
【実施例】
【0032】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、各実施例および比較例における鏡像異性体過剰率は、高速液体クロマトグラフィー(カラム:住化分析センター株式会社製SUMICHIRAL(登録商標) OA−4900、溶離液:ヘキサン/エタノール)によって測定した。
【0033】
実施例1
30mlの三つ口フラスコに、塩化アルミニウム27mg(0.20mmol)と2,6−ビス(4’−(S)−フェニル−2’−オキサゾリル)ピリジン90mg(0.24mmol)と塩化メチレン1mlを仕込み、得られた混合物を攪拌しながら内温0℃に調整した。そこに、2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンズアルデヒド1.0g(4.1mmol)とシアン化トリメチルシリル41mg(0.41mmol)と塩化メチレン3mlを加え、同温度で1時間攪拌した。得られた混合物にシアン化水素170mg(6.1mmol)を3時間かけて滴下した。得られた混合物を0℃で2時間攪拌した後、反応混合物を高速液体クロマトグラフィーにて分析したところ、転化率は95%であった。得られたo−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−2−ヒドロキシベンジルシアニドの鏡像異性体過剰率は、88%ee(R体)であった。
【0034】
実施例2
100mlの三つ口フラスコに、塩化アルミニウム27mg(0.20mmol)と2,6−ビス(4’−(S)−フェニル−2’−オキサゾリル)ピリジン90mg(0.24mmol)と塩化メチレン5mlを仕込み、得られた混合物を攪拌しながら内温0℃に調整した。そこに、2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンズアルデヒド5.0g(20mmol)とシアン化トリメチルシリル0.2g(2.0mmol)と塩化メチレン15mlを加え、同温度で1時間攪拌した。得られた混合物にシアン化水素0.83g(30mmol)を3時間かけて滴下した。得られた混合物を0℃で14時間攪拌した後、反応混合物を高速液体クロマトグラフィーにて分析したところ、転化率は51%であった。得られたo−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−2−ヒドロキシベンジルシアニドの鏡像異性体過剰率は、85%ee(R体)であった。
【0035】
実施例3
実施例1において、シアン化トリメチルシリル41mg(0.41mmol)に替えて塩化トリメチルシリル45mg(0.41mmol)を用いた以外は、実施例1と同様に操作したところ、転化率は31%であった。得られたo−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−2−ヒドロキシベンジルシアニドの鏡像異性体過剰率は、50%ee(R体)であった。
【0036】
実施例4
実施例1において、シアン化トリメチルシリル41mg(0.41mmol)に替えてヘキサメチルジシラザン67mg(0.41mmol)を用いた以外は、実施例1と同様に操作したところ、転化率は15%であった。得られたo−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−2−ヒドロキシベンジルシアニドの鏡像異性体過剰率は、68%ee(R体)であった。
【0037】
実施例5
実施例1において、塩化メチレンに替えてトルエンを用いた以外は、実施例1と同様に操作したところ、転化率は95%であった。得られたo−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−2−ヒドロキシベンジルシアニドの鏡像異性体過剰率は、76%ee(R体)であった。
【0038】
実施例6
実施例1において、2,6−ビス(4’−(S)−フェニル−2’−オキサゾリル)ピリジン90mg(0.24mmol)に替えて2,6−ビス(4’−(S)−イソプロピル−2’−オキサゾリル)ピリジン72mg(0.24mmol)を用いた以外は、実施例1と同様に操作したところ、転化率は95%であった。得られたo−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−2−ヒドロキシベンジルシアニドの鏡像異性体過剰率は、82%ee(R体)であった。
【0039】
実施例7
実施例1において、2,6−ビス(4’−(S)−フェニル−2’−オキサゾリル)ピリジンに替えて2,6−ビス(4’−(R)−フェニル−2’−オキサゾリル)ピリジンを用いた以外は、実施例1と同様に操作したところ、転化率は95%であった。得られたo−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−2−ヒドロキシベンジルシアニドの鏡像異性体過剰率は、84%ee(S体)であった。
【0040】
実施例8
100mlの三つ口フラスコに、塩化アルミニウム137mg(1.03mmol)と2,6−ビス(4’−(S)−フェニル−2’−オキサゾリル)ピリジン457mg(1.24mmol)と塩化メチレン10mlを仕込み、得られた混合物を攪拌しながら内温0℃に調整した。そこに、2−(2,5−ジメチルフェノキシ)メチルベンズアルデヒド5.0g(20.6mmol)、シアン化トリメチルシリル0.21g(2.06mmol)と塩化メチレン15mlを加え、同温度で1時間攪拌した。得られた混合物にシアン化水素0.84g(30.9mmol)を3時間かけて滴下した。得られた混合物を0℃で3時間攪拌した。反応混合物に3重量%塩酸水5gを加えて混合し、分液処理により有機層を取得した。該有機層を3重量%塩酸水10g、水10gで順に洗浄し、有機層42.1gを得た。該有機層を高速液体クロマトグラフィー内部標準法にて分析したところ、o−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)−2−ヒドロキシベンジルシアニドの含量は17.5重量%であった。収率は90.1%であり、光学異性体過剰率は88%ee(R体)であった。
【0041】
実施例9
50mlの三つ口フラスコに、塩化アルミニウム96mg(0.72mmol)と2,6−ビス(4’−(S)−フェニル−2’−オキサゾリル)ピリジン0.32g(0.86mmol)と塩化メチレン3mlを仕込み、得られた混合物を攪拌しながら内温0℃に調整した。そこに、3−フェノキシベンズアルデヒド3.0g(14mmol)、シアン化トリメチルシリル0.14g(1.4mmol)と塩化メチレン10mlを加え、同温度で1時間攪拌した。得られた混合物にシアン化水素0.57g(21mmol)を3時間かけて滴下した。得られた混合物を0℃で3時間攪拌した。反応混合物に3重量%塩酸水5gを加えたて混合し、分液処理により有機層を取得した。該有機層を3重量%塩酸水10g、水10gで順に洗浄し、有機層22.5gを得た。該有機層を高速液体クロマトグラフィー内部標準法にて分析したところ、3−フェノキシ−2−ヒドロキシベンジルシアニドの含量は16.6重量%であった。収率は89.3%であり、鏡像異性体過剰率は65%ee(R体)であった。
【0042】
比較例
実施例1において、シアン化トリメチルシリルを用いない以外は、実施例1と同様に操作したところ、反応は進行しなかった。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明により得られる光学活性シアノヒドリン化合物は、例えば農業用殺菌剤の製造中間体として利用可能である(例えば、特公昭57−15723号公報、国際公開第95/27693号参照。)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化アルミニウムと式(1)

(式中、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜11のアラルキル基を表わす。ただし、RとRが同一であることはない。)
で示される光学活性なビスオキサゾリルピリジン化合物とを作用させて不斉錯体を得、次いで、該不斉錯体およびシリル化合物の存在下に式(2)

(式中、QおよびQはそれぞれ同一または相異なって水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数2〜6のアルカンカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルカンスルホニルオキシ基、置換されていてもよいベンゼンスルホニルオキシ基、炭素数1〜10のトリアルキルシリルオキシ基または置換されていてもよい炭素数6〜10のアリールオキシ基を表わす。)
で示されるアルデヒド化合物とシアン化水素とを反応させる式(3)

(式中、QおよびQは上記と同一の意味を表わし、*は当該炭素原子が光学活性中心であることを表わす。)
で示される光学活性なシアノヒドリン化合物の製造方法。
【請求項2】
シリル化合物が、シアン化トリアルキルシリル化合物である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
シリル化合物が、シアン化トリメチルシリルである請求項1に記載の製造方法。

【公開番号】特開2009−256262(P2009−256262A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−108772(P2008−108772)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】