説明

光学測定機

【課題】被検物を透過照明する場合に、装置全体を大型化させることなく、より効率的に被検物を照明できるようにする。
【解決手段】被検物12が載置されるステージ31には、複数の発光ダイオードが並べられて構成された透過照明パネル35が設けられている。被検物12の寸法測定を行なう場合、コントローラ22は、ステージ31の移動量に基づいて、ステージ31上における対物レンズ32の観察視野の中心位置を求める。そして、コントローラ22は、求めた中心位置と、対物レンズ32の観察視野の大きさとから、透過照明パネル35を構成する発光ダイオードのうち、対物レンズ32の観察視野内にあるものだけが発光するように、各発光ダイオードの点灯を制御する。本発明は、光学測定機に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステージに載置された被検物を透過照明する場合において、装置全体を大型化させることなく、より効率的に被検物を照明できるようにした光学測定機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定顕微鏡や画像測定機、測定投影機などの光学測定機は、部品等の被検物の幾何寸法を計測するために広く使用されている。
【0003】
このような光学測定機には、被検物が載置され、被検物上において観察光学系が観察している視野中心の位置を読み取り可能なステージと、ステージの観察光学系側とは反対側から、被検物を透過照明する照明装置が設けられている。
【0004】
例えば、ステージに対して観察光学系を鉛直方向に配置した縦型の光学測定機では、照明装置はステージの鉛直方向下側に配置され、さらにステージ中央には、照明装置からの照明光を通過させるために、照明光学系の光軸に沿って貫通穴が設けられている(例えば、特許文献1参照)。ステージに貫通穴を設けた光学測定機には、ステージ上面に、被検物を載置するためのガラス板が配置されているものも多い。
【0005】
また、ステージに貫通穴を設けずに、ステージ上面に透過照明用の発光パネルを設けた顕微鏡も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−18120号公報
【0007】
【特許文献2】特開平8−146300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した技術では、装置全体を大型化させることなく、効率的に被検物を照明することは困難であった。
【0009】
例えば、縦型の光学測定機では、貫通穴を設けるとステージ強度が低下してしまうので、その強度低下を補うため、ステージの部材を厚くする必要があり、結果的に装置全体が大きくなり、装置も重くなってしまう。
【0010】
また、ステージ上面に発光パネルを設けた顕微鏡では、ステージ上面全体を発光させるため、消費電力が多くなってしまうだけでなく、被検物の観察対象とならない部分、すなわち観察視野外の領域も常に照明されるため、効率的とはいえなかった。
【0011】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、装置全体を大型化させることなく、より効率的に被検物を照明することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の光学測定機は、被検物が載置されるステージと、前記被検物が載置される前記ステージ表面の各領域に照明光を照射することで、前記被検物を透過照明する複数の照明部と、前記被検物からの光を集光して、前記被検物の像を結像させる観察光学系と、前記ステージに対する前記観察光学系の観察視野の位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段による検出結果に基づいて、前記ステージ表面における、前記観察光学系の前記観察視野中心を含む所定の大きさの領域が前記照明光により照明されるように、複数の前記照明部による前記照明光の照射を制御する照明制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、装置全体を大型化させることなく、より効率的に被検物を照明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用した光学測定機の一実施の形態の構成例を示す図である。
【図2】ステージとコントローラのより詳細な構成例を示す図である。
【図3】照明処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明を適用した実施の形態について説明する。
【0016】
[光学測定機の構成]
図1は、本発明を適用した光学測定機の一実施の形態の構成例を示す図である。なお、図1において、横方向、奥行き方向、および縦方向は、互いに直交するx方向、y方向、およびz方向を示している。
【0017】
例えば、光学測定機11は、測定対象である被検物12の任意の部位の寸法を測定する測定機であり、測定機本体21とコントローラ22とから構成される。
【0018】
測定機本体21には、被検物12が載置されるステージ31、被検物12からの光を集光する対物レンズ32、および被検物12を観察するための接眼レンズ33が設けられている。また、ステージ31には、原点スイッチ34と、被検物12を対物レンズ32側とは反対側から透過照明するための透過照明パネル35が設けられている。
【0019】
ここで、原点スイッチ34は、例えばストロークエンドセンサなどからなり、xy平面上におけるステージ31の位置、より詳細には、ステージ31に対する対物レンズ32の観察視野の中心位置を検出するときの基準となる位置をリセットするスイッチである。なお、原点スイッチ34は、ユーザにより直接操作されるスイッチなどとされてもよい。そのような場合、ユーザは、原点スイッチ34を操作することで、光学測定機11に、基準となる位置を認識させる。
【0020】
透過照明パネル35から被検物12に照明光が照射されると、被検物12からの光は、対物レンズ32、接眼レンズ33、および図示せぬレンズ等により構成される観察光学系により集光されて、被検物12の像が結像される。これにより、ユーザは接眼レンズ33から被検物12を観察することができる。
【0021】
なお、測定機本体21にカメラを設け、カメラにより撮像された被検物12の観察画像が、コントローラ22に表示されるようにしてもよい。
【0022】
さらに、測定機本体21の対物レンズ32近傍には、対物レンズ32の光学倍率を特定するための認識センサ36が設けられている。
【0023】
例えば、認識センサ36は、測定機本体21に装着された対物レンズ32に関する情報を、測定機本体21から読み出すことで、対物レンズ32の光学倍率を特定し、得られた光学倍率を示す倍率情報をコントローラ22に供給する。この倍率情報から、観察光学系(対物レンズ32)の観察視野、すなわち対物レンズ32が観察可能なステージ31上の領域の大きさを特定することができる。以下では、対物レンズ32の観察視野は円形状であるものとし、観察視野の半径を半径Rと称する。
【0024】
コントローラ22は、ユーザの操作に応じて測定機本体21の動作を制御する。例えば、コントローラ22は、認識センサ36からの倍率情報と、対物レンズ32の観察視野の中心位置とに基づいて、ステージ31における、対物レンズ32の観察視野内の領域のみが透過照明されるように、透過照明パネル35を制御する。また、コントローラ22は、ユーザの操作に応じて、被検物12の指定された部位間の寸法を測定し、その測定結果を液晶ディスプレイなどからなる表示部37に表示させる。
【0025】
[コントローラ等の構成]
また、図1のステージ31およびコントローラ22は、より詳細には、図2に示すように構成される。なお、図2において、横方向、奥行き方向、および縦方向は、それぞれx方向、y方向、およびz方向を示している。また、図2において、図1における場合と対応する部分には、同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0026】
図2の例では、ステージ31は、主にステージ台座61、x可動部62、y可動部63、透過照明パネル35、およびすりガラス64から構成される。
【0027】
ステージ台座61は、測定機本体21に固定されており、このステージ台座61の図中、上側にx方向に移動可能なx可動部62が設けられている。また、x可動部62の図中、上側には、y方向に移動可能なy可動部63が設けられている。
【0028】
これらのx可動部62およびy可動部63が、ステージ台座61およびx可動部62に対してx方向およびy方向に移動することで、ステージ31上に載置された被検物12もxy方向に移動する。すなわち、測定機本体21に固定された対物レンズ32に対して、対物レンズ32の光軸と垂直な方向に被検物12を移動させることで、被検物12の任意の部位を観察することができるようになる。
【0029】
さらに、y可動部63の図中、上側には、例えばxy方向に並べられた複数の発光ダイオードからなる板状の透過照明パネル35が設けられ、透過照明パネル35の図中、上側には、被検物12が載置される板状のすりガラス64が設けられている。被検物12と透過照明パネル35との間にすりガラス64を設けることで、各発光ダイオードからの照明光がすりガラス64で拡散され、被検物12に照射される照明光にむらが生じることを防止することができる。つまり、略均一な明るさの照明光を、被検物12に照射することができる。
【0030】
ここで、透過照明パネル35のxy方向の寸法は、ステージ31が対物レンズ32に対してxy方向に可動可能なストローク(測定範囲)と、対物レンズ32の観察視野の大きさとが考慮されて定められる。すなわち、ステージ31の位置によらず、対物レンズ32の観察視野内が常に照明光により照明できるように、透過照明パネル35の大きさが予め定められている。
【0031】
なお、透過照明パネル35を構成する発光ダイオードが射出する照明光は、どのような色の光であってもよいが、ユーザの目の疲労や観察光学系での色収差の低減を考慮すると、白色光や、緑等の単色光であることが望ましい。
【0032】
また、透過照明パネル35を構成する発光素子は、発光ダイオードに限らず、その他の固体発光素子や、冷陰極放電管などであればよい。ここでいう固体発光素子には、発光ダイオード、レーザダイオード、有機EL(Electro Luminescence)、プラズマ発光素子などが含まれるものとする。さらに、すりガラス64も、照明光を拡散することができる板状の部材であれば、どのようなものであってもよい。
【0033】
ステージ台座61およびx可動部62には、x可動部62およびy可動部63のx方向およびy方向への移動に応じて信号を出力するエンコーダ65およびエンコーダ66が設けられている。例えば、これらのエンコーダ65およびエンコーダ66は、リニアエンコーダから構成される。
【0034】
図2の例では、エンコーダ65は、ステージ台座61の側面ではなく、ステージ台座61の略中心に位置するように、つまり対物レンズ32の略真下に位置するようにステージ台座61に固定されている。同様に、エンコーダ66もx可動部62の略中心に位置するように、x可動部62に固定されている。
【0035】
このように、ステージ31では、被検物12が載置されるすりガラス64の直下に透過照明パネル35を配置する構成とされているので、従来の光学測定機のように、ステージに照明用の貫通穴を設ける必要がない。そのため、対物レンズ32の略真下にエンコーダ65とエンコーダ66を配置し、アッベ誤差を低減させることができる。これにより、対物レンズ32に対するステージ31のxy方向への移動量をより正確に検出することができる。
【0036】
なお、エンコーダ65やエンコーダ66は、リニアエンコーダに限らず、モータやハンドル等の回転機構に設けられるロータリエンコーダなど、ステージ31のxy方向への移動量を検出できるものであれば、どのようなものであってもよい。
【0037】
また、コントローラ22は、位置演算部67、照明領域演算部68、照明制御部69、測定部70、および表示部37から構成される。
【0038】
位置演算部67は、エンコーダ65およびエンコーダ66から出力された信号に基づいて、x方向およびy方向に平行な軸をx軸およびy軸とするxy座標系における、対物レンズ32の観察視野の中心位置の座標を算出する。
【0039】
例えば、xy座標系は、ステージ31を構成するすりガラス64の1つの端を原点とする座標系とされる。この場合、ステージ31がxy方向に移動すると、ステージ31に対して相対的に対物レンズ32が移動することになるので、ステージ31のすりガラス64表面上における対物レンズ32の観察視野の中心位置、つまりxy座標系における観察視野の中心位置の座標は変化する。
【0040】
位置演算部67は、エンコーダ65およびエンコーダ66からの信号に基づいて、ステージ31の移動量を検出し、xy座標系における対物レンズ32の観察視野の中心位置の座標(Pos_X,Pos_Y)を算出する。なお、以下では、観察視野の中心位置の座標(Pos_X,Pos_Y)を示す情報を、位置情報と称することとする。
【0041】
照明領域演算部68は、認識センサ36からの倍率情報に基づいて、対物レンズ32の観察視野の半径Rを算出するとともに、得られた半径Rと、位置演算部67からの位置情報とに基づいて、対物レンズ32の観察視野の領域を特定する。
【0042】
また、照明領域演算部68は、ステージ31上における観察視野の領域の特定結果に基づいて、照明制御部69を制御する。照明制御部69は、照明領域演算部68の制御に従って、透過照明パネル35を構成する各発光ダイオードを個別に発光させたり、消灯させたりする。測定部70は、ユーザの操作に応じて、位置演算部67から位置情報を取得して、被検物12の指定された部位間の距離(寸法)を演算し、部位間の距離の測定結果等を表示部37に表示させる。
【0043】
[光学測定機の動作]
次に、光学測定機11の動作について説明する。
【0044】
光学測定機11の電源がオンされ、ユーザがステージ31に設けられたハドルを操作してステージ31を所定の位置に移動させることで、原点スイッチ34をオンさせると、光学測定機11は、xy座標系の原点位置をリセットする。なお、ステージ31の移動は、ユーザがハンドル操作により手動で行なうようにしてもよいし、コントローラ22がユーザの操作に従って、電動で行なうようにしてもよい。
【0045】
また、ユーザがステージ31上に被検物12を載置し、被検物12の特定の部位間の距離の測定開始を指示すると、光学測定機11は、ユーザの操作に応じて測定処理を行う。
【0046】
具体的には、例えば、ユーザが接眼レンズ33を覗くと、ユーザには、観察光学系(対物レンズ32)の観察視野内にある被検物12の部位と、被検物12の任意の位置を指定するための照準(レクチル)が見えるようになされている。ユーザは、被検物12の所望の部位が照準の中心と重なるように、ステージ31に設けられたハンドルを操作し、x可動部62とy可動部63を移動させる。
【0047】
そして、被検物12の所望の部位に照準が合わせられた状態で、ユーザが測定開始を指示すると、位置演算部67は、エンコーダ65とエンコーダ66から出力された信号に基づいて、観察視野の中心位置の座標(Pos_X,Pos_Y)を算出する。
【0048】
測定部70は、位置演算部67から座標(Pos_X,Pos_Y)を示す位置情報を取得するとともに、取得された座標の位置を、被検物12の距離測定の始点の位置とする。
【0049】
また、測定部70は、被検物12の距離測定の始点の位置を原点とするx’y’座標系における対物レンズ32の観察視野の中心位置の座標(x’,y’)を表示部37に表示させる。ここで、x’y’座標系は、x’軸とy’軸がxy座標系のx軸およびy軸と平行であり、原点の位置だけがxy座標系とは異なる座標系である。
【0050】
したがって、例えば、現時点では、対物レンズ32の観察視野の中心位置は、被検物12の距離測定の始点位置にあるので、表示部37には、観察視野の中心位置の座標(x’,y’)として、(0,0)が表示されることになる。
【0051】
また、ユーザがステージ31を移動させ、被検物12における距離測定の終点の位置に照準が合った状態で、距離測定を指示すると、測定部70は、被検物12の距離測定の終点位置の座標(Pos_X,Pos_Y)を示す位置情報を、位置演算部67から取得する。
【0052】
そして、測定部70は、被検物12の距離測定の始点と終点の座標(Pos_X,Pos_Y)に基づいて、始点から終点までの距離を算出し、算出された距離を測定結果として表示部37に表示させる。さらに、測定部70は、x’y’座標系における被検物12の距離測定の終点位置の座標(x’,y’)も表示部37に表示させる。
【0053】
このようにして、光学測定機11は、ユーザの操作に応じて被検物12上の2点間の距離を測定し、その測定結果を表示する。このとき、光学測定機11は、ステージ31がどのように移動されても、ステージ31における対物レンズ32の観察視野内の領域のみが、照明光により継続して透過照明されるように、透過照明パネル35による被検物12の照明を制御する。
【0054】
次に、図3のフローチャートを参照して、光学測定機11が透過照明パネル35による照明を制御する処理である照明処理について説明する。この照明処理は、光学測定機11の電源がオンされると開始される。
【0055】
ステップS11において、位置演算部67は、エンコーダ65とエンコーダ66から出力された信号に基づいて、xy座標系における対物レンズ32の観察視野の中心位置の座標(Pos_X,Pos_Y)を算出する。そして、位置演算部67は、その算出結果を示す座標情報を照明領域演算部68に供給する。
【0056】
ステップS12において、照明領域演算部68は、認識センサ36から供給された倍率情報に基づいて、対物レンズ32の観察視野の半径Rを算出する。
【0057】
そして、ステップS13において、照明領域演算部68は、算出した観察視野の半径Rと、位置演算部67からの位置情報とを用いて、透過照明パネル35を構成する発光ダイオードのうち、点灯させるべき発光ダイオードを特定する。
【0058】
具体的には、例えば、照明領域演算部68は、透過照明パネル35を構成する各発光ダイオードを特定する情報と、それらの発光ダイオードのxy座標系における位置を示す座標(XL,YL)とが対応付けられている位置テーブルを予め保持している。
【0059】
そして、照明領域演算部68は、位置テーブルを参照するとともに、位置情報に示される観察視野の座標を(Pos_X,Pos_Y)として、次式(1)を満たす発光ダイオードを、点灯(発光)させるべき発光ダイオードとする。
【0060】
(XL−Pos_X)+(YL−Pos_Y)<R ・・・(1)
【0061】
なお、式(1)において、XL,YLは、透過照明パネル35を構成する発光ダイオードの配置位置のx座標およびy座標であり、Rは対物レンズ32の観察視野の半径を示している。
【0062】
したがって、式(1)を満たす座標(XL,YL)の位置にある発光ダイオードは、現時点において、ステージ31上における、対物レンズ32の観察視野内にある発光ダイオード、つまり観察視野内の領域に照明光を照射する発光ダイオードである。
【0063】
照明領域演算部68は、式(1)を用いて、透過照明パネル35を構成する発光ダイオードのうち、対物レンズ32の観察視野内にある発光ダイオードを点灯すべきものとし、観察視野外にある発光ダイオードを消灯すべきものとする。
【0064】
ステップS14において、照明領域演算部68は、点灯させるべき発光ダイオードの特定結果に基づいて、照明制御部69を制御することで、透過照明パネル35を構成する各発光ダイオードの点灯,消灯を制御する。
【0065】
照明制御部69は、照明領域演算部68の制御に応じた電流信号を、透過照明パネル35を構成する各発光ダイオードに供給し、発光ダイオードを点灯させたり、消灯させたりする。これにより、対物レンズ32の観察視野内にある発光ダイオードのみが発光し、被検物12が照明光により透過照明される。また、対物レンズ32の観察視野外に位置する発光ダイオードは発光しない。
【0066】
このようにして、透過照明パネル35の発光ダイオードの点灯,消灯が制御されると、その後、処理はステップS11に戻り、上述した処理が繰り返される。すなわち、ステージ31が移動されると、対物レンズ32の新たな観察視野内にある発光ダイオードが点灯するように、各発光ダイオードの点灯,消灯が制御される。この照明処理は、上述した測定処理中など、光学測定機11の電源がオフされるまで継続して行なわれる。
【0067】
以上のようにして、光学測定機11は、ステージ31の移動を検出し、その検出結果から得られた観察視野の中心位置と、観察視野の半径Rとに基づいて、観察視野内に位置する発光ダイオードのみを点灯させる。
【0068】
このように、透過照明パネル35の発光ダイオードのうち、観察視野内にある発光ダイオードのみを点灯させる照明処理を、被検物12の距離測定時に行なうことで、被検物12の注目すべき領域だけを、効率よく照明することができる。また、発光ダイオードを必要以上に発光させないことで、透過照明パネル35における消費電力も低減させることができる。
【0069】
さらに、光学測定機11では、必要な発光ダイオードのみを点灯させるので、照明光等による発熱を抑えることができる。これにより、熱膨張によるステージ31等の変形を抑制し、被検物12の距離の測定精度を向上させることができる。
【0070】
また、光学測定機11では、被検物12が載置されるすりガラス64の直下に、複数の発光ダイオードを並べて配置する構成としたので、ステージ31に照明用の貫通穴を設ける必要がなく、ステージ31の強度を充分に確保することができる。したがって、ステージ31を従来と比較してより薄いものとすることができ、その結果、光学測定機11の小型化を図ることができる。
【0071】
なお、以上においては、透過照明パネル35が、ステージ31に設けられる例について説明したが、透過照明パネル35は、各発光ダイオードがステージ31の各領域を透過照明できれば、どこに設けられていてもよい。
【0072】
また、予め被検物12の各部における照明光の透過率が求められている場合には、被検物12を透過した照明光の光量が、各領域においてが均一となるように、点灯させる各発光ダイオードの照明光の光量が調整されるようにしてもよい。
【0073】
そのような場合、例えば、照明領域演算部68は、被検物12の各部の透過率に応じた強度で照明光が射出されるように、照明制御部69を制御する。照明制御部69は、照明領域演算部68の制御に従って、透過照明パネル35の発光ダイオードに供給する電流信号の大きさ(振幅)を調整することで、所望の強度で発光ダイオードから照明光を射出させる。これにより、より良好な状態で被検物12の観察を行なうことができる。
【0074】
また、例えば、対物レンズ32の観察視野の中心に近い位置ほど、照射される照明光の強度が強くなるように、照明領域演算部68が観察視野内の発光ダイオードの照明光の強度を調整するようにしてもよい。さらに、ステージ31の透過照明される領域は、必ずしも対物レンズ32の観察視野の領域である必要はなく、観察視野の中心を含む所定の大きさの領域であればよい。
【0075】
なお、本発明は、画像測定機、測定投影機、顕微鏡等に適用可能である。
【0076】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0077】
11 光学測定機, 12 被検物, 21 測定機本体, 22 コントローラ, 31 ステージ, 32 対物レンズ, 35 透過照明パネル, 36 認識センサ, 64 すりガラス, 67 位置演算部, 68 照明領域演算部, 69 照明制御部, 70 測定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検物が載置されるステージと、
前記被検物が載置される前記ステージ表面の各領域に照明光を照射することで、前記被検物を透過照明する複数の照明部と、
前記被検物からの光を集光して、前記被検物の像を結像させる観察光学系と、
前記ステージに対する前記観察光学系の観察視野の位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段による検出結果に基づいて、前記ステージ表面における、前記観察光学系の前記観察視野中心を含む所定の大きさの領域が前記照明光により照明されるように、複数の前記照明部による前記照明光の照射を制御する照明制御手段と
を備えることを特徴とする光学測定機。
【請求項2】
前記観察光学系の光学倍率に基づいて、前記観察視野の大きさを算出する算出手段をさらに備え、
前記照明制御手段は、前記ステージ表面における、前記観察視野内の領域が前記照明光により照明されるように、前記照明部による前記照明光の照射を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の光学測定機。
【請求項3】
前記照明部は、前記ステージに設けられている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学測定機。
【請求項4】
前記ステージには、前記照明部に隣接して、前記照明光を拡散させる板状の拡散部が設けられ、前記被検物は前記拡散部に載置される
ことを特徴とする請求項3に記載の光学測定機。
【請求項5】
前記照明部は固体発光素子である
ことを特徴とする請求項4に記載の光学測定機。
【請求項6】
前記照明制御手段は、予め求められた前記被検物の各領域における前記照明光の透過率に基づいて、前記被検物の各領域を透過した前記照明光の光量が略均一になるように、前記照明部からの前記照明光の光量を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の光学測定機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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