説明

光学用保護フィルム及びその製造方法並びに偏光板及びその製造方法

【課題】特に偏光板用として好適であって、透明性に優れ、光学等方性を有すると共に、耐湿性が良好で耐久性に優れる上、偏光フィルムに対する密着性が良好な、ハードコート機能を有する光学用保護フィルム、及び該光学用保護フィルムを用いた偏光板を提供する。
【解決手段】ハードコート層(A)、樹脂層(B)及び粘着剤層(C)が順に積層されてなる積層フィルムであって、各層がいずれも、(メタ)アクリル酸エステル系化合物を80質量%以上含有する光学用保護フィルム、及び前記光学用保護フィルムの粘着剤層(C)面に接するように偏光フィルムが積層され、さらに該偏光フィルムの他面側に、粘着剤層(D)、及び樹脂層(E)が順に積層され、かつ、(D)及び(E)の各層いずれもが(メタ)アクリル酸エステル系化合物を80質量%以上含有する層からなる偏光板である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学用保護フィルム及びその製造方法並びに偏光板及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、液晶表示装置における偏光板や1/4波長板用として、あるいはタッチパネル用、光ディスクのカバーフィルム、各種ディスプレイの保護フィルムなどとして好適なハードコート機能を有する光学用保護フィルム、このものを効率よく製造する方法、及び前記光学用保護フィルムを用いた偏光板及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ハードコート機能を有する光学用保護フィルムは、各種画像表示装置、例えばLCD(液晶表示体)、タッチパネル、CRT(ブラウン管)、PDP(プラズマディスプレイパネル)、EL(エレクトロルミネッセンス)などにおいて、表面保護を始め、防眩性や反射防止などの目的で用いられている。また、LCDにおいては、偏光子を保護するために用いられている。この光学用保護フィルムは、一般に、基材フィルム上に、熱硬化や活性エネルギー線硬化などにより形成されたハードコート層を有するものである。
一方、近年、情報記録媒体としての光ディスクの発展はめざましく、記録容量の増加と共にCD、DVD、さらにBDが開発されてきた。BDに至っては、最大50GB程度の記録容量を有するものとなっている。これらの光ディスクにおいても、保護フィルムやカバーフィルムとして、ハードコート機能を有する光学用保護フィルムを用いることがよく行われている。
【0003】
ところで、液晶表示装置は、入射した直線偏光を液晶層のもつ電気光学特性で変調し、出射側の偏光板で透過率の強弱や着色の信号として可視化する装置である。すなわち、偏光をその表示の原理に用いているため、偏光板は必須の部材である。該偏光板は自然光を直線偏光に変える素子であり、現在、特に液晶表示装置用に量産実用化されている偏光板の多くは、ポリビニルアルコールフィルムからなる基材フィルムに、ヨウ素や二色性染料などの二色性材料を、染色・吸着させ、延伸配向させてなる偏光フィルムの両面あるいは片面に、光学的に透明で、かつ機械的強度を有する保護膜を貼り合わせたものが用いられている。そして、上記保護膜としては、複屈折が小さく光学的に等方性の高いものであること、光線透過率が高いこと、耐熱性に優れていること、機械的性質に優れていること、平面性が良好なこと、偏光子との接着性が良好であることなどが要求される。このために従来からセルロース系フィルムが用いられていた(特許文献1参照)。
【0004】
現在、セルロース系フィルムとして、トリアセテート(以下「TAC」ということがある。)が一般的に使用されている。しかしながら、TACフィルムは耐湿熱性が十分でなく、TACフィルムを偏光子保護膜として用いた偏光板を高湿下において使用すると、偏光度や色相等の偏光板の性能が低下するという欠点がある。
またTACフィルムは斜め方向の入射光に対して位相差を生じる。かかる位相差は、近年、液晶ディスプレイの大型化が進むにしたがって、顕著に視野角特性に影響を及ぼすようになっている。
さらに、液晶表示装置においては、通常光源からの出射光を円偏光部材により円偏光化し、それを1/4波長板を介して直線偏光化して偏光板に供給されている。そして、前記1/4波長板に対してハードコート機能を有する光学用保護フィルムを設けることも行われている。
【0005】
耐湿性が良く、耐久性に優れる保護フィルムとして、アクリル系樹脂単体又はアクリル系樹脂組成物を成形して得たフィルムを、両面に貼り合わせた偏光板が開示されている(特許文献2参照)。しかしながら貼り合わせに接着剤を使用しており、貼り合わせ直前に塗布するという必要があり生産性上好ましくない上、保護フィルムを両面に貼り合わせる際に用いる接着剤としては、光学的等方性に優れるものが好ましいとの記載はあるものの一般的なポリビニルアルコール系接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤を挙げているにすぎない。すなわち本発明の粘着剤層に該当する接着剤の種類や性状については、なんら規定しておらず、何ら考慮しない場合、接着剤と保護フィルムの間での屈折率の相違による視認性の悪化等が懸念される。また、この保護フィルムには、ハードコート層が形成されていない。
さらに、特許文献3には、(A)重量平均分子量50,000〜80,000の単官能(メタ)アクリル酸重合体70〜95質量%、及び(B)多官能のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物5〜30質量%を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなる光学フィルム、及びこの光学フィルムを偏光子の少なくとも片面に形成してなる偏光板が開示されている。この光学フィルムは、可撓性及びフィルム搬送性を改良したものであって、該光学フィルムに貼り合わせる際の接着剤としては、一般的なPVA系接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、ポリビニルエーテル系接着剤、ゴム系接着剤を挙げているにすぎず、接着剤の種類や性状については、なんら規定していない。これらの問題点は前記同様である。さらに、(A)成分に(B)成分を添加することにより、相分離等による光学的特性の悪化が懸念される。また、この光学フィルムにはハードコート層が形成されていない。
【0006】
偏光板に用いる保護フィルムとしては、現在用いられているTACフィルムでなくても、透明性に優れ、光学的等方性を有するものであればよく、キャストフィルムの多くがその代替となり得る。しかしながら、偏光フィルム(偏光子)は、現在ポリビニルアルコール系フィルムが一般的であることから、このフィルムとの密着性に難があり、また、コスト的に安価な材料であることが要求されるために、実用化に至っていないのが実状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−120617号公報
【特許文献2】特開2007−128025号公報
【特許文献3】特開2008−129212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような状況下になされたもので、特に偏光板用として好適であって、透明性に優れ、光学等方性を有すると共に、耐湿性が良好で耐久性に優れる上、偏光フィルムに対する密着性が良好な、ハードコート機能を有する光学用保護フィルム、このものを効率よく製造する方法、さらに該光学用保護フィルムを用いた偏光板、及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ハードコート層/樹脂層/粘着剤層から構成し、かつ、いずれの層も(メタ)アクリル酸エステル系化合物を80質量%以上含有するものから構成することにより、各層界面での反射を極めて低いレベルに抑えると共に各層間の密着性を飛躍的に向上させ、さらに全体としてのフィルム強度にも優れた光学用保護フィルムを得ることができることを見出した。
さらに、該光学用保護フィルムを偏光フィルムに貼り合わせ、偏光フィルムの他面側にも(メタ)アクリル酸エステル系化合物を80質量%以上含有する粘着剤層及び樹脂層を順に積層したものとすることにより、非常に視認性等の光学特性に優れ、かつ、各層の強度を効率的に高めることができるため、従来より薄い偏光板とすることができることを見出した。また、耐湿性に優れた(メタ)アクリル酸エステル系化合物を本発明の偏光板の偏光フィルムを除く全ての層の主成分とすることにより、得られる偏光板も従来のTACフィルムを基材としたものに比べて耐湿性及び耐光漏れ性にも優れた偏光板と為すことができることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0010】
すなわち、本発明は、
[1]ハードコート層(A)、樹脂層(B)及び粘着剤層(C)が順に積層されてなる積層フィルムであって、各層がいずれも、(メタ)アクリル酸エステル系化合物を80質量%以上含有することを特徴とする光学用保護フィルム、
[2]樹脂層(B)が、温度23℃における貯蔵弾性率E'が0.5MPa以上である、上記[1]項に記載の光学用保護フィルム、
[3]粘着剤層(C)が、多官能活性エネルギー線硬化型化合物を含有し、活性エネルギー線照射後の温度23℃における貯蔵弾性率G'が0.3MPa以上である、上記[1]又は[2]項に記載の光学用保護フィルム、
[4]ハードコート層(A)が、活性エネルギー線感応型組成物層に、活性エネルギー線を照射して形成された、上記[1]〜[3]項のいずれかに記載の光学用保護フィルム、
[5](a)工程シートの片面に、キャスティング法により樹脂層(B)を形成する工程、
(b)前記樹脂層(B)上にハードコート層(A)を形成する工程、及び
(c)前記工程シートを剥し、露出した樹脂層(B)面に、剥離シート上に設けられた粘着剤層(C)面が接するように貼り合せる工程、
を有することを特徴とする、上記[1]〜[4]項のいずれかに記載の光学用保護フィルムの製造方法、
[6]前記工程(b)におけるハードコート層が、活性エネルギー線感応型組成物層に、活性エネルギー線を照射して形成されることを特徴とする、上記[5]項に記載の光学用保護フィルムの製造方法、
[7]上記[1]〜[4]項のいずれかに記載の光学用保護フィルムの粘着剤層(C)面に接するように偏光フィルムが積層された偏光板、
[8]上記[1]〜[4]項のいずれかに記載の光学用保護フィルムの粘着剤層(C)面に接するように偏光フィルムが積層され、さらに該偏光フィルムの他面側に、粘着剤層(D)、及び樹脂層(E)が順に積層され、かつ、(D)及び(E)の各層いずれもが(メタ)アクリル酸エステル系化合物を80質量%以上含有する層からなる偏光板、
[9]上記[8]項に記載の偏光板の前記樹脂層(E)の露出面側に、さらに(メタ)アクリル酸エステル系化合物を80質量%以上含有する粘着剤層(F)を有する粘着剤層付き偏光板、
[10](a)工程シートの片面に、キャスティング法により樹脂層(B)を形成する工程、
(b)前記樹脂層(B)上にハードコート層(A)を形成する工程、
(c)前記工程シートを剥し、露出した樹脂層(B)面に、剥離シート上に設けられた粘着剤層(C)面が接するように貼り合せる工程、及び
(d)前記剥離シートを剥し、露出した粘着剤層(C)面を偏光フィルムの一方の面に貼り合せる工程を有し、
(e)別の工程シートの片面に、キャスティング法により樹脂層(E)を形成する工程、及び
(f)前記樹脂層(E)上に、剥離シート上に設けられた粘着剤層(D)の露出している側の面が接するように貼り合せる工程を有し、さらに、
(g)前記粘着剤層(D)の前記剥離シートを剥し、前記偏光フィルムの他方の面に貼り合せる工程を有することを特徴とする上記[8]項に記載の偏光板の製造方法、
[11]前記工程(b)において、ハードコート層(A)が、活性エネルギー線感応型組成物層に、活性エネルギー線を照射して形成されることを特徴とする上記[10]項に記載の偏光板の製造方法、
[12]粘着剤層(C)及び/又は粘着剤層(D)が、多官能活性エネルギー線硬化型化合物を含有し、かつ(h)前記工程(g)の後に活性エネルギー線を照射する工程を有する上記[10]又は[11]項に記載の偏光板の製造方法、
[13]上記[10]又は[11]項により得られた偏光板に対して、
(k)前記樹脂層(E)上の露出した面に、剥離シート上に設けられた粘着剤層(F)面が接するように貼り合せる工程を有することを特徴とする粘着剤層付き偏光板の製造方法、及び
[14]粘着剤層(C)、粘着剤層(D)、及び粘着剤層(F)の少なくとも1層が、多官能活性エネルギー線硬化型化合物を含有し、かつ(l)前記工程(k)の後に活性エネルギー線を照射する工程を有する上記[13]項に記載の粘着剤層付き偏光板の製造方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特に偏光板用として好適であって、透明性に優れ、光学等方性を有すると共に、耐湿性が良好で耐久性に優れる上、偏光フィルムに対する密着性が良好な、ハードコート機能を有する光学用保護フィルム、このものを効率よく製造する方法、及び該光学用保護フィルムを用いた偏光板、及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例、比較例で得られた粘着剤層付き偏光板の耐光漏れ性を評価する方法を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
まず、本発明の光学用保護フィルムについて説明する。
[光学用保護フィルム]
本発明の光学用保護フィルムは、ハードコート層(A)、樹脂層(B)及び粘着剤層(C)が順に積層されてなる積層フィルムであって、各層がいずれも、(メタ)アクリル酸エステル系化合物を80質量%以上含有し、かつ(A)層と(B)層と(C)層との合計厚さが、15〜130μmであることを特徴とする。なお、(メタ)アクリル酸エステル系化合物とは、アクリル酸エステル系化合物及び/又はメタクリル酸エステル系化合物を指す。同類語も同様の意味である。また、含有するとは、ポリマーあるいは硬化物のモノマーユニットとして含むことを意味する。
【0014】
(樹脂層(B))
本発明の光学用保護フィルムにおいて、(B)層として形成される樹脂層は、(メタ)アクリル酸エステル系化合物として、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体を80質量%以上含有する層である。
当該樹脂層としては、機械的特性及び成形性の観点から、重量平均分子量(Mw)が5万〜50万であって、分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1.5〜3.0の範囲にある(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体を含有するものが好ましい。重量平均分子量Mwが5万より小さいと得られる樹脂層のフィルム強度が低下する場合があり、重量平均分子量Mwが50万より大きいと粘度が高くなりすぎて作業性が低下する場合がある。また、分子量分布が1.5より狭いと、得られる樹脂層が耐衝撃性に劣る場合があり、分子量分布が3.0を超えると、得られる樹脂層の物理強度が低下し、寸法精度も悪化する場合がある。このような観点から、重量平均分子量Mwは、10万〜30万の範囲であることがより好ましく、15万〜25万であることが特に好ましい。なお、(共)重合体とは、単独重合体及び/又は共重合体を指す。
上記重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定した標準ポリスチレン換算の値である。
さらに、当該樹脂層としては、透明性、耐湿性、光学等方性、機械強度、吸水率、寸法安定性などのバランスの観点から、メチルメタクリレート単独重合体、及び/又はメチルメタクリレート単位80質量%以上を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体であることが好ましい。
【0015】
当該樹脂層が、前記の(メタ)アクリル酸エステル共重合体である場合、メチルメタクリレートと共重合させる(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばアルキル基の炭素数が2〜20程度の単官能(メタ)アクリレート系モノマーを用いることができる。具体的には、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどの中から少なくとも1種を適宜選択して用いることができる。
この共重合用の(メタ)アクリル酸エステルは、全モノマーに対して、20質量%以下の割合で用いることが好ましく、樹脂層に可撓性を付与するなどの目的で、適宜用いられる。なお、共重合用の(メタ)アクリル酸エステルにかえて、あるいは併用して(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸などのモノマー(カルボキシルキ含有モノマー)の中から少なくとも1種を用いてもよい。この場合も前述のとおり、共重合用のモノマーの合計量は、全モノマーに対して、20質量%以下の割合で用いることが好ましい。
重合方法に特に制限はなく、従来公知の各種方法、例えば塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などの方法を採用することができる。
【0016】
当該樹脂層は、キャスティング法(溶液流延法)で形成することが好ましい。具体的には、まず前記のようにして製造された(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体を適当な有機溶剤、例えば酢酸エチル、メチルエチルケトン、又はトルエンなどに溶解し、さらに可塑剤などの添加剤を加えて、水アメ状のドープを調製する。このドープはゴミや気泡を完全に除去したのち、支持体として、例えば工程シートを用い、その片面上に流延して、当該樹脂層を形成する。なお、工程シートとしては一般に使用されるものであれば、特に制限はなく、使用することができる。例えば、樹脂層と接する面側にシリコーン系あるいはフッ素系の剥離層が設けられたポリオレフィン系フィルムやポリエチレンテレフタレートフィルムなどが好ましく挙げられる。
このようにして形成された(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体を含む樹脂層は、厚さが10〜80μm程度、好ましくは20〜50μmであり、かつ温度23℃における貯蔵弾性率E'が0.5MPa以上であることが好ましく、2MPa以上であることがより好ましい。その上限については特に制限はないが、通常70MPa程度である。樹脂層の厚さが上記範囲にあれば、保護フィルムとしての性能を充分に発揮することができる。また、上記貯蔵弾性率E'が0.5MPa未満では、当該樹脂層の機械強度が低く、保護フィルムとしての性能が不充分となる。
なお、温度23℃の貯蔵弾性率E'は、JIS K 7244−4に基づいて測定した値である。
【0017】
(ハードコート層(A))
本発明の光学用保護フィルムにおいては、前記のようにして形成された樹脂層(B)上に、(A)層としてハードコート層が設けられる。ハードコート層を設けることにより表面の傷つきを防止するばかりでなく、光学用保護フィルムのフィルム強度にも寄与することができ、樹脂層の膜厚低減の効果を有する。
当該ハードコート層の形成には、活性エネルギー線感応型組成物を用いることができる。
<活性エネルギー線感応型組成物>
活性エネルギー線感応型組成物としては、(イ)多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び/又は(メタ)アクリレート系プレポリマーと、(ロ)シリカ系微粒子及び/又は(ハ)有機微粒子を含むものを好ましく用いることができる。
なお、本発明において、活性エネルギー線とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線や電子線などを指す。
【0018】
(1)(イ)多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び/又は(メタ)アクリレート系プレポリマー
本発明においては、活性エネルギー線感応型組成物として、多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び/又は(メタ)アクリレート系プレポリマーが用いられる。
前記多官能性(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。これらのモノマーは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
一方、前記(メタ)アクリレート系プレポリマーとしては、例えばポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系などが挙げられる。ここで、ポリエステルアクリレート系プレポリマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
エポキシアクリレート系プレポリマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。ウレタンアクリレート系プレポリマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。さらに、ポリオールアクリレート系プレポリマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。これらのプレポリマーは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、前記多官能性(メタ)アクリレート系モノマーと併用してもよい。
【0020】
(2)(ロ)シリカ系微粒子
本発明においては、(ロ)シリカ系微粒子として、コロイド状シリカ微粒子及び/又は表面官能基を有するシリカ微粒子を用いることができる。
コロイド状シリカ微粒子は、平均粒径が1〜400nm程度のものであり、また、表面官能基を有するシリカ微粒子としては、例えば表面官能基として(メタ)アクリロイル基を含む基を有するシリカ微粒子(以下、反応性シリカ微粒子と称することがある。)を挙げることができる。
上記反応性シリカ微粒子は、例えば、平均粒径0.005〜1μm程度のシリカ微粒子表面のシラノール基に、該シラノール基と反応し得る官能基を有する重合性不飽和基含有有機化合物を反応させることにより、得ることができる。重合性不飽和基としては、例えばラジカル重合性の(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。
前記シラノール基と反応し得る官能基を有する重合性不飽和基含有有機化合物としては、例えば一般式(I)
【化1】

(式中、R1は水素原子又はメチル基、R2はハロゲン原子又は
【化2】

で示される基である。)
で表される化合物などが好ましく用いられる。
【0021】
このような化合物としては、例えばアクリル酸、アクリル酸クロリド、アクリル酸2−イソシアナートエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2,3−イミノプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなど及びこれらのアクリル酸誘導体に対応するメタクリル酸誘導体を用いることができる。これらのアクリル酸誘導体やメタクリル酸誘導体は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このようにして得られた重合性不飽和基含有有機化合物が結合したシリカ微粒子は、活性エネルギー線硬化成分として、活性エネルギー線の照射により架橋、硬化する。
この反応性シリカ微粒子は、得られるハードコートフィルムの耐擦傷性を向上させる効果を有している。
このようなシリカ微粒子に重合性不飽和基を有する有機化合物を結合させてなる化合物を含む活性エネルギー線感応型組成物として、例えばJSR(株)製、商品名「オプスターZ7530」、「オプスターZ7524」、「オプスターTU4086」などが上市されている。
本発明においては、この(ロ)成分のシリカ系微粒子の含有量は、活性エネルギー線感応型組成物の固形分中に、通常5〜90質量%程度、好ましくは10〜70質量%である。
なお、この(ロ)成分のシリカ系微粒子におけるシリカ粒子の平均粒径は、レーザ回折・散乱法で測定することができる。この方法では、粒子を分散した液にレーザ光を当てた際に回折・散乱する光の強度変化により、平均粒径を測定する。
【0022】
(3)(ハ)有機微粒子
本発明においては、(ロ)シリカ系微粒子に変え、あるいは併用して、(ハ)有機微粒子を用いることができる。
該有機微粒子としては、例えばシリコーン系微粒子、メラミン系樹脂微粒子、アクリル系樹脂微粒子、アクリル−スチレン系共重合体微粒子、ポリカーボネート系微粒子、ポリエチレン系微粒子、ポリスチレン系微粒子、ベンゾグアナミン系樹脂微粒子などが挙げられる。
本発明においては、ハードコート層(A)、樹脂層(B)、粘着剤層(C)の全てを(メタ)アクリル酸エステル系化合物を主成分とすることにより界面での反射や屈折を最低限のレベルに抑え視認性の良い光学用保護フィルムを得るという観点からは、有機微粒子もアクリル系樹脂微粒子を使用することが特に好ましい。
また、有機微粒子の形状は特に制限されないが、防眩性能の均質化、再現性向上等の観点から球状のものが好ましい。
さらに、その平均粒径は、防眩性能の観点から、6〜10μmであることが好ましく、粒度分布は平均粒径±2μm以内の範囲の重量分率が70%以上であるものが好ましい。なお、有機微粒子の平均粒径及び粒度分布は、コールターカウンター法で測定した値をいう。
本発明において、この(ハ)成分の有機微粒子は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合わせて用いてもよく、また、その配合量は、防眩性能の観点から、前述した(イ)成分である活性エネルギー線感応型組成物の固形分100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部である。
【0023】
(4)光重合開始剤
本発明における活性エネルギー線感応型組成物には、所望により光重合開始剤を含有させることができる。この光重合開始剤としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリ−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸エステルなどが挙げられる。
これらは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、その配合量は、全活性エネルギー線感応型化合物100質量部に対して、通常0.2〜10質量部の範囲で選ばれる。なお、ここで全活性エネルギー線感応型化合物とは、(ロ)シリカ系微粒子として、反応性シリカ微粒子を用いる場合は、それを含むものを表す。
【0024】
(5)活性エネルギー線感応型組成物の調製
本発明で用いる活性エネルギー線感応型組成物は、適当な溶媒中に、前述した(イ)成分、(ロ)及び/又は(ハ)成分、及び所望により用いられる光重合開始剤や各種添加成分、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、シラン系カップリング剤、光安定剤、レベリング剤、消泡剤などを、それぞれ所定の割合で加え、溶解又は分散させることにより、調製することができる。
この際用いる溶媒としては、例えばヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレンなどのハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤などが挙げられる。
このようにして調製されたハードコート層形成材料の濃度、粘度としては、コーティング可能なものであればよく、特に制限されず、状況に応じて適宜選定することができる。
【0025】
<ハードコート層(A)の形成>
本発明においては、前述のようにして形成された樹脂層(B)上に、前記の活性エネルギー線感応型組成物を、従来公知の方法、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などを用いて、コーティングして塗膜を形成させ、乾燥後、これに活性エネルギー線を照射して該塗膜を硬化させることにより、ハードコート層(A)が形成される。
活性エネルギー線としては、例えば紫外線や電子線などが挙げられる。上記紫外線は、高圧水銀ランプ、無電極ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプなどで得られ、照射量は、通常100〜500mJ/cm2であり、一方電子線は、電子線加速器などによって得られ、照射量は、通常150〜350kVである。この活性エネルギー線の中では、特に紫外線が好適である。なお、電子線を使用する場合は、光重合開始剤を添加することなく、硬化膜を得ることができる。
このようにして形成されたハードコート層の厚さは、通常2〜20μm程度、好ましくは4〜10μmの範囲である。
【0026】
(粘着剤層(C))
本発明の光学用保護フィルムにおいては、樹脂層(B)のハードコート層側とは反対面に、(C)層として粘着剤層が設けられる。
当該粘着剤層(C)の形成には、多官能活性エネルギー線硬化型化合物を含有する活性エネルギー線硬化型粘着性材料が好ましく用いられる。
<活性エネルギー線硬化型粘着性材料>
この活性エネルギー線硬化型粘着性材料(以下、単に粘着性材料ということがある。)としては、(ニ)(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(ホ)多官能活性エネルギー線硬化型化合物、(へ)架橋剤及び所望により(ト)光重合開始剤を含むものが好ましく用いられる。
【0027】
(1)(ニ)(メタ)アクリル酸エステル共重合体
本発明における粘着性材料において、(ニ)成分として含まれる(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては特に制限はなく、従来粘着剤の樹脂成分として慣用されている(メタ)アクリル酸エステル共重合体の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。このような(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、例えばエステル部分のアルキル基の炭素数が4〜20の(メタ)アクリル酸エステルと、活性水素をもつ官能基を有する単量体と、所望により用いられる他の単量体との共重合体を好ましく挙げることができる。
【0028】
ここで、エステル部分のアルキル基の炭素数が4〜20の(メタ)アクリル酸エステルの例としては、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
一方、活性水素をもつ官能基を有する単量体の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのモノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸などが挙げられる。これらの単量体は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
また、所望により用いられる他の単量体の例としてはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレートなどのエステル部分のアルキル基の炭素数が1〜3の(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類;塩化ビニル、ビニリデンクロリドなどのハロゲン化オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体;ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル系単量体;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドなどのアクリルアミド類などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。得られる粘着剤層に粘着力を付与する観点から(ニ)(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、構成される単量体の50質量%以上が前記エステル部分のアルキル基の炭素数が4〜20の(メタ)アクリル酸エステルからなることが好ましく、60〜99質量%であることが特に好ましい。
【0031】
前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、その共重合形態については特に制限はなく、ランダム、ブロック、グラフト共重合体のいずれであってもよい。また、分子量は、重量平均分子量で50万以上が好ましく、50万〜250万がより好ましい。この重量平均分子量が50万未満では被着体との接着性や耐久接着性が不十分となるおそれがある。接着性、及び耐久接着性などを考慮すると、この重量平均分子量は、70万〜200万のものが好ましい。
なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
【0032】
さらに、この(メタ)アクリル酸エステル共重合体においては、活性水素をもつ官能基を有する単量体単位の含有量は、0.01〜10質量%の範囲が好ましい。この含有量が0.01質量%未満では架橋点が少なすぎて、架橋が不十分となり、粘着剤層の凝集破壊が生ずるおそれがあるし、10質量%を超えると液晶セルなどへの貼付適性が低下するおそれが生じる。この活性水素をもつ官能基を有する単量体単位のより好ましい含有量は0.05〜6.0質量%であり、特に0.2〜5.0質量%の範囲が好ましい。さらに、本発明の目的を達するのに最も好ましい活性水素をもつ官能基を有する単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びアクリル酸が挙げられ、(メタ)アクリル酸エステル共重合体中に単量体単位を0.3〜10質量%有することが好ましく、0.5〜5質量%有することが特に好ましい。
本発明においては、(ニ)成分として、この(メタ)アクリル酸エステル共重合体を1種用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0033】
(2)(ホ)多官能活性エネルギー線硬化型化合物
本発明における粘着性材料において、(ホ)成分として用いられる多官能活性エネルギー線硬化型化合物としては、重量平均分子量通常が10万以下、好ましくは300〜1万のものが用いられる。
このような活性エネルギー線硬化型化合物としては、例えば活性エネルギー線硬化型多官能プレポリマー及び/又は活性エネルギー線硬化型多官能モノマーを挙げることができる。上記活性エネルギー線硬化型多官能プレポリマーには、ラジカル重合型とカチオン重合型があり、ラジカル重合型の活性エネルギー線硬化型多官能プレポリマーとしては、例えばポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系などが挙げられる。
【0034】
ここで、ポリエステルアクリレート系プレポリマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシアクリレート系プレポリマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。ウレタンアクリレート系プレポリマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。さらに、ポリオールアクリレート系プレポリマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。これらの活性エネルギー線硬化型多官能プレポリマーは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、カチオン重合型の活性エネルギー線硬化型多官能プレポリマーとしては、エポキシ系樹脂が通常使用される。このエポキシ系樹脂としては、例えばビスフェノール樹脂やノボラック樹脂などの多価フェノール類にエピクロルヒドリンなどでエポキシ化した化合物、直鎖状オレフィン化合物や環状オレフィン化合物を過酸化物などで酸化して得られた化合物などが挙げられる。
【0035】
また、活性エネルギー線硬化型多官能モノマーとしては、例えば1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]イソシアヌレート類、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能アクリレートが挙げられる。これらの活性エネルギー線硬化型多官能モノマーは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、前記活性エネルギー線硬化型多官能プレポリマーと併用してもよい。
【0036】
本発明においては、この(ホ)成分の多官能活性エネルギー線硬化型化合物としては、架橋点を小さくでき、架橋密度を増加できる観点から多官能モノマーが好ましく、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]イソシアヌレート類などを好適なものとして挙げることができる。
これらの中で、特にトリス[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]イソシアヌレート類が好適である。このトリス[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]イソシアヌレート類としては、例えばトリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(3−アクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(3−メタクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレートなどを好ましく挙げることができる。
【0037】
本発明においては、この(ホ)成分の多官能活性エネルギー線硬化型化合物の含有量は、本発明で用いる粘着性材料の固形分中に、偏光フィルムとの接着性の観点から5〜50質量%の割合で含まれていることが好ましく、10〜30質量%の割合で含まれていることが、より好ましい。
【0038】
(3)(へ)架橋剤
本発明における粘着性材料に(へ)成分として用いられる架橋剤としては特に制限はなく、従来アクリル系樹脂において架橋剤として慣用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。このような架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマー、アジリジン系化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩などが挙げられるが、ポリイソシアネート化合物が好ましく用いられる。
ここで、ポリイソシアネート化合物の例としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂環式ポリイソシアネートなど、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油などの低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体(例えば、トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート)などを挙げることができる。
本発明においては、この架橋剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量は、架橋剤の種類にもよるが、前記(ニ)成分である(メタ)アクリル酸エステル共重合体100質量部に対し、通常0.01〜20質量部、好ましくは、0.1〜10質量部の範囲で選定される。
【0039】
(4)(ト)光重合開始剤
当該活性エネルギー線硬化型粘着性材料には、所望により、光重合開始剤を含有させることができる。光重合開始剤としては、ハードコート層(A)で記載したものと同様のものを使用することができる。
【0040】
当該粘着性材料においては、前記の所望により用いられる光重合開始剤の含有量は、前記(ホ)成分である多官能のプレポリマー及び/又はモノマー100質量部に対して、通常0.5〜20質量部程度、好ましくは1〜15質量部である。なお、活性エネルギー線として、電子線を用いる場合には、前記光重合開始剤を含有させる必要はない。
【0041】
<活性エネルギー線硬化型粘着性材料を含む塗工液の調製>
当該活性エネルギー線硬化型粘着性材料を含む塗工液の調製方法に特に制限はなく、例えば溶剤中に、前述した(ニ)成分の(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(ホ)成分の多官能活性エネルギー線硬化型化合物、(へ)成分の架橋剤、及び必要に応じて用いられる(ト)成分の光重合開始剤、さらには各種添加剤、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、レベリング剤、消泡剤などを加え、撹拌混合することにより、活性エネルギー線硬化型粘着性材料を含む塗工液を調製することができる。
前記溶剤としては、例えばヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレンなどのハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
この塗工液中の活性エネルギー線硬化型粘着性材料の濃度としては、該塗工液が塗工に適した粘度であればよく、特に制限はない。
【0042】
<粘着剤層(C)の形成>
本発明の光学用保護フィルムにおいては、前述した樹脂層(B)のハードコート層側とは反対面に、(C)層として粘着剤層が設けられる。当該粘着剤層の形成は、下記のように行うことができる。
例えば、工程シート上に、ハードコート層(A)を表面に有する樹脂層(B)が設けられている場合、まず、該工程シートを剥し、樹脂層のハードコート層側とは反対面を露出させ、その露出面に、前述した粘着性材料を含む塗工液を直接塗布し、加熱乾燥させて粘着剤層を形成する方法、あるいは剥離シートの剥離処理面上に、該粘着性材料を含む塗工液を塗布し、加熱乾燥させて粘着剤層を形成し、これを前記樹脂層の露出面に転写する方法などを用いることができる。なお、粘着剤層には、それを保護するために剥離シートを貼付しておくことが好ましい。
【0043】
本発明において、粘着性材料を含む塗工液を塗布する方法としては、例えばナイフコート法、ロールコート法、バーコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などを用いることができる。
また前記の剥離シートとしては、例えばグラシン紙、コート紙、ラミネート紙などの紙及び各種プラスチックフィルムに、シリコーン樹脂などの剥離剤を塗付したものなどが挙げられる。この剥離シートの厚さについては特に制限はないが、通常20〜150μm程度である。
【0044】
このようにして形成された粘着剤層は、厚さが、通常3〜30μm程度、好ましくは5〜20μmの範囲である。また、活性エネルギー線照射後の温度23℃における貯蔵弾性率G'は、耐久密着性などの観点から、0.3MPa以上が好ましく、0.5MPa以上がより好ましい。その上限については特に制限はないが、通常30MPa程度である。
なお、上記貯蔵弾性率(G')は、JIS K 7244−6に基づいて測定した値である。
本発明の光学用保護フィルムを、前記粘着剤層を介して被着体に貼合し、活性エネルギー線を照射することにより、該光学用保護フィルムは、被着体に密着性よく貼着される。
当該粘着剤層は、偏光フィルム(特には、ポリビニルアルコール系偏光フィルム)に対する密着性に優れている。
前記活性エネルギー線としては、例えば紫外線や電子線などが挙げられる。上記紫外線は、高圧水銀ランプ、無電極ランプ、キセノンランプなどで得られ、一方、電子線は電子線加速器などによって得られる。この活性エネルギー線の中では、特に紫外線が好適である。なお、電子線を使用する場合は、光重合開始剤を添加する必要はない。
当該粘着剤層に対する活性エネルギー線の照射量としては、当該粘着剤層の厚さにもよるが、紫外線の場合は照度50〜1000mW/cm2、光量50〜1000mJ/cm2、電子線の場合は10〜1000kradの範囲が好ましい。
【0045】
次に、本発明の光学用保護フィルムの製造方法について説明する。
[光学用保護フィルムの製造方法]
本発明の光学用保護フィルムの製造方法は、
(a)工程シートの片面に、キャスティング法により樹脂層(B)を形成する工程、
(b)前記樹脂層(B)上にハードコート層(A)を形成する工程、及び
(c)前記工程シートを剥し、露出した樹脂層(B)面に、剥離シート上に設けられた粘着剤層(C)面が接するように貼り合せる工程、
を有することを特徴とする。
前記の(a)工程、(b)工程及び(c)工程における樹脂層(B)、ハードコート層(A)及び粘着剤層(C)は、前述した説明において示したとおりである。
本発明の光学用保護フィルムを各種画像表示装置の表面保護フィルムとして用いる場合、必要により、前記ハードコート層の表面に、反射防止性を付与させる目的で反射防止層、例えばシロキサン系被膜、フッ素系被膜などを設けることができる。この場合、該反射防止層の厚さは、0.05〜0.2μm程度が適当である。なお、波長550nmの反射率は3.5%以下が好ましい。この反射防止層を設けることにより、太陽光、蛍光灯などによる反射から生じる画面の映り込みが解消され、また、表面の反射率を抑えることで、全光線透過率が上がり、透明性が向上する。
また、前記ハードコート層には、表面保護フィルムを、必要に応じ設けることができる。
【0046】
このようにして得られた本発明の光学用保護フィルムは、(A)層と(B)層と(C)層との合計厚さが、15〜130μmの範囲にあり、好ましくは29〜80μmの範囲にある。
本発明の光学用保護フィルムは、ハードコート機能を有し、液晶表示装置における偏光板や1/4波長板用として、あるいはタッチパネル用、光ディスクのカバーフィルム、各種ディスプレイの保護フィルムなどとして好適であり、特に偏光板用の保護フィルムとして好適である。
【0047】
本発明はまた、偏光板をも提供する。本発明の偏光板について以下に説明する。
[偏光板]
本発明の偏光板は、本発明の前記光学用保護フィルムの粘着剤層(C)の露出面側が偏光フィルムと接するように積層され、さらに該偏光フィルムの他面側に、順に粘着剤層(D)、樹脂層(E)が順に積層されてなる。
<偏光フィルム>
本発明に用いられる偏光フィルムは、通常使用されるものであればよく、特に制限されない。例えば、親水性高分子フィルムにヨウ素や二色性染料などを吸着させ、延伸配向させたものが好ましく挙げられる。具体的な例としては、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素や二色性染料を染色・吸着させ、ホウ酸水溶液中で一軸延伸し、延伸状態を保ったまま洗浄・乾燥を行うことにより偏光フィルムを得ることができる。一軸延伸の延伸倍率は、通常4〜8倍程度である。ポリビニルアルコール系フィルムとしては「クラレビニロン」[(株)クラレ製]、「トーセロビニロン」[東セロ(株)製]、「日合ビニロン」[日本合成化学(株)製]などの市販品を利用することができる。
<粘着剤層(D)>
本発明における粘着剤層(D)は、前述の粘着剤層(C)と同様な組成及び方法により形成することができる。生産性の観点及び光学的特性を考慮すると、粘着剤層(D)は粘着剤層(C)と同一にすることが好ましい。
<樹脂層(E)>
本発明における樹脂層(E)は、前述の樹脂層(B)と同様な組成及び方法により形成することができる。生産性の観点及び光学的特性を考慮すると、樹脂層(E)は樹脂層(B)と同一にすることが好ましい。
<偏光板の製造方法>
偏光板の製造方法としては、(a)工程シートの片面に、キャスティング法により樹脂層(B)を形成し、(b)前記樹脂層(B)上にハードコート層(A)を形成し、(c)前記工程シートを剥し、露出した樹脂層(B)面に、剥離シート上に設けられた粘着剤層(C)面が接するように貼り合わせることにより、粘着剤層(C)上に剥離シートが付いた光学用保護フィルムを作製する。なお、前記(b)におけるハードコート層(A)の形成は、前記活性エネルギー線感応型組成物層に、活性エネルギー線を照射することにより形成することが好ましい。
次に(d)前記剥離シートを剥し、露出した粘着剤層(C)面を偏光フィルムの一方の面に貼り合わせる。
一方、(e)別の工程シートの片面に、キャスティング法により樹脂層(E)を形成し、(f)前記樹脂層(E)上に、剥離シート上に設けられた粘着剤層(D)面が接するように貼り合わせることにより偏光フィルムの他面側を保護するための保護フィルムを用意する。
さらに、(g)前記粘着剤層(D)の前記剥離シートを剥し、前記偏光フィルムの他方の面を貼り合わせる、ことにより本発明の偏光板を作製する。
ここで、粘着剤層(C)と偏光フィルム、及び粘着剤層(D)と偏光フィルムの密着性をより良くし、さらに偏光板の強度を向上させるためには、粘着剤層(C)及び粘着剤層(D)の少なくとも一方が、好ましくは、双方が多官能活性エネルギー線硬化型化合物を含有するものであることが好ましい。この場合、偏光フィルムと貼合した後に活性エネルギー線を照射した偏光板とすることが好ましい。
活性エネルギー線照射のタイミングとしては、偏光フィルムと各粘着剤層を貼合した直後に行ってもよいが、(h)前記(g)の偏光板を作製した後にまとめて活性エネルギー線を照射することが、工程簡略化の観点から特に好ましい。なお、活性エネルギー線は、ハードコート層(A)上から、あるいは樹脂層(E)上から、あるいはその両側のいずれから照射してもよい。活性エネルギー線の種類、照射条件等は前述のとおりである。
[粘着剤層付き偏光板]
本発明の偏光板は、液晶セルや他の光学部材と貼合するため前記樹脂層(E)の露出面側にさらに粘着剤層(F)を有する粘着剤層付き偏光板とすることが好ましい。
<粘着剤層(F)>
本発明における粘着剤層(F)は、前述の粘着剤層(C)と同様な組成及び方法により形成することができる。生産性の観点及び光学的特性を考慮すると、粘着剤層(F)は粘着剤層(C)及び粘着剤層(D)と同一にすることが好ましい。
<粘着剤層付き偏光板の製造方法>
前述の製造方法により作製された偏光板に対して、(k)前記樹脂層(E)上の露出した面に、剥離シート上に設けられた粘着剤層(F)面が接するように貼り合わせることにより本発明の粘着剤層付き偏光板を作製することができる。
ここで、粘着剤層(C)、粘着剤層(D)、及び粘着剤層(F)の少なくとも一層、好ましくは全ての層が多官能活性エネルギー線硬化型化合物を含有するものとし、活性エネルギー線を照射して粘着剤層付き偏光板とすることが好ましい。
活性エネルギー線照射のタイミングとしては、各層を貼合した直後に行ってもよいが、(l)前記工程(k)の後に活性エネルギー線を照射することが、工程簡略化の観点から特に好ましい。なお、活性エネルギー線は、ハードコート層(A)上から、あるいは粘着剤層(F)上に設けられた剥離シートの上から、あるいはその両側のいずれから照射してもよい。活性エネルギー線の種類、照射条件等は前述のとおりである。
本発明の偏光板は、LCDにおける液晶セル用を始め、光量調整用、偏光干渉応用装置用、光学的欠陥検出器用などとして用いることができる。
【実施例】
【0048】
次に、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例で得た評価用サンプルIについて、光学特性及びハードコート層の耐久密着性を、下記の方法に従って評価した。
<光学特性>
(1)全光線透過率及びヘイズ値
日本電色工業社製ヘイズメーター「NDH 2000」を使用し、JIS K 6714に準拠して測定した。
(2)60°グロス値
日本電色工業社製ヘイズメーター「VG 2000」を使用し、JIS K 7105に準拠して測定した。
<耐久密着性>
評価用サンプルIを、(イ)60℃、90%RH、(ロ)90℃、及び(ハ)FOM(カーボンアーク(パネル温度:60℃))の条件で500時間放置したのち、下記の方法に従ってハードコート層の耐久密着性を評価した。
(3)ハードコート層の耐久密着性
上記環境下に置かれた後の評価用サンプルIは、JIS K 5600−5−6に準拠して、その中心部に1mmの間隔で6枚の刃を有する多重刃切込み工具を用いて、縦横1mm角の碁盤目を縦横6個となるように形成し、粘着力10N/25mmの粘着シートを貼り合わせ引き剥がすことにより測定した。結果はJIS K 5600−5−6に準拠して次の基準で評価した。
0;カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にも剥がれがない。
1;カットの交差点における塗膜の小さな剥がれがある。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を上回ることはない。
2;塗膜がカットの縁に沿って、及び/又は交差点において剥がれている。クロスカット部分で影響を受けるのは明確に5%を超えるが15%を上回ることはない。
3;塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大きな剥がれを生じており、及び/又は目のいろいろな部分が、部分的又は全面的に剥がれを生じている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に15%を超えるが35%を上回ることはない。
4;ハードコート層がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大剥がれを生じており、及び/又は数箇所の目が部分的又は全面的に剥がれている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に35%を上回ることはない。
5;分類4でも分類できない剥がれ程度のいずれか。
(4)偏光フィルムとの粘着剤層(C)との界面接着力の測定
実施例2及び比較例2で得られた夫々の偏光板を25mm×100mmのサンプルとなるように裁断し、JIS Z 0237の粘着力測定方法に準拠し、引張試験機[オリエンテック社製、「テンシロン」]を用いて、剥離速度300mm/min、剥離角度180℃の条件で界面接着力を測定した。
(5)樹脂層(B)の貯蔵弾性率E'
実施例の樹脂層(比較例1はトリアセチルセルロースフィルム)を夫々5mm×30mmの長方形に3点ずつカットし、試料とした。当該試料をJIS K 7244−4に準拠して動的粘弾性測定装置[TAインスツルメント社製、装置名「Q800DMA」]を用いて、11Hzで23℃における貯蔵弾性率E'(Pa)を測定し、夫々3点の平均値を貯蔵弾性率E'とした。
(6)粘着剤層(C)の貯蔵弾性率G'
実施例と同じ粘着性材料を剥離シート[リンテック(株)製、商品名「SP−PET381031」]の剥離層上に乾燥後の膜厚が25μmとなるように塗布し、乾燥して得られた粘着剤層を該剥離シートから剥し、厚さ約3mmに積層した。積層された粘着剤層に紫外線(光量:250mJ/cm2)を照射し、直径8mmの円形にカットして試料とした。当該試料をJIS K 7244−6に準拠して粘弾性測定装置[Rheometrics社(現・TAインスツルメント社)製、装置名「DYNAMIC ANALYZER RDAII]を用いて、1Hzで23℃における貯蔵弾性率G'(Pa)を測定した。
(7)重量平均分子量Mw、及び分子量分布Mw/Mnの測定
実施例の樹脂層及び粘着剤層の(メタ)アクリル酸エステル共重合体について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定し、ポリスチレン換算にて重量平均分子量Mw及び分子量分布Mw/Mnを算出した。
(測定条件)
GPC測定装置:東ソー(株)社製、「HLC−8020」
GPCカラム(以下の順に通過):東ソー(株)社製
TSK guard column HXL−H
TSK gel GMHXL(×2)
TSK gel G2000HXL
測定溶媒:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
(8)耐光漏れ性
実施例3及び比較例3で得られた粘着剤層付き偏光板を、裁断装置[荻野精機製作所社製、スーパーカッター「PN1−600」]により、233mm×309mmサイズに調整したのち、無アルカリガラス[コーニング社製、「1737」]に貼合後、栗原製作所社製、オートクレーブにて、0.5MPa、50℃、20分間の条件で加圧した。なお、上記貼合は、無アルカリガラスの表裏に、粘着剤付き偏光板を偏光軸がクロスニコル状態になるように行った。この状態で80℃、200時間放置した。その後、23℃、相対湿度50%の環境下に2時間放置して、同環境下で、以下に示す方法で光漏れ性を評価した。
大塚電子社製、「MCPD−2000」を用い、図1に示す各領域の明度を測定し、明度差ΔL*を、式
ΔL*=[(b+c+d+e)/4]−a
(ただし、a、b、c、d及びeは、それぞれA領域、B領域、C領域、D領域及びE領域のあらかじめ定められた測定点(各領域の中央部1箇所)における明度である。)で求め、光漏れ性とした。ΔL*の値が小さいほど、光漏れが少ないことを示す。
【0049】
実施例1
(1)樹脂層(B)の形成
工程シートとして、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム[三菱樹脂(株)製、登録商標「ダイアホイルT100タイプ」]上に、ポリメチルメタクリレート(ホモポリマー重量平均分子量Mw=20万、分子量分布Mw/Mn=約2.3、23℃における乾燥塗膜の貯蔵弾性率E'=5MPa)の濃度25質量%酢酸エチル溶液を、乾燥後の厚さが30μmになるように塗布後、100℃で1分間乾燥処理し、ポリメチルメタクリレートからなる樹脂層を形成した。
(2)ハードコート層の形成
上記(1)で形成された樹脂層上に、ハードコート剤[リンテック(株)製、商品名「AGT−100」、アクリル系化合物の濃度40質量%プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)溶液]を、乾燥後の厚さが7μmになるように塗布乾燥したのち、紫外線を光量250mJ/cm2で照射して、ハードコート層を形成した。このハードコート層表面に厚さ50μmのプロテクトフィルム[リンテック(株)製、商品名「SPF/A1A」、PET製]を貼付した。
(3)剥離シート付き粘着剤層(C)の作製
厚さ38μmのPET製剥離シート[リンテック(株)製、商品名「SP−PET381031」]の剥離層面に、下記の組成を有する粘着性材料を、乾燥後の厚さが10μmになるように塗布後、加熱乾燥して剥離シート付き粘着剤層を作製した。なお、貯蔵弾性率測定用のサンプルを作製するために、上記と同様にして剥離シート付き粘着剤層を作製し、これに紫外線を250mJ/cm2の光量で照射した。紫外線が照射された粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率G'を測定したところ、0.6MPaであった。
<粘着性材料の組成>
・アクリル酸ブチル/アクリル酸メチル/アクリル酸の質量比77/20/3のアクリル共重合体(重量平均分子量Mw:80万)100質量部
・紫外線硬化型多官能アクリレートであるトリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート[東亜合成(株)製、商品名「アロニックスM−315」、分子量578]25質量部
・光重合開始剤であるベンゾフェノンと1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとの質量比1:1の混合物[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「イルガキュア500」]1質量部
・イソシアナート系架橋剤であるトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアナート[日本ポリウレタン(株)製、商品名「コロネートL」]2質量部
(4)光学用保護フィルムの作製
上記(2)で得られた工程シート上に設けられた表面にハードコート層を有する樹脂層(B)の該工程シートを剥して、樹脂層(B)のハードコート層とは反対側の面を露出させ、この露出面に、上記(3)で得た剥離シート付き粘着剤層(C)を、粘着剤層面が接するように貼り合わせて、光学用保護フィルムを作製した。
(5)評価用サンプルIの作製及び評価
上記(4)で得た積層フィルムの剥離シート面から、紫外線を光量250mJ/cm2で照射したのち、150mm×100mmに裁断し、剥離シートを剥してガラス板に貼付して、評価用サンプルIを作製した。
この評価用サンプルIについて、光学特性とハードコート層の耐久密着性を評価した。
【0050】
実施例2
(1)偏光フィルムの作製
水1000質量部、ヨウ素10質量部、及びヨウ化カリウム100質量部からなる30℃の水溶液にポリビニルアルコール系フィルム[日本合成化学(株)製、商品名「日合ビニロン」]を3分間浸すことによりヨウ素を染色・吸着させた。次に、前記浸漬後のフィルムを50℃の5質量%ホウ酸水溶液に浸し、該フィルムの長軸方向に6倍に一軸延伸した。この間のホウ酸水溶液中での浸漬時間は5分間であった。ホウ酸水溶液から取り出したフィルムは一軸延伸の状態のまま20℃の水に5分間浸すことにより洗浄し、その後、乾燥することにより偏光フィルムを得た。
(2)偏光板の作製
実施例1(4)で得られた光学用保護フィルムの剥離シートを剥し、露出した粘着剤層(C)面を前記偏光フィルムの一方の面と貼り合わせた。
他方、実施例1(1)で得られた樹脂層(B)と同様にして得た樹脂層(E)に実施例1(3)で得られた剥離シート付き粘着剤層(C)と同様にして得た粘着剤層(D)の剥離シートが設けられていない側の面が接するように貼り合わせることにより積層フィルムを作製した。
次いで、該積層フィルムの粘着剤層(D)上の剥離シートを剥し、偏光フィルムの他方の面に該粘着剤層(D)が接するように貼り合わせ、ハードコート層(A)/樹脂層(B)/粘着剤層(C)/偏光フィルム/粘着剤層(D)/樹脂層(E)/工程フィルム、という構成体を得た。
該構成体は、栗原製作所社製、オートクレーブにて、0.5MPa、50℃、20分間加圧することにより密着させ、該構成体の両面から紫外線(光量250mJ/cm2)を照射することにより偏光板を作製した。
【0051】
実施例3
(1)粘着剤層付き偏光板の作製
実施例2で得られた偏光板の工程フィルムを剥し、露出した面に実施例1(3)の剥離シート付き粘着剤層(C)と同様にして得た粘着剤層(F)の剥離シートが設けられていない側の粘着剤層面が接するように貼り合わせ、ハードコート層(A)/樹脂層(B)/粘着剤層(C)/偏光フィルム/粘着剤層(D)/樹脂層(E)/粘着剤層(F)/剥離シート、からなる構成体を得た。該構成体の剥離シート側から紫外線(光量250mJ/cm2)を照射することにより粘着剤層付き偏光板を作製した。
【0052】
比較例1
実施例1の樹脂層(B)に変えてトリアセチルセルロースフィルム[富士フィルム(株)製、商品名「TD80UL」、B(バンド)面側にハードコート剤が塗工されるように配置]を用いた以外は、実施例1と同様にして光学用保護フィルムを得た。
【0053】
比較例2
(1)偏光板の作製
比較例1で得られた光学用保護フィルムの粘着剤層(C)の剥離シートを剥し、露出した粘着剤層面を実施例2(1)で作製した偏光フィルムの一方の面と貼り合わせた。
他方、比較例1で使用したトリアセチルセルロースフィルムのB(バンド)面に実施例1(3)で得られた粘着剤層(C)と同様にして得た粘着剤層(D)の剥離シート付き粘着剤層の剥離シートが設けられていない側の面が接するように貼り合わせることにより積層フィルムを作製した。
次いで、該積層フィルムの粘着剤層(D)上の剥離シートを剥し、偏光フィルムの他方の面に該粘着剤層(D)が接するように貼り合わせ、ハードコート層(A)/TACフィルム/粘着剤層(C)/偏光フィルム/粘着剤層(D)/TACフィルム/工程フィルム、という構成体を得た。
該構成体は、栗原製作所社製、オートクレーブにて、0.5MPa、50℃、20分間加圧することにより密着させ、該構成体の両面から紫外線(光量250mJ/cm2)を照射することにより偏光板を作製した。
【0054】
比較例3
(1)粘着剤層付き偏光板の作製
比較例2で得られた偏光板の工程フィルムを剥し、露出した面に実施例1(3)の粘着剤層(C)と同様にして得た剥離シート付き粘着剤層(F)の剥離シートが設けられていない側の粘着剤層(F)面が接するように貼り合わせ、ハードコート層(A)/TACフィルム/粘着剤層(C)/偏光フィルム/粘着剤層(D)/TACフィルム/粘着剤層(F)/剥離シート、からなる構成体を得た。該構成体の剥離シート側から紫外線(光量250mJ/cm2)を照射することにより粘着剤層付き偏光板を作製した。
得られた実施例及び比較例の光学用保護フィルム、偏光板、及び粘着剤層付き偏光板は、第1表に示す各種評価を行った。
実施例1〜3及び比較例1〜3の評価結果を第1表に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
第1表より、本発明の実施例1の光学用保護フィルムは、比較例1のTACフィルムの光学用保護フィルムと同程度の光学的特性を有し、さらにハードコート層の耐久密着性においてはTACフィルムの光学用保護フィルムより優れたものとなった。
また、実施例1の光学用保護フィルムを用いて作製した実施例2の偏光板の界面接着力の試験より偏光フィルムと粘着剤層の密着性は十分なものであることが分った。さらに、実施例2の偏光板を用いて作製した実施例3の粘着剤層付き偏光板は、比較例3の粘着剤層付き偏光板に比べて耐光漏れ性の優れたものであることが分った。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の光学用保護フィルムは、ハードコート機能を有し、かつ透明性に優れ、光学等方性を有すると共に、耐熱性及び耐湿性が良好で耐久性に優れる上、ポリビニルアルコール系偏光フィルムに対する密着性が良好であり、例えば液晶表示装置における偏光板や1/4波長板用として、あるいはタッチパネル用、光ディスクのカバーフィルム、各種ディスプレイの保護フィルムなどとして好適であり、特に偏光板用の保護フィルムとして好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードコート層(A)、樹脂層(B)及び粘着剤層(C)が順に積層されてなる積層フィルムであって、各層がいずれも、(メタ)アクリル酸エステル系化合物を80質量%以上含有することを特徴とする光学用保護フィルム。
【請求項2】
樹脂層(B)が、温度23℃における貯蔵弾性率E'が0.5MPa以上である、請求項1に記載の光学用保護フィルム。
【請求項3】
粘着剤層(C)が、多官能活性エネルギー線硬化型化合物を含有し、活性エネルギー線照射後の温度23℃における貯蔵弾性率G'が0.3MPa以上である、請求項1又は2に記載の光学用保護フィルム。
【請求項4】
ハードコート層(A)が、活性エネルギー線感応型組成物層に、活性エネルギー線を照射して形成された、請求項1〜3のいずれかに記載の光学用保護フィルム。
【請求項5】
(a)工程シートの片面に、キャスティング法により樹脂層(B)を形成する工程、
(b)前記樹脂層(B)上にハードコート層(A)を形成する工程、及び
(c)前記工程シートを剥し、露出した樹脂層(B)面に、剥離シート上に設けられた粘着剤層(C)面が接するように貼り合せる工程、
を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の光学用保護フィルムの製造方法。
【請求項6】
前記工程(b)におけるハードコート層が、活性エネルギー線感応型組成物層に、活性エネルギー線を照射して形成されることを特徴とする、請求項5に記載の光学用保護フィルムの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の光学用保護フィルムの粘着剤層(C)面に接するように偏光フィルムが積層された偏光板。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれかに記載の光学用保護フィルムの粘着剤層(C)面に接するように偏光フィルムが積層され、さらに該偏光フィルムの他面側に、粘着剤層(D)、及び樹脂層(E)が順に積層され、かつ、(D)及び(E)の各層いずれもが(メタ)アクリル酸エステル系化合物を80質量%以上含有する層からなる偏光板。
【請求項9】
請求項8に記載の偏光板の前記樹脂層(E)の露出面側に、さらに(メタ)アクリル酸エステル系化合物を80質量%以上含有する粘着剤層(F)を有する粘着剤層付き偏光板。
【請求項10】
(a)工程シートの片面に、キャスティング法により樹脂層(B)を形成する工程、
(b)前記樹脂層(B)上にハードコート層(A)を形成する工程、
(c)前記工程シートを剥し、露出した樹脂層(B)面に、剥離シート上に設けられた粘着剤層(C)面が接するように貼り合せる工程、及び
(d)前記剥離シートを剥し、露出した粘着剤層(C)面を偏光フィルムの一方の面に貼り合せる工程を有し、
(e)別の工程シートの片面に、キャスティング法により樹脂層(E)を形成する工程、及び
(f)前記樹脂層(E)上に、剥離シート上に設けられた粘着剤層(D)の露出している側の面が接するように貼り合せる工程を有し、さらに、
(g)前記粘着剤層(D)の前記剥離シートを剥し、前記偏光フィルムの他方の面に貼り合せる工程を有することを特徴とする請求項8に記載の偏光板の製造方法。
【請求項11】
前記工程(b)において、ハードコート層(A)が、活性エネルギー線感応型組成物層に、活性エネルギー線を照射して形成されることを特徴とする請求項10に記載の偏光板の製造方法。
【請求項12】
粘着剤層(C)及び/又は粘着剤層(D)が、多官能活性エネルギー線硬化型化合物を含有し、かつ(h)前記工程(g)の後に活性エネルギー線を照射する工程を有する請求項10又は11に記載の偏光板の製造方法。
【請求項13】
請求項10又は11により得られた偏光板に対して、
(k)前記樹脂層(E)上の露出した面に、剥離シート上に設けられた粘着剤層(F)面が接するように貼り合せる工程を有することを特徴とする粘着剤層付き偏光板の製造方法。
【請求項14】
粘着剤層(C)、粘着剤層(D)、及び粘着剤層(F)の少なくとも1層が、多官能活性エネルギー線硬化型化合物を含有し、かつ(l)前記工程(k)の後に活性エネルギー線を照射する工程を有する請求項13に記載の粘着剤層付き偏光板の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−197978(P2010−197978A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46114(P2009−46114)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】