説明

光学的ローパスフィルタ、及び、この光学的ローパスフィルタを有する撮像装置

【課題】結像光学系の光学性能に影響を与えることなく解像力を確保できる光学的ローパスフィルタ、及び、この光学的ローパスフィルタを有する撮像装置を提供する。
【解決手段】正の屈折力を有する第1レンズ(DR)と、負の屈折力を有する第2レンズ(PL)とを有し、第1レンズは、複屈折材料から成ることを特徴とする光学的ローパスフィルタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的ローパスフィルタ、及び、この光学的ローパスフィルタを有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画面全体にわたって解像力の低下を起こすことなく、モアレや偽色等のノイズを的確に軽減乃至は除去するために、結像光学系と電子撮像素子との間に配置された正のパワーを有する光学的ローパスフィルタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−076691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の光学的ローパスフィルタは正のパワーを有するため、光学的ローパスフィルタが結像光学系の光学性能に影響を与えてしまうという問題があった。特に、レンズ交換式のカメラに従来の光学的ローパスフィルタを採用すると、光学的ローパスフィルタの屈折力が交換レンズの性能に影響を与えてしまう。
【0005】
そこで本発明は、結像光学系の光学性能に影響を与えることなく解像力を確保できる光学的ローパスフィルタ、及び、この光学的ローパスフィルタを有する撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明に係る光学的ローパスフィルタは、正の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズとを有し、第1レンズは、複屈折材料から成ることを特徴とする。
【0007】
このような光学的ローパスフィルタにおいて、第1レンズと第2レンズとが接合されていることが好ましい。
【0008】
また、このような光学的ローパスフィルタにおいて、以下の条件式を満足することが好ましい。
−1.5<ΨG/ΨL<−0.9
但し、
ΨL:前記第1レンズの屈折力
ΨG:前記第2レンズの屈折力
【0009】
また、このような光学的ローパスフィルタにおいて、以下の条件式を満足することが好ましい。
0.9<NG/NL<1.2
但し、
NL:前記第1レンズの屈折率
NG:前記第2レンズの屈折率
【0010】
また、このような光学的ローパスフィルタにおいて、以下の条件式を満足することが好ましい。
Dh/D0<1.0
但し、
D0:前記第1レンズの中心厚
Dh:前記第1レンズの周辺厚
【0011】
また、本発明に係る撮像装置は、上述の光学的ローパスフィルタのいずれかを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る光学的ローパスフィルタ及びこの光学的ローパスフィルタを有する撮像装置を以上のように構成すると、結像光学系の光学性能に影響を与えることなく画面周辺部における解像力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】光学的ローパスフィルタを有する撮像装置を説明するための説明図である。
【図2】2点分離の光学的ローパスフィルタの構成を説明するための説明図である。
【図3】4点分離の光学的ローパスフィルタの構成を説明するための説明図である。
【図4】撮影光学系の構成を説明するための説明図である。
【図5】2点分離の光学的ローパスフィルタを用いた場合のスポットダイアグラムであって、(a)第1実施例を示し、(b)は第2実施例を示し、(c)は従来の光学的ローパスフィルタを示す。
【図6】2点分離の光学的ローパスフィルタのMTFを示すグラフであって、(a)は第1実施例を示し、(b)は第2実施例を示し、(c)は従来の光学的ローパスフィルタを示す。
【図7】4点分離の光学的ローパスフィルタを用いた場合のスポットダイアグラムであって、(a)は第8実施例を示し、(b)は第9実施例を示し、(c)は従来の光学的ローパスフィルタを示す。
【図8】4点分離の光学的ローパスフィルタのMTFを示すグラフであって、(a)は第8実施例を示し、(b)は第9実施例を示し、(c)は従来の光学的ローパスフィルタを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置100では、撮影レンズSL等からなる撮影光学系により像面Iに結像された被写体の像をCCD等の撮像素子Cを用いて撮影を行う。この撮像素子Cは受光画素が規則的に配列されているので、受光画素の配列パターンと被写体像のパターンとにより、モアレ縞や偽色等のノイズが発生する場合がある。このような現象を低減させるために、撮影レンズSLと撮像素子Cとの間(撮像素子Cの前面)に配置される光学的ローパスフィルタFLが用いられる。この光学的ローパスフィルタFLは、複屈折材料から成る複屈折部材(以下、「複屈折板」と呼ぶ)を有し、この複屈折板による光の複屈折を利用して入射光線を常光線及び異常光線(直線偏光)に分離することにより、ある程度以上の細かさの模様をぼかすことで撮像素子Cで発生する上記ノイズを低減させるものである。
【0015】
このような光学的ローパスフィルタFLを撮像装置100に搭載することにより、撮像素子Cで受光される被写体光のうち、撮像素子Cの画素ピッチを波長とする空間周波数成分が除去されるため、ノイズが低減される。しかしながら、その反面、高周波成分の解像力も劣化してしまう。このような撮像素子Cによるノイズの影響は、撮影レンズSLの解像力が高いセンタ付近(光軸付近)で大きく、画面周辺部では低減される。
【0016】
ここで、複屈折板に入射した光線が常光線及び異常光線に分離して出射したときの常光線と異常光線との分離幅は、光線が通過した複屈折板の距離(厚さ)に比例する。すなわち、光学的ローパスフィルタFLを構成する複屈折板が厚いほど分離幅は大きくなり、薄いほど小さくなる。
【0017】
本実施形態に示す光学的ローパスフィルタFLでは、複屈折板の周辺部の厚さが中心部よりも薄い。すなわち、複屈折板が正の屈折力を有している。これにより、画面周辺部における複屈折板の効果を小さくできる。したがって、画面周辺部での高周波数成分の解像力の劣化を招かずに、センタのノイズを低減するように構成されている。
【0018】
また、本実施形態の光学的ローパスフィルタFLは、負の屈折力を有するレンズを有しているので、複屈折板による正のパワーを低減して光学的ローパスフィルタFLの屈折力が撮影光学系(撮影レンズSL)の光学性能に与える影響を抑えることができる。すなわち、本実施形態の光学的ローパスフィルタFLは、正の屈折力を有し、複屈折材料から成る第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、を有している。
【0019】
具体的な構成として、まず、図2を用いて2点分離の光学的ローパスフィルタについて説明する。この2点分離の光学的ローパスフィルタFL2は、1枚の複屈折板DRを有して構成され、この複屈折板DRは、光軸方向の厚さが、センタ(中心部)に比べて周辺部が薄くなるように形成されている。図2(a)は、物体側から順に、像面側に凹面を向けた平凹レンズ形状の光学ガラスPLと、この光学ガラスPLの像面側に接合された平凸レンズ形状の複屈折板DRとから構成されている。このように、複屈折板DRを凸レンズ状に形成すると、光軸部分を中心に周辺部に行くに従って薄くなるため、センタでの光線の分離幅を大きくし、周辺部に行くに従って分離幅を小さくすることができる。そのため、複屈折板DRの凸面の曲率及び中心厚を調整することにより、センタと画面周辺部における光線の分離幅を調整することができる。また、このように光学ガラスPLと複屈折板DRとを接合することにより、迷光の発生を抑えることができる。
【0020】
なお、本実施形態に係る2点分離の光学的ローパスフィルタFL2は、上記構成に限定されず、例えば、図2(b)に示すように、物体側から順に、負のパワーを有する両凹レンズ形状の光学ガラスPLと、この光学ガラスPLの像面側に接合された平凸レンズ形状の複屈折板DRとで構成してもよい。
【0021】
また、図2(c)に示すように、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負のパワーを有するメニスカスレンズ形状の光学ガラスPLと、この光学ガラスPLの像面側に接合された平凸レンズ形状の複屈折板DRとで構成してもよい。
【0022】
また、図2(d)に示すように、物体側から順に、物体側に凸面を向けた平凸レンズ形状の複屈折板DRと、この複屈折板DRの像面側に接合された平凹レンズ形状の光学ガラスPLとで構成してもよい。
【0023】
また、図2(e)に示すように、物体側から順に、像側に凹面を向けた平凹レンズ形状の光学ガラスPLaと、物体側に凸面を向けた平凸レンズ形状の複屈折板DRと、平板状の光学ガラスPLbとを接合した構成としてもよい。このような構成としても、2枚の光学ガラスPLa,PLbの間に複屈折板DRが形成されるため、製造が容易になるとともに、撮像装置100への取付けも容易になり、さらに、複屈折板DRが2枚の光学ガラスPLa,PLbで挟まれて保護されているため、取り扱いが容易になる。また、接合することにより迷光の発生を抑えることができる。
【0024】
また、図2(f)に示すように、物体側から順に、物体側に凹面を向けた平凹レンズ形状の光学ガラスPLと、この光学ガラスPLの像面側に接合された平凸レンズ形状の複屈折板DRとで構成してもよい。
【0025】
また、図2(g)に示すように、物体側から順に、物体側に平面を向けた平凹レンズ形状の光学ガラスPLaと、物体側に凸面を向けた平凸レンズ形状の複屈折板DRと、この複屈折板DRの像面側に接合された平板状の光学ガラスPLbとで構成してもよい。
【0026】
また、図2(h)に示すように、物体側から順に、物体側に平面を向けた平凸レンズ形状の複屈折板DRと、物体側に凹面を向けた平凹レンズ形状の光学ガラスPLとで構成してもよい。
【0027】
また、上述したように、撮像素子Cによるノイズの影響は、撮影レンズSLの解像力が高いセンタ付近(光軸付近)で大きく発生するため、図2(i)に示すように、通過する光束よりも径の小さい平凸レンズ形状の複屈折板DRを光軸上に配置することにより、撮像素子Cによりセンタ付近に発生するノイズの影響だけを除去するように構成しても良い。
【0028】
例えば、図2(i)に示すように、物体側から順に、像面側の面の中心部に球面状の凹部を形成した光学ガラスPLと、この凹部を埋めるように接合した複屈折板DRとで構成してもよい。
【0029】
また、図2(j)に示すように、物体側から順に、像面側の面の中心部に球面状の凹部を形成した光学ガラスPLと、この光学ガラスPLの像面側に接合され像面側の面が平面形状の複屈折板DRとで構成してもよい。
【0030】
次に、図3を用いて4点分離の光学的ローパスフィルタFL4について説明する。この4点分離の光学的ローパスフィルタFL4は、物体側から順に、第1複屈折板DR1と、1/4波長板RLと、第2複屈折板DR2と、を有して構成され、この第1及び第2複屈折板DR1,DR2は、光軸方向の厚さが、センタに比べて周辺部が薄くなるように(若しくはセンタを含む一部の領域にだけ)構成されている。このような構成の光学的ローパスフィルタFL4によると、第1複屈折板DR1に入射した光線は常光線及び異常光線(直線光線)に分離され、それぞれの光線は1/4波長板RLで振動方向に位相差が生じて円偏光になり、第2複屈折板DR2でそれぞれの光線が常光線及び異常光線に分離される。そのため、この光学的ローパスフィルタFL4に入射した光線は4つの光線に分離されて出射されることになる。
【0031】
図3(a)は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた平凹レンズ形状の光学ガラスPLaと、物体側に凸面を向けた平凸レンズ形状の第1複屈折板DR1と、平板状の光学ガラスPLbと、平板状の1/4波長板RLと、物体側に凹面を向けた平凹レンズ形状の光学ガラスPLcと、物体側に凸面を向けた平凸レンズ形状の第2複屈折板DR2と、平板状の光学ガラスPLdとが接合されて光学的ローパスフィルタFL4を構成している。
【0032】
なお、本実施形態に係る4点分離の光学的ローパスフィルタFL4は、上記構成に限定されない。
【0033】
例えば、図3(b)に示すように、物体側から順に、平板状の光学ガラスPLaと、像面側に凸面を向けた平凸レンズ形状の第1複屈折板DR1と、物体側に凹面を向けた平凹レンズ形状の光学ガラスPLbと、平板状の1/4波長板RLと、平板状の光学ガラスPLcと、像面側に凸面を向けた平凸レンズ形状の第2複屈折板DR2と、物体側に凹面を向けた平凹レンズ形状の光学ガラスPLdとを接合して構成してもよい。
【0034】
また、図3(c)に示すように、物体側から順に、平板状の光学ガラスPLaと、像面側に凸面を向けた平凸レンズ形状の第1複屈折板DR1と、物体側に凹面を向けた平凹レンズ形状の光学ガラスPLbと、平板状の1/4波長板RLと、像面側に凹面を向けた平凹レンズ形状の光学ガラスPLcと、物体側に凸面を向けた平凸レンズ形状の第2複屈折板DR2と、平板状の光学ガラスPLdとを接合して構成してもよい。
【0035】
また、図3(d)に示すように、物体側から順に、像面側に凹面を向けた平凹レンズ形状の光学ガラスPLaと、物体側に凸面を向けた平凸レンズ形状の第1複屈折板DR1と、平板状の光学ガラスPLbと、平板状の1/4波長板RLと、平板状の光学ガラスPLcと、像面側に凸面を向けた平凸レンズ形状の第2複屈折板DR2と、物体側に凹面を向けた平凹レンズ形状の光学ガラスPLdとを接合して構成してもよい。
【0036】
また、図3(e)に示すように、像面側に凹面を向けた平凹レンズ形状の光学ガラスPLaと、物体側に凸面を向けた平凸レンズ形状の第1複屈折板DR1と、平板状の1/4波長板RLと、像面側に凹面を向けた平凹レンズ形状の光学ガラスPLbと、物体側に凸面を向けた平凸レンズ形状の第2複屈折板DR2と、平板状の光学ガラスPLcとを接合して構成してもよい。
【0037】
また、図3(f)に示すように、物体側から順に、像面側に凹面を向けた平凹レンズ形状の光学ガラスPLaと、この光学ガラスPLaの像面側に接合された平凸レンズ形状の第1複屈折板DR1と、この複屈折板DR1の像面側に接合された平板状の光学ガラスPLbと、平板状の1/4波長板RLと、像面側に凹面を向けた平凹レンズ形状の光学ガラスPLcと、この光学ガラスPLcの像面側に接合された平凸レンズ形状の第2複屈折板DR2と、この複屈折板DR2の像面側に接合された平板状の光学ガラスPLdとで構成してもよい。
【0038】
また、図3(g)に示すように、物体側から順に、平板状の光学ガラスPLaと、この光学ガラスPLaの像面側に接合された平凸レンズ形状の第1複屈折板DR1と、この複屈折板DR1の像面側に接合された平凹レンズ形状の光学ガラスPLbと、平板状の1/4波長板RLと、平板状の光学ガラスPLcと、この光学ガラスPLcの像面側に接合された平凸レンズ形状の第2複屈折板DR2と、この複屈折板DR2の像面側に接合された平凹レンズ形状の光学ガラスPLdとで構成してもよい。
【0039】
また、図3(h)に示すように、物体側から順に、平板状の光学ガラスPLaと、この光学ガラスPLaの像面側に接合された平凸レンズ形状の複屈折板DR1と、この第1複屈折板DR1の像面側に接合された平凹レンズ形状の光学ガラスPLbと、平板状の1/4波長板RLと、像面側に凹面を向けた平凹レンズ形状の光学ガラスPLcと、この光学ガラスPLcの像面側に接合された平凸レンズ形状の第2複屈折板DR2と、この複屈折板DR2の像面側に接合された平板状の光学ガラスPLdとで構成してもよい。
【0040】
また、図3(i)に示すように、物体側から順に、像面側に凹面を向けた平凹レンズ形状の光学ガラスPLaと、この光学ガラスPLaの像面側に接合された平凸レンズ形状の第1複屈折板DR1と、この複屈折板DR1の像面側に接合された平板状の光学ガラスPLbと、平板状の1/4波長板RLと、平板状の光学ガラスPLcと、この光学ガラスPLcの像面側に接合された平凸レンズ形状の第2複屈折板DR2と、この複屈折板DR2の像面側に接合された平凹レンズ形状の光学ガラスPLdとで構成してもよい。
【0041】
また、図3(j)に示すように、物体側から順に、物体側に凸面を向けた平凸レンズ形状の第1複屈折板DR1と、この複屈折板DR1の像面側に接合された平凹レンズ形状の光学ガラスPLaと、平板状の1/4波長板RLと、物体側に凸面を向けた平凸レンズ形状の複屈折板DR2と、この第2複屈折板DR2の像面側に接合された平凹レンズ形状の光学ガラスPLbとで構成してもよい。
【0042】
また、図3(k)に示すように、物体側から順に、物体側に凸面を向けた平凸レンズ形状の第1複屈折板DR1と、この複屈折板DR1の像面側に接合された平凹レンズ形状の光学ガラスPLaと、平板状の1/4波長板RLと、物体側に凹面を向けた平凹レンズ形状の光学ガラスPLbと、この光学ガラスPLbの像面側に接合された平凸レンズ形状の第2複屈折板DR2とで構成してもよい。
【0043】
また、図3(l)に示すように、物体側から順に、像面側に凹面を向けた平凹レンズ形状の光学ガラスPLaと、物体側に凸面を向けた平凸レンズ形状の第1複屈折板DR1と、この複屈折板DR1の像面側に接合された平板状の1/4波長板RLと、像面側に凹面を向けた平凹レンズ形状の光学ガラスPLbと、物体側に凸面を向けた平凸レンズ形状の第2複屈折板DR2とで構成してもよい。
【0044】
また、図3(m)に示すように、物体側から順に、像面側に凹面を向けた平凹レンズ形状の光学ガラスPLaと、物体側に凸面を向けた平凸レンズ形状の第1複屈折板DR1と、平板状の1/4波長板RLと、像面側に凹面を向けた平凹レンズ形状の光学ガラスPLbと、物体側に凸面を向けた平凸レンズ形状の第2複屈折板DR2とで構成してもよい。
【0045】
また、2点分離の光学的ローパスフィルタFL2と同様に、撮像素子Cによりセンタ付近に発生するノイズの影響のみを除去するように構成しても良い。例えば、図3(n)に示すように、光学的ローパスフィルタFL4を、物体側から順に、像側の面に球面状の凹部が形成された平板状の光学ガラスPLa及びこの凹部に接合される物体側に凸面を向けた平凸レンズ形状の第1複屈折板DR1と、光学ガラスPLa及び第1複屈折板DR1の像側の面に接合される1/4波長板RLと、像側の面に球面状の凹部が形成され、1/4波長板RLの像側の面に接合される平板状の光学ガラスPLc及びこの凹部に接合される物体側に凸面を向けた平凸レンズ形状の第2複屈折板DR2と、光学ガラスPLc及び第2複屈折板DR1の像側の面に接合される平板状の光学ガラスPLdとから構成することができる。このとき、図3(o)に示すように、第1複屈折板DR1と1/4波長板RLとの間に平板状の光学ガラスPLbを設けても良いし、最も像側の光学ガラスPLdに変えて、平板状の第2複屈折板DR2の物体側に球面状の凸部を設けて光学ガラスPLcと接合しても良い。
【0046】
なお、複屈折板DR,DR1,DR2の形状は、平凸レンズ形状の方が研磨等による製造が容易であるが、両凸レンズ形状にすると屈折力が2つの面に分散できるので収差上有利である。また、メニスカスレンズ形状にするとより収差上有利である。また、4点分離の光学的ローパスフィルタFL4において、第1及び第2複屈折板DR1,DR2は、同一の部材・同一の形状にすると、製造が容易になるとともに、コストを下げることができる。また、以上に説明した光学的ローパスフィルタFL2,FL4の構成は一例を示すものであって、これらに限定されることはない。また、以上の説明では、複屈折板DR,DR1,DR2として複屈折を起こす材料を用いた場合について説明したが、異方性を有する材料や1軸結晶の材料を用いることもできる。
【0047】
次に、本実施形態に係る光学的ローパスフィルタFL(FL2,FL4)を効果的に機能させるための条件について説明する。本実施形態に係る光学的ローパスフィルタは、次に示す条件式(1)を満足することが望ましい。
【0048】
−1.5<ΨG/ΨL<−0.9 (1)
但し、
ΨL:複屈折板の屈折力
ΨG:凹レンズの屈折力
【0049】
図2(a)〜(d)、(f)、(h)〜(j)において、ΨLは、複屈折板DRの屈折力に相当し、ΨGは、光学ガラスPLの屈折力に相当する。
【0050】
図2(e)及び(g)において、ΨLは、複屈折板DRの屈折力に相当し、ΨGは、光学ガラスPLaの屈折力に相当する。
【0051】
図3(a)、(e)、(f)、(n)、(o)において、ΨLは、複屈折板DR1、DR2の屈折力に相当し、ΨGは、光学ガラスPLa、PLcの屈折力に相当する。
【0052】
図3(b)及び(g)において、ΨLは、複屈折板DR1、DR2の屈折力に相当し、ΨGは、光学ガラスPLb、PLdの屈折力に相当する。
【0053】
図3(c)及び(h)において、ΨLは、複屈折板DR1、DR2の屈折力に相当し、ΨGは、光学ガラスPLb、PLcの屈折力に相当する。
【0054】
図3(d)及び(i)において、ΨLは、複屈折板DR1、DR2の屈折力に相当し、ΨGは、光学ガラスPLa、PLdの屈折力に相当する。
【0055】
図3(j)〜(m)において、ΨLは、複屈折板DR1、DR2の屈折力に相当し、ΨGは、光学ガラスPLa、PLbの屈折力に相当する。
【0056】
条件式(1)は、複屈折板と凹レンズのパワーの関係式を示している。条件式(1)の上限を超えると、複屈折板と凹レンズの合成パワーが凸パワーを持つため、撮影光学系の収差に影響を与えてしまう。また、条件式(1)の下限を超えると、複屈折板と凹レンズの合成パワーが凹パワーを持つため、撮影光学系の収差に影響を与えてしまう。
【0057】
また、本実施形態に係る光学的ローパスフィルタは、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
【0058】
0.9<NG/NL<1.2 (2)
但し、
NL:複屈折板の屈折率
NG:凹レンズの屈折率
【0059】
図2(a)〜(d)、(f)、(h)〜(j)において、NLは、複屈折板DRの屈折率に相当し、NGは、光学ガラスPLの屈折率に相当する。
【0060】
図2(e)及び(g)において、NLは、複屈折板DRの屈折率に相当し、NGは、光学ガラスPLaの屈折率に相当する。
【0061】
図3(a)、(e)、(f)、(n)、(o)において、NLは、複屈折板DR1、DR2の屈折率に相当し、NGは、光学ガラスPLa、PLcの屈折率に相当する。
【0062】
図3(b)及び(g)において、NLは、複屈折板DR1、DR2の屈折率に相当し、NGは、光学ガラスPLb、PLdの屈折率に相当する。
【0063】
図3(c)及び(h)において、NLは、複屈折板DR1、DR2の屈折率に相当し、NGは、光学ガラスPLb、PLcの屈折率に相当する。
【0064】
図3(d)及び(i)において、NLは、複屈折板DR1、DR2の屈折率に相当し、NGは、光学ガラスPLa、PLdの屈折率に相当する。
【0065】
図3(j)〜(m)において、NLは、複屈折板DR1、DR2の屈折率に相当し、NGは、光学ガラスPLa、PLbの屈折率に相当する。
【0066】
条件式(2)は、複屈折板と凹レンズとの屈折率の関係を示している。条件式(2)の上限を超えると、接合面の凹パワーが強くなりすぎるため、撮影光学系の収差に影響を与えてしまう。また、条件式(2)の下限を超えると、接合面の凸パワーが強くなりすぎるため、撮影光学系の収差に影響を与えてしまう。
【0067】
また、本実施形態の光学的ローパスフィルタは、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
【0068】
Dh/D0 < 1.0 (3)
但し、
D0:複屈折板の中心厚
Dh:複屈折板の周辺厚み
【0069】
なお、図2(i)、図3(n),(o)に示すように、センタ付近にだけ複屈折板DR,DR1,DR2が配置されている場合は、周辺部のうち、これらの複屈折版DR,DR1,DR2が設けられていない部分の周辺厚みDhは0とする。
【0070】
条件式(3)は複屈折板DR,DR1,DR2の中心厚と周辺厚みの関係を示すものであり、ノイズと解像力の最適なバランスを得るための条件である。この条件式(1)の上限を超えると、周辺部での光線の分離幅が大きくなるため、解像力の低い周辺性能が劣化するため好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(1)の上限値を0.85にすることが好ましい。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(1)の上限値を0.7にすることが好ましい。
【実施例】
【0071】
以下、本願の各実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下に示す各実施例においては、図4に示す撮影レンズSLと組み合わせた場合について説明する。ここで、撮影レンズSLは、物体側から順に、平板状のフィルタPF、両凸レンズL1、両凸レンズL2と両凹レンズL3とを接合した接合レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL4と両凸レンズL5とを接合した接合レンズ、両凹レンズL6、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL7と両凹レンズL8とを接合した接合レンズ、開口絞りS、両凸レンズL9、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL10、及び、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL11から構成される。
【0072】
[第1実施例]
まず、第1実施例として、図2(a)に示す2点分離の光学的ローパスフィルタFL2を用いた場合の諸元を以下の表1に示す。この第1実施例に係る光学的ローパスフィルタFL2は、表1に示す画素ピッチの撮像素子Cに合わせて設計されたものである。この表1において、fは撮影レンズSLを含む撮影光学系の全系の焦点距離を、2ωは画角を、FnoはFナンバーをそれぞれ表している。また、第1欄mは光線の進行する方向に沿った各光学面の面番号を、第2欄rは各光学面の曲率半径を、第3欄dは各光学面から次の光学面までの光軸上の距離(面間隔)を、第4欄νd及び第5欄ndはd線(λ=587.6nm)に対するアッベ数及び屈折率を、それぞれ表している。ここで、表1に示す面番号1〜22は、図4の撮影レンズSLに示す番号1〜22に対応し、面番号23〜25は、図2(a)の光学的ローパスフィルタFL2に示す番号23〜25に対応する。なお、曲率半径0.000は、レンズ面の場合は平面を示し、開口絞りの場合は開口を示す。また、空気の屈折率1.00000は省略してある。
【0073】
また、以下の表1にはこの第1実施例における条件式(1)〜(3)の値が示されている。ここで、ΨLは複屈折板DRの屈折力を示し、ΨGは光学ガラスPL(凹レンズ)の屈折力を示し、NLは複屈折板DRの屈折率を示し、NGは光学ガラスPL(凹レンズ)の屈折率を示し、D0は複屈折板DRの中心厚(像高Y=0)を示し、Dhは複屈折板DRの周辺厚み(像高Y=15における厚み)を示す。
【0074】
なお、以下の全ての諸元値において掲載されている焦点距離f、曲率半径r、面間隔dその他長さの単位は一般に「mm」が使われるが、光学系は、比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。また、以上の諸元表の説明は、以降の実施例においても同様である。
【0075】
(表1)
f=293.8
2ω=8.3°
Fno=2.88
CCD画素ピッチ=11.3μm

m r d νd nd
1 0.000 4.00 64.10 1.51680
2 0.000 0.60
3 173.866 12.00 82.52 1.49782
4 -978.065 0.20
5 133.636 15.00 82.52 1.49782
6 -464.694 5.00 46.54 1.80411
7 332.918 46.30
8 99.554 3.50 45.00 1.74400
9 55.631 15.90 82.52 1.49782
10 -1371.060 29.55
11 -169.969 2.70 64.10 1.51680
12 67.285 4.51
13 -192.927 7.00 33.89 1.80384
14 -43.081 2.80 61.09 1.58913
15 83.887 19.21
16 0.000 1.70
17 194.039 5.80 69.98 1.51860
18 -90.958 3.10
19 -43.595 3.50 28.56 1.79504
20 -64.790 7.60
21 -175.804 6.70 70.41 1.48749
22 -53.035 104.26
23 0.000 1.00 63.88 1.51680
24 152.000 1.60 69.87 1.54431
25 0.000 1.00

ΨL= 0.0036
ΨG=-0.0034
NL=1.54431
NG=1.5168
D0=1.6
Dh=0.06
(1)ΨG/ΨL=-0.95
(2)NG/NL=0.98
(3)Dh/D0=0.036
【0076】
図5(a)に、この第1実施例におけるローパスフィルタFL2を撮像装置100の撮影光学系に用いた場合のスポットダイヤグラムを示し、図5(c)に従来の光学的ローパスフィルタ(平板状の複屈折板を有するフィルタ)を用いた場合のスポットダイヤグラムを示す。図5(c)から分かるように、従来のローパスフィルタではセンタ付近も画面周辺部も一様に光線を分離するため、センタ付近のノイズは低減できても画面周辺部の高周波成分の解像力が低下してしまう。一方、図5(a)から明らかなように、この第1実施例に係る光学的ローパスフィルタFL2では、光軸上(Y=0)では所定の幅を有した2つの像に分離されているため、高周波成分により撮像素子で発生するノイズを低減でき、また、画面周辺部(Y=15)では分離幅が小さいため、分離された像が近接しており、高周波成分による解像力の劣化を防止することができる。
【0077】
また、図6(a)に、この第1実施例に係る光学的ローパスフィルタFL2を用いた場合の像高に対するMTFのグラフを示し、図6(c)に、従来のローパスフィルタ(平板状の複屈折板を有するフィルタ)を用いた場合のMTFのグラフを示す。なお、このMTFのグラフにおいて、直線はサジタル像面を示し、波線はメリジオナル像面を示す(以降の実施例においても同様である)。これらのグラフから明らかなように、従来の光学的ローパスフィルタでは、像高が高くなるほど、すなわち、画面周辺部になるほどMTFが低下している。この傾向は特にメリジオナル像面において顕著である。しかし、本第1実施例に係る光学的ローパスフィルタFL2によるとMTFの低下は小さくなり、画面周辺部でも優れた光学性能を有していることがわかる。
【0078】
[第2実施例]
次に、第2実施例として、第1実施例と同様に図2(a)の構成を有する光学的ローパスフィルタFL2を、第1実施例とは画素ピッチの異なる撮像素子Cに適用した場合の諸元値を表2に示す。なお、撮影レンズSLの諸元は表1に示したものと同様であるため省略する。また、表2に示すd22は、図4に示す撮影レンズSLの最も像側の面(第22面)からこの第2実施例に係る光学的ローパスフィルタFL2の最も物体側の面(第23面)までの光軸上の距離を示しており、面番号23〜25は、図2(a)の光学的ローパスフィルタFL2に示す番号23〜25に対応する。
【0079】
(表2)
f=293.8
2ω=8.3°
Fno=2.88
CCD画素ピッチ=2.8μm
d22=105.03

m r d νd nd
23 0.000 1.00 63.88 1.51680
24 1600.000 0.40 69.87 1.54431
25 0.000 1.00

ΨL= 0.0003
ΨG=-0.0003
NL=1.54431
NG=1.5168
D0=0.4
Dh=0.25
(1)ΨG/ΨL=-1.00
(2)NG/NL=0.98
(3)Dh/D0=0.625
【0080】
図5(b)に、この第2実施例における光学的ローパスフィルタFL2を、撮像装置100の撮影光学系に用いた場合のスポットダイヤグラムを示す。この第2実施例に係る光学的ローパスフィルタFL2においても、光軸上(Y=0)では所定の幅を有した2つの像に分離されているため、高周波成分により撮像素子で発生するノイズを低減でき、また、画面周辺部(Y=15)では分離幅が小さいため、分離された像が近接しており、高周波成分による解像力の劣化を防止することができる。また図6(b)に、この第2実施例に係る光学的ローパスフィルタFL2を用いた場合の像高に対するMTFのグラフを示す。第1実施例と同様に、本第2実施例に係る光学的ローパスフィルタFL2によると画面周辺部でも優れた光学性能を有していることがわかる。
【0081】
[第3実施例]
次に、第3実施例として、図2(a)の構成を有する光学的ローパスフィルタFL2の別の実施例を説明する。表3は、第3実施例に係る光学的ローパスフィルタFL2の諸元値である。なお、撮影レンズSLの諸元は表1に示したものと同様であるため省略する。また、表3に示すd22は、図4に示す撮影レンズSLの最も像側の面(第22面)からこの第3実施例に係る光学的ローパスフィルタFL2の最も物体側の面(第23面)までの光軸上の距離を示しており、面番号23〜25は、図2(a)の光学的ローパスフィルタFL2に示す番号23〜25に対応する。
【0082】
(表3)
f=293.8
2ω=8.3°
Fno=2.88
CCD画素ピッチ=11.3μm
d22=104.26

m r d νd nd
23 0.000 1.00 91.31 1.4560
24 152.000 1.60 69.87 1.54431
25 0.000 1.00

ΨL= 0.0036
ΨG=-0.0030
NL=1.54431
NG=1.45600
D0=1.6
Dh=0.06
(1)ΨG/ΨL=-0.84
(2)NG/NL=0.94
(3)Dh/D0=0.04
【0083】
[第4実施例]
次に、第4実施例として、図2(a)の構成を有する光学的ローパスフィルタFL2の別の実施例を説明する。表4は、第4実施例に係る光学的ローパスフィルタFL2の諸元値である。なお、撮影レンズSLの諸元は表1に示したものと同様であるため省略する。また、表4に示すd22は、図4に示す撮影レンズSLの最も像側の面(第22面)からこの第3実施例に係る光学的ローパスフィルタFL2の最も物体側の面(第23面)までの光軸上の距離を示しており、面番号23〜25は、図2(a)の光学的ローパスフィルタFL2に示す番号23〜25に対応する。
【0084】
(表4)
f=293.8
2ω=8.3°
Fno=2.88
CCD画素ピッチ=11.3μm
d22=104.26

m r d νd nd
23 0.000 1.00 40.94 1.80610
24 152.000 1.60 69.87 1.54431
25 0.000 1.00

ΨL= 0.0036
ΨG=-0.0053
NL=1.54431
NG=1.80610
D0=1.6
Dh=0.06
(1)ΨG/ΨL=-1.48
(2)NG/NL=1.17
(3)Dh/D0=0.04
【0085】
[第5実施例]
次に、第5実施例として、図2(b)の構成を有する光学的ローパスフィルタFL2の諸元値を表5に示す。なお、撮影レンズSLの諸元は表1に示したものと同様であるため省略する。また、表5に示すd22は、図4に示す撮影レンズSLの最も像側の面(第22面)からこの第2実施例に係る光学的ローパスフィルタFL2の最も物体側の面(第23面)までの光軸上の距離を示しており、面番号23〜25は、図2(b)の光学的ローパスフィルタFL2に示す番号23〜25に対応する。
【0086】
(表5)
f=293.8
2ω=8.3°
Fno=2.88
CCD画素ピッチ=11.3μm
d22=104.26

m r d νd nd
23 -2800.000 1.00 64.10 1.51680
24 152.000 1.60 69.87 1.54431
25 0.000 1.00

ΨL= 0.0036
ΨG=-0.0036
NL=1.54431
NG=1.5168
D0=1.6
Dh=0.06
(1)ΨG/ΨL=-1.00
(2)NG/NL=0.98
(3)Dh/D0=0.04
【0087】
[第6実施例]
次に、第6実施例として、図2(b)の構成を有する光学的ローパスフィルタFL2の別の実施形態を説明する。表6は、第6実施形態に係る光学的ローパスフィルタFL2の諸元値である。なお、撮影レンズSLの諸元は表1に示したものと同様であるため省略する。また、表6に示すd22は、図4に示す撮影レンズSLの最も像側の面(第22面)からこの第6実施例に係る光学的ローパスフィルタFL2の最も物体側の面(第23面)までの光軸上の距離を示しており、面番号23〜25は、図2(b)の光学的ローパスフィルタFL2に示す番号23〜25に対応する。
【0088】
(表6)
f=293.8
2ω=8.3°
Fno=2.88
CCD画素ピッチ=11.3μm
d22=104.26

m r d νd nd
23 -700.000 1.00 64.10 1.51680
24 152.000 1.60 69.87 1.54431
25 0.000 1.00

ΨL= 0.0036
ΨG=-0.0041
NL=1.54431
NG=1.5168
D0=1.6
Dh=0.06
(1)ΨG/ΨL=-1.16
(2)NG/NL=0.98
(3)Dh/D0=0.04
【0089】
[第7実施例]
次に、第7実施例として、図2(c)の構成を有する光学的ローパスフィルタFL2の諸元値を表7に示す。なお、撮影レンズSLの諸元は表1に示したものと同様であるため省略する。また、表7に示すd22は、図4に示す撮影レンズSLの最も像側の面(第22面)からこの第2実施例に係る光学的ローパスフィルタFL2の最も物体側の面(第23面)までの光軸上の距離を示しており、面番号23〜25は、図2(c)の光学的ローパスフィルタFL2に示す番号23〜25に対応する。
【0090】
(表7)
f=293.8
2ω=8.3°
Fno=2.88
CCD画素ピッチ=11.3μm
d22=104.26

m r d νd nd
23 1000.000 1.00 64.10 1.51680
24 152.000 1.60 69.87 1.544310
25 0.000 1.00

ΨL= 0.0036
ΨG=-0.0029
NL=1.54431
NG=1.5168
D0=1.6
Dh=0.06
(1)ΨG/ΨL=-0.80
(2)NG/NL=0.98
(3)Dh/D0=0.04
【0091】
[第8実施例]
次に、第8実施例として、図3(a)に示す4点分離の光学的ローパスフィルタFL4を用いた場合の諸元を以下の表8に示す。この第3実施例に係る光学的ローパスフィルタFL4は、表8に示す画素ピッチの撮像素子Cに合わせて設計されたものである。なお、撮影レンズSLの諸元は表1に示したものと同様であるため省略する。また、表8に示すd22は、図4に示す撮影レンズSLの最も像側の面(第22面)からこの第8実施例に係る光学的ローパスフィルタFL4の最も物体側の面(第23面)までの光軸上の距離を示しており、面番号23〜30は、図3(a)の光学的ローパスフィルタFL4に示す番号23〜30に対応する。また、この第3実施例において、第1及び第2複屈折板DR1,DR2は同一の形状を有しているため、条件式(1)〜(3)の値はこれらに共通する値である。
【0092】
(表8)
f=293.8
2ω=8.3°
Fno=2.88
CCD画素ピッチ=5.6μm
d22=101.95

m r d νd nd
23 0.000 1.00 63.88 1.51680
24 303.000 0.80 69.87 1.54431
25 0.000 1.00 63.88 1.51680
26 0.000 0.50 69.87 1.54431
27 0.000 1.00 63.88 1.51680
28 303.000 0.80 69.87 1.54431
29 0.000 1.00 63.88 1.51680
30 0.000 1.00

ΨL= 0.0018
ΨG=-0.0017
NL=1.54431
NG=1.5168
D0=0.8
Dh=0.03
(1)ΨG/ΨL=-0.95
(2)NG/NL=0.98
(3)Dh/D0=0.036
【0093】
図7(a)に、この第8実施例における光学的ローパスフィルタFL4を、撮像装置100の撮影光学系に用いた場合のスポットダイヤグラムを示し、図7(c)に従来の光学的ローパスフィルタ(平板状の複屈折板を有するフィルタ)を用いた場合のスポットダイヤグラムを示す。この第8実施例に係る光学的ローパスフィルタFL4においても、光軸上(Y=0)では従来の光学的ローパスフィルタと同様に所定の幅を有した4つの像に分離されているため、高周波成分により撮像素子で発生するノイズを低減でき、また、画面周辺部(Y=15)では分離幅が小さいため、分離された像が近接しており、高周波成分による解像力の劣化を防止することができる。また図8(a)に、この第8実施例に係る光学的ローパスフィルタFL4を用いた場合の像高に対するMTFのグラフを示し、図8(c)に、従来のローパスフィルタを用いた場合のMTFのグラフを示す。第1及び第2実施例と同様に、本第8実施例に係る光学的ローパスフィルタFL4によると画面周辺部でも優れた光学性能を有していることがわかる。
【0094】
[第9実施例]
次に、第9実施例として、第8実施例と同様に図3(a)の構成を有する光学的ローパスフィルタFL4の諸元値を表4に示す。第8実施例とは、複屈折板DR1、DR2の物体側の面(第24面、第28面)の曲率半径が異なる。なお、撮影レンズSLの諸元は表1に示したものと同様であるため省略する。また、表9に示すd22は、図4に示す撮影レンズSLの最も像側の面(第22面)からこの第9実施例に係る光学的ローパスフィルタFL4の最も物体側の面(第23面)までの光軸上の距離を示しており、面番号23〜30は、図3(a)の光学的ローパスフィルタFL4に示す番号23〜30に対応する。
【0095】
(表9)
f=293.8
2ω=8.3°
Fno=2.88
CCD画素ピッチ=5.6μm
d22=101.95

m r d νd nd
23 0.000 1.00 63.88 1.51680
24 1300.000 0.80 69.87 1.54431
25 0.000 1.00 63.88 1.51680
26 0.000 0.50 69.87 1.54431
27 0.000 1.00 63.88 1.51680
28 1300.000 0.80 69.87 1.54431
29 0.000 1.00 63.88 1.51680
30 0.000 1.00

ΨL= 0.0004
ΨG=-0.0004
NL=1.54431
NG=1.5168
D0=0.8
Dh=0.62
(1)ΨG/ΨL=-1.00
(2)NG/NL=0.98
(3)Dh/D0=0.776
【0096】
図7(b)に、この第9実施例における光学的ローパスフィルタFL4を、撮像装置100の撮影光学系に用いた場合のスポットダイヤグラムを示す。この第9実施例に係る光学的ローパスフィルタFL4においても、光軸上(Y=0)では所定の幅を有した4つの像に分離されているため、高周波成分により撮像素子で発生するノイズを低減でき、また、画面周辺部(Y=15)では分離幅が小さいため、分離された像が近接しており、高周波成分による解像力の劣化を防止することができる。また図8(b)に、この第9実施例に係る光学的ローパスフィルタFL4を用いた場合の像高に対するMTFのグラフを示す。第8実施例と同様に、本第9実施例に係る光学的ローパスフィルタFL4によると画面周辺部でも優れた光学性能を有していることがわかる。
【符号の説明】
【0097】
100 撮像装置 FL,FL2,FL4 光学的ローパスフィルタ
DR,DR1,DR2 複屈折板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正の屈折力を有する第1レンズと、
負の屈折力を有する第2レンズとを有し、
前記第1レンズは、複屈折材料から成ることを特徴とする光学的ローパスフィルタ。
【請求項2】
請求項1に記載の光学的ローパスフィルタにおいて、
前記第1レンズと前記第2レンズとが接合されていることを特徴とする光学的ローパスフィルタ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学的ローパスフィルタにおいて、
以下の条件式を満足することを特徴とする光学的ローパスフィルタ。
−1.5<ΨG/ΨL<−0.9
但し、
ΨL:前記第1レンズの屈折力
ΨG:前記第2レンズの屈折力
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の光学的ローパスフィルタにおいて、
以下の条件式を満足することを特徴とする光学的ローパスフィルタ。
0.9<NG/NL<1.2
但し、
NL:前記第1レンズの屈折率
NG:前記第2レンズの屈折率
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の光学的ローパスフィルタにおいて、
以下の条件式を満足することを特徴とする光学的ローパスフィルタ。
Dh/D0<1.0
但し、
D0:前記第1レンズの中心厚
Dh:前記第1レンズの周辺厚
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学的ローパスフィルタを有することを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−163675(P2012−163675A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22620(P2011−22620)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】