光学的情報読取装置の読取光軸調整システム及び光学的情報読取装置
【課題】読取機構の読取光軸の位置の調整の作業を容易且つ確実に行う。
【解決手段】光学情報読取装置2の読取機構7の構成部品の一部(ミラー)を、その読取光軸Oが垂直(上下)方向に変位するように本体6(読取口)に対して移動可能に設ける。調整動作の実行時において、ミラーは、駆動モータ4により自動で移動される。テスト用コードが記されたテスト用プレート5を、光学的情報読取装置2に対して所定位置に配置する。外部装置3(CPU)は、駆動モータ4を制御して、読取機構7の読取光軸Oを自動で変位させながら、光学的情報読取装置2から送信される入力データ(受光センサの受光信号)を監視し、テスト用コードのデータに一致するかどうかを判定し、一致した時点で駆動モータ4を停止させることにより、読取光軸Oの位置合せを自動で行う。
【解決手段】光学情報読取装置2の読取機構7の構成部品の一部(ミラー)を、その読取光軸Oが垂直(上下)方向に変位するように本体6(読取口)に対して移動可能に設ける。調整動作の実行時において、ミラーは、駆動モータ4により自動で移動される。テスト用コードが記されたテスト用プレート5を、光学的情報読取装置2に対して所定位置に配置する。外部装置3(CPU)は、駆動モータ4を制御して、読取機構7の読取光軸Oを自動で変位させながら、光学的情報読取装置2から送信される入力データ(受光センサの受光信号)を監視し、テスト用コードのデータに一致するかどうかを判定し、一致した時点で駆動モータ4を停止させることにより、読取光軸Oの位置合せを自動で行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光センサ及び結像光学部を有しバーコードを読取る読取機構の読取光軸の位置を調整するための光学的情報読取装置の読取光軸調整システム、及び光学的情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばバーコードを読取るハンディタイプの光学的情報読取装置(バーコードリーダ)は、本体ケース内に、読取口を通して読取対象(バーコードが印刷されたラベル)に向けて照明光を照射するための照明部や、読取対象からの反射光を結像レンズを介してCCDセンサ等の受光センサより受光(撮像)する読取機構等を組付けて構成されている。
【0003】
ところで、この種のバーコードリーダにあっては、読取機構の読取光軸が、本体ケース(読取口)対して読取に適した正規の位置に調整されていることが望ましいのであるが、構成部品の組付け誤差などにより、読取光軸の位置が垂直方向にずれる虞がある。そこで、従来では、結像レンズを保持したレンズ枠を本体ケースに対し位置調整可能に設け、バーコードリーダ組立後の検査工程において、読取光軸が正しい位置にあるかどうかを検査し、本体ケースの外部からドライバーなどの工具でレンズ枠の位置を調整することが考えられている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平5−83861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の調整方法では、検査作業者が、検査時に読取機構によるバーコードの読取りを行わせ、その際の受光センサの読取波形をオシロスコープ等で観測しながら、読取光軸を調整するようにしていた。ところが、検査作業者が、オシロスコープの波形を見て読取光軸が合っているかどうかを判断していたため、判断が難しく、調整作業にばらつきが生ずるなど確実性に劣り、あるいは調整作業に時間がかかってしまう不具合があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、読取機構の読取光軸の位置の調整が可能なものにあって、調整作業を容易且つ確実に行うことができる光学的情報読取装置の光軸位置調整システム及び光学的情報読取装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の光学的情報読取装置の光軸位置調整システムは、読取機構の読取光軸の位置を受光センサの受光素子の配列方向に対して直交方向に変位させるように、本体に対して前記読取機構の構成部品の少なくとも一部を移動可能に構成すると共に、前記本体に対して標準的な読取距離にテスト用コードを配置した状態で、前記読取機構の光軸を変位させながら該読取機構により前記テスト用コードを撮像させる調整動作を繰返し実行させる調整動作実行手段と、この調整動作の実行時における前記受光センサの受光信号を監視し、適切な読取光軸の位置が得られたかどうかを検出してその検出結果を出力する検出手段とを設け、この検出手段の出力に基づいて読取光軸の位置合せを行うことを可能に構成したものである(請求項1の発明)。
【0007】
ここで、読取機構の読取光軸を、受光素子の配列方向(水平方向)に対して直交する方向(垂直方向)に変位させながら読取機構によりテスト用コードを撮像させた場合、読取光軸がテスト用コードから外れている状態と、テスト用コードに位置合せされた状態との間で、受光センサの受光信号が大きく変化するようになる。
【0008】
上記構成によれば、調整動作実行手段により調整動作が繰返し実行され、検出手段によって、その際の受光センサの受光信号が監視されることに基づき、標準的な読取距離に配置されたテスト用コードに読取機構の読取光軸が位置合せされたかどうかを検出することが可能となる。従って、作業者の判断によることなく、検出手段の出力した検出結果に基づいて、読取光軸の位置合せを確実に行うことができ、しかも、調整作業を容易に済ませることができる。
【0009】
尚、上記調整動作は、読取機構の読取光軸が、テスト用コードから予め下方或いは上方に外れた位置から開始させることが望ましく、これにより、テスト用コードの下端或いは上端に読取光軸の位置を容易に合せることができ、調整作業をより効率的に行うことができる。
【0010】
またこのとき、前記読取光軸の位置は、受光素子の配列方向に対し直交する方向だけでなく傾き(回転)方向にずれることも考えられるので、読取光軸の位置を回転方向に変位させるように、前記本体に対して前記読取機構の構成部品の少なくとも一部を移動させる傾き調整機構を備え、前記調整動作の実行時における前記受光センサの受光信号に基づいて前記読取光軸の傾きをも調整可能に構成することができる(請求項2の発明)。これによれば、読取光軸の傾きをも併せて調整することができ、より効果的となる。
【0011】
本発明の光学的情報読取装置の光軸位置調整システムにおいては、検出手段を、外部装置に設けるように構成することができる(請求項3の発明)。例えば工場出荷前の検査時やメンテナンス時などの、読取光軸の調整作業を行うときにのみ、検出手段を有する外部装置に光学的情報読取装置を接続すれば良く、光学的情報読取装置が検出手段を内蔵する場合に比べて、その分、光学的情報読取装置の構成を簡単済ませることができる。
【0012】
本発明においては、前記読取機構の読取光軸を変位させるべく該読取機構の構成部品の少なくとも一部を自動で移動させる駆動手段を設け、前記検出手段からの出力信号に基づいて前記駆動手段を制御して位置合せを行うように構成することができる(請求項4の発明)。これによれば、駆動手段により、読取機構の読取光軸を自動で変位させながら調整作業を行うことができるので、調整作業をより簡単に行うことができる。
【0013】
ところで、例えば装置の本体を手で持って操作するハンディタイプの光学的情報読取装置にあっては、本体内に、読取位置を示すためのマーカ光を読取対象に向けて照射するマーカ光照射手段を備えたものがある。この場合、マーカ光照射手段により照射されるマーカ光の光軸の位置が、正規の位置からずれる虞がある。そこで、本発明においては、マーカ光照射手段を備えるものにあって、マーカ光の光軸の位置を前記直交方向に変位させるためのマーカ位置調整機構を設けることにより、該マーカ光の光軸の位置を調整可能に構成することができる(請求項5の発明)。これにより、読取光軸の調整と併せて、マーカ光の光軸の調整も行うことができ、より効果的となる。
【0014】
より具体的には、前記読取機構の読取光軸の位置合せを行った後に、前記マーカ位置調整機構によりマーカ光の光軸を変位させながら前記マーカ光照射手段により前記テスト用コードにマーカ光を照射するマーカ光調整動作を実行させる手段と、そのマーカ光調整動作の実行時の前記受光センサの受光信号を監視し、適切なマーカ光の光軸の位置が得られたかどうかを検出してその検出結果を出力するマーカ検出手段とを設け、このマーカ検出手段の出力に基づいて該マーカ光の光軸の位置合せを行うように構成することができる(請求項6の発明)。これによれば、読取光軸の調整後において、受光センサの受光信号を用いてマーカ光の光軸の位置合せを行うことが可能となり、構成の複雑化を招くことなく、確実にマーカ光の光軸の位置合せを行うことができる。
【0015】
或いは、前記本体に対して標準的な読取距離に検査用光センサを配置した状態で、前記マーカ位置調整機構によりマーカ光の光軸を変位させながら前記マーカ光照射手段により前記検査用光センサに向けてマーカ光を照射し、その際の前記検査用光センサの受光信号に基づいて該マーカ光の光軸の位置合せを行うように構成することができる(請求項7の発明)。これによれば、検査用光センサを用いることによって、マーカ光の光軸の位置合せを極めて簡単に行うことが可能となる。
【0016】
また、この場合も、前記マーカ光の光軸の位置を回転方向に変位させるためのマーカ傾き調整機構を設け、前記マーカ光の光軸の傾きをも調整可能に構成することができる(請求項8の発明)。マーカ光の光軸の傾きをも併せて調整することができ、より一層効果的となる。
【0017】
上記マーカ検出手段を、外部装置に設けるように構成することができる(請求項9の発明)。例えば工場出荷前の検査時やメンテナンス時などの、マーカ光の光軸の調整作業を行うときにのみ、マーカ検出手段を有する外部装置に接続すれば良く、光学的情報読取装置の構成を簡単済ませることができる。
【0018】
前記マーカ光の光軸を変位させるべく前記マーカ光照射手段の構成部品の少なくとも一部を自動で移動させるマーカ駆動手段を設け、前記マーカ検出手段からの出力信号に基づいて前記マーカ駆動手段を制御して位置合せを行うように構成すれば(請求項10の発明)、マーカ駆動手段により、マーカ光の光軸を自動で変位させながら調整作業を行うことができるので、調整作業をより簡単に行うことができる。
【0019】
本発明の光学的情報読取装置は、読取機構の読取光軸の位置を受光センサの受光素子の配列方向に対して直交する方向に変位させるように、本体に対して前記読取機構の構成部品の少なくとも一部を移動させる読取光軸調整機構と、前記本体に対して標準的な読取距離にテスト用コードを配置した状態で、前記読取機構の光軸を変位させながら前記読取機構により前記テスト用コードを撮像させる調整動作を繰返し実行させる調整動作実行手段と、この調整動作の実行時における前記受光センサの受光信号を監視し、適切な読取光軸の位置が得られたかどうかを検出してその検出結果を出力する検出手段とを具備し、この検出手段の出力に基づいて前記読取光軸の位置合せを行うことを可能に構成したものである(請求項11の発明)。
【0020】
これによれば、調整動作実行手段により調整動作が繰返し実行され、検出手段によって、その際の受光センサの受光信号が監視されることに基づき、標準的な読取距離に配置されたテスト用コードに読取機構の読取光軸が位置合せされたかどうかを検出することが可能となる。従って、作業者の判断によることなく、検出手段の出力した検出結果に基づいて、読取光軸の位置合せを確実に行うことができ、しかも、調整作業を容易に済ませることができる。
【0021】
このとき、前記読取光軸の位置を回転方向に変位させるように、前記本体に対して前記読取機構の構成部品の少なくとも一部を移動させる傾き調整機構を設け、前記調整動作の実行時における前記受光センサの受光信号に基づいて前記読取光軸の傾きをも調整可能に構成することにより(請求項12の発明)、読取光軸の傾きをも併せて調整することができ、より効果的となる。
【0022】
そして、前記本体内に、読取位置を示すためのマーカ光を読取対象に向けて照射するマーカ光照射手段を備えるものにおいては、前記マーカ光の光軸の位置を前記垂直方向に変位させるためのマーカ位置調整機構を設けることにより、該マーカ光の光軸の位置を調整可能に構成することができる(請求項13の発明)。これにより、読取光軸の調整と併せて、マーカ光の光軸の調整も行うことができ、より効果的となる。
【0023】
さらに、前記マーカ光の光軸の位置を回転方向に変位させるためのマーカ傾き調整機構を設け、前記マーカ光の光軸の傾きをも調整可能に構成すれば(請求項14の発明)、マーカ光の光軸の傾きをも併せて調整することができ、より一層効果的となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を具体化したいくつかの実施例について、図面を参照しながら説明する。
(1)第1の実施例
まず、図1ないし図6を参照しながら、本発明の第1の実施例について述べる。図1は、本実施例に係る読取光軸調整システム1の全体構成を概略的に示しており、このシステム1は、光学的情報読取装置2、検出手段として機能する外部装置3、駆動手段としての駆動モータ4、テスト用バーコードC(図6参照)が記された調整用プレート5等から構成されている。
【0025】
そのうち光学的情報読取装置2について説明する。光学的情報読取装置2は、この場合ハンディタイプのバーコードリーダからなり、周知のように、ユーザが手持ち操作可能な縦長形状をなす本体6内に、読取対象Rに記されたバーコードB(図2参照)を読取る読取機構7を備えて構成されている。このとき、図示はしないが、本体6の先端部(図で左端部)には、横長矩形状をなす読取口が設けられている。
【0026】
図2は、この光学的情報読取装置2の電気的構成を概略的に示しており、前記読取機構7は、読取対象Rに向けて照明光Lを照射する複数個のLED等からなる照明部8、読取対象Rからの反射光を受光(撮像)しバーコードBを読取る結像光学部9及び受光センサ10を備えて構成されている。更に、詳しく図示はしないが、本体6内には、読取対象Rに対して読取位置を示すマーカ光を照射するマーカ光照射部11も設けられている。
【0027】
前記受光センサ10は、例えばCCDエリアセンサ(或いはラインセンサ)からなり、縦横方向に多数個の受光素子を配列して構成されている。このとき、バーコードBを読取る際には、例えば上下方向中央部の横方向(スキャン方向)に配列された受光素子からの信号が用いられるようになっている。そして、詳しく図示はしないが、前記結像光学部9は、前記受光センサ10の前方に配置された結像レンズ及びその前方に配置されたミラーを備えて構成されている。この読取機構7は、バーコードBを横切るような水平方向に横長な読取視野を有しており、その光軸Oは、読取口を直交するように延びている。
【0028】
また、前記本体6の上面部には、LCD及びタッチパネルからなる表示部12や、キー操作部13が設けられ、本体6の側面部には、読取指示用のトリガキー14が設けられている。そして、本体6内には、前記受光センサ10の受光信号のA/D変換を行うA/D変換回路15、全体の制御等を行うためのCPU16、ROM17、RAM18を備える制御部、入出力部(I/O)19、報知用LED20、外部とのデータのやり取りを行う外部出力部21などが設けられている。
【0029】
これにて、ユーザが、本体6を読取対象Rから適当な距離(読取標準距離前後)だけ離した状態で、その読取口を読取対象Rに対してほぼ平行となるように向け、トリガキー14のオン操作を行うことにより、照明部8により読取口を通してバーコードB部分に照明光が照射され、バーコードBからの反射光が読取口を通して入射されて結像光学部9(ミラー及び結像レンズ)を介して受光センサ10上に結像され、以てバーコードBが読取られる。このとき、読取機構7の読取光軸Oが、バーコードBを横方向に横断するように配置されることによって、良好な読取りが行われるのである。
【0030】
さて、本実施例では、前記読取機構7の読取光軸Oの位置を、受光センサ10の受光素子の配列方向(読取時のスキャン方向である横(水平)方向)に対して直交する方向である垂直(上下)方向に変位させるように、読取機構7の構成部品の一部が、本体6(読取口)に対して移動可能に取付けられている。具体的には、例えば、前記結像光学部9のうちのミラーが、本体6に対して移動(例えば水平方向に延びる軸を中心に回動)可能に設けられ、その移動によって読取口に対する光軸の角度が変動し、読取機構7の読取光軸Oが垂直方向に変位するようになっている。
【0031】
そして、本実施例では、後述する調整動作の実行時に、結像光学部9のミラーが、例えばステッピングモータからなる駆動モータ4により、自動で移動(回動)されるようになっている。尚、結像光学部9全体を移動可能に構成したり、受光センサ10を含む読取機構7全体を移動可能に構成したりしても良い。結像光学部9がミラーを備えていない場合には、結像レンズ(レンズを保持するホルダ部分)を移動可能に構成しても良い。
【0032】
詳しくは後の作用説明にて述べるように、この光学的情報読取装置2の制御部(CPU16)は、そのソフトウエア的構成(ROM17に記憶された調整制御プログラムの実行)により、後述する調整動作を実行させる調整動作実行手段として機能する。この調整動作においては、読取機構7の読取光軸Oを変位させながら、読取機構7によりテスト用コードCを撮像し、受光センサ10の受光信号をA/D変換回路15によりA/D変換して、そのデータを外部出力部21から外部装置3に出力させる動作が繰返し実行される。
【0033】
一方、図3は、前記外部装置3の電気的構成を概略的に示している。この外部装置3は、入出力部(I/O)22、CPU23、ROM24、RAM25、モータ制御用入出力部26を備えて構成されている。前記入出力部(I/O)22には、前記光学的情報読取装置2(外部出力部21)が接続され、前記外部出力部21から出力された受光信号のデータが入力されるようになっている。また、モータ制御用入出力部26に前記駆動モータ4が接続され、該駆動モータ4を制御するようになっている。
【0034】
そして、詳しくは後の作用説明にて述べるように、この外部装置3(CPU23)は、そのソフトウエア的構成(ROM24に記憶された調整制御プログラムの実行)により、調整動作の実行時において、駆動モータ4を制御して、結像光学部9のミラー(読取機構7の読取光軸)を自動で移動(変位)させながら、前記光学的情報読取装置2から送信される入力データ(受光センサ10の受光信号)を監視し、適切な読取光軸Oの位置が得られたかどうかを検出(判定)するようになっている。従って、外部装置3が検出手段として機能するようになっている。
【0035】
このとき、より具体的には、外部装置3(CPU23)は、調整動作の開始時に、駆動モータ4を制御して読取光軸Oが最下位置(テスト用コードCから下方に外れる位置)に来るようにし、その後、読取光軸Oが一定量ずつ上方に変位するように駆動モータ4を制御する。一方、外部装置3のRAM25には、予めテスト用コードCのデータが記憶されており、外部装置3(CPU23)は、入力データ(受光センサ10の受光信号)がそのテスト用コードCのデータに一致するかどうかを判定し、一致した時点で駆動モータ4を停止させることにより、読取光軸Oの位置合せを自動で行うように構成されている。
【0036】
尚、前記テスト用プレート5は、読取機構7の読取光軸Oの調整動作時において、固定的に配置された光学的情報読取装置2の本体6に対して、所定位置に配置される。この所定位置は、本体6の読取口から標準的な読取距離だけ離れていて、且つ、上下方向の位置が、テスト用コードCの下辺部に読取機構7の読取光軸Oが一致した状態で、読取機構7の読取光軸OがバーコードBの読取りに適した正規の位置に来るように設定されている。また、テスト用プレート5には、前記テスト用コードCの上下部に位置して、白色の余白部分が設けられている。
【0037】
次に、上記構成の作用について、図4〜図6も参照して述べる。上記構成の光学的情報読取装置2においては、組立時における読取機構7(結像光学部9及び受光センサ10)の構成部品の組付け誤差などにより、本体6(読取口)に対し、読取機構7の読取光軸OがバーコードBの読取りに適した正規の位置から垂直方向にずれている虞がある。このような読取光軸のずれが生じていると、読取対象Rに記されたバーコードBの画像を読取機構7により正しく取込むことができなくなり、バーコードBの読取りが良好に行えなくなる虞が生ずる。
【0038】
そこで、本実施例においては、光学的情報読取装置2の組立後の検査時(工場出荷時)において、上記した読取光軸調整システム1により読取光軸Oの調整動作が実行される。図4のフローチャートは、この調整動作において外部装置3のCPU23が実行する処理の手順を示しており、図5のフローチャートは、調整動作において光学的情報読取装置2のCPU16が実行する処理の手順を示している。
【0039】
調整動作を行うにあたって、作業者は、図1に示すように、固定配置された光学的情報読取装置2(外部出力部21)と外部装置3(入出力部22)とを接続すると共に、駆動モータ4をセット(モータ制御用入出力部26に接続)し、さらに、光学的情報読取装置2の本体6の読取口の前方の所定位置に、テスト用コードCが記されたテスト用プレート5をセットする。
【0040】
図4に示すように、調整動作が開始されると、外部装置3においては、まずステップS1にて、駆動モータ4を動作させて、読取機構7の読取光軸Oが最も下の位置(テスト用コードCから下方に外れる位置)に来るように結像光学部9(ミラー)を移動させる。次のステップS2では、駆動モータ4を動作させて、読取機構7の読取光軸Oが一定量だけ上方に変位するように、結像光学部9を移動させる。そして、ステップS3では、光学的情報読取装置2から、受光センサ10の受光信号をA/D変換した入力データが取込まれる。次のステップS4では、入力データの信号波形が、予め記憶されているテスト用コードCのパターンに一致するかどうかが判断される。
【0041】
一方、図5に示すように、調整動作が開始されると、光学的情報読取装置2においては、ステップT1にて、読取機構7によるテスト用コードCの撮像動作が実行され、受光センサ10の受光信号がA/D変換回路15によりA/D変換される。そして、ステップT2にて、そのA/Dデータが外部出力部21から外部装置3に出力される。このようなテスト用コードCの撮像動作が、読取機構7の読取光軸Oが一定量ずつ変位する毎に、調整完了となるまで繰返される(ステップT3)。
【0042】
このとき、調整動作開始時(開始初期)には、図6(a)に示すように、読取機構7の読取光軸O(太線で示す)が、テスト用コードCから下方に外れているため、外部装置3に入力される入力データは、全体が「明」レベルの信号波形とされる。この状態では、入力データの信号波形は、テスト用コードCのパターンに一致しないので、図4のステップS4にてNoとなり、ステップS2からの処理が繰返される。
【0043】
これに対し、読取機構7の読取光軸Oが次第に上方に変位していくと、遂には図6(b)に示すように、読取光軸Oがテスト用コードCの下端部を撮像する位置となり、この状態では。受光センサ10の受光信号は、テスト用コードCに応じた明暗のパターンが繰返されるものとなる。従って、この位置において、入力データの信号波形は、テスト用コードCのパターンに一致することになり(ステップS4にてYes)、駆動モータ4が停止され調整動作が終了する。これにて、読取機構7の読取光軸Oが、読取りに適した適切な位置に調整されるのである。
【0044】
このように本実施例の読取光軸調整システム1によれば、光学的情報読取装置2の本体6に対しテスト用コードCを所定位置に配置し、調整動作を繰返し実行させた際の受光センサ10の受光信号が監視されることに基づき、読取機構7の読取光軸Oの位置合せを行うことができる。従って、作業者がオシロスコープの波形を見て読取光軸Oがあっているかどうかを判定していた従来と異なり、作業者の判断によることなく、読取光軸Oの位置合せを確実に行うことができ、しかも、調整作業を容易に済ませることができる。
【0045】
この場合、特に本実施例では、光学的情報読取装置2に外部装置3を接続すると共に、その外部装置3が駆動モータ4を制御して自動で結像光学部9を移動させるように構成したので、光学的情報読取装置2自体が検出手段を内蔵する場合に比べて、光学的情報読取装置2の構成を簡単済ませることができ、また、読取機構7の読取光軸Oを自動で変位させながら調整作業を行うことができるので、調整作業をより簡単に行うことができるものである。
【0046】
(2)第2、第3の実施例
図7及び図8は、本発明の第2の実施例を示すものである。尚、以下に述べる各実施例においては、上記第1の実施例と同一部分について、同一符号を付して新たな図示や説明を省略し、以下、異なる点についてのみ述べることとする。
【0047】
この第2の実施例における読取光軸調整システム1は、上記第1の実施例と同様に、光学的情報読取装置2に外部装置3を接続すると共に、読取機構7の結像光学部9(ミラー)を移動させて読取光軸Oを上下に変位させる駆動モータ4を備えて構成されている。そして、調整動作の実行時に、外部装置3は、駆動モータ4を制御して、読取機構7の読取光軸Oを最下位置(テスト用コードCから下方に外れる位置)から一定量ずつ上方に変位するようにし、光学的情報読取装置2は、読取機構7によりテスト用コードCを撮像する動作を繰返す。
【0048】
このとき本実施例では、受光センサ10の受光信号がテスト用コードCのパターンに一致するかどうかの判定を、光学的情報読取装置2の制御部(CPU16)が実行するようになっている。そして、光学的情報読取装置2は、その判定結果のデータを、外部出力部21から外部装置3に出力し、外部装置3は、その判定結果のデータに基づいて、一致しないという判定結果であったときには、駆動モータ4の制御(読取光軸Oの移動)を繰返し、一致したという判定結果のデータを入力したときに、駆動モータ4を停止させることにより位置合せを行うようになっている。従って、この第2の実施例では、光学的情報読取装置2が検出手段として機能する。
【0049】
図7のフローチャートは、この調整動作において外部装置3のCPU23が実行する処理の手順を示しており、図8のフローチャートは、調整動作において光学的情報読取装置2のCPU16が実行する処理の手順を示している。
【0050】
即ち、図7に示すように、調整動作が開始されると、外部装置3においては、まずステップS1にて、駆動モータ4を動作させて、読取機構7の読取光軸Oが最下位置に来るように結像光学部9(ミラー)を移動させる。次のステップS2では、駆動モータ4を動作させて、読取機構7の読取光軸Oが一定量だけ上方に変位するように、結像光学部9を移動させる。そして、次のステップS11では、光学的情報読取装置2から判定結果のデータが取込まれ、ステップS12にて、入力された判定結果のデータが「一致する」のデータかどうかが判断される。
【0051】
一方、図8に示すように、光学的情報読取装置2においては、調整動作が開始されると、ステップT1にて、読取機構7によるテスト用コードCの撮像動作が実行され、受光センサ10の受光信号がA/D変換回路15によりA/D変換される。次に、ステップT11にて、その明暗データが予め記憶されているテスト用コードCのパターンと比較され、ステップT12にて、それらが一致するかどうかが判断される。
【0052】
そして、パターンが一致した場合には(ステップT12にてYes)、ステップT13にて、一致する旨のデータが外部装置3に出力され、処理が終了する。これに対し、パターンが一致しない場合には(ステップT12にてNo)、ステップT14にて、一致する旨のデータが外部装置3に出力され、この場合には、ステップT1からの処理(読取機構7の読取光軸Oが一定量ずつ上方に変位した状態でテスト用コードCの撮像動作を行う)が繰返される。
【0053】
図7に戻って、外部装置3は、光学的情報読取装置2から入力された判定結果のデータが「一致する」のデータである場合には(ステップS12にてYes)、ステップS5にて駆動モータ4を停止させ、処理を終了する。「一致しない」のデータが入力された場合には(ステップS12にてNo)、ステップS2からの処理を繰返す。
【0054】
これにて、上記第1の実施例と同様に、読取光軸調整システム1により、読取機構7の読取光軸Oが、読取りに適した適切な位置に自動で調整されるのである。従って、この第2の実施例によっても、作業者の判断によることなく、読取光軸Oの位置合せを確実に行うことができ、しかも、調整作業を容易に済ませることができるという優れた効果を得ることができるものである。
【0055】
図9は、本発明の第3の実施例を示すものである。この第3の実施例が、上記第1の実施例と異なるところは、読取機構7の読取光軸Oの位置を、垂直(上下)方向だけでなく、傾き(回転)方向にも変位させるように、本体6に対して読取機構7の構成部品の少なくとも一部を移動させる傾き調整機構を設け、調整動作の実行時における受光センサ10の受光信号に基づいて読取光軸Oの傾きをも調整可能に構成した点にある。
【0056】
図示はしないが、本実施例では、結像光学系9の一部であるミラーを、その左右の端部を本体6に対し別個に上下に移動可能に取付けるようにしている。そして、2個の駆動モータ4により、ミラーの左右端部を夫々上下動させることにより、読取光軸Oの上下方向の変位及び左右の傾き方向の変位を自動で行うことを可能としている。各駆動モータ4は外部装置3により制御される。また、図9に示すように、本実施例では、テスト用コードC´として、高さのごく低いバーコードを用いるようにしている。
【0057】
本実施例においても、調整作業を行うにあたっては、まず、各駆動モータ4を動作させて、読取機構7の読取光軸Oが最下位置(テスト用コードC´から下方に外れる位置)に来るように結像光学部9(ミラー)を移動させる。次に、各駆動モータ4を動作させて、読取機構7の読取光軸Oが一定量だけ上方に変位(平行移動)するようにミラーを移動させ、光学的情報読取装置2においてテスト用コードC´を撮像させ、その際の受光センサ10の受光信号をA/D変換したデータを外部装置3に入力させ、その入力データが予め記憶されているテスト用コードC´のパターンに一致するかどうかを判断することが繰返される。
【0058】
このとき、図9に示すように、仮に、読取機構7の読取光軸Oが、図で右側が上がるように傾いている場合には、上記動作が繰返されることによって、図9(a)の状態から図9(b)の状態になる。この図9(b)の状態では、受光信号の波形が、図で右側部分のみでテスト用コードC´のパターンに対応したものとなる。従って、この状態では、読取機構7の読取光軸O右下がり状態に傾いていると判断することができ、読取光軸Oの左側を上昇させるように駆動モータ4を制御することによって、傾きを調整することが可能となる。
【0059】
このとき、テスト用コードC´は高さの低いものとされているので、受光センサ10の受光信号が、予め記憶されたテスト用コードC´のパターンに一致するようになれば、上下方向及び傾き方向の双方について読取光軸Oが適切な位置に位置合せされることになるのである。従って、この第3の実施例によれば、上記第1の実施例と同様の効果に加えて、読取光軸Oの傾きをも併せて調整することができ、より効果的となる。
【0060】
(3)第4、第5の実施例、その他の実施例
図10ないし図12は、本発明の第4の実施例を示している。この第4の実施例では、本体6内にマーカ光照射手段たるマーカ光照射部11を備えるものにあって、マーカ光M(図12参照)の光軸の位置を垂直(上下)方向に変位させるためのマーカ位置調整機構を設けることにより、該マーカ光Mの光軸の位置を調整可能としている。図10は、本実施例に係る読取光軸調整システム31の構成を概略的に示している。
【0061】
ここで、光学的情報読取装置2の本体6内に設けられるマーカ光照射部11は、LEDやレーザダイオード等からなるマーカ光源の前方にレンズを備えて構成されており、読取口を通して読取対象Rに対して読取位置を示すマーカ光M(図12参照)を照射するように構成されている。この場合、マーカ光Mは、横長な帯状の光からなり、バーコードBを横切るように照射されることによって、読取位置が合う(読取機構7の読取光軸Oとマーカ光M照射位置とが合致する)ように構成されている。
【0062】
前記マーカ光照射部11は、全体がユニット化された状態で、本体6に対して上下方向に移動(回動)可能に設けられている。後述するマーカ位置調整動作の実行時に、このマーカ光照射部11は、例えばステッピングモータからなる駆動モータ32により、自動で移動(回動)されるようになっている。駆動モータ32は、光学的情報読取装置2に接続される外部装置3により自動で駆動制御されるようになっている。尚、図10では、読取機構7や駆動モータ4の図示を省略している。
【0063】
本実施例では、上記第1の実施例と同様の読取機構7の読取光軸Oの位置合せを行った後、つまりテスト用コードCの下端部に読取機構7の読取光軸Oが位置合せされた状態で、引続きマーカ光Mの光軸の位置調整の動作が実行される。このマーカ光Mの光軸の位置調整動作は、外部装置3が駆動モータ32を制御してマーカ光照射部11を自動で移動(変位)させながら、光学的情報読取装置2によりテスト用コードCを撮像(照明部8はオフ)し、その際の受光センサ10の受光信号をA/D変換したデータが出力される。
【0064】
そして、外部装置3は、その受光信号を取込んで信号変化量を監視し、信号変化量が所定量以上あったときに、駆動モータ32を停止させることにより、マーカ光Mの光軸の位置合せを自動で行うように構成されている。従って、外部装置3がマーカ検出手段として機能するようになっている。
【0065】
図11のフローチャートは、マーカ光Mの光軸の位置調整時において外部装置3のCPU23が実行する処理手順を示している。即ち、まずステップS21にて、駆動モータ32を動作させて、マーカ光Mが最も下の位置に来るようにマーカ光照射部11を移動させる。次のステップS22では、駆動モータ32を動作させて、マーカ光Mの照射位置が一定量だけ上方に変位するように、マーカ光照射部11を移動させる。そして、ステップS23では、光学的情報読取装置2から、受光センサ10の受光信号をA/D変換した入力データが取込まれる。
【0066】
このとき、調整動作の初期には、図12(a)に示すように、マーカ光Mはテスト用コードCから下方に外れる位置に照射されるようになり、読取光軸Oから外れている。従って、光学的情報読取装置2の読取機構7は、テスト用コードCの下端部を撮像することになり、受光センサ10の受光信号は、テスト用コードCの下端部のパターンに対応したものとなる。これに対し、マーカ光Mの照射位置が次第に上方へ変位し、図12(b)に示すように、テスト用コードCの下端部を照射した状態になると、読取機構7がマーカ光Mを撮像するようになるため、受光センサ10の受光信号が大きく変動するようになる。
【0067】
次のステップS24では、入力データの信号変化量が所定量以上であるかどうかが判断される。信号変化量が所定量未満である場合には(ステップS24にてNo)、ステップS22からの処理が繰返される。一方、信号変化量が所定量以上である場合には(ステップS24にてYes)、駆動モータ32が停止されマーカ光Mの光軸の調整動作が終了する。これにて、マーカ光Mの照射位置が、読取機構7の読取光軸Oに合致した位置に調整されるのである。
【0068】
このように本実施例によれば、読取光軸Oの調整後において、受光センサ10の受光信号を用いてマーカ光Mの光軸の位置合せを行うことが可能となり、構成の複雑化を招くことなく、確実にマーカ光Mの光軸の位置合せを行うことができる。しかも、マーカ光Mの光軸を自動で調整できるので、調整作業を容易に済ませることができる。
【0069】
図13は、本発明の第5の実施例を示すものである。この第5の実施例が上記第4の実施例と異なるところは、マーカ光検出手段として、調整用プレート5に検査用光センサ33を設けた点にある。この検査用光センサ33は、テスト用コードCの下端部にマーカ光Mが照射されたことを検出できるように設けられており、その検出信号(出力信号)が、外部装置3(入出力部22)に入力されるようになっている。
【0070】
この実施例では、上記第4の実施例と同様に、読取機構7の読取光軸Oの位置調整後に、外部装置3が、駆動モータ32を動作させて、マーカ光Mが最下位置に来るようにし、そこから次第にマーカ光Mの照射位置を上方に変位させるようになっている。そして、その間の検査用光センサ33の検出信号を監視し、検査用光センサ33がマーカ光Mを検出したところで、駆動モータ32を停止させるようになっている。従って、この実施例によっても、マーカ光Mの照射位置を、読取機構7の読取光軸Oに合致した位置に自動で調整することができるのである。この場合、検査用光センサ33を用いることによって、マーカ光Mの光軸の位置合せを極めて簡単に行うことが可能となる。
【0071】
尚、上記第4、第5の実施例では、マーカ光Mの光軸を上下方向に調整するように構成したが、マーカ光Mの光軸の位置を回転方向に変位させるためのマーカ傾き調整機構を設け、マーカ光Mの光軸の傾きをも調整可能に構成しても良い。これによれば、マーカ光Mの光軸の傾きをも併せて調整することができ、より一層効果的となる。
【0072】
そして、上記した第4、第5の各実施例では、マーカ光Mの光軸調整を、外部装置3及び駆動モータ32を設けることにより自動で行うように構成したが、作業者が手動で行う構成とすることも可能である。この場合、光学的情報読取装置2の本体6に対して移動可能に設けられたマーカ光照射部11を、本体6の外部から、作業者が例えばドライバ等の工具を用いて手動で移動させ得るように構成する。一方、図14に示す本発明の第6の実施例のように、テスト用プレート5に、テスト用コードCに加えてテスト用コードCの下端部に対応したマーカ位置決め用のマークAを印刷しておく。
【0073】
これにより、光学的情報読取装置2の読取機構7の読取光軸Oの位置合せが終了した後、マーカ光照射部11をオンさせてテスト用プレート5にマーカ光Mを照射させる。そして、作業者がテスト用プレート5を照射されたマーカ光Mを見ながら、マーカ光照射部11を手動で移動させ、マーカ光MがマークAに合致するように調整作業を行うことができる。これによれば、マーカ光Mの光軸の位置合せを確実且つ簡単に行うことができながらも、そのための構成を簡単化することができる。また、図15に示す本発明の第7の実施例のように、マーカ光M´の形状としては、円形のポイント状の光を例えば3個横に並べたようなものであっても良い。
【0074】
さらに、図示はしないが、本発明においては、読取光軸Oをも手動調整する構成としても良い。この場合、上記第2の実施例のように、光学的情報読取装置2が、読取機構7によるテスト用コードCの撮像動作を実行し、受光センサ10の受光信号を、予め記憶されているテスト用コードCのパターンと比較して一致するかどうかを判断し、その判断(検出)結果を表示部12に表示出力したり、ブザー等で音声出力したりすることにより、作業者に対し読取光軸Oが位置合せされたかどうかを報知する構成とすることができる。
【0075】
その他、本発明は上記し且つ図面に示した各実施例に限定されるものではなく、例えば、テスト用コードCとしては、実際のバーコードに限らず、単なる黒色の棒状のマーク等などあっても良く、また本発明はハンディタイプのバーコードリーダに限らず固定型の光学的情報読取装置にも適用することができる等、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の実施例を示すもので、読取光軸調整システムの構成を概略的に示す図
【図2】光学的情報読取装置の電気的構成を概略的に示すブロック図
【図3】外部装置の電気的構成を概略的に示すブロック図
【図4】調整動作の実行時に外部装置のCPUが実行する処理手順を示すフローチャート
【図5】調整動作の実行時に光学的情報読取装置のCPUが実行する処理手順を示すフローチャート
【図6】テスト用コードと読取光軸との位置関係及びそのときの受光センサの受光信号の波形を、読取光軸が外れている状態(a)及び位置合せ状態(b)について示す図
【図7】本発明の第2の実施例を示すもので、図4相当図
【図8】図5相当図
【図9】本発明の第3の実施例を示す図6相当図
【図10】本発明の第4の実施例を示すもので、図1相当図
【図11】図4相当図
【図12】テスト用コードとマーカ光との位置関係を、マーカ光が外れている状態(a)及び位置合せ状態(b)について示す図
【図13】本発明の第5の実施例を示す図1相当図
【図14】本発明の第6の実施例を示す図12(a)相当図
【図15】本発明の第7の実施例を示す図12(a)相当図
【符号の説明】
【0077】
図面中、1,31は読取光軸調整システム、2は光学的情報読取装置、3は外部装置、4,32は駆動モータ(駆動手段)、5はテスト用プレート、6は本体、7は読取機構、9は結像光学部、10は受光センサ、11はマーカ光照射部(マーカ光照射手段)、16はCPU、21は外部出力部、23はCPU、26はモータ制御用入出力部、33は検査用光センサ、C,C´はテスト用コード、Oは読取光軸、M,M´はマーカ光、Aはマークを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光センサ及び結像光学部を有しバーコードを読取る読取機構の読取光軸の位置を調整するための光学的情報読取装置の読取光軸調整システム、及び光学的情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばバーコードを読取るハンディタイプの光学的情報読取装置(バーコードリーダ)は、本体ケース内に、読取口を通して読取対象(バーコードが印刷されたラベル)に向けて照明光を照射するための照明部や、読取対象からの反射光を結像レンズを介してCCDセンサ等の受光センサより受光(撮像)する読取機構等を組付けて構成されている。
【0003】
ところで、この種のバーコードリーダにあっては、読取機構の読取光軸が、本体ケース(読取口)対して読取に適した正規の位置に調整されていることが望ましいのであるが、構成部品の組付け誤差などにより、読取光軸の位置が垂直方向にずれる虞がある。そこで、従来では、結像レンズを保持したレンズ枠を本体ケースに対し位置調整可能に設け、バーコードリーダ組立後の検査工程において、読取光軸が正しい位置にあるかどうかを検査し、本体ケースの外部からドライバーなどの工具でレンズ枠の位置を調整することが考えられている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平5−83861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の調整方法では、検査作業者が、検査時に読取機構によるバーコードの読取りを行わせ、その際の受光センサの読取波形をオシロスコープ等で観測しながら、読取光軸を調整するようにしていた。ところが、検査作業者が、オシロスコープの波形を見て読取光軸が合っているかどうかを判断していたため、判断が難しく、調整作業にばらつきが生ずるなど確実性に劣り、あるいは調整作業に時間がかかってしまう不具合があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、読取機構の読取光軸の位置の調整が可能なものにあって、調整作業を容易且つ確実に行うことができる光学的情報読取装置の光軸位置調整システム及び光学的情報読取装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の光学的情報読取装置の光軸位置調整システムは、読取機構の読取光軸の位置を受光センサの受光素子の配列方向に対して直交方向に変位させるように、本体に対して前記読取機構の構成部品の少なくとも一部を移動可能に構成すると共に、前記本体に対して標準的な読取距離にテスト用コードを配置した状態で、前記読取機構の光軸を変位させながら該読取機構により前記テスト用コードを撮像させる調整動作を繰返し実行させる調整動作実行手段と、この調整動作の実行時における前記受光センサの受光信号を監視し、適切な読取光軸の位置が得られたかどうかを検出してその検出結果を出力する検出手段とを設け、この検出手段の出力に基づいて読取光軸の位置合せを行うことを可能に構成したものである(請求項1の発明)。
【0007】
ここで、読取機構の読取光軸を、受光素子の配列方向(水平方向)に対して直交する方向(垂直方向)に変位させながら読取機構によりテスト用コードを撮像させた場合、読取光軸がテスト用コードから外れている状態と、テスト用コードに位置合せされた状態との間で、受光センサの受光信号が大きく変化するようになる。
【0008】
上記構成によれば、調整動作実行手段により調整動作が繰返し実行され、検出手段によって、その際の受光センサの受光信号が監視されることに基づき、標準的な読取距離に配置されたテスト用コードに読取機構の読取光軸が位置合せされたかどうかを検出することが可能となる。従って、作業者の判断によることなく、検出手段の出力した検出結果に基づいて、読取光軸の位置合せを確実に行うことができ、しかも、調整作業を容易に済ませることができる。
【0009】
尚、上記調整動作は、読取機構の読取光軸が、テスト用コードから予め下方或いは上方に外れた位置から開始させることが望ましく、これにより、テスト用コードの下端或いは上端に読取光軸の位置を容易に合せることができ、調整作業をより効率的に行うことができる。
【0010】
またこのとき、前記読取光軸の位置は、受光素子の配列方向に対し直交する方向だけでなく傾き(回転)方向にずれることも考えられるので、読取光軸の位置を回転方向に変位させるように、前記本体に対して前記読取機構の構成部品の少なくとも一部を移動させる傾き調整機構を備え、前記調整動作の実行時における前記受光センサの受光信号に基づいて前記読取光軸の傾きをも調整可能に構成することができる(請求項2の発明)。これによれば、読取光軸の傾きをも併せて調整することができ、より効果的となる。
【0011】
本発明の光学的情報読取装置の光軸位置調整システムにおいては、検出手段を、外部装置に設けるように構成することができる(請求項3の発明)。例えば工場出荷前の検査時やメンテナンス時などの、読取光軸の調整作業を行うときにのみ、検出手段を有する外部装置に光学的情報読取装置を接続すれば良く、光学的情報読取装置が検出手段を内蔵する場合に比べて、その分、光学的情報読取装置の構成を簡単済ませることができる。
【0012】
本発明においては、前記読取機構の読取光軸を変位させるべく該読取機構の構成部品の少なくとも一部を自動で移動させる駆動手段を設け、前記検出手段からの出力信号に基づいて前記駆動手段を制御して位置合せを行うように構成することができる(請求項4の発明)。これによれば、駆動手段により、読取機構の読取光軸を自動で変位させながら調整作業を行うことができるので、調整作業をより簡単に行うことができる。
【0013】
ところで、例えば装置の本体を手で持って操作するハンディタイプの光学的情報読取装置にあっては、本体内に、読取位置を示すためのマーカ光を読取対象に向けて照射するマーカ光照射手段を備えたものがある。この場合、マーカ光照射手段により照射されるマーカ光の光軸の位置が、正規の位置からずれる虞がある。そこで、本発明においては、マーカ光照射手段を備えるものにあって、マーカ光の光軸の位置を前記直交方向に変位させるためのマーカ位置調整機構を設けることにより、該マーカ光の光軸の位置を調整可能に構成することができる(請求項5の発明)。これにより、読取光軸の調整と併せて、マーカ光の光軸の調整も行うことができ、より効果的となる。
【0014】
より具体的には、前記読取機構の読取光軸の位置合せを行った後に、前記マーカ位置調整機構によりマーカ光の光軸を変位させながら前記マーカ光照射手段により前記テスト用コードにマーカ光を照射するマーカ光調整動作を実行させる手段と、そのマーカ光調整動作の実行時の前記受光センサの受光信号を監視し、適切なマーカ光の光軸の位置が得られたかどうかを検出してその検出結果を出力するマーカ検出手段とを設け、このマーカ検出手段の出力に基づいて該マーカ光の光軸の位置合せを行うように構成することができる(請求項6の発明)。これによれば、読取光軸の調整後において、受光センサの受光信号を用いてマーカ光の光軸の位置合せを行うことが可能となり、構成の複雑化を招くことなく、確実にマーカ光の光軸の位置合せを行うことができる。
【0015】
或いは、前記本体に対して標準的な読取距離に検査用光センサを配置した状態で、前記マーカ位置調整機構によりマーカ光の光軸を変位させながら前記マーカ光照射手段により前記検査用光センサに向けてマーカ光を照射し、その際の前記検査用光センサの受光信号に基づいて該マーカ光の光軸の位置合せを行うように構成することができる(請求項7の発明)。これによれば、検査用光センサを用いることによって、マーカ光の光軸の位置合せを極めて簡単に行うことが可能となる。
【0016】
また、この場合も、前記マーカ光の光軸の位置を回転方向に変位させるためのマーカ傾き調整機構を設け、前記マーカ光の光軸の傾きをも調整可能に構成することができる(請求項8の発明)。マーカ光の光軸の傾きをも併せて調整することができ、より一層効果的となる。
【0017】
上記マーカ検出手段を、外部装置に設けるように構成することができる(請求項9の発明)。例えば工場出荷前の検査時やメンテナンス時などの、マーカ光の光軸の調整作業を行うときにのみ、マーカ検出手段を有する外部装置に接続すれば良く、光学的情報読取装置の構成を簡単済ませることができる。
【0018】
前記マーカ光の光軸を変位させるべく前記マーカ光照射手段の構成部品の少なくとも一部を自動で移動させるマーカ駆動手段を設け、前記マーカ検出手段からの出力信号に基づいて前記マーカ駆動手段を制御して位置合せを行うように構成すれば(請求項10の発明)、マーカ駆動手段により、マーカ光の光軸を自動で変位させながら調整作業を行うことができるので、調整作業をより簡単に行うことができる。
【0019】
本発明の光学的情報読取装置は、読取機構の読取光軸の位置を受光センサの受光素子の配列方向に対して直交する方向に変位させるように、本体に対して前記読取機構の構成部品の少なくとも一部を移動させる読取光軸調整機構と、前記本体に対して標準的な読取距離にテスト用コードを配置した状態で、前記読取機構の光軸を変位させながら前記読取機構により前記テスト用コードを撮像させる調整動作を繰返し実行させる調整動作実行手段と、この調整動作の実行時における前記受光センサの受光信号を監視し、適切な読取光軸の位置が得られたかどうかを検出してその検出結果を出力する検出手段とを具備し、この検出手段の出力に基づいて前記読取光軸の位置合せを行うことを可能に構成したものである(請求項11の発明)。
【0020】
これによれば、調整動作実行手段により調整動作が繰返し実行され、検出手段によって、その際の受光センサの受光信号が監視されることに基づき、標準的な読取距離に配置されたテスト用コードに読取機構の読取光軸が位置合せされたかどうかを検出することが可能となる。従って、作業者の判断によることなく、検出手段の出力した検出結果に基づいて、読取光軸の位置合せを確実に行うことができ、しかも、調整作業を容易に済ませることができる。
【0021】
このとき、前記読取光軸の位置を回転方向に変位させるように、前記本体に対して前記読取機構の構成部品の少なくとも一部を移動させる傾き調整機構を設け、前記調整動作の実行時における前記受光センサの受光信号に基づいて前記読取光軸の傾きをも調整可能に構成することにより(請求項12の発明)、読取光軸の傾きをも併せて調整することができ、より効果的となる。
【0022】
そして、前記本体内に、読取位置を示すためのマーカ光を読取対象に向けて照射するマーカ光照射手段を備えるものにおいては、前記マーカ光の光軸の位置を前記垂直方向に変位させるためのマーカ位置調整機構を設けることにより、該マーカ光の光軸の位置を調整可能に構成することができる(請求項13の発明)。これにより、読取光軸の調整と併せて、マーカ光の光軸の調整も行うことができ、より効果的となる。
【0023】
さらに、前記マーカ光の光軸の位置を回転方向に変位させるためのマーカ傾き調整機構を設け、前記マーカ光の光軸の傾きをも調整可能に構成すれば(請求項14の発明)、マーカ光の光軸の傾きをも併せて調整することができ、より一層効果的となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を具体化したいくつかの実施例について、図面を参照しながら説明する。
(1)第1の実施例
まず、図1ないし図6を参照しながら、本発明の第1の実施例について述べる。図1は、本実施例に係る読取光軸調整システム1の全体構成を概略的に示しており、このシステム1は、光学的情報読取装置2、検出手段として機能する外部装置3、駆動手段としての駆動モータ4、テスト用バーコードC(図6参照)が記された調整用プレート5等から構成されている。
【0025】
そのうち光学的情報読取装置2について説明する。光学的情報読取装置2は、この場合ハンディタイプのバーコードリーダからなり、周知のように、ユーザが手持ち操作可能な縦長形状をなす本体6内に、読取対象Rに記されたバーコードB(図2参照)を読取る読取機構7を備えて構成されている。このとき、図示はしないが、本体6の先端部(図で左端部)には、横長矩形状をなす読取口が設けられている。
【0026】
図2は、この光学的情報読取装置2の電気的構成を概略的に示しており、前記読取機構7は、読取対象Rに向けて照明光Lを照射する複数個のLED等からなる照明部8、読取対象Rからの反射光を受光(撮像)しバーコードBを読取る結像光学部9及び受光センサ10を備えて構成されている。更に、詳しく図示はしないが、本体6内には、読取対象Rに対して読取位置を示すマーカ光を照射するマーカ光照射部11も設けられている。
【0027】
前記受光センサ10は、例えばCCDエリアセンサ(或いはラインセンサ)からなり、縦横方向に多数個の受光素子を配列して構成されている。このとき、バーコードBを読取る際には、例えば上下方向中央部の横方向(スキャン方向)に配列された受光素子からの信号が用いられるようになっている。そして、詳しく図示はしないが、前記結像光学部9は、前記受光センサ10の前方に配置された結像レンズ及びその前方に配置されたミラーを備えて構成されている。この読取機構7は、バーコードBを横切るような水平方向に横長な読取視野を有しており、その光軸Oは、読取口を直交するように延びている。
【0028】
また、前記本体6の上面部には、LCD及びタッチパネルからなる表示部12や、キー操作部13が設けられ、本体6の側面部には、読取指示用のトリガキー14が設けられている。そして、本体6内には、前記受光センサ10の受光信号のA/D変換を行うA/D変換回路15、全体の制御等を行うためのCPU16、ROM17、RAM18を備える制御部、入出力部(I/O)19、報知用LED20、外部とのデータのやり取りを行う外部出力部21などが設けられている。
【0029】
これにて、ユーザが、本体6を読取対象Rから適当な距離(読取標準距離前後)だけ離した状態で、その読取口を読取対象Rに対してほぼ平行となるように向け、トリガキー14のオン操作を行うことにより、照明部8により読取口を通してバーコードB部分に照明光が照射され、バーコードBからの反射光が読取口を通して入射されて結像光学部9(ミラー及び結像レンズ)を介して受光センサ10上に結像され、以てバーコードBが読取られる。このとき、読取機構7の読取光軸Oが、バーコードBを横方向に横断するように配置されることによって、良好な読取りが行われるのである。
【0030】
さて、本実施例では、前記読取機構7の読取光軸Oの位置を、受光センサ10の受光素子の配列方向(読取時のスキャン方向である横(水平)方向)に対して直交する方向である垂直(上下)方向に変位させるように、読取機構7の構成部品の一部が、本体6(読取口)に対して移動可能に取付けられている。具体的には、例えば、前記結像光学部9のうちのミラーが、本体6に対して移動(例えば水平方向に延びる軸を中心に回動)可能に設けられ、その移動によって読取口に対する光軸の角度が変動し、読取機構7の読取光軸Oが垂直方向に変位するようになっている。
【0031】
そして、本実施例では、後述する調整動作の実行時に、結像光学部9のミラーが、例えばステッピングモータからなる駆動モータ4により、自動で移動(回動)されるようになっている。尚、結像光学部9全体を移動可能に構成したり、受光センサ10を含む読取機構7全体を移動可能に構成したりしても良い。結像光学部9がミラーを備えていない場合には、結像レンズ(レンズを保持するホルダ部分)を移動可能に構成しても良い。
【0032】
詳しくは後の作用説明にて述べるように、この光学的情報読取装置2の制御部(CPU16)は、そのソフトウエア的構成(ROM17に記憶された調整制御プログラムの実行)により、後述する調整動作を実行させる調整動作実行手段として機能する。この調整動作においては、読取機構7の読取光軸Oを変位させながら、読取機構7によりテスト用コードCを撮像し、受光センサ10の受光信号をA/D変換回路15によりA/D変換して、そのデータを外部出力部21から外部装置3に出力させる動作が繰返し実行される。
【0033】
一方、図3は、前記外部装置3の電気的構成を概略的に示している。この外部装置3は、入出力部(I/O)22、CPU23、ROM24、RAM25、モータ制御用入出力部26を備えて構成されている。前記入出力部(I/O)22には、前記光学的情報読取装置2(外部出力部21)が接続され、前記外部出力部21から出力された受光信号のデータが入力されるようになっている。また、モータ制御用入出力部26に前記駆動モータ4が接続され、該駆動モータ4を制御するようになっている。
【0034】
そして、詳しくは後の作用説明にて述べるように、この外部装置3(CPU23)は、そのソフトウエア的構成(ROM24に記憶された調整制御プログラムの実行)により、調整動作の実行時において、駆動モータ4を制御して、結像光学部9のミラー(読取機構7の読取光軸)を自動で移動(変位)させながら、前記光学的情報読取装置2から送信される入力データ(受光センサ10の受光信号)を監視し、適切な読取光軸Oの位置が得られたかどうかを検出(判定)するようになっている。従って、外部装置3が検出手段として機能するようになっている。
【0035】
このとき、より具体的には、外部装置3(CPU23)は、調整動作の開始時に、駆動モータ4を制御して読取光軸Oが最下位置(テスト用コードCから下方に外れる位置)に来るようにし、その後、読取光軸Oが一定量ずつ上方に変位するように駆動モータ4を制御する。一方、外部装置3のRAM25には、予めテスト用コードCのデータが記憶されており、外部装置3(CPU23)は、入力データ(受光センサ10の受光信号)がそのテスト用コードCのデータに一致するかどうかを判定し、一致した時点で駆動モータ4を停止させることにより、読取光軸Oの位置合せを自動で行うように構成されている。
【0036】
尚、前記テスト用プレート5は、読取機構7の読取光軸Oの調整動作時において、固定的に配置された光学的情報読取装置2の本体6に対して、所定位置に配置される。この所定位置は、本体6の読取口から標準的な読取距離だけ離れていて、且つ、上下方向の位置が、テスト用コードCの下辺部に読取機構7の読取光軸Oが一致した状態で、読取機構7の読取光軸OがバーコードBの読取りに適した正規の位置に来るように設定されている。また、テスト用プレート5には、前記テスト用コードCの上下部に位置して、白色の余白部分が設けられている。
【0037】
次に、上記構成の作用について、図4〜図6も参照して述べる。上記構成の光学的情報読取装置2においては、組立時における読取機構7(結像光学部9及び受光センサ10)の構成部品の組付け誤差などにより、本体6(読取口)に対し、読取機構7の読取光軸OがバーコードBの読取りに適した正規の位置から垂直方向にずれている虞がある。このような読取光軸のずれが生じていると、読取対象Rに記されたバーコードBの画像を読取機構7により正しく取込むことができなくなり、バーコードBの読取りが良好に行えなくなる虞が生ずる。
【0038】
そこで、本実施例においては、光学的情報読取装置2の組立後の検査時(工場出荷時)において、上記した読取光軸調整システム1により読取光軸Oの調整動作が実行される。図4のフローチャートは、この調整動作において外部装置3のCPU23が実行する処理の手順を示しており、図5のフローチャートは、調整動作において光学的情報読取装置2のCPU16が実行する処理の手順を示している。
【0039】
調整動作を行うにあたって、作業者は、図1に示すように、固定配置された光学的情報読取装置2(外部出力部21)と外部装置3(入出力部22)とを接続すると共に、駆動モータ4をセット(モータ制御用入出力部26に接続)し、さらに、光学的情報読取装置2の本体6の読取口の前方の所定位置に、テスト用コードCが記されたテスト用プレート5をセットする。
【0040】
図4に示すように、調整動作が開始されると、外部装置3においては、まずステップS1にて、駆動モータ4を動作させて、読取機構7の読取光軸Oが最も下の位置(テスト用コードCから下方に外れる位置)に来るように結像光学部9(ミラー)を移動させる。次のステップS2では、駆動モータ4を動作させて、読取機構7の読取光軸Oが一定量だけ上方に変位するように、結像光学部9を移動させる。そして、ステップS3では、光学的情報読取装置2から、受光センサ10の受光信号をA/D変換した入力データが取込まれる。次のステップS4では、入力データの信号波形が、予め記憶されているテスト用コードCのパターンに一致するかどうかが判断される。
【0041】
一方、図5に示すように、調整動作が開始されると、光学的情報読取装置2においては、ステップT1にて、読取機構7によるテスト用コードCの撮像動作が実行され、受光センサ10の受光信号がA/D変換回路15によりA/D変換される。そして、ステップT2にて、そのA/Dデータが外部出力部21から外部装置3に出力される。このようなテスト用コードCの撮像動作が、読取機構7の読取光軸Oが一定量ずつ変位する毎に、調整完了となるまで繰返される(ステップT3)。
【0042】
このとき、調整動作開始時(開始初期)には、図6(a)に示すように、読取機構7の読取光軸O(太線で示す)が、テスト用コードCから下方に外れているため、外部装置3に入力される入力データは、全体が「明」レベルの信号波形とされる。この状態では、入力データの信号波形は、テスト用コードCのパターンに一致しないので、図4のステップS4にてNoとなり、ステップS2からの処理が繰返される。
【0043】
これに対し、読取機構7の読取光軸Oが次第に上方に変位していくと、遂には図6(b)に示すように、読取光軸Oがテスト用コードCの下端部を撮像する位置となり、この状態では。受光センサ10の受光信号は、テスト用コードCに応じた明暗のパターンが繰返されるものとなる。従って、この位置において、入力データの信号波形は、テスト用コードCのパターンに一致することになり(ステップS4にてYes)、駆動モータ4が停止され調整動作が終了する。これにて、読取機構7の読取光軸Oが、読取りに適した適切な位置に調整されるのである。
【0044】
このように本実施例の読取光軸調整システム1によれば、光学的情報読取装置2の本体6に対しテスト用コードCを所定位置に配置し、調整動作を繰返し実行させた際の受光センサ10の受光信号が監視されることに基づき、読取機構7の読取光軸Oの位置合せを行うことができる。従って、作業者がオシロスコープの波形を見て読取光軸Oがあっているかどうかを判定していた従来と異なり、作業者の判断によることなく、読取光軸Oの位置合せを確実に行うことができ、しかも、調整作業を容易に済ませることができる。
【0045】
この場合、特に本実施例では、光学的情報読取装置2に外部装置3を接続すると共に、その外部装置3が駆動モータ4を制御して自動で結像光学部9を移動させるように構成したので、光学的情報読取装置2自体が検出手段を内蔵する場合に比べて、光学的情報読取装置2の構成を簡単済ませることができ、また、読取機構7の読取光軸Oを自動で変位させながら調整作業を行うことができるので、調整作業をより簡単に行うことができるものである。
【0046】
(2)第2、第3の実施例
図7及び図8は、本発明の第2の実施例を示すものである。尚、以下に述べる各実施例においては、上記第1の実施例と同一部分について、同一符号を付して新たな図示や説明を省略し、以下、異なる点についてのみ述べることとする。
【0047】
この第2の実施例における読取光軸調整システム1は、上記第1の実施例と同様に、光学的情報読取装置2に外部装置3を接続すると共に、読取機構7の結像光学部9(ミラー)を移動させて読取光軸Oを上下に変位させる駆動モータ4を備えて構成されている。そして、調整動作の実行時に、外部装置3は、駆動モータ4を制御して、読取機構7の読取光軸Oを最下位置(テスト用コードCから下方に外れる位置)から一定量ずつ上方に変位するようにし、光学的情報読取装置2は、読取機構7によりテスト用コードCを撮像する動作を繰返す。
【0048】
このとき本実施例では、受光センサ10の受光信号がテスト用コードCのパターンに一致するかどうかの判定を、光学的情報読取装置2の制御部(CPU16)が実行するようになっている。そして、光学的情報読取装置2は、その判定結果のデータを、外部出力部21から外部装置3に出力し、外部装置3は、その判定結果のデータに基づいて、一致しないという判定結果であったときには、駆動モータ4の制御(読取光軸Oの移動)を繰返し、一致したという判定結果のデータを入力したときに、駆動モータ4を停止させることにより位置合せを行うようになっている。従って、この第2の実施例では、光学的情報読取装置2が検出手段として機能する。
【0049】
図7のフローチャートは、この調整動作において外部装置3のCPU23が実行する処理の手順を示しており、図8のフローチャートは、調整動作において光学的情報読取装置2のCPU16が実行する処理の手順を示している。
【0050】
即ち、図7に示すように、調整動作が開始されると、外部装置3においては、まずステップS1にて、駆動モータ4を動作させて、読取機構7の読取光軸Oが最下位置に来るように結像光学部9(ミラー)を移動させる。次のステップS2では、駆動モータ4を動作させて、読取機構7の読取光軸Oが一定量だけ上方に変位するように、結像光学部9を移動させる。そして、次のステップS11では、光学的情報読取装置2から判定結果のデータが取込まれ、ステップS12にて、入力された判定結果のデータが「一致する」のデータかどうかが判断される。
【0051】
一方、図8に示すように、光学的情報読取装置2においては、調整動作が開始されると、ステップT1にて、読取機構7によるテスト用コードCの撮像動作が実行され、受光センサ10の受光信号がA/D変換回路15によりA/D変換される。次に、ステップT11にて、その明暗データが予め記憶されているテスト用コードCのパターンと比較され、ステップT12にて、それらが一致するかどうかが判断される。
【0052】
そして、パターンが一致した場合には(ステップT12にてYes)、ステップT13にて、一致する旨のデータが外部装置3に出力され、処理が終了する。これに対し、パターンが一致しない場合には(ステップT12にてNo)、ステップT14にて、一致する旨のデータが外部装置3に出力され、この場合には、ステップT1からの処理(読取機構7の読取光軸Oが一定量ずつ上方に変位した状態でテスト用コードCの撮像動作を行う)が繰返される。
【0053】
図7に戻って、外部装置3は、光学的情報読取装置2から入力された判定結果のデータが「一致する」のデータである場合には(ステップS12にてYes)、ステップS5にて駆動モータ4を停止させ、処理を終了する。「一致しない」のデータが入力された場合には(ステップS12にてNo)、ステップS2からの処理を繰返す。
【0054】
これにて、上記第1の実施例と同様に、読取光軸調整システム1により、読取機構7の読取光軸Oが、読取りに適した適切な位置に自動で調整されるのである。従って、この第2の実施例によっても、作業者の判断によることなく、読取光軸Oの位置合せを確実に行うことができ、しかも、調整作業を容易に済ませることができるという優れた効果を得ることができるものである。
【0055】
図9は、本発明の第3の実施例を示すものである。この第3の実施例が、上記第1の実施例と異なるところは、読取機構7の読取光軸Oの位置を、垂直(上下)方向だけでなく、傾き(回転)方向にも変位させるように、本体6に対して読取機構7の構成部品の少なくとも一部を移動させる傾き調整機構を設け、調整動作の実行時における受光センサ10の受光信号に基づいて読取光軸Oの傾きをも調整可能に構成した点にある。
【0056】
図示はしないが、本実施例では、結像光学系9の一部であるミラーを、その左右の端部を本体6に対し別個に上下に移動可能に取付けるようにしている。そして、2個の駆動モータ4により、ミラーの左右端部を夫々上下動させることにより、読取光軸Oの上下方向の変位及び左右の傾き方向の変位を自動で行うことを可能としている。各駆動モータ4は外部装置3により制御される。また、図9に示すように、本実施例では、テスト用コードC´として、高さのごく低いバーコードを用いるようにしている。
【0057】
本実施例においても、調整作業を行うにあたっては、まず、各駆動モータ4を動作させて、読取機構7の読取光軸Oが最下位置(テスト用コードC´から下方に外れる位置)に来るように結像光学部9(ミラー)を移動させる。次に、各駆動モータ4を動作させて、読取機構7の読取光軸Oが一定量だけ上方に変位(平行移動)するようにミラーを移動させ、光学的情報読取装置2においてテスト用コードC´を撮像させ、その際の受光センサ10の受光信号をA/D変換したデータを外部装置3に入力させ、その入力データが予め記憶されているテスト用コードC´のパターンに一致するかどうかを判断することが繰返される。
【0058】
このとき、図9に示すように、仮に、読取機構7の読取光軸Oが、図で右側が上がるように傾いている場合には、上記動作が繰返されることによって、図9(a)の状態から図9(b)の状態になる。この図9(b)の状態では、受光信号の波形が、図で右側部分のみでテスト用コードC´のパターンに対応したものとなる。従って、この状態では、読取機構7の読取光軸O右下がり状態に傾いていると判断することができ、読取光軸Oの左側を上昇させるように駆動モータ4を制御することによって、傾きを調整することが可能となる。
【0059】
このとき、テスト用コードC´は高さの低いものとされているので、受光センサ10の受光信号が、予め記憶されたテスト用コードC´のパターンに一致するようになれば、上下方向及び傾き方向の双方について読取光軸Oが適切な位置に位置合せされることになるのである。従って、この第3の実施例によれば、上記第1の実施例と同様の効果に加えて、読取光軸Oの傾きをも併せて調整することができ、より効果的となる。
【0060】
(3)第4、第5の実施例、その他の実施例
図10ないし図12は、本発明の第4の実施例を示している。この第4の実施例では、本体6内にマーカ光照射手段たるマーカ光照射部11を備えるものにあって、マーカ光M(図12参照)の光軸の位置を垂直(上下)方向に変位させるためのマーカ位置調整機構を設けることにより、該マーカ光Mの光軸の位置を調整可能としている。図10は、本実施例に係る読取光軸調整システム31の構成を概略的に示している。
【0061】
ここで、光学的情報読取装置2の本体6内に設けられるマーカ光照射部11は、LEDやレーザダイオード等からなるマーカ光源の前方にレンズを備えて構成されており、読取口を通して読取対象Rに対して読取位置を示すマーカ光M(図12参照)を照射するように構成されている。この場合、マーカ光Mは、横長な帯状の光からなり、バーコードBを横切るように照射されることによって、読取位置が合う(読取機構7の読取光軸Oとマーカ光M照射位置とが合致する)ように構成されている。
【0062】
前記マーカ光照射部11は、全体がユニット化された状態で、本体6に対して上下方向に移動(回動)可能に設けられている。後述するマーカ位置調整動作の実行時に、このマーカ光照射部11は、例えばステッピングモータからなる駆動モータ32により、自動で移動(回動)されるようになっている。駆動モータ32は、光学的情報読取装置2に接続される外部装置3により自動で駆動制御されるようになっている。尚、図10では、読取機構7や駆動モータ4の図示を省略している。
【0063】
本実施例では、上記第1の実施例と同様の読取機構7の読取光軸Oの位置合せを行った後、つまりテスト用コードCの下端部に読取機構7の読取光軸Oが位置合せされた状態で、引続きマーカ光Mの光軸の位置調整の動作が実行される。このマーカ光Mの光軸の位置調整動作は、外部装置3が駆動モータ32を制御してマーカ光照射部11を自動で移動(変位)させながら、光学的情報読取装置2によりテスト用コードCを撮像(照明部8はオフ)し、その際の受光センサ10の受光信号をA/D変換したデータが出力される。
【0064】
そして、外部装置3は、その受光信号を取込んで信号変化量を監視し、信号変化量が所定量以上あったときに、駆動モータ32を停止させることにより、マーカ光Mの光軸の位置合せを自動で行うように構成されている。従って、外部装置3がマーカ検出手段として機能するようになっている。
【0065】
図11のフローチャートは、マーカ光Mの光軸の位置調整時において外部装置3のCPU23が実行する処理手順を示している。即ち、まずステップS21にて、駆動モータ32を動作させて、マーカ光Mが最も下の位置に来るようにマーカ光照射部11を移動させる。次のステップS22では、駆動モータ32を動作させて、マーカ光Mの照射位置が一定量だけ上方に変位するように、マーカ光照射部11を移動させる。そして、ステップS23では、光学的情報読取装置2から、受光センサ10の受光信号をA/D変換した入力データが取込まれる。
【0066】
このとき、調整動作の初期には、図12(a)に示すように、マーカ光Mはテスト用コードCから下方に外れる位置に照射されるようになり、読取光軸Oから外れている。従って、光学的情報読取装置2の読取機構7は、テスト用コードCの下端部を撮像することになり、受光センサ10の受光信号は、テスト用コードCの下端部のパターンに対応したものとなる。これに対し、マーカ光Mの照射位置が次第に上方へ変位し、図12(b)に示すように、テスト用コードCの下端部を照射した状態になると、読取機構7がマーカ光Mを撮像するようになるため、受光センサ10の受光信号が大きく変動するようになる。
【0067】
次のステップS24では、入力データの信号変化量が所定量以上であるかどうかが判断される。信号変化量が所定量未満である場合には(ステップS24にてNo)、ステップS22からの処理が繰返される。一方、信号変化量が所定量以上である場合には(ステップS24にてYes)、駆動モータ32が停止されマーカ光Mの光軸の調整動作が終了する。これにて、マーカ光Mの照射位置が、読取機構7の読取光軸Oに合致した位置に調整されるのである。
【0068】
このように本実施例によれば、読取光軸Oの調整後において、受光センサ10の受光信号を用いてマーカ光Mの光軸の位置合せを行うことが可能となり、構成の複雑化を招くことなく、確実にマーカ光Mの光軸の位置合せを行うことができる。しかも、マーカ光Mの光軸を自動で調整できるので、調整作業を容易に済ませることができる。
【0069】
図13は、本発明の第5の実施例を示すものである。この第5の実施例が上記第4の実施例と異なるところは、マーカ光検出手段として、調整用プレート5に検査用光センサ33を設けた点にある。この検査用光センサ33は、テスト用コードCの下端部にマーカ光Mが照射されたことを検出できるように設けられており、その検出信号(出力信号)が、外部装置3(入出力部22)に入力されるようになっている。
【0070】
この実施例では、上記第4の実施例と同様に、読取機構7の読取光軸Oの位置調整後に、外部装置3が、駆動モータ32を動作させて、マーカ光Mが最下位置に来るようにし、そこから次第にマーカ光Mの照射位置を上方に変位させるようになっている。そして、その間の検査用光センサ33の検出信号を監視し、検査用光センサ33がマーカ光Mを検出したところで、駆動モータ32を停止させるようになっている。従って、この実施例によっても、マーカ光Mの照射位置を、読取機構7の読取光軸Oに合致した位置に自動で調整することができるのである。この場合、検査用光センサ33を用いることによって、マーカ光Mの光軸の位置合せを極めて簡単に行うことが可能となる。
【0071】
尚、上記第4、第5の実施例では、マーカ光Mの光軸を上下方向に調整するように構成したが、マーカ光Mの光軸の位置を回転方向に変位させるためのマーカ傾き調整機構を設け、マーカ光Mの光軸の傾きをも調整可能に構成しても良い。これによれば、マーカ光Mの光軸の傾きをも併せて調整することができ、より一層効果的となる。
【0072】
そして、上記した第4、第5の各実施例では、マーカ光Mの光軸調整を、外部装置3及び駆動モータ32を設けることにより自動で行うように構成したが、作業者が手動で行う構成とすることも可能である。この場合、光学的情報読取装置2の本体6に対して移動可能に設けられたマーカ光照射部11を、本体6の外部から、作業者が例えばドライバ等の工具を用いて手動で移動させ得るように構成する。一方、図14に示す本発明の第6の実施例のように、テスト用プレート5に、テスト用コードCに加えてテスト用コードCの下端部に対応したマーカ位置決め用のマークAを印刷しておく。
【0073】
これにより、光学的情報読取装置2の読取機構7の読取光軸Oの位置合せが終了した後、マーカ光照射部11をオンさせてテスト用プレート5にマーカ光Mを照射させる。そして、作業者がテスト用プレート5を照射されたマーカ光Mを見ながら、マーカ光照射部11を手動で移動させ、マーカ光MがマークAに合致するように調整作業を行うことができる。これによれば、マーカ光Mの光軸の位置合せを確実且つ簡単に行うことができながらも、そのための構成を簡単化することができる。また、図15に示す本発明の第7の実施例のように、マーカ光M´の形状としては、円形のポイント状の光を例えば3個横に並べたようなものであっても良い。
【0074】
さらに、図示はしないが、本発明においては、読取光軸Oをも手動調整する構成としても良い。この場合、上記第2の実施例のように、光学的情報読取装置2が、読取機構7によるテスト用コードCの撮像動作を実行し、受光センサ10の受光信号を、予め記憶されているテスト用コードCのパターンと比較して一致するかどうかを判断し、その判断(検出)結果を表示部12に表示出力したり、ブザー等で音声出力したりすることにより、作業者に対し読取光軸Oが位置合せされたかどうかを報知する構成とすることができる。
【0075】
その他、本発明は上記し且つ図面に示した各実施例に限定されるものではなく、例えば、テスト用コードCとしては、実際のバーコードに限らず、単なる黒色の棒状のマーク等などあっても良く、また本発明はハンディタイプのバーコードリーダに限らず固定型の光学的情報読取装置にも適用することができる等、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の実施例を示すもので、読取光軸調整システムの構成を概略的に示す図
【図2】光学的情報読取装置の電気的構成を概略的に示すブロック図
【図3】外部装置の電気的構成を概略的に示すブロック図
【図4】調整動作の実行時に外部装置のCPUが実行する処理手順を示すフローチャート
【図5】調整動作の実行時に光学的情報読取装置のCPUが実行する処理手順を示すフローチャート
【図6】テスト用コードと読取光軸との位置関係及びそのときの受光センサの受光信号の波形を、読取光軸が外れている状態(a)及び位置合せ状態(b)について示す図
【図7】本発明の第2の実施例を示すもので、図4相当図
【図8】図5相当図
【図9】本発明の第3の実施例を示す図6相当図
【図10】本発明の第4の実施例を示すもので、図1相当図
【図11】図4相当図
【図12】テスト用コードとマーカ光との位置関係を、マーカ光が外れている状態(a)及び位置合せ状態(b)について示す図
【図13】本発明の第5の実施例を示す図1相当図
【図14】本発明の第6の実施例を示す図12(a)相当図
【図15】本発明の第7の実施例を示す図12(a)相当図
【符号の説明】
【0077】
図面中、1,31は読取光軸調整システム、2は光学的情報読取装置、3は外部装置、4,32は駆動モータ(駆動手段)、5はテスト用プレート、6は本体、7は読取機構、9は結像光学部、10は受光センサ、11はマーカ光照射部(マーカ光照射手段)、16はCPU、21は外部出力部、23はCPU、26はモータ制御用入出力部、33は検査用光センサ、C,C´はテスト用コード、Oは読取光軸、M,M´はマーカ光、Aはマークを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体内に、受光素子が一列に配列した受光センサ及び結像光学部を有しバーコードを読取る読取機構を備える光学的情報読取装置における、前記読取機構の読取光軸の位置を調整するためのシステムであって、
前記読取光軸の位置を前記受光素子の配列方向に対して直交する方向に変位させるように、前記本体に対して前記読取機構の構成部品の少なくとも一部を移動可能に構成すると共に、
前記本体に対して標準的な読取距離にテスト用コードを配置した状態で、前記読取機構の光軸を変位させながら前記読取機構により前記テスト用コードを撮像させる調整動作を繰返し実行させる調整動作実行手段と、
この調整動作の実行時における前記受光センサの受光信号を監視し、適切な読取光軸の位置が得られたかどうかを検出してその検出結果を出力する検出手段とを具備し、
この検出手段の出力に基づいて前記読取光軸の位置合せを行うことが可能に構成されていることを特徴とする光学的情報読取装置の読取光軸調整システム。
【請求項2】
前記読取光軸の位置を回転方向に変位させるように、前記本体に対して前記読取機構の構成部品の少なくとも一部を移動させる傾き調整機構を備え、前記調整動作の実行時における前記受光センサの受光信号に基づいて前記読取光軸の傾きをも調整可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載の光学的情報読取装置の読取光軸調整システム。
【請求項3】
前記検出手段は、外部装置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の光学的情報読取装置の読取光軸調整システム。
【請求項4】
前記読取機構の光軸を変位させるべく該読取機構の構成部品の少なくとも一部を自動で移動させる駆動手段を設け、前記検出手段からの出力信号に基づいて前記駆動手段を制御して位置合せを行うように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の光学的情報読取装置の読取光軸調整システム。
【請求項5】
前記光学的情報読取装置の本体内に、読取位置を示すためのマーカ光を読取対象に向けて照射するマーカ光照射手段を備えるものにおいて、
前記マーカ光の光軸の位置を前記直交方向に変位させるためのマーカ位置調整機構を設けることにより、該マーカ光の光軸の位置を調整可能に構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の光学的情報読取装置の読取光軸調整システム。
【請求項6】
前記読取機構の読取光軸の位置合せを行った後に、前記マーカ位置調整機構によりマーカ光の光軸を変位させながら前記マーカ光照射手段により前記テスト用コードにマーカ光を照射するマーカ光調整動作を実行させる手段と、そのマーカ光調整動作の実行時の前記受光センサの受光信号を監視し、適切なマーカ光の光軸の位置が得られたかどうかを検出してその検出結果を出力するマーカ検出手段を備え、このマーカ検出手段の出力に基づいて該マーカ光の光軸の位置合せを行うことを特徴とする請求項5記載の光学的情報読取装置の読取光軸調整システム。
【請求項7】
前記本体に対して標準的な読取距離に検査用光センサを配置した状態で、前記マーカ位置調整機構によりマーカ光の光軸を変位させながら前記マーカ光照射手段により前記検査用光センサに向けてマーカ光を照射し、その際の前記検査用光センサの受光信号に基づいて該マーカ光の光軸の位置合せを行うことを特徴とする請求項5記載の光学的情報読取装置の読取光軸調整システム。
【請求項8】
前記マーカ光の光軸の位置を回転方向に変位させるためのマーカ傾き調整機構を備え、前記マーカ光の光軸の傾きをも調整可能に構成されていることを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の光学的情報読取装置の読取光軸調整システム。
【請求項9】
前記マーカ検出手段は、外部装置に設けられていることを特徴とする請求項6記載の光学的情報読取装置の読取光軸調整システム。
【請求項10】
前記マーカ光の光軸を変位させるべく前記マーカ光照射手段の構成部品の少なくとも一部を自動で移動させるマーカ駆動手段を設け、前記マーカ検出手段からの出力信号に基づいて前記マーカ駆動手段を制御して位置合せを行うように構成されていることを特徴とする請求項9記載の光学的情報読取装置の読取光軸調整システム
【請求項11】
本体内に、受光素子が一列に配列した受光センサ及び結像光学部を有しバーコードを読取る読取機構を備える光学的情報読取装置であって、
前読取機構の読取光軸の位置を前記受光素子の配列方向に対して直交する方向に変位させるように、前記本体に対して前記読取機構の構成部品の少なくとも一部を移動させる読取光軸調整機構と、
前記本体に対して標準的な読取距離にテスト用コードを配置した状態で、前記読取機構の光軸を変位させながら前記読取機構により前記テスト用コードを撮像させる調整動作を繰返し実行させる調整動作実行手段と、
この調整動作の実行時における前記受光センサの受光信号を監視し、適切な読取光軸の位置が得られたかどうかを検出してその検出結果を出力する検出手段とを具備し、
この検出手段の出力に基づいて前記読取光軸の位置合せを行うことが可能に構成されていることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項12】
前記読取光軸の位置を回転方向に変位させるように、前記本体に対して前記読取機構の構成部品の少なくとも一部を移動させる傾き調整機構を備え、前記調整動作の実行時における前記受光センサの受光信号に基づいて前記読取光軸の傾きをも調整可能に構成されていることを特徴とする請求項11記載の光学的情報読取装置。
【請求項13】
前記本体内に、読取位置を示すためのマーカ光を読取対象に向けて照射するマーカ光照射手段を備えるものにおいて、
前記マーカ光の光軸の位置を前記直交方向に変位させるためのマーカ位置調整機構を設けることにより、該マーカ光の光軸の位置を調整可能に構成されていることを特徴とする請求項11又は12記載の光学的情報読取装置。
【請求項14】
前記マーカ光の光軸の位置を回転方向に変位させるためのマーカ傾き調整機構を備え、前記マーカ光の光軸の傾きをも調整可能に構成されていることを特徴とする請求項11ないし13のいずれかに記載の光学的情報読取装置。
【請求項1】
本体内に、受光素子が一列に配列した受光センサ及び結像光学部を有しバーコードを読取る読取機構を備える光学的情報読取装置における、前記読取機構の読取光軸の位置を調整するためのシステムであって、
前記読取光軸の位置を前記受光素子の配列方向に対して直交する方向に変位させるように、前記本体に対して前記読取機構の構成部品の少なくとも一部を移動可能に構成すると共に、
前記本体に対して標準的な読取距離にテスト用コードを配置した状態で、前記読取機構の光軸を変位させながら前記読取機構により前記テスト用コードを撮像させる調整動作を繰返し実行させる調整動作実行手段と、
この調整動作の実行時における前記受光センサの受光信号を監視し、適切な読取光軸の位置が得られたかどうかを検出してその検出結果を出力する検出手段とを具備し、
この検出手段の出力に基づいて前記読取光軸の位置合せを行うことが可能に構成されていることを特徴とする光学的情報読取装置の読取光軸調整システム。
【請求項2】
前記読取光軸の位置を回転方向に変位させるように、前記本体に対して前記読取機構の構成部品の少なくとも一部を移動させる傾き調整機構を備え、前記調整動作の実行時における前記受光センサの受光信号に基づいて前記読取光軸の傾きをも調整可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載の光学的情報読取装置の読取光軸調整システム。
【請求項3】
前記検出手段は、外部装置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の光学的情報読取装置の読取光軸調整システム。
【請求項4】
前記読取機構の光軸を変位させるべく該読取機構の構成部品の少なくとも一部を自動で移動させる駆動手段を設け、前記検出手段からの出力信号に基づいて前記駆動手段を制御して位置合せを行うように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の光学的情報読取装置の読取光軸調整システム。
【請求項5】
前記光学的情報読取装置の本体内に、読取位置を示すためのマーカ光を読取対象に向けて照射するマーカ光照射手段を備えるものにおいて、
前記マーカ光の光軸の位置を前記直交方向に変位させるためのマーカ位置調整機構を設けることにより、該マーカ光の光軸の位置を調整可能に構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の光学的情報読取装置の読取光軸調整システム。
【請求項6】
前記読取機構の読取光軸の位置合せを行った後に、前記マーカ位置調整機構によりマーカ光の光軸を変位させながら前記マーカ光照射手段により前記テスト用コードにマーカ光を照射するマーカ光調整動作を実行させる手段と、そのマーカ光調整動作の実行時の前記受光センサの受光信号を監視し、適切なマーカ光の光軸の位置が得られたかどうかを検出してその検出結果を出力するマーカ検出手段を備え、このマーカ検出手段の出力に基づいて該マーカ光の光軸の位置合せを行うことを特徴とする請求項5記載の光学的情報読取装置の読取光軸調整システム。
【請求項7】
前記本体に対して標準的な読取距離に検査用光センサを配置した状態で、前記マーカ位置調整機構によりマーカ光の光軸を変位させながら前記マーカ光照射手段により前記検査用光センサに向けてマーカ光を照射し、その際の前記検査用光センサの受光信号に基づいて該マーカ光の光軸の位置合せを行うことを特徴とする請求項5記載の光学的情報読取装置の読取光軸調整システム。
【請求項8】
前記マーカ光の光軸の位置を回転方向に変位させるためのマーカ傾き調整機構を備え、前記マーカ光の光軸の傾きをも調整可能に構成されていることを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の光学的情報読取装置の読取光軸調整システム。
【請求項9】
前記マーカ検出手段は、外部装置に設けられていることを特徴とする請求項6記載の光学的情報読取装置の読取光軸調整システム。
【請求項10】
前記マーカ光の光軸を変位させるべく前記マーカ光照射手段の構成部品の少なくとも一部を自動で移動させるマーカ駆動手段を設け、前記マーカ検出手段からの出力信号に基づいて前記マーカ駆動手段を制御して位置合せを行うように構成されていることを特徴とする請求項9記載の光学的情報読取装置の読取光軸調整システム
【請求項11】
本体内に、受光素子が一列に配列した受光センサ及び結像光学部を有しバーコードを読取る読取機構を備える光学的情報読取装置であって、
前読取機構の読取光軸の位置を前記受光素子の配列方向に対して直交する方向に変位させるように、前記本体に対して前記読取機構の構成部品の少なくとも一部を移動させる読取光軸調整機構と、
前記本体に対して標準的な読取距離にテスト用コードを配置した状態で、前記読取機構の光軸を変位させながら前記読取機構により前記テスト用コードを撮像させる調整動作を繰返し実行させる調整動作実行手段と、
この調整動作の実行時における前記受光センサの受光信号を監視し、適切な読取光軸の位置が得られたかどうかを検出してその検出結果を出力する検出手段とを具備し、
この検出手段の出力に基づいて前記読取光軸の位置合せを行うことが可能に構成されていることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項12】
前記読取光軸の位置を回転方向に変位させるように、前記本体に対して前記読取機構の構成部品の少なくとも一部を移動させる傾き調整機構を備え、前記調整動作の実行時における前記受光センサの受光信号に基づいて前記読取光軸の傾きをも調整可能に構成されていることを特徴とする請求項11記載の光学的情報読取装置。
【請求項13】
前記本体内に、読取位置を示すためのマーカ光を読取対象に向けて照射するマーカ光照射手段を備えるものにおいて、
前記マーカ光の光軸の位置を前記直交方向に変位させるためのマーカ位置調整機構を設けることにより、該マーカ光の光軸の位置を調整可能に構成されていることを特徴とする請求項11又は12記載の光学的情報読取装置。
【請求項14】
前記マーカ光の光軸の位置を回転方向に変位させるためのマーカ傾き調整機構を備え、前記マーカ光の光軸の傾きをも調整可能に構成されていることを特徴とする請求項11ないし13のいずれかに記載の光学的情報読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−148528(P2007−148528A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−338766(P2005−338766)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
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