説明

光学的記憶装置及び光記憶媒体の記録再生方法

【課題】リードリトライやベリファイリトライの成功率を高め短時間でリトライを成功させる。
【解決手段】MSR媒体のリードリトライは、再生磁界を設定変更しながら実行する。成功したリードリトライのパラメータ設定値を統計情報として保存し、デフォルトに対する設定値の変化が大きくなったらデフォルトを更新する。リトライに成功したパラメータ設定情報を統計情報として保存し、新たなリードリトライでは統計情報の中から成功率の高いパラメータ設定情報を選択してリトライを実行する。また、ベリファイリトライ時にも過去の成功したリトライ情報についてリードリトライを行い、リトライ成功時に成功したリトライ情報を保存する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を用いて情報の記録と再生を行う光学的記憶装置及び光記憶媒体の記録再生方法に関し、特に、ビーム径よりも小さい密度でデータを記録再生するMSR媒体を含む光記憶媒体の記録再生動作でリードエラーが発生した場合のリトライを最適化する光学的記憶装置及び光記憶媒体の記録再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータの外部記憶媒体として、光ディスクが脚光を浴びている。光ディスクは、レーザ光を用いて媒体上にサブミクロンオーダーの磁気的な記録ピットを作ることにより、これまでの外部記憶媒体であるフロッピー(R)ディスクやハードディスクに比べ、格段に記録容量を増大させることが可能となる。
【0003】
更に、希土類−遷移金属系材料を用いた垂直磁気記憶媒体である光磁気ディスクにおいては、情報の書替えが可能であり、今後の発展がますます期待されている。
【0004】
光ディスクは例えば3.5インチ片面で128MB,230MB、540MB、640MBの記憶容量を持っている。ここで128MB媒体、230MB媒体はピットポジション変調記録(PPM記録)であり、540BM媒体、640MB媒体はパルス幅変調記録(PWM記録)である。
【0005】
これは3.5インチフロッピー(R)ディスク1枚の記憶容量が約1MBであることを考えると、光ディスク1枚でフロッピー(R)ディスク128枚から640枚分の記憶容量を持つことを意味する。このように光ディスクは記録密度の非常に高い書替可能な記憶媒体である。
【0006】
しかし、これからのマルチメディア時代に備え、光ディスクの記録密度を現在よりも更に高くする必要がある。記録密度を高くするためには、媒体上に更に多くのピットを記録させなければならない。そのためには、現在よりもピットを更に小さくし、ピットとピットの間隔も詰めていく必要がある。このような方法で記録密度を高くする場合、レーザ光の波長を現在の670nmよりも更に短くする必要があるが、実用化を考慮した場合、現行の波長670nmでピットサイズを小さくしなければならない。
【0007】
この場合、記録についてはレーザ光のパワーを制御することによってビーム径よりも小さなピットを形成することは可能である。しかし、再生については、ビーム径よりも小さなピットを再生すると、隣のピットとのクロストークが大きくなり、最悪の場合、再生ビームの中に隣のピットまで入ってしまい、実用性を考慮した場合、非常に難しい。
【0008】
現行の波長670nmでビーム径よりも小さなピットを再生する方法として特開平3−93058号に代表される光磁気記録再生方法があり、超解像技術(MSR:Magmetocally induced Super Resolution)による記録再生方法として知られている。これにはFAD(Front Apture Detecton)方式とRAD(Rear Aperture Detection)方式の2つの方法がある。
【0009】
FAD方式は、図53(A)(B)のように、MSR媒体を基板311上で記録層320と再生層316に分け、リードビームのレーザスポット322を照射した状態で、再生磁界Hrを加えて再生する。このとき再生層316が記録ピットの部分については、レーザスポット322による媒体加熱の温度分布に依存して記録層320との境界に形成されるスイッチ層(Switching Layer)318の磁気的な結合が切れ、再生磁界Hrの影響を受けてマスクとなる。
【0010】
これに対し次の記録ピットの部分についてはスイッチ層318の磁気的な結合は保ったままであり、アパーチャ(開口)324となる。このためレーザスポット322のように、隣接するピット328の影響を受けることなくアパーチャ324のピット330のみを読み取ることができる。
【0011】
一方、ダブルマスクRAD方式は、図54(A)(B)のように、基板311上の再生層316、中間層317及び記録層320の3層から構成されている。再生時の再生レーザパワーを若干高くしてリードする。このリード時には、リードビームのレーザスポット334による媒体加熱の温度分布に依存し、再生層316にはフロントマスク336、記録層320の磁化情報が再生層316に転写されるアパーチャ338及びリアマスク337が形成される。
【0012】
即ち、リードビームレーザスポット334による低温のフロントマスク336では、再生磁界332によって再生層316が初期化されているので、信号は得られない。中間温度のアパーチャ338では、中間層317が垂直磁化されるため結合力が強まり、記録層320の磁化情報が再生層316に転写され、信号が得られる。高温のリアマスク337では、中間層317のキュリー温度に近いので、記録層320と再生層316の結合力が小さくなり、再生層316の磁化は再生磁界332の方向に揃う。
【0013】
再生層316に転写された記録層320の磁化情報は、光学磁気効果(カー効果あるいはファラデー効果)によって光学的な信号に変換されることでデータが再生される。
【0014】
このとき、現在読み出している記録層320のピット328に対し、次に読み出す記録層320のピット330は、再生層316の初期磁化情報によるフロントマスク336の形成で転写されないため、記録ピットがレーザスポット334より小さくとも、クロストークは発生せず、ビーム径よりも小さなピットを再生することができる。
【0015】
更に、このダブルマスクRADを用いると、再生部分以外の記録層320の領域は初期化された再生層316によってマスクされた状態になっているので、隣のピットからのピット干渉が発生せず、更にピット間隔を詰めることができ、また、隣接するトラックからのクロストークを抑えることもできるので、トラックピッチもFADより詰めることができ、現行の波長680nmを用いても高密度化を行うことが可能となる。
【特許文献1】特開平4−258831号公報
【特許文献2】特開平2−177064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、このようなMSR媒体を用いた従来の光ディスク装置にあっては、再生時に使用する再生磁界とリードパワーを厳密に制御しなければ、適切な再生動作ができないという問題がある。その理由は、例えば図53(A)(B)のFAD方式でレーザビームの再生パワーPrが低すぎた場合、再生層316の磁化による図53(B)のマスク326の形成範囲が小さくなり、ピット328がマスクされずにクロストークを起こす。
【0017】
また再生パワーPrが強すぎた場合には、マスク326の形成範囲が広がってピット330も部分的にマスクするようになり、再生レベルが低下してエラーとなる。同時に再生磁界Hrが記録層320にも作用し、記録データを消しかねない。
【0018】
図54(A)(B)のダブルマスクRAD方式で再生パワーおよび再生磁界が低すぎた場合、再生層316のビーム加熱による結合範囲が広がらず、アパーチャが形成されず、図54(B)のピット328が再生されない。
【0019】
また再生パワーおよび再生磁界が強すぎた場合には、再生層316の初期化磁界のビーム加熱による消去範囲が狭くなってフロントマスク336の形成範囲が広がり、ピット328も部分的にマスクするようになり、アパーチャ338が小さくなり、再生レベルが低下してエラーとなる。同時に再生パワーが強すぎると記録層320にも作用し、記録データを消しかねない。
【0020】
この現象は再生磁界や再生パワーを調整するだけでは不十分であり、記憶媒体の温度を決める装置内部の環境温度にも依存する。即ち、装置内の環境温度が低温側に変化すると再生層のアパーチャ形成温度まで加熱するためのレーザパワーが必要となる。逆に環境温度が高温側に変化すると再生層のリアマスク形成温度までの加熱は少しでよいため再生パワーを低くする必要がある。
【0021】
リードアクセスに基づくMSR媒体のあるセクタのリードが失敗した場合、最適値に調整された再生パワーおよび再生磁界の値を使用して再度リードするリードリトライを行うが、装置内の環境温度等が再生磁界を最適値に調整した際の条件から外れていると、何回リトライを行っても成功せず、最終的にリトライアウトとなり、不良セクタと判断して交代処理を行うことになる。
【0022】
このためリードエラーが発生した際にリトライ成功となるまでに時間がかかり、更に、装置の使用条件が大きく変っているとリトライ不成功でリードエラーを多発し、処理性能が低下する問題があった。
【0023】
同様なリードリトライの問題は、ライト動作がイレーズ、ライト、及びベリファイを行うことから、ベリファイでエラーとなったときのベリファイリトライでも生ずる。
【0024】
このようなリードリトライ及びベリファイリトライにおけるリトライ不成功の問題は、再生磁界を必要とするMSR媒体のみならず、通常のMO媒体においても同様である。
【0025】
本発明は、リトライ処理を工夫してMSR媒体のリードエラーの発生を低減する光学的記憶装置及び光記憶媒体の記録再生方法を提供することを目的とする。
【0026】
また本発明は、パラメータを設定変更しながら行うリードリトライやベリファイリトライで成功時のパラメータ設定情報を統計情報として保存し、統計情報の学習処理による最適パラメータの更新を行ってリトライ成功の条件を反映し、リードエラーの発生を低減する光学的記憶装置及び光記憶媒体の記録再生方法を提供することを目的とする。
【0027】
更に本発明は、成功したリードリトライの情報を保存し、次のリードリトライ時に保存情報から成功率の高いリードリトライの条件を取り出してリトライ成功率を向上させる光学的記憶装置及び光記憶媒体の記録再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
図1は本発明の原理説明図である。
【0029】
(MSR媒体のリードリトライ)
まず本発明は、基板上に、少なくともデータを記録するための記録層と記録層に記録されたデータを再生するための再生層とを有するMSR媒体(光記憶媒体)を使用可能な光学的記憶装置において、再生部は、再生に必要な再生磁界と再生レーザパワーを組み合わせて最適な値に設定することによって、レーザビームのビーム径より小さい記録密度でMSR媒体の記録層に記録されているデータを再生する。
【0030】
これに加え本発明は、図1(A)のように、リードリトライ処理部86を設け、リードエラーが発生した際のリードリトライ時に、再生磁界の値を変更して再生動作をリトライすることを特徴とする。
【0031】
このように本発明は、MSR媒体のリードリトライの際に、再生磁界の値を変更し、変更した再生磁界でリードのリトライを行うことでリトライを成功させ、リトライアウトによってリードエラーが発生する頻度を低減する。
【0032】
リードリトライ処理部86は、MSR媒体にフォーマットされた各ゾーン、MSR媒体の記録領域を複数のエリアに分割した各エリア、装置内の温度の少なくともいずれかに応じてリードリトライ時に再生磁界を変更する。
【0033】
MSR媒体の再生に最適な再生パワーまたは再生磁界の強さは、媒体の各ゾーン、各エリア、更にはそのときの装置内温度により異なることから、これらの条件に応じて適切な値を再生パワーまたは再生磁界を変更することで、リードエラーの発生頻度を低減する。
【0034】
リードリトライ処理部86は、テストリードにより最適再生パワー又は最適再生磁界のテストオフセットΔPr1、ΔH1を決定し、所定のデフォルト値Pr、HにテストオフセットΔPr1,ΔH1と所定のリトライオフセットΔPr2、ΔH2を加算した再生パワー(Pr+ΔPr1+ΔPr2)又は再生磁界(H+ΔH1+ΔH2)に変更する。
【0035】
このようにリードリトライ時にテストリードで、そのときの使用条件に適合した最適再生パワーまたは最適再生磁界を決定した後に、最適再生パワーまたは最適再生磁界をリトライ用に変更して再度リードすることで、実際の使用条件の変化に適合した最適再生パワーまたは最適再生磁界に変更でき、学習が進むにしたがって、少ないリトライ回数でリードを成功させることができる。
【0036】
(リードパラメータの統計的更新)
本発明は、パラメータを設定変更しながら行うリードリトライやベリファイリトライで、成功時のパラメータ設定情報を統計情報として保存し、統計情報の学習処理による最適パラメータの更新を行ってリトライ成功の条件を反映してリードエラーの発生を低減する光学的記憶装置を提供する。
【0037】
本発明の光学的記憶装置は、レーザビームにより光記憶媒体にデータを記録する記録部と、再生に必要なパラメータを最適な値に設定することによって、前記光記憶媒体に記録されているデータを再生する再生部とを備える。
【0038】
このような光学的記憶装置につき、本発明は、図1(B)のように、更にリードリトライ処理部(リトライ処理部)122を設け、再生部でリードエラーが発生した際のリードリトライ時に、パラメータ設定値を設定変更しながらリードリトライを繰り返し、リトライ成功時にパラメータ設定値を統計情報として保存し、統計情報に基づく学習処理によりパラメータ設定値を更新することを特徴とする。
【0039】
ここで、パラメータ設定値は、通常、デフォルトにテスト処理で最適パラメータを決定した際に得られたテストオフセットを加算した値である。
【0040】
このように本発明の光学的記憶装置は、リードリトライが成功したら、成功時のパラメータ設定値を統計情報として保存し、統計情報の学習処理により最適パラメータを自動的に更新し、リトライ成功の条件を最適パラメータに反映させることで、リードリトライの成功までの回数を低減して成功率を高めると共に、リトライ失敗(リトライアウト)によるリードエラーの発生頻度を低減し、リード動作の安定性を向上させる。
【0041】
リードリトライ処理部122は、更に、記録部でベリファイでリードエラーが発生した際のベリファイリトライ時に、同様にパラメータ設定値を設定変更しながらベリファイリトライを繰り返し、リトライ成功時にパラメータ設定値を統計情報として保存し、統計情報に基づく学習処理によりパラメータ設定値を更新する。このためライト動作におけるイレーズ、ライトに続くベリファイでリードエラーとなったときのベリファイリトライの成功までの回数を低減し、リトライ失敗によるリードエラーの発生頻度を低減し、ライト動作の安定性を向上させる。
【0042】
光記憶媒体としてレーザビームのビーム径より小さい記録密度で記録するMSR媒体(磁気超解像媒体)を使用した場合、本発明の光学的記憶装置は、図1(C)のように、再生のためのパラメータとして、再生磁界H、リードパワーPr、ローパスフィルタのカットオフ周波数FcとブーストFb、スライス回路のスライスレベルS、データ弁別器のウィンドウ値(ウィンドウ遅延時間)W、フォーカスオフセットFCOを設定し、リードリトライ時に、複数種類のパラメータを順次切り替えて設定変更しながらリードリトライを繰り返す。
【0043】
また光記憶媒体としてレーザビームのビームに依存した記録密度で記録するMO媒体等の光磁気媒体を使用した場合、本発明の光学的記憶装置は、再生のためのパラメータとして、MRS媒体に固有な再生磁界Hを除く、リードパワーPr、ローパスフィルタのカットオフ周波数FcとブーストFb、スライス回路のスライスレベルS、データ弁別器のウィンドウ値(ウィンドウ遅延時間)W、フォーカスオフセットFCOを設定し、リードリトライ時に、複数種類のパラメータを順次切り替えて設定変更しながらリードリトライを繰り返す。
【0044】
リードリトライ処理部122は、リードリトライ時に、パラメータ設定値にリトライオフセットを加算するパラメータの設定変更と、パラメータ設定値からリトライオフセットを減算するパラメータの設定変更を、交互(トグル的)に繰り返しながらリードリトライを行い、成功時のパラメータ設定値とリトライオフセットを加算したか又は減算したかを統計情報として保存する。
【0045】
例えばリトライ1回目は、そのときのパラメータ設定値(=デフォルト+テストオフセット)にリトライオフセットを加算し、不成功となったリトライ2回目では、パラメータ設定値(=デフォルト+テストオフセット)からリトライオフセットを減算する。これによりパラメータ設定値を中心としたプラス、マイナスの同程度の範囲でパラメータを設定変更してリトライ成功の機会を増加させ、少ないリトライ回数で成功させて成功率を高める。
【0046】
またパラメータの設定変更がデフォルトを中心としてプラス、マイナスの方向に略均等に変更されるため、パラメータ変更によるリトライの回数が増加し、デフォルトから急速に離れて限界値に至ることを回避できる。
【0047】
統計情報に基づくパラメータ設定値の更新は、統計情報に基づき成功したリトライオフセットの加算回数と成功したリトライオフセット減算回数の総和の絶対値が所定の閾値以上のとき、リトライに成功したパラメータ設定値に近づけるようにデフォルトに加算するテストオフセットを更新する。例えばリトライに成功したリトライオフセットの半分だけデフォルトに加算するテストオフセットを増加又は減少して最適パラメータを更新する。
【0048】
このようにリトライを成功させたパラメータ設定値の統計情報を学習し、リトライを成功させるパラメータの統計的な傾向に併せて通常のリードやベリファイで使用するパラメータを更新することで、その後のリードやベリファイでのエラー低減できる。
【0049】
リトライ処理部は、パラメータ設定値を、光記憶媒体にフォーマットされた各ゾーン、光記憶媒体の記録領域を複数のエリアに分化した各エリア、装置内の温度の少なくともいずれかに応じて設定変更する。
【0050】
このためリトライ処理部は、パラメータ設定値(デフォルト+テストオフセット)とパラメータの設定変更に使用するリトライオフセットを、例えば図1(C)のように、光記憶媒体にフォーマットされた各ゾーン、光記憶媒体の記録領域を複数のエリアに分化した各エリア、装置内の温度に応じて予め準備し、リトライ時のゾーン、エリア、装置内温度に基づき、対応するパラメータ設定値にリトライオフセットを加算してパラメータを設定変更する。
【0051】
これによってリトライ時のパラメータの設定変更が光記憶媒体のゾーン、エリア、装置内温度に応じて最適化でき、リトライ成功率を向上できる。
【0052】
本発明の光学的記憶装置は、更に、図1(B)のように、テストリードにより最適パラメータ設定値を与えるデフォルトに加算するテストオフセットを決定し、テストリードからの経過時間が所定時間に達した時、又はテストリード時の装置温度を基準温度とした所定値を越える温度変化が発生した時に次のテストリードを行うテスト処理部126を備える。
【0053】
この場合、リードリトライ処理部122は、リトライ成功のパラメータ設定情報を保存した統計情報に基づいてパラメータを更新した際に、テスト処理部126の経過時間を初期化すると共に、基準温度をリトライ成功時の装置内温度に更新して次のテストリードを判断させる。
【0054】
これによってリードリトライやライトリトライの成功で得られたパラメータ設定値に基づき通常のリードやベリファイで使用するパラメータを更新する処理が、テスト処理部126で最適パラメータを決定するテスト処理と同等の処理と見做され、リトライがテスト処理の一部に組み込まれることで、媒体のアクセスを中断して実行されるテスト処理の発生頻度を低減し、全体としてのアクセス性能を向上する。
【0055】
本発明の光学的記憶装置において、リードリトライ処理部122は、ベリファイリトライが不成功となった場合、ライトリトライ処理部125により、光記憶媒体にデータを記録するためのライトパワーを設定変更しながらイレーズ、ライト、ベリファイのライト動作を繰り返す。このようにリードリトライが不成功に終っても、更にライトパワーを変更しながらライトリトライを繰り返すことで、リトライの成功率を更に向上できる。
【0056】
このときリトライ処理部は、ライトリトライ時に、ライトパワーの設定値にリトライオフセットを加算するパラメータの設定変更とライトパワー設定値からリトライオフセットを減算するパラメータの設定変更を交互に行いながらライトリトライを繰り返す。
【0057】
またリトライ処理部は、ライトリトライの成功時に、成功したライトパワー設定値とリトライオフセットを加算したか減算したかを学習結果として保存し、前記学習結果において成功したリトライオフセットの加算回数と成功したリトライオフセットの減算回数の総和の絶対値が所定の閾値以上のとき、前記ライトパワー設定値をリトライに成功した最新のライトパワー設定値に近づけるように更新する。
【0058】
リトライ処理部は、ライトリトライ時に光記憶媒体にフォーマットされた各ゾーン、光学的記録媒体の記録領域を複数のエリアに分割した各エリア、装置内の温度の少なくともいずれかに応じてライトパワーを設定変更する。
【0059】
(成功リトライの反映)
本発明は、成功したリードリトライの情報を統計情報として保存し、次のリートリトライ時に統計情報から成功率の高いリードリトライの条件を取り出してリトライ成功率を向上させる光学的記憶装置を提供する。
【0060】
本発明の光学的記憶装置は、レーザビームにより光記憶媒体にデータを記録する記録部と、再生に必要なパラメータを最適な値に設定することによって、光記憶媒体に記録されているデータを再生する再生部とを備える。
【0061】
本発明は、リトライ処理部を更に設け、リトライ処理部は、再生部でリードエラーが発生した際のリードリトライ時に、過去の成功したリトライ情報に基づいて成功率の高いリードリトライを行い、リトライ成功時に成功したリトライ情報を保存することを特徴とする。
【0062】
このように成功したリトライ情報が次のリードリトライに反映されることで、複数種類のパラメータを切り替えて設定変更しながら行うリトライの成功率が飛躍的に高まり、固定的に決められた順番に複数種類のパラメータを切り替えて設定変更しながら行うリトライに比べ、成功するまでのリトライ回数が低減し、リトライ実施時間を短縮する。
【0063】
リトライ処理部は、更に、記録部でベリファイでリードエラーが発生した際のベリファイリトライ時に、過去の成功したリトライ情報に基づいてリードリトライを行い、リトライ成功時に成功したリトライ情報を保存する。このようにライト動作のイレーズ、ライトに続くベリファイでのリードエラーに対するリトライについても、同様に成功するまでのリトライ回数が低減し、リトライ実施時間を短縮する。
【0064】
リトライ処理部は、複数種類のパラメータを切り替えて設定変更しながらリトライを実行して成功したパラメータ設定値を統計情報として保存し、新たなリードリトライ時には、前回の成功したパラメータ設定値からリードリトライを開始し、リトライ成功時に成功したパラメータ設定値を記憶する。
【0065】
これよって、前回成功した特定のパラメータ設定値が次のリトライ時に使用され、連続セクタのリードのように、リトライ条件が変っていなければ、1回のリトライで成功することができる。
【0066】
リトライ処理部は、複数種類のパラメータを切り替えて設定変更しながらリトライを実行して成功したパラメータ設定値と各パラメータ毎の成功回数を統計情報として保存し、新たなリードリトライ時には、統計情報の成功回数の多い順にパラメータ設定値を選択してリードリトライを繰り返す。
【0067】
このように各パラメータにつき過去に成功した回数が統計情報として保存されていることで、新たなリトライ時に最も成功率の高い特定のパラメータ設定値を選択してリトライを実行することとなり、成功するまでのリトライ回数が低減し、リトライ実施時間を短縮する。
【0068】
本発明の光学的記憶装置において、光記憶媒体としてレーザビームのビーム系より小さい記録密度で記録するMSR媒体(磁気超解像媒体)を使用した場合、パラメータとして、再生磁界、リードパワー、ローパスフィルタのカットオフ周波数とブースト、スライス回路のスライスレベル、データ弁別器のウィンドウ値(ウィンドウ遅延時間)、フォーカスオフセットを切り替えて設定変更しながらリトライを実行する。
【0069】
また光記憶媒体としてレーザビームのビーム系に依存した記録密度で記録するMO媒体等の光磁気媒体を使用した場合、MSR媒体に固有な再生磁界を除いたパラメータとして、リードパワー、ローパスフィルタのカットオフ周波数とブースト、スライス回路のスライスレベル、データ弁別器のウィンドウ値(ウィンドウ遅延時間)、フォーカスオフセットを切り替えて設定変更しながらリトライを実行する。
【0070】
リトライ処理部は、リードリトライ時に、パラメータ設定値にリトライオフセットを加算するパラメータの設定変更と、パラメータ設定値からリトライオフセットを減算するパラメータの設定変更を交互に繰り返す。
【0071】
リトライ処理部は、成功したリトライにおけるパラメータ設定の統計情報を、装置内温度、媒体にフォーマットされた各ゾーン、光記憶媒体の種別、又はシーク距離に応じて保存する。リトライに使用する各種パラメータは、装置内温度、媒体ゾーン、光記憶媒体の種別、又はシーク距離の条件によりリトライ成功率が異なることから、各条件に応じて使い分けることで、リトライ成功率を更に向上できる。
【0072】
装置内温度については、例えば40℃では、リードパワーを設定変更したリトライで成功するが、50℃に上昇すると例えばフォーカスオフセットを設定変更したリトライで成功するという場合がある。このため成功したパラメータ設定値及び成功回数を装置温度に分けて保存し、リトライ時には装置温度に対応した統計情報から成功率の高いパラメータのリトライを選択して実行する。
【0073】
媒体ゾーンについては、ゾーン毎に記録周波数が異なっており、このため最インナで成功したリトライが最アウタで適切である可能性は少ない。そこで成功したリトライの統計情報を各ゾーンに分けて保存し、リトライ時には現在ゾーンに対応した統計情報から成功率の高いパラメータ情報を選択してリトライを実行する。
【0074】
媒体種別については、例えばMO媒体として128MB媒体、230MB媒体、540MB媒体、640MB媒体があり、128MB媒体と230MB媒体はPPM記録、540MB媒体と640MB媒体とPWM記録である。更に1.3GBのMSR媒体がある。このように媒体種別が異なると記録再生の手法が異なることから、媒体毎に分けて成功したリトイライの統計情報を保存し、リトライ時には媒体種別に対応した統計情報から成功率の高いパラメータ情報を選択してリトライを実行する。
【0075】
更にシーク動作を伴うセクタ位置付けで生ずるリードエラーについては、シーク距離によってリトライが成功するパラメータが異なることから、シーク距離により分けて成功したリトライの統計情報を保存し、新たなシーク位置付けのリトライ時には、そのときのシーク距離に対応した統計情報から成功率の高いパラメータ情報を選択してリトライを実行する。
【発明の効果】
【0076】
以上説明してきたように本発明によれば、MSR媒体のリードリトライの際に再生磁界の値を変更し、変更した再生磁界でリードリトライを行うことでリトライを成功させ、リトライアウトによってリードエラーが発生する頻度を大幅に低減して、安定したリード動作を保証することができる。
【0077】
また本発明は、リードリトライが成功したら成功時のパラメータ設定値を統計情報として保存し、この統計情報の学習処理により、パラメータをリトライ成功となったパラメータ設定値に近付けるように自動的に更新してリトライ成功条件をパラメータの決定に反映させることで、リードリトライの成功までの回数を低減して成功率を高め、リトライ失敗によるリードエラーの発生頻度を低減し、リード動作の安定性を向上できる。
【0078】
更に本発明は、過去のリードリトライについて成功したリトライ情報を保存し、新たなリトライ時に、保存している成功したリトライ情報を使用してリードリトライを行うことで、複数種類のパラメータを切り替えて設定変更しながら行うリードリトライの成功率が飛躍的に高まり、複数種類のパラメータを固定的に切り替えて設定変更しながら行うリトライに比べ、成功するまでのリトライ回数が大幅に低減し、リトライ実施時間を大幅に短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0079】
<目 次>
1.装置構成
2.MSR媒体のリードリトライ
3.パラメータの統計的更新
4.成功リトライの反映

1.装置構成
図2は、本発明の光学的記憶装置である光ディスクドライブの回路ブロック図である。本発明の光ディスクドライブは、コントロールユニット10とエンクロージャ11で構成される。コントロールユニット10には光ディスクドライブの全体的な制御を行うMPU12、上位装置との間でコマンド及びデータのやり取りを行うインタフェース15、光ディスク媒体に対するデータのリード・ライトに必要な処理を行う光ディスクコントローラ(ODC)14、DSP16、及びバッファメモリ18が設けられる。
【0080】
バッファメモリ18は、MPU12、光ディスクコントローラ14、及び上位インタフェース15で共用される。光ディスクコントローラ14には、フォーマッタとECC処理機能が設けられる。
【0081】
光ディスクドライブにカートリッジ媒体が投入されると、媒体種別がMPU12で認識され、媒体種別に応じた記録再生機能が光ディスクコントローラ14及びDSP16でセットアップされる。この光ディスクドライブは、128MB、230MB、540MB及び640MBのMO媒体、及び1.3GBのMSR媒体に対応できる。
【0082】
カートリッジ媒体の記録フォーマットはゾーンCAVである。更に、媒体の記録方式は、128MBと230MB媒体が、媒体上のマークの有無に対応してデータを記録するピットポジション記録(PPM記録)である。540MB及び640MBのMO媒体、及び1.3GBのMSR媒体は、マークのエッジ即ち前縁と後縁をデータに対応させるパルス幅記録(PWM記録)である。
【0083】
光ディスクドライブにMOカートリッジ媒体をローディングした際には、まず媒体のID部をリードし、そのピット間隔等からMPU12において媒体の種別を認識し、種別を光ディスクコントローラ14、DSP16、ライトLSI20、リードLSI24に通知し、媒体に適合した記録再生機能を確立する。
【0084】
光ディスクコントローラ14は、カートリッジ媒体投入後のライトアクセス時には、フォーマッタでNRZライトデータを媒体のセクタ単位に分割して記録フォーマットを生成し、ECC処理によりセクタライトデータ単位にECCコードを生成して付加し、必要ならばCRCコードを生成して付加し、更に例えば1−7RLL符号に変換してライトLSI20に出力する。
【0085】
ライトLSI20はライト変調回路とレーザダイオード制御回路を内蔵する。レーザダイオードユニット30は、レーザダイオードとモニタ用ディテクタを内蔵する。
【0086】
ライトLSI20は、光ディスクコントローラ14からのセクタライトデータを、媒体種別に応じてPPM記録データ又はPWM記録データに変換してレーザダイオードユニット30に供給し、ライトビームにより媒体に書き込む。
【0087】
この書込動作は、媒体上の指示セクタにビーム位置決めした状態で、イレーズ、ライト、ベリファイを行う。ベリファイの際にリードエラーが発生すると、ベリファイリトライとなり、本発明ではリードに必要な各種のパラメータを切り替えて設定変更しながらベリファイリトライを実行する。
【0088】
リードLSI24は、リード復調回路と周波数シンセサイザを内蔵する。リードLSI24に対しては、エンクロージャ11に設けたID/MO用ディテクタ32によるリードビームの戻り光の受光信号が、ヘッドアンプ34を介してID信号及びMO信号として入力されている。
【0089】
リードLSI24には、AGC回路、フィルタ、データ弁別器等の復調回路が内蔵され、入力したID信号及びMO信号よりリードクロックとリードデータを作成し、PPM記録データ又はPWM記録データから元のNRZデータを復調している。
【0090】
またスピンドルモータ40の制御としてゾーンCAVを採用していることから、MPU12からリードLSI24に内蔵した周波数シンセサイザに対しゾーン対応のクロック周波数を発生させるための分周比の設定制御が行われている。周波数シンセサイザはプログラマブル分周器を備えたPLL回路であり、媒体のゾーン位置に応じて予め定めた固有の周波数をもつ基準クロックをリードクロックとして発生する。
【0091】
リードLSI24で復調されたリードデータは、光ディクスコントローラ14に与えられ、1−7RLL符号の逆変換後にCRCチェックとECC処理を受けてNRZセクタデータが復元され、フォーマッタによりNRZリードデータのストリームに繋げた後に、バッファメモリ18を経由して上位インタフェース15により上位装置に転送される。
【0092】
リードアクセスでリードエラーが発生すると、リードリトライが行われる。本発明のリードリトライは、再生に必要な各種のパラメータを切り替えて設定変更しながらリードリトライを実行する。
【0093】
MPU12に対しては、DSP16を経由してエンクロージャ11側に設けた温度センサ36の検出信号が与えられている。MPU12は、温度センサ36で検出した装置内の環境温度に基づき、レーザダイオード制御ユニット30におけるリード、ライト、イレーズの各発光パワーを媒体上で実際に記録再生を行うテスト処理により最適値に制御する。
【0094】
MPU12は、DSP16を経由してドライバ38によりエンクロージャ11側に設けたスピンドルモータ40を制御する。MOカートリッジの記録フォーマットはゾーンCAVであることから、スピンドルモータ40を一定回転数で駆動する。
【0095】
MPU12は、DSP16からドライバ42を介してエンクロージャ11側に設けた磁場印加ユニット44を制御する。磁場印加ユニット44は装置内にローディングされたMOカートリッジのビーム照射側と反対側に配置されており、MO媒体については、記録時及び消去時に媒体に外部磁界を供給し、MSR媒体については、記録時及び消去時に加え再生時にも媒体に外部磁界を供給する。
【0096】
磁場印加ユニット44としては、通常、電磁石を使用するが、これ以外に本発明の校正処理により決定された最適磁場が得られる永久磁石でもよいし、更には、電磁石と永久磁石を組み合わせたものであってもよい。
【0097】
磁場印加ユニット44によるMSR媒体の再生時の外部磁界は、FAD媒体については再生磁界Hrであり、RAD媒体については、初期化磁界Hiである。更に、再生時の磁場印加ユニット44による外部磁界は、本発明にあっては、MPU14の処理機能として実現されるテスト処理により、例えばMSR媒体の再生に必要なパラメータである再生磁界とリードパワーを最適値の組に決定する。このテスト処理は、再生磁界、リードパワー以外のパラメータについても行われる。
【0098】
DSP16は、媒体に対しレーザダイオード30からのビームの位置決めを行うためのサーボ機能を備え、目的トラックにシークしてオントラックするためのシーク制御を行う。このシーク制御は、MPU12による上位コマンドに対するライトアクセス又はリードアクセスに並行して同時に実行することができる。
【0099】
DSP16のサーボ機能を実現するため、エンクロージャ11側の光学ユニットに媒体からのビーム戻り光を受光する多分割ディテクタ46を設け、FES検出回路(フォーカスエラー信号検出回路)48が、多分割ディテクタ46の受光出力からフォーカスエラー信号E1を作成してDSP16に入力している。
【0100】
またエンクロージャ11側の光学ユニットに媒体からのビーム戻り光を受光する多分割ディテクタ46を設け、TES検出回路(トラッキングエラー信号検出回路)50が多分割ディテクタ46の受光出力からトラッキングエラー信号E2を作成し、DSP16に入力している。トラッキングエラー信号E2はTZC検出回路(トラックゼロクロス検出回路)53に入力され、トラックゼロクロスパルスE3を作成してDSP16に入力している。
【0101】
更にDSP16は、媒体上のビームスポットの位置を制御するため、ドライバ58,62,66を介してフォーカスアクチュエータ60、レンズアクチュエータ64及びVCM68を制御駆動している。
【0102】
ここでエンクロージャ11の概略は図3のようになる。ハウジング67内にはスピンドルモータ40が設けられ、スピンドルモータ40の回転軸のハブに対しインレットドア69側よりMOカートリッジ70を挿入することで、内部のMO媒体72がスピンドルモータ40の回転軸のハブに装着されるローディングが行われる。ローディングされたMOカートリッジ70のMO媒体72の下側には、VCM68により媒体トラックを横切る方向に移動自在なキャリッジ76が設けられている。
【0103】
キャリッジ76上には対物レンズ80が搭載され、固定光学系78に設けているレーザダイオードからのビームをプリズム82を介して入射し、MO媒体72の媒体面にビームスポットを結像している。
【0104】
対物レンズ80は図2のエンクロージャ11に設けたフォーカスアクチュエータ60により光軸方向に移動制御され、レンズアクチュエータ64により媒体トラックを横切る半径方向に例えば数十トラックの範囲内で移動することができる。
【0105】
尚、図2は、光ピックアップとしてレンズアクチュエータ64とVCM68を備えたダブル駆動型を例にとるが、レンズアクチュエータ64を持たないVCM68のみシングル駆動型も含む。
【0106】
2.MSR媒体のリードリトライ
図4は、MSR媒体のリードリトライ処理を行うための本発明の第1実施形態の機能ブロック図である。このリードリトライ処理のための機能は、図2のMPU12、光ディスクコントローラ14、DSP16、ライトLSI20及びリードLSI24により実現される。
【0107】
図4において、MSR媒体のリードのためリード処理部84が設けられ、またリード動作の際のエラーに対するリードリトライのためにリードリトライ処理部86が設けられる。リード処理部84及びリードリトライ処理部86に対しては、再生磁界及びリードパワーを最適値に制御するために使用するデフォルトテーブル88、テストリードオフセットテーブル90、リトライオフセットテーブル92が設けられる。
【0108】
更にリード動作及びリトライ動作の制御指示のためのレジスタ群94が設けられる。このレジスタ群94には、リード指示、ライト指示、リトライ指示、媒体種別、装置内温度T、トラック番号TK、セクタ番号SS、ゾーン番号Ziが必要に応じて格納される。
【0109】
リード処理部84は、レジスタ96に再生磁界の設定値を格納すると同時に、レジスタ98にリードパワーの設定値を格納し、DAコンバータ104,106でアナログ制御信号に変換し、図2のドライバ42を介して磁界印加部44の電磁石に駆動電流を流すことで再生磁界を発生し、またレーザダイオードユニット30のレーザダイオードに発光電流を流すことで、設定したリードパワーのレーザビームを発行する。
【0110】
デフォルトテーブル88には、例えば図5のゾーン分割デフォルトテーブル88−1のように、MSR媒体のゾーンZ1〜Z18の18ゾーンに分けて、再生磁界のデフォルト値H1〜H18とリードパワーのデフォルト値Pr1〜Pr18が格納されている。
【0111】
テストリードオフセットテーブル90は、図6のゾーン分割テストリードオフセットテーブル90−1のように、MSR媒体のゾーンZ1〜Z18に分けて、前回までのリードリトライにおけるテストリードで求められたデフォルトに加算するテストオフセットΔH11〜ΔH118が格納されている。
【0112】
更にリトライオフセットテーブル92には、例えば図7の回数分割リトライオフセットテーブル92−1のようにリトライ回数nに分けて、リトライオフセットΔH21〜ΔH2nが格納されている。このリトライオフセットテーブルは、具体的には図8のような回数分割のリトライオフセットテーブル92−2を使用する。
【0113】
この回数分割リトライオフセットテーブル92−2は、リードリトライ回数1〜7回のそれぞれにつき、リトライオフセットΔH2として、そのときのデフォルトに対する増加率(パーセント表示)を格納している。例えば、リードリトライの1回目は+10%、2回目は−10%、3回目は+20%、4回目は−20%、5回目は+30%、6回目は−30%、7回目は+40%とするリトライオフセットΔH2を格納している。
【0114】
リード処理部84は、通常のリード動作時に、アクセスするゾーンZiに対応した再生磁界のデフォルトHiを図5のゾーン分割デフォルトテーブル88−1から読み出し、同時に同じゾーンZiのテストリードオフセットΔH1iを図6のゾーン分割テストリードオフセットテーブル90−1から読み出し、再生磁界Hとして
H=Hi+ΔH1i
を求めてレジスタ96に設定し、最適な再生磁界を作り出している。
【0115】
このようなリード処理部84による最適再生磁界とリードパワーによるリード動作でリードエラーが発生すると、リードリトライ処理部86が起動する。リードリトライ処理部86は、1回目のリードリトライでは、例えば図8の回数分割リトライオフセットテーブル92−2のデフォルトに対する+10%のリトライオフセットΔH2を読み出し、これに再生磁界のデフォルトHiとテストリードオフセットΔHiを加えた再生磁界H=Hi+ΔH1i+ΔH2iを求め、テストリードを行う。
【0116】
テストリードとは、MSR媒体のある領域例えば現在アクセスしているゾーンの中の予め定められたテストトラックに対し、リードパワーと再生磁界を変化させながらテストデータのライト動作とリード動作を行い、CNR特性(キャリア雑音比特性)やビット不一致数の特性を測定し、エラーレートが規定値を満足するように最適なリードパワー及び再生磁界を求める処理である。このようなテストリードにより最適な再生磁界及びリードパワーを決定する。
【0117】
ここでテストリードによる最適な再生磁界は、デフォルトHi及びリトライオフセットΔH2iは固定値であることから、結果的に最適なテストリードオフセットΔH1iを決定することを意味する。このようにして最適な再生磁界を与えるテストリードオフセットΔH1iが決定できたならば、テストリードで求められた再生磁界とリードパワーの最適値を使用して、リードエラーを発生したセクタについてリードリトライを実行する。
【0118】
この1回目のリトライを行ってもリードエラーとなってリトライが失敗した場合には、図8の2回目のリードリトライのリトライオフセットΔH2であるデフォルトに対する−10%を選択し、同様にテストリードにより最適な再生磁界を与えるテストリードオフセットΔH1iを決定し、テストリードで最適な再生磁界及びリードパワーを決定した後に、リードエラーを起こしたセクタに位置付けして2回目のリードリトライを実行する。
【0119】
このようにして、図8の場合には最大で7回までのリードリトライが繰り返される。
【0120】
図9は、図4のリードリトライ処理部86で行われるテストリードにおける最適再生磁界の算出処理の一例である。図9において、横軸は再生磁界H[Oe:エルステッド]であり、縦軸がリードデータのキャリアノイズ比(CNR)である。
【0121】
MSR媒体の再生磁界は、例えば最低値Hmin=100エルステッドから最大値Hmax=500エルステッドの範囲で変化させる。このような再生磁界の変化により特性曲線108が得られ、キャリアノイズレシオCNRが所定の閾値TH=47.5dBとなる交点110,112の再生磁界Hs=200エルステッドとHe=450エルステッドを求める。
【0122】
そして最適磁界Hbestとして例えばHbest=Hs+(He−Hs)/2として算出する。
【0123】
図10はリトライ時のテストリードで求める最適再生磁界の他の算出処理であり、この場合には再生データのビット不一致数Nの特性に基づいて再生磁界の最適値を決めている。即ち横軸に示すように、再生磁界の最低値Hmin=100エルステッドから最大値Hmax=500エルステッドまで再生磁界を変化させながらテストリードを行ってリードデータのビット不一致数Nを求めると、例えば特性曲線114が得られる。
【0124】
この測定は例えば50エルステッド単位に離散的に行われることから、ビット不一致数Nが所定の閾値Nth以下となるHmin側の測定点116とHmax側の測定点118の磁界をそれぞれHs,Heとして求める。そして同様に、最適磁界HbestをHbest=Hs+(He−Hs)/2として算出する。
【0125】
図12は、図4のリードリトライ処理で使用するデフォルトテーブルの他の実施形態であり、MSR媒体のZ1〜Z18の18ゾーンを例えば3ゾーンごとにグループ化したエリアA1〜A6で分けたエリア分割デフォルトテーブル88−2として再生磁界及びリードパワーのデフォルト値を格納している。
【0126】
図13は、図12のエリア区分デフォルトテーブル88−2に対応したエリア区分テストリードオフセットテーブル90−2であり、同様にMSR媒体の3ゾーン単位のエリアA1〜A6に分けて、テストリードで求めたデフォルトに加算するテストリードオフセットを格納している。
【0127】
この図12,図13に示すエリア分割のデフォルトテーブル88−2及びテストリードオフセットテーブル90−2を使用した場合についても、全く同様にして、図7もしくは図8の回数分割リトライオフセットテーブル92−1,92−2を使用した再生磁界の設定値を変更したリードリトライが実行できる。
【0128】
図14は、図4のリードリトライで使用するテストリードオフセットテーブル90の他の実施形態であり、この実施形態は温度分割テストリードオフセットテーブル90−3としたことを特徴とする。
【0129】
即ち、MSR媒体の再生に必要な最適な再生磁界は、装置内の温度Tにより異なることから、リードリトライのテストリードで最適なテストリードオフセットΔH1iが求められたならば、そのときの装置内温度Tにより分けて、テストリードで求めた最適テストリードオフセットをテーブルに保存する。
【0130】
これによって、図4でリードリトライを行う際には、レジスタ群94にセットされた装置内温度Tにより図13の温度分割リトライオフセットテーブル92を参照し、そのときの装置内温度に対応するテストリードオフセットΔH1iを読み出し、図5のゾーン分割デフォルトテーブル88−1と図7,図8の回数分割リトライオフセットテーブル92−1または92−2からテストリードの再生磁界を求め、テストリードを行って最適なテストリードオフセットを求めた後に、リトライを起こしたセクタに位置付けてリードリトライを行う。
【0131】
図14は、図4の第1実施形態におけるリードリトライ処理のフローチャートである。まずステップS1でリードリトライを実行するゾーンZiのテストリードで使用する再生磁界Hiを、デフォルトテーブル88のデフォルト磁界Hi、テストリードオフセットテーブル90からの前回のテストリードオフセットΔH1i、及びリトライオフセットテーブル92の1回目のリトライオフセットΔH2iの加算で求め、ステップS2でテストリードにより最適リードパワーと最適再生磁界を与えるテストリードオフセットΔH1iを決定する。
【0132】
続いてステップS3で、ステップS2で決定した最適リードパワーと最適再生磁界によりリードエラーを起こしたセクタに光ビームを位置付けてリードリトライを実行する。このリードリトライの実行によりステップS4でリード成功が判別されると、リードリトライ処理を終了する。
【0133】
リード不成功であった場合には、ステップS5で、予め定めたリトライ回数例えば7回をオーバーしたか否かチェックし、オーバーしていなければステップS6で2回目のリトライオフセットに更新し、再びステップS1に戻り、リトライ2回目のテストリードのための再生磁界を設定して、ステップS2で最適リードパワーと最適再生磁界を決定し、ステップS3で、リードエラーを発生したセクタに続けて2回目のリードリトライを実行する。
【0134】
このような再生磁界を変更しながら行うリードリトライにより、アクセス先のセクタに媒体欠陥等のリカバリ不能な要因がない限り、任意のリトライ回数でリード成功となる。もしアクセスセクタに媒体欠陥があった場合には、ステップS5でリトライ回数が例えば7回を超えてオーバーとなり、この場合にはステップS7でセクタ不良に基づく交替処理を行う。
【0135】
3.リードパラメータの統計的更新
図15は、本発明の光学的記憶装置におけるリトライ処理の第2実施形態の機能ブロック図である。この第2実施形態にあっては、リード動作で使用する各種のパラメータを切り替えて設定変更しながらリードリトライやベリファイリトライを実行し、リトライ成功時に、成功したパラメータ設定情報を統計情報として保存し、保存した統計情報について変更の度合いがある程度大きくなったときに統計情報の傾向に従ってパラメータを最適値に更新し、リトライ成功の条件をパラメータに反映することでリトライ成功率を高めるようにしたことを特徴とする。
【0136】
図15において、リード動作のためリード処理部120が設けられ、リード処理部120でリードエラーを生じた際のリードリトライのためにリードリトライ処理部122が設けられている。
【0137】
またライト動作のためライト処理部124が設けられ、ライト動作はイレーズ、ライト及びベリファイとなり、ベリファイで生ずるリードエラーに対応してベリファイリトライを行うライトリトライ処理部125を設けている。ライトリトライ処理部125は、ベリファイリトライで不成功となった場合、ライトパワーを変更しながらテストライトを行うもので、このためテストライトのためにテスト処理部126が設けられている。
【0138】
テスト処理部126は、リードリトライやベリファイリトライとは別に、リード動作およびライト動作で使用する再生磁界とレーザパワーの最適値をテスト処理により決定するもので、媒体投入時に最初のテスト処理を行ない、その後は、テスト処理からの経過時間と装置内温度の変動を監視して次のテスト処理を行っている。
【0139】
このようなリード処理部120、リードリトライ処理部122、ライト処理部124、ライトリトライ処理部125及びテスト処理部126に対し、リード動作及びライト動作、更にはテスト動作に必要な各種のパラメータを設定するため、デフォルトテーブル128、テストオフセットテーブル130、リトライオフセットテーブル132、更に各種の制御指示を行うレジスタ群135が設けられている。
【0140】
また本発明のリードリトライ処理部122にあっては、リードリトライまたはベリファイリトライで成功した際に、成功したリトライ情報、具体的には成功した各種パラメータの設定情報を統計情報として保存するリトライ履歴テーブル134を設けている。
【0141】
このリトライ履歴テーブル134に格納されたリードリトライ及びベリファイリトライの成功で得られたパラメータ設定情報の統計情報を学習することによって、リードリトライ処理部122はテストオフセットテーブル130のテストオフセットをリトライを成功させる設定値に近付けるように更新する。
【0142】
リード処理部120に対しては、再生磁界及びリードパワーの各設定値を設定するレジスタ136,138が設けられる。またリードリトライ処理部122に対しては、リードリトライ実行時の再生磁界、リードパワー、カットオフ周波数、ブースト、スライスレベル、ウィンドウ、フォーカスオフセットを設定パラメータとして設定するレジスタ140,142,144,146,148,150,152が設けられる。
【0143】
これらのレジスタ140〜152に対応して、レジスタの設定データをアナログ制御信号に変換して対応する回路部のパラメータを制御するDAコンバータ154,156,158,160,162,164,166が設けられている。
【0144】
ライト処理部124に対してはライトパワー及びイレーズパワーを設定するレジスタ168,170が設けられ、ライトリトライ処理部125にはベリファイリトライに失敗した後のテストライトでライトパワーを変更するために使用するレジスタ172が設けられる。
【0145】
またライトパワーの設定レジスタ168,172に対応してDAコンバータ174が設けられ、イレーズパワーの設定レジスタ170に対応してDAコンバータ176が設けられている。
【0146】
図16は、図15のデフォルトテーブル128の実施形態であり、MO媒体やMSR媒体のゾーンごとに分けてリードリトライ時に切り替えながら設定変更する各種パラメータのデフォルトを格納したゾーン分割デフォルトテーブル128−1である。
【0147】
例えば18ゾーンを持つMSR媒体対応を例にとると、ゾーンZ1〜Z18の各ゾーンに分けてリードリトライ時に切り替えて設定変更するパラメータとして、再生磁界、リードパワー、カットオフ周波数、ブースト、ウィンドウ及びフォーカスオフセットのそれぞれのデフォルト値が格納されている。
【0148】
このリードリトライ時に切り替えて設定変更するパラメータの内、カットオフ周波数、ブースト、ウィンドウ、フォーカスオフセットは、図19に取り出して示す図2のリードLSI24に内蔵された各回路の回路パラメータを表わす。
【0149】
図19のリードLSI24の復調回路は、ヘッドアンプにコンデンサ280で入力接続されたクランプ回路282、AGC回路284、ローパスフィルタ(LPF)286、イコライザ(EQL)288、SAG除去回路290、クランプ回路292及びデータ弁別器294を備える。
【0150】
ローパスフィルタ186は、記憶周波数に対応して、カットオフ周波数Fcと高域のゲインを定めるブーストFbを外部から回路パラメータとして設定変更することができる。またスライス回路192は、復調したPWMデータの読取波形のスライスレベルSを回路パラメータとして設定変更できる。
【0151】
更にデータセパレータとして機能するデータ弁別器194は、データ弁別のために設定するウィンドウの遅延時間を外部から設定変更できる。このデータ弁別器194は、PWMパルスのリーディングエッジとトレーニングエッジのそれぞれについて、個別にデータDT1,DT2とクロックCK1,CK2を取り出し、後段の回路で両者を合成する。
【0152】
図17は、図15のテストオフセットテーブル130の実施形態であり、図16と同様、ゾーン分割テストオフセットテーブル130−1としており、例えばMSR媒体の18ゾーンを例にとると、ゾーンZ1〜Z18に対応して、図16のデフォルトパラメータに加算するテスト処理で求めたテストオフセット例えば再生磁界のテストオフセットΔH11〜ΔH118を格納している。
【0153】
図18は、図15のリトライオフセットテーブル132の実施形態であり、図16,図17のゾーン分割のデフォルト及びテストオフセットの各テーブルに対応して、ゾーン分割リトライオフセットテーブル132−1としてゾーンZ1〜Z18に対応して各種のパラメータについてのリトライオフセット、例えば再生磁界にあってはリトライオフセットΔH21〜ΔH218を格納している。
【0154】
図16,図17,図18は、ゾーン分割のデフォルトテーブル、テストオフセットテーブル及びリトライオフセットテーブルを例にとるものであったが、図20,図21,図22のように、例えば3ゾーンごとにグループ化したエリアA1〜A6で分けたエリア分割のデフォルトテーブル128−2、テストオフセットテーブル130−2、及びリトライオフセットテーブル132−2としてもよい。
【0155】
更に図23,図24,図25に示すように、装置内温度Tを例えば0℃から60℃について10℃範囲の温度領域に分割し、各温度領域について各種のパラメータのデフォルトテストオフセット及びリトライオフセットを各々格納した温度区分のデフォルトテーブル128−3、テストオフセットテーブル130−3、及びリトライオフセットテーブル132−3としてもよい。
【0156】
図26は、図15のリード処理部120及びリードリトライ処理部122によるリード処理のフローチャートである。
【0157】
図26において、レジスタ群135にリード指示、トラック番号TK、セクタ番号SS及びゾーン番号Ziがセットされると、ステップS1で目標セクタに光ビームを位置付けるためのシーク動作が実行される。目標セクタに光ビームが位置付けられると、ステップS2でリード動作を実行する。
【0158】
ステップS3でリードが成功すればリード処理を終了する。ステップS3でリード処理が不成功になると、ステップS4でリードリトライ処理を実行する。このリードリトライ処理は、例えば図16,図17,図18に示したように、ゾーン分割のデフォルトテーブル128−1、テストオフセットテーブル130−1、及びリトライオフセットテーブル132−1を使用して、再生磁界、リードパワー、カットオフ周波数、ブースト、ウィンドウ、フォーカスオフセット等のパラメータを切り替えて設定変更しながらリードリトライを実行する。
【0159】
この場合、1つのパラメータにつき例えば図18のゾーン区分リトライオフセットテーブル130−1のように1つのオフセット値しか格納されていないが、このリトライオフセット値を1回目はデフォルトにテストオフセットを加えたパラメータに加算し、2回目のリトライではデフォルトにテストオフセットを加算したパラメータから減算し、デフォルトを中心にプラスとマイナスに交互に切り替えたパラメータの設定変更によるリトライを実行する。
【0160】
ステップS4の各種のパラメータを切り替えて設定変更しながら行うリードリトライにつき、ステップS5でリトライが不成功であれば、ステップS6で同一のパラメータについて予め定めた限界値まで変更したか否かチェックし、限界値に達した場合には、ステップS7で全てのパラメータの設定変更によるリトライが済んだか否かチェックし、各パラメータにつき限界値までの設定変更と全パラメータについての設定変更が済むまで、ステップS4のパラメータを切り替えて設定変更しながら行うリードリトライを繰り返す。
【0161】
このようなリードリトライによりステップS5でリトライ成功が判別されると、ステップS9に進み、成功したリトライのパラメータ設定情報を統計情報として保存し、保存しているパラメータ設定情報を学習して,デフォルトに加算するテストオフセットを更新する。この成功したリトライのパラメータ設定情報に基づくパラメータ更新処理は、例えばステップS4のリードリトライ処理においてパラメータをプラスとマイナスに変更していることから、リトライに成功したパラメータの設定変更がプラスかマイナスかの回数をそれぞれカウントし、プラス方向の変化による成功回数とマイナス方向の変化による成功回数との差の絶対値が所定の閾値を超えたときに、最新のリトライ成功のパラメータ設定値に近付けるようにパラメータ、即ちテストオフセットを更新する。
【0162】
更に、ステップS9でパラメータの更新処理が行われた場合には、ステップS10でテスト処理部126で次のテストの必要性を判断するために監視しているテスト実行時からの経過時間を初期化し、且つテスト時の装置内温度を基準温度として所定の温度変化が生じたかどうかでテストの必要性を判断するためのテスト基準温度を、パラメータの更新処理を行った時の装置内温度とする。
【0163】
このようなテスト処理部126におけるテストの必要性判断のための経過時間の初期化とテスト基準温度の更新によって、リードリトライの成功に基づくパラメータの更新処理、が実質的にテスト処理による最適パラメータの更新と見做され、通常のリード動作やライト動作に反映される。
【0164】
図27は、図26のステップS4におけるリードリトライ処理の具体例であり、パラメータとして再生磁界を選択した場合のリードリトライ処理である。この再生磁界を調整しながら行うリードリトライ処理にあっては、ステップS1で前回の再生磁界の設定変更はプラスか否かチェックし、もしプラスであれば、ステップS2でリトライオフセットΔHをマイナスにして、リードリトライに使用する再生磁界を設定する。ここで再生磁界Hはデフォルトにテストオフセットを加算した値である。
【0165】
一方、ステップS1で前回の再生磁界の設定変更がマイナスであった場合には、ステップS3でリトライオフセットΔHをプラスにして再生磁界を設定する。ステップS2またはS3でリトライオフセットΔHの減算または加算で求めた再生磁界につき、ステップS4でリードリトライを実行する。
【0166】
図28は、図26のステップS4のリードリトライ処理の具体例であり、パラメータとしてリードパワーを選択した場合である。この場合にも、ステップS1で前回のリードパワーの設定変更がプラスか否かチェックし、プラスであればステップS2でリトライオフセットΔPrをマイナスにしてリードパワーPrを設定し、逆にマイナスであればステップS3でリトライオフセットΔPrをプラスにしてリードパワーPrを設定し、ステップS4でリードリトライを実行する。
【0167】
図29は、パラメータとしてローパスフィルタのカットオフ周波数Fcを選択した場合のリードリトライであり、ステップS1で前回のカットオフ周波数の設定変更がプラスであれば、ステップS2でリトライオフセットΔFcをマイナスにしてカットオフ周波数Fcを設定し、逆にマイナスであれば、ステップS3でリトライオフセットΔFcをプラスにしてカットオフ周波数Fcを設定して、ステップS4でリードリトライを実行する。
【0168】
図30は、設定変更するパラメータとしてローパスフィルタのブーストFbを選択した場合のリードリトライであり、ステップS1で前回の設定変更がプラスであればステップS2でリトライオフセットΔFbをマイナスにし、逆にマイナスであればステップS3でプラスにし、ステップS4でリードリトライを実行する。
【0169】
このようなリトライオフセットを前回の設定と逆となるようにプラスとマイナスに変更して行うリードリトライは、図31のスライス回路のスライスレベルをパラメータとして選択した場合、図32のデータ弁別器のウィンドウ(遅延時間)をパラメータとして選択した場合、更に図33のフォーカスアクチュエータで対物レンズを光軸方向に移動するフォーカスオフセットをパラメータとして選択した場合についても同様である。
【0170】
また図26のリードリトライ処理、ステップS4で選択するパラメータの順番は、例えば再生磁界、リードパワー、カットオフ周波数、ブースト、ウィンドウ、フォーカスオフセットの順番でもよいし、再生磁界、リードパワーに続いて、フォーカスオフセットを制御し、その後にリードLSIの回路パラメータであるカットオフ周波数、ブースト、ウィンドウの順にパラメータを切り替えてプラスとマイナスに設定変更するリードリトライを行ってもよい。
【0171】
また各種パラメータを1つずつ順番に選択せずに、適宜の複数種類のパラメータを組み合わせて選択しながら設定変更してリードリトライを行うようにしてもよい。もちろん、リードリトライのために選択したパラメータについてのみ、デフォルトとテストオフセットを加算した設定パラメータにプラスまたはマイナスのリトライオフセットを加えてリードリトライを実行するが、設定変更の対象となっていないパラメータについては、リトライオフセットを加えないデフォルトにテストオフセットを加算したパラメータ設定値を使用する。
【0172】
図34は、図26のステップS9のリトライ成功のパラメータ設定情報を保存した統計情報に基づくデフォルトパラメータ更新処理のフローチャートである。
【0173】
このデフォルトパラメータの統計的な更新処理は、まずステップS1でリトライ成功のパラメータはプラスに変更したか否かチェックする。リトライに成功したパラメータがリトライオフセットをプラスして設定変更したことで成功した場合には、ステップS2に進み、変数C1を1つインクリメントする。
【0174】
一方、リトライ成功のパラメータは、リトライオフセットのマイナスによる変更の場合にはステップS3に進み、別の変数C2をインクリメントする。続いてステップS4で変数C1と変数C2の差の絶対値が、予め定めた閾値を超えたか否かチェックする。もし変数C1と変数C2の差の絶対値が閾値以上であった場合には、ステップS5に進み、デフォルトパラメータをリトライ成功の変更値に基づき所定値だけずらして更新する。
【0175】
例えばリトライ成功時のリトライオフセットの半分をデフォルトパラメータに加算した値となるようにテストオフセットを更新する。このデフォルトパラメータの更新の度合いは、リトライ成功の変更値にある程度近付けるので、近付ける度合いは適宜に設定する。デフォルトパラメータの更新が済んだならば、ステップS6で変数C1,C2をそれぞれ0に初期化し、次の統計的更新処理に備える。
【0176】
ここで図34の統計的更新処理にあっては、リトライ成功時のパラメータのプラスとマイナスの変更に応じて変数C1,C2を個別にカウントしているが、変数を1つとし、プラスの変更で加算、マイナスの変更で減算し、その結果をステップS4で閾値と比較してもよい。
【0177】
もちろん、図34の統計的なパラメータの更新は、例えば図16のゾーン分割のデフォルトテーブル128−1の場合には、同一ゾーンの同一パラメータ単位に個別に統計的なデフォルトパラメータ更新処理を行うことになる。この点は図20のエリア分割デフォルトテーブル128−2についても同様であり、同一エリアの同一パラメータにつき個別にデフォルトパラメータの更新処理を行う。更に図23の温度分割デフォルトテーブル128−3については、同じ温度区分の同一パラメータごとにデフォルトパラメータの更新処理を行うことになる。
【0178】
ここで図15のテスト処理部126による記録再生のための各種のパラメータのテスト処理による最適化を説明すると、次のようになる。
【0179】
図35は、本発明の光学的記憶装置の全体的な処理のフローチャートである。装置電源を投入すると、ステップS1で初期化及び自己診断処理を行い、ステップS2で媒体の投入を待つ。この状態で媒体を投入すると、ステップS3に進み、ディスク起動処理を行う。ステップS3のディスク起動処理は、図31のフローチャートのようになる。
【0180】
図36において、まずステップS1で媒体のロードを行って、スピンドルモータにセットして一定速度で回転する。続いてステップS2でテスト要求フラグFLをセットする。続いてステップS3で現在時刻を初期化し、更にステップS4で現在の装置内温度Tを検出して起動時にレーザダイオードの発光パワーや磁界印加ユニットによる再生磁界を決めるために必要な処理を終了する。
【0181】
再び図35を参照するに、ステップS3のディスク起動処理が済むと、ステップS4に進み、上位装置からのアクセス要求の有無をチェックする。この実施形態にあっては、媒体のローディングによりディスク起動処理を行っても、その時点では発光パワー及び再生磁界のテスト処理は行わず、ディスク起動処理の通知を受けた上位装置から最初に発行されるテスト指示コマンドを受けて最初の発光パワー及び再生磁界のテスト処理を行うようにしている。
【0182】
したがって、ステップS4で上位装置から最初に受けるアクセス要求はテスト指示コマンドであり、ステップS7でテスト指示であることを判別し、ステップS8でライトパワー、イレーズパワー及びリードパワーなどの発光パワーのテスト処理を行った後、ステップS9で再生磁界のテスト処理を行う。
【0183】
一方、上位装置からテスト指示がなければ、ステップS5でテストの必要性を判断し、その結果に基づいてテストの必要ありがステップS6で判別されれば、ステップS8の発光パワーテスト処理及びステップS9の再生磁界テスト処理を行うようになる。上位装置からリードのアクセス要求を受けた場合には、ステップS10に進んでリード要求が判別され、ステップS11以降のリード処理を行う。
【0184】
このリード処理にあっては、ステップS11でまずテスト処理中か否かチェックする。テスト処理中であればステップS12でテスト処理を一旦中断し、ステップS13でリード処理を行う。リード処理が済んだならば、ステップS14でリードエラーの有無をチェックする。
【0185】
もしリードエラーがあれば、ステップS15で再生磁界テスト処理を実行した後に、ステップS16でリトライ処理を行う。リードエラーがなければステップS17に進み、テスト処理中断を行ったか否かチェックし、もしテスト処理を中断していれば、ステップS18で、中断した時点からテスト処理を再開する。
【0186】
このようにして一連のリード処理が済むと、ステップS19で媒体排出の有無をチェックし、媒体排出がなければ、ステップS20で装置停止指示の有無をチェックした後、ステップS4に戻り、次の媒体投入を待って同様な処理を繰り返す。一方、上位装置からライトアクセスの要求があった場合には、ステップS21に進んでライト要求を判断し、ステップS22でライト処理を行うようになる。
【0187】
図37は、図35のステップS5におけるテストの必要性判断処理のフローチャートである。テストの必要性判断処理にあっては、まずステップS1で現在時刻を読み込み、ステップS2で光ディスクドライブの起動から前回のテスト処理までの時間Aを算出する。
【0188】
ステップS3では、起動からの時間Aを予め定めた一定時間例えば20秒で割ることで、単位時間数Bに変換する。ステップS4にあっては、単位時間数Bが8未満、即ち起動から最初のテストライトまでの時間Aが160秒未満か否かチェックする。160秒未満であればステップS5に進み、単位時間数Bは4未満か、即ち時間Aは80秒未満か否かチェックする。
【0189】
時間Aが80秒から160秒の間であった場合には、ステップS6で単位時間数Bを3、即ち時間Aを60秒にクリップして、ステップS7に進む。ステップS5で時間Aが80秒未満であった場合には、そのままステップS7に進む。ステップS7では、前回のテスト処理で決定されている最適値(発光パワー及び再生磁界)の使用を保証する有効時間Cを算出する。
【0190】
この場合、有効時間Cは20秒×2B(単位時間数)とする。但し、有効時間の最大値は160秒にリミットされる。この結果、テスト処理で決定された最適値を保証する有効時間Cは、起動から最初のテスト処理までの時間Aが160秒未満であれば2Bに対応した時間に設定される。160秒以上の場合には、一定の有効時間C=160秒に固定される。
【0191】
このような有効時間Cの算出は、光ディスクドライブにローディングした媒体の媒体温度が装置内温度に安定するまでに掛かる時間に応じて可変させている。即ち、媒体をローディングした直後の初期段階にあっては、媒体と装置内の温度の間には差があることから、この段階では装置内温度に基づいたテストは有効にできないことから、起動時にはテスト処理は行わない。ローディングした媒体の温度は1〜2分程度経過すると装置内の温度に平衡してくる。
【0192】
そこで光ディスクドライブ起動後の最初に上位装置からライトコマンドが発行されたタイミングに同期して最初のテスト処理を行う。起動後、上位装置からライトコマンドが発行されるタイミングは様々であることから、図37のステップS1〜S7において、起動から最初の発光調整までの時間Aを求め、この時間Aから次回以降のテストタイミング判別のための有効時間Cを決めるようにしている。ステップS7で有効時間Cが算出できたならば、ステップS8で、有効判定時刻Dを前回のテストライト時刻に算出した有効時間Cを加えた時刻として算出する。
【0193】
そしてステップS9で、現在時刻が有効判定時刻Dを超えたか否か判定する。現在時刻が有効判定時刻Dに達していれば、ステップS14に進んでテスト処理フラグをオンし、図30のステップS6にリターンする。ステップS9で現在時刻が有効判定時刻Dを超えていなければ、ステップS13でテスト処理フラグをオフとする。
【0194】
またステップS4で単位時間数Bが8以上、即ち160秒以上の場合には、ステップS10に進み、現在時刻から前回のテスト処理時刻を引いた時間が1時間未満か否かチェックする。1時間未満であればステップS11で現在温度を読み込み、ステップS12で前回温度に対し現在温度が±3℃の範囲内か否かチェックする。
【0195】
3℃以内であれば、ステップS13でテスト処理フラグをオフし、テスト処理は行わない。前回温度に対し±3℃の範囲を超える温度変動があった場合には、ステップS14でテスト処理フラグをオンし、テスト処理を実行する。またステップS10で現在時刻と前回のテスト処理時刻との差が1時間以上の場合には、ステップS14で強制的にテスト処理フラグをオンしてテスト処理を実行する。
【0196】
尚、テスト処理の必要性判断処理で設定されている各閾値時間は必要に応じて適宜に定めることができる。
【0197】
図38は、図15のライト処理部124及びライトリトライ処理部125によるライト処理のフローチャートである。このライト処理にあっては、ライト処理部124がステップS1でレジスタ群135のライト指示、トラック番号TK、セクタ番号SS、ゾーン番号Ziに基づき、目標セクタに光ビームを位置付けるシーク動作を実行し、目標セクタに光ビームを位置付けると、ステップS2でイレーズを実行し、次にステップS3でライトを実行し、最終的にステップS4でベリファイリードを実行する。ステップS5でベリファイ成功であればライト動作は正常終了となる。
【0198】
ステップS5でベリファイが不成功であった場合には、ステップS6に進み、ベリファイリトライのためのリードリトライ処理を実行する。このリードリトライ処理は、図26のリード処理の場合と同じになる。ステップS7でリードリトライが成功すれば、ステップS14に進み、成功したリードリトライのパラメータ設定情報を統計情報として保存し、図34のフローチャートに示した統計的更新処理に従ってパラメータの更新を行う。
【0199】
更にステップS14で、テスト処理部126における経過時間の初期化とテスト基準温度の更新を、デフォルトパラメータの更新の対象となった成功したリードリトライの時点とそのときの装置内温度により行う。
【0200】
更に図38のベリファイリトライとしてのリードリトライにあっては、ステップS8でパラメータの設定変更が限界値に達し、ステップS9で全パラメータの設定変更が済んでもリードリトライに成功しなかった場合には、ステップS10のライトリトライ処理を行う。
【0201】
このライトリトライ処理は、ライトパワーを変化させながらイレーズ、ライト、ベリファイを繰り返す。このライトリトライで成功すれば、ステップS11からステップS14に進み、成功したライトリトライの設定変更したライトパワーをパラメータ設定情報として保存し、ステップS10におけるライトパワーの設定変更もプラスへの変更とマイナスへの変更を交互に行っていることから、図34のフローチャートに示した統計的更新処理に従って、ライトパワーのデフォルトに加算するテストオフセットをライトリトライ成功の設定変更したライトパワーに近付けるように更新する。またライトパワーを更新した場合には、ステップS15でテスト判断処理の初期化を行う。
【0202】
一方、ステップS10でライトパワーを設定変更しながらライトリトライ処理を行ってもライトリトライが成功せず、ステップS12でライトパワーの設定変更が限界値に達した場合には、目標セクタについてはリードリトライ及びライトリトライのいずれによっても記録再生が成功しないことから、ステップS13で不良セクタの交替処理を行う。
【0203】
図39は、図38のステップS10のライトリトライ処理の詳細である。このライトリトライ処理にあっては、図40のような回数区分のリトライオフセットテーブル132−4を使用してライトリトライを実行する。このテーブルには、ライトリトライの1回目でリトライオフセットΔPwとしてデフォルトの0%、即ちデフォルトライトパワーをそのまま使用し、2回目は+3%、3回目は−3%、4回目は+6%、5回目は−6%としている。
【0204】
更にライトパワーをプラスとマイナスに変化させてもライトリトライに成功しなかった場合には、6回目,7回目についてはテストライトを行う。このテストライトは、図15のテスト処理部126によりゾーン内の特定のテストトラックに光ビームを位置決めし、ライトパワーを変化させながらイレーズ、ライト、ベリファイを行って、最適なライトパワーを求める。
【0205】
テストライトで最適ライトパワーを求めたならば、目標セクタに光ビームを戻し、テストライトで求めた最適ライトパワーを使用したイレーズ、ライト、ベリファイを行う。このテストライトによって、ライトパワーはそのときの環境条件に応じた最適値となり、極めて高いライトリトライの成功率が得られる。
【0206】
尚、図15のリードリトライ及びベリファイリトライにあっては、設定変更するパラメータとして、再生磁界、リードパワー、ライトパワー、フォーカスオフセット、更にリードLSIの回路パラメータであるカットオフ周波数、ブースト、ウィンドウ、スライスレベルを例にとっているが、これ以外のリード動作及びライト動作に必要な他のパラメータでもよいし、これらの中のリトライ成功に有効な特定のパラメータの選択による設定変更であってもよい。
【0207】
4.成功リトライの反映
図41は、リードリトライ及びベリファイリトライで成功したリトライ情報を統計情報として保存し、それ以降の新たなリトライ時に統計情報の中から成功率の高いリードリトライの条件を取り出してリトライ成功率を向上させるようにした本発明の第3実施形態の機能ブロック図である。
【0208】
この第3実施形態にあっては、リード動作のためにリード処理部178が設けられ、リード処理部178によるリード動作でエラーが発生した場合、リードリトライ処理部180によってリードリトライを行うようにしている。
【0209】
またライト動作のためにライト処理部182が設けられ、ライト処理部182によるイレーズ、ライト、ベリファイによりベリファイエラーが生じた時のリードリトライのため、ライトリトライ処理部184が設けられている。ライトリトライ処理部184によるベリファイリトライは、実質的にはリードリトライ処理部180により実行される。
【0210】
リード処理部178、リードリトライ処理部180、ライト処理部182、ライトリトライ処理部184に対しては、リード動作及びライト動作に必要な各種のパラメータを格納したデフォルトテーブル185、テストオフセットテーブル186、リトライオフセットテーブル188が設けられる。
【0211】
またリード動作及びライト動作に必要な各種の制御指示のためレジスタ群192が設けられ、制御指示としてリード指示、ライト指示、リトライ指示、媒体種別、装置内温度T、トラック番号TK、セクタ番号SS、ゾーン番号Ziがセットされる。
【0212】
更に、リード処理部178、リードリトライ処理部180、ライトリトライ処理部184、ライト処理部182に対しては、それぞれが制御するパラメータに対応してレジスタ194〜215が設けられ、またレジスタの設定値をアナログ制御信号に変換するDAコンバータ216〜232が設けられている。
【0213】
更に、リードリトライ処理部180及びライトリトライ処理部184に対応してリトライ履歴テーブル190が設けられ、またリードリトライ処理部180には、リードリトライ時またはベリファイリトライ時に各種のパラメータを切り替えて設定変更しながらリードリトライを行うためのリトライシーケンス195が予め設定されている。
【0214】
図42は、MSR媒体を対象とした図41のリトライシーケンス195−1と、これに対応するリトライオフセットテーブル188−1のリトライオフセットである。リトライシーケンス195−1はシーケンス番号SEQ1〜SEQ14に分けられており、対応して示すリトライオフセットテーブル188−1のように、同じパラメータのリトライオフセットについてプラスとマイナスのオフセット値を交互に格納している。
【0215】
例えばシーケンス番号SEQ1では再生磁界のプラスのリトライオフセット+ΔHが設定され、次のシーケンス番号SEQ2ではマイナスのリトライオフセット−ΔHが設定されている。この点は残りのリードパワーPr、カットオフ周波数Fc、ブーストFb、スライスレベルS、ウィンドウW、フォーカスオフセットFCOのリトライオフセットについても同様である。
【0216】
図43は、MSR媒体以外のMO媒体を対象としたリトライシーケンス195−2とリトライオフセットテーブル188−2であり、図42のMSR媒体における再生磁界のリトライオフセット+ΔH,−ΔHを除いており、したがってリトライシーケンス195−2はシーケンス番号SEQ1〜SEQ12の12シーケンスから成り立っている。
【0217】
図41のリトライ履歴テーブル192は、例えば図44の温度分割リトライ履歴テーブル190−1のように、リトライ成功時の装置内温度Tの温度領域に応じて、成功したリトライシーケンスのシーケンス番号が格納されている。この成功したリトライシーケンスのシーケンス番号は、例えば図42のMSR媒体のリトライシーケンス195−1とリトライオフセット188−1の対応から、成功したリトライのパラメータを特定することができる。
【0218】
例えば0℃以上10℃未満の成功リトライシーケンスはシーケンス番号SEQ3であり、シーケンス番号SEQ3は図42からリードパワーPrをリトライオフセット+ΔPrだけ変化させることによって、成功したリトライであることが認識できる。
【0219】
このように装置内温度に分けて、成功したリトライのシーケンス番号即ち成功したリトライパラメータの設定値を保存しておくことで、次のリトライ時にはそのときの装置内温度に対応したリトライシーケンスでリトライを実行し、その結果、リトライの成功率を高めることができる。
【0220】
特に1回のリードアクセスで、あるトラックのセクタを連続的にリードする際に連続してリトライが発生したような場合には、1回目のリトライについて成功したパラメータ設定情報が2回目のリトライで最初に設定されるため、セクタの連続リードのように環境条件に殆ど変化がないような場合には、2回目以降のリトライは1回のリトライで成功し、リトライの成功率を大幅に高めることができる。
【0221】
図45は、図41のリトライ履歴テーブル190の他の実施形態であり、ゾーン分割リトライ履歴テーブル190−2としたことを特徴とする。即ち、MO媒体及びMSR媒体にあっては、ZCAV方式で記録されているため、媒体ゾーンによって記録数が異なり、極端な場合、最インナでのリードエラーのリトライに成功しても、その結果を最アウタのリトライに適用しても必ずしも成功する可能性はない。
【0222】
そこで図45のように、ゾーンZ01〜Z18に分割し、各ゾーンごとに成功したリトライシーケンスのシーケンス番号を保存する。このため新たなリトライ時には、そのときのゾーン番号による同じゾーンで成功した過去のリトライシーケンスのシーケンス番号を認識し、同一ゾーンの成功結果を反映したリトライを行うことでリトライの成功率を大幅に高めることができる。
【0223】
図46は、図41のリトライ履歴テーブル190の他の実施形態であり、媒体容量分割リトライ履歴テーブル190−3としたことを特徴とする。本発明の光学的記憶装置にあっては、128MB、230MB、540MB、640MB、1.3GBの媒体容量の異なる媒体カートリッジをサポートしており、媒体容量に応じて例えばトラックピッチが異なり、また書込み,読出しのための各種のパラメータの最適値も異なることから、媒体容量に分けて、成功したリトライシーケンスのシーケンス番号、即ち成功したパラメータ設定情報を保存することが望ましい。
【0224】
図47は、図41のリトライ履歴テーブル190の他の実施形態であり、シーク距離分割リトライ履歴テーブル190−4としたことを特徴とする。リード動作の際のエラーが光ビームの位置付け動作によって発生する場合、光ビームの移動するシーク距離により成功するリトライに必要なパラメータの設定値が異なる。
【0225】
そこで過去の成功したリトライのパラメータ設定情報をシーク距離で分けて保存しておくことで、新たなリトライ発生時にそのときのシーク距離に適合した適切なリトライ成功のためのパラメータ設定情報を使用して、高い成功率でリトライすることができる。
【0226】
図47のシーク距離分割リトライ履歴テーブル190−4にあっては、例えばMSR媒体におけるアウタからのトラック番号でシーク距離を分割しており、このシーク距離の分割に対応して、各シーク距離で成功したリトライシーケンスのシーケンス番号を保存している。
【0227】
図48は、図41のリトライ履歴テーブル190の他の実施形態であり、図44〜図47のリトライ履歴テーブルにあっては、過去に成功したリトライシーケンスのパラメータ設定情報のみを保存しているが、この実施形態にあっては、過去に成功したリトライシーケンスの成功回数を、成功した設定パラメータを表わすシーケンス番号SEQiごとに保存したことを特徴とする。
【0228】
図48は温度分割リトライ履歴テーブル190−5であり、成功リトライシーケンスSEQiとしてシーケンス番号i=1〜14を設けており、このシーケンス番号SEQ1〜14は、例えば図42のMSR媒体のシーケンス番号に対応する各パラメータのリトライオフセットを意味する。
【0229】
そして0℃から60℃までの10℃単位の温度範囲のそれぞれについて、シーケンス番号SEQi=1〜14のそれぞれにつき、過去に成功したリードリトライの成功回数が保存されている。例えば0℃以上10℃未満の温度範囲を見ると、シーケンス番号SEQ3の成功回数が4回であり、このシーケンス番号SEQ3は図42からリードパワーPrを+Δpr変更させたパラメータ設定値のリトライの成功回数を意味する。
【0230】
この図48の温度分割リトライ履歴テーブル190−5を使用したリトライ処理は、リトライ時の装置温度に該当する成功リトライシーケンス番号SEQ1〜14の内、成功率の最も高いリトライシーケンスを第1回目にリトライとし、1回目で不成功となったら、次に成功回数の高いリトライシーケンスを実行し、以下成功回数が高い順番から低い順番となるようにリトライシーケンスを実行することで、リトライの成功率を大幅に高めることができる。
【0231】
図49は、成功回数を保存したゾーン分割リトライ履歴テーブル190−6の実施形態である。この場合にもゾーンZ01〜Z18に分けて成功リトライシーケンスSEQ1〜14ごとに過去の成功回数が保存されており、新たなリトライ時には最も成功回数の高いシーケンスSEQiから順番にリトライを実行する。
【0232】
図50は、成功回数を保存した容量分割リトライ履歴テーブル190−7であり、同様に媒体容量に対応したリトライシーケンスSEQ1〜SEQ14の中の最も成功回数の高いリトライシーケンスから順番にリトライを実行する。
【0233】
ここで1.3GB媒体は、図42に対応してリトライシーケンスSEQ1〜14について成功回数を保存しているが、128MB、230MB、540MB及び640MBの各媒体については、図43のようにリトライシーケンスSEQ1〜12について成功回数を格納している。
【0234】
図51は、図41のリードリトライ処理を含むリード処理のフローチャートである。ステップS1で目標セクタにシーク動作を実行し、ステップS2で目標セクタのリードを実行し、ステップS3でリード成功であればリード動作を正常終了する。ステップS3でリード不成功であれば、ステップS4に進み、リトライ履歴テーブル190から成功率の高いリトライシーケンスを選択し、ステップS5でリードリトライを実行する。
【0235】
ここで第1回目のリードリトライにあっては、リトライ履歴情報が存在しないことから、この場合には例えば図42のリトライシーケンス195−1のシーケンス番号に従ってリードリトライを実行する。リードリトライが1回でも成功すれば、リトライ履歴テーブル190に成功したリトライシーケンスが格納されるため、新たなリトライの際には前回成功したリトライシーケンスを選択してリードリトライを実行するか、過去のリトライの中の成功率の最も高いリトライシーケンスから順番に選択してリードリトライを実行する。
【0236】
ステップS6でリトライが成功すれば、ステップS9で、成功したリトライシーケンスをリトライ履歴テーブル190に記憶して保存する。このときリトライ履歴テーブル190が図44,図45,図46,図47の構造であれば、成功したリトライシーケンスのシーケンス番号を対応する区分に格納して更新する。
【0237】
また図48,図49,図50の成功回数を保存したテーブル構造であれば、温度、ゾーン、媒体容量等の区分に対応した成功したシーケンス番号の成功回数をインクリメントする。
【0238】
ステップS6でリトライが不成功であった場合には、ステップS7で全シーケンスを選択するまで、ステップS8で次に成功率の高いリトライシーケンスを選択して、ステップS5のリードリトライ処理を行う。 このとき図48,図49,図50の成功回数を格納したテーブル構造にあっては、成功率の高い順に順次選択することができる、しかし、図44〜図47の最新の成功リトライシーケンスのみを保存しているテーブル構造では、1回目で成功したリトライシーケンスを選択できるが、1回目でリトライが不成功になると2回目については固定的に決まったシーケンス番号の次のシーケンスを選択することとなり、この場合には成功の可能性は高まらない。
【0239】
そこで図44〜図47についても、それ以前に成功した異なるパラメータの成功シーケンス番号を保存しておき、1回目のリトライで不成功であれば、2回目については前々回に成功した別のシーケンスを選択してリトライするようにしてもよい。
【0240】
図52は、図41のライト処理部182及びライトリトライ処理部184によるライト処理のフローチャートである。ステップS1で目標セクタに光ビームを位置付けるシーク動作を実行し、ステップS2で目標セクタのイレーズを実行し、ステップS3でライトを実行し、ステップS4でベリファイリードを実行する。ステップS5でベリファイ成功が判別されると、ライト動作は正常終了となる。
【0241】
ステップS5でベリファイ不成功であれば、ステップS6に進み、ステップS1でベリファイリトライとしてリードリトライ処理を実行する。このステップS7〜S12におけるベリファイリトライとしてのリードリトライ処理も、図51のリード処理におけるステップS5〜S10のリードリトライ処理と同じになる。
【0242】
また図52のベリファイリトライのためのリードリトライ処理について、リードリトライを行ってもリトライ不成功であった場合には、図38のステップS10及び図39に示したように、ライトリトライを行うようにしてもよい。
【0243】
尚、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なわない範囲の適宜の変形を含む。また本発明は、上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【図面の簡単な説明】
【0244】
【図1】本発明の原理説明図
【図2】本発明による光ディスクドライブのブロック図
【図3】MOカートリッジをローディングした装置内部構造の説明図
【図4】MSR媒体のリードリトライ処理を実行する第1実施形態の機能ブロック図
【図5】ゾーン分割したデフォルトテーブルの説明図
【図6】ゾーン分割したテストリードオフセットのテーブル説明図
【図7】リトライ回数毎にリトライオフセットを設定したテーブルの説明図
【図8】図7のテーブルの具体例の説明図
【図9】テストリードによりNCR特性に基づく再生磁界最適値の算出処理の説明図
【図10】テストリードによりビット不一致数の特性に基づく再生磁界最適値の算出処理の説明図
【図11】エリア分割したデフォルトテーブルの説明図
【図12】エリア分割したテストリードオフセットのテーブル説明図
【図13】装置内温度で分割したテストリードオフセットのテーブル説明図
【図14】図4の第1実施例による磁界調整のリードリトライ処理のフローチャート
【図15】成功したリードリトライの統計情報の学習によりパラメータを更新する第2実施形態の機能ブロック図
【図16】ゾーン分割した各種パラメータのデフォルトを格納したテーブルの説明図
【図17】ゾーン分割した各種パラメータのテストリードオフセットを格納したテーブルの説明図
【図18】ゾーン分割した各種パラメータのリトライオフセットを格納したテーブルの説明図
【図19】リトライオフセットでパラメータを設定変更するリードLSIの回路ブロック図
【図20】エリア分割した各種パラメータのデフォルトを格納したテーブルの説明図
【図21】エリア分割した各種パラメータのテストリードオフセットを格納したテーブルの説明図
【図22】ゾーン分割した各種パラメータのリトライオフセットを格納したテーブルの説明図
【図23】装置内温度で分割した各種パラメータのデフォルトを格納したテーブルの説明図
【図24】装置内温度で分割した各種パラメータのテストリードオフセットを格納したテーブルの説明図
【図25】装置内温度で分割した各種パラメータのリトライオフセットを格納したテーブルの説明図
【図26】図15の第2実施形態によるリードリトライを含むリード処理のフローチャート
【図27】再生磁界を設定変更するリードリトライのフローチャート
【図28】リードパワーを設定変更するリードリトライのフローチャート
【図29】LPFのカットオフ周波数を設定変更するリードリトライのフローチャート
【図30】LPFのブーストを設定変更するリードリトライのフローチャート
【図31】スライスレベルを設定変更するリードリトライのフローチャート
【図32】データ弁別器のウィンドウを設定変更するリードリトライのフローチャート
【図33】フォーカスオフセットを設定変更するリードリトライのフローチャート
【図34】図15のリトライ成功の統計情報に基づくパラメータ更新処理のフローチャート
【図35】図15のテスト処理部によるパラメータ更新処理を含む処理動作のフローチャート
【図36】図35のテスト処理に先立つディスク起動処理のフローチャート
【図37】図35のテスト処理の必要性判断のフローチャート
【図38】図15の第2実施例におけるライトリトライを含むライト処理のフローチャート
【図39】図38のライトリトライ処理のフローチャート
【図40】ライトリトライ回数に対するライトリトライオフセットのテーブル説明図
【図41】成功した過去のリトライ情報を反映してリードリトライを実行する第3実施形態の機能ブロック図
【図42】MSR媒体を対象としたリトライシーケンスと設定変更するパラメータのリトライオフセットの対応説明図
【図43】MO媒体を対象としたリトライシーケンスと設定変更するパラメータのリトライオフセットの対応説明図
【図44】装置内温度で分割してリトライ成功のパラメータ情報を格納した履歴テーブルの説明図
【図45】ゾーン分割してリトライ成功のパラメータ情報を格納した履歴テーブルの説明図
【図46】媒体容量で分割してリトライ成功のパラメータ情報を格納した履歴テーブルの説明図
【図47】シーク距離で分割してリトライ成功のパラメータ情報を格納した履歴テーブルの説明図
【図48】装置内温度で分割して各パラメータのリトライ成功回数を格納した履歴テーブルの説明図
【図49】ゾーン分割して各パラメータのリトライ成功回数を格納した履歴テーブルの説明図
【図50】媒体容量で分割して各パラメータのリトライ成功回数を格納した履歴テーブルの説明図
【図51】図41の過去に成功したリトライ情報を反映したリードリトライを含むリード処理のフローチャート
【図52】図41の過去に成功したリトライ情報を反映したベリファイリトライを含むリード処理のフローチャート
【図53】MSR媒体のFAD再生動作の説明図
【図54】MSR媒体のダブルマスクRAD再生動作の説明図
【符号の説明】
【0245】
10:コントローラ
11:エンクロージャ
12:MPU
14:光ディスクコントローラ(ODC)
15:上位インタフェース
16:DSP
18:バッファメモリ
20:リードLSI
24:ライトLSI
30:レーザダイオードユニット
32:ID/MO用ディテクタ
34:ヘッドアンプ
36:温度センサ
38,42,54,58,62:ドライバ
40:スピンドルモータ
44:磁界印加部(電磁石等)
46:多分割ディテクタ
48:FES検出回路
50:TES検出回路
54:TZC検出回路
60:フォーカスアクチュエータ
64:レンズアクチェータ
68:VCM(キャリッジアクチュエータ)
67:ハウジング
69:インレットドア
70:MOカートリッジ
72:MO媒体
76:キャリッジ
78:固定光学系
80:対物レンズ
84,120,178:リード処理部
86,122,180:リードリトライ処理部
88,128,185:デフォルトテーブル
90,132,186:テストオフセットテーブル
92,134,188:リトライオフセットテーブル
94,135,192:レジスタ群
124,182:ライト処理部
125,184:ライトリトライ処理部
126:テスト処理部
134,192:リトライ履歴テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生に必要なパラメータを最適な値に設定することによって、前記光記憶媒体に記録されているデータを再生する再生部と、
前記再生部でリードエラーが発生した際のリードリトライ時に、過去の成功したリトライ情報に基づいて成功率の高いリードリトライを行い、リトライ成功時に成功したリトライ情報を保存するリトライ処理部と、
を備えたことを特徴とする光学的記憶装置。
【請求項2】
請求項1記載の光学的記憶装置に於いて、前記リトライ処理部は、更に、前記記録部でベリファイでリードエラーが発生した際のベリファイリトライ時に、過去の成功したリトライ情報に基づいてリードリトライを行い、リトライ成功時に成功したリトライ情報を保存することを特徴とする光学的記憶装置。
【請求項3】
請求項2記載の光学的記憶装置に於いて、前記リトライ処理部は、複数種類のパラメ一タを切り替えて設定変更しながらリトライを実行して成功したパラメータ設定値を統計情報として保存し、新たなリードリトライ時には、前回の成功したパラメータ設定値からリードリトライを開始し、リトライ成功時に成功したパラメータ設定値を記憶することを特徴とする光学的記憶装置。
【請求項4】
請求項2記載の光学的記憶装置に於いて、前記リトライ処理部は、複数種類のパラメータを切り替えて設定変更しながらリトライを実行して成功したパラメータ設定値と各パラメータ毎の成功回数を統計情報として保存し、新たなリードリトライ時には、前記統計情報の成功回数の多い順にパラメータ設定値を選択してリードリトライを繰り返すことを特徴とする光学的記憶装置。
【請求項5】
請求項2記載の光学的記憶装置に於いて、前記光記憶媒体としてレーザビームのビーム径より小さい記録密度で記録する磁気超解像媒体を使用した場合、再生に必要な前記パラメータとして、再生磁界、リードパワー、ローパスフィルタのカットオフ周波数とブースト、スライス回路のスライスレベル、データ弁別器のウィンドウ値(ウィンドウ遅延時間)、フォーカスオフセットを切り替えて設定変更しながらリトライを実行することを特徴とする光学的記憶装置。
【請求項6】
請求項2記載の光学的記憶装置に於いて、前記光記憶媒体としてレーザビームのビーム径に依存した記録密度で記録する光磁気媒体を使用した場合、再生に必要な前記パラメータとして、リードパワー、ローパスフィルタのカットオフ周波数とブースト、スライス回路のスライスレベル、データ弁別器のウィンドウ値(ウィンドウ遅延時間)、フォーカスオフセットを切り替えて設定変更しながらリトライを実行することを特徴とする光学的記憶装置。
【請求項7】
請求項2記載の光学的記憶装置に於いて、前記リトライ処理部は、リードリトライ時に、パラメータ設定値にリトライオフセットを加算するパラメータの設定変更と、パラメータ設定値からリトライオフセットを減算するパラメータの設定変更を、交互に繰り返すことを特徴とする光学的記憶装置。
【請求項8】
請求項2記載の光学的記憶装置に於いて、前記リトライ処理部は、前記リトライ成功時のパラメータ設定の統計情報を、装置内温度、媒体にフォーマットされた各ゾーン、前記光記録媒体の種別、又はシーク距離に応じて保存することを特徴とする光学的記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【公開番号】特開2006−260769(P2006−260769A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−147605(P2006−147605)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【分割の表示】特願平10−355927の分割
【原出願日】平成10年12月15日(1998.12.15)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】