説明

光学素子の製造方法

【課題】酸化ビスマスを含有するガラスにおいて、良好な透過率を有する光学ガラス成形品を製造する方法を提供する。
【解決手段】構成成分としてBiを含有する光学ガラス成形品を製造する方法であって、成形された光学ガラス及び/又は成形中の光学ガラスを、酸化性雰囲気又は非還元性雰囲気中で熱処理する工程を含むことを特徴とする方法。光学ガラスが、その構成成分として酸化物基準でB成分を含有するため、透過率を改善させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は酸化ビスマスを含有する光学ガラス及び光学ガラス成形品の製造方法と、当該製造方法により製造される光学ガラス成形体に関する。更に詳しくは、精密プレス成形により着色したレンズに再加熱処理を施すことで、透明なガラス成形品を得る製造方法、及び光学ガラス成形品を脱色させる処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光学系を使用する機器の集積化、高機能化が急速に進められており、光学系に対する高精度化、軽量化、小型化の要求がますます強まってきている。これに伴い、レンズ枚数の削減を図るため、高屈折率高分散ガラスの非球面レンズを使用して光学設計することが主流になりつつある。また、非球面レンズは精密プレスにより製造されることが多いため、安価に製造可能な低Tg光学ガラスが望まれている。精密プレス成形のメリットはレンズを研削研磨せずに、最終形状まで成形可能なことである。また、研削研磨加工の困難な非球面レンズも精密プレスのみで作製することが可能である
【0003】
高屈折率高分散領域ガラスとして多くのガラスが開発されているが、その多くはNbを高純度に含有したリン酸塩ガラスである。例えば特許文献1、2にはP−Nb−WO−(KO,NaO,LiO)系のガラスが特許文献3にはP−Nb−TiO−Bi−NaO系のガラスが開示されている。しかし、これらの光学ガラスはガラス転移点(Tg)はそれほど低いものではなく、また耐失透性が不十分という欠点がある。
【0004】
また、ガラス転移点(Tg)の低いガラスとして、Biを大量に含むガラスが開発されている。例えば、非特許文献1〜5には、Bi−Ga−PbO系,Bi−Ga−(LiO,KO,CsO)系,Bi−GeO系が開示されている。これらのガラスはTgが比較的低いが、ガラスの吸収端が450nmよりも長波長側にあるため、可視領域における透過率が十分でなく、可視領域に高い透過性が要求される光学ガラスとしては使用できないという問題点があった。
【特許文献1】特開2003−321245号公報
【特許文献2】特開平8−157231号公報
【特許文献3】特開2003−300751号公報
【非特許文献1】Physics and Chemistry of Glasses, P119,Vol.27 No.3 June 1986
【非特許文献2】American Ceramic Society, P.2315, Vol.75, No.9,October 1992
【非特許文献3】American Ceramic Society, P.10, Vol.75, No.9,October 1992
【非特許文献4】American Ceramic Society Bulletin, P.1543, Vol.71, No.10, October 1992
【非特許文献5】Glass Technology , P.106, Vol.28, No.2, April 1987
【0005】
また、酸化ビスマスを大量に含むガラスは、非酸化雰囲気下での加熱により黒く着色することがある。特に窒素ガスなどの非酸化性ガス下で精密プレス成形等を行うと、成形前は無色透明であったガラスが成形後に黒く変色し、透過率を大幅に低下させる現象が起こることがある。この現象は全てのBi系ガラスにおいて確認される現象ではなく、一定の条件が整うことで確認される現象である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は酸化ビスマスを含有するガラスにおいて、良好な透過率を有する光学ガラス成形品を製造する方法、この製造方法で得られた光学素子及び光学ガラスの透過率を改善させる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、Bi含有ガラスが精密プレス成形等により着色するのは、精密プレス成形を実施する際にガラスの温度が上昇することでガラスと周囲の非酸化性ガスとの反応性が高まり、ガラス中のBiが還元されることに起因するものであることを突き止めた。そこで、光学ガラス成形品を、成形後及び/又は成形中に、酸化性雰囲気又は非還元性雰囲気中で熱処理することにより、前記着色を抑制又は減少させることができることを見出したのである。
【0008】
すなわち、上記目的を達成するための本発明の第1の構成は、構成成分として酸化物基準でBi成分を含有する光学ガラス成形品を製造する方法であって、成形された光学ガラス及び/又は成形中の光学ガラスを、酸化性雰囲気又は非還元性雰囲気中で熱処理する工程を含むことを特徴とする方法である。
【0009】
本発明の第2の構成は、前記光学ガラスが、その構成成分として酸化物基準でB成分を含有することを特徴とする前記構成1の方法である。
【0010】
本発明の第3の構成は、精密プレス成形された光学ガラス又は精密プレス成形中の光学ガラスを、酸化性雰囲気又は非還元性雰囲気中で熱処理する前記構成1及び2の製造方法である。
【0011】
本発明の第4の構成は、前記光学ガラスのガラス転移温度が530℃以下である前記構成1〜3の製造方法である。
【0012】
本発明の第5の構成は、前記光学ガラスの屈折率(nd)が1.60以上、アッべ数(νd)が10以上である前記構成1〜4の製造方法である。
【0013】
本発明の第6の構成は、酸化物基準で、
Bi:10%以上90%以下
+SiO+Al:0%を超え50%以下
RO+RnO:0%を超え50%以下
(ただし、RはZn,Ba,Sr,Ca,Mgより選択される1種以上を示し、RnはLi,Na,K,Csより選択される一種以上を示す。)
の組成の各成分を含む前記構成1〜5の製造方法である。
【0014】
本発明の第7の構成は、前記光学ガラスが、構成成分として酸化物基準で、Biを10〜70%含有する前記構成6の製造方法である。
本発明の第8の構成は、前記光学ガラスが、酸化物基準で、
LiO 0〜20%及び/又は
NaO 0〜20%及び/又は
O 0〜20%及び/又は
MgO 0〜20%及び/又は
CaO 0〜30%及び/又は
SrO 0〜40%及び/又は
BaO 0〜40%
の各組成を有する前記構成7の製造方法である
本発明の第9の構成は、前記光学ガラスが、酸化物基準で、
ZnO 0〜20%及び/又は
TiO 0〜15%及び/又は
Nb 0〜15%及び/又は
WO 0〜15%及び/又は
Sb 0〜3%
の各組成を有する前記構成8の製造方法である
【0015】
本発明の第9の構成は、前記構成1〜8の製造方法において、前記熱処理が、前記光学ガラスの屈伏点以下で加熱することを特徴とする方法である。
【0016】
本発明の第10の構成は、前記非還元性雰囲気が大気又は酸化性ガス雰囲気である前記構成1〜9の製造方法である。
【0017】
ここで、着色の度合いは非酸化雰囲気下で加熱した場合、屈伏点(At)を基準として、高温にするに従い濃く着色し、低温にするに従い淡く着色する傾向にある。これらを脱色するには酸化性雰囲気下または大気中にて加熱することが効果的と考える。
【0018】
前述のとおり、Biを含むガラスの着色現象は、ガラス中のBi3+が還元により色を持つBiに変化することが原因と考えられる。このような機構による着色現象は可逆的であり、着色させたい場合は還元させ、退色させたい場合は酸化させることで可能となる。
【0019】
本発明はBi成分を含んだ光学ガラスを酸化性雰囲気又は非還元性雰囲気中で加熱することを特徴とするものである。ここで、酸化性雰囲気又は非還元性雰囲気中とは、例えば酸素ガス、ハロゲン化酸素、酸素混合ガス(大気を含む)等が使用することができ、酸素ガス、または大気中で加熱処理を行うことが好ましい。
【0020】
また、当該ガラス成形品が、精密プレス成形されたものである場合には、その加熱温度が特に屈伏点以上となるとレンズが変形してしまう傾向があり、屈伏点以下で加熱することが好ましい。また(Tg+At)/2の温度以下で加熱処理することがより好ましく、ガラス転移温度以下で加熱することが最も好ましい。もちろん、当該処理はプレス品のアニール処理における雰囲気を調節することにより行うことも可能である。
【0021】
本発明の対象となるBi含有ガラスは、光学設計上のニーズより屈折率1.60以上、アッベ数10〜40、より好ましくは屈折率1.65以上、アッベ数15〜35、最も好ましくは屈折率1.75以上、アッベ数15〜30のものが好ましい。なお屈折率の上限は特に定めるものではないが、2.3を上限とすることが好ましい。
【0022】
本発明の対象となるBi含有ガラスは、精密プレス成形における作業性等の観点から、そのガラス転移温度(Tg)が580℃以下、より好ましくは530℃以下、最も好ましくは470℃以下である。
【0023】
次に本発明のガラスに含まれる成分について説明する。本願明細書中においては特に断らない限りは、ガラス組成は全て酸化物基準での質量%で表されたものである。ここで「酸化物基準」とは、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、硝酸塩等が溶融時にすべて分解され、酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の質量の総和を100質量%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
【0024】
<必須成分、任意成分について>
Biはガラスの安定性の向上、及び、高屈折率高分散化、低Tg化、化学的耐久性の向上等を実現するために欠かせない成分である。しかし、その量が多すぎるとプレス前のガラス自体の透過率を悪化させることがあり、また少なすぎると光学設計ニーズの高い光学定数を満たすことを困難にする。したがって、Bi量は好ましくは10%以上、
より好ましくは15%、最も好ましくは20%を下限とし、好ましくは90%未満、より好ましくは88%、最も好ましくは75%を上限とする。
【0025】
、SiO及びAlはガラス形成成分として非常に有用な成分であり、透過率の向上や液相温度に対する粘性の向上、化学的耐久性を向上させることができる成分である。したがって、これら成分の1種以上の合計含有量が0%を超えることが好ましく、3%以上とすることが好ましく、更に好ましくは、7%以上含有する。ただし、これらの成分の合計含有量が多すぎるとTgが高くなる傾向があり、好ましくは50%、より好ましくは45%、最も好ましくは40%を上限とする。また、この範囲で製造を行うことで、液相温度が低く安定したガラスを得ることができる。
【0026】
なお、「液相温度」とは一定の粒度で粉砕したガラス試料を白金板上にのせ、温度傾斜のついた炉内に30分間保持した後、取り出し、軟化したガラスの結晶の有無を顕微鏡にて観察し、結晶が認められない最も低い温度を表す。
【0027】
RO(R=Zn,Ba,Sr,Ca,Mg)はガラスの溶融性の向上及び、任意の光学恒数に調整する為に含有させる。RnO(Rn=Li,Na,K,Cs)はガラスの溶融性向上及びTgの降下を容易にするために含有させる。ただし、RnO成分をフリーにしても、目的のTg=530℃以下が満たせることができるため、化学的耐久性向上を考慮するとRnO成分をフリーにすることも可能である。これらRO及びRnO成分の合計含有量は、0%を超えることが好ましく、さらに好ましくは1%を超えて含有させ、最も好ましくは3%以上含有する。また、RO及びRnO成分の合計含有量が多すぎると液相温度の上昇や、化学的耐久性の低下が生じることがあるため、その合計含有量は、好ましくは50%、より好ましくは45%、最も好ましくは40%を上限とする。
【0028】
LiOは低Tg化、ガラス安定性、熔融性向上に効果のある成分であるが、その量が多すぎると化学的耐久性が低下しやすくなる。したがって、好ましくは20%、より好ましく10%、最も好ましくは5%を上限とする。
【0029】
NaOは低Tg化、熔融性向上の効果のある成分であるが、その量が多すぎるとガラス安定性の低下、化学的耐久性が低下しやすくなる。したがって、好ましくは20%、より好ましく10%、最も好ましくは5%を上限とする。
【0030】
Oは低Tg化の効果のある成分であるが、その量が多すぎるとガラス安定性の低下、化学的耐久性が低下しやすくなる。したがって、好ましくは20%、より好ましく10%、最も好ましくは5%を上限とする。
【0031】
MgOは大幅に高分散化させる効果のある成分であるが、その量が多すぎるとプレス温度域での耐失透性低下をまねくことがある。したがって、好ましくは20%、より好ましくは10%、最も好ましくは5%を上限とする。
【0032】
CaOは透過率向上、ガラス安定性の向上効果のある成分であるが、その量が多すぎるとガラス安定性が低下しやすくなる。したがって、好ましくは30%、より好ましくは20%、最も好ましくは15%を上限とする。
【0033】
SrOはガラスを高屈折率高分散に保つ効果のある成分であるが、その量が多すぎると透過率を低下させやすくする。したがって、好ましくは40%、より好ましくは15%、最も好ましくは10%を上限とする。
【0034】
BaOはガラスを高屈折率化させ、ガラス安定性に効果のある成分であるが、その量が多すぎると化学的耐久性を下げ、ガラス安定性を低下させやすくする。したがって、好ましくは40%、より好ましくは15%、最も好ましくは10%を上限とする。
【0035】
ZnOは化学的耐久性向上、透過率向上に効果のある成分であるが、その量が多すぎるとガラス安定性を低下させやすくする。したがって、好ましくは20%、より好ましくは15%、最も好ましくは10%を上限とする。
【0036】
TiOは光学恒数を高屈折率高分散に調整するために効果のある成分であるが、その量が多すぎると透過率を低下させ、ガラス安定性を低下させやすくする。したがって、好ましくは15%、より好ましくは10%、最も好ましくは5%を上限とする。
【0037】
Nbはガラスの高屈折率化に効果のある成分であるが、その量が多すぎるとガラス安定性を低下させやすくする。したがって、好ましくは15%、より好ましくは10%、最も好ましくは5%を上限とする。
【0038】
WOはガラスを高分散化させる効果のある成分であるが、その量が多すぎるとガラス安定性の低下、透過率を悪化させやすくする。したがって、好ましくは15%、より好ましくは10%、最も好ましくは5%を上限とする。
【0039】
Sbは脱泡剤、ガラスの酸化還元性調整、高分散化の効果のある成分であるが、その量が多すぎると溶融性の悪化、透過率を低下させやすくする。したがって、好ましくは3%、より好ましくは2%、最も好ましくは1%を上限とする。
【0040】
本発明においては、他の成分を本発明のガラスの特性を損なわない範囲で必要に応じ、添加することができる。ただし、Tiを除くV,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Ag及びMo等の各遷移金属成分は、それぞれを単独又は複合して少量含有した場合においても、ガラスが着色し、可視域の特定の波長に吸収を生じさせる。したがって、可視領域の波長を使用する光学ガラスにおいては、実質的に含まないことが好ましい。
【0041】
Th成分は高屈折率化又はガラスとしての安定性向上を目的として、Cd及びTl成分は低Tg化を目的として含有することができる。しかし、Pb,Th,Cd,Tl,Osの各成分は、近年有害な化学物質成分として使用を控える傾向にあるため、ガラスの製造工程のみならず、加工工程、及び製品化後の処分に至るまで環境対策上の措置が必要とされる。したがって、環境上の影響を重視する場合には実質的に含まない方が好ましい。
【0042】
鉛成分は、ガラスを製造、加工、及び廃棄をする際に環境対策上の措置を講ずる必要があるため、コストが高くなり、本発明のガラスに鉛成分を含有させるべきでない。
【0043】
Asは、ガラスを溶融する際、泡切れ(脱法性)を良くするために使用されている成分であるが、ガラスを製造、加工、及び廃棄をする際に環境対策上の措置を講ずる必要があるため、本発明のガラスにAsを含有させることが好ましくない。
【実施例】
【0044】
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下に限定されるものではない。本発明の実施例において着脱色処理を行ったガラス組成と光学定数、Tg点を示す。いずれも上記で述べたとおり低Tgかつ高屈折率高分散の光学ガラスである。本発明の熱処理方法が適用できるガラスとしては、前述のとおり所定量のBiを含有するものが好ましいが、その一例を表1及び2に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】
















【0047】
表1中、実施例1に示したガラスを、通常のガラス原料を用いて調合・混合後、石英坩堝を用いて900℃×1時間で熔融ガラスを作製し、それを白金坩堝へ移して1000℃×2時間で脱泡・攪拌後、キャストして作製した。また、徐冷のため450℃で2時間保持し、8時間かけて200℃降温した。なお、上記の熔解条件は一例であり、ガラスの状態を見て適正な条件に変更することができる。
【0048】
徐冷直後のガラス(以下、元材とする)は淡い黄色であった。このガラスを切断機にて1cm各のキュービック状に切断し、更に表面を研磨し、窒素ガス下にて加熱処理をした。ここで窒素ガス処理したのは、一般的に窒素ガス下で加熱して実施される精密プレスを再現する為である。
【0049】
この際の熱処理は成形をしない状態の精密プレス機中で行い、屈伏点(At)の482℃まで昇温:8.8K/sec,保持時間:300sec、降温:2.24K/secの条件で実施した。着色はガラス表面から徐々に内側に向かって進行した。また、熱処理温度の上昇または処理時間が長くなるに従い、ガラスの着色は激しくなる傾向にあった。
【0050】
図1に、実施例1のガラスの加熱処理前透過スペクトルと、前述条件で処理した後の透過スペクトルを示す。図1のように元材の透過スペクトルから熱処理することで、450nmにおける透過率が10%程度劣化することが確認できる。透過率は、日本光学硝子工業会規格JOGIS02に準じて行った。具体的には厚さ10±0.1mmの対面平行研磨品をJISZ8722に準じ、200〜800nmの分光透過率を測定するものである。
【0051】
実施例1にて着色したガラスの退色操作はアニール炉を用いて、大気中でガラス転移点(Tg)の442℃まで1時間で昇温させ、2時間保持後、8時間かけて200℃まで降温して行なった。また、熱処理温度の上昇または処理時間が長くなるに従い、ガラスの退色を促進させることができる。
【0052】
図2に上記熱処理による透過スペクトルの変化を示す。大気中での加熱処理により透過スペクトルが元材と同等まで戻っていることが見受けられる。実施例1以外の実施例も上記処理で着色操作、退色操作が可能である。
【0053】
上記処理を応用して部分的に加熱し、非酸化性ガスを吹き付けることで部分的に着色させることも可能であり、ガラスバルク中に透過率の差を生じさせることも当然に可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施例1のガラスの加熱処理前透過スペクトルと、前述条件で処理した後の透過スペクトル
【図2】熱処理による透過スペクトルの変化

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成成分として、酸化物基準でBi成分を含有する光学ガラス成形品を製造する方法であって、成形された光学ガラス及び/又は成形中の光学ガラスを、酸化性雰囲気又は非還元性雰囲気中で熱処理する工程を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記光学ガラスが、その構成成分として酸化物基準でB成分を含有することを特徴とする請求項1の方法。
【請求項3】
精密プレス成形された光学ガラス又は精密プレス成形中の光学ガラスを、酸化性雰囲気又は非還元性雰囲気中で熱処理することを特徴とする請求項1又は2の製造方法。
【請求項4】
前記光学ガラスのガラス転移温度が530℃以下である請求項1〜3のいずれかの製造方法。
【請求項5】
前記光学ガラスの屈折率(nd)が1.60以上、アッべ数(νd)が10以上である請求項1〜4のいずれかの製造方法。
【請求項6】
酸化物基準で、
Bi:10%以上90%以下
+SiO+Al:0%を超え50%以下
RO+RnO:0%を超え50%以下
(ただし、RはZn,Ba,Sr,Ca,Mgより選択される1種以上を示し、RnはLi,Na,K,Csより選択される一種以上を示す。)
の組成の各成分を含む請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
前記光学ガラスが、構成成分として酸化物基準で、Biを10〜70%含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
前記光学ガラスが、構成成分として酸化物基準で、
LiO 0〜20%及び/又は
NaO 0〜20%及び/又は
O 0〜20%及び/又は
MgO 0〜20%及び/又は
CaO 0〜30%及び/又は
SrO 0〜40%及び/又は
BaO 0〜40%
の各組成を有する請求項7に記載の製造方法
【請求項9】
前記光学ガラスが、構成成分として酸化物基準で、
ZnO 0〜20%及び/又は
TiO 0〜15%及び/又は
Nb 0〜15%及び/又は
WO 0〜15%及び/又は
Sb 0〜3%
の各組成を有する前記構成8に記載の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9の製造方法において、前記熱処理が、前記光学ガラスの屈伏点以下で加熱することを特徴とする方法。
【請求項11】
前記非還元性雰囲気が大気又は酸化性ガス雰囲気であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−197258(P2007−197258A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−17749(P2006−17749)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(000128784)株式会社オハラ (539)
【Fターム(参考)】