説明

光学表示装置の製造方法、及びそれに用いるロール原反

【課題】トータルコストを削減しつつ貼り合わせの精度向上と高速性を担保することができる光学表示装置の製造方法及びそれに用いることができるロール原反を提供する。
【解決手段】前記光学フィルムと粘着剤層と離型フィルムとをこの順で積層した長尺シート状製品が、前記偏光板の吸収軸に平行又は一定の角度で前記光学表示ユニットの短辺又は長辺に対応する幅でスリット加工された状態で巻回されているロール原反から、前記長尺シート状製品を繰り出して搬送する工程と、搬送される前記長尺シート状製品の光学フィルムを検査して欠点を検出する工程と、検出した欠点を避けながら、離型フィルムを残して前記長尺シート状製品を前記光学表示ユニットの長辺又は短辺に対応する長さに切断する工程と、前記切断された良品の光学フィルムに対しては前記光学表示ユニットの表面に貼り合せる工程と、欠点を有する部分に対しては、これを排除する工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板を含む光学フィルムを光学表示ユニットに貼り合せた光学表示装置の製造方法、及びそれに用いるロール原反に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル等の光学表示装置の製造において、液晶セル等の形状単位に偏光子を含む光学フィルムを予め打ち抜き等して貼り合せる方法がある。さらに、この方式で用いる枚葉の光学フィルムは、例えば端面からの粘着剤のはみ出しを抑える端面加工、塵や埃をきらうことによるクリーンルーム環境での梱包作業、次工程(例えばパネル貼り合わせ工程)に輸送する際に生じる汚れや傷の問題、それに伴う検査工程、液晶セルの品種毎に在庫を保管するなど、多工程によるコストの増加や、保管、管理といった製造管理コストの増加が避けられない。また、この枚葉の光学フィルムにおいては、液晶セルとの貼合はバッチ式で行うことになる。バッチ式の貼合では、枚葉な光学フィルム1枚毎で位置の調整をして液晶セルに貼合する。そのために、貼りあわせ速度を高くすることができず、高速連続生産は不可能となる。さらに、光学フィルムの端面を重ねて収納するために端面の粘着剤による汚れや異物の問題がある。これらの問題は、枚葉のフィルム製造とあわせて、液晶パネル製造のコストを増大させる原因となっている。
【0003】
そこで、長尺な偏光板の如き長尺状光学フィルムをロール状に捲回して、これを繰り出して切断し、連続的に貼り合せる方法が各種提案されている。そして、この連続貼り合わせ方法においては、繰り出される光学フィルムをライン上で検査確認し、欠点部分を排除しながら貼り合せることにより、液晶パネルの品質を向上することが有用である。このように長尺状の光学フィルムの検査をライン上で行い、光学フィルムの欠点部分を切除しながら貼り合せる方法としては以下の方法が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
特許文献1には、光学フィルムと粘着剤層と離型フィルムとを有する長尺シート状製品のロール原反から、前記長尺シート状製品を繰り出して搬送しながら、光学フィルムの欠点を検査して欠点位置の直後から、前記光学表示ユニットに対応する長さに前記長尺シート状製品を離型フィルムを残して順次切断した後(欠点を検出した場合は再度欠点位置の直後を切断する)、前記光学フィルムの欠点を有する短尺部分を排除した後に、残りの光学フィルムを光学表示ユニットの表面に貼り合せる光学表示装置の製造方法が記載されている。
【0005】
しかし、このような欠点の検査においては、欠点部分をセンサーが検知して切除する機構とされているため、欠点が近接した領域に複数存在すると、センサーが欠点の度毎に反応して光学フィルムの切断が断続的となる。そのため、欠点が近接した領域に複数存在すると、却って貼り合せ速度が低下してしまうという問題がある。
【0006】
一方、特許文献2では欠点検査に基づき欠点部を避けるように所定サイズに光学フィルムを打ち抜き又は切断する方法が開示されている。しかし、この方法では、粘着剤層を保護する離型フィルムも同時に切断してしまうため、液晶セルへの貼り合わせがバッチ式となる。また、欠点部分の排除について欠点が近接した領域に複数存在した場合に如何に切断幅を制御するかが課題である。
【0007】
この点に関しては、偏光板等の光学フィルムを加工する場合に、検査結果に基づいてフィルムのエリア毎に良不良の判定を行ない、欠点位置を避けて打ち抜き等する方法が提案されているので(特許文献3)、これを参酌することも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭57−052017号公報
【特許文献2】特開2007−140046号公報
【特許文献3】特許第3997740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、このような打ち抜きする方法では、欠点部分を避けて打ち抜く際に、欠点部分の位置如何により打ち抜き刃を左右に移動させるように制御しなければならず、切断速度を高速化することが困難である。また、長尺な光学フィルムの打ち抜きでは、図10のように、ロス部分Lが多く生じ、コストの増加が避けられない。さらに、製品に活用される部分が打ち抜かれるため、その後の貼り合せ工程がバッチ式となる。従って、特許文献3に開示された方法を参酌しても、特許文献1、2と同様に貼り合せ工程を高速連続生産とすることは困難である。
【0010】
本発明の目的は、叙上の如き従来技術の課題を解決して、トータルコストを削減しつつ貼り合わせの精度向上と高速性を担保することができる光学表示装置の製造方法及びその製造方法に好適に用いることができるロール原反を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。
即ち、本発明の光学表示装置の製造方法は、偏光板を含む光学フィルムを光学表示ユニットに貼り合せた光学表示装置の製造方法であって、前記光学フィルムと粘着剤層と離型フィルムとをこの順で積層した長尺シート状製品が、前記偏光板の吸収軸に平行又は一定の角度で前記光学表示ユニットの短辺又は長辺に対応する幅でスリット加工された状態で巻回されているロール原反から、前記長尺シート状製品を繰り出して搬送する工程と、搬送される前記長尺シート状製品の光学フィルムを検査して欠点を検出する工程と、検出した欠点を避けながら、離型フィルムを残して前記長尺シート状製品を前記光学表示ユニットの長辺又は短辺に対応する長さに切断する工程と、前記切断された良品の光学フィルムに対しては、これを前記光学表示ユニットの表面に貼り合せる工程と、前記光学フィルムの欠点を有する部分に対しては、これを排除する工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の光学表示装置の製造方法によると、光学フィルムと粘着剤層と離型フィルムとをこの順で積層した長尺シート状製品が、前記偏光板の吸収軸に平行又は一定の角度で前記光学表示ユニットの短辺又は長辺に対応する幅で予めスリット加工されたロール原反を使用するため、光学フィルムの切断が、単に幅方向に裁断するだけでよい。また、広幅の原反から所定のLCD製品の短辺幅/長辺幅に合わせてスリットして原反を製造するために、幅方向の残った部分も、活用することができる。すなわち、同じ幅かより小型のLCDパネルに合わせて再度あるいは同時にスリットすることで、従来廃棄していた端部も本願の製品として有効に利用することができ、総合的なフィルムの面積歩留を大幅に向上させることが可能になる。また、離型フィルムをキャリアにして光学フィルムを搬送させながら液晶セル等への貼り合わせを連続して行えるため、検査から貼り合わせまでを連続生産で行うことができる。従って、この製造方法で連続生産すれば、生産すればするほどトータルコスト及び生産量について、従来の方式に比較して優位になる。
【0013】
本発明の光学表示装置は、偏光板を含む光学フィルムを光学表示ユニットに貼り合せた光学表示装置の製造方法であって、前記光学フィルムと粘着剤層と離型フィルムとをこの順で積層した長尺シート状製品が、前記偏光板の吸収軸に平行又は一定の角度で前記光学表示ユニットの短辺又は長辺に対応する幅でスリット加工された状態で巻回され、欠点の位置を特定する欠点情報が付されたロール原反から、前記長尺シート状製品を繰り出して搬送する工程と、前記欠点情報に基づいて欠点を避けながら、離型フィルムを残して前記長尺シート状製品を前記光学表示ユニットの長辺又は短辺に対応する長さに切断する工程と、前記切断された良品の光学フィルムに対しては、これを前記光学表示ユニットの表面に貼り合せる工程と、前記光学フィルムの欠点を有する部分に対しては、これを排除する工程と、を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の光学表示装置の製造方法によると、同様の長尺シート状製品が、前記偏光板の吸収軸に平行又は一定の角度で前記光学表示ユニットの短辺又は長辺に対応する幅で予めスリット加工されたロール原反を使用するため、光学フィルムの切断が、単に幅方向に裁断するだけでよく、ロスLも少なくて済む。また、従来廃棄していた端部も液晶セル等のサイズに合わせて活用することができる。更に、離型フィルムをキャリアにして光学フィルムを搬送させながら液晶セル等への貼り合わせを連続して行えるため、切断から貼り合わせまでを連続生産で行うことができる。その際、予め欠点の位置を特定する欠点情報が付されたロール原反を使用するため、欠点を検出する工程を一連の工程から省くことができ、より生産速度を向上させることができる。従って、この製造方法で連続生産すれば、従来の方式に比較して、生産すればするほどコストダウンと生産速度の向上を図ることが可能である。
【0015】
上記において、前記ロール原反として、前記光学表示ユニットの短辺に対応する幅でスリット加工された状態で巻回されているものを使用し、前記長尺シート状製品を前記光学表示ユニットの長辺に対応する長さに切断する工程と、前記光学表示ユニットの長辺に対応する幅でスリット加工された状態で巻回されているものとを使用し、前記長尺シート状製品を前記光学表示ユニットの短辺に対応する長さに切断する工程とを含むことが好ましい。
【0016】
上記のように、光学表示ユニットの短辺に対応する幅でスリット加工されたロール原反と、長辺に対応する幅でスリット加工されたロール原反とをセットで用いることにより、各々を長辺及び短辺に対応する長さで切断するだけで、光学表示ユニットの短辺及び長辺に対応するサイズの光学フィルムを各々得ることができる。その際、各々の光学フィルムは、一方の吸収軸が光学表示ユニットの長辺に平行又は一定の角度となり、他方は短辺に平行又は一定の角度となるため、各々を光学表示ユニットに貼り合わせるだけで、精度良く上下の光学フィルムの吸収軸を直交させることができる。
【0017】
また、前記光学表示ユニットがVAモード又はIPSモードの液晶パネルであることが好ましい。殊に近年大型TV等で用いられるVAモード又はIPSモードの液晶パネルで光学表示ユニットが形成される場合には、第1光学フィルムと第2光学フィルムの偏光板の吸収軸を直交させればよいので、吸収軸に平行にスリット加工した第1及び第2のロールを繰り出し、幅方向に切断するだけでよく、生産速度を高くすることができる。特に、IPSモードの場合、電界無印加での液晶ダイレクタは通常パネルの辺に対し、平行もしくは垂直となっており、このダイレクタと吸収軸が平行になるように偏光板を貼り合わせることが、黒表示を得るうえで非常に重要である。これがズレると液晶パネルの位相差の影響が生じ、光漏れを生み、コントラスト比の低下を引き起こす。本発明において、偏光板の吸収軸の方向が光学フィルムの長辺又は短辺と平行である場合、液晶パネルの短辺もしくは長辺方向と平行に貼り合わされるので、容易にLCDの液晶ダイレクタの方向と一致させることができる。なお、VAモードの場合にも、2枚の偏光板の視角特性による影響で、黒モードのコントラストが上下/左右の方向だけ高いため、液晶パネルの短辺もしくは長辺方向と吸収軸が平行になるように偏光板を貼り合わせることが、黒表示を得るうえで非常に重要となる。
【0018】
一方、本発明のロール原反は、所定の長さに切断して光学表示ユニットの表面に貼り合せるためのロール原反であって、前記光学フィルムと粘着剤層と離型フィルムとをこの順で積層した長尺シート状製品が、前記偏光板の吸収軸に平行又は一定の角度で前記光学表示ユニットの短辺又は長辺に対応する幅でスリット加工された状態で巻回されていることを特徴とする。
【0019】
本発明のロール原反によると、光学フィルムと粘着剤層と離型フィルムとをこの順で積層した長尺シート状製品が、前記偏光板の吸収軸に平行又は一定の角度で前記光学表示ユニットの短辺又は長辺に対応する幅で予めスリット加工されているため、光学フィルムの切断が、単に幅方向に裁断するだけでよい。また、広幅の原反から所定のLCD製品の短辺幅/長辺幅に合わせてスリットして原反を製造するために、幅方向の残った部分も、活用することができる。すなわち、同じ幅かより小型のLCDパネルに合わせて再度あるいは同時にスリットすることで、従来廃棄していた端部も本願の製品として有効に利用することができ、総合的なフィルムの面積歩留を大幅に向上させることが可能になる。また、離型フィルムをキャリアにして粘着型光学フィルムを搬送させながら液晶セルへの貼り合わせを連続して行えるため、検査から貼り合わせまでを連続生産で行うことができる。従って、このロール原反で連続生産すれば、生産すればするほどトータルコスト及び生産量について、従来の方式に比較して優位になる。
【0020】
また、上記と同様の理由から、貼り合せに用いる前記光学表示ユニットがVAモード又はIPSモードの液晶パネルであることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に用いる製造システムによる工程を示すフローチャート
【図2】本発明に用いる製造システムの一例を説明するための図
【図3】本発明に用いる製造システムの一例を説明するための図
【図4】本発明に用いる製造システムの一例の装置構成について説明するための図
【図5】本発明に用いる製造システムの一例の装置構成について説明するための図
【図6】本発明に用いる製造システムの一例の装置構成について説明するための図
【図7】本発明に用いる製造システムの一例の装置構成について説明するための図
【図8】第1、第2光学フィルムの積層構造の一例について説明するための図
【図9】本発明のロール原反の製造方法に使用する製造装置の一例を示す概略正面図
【図10】本発明を従来法と対比する説明図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0023】
(ロール原反)
本発明のロール原反は、図3に示すように、所定の長さに切断して光学表示ユニットの表面に貼り合せるためのロール原反であって、第1ロールR1又は第2ロールR2に相当する。本発明のロール原反は、好ましくは、欠点を避けながら所定の長さに切断して光学表示ユニットの表面に貼り合せるのに使用され、より好ましくは、本発明の光学表示装置の製造方法に使用されるものである。
【0024】
第1ロールR1又は第2ロールR2は、偏光板を含む第1光学フィルムF11と粘着剤層と離型フィルムとをこの順で積層した長尺シート状製品が、前記偏光板の吸収軸に平行又は一定の角度で前記光学表示ユニットの短辺又は長辺に対応する幅でスリット加工された状態で、巻回されている。長尺シート状製品は、単体で巻回されていてもよいが、芯管等の芯材に巻回されていることが好ましい。
【0025】
本発明において、「光学表示ユニットの長辺又は短辺に対応させる」とは、光学表示ユニットの長辺又は短辺の長さに対応する光学フィルムの貼り合わせの長さ(露出部分を除いた長さ)を指し、光学表示ユニットの長辺又は短辺の長さと光学フィルムの幅とが同じである必要はない。
【0026】
本実施形態では、第1ロールR1と第2ロールR2とのいずれもが、それを構成する偏光板の吸収軸に平行にスリット加工されている例を示し、ロールの長手方向に吸収軸を有する例である。このため、貼り合わせ精度が良くなり、貼り合わせ後の光学表示装置の光学特性が良好になる。殊に近年大型TV等で用いられるVAモード又はIPSモードの液晶パネルで光学表示ユニットが形成される場合には、第1光学フィルムと第2光学フィルムの偏光板の吸収軸を直交させればよいので、吸収軸に平行にスリット加工した第1及び第2のロールを繰り出し、幅方向に切断するだけでよく、生産速度を高くすることができる。もちろん、TNモードの液晶セルでは偏光板の吸収軸に対してスリット加工の方向が45°方向になるようにしたものを用いることができる(例えば、斜め方向に延伸した偏光板原反を使用し、原反の長手方向に平行となるようにスリットすることで、偏光板の吸収軸に対するスリット方向が45°方向とすることができる)。つまり、本発明では偏光板の吸収軸に一定の角度でスリット加工されているものも使用することができる。
【0027】
貼り合わせ時の軸精度が光学特性に及ぼす影響は、具体的には次のような透過光強度とコントラスト比(CR)によって評価することができる。即ち、偏光板(日東電工社製CAT1463DU)の吸収軸に平行にスリット加工した第1ロールと、偏光板の吸収軸に対して角度を振ってスリット加工した第2ロールから、それぞれ、スリット方向と平行な1辺を有するように正方形(50mm×50mm)のサンプルを取り出し、日立ハイテク社製分光光度計U−4100を用いて2枚のサンプルを積層したときの透過率を測定した。その結果を表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
表1の結果が示すように、吸収軸同士の角度が90°から少しズレるだけで光漏れ(透過光強度)が顕著になり、コントラスト比(CR)も大きく低下することが分かる。
【0030】
(長尺シート状製品)
長尺シート状製品を構成する光学フィルムとしては、偏光板を含むもので有ればよく、偏光板、又は偏光板に位相差フィルム、輝度向上フィルム、それらフィルムの2以上の組み合わせを積層した光学フィルム等が例示される。偏光板は、偏光子を有するものであればよく、その片面又は両面に偏光子保護フィルム(透明保護フィルム)を有していてもよい。
【0031】
これら光学フィルムの表面には、保護用の透明フィルムが積層される場合がある。また、光学フィルムの一方表面には、例えば光学表示ユニットに貼り付けられるように、粘着剤層が形成され、この粘着剤層を保護するための離型フィルムが設けられる。また、光学フィルムのその他方表面には、例えば粘着剤層を介して表面保護フィルムが設けられる。
【0032】
各々の光学フィルムは、具体的には、例えば図8に示すような構造となる。例えば、第1シート製品F1の積層構造は、第1光学フィルムF11と、第1離型フィルムF12と、表面保護フィルムF13とを有する。第1光学フィルムF11は、第1偏光子F11aと、その一方面に接着剤層(不図示)を介した第1フィルムF11bと、その他方面に接着剤層(不図示)を介した第2フィルムF11cとで構成されている。
【0033】
第1、第2フィルムF11b、F11cは、例えば、偏光子保護フィルム(例えばトリアセチルセルロースフィルム、PETフィルム等)である。第2フィルムF11cは、第1粘着剤F14を介して光学表示ユニット面側に貼り合わされる。第1フィルムF11bには、表面処理を施すことができる。表面処理としては、例えば、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキングの防止や拡散ないしアンチグレア等を目的とした処理等が挙げられる。第1離型フィルムF12は、第2フィルムF11cと第1粘着剤層F14を介して設けられている。また、表面保護フィルムF13は、第1フィルムF11bと粘着剤層F15を介して設けられている。第1、第2フィルムF11b、F11cの具体的構成は後述する。以下において、偏光子と偏光子保護フィルムとの積層構造を偏光板を称することがある。
【0034】
また、第2シート製品F2の積層構造は、第1シート製品と同様の構成であるが、これに限定されない。第2シート製品F2は、第2光学フィルムF21と、第2離型フィルムF22と、表面保護フィルムF23とを有する。第2光学フィルムF21は、第2偏光子F21aと、その一方面に接着剤層(不図示)を介した第3フィルムF21bと、その他方面に接着剤層(不図示)を介した第4フィルムF21cとで構成されている。
【0035】
第3、第4フィルムF21b、F21cは、例えば、偏光子保護フィルム(例えばトリアセチルセルロースフィルム。PETフィルム等)である。第4フィルムF21cは、第2粘着剤層F24を介して光学表示ユニット面側に貼り合わされる。第3フィルムF21bには、表面処理を施すことができる。表面処理としては、例えば、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキングの防止や拡散ないしアンチグレア等を目的とした処理等が挙げられる。第2離型フィルムF22は、第4フィルムF21cと第2粘着剤層F24を介して設けられている。また、表面保護フィルムF23は、第3フィルムF21bと粘着剤層F25を介して設けられている。
【0036】
(ロール原反の製造方法)
第1ロールR1と第2ロールR2の幅は、光学表示ユニットの貼り合わせサイズに依存している。具体的には、光学表示ユニットの短辺に対応させて、第1ロールR1の幅が決定され、長辺に対応させて、第2ロールR2の幅が決定される。このため、本実施形態では、第1ロールR1と第2ロールR2とは、異なる幅を有しており、スリット前ロール原反(長尺原反)からスリット加工により、予め所定の幅にスリットされたものが使用される。
【0037】
本発明のスリット加工は、スリット前ロール原反を巻き戻しながら行う方法と、巻き戻さずに行う方法とがあり、いずれも採用できる。また、本発明では、長尺シート状製品の製造ラインにおいて、その巻回前にスリット加工を行ってもよい。
【0038】
従って、本発明のロール原反を製造する方法としては、次の製造方法を採用するのが好ましい。すなわち、ロール原反の製造方法としては、所定の長さに切断して光学表示ユニットの表面に貼り合せるためのロール原反の製造方法であって、偏光板を含む光学フィルムと粘着剤層と離型フィルムとをこの順で積層してなり、前記偏光板の吸収軸に平行な長手方向を有する長尺原反を、その長手方向に平行に前記光学表示ユニットの短辺又は長辺に対応する幅で切断するスリット工程と、スリット工程で得られた長尺シート状製品をロール状に巻回する巻回工程とを含むものである。
【0039】
図9は、本発明の製造方法に使用できるロール原反の製造装置の一例を示すものである。この製造装置は、長尺原反55のロールR0の巻き戻し機構40と、長尺原反55の切断機構50と、ロール原反R1,R2の巻回装置60とを備えている。長尺シート状製品の製造ラインにおいて、スリット工程を行う場合、巻き戻し機構40は不要になる。
【0040】
巻き戻し機構40は、ニップローラ57によって生じる張力等により、長尺原反55をロールR0から巻き戻すものであり、ニップローラ57とロールR0を回転・支持するロール支持部とを備える。このロール支持部には、制動機構、駆動機構、張力制御機構などを設けてもよい。
【0041】
切断機構50は、長尺原反55の裏面側に設けられた切断テーブル54と、長尺原反55の上方に設けられたレーザ装置51を備える。レーザの照射位置は固定され、長尺原反55の連続搬送により切断が進行する。レーザ装置51の代わりに、切断刃等を備えた切断装置を用いることも可能である。その場合、例えば、回転自在な円形の切断刃をスリットの方向に向けて所定間隔で配置し、前記切断刃と支持ロールとの間に長尺原反55を通過させながら、連続的にスリットを行うことが可能である。
【0042】
切断機構50は、長尺原反55の幅方向の複数箇所に設けられ(図には単数のみ記載)、スリット幅を変更できるように、長尺原反55の幅方向に移動して固定できる。例えば、切断機構50を3箇所に設けて、各々の照射位置の2つの間隔を光学表示ユニットの短辺と長辺とに対応する幅に設定することで、本発明のロール原反、即ちロール原反R1とロール原R2を同時に製造することができる。
【0043】
巻回装置60は、スリットされたロール原反R1,R2を巻回する装置である。巻回装置60は、スリット後のロール原反の数に合わせて、単数又は複数設けられ、端材を同様に巻回するための巻回装置を更に設けることが好ましい。図示した例では、端材をロールR3に巻回する巻回装置が設けられている。
【0044】
巻回装置60は、例えば、ロール原反R1,R2の巻回部61,62を備え、これが張力制御可能な回転駆動機構を有している。また、巻回部61,62はロール原反R1,R2又はその芯材を固定する機能を有する。巻回装置60では、例えば、巻回部61,62より前段に設けたニップローラ57で速度制御しながら、巻回部61,62により一定の速度でスリット後の長尺シート状製品56を巻回することができる。
【0045】
(光学表示ユニット)
本発明に用いられる光学表示ユニットとしては、例えば、液晶セルのガラス基板ユニット、有機EL発光体ユニット等が挙げられる。本発明は、長方形の外形を有する光学表示ユニットに有効であり、例えば、長辺/短辺が16/9であるものや、4/3であるものなどが用いられる。なお、光学表示ユニットとしては、予め、光学フィルム等の部材が積層一体化されたものであってもよい。
【0046】
(製造フローチャート)
図1に、光学表示装置の製造方法のフローチャートの一例を示す。図2に、光学表示装置の製造システムの一例の構成図を示す。図3に、光学表示装置の製造システムの一例の平面配置図を示す。
【0047】
本発明の光学表示装置の製造方法は、偏光板を含む光学フィルムを光学表示ユニットに貼り合せた光学表示装置の製造方法である。本実施形態では、第1切断貼合工程と第2切断貼合工程とを含む例を示すが、本発明の製造方法は、第1切断貼合工程と第2切断貼合工程との何れに適用してもよい。
【0048】
第1切断貼合工程は、前述した第1ロールを用いて、前記光学表示ユニットの長辺に対応する長さに切断した後、前記光学表示ユニットの一方表面に第1光学フィルムを貼り合せるものである。
【0049】
第2切断貼合工程は、前述した第2ロールを用いて、前記光学表示ユニットの短辺に対応する長さに切断した後、前記光学表示ユニットの他方表面に第2光学フィルムを貼り合せるものである。
【0050】
本発明の光学表示装置の製造方法は、より具体的には、前記のようなロール原反から、前記長尺シート状製品を繰り出して搬送する工程と、搬送される前記長尺シート状製品の光学フィルムを検査して欠点を検出する工程と、検出した欠点を避けながら、離型フィルムを残して前記長尺シート状製品を前記光学表示ユニットの長辺又は短辺に対応する長さに切断する工程と、前記切断された良品の光学フィルムに対しては、これを前記光学表示ユニットの表面に貼り合せる工程と、前記光学フィルムの欠点を有する部分に対しては、これを排除する工程と、を含む。以下、各工程について説明する。
【0051】
(1)第1ロール原反準備工程(図1、S1)。前述のようにして長尺の第1シート製品を第1ロール原反として準備する。
【0052】
以下の各工程は、工場内から隔離された隔離構造内において行なわれ、清浄度が維持されているのが好ましい。特に光学フィルムを光学表示ユニットに貼り合わせる貼合工程において清浄度が維持されていることが好ましい。
【0053】
(2)搬送工程(図1、S2)。準備され設置された第1ロール原反から第1シート製品F1を繰り出し、下流側に搬送する。第1シート製品F1を搬送する第1搬送装置12は、例えば、ニップローラ対、テンションローラ、回転駆動装置、アキュムレート装置A、センサー装置、制御装置等で構成されている。
【0054】
(3)第1検査工程(図1、S3)。第1シート製品F1の欠点を第1欠点検査装置14を用いて検査する。ここでの欠点検査方法としては、第1シート製品F1の両面に対し、透過光、反射光による画像撮影・画像処理する方法、検査用偏光フィルムをCCDカメラと検査対象物との間に、検査対象である偏光板の偏光軸とクロスニコルとなるように配置(0度クロスと称することがある)して画像撮影・画像処理する方法、検査用偏光フィルムをCCDカメラと検査対象物との間に、検査対象である偏光板の偏光軸と所定角度(例えば、0度より大きく10度以内の範囲)になるように配置(x度クロスと称することがある)して画像撮影・画像処理する方法が挙げられる。なお、画像処理のアルゴリズムは公知の方法を適用でき、例えば二値化処理による濃淡判定によって欠点を検出することができる。
【0055】
透過光による画像撮影・画像処理方法では、第1シート製品F1内部の異物が検出できる。反射光による画像撮影・画像処理方法では、第1シート製品F1表面の付着異物が検出できる。0度クロスによる画像撮影・画像処理方法では、主に、表面異物、汚れ、内部の異物等が輝点として検出できる。x度クロスによる画像撮影・画像処理方法では、主に、クニックを検出することができる。
【0056】
第1欠点検査装置14で得られた欠点の情報は、その位置情報(例えば、位置座標)とともに対応付けされて、制御装置1に送信され、後述する第1切断装置16による切断方法に寄与させることができる。
【0057】
(4)第1切断工程(図1、S4)。第1切断装置16は、第1離型フィルムF12を切断せずに、表面保護フィルムF13、粘着剤層F15、第1光学フィルムF11および第1粘着剤層F14を所定サイズに切断する。その結果、第1離型フィルムF12を第1光学フィルムF11の搬送媒体として使用することができる。
【0058】
切断長さに関しては、第1ロール原反の幅が短辺に対応する場合、光学フィルムを長辺に対応する長さで切断する。本実施形態では、図3に示すように、第1ロール原反(第1シート製品F1)の幅が、光学表示ユニットWの短辺に対応する場合の例を示す。
【0059】
切断手段としては、例えば、レーザ装置、カッター、その他の公知の切断手段等が挙げられる。第1欠点検査装置14で得られた欠点の情報に基づいて、欠点を避けるように切断するように構成される。これにより、第1シート製品F1の歩留まりが大幅に向上する。欠点を含む第1シート製品F1は、後述する第1排除装置19によって排除され、光学表示ユニットWには貼り付けされないように構成される。
【0060】
(5)第1光学フィルム貼合工程(図1、S5)。第1剥離装置17を用いて第1離型フィルムF12を除去しながら、第1貼合装置18を用いて当該第1離型フィルムF12が除去された第1光学フィルムF11を第1粘着剤層F14を介して光学表示ユニットWに貼り合せる。貼り合せに際し、後述するように、第1光学フィルムF11と光学表示ユニットWをロール対(181、182)で挟んで圧着する。
【0061】
(6−1)洗浄工程(図1、S6−1)。光学表示ユニットWは、例えば研磨洗浄装置および水洗浄装置によって、その表面が洗浄される。洗浄された光学表示ユニットWは、搬送機構Rによって、検査装置まで搬送される。搬送機構Rは、例えば、搬送用ローラ、搬送方向切り替え機構、回転駆動装置、センサー装置、制御装置等で構成される。研磨洗浄装置、水洗浄装置については後述する。
【0062】
(6−2)検査工程(図1、S6−2)。洗浄後の光学表示ユニットWは、例えば、検査装置によって、その表面が検査される。検査後の光学表示ユニットWは、搬送機構Rによって、第1貼合装置18まで搬送される。検査装置については後述する。
【0063】
これら、第1ロール原反準備工程、第1検査工程、第1切断工程、第1光学フィルム貼合工程、洗浄工程、検査工程のそれぞれの工程は連続した製造ラインで実行されることが好ましい。以上の一連の製造工程において、光学表示ユニットWの一方面に第1光学フィルムF11が貼り合わされた。以下では、その他面に第2光学フィルムF21を貼り合わる製造工程について説明する。
【0064】
(7)第2ロール原反準備工程(図1、S11)。前述のようにして長尺の第2シート製品F2を第2ロール原反として準備する。
【0065】
(8)搬送工程(図1、S12)。準備され設置された第2ロール原反から第2シート製品F2を繰り出し、下流側に搬送する。第2シート製品を搬送する第2搬送装置22は、例えば、ニップローラ対、テンションローラ、回転駆動装置、アキュムレート装置A、センサー装置、制御装置等で構成されている。
【0066】
(9)第2検査工程(図1、S13)。第2シート製品F2の欠点を第2欠点検査装置24を用いて検査する。ここでの欠点検査方法は、上述した第1欠点検査装置による方法と同様である。
【0067】
(10)第2切断工程(図1、S14)。第2切断装置26は、第2離型フィルムF22を切断せずに、表面保護フィルムF23、粘着剤層F25、第2光学フィルムF21および第2粘着剤層F24を所定サイズに切断する。具体的には、光学表示ユニットの長辺又は短辺の一方に対応させて、第2ロール原反の幅が短辺に対応する場合には、光学フィルムを長辺に対応する長さで切断し、または第2ロール原反の幅が長辺に対応する場合には、光学フィルムを短辺に対応する長さで切断する。本実施形態では、図3に示すように、第2ロール原反(第2シート製品F2)の幅が、光学表示ユニットWの長辺に対応する場合の例を示す。
【0068】
切断手段としては、例えば、カッター、その他の公知の切断手段等が挙げられる。第2欠点検査装置24で得られた欠点の情報に基づいて、欠点を避けるように切断するように構成される。これにより、第2シート製品F2の歩留まりが大幅に向上する。欠点を含む第2シート製品F2は、後述する第2排除装置29によって排除され、光学表示ユニットWには貼り付けされないように構成される。
【0069】
(11)第2光学フィルム貼合工程(図1、S15)。次いで、第2切断工程後に、第2剥離装置27を用いて第2離型フィルムF22を除去しながら、第2貼合装置28を用いて当該第2離型フィルムF22が除去された第2光学フィルムF21を、第2粘着剤層F24を介して、光学表示ユニットWの第1光学フィルムF11が貼り合わされている面と異なる面に貼り合せる。なお、第2光学フィルムF21を光学表示ユニットWに貼り合せる前に、搬送機構Rの搬送方向切り替え機構によって光学表示ユニットWを90度回転させ、第1光学フィルムF11と第2光学フィルムF21をクロスニコルの関係にする場合がある。
【0070】
つまり、本発明では、第1切断貼合工程で貼り合せた後の光学表示ユニットF11を、第2切断貼合工程での貼り合せ方向に旋回させる旋回工程を含むことが好ましい。本発明では、旋回後の光学表示ユニットWに貼り合わされた第1光学フィルムF11の長辺の方向と、切断後に貼り合わされる第2光学フィルムF21の長辺の方向とが、0±5°、好ましくは0±1°になるような角度で旋回工程を行うことが好ましい。例えば、供給される第1光学フィルムF11のライン方向と、供給される第2光学フィルムF21のライン方向とが平行(直線上も含む)である場合、旋回工程における旋回角度は、85〜95°が好ましい。貼り合せに際しては、後述するように、第2光学フィルムF21と光学表示ユニットWをロールで挟んで圧着する。
【0071】
(12)光学表示装置の検査工程(図1、S16)。検査装置は、光学表示ユニットWの両面に光学フィルムが貼着された光学表示装置を検査する。検査方法としては、光学表示装置の両面に対し、反射光による画像撮影・画像処理する方法が例示される。また他の方法として、検査用偏光フィルムをCCDカメラと検査対象物との間に設置する方法も例示される。なお、画像処理のアルゴリズムは公知の方法を適用でき、例えば二値化処理による濃淡判定によって欠点を検出することができる。
【0072】
(13)検査装置で得られた欠点の情報に基づいて、光学表示装置の良品判定がなされる。良品判定された光学表示装置は、次の実装工程に搬送される。不良品判定された場合、リワーク処理が施され、新たに光学フィルムが貼られ、次いで検査され、良品判定の場合、実装工程に移行し、不良品判定の場合、再度リワーク処理に移行するかあるいは廃棄処分される。
【0073】
以上の一連の製造工程において、第1光学フィルムF11の貼合工程と第2光学フィルムF21貼合工程とを連続した製造ラインで実行することによって、光学表示装置を好適に製造することができる。特に、上記各工程を工場内から隔離した隔離構造内部で行なうことで、清浄度が確保された環境で光学フィルムを光学表示ユニットに貼り合わせることができ、高品質の光学表示装置を製造することができる。
【0074】

本発明では、光学表示ユニットの短辺に対応する幅でスリット加工されたロール原反と、長辺に対応する幅でスリット加工されたロール原反とをセットで用いることにより、各々を長辺及び短辺に対応する長さで切断するだけで、光学表示ユニットの短辺及び長辺に対応するサイズの光学フィルムを各々得ることができる。その際、各々の光学フィルムは、一方の吸収軸が光学表示ユニットの長辺に平行又は一定の角度となり、他方は短辺に平行又は一定の角度となるため、各々を光学表示ユニットに貼り合わせるだけで、精度良く上下の光学フィルムの吸収軸を直交させることができる。
【0075】
(製造システムの全体の構成)
次に、本発明に用いる製造システムの全体の構成について説明する。本発明に用いる製造システムは、光学異方性を有する光学フィルムを光学表示ユニットに貼り合せた光学表示装置の製造システムであり、好ましくは、偏光板を含む光学フィルムを光学表示ユニットに貼り合せた光学表示装置の製造システムである。本発明に用いる製造システムは、第1切断貼合工程を行う第1切断貼合装置と、第2切断貼合工程を行う第2切断貼合装置とを備えている。
【0076】
本実施形態では、図3に示すように、光学表示ユニットWの供給装置M1と、第1光学フィルムF11の供給装置M2と、第1光学フィルムF11を貼り合せる第1貼合装置M3と、貼り合せ後の光学表示ユニットWを搬送して供給する搬送供給装置M4と、第2光学フィルムF21の供給装置M5と、第2光学フィルムF21を貼り合せる第2貼合装置M6とを備えている例を示す。この例では、第1切断貼合装置は、第1光学フィルムF11の供給装置M2と、第1光学フィルムF11を貼り合せる第1貼合装置M3とを含み、第2切断貼合装置は、第2光学フィルムF21の供給装置M5と、第2光学フィルムF21を貼り合せる第2貼合装置M6とを含んでいる。
【0077】
本実施形態では、図3に示すように、第1光学フィルムF11の供給装置M2と、第1貼合装置M3と、搬送供給装置M4と、第2光学フィルムF21の供給装置M5と、第2貼合装置M6とが、直線状に配置されると共に、第1貼合装置M3のパネル流れ方向に対して、垂直な方向から光学表示ユニットWが供給されるように、供給装置M1が配置されている例を示す。
【0078】
(製造システムの各部の構成)
以下に、本発明に用いる製造システムの各部の構成の一例について説明する。図4は、第1搬送装置12、第1検査前剥離装置13、第1欠点検査装置14、第1離型フィルム貼合装置15、第1切断装置16について示す図である。
【0079】
図5は、第1剥離装置17、第1貼合装置18、第1排除装置19について示す図である。図6は、第2搬送装置22、第2検査前剥離装置23、第2欠点検査装置24、第2離型フィルム貼合装置25、第2切断装置26について示す図である。図7は、第2剥離装置27、第2貼合装置28、第2排除装置29について示す図である。
【0080】
本発明に用いる製造システムは、光学表示ユニットWを供給する光学表示ユニットの供給装置M1を備えている。本実施形態では、光学表示ユニットの供給装置M1が、研磨洗浄装置、水洗浄装置、乾燥装置を備えている例を示す。本発明では、搬送機構Rのみで光学表示ユニットの供給装置M1を構成することも可能である。
【0081】
先ず、研磨洗浄装置について説明する。収納箱から光学表示ユニットWを取り出し、搬送機構Rに載置させる。光学表示ユニットWが洗浄位置に到達したら、搬送を停止し、光学表示ユニットWの端部を保持手段で保持する。研磨手段を垂直上方から光学表示ユニットWの上面に接触させ、研磨手段を垂直下方から光学表示ユニット下面に接触させる。それぞれの研磨手段を光学表示ユニットWの両表面において回転させる。これによって、光学表示ユニットWの両表面の付着異物が除去される。付着異物としては、例えば、ガラスの微小片(カレット)、繊維片等が例示される。
【0082】
次に、水洗浄装置について説明する。研磨洗浄された光学表示ユニットWは、搬送機構Rによって水浴に搬送され、ここで水洗浄される。水浴の内部は純水が流れている。水浴から搬送された光学表示ユニットWの両面は、流水パイプから流出される純水によって、更にすすぎ洗浄される。
【0083】
次いで、光学表示ユニットWは乾燥装置による清浄空気の送風によって水切りがなされる。次いで、光学表示ユニットWは、第1貼合装置18に搬送される。なお、別実施形態として、純水に代えて、エタノール水溶液を用いて洗浄することもできる。また、他の別実施形態として、水浴を省略することもできる。
【0084】
本発明に用いる製造システムは、第1光学フィルムF11を有する帯状シート状製品が巻き取られたロールから帯状シート状製品F1を引き出して、所定の長さに切断した後に供給する第1光学フィルムの供給装置M2を備えている。本実施形態では、第1光学フィルムの供給装置M2が、図4に示すように、第1搬送装置12、第1検査前剥離装置13、第1欠点検査装置14、第1離型フィルム貼合装置15、および第1切断装置16を備える例を示す。本発明では、第1検査前剥離装置13、第1欠点検査装置14、第1離型フィルム貼合装置15を備えることにより、第1光学フィルムの検査を精度良く行えるが、これらの装置は、省略することも可能である。
【0085】
本発明において、第1光学フィルムの供給装置M2は、光学表示ユニットの長辺と短辺とに対応させて、短辺に対応する幅の光学フィルムを長辺に対応する長さで切断するように構成され、あるいは長辺に対応する幅の光学フィルムを短辺に対応する長さで切断するように構成してある。本実施形態では、第1光学フィルムの供給装置M2が、光学表示ユニットの短辺に対応する幅の光学フィルムを長辺に対応する長さで切断するように構成されている例を示す。
【0086】
長尺の第1シート製品F1の第1ロール原反は、自由回転あるいは一定の回転速度で回転するようにモータ等と連動されたローラ架台装置に設置される。制御装置1によって回転速度が設定され、駆動制御される。
【0087】
第1搬送装置12は、第1シート製品F1を下流側に搬送する搬送機構である。第1搬送装置12は制御装置1によって制御されている。
【0088】
第1検査前剥離装置13は、搬送されてきた第1シート製品F1から離型フィルムH11を剥離し、ロール132に巻き取る構成である。ロール132への巻取り速度は制御装置1によって制御されている。剥離機構131としては、先端が先鋭なナイフエッジ部を有し、このナイフエッジ部に離型フィルムH11を巻き掛けて反転移送することにより、離型フィルムH11を剥離すると共に、離型フィルムH11を剥離した後の第1シート製品F1を搬送方向に搬送するように構成される。
【0089】
第1欠点検査装置14は、離型フィルムH11の剥離後に、欠点検査をする。第1欠点検査装置14は、CCDカメラで撮像された画像データを解析して欠点を検出し、さらにその位置座標を算出し、制御装置1に記憶にする。本発明では、このように搬送される長尺シート状製品の長手方向の座標と対応付けて前記検出した欠点の位置を記憶する工程を有することが好ましい。この欠点の位置座標は、後述の第1切断装置16によるスキップカットに提供される。また、欠点の位置座標は、第1貼合装置18によって良品の光学フィルムを貼り合せる際に提供される。
【0090】
なお、本発明では、上記と同様の欠点検査を予め行って、ロール原反に欠点の位置座標等を付しておき、当該ロール原反を用いて光学表示装置の製造を行う際に、このような欠点情報に基づいて、後述するスキップカット(切断後の良品の貼り合わせ及び不良品の排除)を実施することも可能である。
【0091】
第1離型フィルム貼合装置15は、第1欠点検査後に、離型フィルムH12を第1粘着剤層F14を介して第1光学フィルムF11に貼り合せる。図4に示すように、離型フィルムH12のロール原反151から離型フィルムH12を繰り出し、1または複数のローラ対152で、離型フィルムH12と第1光学フィルムF11を挟持し、当該ローラ対152で所定の圧力を作用させて貼り合わせる。ローラ対152の回転速度、圧力制御、搬送制御は、制御装置1によって制御される。
【0092】
第1切断装置16は、離型フィルムH12を貼り合せた後に、当該離型フィルムH12を切断せずに、第1光学フィルムF11、表面保護フィルム15、第1粘着剤層F14、粘着剤層F15を所定サイズに切断する。第1切断装置16は、例えばレーザ装置である。第1欠点検査処理で検出された欠点の位置座標に基づいて、第1切断装置16は、欠点部分を避けるように所定サイズに切断する。すなわち、欠点部分を含む切断品は不良品として後工程で第1排除装置19によって排除される。あるいは、第1切断装置16は、欠点の存在を無視して、連続的に所定サイズに切断してもよい。この場合、後述の貼り合せ処理において、当該部分を貼り合せずに除去するように構成できる。この場合の制御も制御装置1の機能による。
【0093】
本発明では、欠点の位置座標が近接した領域に複数存在する場合にも、切断の回数を少なくすることが可能である。例えば、近接した2つの欠点の位置座標間の距離が、良品の光学フィルムの切断長さより小さい場合には、欠点部分を含む切断品を1枚にして、切断の回数を少なくすることができ、更に多くの欠点の位置座標間の距離が、いずれも良品の切断長さより小さい場合にも、欠点部分を含む切断品を欠点の数より少なく(例えば1枚)することができる。
【0094】
従って、本発明では、検出した欠点を避けながら、良品の光学表示ユニットを所定長さで切断する際に、近接した2つの欠点の位置座標間の距離が、良品の光学フィルムの切断長さより小さい場合には、両者の欠点の位置座標の間には切断を行わないことが好ましい。このようにして切断を行うには、例えば、搬送される長尺シート状製品の長手方向の座標と対応付けて前記検出した欠点の位置を、各々の欠点について予め制御装置1に記憶しておき、近接した2つの欠点の位置座標間の距離が、良品の光学フィルムの切断長さより小さいか否かを判定し、小さい場合には、上流側の欠点に対する切断をしないように、制御装置1により第1切断装置16を制御する。これを順次行うことにより、更に多くの欠点の位置座標間の距離が、いずれも良品の切断長さより小さい場合にも、欠点部分を含む切断品を少なく(例えば1枚)することができる。
【0095】
また、第1切断装置16は、例えば第1シート製品F1を裏面から吸着保持する保持テーブルを配置し、レーザ装置を第1シート製品F1の上方に備える。第1シート製品F1の幅方向にレーザを走査させるように水平移動し、最下部の離型フィルムH12を残して第1光学フィルムF11、第1粘着剤層F14、表面保護フィルムF13、粘着剤層F15をその搬送方向に所定ピッチで切断(以下、適宜「ハーフカット」という)する。第1シート製品F1を保持テーブルで吸着する場合に、その下流側と上流側の第1シート製品F1の連続搬送を停止しないように、搬送機構のアキュムレート装置Aは上下垂直方向に移動するように構成されている。この動作も制御装置1の制御による。
【0096】
本発明に用いる製造システムは、光学表示ユニットの供給装置M1から供給された光学表示ユニットWの一方表面に、第1光学フィルムの供給装置M2から供給された第1光学フィルムF11を貼り合せる第1貼合装置18(M3)を備えている。本実施形態では、第1貼合装置18(M3)が、図5に示すように、押さえローラ181、案内ローラ182によって構成されると共に、第1剥離装置17、第1排除装置19を更に備える例を示す。この第1排除装置19は、第1切断装置16と共に、光学フィルムの欠点を有する部分を切断排除する欠点部分の排除機構を構成するが、このような排除機構は、省略することも可能である。
【0097】
第1貼合装置18は、上記切断処理後に、第1剥離装置17によって離型フィルムH12が剥離された第1シート製品F1(第1光学フィルムF11)を、第1粘着剤層F14を介して光学表示ユニットWに貼り合せる。第1シート製品F1の搬送経路は、光学表示ユニットWの搬送経路の上方である。
【0098】
図5に示すように、貼り合せる場合に、押さえローラ181、案内ローラ182によって、第1光学フィルムF11を光学表示ユニットW面に圧接しながら貼り合わせる。押さえローラ181、案内ローラ182の押さえ圧力、駆動動作は、制御装置1によって制御される。
【0099】
第1剥離装置17の剥離機構171としては、先端が先鋭なナイフエッジ部を有し、このナイフエッジ部に離型フィルムH12を巻き掛けて反転移送することにより、離型フィルムH12を剥離すると共に、離型フィルムH12を剥離した後の第1シート製品F1(第1光学フィルムF11)を光学表示ユニットW面に送り出すように構成される。剥離された離型フィルムH12はロール172に巻き取られる。ロール172の巻取り制御は、制御装置1によって制御される。
【0100】
つまり、本発明における第1光学フィルムの供給装置M2は、光学フィルムに粘着剤層を介して形成された離型フィルムを搬送媒体として、第1貼合装置M3に第1光学フィルムF11を供給する搬送機構を有する。
【0101】
貼合せ機構としては、押さえロ一ラ181とそれに対向して配置される案内ローラ182とから構成されている。案内ローラ182は、モータにより回転駆動するゴムローラで構成され、昇降可能に配備されている。また、その直上方にはモータにより回転駆動する金属ローラからなる押さえローラ181が昇降可能に配備されている。光学表示ユニットWを貼合せ位置に送り込む際には押さえローラ181はその上面より高い位置まで上昇されてローラ間隔を開けるようになっている。なお、案内ローラ182および押さえローラ181は、いずれもゴムローラであってもよいし金属ローラであってもよい。光学表示ユニットWは、上述したように各種洗浄装置によって洗浄され、搬送機構Rによって搬送される構成である。搬送機構Rの搬送制御も制御装置1の制御による。
【0102】
欠点を含む第1シート製品F1を排除する第1排除装置19について説明する。欠点を含む第1シート製品F1が貼り合わせ位置に搬送されてくると、案内ローラ182が垂直下方に移動する。次いで、除去用フィルム191が掛け渡されたローラ192が案内ローラ182の定位置に移動する。押さえローラ181を垂直下方に移動させて、欠点を含む第1シート製品F1を除去用フィルム191に押さえつけて、第1シート製品F1を除去用フィルム191に貼り付け、除去用フィルム191とともに欠点を含む第1シート製品F1をローラ193に巻き取る。除去用フィルム191は、第1シート製品F1の第1粘着剤層F14の粘着力を利用して、欠点を含む第1シート製品F1を貼着することができるが、除去用フィルム191として粘着テープを使用することも可能である。
【0103】
以上のように、本発明では、良品の光学フィルムを貼り合せる際に、剥離機構171により、予め離型フィルムから光学フィルムの先端を粘着剤層と共に剥離させると共に、前記欠点を有する部分を排除する際に、前記と同じ剥離機構171により、予め離型フィルムから光学フィルムの先端を粘着剤層と共に剥離させるのが好ましい。このように構成すると、欠点を有する部分の排除と良品の貼り合わせとを同じ剥離機構で行えるため、離型フィルムの剥離工程が1回ですみ、剥離装置も1箇所でするため、装置構成が簡易化し、貼り合わせ速度もより向上させることができる。
【0104】
第1貼合装置18を用いて良品の光学フィルムを貼り合せる際に、良品か否かの判別は例えば、制御装置1により次のようにして行うことが可能である。前述のように、搬送される長尺シート状製品の長手方向の座標と対応付けて前記検出した欠点の位置を、予め制御装置1に記憶しておく。
【0105】
一方、光学フィルムの貼り合せ位置(例えば剥離機構171の先端部など)における長尺シート状製品の長手方向の座標は、例えば欠点を検出する位置を基準とした場合の相対座標として、その位置から貼り合せ位置までの搬送ラインの長さによって演算することができる。また、当該搬送ラインの長さがアキュムレート装置A等により変化する場合でも、その変化に応じで搬送ラインの長さを補正することで、貼り合せ位置における座標を演算することができる。アキュムレート装置の動作による補正は、例えばローラの移動距離の関数として算出することができる。このような貼り合せ位置の座標は、搬送される長尺シート状製品の長手方向の座標を基準として、絶対座標としても演算することができる。
【0106】
欠点の位置が下流側に移動するにつれて、演算した座標と前記欠点の位置に対応する座標との距離が小さくなっていき、例えば両者の座標間の距離が良品の切断長さより大きい場合には良品と判別し、良品の切断長さより小さい場合には欠点を有すると判別する方法で、搬送された光学フィルムが良品か否かの判別を行うことができる。つまり、演算した貼り合せ位置の座標と前記欠点の位置に対応する座標との関係に基づいて、良品か否かの判別を行うことができ、制御装置1の制御により、切断された良品の光学フィルムに対しては、これを光学表示ユニットの表面に貼り合せる工程と、光学フィルムの欠点を有する部分に対しては、これを排除する工程とを、判別して実施することができる。
【0107】
その際、剥離機構171によって剥離された光学フィルムの先端が剥離されたときに、ライン搬送を一時停止し、停止位置での光学フィルムの先端位置を基準として貼り合せ位置の座標を決定することにより、より高精度に良品か否かの判別を行うことができる。従って、本発明では、剥離機構171によって剥離された光学フィルムの先端位置を検出することが好ましく、また、剥離機構171によって剥離された光学フィルムの先端が剥離された際に、ライン搬送を一時停止することが好ましい。
【0108】
上記で製造された光学表示ユニットWは、下流側に搬送され、第2光学フィルムF21(第2シート製品F2)が貼り合わされる。以下において、同様の装置構成については、その説明を簡単に説明する。
【0109】
本発明に用いる製造システムは、第1光学フィルムF11の貼り合せ後の光学表示ユニットWを搬送して供給する搬送供給装置M4を備えるが、この搬送供給装置M4は、第1貼合装置18で貼り合せた後の光学表示ユニットWを、第2貼合装置28での貼り合せ方向に旋回させる旋回機構20を有することが好ましい。
【0110】
例えば、第2光学フィルムF21を第1光学フィルムF11と90°の関係(クロスニコルの関係)に貼り合わせる場合は、光学表示ユニットWを搬送機構Rの搬送方向切り替え機構(旋回機構20)によって、90°回転させてから第2光学フィルムF21が貼り合わされる。以下で説明する第2シート製品F2の貼り合わせ方法においては、第2シート製品F2を反転させた状態で(離型フィルムが上面となるようにして)各工程を処理し、第2光学フィルムF21を光学表示ユニットWの下側から貼り合わせるように構成される。
【0111】
本発明に用いる製造システムは、第2光学フィルムF21を有する帯状シート状製品が巻き取られたロールから帯状シート状製品F2を引き出して、所定の長さに切断した後に供給する第2光学フィルムの供給装置M5を備えている。本実施形態では、第2光学フィルムの供給装置M5が、図6に示すように、第2搬送装置22、第2検査前剥離装置23、第2欠点検査装置24、第2離型フィルム貼合装置25、および第2切断装置26を備える例を示す。本発明では、第2検査前剥離装置23、第2欠点検査装置24、第2離型フィルム貼合装置25を備えることにより、第2光学フィルムの検査を精度良く行えるが、これらの装置は、省略することも可能である。
【0112】
本発明において、第2光学フィルムの供給装置M5は、光学表示ユニットWの長辺と短辺とに対応させて、短辺に対応する幅の光学フィルムを長辺に対応する長さで切断するように構成され、あるいは長辺に対応する幅の光学フィルムを短辺に対応する長さで切断するように構成してある。本実施形態では、第2光学フィルムの供給装置M5が、光学表示ユニットWの長辺に対応する幅の光学フィルムF21を短辺に対応する長さで切断するように構成されている例を示す。
【0113】
図6に示すように、長尺の第2シート製品F2の第2ロール原反は、自由回転あるいは一定の回転速度で回転するようにモータ等と連動されたローラ架台装置に設置される。制御装置1によって回転速度が設定され、駆動制御される。
【0114】
第2搬送装置22は、第2シート製品F2を下流側に搬送する搬送機構である。第2搬送装置22は制御装置1によって制御されている。
【0115】
第2検査前剥離装置23は、搬送されてきた第2シート製品F2から離型フィルムH21を剥離し、ロール232に巻き取る構成である。ロール232への巻取り速度は制御装置1によって制御されている。剥離機構231としては、先端が先鋭なナイフエッジ部を有し、このナイフエッジ部に離型フィルムH21を巻き掛けて反転移送することにより、離型フィルムH21を剥離すると共に、離型フィルムH21を剥離した後の第2シート製品F2を搬送方向に搬送するように構成される。
【0116】
第2欠点検査装置24は、離型フィルムH21の剥離後に、欠点検査をする。第2欠点検査装置24は、CCDカメラで撮像された画像データを解析し、欠点を検出し、さらにその位置座標を算出する。この欠点の位置座標は、後述の第2切断装置26によるスキップカットに提供される。
【0117】
本発明に用いる製造システムは、搬送供給装置M4から供給された光学表示ユニットWの他方表面に、第2光学フィルムの供給装置M5から供給された第2光学フィルムF21を貼り合せる第2貼合装置28(M6)を備えている。本実施形態では、第2貼合装置28(M6)が、図7に示すように、押さえローラ281、案内ローラ282によって構成されると共に、第2剥離装置27、第2排除装置29を更に備える例を示す。この第2排除装置29は、第2切断装置26と共に、光学フィルムの欠点を有する部分を切断排除する欠点部分の排除機構を構成するが、このような排除機構は、省略することも可能である。
【0118】
第2離型フィルム貼合装置25は、第2欠点検査後に、離型フィルムH22を第2粘着剤層F24を介して第2光学フィルムF21に貼り合せる。図6に示すように、離型フィルムH22のロール原反251から離型フィルムH22を繰り出し、1または複数のローラ対252で、離型フィルムH22と第2光学フィルムF21を挟持し、当該ローラ対252で所定の圧力を作用させて貼り合わせる。ローラ対252の回転速度、圧力制御、搬送制御は、制御装置1によって制御される。
【0119】
第2切断装置26は、離型フィルムH22を貼り合せた後に、当該離型フィルムH22を切断せずに、第2光学フィルムF21、表面保護フィルム25、第2粘着剤層F24、粘着剤層F25を所定サイズに切断する。第2切断装置26は、例えばレーザ装置である。第2欠点検査処理で検出された欠点の位置座標に基づいて、第2切断装置26は、欠点部分を避けるように所定サイズに切断する。すなわち、欠点部分を含む切断品は不良品として後工程で第2排除装置29によって排除される。あるいは、第2切断装置26は、欠点の存在を無視して、連続的に所定サイズに切断してもよい。この場合、後述の貼り合せ処理において、当該部分を貼り合せずに除去するように構成できる。この場合の制御も制御装置1の機能による。
【0120】
また、第2切断装置26は、第2シート製品F2を裏面から吸着保持する保持テーブルを配置し、レーザ装置を第2シート製品F2の下方に備える。第2シート製品F2の幅方向にレーザを走査させるように水平移動し、最下部の離型フィルムH22を残して第2光学フィルムF21、第2粘着剤層F24、表面保護フィルムF23、粘着剤層F25をその搬送方向に所定ピッチで切断する。第2シート製品F2を保持テーブルで吸着する場合に、その下流側と上流側の第2シート製品F2の連続搬送を停止しないように、搬送機構のアキュムレート装置Aは上下垂直方向に移動するように構成されている。この動作も制御装置1の制御による。
【0121】
第2貼合装置28は、切断処理後に、第2剥離装置27によって離型フィルムH22が剥離された第2シート製品F2(第2光学フィルムF21)を、第2粘着剤層F24を介して光学表示ユニットWに貼り合せる。図7に示すように、貼り合せる場合に、押さえローラ281、案内ローラ282によって、第2光学フィルムF21を光学表示ユニットW面に圧接しながら貼り合わせる。押さえローラ281、案内ローラ282の押さえ圧力、駆動動作は、制御装置1によって制御される。
【0122】
第2剥離装置27の剥離機構271としては、先端が先鋭なナイフエッジ部を有し、このナイフエッジ部に離型フィルムH22を巻き掛けて反転移送することにより、離型フィルムH22を剥離すると共に、離型フィルムH22を剥離した後の第2シート製品F2(第2光学フィルム)を光学表示ユニットW面に送り出すように構成される。剥離された離型離ルムH22はロール272に巻き取られる。ロール272の巻取り制御は、制御装置1によって制御される。
【0123】
つまり、本発明における第2光学フィルムの供給装置M5は、光学フィルムに粘着剤層を介して形成された離型フィルムを搬送媒体として、第2貼合装置M6に第2光学フィルムF21を供給する搬送機構を有する。
【0124】
貼合せ機構としては、押さえロ一ラ281とそれに対向して配置される案内ローラ282とから構成されている。案内ローラ282は、モータにより回転駆動するゴムローラで構成され昇降可能に配備されている。また、その直下方にはモータにより回転駆動する金属ローラからなる押さえローラ281が昇降可能に配備されている。光学表示ユニットWを貼合せ位置に送り込む際に、押さえローラ281は、下方位置まで移動されてローラ間隔を開けるようになっている。なお、案内ローラ282および押さえローラ281は、いずれもゴムローラであってもよいし金属ローラであってもよい。
【0125】
欠点を含む第2シート製品F2を排除する第2排除装置29について説明する。欠点を含む第2シート製品F2が貼り合わせ位置に搬送されてくると、案内ローラ282が垂直上方に移動する。次いで、除去用フィルム291が掛け渡されたローラ292が案内ローラ282の定位置に移動する。押さえローラ281を垂直上方に移動させて、欠点を含む第2シート製品F2を除去用フィルム291に押さえつけて、第2シート製品F2を除去用フィルム291に貼り付け、除去用フィルム291とともに欠点を含む第2シート製品F2をローラ293に巻き取る。
【0126】
第1、第2シート製品が貼り合わせされた光学表示装置は、検査装置に搬送される。検査装置は、搬送されてきた光学表示装置の両面に対し検査を実行する。光源は、ハーフミラーによって、光学表示装置の上面に垂直に照射し、その反射光像をCCDカメラによって画像データとして撮像する。光源およびCCDカメラはその反対面の検査を実行する。また、光源は、所定角度で光学表示装置表面を照射し、その反射光像をCCDカメラによって画像データとして撮像する。光源およびCCDカメラはその反対面の検査を実行する。これら画像データから欠点が画像処理解析され、良品判定される。
【0127】
それぞれの装置の動作タイミングは、例えば、所定の位置にセンサーを配置して検知する方法で算出され、または、搬送装置や搬送機構Rの回転部材をロータリーエンコーダ等で検出するようにして算出される。制御装置1は、ソフトウエアプログラムとCPU、メモリ等のハードウエア資源との協同作用によって実現されてもよく、この場合プログラムソフトウエア、処理手順、各種設定等はメモリが予め記憶されている。また、専用回路やファームウエア等で構成できる。
【0128】
本発明による光学フィルムは、液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP等の画像表示装置(光学表示装置に相当する。)の形成に好ましく用いることができる。
【0129】
本発明による光学フィルムは液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セル(光学表示ユニットに相当する。)と光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
【0130】
液晶セルの片側又は両側に光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による光学フィルムは液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
【0131】
本発明による光学フィルムは、液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置は、本発明による光学フィルムを液晶セルの片側または両側に配置してなる透過型や反射型、あるいは透過・反射両用型の従来に準じた適宜な構造を有するものとして形成することができる。従って、液晶表示装置を形成する液晶セルは任意であり、例えば薄膜トランジスタ型に代表される単純マトリクス駆動型のものなどの適宜なタイプの液晶セルを用いたものであってもよい。
【0132】
また液晶セルの両側に偏光板や光学部材を設ける場合、それらは同じ物であってもよいし、異なるものであっても良い。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えばプリズムアレイシートやレンズアレイシート、光拡散板やバックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層または2層以上配置することができる。
【0133】
(製造システムの別実施形態)
本発明に用いる製造システムの各装置の配置は、何れでも良く、例えば光学表示ユニットWの供給装置M1と、第1光学フィルムF11の供給装置M2と、第1貼合装置M3とが、直線状に配置されると共に、第2光学フィルムF21の供給装置M5と第2貼合装置M6とが、これに平行に配置され、第1貼合装置M3と第2貼合装置M6との間に、搬送供給装置M4が設けられるように配置してもよい。
【0134】
なお、本発明において、光学表示ユニットWの旋回機構を設けない場合、第1光学フィルムF11の供給装置M2と、第1貼合装置M3とが、第2光学フィルムF21の供給装置M5と第2貼合装置M6とに対して、垂直に配置されることが好ましい。
【符号の説明】
【0135】
F1 第1シート製品
F2 第2シート製品
F11 第1光学フィルム
F11a 第1偏光子
F11b 第1フィルム
F11c 第2フィルム
F12 第1離型フィルム
F13 表面保護フィルム
F14 第1粘着剤層
F21 第2光学フィルム
F21a 第2偏光子
F21b 第3フィルム
F21c 第4フィルム
F22 第2離型フィルム
F23 表面保護フィルム
F24 第2粘着剤層
M1 光学表示ユニットの供給装置
M2 第1光学フィルムの供給装置
M3 第1貼合装置
M4 搬送供給装置
M5 第2光学フィルムの供給装置
M6 第2貼合装置
1 制御装置
12 第1搬送装置
13 第1検査前剥離装置
14 第1欠点検査装置
15 第1離型フィルム貼合装置
16 第1切断装置
17 第1剥離装置
18 第1貼合装置
19 第1排除装置
20 旋回機構
22 第2搬送装置
23 第2検査前剥離装置
24 第2欠点検査装置
25 第2離型フィルム貼合装置
26 第2切断装置
27 第2剥離装置
28 第2貼合装置
29 第2排除装置
50 切断機構
51 レーザ装置
R0 長尺原反のロール
R1 第1ロール
R2 第2ロール
R 搬送機構
W 光学表示ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光板を含む光学フィルムを光学表示ユニットに貼り合せた光学表示装置の製造方法であって、
前記光学フィルムと粘着剤層と離型フィルムとをこの順で積層した長尺シート状製品が、前記偏光板の吸収軸に平行又は一定の角度で前記光学表示ユニットの短辺又は長辺に対応する幅でスリット加工された状態で巻回されているロール原反から、前記長尺シート状製品を繰り出して搬送する工程と、
搬送される前記長尺シート状製品の光学フィルムを検査して欠点を検出する工程と、
検出した欠点を避けながら、離型フィルムを残して前記長尺シート状製品を前記光学表示ユニットの長辺又は短辺に対応する長さに切断する工程と、
前記切断された良品の光学フィルムに対しては、これを前記光学表示ユニットの表面に貼り合せる工程と、
前記光学フィルムの欠点を有する部分に対しては、これを排除する工程と、
を含む光学表示装置の製造方法。
【請求項2】
偏光板を含む光学フィルムを光学表示ユニットに貼り合せた光学表示装置の製造方法であって、
前記光学フィルムと粘着剤層と離型フィルムとをこの順で積層した長尺シート状製品が、前記偏光板の吸収軸に平行又は一定の角度で前記光学表示ユニットの短辺又は長辺に対応する幅でスリット加工された状態で巻回され、欠点の位置を特定する欠点情報が付されたロール原反から、前記長尺シート状製品を繰り出して搬送する工程と、
前記欠点情報に基づいて欠点を避けながら、離型フィルムを残して前記長尺シート状製品を前記光学表示ユニットの長辺又は短辺に対応する長さに切断する工程と、
前記切断された良品の光学フィルムに対しては、これを前記光学表示ユニットの表面に貼り合せる工程と、
前記光学フィルムの欠点を有する部分に対しては、これを排除する工程と、
を含む光学表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記ロール原反として、前記光学表示ユニットの短辺に対応する幅でスリット加工された状態で巻回されているものを使用し、前記長尺シート状製品を前記光学表示ユニットの長辺に対応する長さに切断する工程と、前記光学表示ユニットの長辺に対応する幅でスリット加工された状態で巻回されているものとを使用し、前記長尺シート状製品を前記光学表示ユニットの短辺に対応する長さに切断する工程とを含む請求項1又は2に記載の光学表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記光学表示ユニットがVAモード又はIPSモードの液晶パネルである請求項1〜3いずれかに記載の光学表示装置の製造方法。
【請求項5】
所定の長さに切断して光学表示ユニットの表面に貼り合せるためのロール原反であって、
前記光学フィルムと粘着剤層と離型フィルムとをこの順で積層した長尺シート状製品が、前記偏光板の吸収軸に平行又は一定の角度で前記光学表示ユニットの短辺又は長辺に対応する幅でスリット加工された状態で巻回されているロール原反。
【請求項6】
貼り合せに用いる前記光学表示ユニットがVAモード又はIPSモードの液晶パネルである請求項5に記載のロール原反。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−81421(P2011−81421A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4158(P2011−4158)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【分割の表示】特願2009−93236(P2009−93236)の分割
【原出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】