光学装置及びその光学装置を用いた撮像装置
【課題】光学像の光量を調節する際に、光学絞りによる光学像の小絞りボケが軽減されるような光学設計及び光学制御を備えた光学装置及びその光学装置を用いた撮像装置を提供することである。
【解決手段】光学装置10は、被写体17を結像させて撮像面18に光学像を生成するレンズ群11と、該レンズ群11が光学像を生成する際の光束を光学的に絞る光学絞り12と、該光学絞り12の前側または後側に配置して、各々光透過率が異なる複数のNDフィルタで構成されたNDフィルタ群13と、レンズ群11の光軸に対する前記各NDフィルタの位置関係を調整するNDフィルタ調整部14とを備える。前記複数のNDフィルタの少なくとも1つは、前記光透過率の変更線である透過率変更線が前記撮像面18を構成する少なくとも2つの辺に対して斜めに交差している斜方NDフィルタ130である。
【解決手段】光学装置10は、被写体17を結像させて撮像面18に光学像を生成するレンズ群11と、該レンズ群11が光学像を生成する際の光束を光学的に絞る光学絞り12と、該光学絞り12の前側または後側に配置して、各々光透過率が異なる複数のNDフィルタで構成されたNDフィルタ群13と、レンズ群11の光軸に対する前記各NDフィルタの位置関係を調整するNDフィルタ調整部14とを備える。前記複数のNDフィルタの少なくとも1つは、前記光透過率の変更線である透過率変更線が前記撮像面18を構成する少なくとも2つの辺に対して斜めに交差している斜方NDフィルタ130である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる光透過率を有する複数種のNDフィルタを具備する光学装置及びその光学装置を用いた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
撮像装置に関する技術が、例えば、下記特許文献1に開示されている。この特許文献1には、撮像レンズ系へ入射した光束の光量を調節するための露出制御機構を有し、上記露出制御機構は、光軸に直交する面上を絞り羽根が互いに反対方向に移動することにより絞り開口を形成する絞りと少なくとも2種の異なった透過率のNDフィルタ部を有すると共に、絞り開放状態から透過光量を制限する方向に変位するとき、開放から所定の開口までは絞り羽根によって開口面積を制限し、次に所定の開口を維持したままNDフィルタをその透過率の高いフィルタ部から順に絞り開口に進入させるようにした撮像装置に関して記載されている。
【特許文献1】特開2000−106649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年に於いて、撮像装置、及び、撮像素子の高感度化が進むにつれて、被写体を撮像するための光学像に対して、前記光学像の光量を調節する手段が重要な撮像技術要素の1つとなっている。そして、この光学像の光量を露光時間一定条件にて調節する手段については、例えば、光学絞り、NDフィルタ等がある。
【0004】
ここで、この光学像の光量を調節する手段が前記光学絞りに限定されるような場合に於いては、この光学絞りによって光量を絞っていけばいく程、光学像に光の回折現象に起因する小絞りボケが発生してしまうという第1の問題点がある。
【0005】
また、前記第1の問題点を解決するために、前記光学絞りが所定の絞り面よりも絞りすぎないように前記NDフィルタを挿入する方法がある。
【0006】
しかしながら、撮像記録中に於いて、絞り面全面に前記NDフィルタを瞬間的に挿入した場合については、このNDフィルタの挿入された瞬間の様子が撮像記録されてしまうという第2の問題点がある。
【0007】
そこで、前記第1の問題点、及び、前記第2の問題点を解決するためには、例えば、前記特許文献1に示されるように、光学絞りを所定の開口(絞り面)状態で維持したまま、NDフィルタをその透過率(光透過率)の高いフィルタ部から順に徐々に絞り開口(絞り面)に進入(挿入)させることで、光学絞りによる小絞りボケを軽減して、且つ、NDフィルタの挿入された瞬間の様子を目立たなくする方法があるのである。
【0008】
しかしながら、前記特許文献1に示される撮像装置は、前記光学絞りの絞り面に対して複数種の異なった光透過率のNDフィルタが挿入された時には、この異なった光透過率の境い目による水平方向の透過率変更線が絞り面にあるために、光学像の垂直方向に小絞りボケが発生してしまうという第3の問題点がある。何故ならば、このNDフィルタの水平方向の透過率変更線にて、この光学像に対して垂直方向に光の回折現象が発生してしまうからである。
【0009】
また、第3の問題点について補足説明すれば、単に光学像に小絞りボケが発生してしまうという問題だけではなくて、このNDフィルタの水平方向の透過率変更線に起因して、光学像の垂直方向のみに小絞りボケが発生して、水平方向にはこの小絞りボケが発生しないということも問題に挙げられる。即ち、この光学像は、水平方向のMTF(モデュレーション・トランスファー・ファンクション)と垂直方向のMTFとが一致していない不自然な画質特性(光学像の乱視化現象)を有することになってしまうのである。
【0010】
更に、前記特許文献1に示される撮像装置は、水平方向の透過率変更線が絞り面に対して変化しながら移動するものであり、この絞り面内にある透過率変更線の長さの変化に連動して、光学像の垂直方向に発生する小絞りボケによるMTF劣化の劣化する度合いも変化してしまうという第4の問題点があるのである。
【0011】
したがって、本発明は、前述してきた問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、光学像の光量を調節する際に、光学絞りによる光学像の小絞りボケが軽減され、撮像記録中の絞り面にNDフィルタが挿入された場合に於いても、このNDフィルタの挿入された瞬間の様子が目立たず、また、NDフィルタの透過率変更線が絞り面にあった場合に於いても、この光学像の水平方向のMTFと垂直方向のMTFとが略一致するような、または、少なくとも水平方向のMTF劣化と垂直方向のMTF劣化との劣化比率がおおよそ一定に保たれ、且つ、NDフィルタの透過率変更線が絞り面に対して変化しながら移動する場合に於いても、この光学像の小絞りボケによるMTF劣化の変化が軽減されるような光学設計、及び、光学制御を備える光学装置及びその光学装置を用いた撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち本発明は、被写体を結像させて撮像面に光学像を生成する光学手段と、前記光学手段が前記光学像を生成する際の光束を光学的に絞る光学絞りと、前記光学絞りの前側、または、後側に配置して、それぞれ光透過率が異なる複数のNDフィルタで構成されたNDフィルタ群と、前記光学手段の光軸に対する前記各NDフィルタの位置関係を調整するNDフィルタ調整手段と、を具備し、前記複数のNDフィルタの少なくとも1つは、前記光透過率の変更線である透過率変更線が前記撮像面を構成する少なくとも2つの辺に対して斜めに交差している斜方NDフィルタであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の光学装置によれば、光学像の光量を調節する際に、光学絞りによる光学像の小絞りボケが軽減される効果がある。
【0014】
また、本発明によれば、撮像記録中の絞り面にNDフィルタが挿入された場合に於いても、このNDフィルタの挿入された瞬間の様子が目立たない効果がある。
【0015】
更に、本発明によれば、NDフィルタの透過率変更線が絞り面にあった場合に於いても、少なくとも水平方向のMTF劣化と垂直方向のMTF劣化との劣化比率がおおよそ一定に保たれる効果がある。
【0016】
そして、本発明によれば、NDフィルタの透過率変更線が絞り面に対して変化しながら移動する場合に於いても、この光学像の小絞りボケによるMTF劣化の変化が軽減される効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による光学装置の構成を示すブロック図である。
【0019】
図1に於いて、この光学装置10は、レンズ群(光学手段)11と、光学絞り12と、NDフィルタ群13と、NDフィルタ調整部(NDフィルタ調整手段)14と、より構成されている。
【0020】
前記レンズ群11は、被写体17を光軸上の任意の位置に結像させて撮像面18に光学像を生成するものである。前記光学絞り12は、前記レンズ群が前記光学像を生成する際の光束を光学的に絞るものである。
【0021】
前記NDフィルタ群13は、前記光学絞り12の前側、または、後側に配置して、それぞれ光透過率が異なる複数のNDフィルタで構成されたものである。前記NDフィルタ調整部14は、前記レンズ群11の光軸に対する前記各NDフィルタの位置関係を調整するものである。前記複数のNDフィルタの少なくとも1つは、前記光透過率の変更線である透過率変更線が前記撮像面18を構成する少なくとも2つの辺に対して斜めに交差している斜方NDフィルタ130であることを特徴としている。
【0022】
尚、前記被写体17と、前記撮像面18とは、本発明の第1の実施形態による光学装置10を実際に使用することを想定した実使用上の仮想構成として図1に示されたものであって、前記撮像面18は、例えば、CCDやMOS型撮像素子のようなイメージセンサ、または、感光フィルムの配置面を想定した面であれば良い。また、本発明の第1の実施形態による光学装置10は、例えば、撮像面が肉眼であるような顕微鏡やオペラグラス、または、望遠鏡のようなものであっても良い。
【0023】
尚、本発明の第1の実施形態による光学装置にイメージセンサが実装してあったとしても良く、イメージセンサが実装してある場合の詳細については、第2の実施形態にて後述する。
【0024】
図2(a)は、図1に示した斜方NDフィルタのフィルタ形状の一例を示す図であり、図2(b)は、図1に示した斜方NDフィルタのフィルタ形状と、撮像面との幾何学的関係の一例を示す図である。
【0025】
図2(a)に於いて、このNDフィルタ群13は、異なる光透過率を有する複数のNDフィルタから成り、例えば、光透過率1であるNDなし130aと、光透過率1/4であるND1130bと、光透過率1/16であるND2130cと、より構成されている。
【0026】
前記ND1130bと前記NDなし130aとの継ぎ目、及び、前記ND2130cと前記ND1130bとの継ぎ目は透過率変更線130d、130eであり、この2つの透過率変更線130d、130eは斜方性を有している。このように、ND1130bは斜方NDフィルタである。ここで斜方性とは、透過率変更線が撮像面を構成する少なくとも2つの辺に対して斜めに交差していることをいう。
【0027】
図2(b)は、NDフィルタ群13と撮像面18とを重ね合わせて示すことで、斜方NDフィルタ130のフィルタ形状と、撮像面18との幾何学的関係の一例を示している。図2(b)に於いて、この斜方NDフィルタ130(ND1130b)のフィルタ形状20は平行四辺形であって、この平行四辺形の対角線21は撮像面18の水平方向と略平行であることがわかる。
【0028】
尚、このNDフィルタ群13は、ND2、ND1、NDなしの3種類の異なる光透過率を有するものに限定されずに、ND3、ND4、があっても良いし、例えば、日中の晴天下での撮像シーンを想定するならば、NDフィルタと色温度変換フィルタとを併せた光学フィルタであっても良い。更に、異なる複数の光透過率には、各種様々な組み合わせがあっても良く、色々な応用形態があっても良い。
【0029】
図3は、2枚羽光学絞りの一例を示す図である。
【0030】
図3に於いて、この光学絞り12は、絞り羽(上)(実線で示される)12aと、絞り羽(下)(破線で示される)12bと、から成る2枚の絞り羽より構成されている。
【0031】
図4(a)〜(d)は、図3で示した2枚羽光学絞りの絞り羽(上)12aと、絞り羽(下)12bと、の位置関係から形成される絞り面についての例を示す図である。
【0032】
図4(a)は、絞り羽(上)(実線で示される)12aと、絞り羽(下)(破線で示される)12bと、の絞り位置を開放に調整した、正六角形の絞り面(斜線で示される)23aを有する光学絞りを示している。また、この絞り羽12a、12bと絞り面23aとの境界線を絞り境界線24aとする。
【0033】
図4(b)は、絞り羽(上)12aと、絞り羽(下)12bと、の絞り位置を、図4(a)で示した絞り位置よりもやや閉め調整にして、絞り面23bの面積を、図4(a)で示した絞り面23aの面積と比べて約1/2にした光学絞りを示している。図4(b)に示した絞り面23bは、やや歪んだ六角形となる。
【0034】
図4(c)は、絞り羽(上)12aと、絞り羽(下)12bと、の絞り位置を、図4(b)で示した絞り位置よりも更に閉め調整にしていき、絞り面23cの面積を、図4(a)で示した絞り面23aの面積と比べて約1/4にした光学絞りを示している。図4(c)に示した絞り面23cは菱形となる。
【0035】
図4(d)は、絞り羽(上)12aと、絞り羽(下)12bと、の絞り位置を、図4(c)で示した絞り位置よりも更に閉め調整にしていき、絞り面23dの面積を、図4(a)で示した絞り面23aの面積と比べて約1/16にした光学絞りを示している。図4(d)に示した絞り面23dは、図4(c)に示した菱形よりも更に小さい菱形となる。
【0036】
このように、図4(a)〜(d)は、絞り羽(上)12aと、絞り羽(下)12bと、の2枚の絞り羽による絞り位置の関係を調整することで、光学絞り12の絞りF値を連続的に調整することが可能であることを示した図である。
【0037】
尚、図4(a)〜(d)で示した多角形の絞り面23a〜23dは、厳密な多角形でなくとも良く、例えば、角が丸みを帯びているものであっても良いし、辺が丸みを帯びた曲線であっても良く、各種様々な応用があり得る。
【0038】
図5(a)〜(d)は、図2(a)で示したNDフィルタ群13と、図4(a)〜(d)で示した絞り境界線24a〜24dと、の位置関係についての一例をそれぞれ示す図である。
【0039】
図5(a)は、図2(a)で示したNDフィルタ群13のNDなし(光透過率1)130aの場所に、図4(a)で示した正六角形から成る絞りF1.4(開放)の絞り境界線24aを重ねて示した図である。
【0040】
図5(b)は、図2(a)で示したNDフィルタ群13のNDなし130aの場所に、図4(b)で示した六角形から成る絞りF2の絞り境界線24bを重ねて示した図である。これは、図5(a)で示したF1.4(開放)の絞り境界線24aの形状から、図5(b)で示したF2の絞り境界線24bの形状の変化に合わせてNDフィルタ群13の位置調整を施し、このNDフィルタ群13の絞り境界線に対する位置関係を調整している。
【0041】
図5(c)は、図2(a)で示したNDフィルタ群13のNDなし130aの場所に、図4(c)で示した菱形から成る絞りF2.8の絞り境界線24cを重ねて示した図である。このように、絞り形状が菱形であった場合に於いても、絞り境界線の形状の変化に合わせてNDフィルタ群13の位置調整を施し、このNDフィルタ群13の絞り境界線に対する位置関係を調整している。
【0042】
図5(d)は、図2(a)で示したNDフィルタ群13のNDなし130aの場所に、図4(d)で示した小さな菱形から成る絞りF5.6の絞り境界線24dを重ねて示した図である。図5(d)で示したような小さな菱形絞り面による絞りF5.6である場合には、小絞りボケによる光学像のMTF劣化が懸念される。
【0043】
このように、図5(a)で示した絞りF1.4(開放)から、図5(b)で示した絞りF2、図5(c)で示した絞りF2.8、そして、図5(d)で示した絞りF5.6へと、光学絞り12を絞っていくにつれて、絞り境界線に対する位置関係に基づいて、このNDフィルタ群13の位置を徐々に下に詰めている。こうすることの理由は、NDなし130aからND1130b挿入へと素早く移行させることを可能とするために、その移行距離を詰めておく必要があるからである。
【0044】
尚、図5(a)〜(d)でそれぞれ示されているように、絞り境界線24a〜24dと透過率変更線130dとの間には、所定のマージン(距離)を置いても良い。
【0045】
また、図5(d)で示した絞りF5.6である場合には、円形の絞り面による絞りF5.6である場合よりも、小絞りボケによる光学像のMTF劣化の劣化する度合いが大きいので、被写界深度を深くしたいなどの撮像要求がない限りは、例えば、ポートレート撮像である場合に於いては、図5(c)で示した絞りF2.8辺りで絞りを止めておいて、光量の調整はNDフィルタによる調整である仕様にした方が、光学絞りによる光学像の小絞りボケが防げるのである。
【0046】
尚、被写界深度を深くしたいなどの撮像要求がある場合は、図5(d)で示したように、絞りF5.6による撮像も可能な光学装置である方が良い。または、図5(c)と図5(d)との中間位の絞りである絞りF4(図示せず)辺りで撮像可能であるようにしても良い。
【0047】
前述したように、光量の調整は、光学絞り12で絞って調整するよりも、NDフィルタによる調整であった方が、光学絞りによる小絞りボケが軽減されて、光学像のMTF劣化が軽減されるわけである。しかしながら、例えば、動画カメラによる撮像に於いて、その撮像記録中に一枚板から成る一般的なNDフィルタが一気に挿入された場合は、このNDフィルタの挿入された瞬間の様子が目立つという問題点がある。
【0048】
そこで、撮像記録中の絞り面にNDフィルタを挿入しても、このNDフィルタの挿入された瞬間の様子が目立たない光学手法について、図6(a)〜(d)を参照して説明する。
【0049】
図6(a)〜(d)は、図2(a)で示したNDフィルタ群13と、図5(c)で示した絞り境界線(絞り面)24cと、の位置関係によって、光透過率を調整する例を示す図である。
【0050】
尚、図6(a)〜(d)は、非連続的な駒動作(瞬間移動)を示したものではなく、所定の動作時間を掛けながら得た連続的に滑らかな動作を断片的に示したものである。
【0051】
図6(a)は、絞りF2.8で、且つ、NDなし(光透過率1)130aの状態を一例として示した図である。
【0052】
ここで、光学絞りは、図6(a)で示した絞りF2.8のままに保持して、NDフィルタ群13の絞り面に対する位置関係を連続的に徐々に下げていくと、図6(b)で示すように、光透過率1/4であるND1(斜方NDフィルタ)130bと、光透過率1であるNDなし130aと、が混在した絞り面が得られる。
【0053】
図6(b)は、この絞り面全体に於いて光透過率2/3となるように、NDフィルタ群13の絞り面に対する位置関係が調整されているのである。
【0054】
図6(c)は、同様に絞りF2.8を保持したままに、NDフィルタ群13の絞り面に対する位置関係について、図6(b)で示した位置関係よりも更に下げた様子を示している。図6(c)の絞り面では、ND2130cとND1130bとが混在しており、その混合比率から光透過率1/6のNDフィルタが生成されているのと等価である。
【0055】
また、図6(d)は、ND2130cとND1130bとの混合比率から光透過率1/12のNDフィルタが生成されているのと等価である。
【0056】
このように、NDフィルタ群13の絞り面に対する位置関係を連続的に調整するようにして、例えば、NDなし130a、ND1130b、ND2130c、の3種類の異なる光透過率から2種類を同一の絞り面に同時に混在させることで、滑らかに連続した光量の微調整を可能としているのである。
【0057】
また、光量の調整を、このような滑らかに連続した微調整にすることで、撮像記録中の絞り面にNDフィルタが挿入された場合に於いても、このNDフィルタの挿入された瞬間の様子が目立たない効果が得られるのである。
【0058】
尚、前述した光学絞り12は、絞りF2.8に保持することに限られず、絞りF4、絞りF5.6、または、それ以外の絞りF値に保持して同様の調整を実施しても同様の効果が得られる。
【0059】
次に、図7及び図8を参照して、絞り面内に於ける透過率変更線の状態(長さ、及び、撮像面に対する角度)と、光学像の水平/垂直MTF劣化と、の関係について説明する。
【0060】
図7(a)及び(b)は、一般的なNDフィルタ群による絞り面内透過率変更線の線長の変化を示した図である。
【0061】
図7(a)、(b)で示すような一般的なNDフィルタ群13は、透過率変更線130d、130eを水平方向に構えており、例えば、NDなし(光透過率1)130aと、ND1(光透過率1/4)130bと、ND2(光透過率1/16)130cと、を備えている。
【0062】
図7(a)、(b)は、このNDフィルタ群13と重ねて絞り境界線(絞り面)が示されており、図4(a)〜(d)で示したように、2枚羽から成る絞り羽(上)12aと、絞り羽(下)12bと、の位置関係から形成されるものであって、図4(c)で示した絞りF2.8の状態を示すものである。
【0063】
図7(a)、(b)で示した絞り面23cでは、ND1130bとNDなし130aとが混在しており、その混合比率から、図7(a)は光透過率1/2、図7(b)は光透過率1/3、のNDフィルタが生成されているのと等価である。
【0064】
ここで、図7(a)、(b)に示されている絞り面23c内にある透過率変更線130dについて着目すれば、図7(a)に示される絞り面23c内の透過率変更線130dは、図7(b)に示される絞り面23c内の透過率変更線130dよりも長いことがわかる。
【0065】
このように、図7(a)、(b)で示した光学装置では、NDフィルタ群13の位置関係を調節して、NDフィルタの光透過率を調整していく過程で、前述した絞り面内透過率変更線の長さが変化してしまうことがわかる。この絞り面内透過率変更線の線長の変化が原因で、光学像の水平/垂直MTF劣化の劣化する度合いが変化するのである。したがって、図7(a)と図7(b)の場合では、図7(b)に対して図7(a)の方が、垂直MTFが劣化することになる。
【0066】
また、図7(a)、(b)で示した光学装置では、この絞り面内透過率変更線が水平方向であるので、絞り面内透過率変更線に起因する光学像の光の回折現象は、光学像の垂直方向にのみ発生して、光学像の水平方向には発生しないのである。
【0067】
即ち、図7(a)、(b)で示した光学装置による光学像は、水平方向のMTFと垂直方向のMTFとが一致していない不自然な画質特性(光学像の乱視化現象)を有して、更に、光透過率の調整と供に、垂直方向のMTFが変化するという欠点を有するものである。
【0068】
図8(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態によるNDフィルタ群による絞り面内透過率変更線の線長が略一定に保たれることを示した図である。
【0069】
図8(a)、(b)に示されるNDフィルタ群13は斜方NDフィルタ130を備えたものであり、既に、図6(a)〜(d)で示したものと構成、原理は同じであって、透過率変更線130dを斜方に構えており、NDなし(光透過率1)130aと、ND1(光透過率1/4)130bと、ND2(光透過率1/16)130cと、を備えているものである。
【0070】
図8(a)、(b)は、このNDフィルタ群13と重ねて絞り境界線(絞り面)が示されており、図4(c)で示した絞りF2.8の状態である。図8(a)、(b)に於ける絞り面には、ND1130bとNDなし130aとが混在しており、その混合比率から、図8(a)は光透過率1/2、図8(b)は光透過率1/3、のNDフィルタが生成されているのと等価である。
【0071】
ここで、図8(a)、(b)に示されている絞り面23c内にある透過率変更線130dについて着目すれば、図8(a)に示される絞り面23c内の透過率変更線130dの長さと、図8(b)に示される絞り面23c内の透過率変更線130dの長さとは略一致していることがわかる。
【0072】
このように、図8(a)、(b)で示した光学装置では、NDフィルタ群の位置関係を調節して、NDフィルタの光透過率を調整していく過程で、前述した絞り面内透過率変更線の長さがおおよそ変化しないことがわかる。こうした理由から、図8(a)、(b)で示した光学装置は、光学像の小絞りボケによるMTF劣化の変化が軽減されるのである。
【0073】
また、この絞り面内透過率変更線が斜方であるので、絞り面内透過率変更線に起因する光学像の光の回折現象は、光学像の垂直方向と、光学像の水平方向との双方に発生して、水平方向のMTF劣化と垂直方向のMTF劣化とが略一致した光学像が得られるのである。
【0074】
前述してきたように、図7(a)で示した光学装置と、図8(a)で示した光学装置とでは、同じ絞りF2.8、光透過率1/2であり、図7(b)で示した光学装置と、図8(b)で示した光学装置とでは、同じ絞りF2.8、光透過率1/3であるにも関わらず、理想的な光学像が得られるのは、図8(a)、(b)で示したような斜方NDフィルタを備えた光学装置の方である。
【0075】
次に、透過率変更線と、絞り境界線とが、略一致して静止しないようにスキップ制御をしてNDフィルタ群(各NDフィルタ)の位置関係を調整することについての一例について説明する。
【0076】
図9は、本発明の第1の実施形態による斜方NDフィルタによる透過率変更線と、絞り境界線(絞り面)と、の位置関係の一例を示す図である。
【0077】
図9(a)は、NDフィルタ群と光学絞りの絞り境界線(絞り面)とが重ね併せて示されている。また、図9(a)は、絞りF2.8であり、光透過率1/2である。また、図9(b)の状態は、図9(a)の状態から絞りF2.8で保持したままに、光透過率1/3に調整された様子を示している。
【0078】
ここで、図9(a)及び(b)の状態に於いて、このNDフィルタ群が備える斜方NDフィルタ130に有する透過率変更線130dと、絞り境界線24cと、は未だ略一致していない状態である。
【0079】
図9(c)は、NDフィルタ群の絞り面に対する位置関係を図9(b)の状態よりも更に調整していって、絞りF2.8で保持したままに、且つ、光透過率1/4に調整された状態を示している。ここで着目すべき事は、前述した斜方NDフィルタ130に有する透過率変更線130d、及び/または、130eと、絞り境界線24cと、が略一致している状態であり、絞り面23cに透過率変更線を有さない状態であるということである。
【0080】
前述してきたように、NDフィルタ群の絞り面に対する位置関係を調節して、NDフィルタの光透過率を調整していく過程で、絞り面内透過率変更線の長さが変化しないということが、光学像の小絞りボケによるMTF劣化の変化が軽減される理由となっている。したがって、図9(c)のように絞り面23cに透過率変更線を有さない状態では、MTF劣化の劣化する度合いが小さくなってしまい、MTF劣化の変化が大きくなってしまうのである。
【0081】
そこで、図9(c)で示したような、透過率変更線130d、及び/または、130eと、絞り境界線24cとが、略一致するようなNDフィルタの位置関係に於いては、この図9(c)の状態を素早く通り越す制御(スキップ制御)をして、図9(c)の状態で静止しないように、NDフィルタ群(各NDフィルタ)の位置関係を調整することが必要となってくるのである。
【0082】
このスキップ制御は、図9(a)で示したNDフィルタ群13の位置関係から、図9(b)で示したNDフィルタ群13の位置関係へと、NDフィルタ群13の絞り面23cに対する位置調整をしていった後、図9(c)で示したNDフィルタ群13の位置関係をスキップして、つまり、素早く通り越すような制御をして、図9(d)で示すNDフィルタ群13の位置関係に至るまで移行させている。
【0083】
ここで、図9(c)に於ける光学条件は、絞りF2.8、光透過率1/4であることに対して、図9(d)に於ける光学条件は、絞りF2.8、光透過率0.9/4であり、光りの透過率は約10%程度減光している。
【0084】
このようにして、NDフィルタ群の位置関係をスキップ制御することで、光透過率は減光するものの、光学像の小絞りボケによるMTF劣化の変化を軽減することが可能となっているのである。
【0085】
尚、このスキップ制御は、機械式(機械駆動式)、及び/または、電気モータ制御式(電気信号制御式)が考えられる。また、この光学装置が静止画撮像用に用いられる場合には、スキップ制御中には静止画のレリーズを防ぐような工夫があっても良いし、この光学装置が動画撮像用、または、静止画連写用に用いられる場合には、撮像同期信号のブランキング期間内にこのスキップ制御を実施する等の工夫が施されてあっても良い。
【0086】
次に、NDフィルタ群の絞り面に対する位置関係を調整するのに、より制御がしやすく、且つ、より高性能となるような斜方NDフィルタの形状について説明する。
【0087】
図10(a)及び(b)は、斜方NDフィルタの対角線の1つと、図2(b)で示した撮像面の水平方向と、が略平行ではない場合の一例を示す図である。
【0088】
ここで、図9(a)〜(d)に示された斜方NDフィルタ(平行四辺形)130の対角線(図示せず)の1つについて着目すると、図2(b)で示した斜方NDフィルタ130のフィルタ形状20と同じように、撮像面(図示せず)の水平方向と略平行であることがわかる。また、図10(a)に示された斜方NDフィルタの対角線26aについて着目すれば、撮像面(図示せず)の水平方向と平行ではないことがわかる。
【0089】
斜方NDフィルタ(平行四辺形)130(20)の対角線の1つと、撮像面の水平方向と、が略平行である場合(例えば、図9(a)〜(d))と、略平行ではない場合(例えば、図10(a)、(b))と、の差分について説明すれば、図9(a)〜(d)に於いて、スキップ制御されるべき図9(c)を除けば、図9(a)、(b)、(d)に示された絞り面23cの中には、常に同じ長さで斜方NDフィルタ130の透過率変更線が1本あるのに対して、図10(a)に示された絞り面23cの中には、斜方NDフィルタ130の透過率変更線が2本あるということである。
【0090】
例えば、図10(a)で示したように、絞り面23cの中に斜方NDフィルタ130の透過率変更線(130d、130e)が2本ある場合には、透過率変更線が1本である場合よりも、MTF劣化の劣化する度合いが大きくなってしまう。即ち、光学像の小絞りボケによるMTF劣化の変化を軽減するには、斜方NDフィルタ(平行四辺形)130(20)の対角線の1つは、図2(b)に21で示したように、撮像面の水平方向と略平行であることが望ましいのである。
【0091】
また、図10(b)に示された斜方NDフィルタの対角線の1つについて着目しても撮像面(図示せず)の水平方向と略平行ではない。図10(b)に示された絞り面23cの中には、斜方NDフィルタ20の透過率変更線130d、130eが存在しないので、この状態については、図9(c)で説明した理由と同様にスキップ制御されるべき状態となる。この場合に於いても、光学像の小絞りボケによるMTF劣化の変化を軽減するには、斜方NDフィルタ(平行四辺形)20の対角線の1つは、図2(b)に21で示したように撮像面の水平方向と略平行であることが望ましいことがわかる。
【0092】
図11(a)及び(b)は、斜方NDフィルタの透過率変更線と、絞り境界線の4辺のうち2辺と、が略平行ではない場合の例を示す図である。
【0093】
先ず、図9(a)〜(d)に示された斜方NDフィルタ(平行四辺形)の透過率変更線について着目すると、透過率変更線130d、130eは、図9(a)〜(d)に示された絞り境界線24cの4辺のうち2辺と略平行であることがわかる。
【0094】
次に、図11(a)、(b)に示された斜方NDフィルタの透過率変更線について着目する。すると、透過率変更線130d、130eは、図11(a)、(b)に示された絞り境界線24cの4辺のうち2辺と略平行ではない。
【0095】
ここで、斜方NDフィルタ(平行四辺形)130(20)の透過率変更線130d、130eと、絞り境界線24cの4辺のうち2辺と、が略平行である場合(例えば、図9(a)〜(d))と、略平行ではない場合(例えば、図11(a)、(b))と、の差分について説明する。すると、図11(a)で示した絞り面23cには約0.5本分の透過率変更線しかなく、例えば、図11(b)で示した絞り面には約1.5本分の透過率変更線があるのである。そして、この絞り面23c内にある透過率変更線の長さが異なるのならば、MTF劣化の劣化する度合いも異なることになるのである。
【0096】
前述してきたことから、NDフィルタの透過率変更線が絞り面に対して変化しながら移動する場合に於いて、この光学像の小絞りボケによるMTF劣化の変化が軽減される効果を得るためには、斜方NDフィルタのフィルタ形状は平行四辺形であって、この平行四辺形の対角線方向の1つは、前記撮像面の水平方向、または、前記撮像面の垂直方向と略平行であり、且つ、透過率変更線は絞り面のうち2辺と略平行であることが理想条件の1つとなるのである。
【0097】
このように、第1の実施形態によれば、光学像の光量を調節する際に、光学絞りによる光学像の小絞りボケが軽減されるような光学設計、及び、光学制御を備えた光学装置を提供することができる。
【0098】
また、第1の実施形態によれば、撮像記録中の絞り面にNDフィルタが挿入された場合に於いても、このNDフィルタの挿入された瞬間の様子が目立たないような光学設計、及び、光学制御を備えた光学装置を提供することができる。
【0099】
更に、第1の実施形態によれば、NDフィルタの透過率変更線が絞り面にあった場合に於いても、この光学像の水平方向のMTFと垂直方向のMTFとが略一致するような、または、少なくとも水平方向のMTF劣化と垂直方向のMTF劣化との劣化比率がおおよそ一定に保たれるような光学設計、及び、光学制御を備えた光学装置を提供することができる。
【0100】
そして、第1の実施形態によれば、NDフィルタの透過率変更線が絞り面に対して変化しながら移動する場合に於いても、この光学像の小絞りボケによるMTF劣化の変化が軽減されるような光学設計、及び、光学制御を備えた光学装置を提供することができる。
【0101】
尚、第1の実施形態で示した、NDフィルタ群の形状は各種様々な応用があり、長方形のプレート形状でも良いし、長方形のテープまたは、ラミネートしたものをU字型に丸めたような形状であっても良い。
【0102】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0103】
図12は、本発明の第2の実施形態による、第1の実施形態で示した光学装置を用いた撮像装置の構成を示すブロック図である。
【0104】
尚、以下に述べる第2の実施形態に於いて、光学装置の基本的な構成及び動作については、前述した第1の実施形態と同じであるので、説明の重複を避けるため、同一の部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0105】
図12に於いて、この撮像装置30は、図1で示した、第1の実施形態による光学装置を用いた撮像装置である。すなわち、この撮像装置30は、レンズ群11、光学絞り12、NDフィルタ群13、NDフィルタ調整部14、より構成された光学装置10と、イメージセンサ(撮像手段)31と、NDフィルタ制御部(NDフィルタ制御手段)32と、NDフィルタ操作部(NDフィルタ操作手段)33と、制御/操作優先モード選択部(制御/操作優先選択手段)34と、を更に具備した構成である。また、図12は、例えば、NDフィルタ群(または、各NDフィルタ)の自動制御、及び/または、NDフィルタ群のマニュアル操作に関する構成を示すブロック図である。
【0106】
前記イメージセンサ31は、前述した撮像面18(図1)に配置され、光学像を光電変換して撮像信号を生成するものである。前記NDフィルタ制御部32は、撮像信号の積分値に基づいてNDフィルタ調整部14を制御するものである。例えば、図4(c)、(d)で示したように、2枚羽による光学絞りの多角形絞り面が4角形(菱形)絞り面を形成している場合には、図9(a)〜(d)で示したように、透過率変更線がこの4角形絞り面の中に存在するように、NDフィルタ制御部32がNDフィルタ調整部14を制御するものである。ここで、図9(c)の状態に於いては、スキップ制御を施した方がより高画質な光学像が得られる。
【0107】
尚、この場合のスキップ制御は、前述したNDフィルタ調整部14による制御であっても良いし、及び/または、前記NDフィルタ制御32による制御であっても良い。
【0108】
また、このNDフィルタ制御部32は、例えば、図4(a)、(b)で示したように、その多角形絞り面が6角形絞り面を形成している場合には、図5(a)、(b)で示したように、透過率変更線がこの6角形絞り面の中に存在しないようにNDフィルタ調整部14を制御しても良い。
【0109】
例えば、NDフィルタ制御部32は、NDフィルタ群13の光透過率の調整を自動制御するものであっても良い。光透過率を自動制御する場合に於いては、このNDフィルタ制御部32は、透過率変更線と絞り境界線とが略一致する位置を含むヲブリング幅に於いて、このNDフィルタ群13の位置がヲブリング(wobbling)しないように、ヲブリング幅よりも大きいヒステリシス幅に基づいて制御させても良い。尚、このヲブリング動作が発生する要因には、被写体の明るさの変化や、撮像条件の変化に起因する撮像信号の積分値にふらつきがあったり、NDフィルタを制御する際の制御誤差に起因したりすること等が挙げられる。
【0110】
このヒステリシス制御は、例えば、光透過率の自動制御によって、図9(d)の状態から図9(c)の状態をスキップして、図9(b)の状態へとNDフィルタ群13の位置調整が為されるシーケンスにて、図9(d)の状態でヒステリシスを有して保持する(前述したシーケンスをさせないで待機させる)制御のことである。
【0111】
そして、例えば、図9(a)の状態が望まれた場合になってから、このヒステリシスを脱して、図9(a)の状態に移行させる制御をすると良い。こうしたヒステリシス制御を施すことによって、図9(a)と図9(b)とによるヲブリング動作はあり得るものの、図9(c)の状態を挟む図9(d)と図9(b)とによるヲブリング動作を防ぐ効果がある。つまり、ヲブリング発生時の図9(c)に於けるスキップ制御の制御回数を削減させる効果があるのである。
【0112】
図13は、NDフィルタ制御部32で設定されるヒステリシス幅の一例を示す図である。また、図14は、図13で示したヒステリシス幅に基づいて制御されるNDフィルタ郡の位置調整量の経路を示す図である。
【0113】
図13に於いて、このヲブリング幅は、例えば、相対光量(撮像信号の積分値)に対して、光透過率(NDフィルタ群の位置調整量)がNDフィルタ制御部32によって自動制御される際に発生するものとする。そして、図13に於いて、NDフィルタ制御部32は、透過率変更線と絞り境界線とが略一致する位置(図示破線A)を含むヲブリング幅よりも、更に大きい幅にてヒステリシス幅を設定することを示している。
【0114】
仮に、前述したような透過率変更線と絞り境界線とが略一致する位置が存在しないのならば、このような略一致による透過率変更線の消失がないので、図13で示す理論値のような特性に従って光透過率が制御されて然るべきであるが、略一致する位置が存在する場合に於いては、前述したように、略一致する位置を素早く通り越すスキップ制御が為されるべきである。
【0115】
しかしながら、例え、このスキップ制御が為されたとしても、図13に示したようなヲブリング幅が発生するようであれば、それは、スキップ制御が連続して発生することになってしまう。つまり、透過率変更線の消失、及び、出現が連続して繰り返されることになってしまうことになる。
【0116】
そこで、図13に示したように、ヒステリシス幅を設定して、相対光量と光透過率との関係(理論値)が、透過率変更線と絞り境界線とが略一致する位置を跨いでいたとしても、図13に示した矢印1、矢印2、矢印3、矢印4、で構成されたヒステリシスループの経路によって制御し、このような略一致する位置を抑制させる制御が必要となるのである。
【0117】
例えば、図13で示したようなヒステリシス幅を設定すれば、ヲブリングが発生した場合に於いても、図14に示すように矢印1、または、矢印3で閉じた振幅制御が為されるはずであって、この時、矢印1、及び、矢印3は、透過率変更線と絞り境界線とが略一致する位置(図示破線B)を跨がない経路である。
【0118】
尚、矢印1は、光透過率0.9/4から、光透過率1/3になるようにND位置調整がされる過程で発生する場合の経路である。また、矢印3は、逆に、光透過率1/3から、光透過率0.9/4になるようにND位置調整がされる過程で発生する場合の経路である。
【0119】
また、このようなヒステリシスループ上の経路に於ける制御期間に於いては、NDフィルタ制御部32は、図13、及び、図14で示した理論値とは異なった光透過率(NDフィルタの位置)に制御するものである。
【0120】
図15は、NDフィルタ位置調整量(制御量)にて発生するハンチング幅の一例を示す図である。
【0121】
図15で示すように、このハンチング幅は、図13で示したヒステリシス幅よりも大きい振幅を有するNDフィルタ位置調整量(制御量)のことである。このように、ヒステリシス幅よりも大きい振幅を有するハンチング幅が制御量として発生した場合に於いては、透過率変更線と、絞り境界線と、が略一致して静止しないように、各NDフィルタの位置関係が調整され停止した後、図12で示した、制御/操作優先モード選択部34によってNDフィルタ操作部33を優先とする。
【0122】
このように、NDフィルタ操作部33を優先とし、NDフィルタ制御部32によるNDフィルタの制御を放棄することで、ハンチング動作を回避することが可能となるのである。
【0123】
図16は、撮像装置筺体面上に配置するNDフィルタ操作部33と、制御/操作優先モード選択部と、の一例を示す外観図である。
【0124】
NDフィルタ操作部33は、NDフィルタ調整部14を操作するものであり、例えば、図13に示すように、ND Adjustに於いて、明から暗(光透過率調整、LightからDark)の表示、及び、そのダイヤルである。
【0125】
また、制御/操作優先モード選択部34は、NDフィルタ制御部32とNDフィルタ操作部33とのどちらか一方を優先モードにするのかを選択するものであり、例えば、図16に示すように、AUTO(自動)の点灯表示、及び、その釦である。尚、図16に示したNDフィルタ操作ダイヤル36と、AUTO釦37とは、回転させることで「選択」し、押し込むことで「決定」することができる一体型のダイヤル兼釦であっても良い。
【0126】
例えば、図16で示したようなAUTO釦37が奇数回にわたって押された時には、制御/操作優先モード選択部34は、AUTOの点灯表示と共にNDフィルタ制御部32を優先モードに選択して、NDフィルタ操作ダイヤルによる操作は無視されて、このNDフィルタ制御部32によるNDフィルタ群の光透過率の自動調整が為される仕様であっても良い。
【0127】
または、図13で示したようなAUTO釦37が偶数回にわたって押された時には、制御/操作優先モード選択部34は、AUTOの消灯表示と共にNDフィルタ操作部33を優先モードに選択して、NDフィルタ制御部32による制御信号は無視されて、このNDフィルタ操作ダイヤル36による制御信号、または、機械駆動が優先される仕様であっても良い。
【0128】
尚、このAUTO釦37が偶数回にわたって押された場合には、NDフィルタ群13のヲブリング動作は直ちに停止される効果を有する。したがって、このAUTO釦37については、必ずしも優先モード選択の目的のみならず、ヲブリング動作停止の目的による釦として使用することも可能である。
【0129】
図16で示したNDフィルタ操作ダイヤル36と、AUTO釦37とには、別の仕様も考えられるので、以下に補足説明する。
【0130】
前述したNDフィルタ操作ダイヤル36が操作された場合には、ダイヤル操作が為されてからAUTO釦37が押されるまでの期間、このNDフィルタ操作ダイヤル36が自動的に優先モードに選択される仕様であっても良い。
【0131】
また、この仕様に於いては、AUTO釦37が押された場合には、再びダイヤル操作が為されるまでの期間、前述したNDフィルタ制御部32が自動的に優先モードに選択されるようにしてあっても良い。
【0132】
図17は、撮像装置筺体面上に配置するNDフィルタ操作部33と、制御/操作優先モード選択部34と、の一例を示す外観図である。
【0133】
図17に於いて、このNDフィルタ操作部33、及び、制御/操作優先モード選択部34は、光透過率を1/12、1/8、1/4、1/2、OFF(光透過率1)、または、AUTO(自動調整)に、設定用の突起41を有するスライドスイッチ40によって、それぞれ選択的に切り換わるように操作可能であるものである。
【0134】
このように、NDフィルタ操作部33と制御/操作優先モード選択部34とは一体の部材から成るものであっても良い。尚、図17で示した外観図では、スライド式スイッチであるが、各種様々な応用があり、ロータリスイッチであっても良いし、AUTOの選択時にクリック感を有するダイヤル、または、スライダックのようなものであっても良い。更に、リモートコントロールにする等の各種様々な応用形態があり得るものである。
【0135】
このように、第2の実施形態は、前述した第1の実施形態で示した光学装置を用いた撮像装置に関するものであり、NDフィルタ群の自動制御、及び/または、NDフィルタ群のマニュアル操作の実施形態について記したものである。
【0136】
前述してきたように、第2の実施形態によれば、光学像の光量を調節する際に、光学絞りによる光学像の小絞りボケが軽減されるような光学設計、及び、光学制御に於ける自動制御/マニュアル操作を備えた撮像装置を提供することができる。
【0137】
また、第2の実施形態によれば、撮像記録中の絞り面にNDフィルタが挿入された場合に於いても、このNDフィルタの挿入された瞬間の様子が目立たないような光学設計、及び、光学制御に於ける自動制御/マニュアル操作を備えた撮像装置を提供することができる。
【0138】
更に、第2の実施形態によれば、NDフィルタの透過率変更線が絞り面にあった場合に於いても、この光学像の水平方向のMTFと垂直方向のMTFとが略一致するような、または、少なくとも水平方向のMTF劣化と垂直方向のMTF劣化との劣化比率がおおよそ一定に保たれるような光学設計、及び、光学制御に於ける自動制御/マニュアル操作を備えた撮像装置を提供することができる。
【0139】
そして、第2の実施形態によれば、NDフィルタの透過率変更線が絞り面に対して変化しながら移動する場合に於いても、この光学像の小絞りボケによるMTF劣化の変化が軽減されるような光学設計、及び、光学制御に於ける自動制御/マニュアル操作を備えた撮像装置を提供することができる。
【0140】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0141】
更に、前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明の第1の実施形態による光学装置の構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は図1に示した斜方NDフィルタのフィルタ形状の一例を示す図、(b)は図1に示した斜方NDフィルタのフィルタ形状と、撮像面との幾何学的関係の一例を示す図である。
【図3】2枚羽光学絞りの一例を示す図である。
【図4】図3で示した2枚羽光学絞りの絞り羽(上)と、絞り羽(下)と、の位置関係から形成される絞り面についての例を示す図である。
【図5】図2(a)で示したNDフィルタ群と、図4(a)〜(d)で示した絞り境界線と、の位置関係についての例をそれぞれ示す図である。
【図6】図2(a)で示したNDフィルタ群と、図5(c)で示した絞り境界線(絞り面)と、の位置関係によって、光透過率を調整する例を示す図である。
【図7】一般的なNDフィルタ群による絞り面内透過率変更線の線長の変化を示した図である。
【図8】本発明の第1の実施形態によるNDフィルタ群による絞り面内透過率変更線の線長が略一定に保たれることを示した図である。
【図9】本発明の第1の実施形態による斜方NDフィルタによる透過率変更線と、絞り境界線(絞り面)と、の位置関係の一例を示す図である。
【図10】斜方NDフィルタの対角線の1つと、図2(b)で示した撮像面の水平方向と、が略平行ではない場合の一例を示す図である。
【図11】斜方NDフィルタの透過率変更線と、絞り境界線の4辺のうち2辺と、が略平行ではない場合の一例を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施形態による、第1の実施形態で示した光学装置を用いた撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図13】NDフィルタ制御部で設定されるヒステリシス幅の一例を示す図である。
【図14】図13で示したヒステリシス幅に基づいて制御されるNDフィルタ郡の位置調整量の経路を示す図である。
【図15】NDフィルタ位置調整量(制御量)にて発生するハンチング幅の一例を示す図である。
【図16】本発明の第2の実施形態による、撮像装置筺体面上に配置するNDフィルタ操作部と、制御/操作優先モード選択部と、の一例を示す外観図である。
【図17】本発明の第2の実施形態による、撮像装置筺体面上に配置するNDフィルタ操作部と、制御/操作優先モード選択部と、の一例を示す外観図である。
【符号の説明】
【0143】
10…光学装置、11…レンズ群、12…光学絞り、12a…絞り羽(上)、12b…絞り羽(下)、13…NDフィルタ群、14…NDフィルタ調整部、17…被写体、18…撮像面、20、23a〜23d…絞り面、24a〜24d…絞り境界線、30…撮像装置、31…イメージセンサ、32…NDフィルタ制御部、33…NDフィルタ操作部、34…制御/操作優先モード選択部、36…NDフィルタ操作ダイヤル、37…AUTO釦、40…スライドスイッチ、41…突起、130…斜方NDフィルタ、130a…NDなし、130b…ND1、130c…ND2、130d、130e…透過率変更線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる光透過率を有する複数種のNDフィルタを具備する光学装置及びその光学装置を用いた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
撮像装置に関する技術が、例えば、下記特許文献1に開示されている。この特許文献1には、撮像レンズ系へ入射した光束の光量を調節するための露出制御機構を有し、上記露出制御機構は、光軸に直交する面上を絞り羽根が互いに反対方向に移動することにより絞り開口を形成する絞りと少なくとも2種の異なった透過率のNDフィルタ部を有すると共に、絞り開放状態から透過光量を制限する方向に変位するとき、開放から所定の開口までは絞り羽根によって開口面積を制限し、次に所定の開口を維持したままNDフィルタをその透過率の高いフィルタ部から順に絞り開口に進入させるようにした撮像装置に関して記載されている。
【特許文献1】特開2000−106649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年に於いて、撮像装置、及び、撮像素子の高感度化が進むにつれて、被写体を撮像するための光学像に対して、前記光学像の光量を調節する手段が重要な撮像技術要素の1つとなっている。そして、この光学像の光量を露光時間一定条件にて調節する手段については、例えば、光学絞り、NDフィルタ等がある。
【0004】
ここで、この光学像の光量を調節する手段が前記光学絞りに限定されるような場合に於いては、この光学絞りによって光量を絞っていけばいく程、光学像に光の回折現象に起因する小絞りボケが発生してしまうという第1の問題点がある。
【0005】
また、前記第1の問題点を解決するために、前記光学絞りが所定の絞り面よりも絞りすぎないように前記NDフィルタを挿入する方法がある。
【0006】
しかしながら、撮像記録中に於いて、絞り面全面に前記NDフィルタを瞬間的に挿入した場合については、このNDフィルタの挿入された瞬間の様子が撮像記録されてしまうという第2の問題点がある。
【0007】
そこで、前記第1の問題点、及び、前記第2の問題点を解決するためには、例えば、前記特許文献1に示されるように、光学絞りを所定の開口(絞り面)状態で維持したまま、NDフィルタをその透過率(光透過率)の高いフィルタ部から順に徐々に絞り開口(絞り面)に進入(挿入)させることで、光学絞りによる小絞りボケを軽減して、且つ、NDフィルタの挿入された瞬間の様子を目立たなくする方法があるのである。
【0008】
しかしながら、前記特許文献1に示される撮像装置は、前記光学絞りの絞り面に対して複数種の異なった光透過率のNDフィルタが挿入された時には、この異なった光透過率の境い目による水平方向の透過率変更線が絞り面にあるために、光学像の垂直方向に小絞りボケが発生してしまうという第3の問題点がある。何故ならば、このNDフィルタの水平方向の透過率変更線にて、この光学像に対して垂直方向に光の回折現象が発生してしまうからである。
【0009】
また、第3の問題点について補足説明すれば、単に光学像に小絞りボケが発生してしまうという問題だけではなくて、このNDフィルタの水平方向の透過率変更線に起因して、光学像の垂直方向のみに小絞りボケが発生して、水平方向にはこの小絞りボケが発生しないということも問題に挙げられる。即ち、この光学像は、水平方向のMTF(モデュレーション・トランスファー・ファンクション)と垂直方向のMTFとが一致していない不自然な画質特性(光学像の乱視化現象)を有することになってしまうのである。
【0010】
更に、前記特許文献1に示される撮像装置は、水平方向の透過率変更線が絞り面に対して変化しながら移動するものであり、この絞り面内にある透過率変更線の長さの変化に連動して、光学像の垂直方向に発生する小絞りボケによるMTF劣化の劣化する度合いも変化してしまうという第4の問題点があるのである。
【0011】
したがって、本発明は、前述してきた問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、光学像の光量を調節する際に、光学絞りによる光学像の小絞りボケが軽減され、撮像記録中の絞り面にNDフィルタが挿入された場合に於いても、このNDフィルタの挿入された瞬間の様子が目立たず、また、NDフィルタの透過率変更線が絞り面にあった場合に於いても、この光学像の水平方向のMTFと垂直方向のMTFとが略一致するような、または、少なくとも水平方向のMTF劣化と垂直方向のMTF劣化との劣化比率がおおよそ一定に保たれ、且つ、NDフィルタの透過率変更線が絞り面に対して変化しながら移動する場合に於いても、この光学像の小絞りボケによるMTF劣化の変化が軽減されるような光学設計、及び、光学制御を備える光学装置及びその光学装置を用いた撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち本発明は、被写体を結像させて撮像面に光学像を生成する光学手段と、前記光学手段が前記光学像を生成する際の光束を光学的に絞る光学絞りと、前記光学絞りの前側、または、後側に配置して、それぞれ光透過率が異なる複数のNDフィルタで構成されたNDフィルタ群と、前記光学手段の光軸に対する前記各NDフィルタの位置関係を調整するNDフィルタ調整手段と、を具備し、前記複数のNDフィルタの少なくとも1つは、前記光透過率の変更線である透過率変更線が前記撮像面を構成する少なくとも2つの辺に対して斜めに交差している斜方NDフィルタであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の光学装置によれば、光学像の光量を調節する際に、光学絞りによる光学像の小絞りボケが軽減される効果がある。
【0014】
また、本発明によれば、撮像記録中の絞り面にNDフィルタが挿入された場合に於いても、このNDフィルタの挿入された瞬間の様子が目立たない効果がある。
【0015】
更に、本発明によれば、NDフィルタの透過率変更線が絞り面にあった場合に於いても、少なくとも水平方向のMTF劣化と垂直方向のMTF劣化との劣化比率がおおよそ一定に保たれる効果がある。
【0016】
そして、本発明によれば、NDフィルタの透過率変更線が絞り面に対して変化しながら移動する場合に於いても、この光学像の小絞りボケによるMTF劣化の変化が軽減される効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による光学装置の構成を示すブロック図である。
【0019】
図1に於いて、この光学装置10は、レンズ群(光学手段)11と、光学絞り12と、NDフィルタ群13と、NDフィルタ調整部(NDフィルタ調整手段)14と、より構成されている。
【0020】
前記レンズ群11は、被写体17を光軸上の任意の位置に結像させて撮像面18に光学像を生成するものである。前記光学絞り12は、前記レンズ群が前記光学像を生成する際の光束を光学的に絞るものである。
【0021】
前記NDフィルタ群13は、前記光学絞り12の前側、または、後側に配置して、それぞれ光透過率が異なる複数のNDフィルタで構成されたものである。前記NDフィルタ調整部14は、前記レンズ群11の光軸に対する前記各NDフィルタの位置関係を調整するものである。前記複数のNDフィルタの少なくとも1つは、前記光透過率の変更線である透過率変更線が前記撮像面18を構成する少なくとも2つの辺に対して斜めに交差している斜方NDフィルタ130であることを特徴としている。
【0022】
尚、前記被写体17と、前記撮像面18とは、本発明の第1の実施形態による光学装置10を実際に使用することを想定した実使用上の仮想構成として図1に示されたものであって、前記撮像面18は、例えば、CCDやMOS型撮像素子のようなイメージセンサ、または、感光フィルムの配置面を想定した面であれば良い。また、本発明の第1の実施形態による光学装置10は、例えば、撮像面が肉眼であるような顕微鏡やオペラグラス、または、望遠鏡のようなものであっても良い。
【0023】
尚、本発明の第1の実施形態による光学装置にイメージセンサが実装してあったとしても良く、イメージセンサが実装してある場合の詳細については、第2の実施形態にて後述する。
【0024】
図2(a)は、図1に示した斜方NDフィルタのフィルタ形状の一例を示す図であり、図2(b)は、図1に示した斜方NDフィルタのフィルタ形状と、撮像面との幾何学的関係の一例を示す図である。
【0025】
図2(a)に於いて、このNDフィルタ群13は、異なる光透過率を有する複数のNDフィルタから成り、例えば、光透過率1であるNDなし130aと、光透過率1/4であるND1130bと、光透過率1/16であるND2130cと、より構成されている。
【0026】
前記ND1130bと前記NDなし130aとの継ぎ目、及び、前記ND2130cと前記ND1130bとの継ぎ目は透過率変更線130d、130eであり、この2つの透過率変更線130d、130eは斜方性を有している。このように、ND1130bは斜方NDフィルタである。ここで斜方性とは、透過率変更線が撮像面を構成する少なくとも2つの辺に対して斜めに交差していることをいう。
【0027】
図2(b)は、NDフィルタ群13と撮像面18とを重ね合わせて示すことで、斜方NDフィルタ130のフィルタ形状と、撮像面18との幾何学的関係の一例を示している。図2(b)に於いて、この斜方NDフィルタ130(ND1130b)のフィルタ形状20は平行四辺形であって、この平行四辺形の対角線21は撮像面18の水平方向と略平行であることがわかる。
【0028】
尚、このNDフィルタ群13は、ND2、ND1、NDなしの3種類の異なる光透過率を有するものに限定されずに、ND3、ND4、があっても良いし、例えば、日中の晴天下での撮像シーンを想定するならば、NDフィルタと色温度変換フィルタとを併せた光学フィルタであっても良い。更に、異なる複数の光透過率には、各種様々な組み合わせがあっても良く、色々な応用形態があっても良い。
【0029】
図3は、2枚羽光学絞りの一例を示す図である。
【0030】
図3に於いて、この光学絞り12は、絞り羽(上)(実線で示される)12aと、絞り羽(下)(破線で示される)12bと、から成る2枚の絞り羽より構成されている。
【0031】
図4(a)〜(d)は、図3で示した2枚羽光学絞りの絞り羽(上)12aと、絞り羽(下)12bと、の位置関係から形成される絞り面についての例を示す図である。
【0032】
図4(a)は、絞り羽(上)(実線で示される)12aと、絞り羽(下)(破線で示される)12bと、の絞り位置を開放に調整した、正六角形の絞り面(斜線で示される)23aを有する光学絞りを示している。また、この絞り羽12a、12bと絞り面23aとの境界線を絞り境界線24aとする。
【0033】
図4(b)は、絞り羽(上)12aと、絞り羽(下)12bと、の絞り位置を、図4(a)で示した絞り位置よりもやや閉め調整にして、絞り面23bの面積を、図4(a)で示した絞り面23aの面積と比べて約1/2にした光学絞りを示している。図4(b)に示した絞り面23bは、やや歪んだ六角形となる。
【0034】
図4(c)は、絞り羽(上)12aと、絞り羽(下)12bと、の絞り位置を、図4(b)で示した絞り位置よりも更に閉め調整にしていき、絞り面23cの面積を、図4(a)で示した絞り面23aの面積と比べて約1/4にした光学絞りを示している。図4(c)に示した絞り面23cは菱形となる。
【0035】
図4(d)は、絞り羽(上)12aと、絞り羽(下)12bと、の絞り位置を、図4(c)で示した絞り位置よりも更に閉め調整にしていき、絞り面23dの面積を、図4(a)で示した絞り面23aの面積と比べて約1/16にした光学絞りを示している。図4(d)に示した絞り面23dは、図4(c)に示した菱形よりも更に小さい菱形となる。
【0036】
このように、図4(a)〜(d)は、絞り羽(上)12aと、絞り羽(下)12bと、の2枚の絞り羽による絞り位置の関係を調整することで、光学絞り12の絞りF値を連続的に調整することが可能であることを示した図である。
【0037】
尚、図4(a)〜(d)で示した多角形の絞り面23a〜23dは、厳密な多角形でなくとも良く、例えば、角が丸みを帯びているものであっても良いし、辺が丸みを帯びた曲線であっても良く、各種様々な応用があり得る。
【0038】
図5(a)〜(d)は、図2(a)で示したNDフィルタ群13と、図4(a)〜(d)で示した絞り境界線24a〜24dと、の位置関係についての一例をそれぞれ示す図である。
【0039】
図5(a)は、図2(a)で示したNDフィルタ群13のNDなし(光透過率1)130aの場所に、図4(a)で示した正六角形から成る絞りF1.4(開放)の絞り境界線24aを重ねて示した図である。
【0040】
図5(b)は、図2(a)で示したNDフィルタ群13のNDなし130aの場所に、図4(b)で示した六角形から成る絞りF2の絞り境界線24bを重ねて示した図である。これは、図5(a)で示したF1.4(開放)の絞り境界線24aの形状から、図5(b)で示したF2の絞り境界線24bの形状の変化に合わせてNDフィルタ群13の位置調整を施し、このNDフィルタ群13の絞り境界線に対する位置関係を調整している。
【0041】
図5(c)は、図2(a)で示したNDフィルタ群13のNDなし130aの場所に、図4(c)で示した菱形から成る絞りF2.8の絞り境界線24cを重ねて示した図である。このように、絞り形状が菱形であった場合に於いても、絞り境界線の形状の変化に合わせてNDフィルタ群13の位置調整を施し、このNDフィルタ群13の絞り境界線に対する位置関係を調整している。
【0042】
図5(d)は、図2(a)で示したNDフィルタ群13のNDなし130aの場所に、図4(d)で示した小さな菱形から成る絞りF5.6の絞り境界線24dを重ねて示した図である。図5(d)で示したような小さな菱形絞り面による絞りF5.6である場合には、小絞りボケによる光学像のMTF劣化が懸念される。
【0043】
このように、図5(a)で示した絞りF1.4(開放)から、図5(b)で示した絞りF2、図5(c)で示した絞りF2.8、そして、図5(d)で示した絞りF5.6へと、光学絞り12を絞っていくにつれて、絞り境界線に対する位置関係に基づいて、このNDフィルタ群13の位置を徐々に下に詰めている。こうすることの理由は、NDなし130aからND1130b挿入へと素早く移行させることを可能とするために、その移行距離を詰めておく必要があるからである。
【0044】
尚、図5(a)〜(d)でそれぞれ示されているように、絞り境界線24a〜24dと透過率変更線130dとの間には、所定のマージン(距離)を置いても良い。
【0045】
また、図5(d)で示した絞りF5.6である場合には、円形の絞り面による絞りF5.6である場合よりも、小絞りボケによる光学像のMTF劣化の劣化する度合いが大きいので、被写界深度を深くしたいなどの撮像要求がない限りは、例えば、ポートレート撮像である場合に於いては、図5(c)で示した絞りF2.8辺りで絞りを止めておいて、光量の調整はNDフィルタによる調整である仕様にした方が、光学絞りによる光学像の小絞りボケが防げるのである。
【0046】
尚、被写界深度を深くしたいなどの撮像要求がある場合は、図5(d)で示したように、絞りF5.6による撮像も可能な光学装置である方が良い。または、図5(c)と図5(d)との中間位の絞りである絞りF4(図示せず)辺りで撮像可能であるようにしても良い。
【0047】
前述したように、光量の調整は、光学絞り12で絞って調整するよりも、NDフィルタによる調整であった方が、光学絞りによる小絞りボケが軽減されて、光学像のMTF劣化が軽減されるわけである。しかしながら、例えば、動画カメラによる撮像に於いて、その撮像記録中に一枚板から成る一般的なNDフィルタが一気に挿入された場合は、このNDフィルタの挿入された瞬間の様子が目立つという問題点がある。
【0048】
そこで、撮像記録中の絞り面にNDフィルタを挿入しても、このNDフィルタの挿入された瞬間の様子が目立たない光学手法について、図6(a)〜(d)を参照して説明する。
【0049】
図6(a)〜(d)は、図2(a)で示したNDフィルタ群13と、図5(c)で示した絞り境界線(絞り面)24cと、の位置関係によって、光透過率を調整する例を示す図である。
【0050】
尚、図6(a)〜(d)は、非連続的な駒動作(瞬間移動)を示したものではなく、所定の動作時間を掛けながら得た連続的に滑らかな動作を断片的に示したものである。
【0051】
図6(a)は、絞りF2.8で、且つ、NDなし(光透過率1)130aの状態を一例として示した図である。
【0052】
ここで、光学絞りは、図6(a)で示した絞りF2.8のままに保持して、NDフィルタ群13の絞り面に対する位置関係を連続的に徐々に下げていくと、図6(b)で示すように、光透過率1/4であるND1(斜方NDフィルタ)130bと、光透過率1であるNDなし130aと、が混在した絞り面が得られる。
【0053】
図6(b)は、この絞り面全体に於いて光透過率2/3となるように、NDフィルタ群13の絞り面に対する位置関係が調整されているのである。
【0054】
図6(c)は、同様に絞りF2.8を保持したままに、NDフィルタ群13の絞り面に対する位置関係について、図6(b)で示した位置関係よりも更に下げた様子を示している。図6(c)の絞り面では、ND2130cとND1130bとが混在しており、その混合比率から光透過率1/6のNDフィルタが生成されているのと等価である。
【0055】
また、図6(d)は、ND2130cとND1130bとの混合比率から光透過率1/12のNDフィルタが生成されているのと等価である。
【0056】
このように、NDフィルタ群13の絞り面に対する位置関係を連続的に調整するようにして、例えば、NDなし130a、ND1130b、ND2130c、の3種類の異なる光透過率から2種類を同一の絞り面に同時に混在させることで、滑らかに連続した光量の微調整を可能としているのである。
【0057】
また、光量の調整を、このような滑らかに連続した微調整にすることで、撮像記録中の絞り面にNDフィルタが挿入された場合に於いても、このNDフィルタの挿入された瞬間の様子が目立たない効果が得られるのである。
【0058】
尚、前述した光学絞り12は、絞りF2.8に保持することに限られず、絞りF4、絞りF5.6、または、それ以外の絞りF値に保持して同様の調整を実施しても同様の効果が得られる。
【0059】
次に、図7及び図8を参照して、絞り面内に於ける透過率変更線の状態(長さ、及び、撮像面に対する角度)と、光学像の水平/垂直MTF劣化と、の関係について説明する。
【0060】
図7(a)及び(b)は、一般的なNDフィルタ群による絞り面内透過率変更線の線長の変化を示した図である。
【0061】
図7(a)、(b)で示すような一般的なNDフィルタ群13は、透過率変更線130d、130eを水平方向に構えており、例えば、NDなし(光透過率1)130aと、ND1(光透過率1/4)130bと、ND2(光透過率1/16)130cと、を備えている。
【0062】
図7(a)、(b)は、このNDフィルタ群13と重ねて絞り境界線(絞り面)が示されており、図4(a)〜(d)で示したように、2枚羽から成る絞り羽(上)12aと、絞り羽(下)12bと、の位置関係から形成されるものであって、図4(c)で示した絞りF2.8の状態を示すものである。
【0063】
図7(a)、(b)で示した絞り面23cでは、ND1130bとNDなし130aとが混在しており、その混合比率から、図7(a)は光透過率1/2、図7(b)は光透過率1/3、のNDフィルタが生成されているのと等価である。
【0064】
ここで、図7(a)、(b)に示されている絞り面23c内にある透過率変更線130dについて着目すれば、図7(a)に示される絞り面23c内の透過率変更線130dは、図7(b)に示される絞り面23c内の透過率変更線130dよりも長いことがわかる。
【0065】
このように、図7(a)、(b)で示した光学装置では、NDフィルタ群13の位置関係を調節して、NDフィルタの光透過率を調整していく過程で、前述した絞り面内透過率変更線の長さが変化してしまうことがわかる。この絞り面内透過率変更線の線長の変化が原因で、光学像の水平/垂直MTF劣化の劣化する度合いが変化するのである。したがって、図7(a)と図7(b)の場合では、図7(b)に対して図7(a)の方が、垂直MTFが劣化することになる。
【0066】
また、図7(a)、(b)で示した光学装置では、この絞り面内透過率変更線が水平方向であるので、絞り面内透過率変更線に起因する光学像の光の回折現象は、光学像の垂直方向にのみ発生して、光学像の水平方向には発生しないのである。
【0067】
即ち、図7(a)、(b)で示した光学装置による光学像は、水平方向のMTFと垂直方向のMTFとが一致していない不自然な画質特性(光学像の乱視化現象)を有して、更に、光透過率の調整と供に、垂直方向のMTFが変化するという欠点を有するものである。
【0068】
図8(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態によるNDフィルタ群による絞り面内透過率変更線の線長が略一定に保たれることを示した図である。
【0069】
図8(a)、(b)に示されるNDフィルタ群13は斜方NDフィルタ130を備えたものであり、既に、図6(a)〜(d)で示したものと構成、原理は同じであって、透過率変更線130dを斜方に構えており、NDなし(光透過率1)130aと、ND1(光透過率1/4)130bと、ND2(光透過率1/16)130cと、を備えているものである。
【0070】
図8(a)、(b)は、このNDフィルタ群13と重ねて絞り境界線(絞り面)が示されており、図4(c)で示した絞りF2.8の状態である。図8(a)、(b)に於ける絞り面には、ND1130bとNDなし130aとが混在しており、その混合比率から、図8(a)は光透過率1/2、図8(b)は光透過率1/3、のNDフィルタが生成されているのと等価である。
【0071】
ここで、図8(a)、(b)に示されている絞り面23c内にある透過率変更線130dについて着目すれば、図8(a)に示される絞り面23c内の透過率変更線130dの長さと、図8(b)に示される絞り面23c内の透過率変更線130dの長さとは略一致していることがわかる。
【0072】
このように、図8(a)、(b)で示した光学装置では、NDフィルタ群の位置関係を調節して、NDフィルタの光透過率を調整していく過程で、前述した絞り面内透過率変更線の長さがおおよそ変化しないことがわかる。こうした理由から、図8(a)、(b)で示した光学装置は、光学像の小絞りボケによるMTF劣化の変化が軽減されるのである。
【0073】
また、この絞り面内透過率変更線が斜方であるので、絞り面内透過率変更線に起因する光学像の光の回折現象は、光学像の垂直方向と、光学像の水平方向との双方に発生して、水平方向のMTF劣化と垂直方向のMTF劣化とが略一致した光学像が得られるのである。
【0074】
前述してきたように、図7(a)で示した光学装置と、図8(a)で示した光学装置とでは、同じ絞りF2.8、光透過率1/2であり、図7(b)で示した光学装置と、図8(b)で示した光学装置とでは、同じ絞りF2.8、光透過率1/3であるにも関わらず、理想的な光学像が得られるのは、図8(a)、(b)で示したような斜方NDフィルタを備えた光学装置の方である。
【0075】
次に、透過率変更線と、絞り境界線とが、略一致して静止しないようにスキップ制御をしてNDフィルタ群(各NDフィルタ)の位置関係を調整することについての一例について説明する。
【0076】
図9は、本発明の第1の実施形態による斜方NDフィルタによる透過率変更線と、絞り境界線(絞り面)と、の位置関係の一例を示す図である。
【0077】
図9(a)は、NDフィルタ群と光学絞りの絞り境界線(絞り面)とが重ね併せて示されている。また、図9(a)は、絞りF2.8であり、光透過率1/2である。また、図9(b)の状態は、図9(a)の状態から絞りF2.8で保持したままに、光透過率1/3に調整された様子を示している。
【0078】
ここで、図9(a)及び(b)の状態に於いて、このNDフィルタ群が備える斜方NDフィルタ130に有する透過率変更線130dと、絞り境界線24cと、は未だ略一致していない状態である。
【0079】
図9(c)は、NDフィルタ群の絞り面に対する位置関係を図9(b)の状態よりも更に調整していって、絞りF2.8で保持したままに、且つ、光透過率1/4に調整された状態を示している。ここで着目すべき事は、前述した斜方NDフィルタ130に有する透過率変更線130d、及び/または、130eと、絞り境界線24cと、が略一致している状態であり、絞り面23cに透過率変更線を有さない状態であるということである。
【0080】
前述してきたように、NDフィルタ群の絞り面に対する位置関係を調節して、NDフィルタの光透過率を調整していく過程で、絞り面内透過率変更線の長さが変化しないということが、光学像の小絞りボケによるMTF劣化の変化が軽減される理由となっている。したがって、図9(c)のように絞り面23cに透過率変更線を有さない状態では、MTF劣化の劣化する度合いが小さくなってしまい、MTF劣化の変化が大きくなってしまうのである。
【0081】
そこで、図9(c)で示したような、透過率変更線130d、及び/または、130eと、絞り境界線24cとが、略一致するようなNDフィルタの位置関係に於いては、この図9(c)の状態を素早く通り越す制御(スキップ制御)をして、図9(c)の状態で静止しないように、NDフィルタ群(各NDフィルタ)の位置関係を調整することが必要となってくるのである。
【0082】
このスキップ制御は、図9(a)で示したNDフィルタ群13の位置関係から、図9(b)で示したNDフィルタ群13の位置関係へと、NDフィルタ群13の絞り面23cに対する位置調整をしていった後、図9(c)で示したNDフィルタ群13の位置関係をスキップして、つまり、素早く通り越すような制御をして、図9(d)で示すNDフィルタ群13の位置関係に至るまで移行させている。
【0083】
ここで、図9(c)に於ける光学条件は、絞りF2.8、光透過率1/4であることに対して、図9(d)に於ける光学条件は、絞りF2.8、光透過率0.9/4であり、光りの透過率は約10%程度減光している。
【0084】
このようにして、NDフィルタ群の位置関係をスキップ制御することで、光透過率は減光するものの、光学像の小絞りボケによるMTF劣化の変化を軽減することが可能となっているのである。
【0085】
尚、このスキップ制御は、機械式(機械駆動式)、及び/または、電気モータ制御式(電気信号制御式)が考えられる。また、この光学装置が静止画撮像用に用いられる場合には、スキップ制御中には静止画のレリーズを防ぐような工夫があっても良いし、この光学装置が動画撮像用、または、静止画連写用に用いられる場合には、撮像同期信号のブランキング期間内にこのスキップ制御を実施する等の工夫が施されてあっても良い。
【0086】
次に、NDフィルタ群の絞り面に対する位置関係を調整するのに、より制御がしやすく、且つ、より高性能となるような斜方NDフィルタの形状について説明する。
【0087】
図10(a)及び(b)は、斜方NDフィルタの対角線の1つと、図2(b)で示した撮像面の水平方向と、が略平行ではない場合の一例を示す図である。
【0088】
ここで、図9(a)〜(d)に示された斜方NDフィルタ(平行四辺形)130の対角線(図示せず)の1つについて着目すると、図2(b)で示した斜方NDフィルタ130のフィルタ形状20と同じように、撮像面(図示せず)の水平方向と略平行であることがわかる。また、図10(a)に示された斜方NDフィルタの対角線26aについて着目すれば、撮像面(図示せず)の水平方向と平行ではないことがわかる。
【0089】
斜方NDフィルタ(平行四辺形)130(20)の対角線の1つと、撮像面の水平方向と、が略平行である場合(例えば、図9(a)〜(d))と、略平行ではない場合(例えば、図10(a)、(b))と、の差分について説明すれば、図9(a)〜(d)に於いて、スキップ制御されるべき図9(c)を除けば、図9(a)、(b)、(d)に示された絞り面23cの中には、常に同じ長さで斜方NDフィルタ130の透過率変更線が1本あるのに対して、図10(a)に示された絞り面23cの中には、斜方NDフィルタ130の透過率変更線が2本あるということである。
【0090】
例えば、図10(a)で示したように、絞り面23cの中に斜方NDフィルタ130の透過率変更線(130d、130e)が2本ある場合には、透過率変更線が1本である場合よりも、MTF劣化の劣化する度合いが大きくなってしまう。即ち、光学像の小絞りボケによるMTF劣化の変化を軽減するには、斜方NDフィルタ(平行四辺形)130(20)の対角線の1つは、図2(b)に21で示したように、撮像面の水平方向と略平行であることが望ましいのである。
【0091】
また、図10(b)に示された斜方NDフィルタの対角線の1つについて着目しても撮像面(図示せず)の水平方向と略平行ではない。図10(b)に示された絞り面23cの中には、斜方NDフィルタ20の透過率変更線130d、130eが存在しないので、この状態については、図9(c)で説明した理由と同様にスキップ制御されるべき状態となる。この場合に於いても、光学像の小絞りボケによるMTF劣化の変化を軽減するには、斜方NDフィルタ(平行四辺形)20の対角線の1つは、図2(b)に21で示したように撮像面の水平方向と略平行であることが望ましいことがわかる。
【0092】
図11(a)及び(b)は、斜方NDフィルタの透過率変更線と、絞り境界線の4辺のうち2辺と、が略平行ではない場合の例を示す図である。
【0093】
先ず、図9(a)〜(d)に示された斜方NDフィルタ(平行四辺形)の透過率変更線について着目すると、透過率変更線130d、130eは、図9(a)〜(d)に示された絞り境界線24cの4辺のうち2辺と略平行であることがわかる。
【0094】
次に、図11(a)、(b)に示された斜方NDフィルタの透過率変更線について着目する。すると、透過率変更線130d、130eは、図11(a)、(b)に示された絞り境界線24cの4辺のうち2辺と略平行ではない。
【0095】
ここで、斜方NDフィルタ(平行四辺形)130(20)の透過率変更線130d、130eと、絞り境界線24cの4辺のうち2辺と、が略平行である場合(例えば、図9(a)〜(d))と、略平行ではない場合(例えば、図11(a)、(b))と、の差分について説明する。すると、図11(a)で示した絞り面23cには約0.5本分の透過率変更線しかなく、例えば、図11(b)で示した絞り面には約1.5本分の透過率変更線があるのである。そして、この絞り面23c内にある透過率変更線の長さが異なるのならば、MTF劣化の劣化する度合いも異なることになるのである。
【0096】
前述してきたことから、NDフィルタの透過率変更線が絞り面に対して変化しながら移動する場合に於いて、この光学像の小絞りボケによるMTF劣化の変化が軽減される効果を得るためには、斜方NDフィルタのフィルタ形状は平行四辺形であって、この平行四辺形の対角線方向の1つは、前記撮像面の水平方向、または、前記撮像面の垂直方向と略平行であり、且つ、透過率変更線は絞り面のうち2辺と略平行であることが理想条件の1つとなるのである。
【0097】
このように、第1の実施形態によれば、光学像の光量を調節する際に、光学絞りによる光学像の小絞りボケが軽減されるような光学設計、及び、光学制御を備えた光学装置を提供することができる。
【0098】
また、第1の実施形態によれば、撮像記録中の絞り面にNDフィルタが挿入された場合に於いても、このNDフィルタの挿入された瞬間の様子が目立たないような光学設計、及び、光学制御を備えた光学装置を提供することができる。
【0099】
更に、第1の実施形態によれば、NDフィルタの透過率変更線が絞り面にあった場合に於いても、この光学像の水平方向のMTFと垂直方向のMTFとが略一致するような、または、少なくとも水平方向のMTF劣化と垂直方向のMTF劣化との劣化比率がおおよそ一定に保たれるような光学設計、及び、光学制御を備えた光学装置を提供することができる。
【0100】
そして、第1の実施形態によれば、NDフィルタの透過率変更線が絞り面に対して変化しながら移動する場合に於いても、この光学像の小絞りボケによるMTF劣化の変化が軽減されるような光学設計、及び、光学制御を備えた光学装置を提供することができる。
【0101】
尚、第1の実施形態で示した、NDフィルタ群の形状は各種様々な応用があり、長方形のプレート形状でも良いし、長方形のテープまたは、ラミネートしたものをU字型に丸めたような形状であっても良い。
【0102】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0103】
図12は、本発明の第2の実施形態による、第1の実施形態で示した光学装置を用いた撮像装置の構成を示すブロック図である。
【0104】
尚、以下に述べる第2の実施形態に於いて、光学装置の基本的な構成及び動作については、前述した第1の実施形態と同じであるので、説明の重複を避けるため、同一の部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0105】
図12に於いて、この撮像装置30は、図1で示した、第1の実施形態による光学装置を用いた撮像装置である。すなわち、この撮像装置30は、レンズ群11、光学絞り12、NDフィルタ群13、NDフィルタ調整部14、より構成された光学装置10と、イメージセンサ(撮像手段)31と、NDフィルタ制御部(NDフィルタ制御手段)32と、NDフィルタ操作部(NDフィルタ操作手段)33と、制御/操作優先モード選択部(制御/操作優先選択手段)34と、を更に具備した構成である。また、図12は、例えば、NDフィルタ群(または、各NDフィルタ)の自動制御、及び/または、NDフィルタ群のマニュアル操作に関する構成を示すブロック図である。
【0106】
前記イメージセンサ31は、前述した撮像面18(図1)に配置され、光学像を光電変換して撮像信号を生成するものである。前記NDフィルタ制御部32は、撮像信号の積分値に基づいてNDフィルタ調整部14を制御するものである。例えば、図4(c)、(d)で示したように、2枚羽による光学絞りの多角形絞り面が4角形(菱形)絞り面を形成している場合には、図9(a)〜(d)で示したように、透過率変更線がこの4角形絞り面の中に存在するように、NDフィルタ制御部32がNDフィルタ調整部14を制御するものである。ここで、図9(c)の状態に於いては、スキップ制御を施した方がより高画質な光学像が得られる。
【0107】
尚、この場合のスキップ制御は、前述したNDフィルタ調整部14による制御であっても良いし、及び/または、前記NDフィルタ制御32による制御であっても良い。
【0108】
また、このNDフィルタ制御部32は、例えば、図4(a)、(b)で示したように、その多角形絞り面が6角形絞り面を形成している場合には、図5(a)、(b)で示したように、透過率変更線がこの6角形絞り面の中に存在しないようにNDフィルタ調整部14を制御しても良い。
【0109】
例えば、NDフィルタ制御部32は、NDフィルタ群13の光透過率の調整を自動制御するものであっても良い。光透過率を自動制御する場合に於いては、このNDフィルタ制御部32は、透過率変更線と絞り境界線とが略一致する位置を含むヲブリング幅に於いて、このNDフィルタ群13の位置がヲブリング(wobbling)しないように、ヲブリング幅よりも大きいヒステリシス幅に基づいて制御させても良い。尚、このヲブリング動作が発生する要因には、被写体の明るさの変化や、撮像条件の変化に起因する撮像信号の積分値にふらつきがあったり、NDフィルタを制御する際の制御誤差に起因したりすること等が挙げられる。
【0110】
このヒステリシス制御は、例えば、光透過率の自動制御によって、図9(d)の状態から図9(c)の状態をスキップして、図9(b)の状態へとNDフィルタ群13の位置調整が為されるシーケンスにて、図9(d)の状態でヒステリシスを有して保持する(前述したシーケンスをさせないで待機させる)制御のことである。
【0111】
そして、例えば、図9(a)の状態が望まれた場合になってから、このヒステリシスを脱して、図9(a)の状態に移行させる制御をすると良い。こうしたヒステリシス制御を施すことによって、図9(a)と図9(b)とによるヲブリング動作はあり得るものの、図9(c)の状態を挟む図9(d)と図9(b)とによるヲブリング動作を防ぐ効果がある。つまり、ヲブリング発生時の図9(c)に於けるスキップ制御の制御回数を削減させる効果があるのである。
【0112】
図13は、NDフィルタ制御部32で設定されるヒステリシス幅の一例を示す図である。また、図14は、図13で示したヒステリシス幅に基づいて制御されるNDフィルタ郡の位置調整量の経路を示す図である。
【0113】
図13に於いて、このヲブリング幅は、例えば、相対光量(撮像信号の積分値)に対して、光透過率(NDフィルタ群の位置調整量)がNDフィルタ制御部32によって自動制御される際に発生するものとする。そして、図13に於いて、NDフィルタ制御部32は、透過率変更線と絞り境界線とが略一致する位置(図示破線A)を含むヲブリング幅よりも、更に大きい幅にてヒステリシス幅を設定することを示している。
【0114】
仮に、前述したような透過率変更線と絞り境界線とが略一致する位置が存在しないのならば、このような略一致による透過率変更線の消失がないので、図13で示す理論値のような特性に従って光透過率が制御されて然るべきであるが、略一致する位置が存在する場合に於いては、前述したように、略一致する位置を素早く通り越すスキップ制御が為されるべきである。
【0115】
しかしながら、例え、このスキップ制御が為されたとしても、図13に示したようなヲブリング幅が発生するようであれば、それは、スキップ制御が連続して発生することになってしまう。つまり、透過率変更線の消失、及び、出現が連続して繰り返されることになってしまうことになる。
【0116】
そこで、図13に示したように、ヒステリシス幅を設定して、相対光量と光透過率との関係(理論値)が、透過率変更線と絞り境界線とが略一致する位置を跨いでいたとしても、図13に示した矢印1、矢印2、矢印3、矢印4、で構成されたヒステリシスループの経路によって制御し、このような略一致する位置を抑制させる制御が必要となるのである。
【0117】
例えば、図13で示したようなヒステリシス幅を設定すれば、ヲブリングが発生した場合に於いても、図14に示すように矢印1、または、矢印3で閉じた振幅制御が為されるはずであって、この時、矢印1、及び、矢印3は、透過率変更線と絞り境界線とが略一致する位置(図示破線B)を跨がない経路である。
【0118】
尚、矢印1は、光透過率0.9/4から、光透過率1/3になるようにND位置調整がされる過程で発生する場合の経路である。また、矢印3は、逆に、光透過率1/3から、光透過率0.9/4になるようにND位置調整がされる過程で発生する場合の経路である。
【0119】
また、このようなヒステリシスループ上の経路に於ける制御期間に於いては、NDフィルタ制御部32は、図13、及び、図14で示した理論値とは異なった光透過率(NDフィルタの位置)に制御するものである。
【0120】
図15は、NDフィルタ位置調整量(制御量)にて発生するハンチング幅の一例を示す図である。
【0121】
図15で示すように、このハンチング幅は、図13で示したヒステリシス幅よりも大きい振幅を有するNDフィルタ位置調整量(制御量)のことである。このように、ヒステリシス幅よりも大きい振幅を有するハンチング幅が制御量として発生した場合に於いては、透過率変更線と、絞り境界線と、が略一致して静止しないように、各NDフィルタの位置関係が調整され停止した後、図12で示した、制御/操作優先モード選択部34によってNDフィルタ操作部33を優先とする。
【0122】
このように、NDフィルタ操作部33を優先とし、NDフィルタ制御部32によるNDフィルタの制御を放棄することで、ハンチング動作を回避することが可能となるのである。
【0123】
図16は、撮像装置筺体面上に配置するNDフィルタ操作部33と、制御/操作優先モード選択部と、の一例を示す外観図である。
【0124】
NDフィルタ操作部33は、NDフィルタ調整部14を操作するものであり、例えば、図13に示すように、ND Adjustに於いて、明から暗(光透過率調整、LightからDark)の表示、及び、そのダイヤルである。
【0125】
また、制御/操作優先モード選択部34は、NDフィルタ制御部32とNDフィルタ操作部33とのどちらか一方を優先モードにするのかを選択するものであり、例えば、図16に示すように、AUTO(自動)の点灯表示、及び、その釦である。尚、図16に示したNDフィルタ操作ダイヤル36と、AUTO釦37とは、回転させることで「選択」し、押し込むことで「決定」することができる一体型のダイヤル兼釦であっても良い。
【0126】
例えば、図16で示したようなAUTO釦37が奇数回にわたって押された時には、制御/操作優先モード選択部34は、AUTOの点灯表示と共にNDフィルタ制御部32を優先モードに選択して、NDフィルタ操作ダイヤルによる操作は無視されて、このNDフィルタ制御部32によるNDフィルタ群の光透過率の自動調整が為される仕様であっても良い。
【0127】
または、図13で示したようなAUTO釦37が偶数回にわたって押された時には、制御/操作優先モード選択部34は、AUTOの消灯表示と共にNDフィルタ操作部33を優先モードに選択して、NDフィルタ制御部32による制御信号は無視されて、このNDフィルタ操作ダイヤル36による制御信号、または、機械駆動が優先される仕様であっても良い。
【0128】
尚、このAUTO釦37が偶数回にわたって押された場合には、NDフィルタ群13のヲブリング動作は直ちに停止される効果を有する。したがって、このAUTO釦37については、必ずしも優先モード選択の目的のみならず、ヲブリング動作停止の目的による釦として使用することも可能である。
【0129】
図16で示したNDフィルタ操作ダイヤル36と、AUTO釦37とには、別の仕様も考えられるので、以下に補足説明する。
【0130】
前述したNDフィルタ操作ダイヤル36が操作された場合には、ダイヤル操作が為されてからAUTO釦37が押されるまでの期間、このNDフィルタ操作ダイヤル36が自動的に優先モードに選択される仕様であっても良い。
【0131】
また、この仕様に於いては、AUTO釦37が押された場合には、再びダイヤル操作が為されるまでの期間、前述したNDフィルタ制御部32が自動的に優先モードに選択されるようにしてあっても良い。
【0132】
図17は、撮像装置筺体面上に配置するNDフィルタ操作部33と、制御/操作優先モード選択部34と、の一例を示す外観図である。
【0133】
図17に於いて、このNDフィルタ操作部33、及び、制御/操作優先モード選択部34は、光透過率を1/12、1/8、1/4、1/2、OFF(光透過率1)、または、AUTO(自動調整)に、設定用の突起41を有するスライドスイッチ40によって、それぞれ選択的に切り換わるように操作可能であるものである。
【0134】
このように、NDフィルタ操作部33と制御/操作優先モード選択部34とは一体の部材から成るものであっても良い。尚、図17で示した外観図では、スライド式スイッチであるが、各種様々な応用があり、ロータリスイッチであっても良いし、AUTOの選択時にクリック感を有するダイヤル、または、スライダックのようなものであっても良い。更に、リモートコントロールにする等の各種様々な応用形態があり得るものである。
【0135】
このように、第2の実施形態は、前述した第1の実施形態で示した光学装置を用いた撮像装置に関するものであり、NDフィルタ群の自動制御、及び/または、NDフィルタ群のマニュアル操作の実施形態について記したものである。
【0136】
前述してきたように、第2の実施形態によれば、光学像の光量を調節する際に、光学絞りによる光学像の小絞りボケが軽減されるような光学設計、及び、光学制御に於ける自動制御/マニュアル操作を備えた撮像装置を提供することができる。
【0137】
また、第2の実施形態によれば、撮像記録中の絞り面にNDフィルタが挿入された場合に於いても、このNDフィルタの挿入された瞬間の様子が目立たないような光学設計、及び、光学制御に於ける自動制御/マニュアル操作を備えた撮像装置を提供することができる。
【0138】
更に、第2の実施形態によれば、NDフィルタの透過率変更線が絞り面にあった場合に於いても、この光学像の水平方向のMTFと垂直方向のMTFとが略一致するような、または、少なくとも水平方向のMTF劣化と垂直方向のMTF劣化との劣化比率がおおよそ一定に保たれるような光学設計、及び、光学制御に於ける自動制御/マニュアル操作を備えた撮像装置を提供することができる。
【0139】
そして、第2の実施形態によれば、NDフィルタの透過率変更線が絞り面に対して変化しながら移動する場合に於いても、この光学像の小絞りボケによるMTF劣化の変化が軽減されるような光学設計、及び、光学制御に於ける自動制御/マニュアル操作を備えた撮像装置を提供することができる。
【0140】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0141】
更に、前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明の第1の実施形態による光学装置の構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は図1に示した斜方NDフィルタのフィルタ形状の一例を示す図、(b)は図1に示した斜方NDフィルタのフィルタ形状と、撮像面との幾何学的関係の一例を示す図である。
【図3】2枚羽光学絞りの一例を示す図である。
【図4】図3で示した2枚羽光学絞りの絞り羽(上)と、絞り羽(下)と、の位置関係から形成される絞り面についての例を示す図である。
【図5】図2(a)で示したNDフィルタ群と、図4(a)〜(d)で示した絞り境界線と、の位置関係についての例をそれぞれ示す図である。
【図6】図2(a)で示したNDフィルタ群と、図5(c)で示した絞り境界線(絞り面)と、の位置関係によって、光透過率を調整する例を示す図である。
【図7】一般的なNDフィルタ群による絞り面内透過率変更線の線長の変化を示した図である。
【図8】本発明の第1の実施形態によるNDフィルタ群による絞り面内透過率変更線の線長が略一定に保たれることを示した図である。
【図9】本発明の第1の実施形態による斜方NDフィルタによる透過率変更線と、絞り境界線(絞り面)と、の位置関係の一例を示す図である。
【図10】斜方NDフィルタの対角線の1つと、図2(b)で示した撮像面の水平方向と、が略平行ではない場合の一例を示す図である。
【図11】斜方NDフィルタの透過率変更線と、絞り境界線の4辺のうち2辺と、が略平行ではない場合の一例を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施形態による、第1の実施形態で示した光学装置を用いた撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図13】NDフィルタ制御部で設定されるヒステリシス幅の一例を示す図である。
【図14】図13で示したヒステリシス幅に基づいて制御されるNDフィルタ郡の位置調整量の経路を示す図である。
【図15】NDフィルタ位置調整量(制御量)にて発生するハンチング幅の一例を示す図である。
【図16】本発明の第2の実施形態による、撮像装置筺体面上に配置するNDフィルタ操作部と、制御/操作優先モード選択部と、の一例を示す外観図である。
【図17】本発明の第2の実施形態による、撮像装置筺体面上に配置するNDフィルタ操作部と、制御/操作優先モード選択部と、の一例を示す外観図である。
【符号の説明】
【0143】
10…光学装置、11…レンズ群、12…光学絞り、12a…絞り羽(上)、12b…絞り羽(下)、13…NDフィルタ群、14…NDフィルタ調整部、17…被写体、18…撮像面、20、23a〜23d…絞り面、24a〜24d…絞り境界線、30…撮像装置、31…イメージセンサ、32…NDフィルタ制御部、33…NDフィルタ操作部、34…制御/操作優先モード選択部、36…NDフィルタ操作ダイヤル、37…AUTO釦、40…スライドスイッチ、41…突起、130…斜方NDフィルタ、130a…NDなし、130b…ND1、130c…ND2、130d、130e…透過率変更線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を結像させて撮像面に光学像を生成する光学手段と、
前記光学手段が前記光学像を生成する際の光束を光学的に絞る光学絞りと、
前記光学絞りの前側、または、後側に配置して、それぞれ光透過率が異なる複数のNDフィルタで構成されたNDフィルタ群と、
前記光学手段の光軸に対する前記各NDフィルタの位置関係を調整するNDフィルタ調整手段と、
を具備し、
前記複数のNDフィルタの少なくとも1つは、前記光透過率の変更線である透過率変更線が前記撮像面を構成する少なくとも2つの辺に対して斜めに交差している斜方NDフィルタであることを特徴とする光学装置。
【請求項2】
前記NDフィルタ調整手段は、前記透過率変更線と、前記光学絞りの絞り羽と前記光学絞りの絞り面との境界線である絞り境界線と、が略一致して静止しないように前記各NDフィルタの位置関係を調整することを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記NDフィルタの形状の少なくとも1つは平行四辺形であって、
前記平行四辺形の対角線方向の1つは前記撮像面の水平方向、または、前記撮像面の垂直方向と略平行であり、
前記光学絞りは複数の絞り羽から形成される4角以上の多角形絞り面を有し、
前記透過率変更線は前記多角形のうち2辺と略平行である
ことを特徴とする請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記光学絞りは2枚の前記絞り羽から形成されており、
前記多角形絞り面は4角形絞り面と6角形絞り面とを切り換えて形成可能である
ことを特徴とする請求項2に記載の光学装置。
【請求項5】
前記NDフィルタ調整手段を制御するNDフィルタ制御手段を更に具備し、
前記多角形絞り面が前記4角形絞り面を形成している場合には、前記NDフィルタ制御手段は前記透過率変更線が前記4角形絞り面の中に存在するように前記NDフィルタ調整手段を制御することを特徴とする請求項4に記載の光学装置。
【請求項6】
前記NDフィルタ調整手段を制御するNDフィルタ制御手段を更に具備し、
前記多角形絞り面が前記6角形絞り面を形成している場合には、前記NDフィルタ制御手段は前記透過率変更線が前記6角形絞り面の中に存在しないように前記NDフィルタ調整手段を制御することを特徴とする請求項4に記載の光学装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の光学装置を用いた撮像装置であって、
前記撮像面に配置され、前記光学像を光電変換して撮像信号を生成する撮像手段を更に具備することを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項2若しくは請求項3に記載の光学装置を用いた撮像装置であって、
前記撮像面に配置され、前記光学像を光電変換して撮像信号を生成する撮像手段と、
前記撮像信号の積分値に基づいて前記NDフィルタ調整手段を制御するNDフィルタ制御手段と、
を更に具備し、
前記NDフィルタ制御手段は、前記透過率変更線と前記絞り境界線とが略一致する位置を含むヲブリング幅に於いて、前記NDフィルタ群の位置がヲブリングしないように、前記ヲブリング幅よりも大きいヒステリシス幅に基づいて制御することを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
前記NDフィルタ調整手段を操作するNDフィルタ操作手段と、
前記NDフィルタ制御手段と前記NDフィルタ操作手段とのどちらを優先するかを選択する制御/操作優先選択手段と、
を更に具備し、
前記NDフィルタ操作手段が操作された場合には、前記NDフィルタ操作手段が操作されてから前記制御/操作優先選択手段にて前記NDフィルタ制御手段が優先に選択されるまでの期間、前記NDフィルタ操作手段が自動的に優先選択されることを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記NDフィルタ操作手段と前記制御/操作優先選択手段とは一体の部材から成り、
前記NDフィルタ調整手段は、前記NDフィルタ操作手段によって複数の前記光透過率が選択的に切り換わるように操作される
ことを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記NDフィルタ調整手段を操作するNDフィルタ操作手段と、
前記NDフィルタ制御手段と前記NDフィルタ操作手段とのどちらを優先するかを選択する制御/操作優先選択手段と、
を更に具備し、
前記ヒステリシス幅よりも大きい振幅を有するハンチング幅が制御量として発生した場合には、前記透過率変更線と、前記絞り境界線と、が略一致して静止しないように前記各NDフィルタの位置関係が調整され停止した後、前記制御/操作優先選択手段にて前記NDフィルタ操作手段が自動的に優先選択されることを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項1】
被写体を結像させて撮像面に光学像を生成する光学手段と、
前記光学手段が前記光学像を生成する際の光束を光学的に絞る光学絞りと、
前記光学絞りの前側、または、後側に配置して、それぞれ光透過率が異なる複数のNDフィルタで構成されたNDフィルタ群と、
前記光学手段の光軸に対する前記各NDフィルタの位置関係を調整するNDフィルタ調整手段と、
を具備し、
前記複数のNDフィルタの少なくとも1つは、前記光透過率の変更線である透過率変更線が前記撮像面を構成する少なくとも2つの辺に対して斜めに交差している斜方NDフィルタであることを特徴とする光学装置。
【請求項2】
前記NDフィルタ調整手段は、前記透過率変更線と、前記光学絞りの絞り羽と前記光学絞りの絞り面との境界線である絞り境界線と、が略一致して静止しないように前記各NDフィルタの位置関係を調整することを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記NDフィルタの形状の少なくとも1つは平行四辺形であって、
前記平行四辺形の対角線方向の1つは前記撮像面の水平方向、または、前記撮像面の垂直方向と略平行であり、
前記光学絞りは複数の絞り羽から形成される4角以上の多角形絞り面を有し、
前記透過率変更線は前記多角形のうち2辺と略平行である
ことを特徴とする請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記光学絞りは2枚の前記絞り羽から形成されており、
前記多角形絞り面は4角形絞り面と6角形絞り面とを切り換えて形成可能である
ことを特徴とする請求項2に記載の光学装置。
【請求項5】
前記NDフィルタ調整手段を制御するNDフィルタ制御手段を更に具備し、
前記多角形絞り面が前記4角形絞り面を形成している場合には、前記NDフィルタ制御手段は前記透過率変更線が前記4角形絞り面の中に存在するように前記NDフィルタ調整手段を制御することを特徴とする請求項4に記載の光学装置。
【請求項6】
前記NDフィルタ調整手段を制御するNDフィルタ制御手段を更に具備し、
前記多角形絞り面が前記6角形絞り面を形成している場合には、前記NDフィルタ制御手段は前記透過率変更線が前記6角形絞り面の中に存在しないように前記NDフィルタ調整手段を制御することを特徴とする請求項4に記載の光学装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の光学装置を用いた撮像装置であって、
前記撮像面に配置され、前記光学像を光電変換して撮像信号を生成する撮像手段を更に具備することを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項2若しくは請求項3に記載の光学装置を用いた撮像装置であって、
前記撮像面に配置され、前記光学像を光電変換して撮像信号を生成する撮像手段と、
前記撮像信号の積分値に基づいて前記NDフィルタ調整手段を制御するNDフィルタ制御手段と、
を更に具備し、
前記NDフィルタ制御手段は、前記透過率変更線と前記絞り境界線とが略一致する位置を含むヲブリング幅に於いて、前記NDフィルタ群の位置がヲブリングしないように、前記ヲブリング幅よりも大きいヒステリシス幅に基づいて制御することを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
前記NDフィルタ調整手段を操作するNDフィルタ操作手段と、
前記NDフィルタ制御手段と前記NDフィルタ操作手段とのどちらを優先するかを選択する制御/操作優先選択手段と、
を更に具備し、
前記NDフィルタ操作手段が操作された場合には、前記NDフィルタ操作手段が操作されてから前記制御/操作優先選択手段にて前記NDフィルタ制御手段が優先に選択されるまでの期間、前記NDフィルタ操作手段が自動的に優先選択されることを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記NDフィルタ操作手段と前記制御/操作優先選択手段とは一体の部材から成り、
前記NDフィルタ調整手段は、前記NDフィルタ操作手段によって複数の前記光透過率が選択的に切り換わるように操作される
ことを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記NDフィルタ調整手段を操作するNDフィルタ操作手段と、
前記NDフィルタ制御手段と前記NDフィルタ操作手段とのどちらを優先するかを選択する制御/操作優先選択手段と、
を更に具備し、
前記ヒステリシス幅よりも大きい振幅を有するハンチング幅が制御量として発生した場合には、前記透過率変更線と、前記絞り境界線と、が略一致して静止しないように前記各NDフィルタの位置関係が調整され停止した後、前記制御/操作優先選択手段にて前記NDフィルタ操作手段が自動的に優先選択されることを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−93020(P2009−93020A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−264867(P2007−264867)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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