説明

光学読取装置

【課題】従来の光学読取装置では、申込用紙に記入したボールペンのインクが乾き切る前やインク玉が残っている場合、そのまま密着型反射センサの読取部に搬送されると、密着型反射センサに設けられているガラス面にインクが付着し、正常に読み取れない等の問題点があった。
【解決手段】透明で可撓性の保護フィルム5が、申込用紙を密着型反射センサ2へと搬送する搬送ローラ4間に張設され、申込用紙を搬送ローラ4と保護フィルム5で挟持し、同期させて搬送するよう構成されている。このように、保護フィルム5を介して申込用紙10の読み取りを行っているので、密着型反射センサ2のガラス面に直接インクが付着することがない。また、申込用紙10に記入されたインクが乾き切る前やインク玉などが残っている場合でも、申込用紙10が保護フィルム5と搬送ローラ4に挟持されて搬送しているので、インクが装置内の他の部分に付着することも無い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道などの利用者が定期券を購入する定期券発行装置に関するもので、特に定期券を購入する際に、個人名等を記入する申込用紙の券面の情報を読み取る光学読取装置の機器構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、定期券発行装置に搭載される光学読取装置は、顧客が記入した申込用紙を装置内に取り込み、密着型の反射センサにて、申込用紙に記入された内容(氏名、年齢などの文字情報)のイメージをデータ化し、定期券に記入される必要情報のみをソフトウェアで切り出し、上位装置である定期券発行装置にデータを転送している。そこで、定期券発行装置は、光学読取装置から受け取った券面データを再編集し、定期券を発行している。
【0003】
図4は従来の光学読取装置の断面概略図であり、主な機器構成としては、申込用紙を挿入・排出する挿入排出口21、申込用紙に記入された内容を読み取る密着型の反射センサ22、密着型反射センサに対向する位置に設けられているプラテン23、申込用紙を搬送する搬送ローラ24から構成されている。
【0004】
また、下記特許文献には、従来の光学読取装置と類似した自動原稿送り装置が記載されており、原稿の画像面に形成された原稿画像の読み取りが行われる原稿読み取り部に、原稿を搬送する原稿搬送手段を備え、原稿読み取り部は、原稿読み取り部に搬送された原稿の画像面に接触する位置に配置されているものである。
【特許文献1】特開2000-327159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述した光学読取装置では、申込用紙の記入には主にボールペンが用いられており、申込用紙に記入したボールペンのインクが乾き切る前やインク玉などが残っている場合、そのまま密着型反射センサの読み取り部に搬送されると、密着型反射センサに設けられているガラス面にインクが付着してしまう問題点があった。さらに、ガラス面に付着したインクが乾いてしまった場合、そのインクを拭き取ることも容易でなく、その結果、読み取ったデータが正しい結果とならないことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、媒体の画像面に形成された画像を読み取る読み取り部に当該媒体を搬送する搬送手段を備え、当該読み取り部に搬送された媒体の画像面に接触する位置に前記読み取り部が配置される光学読取装置において、前記読み取り部と媒体の画像面とが接触する面を覆うように前記搬送手段に張設された透明な保護フィルムと、該保護フィルムを前記読み取り部へと移送する駆動手段を有し、媒体を前記読み取り部へと搬送する前記搬送手段の搬送速度と、前記保護フィルムを前記読み取り部へと移送する移送速度とを同期させたことを特徴とするものである。加えて、保護フィルムは、媒体を読み取り部に搬送し、当該読み取り部で媒体の画像面が読み取られるに要した保護フィルムを、新しい保護フィルムに更新させるに足る長さ分だけ、駆動手段を駆動させて保護フィルムを移送させるものである。
【0007】
さらに、保護フィルムは、エンドレステープ状に構成され、媒体を読み取り部に搬送し、当該読み取り部で媒体の画像面が読み取られるに要した保護フィルムを清掃する清掃手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、透明で可撓性の保護フィルムが、媒体を密着型反射センサへと搬送する搬送ローラ間に張設されており、媒体を搬送ローラと保護フィルムで挟持し、搬送ローラと保護フィルムの搬送速度を同期させて、媒体を搬送するように構成されている。このように構成したことにより、保護フィルムを介して媒体の読み取りを行うようにしたので、密着型反射センサのガラス面に直接インクが付着することがない。また、保護フィルムが搬送ローラ間に張設され、搬送ローラによる媒体の搬送速度と保護フィルムの移送速度が同期しているので、媒体に記入されたインクが乾き切る前やインク玉などが残っている場合でも、媒体の画像面が保護フィルムに覆われているので、インクが装置内の他の部分に付着することも無い。
【0009】
更に、保護フィルムをエンドレステープ状に構成し、媒体を読み取り部に搬送し当該読み取り部で媒体の画像面が読み取られるに要した保護フィルムを清掃するクリーニング機構を設けているので、保護フィルムを交換する必要がない。保守作業としては、クリーニング機構のメンテナンスを実施するだけで良いため、保守作業の介入を最小限に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。なお、各図面に共通する要素には同一の符号を付す。図1は、本発明の第1の実施例を示す光学読取装置の断面概略図である。
【0011】
図1において、従来の光学読取装置と同様に、申込用紙を挿入・排出する挿入排出口1、申込用紙に記入された内容を読み取る密着型反射センサ2、密着型反射センサ2に対向する位置に設けられているプラテン3、申込用紙を搬送する搬送ローラ4から構成されている。
【0012】
さらに、本発明では、透明で可撓性の保護フィルム5が、申込用紙を密着型反射センサ2へと搬送する搬送ローラ4間に張設されており、申込用紙を搬送ローラ4と保護フィルム5で挟持して搬送するように配置されている。6は保護フィルム5を巻き上げるコアであり、7は保護フィルムを繰り出すコア、8はコア6を駆動させる為の巻き取り機構部である。なお、保護フィルム5は、一度汚れてしまった部分は使用できないので、保護フィルム5の巻き上げは一方向のみのワンウェイ方式となっている。9は挿入排出口1に挿入された申込用紙10の吸入を検知するセンサである。
【0013】
次に、動作について説明する。挿入排出口1から挿入された申込用紙10は、申込用紙10の吸入を検知するセンサ9にてONを検知し、図示せぬ搬送ローラ4の駆動機構部を起動し、申込用紙10を吸入する。搬送ローラ4が駆動し始めると同時に、巻き取り機構部8も駆動させて、コア6により保護フィルム5の巻き上げも開始される。その際、搬送ローラ4の搬送速度と保護フィルム5の巻き上げ速度は、一定に設定してある。
【0014】
申込用紙10は、搬送ローラ4と保護フィルム5に挟持されながら密着型反射センサ2へと搬送され、密着型反射センサ2によって、保護フィルム5を介して申込用紙に記入された内容が読み取られる。読み取りが完了すると申込用紙10は、挿入排出口1から装置外へとスイッチバック方式で排出される。この後、それまで申込用紙10を密着型反射センサ2へと搬送し、密着型反射センサ2で読み取られるに要した保護フィルム5を更新させるに足る長さ分だけ、巻き取り機構部8を駆動させて、コア6により保護フィルム5を巻き上げて移送させる。
【0015】
このように本発明では、申込用紙10と密着型反射センサ2との間に保護フィルム5を実装し、保護フィルム5を介して申込用紙10の読み取りを行っているので、密着型反射センサ2のガラス面に直接インクが付着することがない。また、保護フィルム5が搬送ローラ4間に張設され、搬送ローラ4による申込用紙10の搬送と保護フィルム5の搬送が同期しているので、申込用紙10に記入されたインクが乾き切る前やインク玉などが残っている場合でも、申込用紙10が保護フィルム5に覆われているので、インクが装置内の他の部分に付着することも無い。
【0016】
図2は本発明の第2の実施例を示す光学読取装置の断面概略図である。第2の実施例では、第1の実施例の構成に対して、保護フィルムをワンウェイ方式でなく、エンドレステープ状11に構成している。12はエンドレステープ状に構成した保護フィルム11を清掃するクリーニング機構であり、例えば汚れが吸着しやすい材料を用いた清掃部材等から構成されている。
【0017】
動作については第1の実施例と同様で、申込用紙10は、搬送ローラ4とエンドレステープ状に構成した保護フィルム11に挟持されながら密着型反射センサ2へと搬送され、密着型反射センサ2によって、保護フィルム11を介して申込用紙に記入された内容が読み取られる。読み取りが完了すると申込用紙10は、挿入排出口1から装置外へとスイッチバック方式で排出される。この後、それまで申込用紙10を密着型反射センサ2へと搬送し、密着型反射センサ2で読み取られるに要した保護フィルム11を更新させるに足る長さ分だけ、巻き取り機構部8とコア6により保護フィルム11を巻き上げて移送させる。更新され移動した保護フィルム11は、クリーニング機構12により清掃を受けた後、次回の読み取り動作に備える。
【0018】
このように構成した第2の実施例では、保護フィルム11をエンドレステープ状に実装しているので、保護フィルム11を交換する必要がない。また、保守作業としては、クリーニング機構12のメンテナンスを実施するだけで良いため、保守作業の介入を最小限に抑えることができる。
【0019】
図3は本発明の第3の実施例を示す光学読取装置の断面概略図である。第3の実施例では、第1の実施例と同様に、保護フィルムをエンドレステープ状でなく、ワンウェイ方式にしており、更に、コア7を駆動させる為の巻き戻し機構部13を有している。14は保護フィルムを清掃するクリーニング機構である。
【0020】
このように構成した第3の実施例では、挿入排出口1から挿入された申込用紙10は、申込用紙10の吸入を検知するセンサ9にてONを検知し、図示せぬ搬送ローラ4の駆動機構部を起動し、申込用紙10を吸入する。搬送ローラ4が駆動し始めると同時に、巻き取り機構部8も駆動させて、コア6により保護フィルム5の巻き上げも開始される。その際、搬送ローラ4の搬送速度と保護フィルム5の巻き上げ速度は、一定に設定してある。
【0021】
申込用紙10は、搬送ローラ4と保護フィルム5に挟持されながら密着型反射センサ2へと搬送され、密着型反射センサ2によって、保護フィルム5を介して申込用紙に記入された内容が読み取られる。読み取りが完了すると申込用紙10を挿入排出口1から装置外へ排出させる為、搬送ローラ4の逆回転による搬送が駆動し始めると同時に、巻き戻し機構部13も駆動させ、コア7による保護フィルム5の巻き戻し動作が開始される。すると、申込用紙10は、搬送ローラ4と保護フィルム5に挟持されながら挿入排出口1へと排出される。
【0022】
その際、保護フィルム5は、申込用紙10を密着型反射センサ2へと搬送し読み取られるに要した分だけ巻き戻される為、巻き戻し動作の途中に、クリーニング機構14によって保護フィルム5が清掃されることになる。なお、第3の実施例では、保護フィルム5の同一個所を繰り返し使用することになる為、使用回数を図示せぬ制御部によりカウントしておき、使用回数がある基準値に達すると、巻き取り機構部8を駆動させて、先の搬送読み取り動作時に使用していた保護フィルム5を更新させるに足る長さ分だけ、保護フィルム5の巻き上げ動作を行い、未使用の保護フィルム5へと更新させる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施例を示す光学読取装置の断面概略図
【図2】本発明の第2の実施例を示す光学読取装置の断面概略図
【図3】本発明の第3の実施例を示す光学読取装置の断面概略図
【図4】従来の光学読取装置の断面概略図
【符号の説明】
【0024】
1:挿入排出口
2:密着型反射センサ
3:プラテン
4:搬送ローラ
5:保護フィルム
8:巻き取り機構部
9:吸入検知センサ
10:申込用紙
11:エンドレステープ状の保護フィルム
12、14:クリーニング機構
13:巻き戻し機構部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の画像面に形成された画像を読み取る読み取り部に当該媒体を搬送する搬送手段を備え、当該読み取り部に搬送された媒体の画像面に接触する位置に前記読み取り部が配置される光学読取装置において、
前記読み取り部と媒体の画像面とが接触する面を覆うように前記搬送手段に張設された透明な保護フィルムと、該保護フィルムを前記読み取り部へと移送する駆動手段を有し、媒体を前記読み取り部へと搬送する前記搬送手段の搬送速度と、前記保護フィルムを前記読み取り部へと移送する移送速度とを同期させることを特徴とする光学読取装置。
【請求項2】
請求項1において、前記保護フィルムは、媒体を前記読み取り部に搬送し、当該読み取り部で媒体の画像面が読み取られるに要した保護フィルムを、新しい保護フィルムに更新させるに足る長さ分だけ、前記駆動手段を駆動させて保護フィルムを移送させることを特徴とする光学読取装置。
【請求項3】
請求項2において、前記保護フィルムは、エンドレステープ状に構成され、媒体を前記読み取り部に搬送し、当該読み取り部で媒体の画像面が読み取られるに要した保護フィルムを清掃する清掃手段とを備えたことを特徴とする光学読取装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−28082(P2007−28082A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−205890(P2005−205890)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】