説明

光学部材およびバックライト

【課題】LED素子のダイボンドにおいて、Agペーストの塗布量が少ない場合には、LEDチップとサブマウント基板間に隙間が生じ易く、又、チップが傾いたり、膜厚が不均一となることによる放熱特性の低下が懸念される。一方、ダイボンド剤の塗布量が多すぎると、隣接するLEDチップや配線パターンに接触する恐れがある
【解決手段】サブマウント上のダイボンド領域内の周辺部に、滑らかな外周形状を有する柱状バンプを形成し、ダイボンド時の導電性接着剤の厚さや濡れ広がりを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子を搭載するサブマウントに関するものである。更に、本発明の別な観点は、バックライトに関するものである。前記サブマウントを有用に用いることが出来る。又、本バックライトはLCD(Liquid Crystal Display)用に供して極めて有用である。
【背景技術】
【0002】
近年、高輝度、高発光効率、長寿命を特徴とする高性能の発光ダイオード(以下、LED(Light Emitting Diode)と略記する)が実用化され、各種ディスプレイや交通信号機、液晶ディスプレイのバックライト、プリンタヘッド、照明などに利用され始めている。
【0003】
光源モジュールの小型化、高密度化への傾向が見られる中、高輝度化による消費電力の増加とも相まって、LEDチップから発生する熱は増大する傾向にある。
【0004】
通常、LEDに流す電流を増加すると、一定の電流値までは、比較的リニアに発光輝度が上昇するが、LEDの温度上昇に反比例して発光効率は低下する。又、温度上昇に伴い発光素子から放出される光のスペクトルがシフトするなど動作特性が不安定となる。場合によっては、熱応力により発光装置の部分的破壊が生じることもある。従って、LEDを安定に駆動させるためには、駆動時の温度上昇を抑制することが重要であり、LEDで発生した熱を効率よく放熱する構造が望まれる。半導体レーザダイオードの実装では、放熱特性やハンドリングの観点から、搭載基板に直接チップを搭載するのではなく、サブマウントを介在させるのが一般的となっている。サブマウントは、半導体発光素子から基板への放熱断面積を広げる役割があり、LEDから発せられた熱が効率よく搭載基板に伝達される。
【0005】
LEDとサブマウントの接続には、Au電極同士を超音波や熱圧着によって接続する方法のほか、AuSn等のはんだを用い熱圧着やリフローによって接続する方法がある。超音波接続や熱圧着接続の場合には、素子一つ一つに対して、超音波や圧力の印加に時間を要し、スループット増加の妨げとなっている。又、はんだリフローの場合には、チップの一括搭載が可能であるが、200℃以上の高温状態での接続となる。
【0006】
これに対し、Agペーストを用いる場合には、LEDチップを搭載したモジュールを150℃程度の温度で一括加熱することが可能となる。
【0007】
LEDの放熱の観点から考えると、従来からダイボンドに用いられているAgペーストでは、はんだ等の金属材料に比べ熱伝導率が一桁から二桁小さく、数W/mKであった。一般にAgペーストなどの導電性ペーストは、その母材に樹脂が配合されており、これらの樹脂の熱伝導性が金属より低いのが要因である。はんだ材料の鉛フリー化のため、はんだ代替材料の開発が進められ、導電性接着剤の一種であるAgペーストも性能が向上している。銀フィラーの充填率を90%程度まで高め、熱伝導率を30W/mK程度まで改善したAgペースト剤が製造されるようになり、LEDチップダイボンドへの適用の可能性が出てきた。Agペーストの供給には、ディスペンスや印刷技術が利用される。パッケージの小型化、高密度化のため、ペースト供給量を制御し、ペースト剤の広がりすぎによる電極間ショートや、濡れ不足を防がなければならない。こうした問題に対し、いくつかのアイディアが提案されている。
【0008】
特開平9−223846号公報(特許文献1)には、LEDを導電性材料によってフリップチップ接続する際、アノード、カソード両電極間がショートするのを防ぐため、サブマウント上面に、ウェットエッチングやドライエッチングによって凹状の溝を形成する方法が示される。又、特開2002−299747号公報(特許文献2)の実施例には、次の事実が示される。即ち、サブマウントとマザーボードのAu電極同士を超音波接続後、その隙間に熱伝導性ペーストを注入する際、ペーストが広がることが好ましくない領域がある場合には、基板上に予め凸部枠などの堤防を設け、その中にペーストを流し込む方法である。
【0009】
特開2005−183899には、発光素子の外側よりも内側に位置する導体層の上面に、半球状の凸部が複数設けられた例、或いは長方形の凸部が発光素子の外周に対して平行になるように設けられた例が提示されている(特許文献3)。
【0010】
【特許文献1】特開平9−223846号公報(図2)
【特許文献2】特開2002−299747号公報(段落<0083>)
【特許文献3】特開2005−183899号公報(請求項1、段落<0036>)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
はんだ代替のダイボンド剤として、Agペーストが検討されている。ところが、Agペーストの塗布量が少ない場合には、LEDチップとサブマウント基板間に隙間が生じたり、チップが傾いたりする。又、膜厚が不均一となることで、放熱特性の低下が懸念される。一方、ダイボンド剤の塗布量が多すぎると、隣接するLEDチップや配線パターンに接触する恐れがある。
【0012】
LED実装の高密度化と高放熱性への要求を満足するため、均等な膜厚を保ちつつ、電極間ショートのないダイボンド方式の開発が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
現状用いられるLEDチップは、大きくとも1mm角程度である。この面積に対応したAgペースト量を印刷又はディスペンスにより供給する場合、円状あるいは楕円状に一点ないし数点載せることになる。この上に、チップボンダを用いてLEDチップを搭載すると、Agペーストは押しつぶされ、余分なAgペーストはチップの外周からはみ出す。ここで、チップの四隅にもAgペーストを十分に行き渡らせるには、Agペーストの量を多くするか、チップをスクラブさせるなどの方法が必要となる。
【0014】
本願発明においては、LEDチップを搭載するサブマウント側の構造を工夫することにより問題を解決する。
【0015】
第1の方法としては、サブマウントの電極上に高さ数〜数十μmの周囲がなめらかな曲線を有する凸状バンプ、例えば円柱状バンプを形成する。これらのバンプをLED搭載位置のやや内側に直線状ではなく千鳥配置することで、Agペーストが四辺からはみ出すのを抑えつつ、四隅方向へ移動し膜厚が均等となりより好ましい。又、周囲がなめらかな曲線を有する凸状のバンプを用いることで、バンプの裏側にもAgペーストが回り込みやすくなる。このバンプの代表的な例は、例えば円柱或いは楕円柱のバンプである。それに加えて、一定の高さのバンプをLEDチップ下に配置することで、サブマウント上の電極とLED裏面との隙間がバンプの高さによって決定される。Agペーストの供給量を適正化することで、ボイドの発生も抑制し、膜厚の均一性と放熱性の向上を両立させることが出来る。
【0016】
第2の方法は、サブマウント上にLEDチップを取り囲むように高さ数十μmの細長い枠状のバンプを配置する方法である。細長いバンプは、LEDチップを完全に取り囲むのではなく、LEDの四隅に近い位置には隙間を設ける。更に、四隅に近づくにつれ枠体の幅を狭くする。こうすることで、チップ搭載時に押し広げられたAgペーストは、バンプで堰き止められ、チップ四隅へ追いやられる。Agペーストの広がり過ぎを防止しつつ、LEDチップの四隅までAgペーストを十分に行き渡らせることが可能となる。
【0017】
次に、本願の係るバックライトに関する諸形態は次の通りである。バックライトの構成は大きくは二つの方法がある。尚、本発明に係る光学部材以外の基本構成はこれまでのもので十分であるので、その詳細説明は省略する。
【0018】
第1の形態は、LCDパネルの側面から入射する形態である。即ち、バックライト用基板と、当該バックライト用基板上に配置された複数の光学部材と、前記複数の光学部材を覆って設けられた透光性部材と、前記透光性部材に光学的に接続され、光をLCDパネルの側面に供給するための導光板とを備えたバックライトである。
【0019】
第2の形態は、LCDパネルの背面から入射する形態である。即ち、バックライト用基板と、当該バックライト用基板上に配置された複数の光学部材と、前記複数の光学部材を覆って設けられた透光性部材と、前記透光性部材上に設けら、拡散光をLCDパネルの背面に供給するための拡散体とを備えたバックライトである。そして、いずれの形態においても、光学部材としてこれまで説明して来たいずれかの光学部材を採用する。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、LED下面の導電性接着剤の厚さを均等に保ちつつ、導電性接着剤が広がり過ぎることによる配線間の電気的ショートを防止することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本願発明の実施の諸形態を説明するに先立って、発明の諸形態について、公知の技術との比較を含めて説明を加える。
【0022】
本発明の代表的な形態は、前述したように、基板側電極を有する基板と、当該基板上に導電性接着剤を用いて接合された半導体発光素子とを、少なくとも備え、前記基板上における前記半導体発光素子に対するダイボンド領域の周辺部に、滑らかな外周形状を有する複数の柱状バンプを有し、且つ前記ダイボンド領域の中央部には前記柱状バンプを有しない光学部材である。多くの場合、半導体発光素子は四辺形である。そして、この場合、前記複数の柱状バンプが、前記四辺形の各辺に対応して、千鳥配列に設けるのが好ましい。ところで、前記特開2005−183899号公報(特許文献3)では、発光素子の外側よりも内側に位置する導体層の上面に、半球状の凸部が複数設けられた例が提示されている。これに対して、本願の例では、ダイボンド領域の周辺部に滑らかな外周形状を有する複数の柱状バンプを有し、且つ前記ダイボンド領域の中央部には前記柱状バンプを有しない形態を採用する。一方、上記特許文献3の例では、半球状の凸部が発光素子の領域に均一に配置されている。本例のごとくダイボンド領域の中央部に凸部が存在しない形態は、固化前の導電性接着剤が均一な膜厚で且つ四隅にも行き渡らせるに極めて好ましい。
【0023】
本例の別な形態は、基板側電極を有する基板と、当該基板上に導電性接着剤を用いて接合された半導体発光素子とを、少なくとも備え、前記半導体発光素子の角部に対応する領域に間隙を有し、且つ当該角部に向かって幅が狭くなした枠状のバンプを有する光学部材である。多くの場合、前記半導体発光素子は四辺形であり、且つ当該四辺形の各辺に対応して、前記枠状のバンプが配置される。
【0024】
ことろで、前記特開2005−183899号公報(特許文献3)では、長方形の凸部が発光素子の外周に対して平行になるように設けられた例が提示されている。しかし、本発明の例では、半導体発光素子の角部に向かって幅が狭くなした枠状のバンプを用いるのである。即ち、固化前の導電性接着剤が、バンプに沿って四隅の方向に容易に移動し、余分な導電性接着剤がバンプの隙間から外部に押し出されるのである。
【0025】
前述した代表的な形態を踏まえて、本願発明に係る光学部材は、次のように述べることが出来る。即ち、基板側電極を有する基板と、当該基板上に導電性接着剤を用いて接合された半導体発光素子とを、少なくとも備え、基板上における半導体発光素子に対するダイボンド領域の周辺部に、半導体発光素子の角部以外のダイボンド領域での導電性接着剤の広がりを抑制しつつ且つ前記半導体発光素子の角部での前記導電性接着剤の広がりを促す機能を有するバンプを有し、且つ前記ダイボンド領域の中央部には前記柱状バンプを有しない光学部材である。
【0026】
次に、本発明に係るサブマウントの構造と製造方法について、具体的に説明する。
【0027】
<実施例1>
図1は、本例の模式的な断面図である。円柱バンプ付のサブマウント基板1上にLEDチップ5が、導電性接着剤7を用いてダイボンドされている。LEDチップの基板にはAlやSiCやSiが用いられるが、本実施例では、コストと量産性の観点からSi基板を使用する。サブマウント基板1にシリコン基板を用いた場合、この上面に絶縁層を予め形成する。基板1が絶縁性基板の場合は、この絶縁層を設ける必要はない。基板1上に、Cu製の配線2が形成され、この配線2上には円柱状のバンプ3が形成されている。そして、その上に、Agペースト7を供給し、LEDチップ5を搭載する。LED素子の上下電極はAuワイヤによって外部回路と接続される。外部回路への一方の接続部には、Cu層11が配置され、この上部に上部電極用導体(Au電極)12が形成されている。LEDチップの上部電極部と前記上部電極用導体12とはAuワイヤ6−1で結線されている。LEDチップの他方の電極は配線2の一方の端部に導体層4として形成され、この導体層4にAuワイヤ6−2によって外部に導出される。尚、図1では外部回路は省略されている。
【0028】
図2はサブマウントの上面図である。Si基板1上にCu配線2があり、その上にCu製の円柱状バンプ3を配置する。これらの円柱バンプをLEDチップが搭載される位置に千鳥配列とすることで、余分なAgペーストは四隅からはみ出す。
【0029】
図3はLED素子5をダイボンドした上面図である。図1と同一符号は図1と同様の部材を表す。基板1上に配線2が形成され、LEDチップ5の周縁部に対応する箇所に円柱状のバンプ3が配置されている。更に、配線2の端部にLCDの下部電極4が配置されている。図3において、符号7はAgペーストが良好に広げられた状態を示している。
【0030】
図7は、本発明の係るバンプを用いない場合の、導電性接着剤の広がりの例を示す比較例の断面図である。図面での各部位は図1と同一の符号を用いた。導電性接着剤7が周囲に拡大し、例えば、発光素子5の上部電極を外部回路に接続するに用いる導体層(Cu層)11に接触する事態も発生する。この場合、発光素子の両電極が接続される事態となる。又、発光素子(5)下部の導電性接着剤7の厚さが均一でなくなる恐れも大きい。
【0031】
次に、円柱状バンプ付サブマウントの製造プロセスを、図1より図3を参酌しつつ、説明する。先ず、シリコン基板1表面に絶縁膜13を形成する。この絶縁膜の製造方法は、酸素又は水蒸気雰囲気中で1000℃程度の高温に放置することで熱酸化膜を形成する方法や、有機樹脂を塗布する方法がある。次に、電気配線用のCuめっきを実施するために、給電膜を前記絶縁膜上に形成する。給電膜の製造方法には、蒸着法、スパッタ法、CVD法、無電解めっき法などを用いることができる。本実施例における給電膜としては、スパッタ膜によるCu/Crの二層膜を用いた。ここでのCrの機能は、絶縁膜とCu配線膜間の密着性を確保することにある。Crに代えてTiやWなどを用いることもある。
【0032】
一方、Cuのスパッタ膜厚は、後に実施する電解Cuめっき時に、膜厚分布が生じない最小限の膜厚が好ましく、めっき前処理として行う酸洗などでの膜減り量も考慮したうえで膜厚を決定する。銅の膜厚を必要以上に厚くした場合、例えば、1μmを超える膜厚の場合には、スパッタ時間が長くなり生産効率が低下する。それに加え、後に実施する給電膜のエッチング除去工程の長時間化が避けられず、その結果として再配線層のサイドエッチングが大きくなる。
【0033】
次に通常のホトリソグラフィ技術を用いて、配線と逆パターンのめっき用レジストを形成する。電解銅めっきには硫酸・硫酸銅めっき液を用い、界面活性剤による洗浄、水洗、希硫酸による洗浄、水洗を行った後、配線用の電解銅めっき膜を形成する。
【0034】
配線層のめっきに用いたレジストを剥離後、再びホトリソ技術により円柱状バンプパターンおよびワイヤボンディング電極パターンのめっきレジストを形成する。バンプの高さは放熱時の熱抵抗とめっき時間などを考慮し、本実施例では10μm〜20μmの高さとする。上記配線用銅めっき工程と同様に、バンプおよび電極用の銅めっき、金めっきを行う。
【0035】
めっきレジストを剥離の後、予め成膜したCu/Cr給電膜をウェットエッチングにより除去する。Cuのエッチングには、塩化鉄、アルカリ系エッチング液等の種類があるが、本実施例では硫酸/過硫酸アンモンを主成分とするエッチング液を用いる。実用的には10秒以上のエッチング時間で制御することが望ましいが、長時間のエッチング、例えば5分間を超えてエッチングする場合には、サイドエッチングが大きくなるとともにタクトが長くなるという問題が生じる。そのため、エッチング液およびエッチング条件は、適宜実験により求めるのが良い。
【0036】
引き続いて行う給電膜Cr部分のエッチングには、過マンガン酸カリウムとメタケイ酸を主成分とするエッチング液を用いる。還元処理のため、塩酸ヒロドキシルアミンに数分間浸す。
【0037】
最後にバックグラインドおよびダイシングを行いサブマウント個片に分割する。LEDの搭載では、Agペーストをディスペンサや印刷技術によって供給する。ダイボンド後のAgペーストの膜厚を均等にする。このため、一点ではなく複数点に塗布した上にチップを載せる方が好ましいが、本実施例のようなバンプを形成することによって、一点塗布の場合にも容易に均等な膜厚を得ることができる。
【0038】
又、1mmを越えるサイズのLEDを搭載する場合には、Agペースト中の溶剤に起因するボイドの発生を軽減するため、Agペーストの加熱硬化時には急激に高温まで加熱することなく、1分間に10℃程度の上昇率で緩やかに昇温するのが望ましい。
【0039】
<実施例2>
図4は、枠型バンプを用いた例を示す模式的な断面図である。LED素子5の搭載部周辺に、細長いバンプ8を形成したサブマウントに、LEDチップ5をダイボンドした例である。
【0040】
実施例1と同様に表面に絶縁膜13を有するSi基板1上には、Cu製の配線2が形成され、LEDチップ5搭載部の周辺に枠状のバンプ8が形成される。この枠状のバンプ8の平面形状は図5を持って後述する。LEDチップ5とCu配線2の間にはAgペースト7が充填される。LEDからはみ出したAgペーストは枠状のバンプ8に堰き止められ、LEDチップの側面に這い上がる。この時、Agペーストの這い上がりが多過ぎ、LEDの発光層まで到達すると、点灯不良の原因となるので、Agペーストの供給量にも注意が必要である。図4、図5において、同じ部位はこれまでの図と同一の符号を用いた。
【0041】
図5は枠状バンプ付サブマウントの模式的な上面図である。Si基板1上にCu配線2を形成し、その周囲に枠状のバンプ8を形成する。LEDの四隅に対応する位置は開放状態とし、又、四隅に近づくにつれバンプの幅を狭くする。前述したように、本例においては、枠型バンプが、四隅に近づくにつれバンプの幅が狭くなる形状を用いることが肝要である。本構成を採用することで、初めてAgペーストの広がり過ぎを防止しつつ、LEDチップの四隅までAgペーストを十分に行き渡らせることが可能となる。図6は、図5の状態に、LED素子5を搭載した上面図である。Agペースト7はバンプに沿って四隅の方向へ移動し、余分なAgペーストはバンプの隙間から外側へ押し出される。このようなサブマウントを実施例1と同様なプロセスで製造することが出来る。
【0042】
<実施例3>
本発明に係るサブマウントは、例えば液晶ディスプレイ(LCD)のバックライトなどに利用され、極めて有用である。この適用形態を説明する。図8、図9は、LCDディスプレイの二つの例を示す図である。図8は導光板を用いてLED画面の側面から光を導入する方式を例示する平面図、図9はLED画面の背面から光を照射する方式に関する側面図である。
【0043】
図8に例示する側面入射の例を説明する。バックライト用基板21上に、これまで説明してきた半導体発光素子が搭載されたサブマウント22が、複数個配置されている。バックライト用基板がメタルベース基板21を用いた場合、その上面に絶縁膜33が形成される。これらのサブマウウント22の詳細な構成は、これまでの実施例で述べてきた形態を用いて十分である。符号26がLEDチップである。この例は各LEDが直列に接続された例である。その接続は、前記バックライト用基板21に絶縁層27を、各LED間に形成する。この絶縁層27の上部に配線層2が形成され、各LEDよりの外部引出し線が接続される。この配線層2上は保護絶縁膜28が形成されている。その他LED部の細部の詳細説明は、これまでの実施例の構成と同様につき省略する。これらの各LED部には透光性の封止樹脂23で覆われている。こうして準備されたバックライト用基板21には、透明キャップ24で覆われ、導光板25に接続される。こうして、各LEDからの光は、導光板25に導入され、LCDパネル31のバックライトに供される。尚、こうした液晶ディスプレイの基本構成は、LED部の構成以外は、従来のものと同様である。
【0044】
次に、図9の背面入射の例を説明する。LED用サブマウント22は、バックライトの背面パネル30に配置される。LED用サブマウント22に係わる部位は、これまでの説明してきたものと基本的に同様である。同じ部位は同じ符号で示した。バックライトの上面は拡散板32などで光が拡散される。こうした各種の拡散板が知られている。拡散板32の表面には、これまでも用いられている、明るさの向上の為の更なるフィルムを用いても良いことはいうまでもない。バックライトの後面或いは側壁は高反射率になされている。LCDパネル31は、拡散板32を介してバックライトの前に配置される。尚、本例も、こうした液晶ディスプレイの基本構成は、LED部の構成以外は、従来のものと同様である。従って、その詳細の説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、円柱バンプ付サブマウントへLEDを搭載した断面図である。
【図2】図2は、円柱バンプ付サブマウントの平面図である。
【図3】図3は、円柱バンプ付サブマウントへLED素子を搭載した平面図である。
【図4】図4は、枠状バンプ付サブマウントへLED素子を搭載した断面図である。
【図5】烏z5は、枠状バンプ付サブマウントの平面図である。
【図6】図6は、枠状バンプ付サブマウントへLED素子を搭載した平面図である。
【図7】図7は、本発明を用いない場合、光学部材の断面図である。
【図8】図8は、バックライトの例の上面図である。
【図9】図9は、バックライトの別な例の断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1:基板、2:配線、3:バンプ、4:Au電極、5:LEDチップ(素子)、6、6−1、6−2:金ワイヤ、7:導電性接着剤、8:枠状バンプ、11:導体層、12Au層、13:絶縁層、21:バックライト用基板、22:LED用サブマウント、23:透光性封止樹脂、24:透明キャップ、25:導光板、26:LEDチップ、27:絶縁層、28:保護絶縁層、31:LCDパネル、32:拡散体、33:絶縁膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板側電極を有する基板と、当該基板上に導電性接着剤を用いて接合された半導体発光素子とを、少なくとも備え、
前記基板上における前記半導体発光素子に対するダイボンド領域内の周辺部に、滑らかな外周形状を有する複数の柱状バンプを有し、且つ
前記ダイボンド領域の中央部には前記柱状バンプを有しないことを特徴とする光学部材。
【請求項2】
前記半導体発光素子が、四辺形であることを特徴とする請求項1に記載の光学部材。
【請求項3】
前記半導体発光素子が、四辺形であり、
前記複数の柱状バンプが、前記四辺形の各辺に対応して、千鳥配列に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の光学部材。
【請求項4】
基板側電極を有する基板と、当該基板上に導電性接着剤を用いて接合された半導体発光素子とを、少なくとも備え、
前記半導体発光素子の角部に対応する領域に間隙を有し、且つ当該角部に向かって幅が狭くなした枠状のバンプを有することを特徴とする光学部材。
【請求項5】
前記半導体発光素子が、四辺形であり、且つ当該四辺形の各辺に対応して、前記枠状のバンプが配置されたことを特徴とする請求項4に記載の光学部材。
【請求項6】
基板側電極を有する基板と、当該基板上に導電性接着剤を用いて接合された半導体発光素子とを、少なくとも備え、
前記基板上における前記半導体発光素子に対するダイボンド領域内の周辺部に、前記半導体発光素子の角部以外の前記ダイボンド領域での前記導電性接着剤の広がりを抑制しつつ且つ前記半導体発光素子の角部での前記導電性接着剤の広がりを促す機能を有するバンプを有し、 且つ
前記ダイボンド領域の中央部には前記柱状バンプを有しないことを特徴とする光学部材。
【請求項7】
バックライト用基板と、当該バックライト用基板上に配置された複数の光学部材と、前記複数の光学部材を覆って設けられた透光性部材と、前記透光性部材に光学的に接続され、光をLCDパネルの側面に供給するための導光板とを備え、
前記光学部材が、請求項1から請求項6のいずれかに記載の光学部材であることを特徴とするバックライト。
【請求項8】
バックライト用基板と、当該バックライト用基板上に配置された複数の光学部材と、前記複数の光学部材を覆って設けられた透光性部材と、前記透光性部材上に設けられ、拡散光をLCDパネルの背面に供給するための拡散体とを備え、
前記光学部材が、請求項1から請求項6のいずれかに記載の光学部材であることを特徴とするバックライト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−194383(P2007−194383A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10693(P2006−10693)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(000005474)日立ライティング株式会社 (130)
【Fターム(参考)】