説明

光式無接触ポテンショメータ

【課題】従来の光式無接触ポテンショメータでは、スリットの形状やスリットの寸法精度によってセンサ自体の検出精度が大きく影響されるため、安定した検出精度を出すことが難しく、また、遮光板のリブの内側の狭いスペースに投光器を配置しなければならないため、組立作業に手間がかかり、組立性・生産性が悪かった。
【解決手段】支持部材に回転自在に支持された回転軸3と、その回転軸に対向設置された遮光部材4と、回転軸と遮光部材とが対向する方向と交差する方向の一側に配置された発光ダイオード6と、回転軸と遮光部材とが対向する方向と交差する方向の他側に配置され且つ発光ダイオードに対向設置されたフォトIC8と、を備えている。回転軸3に、その回転軸の回転位置に応じて遮光部材4との間の隙間を変化させる偏心ロータ5を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転角度に対応した電気信号を出力するポテンショメータに関し、特に、回転角度の検出媒体として光を使用し、回転角度に応じて光路を広狭変化させることにより、その光路を通る光量によって回転部の回転角度や回転位置を検出するようにした光式無接触ポテンショメータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、物体の変位量を検出する手段として、例えばポテンショメータが広く用いられている。ポテンショメータは、様々な分類方法によって分類することができるが、回転部に対して検出部が接触しているか否かによって、接触型と無接触型とに分けることができる。本発明は、発光ダイオード(LED)等の発光手段とフォトIC等の受光手段との間に、光路を広狭変化させる光量調整部を設け、光量調整部の回転に応じて受光手段が受ける光量の多少により、無接触で回転軸の回転角度や回転位置を検出するようにした光式無接触ポテンショメータである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−318370号公報
【0004】
従来の、光式無接触ポテンショメータとしては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、光を利用して非接触で回転角度を検出できる回転角度センサに関するものが記載されている。この特許文献1に記載された回転角度センサは、回転するシャフトにスリットを備えた円板状の遮光板が固定されると共に、その遮光板の表裏の位置に投光器と受光器とが配置されている、ことを特徴としている。
【0005】
このような構成を有する回転角度センサによれば、遮光板の外周縁に、全周に亘ってリブが突設され、そのリブが遮光板の外周縁側全周を補強することとなるため、スリット形成部位の外周側の部分的な捩れを防止することができ、スリット端部の割れや受光器の光入射位置のズレを抑え、センサの耐久性の低下や出力精度の低下を防止できる、という効果が期待される。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された光式無接触ポテンショメータ(回転角度センサ)では、遮光板にスリットを設け、その遮光板を挟んでスリットの両側に投光器と受光器を対向させ、そのスリットを通過する光量を計測することによって遮光板の回転角度を検出する構成となっていた。そのため、スリットの形状やスリットの寸法精度によってセンサ自体の検出精度が大きく影響されることから、安定した検出精度を出すことが難しく、生産性が悪いという問題があった。更に、遮光板のリブの内側に投光器を配置する構成となっていたため、投光器を狭いスペースに設置しなければならず、その設置のための組立作業に手間がかかり、組立性が悪いという問題もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、従来の光式無接触ポテンショメータでは、スリットの形状やスリットの寸法精度によってセンサ自体の検出精度が大きく影響されるため、安定した検出精度を出すことが難しいばかりでなく、遮光板のリブの内側という狭いスペースに投光器を配置しなければならないために、組立作業に手間がかかり、組立性・生産性が悪いという点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願の光式無接触ポテンショメータは、支持部材に回転自在に支持された回転軸と、その回転軸に対向設置された遮光部材と、回転軸と遮光部材とが対向する方向と交差する方向の一側に配置された発光手段と、回転軸と遮光部材とが対向する方向と交差する方向の他側に配置され且つ発光手段に対向設置された受光手段と、を備えている。そして、回転軸に、その回転軸の回転位置に応じて遮光部材との間の隙間を変化させる光量調整部を設けたことを最も主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本出願の光式無接触ポテンショメータによれば、回転軸の回転角度や回転位置を精度よく検出できると共に、構造が単純であって、組立作業が容易で生産性に優れ、小型化、軽量化を図ることができる光式無接触ポテンショメータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の光式無接触ポテンショメータの第1の実施の例を示す外観斜視図である。
【図2】本発明の光式無接触ポテンショメータの第1の実施の例を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の光式無接触ポテンショメータの第1の実施の例を示す平面図である。
【図4】本発明の光式無接触ポテンショメータの第1の実施の例を示す正面図である。
【図5】本発明の光式無接触ポテンショメータの動作を説明するもので、図5Aは回転軸が初期位置にある状態、図5Bは回転軸が90°回転変位した状態、図5Cは回転軸が180°回転変位した状態、のそれぞれ説明図である。
【図6】本発明の光式無接触ポテンショメータに係るフォトICの受光特性(回転角度と受光面積との関係)の実施の一例を示すグラフである。
【図7】本発明の光式無接触ポテンショメータに係る発光ダイオードの出力特性(回転角度と出力電圧との関係)の実施の第1の例を示すグラフである。
【図8】図7に示す発光ダイオードの出力特性(回転角度と偏差との関係)の要部を拡大して示すグラフである。
【図9】本発明の光式無接触ポテンショメータに係る発光ダイオードの出力特性(回転角度と出力電圧との関係)の実施の第2の例を示すグラフである。
【図10】図9に示す発光ダイオードの出力特性(回転角度と偏差との関係)の要部を拡大して示すグラフである。
【図11】本発明の光式無接触ポテンショメータの第2の実施の例を示すもので、図11Aは受光手段を2個設けた光式無接触ポテンショメータの斜視図、図11Bは同じく正面図である。
【図12】本発明の光式無接触ポテンショメータの第2の実施の例を示すブロック説明図である。
【図13】本発明の光式無接触ポテンショメータの第3の実施の例を示すもので、図13Aは光量調整部を2箇所に設けると共に受光手段を3個設けた光式無接触ポテンショメータの斜視図、図13Bは同じく正面図である。
【図14】本発明の光式無接触ポテンショメータの第4の実施の例を示すもので、図14Aは光量調整部を90°回転変位させて2箇所に設けると共に受光手段を3個設けた光式無接触ポテンショメータの斜視図、図14Bは同じく正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
光量調整部を有する回転軸に遮光部材を対向させて設置すると共に、回転軸と遮光部材を結ぶ方向に対して交差する方向の一側に発光手段を配置し且つ他側に受光手段を配置する。これにより、回転軸に設けた光量調整部の回転変位によって光路を開閉することができ、その光路の開閉により、その光路を通過する光量を検出して、回転軸の回転角度や回転位置の精度よい検出を、簡単な構成によって行えるようにした。
【実施例1】
【0012】
図1乃至図4は、本発明の光式無接触ポテンショメータの第1の実施の形態の例を示すものである。光式無接触ポテンショメータ1は、ベース部材2と、回転軸3と、遮光部材4と、偏心ロータ5と、発光手段の一具体例を示す発光ダイオード6と、光源ホルダ7と、受光手段の一具体例を示すフォトIC8と、回路基板9と、基板ホルダ10等によって構成されている。
【0013】
図1〜4に示すように、ベース部材2は、中央部において軸方向に貫通する中央穴12を設けた円板状の部材からなり、その外周面には、周方向に連続する環状溝13と、同じく周方向に連続する端面溝14とが設けられている。環状溝13は、外周面の幅方向中間部に設けられており、図示しない取付爪によって支持するために設けたものである。端面溝14は、外周面の幅方向一側に設けられており、図示しない円筒キャップの開放側の端部が嵌合される。また、ベース部材2の端面溝14側の端面には、中央部から少し片寄った位置を通って直径方向に延在された第1のガイド溝15と、この第1のガイド溝15の一側で当該第1のガイド溝15と直交するよう半径方向に延在された第2のガイド溝16とが設けられている。
【0014】
ベース部材2の中央穴12の両側開口部には、ボールベアリング等の軸受部材17がそれぞれ嵌合されている。回転軸3は、軸方向の一側を小径とした小径部3aを有する断面形状が円形をなす円柱軸からなり、その軸方向の略中央部に2個の軸受部材17が、軸方向に所定の間隔をあけて嵌合されている。回転軸3に嵌合された2個の軸受部材17は、その両側に配置され且つ大径部に設けた環状溝に係合された2個の止め輪18,18によって抜け止めされている。これにより、回転軸3がベース部材2に対して、軸方向への移動が防止された状態で回転方向へのみ回転自在に支持されている。
【0015】
このとき、回転軸3は、小径部3aがベース部材2の第1及び第2のガイド溝15,16のある端面側に突出され、その反対の端面側に回転軸3の大径部が突出されている。回転軸3の小径部3aには偏心ロータ5が嵌合されていて、偏心ロータ5は回転軸3と一体的に回動される。偏心ロータ5の軸方向穴21は、その円柱軸の中心線O2に対して距離Eだけ偏心させて設けられている。即ち、偏心ロータ5は、これを軸方向に貫通する軸方向穴21を中心線O2から一方に所定距離Eだけ偏心させたパイプ状の偏心円筒軸からなっている。この偏心ロータ5の軸方向穴21の直径は、小径部3aの外径に見合う大きさに設定されており、略隙間を生ずることなく小径部3aに嵌合し得る寸法に形成されている。
【0016】
この偏心ロータ5が、固定ねじ22によって小径部3aにねじ止めされている。そのため、小径部3aには、その端面に開口されると共に軸方向に延在されたねじ穴23が設けられている。このねじ穴23に螺合される固定ねじ22の頭部で偏心ロータ5の一端を大径部側へ押圧することにより、偏心ロータ5が回転軸3に固定されている。この回転軸3の小径部3aと偏心ロータ5とによって、発光手段から放射される光を遮る量を回転軸3の回転角度に応じて変化させ、受光手段に照射される光量を調整する光量調整部が構成されている。なお、この実施例では、小径部3aを有する回転軸3と偏心ロータ5との2個の部材で光量調整部を構成したが、回転軸3に偏心部分を一体に設け、1個の部材で光量調整部を構成することもできる。
【0017】
図3等に示すように、回転軸3に固定された偏心ロータ5と対向するように、半径方向に延在された第2のガイド溝16に遮光部材4が配置されている。そして、第2のガイド溝16と直交する方向に延在された第1のガイド溝15の一側に光源ホルダ7が配置され、回転軸3を挟んで第1のガイド溝15の他側に基板ホルダ9が配置されている。図3において、符号Xは第1の方向、符号Yは、第1の方向Xと直交する第2の方向を示している。そして、符号X1は、ベース部材2及び回転軸3の中心点O1を通り且つ第1の方向Xに延在された第1の基準線を示し、符号Y1は、中心点O1を通り且つ第1の基準線X1と直交する第2の方向Yに延在された第2の基準線を示している。また、符号X2は、第1のガイド溝15のガイド中心線を示している。このガイド中心線X2は、第1の基準線X1に対して距離Hだけ偏心させて平行に設けられている。
【0018】
遮光部材4は、偏心ロータ5との間で光路の幅を設定するもので、固定ねじ24によってベース部材2に固定されている。遮光部材4は、第2のガイド溝16に係合することによりベース部材2の所定位置に位置決めされる固定部4aと、この固定部4aと一体に設けられ且つ光路の一側を仕切る遮光部4bとからなっている。固定部4aには挿通孔32が設けられており、この挿通孔32に対応してベース部材2の第2のガイド溝16内にはねじ孔33が設けられている。そして、挿通孔32を貫通してねじ孔33に螺合される固定ねじ34によって遮光部材4がベース部材2にねじ止めされて固定されている。この遮光部材4の、偏心ロータ5と対向する遮光部4bの対向面4cは、偏心ロータ5の外周面と平行をなす垂直面とされている。そして、対向面4cと小径部3aの外周面との隙間は、小径部3aの一端から他端までの全長に亘って均一に形成されている。
【0019】
光源ホルダ7は、第1のガイド溝15に係合されると共にベース部材2の所定位置に光源ホルダ7を位置決めするための固定部7aと、この固定部7aと一体に設けられ且つ光源としての発光手段である発光ダイオード6を保持する保持部7bとからなっている。光源ホルダ7の固定部7aは、第1のガイド溝15の幅よりも広く形成されており、その下面の中央部に、第1のガイド溝15に係合される係合部7cが設けられている。固定部7aの両側部には挿通孔25がそれぞれ設けられており、各挿通孔25に対応してベース部材2には一対のねじ孔35,35が設けられている。そして、各挿通孔25を貫通して各ねじ孔35に螺合される2個の固定ねじ26によって光源ホルダ7がベース部材2にねじ止めされて固定されている。
【0020】
光源ホルダ7の保持部7bは、固定部7aの上面中央から上方へ突出するように形成されている。この保持部7bの高さ方向の中間部に、水平方向に貫通する貫通穴27が設けられている。貫通穴27には発光ダイオード6が嵌合されて取り付けられている。発光ダイオード6は、光を放射する発光ダイオードチップと、この発光ダイオードチップを収納するケーシング6aと、このケーシング6aの背面側の開口部を封止すると共に発光ダイオードチップに接続された一対の端子ピン28,28が突出される端子基板6bと、を有している。また、保持部7bには、その上面に一端が開口され且つ他端が貫通穴27に連通されたねじ孔29が設けられている。このねじ孔29に螺合された止めねじ31により、発光ダイオード6が光源ホルダ7の保持部7bにねじ止めされて一体的に固定されている。
【0021】
基板ホルダ10は、ベース部材2の所定位置に位置決めして固定するための固定部10aと、この固定部10aと一体に設けられ且つ受光手段としてのフォトIC8を保持する回路基板9が固定される保持部10bとからなっている。基板ホルダ10の固定部10aは、第1のガイド溝15の幅よりも広く形成されており、その下面の中央部に、第1のガイド溝15に係合される係合部10cが設けられている。固定部10aの中央部には挿通孔36が設けられており、この挿通孔36に対応してベース部材2の第1のガイド溝15内にねじ孔37が設けられている。そして、挿通孔36を貫通してねじ孔37に螺合される固定ねじ38によって基板ホルダ10がベース部材2にねじ止めされて固定されている。
【0022】
基板ホルダ10の保持部10bの内面に、回路基板9がねじ止めされて固定されている。回路基板9には、図示しない所定形状の回路パターンが設けられており、その回路パターンの略中央部にフォトIC8が配置され、その回路パターンと電気的に接続されている。図3及び図4に示すように、回路基板9に実装されたフォトIC8は発光ダイオード6と同じ高さ位置に設定されており、フォトIC8の受光部41と発光ダイオード6の放射部の中央部とが同一水平線上において対向するように構成されている。
【0023】
これら回転軸3と遮光部材4と偏心ロータ5と発光ダイオード6とフォトIC8との位置関係を、図5A〜5Cを参照して詳細に説明する。図5A〜5Cは、これら回転軸3と偏心ロータ5等の互いの位置関係を平面的に見た説明図である。回転軸3及び小径部3aの回転中心となっている軸心線O1が、第1の方向Xに延在された第1の基準線X1上に設定されている。そして、第1の基準線X1と距離Hだけ離れた位置に、第1のガイド溝15の中心線をなすガイド中心線X2が設定されていて、このガイド中心線X2上に、発光ダイオード6の放射部の中心とフォトIC8の受光部41の中心とが重なり合うように構成されている。フォトIC8は、受光素子と信号処理回路を集積化したものであり、受光素子(受光部)の水平方向の長さがGとなっている。
【0024】
また、発光ダイオード6の放射部とフォトIC8の受光部41との略中間部に、軸心線O1を通り且つ第2の方向Yに延在された第2の基準線Y1が設定されている。この第2の基準線Y1が延在する方向に回転軸3及び偏心カム5と遮蔽部材4とが対向するように配置されている。図5Aは、偏心ロータ5の中心線O2が遮光部材4から最も離れた位置に回動した状態を示しており、この状態を本実施例では、「回転軸180°位置」と呼ぶことにする。このとき、偏心ロータ5と遮光部材4との間の隙間F1は、偏心ロータ5の偏心量Eの2倍(F1=2E)となっている。また、この隙間F1は、フォトIC8の受光部41の長さGと等しい大きさに設定されている(F1=G=2E)。
【0025】
図5Bは、偏心ロータ5が図5Aの状態から時計方向へ90度回転し、偏心ロータ5の中心線O2が第1の基準線X1上に回動した状態を示しており、この状態を本実施例では、「回転軸90°位置」と呼ぶことにする。このとき、偏心ロータ5と遮光部材4との間の隙間F2は、受光部41の長さGの1/2、即ち、偏心ロータ5の偏心量Eと等しくなっている(F2=G/2=E)。
【0026】
図5Cは、偏心ロータ5が図5Bの状態から更に時計方向へ90度回転し、偏心ロータ5の中心線O2が遮光部材4に最も近づいた位置に回動した状態を示しており、この状態を本実施例では、「回転軸0°位置」と呼ぶことにする。このとき、偏心ロータ5が遮光部材4に接触し、偏心ロータ5と遮光部材4との間の隙間F0は、0となっている(F0=0<G)。
【0027】
なお、本実施例では、偏心ロータ5の偏心量EをフォトIC8の受光部41の一辺の長さ(水平方向の長さ)と同じ長さに設定した例について説明した。このように構成することにより、偏心ロータ5と遮光部材4との間の隙間Fの変化を、偏心ロータ5の偏心量Eによる遮光量のサイン(sin)曲線変化に反映させて、フォトIC8の受光部41における遮光量の変化として測定することができる。そのため、回転軸3の回転角度を、フォトIC8の受光量の変化として検出し、その受光量に比例した電圧として出力することができる。その結果、フォトIC8の出力として、回転軸3の回転角度に応じたリニアなアナログ電圧出力として取り出すことができる。
【0028】
本実施例は、このsin曲線上で擬似的な直線変化となる90°から±45°の部分を利用する。これにより、回転軸3の回転に基づいて得られる略直線的に変化する部分を利用して、略リニアに変化するアナログ電圧出力を得ることができる。なお、本実施例では、「偏心ロータ5の偏心量EをフォトIC8の受光部41の一辺の長さと同じになるようにする」場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、「偏心ロータ5の偏心量EをフォトIC8の受光部41の一辺の長さより長くする」ように構成することもできる。この場合には、sin曲線変化を鋭くすることができ、少しの回転角度に基づいて大きなアナログ電圧出力を得ることができる。
【0029】
ベース部材2、回転軸3、遮光部材4、偏心ロータ5、光源ホルダ7及び基板ホルダ10の材質としては、例えば、アルミニウム合金、銅合金、スチール鋼、ステンレス鋼その他の金属は勿論のこと、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)、POM(ポリアセタール)その他のエンジニアリングプラスチック等を用いることができる。
【0030】
上述したような構成を有する光式無接触ポテンショメータ1は、例えば、次のようにして組み立てることができる。まず、ベース部材2の中央穴12に2個の軸受部材17,17を嵌合し、2個の軸受部材17,17をベース部材2に取り付ける。次に、ベース部材2に取り付けた2個の軸受部材17,17の穴に回転軸3を挿通する。そして、回転軸3の大径部に設けた2つの環状溝に止め輪18をそれぞれ嵌め込み、2個の止め輪18,18で2個の軸受部材17,17を両側から挟ミ、回転軸3を抜け止めする。次いで、回転軸3の小径部3aを偏心ロータ5の軸方向穴21に嵌め込む。そして、小径部3aの先端に固定ねじ22を螺合し、固定ねじ22を締め付けて偏心ロータ5を小径部3aに固定する。
【0031】
次に、遮光部材4の固定部4aをベース部材2の第2のガイド溝16に嵌め込み、固定ねじ34によって遮光部材4をベース部材2に固定する。次に、光源ホルダ7の保持部7bに設けた貫通穴27に発光ダイオード6を嵌め込み、ねじ孔29に止めねじ31を螺合して発光ダイオード6を固定する。次いで、光源ホルダ7の固定部7aに設けた係合部7cをベース部材2の第1のガイド溝15の一側に嵌め込み、固定ねじ26によって固定部7aをベース部材2に固定する。
【0032】
次に、フォトIC8が実装された回路基板9を基板ホルダ10の保持部10aの一面にねじ止めして固定する。そして、基板ホルダ10の固定部10aに設けた係合部10cをベース部材2の第1のガイド溝15の他側に嵌め込み、固定ねじ26によって光源ホルダ7をベース部材2に固定する。これにより、遮光部材4と偏心ロータ5を挟んだ状態で発光ダイオード6とフォトIC8が対向設置される。そして、光式無接触ポテンショメータ1の組立作業が完了する。
【0033】
この光式無接触ポテンショメータ1によれば、ベース部材2に支持された回転軸3に偏心ロータ5を取り付け、その偏心ロータ5を取り囲むようにベース部材2の一面に遮光部材4と光源ホルダ7と基板ホルダ10とを組み付けるだけで組立工程を完了することができる。そのため、組立作業を簡単且つ迅速に行うことができると共に、組立後の位置調整のための調整作業等も簡単且つ迅速に行うことができる。
【0034】
このような構成を有する光式無接触ポテンショメータ1は、例えば、次のようにして使用することができる。この光式無接触ポテンショメータ1は、回転軸3の回転角度を検出し、その検出結果に応じた信号を出力することを目的としている。その結果、回転軸3の回転角度に応じて各種の装置、機器、システム等を制御することができる。かかる目的と達成するため、この実施例では、発光手段である発光ダイオード6と受光手段であるフォトIC8とを対向させて設置すると共に、これらの間を結ぶ光路中に偏心量Eを有する円柱状の偏心ロータ5(光量調整部)と遮光部材4とを介在させて設けている。
【0035】
そして、回転軸3の回転により偏心ロータ5を回転させて遮光部材4との間の隙間を広狭変化(sin曲線変化)させ、その隙間の変化をフォトIC8による受光量の変化として検出する。特に、このsin曲線変化のうち、sin曲線上で擬似的に直線変化となる回転軸0°から90°±45°(45°〜135°)の範囲を利用して、回転軸3の回転角度に応じたリニアなアナログ電圧出力を得ることができる光式無接触ポテンショメータ1を構成している。なお、sin曲線変化の範囲は、同じくsin曲線上で擬似的に直線変化となる回転軸0°から270°±45°(225°〜315°)の範囲を利用することもできる。また、sin曲線変化の範囲は±45°に限定されるものではなく、±40°、±35°、±30°等であってもよいことは勿論である。
【0036】
図6は、回転軸3の回転角度(°)とフォトIC8の受光部(一辺が0.6mmの正方形からなる受光素子)41における受光面積(受光量)との関係を計算したグラフであり、横軸に回転軸3の回転角度(°)をとり、縦軸に受光面積(mm)をとっている。発光ダイオード(LED)には株式会社東芝製の「TLN117(F):東芝赤外LED GaAs赤外発光」を使用し、フォトIC8にはMelexis社製の「MLX75305」を使用した。
【0037】
回転軸3を1回転させたときの回転角度とフォトIC8から出力された出力電圧(V)との関係は、図6に示す内容となっており、その計算値の変化はsin曲線となっている。回転軸3の回転角度が「回転軸0°位置(図5Cの状態)」(=回転軸360°位置)のとき受光面積は0(mm)である。この回転角度0°から回転角度45°位までの間、及び、回転角度215°位から回転角度360°までの間、計算値は曲線状に変化している。
【0038】
一方、回転角度が約45°〜約135°までの間、及び、約215°〜約315°までの間、計算値は略直線状に変化している。そこで、受光面積と出力電圧とは略比例関係にあると考えられるから、回転角度が約45°〜約135°までの間(回転軸90°位置を中心とした±45°)M1、若しくは、回転角度が約215°〜約315°までの間(回転軸270°位置を中心とした±45°)M2における擬似的な直線変化を利用して、回転角度に応じたリニアな出力電圧を得るようにする。なお、図6において破線で示すsin曲線は、実線で示したsin曲線から90°位相を進ませた状態を示している。
【0039】
図7は、LED6に「TLN108(F)」を使用し、フォトIC8に「MLX75305」を使用して、実験した結果を示している。図7に示すグラフおいて、横軸に回転軸3の回転角度(°)をとり、縦軸にフォトIC8の出力電圧(V)をとっている。回転角度0°において出力電圧0(V)が、回転角度の増加に応じて徐々に曲線を描くように増加し、回転角度45°において出力電圧は約0.9(V)に増加している。この回転角度45°から回転角度135°位まで出力電圧は、回転角度の増加に比例するよう直線的に増加し、回転角度135°において出力電圧は約4.7(V)になっている。
【0040】
その後、出力電圧は緩やかな曲線を描くように変化し、回転角度180°において出力電圧は最大値の約5.3(V)になっている。回転軸3の回転角度が180°を越えると、出力電圧の特性はそれまでとは逆の特性となり、回転角度225°位まで出力電圧は曲線を描くように緩やかに減少する。そして、回転角度225°から回転角度315°位まで出力電圧は、回転角度の増加に反比例するよう直線的に減少し、回転角度315°において出力電圧は約0.9(V)になっている。そこで、出力電圧が略直線性を示す、回転角度45°から135°位までの間、又は、回転角度225°から315°位までの間のいずれか一方(本実施例では、回転前期の回転角度45°から135°位までの間)を利用するようにしている。
【0041】
図8は、図7に示した実験結果において、擬似的な直線変化となる回転角度45°から135°までの間の偏差(%FS)を表したグラフである。この偏差は、回転角度45°と135°との2点の偏差をそれぞれ0としてその2点を直線で結び、この直線に対して各回転角度においてどの程度の偏差(%FS)が生じているかを表している。その結果、偏差(%FS)は、回転角度の前側部分(45°〜90°)においてはマイナス側に表れ、その最大値は−2.1(%FS)程度であった。また、回転角度の後側部分(90°〜135°)においてはプラス側に表れ、その最大値は+3.3(%FS)程度であり、偏差の平均値は±2.8(%FS)であった。
【0042】
図9は、フォトIC8に「MLX75305」を使用する一方、LED6には「TLN108(F)」に変えて、小型でローコストの「TLN117(F):株式会社東芝製」を使用して、実験した結果を示している。図9に示すグラフおいて、横軸に回転軸3の回転角度(°)をとり、縦軸にフォトIC8の出力電圧(V)をとっている。回転角度0°から45°の間において、出力電圧(V)は0(V)〜0.4(V)程度になっている。これに対して、回転角度が45°を越えると回転角度140°位まで、出力電圧(V)は回転角度の増加に比例するよう直線的に増加し、回転角度140°付近において出力電圧は最大の約5.5(V)に増加している。
【0043】
この回転角度140°付近から回転角度255°位までの間、出力電圧に変化が生じることなく、その値の出力電圧約5.5(V)を維持している。そして、回転角度が255°を越えると、これまでとは逆に、回転角度の増加に反比例するよう直線的に減少し、回転角度350°において出力電圧は約0.4(V)になっている。そこで、出力電圧が略直線性を示す、回転角度45°から135°位までの間、又は、回転角度255°から345°位までの間のいずれか一方(本実施例では、回転前期の回転角度45°から135°位までの間)を利用するようにしている。
【0044】
図10は、図9に示した実験結果において、擬似的な直線変化となる回転角度45°から135°までの間の偏差(%FS)を表したグラフである。この偏差は、回転角度45°と135°との2点の偏差をそれぞれ0としてその2点を直線で結び、この直線に対して各回転角度においてどの程度の偏差(%FS)が生じているかを表している。その結果、偏差(%FS)は、回転角度の初期部分(45°〜58°)においてはマイナス側に表れ、その最大値は−0.7(%FS)程度であった。また、回転角度の残り部分(初期部分を除いた部分)(58°〜135°)においてはプラス側に表れ、その最大値は+2.5(%FS)程度であり、偏差の平均値は±1.5(%FS)であった。この偏差の平均値±1.5(%FS)は、角度センサの検出部における直線性を表す偏差として使用に十分耐えうる値である。
【0045】
このような構成を有する光式無接触ポテンショメータ1は、例えば、次のようにして使用することができる。この光式無接触ポテンショメータ1は、回転範囲が±45°(合計90°)の角度範囲内で回動する回転軸の回転角度を検出する角度検出センサである。まず、前述したようにして組み立てられた光式無接触ポテンショメータ1の回転軸3の大径側を、回転角度を検出する回転軸に、ジョイント等の接続部品やクラッチ等の接続器具等を介して連結する。そして、光源ホルダ7に保持されている発光ダイオード6からフォトIC8に向けて光を放射し、その光を基板ホルダ10に保持されている回路基板9に搭載されているフォトIC8で受光する。
【0046】
この際、発光ダイオード6から放射される光の光路上に配置された偏心ロータ5が、回転軸3と一体に回転され、その回転の前後におけるフォトIC8の受光部(受光素子)41が受ける光量の変化によって、回転軸3の回転角度を検出することができる
【0047】
図5Aに示すように、偏心ロータ5の外周面と遮光部材4の対向面4cとの間の隙間F1が最も広い回転軸180°位置の状態では、偏心ロータ5による光路の遮光は行われておらず、隙間F1とフォトIC8の受光部(受光素子)41の水平方向の長さGとが等しくなっている(F1=G=2E)。そのため、フォトIC8の受光部(受光素子)41には、その全面に発光ダイオード6から放射された光が照射され、受光部41の受光率は100%になっている。
【0048】
図5Bに示すように、図5Aの状態から回転軸3が90度回転し、回転軸90°位置に回転変位した状態では、偏心ロータ5によって光路は、その1/2が遮光されており、隙間F2はフォトIC8の受光部(受光素子)41の水平方向の長さGの1/2になっている(F2=G/2=E)。そのため、フォトIC8の受光部(受光素子)41には、その1/2の面積に発光ダイオード6から放射された光が照射され、受光部41の受光率は50%になる。
【0049】
また、図5Cに示すように、図5Bの状態から更に回転軸3が90度回転し、回転軸0°位置に回転変位した状態では、偏心ロータ5によって光路は完全に遮断されており、隙間F0は0になっている(F0=0<G)。そのため、フォトIC8の受光部(受光素子)41には、その面積に発光ダイオード6から放射された光は照射されず、受光部41の受光率は0%になる。
【0050】
図11A,11Bは、本発明の第2の実施例を示す光式無接触ポテンショメータ50である。この第2の実施例として示す光式無接触ポテンショメータ50は、受光手段として2個のフォトIC51,52を設け、第1のフォトIC51を検出センサとして用いて受光面積が回転角度に応じて変化するようにする一方、第2のフォトIC52を基準センサとして用いて常に受光部の全面積に光が当たるように構成する。そして、第2のフォトIC52が感知した照度により発光ダイオード6をフィードバック制御して、第1のフォトIC51の出力を安定化させるように構成したものである。
【0051】
この光式無接触ポテンショメータ50が前述した第1の実施例に係る光式無接触ポテンショメータ1と異なるところは、受光手段として2個のフォトIC51,52を設けた点であり、その他の構成は前記実施例と同一である。そこで、ここでは光式無接触ポテンショメータ50が光式無接触ポテンショメータ1と異なる点について説明し、同一部分には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。なお、第1のフォトIC51と第2のフォトIC52とは、同様のものを使用する。また、発光ダイオード6としては、並べて設置された2個のフォトIC51,52の各受光部41,41に同様の強さの光を照射できるように指向性の角度が大きい(広い)ものを使用する。
【0052】
図11A及び11Bに示すように、2個のフォトIC51,52は、回路基板9の同一面に所定の隙間をあけて実装されている。この回路基板9が、2個のフォトIC51,52を上下方向へ配置すると共にそれぞれの受光部41を発光ダイオード6に向けた状態で基板ホルダ10に固定されている。第1のフォトIC51は出力用のものであり、この第1のフォトIC51の上方に、フィードバック制御用の第2のフォトIC52が配置されている。この第1のフォトIC51と第2のフォトIC52との中間部に、発光ダイオード6の光を放射する中心から水平方向へ延びた水平中心線N1が設定されている。従って、第1のフォトIC51の受光部41から水平中心線N1までの距離と第2のフォトIC52の受光部41から水平中心線N1までの距離とは等しくなっている。
【0053】
更に、回転軸3に固定されている偏心ロータ5の上端面の高さは、水平中心線Nの高さ方向の位置と一致するように構成されている。これにより、第1のフォトIC51の受光部41には、偏心ロータ5の回転角度に応じてsin曲線変化する光量が受光され、その受光量に応じたアナログ電圧(V)が出力される。これに対して、第2のフォトIC52の受光部41には、偏心ロータ5の回転角度のいかんに係わらず、常に全面積に光が照射される。この第2のフォトIC52により、発光ダイオード6から放射されている光の強度を知ることができる。
【0054】
一般に、発光ダイオードから放射される光は、周囲の雰囲気温度や、発光ダイオード自体の発熱、或いは長期使用による発光ダイオードの経時変化等によって影響を受け、その光が強弱変化してしまう。そのため、受光手段として1個のフォトICを使用する場合には、雰囲気温度等の影響がフォトICの検出値に付加され、その影響を受けている状態のものが検出値として取得されることになる。従って、この場合には、フォトICの出力値に安定性を欠くことになり、精度の高い検出値を得ることが難しくなる。これに対して、本実施例に係る光式無接触ポテンショメータ50では、第2のフォトIC52で雰囲気温度やLED自体の発熱等の影響を受けている照度を感知し、その照度に基づき発光ダイオード6をフィードバック制御する。これにより、第1のフォトIC51の出力電圧を安定化させ、精度の高い回転角度の検出を行うことができる。
【0055】
図12は、光式無接触ポテンショメータ50の回路構成を示すブロック図である。発光ダイオード6にはLED駆動用定電流回路53が接続されている。LED駆動用定電流回路53は、発光ダイオード6から放射される光の強度を安定化させるための回路であり、発光ダイオード6を定電流駆動して安定した光を放射させる。発光ダイオード6から放射された光は、同時に第1のフォトIC51と第2のフォトIC52とに照射される。このとき、第1のフォトIC51の受光部41には偏心ロータ5によって光路調整された光が照射され、第2のフォトIC52の受光部41には常に全面積に光が照射される。
【0056】
第1のフォトIC51は、偏心ロータ5の回転で調整された光路を通る光の照射を受けた面積に対応する電圧を出力する。第1のフォトIC51には出力調整用アンプ回路54が接続されており、この出力調整用アンプ回路54を介して第1のフォトIC51の電圧出力が外部に出力される。第2のフォトIC52は、受光部41の全面積に光が照射されるときの電圧を出力する。第2のフォトIC52にはフィードバック処理回路55が接続されており、フィードバック処理回路55は、受光部41の全面積に光が照射されるときの電圧に基づいてLED駆動用定電流回路53を制御する。
【0057】
例えば、雰囲気温度の上昇や、LED自体の発熱による温度上昇等によって発光ダイオード6から放射される光の強度が強くなった場合には、フィードバック処理回路55からLED駆動用定電流回路53に対して、LED駆動用定電流回路53から出力される定電流の値を低くするための制御信号が出力される。また、長期使用によって発光ダイオード6が劣化し、放射される光の強度が弱くなった場合には、LED駆動用定電流回路53から出力される定電流の値を高くするための制御信号が、フィードバック処理回路55からLED駆動用定電流回路53に出力される。このようなフィードバック制御を行うことにより、雰囲気温度の上昇、LED自体の発熱、経時変化による光強度の劣化等が生じた場合にも、発光ダイオード6の出力を一定にして、第1のフォトIC51からの出力を安定化させ、検出精度の向上を図ることができる。
【0058】
図13A,13Bは、本発明の第3の実施例を示す光式無接触ポテンショメータ50である。この第3の実施例として示す光式無接触ポテンショメータ60は、2つの同一出力を個別に取り出すことができるように構成したものである。この光式無接触ポテンショメータ60が前述した第2の実施例に係る光式無接触ポテンショメータ50と異なるところは、受光手段として3個のフォトIC61,62,63を設けると共に、2個の偏心ロータ65,66を設けた点であり、その他の構成は前記実施例と同一である。そこで、ここでは光式無接触ポテンショメータ60が光式無接触ポテンショメータ50と異なる点について説明し、同一部分には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
【0059】
なお、第1〜第3のフォトIC61〜63は、同様のものを使用する。また、発光ダイオード6としては、並べて設置された3個のフォトIC61〜63の各受光部41に同様の強さの光を照射できるように指向性の角度が特に大きい(広い)ものを使用する。
【0060】
光式無接触ポテンショメータ60は、受光手段として3個のフォトIC61,62,63を有しており、第1のフォトIC61と第3のフォトIC63とを検出センサとして用いて受光面積が回転角度に応じて変化するように構成している。そして、第2のフォトIC62を基準センサとして用いて、常に受光部の全面積に光が当たるように構成している。また、光量調整部として2個の偏心ロータ65,66を設け、第1の偏心ロータ65を第1のフォトIC61に対向させて設置すると共に、第2の偏心ロータ66を第3のフォトIC63に対向させて設置している。そして、第2のフォトIC62が感知した照度により発光ダイオード6をフィードバック制御して、第1のフォトIC61と第3のフォトIC63の出力を安定化させるように構成している。
【0061】
図13A及び13Bに示すように、3個のフォトIC61〜63は、回路基板9の同一面に所定の隙間をあけて一列に並べられて実装されている。この回路基板9が、3個のフォトIC61,62,63を上下方向へ配置し且つそれぞれの受光部41を発光ダイオード6に向けた状態で基板ホルダ10に固定されている。第1のフォトIC61は第1の出力用のものであり、第3のフォトIC63が第2の出力用のものである。第1のフォトIC61の上方にフィードバック制御用の第2のフォトIC62が配置され、第2のフォトIC62の上方に第2の出力用の第3のフォトIC63が配置されている。
【0062】
そして、第2のフォトIC62の中央部に、発光ダイオード6の光を放射する中心から水平方向へ延びた水平中心線N2が設定されている。従って、第1のフォトIC61の受光部41から水平中心線N2までの距離と第3のフォトIC63の受光部41から水平中心線N2までの距離とは等しくなっている。
【0063】
また、回転軸3に固定されている2個の偏心ロータ65,66は、その高さ(軸方向の長さ)が、フォトIC61〜63の高さ(一辺の長さ)と略等しい大きさに設定されている。そして、水平方向において、第1のフォトIC61に第1の偏心ロータ65が対向し、第3のフォトIC63に第2の偏心ロータ66が対向するように構成している。更に、第2のフォトIC62には回転軸3の小径部3aが対向され、回転軸3の回転角度のいかんに係わらず受光部41の全面が光の照射を受けるように構成している。なお、2個の偏心ロータ65,66の間に円筒状のスリーブを介在させることにより、2個の偏心ロータ65,66間の間隔を一定に保持して、固定ねじ22による回転軸3への組み立てを行うことができる。
【0064】
即ち、第1の偏心ロータ65の上端面の高さは、第1のフォトIC61と第2のフォトIC62との中間部に設定され、第2の偏心ロータ66の下端面の高さは、第2のフォトIC62と第3のフォトIC63との中間部に設定されている。これにより、第1のフォトIC61の受光部41には、第1の偏心ロータ65の回転角度に応じてsin曲線変化する光量が受光され、その受光量に応じたアナログ電圧(V)が第1のフォトIC61から出力される。また、第3のフォトIC63の受光部41には、第2の偏心ロータ66の回転角度に応じてsin曲線変化する光量が受光され、その受光量に応じたアナログ電圧(V)が第3のフォトIC63から出力される。
【0065】
これに対して、第2のフォトIC62の受光部41には、回転軸3の回転角度のいかんに係わらず、常に全面積に光が照射される。この第2のフォトIC62により、発光ダイオード6から放射されている光の強度を知ることができる。そして、2個のフォトIC61,63で検出した2つの検出値に基づいてそれぞれ電圧を個別に出力することにより、その2つの出力電圧を用いて2つの外部装置を同時に制御することができる。
【0066】
図14A,14Bは、本発明の第4の実施例を示す光式無接触ポテンショメータ70である。この第4の実施例として示す光式無接触ポテンショメータ70が前述した第3の実施例に係る光式無接触ポテンショメータ60と異なるところは、第1の偏心ロータ65に対して第2の偏心ロータ67を90°回転変位させて設けた点であり、その他の構成は前記実施例と同一である。そこで、ここでは光式無接触ポテンショメータ70が光式無接触ポテンショメータ60と異なる点について説明し、同一部分には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
【0067】
2個の偏心ロータ65,67の形状及び大きさは、前記第3の実施例に係る光式無接触ポテンショメータ60のものと同様である。また、回転軸3に対する2個の偏心ロータ65,67の取付手段も同様であり、2個の偏心ロータ65,67の間に円筒状のスリーブを介在させることにより、2個の偏心ロータ65,66間の間隔を一定に保持して、回転軸3に組み立てることができる。この実施例の場合の2個のフォトICの出力は、例えば、図6に示すような受光面積の変化に基づいて、位相が90度ズレている2つの電圧出力を得ることができる。
【0068】
この第4の実施例に係る光式無接触ポテンショメータ70の出力は、例えば、次のようにして利用することができる。例えば、第1のフォトIC61の出力をメイン出力として使用する一方、第3のフォトIC63の出力をリミッタとして用いて、回転軸3が許容範囲を越えて回転変位するのを防止する場合である。具体的には、第1のフォトIC61の検出角度範囲を90°±45°に設定すると共に、同じ検出角度範囲を有する第3のフォトIC63を90°進めて設定する。このように構成することにより、リミッタ用の第3のフォトIC63の出力を見ることで、メイン検出用の第1のフォトIC61の出力の正否を知ることができる。
【0069】
いま、第1のフォトIC61が、回転軸3の回転角度90°±45°(+45°〜+135°)までの範囲内を検出するものとすると、このとき第3のフォトIC63は、回転角度0°±45°(−45°〜+45°)までの範囲内を検出することになる。そのため、第1のフォトIC61の出力が上記範囲内で得られる適切な検出値である場合には、第3のフォトIC63の出力は上記範囲内では得られない範囲外の不適切な検出値となる。言い換えると、第3のフォトIC63の出力が上記範囲内で得られる適切な検出値である場合には、第1のフォトIC61の検出値は上記範囲内ではない測定外の部分(例えば、+150°)を検出しているものである。
【0070】
これにより、回転軸3が測定範囲外の±45°以上に回転してしまったことを知ることができる。そこで、第3のフォトIC63の出力をリミッタとして用いて、第3のフォトIC63の出力が適切な検出値を示すようになった場合には、回転軸3の回転を停止させる制御を行うことにより、回転軸3の過剰な回転を防止して安全性を確保することが可能となる。
【0071】
以上説明したが、本発明は、前述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、前記実施例においては、回転軸を90°(±45°)の範囲内で回転させて回転角度を検出する例について説明したが、その回転角度を90°以下に設定できることは勿論である。
【符号の説明】
【0072】
1,50,60,70…光式無接触ポテンショメータ、 2…ベース部材(支持部材)、 3…回転軸、 3a…小径部、 4…遮光部材、 4b…遮光部、 5,65,66、67…偏心ロータ(光量調整部)、 6…発光ダイオード(発光手段)、 7…光源ホルダ、 8,51,52,61,62,63…フォトIC(受光手段)、 9…回路基板、 10…基板ホルダ、 15…第1のガイド溝、 16…第2のガイド溝、 21…軸方向穴、 53…LED駆動用定電流回路、 54…フィードバック回路、 E…偏心量、 X…第1の方向、 X1…第1の基準線、 Y…第2の方向、 Y1…第2の基準線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材に回転自在に支持された回転軸と、
前記回転軸に対向設置された遮光部材と、
前記回転軸と前記遮光部材とが対向する方向と交差する方向の一側に配置された発光手段と、
前記回転軸と前記遮光部材とが対向する方向と交差する方向の他側に配置され且つ前記発光手段に対向設置された受光手段と、を備え、
前記回転軸に、当該回転軸の回転位置に応じて前記遮光部材との間の隙間を変化させる光量調整部を設けた
ことを特徴とする光式無接触ポテンショメータ。
【請求項2】
円板状の支持部材と、
前記支持部材に設けた中央穴を貫通するように回転自在に支持され回転軸と、
前記支持部材の一面側において前記回転軸と所定の隙間をあけて対向するように設けた遮光部材と、
前記支持部材の一面側において前記回転軸と前記遮光部材とが対向する方向と交差する方向の一側に配置された発光手段と、
前記支持部材の一面側において前記回転軸と前記遮光部材とが対向する方向と交差する方向の他側に配置され且つ前記発光手段に対向設置された受光手段と、を備え、
前記回転軸に、当該回転軸の回転位置に応じて前記遮光部材との間の隙間を変化させる光量調整部を設けた
ことを特徴とする光式無接触ポテンショメータ。
【請求項3】
前記光量調整部は、外周面に対して偏心させて設けた軸方向穴を有し且つ前記回転軸に嵌合された偏心円筒軸からなる
ことを特徴とする請求項1又は2記載の光式無接触ポテンショメータ。
【請求項4】
前記光量調整部と前記遮光部材との隙間は、前記受光手段の受光部と略同じ大きさに形成した
ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の光式無接触ポテンショメータ。
【請求項5】
前記受光手段は、前記発光手段に対向させて複数個を対称位置に配置して設けた
ことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の光式無接触ポテンショメータ。
【請求項6】
前記光量調整部は、前記回転軸の軸方向に所定の隙間をあけて複数箇所に設け、
前記受光手段は、前記光量調整部に対向させて複数個を配置して設けた
ことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の光式無接触ポテンショメータ。
【請求項7】
複数箇所に設けた前記光量調整部は、それぞれの偏心側を互いに90度回転変位させて設けた
ことを特徴とする請求項6記載の光式無接触ポテンショメータ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−13454(P2012−13454A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148069(P2010−148069)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000120489)栄通信工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】