光抗菌トイレ装置
【課題】
便座または便座カバーを紫外線を用いて抗菌化すると、紫外線が人体に悪影響を与えるので十分な安全対策が不可欠である。
【解決手段】
光抗菌トイレ装置は、便座150又は便座カバーの着座表面等に可視光線により励起される可視光応答型光触媒110を含有する光触媒部材を配置し、青色光線を含む可視光線を発光する発光ダイオードLED 310を便座又は便座カバーに内蔵する。LED310からの可視光線が可視光応答型光触媒110を照射する。このとき光触媒110は光触媒活性を示し光分解反応により着座表面等が殺菌され光抗菌化される。紫外線を用いずに可視光LED310と可視光応答型光触媒110により便座を抗菌化するので安全対策が不要となる。LED310を便座150又は便座カバーに内蔵しているので装置がコンパクトになる。
便座または便座カバーを紫外線を用いて抗菌化すると、紫外線が人体に悪影響を与えるので十分な安全対策が不可欠である。
【解決手段】
光抗菌トイレ装置は、便座150又は便座カバーの着座表面等に可視光線により励起される可視光応答型光触媒110を含有する光触媒部材を配置し、青色光線を含む可視光線を発光する発光ダイオードLED 310を便座又は便座カバーに内蔵する。LED310からの可視光線が可視光応答型光触媒110を照射する。このとき光触媒110は光触媒活性を示し光分解反応により着座表面等が殺菌され光抗菌化される。紫外線を用いずに可視光LED310と可視光応答型光触媒110により便座を抗菌化するので安全対策が不要となる。LED310を便座150又は便座カバーに内蔵しているので装置がコンパクトになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は便座または便座カバーに光触媒を担持した光抗菌トイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者が提案した発明である特許文献1(特公平7−93913)には、少なくとも表面が紫外線の導光材料からなる便座を備え、上記便座の一端部を紫外線導入部とし、上記便座の表面部を紫外線出射部とし、上記紫外線導入部から導入された紫外線を上記便座の他端へ伝搬させると共に、上記便座の表面のほぼ全面から紫外線を出射させるように構成し、上記入射部(紫外線導入部)に紫外線導光性の光学フアイバー・ケーブルの一端を直結または近接させ、かつ上記光ファイバ・ケーブルの他端を任意の個所に配置した紫外線光源と光結合させている便座の殺菌装置が開示されている。
【0003】
特許文献1(特公平7−93913)の明細書第0003段には、「上記紫外線光源としては、蛍光灯の蛍光塗料の塗布をやめ、外管に使用するガラスとして石英などの紫外線透過ガラスを使用した通常の殺菌ランプ(低圧水銀ランプ)が使用することができる。」と記載されている。
【0004】
この殺菌ランプ20から放射される波長2600オングストローム付近の短波長紫外線は、大きな殺菌効果があることが広く知られている。
【0005】
一方前記短波長紫外線の強度が大きな場合には肉眼に害を与える恐れがある。このために、この先行発明を実施化するに当たっては、前記特許公報に記載のように、万一紫外線が外部に放射されている状態の時に、便座の表面を肉眼で長い時間または近距離で直接見つめることがないようにする以下の安全手段(1)、(2)、(3)、または(4)が必要であった。」と記載されている。
【0006】
特許文献1(特公平7−93913)の明細書第0004段によると前記安全手段(1)は、人体力が便座に着座したことを着座センサーにより検知して、その検知信号を点灯回路に出力することにより、通常は紫外線光源を消灯させてあり、着座した時にのみ便座の表面を殺菌するに十分な所定時間、紫外線光源を点灯させるものである。
【0007】
また前記安全手段(2)は、通常は紫外線光源を点灯して便座の表面を殺菌中であり、人体から放射される赤外線を検知する例えば焦電効果型の赤外線センサーにより人体の接近を検知し、この検知信号を点灯回路に出力し、紫外線光源を消灯させて便座の表面から出射する紫外線を直視するのを避けるものである。
【0008】
更にまた前記安全手段(3)は、通常は紫外線光源を点灯して便座の表面を殺菌中であり、赤外線センサーにより人体の接近を検知し、この検知信号を点灯回路に出力し、紫外線光源を消灯させて便座の表面から出射する紫外線を直視するのを防ぎ、次いで人体が便座に着座したときに着座センサーの検知信号ONにより点灯回路を動作させ、紫外線光源を所定時間点灯し、再び便座の表面を殺菌するものである。
【0009】
次いで人体が便座から離れた時に着座センサーの検知信号はOFFとなるが、人体が上記赤外線センサーから十分な距離だけ遠ざかると再び紫外線光源を点灯させ、初期の状態に戻すことができる。
【0010】
更にまた前記安全手段(4)は、着座センサーを省略して、その代わりに赤外線センサーのみを用い、常時紫外線光源を点灯させておき常時便座の表面を殺菌しておき、人体が赤外線センサーに接近した時に、紫外線光源を消灯するように構成して、便座から出射する紫外線が肉眼に入るのを防ぐものである。
【0011】
本発明者が提案した発明である特許文献2(特開平09−285425)には、少なくとも表面が短波長光線透過性部材からなる便座と、前記短波長光線透過性部材の少なくとも表面にほぼ全面的に設けた光触媒を含有する光触媒層と、前記光触媒層を活性化する短波長光線を発する光源を備え、前記短波長光線透過性部材を経由して前記光源からの前記短波長光線を前記光触媒層に吸収させて活性化させ、前記光触媒層に付着する汚染物質を光触媒作用により分解、浄化し、かつ前記短波長光線が前記光触媒層の表面から漏れ出るのを低減または防止した便座の殺菌装置が開示されている。
【0012】
特許文献2(特開平09−285425)に記載の発明は、特許文献1(特公平7−93913)に記載の発明を改良したもので、光触媒層を便座の表面に形成し、主として紫外線からなる短波長光線が前記光触媒層の表面から漏れ出るのを低減または防止し、特に防水性を必要とし、故障の確率の高い電気的装置である上記の安全手段(1)、(2)、(3)、または(4)が不要とすることにより、前記短波長光線が前記光触媒層の表面から漏れ出るのを低減または防止し、特に防水性を必要とし、故障の確率の高い電気的装置である上記の安全手段(1)、(2)、(3)、または(4)を不要としたものである。
【0013】
本発明者が提案した発明である特許文献3(特開平9−140633)には、便座の蓋を紫外線の導光材料とし蓋の一部から紫外線を導入し蓋の裏面から便座に向けて紫外線を出射する便座等の殺菌装置が開示されている。
【0014】
そして、この紫外線を蓋の他端へ伝搬させると共に、蓋の裏面のほぼ全面から紫外線を出射させように構成し、かつ便座の蓋の入射部に紫外線導光性の光学フアイバー・ケーブルの一端を直結または近接させると共に、かつ上記光ファイバ・ケーブルの他端を任意の個所に配置した紫外線光源と光結合させ、紫外線を便座の表面と便器の内部とに照射できるようにした便座等の殺菌装置が開示されている。
【0015】
しかしながら特許文献3(特開平9−140633)に記載の便座等の殺菌装置もまた紫外線を便座などの表面に照射して殺菌しているために各種の安全対策が必要である。
【0016】
そこで特許文献3(特開平9−140633)の明細書の段落00025には、蓋が紫外線透過性の成型体からなる場合には、蓋の表面からも紫外線が漏れ出ていくので便座の蓋が開状態および閉状態の両方の状態で紫外線が直接肉眼に入らないようにするために、例えばドア・スイッチ付きのほぼ密閉された空間内のトイレでは、ドア・スイッチの出力信号と点灯制御回路82とを連動させることより紫外線光源の点灯を制御することが開示されている。
【0017】
同明細書の段落00026に、このようなドア・スイッチを設けていない場合、またはドア・スイッチと連動させていない場合、例えば焦電効果型の赤外線センサーにより人体の接近を検知し、この検知信号を点灯制御回路に出力し、紫外線光源を消灯させて人間の目に紫外線が入るのを防ぐことが出来ることが開示されている。
【0018】
同明細書の段落00027に、紫外線透過性の蓋の表面に紫外線の反射層を設け、蓋が閉じている場合には紫外線が肉眼に入るのを防ぐことができること、紫外線光源が常時点灯している場合でも、蓋が開いていることを感圧センサーにより検知して、その検知信号を点灯制御回路に出力することにより、紫外線光源を消灯させ、蓋の開閉状態にかかわらず紫外線が肉眼に入るのを防ぐことができることが開示されている。
【0019】
特許文献4(特開2005−23554)には、便器本体内側に光を照射する窒化物系半導体発光素子を備える殺菌便器、前記殺菌便器において便器本体の上側開口部を開閉する蓋体を備え、蓋体の裏面側に窒化物系半導体発光素子を配置した前記殺菌便器、蓋体の開閉を検出する開閉検出手段と、開閉検出手段により蓋体が閉成されてから予め設定された期間だけ、窒化物系半導体発光素子を発光させる手段とを備える殺菌便器が開示されている。
【0020】
また前記蓋体を窒化物系半導体発光素子と一体化させて成型した殺菌便器、前記殺菌便器において窒化物系半導体発光素子が砲弾型の窒化物系発光ダイオードもしくは面実装型の窒化物系発光ダイオードである殺菌便器、前記殺菌便器において蓋体の表面側に配置された表示用発光ダイオードを備える殺菌便器、表示用発光ダイオードを窒化物系半導体発光素子と共に発光もしくは消灯させる殺菌便器が開示されている。
【0021】
前記殺菌便器において、窒化物系半導体発光素子からの照射光の波長が200nm〜410nmの範囲に設定された殺菌便器、前記殺菌便器において、窒化物系半導体発光素子の発光中に、便器内にオゾンを発生させるオゾン発生手段を備える殺菌 便器、便器本体の上側開口部を開閉する蓋体を窒化物系半導体発光素子と一体化させて成型することを特徴とする殺菌便器の製造方法が開示されている。
【0022】
また要約、最適実施の形態には、便座蓋が閉じられると、60秒間だけ、各窒化物系発光ダイオードが発光し、オゾン発生装置が動作すること、各窒化物系発光ダイオードの発光により、紫外線が便器本体の内側面に照射されて、殺菌が行われること、また、オゾン発生装置の動作により、オゾンが便器本体の内側で発生して、殺菌 が行われること、このため、紫外線による殺菌 とオゾンによる殺菌 とが相乗してなされ、殺菌 能力が極めて高くなること、また、便座蓋が閉じられると、70秒間だけ、表示用発光ダイオードが発光することが開示されている。
【0023】
周知のように、紫外線(UV)は波長100nm−380nmの電磁波の総称であり、次に示すように近紫外線UV−A、UV−B、殺菌線UV−Cの3つに大別される。
【0024】
それらの波長領域はそれぞれ、UV−A(315−400nm)、UV−B (280−315nm)、UV−C(100−280nm)である。
【0025】
周知のように、100−280nmの波長領域の紫外線UV−Cは、殺菌作用を発揮するが、紅斑作用や皮膚障害、目の障害を起こし、人体に悪影響をおよぼすので、殺菌線UV−Cを放射する殺菌ランプの取り扱いは十分の注意が必要である。
【0026】
また殺菌線UV−Cは、酸素をオゾンに変換しやすく、多量のオゾンも人体に悪影響をおよぼす。
【0027】
特許文献4(特開2005−23554)に記載の殺菌便器は、窒化物系発光ダイオードの波長が200nm〜410nmの紫外線発光により、紫外線が便器本体の内側面に照射されて、殺菌が行われると記載されているが、上記に説明したように紫外線が殺菌作用を発揮するには100−280nmの波長領域の殺菌線UV−Cが必要である。
【0028】
殺菌ランプにより直接殺菌する場合には、例えば特許文献2(特開平09−285425)に記載のように各種の安全対策が必要である。またアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの通常の透明樹脂は、特に殺菌線UV−Cの長時間の照射により、透明性が失われやすく、クラックを生じる恐れが多い。
【0029】
特許文献5(特開2005−152035)には、高電圧発生装置と放電プラズマ発生部とを備えた高電圧放電を用いた洋式便器の便座殺菌装置が開示されている。
【0030】
しかしながら、特許文献5(特開2005−152035)のように、水、水分の多い環境に設置される便座を殺菌するのに高電圧のプラズマ放電を用いのは、漏電対策などのかなりの安全対策を行う必要がある。
【0031】
特許文献6(特開平11−253544)(明細書の段落0066および図7〜図9)には、便器および便座の表面に光触媒と蓄光部材を備えることが開示されている。
【0032】
特許文献7(特開2004−329916)には、可視光応答光触媒能を有する光活性物質を含む基体と、当該基体を照明可能に配置し、青色の光を主に放射する発光ダイオードとを具備する光触媒装置が開示されている。
【0033】
しかしながら、特許文献7(特開2004−329916)の光触媒装置には、トイレ装置に応用することがなんら開示されていない。
【0034】
特許文献8(特開2001−108856号公報)、特許文献9(特開2002−202415号公報)には、光ファイバの側面から発光する発光漏光型(側面発光型)光ファイバが開示されている。
【0035】
可視光応答型光触媒として、例えば、特許文献10(特開2004−988号、特許第3601532号公報)に、酸化チタン結晶の酸素サイトの一部を窒素原子で置換したTi−O−N構成を含み、チタン原子と窒素原子との化学結合を有する、可視光領域において光触媒作用を発現する可視光応答型光触媒物質(窒素ドープ酸化チタン)が開示されている。
【0036】
可視光応答型光触媒として、例えば、特許文献11(特開2002−239395号公報)、特許文献12(特開2004−73910号公報)に、酸化チタンなどの光触媒粒子の表面にハロゲン化白金化合物を含有している、可視光の照射下で励起可能な可視光応答型光触媒(白金化合物担持酸化チタン)が開示されている。
【0037】
可視光応答型光触媒として、例えば、特許文献13(特開2004−143032号公報)に、硫黄原子を陽イオンとして含有することを特徴とする可視光領域でその活性を発現するチタン、ジルコニウム、タンタルおよびストロンチウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の酸化物または複合酸化物である含硫黄金属酸化物からなる可視光応答型光触媒8硫黄ドープ酸化チタン)が開示されている。
【特許文献1】特公平07−93913号公報
【特許文献2】特開平09−28542号公報
【特許文献3】特開平9−140633号公報
【特許文献4】特開2005−2355号公報
【特許文献5】特開2005−152035号公報
【特許文献6】特開平11−253544号公報 (明細書の段落0066および図7〜図9)
【特許文献7】特開2004−329916号公報
【特許文献8】特開2001−108856号公報
【特許文献9】特開2002−202415号公報
【特許文献10】特開2004−988号号公報
【特許文献11】特開2002−239395号公報
【特許文献12】特開2004−73910号公報
【特許文献13】特開2004−143032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
本発明は、上述の特許文献1(特公平7−93913号公報)、特許文献3(特開平9−140633号公報)、特許文献4(特開2005−2355号公報)、特許文献5(特開2005−152035号公報)の発明の各種の問題点を除去するものである。
【0039】
また本発明は、本発明者による特許文献2(特開平09−285425)の発明を更に改良するものである。
【0040】
また本発明は、紫外線を使用することなく便座または便座カバーを殺菌する光抗菌トイレ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0041】
本発明の光抗菌トイレ装置は、基本的に、便座または前記便座に着脱可能に設けられた便座カバーと、前記便座または前記便座カバーに配置された可視光応答型光触媒と、前記可視光応答型光触媒を励起する可視光発光型半導体発光素子を備える。
【0042】
本発明の一態様は、便座または前記便座に着脱可能に設けられた便座カバーと、前記便座または前記便座カバーに配置された可視光応答型光触媒と、前記便座または前記便座カバーに配置された少なくとも一つの可視光発光型半導体発光素子を備え、前記可視光応答型光触媒が前記可視光発光型半導体発光素子からの可視光線により励起される、光抗菌トイレ装置である。
【0043】
本発明の他の態様は、便座または前記便座に着脱可能に設けられた便座カバーと、前記便座または前記便座カバーに配置された可視光応答型光触媒と、少なくとも一つの可視光発光型半導体発光素子と、前記可視光発光型半導体発光素子からの可視光線を受光する漏光型光ファイバを備え、前記可視光応答型光触媒が前記漏光型光ファイバから漏洩した可視光線により励起される、光抗菌トイレ装置である。
【0044】
本発明のその他の態様は、便座または前記便座に着脱可能に設けられた便座カバーと、前記便座または前記便座カバーに開閉自在に設けられた蓋と、前記便座または前記便座カバーに配置された可視光応答型光触媒と、前記蓋に配置され可視光線を含む残光性発光を生じる蓄光体を備え、前記可視光応答型光触媒が前記蓄光体からの可視光線により励起される、光抗菌トイレ装置である。
【0045】
本発明の更にその他の態様は、光透過性を有する前面板状部材と裏面板状部材と前記前面板状部材と前記裏面板状部材間の空洞からなる便座と、前記前面板状部材に配置された可視光応答型光触媒と、少なくとも一つの可視光発光型半導体発光素子を備え、前記可視光発光型半導体発光素子が部分的または全面的に前記前面板状部材の内部、または、前記空洞の内部に配置され、前記可視光応答型光触媒が前記前面板状部材を経由して前記可視光発光型半導体発光素子からの可視光線により励起される、光抗菌トイレ装置である。
【0046】
前述の本発明の態様における一実施の形態において、前記便座または前記便座カバーの少なくとも主要部が板状またはシート状の光透過性樹脂部材からなり、前記漏光型光ファイバを部分的または全面的に前記透過性樹脂部材内に埋設しても良い。
【0047】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記漏光型光ファイバが、その側面のほぼ全面から光線を漏洩する漏洩型プラスチック光ファイバであっても良い。
【0048】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記漏光型光ファイバが、その側面から方向性を有する光線を漏洩するプラスチック漏洩型光ファイバであっても良い。
【0049】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記漏光型光ファイバが、側面のほぼ全面から光線を漏洩する漏洩型光ファイバまたは伝達光線を側面から方向性の光線を漏洩する漏洩型光ファイバであっても良い。
【0050】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記蓋が光透過性樹脂からなるほぼ輪状の輪状部材と前記輪状部材の内側に平面的に配置されて一体化された中央部材からなり、前記蓄光体が前記輪状部材に配置されても良い。
【0051】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記蓋が光透過性樹脂からなるほぼ輪状の輪状部材と前記輪状部材の内側に配置されて一体化された中央部材からなり、前記輪状部材の内部に複数の蓄光性蛍光体粒子からなる前記蓄光体を分散して成型した蓄光性樹脂成型部材からなっても良い。
【0052】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記蓋が光透過性樹脂からなるほぼ輪状の輪状部材と前記輪状部材の内側に配置されて一体化された中央部材からなり、複数の蓄光性蛍光体粒子を含有したシート状または膜状の蓄光部材を前記輪状部材の表面に配置しても良い。
【0053】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、光透過性を有する前記裏面板状部材に前記可視光応答型光触媒を配置し、前記可視光応答型光触媒が前記前面板状部材と前記裏面板状部材を経由して前記可視光発光型半導体発光素子からの可視光線により励起されても良い。
【0054】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記便座に暖房用電熱ヒーターを配置し、前記電熱ヒーターを前面板状部材の内面に近接または密着または固着して配置しても良い。
【0055】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記便座に前記便座の暖房用電熱ヒーターを前面板状部材の内面または前記空洞に備え、前記電熱ヒーターを前記可視光発光型半導体発光素子からの可視光線をほとんど遮蔽しない箇所に配置しても良い。
【0056】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記便座または前記便座カバーが板状またはシート状の光透過性樹脂部材を有し、前記可視光応答型光触媒が前記光透過性樹脂部材の少なくとも前面に配置されても良い。
【0057】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記便座または前記便座カバーが板状またはシート状の光透過性樹脂部材を有し、前記可視光応答型光触媒が前記光透過性樹脂部材の少なくとも前面および裏面に配置されても良い。
【0058】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記便座または前記便座カバーの少なくとも主要部が板状またはシート状の光透過性樹脂部材からなり、前記可視光線発光型半導体発光素子が部分的または全面的に前記光透過性樹脂部材に埋設されても良い。
【0059】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記便座または前記便座カバーの少なくとも主要部が板状またはシート状の光透過性樹脂部材からなり、前記光透過性樹脂部材を光導波路として、前記可視光線発光型半導体発光素子からの可視光線を、前記光透過性樹脂部材の前面と裏面との間を反射を繰り返して伝達かつ拡散させると共に、前記光透過性樹脂部材から漏洩させ、その漏洩光線により前記光触媒を励起しても良い。
【0060】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記可視光発光型半導体発光素子が前記光触媒を励起する可視光波長帯域の第1の可視光線と、前記光触媒を励起しない可視光波長帯域の第2の可視光線を発し、第2の可視光線を前記便座または前記便座カバーまたは前記蓋から出射させても良い。
【0061】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記光触媒を励起する前記可視光発光型半導体発光素子に追加して前記光触媒を励起しない照明または表示用可視光発光型半導体発光素子を設け、前記照明または表示用可視光発光型半導体発光素子を前記便座または前記便座カバーまたは前記蓋から出射させても良い。
【0062】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記便座を暖房する暖房用電熱ヒーターを前記便座または前記便座カバーに配置しても良い。
【0063】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記便座または前記便座カバーが光透過性樹脂部材を有し、前記可視光発光型半導体発光素子が前記光透過性樹脂部材に埋設して配置されても良い。
【0064】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記可視光発光型光触媒半導体発光素子が紫外線をほとんど含まず主として青色光線を含む可視光線を発光し、前記可視光応答型光触媒が前記半導体発光素子からの青色光線を含む可視光線により励起されても良い。
【0065】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記便座または前記便座カバーの着座表面と非着座表面に前記可視光応答型光触媒を配置し、前記可視光発光型半導体素子または前記漏洩型光ファイバから前記着座表面上の前記可視光応答型光触媒へ向けて前記非着座表面より照射輝度の高い出射光線を照射しても良い。
【0066】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記可視光発光型半導体発光素子を、前記便座または前記便座カバーに設ける替りに、前記蓋または前記蓋の前記輪状部材に前記可視光発光型半導体発光素子を設け、前記可視光発光型半導体発光素子は、前記可視光発光型半導体発光素子からの可視光線が前記蓋の閉成時に前記便座または前記便座カバーの表面を指向するように、前記蓋の裏面または前記輪状部材の前記光透過性樹脂に配置しても良い。
【0067】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記漏光型光ファイバを、前記便座または前記便座カバーに設ける替りに、前記蓋または前記蓋の前記輪状部材に設け、前記漏光型光ファイバからの漏洩した可視光線が前記蓋の閉成時に前記便座または前記便座カバーの表面を指向するように、前記漏光型光ファイバは、前記蓋の裏面または前記輪状部材の前記光透過性樹脂に配置されても良い。
【0068】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、複数の光散乱粒子を前記便座または前記便座カバーに含有しても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0069】
最初に、従来および本発明の各種の実施の形態の光抗菌トイレ装置に共通な構成要素を図1、図2、図3、図4を参照して説明する。
【0070】
図1はトイレ装置の便座と蓋を共に閉成した時の側面を示す概略立面図、図2はトイレ装置の便座と蓋を共に開成した時の側面を示す概略立面図、図3はトイレ装置の便座を閉成し、かつ蓋を開成した時の側面を示す概略立面図、図4はトイレ装置の便座と蓋を共に閉成した時の正面を示し、蓋のほぼ半分を切り欠いて示す概略正面図である。
【0071】
図1ないし図4において、トイレ装置は一般的に便器30と便座100、140、150と蓋200、210からなる。
【0072】
便座100、140、150と蓋200、210は開閉部材50を支点として開閉自在に構成されている。
【0073】
開閉部材50は支持具40により、便器30の表面の後方に固定されている。
【0074】
図1、図4に示す状態において、トイレ装置の便座100、140、150と蓋200、210が共に閉成されている。
【0075】
便座100、140、150はその底面に複数のゴム足10aを有し、便器30の表面に置かれている。
【0076】
蓋200、210はその底面に複数のゴム足(弾性足)10aを有し、便座100、140、150の表面に置かれている。
【0077】
図2に示す状態において、トイレ装置の便座100、140、150と蓋200、210は共に開成され、共に便器30の表面の後方に立設されている。
【0078】
図3に示す状態において、便座100、140、150は閉成され、便座100、140、150のゴム足10aにより便器30の表面に置かれている。そして蓋20は開成され、便器30の表面の後方に立設されている。
【0079】
便座100、140、150はその底面に複数のゴム足10aを有し、便器30の表面に置かれている。蓋20はその底面に複数のゴム足10bを有し、便座100、140、150の表面に置かれている。
【0080】
本発明の各種の実施の形態において使用できる可視光応答型光触媒、可視光発光ダイオード(可視光発光型半導体発光素子)、蓄光性蛍光体(蓄光体、蓄光部材)について説明する。
【0081】
(可視光応答型光触媒)
【0082】
本発明に使用できる可視光応答型光触媒としては、市販されている例えば、下記の(a)乃至(c)の可視光応答型光触媒が挙げられる。
【0083】
(a)石原産業株式会社(ISHIHARA SANGYO KAISHA, LTD.)製の酸化チタンに白金化合物を担持した可視光励起型光触媒粉体(銘柄MPT−621、MPT−623など)。
【0084】
(b)豊田中央研究所が開発した窒素ドープ酸化チタン(TiO−N)。
【0085】
(c) 積水樹脂株式会社から市販の酸化チタンに硫黄カチオンを導入し、鉄を担持させたもの。
【0086】
本発明に用いられる可視光応答型光触媒は、例えば、特許文献10(特開2004−988号号公報)、特許文献11(特開2002−239395号公報、)特許文献12(特開2004−73910号公報)、特許文献13(特開2004−143032号公報)、他の多数の特許文献に開示されている可視光応答型光触媒を使用できる。
【0087】
本発明に用いられる可視光応答型光触媒は、これらに限定されず可視光を受けて光触媒活性を示す任意の可視光応答型光触媒を使用できる。
【0088】
(可視光発光ダイオード)
【0089】
本発明に使用できる可視光線発光ダイオードとしては、例えば窒化ガリウム (GaN)、インジウム窒化ガリウム(InGaN)、酸化亜鉛(ZnO)などの青色可視光を主とする可視光線を発する半導体チップを用いたものである。
【0090】
または本発明に使用できる可視光線発光ダイオードとしては、例えば窒化ガリウム(GaN)、インジウム窒化ガリウム(InGaN)などの近紫外光線を発光する半導体チップを埋設する透明樹脂カプセルの内部に近紫外光線を青色などの可視光線に変換する蛍光体粒子を分散したもの、または上記透明樹脂カプセルの外面に近紫外光線を青色などの可視光線に変換する蛍光体を被覆して、実質的に青色などの可視光線を発光するものである。
【0091】
本発明に好適に使用できる青色を主として発光し、紫外線(近紫外線)をほとんど発光しない青色可視光線発光ダイオードは例えば豊田合成株式会社、日亜化学工株式会社、米国ルミレッズ社(Lumileds Lighting U.S.,LLC)、米国クリ―社(Cree,Inc.)などから市販されている。
【0092】
(蓄光性蛍光体)
【0093】
近紫外線のエネルギーを蓄積し、紫色、青色などの短波長可視光を残光発光する本発明に好適に使用できる蓄光性蛍光体(蓄光性蛍光体)を、次に列挙する。
【0094】
この蓄光性蛍光体(蓄光性蛍光体)としては、根本特殊化学株式会社 (NEMOTO & CO.,LTD)製のルミノーバ(登録商標)蓄光顔料である、励起波長帯域200nm−450nm程度、励起ピーク波長365nm、発光ピーク波長490nm、発光色(青色)、化学組成Sr4Al14O25:Eu,Dyの青色発光蓄光顔料 (BG−300シリーズ、品名BG−300M、BG−300F、BG−300FF)、 励起ピーク波長325nm、発光ピーク波長440nm、発光色(紫色)、化学組成CaAl2O4:Eu,Ndの紫色発光蓄光顔料 (V−300シリーズ、品名V−300C、V−300M)などが挙げられる。
【0095】
また、この蓄光性蛍光体(蓄光性蛍光体)としては、日亜化学工業株式会社(NICHIA CORPORATION,JAPAN)から市販されている蓄光蛍光体、長残光発光体「ウルトラ・グロー(商品名)」(ULTRA GLOW)、品番NP−2810:発光色;青紫色、発光ピーク波長;440nm、化学組成;CaAl2O4Eu,Nd、品番NP−2820:発光色;青緑色、発光ピーク波長;490nm、化学組成;Sr4Al14O:Eu,Dyなどが挙げられる。
【0096】
また、この蓄光性蛍光体(蓄光性蛍光体)としては、ドイツ国、ハネウエル スペシャリティ ケミカルズ シールズ ジーエムビーエッチ社の「LUMILUX(登録商標)Effect顔料」(LUMILUX TM EFFECT PIGMENTS)の呼称で市販されているEffect Blue SN (品番50034、励起光:UV、太陽光、発光色: 青色)、Effect Blue SN−F2 (品番50036、励起光: UV、 太陽光、発光色: 青色)が挙げられる。
【0097】
また、この蓄光性蛍光体(蓄光性蛍光体)としては、米国ディグロ カラー株式会社 (DAYBLO COLOR CORPORTION, U.S.A.) から市販されている蓄光蛍光体「ナイトグロ」(登録商標)」、”NightGlo” Trade Mark)の例えば品番NGX−19:発光色;青色、発光ピーク波長;470nm、化学組成;Sr2MgSi2O7:Dy,Euなどが挙げられる。
【0098】
(本発明の光抗菌トイレ装置の一実施の形態)
【0099】
この実施の形態では、便座100、140、150の少なくとも着座表面が光抗菌化される。
【0100】
この実施の形態の本発明の光抗菌トイレ装置を図5、図6、図7(および図1乃至図4)を参照して説明する。
【0101】
図5、図6、図7(および図1乃至図4)は本発明のトイレ装置の一実施の形態を示し、図5は主として蓋を示す概略的な正面図、図6は便座を示す概略的な正面図、図7は図1における点線で囲った部分60を拡大して示す概略的な部分拡大断面図である。
【0102】
図7に示すように便座100は、前記便座100に配置された光触媒110を含有する光触媒部材112と、便座100に配置された少なくとも一つの半導体発光素子300を備えている。
【0103】
光触媒110は可視光線により励起される可視光応答型光触媒からなり、半導体発光素子300は可視光線を発光する少なくとも一つの可視光発光型半導体発光素子からなり、光触媒110が半導体発光素子300からの可視光線により励起される。
【0104】
図6、図7に示すように、便座100は着座表面を有するほぼリング状の形状を有する例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂、ABS樹脂、エポキシ樹脂などの光透過性樹脂114からなることができる。
【0105】
ポリカーボネート樹脂(PC)は、アクリル樹脂(PMMA)と比較して衝撃強度(衝撃強度の比率PC:75〜100、PMMA:1.6〜2.2)、連続使用温度(PC:110℃、PMMA:60〜93℃)などが非常に大きいが、ポリカーボネート樹脂(PC)は元来、紫外線を多量に受けると化学的な分子構造の変化が発生し、表面劣化し変色(黄変)する。
【0106】
本発明では、前述の先行技術のように紫外線発光ランプ、紫外線発光型半導体発光素子と紫外線応答型光触媒を用いる替わりに、可視光発光型半導体発光素子と可視光応答型光触媒を用いているので、便座100の光透過性樹脂114として、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂、ABS樹脂、エポキシ樹脂などの任意の透明または半透明樹脂を用いることができる。
【0107】
光透過性樹脂114からなる便座100内には、給電線(図示せず)を形成した片面プリント配線基板320の表面に青色を含む可視光線領域の光線を出射する少なくとも一つの可視光線発光ダイオード(可視光線発光半導体素子)300が実装、配置されている。
【0108】
可視光線発光ダイオード300の一対の給電電極300bは前記給電線と半田などにより接続されている。
【0109】
可視光線発光ダイオード300の光出射面300aから出射した発光光線は光透過性樹脂114を経由して光触媒部材112をその裏面側から照射し、光触媒部材112に含有している光触媒粒子110を励起する。
【0110】
複数の可視光線発光ダイオード300を実装した片面プリント配線基板320からなる可視光線発光部材を光透過性樹脂114内に埋設して一体成型するのが防湿対策、防水対策、漏電対策などから望ましい。
【0111】
シート状、膜状の光触媒部材112は、便座100の着座表面に配置される。
【0112】
図5、図7に示すように、蓋200は例えば光透過性を有するほぼ「O」または「C」の文字形状を有する輪状部材201と、輪状部材201の内側にある中央部材202とからなり、輪状部材201と中央部材202は平面的に一体化されている。
【0113】
輪状部材201は例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂、ABS樹脂、エポキシ樹脂などの窓から入射する太陽光または室内照明用蛍光灯から発する可視光線と近紫外線をよく透過する光透過性樹脂からなる。
【0114】
中央部材202は光透過性を有しないまたは着色した任意の樹脂からなっても良い。
【0115】
本実施の形態では、図5、図7に示すように、蓋200は光透過性の輪状部材201には、その内部に前記蓄光部材からなる複数の蓄光粒子203が分散して含有している。
【0116】
輪状部材201は、光透過性樹脂と前記光透過性樹脂に担持した、近紫外線のエネルギーを蓄積し、近紫外線の照射停止後に所定時間、青色の可視光線を残光性発光する蓄光性蛍光体(蓄光体、蓄光性部材)からなることができる。
【0117】
輪状部材201は、近紫外線のエネルギーを蓄積し、近紫外線の照射停止後に所定時間、青色の可視光線を残光性発光する複数の蓄光性蛍光体(蓄光性蛍光体)の複数の粒子を光透過性樹脂に分散して成型した蓄光性樹脂成型部材であっても良い。
【0118】
便座100の光触媒部材112の詳細を図9、図10、図11、図12を参照して説明する。
【0119】
図9、図10、図11、図12は、それぞれ図7に示す便座100の参照符号70で示す部分(各種の光触媒部材112)を拡大して示す概略的な拡大断面図である。
【0120】
(a)図9に示す光触媒部材112A(112)は、可視光応答型光触媒材料からなる複数の可視光応答型光触媒粒子110を例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などの光透過性樹脂を含有する光透過性樹脂シート111内に分散した光触媒含有シート112Aである。
【0121】
この光触媒含有シート112Aは、便座100の少なくとも着座表面に、接着材(または粘着材)120により接着(または粘着)されている。
【0122】
(b)図10に示す光触媒部材112B(112)は、光透過性樹脂111を含有するバインダーに複数の可視光応答型光触媒粒子110を分散した光触媒塗料を、便座100の着座表面に塗布、乾燥させて可視光応答型光触媒含有膜112B(112)を形成しても良い。
【0123】
(c)図10に示す光触媒部材112C(112)は、光触媒前駆動体を含有する光触媒塗料を便座100の少なくとも着座表面に塗布、乾燥させ、その後に加熱により可視光応答型光触媒を形成させて光触媒粒子110を含有した可視光応答型光触媒含有膜112C(112)を得ても良い。
【0124】
(d)図11に示す光触媒部材112D(112)は、便座100の着座表面に光触媒材料をスパッタリング、CVDなどの気相沈着法により堆積させて光触媒粒子110からなる可視光応答型光触媒堆積膜112D(112)を得ても良い。
【0125】
(e)図12に示す光触媒部材112E(112)は、加熱によって軟化する熱可塑性樹脂からなる便座100の着座表面を軟化する温度以上に加熱し、加熱したまたは常温の光触媒粒子110を噴射して光触媒粒子110からなる可視光応答型光触媒膜112E(112)を得ても良い。
【0126】
その後に常温まで冷却することにより、可視光応答型光触媒膜112Eは便座100に固定される。
【0127】
この場合には、図12示のように光触媒粒子110が便座100の着座表面内に部分的に埋設され、着座表面から容易に剥離しない可視光応答型光触媒膜112Eが得られる。
【0128】
更に上記(a)、(b)において、光透過性樹脂111内に光透過性樹脂と異なる屈折率を有する透明樹脂ビーズなどの複数の光拡散粒子、光散乱粒子(図示せず)を分散して入射した光線を光透過性樹脂111内で拡散、散乱しても良く、それにより光触媒粒子110の全表面にわたって光線を照射できる確率が増加する。
【0129】
図6、図7では可視光線発光ダイオード300としては、上面(頂面)に光出射面300aを有し、底面にカソード電極とアノード電極からなる一対の給電電極300bを有し、トップビュー型かつ面実装(SMD)型の可視光線発光ダイオード300が示されている。
【0130】
この面実装(SMD)型の可視光線発光ダイオード300は、光出射面300aからの出射光線の光拡散角度が広いので、砲弾型発光ダイオードより少ない数でシート状、膜状の光触媒部材112を照射できる。
【0131】
また面実装(SMD)型の可視光線発光ダイオード300は、砲弾型発光ダイオードより厚みが小さいので便座100全体を薄くできる。
【0132】
しかしながら、面実装(SMD)型の可視光線発光ダイオード300に限定されず砲弾型発光ダイオードを用いても良い。
【0133】
また、後述するように、トップビー型かつ面実装(SMD)型の可視光線発光ダイオード300に限定されず側面に発光面を有するサイドビー型かつ面実装(SMD)型の可視光線発光ダイオードを用いても良い。
【0134】
可視光線発光ダイオード300の代わりに、少なくとも一方が透明な一対のシート状電極間に無機または有機発光半導体膜を挟んだ構造のエレクトロルミネッセンス装置からなる可視光線発光半導体素子を用いてもよい。
【0135】
便座100内の可視光線発光ダイオード300を点灯すると、可視光線発光ダイオード300の光出射面300bから少なくとも青色光線が出射され可視光応答型光触媒部材110を照射する。
【0136】
可視光応答型光触媒部材110は、少なくとも青色光線を吸収して励起され、光触媒活性を発揮する。
【0137】
この実施の形態では、図7に示すように、通常、未使用時に、便座100を覆う蓋200に蓄光部材203を担持し、便座100には蓄光部材203を担持せずに光触媒110のみが担持されている。
【0138】
この実施の形態では、通常、未使用時に、蓋200に照明光または自然光が照射されて、照明光または自然光に含まれる近紫外線により蓄光部材203が励起され、蓄光部材203から残光性の青色を含む可視光線を発生し、この可視光線が蓋200と近接状態にある光触媒担持便座100を照射して光触媒担持便座100の光触媒110励起できる。
【0139】
特許文献6(特開平11−253544)(明細書の段落0066および図7〜図9)には、便器および便座の表面に光触媒と蓄光部材を備えることが開示されている。
【0140】
通常、未使用時に、便座に開閉自在な通常、光透過性を有さない蓋がかぶせられており、特許文献6に開示された便座のように便座の表面に光触媒と蓄光部材を配置しても、便座には照明光または自然光がほとんど照射されなく、光触媒と蓄光部材は励起されないので光触媒と蓄光部材の機能を発揮できない。
【0141】
この実施の形態では、便座100に可視光線発光ダイオード300を内蔵して配置しているので、可視光線発光ダイオード300の点灯時には、光触媒部材112を有する便座100が光触媒活性を発現する。
【0142】
更に、便座100に蓋200がかぶせられている便座100の未使用時に可視光線発光ダイオード300を点灯しなくても、蓋200に担持した蓄光体203からの可視光線の照射により、光触媒部材112を有する便座100が光触媒活性を発現する。
【0143】
したがって可視光線発光ダイオード300からの可視光線または蓄光部材203からの可視光線の照射により、光触媒部材112を有する便座100が光触媒活性を発現する。
【0144】
この実施の形態では、蓋200の輪状部材201の光透過性樹脂板201に蓄光体203を担持しているが、光透過性樹脂板201に蓄光体203を担持しなくてもよい。
【0145】
この場合、便座100の未使用時にも光透過性樹脂板201を透過する可視光線(照明光線または自然光線)により便座100に担持した光触媒部材112を励起して光触媒活性を発現する。
【0146】
これらにより光触媒部材112を有する便座100の少なくとも着座表面に付着したばい菌、汚染有機物などの付着物は分解されて清潔になり、抗菌化され、便座100はセルフクリーニング(自己洗浄、自己浄化)され、常時、清潔に保たれる光抗菌便座となる。
【0147】
可視光線発光ダイオード300は、便座100と蓋200が図5、図6、図7 (図1示または図2示の状態)に示すように互いに重なって対向するときに点灯しても、便座100と蓋200が図3示の状態に示すように互いに離れているときに点灯しても良い。
【0148】
本実施の形態では可視光線発光ダイオード300を用いているので、図1示、図2示、図3示のすべての状態において便座100に配置した可視光線発光ダイオード300から可視光線が外部に漏れ出て人間の眼などを照射しても安全であり、人体に対して何ら悪い影響を与えない。
【0149】
便座100が光殺菌中、光抗菌中であることをユーザーに発光表示するために積極的に可視光線発光ダイオード300から可視光線が外部に出射させても良い。
【0150】
このように可視光線が外部に出射させるために、便座100の着座表面を除く表面の部分に光触媒膜(光触媒部材)を欠如させてもよく、または可視光線発光ダイオード300として光触媒部材112、光触媒粒子110を励起し得る青色光線のみならず緑色、赤色を含む白色光線を発する例えば白色発光可視光線発光ダイオードを用いても良い。
【0151】
白色発光可視光線発光ダイオード300を用いるときには青色光線が光触媒部材112で吸収され、緑色、赤色光線は光触媒部材112を透過して便座100の外部から観察できる。
【0152】
管球型発光ランプは、ガラス管を用いているために機械的な衝撃で破損しやすく、特に開閉自在な便座、蓋に配置した場合に便座、蓋と便器の表面に当たる閉成に受ける衝撃で破損しやすい。
【0153】
可視光線発光ダイオード300などの半導体発光素子は、管球型発光ランプと比較して機械的な衝撃に強く、また消費電力は数分の1と極めて低い。
【0154】
可視光線発光ダイオード300は常時点灯する必要はなく、タイマー回路を使用して間欠的に点灯すれば更に省電力となる。
【0155】
この実施の形態では、可視光線発光ダイオード300が非点灯時でも、蓋200は光透過性樹脂からなるので、外部から入射した光線を透過して、蓋200と対向する便座100の表面の光触媒部材112を励起して光触媒活性を発揮する。
【0156】
この実施の形態では、図1、図7に示すように蓋200と便座100が重なって便器30の表面30aに位置している場合に、可視光線発光ダイオード300が非点灯時でも、蓋200の光透過性樹脂201に蓄光性蛍光体(蓄光性蛍光体粒子)203を含有しているので、蓄光性蛍光体203が室内照明用蛍光灯、自然光に含まれる近紫外線を吸収してそのエネルギーを蓄積して青色光線を所定時間残光発光する。
【0157】
蓋200に含有している蓄光性蛍光体203からの青色残光発光により、蓋200と対向する便座100の表面の可視光応答型光触媒部材11を励起し得る。
【0158】
この実施の形態では、図3に示すように蓋200が立っていて、便座100が便器30の表面30aに位置している場合に、可視光線発光ダイオード300が非点灯時でも、便座100の着座面(表面の主要面)の光触媒部材112は室内照明光、自然光を受けることができ、この光線によって光触媒部材112は励起される。
【0159】
図2に示すように蓋200と便座100が共に立っている場合でも、プリント配線基板320に部分的に貫通孔を設けるか、またはプリント配線基板320を光透過性部材とすることによりプリント配線基板320を少なくとも部分的に光透過性とするときには、便座100の裏面から入射した室内照明光、自然光が光透過性樹脂114と発光ダイオード300の非実装箇所を経由して光触媒部材112の裏面を照射して光触媒部材112は励起される。
【0160】
本実施の形態では、可視光応答型光触媒部材11を用いることにより、光触媒部材11を励起するために発光ダイオード300として紫外線領域の光線を含まない青色光線を含む可視光線発光ダイオード300を使用できる。
【0161】
一方、紫外線領域の光線を発する紫外発光ダイオードは、紫外発光ダイオードからの紫外線が人間の眼および人体に直接当たると人間の眼および人体に悪い影響を及ぼすことがあるので、十分な安全対策を備えるなど、安全上での注意が必要である。
【0162】
本実施の形態では、便座100内に配置した可視光線発光ダイオード300からの青色光線の大部分は可視光応答型光触媒部材11で吸収されるが、本実施の形態の光抗菌トイレ装置100および200は、可視光線を用いているので光線が便座100の光触媒部材11から外部に出射して漏れ出ても何ら人体、眼に悪影響を与えないので極めて安全である。
【0163】
一方、紫外発光ダイオードを用いた場合でも、紫外光線発光ダイオードからの紫外光線の大部分は光触媒部材で吸収されるが、紫外光線の一部分は光触媒部材を透過して外部に出射して人体、眼に悪影響を与える恐れがある。
【0164】
従って、人体、眼に悪影響を与えないように先行技術で記した十分な安全対策が必要である。
【0165】
また便座110を長期間使用して光触媒部材112が磨耗し、または一部が剥離することが予想される。
【0166】
紫外発光ダイオードなどの紫外発光光源を用いた場合には、光触媒部材112の磨耗部分、または剥離部分から紫外光線が外部に漏れでる恐れがある。
【0167】
一方、本実施の形態では可視光線発光ダイオード300を用いているので、光触媒部材112の磨耗部分、または剥離部分から光線が外部に漏れ出ても可視光線なので安全上の恐れは全く存在しない。
【0168】
光抗菌トイレ装置100および200は、可視光線発光ダイオード300からの人体、眼に悪影響を与えない青色光線の一部分を外部に出射させることにより便座100が光抗菌中であることをユーザーに知らせると共に、夜間などの暗所でも便座100の存在箇所を知らせることができる。
【0169】
可視光線発光ダイオード300として、光触媒部材112に吸収される青色のみならず光触媒部材112に吸収されない緑色、赤色などの他の可視光線を発する可視光線発光ダイオードを用いて便座110の表面から積極的に単色または白色など混合色の任意のカラー光線を出射させて照明、表示用、美的効果用に供することができる。
【0170】
(本発明の光抗菌トイレ装置の他の実施の形態)
【0171】
この実施の形態では、便座10の前面と共に裏面も光抗菌化される。
【0172】
この実施の形態を図8(図1における点線で囲った部分60を拡大して示す概略的な部分拡大断面図)、図5、図6を参照して説明する。
【0173】
図5、図6、図7と共に説明した前記一実施の形態と同一部分、同一部分については、ここではできるだけ省略する。
【0174】
この実施の形態を図8(図1における点線で囲った部分60を拡大して示す概略的な部分拡大断面図)、図5、図6を参照して説明する。
【0175】
この実施の形態でも、図5、図7に示すように、蓋200は光透過性を有するリング状の輪状部材211と、光透過性を有しない輪状部材211の内側にある中央部材202とからなり、輪状部材211と中央部材202は一体化されている。
【0176】
図6、図8に示すように、便座140は着座表面を有するほぼリング状の形状を有する例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂、ABS樹脂、エポキシ樹脂などの光透過性樹脂114からなることができる。
【0177】
便座10の前面には、複数の光触媒粒子110aを光透過性樹脂111aに分散した、または複数の光触媒粒子110aの堆積層からなるシート状またはフィルム状の光触媒部材112Eが配置されている。
【0178】
更に便座10の裏面には、複数の光触媒粒子110bを光透過性樹脂111bに分散した、または光触媒粒子110bの堆積層からなるシート状またはフィルム状の光触媒部材112Fが配置されている。
【0179】
光触媒部材112E、112Fとしては、既に記述した光触媒部材112A、光触媒部材112B、光触媒部材112C、光触媒部材112Dの何れを用いても良い。
【0180】
光透過性樹脂114からなる便座140内には、給電線を形成した両面配線型プリント配線基板321の前面に青色を含む可視光線領域の光線を出射する可視光線発光ダイオード(可視光線発光半導体素子)300A を少なくとも一つ実装し、更に両面配線型プリント配線基板321の裏面に青色を含む可視光線領域の光線を出射する可視光線発光ダイオード300Bを少なくとも一つ実装している可視光線発光部材300A、300B、320が配置されている。
【0181】
従って、第一の可視光線発光ダイオード300Aからの青色を含む可視光線が、便座140の前面に設けられた第一の光触媒部材112Eを照射して、第一の光触媒粒子110aを励起する。
【0182】
更に、第二の可視光線発光ダイオード300Bからの青色を含む可視光線が、便座140の裏面に設けられた第二の光触媒部材112Fを照射して、第二の光触媒粒子110bを励起する。
【0183】
第一の光触媒部材112Eと第二の光触媒部材112Fが励起されることにより、便座140の前面と裏面が光触媒作用を発揮して共に光抗菌化される。
【0184】
プリント配線基板321は、発光ダイオード300A 、300Bを実装していない複数の箇所に光透過性の貫通孔を設けるか、またはプリント配線基板321自体を光透過性の樹脂で構成してもよい。
【0185】
図8に示すように、蓋210は、少なくとも輪状部材が光透過性の樹脂板211と、光透過性樹脂板211の内面に蓄光性蛍光体粒子203を分散した光透過性樹脂204からなるシート状、膜状などの蓄光部材205が形成されている。
【0186】
この実施の形態では、図8に示すように、蓋210と便座140が重なって便器30の表面30aに位置している場合に、可視光線発光ダイオード300A、300Bが非点灯時でも、室内照明用蛍光灯、自然光に含まれる近紫外線が、蓋210の光透過性部材211を経由して蓄光部材205に照射される。
【0187】
このときに蓄光部材205内の蓄光性蛍光体粒子203は近紫外線を吸収してそのエネルギーを蓄積して青色光線を所定時間残光発光する。
【0188】
蓋210に含有している蓄光性蛍光体203からの青色残光発光により、蓋210と対向する便座140の表面の可視光応答型光触媒部材11を励起し得る。
【0189】
蓋210が立っていて便座140が便器の表面に位置している場合に、可視光線発光ダイオード300A、300Bが非点灯時でも、便座140の着座面(前面の主要面)の光触媒部材112Eは室内照明光、自然光を受けることができ、この光線によって光触媒部材112Eは励起され、便座140の着座面は光抗菌化される。
【0190】
蓋210と便座140が共に立っている場合でも、可視光線発光ダイオード300A、300Bが非点灯時でも、便座140の裏面の光触媒部材112Fは室内照明光、自然光を受けることができ、この光線によって光触媒部材112Fは励起され、便座140の裏面は光抗菌化される。
【0191】
(本発明のトイレ装置の他の実施の形態)
【0192】
この実施の形態の光抗菌トイレ装置は、便座が内部に空洞を有する一対の板状部材からなる二層型(二板型)である。
【0193】
図13、図14、図6を参照してこの実施の形態の光抗菌トイレ装置の他の実施の形態を説明する。
【0194】
図13はこの実施の形態の光抗菌トイレ装置を示す概略的斜視図、図14はこの実施の形態の光抗菌トイレ装置の便座を示す一部を切り欠いた概略的斜視図、図15はこの実施の形態の光抗菌トイレ装置の便座を部分的に示す概略的斜視図である。
【0195】
この実施の形態の光抗菌便座150は、前面板状部材150Aと裏面板状部材150Bと前記前面板状部材150Aと前記裏面板状部材間150Bの間に存在する空洞152からなる。
【0196】
更に、便座150の少なくとも主要部が光透過性樹脂板からなる前面板状部材150Aには可視光線により励起される可視光応答型光触媒110を含有する光触媒部材112が配置される。
【0197】
更に、可視光線を発光する少なくとも一つの可視光発光型発光ダイオード LED(可視光発光型半導体発光素子)310A、310B、310Cが前記空洞152の内部に配置される。
【0198】
これにより前記可視光応答型光触媒112が前記光透過性樹脂板を経由して前記可視光発光型発光ダイオードLED 310A、310B、310Cからの可視光線により励起される。
【0199】
図13、図14、図15に示すように、実質的にリング状の便座150は前面板状部材150Aと裏面板状部材150Bからなる二層型である。
【0200】
前面板状部材150Aは着座しやすいように適度の曲面を有し、裏面板状部材150Bはほぼ平面を有する。
【0201】
前面板状部材150Aと裏面板状部材150Bは、それらの端末接合部151により望ましくはほぼ気密に接合されて一体化され、それらの内部に空洞(空間)152を有している。
【0202】
前面板状部材150Aは光透過性樹脂部材からなり、その表面に複数の光触媒粒子110を含むシート状、フィルム状の光触媒部材112を設けている。
【0203】
光触媒部材112は塗装、接着などにより前面板状部材150Aの表面と恒久的に一体化することができる。
【0204】
光触媒部材112を前面板状部材150Aの表面と恒久的に一体化する替わりに、例えば粘着などの仮固定手段により着脱可能にすることができ、光触媒部材112を交換可能とすることができる。
【0205】
複数の発光ダイオード310(310A、310B、310C)を実装した便座の形状に応じて実質的にリング状に延長したプリント配線基板320が空洞152の内部(例えば図15に示すように裏面板状部材150Bの内面)に固定されている。
【0206】
複数の発光ダイオード310A、310B、310Cは直列および、または並列に電気的に接続される。
【0207】
複数の発光ダイオード310A、310B、310Cは、半導体整流器から直流電流が給電される。
【0208】
図14に示すように、半導体整流器、点灯制御回路装置などの電子制御装置171は、発光ダイオード310A、310B、310Cと同様に、例えば便座150のハーメチックシールされた空洞152に内蔵すると防水性が得られ、全体がコンパクトになる。
【0209】
電子制御装置171は電源コード172と接続され、電源コード172を経由して商用電源と接続され、電子制御装置171に電力が供給される。
【0210】
これと異なり、電子制御装置171を、便座150の外部に配置しても良い。
【0211】
図14、図15では、発光ダイオード310(310A、310B、310C)としてトップビュー型砲弾型発光ダイオードが用いられている。
【0212】
発光ダイオード310(310A、310B、310C)としてトップビュー型の砲弾型発光ダイオードの替わりに、図7、図8で示したトップビュー型面実装型発光ダイオードを用いても良い。
【0213】
着座表面と対応した可視発光ダイオード310Aは所定の拡散角度で図15の上側に可視光線Laを出射し、可視発光ダイオード310Bは所定の拡散角度で図15の左上側に可視光線Lbを出射し、可視発光ダイオード310Cは所定の拡散角度で図15の右上側に可視光線Lcを出射するようにプリント配線基板320に実装されている。
【0214】
発光ダイオード310Aからの可視光線Laは所定の拡散角度で図15の上側に出射し、可視光線Laの一部分は光透過性前面板状部材150Aのほぼ中央部を透過してシート、膜状の光触媒部材110、112のほぼ中央部を照射し励起する。
【0215】
可視光線Laの残余の部分(図15に示す光路La’参照)は、光透過性前面板状部材150Aの前面(光触媒部材110、112の裏面)と前面板状部材150Aの裏面間を全内部反射(TIR: トータル インターナル リフレクション)して前面板状部材150Aの内部に、主として便座150の長さ方向に進行し、進行途中で徐々に光触媒部材110、112に入射して光触媒部材110、112を励起する。
【0216】
即ち、発光ダイオード310Aからの可視光線Laは光透過性前面板状部材150Aを漏光型光導波路として拡散して、主として便座150の長さ方向に進行し、図15に示す光路La’に沿って前面板状部材150Aから光触媒部材110、112内に漏光され光触媒部材を110、112を励起する。
【0217】
それによりほぼリング状に延長する人体の着座表面と対応してほぼリング状に延長する少なくとも着座面と対応して光触媒部材110、112を照射できる。
【0218】
可視発光ダイオード310Bは所定の拡散角度で図15の左上側に可視光線Lbを出射し、図15に示す光路Lb’に沿って前面板状部材150Aから光触媒部材110、112内に漏光され光触媒部材を励起する。
【0219】
それにより図15の左側面(左側から左下)に存在する光触媒部材110、112をも照射できる。
【0220】
可視発光ダイオードド310Cは所定の拡散角度で図15の右上側に可視光線Lcを出射し、図15に示す光路Lc’に沿って前面板状部材150Aから光触媒部材110、112内に漏光され光触媒部材110、112を励起する。
【0221】
それにより図15の右側面(右側から右下)に存在する光触媒部材110、112をも照射できる。
【0222】
従って、発光ダイオード310B、310Cの存在により、光触媒部材110、112の着座面のみならず、光触媒部材110、112のほぼ全側面をも照射できる。
【0223】
着座表面と対応した可視発光ダイオード310Aによって、光触媒部材110、112の着座面を十分照射できれば、可視発光ダイオード300B、可視発光ダイオード300Cは必ずしも必要としない。
【0224】
可視発光ダイオード310A、300B、300Cの拡散角度を増加されるために、それらの光出射表面に拡散レンズ、拡散プリズム(図示せず)を設けるのが望ましく、それにより使用する可視発光ダイオードの個数を減らすことができる。
【0225】
前面板状部材150Aの裏面の可視発光ダイオードと対応する光入射部分を拡散レンズ、拡散プリズム(図示せず)の形状とするか、または上記光入射部分を拡散レンズ面、拡散プリズム面とした透明シート(図示せず)を近接して配置して設けるのが望ましく、それにより使用する可視発光ダイオードの個数を減らすことができる。
【0226】
前面板状部材150A内に、周知の白色顔料や、前面板状部材150Aと異なる屈折率を有する透明樹脂ビーズなどの光を拡散または散乱する複数の光散乱粒子(図示せず)を分散して可視発光ダイオード310A、300B、300Cから入射した光線を前面板状部材150A内で拡散、散乱しても良く、それにより可視発光ダイオードの個数を減らすことができる。
【0227】
図15に示すように、暖房便座用の電熱ヒーターを空洞152の内部に少なくとも一つ設けることができる。
【0228】
図15に示すように、例えば二つの暖房便座用の電熱ヒーター160、161を、可視発光ダイオード310A、300B、300Cからの出射光線La、Lb、Lcをほとんど遮断しない位置に設けることができる。
【0229】
図15に示すように、電熱ヒーター160、161は便座150の前面板状部材150Aのほぼ全面にほぼ均一に熱伝導するように、少なくとも二個(二本)設けて便座150の外側寄りと内側寄りに便座を取り巻くように便座150のほぼリング状の形状に沿って設けるのが好ましい。
【0230】
電熱ヒーター160、161としては、例えば、比較的に耐熱性の良好な樹脂にカーボンブラツク、カーボン繊維、金属粒子、金属繊維などの導電性フイラーを混入して面状に成型した面状発熱部材を用いても良い。
【0231】
線状電熱抵抗部材の替わりに、電熱ヒーター160、161としては、例えば、PVC絶縁ヒータ線、シリコンゴム絶縁ヒータ線などの通常の紐状、線状などの線状電熱抵抗部材を用いても良い。
【0232】
図15では、面状発熱部材からなる電熱ヒーター160、161を前面板状部材150Aの内面の両側面に任意な固定手段により固定して設けている。
【0233】
前面板状部材150Aの内面の両側面に電熱ヒーター160を配置することにより、可視発光ダイオード310A、300B、300Cからの出射光線La、Lb、Lcをほとんど遮断しない。
【0234】
図15では、前記固定手段としては例えば比較的に耐熱性の良好な熱伝導性エポキシ樹脂などの熱伝導性接着剤160a、161aを用い、面状発熱部材からなる電熱ヒーター160、161を前面板状部材150Aの内面の両側面に接着している。
【0235】
熱伝導性接着剤160a、161aとしては、例えば銅、アルミニュームなどの熱伝導性金属粒子を含有した熱伝導性エポキシ樹脂を用いても良い。
【0236】
この実施の形態では、上述のように二層型の便座を有する暖房兼光抗菌トイレ装置を提供できる。
【0237】
(本発明の光抗菌トイレ装置の他の実施の形態)
【0238】
図16は、図15に示す実施の形態の一変型を示し、光抗菌トイレ装置の便座を部分的に示す概略的斜視図である。
【0239】
図16に示すように、実質的にリング状の便座153は前面板状部材150Aと裏面板状部材150Bからなる二層型である。
【0240】
前面板状部材150Aは着座しやすいように適度の曲面を有し、裏面板状部材150Bはほぼ平面を有する。
【0241】
前面板状部材150Aと裏面板状部材150Bは、それらの端末接合部151により望ましくはほぼ気密に接合されて一体化され、それらの内部に空洞(空間)152を有している。
【0242】
前面板状部材150Aは光透過性樹脂部材からなり、その表面に複数の光触媒粒子110を含むシート状、フィルム状の光触媒部材112を設けている。
【0243】
光触媒部材112は塗装、接着などにより前面板状部材150Aの表面と恒久的に一体化することができる。
【0244】
光触媒部材112を前面板状部材150Aの表面と恒久的に一体化する替わりに、例えば粘着などの仮固定手段により着脱可能にすることができ、光触媒部材112を交換可能とすることができる。
【0245】
複数の発光ダイオード310Aは便座の形状に応じて実質的にリング状に延長した片面プリント配線基板320の表面にその長さ方向に所定間隔を保って実装され、片面プリント配線基板320が空洞152の内部に固定されている。
【0246】
複数の発光ダイオード310Aは直列および、または並列に電気的に接続される。
【0247】
複数の発光ダイオード310Aは、半導体整流器から直流電流が給電される。
【0248】
図16では、発光ダイオード310Aとして上側に可視光線Laを出射するトップビュー型砲弾型発光ダイオードが用いられている。
【0249】
発光ダイオード310Aとしてトップビュー型の砲弾型発光ダイオードの替わりに、図7、図8で示したトップビュー型面実装型発光ダイオードを用いても良い。
【0250】
発光ダイオード310Aからの可視光線Laは所定の拡散角度で図16の上側に出射するようにプリント配線基板320に実装されている。
【0251】
本実施の形態では、図16に示すように、アルミニューム、銅などの光反射性と熱伝導性とを共に有する膜状またはシート状の光反射兼熱伝導部材162、163が光透過性前面板状部材150Aの裏面に、発光ダイオード310Aからの可視光線Laが前記裏面を照射する領域を除いて、ほぼ全面的に設けられていることに留意されたい。
【0252】
発光ダイオード310Aからの可視光線Laは所定の拡散角度で図16の上側に出射し、可視光線Laの一部分は光透過性前面板状部材150Aのほぼ中央部を透過してシート、膜状の光触媒部材110、112のほぼ中央部を照射し励起する。
【0253】
それと同時に可視光線Laの残余の一部分(図16に示す光路La’参照)は、光透過性前面板状部材150Aの前面と裏面に設けた光反射兼熱伝導部材162、163間を複数回反射を繰り返して、便座153の長さ方向に進行し、その途中で徐々に前記前面から漏れて光触媒部材112に入射され、光触媒部材112内に分散している光触媒粒子110を励起する。
【0254】
それによりほぼリング状に延長する人体の着座表面と対応してほぼリング状に延長する少なくとも着座面と対応して光触媒部材110、112を照射できる。
【0255】
発光ダイオード310Aからの可視光線Laの中で図16の左上側および右上側に向かった光線La”は、主として光透過性前面板状部材150Aの前面と光反射兼熱伝導部材162、163間を複数回反射を繰り返して、便座153の横方向、側面方向に進行し、その途中で徐々に前記前面から漏れて光触媒部材112に入射され、光触媒部材112内に分散している光触媒粒子110を励起する。
【0256】
従って、光触媒部材110、112の着座面のみならず、光触媒部材110、112のほぼ全側面をも照射できる。
【0257】
本実施の形態では、光反射兼熱伝導部材162を光透過性前面板状部材150Aの裏面に設けているので、可視光線Laが前面板状部材150Aの前面と裏面との間で反射する際に、裏面から空洞152にほとんど漏れ出ないので光線の利用効率が向上する。
【0258】
図16に示すように、例えば二つの暖房便座用の前述の面状ヒーターなどの電熱ヒーター160、161を、可視発光ダイオード310Aからの出射光線Laをほとんど遮断しない位置に便座150のほぼリング状の形状に沿って設けることができる。
【0259】
この実施の形態では図16に示すように、光透過性前面板状部材150Aの裏面に設けた光反射兼熱伝導部材162、163の露出面に図15に示すように、電熱ヒーター160、161を熱伝導接着剤160a、161aにより接着固定している。
【0260】
従って、この実施の形態では電熱ヒーター160、161からの発熱が光透過性前面板状部材150Aのほぼ全面にわたって熱伝導される。
【0261】
(本発明の光抗菌トイレ装置の他の実施の形態)
【0262】
図17は、図16に示す実施の形態の他の一変型を示し、光抗菌トイレ装置の便座を部分的に示す概略的斜視図である。
【0263】
図17に示すように、この実施の形態の光抗菌トイレ装置154は、端末接合部151により互いにほぼ気密に接合されて一体化された曲面を有する前面板状部材154Aおよび平面を有する裏面板状部材154Cと、それらの内部に形成された空洞(空間)152を有している。
【0264】
前面板状部材154Aは光透過性樹脂部材からなり、その着座表面(前面)に複数の光触媒粒子110を含むシート状、フィルム状の光触媒部材112が設けられ、その裏面のほぼ中央に複数の面実装型可視光線発光ダイオード(LED)300を収容できる複数の凹状溝が形成されている。
【0265】
複数のLED 300が、両面プリント配線基板321の前面に実装され、他の複数のLED 300’が、両面プリント配線基板321の裏面に実装される。
【0266】
複数のLED 300、300’が両面に実装された両面プリント配線基板321は、前面板状部材150Aの凹状溝に一方の複数のLED300が収納されるように前面板状部材150Aの裏面に接着固定される。
【0267】
複数のLED 300、300’は共にトップビュー型であり、一方のLED300からの可視光線が前面板状部材150Aを照射し、他方のLED 300’からの可視光線が空洞152を経由して裏面板状部材154Cを照射する。
【0268】
裏面板状部材154Cは、前面板状部材154Aと同様に光透過性樹脂部材からなり、その外面に複数の光触媒粒子110’を含むシート状、フィルム状の光触媒部材112’が設けられている。
【0269】
前面板状部材154Aの着座表面に設けられた光触媒部材112は、LED 300からの可視光線によって励起され、裏面板状部材154Cに設けられた光触媒部材112’は、LED 300’からの可視光線によって励起されるので、本実施の形態の光抗菌トイレ装置154では、便座の着座表面のみならず便座の裏面も光触媒作用によって光抗菌化される。
【0270】
(本発明の光抗菌トイレ装置の他の実施の形態)
【0271】
本発明の光抗菌トイレ装置の他の実施の形態を概略的断面図として示す図18を参照して説明する。
【0272】
図18において、光抗菌便座装置150Dは、一層型(単層型、単板型)の光透過性樹脂製便座であり、光透過性樹脂製便座板180と、透過性樹脂製便座板180内に分散された複数の可視光応答型光触媒粒子110と、透過性樹脂製便座板180内に複数の可視光発光LEDを埋設したものである。
【0273】
更に、光抗菌便座装置150Dは、その底面に部分的にゴム足10aが固定されている。
【0274】
ゴム足10aは、シリコーンゴムなどの光透過性ゴム内に複数の可視光応答型光触媒粒子110を分散している可視光応答型光触媒担持ゴム足とするのが望ましい。
【0275】
複数の可視光発光LEDは、光透過性であるのが望ましいプリント配線基板322に実装されている。
【0276】
プリント配線基板322は、複数の凹状溝部が形成され、複数のチップ型または面実装型LEDが光出射面を露出させて前記凹状溝部に収容されるのが望ましい。
【0277】
プリント配線基板322は、その前面と裏面に複数の凹状溝部が形成され、複数のチップ型または面実装型LED300Aが光出射面を露出させて前面側の前記凹状溝部に収容され、複数のチップ型または面実装型LED300Bが裏面側の前記凹状溝部に収容されるのが望ましい。
【0278】
これにより、前面と裏面からほとんど突出することなくLED300A、300Bをプリント配線基板322に実装でき、更に光透過性樹脂製便座板180の前面(着座表面)および裏面(ゴム足10aの表面も含む)を光抗菌化することができる。
【0279】
複数のチップ型または面実装型LED300Aおよび、または300Bをプリント配線基板322の凹状溝部に収容する場合には、LED300Aおよび、または300Bを実装したプリント配線基板322の全体を薄型にすることができるので、周知の便座とほぼ同じ厚さにすることが可能となる。
【0280】
(本発明の光抗菌トイレ装置の他の実施の形態)
【0281】
本発明の光抗菌トイレ装置の他の実施の形態を概略的断面図で示す図19を参照して説明する。
【0282】
この実施の形態では、既存の周知の便座400に後付け可能な、または着脱可能な光抗菌便座カバー150Eを提供する。
【0283】
図19において、ゴム足10aを有する周知の便座400の上に光抗菌便座カバー150Eが後付け可能、または着脱可能にかぶせられて仮固定されている。
【0284】
光抗菌便座カバー150Eは、適度の弾力性を有する光透過性樹脂製便座カバー190の内部に複数の可視光応答型光触媒粒子110が分散されて含有され、更に光透過性樹脂製便座カバー190の少なくとも着座面と対応して便座カバー190内に少なくとも一つの可視光発光LEDを凹状溝部300に収容したプリント配線基板323が埋設されている。
【0285】
光抗菌便座カバー150Eの両方の端末部190a、190bは、周知の便座400の両方の端末面400a、400bまで延長して光抗菌便座カバー150Eを周知の便座400にしっかりと仮固定させることができる。
【0286】
光抗菌便座カバー150Eの内面、周知の便座400の表面に所定の条件で剥離可能な仮接着剤(または粘着材)を介在させても良い。
【0287】
可視光発光LEDの給電電極は、プリント配線基板323の給電配線および電線コードを経由して光抗菌便座カバー150Eの外部に設けた発光点灯制御回路装置に接続される。
【0288】
(本発明の光抗菌トイレ装置の他の実施の形態)
【0289】
本発明の光抗菌トイレ装置の他の実施の形態を概略的断面図で示す図20を参照して説明する。
【0290】
この実施の形態では、既存の周知の便座400に後付け可能な、または着脱可能な光抗菌便座カバー150Fを提供する。
【0291】
図20において、ゴム足10aを有する周知の便座400の上に光抗菌便座カバー150Fが後付け可能、または着脱可能にかぶせられて仮固定されている。
【0292】
光抗菌便座カバー150Fは、適度の弾力性を有する光透過性樹脂製便座カバー191の内部の少なくとも着座面と対応した少なくともほぼ中央部に複数の可視光応答型光触媒粒子110が分散されて含有され、更に複数の可視光発光LED300が、便座カバー191の両方の側面内に埋設されている。
【0293】
光抗菌便座カバー150Fの両方の端末部191a、191bは、周知の便座400の両方の端末面400a、400bまで延長して光抗菌便座カバー150Fを周知の便座400にしっかりと仮固定させることができる。
【0294】
光抗菌便座カバー150Fの内面、周知の便座400の表面に所定の条件で剥離可能な仮接着剤(または粘着材)を介在させても良い。
【0295】
複数の可視光発光LED300の給電電極は内部でまとめられて電線コードを経由して光抗菌便座カバー150Fの外部に設けた発光点灯制御回路装置に接続される。
【0296】
図20に示すように、可視光発光LED300からの青色を含む可視光線Lは光透過性樹脂からなる便座カバー191を導光路(ライトガイド)として前面と裏面間を複数回、反射を繰り返して側面から着座部へ向かって進行し、主として着座部と対応する箇所に埋設された複数の可視光応答型光触媒粒子110に徐々に吸収されて励起される。
【0297】
これにより、光抗菌便座カバー150Fの着座表面が光抗菌化される。
【0298】
この実施の形態では、複数の可視光発光LED300が、便座カバー191の両方の側面内に埋設されているので、光抗菌便座カバー150Fの着座表面に加わる人体の圧力が可視光発光LED300には加わることが無いので、可視光発光LED300が加圧されず損傷する恐れが無い。
【0299】
(本発明の光抗菌トイレ装置の他の実施の形態)
【0300】
本発明の光抗菌トイレ装置の他の実施の形態を図21、図22を参照して説明する。
【0301】
図21は二層型便座の一部を切り欠いた概略的斜視図であり、図22はこの便座を部分的に示す概略的斜視図である。
【0302】
この実施の形態では漏光型光ファイバと発光ダイオードとを組み合わせて用いている。
【0303】
この実施の形態の便座150Gは、便座150Gに配置された光触媒部材112と、便座150Gに配置された端面と側面を有する漏光型光ファイバ600と、漏光型光ファイバ600の前記端面600aに出射光線を指向する少なくとも一つの発光ダイオード LED(半導体発光素子)310を備えている。
【0304】
更に前記光触媒部材112が可視光線により励起される可視光応答型光触媒を含有し、前記発光ダイオード LED(半導体発光素子)310が可視光線を発光する少なくとも一つの可視光発光型発光ダイオード LEDからなる。
【0305】
これにより前記光触媒部材112は、前記端面で受光し前記側面から漏洩した前記発光ダイオード LED(半導体発光素子)310からの可視光線により励起される。
【0306】
図21、図22に示すように、実質的にリング状の便座150Gは前面板状部材150Aと裏面板状部材150Bからなる二層型である。
【0307】
前面板状部材150Aは着座しやすいように適度の曲面を有し、裏面板状部材150Bはほぼ平面を有する。
【0308】
前面板状部材150Aと裏面板状部材150Bは、それらの端末接合部151により接合されて一体化され、それらの内部に空洞(空間)152を有している。
【0309】
前面板状部材150Aは光透過性樹脂部材からなり、その表面に複数の光触媒粒子110を含むシート状、フィルム状の光触媒部材112を設けている。
【0310】
光触媒部材112は塗装、接着などにより前面板状部材150Aの表面と恒久的に一体化することができる。
【0311】
光触媒部材112を前面板状部材150Aの表面と恒久的に一体化する替わりに、例えば粘着などの仮固定手段により着脱可能にすることができ、光触媒部材112を交換可能とすることができる。
【0312】
この実施の形態では少なくとも一本の漏光型光ファイバ600が便座の正面視形状に応じて実質的にリング状に延長して空洞152の内部、裏面板状部材150Bの内面に固定されている。
【0313】
漏光型光ファイバ600の一端600a(または両端)は発光ダイオード310を収容すると共に半導体整流器、点灯制御回路装置などを収容する電子制御装置173まで延長される。
【0314】
電子制御装置173を空洞152の内部など便座150Gに内蔵すると全体の装置がコンパクトになる。
【0315】
電子制御装置173を便座150Gの外部に配置しても良く、この場合には発光ダイオード310のみを便座150Gに配置しても良い。
【0316】
発光ダイオード310を含めて電子制御装置173を便座150Gの外部に配置しても良く、この場合には発光ダイオード310と漏光型光ファイバ600の一端600a(または両端)との間に、漏光処理をしていない通常の光ファイバを介在させる。
【0317】
漏光型光ファイバ600は、600a(または両端)から発光ダイオード310からの可視光線を受光し、その可視光線を一端から他端に向けて伝達すると共に、その途中で側面から可視光線Laを順次漏洩する。
【0318】
前記漏光型光ファイバ600としては、側面のほぼ全面(全周)から光線を漏洩する漏洩型光ファイバまたは伝達光線を側面から方向性の光線(例えば、光ファイバの長さに沿う上側および、または下側の線状光線)を漏洩する漏洩型光ファイバのいずれも本発明に用いることができる。
【0319】
このような漏光型光ファイバ600それ自体は、各種のものが公知、周知であり、例えば、特許文献8(特開2001−108856号公報)、特許文献9(特開2002−202415号公報)などに漏光型(側面発光型)光ファイバが開示されている。
【0320】
特許文献8(特開2001−108856号公報)には、中央部のコアと、該コアの周縁部に設けられた、コアよりも低い屈折率を有するクラッドとを備える光ファイバにおいて、前記コアと前記クラッドとの間に、ファイバの周方向および長手方向に沿って凹凸構造が付与されているように構成する漏光型(側面発光型)光ファイバが開示されている。
【0321】
特許文献9(特開2002−202415号公報)には、中央部のコアと、前記コアの周囲に配置されたクラッドとを備える側面発光性光ファイバにおいて、前記クラッドが、前記コアと接する透明な第1層と前記第1層の外側に形成された光拡散性の第2層とからなり、かつ両層が一体的に成型されてなることを特徴とする、側面発光性光ファイバが開示されている。
【0322】
特許文献8、特許文献9に開示されている光ファイバは、光ファイバの製造時に漏光型光ファイバを得るものであるが、これに限定されず、漏光性をほとんど有さない通常の市販されている光ファイバを例えば後述の任意の漏光手段、漏光処理を施すことにより漏光型(側面発光型、サイドライト型)光ファイバとすることができる。
【0323】
例えば、漏光型光ファイバ600としては、導光性を有するコア部材と、コア部材の側面に被覆したにコア部材より低い屈折率を有するクラッド部材からなる公知の光ファイバを用い、後から長さ方向に沿ってクラッド部材を除去してコア部材を長さ方向に露出させることにより漏光処理をして、漏光型光ファイバ600とすることができる。
【0324】
また、導光性を有するコア部材のみからなる光ファイバの側面に長さ方向に沿ってコア部材よりも屈折率の高い光透過性膜を被覆させることにより、光透過性膜の形成部分から漏光を生じる漏光型光ファイバ600が得られる。
【0325】
この実施の形態で用いる漏光型光ファイバ600としては、プラスチック製の光ファイバが、ガラス製の光ファイバと比較して、柔軟性があり便座の開閉時に受ける衝撃に強く、又、直径を太くできるので伝送できる光量が大きいので望ましい。
【0326】
通常のプラスチック製の光ファイバは、一般的に可視光線を良く伝送するのでこの実施の形態に好適に使用できる。
【0327】
更に通常のプラスチック製の光ファイバは、紫外線はほとんど伝送しないか、または紫外線を伝送してもアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂製のコア素材を劣化または変色するので、紫外線の伝送に適していないが、本発明では光触媒を励起するのに可視光線を用いているので、本実施の形態ではプラスチック製の光ファイバが好適に使用できる。
【0328】
本実施の形態に使用できるプラスチック光ファイバ(POF)としては、住友スリーエム株式会社製の「ライトファイバ」(商品名)、三菱レイヨン株式会社製のプラスチック光ファイバ素線「エスカ: ESKA」(登録商標)、旭化成エレクトロニクス株式会社製のプラスチック光ファイバ素線「ルミナス:LUMINOUS」(登録商標)、東レ株式会社製のプラスチック光ファイバ素線、日立電線株式会社 照明用太径プラスチック光ファイバなどが挙げられる。
【0329】
住友スリーエム株式会社製の「ライトファイバ」(商品名)は、側面を均一に発光させるためのサイドライト型であり、コア材質が特殊アクリル樹脂、クラッド材質がフッ素系樹脂のステップインデックス型である。
【0330】
「ライトファイバ」(商品名)には製品名LF90(コア径9mm、仕上外型10mm)、製品名LF120(コア径12mm、仕上外型14mm)、製品名LF120RH(側面を均一に発光させるために白いクラッドを使用、コア径12mm、仕上外型14mm)、製品名LF120HL(側面を均一に発光させるために白いクラッドを使用、コア径12mm、仕上外型14mm)などがあり、サイドライト型漏光なので後から漏光処理をすることなく本実施の形態に使用できる。
【0331】
三菱レイヨン株式会社製のプラスチック光ファイバ素線(ベアファイバ(裸線))「エスカ: ESKA」(登録商標)は、コア材質がポリメチルメタクリレート樹脂、クラッド材質がフッ素系樹脂のステップインデックス型であり、下記のようにファイバ径が0.25mmから3mmまで8種類あり、いずれも本実施の形態に使用できる。
【0332】
「エスカ:ESKA」(登録商標)としては製品名CK−10(ファイバ径0.25mm)、製品名CK−20(ファイバ径0.5mm)、製品名CK−30(ファイバ径0.75mm)、製品名CK−40(ファイバ径1.0mm)、製品名CK−60(ファイバ径1.5mm)、製品名CK−80(ファイバ径2.0mm)、製品名CK−100(ファイバ径2.5mm)、製品名CK−120(ファイバ径3.0mm)がある。
【0333】
本実施の形態では、このプラスチック光ファイバ素線をエッチング、ホットスタンピング、プラスティングなどの任意の漏光処理をすることにより、クラッドを光ファイバを長さ方向に部分的に除去してコアを露出させ、側面から漏光しないプラスチック光ファイバ素線を側面から漏光するサイドライト型漏光プラスチック光ファイバとして使用することができる。
【0334】
また旭化成エレクトロニクス株式会社製の「ルミナス:LUMINOUS」(登録商標)は、コア材質がポリメチルメタクリレート樹脂、クラッド材質がフッ素系樹脂のステップインデックス型である。
【0335】
このプラスチック光ファイバ素線、製品名DB−500(ファイバ径0.5mm)、製品名 DB−750(ファイバ径0.75mm)、製品名DB−1000(ファイバ径1.0mm)、製品名DB−1500(ファイバ径1.5mm)、製品名DB−2000(ファイバ径2.0mm)、製品名DB−3000 (ファイバ径3.0mm)を漏光処理を行うことにより本実施の形態に使用できる。
【0336】
また東レ株式会社プラスチック光ファイバ素線はコア材質がポリメチルメタクリレート樹脂、クラッド材質がフッ素系樹脂のステップインデックス型であり、ファイバ径0.25mmから3.0mmを漏光処理を行うことにより本実施の形態に使用できる。
【0337】
更に日立電線株式会社 照明用太径プラスチック光ファイバは、コア材質がシリコーン樹脂、クラッド材質がフッ素系樹脂のステップインデックス型である。
【0338】
このプラスチック光ファイバには、製品名HLG−H d/D(コア径5.0mm乃至9.0mm、仕上外型6.0mm乃至10.5mm)、最大耐熱温度125℃、5000時間、製品名HLG−S d/D(コア径5.0mm乃至9.0mm、仕上外型6.0mm乃至10.5mm、最大耐熱温度100℃、1000時間)などがあり、これらに漏光処理を行うことにより本実施の形態に使用できる。
【0339】
このプラスチック光ファイバは、コア材質がシリコーン樹脂なので、コア材質がアクリル系樹脂のプラスチック光ファイバ(耐熱温度60℃または70℃)と比較して高い(耐熱温度100℃または125℃)。
【0340】
図22に示すように、暖房便座兼光抗菌便座とする場合に、プラスチック光ファイバと暖房用電熱ヒーターを離して設けるときにはコア材質がアクリル系樹脂の比較的に安価なプラスチック光ファイバを使用できる。
【0341】
暖房便座兼光抗菌便座とする場合に、プラスチック光ファイバと暖房用電熱ヒーターを接近または密着して設けるときにはコア材質がシリコーン樹脂である耐熱性プラスチック光ファイバを使用するのが望ましい。
【0342】
この実施の形態では、便座の前面板状部材150Aに光触媒110を含む光触媒部材112を設けているので、漏光型光ファイバ600からの漏光が光触媒部材112に向けて照射されるように、漏光箇所を側面の上側に形成するのが望ましく、それにより漏光型光ファイバ600の側面の下側に光線が漏れるのを防ぐことができる。
【0343】
図23、図24を参照して図22に示す漏光型光ファイバ600の構造の各種の具体例を説明する。
【0344】
図23、図24は本実施の形態に使用できる漏光型光ファイバ600の構造の各種の具体例を示す概略的斜視図である。
【0345】
図23Aに示す漏光型光ファイバ600Aは、屈折率の高いコア60aとコア60aよりも屈折率の低いクラッド60baからなる前述の市販の光ファイバ素線を、その長さ方向に沿ってクラッド60baの上部のみを切り欠いてコア露出部60a’を形成して、コア露出部60a’からからコア60a内を伝達する光線を漏洩させるものである。
【0346】
図23Bに示す漏光型光ファイバ600Bは、図23Aに示す漏光型光ファイバ600Aのコア露出部60a’にコア60aと同じまたはそれ以上の屈折率を有する光透過性樹脂膜60Cで被覆したものである。
【0347】
光透過性樹脂膜60C内に周知の白色顔料または光透過樹脂膜60Cの屈折率と異なる屈折率を有するガラス、プラスチックからなる複数のビーズを含有させて光散乱性樹脂膜60Cとするのが望ましい。
【0348】
漏光型光ファイバ600A、600Bは、共に光ファイバの長さ方向に沿ってその側面の上部から光ファイバを伝達する光線を漏洩させるものであり、図22と共に説明した漏光型光ファイバ600に好適に使用される。
【0349】
図23Cに示す漏光型光ファイバ600Cは、屈折率の高いコア60aとコア60aよりも屈折率の低いクラッド60baからなる前述の市販の光ファイバ素線を、その長さ方向に沿ってクラッド60baの上部と下部を切り欠いて上部と下部にコア露出部60a’、60a”を形成して、コア露出部60a’、60a”からからコア60a内を伝達する光線を漏洩させるものである。
【0350】
図23Dに示す漏光型光ファイバ600Dは、図23Cに示す漏光型光ファイバ600Cの上部と下部のコア露出部コア露出部60a’、60a”にコア60aと同じまたはそれ以上の屈折率を有する光透過性樹脂膜60C、60C’で被覆したものである。
【0351】
図24Aに示す漏光型光ファイバ610Aは、コア61aからなるクラッドレス光ファイバ素線を準備し、その長さ方向に沿ってコア61aの上部にコア61aと同じまたはそれ以上の屈折率を有する光透過樹脂膜61bを形成したものである。
【0352】
光透過樹脂膜61b内に周知の白色顔料または光透過樹脂膜61bの屈折率と異なる屈折率を有するガラス、プラスチックからなる複数のビーズを含有させて光散乱性樹脂膜61bとするのが望ましい。
【0353】
図23Bに示す漏光型光ファイバ610Bは、図24Aに示す漏光型光ファイバ610Aのコア61aの露出面に、光透過樹脂膜61bの形成面を除いて、光散乱性樹脂膜61cコア61aの低い光透過樹脂膜61cを形成したものである。
【0354】
漏光型光ファイバ610A、610Bは、図24C、共に光ファイバの長さ方向に沿ってその側面の上部から光ファイバを伝達する光線を漏洩させるものであり、図22と共に説明した漏光型光ファイバ600に好適に使用される。
【0355】
図24Cに示す漏光型光ファイバ610Cは、コア61aからなるクラッドレス光ファイバ素線を準備し、その長さ方向に沿ってコア61aの上部と下部にコア61aと同じまたはそれ以上の屈折率を有する光透過樹脂膜61b、61b’を形成したものである。
【0356】
図23 Dに示す漏光型光ファイバ610Dは、図24Cに示す漏光型光ファイバ610Cのコア61aの露出面に、光透過樹脂膜61b、61b’の形成面を除いて、コア61aよりも屈折率の低い光透過樹脂膜61c、61c’を形成したものである。
【0357】
発光ダイオード310をも収容する電子制御装置173を、例えば電子制御装置173を耐湿処理するか、または便座150のハーメチックシールされた空洞152に内蔵すると防水性が得られ、全体がコンパクトになる。
【0358】
電子制御装置173は電源コード172と接続され、電源コード172を経由して商用電源と接続され、電子制御装置173に電力が供給される。
【0359】
(本発明のトイレ装置の他の実施の形態)
本発明のトイレ装置の他の実施の形態を図25を参照して説明する。
【0360】
図25は本発明のトイレ装置の他の実施の形態を示し、一部を切り欠いた概略的斜視図である。
【0361】
図25に示す実施の形態の便座150Hでは、図22に示した実施の形態の便座150Gと比較して、それぞれの光入射端面600a、600a’に可視光線発光型発光ダイオード310、310’を対向して配置した漏光型光ファイバ600、600’が、それぞれ前面板状部材150A’、裏面板状部材150B’に半埋設(または埋設)して設けられている点と、前面板状部材150A’、裏面板状部材150B’にそれぞれ光触媒粒子110、110’を含有する膜状、シート状の光触媒部材112、112’が設けられている点が異なる。
【0362】
その他の構成要素は図25に示す実施の形態と、図22乃至図24に示した実施の形態は同様であるので重複する説明は省略する。
【0363】
図25に示す実施の形態では、便座150Hにおける前面板状部材150A’、裏面板状部材150B’のそれぞれの内面には、漏光型光ファイバ600、600’を収容するための溝が便座150Hのリング状の形状に沿って延長して形成されている。
【0364】
前面板状部材150A’に 形成された長い溝には、一方の漏光型光ファイバ600が光透過性接着部材65を用いて半埋設または埋設され、漏光型光ファイバ600が光透過性の前面板状部材150A’と光結合できるように固定されている。
【0365】
一方の漏光型光ファイバ600の光入射端面600aには一方の可視光線発光型発光ダイオード310が対向して配置されて、発光ダイオード310からの可視光線が漏光型光ファイバ600内を全内部反射により伝達されると共に、漏光型光ファイバ600の側面から可視光線が順次漏れ出るようになっている。
【0366】
この漏洩した可視光線は隣接する光触媒部材112の光触媒粒子110を励起し、それにより前面板状部材150A’の前面(着座面)が光抗菌化される。
【0367】
裏面板状部材150B’に 形成された長い溝には、他方の漏光型光ファイバ600’が光透過性接着部材65’を用いて半埋設または埋設され、漏光型光ファイバ600’が光透過性の裏面板状部材150B’と光結合できるように固定されている。
【0368】
他方の漏光型光ファイバ600’の光入射端面600a’には一方の可視光線発光型発光ダイオード310’が対向して配置されて、発光ダイオード310’からの可視光線が漏光型光ファイバ600’内を全内部反射により伝達されると共に、漏光型光ファイバ600’の側面から可視光線が順次漏れ出るようになっている。
【0369】
この漏洩した可視光線は隣接する光触媒部材112’の光触媒粒子110’を励起し、それにより裏面板状部材150B’の表面が光抗菌化される。
【0370】
(本発明のトイレ装置の他の実施の形態)
【0371】
本発明のトイレ装置の他の実施の形態を図26を参照して説明する。
【0372】
図26は本発明のトイレ装置の他の実施の形態を示し、一部を切り欠いた概略的斜視図である。
【0373】
図26に示す実施の形態の便座150Jでは、光入射端面600aに可視光線発光型発光ダイオード310を対向して配置した少なくとも一本の漏光型光ファイバ600が、便座150Jの光透過性を有する前面板状部材150A’の内部に埋設され、便座150Jのリング状の形状に沿って延長して配置されている。
【0374】
図26では、便座150Jの一側面に一本の漏光型光ファイバ600が、前面板状部材150A’の内部に埋設して示されている。
【0375】
前面板状部材150A’の表面には、光触媒粒子110を含むシート状、膜状の光触媒部材112が形成されている。
【0376】
その他の構成要素は図26に示す実施の形態と、図22乃至図25に示した実施の形態は同様であるので重複する説明は省略する。
【0377】
図26に示す実施の形態の便座150Jでは、前面板状部材150A’、裏面板状部材150B’のそれぞれの内面には、漏光型光ファイバ600、600’を収容するための溝が便座150Jのリング状の形状に沿って延長して形成されている。
【0378】
発光ダイオード310からの可視光線Laが漏光型光ファイバ600内を全内部反射により伝達されると共に、漏光型光ファイバ600の側面から可視光線Laが順次漏れ出るようになっている。
【0379】
漏光型光ファイバ600の側面から順次漏れ出た可視光線Laは、光透過性の前面板状部材150A’を導光路(ライトガイド)として前面板状部材150A’の前面と裏面間を全内部反射により前面板状部材150A’内を可視光線La’となって伝達すると共に、前面板状部材150A’の前面から順次漏れ出る。
【0380】
この前面から漏洩した可視光線は隣接する光触媒部材112の光触媒粒子110を励起し、それにより前面板状部材150A’の前面(着座面)が光抗菌化される。
【0381】
特に便座150G、150H、150Jに電熱ヒーター160、161を設けて暖房機能を持たせる場合には、図22、図25、図26と共に記述した実施の形態のように、漏光型光ファイバ600と発光ダイオード310とを組み合わせて用いことにより、発光ダイオード310を電熱ヒーター160、161からの熱的影響を受けにくい箇所に設置できる利点がある。
【0382】
前述の漏光型光ファイバ600、600’は、漏光型光ファイバ600、600’を便座、便座カバーの光透過性樹脂内に半埋設または埋設することにより、各種の実施の形態における二層型便座150、150G、150H、153、154のみならず、各種の実施の形態における単層型(単板型)便座100、140、150Dまたは便座カバー150E、150Fにも適用できる。
【0383】
前記の本発明の各種の実施の形態において、前記便座または前記便座カバーの着座表面と非着座表面に前記可視光応答型光触媒(光触媒部材)を配置する場合に、前記着座表面と対向して配置した前記発光ダイオードから多量の光線または高輝度の光線が出射するように複数の前記発光ダイオードを配置するか、高輝度の前記発光ダイオードを用い、一方、前記非着座表面と対向して配置した前記発光ダイオードから少量の光線または低輝度の光線が出射するようにより少数の前記発光ダイオードを配置するか、低輝度の前記発光ダイオードを用いることができる。
【0384】
前記の本発明の各種の実施の形態において、前記便座または前記便座カバーの着座表面と非着座表面に前記可視光応答型光触媒(光触媒部材)を配置する場合に、前記着座表面と対向して配置された前記漏洩型光ファイバの側面部分に多量の光線が漏れ出るように方向性を有するまたは有しない漏洩処理をし、一方、前記非着座表面として配置された前記漏洩型光ファイバの側面部分にほとんどまたは全く漏洩処理を行わないようにすることができる。
【0385】
これらにより前記便座または前記便座カバーの着座表面と非着座表面に前記可視光応答型光触媒(光触媒部材)を配置し、前記漏洩型光ファイバから前記着座表面上の前記可視光応答型光触媒(光触媒部材)へ向けて前記非着座表面より照射輝度の高い出射光線を照射することができる。
【0386】
したがって前記着座表面上の前記可視光応答型光触媒(光触媒部材)を、前記非着座表面上の前記可視光応答型光触媒(光触媒部材)より強く光触媒活性化することができる。
【0387】
前記の本発明の幾つかの実施の形態においては、例えば図14に示すように、便座150に可視光発光型半導体発光素子310を設けているが、その替りに、例えば図13に示す蓋200または例えば図5に示す蓋200、210の輪状部材201に可視光発光型半導体発光素子310を設けても良い。
【0388】
この場合、可視光発光型半導体発光素子310は、可視光発光型半導体発光素子310からの可視光線が蓋200、210の閉成時に便座150または便座カバーの表面を指向するように、蓋200、210の裏面または蓋200、210の輪状部材201の光透過性樹脂211に配置しても良い。
【0389】
可視光発光型半導体発光素子310を蓋200、210の裏面に配置する場合には、可視光発光型半導体発光素子310の出射面が便座150または前記便座カバーの表面と対向するので、蓋200、210は光透過性を有する必要が無い。
【0390】
可視光発光型半導体発光素子310を蓋200、210における輪状部材201の光透過性樹脂211に設ける場合には、光透過性樹脂211の前面または裏面または内部に可視光発光型半導体発光素子310を、その出射面が便座150または前記便座カバーの表面と対向するように、配置する。
【0391】
前記の本発明の幾つかの実施の形態においては、例えば図21に示すように、便座150Gに漏光型光ファイバ600を設けているが、その替りに、例えば図13に示す蓋200または例えば図5に示す蓋200、210の輪状部材201に漏光型光ファイバ600を設けても良い。
【0392】
この場合、可視光発光型半導体発光素子310は、漏光型光ファイバ600の光入射端面と対向するように蓋200に配置することができる。
【0393】
この場合、漏光型光ファイバ600は、例えば、好ましくは方向性漏光処理を行い、漏光型光ファイバ600からの漏洩可視光線が蓋200、210の閉成時に便座150または便座カバーの表面を指向するように、蓋200、210の裏面または蓋200、210の輪状部材201の光透過性樹脂211に配置しても良い。
【0394】
漏光型光ファイバ600を蓋200、210の裏面に配置する場合には、漏光型光ファイバ600の漏光部が便座150または前記便座カバーの表面と対向するように方向性の漏光処理を行うのが望ましい。なお蓋200は光透過性を有する必要が無い。
【0395】
漏光型光ファイバ600を蓋200、210における輪状部材201の光透過性樹脂211に設ける場合には、光透過性樹脂211の前面または裏面または内部に漏光型光ファイバ600を、その漏光部が便座150または前記便座カバーの表面と対向するように配置するのが望ましい。
【0396】
以上に詳記した各種の実施の形態の各構成要素を任意に組み合わせて使用することができる。
【0397】
以上に添付図面を参照して本発明の各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されず、本発明の精神と特許請求の範囲に基づいて各種の変型、設計変更、改良および均等物の提供が可能であることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0398】
【図1】図1はトイレ装置の便座と蓋を共に閉成した時の側面を示す立面図である。
【図2】図2はトイレ装置の便座と蓋を共に開成した時の側面を示す立面図である。
【図3】図3はトイレ装置の便座を閉成し、かつ蓋を開成した時の側面を示す立面図である。
【図4】図4はトイレ装置の便座と蓋を共に閉成した時の正面を示し、蓋のほぼ半分を切り欠いて示す正面図である。
【図5】図5は蓋を示す概略的な正面図である。
【図6】図6は便座を示す概略的な正面図である。
【図7】図7は図1における点線で囲った部分60を拡大して示す概略的な部分拡大断面図である。
【図8】図8は図1における点線で囲った部分60を拡大して示す概略的な部分拡大断面図である。
【図9】図9は、図7に示す蓋100の部分70の概略的な拡大断面図である。
【図10】図10は、それぞれ図7に示す蓋100の部分70の概略的な拡大断面図である。
【図11】図11は、図7に示す蓋100の部分70の概略的な拡大断面図である。
【図12】図12は、図7に示す蓋100の部分70の概略的な拡大断面図である。
【図13】図13は本発明のトイレ装置を示す概略的斜視図である。
【図14】図14は本発明のトイレ装置の便座を示す一部を切り欠いた概略的斜視図である。
【図15】図15は本発明のトイレ装置の便座を部分的に示す概略的斜視図である。
【図16】図16は、図15に示す実施の形態の一変型を示し、光抗菌トイレ装置の便座を部分的に示す概略的斜視図である。
【図17】図17は、図16に示す実施の形態の一変型を示し、光抗菌トイレ装置の便座を部分的に示す概略的斜視図である。
【図18】図18は本発明のトイレ装置の他の実施の形態を示す概略的断面図である。
【図19】図19は本発明のトイレ装置の他の実施の形態を示す概略的断面図である。
【図20】図20は本発明のトイレ装置の他の実施の形態を示す概略的断面図である。
【図21】図21は本発明のトイレ装置の他の実施の形態を示し、一部を切り欠いた概略的斜視図である。
【図22】図22は本発明のトイレ装置の他の実施の形態を示し、一部を切り欠いた概略的斜視図である。
【図23】図23は図22に示す漏光型光ファイバの構造の各種の具体例を示す概略的斜視図である。
【図24】図24は図22に示す漏光型光ファイバの構造の各種の具体例を示す概略的斜視図である。
【図25】図25は本発明のトイレ装置の他の実施の形態を示し、一部を切り欠いた概略的斜視図である。
【図26】図26は本発明のトイレ装置の他の実施の形態を示し、一部を切り欠いた概略的斜視図である。
【符号の説明】
【0399】
全ての図面において、同一参照符号は同一または同様な部分、同一または同様な構成要素を示す。
【0400】
20:蓋
30:便器
50:開閉部材
65:光透過性接着部材(光ファイバ固定用)
65‘:光透過性接着部材(光ファイバ固定用)
100:単層型(単板型)便座(便座)
140:単層型(単板型)便座(便座)
150:単層型(単板型)便座(便座)
110:可視光応答型光触媒粒子
110’: 可視光応答型光触媒粒子
110a:可視光応答型光触媒粒子
110b:可視光応答型光触媒粒子
111:光透過性樹脂、光透過性樹脂バインダー、光透過性樹脂シート
111a:光透過性樹脂、光透過性樹脂バインダー、光透過性樹脂シート
111b:光透過性樹脂、光透過性樹脂バインダー、光透過性樹脂シート
112:可視光応答型光触媒部材
112’:可視光応答型光触媒部材
112A:可視光応答型光触媒含有シート(可視光応答型光触媒部材)
112B:可視光応答型光触媒含有膜(可視光応答型光触媒部材)
112C:可視光応答型光触媒含有膜(可視光応答型光触媒部材)
112D:可視光応答型光触媒堆積膜(可視光応答型光触媒部材)
112E:可視光応答型光触媒部材
112F:可視光応答型光触媒部材
114:光透過性樹脂
120:接着材(または粘着材)
150:二層型便座(便座)
150A:前面板状部材
150B:裏面板状部材
150A’:前面板状部材
150B’:裏面板状部材
150D:単層型(単板型)便座(便座)
150E:光抗菌便座カバー
150F:光抗菌便座カバー
150G:二層型便座(便座)
150H:二層型便座(便座)
150J:二層型便座(便座)
154A:前面板状部材
154B:裏面板状部材
154A‘:前面板状部材
154B‘:裏面板状部材
152:空洞(空間)
153:二層型便座(便座)
154:二層型便座(便座)
160:面状ヒーター(電熱ヒーター)
160a:接着材(固定手段)
161:面状ヒーター(発熱部材、電熱ヒーター)
161a:接着材(固定手段)
162:光反射兼熱伝導部材
163:光反射兼熱伝導部材
170:便座開閉手段
171:電子制御装置
172:電源コード
180:光透過性樹脂
190:光透過性樹脂
191:光透過性樹脂
200:蓋
201:蓋の輪状部材(光透過性樹脂)
202:蓋の中央部材
203:蓄光性蛍光体粒子、蓄光性蛍光体
205:蓄光部材
300:可視光線発光ダイオード(可視光線発光半導体素子)
300‘:可視光線発光ダイオード(可視光線発光半導体素子)
300a:給電電極
300b:光出射面
300A:可視光線発光ダイオード(可視光線発光半導体素子)
300B:可視光線発光ダイオード(可視光線発光半導体素子)
310:可視光線発光ダイオード(可視光線発光半導体素子)
310’:可視光線発光ダイオード(可視光線発光半導体素子)
310A:可視光線発光ダイオード(可視光線発光半導体素子)
310B:可視光線発光ダイオード(可視光線発光半導体素子)
310C:可視光線発光ダイオード(可視光線発光半導体素子)
320:片面プリント配線基板
321:両面プリント配線基板
322:プリント配線基板
323:プリント配線基板
600:漏光型光ファイバ(側面発光型光ファイバ)
600’:漏光型光ファイバ(側面発光型光ファイバ)
600A:漏光型光ファイバ(側面発光型光ファイバ)
600B:漏光型光ファイバ(側面発光型光ファイバ)
600C:漏光型光ファイバ(側面発光型光ファイバ)
600D:漏光型光ファイバ(側面発光型光ファイバ)
610A:漏光型光ファイバ(側面発光型光ファイバ)
610B:漏光型光ファイバ(側面発光型光ファイバ)
610C:漏光型光ファイバ(側面発光型光ファイバ)
610D:漏光型光ファイバ(側面発光型光ファイバ)
【技術分野】
【0001】
本発明は便座または便座カバーに光触媒を担持した光抗菌トイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者が提案した発明である特許文献1(特公平7−93913)には、少なくとも表面が紫外線の導光材料からなる便座を備え、上記便座の一端部を紫外線導入部とし、上記便座の表面部を紫外線出射部とし、上記紫外線導入部から導入された紫外線を上記便座の他端へ伝搬させると共に、上記便座の表面のほぼ全面から紫外線を出射させるように構成し、上記入射部(紫外線導入部)に紫外線導光性の光学フアイバー・ケーブルの一端を直結または近接させ、かつ上記光ファイバ・ケーブルの他端を任意の個所に配置した紫外線光源と光結合させている便座の殺菌装置が開示されている。
【0003】
特許文献1(特公平7−93913)の明細書第0003段には、「上記紫外線光源としては、蛍光灯の蛍光塗料の塗布をやめ、外管に使用するガラスとして石英などの紫外線透過ガラスを使用した通常の殺菌ランプ(低圧水銀ランプ)が使用することができる。」と記載されている。
【0004】
この殺菌ランプ20から放射される波長2600オングストローム付近の短波長紫外線は、大きな殺菌効果があることが広く知られている。
【0005】
一方前記短波長紫外線の強度が大きな場合には肉眼に害を与える恐れがある。このために、この先行発明を実施化するに当たっては、前記特許公報に記載のように、万一紫外線が外部に放射されている状態の時に、便座の表面を肉眼で長い時間または近距離で直接見つめることがないようにする以下の安全手段(1)、(2)、(3)、または(4)が必要であった。」と記載されている。
【0006】
特許文献1(特公平7−93913)の明細書第0004段によると前記安全手段(1)は、人体力が便座に着座したことを着座センサーにより検知して、その検知信号を点灯回路に出力することにより、通常は紫外線光源を消灯させてあり、着座した時にのみ便座の表面を殺菌するに十分な所定時間、紫外線光源を点灯させるものである。
【0007】
また前記安全手段(2)は、通常は紫外線光源を点灯して便座の表面を殺菌中であり、人体から放射される赤外線を検知する例えば焦電効果型の赤外線センサーにより人体の接近を検知し、この検知信号を点灯回路に出力し、紫外線光源を消灯させて便座の表面から出射する紫外線を直視するのを避けるものである。
【0008】
更にまた前記安全手段(3)は、通常は紫外線光源を点灯して便座の表面を殺菌中であり、赤外線センサーにより人体の接近を検知し、この検知信号を点灯回路に出力し、紫外線光源を消灯させて便座の表面から出射する紫外線を直視するのを防ぎ、次いで人体が便座に着座したときに着座センサーの検知信号ONにより点灯回路を動作させ、紫外線光源を所定時間点灯し、再び便座の表面を殺菌するものである。
【0009】
次いで人体が便座から離れた時に着座センサーの検知信号はOFFとなるが、人体が上記赤外線センサーから十分な距離だけ遠ざかると再び紫外線光源を点灯させ、初期の状態に戻すことができる。
【0010】
更にまた前記安全手段(4)は、着座センサーを省略して、その代わりに赤外線センサーのみを用い、常時紫外線光源を点灯させておき常時便座の表面を殺菌しておき、人体が赤外線センサーに接近した時に、紫外線光源を消灯するように構成して、便座から出射する紫外線が肉眼に入るのを防ぐものである。
【0011】
本発明者が提案した発明である特許文献2(特開平09−285425)には、少なくとも表面が短波長光線透過性部材からなる便座と、前記短波長光線透過性部材の少なくとも表面にほぼ全面的に設けた光触媒を含有する光触媒層と、前記光触媒層を活性化する短波長光線を発する光源を備え、前記短波長光線透過性部材を経由して前記光源からの前記短波長光線を前記光触媒層に吸収させて活性化させ、前記光触媒層に付着する汚染物質を光触媒作用により分解、浄化し、かつ前記短波長光線が前記光触媒層の表面から漏れ出るのを低減または防止した便座の殺菌装置が開示されている。
【0012】
特許文献2(特開平09−285425)に記載の発明は、特許文献1(特公平7−93913)に記載の発明を改良したもので、光触媒層を便座の表面に形成し、主として紫外線からなる短波長光線が前記光触媒層の表面から漏れ出るのを低減または防止し、特に防水性を必要とし、故障の確率の高い電気的装置である上記の安全手段(1)、(2)、(3)、または(4)が不要とすることにより、前記短波長光線が前記光触媒層の表面から漏れ出るのを低減または防止し、特に防水性を必要とし、故障の確率の高い電気的装置である上記の安全手段(1)、(2)、(3)、または(4)を不要としたものである。
【0013】
本発明者が提案した発明である特許文献3(特開平9−140633)には、便座の蓋を紫外線の導光材料とし蓋の一部から紫外線を導入し蓋の裏面から便座に向けて紫外線を出射する便座等の殺菌装置が開示されている。
【0014】
そして、この紫外線を蓋の他端へ伝搬させると共に、蓋の裏面のほぼ全面から紫外線を出射させように構成し、かつ便座の蓋の入射部に紫外線導光性の光学フアイバー・ケーブルの一端を直結または近接させると共に、かつ上記光ファイバ・ケーブルの他端を任意の個所に配置した紫外線光源と光結合させ、紫外線を便座の表面と便器の内部とに照射できるようにした便座等の殺菌装置が開示されている。
【0015】
しかしながら特許文献3(特開平9−140633)に記載の便座等の殺菌装置もまた紫外線を便座などの表面に照射して殺菌しているために各種の安全対策が必要である。
【0016】
そこで特許文献3(特開平9−140633)の明細書の段落00025には、蓋が紫外線透過性の成型体からなる場合には、蓋の表面からも紫外線が漏れ出ていくので便座の蓋が開状態および閉状態の両方の状態で紫外線が直接肉眼に入らないようにするために、例えばドア・スイッチ付きのほぼ密閉された空間内のトイレでは、ドア・スイッチの出力信号と点灯制御回路82とを連動させることより紫外線光源の点灯を制御することが開示されている。
【0017】
同明細書の段落00026に、このようなドア・スイッチを設けていない場合、またはドア・スイッチと連動させていない場合、例えば焦電効果型の赤外線センサーにより人体の接近を検知し、この検知信号を点灯制御回路に出力し、紫外線光源を消灯させて人間の目に紫外線が入るのを防ぐことが出来ることが開示されている。
【0018】
同明細書の段落00027に、紫外線透過性の蓋の表面に紫外線の反射層を設け、蓋が閉じている場合には紫外線が肉眼に入るのを防ぐことができること、紫外線光源が常時点灯している場合でも、蓋が開いていることを感圧センサーにより検知して、その検知信号を点灯制御回路に出力することにより、紫外線光源を消灯させ、蓋の開閉状態にかかわらず紫外線が肉眼に入るのを防ぐことができることが開示されている。
【0019】
特許文献4(特開2005−23554)には、便器本体内側に光を照射する窒化物系半導体発光素子を備える殺菌便器、前記殺菌便器において便器本体の上側開口部を開閉する蓋体を備え、蓋体の裏面側に窒化物系半導体発光素子を配置した前記殺菌便器、蓋体の開閉を検出する開閉検出手段と、開閉検出手段により蓋体が閉成されてから予め設定された期間だけ、窒化物系半導体発光素子を発光させる手段とを備える殺菌便器が開示されている。
【0020】
また前記蓋体を窒化物系半導体発光素子と一体化させて成型した殺菌便器、前記殺菌便器において窒化物系半導体発光素子が砲弾型の窒化物系発光ダイオードもしくは面実装型の窒化物系発光ダイオードである殺菌便器、前記殺菌便器において蓋体の表面側に配置された表示用発光ダイオードを備える殺菌便器、表示用発光ダイオードを窒化物系半導体発光素子と共に発光もしくは消灯させる殺菌便器が開示されている。
【0021】
前記殺菌便器において、窒化物系半導体発光素子からの照射光の波長が200nm〜410nmの範囲に設定された殺菌便器、前記殺菌便器において、窒化物系半導体発光素子の発光中に、便器内にオゾンを発生させるオゾン発生手段を備える殺菌 便器、便器本体の上側開口部を開閉する蓋体を窒化物系半導体発光素子と一体化させて成型することを特徴とする殺菌便器の製造方法が開示されている。
【0022】
また要約、最適実施の形態には、便座蓋が閉じられると、60秒間だけ、各窒化物系発光ダイオードが発光し、オゾン発生装置が動作すること、各窒化物系発光ダイオードの発光により、紫外線が便器本体の内側面に照射されて、殺菌が行われること、また、オゾン発生装置の動作により、オゾンが便器本体の内側で発生して、殺菌 が行われること、このため、紫外線による殺菌 とオゾンによる殺菌 とが相乗してなされ、殺菌 能力が極めて高くなること、また、便座蓋が閉じられると、70秒間だけ、表示用発光ダイオードが発光することが開示されている。
【0023】
周知のように、紫外線(UV)は波長100nm−380nmの電磁波の総称であり、次に示すように近紫外線UV−A、UV−B、殺菌線UV−Cの3つに大別される。
【0024】
それらの波長領域はそれぞれ、UV−A(315−400nm)、UV−B (280−315nm)、UV−C(100−280nm)である。
【0025】
周知のように、100−280nmの波長領域の紫外線UV−Cは、殺菌作用を発揮するが、紅斑作用や皮膚障害、目の障害を起こし、人体に悪影響をおよぼすので、殺菌線UV−Cを放射する殺菌ランプの取り扱いは十分の注意が必要である。
【0026】
また殺菌線UV−Cは、酸素をオゾンに変換しやすく、多量のオゾンも人体に悪影響をおよぼす。
【0027】
特許文献4(特開2005−23554)に記載の殺菌便器は、窒化物系発光ダイオードの波長が200nm〜410nmの紫外線発光により、紫外線が便器本体の内側面に照射されて、殺菌が行われると記載されているが、上記に説明したように紫外線が殺菌作用を発揮するには100−280nmの波長領域の殺菌線UV−Cが必要である。
【0028】
殺菌ランプにより直接殺菌する場合には、例えば特許文献2(特開平09−285425)に記載のように各種の安全対策が必要である。またアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの通常の透明樹脂は、特に殺菌線UV−Cの長時間の照射により、透明性が失われやすく、クラックを生じる恐れが多い。
【0029】
特許文献5(特開2005−152035)には、高電圧発生装置と放電プラズマ発生部とを備えた高電圧放電を用いた洋式便器の便座殺菌装置が開示されている。
【0030】
しかしながら、特許文献5(特開2005−152035)のように、水、水分の多い環境に設置される便座を殺菌するのに高電圧のプラズマ放電を用いのは、漏電対策などのかなりの安全対策を行う必要がある。
【0031】
特許文献6(特開平11−253544)(明細書の段落0066および図7〜図9)には、便器および便座の表面に光触媒と蓄光部材を備えることが開示されている。
【0032】
特許文献7(特開2004−329916)には、可視光応答光触媒能を有する光活性物質を含む基体と、当該基体を照明可能に配置し、青色の光を主に放射する発光ダイオードとを具備する光触媒装置が開示されている。
【0033】
しかしながら、特許文献7(特開2004−329916)の光触媒装置には、トイレ装置に応用することがなんら開示されていない。
【0034】
特許文献8(特開2001−108856号公報)、特許文献9(特開2002−202415号公報)には、光ファイバの側面から発光する発光漏光型(側面発光型)光ファイバが開示されている。
【0035】
可視光応答型光触媒として、例えば、特許文献10(特開2004−988号、特許第3601532号公報)に、酸化チタン結晶の酸素サイトの一部を窒素原子で置換したTi−O−N構成を含み、チタン原子と窒素原子との化学結合を有する、可視光領域において光触媒作用を発現する可視光応答型光触媒物質(窒素ドープ酸化チタン)が開示されている。
【0036】
可視光応答型光触媒として、例えば、特許文献11(特開2002−239395号公報)、特許文献12(特開2004−73910号公報)に、酸化チタンなどの光触媒粒子の表面にハロゲン化白金化合物を含有している、可視光の照射下で励起可能な可視光応答型光触媒(白金化合物担持酸化チタン)が開示されている。
【0037】
可視光応答型光触媒として、例えば、特許文献13(特開2004−143032号公報)に、硫黄原子を陽イオンとして含有することを特徴とする可視光領域でその活性を発現するチタン、ジルコニウム、タンタルおよびストロンチウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の酸化物または複合酸化物である含硫黄金属酸化物からなる可視光応答型光触媒8硫黄ドープ酸化チタン)が開示されている。
【特許文献1】特公平07−93913号公報
【特許文献2】特開平09−28542号公報
【特許文献3】特開平9−140633号公報
【特許文献4】特開2005−2355号公報
【特許文献5】特開2005−152035号公報
【特許文献6】特開平11−253544号公報 (明細書の段落0066および図7〜図9)
【特許文献7】特開2004−329916号公報
【特許文献8】特開2001−108856号公報
【特許文献9】特開2002−202415号公報
【特許文献10】特開2004−988号号公報
【特許文献11】特開2002−239395号公報
【特許文献12】特開2004−73910号公報
【特許文献13】特開2004−143032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
本発明は、上述の特許文献1(特公平7−93913号公報)、特許文献3(特開平9−140633号公報)、特許文献4(特開2005−2355号公報)、特許文献5(特開2005−152035号公報)の発明の各種の問題点を除去するものである。
【0039】
また本発明は、本発明者による特許文献2(特開平09−285425)の発明を更に改良するものである。
【0040】
また本発明は、紫外線を使用することなく便座または便座カバーを殺菌する光抗菌トイレ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0041】
本発明の光抗菌トイレ装置は、基本的に、便座または前記便座に着脱可能に設けられた便座カバーと、前記便座または前記便座カバーに配置された可視光応答型光触媒と、前記可視光応答型光触媒を励起する可視光発光型半導体発光素子を備える。
【0042】
本発明の一態様は、便座または前記便座に着脱可能に設けられた便座カバーと、前記便座または前記便座カバーに配置された可視光応答型光触媒と、前記便座または前記便座カバーに配置された少なくとも一つの可視光発光型半導体発光素子を備え、前記可視光応答型光触媒が前記可視光発光型半導体発光素子からの可視光線により励起される、光抗菌トイレ装置である。
【0043】
本発明の他の態様は、便座または前記便座に着脱可能に設けられた便座カバーと、前記便座または前記便座カバーに配置された可視光応答型光触媒と、少なくとも一つの可視光発光型半導体発光素子と、前記可視光発光型半導体発光素子からの可視光線を受光する漏光型光ファイバを備え、前記可視光応答型光触媒が前記漏光型光ファイバから漏洩した可視光線により励起される、光抗菌トイレ装置である。
【0044】
本発明のその他の態様は、便座または前記便座に着脱可能に設けられた便座カバーと、前記便座または前記便座カバーに開閉自在に設けられた蓋と、前記便座または前記便座カバーに配置された可視光応答型光触媒と、前記蓋に配置され可視光線を含む残光性発光を生じる蓄光体を備え、前記可視光応答型光触媒が前記蓄光体からの可視光線により励起される、光抗菌トイレ装置である。
【0045】
本発明の更にその他の態様は、光透過性を有する前面板状部材と裏面板状部材と前記前面板状部材と前記裏面板状部材間の空洞からなる便座と、前記前面板状部材に配置された可視光応答型光触媒と、少なくとも一つの可視光発光型半導体発光素子を備え、前記可視光発光型半導体発光素子が部分的または全面的に前記前面板状部材の内部、または、前記空洞の内部に配置され、前記可視光応答型光触媒が前記前面板状部材を経由して前記可視光発光型半導体発光素子からの可視光線により励起される、光抗菌トイレ装置である。
【0046】
前述の本発明の態様における一実施の形態において、前記便座または前記便座カバーの少なくとも主要部が板状またはシート状の光透過性樹脂部材からなり、前記漏光型光ファイバを部分的または全面的に前記透過性樹脂部材内に埋設しても良い。
【0047】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記漏光型光ファイバが、その側面のほぼ全面から光線を漏洩する漏洩型プラスチック光ファイバであっても良い。
【0048】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記漏光型光ファイバが、その側面から方向性を有する光線を漏洩するプラスチック漏洩型光ファイバであっても良い。
【0049】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記漏光型光ファイバが、側面のほぼ全面から光線を漏洩する漏洩型光ファイバまたは伝達光線を側面から方向性の光線を漏洩する漏洩型光ファイバであっても良い。
【0050】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記蓋が光透過性樹脂からなるほぼ輪状の輪状部材と前記輪状部材の内側に平面的に配置されて一体化された中央部材からなり、前記蓄光体が前記輪状部材に配置されても良い。
【0051】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記蓋が光透過性樹脂からなるほぼ輪状の輪状部材と前記輪状部材の内側に配置されて一体化された中央部材からなり、前記輪状部材の内部に複数の蓄光性蛍光体粒子からなる前記蓄光体を分散して成型した蓄光性樹脂成型部材からなっても良い。
【0052】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記蓋が光透過性樹脂からなるほぼ輪状の輪状部材と前記輪状部材の内側に配置されて一体化された中央部材からなり、複数の蓄光性蛍光体粒子を含有したシート状または膜状の蓄光部材を前記輪状部材の表面に配置しても良い。
【0053】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、光透過性を有する前記裏面板状部材に前記可視光応答型光触媒を配置し、前記可視光応答型光触媒が前記前面板状部材と前記裏面板状部材を経由して前記可視光発光型半導体発光素子からの可視光線により励起されても良い。
【0054】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記便座に暖房用電熱ヒーターを配置し、前記電熱ヒーターを前面板状部材の内面に近接または密着または固着して配置しても良い。
【0055】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記便座に前記便座の暖房用電熱ヒーターを前面板状部材の内面または前記空洞に備え、前記電熱ヒーターを前記可視光発光型半導体発光素子からの可視光線をほとんど遮蔽しない箇所に配置しても良い。
【0056】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記便座または前記便座カバーが板状またはシート状の光透過性樹脂部材を有し、前記可視光応答型光触媒が前記光透過性樹脂部材の少なくとも前面に配置されても良い。
【0057】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記便座または前記便座カバーが板状またはシート状の光透過性樹脂部材を有し、前記可視光応答型光触媒が前記光透過性樹脂部材の少なくとも前面および裏面に配置されても良い。
【0058】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記便座または前記便座カバーの少なくとも主要部が板状またはシート状の光透過性樹脂部材からなり、前記可視光線発光型半導体発光素子が部分的または全面的に前記光透過性樹脂部材に埋設されても良い。
【0059】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記便座または前記便座カバーの少なくとも主要部が板状またはシート状の光透過性樹脂部材からなり、前記光透過性樹脂部材を光導波路として、前記可視光線発光型半導体発光素子からの可視光線を、前記光透過性樹脂部材の前面と裏面との間を反射を繰り返して伝達かつ拡散させると共に、前記光透過性樹脂部材から漏洩させ、その漏洩光線により前記光触媒を励起しても良い。
【0060】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記可視光発光型半導体発光素子が前記光触媒を励起する可視光波長帯域の第1の可視光線と、前記光触媒を励起しない可視光波長帯域の第2の可視光線を発し、第2の可視光線を前記便座または前記便座カバーまたは前記蓋から出射させても良い。
【0061】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記光触媒を励起する前記可視光発光型半導体発光素子に追加して前記光触媒を励起しない照明または表示用可視光発光型半導体発光素子を設け、前記照明または表示用可視光発光型半導体発光素子を前記便座または前記便座カバーまたは前記蓋から出射させても良い。
【0062】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記便座を暖房する暖房用電熱ヒーターを前記便座または前記便座カバーに配置しても良い。
【0063】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記便座または前記便座カバーが光透過性樹脂部材を有し、前記可視光発光型半導体発光素子が前記光透過性樹脂部材に埋設して配置されても良い。
【0064】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記可視光発光型光触媒半導体発光素子が紫外線をほとんど含まず主として青色光線を含む可視光線を発光し、前記可視光応答型光触媒が前記半導体発光素子からの青色光線を含む可視光線により励起されても良い。
【0065】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記便座または前記便座カバーの着座表面と非着座表面に前記可視光応答型光触媒を配置し、前記可視光発光型半導体素子または前記漏洩型光ファイバから前記着座表面上の前記可視光応答型光触媒へ向けて前記非着座表面より照射輝度の高い出射光線を照射しても良い。
【0066】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記可視光発光型半導体発光素子を、前記便座または前記便座カバーに設ける替りに、前記蓋または前記蓋の前記輪状部材に前記可視光発光型半導体発光素子を設け、前記可視光発光型半導体発光素子は、前記可視光発光型半導体発光素子からの可視光線が前記蓋の閉成時に前記便座または前記便座カバーの表面を指向するように、前記蓋の裏面または前記輪状部材の前記光透過性樹脂に配置しても良い。
【0067】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、前記漏光型光ファイバを、前記便座または前記便座カバーに設ける替りに、前記蓋または前記蓋の前記輪状部材に設け、前記漏光型光ファイバからの漏洩した可視光線が前記蓋の閉成時に前記便座または前記便座カバーの表面を指向するように、前記漏光型光ファイバは、前記蓋の裏面または前記輪状部材の前記光透過性樹脂に配置されても良い。
【0068】
前述の本発明の態様における他の実施の形態において、複数の光散乱粒子を前記便座または前記便座カバーに含有しても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0069】
最初に、従来および本発明の各種の実施の形態の光抗菌トイレ装置に共通な構成要素を図1、図2、図3、図4を参照して説明する。
【0070】
図1はトイレ装置の便座と蓋を共に閉成した時の側面を示す概略立面図、図2はトイレ装置の便座と蓋を共に開成した時の側面を示す概略立面図、図3はトイレ装置の便座を閉成し、かつ蓋を開成した時の側面を示す概略立面図、図4はトイレ装置の便座と蓋を共に閉成した時の正面を示し、蓋のほぼ半分を切り欠いて示す概略正面図である。
【0071】
図1ないし図4において、トイレ装置は一般的に便器30と便座100、140、150と蓋200、210からなる。
【0072】
便座100、140、150と蓋200、210は開閉部材50を支点として開閉自在に構成されている。
【0073】
開閉部材50は支持具40により、便器30の表面の後方に固定されている。
【0074】
図1、図4に示す状態において、トイレ装置の便座100、140、150と蓋200、210が共に閉成されている。
【0075】
便座100、140、150はその底面に複数のゴム足10aを有し、便器30の表面に置かれている。
【0076】
蓋200、210はその底面に複数のゴム足(弾性足)10aを有し、便座100、140、150の表面に置かれている。
【0077】
図2に示す状態において、トイレ装置の便座100、140、150と蓋200、210は共に開成され、共に便器30の表面の後方に立設されている。
【0078】
図3に示す状態において、便座100、140、150は閉成され、便座100、140、150のゴム足10aにより便器30の表面に置かれている。そして蓋20は開成され、便器30の表面の後方に立設されている。
【0079】
便座100、140、150はその底面に複数のゴム足10aを有し、便器30の表面に置かれている。蓋20はその底面に複数のゴム足10bを有し、便座100、140、150の表面に置かれている。
【0080】
本発明の各種の実施の形態において使用できる可視光応答型光触媒、可視光発光ダイオード(可視光発光型半導体発光素子)、蓄光性蛍光体(蓄光体、蓄光部材)について説明する。
【0081】
(可視光応答型光触媒)
【0082】
本発明に使用できる可視光応答型光触媒としては、市販されている例えば、下記の(a)乃至(c)の可視光応答型光触媒が挙げられる。
【0083】
(a)石原産業株式会社(ISHIHARA SANGYO KAISHA, LTD.)製の酸化チタンに白金化合物を担持した可視光励起型光触媒粉体(銘柄MPT−621、MPT−623など)。
【0084】
(b)豊田中央研究所が開発した窒素ドープ酸化チタン(TiO−N)。
【0085】
(c) 積水樹脂株式会社から市販の酸化チタンに硫黄カチオンを導入し、鉄を担持させたもの。
【0086】
本発明に用いられる可視光応答型光触媒は、例えば、特許文献10(特開2004−988号号公報)、特許文献11(特開2002−239395号公報、)特許文献12(特開2004−73910号公報)、特許文献13(特開2004−143032号公報)、他の多数の特許文献に開示されている可視光応答型光触媒を使用できる。
【0087】
本発明に用いられる可視光応答型光触媒は、これらに限定されず可視光を受けて光触媒活性を示す任意の可視光応答型光触媒を使用できる。
【0088】
(可視光発光ダイオード)
【0089】
本発明に使用できる可視光線発光ダイオードとしては、例えば窒化ガリウム (GaN)、インジウム窒化ガリウム(InGaN)、酸化亜鉛(ZnO)などの青色可視光を主とする可視光線を発する半導体チップを用いたものである。
【0090】
または本発明に使用できる可視光線発光ダイオードとしては、例えば窒化ガリウム(GaN)、インジウム窒化ガリウム(InGaN)などの近紫外光線を発光する半導体チップを埋設する透明樹脂カプセルの内部に近紫外光線を青色などの可視光線に変換する蛍光体粒子を分散したもの、または上記透明樹脂カプセルの外面に近紫外光線を青色などの可視光線に変換する蛍光体を被覆して、実質的に青色などの可視光線を発光するものである。
【0091】
本発明に好適に使用できる青色を主として発光し、紫外線(近紫外線)をほとんど発光しない青色可視光線発光ダイオードは例えば豊田合成株式会社、日亜化学工株式会社、米国ルミレッズ社(Lumileds Lighting U.S.,LLC)、米国クリ―社(Cree,Inc.)などから市販されている。
【0092】
(蓄光性蛍光体)
【0093】
近紫外線のエネルギーを蓄積し、紫色、青色などの短波長可視光を残光発光する本発明に好適に使用できる蓄光性蛍光体(蓄光性蛍光体)を、次に列挙する。
【0094】
この蓄光性蛍光体(蓄光性蛍光体)としては、根本特殊化学株式会社 (NEMOTO & CO.,LTD)製のルミノーバ(登録商標)蓄光顔料である、励起波長帯域200nm−450nm程度、励起ピーク波長365nm、発光ピーク波長490nm、発光色(青色)、化学組成Sr4Al14O25:Eu,Dyの青色発光蓄光顔料 (BG−300シリーズ、品名BG−300M、BG−300F、BG−300FF)、 励起ピーク波長325nm、発光ピーク波長440nm、発光色(紫色)、化学組成CaAl2O4:Eu,Ndの紫色発光蓄光顔料 (V−300シリーズ、品名V−300C、V−300M)などが挙げられる。
【0095】
また、この蓄光性蛍光体(蓄光性蛍光体)としては、日亜化学工業株式会社(NICHIA CORPORATION,JAPAN)から市販されている蓄光蛍光体、長残光発光体「ウルトラ・グロー(商品名)」(ULTRA GLOW)、品番NP−2810:発光色;青紫色、発光ピーク波長;440nm、化学組成;CaAl2O4Eu,Nd、品番NP−2820:発光色;青緑色、発光ピーク波長;490nm、化学組成;Sr4Al14O:Eu,Dyなどが挙げられる。
【0096】
また、この蓄光性蛍光体(蓄光性蛍光体)としては、ドイツ国、ハネウエル スペシャリティ ケミカルズ シールズ ジーエムビーエッチ社の「LUMILUX(登録商標)Effect顔料」(LUMILUX TM EFFECT PIGMENTS)の呼称で市販されているEffect Blue SN (品番50034、励起光:UV、太陽光、発光色: 青色)、Effect Blue SN−F2 (品番50036、励起光: UV、 太陽光、発光色: 青色)が挙げられる。
【0097】
また、この蓄光性蛍光体(蓄光性蛍光体)としては、米国ディグロ カラー株式会社 (DAYBLO COLOR CORPORTION, U.S.A.) から市販されている蓄光蛍光体「ナイトグロ」(登録商標)」、”NightGlo” Trade Mark)の例えば品番NGX−19:発光色;青色、発光ピーク波長;470nm、化学組成;Sr2MgSi2O7:Dy,Euなどが挙げられる。
【0098】
(本発明の光抗菌トイレ装置の一実施の形態)
【0099】
この実施の形態では、便座100、140、150の少なくとも着座表面が光抗菌化される。
【0100】
この実施の形態の本発明の光抗菌トイレ装置を図5、図6、図7(および図1乃至図4)を参照して説明する。
【0101】
図5、図6、図7(および図1乃至図4)は本発明のトイレ装置の一実施の形態を示し、図5は主として蓋を示す概略的な正面図、図6は便座を示す概略的な正面図、図7は図1における点線で囲った部分60を拡大して示す概略的な部分拡大断面図である。
【0102】
図7に示すように便座100は、前記便座100に配置された光触媒110を含有する光触媒部材112と、便座100に配置された少なくとも一つの半導体発光素子300を備えている。
【0103】
光触媒110は可視光線により励起される可視光応答型光触媒からなり、半導体発光素子300は可視光線を発光する少なくとも一つの可視光発光型半導体発光素子からなり、光触媒110が半導体発光素子300からの可視光線により励起される。
【0104】
図6、図7に示すように、便座100は着座表面を有するほぼリング状の形状を有する例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂、ABS樹脂、エポキシ樹脂などの光透過性樹脂114からなることができる。
【0105】
ポリカーボネート樹脂(PC)は、アクリル樹脂(PMMA)と比較して衝撃強度(衝撃強度の比率PC:75〜100、PMMA:1.6〜2.2)、連続使用温度(PC:110℃、PMMA:60〜93℃)などが非常に大きいが、ポリカーボネート樹脂(PC)は元来、紫外線を多量に受けると化学的な分子構造の変化が発生し、表面劣化し変色(黄変)する。
【0106】
本発明では、前述の先行技術のように紫外線発光ランプ、紫外線発光型半導体発光素子と紫外線応答型光触媒を用いる替わりに、可視光発光型半導体発光素子と可視光応答型光触媒を用いているので、便座100の光透過性樹脂114として、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂、ABS樹脂、エポキシ樹脂などの任意の透明または半透明樹脂を用いることができる。
【0107】
光透過性樹脂114からなる便座100内には、給電線(図示せず)を形成した片面プリント配線基板320の表面に青色を含む可視光線領域の光線を出射する少なくとも一つの可視光線発光ダイオード(可視光線発光半導体素子)300が実装、配置されている。
【0108】
可視光線発光ダイオード300の一対の給電電極300bは前記給電線と半田などにより接続されている。
【0109】
可視光線発光ダイオード300の光出射面300aから出射した発光光線は光透過性樹脂114を経由して光触媒部材112をその裏面側から照射し、光触媒部材112に含有している光触媒粒子110を励起する。
【0110】
複数の可視光線発光ダイオード300を実装した片面プリント配線基板320からなる可視光線発光部材を光透過性樹脂114内に埋設して一体成型するのが防湿対策、防水対策、漏電対策などから望ましい。
【0111】
シート状、膜状の光触媒部材112は、便座100の着座表面に配置される。
【0112】
図5、図7に示すように、蓋200は例えば光透過性を有するほぼ「O」または「C」の文字形状を有する輪状部材201と、輪状部材201の内側にある中央部材202とからなり、輪状部材201と中央部材202は平面的に一体化されている。
【0113】
輪状部材201は例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂、ABS樹脂、エポキシ樹脂などの窓から入射する太陽光または室内照明用蛍光灯から発する可視光線と近紫外線をよく透過する光透過性樹脂からなる。
【0114】
中央部材202は光透過性を有しないまたは着色した任意の樹脂からなっても良い。
【0115】
本実施の形態では、図5、図7に示すように、蓋200は光透過性の輪状部材201には、その内部に前記蓄光部材からなる複数の蓄光粒子203が分散して含有している。
【0116】
輪状部材201は、光透過性樹脂と前記光透過性樹脂に担持した、近紫外線のエネルギーを蓄積し、近紫外線の照射停止後に所定時間、青色の可視光線を残光性発光する蓄光性蛍光体(蓄光体、蓄光性部材)からなることができる。
【0117】
輪状部材201は、近紫外線のエネルギーを蓄積し、近紫外線の照射停止後に所定時間、青色の可視光線を残光性発光する複数の蓄光性蛍光体(蓄光性蛍光体)の複数の粒子を光透過性樹脂に分散して成型した蓄光性樹脂成型部材であっても良い。
【0118】
便座100の光触媒部材112の詳細を図9、図10、図11、図12を参照して説明する。
【0119】
図9、図10、図11、図12は、それぞれ図7に示す便座100の参照符号70で示す部分(各種の光触媒部材112)を拡大して示す概略的な拡大断面図である。
【0120】
(a)図9に示す光触媒部材112A(112)は、可視光応答型光触媒材料からなる複数の可視光応答型光触媒粒子110を例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などの光透過性樹脂を含有する光透過性樹脂シート111内に分散した光触媒含有シート112Aである。
【0121】
この光触媒含有シート112Aは、便座100の少なくとも着座表面に、接着材(または粘着材)120により接着(または粘着)されている。
【0122】
(b)図10に示す光触媒部材112B(112)は、光透過性樹脂111を含有するバインダーに複数の可視光応答型光触媒粒子110を分散した光触媒塗料を、便座100の着座表面に塗布、乾燥させて可視光応答型光触媒含有膜112B(112)を形成しても良い。
【0123】
(c)図10に示す光触媒部材112C(112)は、光触媒前駆動体を含有する光触媒塗料を便座100の少なくとも着座表面に塗布、乾燥させ、その後に加熱により可視光応答型光触媒を形成させて光触媒粒子110を含有した可視光応答型光触媒含有膜112C(112)を得ても良い。
【0124】
(d)図11に示す光触媒部材112D(112)は、便座100の着座表面に光触媒材料をスパッタリング、CVDなどの気相沈着法により堆積させて光触媒粒子110からなる可視光応答型光触媒堆積膜112D(112)を得ても良い。
【0125】
(e)図12に示す光触媒部材112E(112)は、加熱によって軟化する熱可塑性樹脂からなる便座100の着座表面を軟化する温度以上に加熱し、加熱したまたは常温の光触媒粒子110を噴射して光触媒粒子110からなる可視光応答型光触媒膜112E(112)を得ても良い。
【0126】
その後に常温まで冷却することにより、可視光応答型光触媒膜112Eは便座100に固定される。
【0127】
この場合には、図12示のように光触媒粒子110が便座100の着座表面内に部分的に埋設され、着座表面から容易に剥離しない可視光応答型光触媒膜112Eが得られる。
【0128】
更に上記(a)、(b)において、光透過性樹脂111内に光透過性樹脂と異なる屈折率を有する透明樹脂ビーズなどの複数の光拡散粒子、光散乱粒子(図示せず)を分散して入射した光線を光透過性樹脂111内で拡散、散乱しても良く、それにより光触媒粒子110の全表面にわたって光線を照射できる確率が増加する。
【0129】
図6、図7では可視光線発光ダイオード300としては、上面(頂面)に光出射面300aを有し、底面にカソード電極とアノード電極からなる一対の給電電極300bを有し、トップビュー型かつ面実装(SMD)型の可視光線発光ダイオード300が示されている。
【0130】
この面実装(SMD)型の可視光線発光ダイオード300は、光出射面300aからの出射光線の光拡散角度が広いので、砲弾型発光ダイオードより少ない数でシート状、膜状の光触媒部材112を照射できる。
【0131】
また面実装(SMD)型の可視光線発光ダイオード300は、砲弾型発光ダイオードより厚みが小さいので便座100全体を薄くできる。
【0132】
しかしながら、面実装(SMD)型の可視光線発光ダイオード300に限定されず砲弾型発光ダイオードを用いても良い。
【0133】
また、後述するように、トップビー型かつ面実装(SMD)型の可視光線発光ダイオード300に限定されず側面に発光面を有するサイドビー型かつ面実装(SMD)型の可視光線発光ダイオードを用いても良い。
【0134】
可視光線発光ダイオード300の代わりに、少なくとも一方が透明な一対のシート状電極間に無機または有機発光半導体膜を挟んだ構造のエレクトロルミネッセンス装置からなる可視光線発光半導体素子を用いてもよい。
【0135】
便座100内の可視光線発光ダイオード300を点灯すると、可視光線発光ダイオード300の光出射面300bから少なくとも青色光線が出射され可視光応答型光触媒部材110を照射する。
【0136】
可視光応答型光触媒部材110は、少なくとも青色光線を吸収して励起され、光触媒活性を発揮する。
【0137】
この実施の形態では、図7に示すように、通常、未使用時に、便座100を覆う蓋200に蓄光部材203を担持し、便座100には蓄光部材203を担持せずに光触媒110のみが担持されている。
【0138】
この実施の形態では、通常、未使用時に、蓋200に照明光または自然光が照射されて、照明光または自然光に含まれる近紫外線により蓄光部材203が励起され、蓄光部材203から残光性の青色を含む可視光線を発生し、この可視光線が蓋200と近接状態にある光触媒担持便座100を照射して光触媒担持便座100の光触媒110励起できる。
【0139】
特許文献6(特開平11−253544)(明細書の段落0066および図7〜図9)には、便器および便座の表面に光触媒と蓄光部材を備えることが開示されている。
【0140】
通常、未使用時に、便座に開閉自在な通常、光透過性を有さない蓋がかぶせられており、特許文献6に開示された便座のように便座の表面に光触媒と蓄光部材を配置しても、便座には照明光または自然光がほとんど照射されなく、光触媒と蓄光部材は励起されないので光触媒と蓄光部材の機能を発揮できない。
【0141】
この実施の形態では、便座100に可視光線発光ダイオード300を内蔵して配置しているので、可視光線発光ダイオード300の点灯時には、光触媒部材112を有する便座100が光触媒活性を発現する。
【0142】
更に、便座100に蓋200がかぶせられている便座100の未使用時に可視光線発光ダイオード300を点灯しなくても、蓋200に担持した蓄光体203からの可視光線の照射により、光触媒部材112を有する便座100が光触媒活性を発現する。
【0143】
したがって可視光線発光ダイオード300からの可視光線または蓄光部材203からの可視光線の照射により、光触媒部材112を有する便座100が光触媒活性を発現する。
【0144】
この実施の形態では、蓋200の輪状部材201の光透過性樹脂板201に蓄光体203を担持しているが、光透過性樹脂板201に蓄光体203を担持しなくてもよい。
【0145】
この場合、便座100の未使用時にも光透過性樹脂板201を透過する可視光線(照明光線または自然光線)により便座100に担持した光触媒部材112を励起して光触媒活性を発現する。
【0146】
これらにより光触媒部材112を有する便座100の少なくとも着座表面に付着したばい菌、汚染有機物などの付着物は分解されて清潔になり、抗菌化され、便座100はセルフクリーニング(自己洗浄、自己浄化)され、常時、清潔に保たれる光抗菌便座となる。
【0147】
可視光線発光ダイオード300は、便座100と蓋200が図5、図6、図7 (図1示または図2示の状態)に示すように互いに重なって対向するときに点灯しても、便座100と蓋200が図3示の状態に示すように互いに離れているときに点灯しても良い。
【0148】
本実施の形態では可視光線発光ダイオード300を用いているので、図1示、図2示、図3示のすべての状態において便座100に配置した可視光線発光ダイオード300から可視光線が外部に漏れ出て人間の眼などを照射しても安全であり、人体に対して何ら悪い影響を与えない。
【0149】
便座100が光殺菌中、光抗菌中であることをユーザーに発光表示するために積極的に可視光線発光ダイオード300から可視光線が外部に出射させても良い。
【0150】
このように可視光線が外部に出射させるために、便座100の着座表面を除く表面の部分に光触媒膜(光触媒部材)を欠如させてもよく、または可視光線発光ダイオード300として光触媒部材112、光触媒粒子110を励起し得る青色光線のみならず緑色、赤色を含む白色光線を発する例えば白色発光可視光線発光ダイオードを用いても良い。
【0151】
白色発光可視光線発光ダイオード300を用いるときには青色光線が光触媒部材112で吸収され、緑色、赤色光線は光触媒部材112を透過して便座100の外部から観察できる。
【0152】
管球型発光ランプは、ガラス管を用いているために機械的な衝撃で破損しやすく、特に開閉自在な便座、蓋に配置した場合に便座、蓋と便器の表面に当たる閉成に受ける衝撃で破損しやすい。
【0153】
可視光線発光ダイオード300などの半導体発光素子は、管球型発光ランプと比較して機械的な衝撃に強く、また消費電力は数分の1と極めて低い。
【0154】
可視光線発光ダイオード300は常時点灯する必要はなく、タイマー回路を使用して間欠的に点灯すれば更に省電力となる。
【0155】
この実施の形態では、可視光線発光ダイオード300が非点灯時でも、蓋200は光透過性樹脂からなるので、外部から入射した光線を透過して、蓋200と対向する便座100の表面の光触媒部材112を励起して光触媒活性を発揮する。
【0156】
この実施の形態では、図1、図7に示すように蓋200と便座100が重なって便器30の表面30aに位置している場合に、可視光線発光ダイオード300が非点灯時でも、蓋200の光透過性樹脂201に蓄光性蛍光体(蓄光性蛍光体粒子)203を含有しているので、蓄光性蛍光体203が室内照明用蛍光灯、自然光に含まれる近紫外線を吸収してそのエネルギーを蓄積して青色光線を所定時間残光発光する。
【0157】
蓋200に含有している蓄光性蛍光体203からの青色残光発光により、蓋200と対向する便座100の表面の可視光応答型光触媒部材11を励起し得る。
【0158】
この実施の形態では、図3に示すように蓋200が立っていて、便座100が便器30の表面30aに位置している場合に、可視光線発光ダイオード300が非点灯時でも、便座100の着座面(表面の主要面)の光触媒部材112は室内照明光、自然光を受けることができ、この光線によって光触媒部材112は励起される。
【0159】
図2に示すように蓋200と便座100が共に立っている場合でも、プリント配線基板320に部分的に貫通孔を設けるか、またはプリント配線基板320を光透過性部材とすることによりプリント配線基板320を少なくとも部分的に光透過性とするときには、便座100の裏面から入射した室内照明光、自然光が光透過性樹脂114と発光ダイオード300の非実装箇所を経由して光触媒部材112の裏面を照射して光触媒部材112は励起される。
【0160】
本実施の形態では、可視光応答型光触媒部材11を用いることにより、光触媒部材11を励起するために発光ダイオード300として紫外線領域の光線を含まない青色光線を含む可視光線発光ダイオード300を使用できる。
【0161】
一方、紫外線領域の光線を発する紫外発光ダイオードは、紫外発光ダイオードからの紫外線が人間の眼および人体に直接当たると人間の眼および人体に悪い影響を及ぼすことがあるので、十分な安全対策を備えるなど、安全上での注意が必要である。
【0162】
本実施の形態では、便座100内に配置した可視光線発光ダイオード300からの青色光線の大部分は可視光応答型光触媒部材11で吸収されるが、本実施の形態の光抗菌トイレ装置100および200は、可視光線を用いているので光線が便座100の光触媒部材11から外部に出射して漏れ出ても何ら人体、眼に悪影響を与えないので極めて安全である。
【0163】
一方、紫外発光ダイオードを用いた場合でも、紫外光線発光ダイオードからの紫外光線の大部分は光触媒部材で吸収されるが、紫外光線の一部分は光触媒部材を透過して外部に出射して人体、眼に悪影響を与える恐れがある。
【0164】
従って、人体、眼に悪影響を与えないように先行技術で記した十分な安全対策が必要である。
【0165】
また便座110を長期間使用して光触媒部材112が磨耗し、または一部が剥離することが予想される。
【0166】
紫外発光ダイオードなどの紫外発光光源を用いた場合には、光触媒部材112の磨耗部分、または剥離部分から紫外光線が外部に漏れでる恐れがある。
【0167】
一方、本実施の形態では可視光線発光ダイオード300を用いているので、光触媒部材112の磨耗部分、または剥離部分から光線が外部に漏れ出ても可視光線なので安全上の恐れは全く存在しない。
【0168】
光抗菌トイレ装置100および200は、可視光線発光ダイオード300からの人体、眼に悪影響を与えない青色光線の一部分を外部に出射させることにより便座100が光抗菌中であることをユーザーに知らせると共に、夜間などの暗所でも便座100の存在箇所を知らせることができる。
【0169】
可視光線発光ダイオード300として、光触媒部材112に吸収される青色のみならず光触媒部材112に吸収されない緑色、赤色などの他の可視光線を発する可視光線発光ダイオードを用いて便座110の表面から積極的に単色または白色など混合色の任意のカラー光線を出射させて照明、表示用、美的効果用に供することができる。
【0170】
(本発明の光抗菌トイレ装置の他の実施の形態)
【0171】
この実施の形態では、便座10の前面と共に裏面も光抗菌化される。
【0172】
この実施の形態を図8(図1における点線で囲った部分60を拡大して示す概略的な部分拡大断面図)、図5、図6を参照して説明する。
【0173】
図5、図6、図7と共に説明した前記一実施の形態と同一部分、同一部分については、ここではできるだけ省略する。
【0174】
この実施の形態を図8(図1における点線で囲った部分60を拡大して示す概略的な部分拡大断面図)、図5、図6を参照して説明する。
【0175】
この実施の形態でも、図5、図7に示すように、蓋200は光透過性を有するリング状の輪状部材211と、光透過性を有しない輪状部材211の内側にある中央部材202とからなり、輪状部材211と中央部材202は一体化されている。
【0176】
図6、図8に示すように、便座140は着座表面を有するほぼリング状の形状を有する例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂、ABS樹脂、エポキシ樹脂などの光透過性樹脂114からなることができる。
【0177】
便座10の前面には、複数の光触媒粒子110aを光透過性樹脂111aに分散した、または複数の光触媒粒子110aの堆積層からなるシート状またはフィルム状の光触媒部材112Eが配置されている。
【0178】
更に便座10の裏面には、複数の光触媒粒子110bを光透過性樹脂111bに分散した、または光触媒粒子110bの堆積層からなるシート状またはフィルム状の光触媒部材112Fが配置されている。
【0179】
光触媒部材112E、112Fとしては、既に記述した光触媒部材112A、光触媒部材112B、光触媒部材112C、光触媒部材112Dの何れを用いても良い。
【0180】
光透過性樹脂114からなる便座140内には、給電線を形成した両面配線型プリント配線基板321の前面に青色を含む可視光線領域の光線を出射する可視光線発光ダイオード(可視光線発光半導体素子)300A を少なくとも一つ実装し、更に両面配線型プリント配線基板321の裏面に青色を含む可視光線領域の光線を出射する可視光線発光ダイオード300Bを少なくとも一つ実装している可視光線発光部材300A、300B、320が配置されている。
【0181】
従って、第一の可視光線発光ダイオード300Aからの青色を含む可視光線が、便座140の前面に設けられた第一の光触媒部材112Eを照射して、第一の光触媒粒子110aを励起する。
【0182】
更に、第二の可視光線発光ダイオード300Bからの青色を含む可視光線が、便座140の裏面に設けられた第二の光触媒部材112Fを照射して、第二の光触媒粒子110bを励起する。
【0183】
第一の光触媒部材112Eと第二の光触媒部材112Fが励起されることにより、便座140の前面と裏面が光触媒作用を発揮して共に光抗菌化される。
【0184】
プリント配線基板321は、発光ダイオード300A 、300Bを実装していない複数の箇所に光透過性の貫通孔を設けるか、またはプリント配線基板321自体を光透過性の樹脂で構成してもよい。
【0185】
図8に示すように、蓋210は、少なくとも輪状部材が光透過性の樹脂板211と、光透過性樹脂板211の内面に蓄光性蛍光体粒子203を分散した光透過性樹脂204からなるシート状、膜状などの蓄光部材205が形成されている。
【0186】
この実施の形態では、図8に示すように、蓋210と便座140が重なって便器30の表面30aに位置している場合に、可視光線発光ダイオード300A、300Bが非点灯時でも、室内照明用蛍光灯、自然光に含まれる近紫外線が、蓋210の光透過性部材211を経由して蓄光部材205に照射される。
【0187】
このときに蓄光部材205内の蓄光性蛍光体粒子203は近紫外線を吸収してそのエネルギーを蓄積して青色光線を所定時間残光発光する。
【0188】
蓋210に含有している蓄光性蛍光体203からの青色残光発光により、蓋210と対向する便座140の表面の可視光応答型光触媒部材11を励起し得る。
【0189】
蓋210が立っていて便座140が便器の表面に位置している場合に、可視光線発光ダイオード300A、300Bが非点灯時でも、便座140の着座面(前面の主要面)の光触媒部材112Eは室内照明光、自然光を受けることができ、この光線によって光触媒部材112Eは励起され、便座140の着座面は光抗菌化される。
【0190】
蓋210と便座140が共に立っている場合でも、可視光線発光ダイオード300A、300Bが非点灯時でも、便座140の裏面の光触媒部材112Fは室内照明光、自然光を受けることができ、この光線によって光触媒部材112Fは励起され、便座140の裏面は光抗菌化される。
【0191】
(本発明のトイレ装置の他の実施の形態)
【0192】
この実施の形態の光抗菌トイレ装置は、便座が内部に空洞を有する一対の板状部材からなる二層型(二板型)である。
【0193】
図13、図14、図6を参照してこの実施の形態の光抗菌トイレ装置の他の実施の形態を説明する。
【0194】
図13はこの実施の形態の光抗菌トイレ装置を示す概略的斜視図、図14はこの実施の形態の光抗菌トイレ装置の便座を示す一部を切り欠いた概略的斜視図、図15はこの実施の形態の光抗菌トイレ装置の便座を部分的に示す概略的斜視図である。
【0195】
この実施の形態の光抗菌便座150は、前面板状部材150Aと裏面板状部材150Bと前記前面板状部材150Aと前記裏面板状部材間150Bの間に存在する空洞152からなる。
【0196】
更に、便座150の少なくとも主要部が光透過性樹脂板からなる前面板状部材150Aには可視光線により励起される可視光応答型光触媒110を含有する光触媒部材112が配置される。
【0197】
更に、可視光線を発光する少なくとも一つの可視光発光型発光ダイオード LED(可視光発光型半導体発光素子)310A、310B、310Cが前記空洞152の内部に配置される。
【0198】
これにより前記可視光応答型光触媒112が前記光透過性樹脂板を経由して前記可視光発光型発光ダイオードLED 310A、310B、310Cからの可視光線により励起される。
【0199】
図13、図14、図15に示すように、実質的にリング状の便座150は前面板状部材150Aと裏面板状部材150Bからなる二層型である。
【0200】
前面板状部材150Aは着座しやすいように適度の曲面を有し、裏面板状部材150Bはほぼ平面を有する。
【0201】
前面板状部材150Aと裏面板状部材150Bは、それらの端末接合部151により望ましくはほぼ気密に接合されて一体化され、それらの内部に空洞(空間)152を有している。
【0202】
前面板状部材150Aは光透過性樹脂部材からなり、その表面に複数の光触媒粒子110を含むシート状、フィルム状の光触媒部材112を設けている。
【0203】
光触媒部材112は塗装、接着などにより前面板状部材150Aの表面と恒久的に一体化することができる。
【0204】
光触媒部材112を前面板状部材150Aの表面と恒久的に一体化する替わりに、例えば粘着などの仮固定手段により着脱可能にすることができ、光触媒部材112を交換可能とすることができる。
【0205】
複数の発光ダイオード310(310A、310B、310C)を実装した便座の形状に応じて実質的にリング状に延長したプリント配線基板320が空洞152の内部(例えば図15に示すように裏面板状部材150Bの内面)に固定されている。
【0206】
複数の発光ダイオード310A、310B、310Cは直列および、または並列に電気的に接続される。
【0207】
複数の発光ダイオード310A、310B、310Cは、半導体整流器から直流電流が給電される。
【0208】
図14に示すように、半導体整流器、点灯制御回路装置などの電子制御装置171は、発光ダイオード310A、310B、310Cと同様に、例えば便座150のハーメチックシールされた空洞152に内蔵すると防水性が得られ、全体がコンパクトになる。
【0209】
電子制御装置171は電源コード172と接続され、電源コード172を経由して商用電源と接続され、電子制御装置171に電力が供給される。
【0210】
これと異なり、電子制御装置171を、便座150の外部に配置しても良い。
【0211】
図14、図15では、発光ダイオード310(310A、310B、310C)としてトップビュー型砲弾型発光ダイオードが用いられている。
【0212】
発光ダイオード310(310A、310B、310C)としてトップビュー型の砲弾型発光ダイオードの替わりに、図7、図8で示したトップビュー型面実装型発光ダイオードを用いても良い。
【0213】
着座表面と対応した可視発光ダイオード310Aは所定の拡散角度で図15の上側に可視光線Laを出射し、可視発光ダイオード310Bは所定の拡散角度で図15の左上側に可視光線Lbを出射し、可視発光ダイオード310Cは所定の拡散角度で図15の右上側に可視光線Lcを出射するようにプリント配線基板320に実装されている。
【0214】
発光ダイオード310Aからの可視光線Laは所定の拡散角度で図15の上側に出射し、可視光線Laの一部分は光透過性前面板状部材150Aのほぼ中央部を透過してシート、膜状の光触媒部材110、112のほぼ中央部を照射し励起する。
【0215】
可視光線Laの残余の部分(図15に示す光路La’参照)は、光透過性前面板状部材150Aの前面(光触媒部材110、112の裏面)と前面板状部材150Aの裏面間を全内部反射(TIR: トータル インターナル リフレクション)して前面板状部材150Aの内部に、主として便座150の長さ方向に進行し、進行途中で徐々に光触媒部材110、112に入射して光触媒部材110、112を励起する。
【0216】
即ち、発光ダイオード310Aからの可視光線Laは光透過性前面板状部材150Aを漏光型光導波路として拡散して、主として便座150の長さ方向に進行し、図15に示す光路La’に沿って前面板状部材150Aから光触媒部材110、112内に漏光され光触媒部材を110、112を励起する。
【0217】
それによりほぼリング状に延長する人体の着座表面と対応してほぼリング状に延長する少なくとも着座面と対応して光触媒部材110、112を照射できる。
【0218】
可視発光ダイオード310Bは所定の拡散角度で図15の左上側に可視光線Lbを出射し、図15に示す光路Lb’に沿って前面板状部材150Aから光触媒部材110、112内に漏光され光触媒部材を励起する。
【0219】
それにより図15の左側面(左側から左下)に存在する光触媒部材110、112をも照射できる。
【0220】
可視発光ダイオードド310Cは所定の拡散角度で図15の右上側に可視光線Lcを出射し、図15に示す光路Lc’に沿って前面板状部材150Aから光触媒部材110、112内に漏光され光触媒部材110、112を励起する。
【0221】
それにより図15の右側面(右側から右下)に存在する光触媒部材110、112をも照射できる。
【0222】
従って、発光ダイオード310B、310Cの存在により、光触媒部材110、112の着座面のみならず、光触媒部材110、112のほぼ全側面をも照射できる。
【0223】
着座表面と対応した可視発光ダイオード310Aによって、光触媒部材110、112の着座面を十分照射できれば、可視発光ダイオード300B、可視発光ダイオード300Cは必ずしも必要としない。
【0224】
可視発光ダイオード310A、300B、300Cの拡散角度を増加されるために、それらの光出射表面に拡散レンズ、拡散プリズム(図示せず)を設けるのが望ましく、それにより使用する可視発光ダイオードの個数を減らすことができる。
【0225】
前面板状部材150Aの裏面の可視発光ダイオードと対応する光入射部分を拡散レンズ、拡散プリズム(図示せず)の形状とするか、または上記光入射部分を拡散レンズ面、拡散プリズム面とした透明シート(図示せず)を近接して配置して設けるのが望ましく、それにより使用する可視発光ダイオードの個数を減らすことができる。
【0226】
前面板状部材150A内に、周知の白色顔料や、前面板状部材150Aと異なる屈折率を有する透明樹脂ビーズなどの光を拡散または散乱する複数の光散乱粒子(図示せず)を分散して可視発光ダイオード310A、300B、300Cから入射した光線を前面板状部材150A内で拡散、散乱しても良く、それにより可視発光ダイオードの個数を減らすことができる。
【0227】
図15に示すように、暖房便座用の電熱ヒーターを空洞152の内部に少なくとも一つ設けることができる。
【0228】
図15に示すように、例えば二つの暖房便座用の電熱ヒーター160、161を、可視発光ダイオード310A、300B、300Cからの出射光線La、Lb、Lcをほとんど遮断しない位置に設けることができる。
【0229】
図15に示すように、電熱ヒーター160、161は便座150の前面板状部材150Aのほぼ全面にほぼ均一に熱伝導するように、少なくとも二個(二本)設けて便座150の外側寄りと内側寄りに便座を取り巻くように便座150のほぼリング状の形状に沿って設けるのが好ましい。
【0230】
電熱ヒーター160、161としては、例えば、比較的に耐熱性の良好な樹脂にカーボンブラツク、カーボン繊維、金属粒子、金属繊維などの導電性フイラーを混入して面状に成型した面状発熱部材を用いても良い。
【0231】
線状電熱抵抗部材の替わりに、電熱ヒーター160、161としては、例えば、PVC絶縁ヒータ線、シリコンゴム絶縁ヒータ線などの通常の紐状、線状などの線状電熱抵抗部材を用いても良い。
【0232】
図15では、面状発熱部材からなる電熱ヒーター160、161を前面板状部材150Aの内面の両側面に任意な固定手段により固定して設けている。
【0233】
前面板状部材150Aの内面の両側面に電熱ヒーター160を配置することにより、可視発光ダイオード310A、300B、300Cからの出射光線La、Lb、Lcをほとんど遮断しない。
【0234】
図15では、前記固定手段としては例えば比較的に耐熱性の良好な熱伝導性エポキシ樹脂などの熱伝導性接着剤160a、161aを用い、面状発熱部材からなる電熱ヒーター160、161を前面板状部材150Aの内面の両側面に接着している。
【0235】
熱伝導性接着剤160a、161aとしては、例えば銅、アルミニュームなどの熱伝導性金属粒子を含有した熱伝導性エポキシ樹脂を用いても良い。
【0236】
この実施の形態では、上述のように二層型の便座を有する暖房兼光抗菌トイレ装置を提供できる。
【0237】
(本発明の光抗菌トイレ装置の他の実施の形態)
【0238】
図16は、図15に示す実施の形態の一変型を示し、光抗菌トイレ装置の便座を部分的に示す概略的斜視図である。
【0239】
図16に示すように、実質的にリング状の便座153は前面板状部材150Aと裏面板状部材150Bからなる二層型である。
【0240】
前面板状部材150Aは着座しやすいように適度の曲面を有し、裏面板状部材150Bはほぼ平面を有する。
【0241】
前面板状部材150Aと裏面板状部材150Bは、それらの端末接合部151により望ましくはほぼ気密に接合されて一体化され、それらの内部に空洞(空間)152を有している。
【0242】
前面板状部材150Aは光透過性樹脂部材からなり、その表面に複数の光触媒粒子110を含むシート状、フィルム状の光触媒部材112を設けている。
【0243】
光触媒部材112は塗装、接着などにより前面板状部材150Aの表面と恒久的に一体化することができる。
【0244】
光触媒部材112を前面板状部材150Aの表面と恒久的に一体化する替わりに、例えば粘着などの仮固定手段により着脱可能にすることができ、光触媒部材112を交換可能とすることができる。
【0245】
複数の発光ダイオード310Aは便座の形状に応じて実質的にリング状に延長した片面プリント配線基板320の表面にその長さ方向に所定間隔を保って実装され、片面プリント配線基板320が空洞152の内部に固定されている。
【0246】
複数の発光ダイオード310Aは直列および、または並列に電気的に接続される。
【0247】
複数の発光ダイオード310Aは、半導体整流器から直流電流が給電される。
【0248】
図16では、発光ダイオード310Aとして上側に可視光線Laを出射するトップビュー型砲弾型発光ダイオードが用いられている。
【0249】
発光ダイオード310Aとしてトップビュー型の砲弾型発光ダイオードの替わりに、図7、図8で示したトップビュー型面実装型発光ダイオードを用いても良い。
【0250】
発光ダイオード310Aからの可視光線Laは所定の拡散角度で図16の上側に出射するようにプリント配線基板320に実装されている。
【0251】
本実施の形態では、図16に示すように、アルミニューム、銅などの光反射性と熱伝導性とを共に有する膜状またはシート状の光反射兼熱伝導部材162、163が光透過性前面板状部材150Aの裏面に、発光ダイオード310Aからの可視光線Laが前記裏面を照射する領域を除いて、ほぼ全面的に設けられていることに留意されたい。
【0252】
発光ダイオード310Aからの可視光線Laは所定の拡散角度で図16の上側に出射し、可視光線Laの一部分は光透過性前面板状部材150Aのほぼ中央部を透過してシート、膜状の光触媒部材110、112のほぼ中央部を照射し励起する。
【0253】
それと同時に可視光線Laの残余の一部分(図16に示す光路La’参照)は、光透過性前面板状部材150Aの前面と裏面に設けた光反射兼熱伝導部材162、163間を複数回反射を繰り返して、便座153の長さ方向に進行し、その途中で徐々に前記前面から漏れて光触媒部材112に入射され、光触媒部材112内に分散している光触媒粒子110を励起する。
【0254】
それによりほぼリング状に延長する人体の着座表面と対応してほぼリング状に延長する少なくとも着座面と対応して光触媒部材110、112を照射できる。
【0255】
発光ダイオード310Aからの可視光線Laの中で図16の左上側および右上側に向かった光線La”は、主として光透過性前面板状部材150Aの前面と光反射兼熱伝導部材162、163間を複数回反射を繰り返して、便座153の横方向、側面方向に進行し、その途中で徐々に前記前面から漏れて光触媒部材112に入射され、光触媒部材112内に分散している光触媒粒子110を励起する。
【0256】
従って、光触媒部材110、112の着座面のみならず、光触媒部材110、112のほぼ全側面をも照射できる。
【0257】
本実施の形態では、光反射兼熱伝導部材162を光透過性前面板状部材150Aの裏面に設けているので、可視光線Laが前面板状部材150Aの前面と裏面との間で反射する際に、裏面から空洞152にほとんど漏れ出ないので光線の利用効率が向上する。
【0258】
図16に示すように、例えば二つの暖房便座用の前述の面状ヒーターなどの電熱ヒーター160、161を、可視発光ダイオード310Aからの出射光線Laをほとんど遮断しない位置に便座150のほぼリング状の形状に沿って設けることができる。
【0259】
この実施の形態では図16に示すように、光透過性前面板状部材150Aの裏面に設けた光反射兼熱伝導部材162、163の露出面に図15に示すように、電熱ヒーター160、161を熱伝導接着剤160a、161aにより接着固定している。
【0260】
従って、この実施の形態では電熱ヒーター160、161からの発熱が光透過性前面板状部材150Aのほぼ全面にわたって熱伝導される。
【0261】
(本発明の光抗菌トイレ装置の他の実施の形態)
【0262】
図17は、図16に示す実施の形態の他の一変型を示し、光抗菌トイレ装置の便座を部分的に示す概略的斜視図である。
【0263】
図17に示すように、この実施の形態の光抗菌トイレ装置154は、端末接合部151により互いにほぼ気密に接合されて一体化された曲面を有する前面板状部材154Aおよび平面を有する裏面板状部材154Cと、それらの内部に形成された空洞(空間)152を有している。
【0264】
前面板状部材154Aは光透過性樹脂部材からなり、その着座表面(前面)に複数の光触媒粒子110を含むシート状、フィルム状の光触媒部材112が設けられ、その裏面のほぼ中央に複数の面実装型可視光線発光ダイオード(LED)300を収容できる複数の凹状溝が形成されている。
【0265】
複数のLED 300が、両面プリント配線基板321の前面に実装され、他の複数のLED 300’が、両面プリント配線基板321の裏面に実装される。
【0266】
複数のLED 300、300’が両面に実装された両面プリント配線基板321は、前面板状部材150Aの凹状溝に一方の複数のLED300が収納されるように前面板状部材150Aの裏面に接着固定される。
【0267】
複数のLED 300、300’は共にトップビュー型であり、一方のLED300からの可視光線が前面板状部材150Aを照射し、他方のLED 300’からの可視光線が空洞152を経由して裏面板状部材154Cを照射する。
【0268】
裏面板状部材154Cは、前面板状部材154Aと同様に光透過性樹脂部材からなり、その外面に複数の光触媒粒子110’を含むシート状、フィルム状の光触媒部材112’が設けられている。
【0269】
前面板状部材154Aの着座表面に設けられた光触媒部材112は、LED 300からの可視光線によって励起され、裏面板状部材154Cに設けられた光触媒部材112’は、LED 300’からの可視光線によって励起されるので、本実施の形態の光抗菌トイレ装置154では、便座の着座表面のみならず便座の裏面も光触媒作用によって光抗菌化される。
【0270】
(本発明の光抗菌トイレ装置の他の実施の形態)
【0271】
本発明の光抗菌トイレ装置の他の実施の形態を概略的断面図として示す図18を参照して説明する。
【0272】
図18において、光抗菌便座装置150Dは、一層型(単層型、単板型)の光透過性樹脂製便座であり、光透過性樹脂製便座板180と、透過性樹脂製便座板180内に分散された複数の可視光応答型光触媒粒子110と、透過性樹脂製便座板180内に複数の可視光発光LEDを埋設したものである。
【0273】
更に、光抗菌便座装置150Dは、その底面に部分的にゴム足10aが固定されている。
【0274】
ゴム足10aは、シリコーンゴムなどの光透過性ゴム内に複数の可視光応答型光触媒粒子110を分散している可視光応答型光触媒担持ゴム足とするのが望ましい。
【0275】
複数の可視光発光LEDは、光透過性であるのが望ましいプリント配線基板322に実装されている。
【0276】
プリント配線基板322は、複数の凹状溝部が形成され、複数のチップ型または面実装型LEDが光出射面を露出させて前記凹状溝部に収容されるのが望ましい。
【0277】
プリント配線基板322は、その前面と裏面に複数の凹状溝部が形成され、複数のチップ型または面実装型LED300Aが光出射面を露出させて前面側の前記凹状溝部に収容され、複数のチップ型または面実装型LED300Bが裏面側の前記凹状溝部に収容されるのが望ましい。
【0278】
これにより、前面と裏面からほとんど突出することなくLED300A、300Bをプリント配線基板322に実装でき、更に光透過性樹脂製便座板180の前面(着座表面)および裏面(ゴム足10aの表面も含む)を光抗菌化することができる。
【0279】
複数のチップ型または面実装型LED300Aおよび、または300Bをプリント配線基板322の凹状溝部に収容する場合には、LED300Aおよび、または300Bを実装したプリント配線基板322の全体を薄型にすることができるので、周知の便座とほぼ同じ厚さにすることが可能となる。
【0280】
(本発明の光抗菌トイレ装置の他の実施の形態)
【0281】
本発明の光抗菌トイレ装置の他の実施の形態を概略的断面図で示す図19を参照して説明する。
【0282】
この実施の形態では、既存の周知の便座400に後付け可能な、または着脱可能な光抗菌便座カバー150Eを提供する。
【0283】
図19において、ゴム足10aを有する周知の便座400の上に光抗菌便座カバー150Eが後付け可能、または着脱可能にかぶせられて仮固定されている。
【0284】
光抗菌便座カバー150Eは、適度の弾力性を有する光透過性樹脂製便座カバー190の内部に複数の可視光応答型光触媒粒子110が分散されて含有され、更に光透過性樹脂製便座カバー190の少なくとも着座面と対応して便座カバー190内に少なくとも一つの可視光発光LEDを凹状溝部300に収容したプリント配線基板323が埋設されている。
【0285】
光抗菌便座カバー150Eの両方の端末部190a、190bは、周知の便座400の両方の端末面400a、400bまで延長して光抗菌便座カバー150Eを周知の便座400にしっかりと仮固定させることができる。
【0286】
光抗菌便座カバー150Eの内面、周知の便座400の表面に所定の条件で剥離可能な仮接着剤(または粘着材)を介在させても良い。
【0287】
可視光発光LEDの給電電極は、プリント配線基板323の給電配線および電線コードを経由して光抗菌便座カバー150Eの外部に設けた発光点灯制御回路装置に接続される。
【0288】
(本発明の光抗菌トイレ装置の他の実施の形態)
【0289】
本発明の光抗菌トイレ装置の他の実施の形態を概略的断面図で示す図20を参照して説明する。
【0290】
この実施の形態では、既存の周知の便座400に後付け可能な、または着脱可能な光抗菌便座カバー150Fを提供する。
【0291】
図20において、ゴム足10aを有する周知の便座400の上に光抗菌便座カバー150Fが後付け可能、または着脱可能にかぶせられて仮固定されている。
【0292】
光抗菌便座カバー150Fは、適度の弾力性を有する光透過性樹脂製便座カバー191の内部の少なくとも着座面と対応した少なくともほぼ中央部に複数の可視光応答型光触媒粒子110が分散されて含有され、更に複数の可視光発光LED300が、便座カバー191の両方の側面内に埋設されている。
【0293】
光抗菌便座カバー150Fの両方の端末部191a、191bは、周知の便座400の両方の端末面400a、400bまで延長して光抗菌便座カバー150Fを周知の便座400にしっかりと仮固定させることができる。
【0294】
光抗菌便座カバー150Fの内面、周知の便座400の表面に所定の条件で剥離可能な仮接着剤(または粘着材)を介在させても良い。
【0295】
複数の可視光発光LED300の給電電極は内部でまとめられて電線コードを経由して光抗菌便座カバー150Fの外部に設けた発光点灯制御回路装置に接続される。
【0296】
図20に示すように、可視光発光LED300からの青色を含む可視光線Lは光透過性樹脂からなる便座カバー191を導光路(ライトガイド)として前面と裏面間を複数回、反射を繰り返して側面から着座部へ向かって進行し、主として着座部と対応する箇所に埋設された複数の可視光応答型光触媒粒子110に徐々に吸収されて励起される。
【0297】
これにより、光抗菌便座カバー150Fの着座表面が光抗菌化される。
【0298】
この実施の形態では、複数の可視光発光LED300が、便座カバー191の両方の側面内に埋設されているので、光抗菌便座カバー150Fの着座表面に加わる人体の圧力が可視光発光LED300には加わることが無いので、可視光発光LED300が加圧されず損傷する恐れが無い。
【0299】
(本発明の光抗菌トイレ装置の他の実施の形態)
【0300】
本発明の光抗菌トイレ装置の他の実施の形態を図21、図22を参照して説明する。
【0301】
図21は二層型便座の一部を切り欠いた概略的斜視図であり、図22はこの便座を部分的に示す概略的斜視図である。
【0302】
この実施の形態では漏光型光ファイバと発光ダイオードとを組み合わせて用いている。
【0303】
この実施の形態の便座150Gは、便座150Gに配置された光触媒部材112と、便座150Gに配置された端面と側面を有する漏光型光ファイバ600と、漏光型光ファイバ600の前記端面600aに出射光線を指向する少なくとも一つの発光ダイオード LED(半導体発光素子)310を備えている。
【0304】
更に前記光触媒部材112が可視光線により励起される可視光応答型光触媒を含有し、前記発光ダイオード LED(半導体発光素子)310が可視光線を発光する少なくとも一つの可視光発光型発光ダイオード LEDからなる。
【0305】
これにより前記光触媒部材112は、前記端面で受光し前記側面から漏洩した前記発光ダイオード LED(半導体発光素子)310からの可視光線により励起される。
【0306】
図21、図22に示すように、実質的にリング状の便座150Gは前面板状部材150Aと裏面板状部材150Bからなる二層型である。
【0307】
前面板状部材150Aは着座しやすいように適度の曲面を有し、裏面板状部材150Bはほぼ平面を有する。
【0308】
前面板状部材150Aと裏面板状部材150Bは、それらの端末接合部151により接合されて一体化され、それらの内部に空洞(空間)152を有している。
【0309】
前面板状部材150Aは光透過性樹脂部材からなり、その表面に複数の光触媒粒子110を含むシート状、フィルム状の光触媒部材112を設けている。
【0310】
光触媒部材112は塗装、接着などにより前面板状部材150Aの表面と恒久的に一体化することができる。
【0311】
光触媒部材112を前面板状部材150Aの表面と恒久的に一体化する替わりに、例えば粘着などの仮固定手段により着脱可能にすることができ、光触媒部材112を交換可能とすることができる。
【0312】
この実施の形態では少なくとも一本の漏光型光ファイバ600が便座の正面視形状に応じて実質的にリング状に延長して空洞152の内部、裏面板状部材150Bの内面に固定されている。
【0313】
漏光型光ファイバ600の一端600a(または両端)は発光ダイオード310を収容すると共に半導体整流器、点灯制御回路装置などを収容する電子制御装置173まで延長される。
【0314】
電子制御装置173を空洞152の内部など便座150Gに内蔵すると全体の装置がコンパクトになる。
【0315】
電子制御装置173を便座150Gの外部に配置しても良く、この場合には発光ダイオード310のみを便座150Gに配置しても良い。
【0316】
発光ダイオード310を含めて電子制御装置173を便座150Gの外部に配置しても良く、この場合には発光ダイオード310と漏光型光ファイバ600の一端600a(または両端)との間に、漏光処理をしていない通常の光ファイバを介在させる。
【0317】
漏光型光ファイバ600は、600a(または両端)から発光ダイオード310からの可視光線を受光し、その可視光線を一端から他端に向けて伝達すると共に、その途中で側面から可視光線Laを順次漏洩する。
【0318】
前記漏光型光ファイバ600としては、側面のほぼ全面(全周)から光線を漏洩する漏洩型光ファイバまたは伝達光線を側面から方向性の光線(例えば、光ファイバの長さに沿う上側および、または下側の線状光線)を漏洩する漏洩型光ファイバのいずれも本発明に用いることができる。
【0319】
このような漏光型光ファイバ600それ自体は、各種のものが公知、周知であり、例えば、特許文献8(特開2001−108856号公報)、特許文献9(特開2002−202415号公報)などに漏光型(側面発光型)光ファイバが開示されている。
【0320】
特許文献8(特開2001−108856号公報)には、中央部のコアと、該コアの周縁部に設けられた、コアよりも低い屈折率を有するクラッドとを備える光ファイバにおいて、前記コアと前記クラッドとの間に、ファイバの周方向および長手方向に沿って凹凸構造が付与されているように構成する漏光型(側面発光型)光ファイバが開示されている。
【0321】
特許文献9(特開2002−202415号公報)には、中央部のコアと、前記コアの周囲に配置されたクラッドとを備える側面発光性光ファイバにおいて、前記クラッドが、前記コアと接する透明な第1層と前記第1層の外側に形成された光拡散性の第2層とからなり、かつ両層が一体的に成型されてなることを特徴とする、側面発光性光ファイバが開示されている。
【0322】
特許文献8、特許文献9に開示されている光ファイバは、光ファイバの製造時に漏光型光ファイバを得るものであるが、これに限定されず、漏光性をほとんど有さない通常の市販されている光ファイバを例えば後述の任意の漏光手段、漏光処理を施すことにより漏光型(側面発光型、サイドライト型)光ファイバとすることができる。
【0323】
例えば、漏光型光ファイバ600としては、導光性を有するコア部材と、コア部材の側面に被覆したにコア部材より低い屈折率を有するクラッド部材からなる公知の光ファイバを用い、後から長さ方向に沿ってクラッド部材を除去してコア部材を長さ方向に露出させることにより漏光処理をして、漏光型光ファイバ600とすることができる。
【0324】
また、導光性を有するコア部材のみからなる光ファイバの側面に長さ方向に沿ってコア部材よりも屈折率の高い光透過性膜を被覆させることにより、光透過性膜の形成部分から漏光を生じる漏光型光ファイバ600が得られる。
【0325】
この実施の形態で用いる漏光型光ファイバ600としては、プラスチック製の光ファイバが、ガラス製の光ファイバと比較して、柔軟性があり便座の開閉時に受ける衝撃に強く、又、直径を太くできるので伝送できる光量が大きいので望ましい。
【0326】
通常のプラスチック製の光ファイバは、一般的に可視光線を良く伝送するのでこの実施の形態に好適に使用できる。
【0327】
更に通常のプラスチック製の光ファイバは、紫外線はほとんど伝送しないか、または紫外線を伝送してもアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂製のコア素材を劣化または変色するので、紫外線の伝送に適していないが、本発明では光触媒を励起するのに可視光線を用いているので、本実施の形態ではプラスチック製の光ファイバが好適に使用できる。
【0328】
本実施の形態に使用できるプラスチック光ファイバ(POF)としては、住友スリーエム株式会社製の「ライトファイバ」(商品名)、三菱レイヨン株式会社製のプラスチック光ファイバ素線「エスカ: ESKA」(登録商標)、旭化成エレクトロニクス株式会社製のプラスチック光ファイバ素線「ルミナス:LUMINOUS」(登録商標)、東レ株式会社製のプラスチック光ファイバ素線、日立電線株式会社 照明用太径プラスチック光ファイバなどが挙げられる。
【0329】
住友スリーエム株式会社製の「ライトファイバ」(商品名)は、側面を均一に発光させるためのサイドライト型であり、コア材質が特殊アクリル樹脂、クラッド材質がフッ素系樹脂のステップインデックス型である。
【0330】
「ライトファイバ」(商品名)には製品名LF90(コア径9mm、仕上外型10mm)、製品名LF120(コア径12mm、仕上外型14mm)、製品名LF120RH(側面を均一に発光させるために白いクラッドを使用、コア径12mm、仕上外型14mm)、製品名LF120HL(側面を均一に発光させるために白いクラッドを使用、コア径12mm、仕上外型14mm)などがあり、サイドライト型漏光なので後から漏光処理をすることなく本実施の形態に使用できる。
【0331】
三菱レイヨン株式会社製のプラスチック光ファイバ素線(ベアファイバ(裸線))「エスカ: ESKA」(登録商標)は、コア材質がポリメチルメタクリレート樹脂、クラッド材質がフッ素系樹脂のステップインデックス型であり、下記のようにファイバ径が0.25mmから3mmまで8種類あり、いずれも本実施の形態に使用できる。
【0332】
「エスカ:ESKA」(登録商標)としては製品名CK−10(ファイバ径0.25mm)、製品名CK−20(ファイバ径0.5mm)、製品名CK−30(ファイバ径0.75mm)、製品名CK−40(ファイバ径1.0mm)、製品名CK−60(ファイバ径1.5mm)、製品名CK−80(ファイバ径2.0mm)、製品名CK−100(ファイバ径2.5mm)、製品名CK−120(ファイバ径3.0mm)がある。
【0333】
本実施の形態では、このプラスチック光ファイバ素線をエッチング、ホットスタンピング、プラスティングなどの任意の漏光処理をすることにより、クラッドを光ファイバを長さ方向に部分的に除去してコアを露出させ、側面から漏光しないプラスチック光ファイバ素線を側面から漏光するサイドライト型漏光プラスチック光ファイバとして使用することができる。
【0334】
また旭化成エレクトロニクス株式会社製の「ルミナス:LUMINOUS」(登録商標)は、コア材質がポリメチルメタクリレート樹脂、クラッド材質がフッ素系樹脂のステップインデックス型である。
【0335】
このプラスチック光ファイバ素線、製品名DB−500(ファイバ径0.5mm)、製品名 DB−750(ファイバ径0.75mm)、製品名DB−1000(ファイバ径1.0mm)、製品名DB−1500(ファイバ径1.5mm)、製品名DB−2000(ファイバ径2.0mm)、製品名DB−3000 (ファイバ径3.0mm)を漏光処理を行うことにより本実施の形態に使用できる。
【0336】
また東レ株式会社プラスチック光ファイバ素線はコア材質がポリメチルメタクリレート樹脂、クラッド材質がフッ素系樹脂のステップインデックス型であり、ファイバ径0.25mmから3.0mmを漏光処理を行うことにより本実施の形態に使用できる。
【0337】
更に日立電線株式会社 照明用太径プラスチック光ファイバは、コア材質がシリコーン樹脂、クラッド材質がフッ素系樹脂のステップインデックス型である。
【0338】
このプラスチック光ファイバには、製品名HLG−H d/D(コア径5.0mm乃至9.0mm、仕上外型6.0mm乃至10.5mm)、最大耐熱温度125℃、5000時間、製品名HLG−S d/D(コア径5.0mm乃至9.0mm、仕上外型6.0mm乃至10.5mm、最大耐熱温度100℃、1000時間)などがあり、これらに漏光処理を行うことにより本実施の形態に使用できる。
【0339】
このプラスチック光ファイバは、コア材質がシリコーン樹脂なので、コア材質がアクリル系樹脂のプラスチック光ファイバ(耐熱温度60℃または70℃)と比較して高い(耐熱温度100℃または125℃)。
【0340】
図22に示すように、暖房便座兼光抗菌便座とする場合に、プラスチック光ファイバと暖房用電熱ヒーターを離して設けるときにはコア材質がアクリル系樹脂の比較的に安価なプラスチック光ファイバを使用できる。
【0341】
暖房便座兼光抗菌便座とする場合に、プラスチック光ファイバと暖房用電熱ヒーターを接近または密着して設けるときにはコア材質がシリコーン樹脂である耐熱性プラスチック光ファイバを使用するのが望ましい。
【0342】
この実施の形態では、便座の前面板状部材150Aに光触媒110を含む光触媒部材112を設けているので、漏光型光ファイバ600からの漏光が光触媒部材112に向けて照射されるように、漏光箇所を側面の上側に形成するのが望ましく、それにより漏光型光ファイバ600の側面の下側に光線が漏れるのを防ぐことができる。
【0343】
図23、図24を参照して図22に示す漏光型光ファイバ600の構造の各種の具体例を説明する。
【0344】
図23、図24は本実施の形態に使用できる漏光型光ファイバ600の構造の各種の具体例を示す概略的斜視図である。
【0345】
図23Aに示す漏光型光ファイバ600Aは、屈折率の高いコア60aとコア60aよりも屈折率の低いクラッド60baからなる前述の市販の光ファイバ素線を、その長さ方向に沿ってクラッド60baの上部のみを切り欠いてコア露出部60a’を形成して、コア露出部60a’からからコア60a内を伝達する光線を漏洩させるものである。
【0346】
図23Bに示す漏光型光ファイバ600Bは、図23Aに示す漏光型光ファイバ600Aのコア露出部60a’にコア60aと同じまたはそれ以上の屈折率を有する光透過性樹脂膜60Cで被覆したものである。
【0347】
光透過性樹脂膜60C内に周知の白色顔料または光透過樹脂膜60Cの屈折率と異なる屈折率を有するガラス、プラスチックからなる複数のビーズを含有させて光散乱性樹脂膜60Cとするのが望ましい。
【0348】
漏光型光ファイバ600A、600Bは、共に光ファイバの長さ方向に沿ってその側面の上部から光ファイバを伝達する光線を漏洩させるものであり、図22と共に説明した漏光型光ファイバ600に好適に使用される。
【0349】
図23Cに示す漏光型光ファイバ600Cは、屈折率の高いコア60aとコア60aよりも屈折率の低いクラッド60baからなる前述の市販の光ファイバ素線を、その長さ方向に沿ってクラッド60baの上部と下部を切り欠いて上部と下部にコア露出部60a’、60a”を形成して、コア露出部60a’、60a”からからコア60a内を伝達する光線を漏洩させるものである。
【0350】
図23Dに示す漏光型光ファイバ600Dは、図23Cに示す漏光型光ファイバ600Cの上部と下部のコア露出部コア露出部60a’、60a”にコア60aと同じまたはそれ以上の屈折率を有する光透過性樹脂膜60C、60C’で被覆したものである。
【0351】
図24Aに示す漏光型光ファイバ610Aは、コア61aからなるクラッドレス光ファイバ素線を準備し、その長さ方向に沿ってコア61aの上部にコア61aと同じまたはそれ以上の屈折率を有する光透過樹脂膜61bを形成したものである。
【0352】
光透過樹脂膜61b内に周知の白色顔料または光透過樹脂膜61bの屈折率と異なる屈折率を有するガラス、プラスチックからなる複数のビーズを含有させて光散乱性樹脂膜61bとするのが望ましい。
【0353】
図23Bに示す漏光型光ファイバ610Bは、図24Aに示す漏光型光ファイバ610Aのコア61aの露出面に、光透過樹脂膜61bの形成面を除いて、光散乱性樹脂膜61cコア61aの低い光透過樹脂膜61cを形成したものである。
【0354】
漏光型光ファイバ610A、610Bは、図24C、共に光ファイバの長さ方向に沿ってその側面の上部から光ファイバを伝達する光線を漏洩させるものであり、図22と共に説明した漏光型光ファイバ600に好適に使用される。
【0355】
図24Cに示す漏光型光ファイバ610Cは、コア61aからなるクラッドレス光ファイバ素線を準備し、その長さ方向に沿ってコア61aの上部と下部にコア61aと同じまたはそれ以上の屈折率を有する光透過樹脂膜61b、61b’を形成したものである。
【0356】
図23 Dに示す漏光型光ファイバ610Dは、図24Cに示す漏光型光ファイバ610Cのコア61aの露出面に、光透過樹脂膜61b、61b’の形成面を除いて、コア61aよりも屈折率の低い光透過樹脂膜61c、61c’を形成したものである。
【0357】
発光ダイオード310をも収容する電子制御装置173を、例えば電子制御装置173を耐湿処理するか、または便座150のハーメチックシールされた空洞152に内蔵すると防水性が得られ、全体がコンパクトになる。
【0358】
電子制御装置173は電源コード172と接続され、電源コード172を経由して商用電源と接続され、電子制御装置173に電力が供給される。
【0359】
(本発明のトイレ装置の他の実施の形態)
本発明のトイレ装置の他の実施の形態を図25を参照して説明する。
【0360】
図25は本発明のトイレ装置の他の実施の形態を示し、一部を切り欠いた概略的斜視図である。
【0361】
図25に示す実施の形態の便座150Hでは、図22に示した実施の形態の便座150Gと比較して、それぞれの光入射端面600a、600a’に可視光線発光型発光ダイオード310、310’を対向して配置した漏光型光ファイバ600、600’が、それぞれ前面板状部材150A’、裏面板状部材150B’に半埋設(または埋設)して設けられている点と、前面板状部材150A’、裏面板状部材150B’にそれぞれ光触媒粒子110、110’を含有する膜状、シート状の光触媒部材112、112’が設けられている点が異なる。
【0362】
その他の構成要素は図25に示す実施の形態と、図22乃至図24に示した実施の形態は同様であるので重複する説明は省略する。
【0363】
図25に示す実施の形態では、便座150Hにおける前面板状部材150A’、裏面板状部材150B’のそれぞれの内面には、漏光型光ファイバ600、600’を収容するための溝が便座150Hのリング状の形状に沿って延長して形成されている。
【0364】
前面板状部材150A’に 形成された長い溝には、一方の漏光型光ファイバ600が光透過性接着部材65を用いて半埋設または埋設され、漏光型光ファイバ600が光透過性の前面板状部材150A’と光結合できるように固定されている。
【0365】
一方の漏光型光ファイバ600の光入射端面600aには一方の可視光線発光型発光ダイオード310が対向して配置されて、発光ダイオード310からの可視光線が漏光型光ファイバ600内を全内部反射により伝達されると共に、漏光型光ファイバ600の側面から可視光線が順次漏れ出るようになっている。
【0366】
この漏洩した可視光線は隣接する光触媒部材112の光触媒粒子110を励起し、それにより前面板状部材150A’の前面(着座面)が光抗菌化される。
【0367】
裏面板状部材150B’に 形成された長い溝には、他方の漏光型光ファイバ600’が光透過性接着部材65’を用いて半埋設または埋設され、漏光型光ファイバ600’が光透過性の裏面板状部材150B’と光結合できるように固定されている。
【0368】
他方の漏光型光ファイバ600’の光入射端面600a’には一方の可視光線発光型発光ダイオード310’が対向して配置されて、発光ダイオード310’からの可視光線が漏光型光ファイバ600’内を全内部反射により伝達されると共に、漏光型光ファイバ600’の側面から可視光線が順次漏れ出るようになっている。
【0369】
この漏洩した可視光線は隣接する光触媒部材112’の光触媒粒子110’を励起し、それにより裏面板状部材150B’の表面が光抗菌化される。
【0370】
(本発明のトイレ装置の他の実施の形態)
【0371】
本発明のトイレ装置の他の実施の形態を図26を参照して説明する。
【0372】
図26は本発明のトイレ装置の他の実施の形態を示し、一部を切り欠いた概略的斜視図である。
【0373】
図26に示す実施の形態の便座150Jでは、光入射端面600aに可視光線発光型発光ダイオード310を対向して配置した少なくとも一本の漏光型光ファイバ600が、便座150Jの光透過性を有する前面板状部材150A’の内部に埋設され、便座150Jのリング状の形状に沿って延長して配置されている。
【0374】
図26では、便座150Jの一側面に一本の漏光型光ファイバ600が、前面板状部材150A’の内部に埋設して示されている。
【0375】
前面板状部材150A’の表面には、光触媒粒子110を含むシート状、膜状の光触媒部材112が形成されている。
【0376】
その他の構成要素は図26に示す実施の形態と、図22乃至図25に示した実施の形態は同様であるので重複する説明は省略する。
【0377】
図26に示す実施の形態の便座150Jでは、前面板状部材150A’、裏面板状部材150B’のそれぞれの内面には、漏光型光ファイバ600、600’を収容するための溝が便座150Jのリング状の形状に沿って延長して形成されている。
【0378】
発光ダイオード310からの可視光線Laが漏光型光ファイバ600内を全内部反射により伝達されると共に、漏光型光ファイバ600の側面から可視光線Laが順次漏れ出るようになっている。
【0379】
漏光型光ファイバ600の側面から順次漏れ出た可視光線Laは、光透過性の前面板状部材150A’を導光路(ライトガイド)として前面板状部材150A’の前面と裏面間を全内部反射により前面板状部材150A’内を可視光線La’となって伝達すると共に、前面板状部材150A’の前面から順次漏れ出る。
【0380】
この前面から漏洩した可視光線は隣接する光触媒部材112の光触媒粒子110を励起し、それにより前面板状部材150A’の前面(着座面)が光抗菌化される。
【0381】
特に便座150G、150H、150Jに電熱ヒーター160、161を設けて暖房機能を持たせる場合には、図22、図25、図26と共に記述した実施の形態のように、漏光型光ファイバ600と発光ダイオード310とを組み合わせて用いことにより、発光ダイオード310を電熱ヒーター160、161からの熱的影響を受けにくい箇所に設置できる利点がある。
【0382】
前述の漏光型光ファイバ600、600’は、漏光型光ファイバ600、600’を便座、便座カバーの光透過性樹脂内に半埋設または埋設することにより、各種の実施の形態における二層型便座150、150G、150H、153、154のみならず、各種の実施の形態における単層型(単板型)便座100、140、150Dまたは便座カバー150E、150Fにも適用できる。
【0383】
前記の本発明の各種の実施の形態において、前記便座または前記便座カバーの着座表面と非着座表面に前記可視光応答型光触媒(光触媒部材)を配置する場合に、前記着座表面と対向して配置した前記発光ダイオードから多量の光線または高輝度の光線が出射するように複数の前記発光ダイオードを配置するか、高輝度の前記発光ダイオードを用い、一方、前記非着座表面と対向して配置した前記発光ダイオードから少量の光線または低輝度の光線が出射するようにより少数の前記発光ダイオードを配置するか、低輝度の前記発光ダイオードを用いることができる。
【0384】
前記の本発明の各種の実施の形態において、前記便座または前記便座カバーの着座表面と非着座表面に前記可視光応答型光触媒(光触媒部材)を配置する場合に、前記着座表面と対向して配置された前記漏洩型光ファイバの側面部分に多量の光線が漏れ出るように方向性を有するまたは有しない漏洩処理をし、一方、前記非着座表面として配置された前記漏洩型光ファイバの側面部分にほとんどまたは全く漏洩処理を行わないようにすることができる。
【0385】
これらにより前記便座または前記便座カバーの着座表面と非着座表面に前記可視光応答型光触媒(光触媒部材)を配置し、前記漏洩型光ファイバから前記着座表面上の前記可視光応答型光触媒(光触媒部材)へ向けて前記非着座表面より照射輝度の高い出射光線を照射することができる。
【0386】
したがって前記着座表面上の前記可視光応答型光触媒(光触媒部材)を、前記非着座表面上の前記可視光応答型光触媒(光触媒部材)より強く光触媒活性化することができる。
【0387】
前記の本発明の幾つかの実施の形態においては、例えば図14に示すように、便座150に可視光発光型半導体発光素子310を設けているが、その替りに、例えば図13に示す蓋200または例えば図5に示す蓋200、210の輪状部材201に可視光発光型半導体発光素子310を設けても良い。
【0388】
この場合、可視光発光型半導体発光素子310は、可視光発光型半導体発光素子310からの可視光線が蓋200、210の閉成時に便座150または便座カバーの表面を指向するように、蓋200、210の裏面または蓋200、210の輪状部材201の光透過性樹脂211に配置しても良い。
【0389】
可視光発光型半導体発光素子310を蓋200、210の裏面に配置する場合には、可視光発光型半導体発光素子310の出射面が便座150または前記便座カバーの表面と対向するので、蓋200、210は光透過性を有する必要が無い。
【0390】
可視光発光型半導体発光素子310を蓋200、210における輪状部材201の光透過性樹脂211に設ける場合には、光透過性樹脂211の前面または裏面または内部に可視光発光型半導体発光素子310を、その出射面が便座150または前記便座カバーの表面と対向するように、配置する。
【0391】
前記の本発明の幾つかの実施の形態においては、例えば図21に示すように、便座150Gに漏光型光ファイバ600を設けているが、その替りに、例えば図13に示す蓋200または例えば図5に示す蓋200、210の輪状部材201に漏光型光ファイバ600を設けても良い。
【0392】
この場合、可視光発光型半導体発光素子310は、漏光型光ファイバ600の光入射端面と対向するように蓋200に配置することができる。
【0393】
この場合、漏光型光ファイバ600は、例えば、好ましくは方向性漏光処理を行い、漏光型光ファイバ600からの漏洩可視光線が蓋200、210の閉成時に便座150または便座カバーの表面を指向するように、蓋200、210の裏面または蓋200、210の輪状部材201の光透過性樹脂211に配置しても良い。
【0394】
漏光型光ファイバ600を蓋200、210の裏面に配置する場合には、漏光型光ファイバ600の漏光部が便座150または前記便座カバーの表面と対向するように方向性の漏光処理を行うのが望ましい。なお蓋200は光透過性を有する必要が無い。
【0395】
漏光型光ファイバ600を蓋200、210における輪状部材201の光透過性樹脂211に設ける場合には、光透過性樹脂211の前面または裏面または内部に漏光型光ファイバ600を、その漏光部が便座150または前記便座カバーの表面と対向するように配置するのが望ましい。
【0396】
以上に詳記した各種の実施の形態の各構成要素を任意に組み合わせて使用することができる。
【0397】
以上に添付図面を参照して本発明の各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されず、本発明の精神と特許請求の範囲に基づいて各種の変型、設計変更、改良および均等物の提供が可能であることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0398】
【図1】図1はトイレ装置の便座と蓋を共に閉成した時の側面を示す立面図である。
【図2】図2はトイレ装置の便座と蓋を共に開成した時の側面を示す立面図である。
【図3】図3はトイレ装置の便座を閉成し、かつ蓋を開成した時の側面を示す立面図である。
【図4】図4はトイレ装置の便座と蓋を共に閉成した時の正面を示し、蓋のほぼ半分を切り欠いて示す正面図である。
【図5】図5は蓋を示す概略的な正面図である。
【図6】図6は便座を示す概略的な正面図である。
【図7】図7は図1における点線で囲った部分60を拡大して示す概略的な部分拡大断面図である。
【図8】図8は図1における点線で囲った部分60を拡大して示す概略的な部分拡大断面図である。
【図9】図9は、図7に示す蓋100の部分70の概略的な拡大断面図である。
【図10】図10は、それぞれ図7に示す蓋100の部分70の概略的な拡大断面図である。
【図11】図11は、図7に示す蓋100の部分70の概略的な拡大断面図である。
【図12】図12は、図7に示す蓋100の部分70の概略的な拡大断面図である。
【図13】図13は本発明のトイレ装置を示す概略的斜視図である。
【図14】図14は本発明のトイレ装置の便座を示す一部を切り欠いた概略的斜視図である。
【図15】図15は本発明のトイレ装置の便座を部分的に示す概略的斜視図である。
【図16】図16は、図15に示す実施の形態の一変型を示し、光抗菌トイレ装置の便座を部分的に示す概略的斜視図である。
【図17】図17は、図16に示す実施の形態の一変型を示し、光抗菌トイレ装置の便座を部分的に示す概略的斜視図である。
【図18】図18は本発明のトイレ装置の他の実施の形態を示す概略的断面図である。
【図19】図19は本発明のトイレ装置の他の実施の形態を示す概略的断面図である。
【図20】図20は本発明のトイレ装置の他の実施の形態を示す概略的断面図である。
【図21】図21は本発明のトイレ装置の他の実施の形態を示し、一部を切り欠いた概略的斜視図である。
【図22】図22は本発明のトイレ装置の他の実施の形態を示し、一部を切り欠いた概略的斜視図である。
【図23】図23は図22に示す漏光型光ファイバの構造の各種の具体例を示す概略的斜視図である。
【図24】図24は図22に示す漏光型光ファイバの構造の各種の具体例を示す概略的斜視図である。
【図25】図25は本発明のトイレ装置の他の実施の形態を示し、一部を切り欠いた概略的斜視図である。
【図26】図26は本発明のトイレ装置の他の実施の形態を示し、一部を切り欠いた概略的斜視図である。
【符号の説明】
【0399】
全ての図面において、同一参照符号は同一または同様な部分、同一または同様な構成要素を示す。
【0400】
20:蓋
30:便器
50:開閉部材
65:光透過性接着部材(光ファイバ固定用)
65‘:光透過性接着部材(光ファイバ固定用)
100:単層型(単板型)便座(便座)
140:単層型(単板型)便座(便座)
150:単層型(単板型)便座(便座)
110:可視光応答型光触媒粒子
110’: 可視光応答型光触媒粒子
110a:可視光応答型光触媒粒子
110b:可視光応答型光触媒粒子
111:光透過性樹脂、光透過性樹脂バインダー、光透過性樹脂シート
111a:光透過性樹脂、光透過性樹脂バインダー、光透過性樹脂シート
111b:光透過性樹脂、光透過性樹脂バインダー、光透過性樹脂シート
112:可視光応答型光触媒部材
112’:可視光応答型光触媒部材
112A:可視光応答型光触媒含有シート(可視光応答型光触媒部材)
112B:可視光応答型光触媒含有膜(可視光応答型光触媒部材)
112C:可視光応答型光触媒含有膜(可視光応答型光触媒部材)
112D:可視光応答型光触媒堆積膜(可視光応答型光触媒部材)
112E:可視光応答型光触媒部材
112F:可視光応答型光触媒部材
114:光透過性樹脂
120:接着材(または粘着材)
150:二層型便座(便座)
150A:前面板状部材
150B:裏面板状部材
150A’:前面板状部材
150B’:裏面板状部材
150D:単層型(単板型)便座(便座)
150E:光抗菌便座カバー
150F:光抗菌便座カバー
150G:二層型便座(便座)
150H:二層型便座(便座)
150J:二層型便座(便座)
154A:前面板状部材
154B:裏面板状部材
154A‘:前面板状部材
154B‘:裏面板状部材
152:空洞(空間)
153:二層型便座(便座)
154:二層型便座(便座)
160:面状ヒーター(電熱ヒーター)
160a:接着材(固定手段)
161:面状ヒーター(発熱部材、電熱ヒーター)
161a:接着材(固定手段)
162:光反射兼熱伝導部材
163:光反射兼熱伝導部材
170:便座開閉手段
171:電子制御装置
172:電源コード
180:光透過性樹脂
190:光透過性樹脂
191:光透過性樹脂
200:蓋
201:蓋の輪状部材(光透過性樹脂)
202:蓋の中央部材
203:蓄光性蛍光体粒子、蓄光性蛍光体
205:蓄光部材
300:可視光線発光ダイオード(可視光線発光半導体素子)
300‘:可視光線発光ダイオード(可視光線発光半導体素子)
300a:給電電極
300b:光出射面
300A:可視光線発光ダイオード(可視光線発光半導体素子)
300B:可視光線発光ダイオード(可視光線発光半導体素子)
310:可視光線発光ダイオード(可視光線発光半導体素子)
310’:可視光線発光ダイオード(可視光線発光半導体素子)
310A:可視光線発光ダイオード(可視光線発光半導体素子)
310B:可視光線発光ダイオード(可視光線発光半導体素子)
310C:可視光線発光ダイオード(可視光線発光半導体素子)
320:片面プリント配線基板
321:両面プリント配線基板
322:プリント配線基板
323:プリント配線基板
600:漏光型光ファイバ(側面発光型光ファイバ)
600’:漏光型光ファイバ(側面発光型光ファイバ)
600A:漏光型光ファイバ(側面発光型光ファイバ)
600B:漏光型光ファイバ(側面発光型光ファイバ)
600C:漏光型光ファイバ(側面発光型光ファイバ)
600D:漏光型光ファイバ(側面発光型光ファイバ)
610A:漏光型光ファイバ(側面発光型光ファイバ)
610B:漏光型光ファイバ(側面発光型光ファイバ)
610C:漏光型光ファイバ(側面発光型光ファイバ)
610D:漏光型光ファイバ(側面発光型光ファイバ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座または前記便座に着脱可能に設けられた便座カバーと、
前記便座または前記便座カバーに配置された可視光応答型光触媒と、
前記可視光応答型光触媒を励起する可視光発光型半導体発光素子を備えた、光抗菌トイレ装置。
【請求項2】
便座または前記便座に着脱可能に設けられた便座カバーと、
前記便座または前記便座カバーに配置された可視光応答型光触媒と、
前記便座または前記便座カバーに配置された少なくとも一つの可視光発光型半導体発光素子を備え、
前記可視光応答型光触媒が前記可視光発光型半導体発光素子からの可視光線により励起される、光抗菌トイレ装置。
【請求項3】
便座または前記便座に着脱可能に設けられた便座カバーと、
前記便座または前記便座カバーに配置された可視光応答型光触媒と、
少なくとも一つの可視光発光型半導体発光素子と、
前記可視光発光型半導体発光素子からの可視光線を受光する漏光型光ファイバを備え、
前記可視光応答型光触媒が前記漏光型光ファイバから漏洩した可視光線により励起される、光抗菌トイレ装置。
【請求項4】
前記便座または前記便座カバーの少なくとも主要部が板状またはシート状の光透過性樹脂部材からなり、
前記漏光型光ファイバを部分的または全面的に前記透過性樹脂部材内に埋設した請求項3に記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項5】
前記漏光型光ファイバが、その側面のほぼ全面から光線を漏洩する漏洩型プラスチック光ファイバである請求項3に記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項6】
前記漏光型光ファイバが、その側面から方向性を有する光線を漏洩するプラスチック漏洩型光ファイバである請求項3に記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項7】
便座または前記便座に着脱可能に設けられた便座カバーと、
前記便座に開閉自在に設けられた蓋と、
前記便座または前記便座カバーに配置された可視光応答型光触媒と、
前記蓋に配置され可視光線を含む残光性発光を生じる蓄光体を備え、
前記可視光応答型光触媒が前記蓄光体からの可視光線により励起される、光抗菌トイレ装置。
【請求項8】
前記蓋が光透過性樹脂からなるほぼ輪状の輪状部材と前記輪状部材の内側に平面的に配置されて一体化された中央部材からなり、
前記蓄光体が前記輪状部材に配置された請求項7に記載の、光抗菌トイレ装置。
【請求項9】
前記蓋が光透過性樹脂からなるほぼ輪状の輪状部材と前記輪状部材の内側に配置されて一体化された中央部材からなり、
前記輪状部材の内部に複数の蓄光性蛍光体粒子からなる前記蓄光体を分散して成型した蓄光性樹脂成型部材からなる請求項7に記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項10】
前記蓋が光透過性樹脂からなるほぼ輪状の輪状部材と前記輪状部材の内側に配置されて一体化された中央部材からなり、
複数の蓄光性蛍光体粒子を含有したシート状または膜状の蓄光部材を前記輪状部材の表面に配置した請求項7に記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項11】
光透過性を有する前面板状部材と裏面板状部材と前記前面板状部材と前記裏面板状部材間の空洞からなる便座と、
前記前面板状部材に配置された可視光応答型光触媒と、
少なくとも一つの可視光発光型半導体発光素子を備え、
前記可視光発光型半導体発光素子が部分的または全面的に前記前面板状部材の内部、または、前記空洞の内部に配置され、
前記可視光応答型光触媒が前記前面板状部材を経由して前記可視光発光型半導体発光素子からの可視光線により励起される、光抗菌トイレ装置。
【請求項12】
更に光透過性を有する前記裏面板状部材に前記可視光応答型光触媒を配置し、
前記可視光応答型光触媒が前記前面板状部材と前記裏面板状部材を経由して前記可視光発光型半導体発光素子からの可視光線により励起される、請求項11に記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項13】
更に前記便座に暖房用電熱ヒーターを配置し、
前記電熱ヒーターが前面板状部材の内面に近接または密着または固着して配置された、請求項11に記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項14】
前記便座に前記便座の暖房用電熱ヒーターを前面板状部材の内面または前記空洞に備え、
前記電熱ヒーターを前記可視光発光型半導体発光素子からの可視光線をほとんど遮蔽しない箇所に配置した、請求項11に記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項15】
前記便座または前記便座カバーが板状またはシート状の光透過性樹脂部材を有し、
前記可視光応答型光触媒が前記光透過性樹脂部材の少なくとも前面に配置された、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項16】
前記便座または前記便座カバーが板状またはシート状の光透過性樹脂部材を有し、
前記可視光応答型光触媒が前記光透過性樹脂部材の少なくとも前面および裏面に配置された、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項17】
前記便座または前記便座カバーの少なくとも主要部が板状またはシート状の光透過性樹脂部材からなり、
前記可視光線発光型半導体発光素子が部分的または全面的に前記光透過性樹脂部材に埋設された請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項18】
前記便座または前記便座カバーの少なくとも主要部が板状またはシート状の光透過性樹脂部材からなり、
前記光透過性樹脂部材を光導波路として、前記可視光線発光型半導体発光素子からの可視光線を前記光透過性樹脂部材の前面と裏面との間を反射を繰り返して伝達かつ拡散させると共に、前記光透過性樹脂部材から漏洩させ、その漏洩光線により前記光触媒を励起する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項19】
前記可視光発光型半導体発光素子が前記光触媒を励起する可視光波長帯域の第1の可視光線と、前記光触媒を励起しない可視光波長帯域の第2の可視光線を発し、
第2の可視光線を前記便座または前記便座カバーまたは前記蓋から出射させる請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項20】
前記光触媒を励起する前記可視光発光型半導体発光素子に追加して前記光触媒を励起しない照明または表示用可視光発光型半導体発光素子を設け、
前記照明または表示用可視光発光型半導体発光素子を前記便座または前記便座カバーまたは前記蓋から出射させる請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項21】
前記便座を暖房する暖房用電熱ヒーターを前記便座または前記便座カバーに配置した、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項22】
前記便座または前記便座カバーが光透過性樹脂部材を有し、
前記可視光発光型半導体発光素子が前記光透過性樹脂部材に埋設して配置された請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項23】
前記可視光発光型光触媒半導体発光素子が紫外線をほとんど含まず主として青色光線を含む可視光線を発光し、
前記可視光応答型光触媒が前記半導体発光素子からの青色光線を含む可視光線により励起される、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項24】
前記便座または前記便座カバーの着座表面と非着座表面に前記可視光応答型光触媒を配置し、
前記可視光発光型半導体発光素子または前記漏洩型光ファイバから前記着座表面上の前記可視光応答型光触媒へ向けて前記非着座表面より照射輝度の高い出射光線を照射する、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項25】
前記可視光発光型半導体発光素子を、前記便座または前記便座カバーに設ける替りに、前記蓋または前記蓋の前記輪状部材に設け、
前記可視光発光型半導体発光素子からの可視光線が前記蓋の閉成時に前記便座または前記便座カバーの表面を指向するように、前記可視光発光型半導体発光素子は、前記蓋の裏面または前記輪状部材の前記光透過性樹脂に配置された、請求項7乃至請求項10のいずれかに記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項26】
前記漏光型光ファイバを、前記便座または前記便座カバーに設ける替りに、前記蓋または前記蓋の前記輪状部材に設け、
前記漏光型光ファイバからの漏洩した可視光線が前記蓋の閉成時に前記便座または前記便座カバーの表面を指向するように、前記漏光型光ファイバは、前記蓋の裏面または前記輪状部材の前記光透過性樹脂に配置された、請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項27】
複数の光散乱粒子を前記便座または前記便座カバーに含有した、請求項1乃至請求項26のいずれかに記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項1】
便座または前記便座に着脱可能に設けられた便座カバーと、
前記便座または前記便座カバーに配置された可視光応答型光触媒と、
前記可視光応答型光触媒を励起する可視光発光型半導体発光素子を備えた、光抗菌トイレ装置。
【請求項2】
便座または前記便座に着脱可能に設けられた便座カバーと、
前記便座または前記便座カバーに配置された可視光応答型光触媒と、
前記便座または前記便座カバーに配置された少なくとも一つの可視光発光型半導体発光素子を備え、
前記可視光応答型光触媒が前記可視光発光型半導体発光素子からの可視光線により励起される、光抗菌トイレ装置。
【請求項3】
便座または前記便座に着脱可能に設けられた便座カバーと、
前記便座または前記便座カバーに配置された可視光応答型光触媒と、
少なくとも一つの可視光発光型半導体発光素子と、
前記可視光発光型半導体発光素子からの可視光線を受光する漏光型光ファイバを備え、
前記可視光応答型光触媒が前記漏光型光ファイバから漏洩した可視光線により励起される、光抗菌トイレ装置。
【請求項4】
前記便座または前記便座カバーの少なくとも主要部が板状またはシート状の光透過性樹脂部材からなり、
前記漏光型光ファイバを部分的または全面的に前記透過性樹脂部材内に埋設した請求項3に記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項5】
前記漏光型光ファイバが、その側面のほぼ全面から光線を漏洩する漏洩型プラスチック光ファイバである請求項3に記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項6】
前記漏光型光ファイバが、その側面から方向性を有する光線を漏洩するプラスチック漏洩型光ファイバである請求項3に記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項7】
便座または前記便座に着脱可能に設けられた便座カバーと、
前記便座に開閉自在に設けられた蓋と、
前記便座または前記便座カバーに配置された可視光応答型光触媒と、
前記蓋に配置され可視光線を含む残光性発光を生じる蓄光体を備え、
前記可視光応答型光触媒が前記蓄光体からの可視光線により励起される、光抗菌トイレ装置。
【請求項8】
前記蓋が光透過性樹脂からなるほぼ輪状の輪状部材と前記輪状部材の内側に平面的に配置されて一体化された中央部材からなり、
前記蓄光体が前記輪状部材に配置された請求項7に記載の、光抗菌トイレ装置。
【請求項9】
前記蓋が光透過性樹脂からなるほぼ輪状の輪状部材と前記輪状部材の内側に配置されて一体化された中央部材からなり、
前記輪状部材の内部に複数の蓄光性蛍光体粒子からなる前記蓄光体を分散して成型した蓄光性樹脂成型部材からなる請求項7に記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項10】
前記蓋が光透過性樹脂からなるほぼ輪状の輪状部材と前記輪状部材の内側に配置されて一体化された中央部材からなり、
複数の蓄光性蛍光体粒子を含有したシート状または膜状の蓄光部材を前記輪状部材の表面に配置した請求項7に記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項11】
光透過性を有する前面板状部材と裏面板状部材と前記前面板状部材と前記裏面板状部材間の空洞からなる便座と、
前記前面板状部材に配置された可視光応答型光触媒と、
少なくとも一つの可視光発光型半導体発光素子を備え、
前記可視光発光型半導体発光素子が部分的または全面的に前記前面板状部材の内部、または、前記空洞の内部に配置され、
前記可視光応答型光触媒が前記前面板状部材を経由して前記可視光発光型半導体発光素子からの可視光線により励起される、光抗菌トイレ装置。
【請求項12】
更に光透過性を有する前記裏面板状部材に前記可視光応答型光触媒を配置し、
前記可視光応答型光触媒が前記前面板状部材と前記裏面板状部材を経由して前記可視光発光型半導体発光素子からの可視光線により励起される、請求項11に記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項13】
更に前記便座に暖房用電熱ヒーターを配置し、
前記電熱ヒーターが前面板状部材の内面に近接または密着または固着して配置された、請求項11に記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項14】
前記便座に前記便座の暖房用電熱ヒーターを前面板状部材の内面または前記空洞に備え、
前記電熱ヒーターを前記可視光発光型半導体発光素子からの可視光線をほとんど遮蔽しない箇所に配置した、請求項11に記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項15】
前記便座または前記便座カバーが板状またはシート状の光透過性樹脂部材を有し、
前記可視光応答型光触媒が前記光透過性樹脂部材の少なくとも前面に配置された、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項16】
前記便座または前記便座カバーが板状またはシート状の光透過性樹脂部材を有し、
前記可視光応答型光触媒が前記光透過性樹脂部材の少なくとも前面および裏面に配置された、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項17】
前記便座または前記便座カバーの少なくとも主要部が板状またはシート状の光透過性樹脂部材からなり、
前記可視光線発光型半導体発光素子が部分的または全面的に前記光透過性樹脂部材に埋設された請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項18】
前記便座または前記便座カバーの少なくとも主要部が板状またはシート状の光透過性樹脂部材からなり、
前記光透過性樹脂部材を光導波路として、前記可視光線発光型半導体発光素子からの可視光線を前記光透過性樹脂部材の前面と裏面との間を反射を繰り返して伝達かつ拡散させると共に、前記光透過性樹脂部材から漏洩させ、その漏洩光線により前記光触媒を励起する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項19】
前記可視光発光型半導体発光素子が前記光触媒を励起する可視光波長帯域の第1の可視光線と、前記光触媒を励起しない可視光波長帯域の第2の可視光線を発し、
第2の可視光線を前記便座または前記便座カバーまたは前記蓋から出射させる請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項20】
前記光触媒を励起する前記可視光発光型半導体発光素子に追加して前記光触媒を励起しない照明または表示用可視光発光型半導体発光素子を設け、
前記照明または表示用可視光発光型半導体発光素子を前記便座または前記便座カバーまたは前記蓋から出射させる請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項21】
前記便座を暖房する暖房用電熱ヒーターを前記便座または前記便座カバーに配置した、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項22】
前記便座または前記便座カバーが光透過性樹脂部材を有し、
前記可視光発光型半導体発光素子が前記光透過性樹脂部材に埋設して配置された請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項23】
前記可視光発光型光触媒半導体発光素子が紫外線をほとんど含まず主として青色光線を含む可視光線を発光し、
前記可視光応答型光触媒が前記半導体発光素子からの青色光線を含む可視光線により励起される、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項24】
前記便座または前記便座カバーの着座表面と非着座表面に前記可視光応答型光触媒を配置し、
前記可視光発光型半導体発光素子または前記漏洩型光ファイバから前記着座表面上の前記可視光応答型光触媒へ向けて前記非着座表面より照射輝度の高い出射光線を照射する、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項25】
前記可視光発光型半導体発光素子を、前記便座または前記便座カバーに設ける替りに、前記蓋または前記蓋の前記輪状部材に設け、
前記可視光発光型半導体発光素子からの可視光線が前記蓋の閉成時に前記便座または前記便座カバーの表面を指向するように、前記可視光発光型半導体発光素子は、前記蓋の裏面または前記輪状部材の前記光透過性樹脂に配置された、請求項7乃至請求項10のいずれかに記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項26】
前記漏光型光ファイバを、前記便座または前記便座カバーに設ける替りに、前記蓋または前記蓋の前記輪状部材に設け、
前記漏光型光ファイバからの漏洩した可視光線が前記蓋の閉成時に前記便座または前記便座カバーの表面を指向するように、前記漏光型光ファイバは、前記蓋の裏面または前記輪状部材の前記光透過性樹脂に配置された、請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の光抗菌トイレ装置。
【請求項27】
複数の光散乱粒子を前記便座または前記便座カバーに含有した、請求項1乃至請求項26のいずれかに記載の光抗菌トイレ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2007−130029(P2007−130029A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−323016(P2005−323016)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(395012709)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(395012709)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]