光拡散フィルムおよびそれを用いた面光源
【課題】本発明は、薄型の直下型の面光源においても輝度ムラの解消と高輝度化の両立可能な光拡散フィルム、およびそれを用いた薄型で高輝度の直下型面光源を提供する。
【解決手段】本発明の光拡散フィルムは、拡散素子(D)を含有するマトリックス樹脂からなる層(以下、内部拡散層(ID層)という)を有するフィルムであって、内部拡散層(ID層)に含まれる拡散素子(D)の全数に対する拡散素子(d1)の下記(1)および(2)を満たす数の割合が50%以上であり、かつ内部拡散層(ID層)に含まれる拡散素子(D)のフィルム厚み方向の数が3個以上120個以下であることを特徴とするものである。
(1)内部拡散層(ID層)を構成するマトリックス樹脂の屈折率Nmと拡散素子(d1)の屈折率Ndとの屈折率の差の絶対値|Nm−Nd|が0.05以上0.3以下であること。
(2)扁平度が3以上100以下であること。
【解決手段】本発明の光拡散フィルムは、拡散素子(D)を含有するマトリックス樹脂からなる層(以下、内部拡散層(ID層)という)を有するフィルムであって、内部拡散層(ID層)に含まれる拡散素子(D)の全数に対する拡散素子(d1)の下記(1)および(2)を満たす数の割合が50%以上であり、かつ内部拡散層(ID層)に含まれる拡散素子(D)のフィルム厚み方向の数が3個以上120個以下であることを特徴とするものである。
(1)内部拡散層(ID層)を構成するマトリックス樹脂の屈折率Nmと拡散素子(d1)の屈折率Ndとの屈折率の差の絶対値|Nm−Nd|が0.05以上0.3以下であること。
(2)扁平度が3以上100以下であること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種表示装置、特に液晶表示装置の面光源に好適な拡散シート、およびそれを用いた面光源に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、ノートパソコンや携帯電話機器を始め、テレビ、モニター、カーナビゲーション等、多様な用途に用いられている。液晶表示装置には、光源となる面光源が組み込まれており、面光源からの光線を液晶セルで制御することにより、表示される仕組みとなっている。この面光源に求められる特性は、単に光を出射する光源としてだけではなく、画面全体を明るく且つ均一に光らせることである。
【0003】
面光源の構成は大きく二つに分けることができる。1つは、サイドライト型面光源と称される方式である。これは、例えば薄型化・小型化が求められるノートパソコン等に主に使用される方式であるが、基本構成として導光板を用いるのが特徴である。サイドライト型面光源の場合、導光板の側面に蛍光管を設置し、側面から導光板に光線を入射させて、導光板内部を全反射させながら面内全体に光を伝搬しつつ、導光板の裏面に施された拡散ドット等により一部を全反射条件から離脱させて導光板前面から採光することにより、面光源として機能させるものである。サイドライト型面光源の場合には、これら構成以外にも、導光板の裏面から漏れ出る光を反射させて再利用させる機能を担う反射フィルム、導光板前面から出射する光を均一化させる拡散シート、そして正面輝度を向上させるプリズムシートなど、多種類の光学フィルムが用いられている。
【0004】
また、もう1つの方式は、直下型面光源と称される方式である。これは、大型化・高輝度化が求められるテレビ用途に好ましく用いられる方式である。図4は、直下型面光源を縦方向に切断して示す断面図である。面光源の筐体は反射板10で覆われて一面が開口となっており、筐体内部に蛍光管20が配置されている。開口部には拡散板30の上に、複数の光学フィルム群40が配置されて、面光源が形成される。反射板10は、例えば内部に微細な気泡を含有させた白色ポリエステルシート等が好ましく用いられる。また、光源20は、線状光源として冷陰極管(CCFL)、外部電極蛍光管(EEFL)、点光源として発光ダイオード(LED)等が用いられる。これら線状または点状の光源を拡散板30および、その上に設置される光学フィルム群40にて均一化し、面状の光源となる。
【0005】
この方式の面光源は、画面奥に光源を複数個並べることにより、大画面にも対応可能で、さらに明るさも十分に確保できる。しかしながら、特徴でもある画面奥に設置された光源よる画面内の明るさムラ(輝度ムラ)が生じる。つまり、光源の真上は明るく、隣接する光源間が暗くなる。このため、直下型面光源では、この輝度ムラを解消するため、極めて強い光拡散性を有する光拡散板(乳白板)を蛍光管の上側に設置し、画面の均一化を図っている(特許文献1)。光拡散板は、微粒子を分散させたアクリル樹脂、またはポリカーボネート樹脂等からなる光拡散板である。この光拡散板により輝度ムラが解消され画面の均一化が図れるのであるが、強く拡散させるために全光線透過率が低く光利用効率が悪くなり、また強く拡散しすぎるために不要な方向へ光を散らしてしまい、結果として、必要となる正面の明るさが不十分となる。そこで、光拡散板のみでは完全に輝度ムラを解消せず、拡散板の上に、光を等方的に拡散しながら、正面方向に集光効果を示す拡散シートなどの光学フィルムを複数枚設置することで輝度ムラの解消を図っている(特許文献2)。この拡散シートは、基材シート上に有機架橋粒子などの微粒子を含有した拡散層を形成したビーズシートと呼ばれるシートであり、光拡散板とは違い、ある程度正面方向への指向性を示す光学フィルムである。また、必要に応じさらに集光性を向上させるためにプリズムシートなどが組み込まれている。
【0006】
これら液晶表示装置は、近年、省スペース化、軽量化、デザイン性などの観点から薄型化が求められたり、低コスト化のために搭載する光源を減らすことが求められている。このような構成となると、従来構成では、光学フィルム群(図4符号40)に従来の光学フィルムを用いた構成では一枚あたりの光の均一化効果が低いために、輝度ムラの解消が困難となり、光源直上と光源間の直上で輝度にムラが生じ、光源の像が視認されてしまう。そのため、輝度ムラを解消し均一化(ムラ消し)するためには、多数の光学フィルムを設置する必要があったが、それにより面光源の厚みが厚くなるといった問題があるため、それを解決する手段として、内部に球状の拡散素子を含むフィルムが提案されている(特許文献3)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−29091号公報
【特許文献2】特開2001−324607号公報
【特許文献3】特開2001−272508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
直下型面光源においては、画面奥に複数の光源を間隔をあけて設置するが故に、薄型化して拡散板と光源間が狭くなったり、光源数を減らしたときに、輝度ムラが大きくなり、それを解消させるのが困難となってきている。そのため、従来の光学シートでは、輝度ムラを解消させるために使用する枚数を増やすことで対応を図っているが、それでも十分に輝度ムラが解消されなかったり、たとえムラが解消されても輝度が大きく低下したりして、輝度ムラの解消と高輝度化の両立が困難であった。
【0009】
従って、本発明の目的は、かかる従来技術の背景に鑑み、薄型の直下型面光源や、光源数の少ない直下型面光源においても輝度ムラの解消と高輝度化の両立可能な光拡散フィルム、およびそれを用いた薄型や低コストでかつ高輝度の直下型面光源の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、かかる課題を解決するために、次の手段を採用するものである。すなわち、本発明の光拡散フィルムは、
1.拡散素子(D)を含有するマトリックス樹脂からなる層(以下、内部拡散層(ID層)という)を有するフィルムであって、内部拡散層(ID層)に含まれる拡散素子(D)の全数に対する拡散素子(d1)の下記(1)および(2)を満たす数の割合が50%以上であり、かつ内部拡散層(ID層)に含まれる拡散素子(D)のフィルム厚み方向の数が3個以上120個以下である光拡散フィルム。
(1)扁平度が3以上100以下であること。
(2)内部拡散層(ID層)を構成するマトリックス樹脂の屈折率Nmと拡散素子(d1)の屈折率Ndとの屈折率の差の絶対値|Nm−Nd|が0.1以上0.3以下であること。
2.フィルム厚み方向の長さ10μmあたりの拡散素子(D)の個数が1個/10μm以上10個/10μm以下である1に記載の光拡散フィルム、
3.フィルム面と平行な断面において、前記拡散素子(D)の面内長軸長さと、長軸方向に対して垂直方向の面内長さ(面内短軸長さ)の比(面内長軸長さ/面内短軸長さ)が2以下である1または2に記載の光拡散フィルム、
4.内部拡散層(ID層)の気泡の体積占有率が3体積%以下である、1〜3のいずれかに記載の光拡散フィルム、
5.内部拡散層(ID層)が二軸配向されてなる1〜4のいずれかに記載の光拡散フィルム、
6.内部拡散層(ID層)を構成するマトリックス樹脂が、ポリエステル系樹脂を含んでなる熱可塑性樹脂からなる1〜5のいずれかに記載の光拡散フィルム、
7.拡散素子(d1)が熱可塑性樹脂からなる1〜6のいずれかに記載の光拡散フィルム、
8.拡散素子(d1)がポリオレフィン系樹脂である7に記載の光拡散フィルム、
9.少なくとも一方の表面の表面自由エネルギーが35mN/m以上である1〜8のいずれかに記載の光拡散フィルム、
10.内部拡散層(ID層)の片側または両側に、樹脂層(S層)が積層されており、かつマトリックス樹脂の融点Tm1と、樹脂層(S層)の融点Tm2の差(Tm1−Tm2)が10℃以上である1〜9のいずれかに記載の光拡散フィルム、
11.少なくとも一方の表面に凹凸構造を有する1〜10のいずれかに記載の光拡散フィルム、
12.全光線透過率が25〜80%である1〜11のいずれかに記載の光拡散フィルム、
13.1〜12のいずれかに記載の光拡散フィルムを用いた面光源、
である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、輝度ムラの解消と高輝度化の両立可能な光拡散フィルムを提供することができ、これを液晶表示装置の面光源、特に直下型面光源に組み込むことにより、面光源を薄型化した際や、光源数を減らした際に、高い画面均一性と高い輝度特性の両立が図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】拡散素子(d1)のフィルム面内と垂直な断面における長軸長さ、短軸長さの計測方法の説明図である。
【図2】拡散素子(d1)のフィルム面内と垂直な断面における長軸長さ、短軸長さの計測方法の説明図である。
【図3】拡散素子(d1)のフィルム面内と垂直な断面における長軸長さ、短軸長さの計測方法の説明図である。
【図4】直下型面光源の一例を示す図である。
【図5】球状の拡散素子を含有する従来のフィルムの斜視図である。
【図6】球状の拡散素子に光が衝突したときの光の挙動の説明図である。
【図7】図5のフィルムを搭載した直下型面光源における光の挙動の説明図である。
【図8】扁平状の拡散素子(d1)を含有する本発明のフィルムの斜視図である。
【図9】扁平状の拡散素子(d1)に光が衝突したときの光の挙動の説明図である。
【図10】図8のフィルムを搭載した直下型面光源における光の挙動の説明図である。
【図11】拡散素子(d1)のフィルム面内と平行な断面における面内長軸長さ、面内短軸長さの計測方法の説明図である。
【図12】拡散素子(d1)のフィルム面内と平行な断面における面内長軸長さ、面内短軸長さの計測方法の説明図である。
【図13】拡散素子(d1)のフィルム面内と平行な断面における面内長軸長さ、面内短軸長さの計測方法の説明図である。
【図14】光拡散層を模式的に示す斜視図である。
【図15】光拡散層を模式的に示す斜視図である。
【図16】光拡散層を模式的に示す斜視図である。
【図17】光拡散層を模式的に示す斜視図である。
【図18】光拡散層を模式的に示す斜視図である。
【図19】実施例、比較例において用いた光拡散層の形状を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の光拡散フィルムは、少なくとも内部に、マトリックスとなる樹脂(以下、マトリックス樹脂)に対し、非相溶な成分を拡散素子(D)として含有する内部拡散層(ID層)を含んだ構成からなる。ここで、拡散素子(D)とは、マトリックス樹脂の屈折率Nmと拡散素子(D)の屈折率Ndの差の絶対値|Nm−Nd|が0.03以上であるもののことをいう。
【0014】
また、本発明の光拡散フィルムにおいて、内部拡散層(ID層)に含まれる拡散素子(D)には下記の(1)および(2)を満たす拡散素子(d1)が含まれる。
(1)内部拡散層(ID層)を構成するマトリックス樹脂の屈折率Nmと拡散素子(d1)の屈折率Nd1との屈折率の差の絶対値|Nm−Nd1|が0.05以上0.3以下であること。
(2)扁平度が3以上100以下であること。
【0015】
なお、拡散素子(D)の扁平度は、後述する手順(A1)〜(A4)で求められる。
【0016】
また、本発明の光拡散フィルムにおいて、上記拡散素子(d1)は、内部拡散層(ID層)に含まれる拡散素子(D)の全数に対して50%以上含まれる。
【0017】
また、本発明の光拡散フィルムは、内部拡散層(ID層)に含まれる拡散素子(D)のフィルム厚み方向の数が3個以上120個以下からなる。
【0018】
なお、フィルム厚み方向の拡散素子(D)の個数は、後述する手順(B1)〜(B5)で求められる。
【0019】
上記要件を全て満たすことによって液晶ディスプレイ面光源用の光拡散フィルム、特に直下型面光源における輝度とムラ消し性に優れるフィルムとして有用とすることができる。その理由について下記詳細に説明する。
【0020】
本発明の光拡散フィルムは、内部に、マトリックス樹脂と屈折率の異なる扁平状の拡散素子(d1)を含むため、従来の球状の拡散素子のみを含むフィルムに比べて、拡散素子(D)の体積占有率が同じであっても光の衝突確率が増大する結果、透過光は均一に拡散されやすくなる。
【0021】
また、拡散素子に衝突した光はマトリックス樹脂と拡散素子の界面にて反射/屈折されることで散乱される。そのときの挙動について図5〜図10を用いて説明する。
【0022】
図8はマトリックス200に扁平状の拡散素子(d1)100を含有する本発明の光拡散フィルムであり、図9は、図8のフィルムにおいて、扁平状の拡散素子(d1)100に光が入射した場合の挙動を示す図である。扁平状の拡散素子(d1)100に入射した光λ0は、界面により反射/屈折を繰り返しても、その形状から、透過する光(λ1)や、界面で反射され入射方向側に散乱される光(λ2)がほとんどであり、入射方向に対して垂直方向近傍に散乱する光(λ3)はほとんどない。そのため、フィルム面内方向に伝播し、フィルム端面から出射して、損失される光が少ない。図10は、本発明の光拡散フィルムを面光源用フィルム41として用いた場合の図であるが、図に示すように、フィルム側面から出射し損失される光量(λ3’)を少なくすることができる。なお、図10に示すように、界面で反射され入射方向側に散乱される光(λ2)は、光源側に戻される。そして、反射板10にて、反射し、再度、本発明の光拡散フィルムに入射する(この現象を、「光の再利用」と呼ぶこともある。)。また、光の再利用が起こる場合、光は反射フィルム10にて拡散反射されるため、このサイクルを繰り返すことで、面光源より出射する光の量を面内において均一化することが可能となる。その結果、輝度ムラを解消し均一化(ムラ消し)することができる。以上のメカニズムから、従来の球状の拡散素子(D)を含む拡散フィルムに比べて高輝度かつ高ムラ消し性を両立することができる。
【0023】
なお、本発明の光拡散フィルムは図4の複数の光学フィルム群40の何れの部分に用いられても高いムラ消し性を発現するが、その効果が高いという点で拡散板の直上の光学フィルム41として用いるのが後方散乱光を有効に利用でき高輝度とすることができるという点でより好ましい。
【0024】
ここで、本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子(d1)は拡散素子(D)の全数に対して、より好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上含まれるのがよい。拡散素子(d1)の含有量が50%に満たないと、入射方向に対して垂直方向近傍に散乱する光λ3が多くなり、輝度が低下する場合があるため好ましくない。
【0025】
また、内部拡散層(ID層)を構成するマトリックス樹脂の屈折率Nmと拡散素子(d1)の屈折率Ndとの屈折率の差の絶対値|Nm−Nd1|は、より好ましくは、0.1以上0.25未満、更に好ましくは0.15以上0.25未満、特に好ましくは0.17以上0.23未満である。内部拡散層(ID層)を構成するマトリックス樹脂の屈折率Nmと拡散素子(d1)の屈折率Nd1との屈折率の差の絶対値|Nm−Nd1|が0.05に満たないと、界面での屈折/反射が少なくなる結果、拡散性が低下して輝度ムラの解消が困難となる場合があり、また0.3を越えると、拡散性が強くなりすぎて入射方向に対して垂直方向近傍に散乱する光λ3が多くなり、輝度が低下する場合があったり、光の透過性が低下し輝度が低下することがあるため好ましくない。
【0026】
また、拡散素子(d1)の扁平度は、より好ましくは5以上50以下が良く、更に好ましくは10以上30以下、特に好ましくは12以上25以下である。扁平度が3に満たないと入射方向に対して垂直方向近傍に散乱する光λ3が多くなり、輝度が低下する場合があり、また扁平度が100を越えると、拡散性が低下して輝度ムラの解消が困難となったり、光の透過性が低下し輝度が低下することがあるため好ましくない。
【0027】
ここで、扁平度を3以上100未満の拡散素子(d1)を含有させるためには、拡散素子(d1)として無機粒子や、有機架橋性粒子を用いた場合は、扁平度を3以上100の範囲に制御した粒子を用いる方法があげられる。また、拡散素子(d1)として熱可塑性樹脂を用いる場合は、マトリックス中に拡散素子として熱可塑性樹脂を分散させてシート化したものを、
1’)面積延伸倍率が1.5倍以上となるよう一軸または二軸延伸する、
2’)圧延率が90%以上となるよう厚み方向に圧延する、
3’)上記1’)と2’)を併用する、
などの方法が挙げられる。なお、1’)の方法の詳細は後述する。また、面積倍率とは一軸目の延伸倍率に二軸目の延伸倍率を乗じたものである。また、2’)の方法において圧延率(%)とは、圧延後の厚みを、圧延前の厚みで除し、100を乗じたものである。
【0028】
なお、本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子(d1)として熱可塑性樹脂を用いる場合に扁平度を高めるためには、
1”)面積延伸倍率、もしくは圧延率を大きくする、他に、
2”)拡散素子となる熱可塑性樹脂をマトリックス中に微分散させる、
3”)マトリックス樹脂のガラス転移温度+25℃での拡散素子となる熱可塑性樹脂の弾性率とマトリックス樹脂の弾性率差を小さくする、
4”)上記1”)〜3”)の少なくとも2つの方法を併用する、
などの方法が好ましく用いられる。
【0029】
また、本発明の光拡散フィルムにおいて、フィルム厚み方向の拡散素子(D)の個数はより好ましくは7個以上100個以下、更に好ましくは、13個以上60個以下である。フィルム厚み方向の拡散素子(D)の個数が3に満たないと、光を十分に拡散させることができず、面光源に組み込んだ際の輝度ムラの解消が不十分となる場合があるため好ましくなく、120個以上であると、光の透過効率が不十分で、面光源に組み込んだ際の輝度が大きく低下することがある。本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子(D)の個数を3以上120個以下とすることにより、光の透過効率を落とすことなく拡散性を付与する事が可能となり、その結果、面光源に組み込んだ際に効率的に輝度ムラの解消と、高輝度化の両立が可能となる。
【0030】
また、本発明の光拡散フィルムにおいて、フィルム厚み方向の単位長さあたりの拡散素子(D)の個数が1個/10μm以上10個/10μm以下であるのが好ましい。より好ましくは1.2個/10μm以上9個/10μm以下、1.5個/10μm以上8個/10μm以下、更に好ましくは2個/10μm以上7個/10μm以下である。フィルム厚み方向の単位長さあたりの拡散素子の個数が1個/10μmに満たないと、斜め方向から入射した光に対する光拡散性が低下し、面光源に組み込んだ際に斜め方向から輝度ムラが視認される場合があるため好ましくなく、また、10個/10μmを越えると、拡散素子間隔が可視光の波長と同程度になるため、干渉効果により、光の失活が起こり光の透過効率が低下したり、透過光が着色することがあり、面光源に組み込んだ際の輝度が大きく低下したり、面光源の色調が大きく変化することがあるため好ましくない。本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子の単位長さあたりの個数を1個/10μm以上10個/10μmとすることにより、光の透過効率を落とすことなく斜め方向からの光に対しても拡散性を付与する事が可能となり、その結果、面光源に組み込んだ際に輝度の低下、色調の変化などなく斜め方向の輝度ムラを解消することが可能となる。
【0031】
また、本発明の光拡散フィルムにおいて、内部拡散層(ID)層に含まれる拡散素子(D)の平均扁平度は3以上100以下となるのが好ましい。拡散素子(D)の平均扁平度が3に満たないと入射方向に対して垂直方向近傍に散乱する光λ3が多くなり、輝度が低下する場合があり、また平均扁平度が100を越えると、拡散性が低下して輝度ムラの解消が困難となったり、光の透過性が低下し輝度が低下することがあるため好ましくない。本発明において、内部拡散層(ID)層に含まれる拡散素子(D)の平均扁平度を3以上100以下とすることによって、光の利用効率を落とすことなく拡散性を付与する事が可能となり、その結果、面光源に組み込んだ際に効率的に輝度ムラの解消と、高輝度化の両立が可能となる。
【0032】
また、本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子(D)の平均長軸長さaが0.5μm以上25μm以下であるのが好ましい。より好ましくは1μm以上20μm以下、更に好ましくは3μm以上15μm以下、特に好ましくは4μm以上15μm以下である。拡散素子(D)の平均長軸長さaが0.5μmに満たないと、拡散させる光の波長よりも拡散素子(D)の平均長軸長さaが小さくなるため光の拡散性が不十分となり、面光源に組み込んだ際の輝度ムラの解消が不十分となる場合があるため好ましくなく、一方、拡散素子(D)の平均長軸長さaが30μm以上であると、形状が平板状になり、拡散性が低下したりすることがあったり、光の透過効率が低下し、面光源に組み込んだ際の輝度が大きく低下することがある。本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子(D)の平均長軸長さaが0.5μm以上30μm以下とすることにより、光の透過効率を落とすことなく拡散性を付与する事が可能となり、その結果、面光源に組み込んだ際に効率的に輝度ムラの解消と、高輝度化の両立が可能となる。
【0033】
また、本発明の光拡散フィルムにおいて拡散素子(D)の平均厚みdが0.01μm以上1μm以下であるのが好ましい。より好ましくは0.1μm以上1μm以下、更に好ましくは0.2μm以上0.9μm以下、特に好ましくは0.3μm以上0.8μm以下である。拡散素子(D)の平均厚みdが0.1μmに満たないと、入射した光が拡散素子(D)として認識せず、光拡散性が低下したり、薄膜干渉により光線が失活し輝度が低下したりする場合があり、また、1μmよりを越えると、厚み方向の拡散素子(D)数が少なくなる結果、光拡散性が低下し、面光源に組み込んだ際の輝度ムラの解消が不十分となる場合があるため好ましくない。本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子の平均厚みを0.01μm以上1μm以下とすることで、光線の失活なく効率的な光拡散性を付与することが可能となり、面光源に組み込んだ際に輝度を落とすことなく、効率的に輝度ムラを解消することが可能となる。
【0034】
本発明の光拡散フィルムにおいて、前記拡散素子(D)は、フィルム面と平行な断面において、面内長軸長さと、長軸方向に対して垂直方向の面内長さである面内短軸長さの比(面内長軸長さ/面内短軸長さ)が2以下であることが好ましい。なお、面内長軸長さ/面内短軸長さの比は、後述する手順(C1)〜(C7)で求められる。
【0035】
面内長軸長さと面内短軸長さの比(面内長軸長さ/面内短軸長さ)は、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.2以下である。面内長軸長さと面内短軸長さの比(面内長軸長さ/面内短軸長さ)が2を越えると、拡散性が低下しムラ消し性が低下したり、方向によってムラ消し性や、輝度が異なったりして液晶ディスプレイへの設置の際に制限を受ける場合がある。本発明の光拡散フィルムにおいて、面内長軸長さと面内短軸長さの比(面内長軸長さ/面内短軸長さ)を2以下とすることで、全方向に渡り、高い拡散性を有することが可能となる。
【0036】
本発明では、内部拡散層(ID)内における拡散素子(D)の体積占有率が0.1体積%以上25体積%未満であることが好ましい。拡散素子(D)の体積占有率は、後述する手順(D1)〜(D4)で求めることができる。拡散素子(D)の体積占有率は0.5体積%以上20体積%であることがより好ましく、1体積%以上15体積%以下であることが更に好ましく、1.5体積%以上10体積%以下であることが特に好ましく、最も好ましくは2体積%以上10体積%以下である。体積占有率が0.1体積%に満たないと、拡散性が低下して輝度ムラの解消が困難となったりする場合があったり、25体積%以上となると光の透過性が低下し輝度が低下することがあるため好ましくない。本発明の光拡散フィルムにおいて、内部拡散層(ID層)に含まれる拡散素子(D)の含有量を0.1体積%以上25体積%以下とすることで、光の利用効率を落とすことなく拡散性を付与する事が可能となり、その結果、面光源に組み込んだ際に効率的に輝度ムラの解消と、高輝度化の両立が可能となる。
【0037】
本発明の光拡散フィルムにおいて、内部拡散層(ID層)には気泡(ボイド)が極力含有しないのが好ましく、その体積占有率は3体積%以下が好ましい。より好ましくは2体積%以下、更に好ましくは1体積%以下である。気泡の体積占有率は、後述する手順(E1)〜(E4)で求めることができる。気泡の体積占有率は、2体積%以下であることが好ましく、より好ましくは1体積%以下、特に好ましくは0.5体積%以下である。体積占有率が3%以上を越えると、気泡により光が不必要に散乱されてしまい、その結果、入射方向に対して垂直方向近傍に散乱する光λ3が多くなり、輝度が低下する場合があるため好ましくない。本発明の光拡散フィルムにおいて、気泡の体積占有率を3体積%以下とすることで、光の利用効率を落とすことなく拡散性を付与する事が可能となり、その結果、面光源に組み込んだ際に効率的に輝度ムラの解消と、高輝度化の両立が可能となる。
【0038】
本発明の光拡散フィルムにおいて、内部拡散層(ID層)のマトリックスとなる樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、ポリエーテルエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などが挙げられる。これらの中で共重合することができるモノマー種の多様性、およびそれによって材料物性の調整が容易であるなどの理由から、特にポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂またはこれらの混合物から選ばれる熱可塑性樹脂から主として形成されていることが好ましい。また、特に機械的強度、耐熱性等の点から、ポリエステル系樹脂がより好ましく、これらの中でも、透明性、成形性、耐熱性の観点から、エチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステル樹脂がより好ましい。
【0039】
本発明の光拡散フィルムにおいて、内部拡散層(ID層)のマトリックスとなる樹脂がポリエステル樹脂には、共重合成分を含むことも好ましい。かかる共重合成分の例として、ジカルボン酸成分としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、イソソルビド、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸等芳香族ジカルボン酸などのジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体や、ジカルボン酸成分のカルボキシ末端に、l-ラクチド、d−ラクチド、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類、およびその誘導体、そのオキシ酸類が複数個連なったもの等を付加させたジカルボキシ化合物などが代表例としてあげられるがこれらに限定されない。また、これらは単独で用いても、必要に応じて、複数種類用いても構わない。
【0040】
また、ジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等の脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、イソソルビドなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールA、1,3―ベンゼンジメタノール,1,4−ベンセンジメタノール、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、などの芳香族ジオール類等のジオール、およびこれらジオール類が複数つながったジヒドロキシ化合物などが代表例としてあげられるがこれらに限定されない。また、これらは単独で用いても、必要に応じて、複数種類用いても構わない。
【0041】
また、一分子内にカルボン酸もしくはカルボン酸誘導体骨格と水酸基を有する化合物の例としては、l-ラクチド、d−ラクチド、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類、およびその誘導体、そのオキシ酸類が複数個連なったもの等を付加させたジカルボキシ化合物等があげられる。
【0042】
ここで、本発明の光拡散フィルムにおいて、内部拡散層(ID層)のマトリックスとなる樹脂には少なくとも結晶性樹脂(A)を含むことが好ましい。マトリックス樹脂として、結晶性樹脂(A)を少なくとも含むことによって、延伸、熱処理により、配向結晶化させることが可能となり、機械的強度、耐熱性に優れた光拡散フィルムとすることができる。ここで、結晶性樹脂とは、JIS K7122(1999)に準じて、後述する(F1)〜(F4)の手順で得られる2ndRUNの示差走査熱量測定チャートにおいて、融解に伴う発熱ピークが観察される樹脂のことである。より詳しくは、融解に伴うピーク面積から求められる結晶融解熱量ΔHmが1J/g以上の樹脂を結晶性樹脂とする。本発明の光拡散フィルムにおいては、内部拡散層(ID層)のマトリックスを構成する樹脂のうち、結晶性樹脂が1種類である場合はその樹脂を結晶性樹脂(A)とする。また、マトリックスを構成する結晶性樹脂が複数含まれる場合は、結晶性樹脂のうち、主たる成分となる結晶性樹脂を結晶性樹脂(A)とする。本発明の光拡散フィルムにおいて、結晶性樹脂(A)は、好ましくは結晶融解熱量ΔHmが5J/g以上、より好ましくは10J/g以上、更に好ましくは15J/g以上の樹脂を用いるのがよい。本発明の光拡散フィルムにおいて結晶性樹脂(A)の結晶融解熱量を上述の範囲とすることによって、延伸、熱処理による配向結晶化をより高める可能となり、その結果、より機械的強度、耐熱性に優れた光拡散フィルムとすることができる。
【0043】
また、本発明の光拡散フィルムにおいては、マトリックスを構成する樹脂種が結晶性樹脂と非晶性樹脂との混合物であっても構わない。その場合、マトリックスを構成する樹脂100質量%のうち全結晶性樹脂の割合を80質量%以上とするのが、耐熱性、機械的強度の点から好ましい。
【0044】
本発明の光拡散フィルムに用いられる結晶性ポリエステル樹脂(A)に共重合成分を導入する場合は、結晶性が消失しない範囲で行う。その共重合成分を導入する方法としては、原料であるポリエステルペレットの重合時に共重合成分を添加し、あらかじめ共重合成分が重合されたペレットとして用いても良いし、また、例えば、ポリブチレンテレフタレートのように単独で重合されたペレットとポリエチレンテレフタレートペレットの混合物を押出し機に供給し、溶融混練時にエステル交換反応させることによって共重合化する方法を用いても良い。
【0045】
本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子(D)の材質は無機粒子、架橋性樹脂粒子、マトリックス樹脂と非相溶の熱可塑性樹脂(以下、非相溶性樹脂とする)などが挙げられ、いずれも好ましく用いられる。無機微粒子や架橋性樹脂粒子を用いる場合は、上述の範囲となるように予め形状を制御した粒子を拡散素子(d1)として用いることによって、上述の要件を満たす光拡散フィルムを容易に得ることができる。また、該拡散素子(D)の粒子として非相溶性樹脂を用いる場合は、コストの点や、フィルター濾過性、および後述する方法により気泡の発生を抑制しつつ、拡散素子(d1)として高扁平度のものを容易に得られるという点が、拡散素子(d1)として、無機微粒子や架橋性樹脂粒子と比べて有利となるため、より好ましい。
【0046】
本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子(D)として、無機粒子や架橋性粒子を用いる場合、その例としては、ガラス、シリカ、硫酸バリウム、酸化チタン、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレー等の無機粒子、またはアクリル樹脂、有機シリコーン樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、尿素樹脂、ホルムアルデヒド縮合物、フッ素樹脂等を架橋した架橋性樹脂粒子などを挙げることができる。
【0047】
また、本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子(D)として非相溶性樹脂を用いる場合、その具体例としては、共重合したポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、シクロペンタジエンなどのような直鎖状、分鎖状あるいは環状のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、ポリエーテルエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、フッ素系樹脂などが挙げられる。これらの中で共重合するモノマー種の多様性、およびそれによって材料物性の調整が容易であるなどの理由から、特にポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂またはこれらの混合物から選ばれる熱可塑性樹脂から主として形成されていることが好ましい。これらの非相溶性樹脂は単独重合体であっても共重合体であってもよく、さらには2種以上の非相溶性樹脂を併用してもよい。
【0048】
具体的には、内部拡散層(ID層)のマトリックス樹脂としてポリエステル系の樹脂を用いた場合、非相溶性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、ポリエーテルエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、などが好ましく挙げられる。これらの中で、非相溶性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、シクロペンタジエンなどのような直鎖状、分鎖状あるいは環状のポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン、フッ素系樹脂などが好ましく用いられる。これらの非相溶性樹脂は単独重合体であっても共重合体であってもよく、さらには2種以上の非相溶性樹脂を併用してもよい。これらの中でも、透明性に優れ、かつ耐熱性に優れ、かつ屈折率の点で、ポリオレフィンが好ましく用いられる。具体的には、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、シクロオレフィン共重合体などが特に耐熱性が高いという点で好ましく用いられる。
【0049】
また、本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子(D)として非相溶性樹脂を用いる場合、内部拡散層(ID層)のマトリックスとなる樹脂のガラス転移温度での動的貯蔵弾性率が500MPa以下であることが好ましい。ここでいうガラス転移温度とは、示差走査熱量測定(以下、DSC)により得られる、昇温過程(昇温速度:20℃/min)におけるガラス転移温度Tgで、詳しくは、JIS K−7121(1999年版)に基づき、後述する(F1)〜(F4)の手順により求められる。
【0050】
また、動的貯蔵弾性率とは、厚さ200μmのシートを作製し、そのシートをJIS K−7244(1999年版)に準じた方法により求めた値である。詳しくは、引張モード、試料動的振幅速さ(駆動周波数)は1Hz、チャック間距離5mm、歪振幅10μm、力振幅初期値100mN、昇温速度2℃/minでの測定条件にて温度依存性(温度分散)を測定した時に得られる値である。
【0051】
拡散素子(D)となる非相溶性樹脂の、内部拡散層(ID層)のマトリックスとなる樹脂のガラス転移温度での動的貯蔵弾性率は、より好ましくは250MPa以下、更に好ましくは200MPa以下、特に好ましくは100MPa以下、最も好ましくは50MPa以下である。動的貯蔵弾性率が500MPaを越えると、後述する方法により、延伸時の変形が困難となり、界面剥離が起こりやすくなる結果、気泡が形成しやすくなって光透過性が低下することがあったり、扁平形状に形成するのが困難となり、入射方向に対して垂直方向近傍に散乱する光λ3が多くなり、輝度が低下する場合があるため好ましくない。本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子(D)として非相溶性樹脂を用いる場合、内部拡散層(ID層)のマトリックスとなる樹脂のガラス転移温度での動的貯蔵弾性率を500MPa以下とすることによって、扁平状の拡散素子(d1)を有する内部拡散層(ID層)を容易に形成することが可能となり、得られたフィルムは光の利用効率を落とすことなく拡散性を付与する事が可能となり、その結果、面光源に組み込んだ際に効率的に輝度ムラの解消と、高輝度化の両立が可能となる。
【0052】
また、本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子(D)として非相溶性樹脂を用いる場合、その樹脂のMFRが1g/10min以上であるのが好ましい。ここでいうMFRとは、ASTM−D1238(1999)に基づいて,内部拡散層(ID層)のマトリックスとなる樹脂の融点+5℃の温度で、5kgの荷重をかけて、測定された値である。また、内部拡散層(ID層)のマトリックスとなる樹脂の融点とはJIS K−7121(1999)に基づいて、DSCにより得られる、昇温過程(昇温速度:20℃/min)における融点Tmで、具体的には、下記(F1)〜(F4)の方法により得られる値である。
【0053】
より好ましくは拡散素子(D)となる非相溶性樹脂のMFRは20g/10min以上、更に好ましくは100g/min以上である。MFRが1以上であると内部拡散層(ID層)のマトリックスとなる樹脂中に充分に微分散させることができず、その結果、得られるフィルムは光拡散性が低下することがある。
【0054】
本発明の光拡散フィルムにおいて、内部拡散層(ID層)のマトリックス樹脂としてポリエステル系の樹脂を用いた場合、拡散素子(D)として用いる非相溶性樹脂には、カルボン酸エステル基、無水マレイン酸基、オキサゾリン基、エポキシ基、オキセタン基等の置換基を有する樹脂(以下変性非相溶性樹脂(b2))を含むことが好ましい。変性非相溶性樹脂(b2)を含有させることで、後述する方法により、溶融混練時にポリエステル樹脂と反応してブロック共重合型化合物を形成する。また、未変性の非相溶性樹脂と併用した場合は、ポリエステル樹脂と未変性の非相溶性樹脂との界面付近に介在する。これにより、延伸工程でのポリエステル樹脂と非相溶性樹脂界面での剥離が抑制され、非相溶性樹脂を共延伸させることができ、それにより内部に略扁平状の拡散素子(d1)を有する内部拡散層(ID層)を形成することができる。
【0055】
本発明の光拡散フィルムに用いられる変性非相溶性樹脂(b2)は、例えば非相溶性樹脂としてポリオレフィン樹脂の場合は、上記置換基を有する化合物をグラフト共重合させることによって得ることができる。
【0056】
例えば、カルボン酸エステル、無水マレイン酸基を導入する場合は、不飽和カルボン酸をグラフト共重合させることによって得ることができる。また、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸をグラフト共重合させるには、ポリオレフィン樹脂を有機溶剤中に溶解させるか、懸濁させるかした後、不飽和カルボン酸を加え、ラジカル発生剤の分解温度(一般に50℃以上150℃以下)まで昇温させ、ラジカル発生剤を少量ずつ添加してグラフト反応させる方法を用いることができる。あるいは、ポリオレフィン樹脂にグラフトモノマーである不飽和カルボン酸をラジカル発生剤と共に押出機中で必要に応じて熱(例えば150℃以上260℃以下)をかけグラフト重合させる方法を用いることもできる。
【0057】
なお、不飽和カルボン酸とは、−COOH基を有する不飽和化合物だけでなく、その誘導体であるエステルや無水物も含む概念で用いられている。不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸;メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、フマル酸ブチル等の不飽和カルボン酸エステル;マレイン酸無水物、イタコン酸無水物等の酸無水物などが挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物が好ましく、特にアクリル酸、マレイン酸及びマレイン酸無水物が、生産性および非相溶性樹脂をポリエステル樹脂中で微分散化させることができる点で好ましい。
【0058】
また、オキサゾリン基、エポキシ基、オキセタン基等を導入する場合は、該置換基と不飽和結合とを有する化合物をグラフト重合することによって得られる。また、不飽和カルボン酸と上記置換基を有する化合物とのエステル結合性誘導体をグラフト重合させたり、不飽和カルボン酸をグラフト重合した変性非相溶性樹脂を作製した後、不飽和カルボン酸と上記置換基を有する化合物とエステル化反応させることによっても得ることができる。
【0059】
本発明の光拡散フィルムにおいて、非相溶性樹脂として、未変性の非相溶性樹脂と、カルボン酸エステル、無水マレイン酸基を導入した変性非相溶性樹脂(b2)を含む場合、その酸価を1KOHmg/g以上80KOHmg/g以下とするのが好ましい。なお、本発明において、酸価とはJIS−K0070−1992にて規定される酸価をいう。より好ましくは2KOHmg/g以上60KOHmg/g以下、更に好ましくは、3KOHmg/g以上60KOHmg/g以下、特に好ましく5KOHmg/g以上60KOHmg/g以下、最も好ましくは5KOHmg/g以上40mg/g以下である。酸価を上記範囲とすることにより、内部拡散層(ID層)のマトリックス樹脂であるポリエステル樹脂と拡散素子(D)となる非相溶樹脂との共延伸性を高めることができ、その結果、気泡の発生を抑えつつ、拡散素子(d1)の扁平度をより高めることができる。加えて、非相溶性樹脂をポリエステル樹脂中に極めて微細に分散させることもできる。
【0060】
変性非相溶性樹脂(b2)の酸価が1KOHmg/g未満であると、ポリエステル樹脂と非相溶性樹脂を共延伸させることができないことがある。その結果、非相溶性樹脂の拡散素子の扁平度を高めることができなくなったり、延伸工程において非相溶性樹脂の周辺でボイドが生成してしまうことがある。この場合、気泡により光が不必要に散乱されてしまい、その結果、入射方向に対して垂直方向近傍に散乱する光λ3が多くなり、輝度が低下する場合があるため好ましくない。
【0061】
また、変性非相溶性樹脂の酸価が80KOHmg/gを超えると、非相溶性樹脂耐熱性が低下して、溶融押出しする際に、押出機内で分解し、分解物がフィルム欠点の原因となったり、非相溶性樹脂の耐熱性が低下しなくてもマトリックス樹脂であるポリエステル樹脂の劣化が激しく、製膜自体が困難となる場合があるなど、フィルム生産上、好ましくないことがある。
【0062】
また、本発明の光拡散フィルムにおいて、カルボン酸エステル、無水マレイン酸基を導入した変性非相溶性樹脂(b2)のみ含む場合、変性非相溶性樹脂(b2)の酸価を0.001KOHmg/g以上20KOHmg/g以下とするのが好ましい。より好ましくは0.01KOHmg/g以上15KOHmg/g以下、更に好ましくは0.1KOHmg/g以上10KOH以下である。酸価を上記範囲とすることにより、内部拡散層(ID層)のマトリックス樹脂であるポリエステル樹脂と拡散素子(D)となる非相溶樹脂との共延伸性を高めることができ、その結果、気泡の発生を抑えつつ、拡散素子(d1)の扁平度をより高めることができる。加えて、非相溶性樹脂をポリエステル樹脂中に極めて微細に分散させることもできる。
【0063】
変性非相溶性樹脂(b2)の酸価が0.001KOHmg/g未満であったりすると、ポリエステル樹脂と非相溶性樹脂を共延伸させることができないことがある。その結果、非相溶性樹脂の拡散素子の扁平度を高めることができなくなったり、延伸工程において非相溶性樹脂の周辺でボイドが生成してしまうことがある。この場合、気泡により光が不必要に散乱されてしまい、その結果、入射方向に対して垂直方向近傍に散乱する光λ3が多くなり、輝度が低下する場合があるため好ましくない。
【0064】
一方、変性非相溶性樹脂(b2)の酸価が20KOHmg/gを越えると、非相溶性樹脂耐熱性が低下して、溶融押出しする際に、押出機内で分解し、分解物がフィルム欠点の原因となったり、非相溶性樹脂の耐熱性が低下しなくてもマトリックス樹脂であるポリエステル樹脂の劣化が激しく、製膜自体が困難となる場合があるなど、フィルム生産上、好ましくないことがある。
【0065】
また、本発明の光拡散フィルムにおいては、非相溶性樹脂全体の酸価が0.001KOHmg/g以上20KOHmg/g以下であることが好ましい。酸価をかかる範囲とすることにより、非相溶樹脂をポリエステル樹脂中に極めて微細に分散させることができる。
非相溶性樹脂の酸価が0.001KOHmg/g未満であったりすると、ポリエステル樹脂と非相溶性樹脂を共延伸させることができないことがある。その結果、非相溶性樹脂の拡散素子の扁平度を高めることができなくなったり、延伸工程において非相溶性樹脂の周辺でボイドが生成してしまうことがある。この場合、気泡により光が不必要に散乱されてしまい、その結果、入射方向に対して垂直方向近傍に散乱する光λ3が多くなり、輝度が低下する場合があるため好ましくない。
【0066】
また、20KOHmg/gを越える場合、非相溶性樹脂の耐熱性が低下して、溶融押出しする際に、押出機内で分解し、分解物がフィルム欠点の原因となったり、非相溶性樹脂の耐熱性が低下しなくてもマトリックス樹脂であるポリエステル樹脂の劣化が激しく、製膜自体が困難となる場合があるなど、フィルム生産上、好ましくないことがある。
【0067】
本発明の光拡散フィルムにおいて、非相溶性樹脂として未変性の非相溶性樹脂と変性非相溶性樹脂(b2)を含む場合には、変性非相溶性樹脂(b2)を未変性の非相溶性樹脂100質量部に対して2質量部以上45質量部以下の割合で含有させるのが好ましい。変性非相溶性樹脂(b2)の含有量が、未変性非相溶性樹脂100質量部に対して2質量部未満であると、非相溶性樹脂をポリエステル樹脂中で充分に微分散化させることができず、また、延伸工程においてポリエステル樹脂と非相溶性樹脂を共延伸させることができないことがある。この場合、気泡により光が不必要に散乱されてしまい、その結果、入射方向に対して垂直方向近傍に散乱する光λ3が多くなり、輝度が低下する場合があるため好ましくない。
【0068】
また、変性非相溶性樹脂(b2)の含有量が、未変性非相溶性樹脂(b1)100質量部に対して45質量部を超えると、溶融押出しする際に、押出機内で分解し、分解物がフィルム欠点の原因となったり、非相溶性樹脂の耐熱性が低下しなくてもマトリックス樹脂であるポリエステル樹脂の劣化が激しく、製膜自体が困難となる場合があるなど、フィルム生産上、好ましくないことがあったり、拡散素子(D)が微分散しすぎて光拡散性が低下する傾向にある。なお、内部拡散層(ID層)に、未変性の非相溶性樹脂を含有させずに、変性非相溶性樹脂(b2)とポリエステル樹脂のみを含有せしめた場合において、高変性度のものを用いた場合にも同様の現象が生じ、生産性や実用性に著しく劣ることがある。
【0069】
本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子(D)として非相溶性樹脂を用いる場合、その含有量は内部拡散層(ID層)に対して0.1質量%以上25質量%以下が好ましい。より好ましくは0.5質量%以上20質量%以下、更に好ましくは1質量%以上15質量%以下、特に好ましくは1.5質量%以上10質量%以下、最も好ましくは1.5質量%以上8質量%以下である。含有量が0.1質量%に満たないと、拡散性が低下して輝度ムラの解消が困難となったりする場合があったり、25質量%以上となると光の透過性が低下し輝度が低下することがあるため好ましくない。本発明の光拡散フィルムにおいて、非相溶性樹脂の含有量を0.1質量%以上25質量%以下とすることで、光の利用効率を落とすことなく拡散性を付与する事が可能となり、その結果、面光源に組み込んだ際に効率的に輝度ムラの解消と、高輝度化の両立が可能となる。
【0070】
本発明の光拡散フィルムにおいて、内部拡散層(ID層)には、必要に応じて本発明の効果が損なわれない量での適宜な添加剤、例えば、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、核剤、染料、分散剤、カップリング剤等が配合されていたり、マトリックスとなる樹脂の屈折率との差が0.1以下の無機粒子、有機樹脂粒子など充填剤が配合されていてもよい。
【0071】
本発明の光拡散フィルムの内部拡散層(ID層)は上述の構成、材料から形成され、その厚みは、一般的には10μm以上500μm以下であることが好ましい。より好ましくは、20μm以上300μm以下、更に好ましくは50μm以上250μm以下である。フィルム厚みが10μm未満であると、製膜時に破れが生じやすいことがあったり、光拡散性が低下する傾向にあり、輝度ムラの解消が困難となる場合がある。また、フィルム厚みが500μmを超えると、フィルムをロール状に巻き取ることが困難となったり、光透過性が低下し、輝度が低下することが低下することがある。
【0072】
本発明の光拡散フィルムは、上記内部拡散層(ID層)のみからなる単膜フィルムであってもよいし、他の層が積層された積層フィルムであっても良い。すなわち、内部拡散層(ID層)の片側もしくは両側に他の樹脂層(S層)が積層されていてもよい。特に、得られたフィルムを用いて、コーティングなどの表面加工をする場合は、その加工性などから、拡散素子(D)が含まないポリエステル層(P層)、より好ましくは二軸延伸ポリエステル層が少なくとも片側表面に積層されている積層フィルムが好ましい態様となる。また、得られたフィルムを用いて金型を用いて表面を成形する場合は、その加工性等から、成形性を有する樹脂層が少なくとも金型表面に積層されている積層フィルムが好ましい態様となる。
【0073】
本発明の光拡散フィルムが積層フィルムである場合、その内部拡散層(ID層)厚さ(内部拡散層(ID層)が複数ある場合は各層の厚さの和をもって、内部拡散層(ID層)の厚さとする)と、その他の樹脂層の厚さの和との比((内部拡散層(ID層)の厚さ/ID層以外の層の厚さの和)=(積層比))は用いる用途により任意に設定することができるが、高い光拡散性を得るという点から、5/1以上が好ましく、更に好ましくは8/1以上である。このような構成とすることによって、高い光拡散性を有しながら、表面への加工性を付与することができる。
【0074】
また、本発明の光拡散フィルムの厚みは、一般的には10μm以上500μm以下であることが好ましい。より好ましくは、20μm以上300μm以下、更に好ましくは50μm以上250μm以下である。フィルム厚みが10μm未満であると、製膜時に破れが生じやすいことがあったり、光拡散性が低下する傾向にあり、輝度ムラの解消が困難となる場合があったり、面光源用光拡散フィルムとしてディスプレイに組み込んだときに、自己支持性がなく、フィルムがたるんだりして、ディスプレイの輝度ムラが発生したりしたりる。また、フィルム厚みが500μmを超えると、フィルムをロール状に巻き取ることが困難となったり、光透過性が低下し、輝度が低下することが低下することがある。
【0075】
また、本発明の光拡散フィルムは、少なくとも一方の表面の表面自由エネルギーが35mN/m以上であることが好ましい。より好ましくは38mN/m以上、更に好ましくは40mN/m以上である。35mN/mに満たないと、得られたフィルムを用いて、コーティングなどにより表面加工をする場合(例えば、後述するように、光拡散層(D層)などをコーティング法により形成する場合など)において、その塗膜形成の際に塗布ムラが形成されたり、均一に形成できたとしても、塗膜との密着性が低下することがある。本発明の光拡散フィルムにおいて、少なくとも一方の表面自由エネルギーをー35mN/mとすることで、フィルムに加工を施す際の形成性、および形成した層との密着性を付与することができる。
【0076】
本発明の光拡散フィルムにおいて、内部拡散層(ID層)の片側または両側に、積層された樹脂層(S層)が積層されている場合、内部拡散層(ID層)のマトリックス樹脂の融点Tm1と、樹脂層(S層)の融点Tm2の差(Tm1−Tm2)が10℃以上であることが好ましい。このような構成とすることによって、内部拡散層(ID層)を支持体として、S層に成形性を付与することが可能となり、後述するように、光拡散層(D層)や、バックコート層形状などを容易に形成することが可能となる。
【0077】
また、本発明の光拡散フィルムは、必要に応じて本発明の効果が失われない範囲で、周知の技術を用いて、別の機能を有する層(C層)を積層しても構わない。その例としては球状粒子を含んだ光拡散層、集光層、偏光分離層、反射防止層、光反射層、難燃層、クッション層、帯電防止層、紫外線吸収層、ハードコート層、接着層、ガスバリア層、等があげられる。
【0078】
本発明の光拡散フィルムは内部拡散層(ID層)として扁平状の拡散素子を有するという特徴から、単体でも高輝度かつ高ムラ消し性を有するものであるが、更にこの上に、表面に凹凸を有する光拡散層(D層)を形成することも好ましい形態である。この光拡散層の例としては、バインダー樹脂300に微粒子400を含んだ不規則な凹凸形態500を有するもの(図14)、金型による転写層等のように幾何学的な凹凸形態500を有するもの(図15)、バインダー樹脂300に微粒子400を含みかつ幾何学的な凹凸形態500を有するもの(図16)、およびこれらの組み合わせなどがあげられる。これらの様に、表面の凹凸を形成させることにより、内部拡散層(ID層)による光の屈折作用による拡散性と、光拡散層(D層)によるレンズ効果による集光性を併せ持たせることが可能となり、光拡散性を更に向上させたり、高輝度化することが可能となる。
【0079】
また、本発明の光拡散フィルムにおいて、表面の凹凸形態の断面形状としては、図17(a)のように略球状の形状を半面切り取ったような形状、図17(b)のように正弦波状などがあげられる。これらは図17(c)、(d)等のように、高さやピッチなどが異なるものが混在したり、図17(e)のように、全く不規則な形状であっても構わない。また、幾何学的な表面形態500の場合、これらのフィルム面内での形状は、図18(a)の様に略ドーム状のものを配列したものであったり、図18(b)の様に略ラグビーボール状のものを配列したものであったり、図18(c)、(d)のように一方向に延在するストライプ状に配列したものであったり、いずれも好ましく用いることができる。また、図18(b)ではラグビーボール状の長軸が一方向に配列したものを示したが、その配列方向がランダムであってもかまわない。
【0080】
本発明の光拡散フィルムに形成される光拡散層(D層)において、微粒子400を用いる場合は、その体積平均粒径Rは0.1μm以上30μm以下であることが好ましい。なお、微粒子400の断面形状が真円でない場合には同面積の真円に変換した値とする。より好ましくは0.2μm以上20μm以下、最も好ましくは0.3μm以上10μm以下である。微粒子400の体積平均粒径Rが0.1μmより小さい場合には、散乱、反射現象が波長に依存することがあり、その結果透過する光が着色したり、集積させて凹凸形状6を形成させても所望とする光拡散性を得ることができない場合があるため好ましくない。また微粒子400の体積平均粒径Rが30μmより大きくなると光拡散効率が悪くなるため好ましくない。本発明の光拡散フィルムにおいて、微粒子400の体積平均粒径Rを0.1μm以上30μm以下とすることによって、透過光の着色なく所望の光拡散性に制御するのが容易となる。また、その材質はポリメチルメタクリレート系、ポリスチレン系およびそれらの共重合体等の有機粒子やポリシリコン、シリカ、酸化チタニウム等の無機粒子および有機−無機の複合材料等を用いることができる。
【0081】
また、光拡散層(D層)の表面は凹凸を有しているのが好ましく、その凹凸の尺度である光沢度は50以下が好ましく、更に好ましくは40以下、特に好ましくは30以下である。ここでいう光沢度は、JIS Z8741(1999年版)に基づいて測定される60°光沢度である。光沢度を上記範囲とすることで、より光拡散性が高くなり、ムラ消し性を更に高めたり、輝度を高めたりすることができる。また、光拡散層(D層)の最も光沢度が大きくなる方向の光沢度Gmaxと、最も光沢度が小さくなる方向の光沢度Gminの比Gmax/Gminは2以下となるのが好ましい。より好ましくは1.5以下である。光沢度の比Gmax/Gminを上記範囲とすることで,フィルムの方向、観察角度に依存せずどの方向においても高いムラ消し性を有するフィルムとすることができる。光拡散層(D層)の厚みは特に限定されないが好ましくは1μm以上20μm以下、更に好ましくは1μm以上10μm以下である。また、光拡散層(D層)には、本発明の効果が損なわれない範囲内で、各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、充填剤、帯電防止剤および核剤などが配合されていてもよい。
【0082】
本発明の光拡散フィルムの透過率は、25%以上80%以下であるのが好ましい。より好ましくは、30%以上80%以下、更に好ましくは35%以上75%以下、特に好ましくは45%以上75%以下である。透過率が30%に満たないと光の透過性が低すぎて、輝度が低下する場合があり、また透過率が80%を越えると、面光源内に戻される光が少なすぎて、光の均一化効果が少なすぎて、輝度ムラの解消が困難となる場合がある。本発明の光拡散フィルムにおいて、透過率を25%以上80%以下とすることによって、高輝度かつ高ムラ消し性を両立することができる。
【0083】
本発明の光拡散フィルムのヘイズは、70%以上であることが好ましい。より好ましくは80%以上、更に好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上である。ヘイズが70%に満たないと、光拡散性が不足して輝度ムラの解消が困難となる場合がある。本発明の光拡散フィルムにおいて、ヘイズを70%以上とすることによって、良好なムラ消し性を発現させることができる。なお、上限は特に限定されるものではないが、100(%)が実質的な上限となる。
【0084】
次に、本発明の光拡散フィルムの製造方法について、その一例を説明するが、本発明は、かかる例のみに限定されるものではない。内部拡散層(ID層)を形成するために、押出機(主押出機)を有する製膜装置を用い、必要に応じて十分な真空乾燥を行った熱可塑性樹脂と拡散素子(D)の原料(無機粒子および/または架橋性樹脂粒子および/または未変性の非相溶性樹脂および/または変性熱可塑性樹脂)とを少なくとも含む組成物を混合したものを加熱された押出機に供給する。拡散素子(D)の原料の添加は、事前に均一に溶融混練して配合させて作製されたマスターチップを用いても、もしくは直接混練押出機に供給するなどしてもよいが、本発明においては、二軸押出機を用いて事前に溶融混練して配合されたマスターバッチを用いる、もしくは二軸押出機で溶融混練後直接製膜するのが、拡散素子(d1)の分散性の点から好ましい。また、特に、および拡散素子(d1)として非相溶性樹脂を用いた場合は、形成したフィルムが本発明の要件を満たすためには、二軸押出機を用いて混練中の平均分散径を予め0.5μm以上10μm以下の範囲に制御することがより好ましい。より好ましくは0.8μm以上8μm以下、更に好ましくは1μm以上5μm以下、特に好ましくは1μm以上3μm以下である。二軸押出機を用いない場合は、フィルム中の分散径にばらつき生じ、それにより製膜性が低下したり、製膜できたとしても、場所により光拡散性や、透過率に差が生じ、その結果面光源に搭載した場合に輝度ムラが生じる場合がある。拡散素子(D)として非相溶性樹脂を用いた場合、二軸延伸機での混練時の分散径を上述の範囲に制御することによって、均一な光拡散性と透過性を得ることができる。
【0085】
また、本発明の光拡散フィルムが積層フィルムである場合は、上記主押出機のほかに副押出機を有する複合製膜装置を用い、必要に応じて十分な真空乾燥を行った熱可塑性樹脂(例えば、樹脂層(S層用)原料樹脂や、光拡散層(D層)を共押出法により形成する場合はその原料など)のチップおよび各種添加物が混合された混合物を加熱された副押出機に供給して共押出し積層する。
【0086】
また、溶融押出に際してはメッシュ40μm以下のフィルターにて濾過した後に、Tダイ口金内に導入し押出成形により溶融シート(積層フィルムの場合は溶融積層シート)を得ることが好ましい。この溶融シートを表面温度10℃以上マトリックス樹脂のTg−15℃以下に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未配向(未延伸)フィルムを作製する。該未配向フィルムをTg℃以上Tg+50℃以下の温度に加熱されたロール群に導き、長手方向(すなわちフィルムの進行方向を指し、以下「縦方向」ということもある)にロール間延伸によって2倍以上4倍以下に延伸し、20℃以上マトリックス樹脂のTg℃以下の温度のロール群で冷却することにより一軸配向(一軸延伸)フィルムを得る(なお、かかる延伸工程を縦延伸工程ということもある)。
【0087】
続いて、この一軸配向フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、マトリックス樹脂のTg+5℃以上Tg+70℃以下の温度に加熱された雰囲気中で、長手方向に直角な方向(すなわちフィルム幅方向を指し、以下「横方向」ということもある)に2倍以上4倍以下に引っ張り延伸することにより二軸配向(二軸延伸)フィルムを得る(なお、かかる延伸工程を横延伸工程ということもある)。この一連の延伸工程により、拡散素子(D)用原料として扁平状の無機粒子および/または架橋性樹脂粒子を用いた場合は扁平状の粒子がフィルム面と平行に配列させることが可能となり拡散素子(d1)として形成させることができる。また、拡散素子(D)用原料として非相溶性樹脂を用いる場合は、マトリックスとなる樹脂と共延伸され、扁平形状となり、拡散素子(d1)として形成させることができる。
【0088】
長手方向と幅方向の延伸倍率は、それぞれ2.2倍以上4倍以下が好ましく、より好ましくはそれぞれ2.5倍以上3.5倍以下、更に好ましくはそれぞれ2.8倍以上3.3倍以下である。延伸倍率がそれぞれ4倍を越えると延伸工程においてフィルム破れを生じ易くなったり、製膜できたとしても内部拡散層(ID層)のマトリックスと拡散素子(D)の界面で剥離が生じ、気泡が形成される結果、光線透過率が低下する場合がある。また、延伸倍率がそれぞれ2.0倍に満たないと、フィルムの機械的強度が低下したり、拡散素子(d1)の形成が不十分となり、得られたフィルムが入射方向に対して垂直方向近傍に散乱する光λ3が多くなり、輝度が低下する場合がある。本発明の光拡散フィルムにおいて、延伸倍率を2.2倍以上4倍以下とすることによって、製膜性、フィルムの機械的強度を落とすことなく面光源に組み込んだ際に効率的に輝度ムラの解消と、高輝度化の両立が可能な光拡散フィルムとすることができる。
【0089】
また、必要に応じて、得られた二軸配向フィルムの結晶配向を完了させて、平面性と寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内にてTg+70℃以上、内部拡散層(ID層)のマトリックスとなる樹脂の融点Tm1−10℃以下(マトリックスとなる樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合150℃以上240℃以下)の温度で1秒以上30秒間以下の熱処理を行ない、均一に徐冷後、室温まで冷却し、その後必要に応じて、他素材との密着性をさらに高めるためにコロナ放電処理などを行ってもよい。上記熱処理工程中では、必要に応じて幅方向あるいは長手方向に0.1以上12%以下の弛緩処理を施してもよい。
【0090】
なお、一般に熱処理温度が高いほど、熱寸法安定性も高くなり、また、拡散素子(d1)の扁平度も高まる傾向にあるため、本発明のフィルムは製膜工程において高温(180℃以上)で熱処理されることが好ましい。より好ましくは、拡散素子(D)が熱可塑性樹脂からなる場合、その樹脂が結晶性樹脂の場合はその融点以上、非晶性樹脂の場合はガラス転移温度以上で熱処理することが好ましい。それにより、拡散素子(d1)の扁平度を高めるだけでなく、延伸時に僅かに発生した気泡を消滅させ、内部拡散層(ID層)の気泡の体積占有率を低減させることが可能となり、より高透過率とすることができる。
【0091】
また、本発明の光拡散フィルムが積層構造であり、その積層される樹脂層Sに成形性を発現させるためには、樹脂層(S層)を構成する樹脂の融点Tm2以上、内部拡散層(ID層)のマトリックスとなる樹脂の融点Tm1−10℃以下の範囲で熱処理することによって、熱処理工程中に樹脂層(S層)を溶融させ、延伸による配向を解消することができる結果、成形性を付与できるため好ましい。かかる二軸配向フィルムを巻き取ることにより、本発明の光拡散フィルムを得ることができる。また、二軸延伸を行なうときは逐次延伸あるいは同時二軸引っ張り延伸のいずれでもよいが、同時二軸引っ張り延伸法を用いた場合は、製造工程のフィルム破れを防止でき、かつ加熱ロールに粘着することによって生ずる転写欠点が発生しにくい。また、二軸延伸後に長手方向および/または幅方向に再延伸してもよい。また、本発明の光拡散フィルムには、本発明の効果を失わない範囲で、各種添加剤が添加されていてもよい。
【0092】
また、本発明の光拡散フィルムにおいて、光拡散層(D層)を形成する方法は、基材となるフィルムの表面に、例えば、粒子を含む塗剤をフィルム表面に塗布する方法(塗布法)、基材となるフィルムに光拡散層の原料を押出機に投入して溶融押出して口金から押出しながらラミネートする方法(共押出法)、光拡散層を単膜で作製し、加熱されたロール群などにより基材1と熱圧着する方法(熱ラミネート法)、接着剤を介して基材となるフィルムと張り合わせる方法(接着法)、サンドブラスト法、熱インプリント法や光インプリント法により表面に凹凸形状を設ける方法、およびこれらを組み合わせた方法などが挙げられる。また、光拡散層(D層)が異方形状を有する場合は、上述の熱インプリント法や光インプリント法の他に、棒状粒子を含む塗剤をフィルム表面に粒子の方向を制御しながら塗布する方法、ヘアライン加工(フィルム表面をスクラッチする加工)により表面に凹凸を設ける方法、なども挙げられる。サンドブラスト法とはフィルムの表面に細かい金剛砂などを吹き付けて、細かいキズを付けることにより光拡散性を発現させる方法である。また、ヘアライン加工と基材表面をブラシなどで擦って 線状の傷を形成させるものである。
【0093】
塗布法に用いられる塗布方法においては、マルチロールコーティング、ブレードコーティング、ワイヤーバーコーティング、スリットダイコーティング、グラビアコーティング、ナイフコーティング、リバースロールコーティング、スプレコーティング、オフセットグラビアコーティングおよびスピンコーティング等の方法が挙げられる。また、熱インプリント法とは、微細な表面形状が施された金型と成形可能な樹脂層(S層)を積層したフィルムを加熱し、金型をフィルムに押し付け、冷却後、離型し、金型表面に施された形状をフィルム表面へ転写させる手法である。ここで、熱インプリントに用いられる樹脂は熱可塑性樹脂であっても、熱硬化性樹脂であってもよいが、透明性の高い樹脂が好ましい。一方、光インプリント法とは、フィルム上に光硬化性樹脂を塗布した後、光硬化性樹脂層に微細な表面形状が施された金型を押し付けた状態、又は金型上に光硬化性樹脂を塗布した後、フィルムを重ね合わせ状態で、金型側又はフィルム側から紫外線等の光線を照射し、光硬化性樹脂を硬化させた後離型し、金型表面に施された形状を樹脂へ転写させる手法である。加熱・加圧を用いて転写する場合、まず、成形性を有する樹脂層(S層)を積層した本発明のフィルムと、金型を樹脂層(S層)のガラス転移温度Tg2以上融点Tm未満の温度範囲内に加熱する。次いで、本発明のフィルムと金型を接近させ、そのまま所定圧力でプレス、所定時間保持する。次にプレスした状態を保持したまま降温し、最後にプレス圧力を解放して金型からシートを離型する。
【0094】
加熱・加圧を用いて金型賦形する場合において、加熱温度およびプレス温度(T1)はTg2以上(Tg2+60℃)以下(ただし、内部拡散層(ID層)のマトリックスとなる樹脂の融点Tm1以下)の範囲内であることが好ましい。加熱温度およびプレス温度(T1)がTg2に満たないと、表面の樹脂層(S層)が十分に軟化していないため、金型をプレスしたときの変形が起こりにくくなり、成形に必要な圧力が非常に高くなる。またTg2+60℃を上回ると、加熱温度、およびプレス温度T1が高くエネルギー的に非効率であり、また、金型とシートの加熱/冷却時の体積変動量の差が大きくなりすぎて、基材が金型に噛み込んで離型できなくなったり、また離型できたとしても転写されるパターンの精度が低下したり、部分的にパターンが欠けてしまう等の理由により好ましくない。加熱温度およびプレス温度(T1)をTg2以上(Tg2+60℃)以下とすることで、良好な成形性と、離型性を両立することができる。
【0095】
また、加熱・加圧を用いて金型賦形する場合において、プレス圧力は、プレス温度T1での表面の樹脂層(S層)の弾性率の値等により適宜調整されるが、好ましくは0.5MPa以上50MPa以下、より好ましくは1MPa以上30MPa以下である。プレス圧力が0.5MPaに満たないと金型内への樹脂の充填が不十分となりパターン精度が低下する。また50MPaを超えると、必要とする荷重が大きくなり、金型への負荷が大きく、くり返し使用耐久性が低下するため好ましくない。プレス圧力を0.5MPa以上50MPa以下とすることで、良好な転写性を得ることができる。
【0096】
また、加熱・加圧を用いて金型賦形する場合において、プレス圧力保持時間は、プレス温度T1での樹脂層(S層)の弾性率の値等と成形圧力により適宜調整されるが、平板プレスの場合、10秒以上10分以下が好ましい。プレス圧力保持時間が10秒に満たないと金型内への樹脂の充填が不十分となりパターン精度が低下したり、面内均一性が低下する。また10分を超えると、樹脂の熱分解による劣化などが起こり成形品の機械的強度が低下する可能性があるため好ましくない。プレス圧力保持時間を10秒以上10分以下とすることで良好な転写性と、成形品の機械的強度の両立ができる。ただし、ロールtoロール成形の場合はプレス時間が10秒以下であっても構わない。
【0097】
また、加熱・加圧を用いて金型賦形する場合において、プレス圧力開放温度T2は、(Tg2−10℃)以上(Tg2+30℃)以下の温度範囲内で、プレス温度T1より低いのが好ましく、より好ましくは(Tg2−10℃)以上(Tg2+30℃)以下である。プレス圧力開放温度T2がTg2−10℃に満たないと、プレス時の樹脂の変形が残留応力として残り、離型時にパターンが崩壊したり、離型できたとしても成形品の熱的な安定性が低下するため好ましくない。またこTg2+30℃を上回ると、圧力解放時の樹脂の流動性が高いため、パターンが変形したりして転写精度が低下したりするため好ましくない。プレス圧力開放温度T2を(Tg2−10℃)以上(Tg2+30℃)以下とすることによって、良好な転写性と離型性とを両立することができる。また、加熱・加圧を用いて金型賦形する場合は、離型温度T3は20℃以上T2℃以下の温度範囲内であることが好ましく、より好ましくは20℃以上Tg2℃以下の温度範囲である。離型温度がT2℃を上回ると、離型時の樹脂の流動性が高かったり、表面が軟化して粘着性を有していたりして、離型時にパターンが変形して精度が低下することがあるため好ましくない。離型時の温度を20℃以上T2℃以下とすることによって、パターン精度よく離型することができる。
【0098】
また、電磁波照射を用いて転写する場合、まず、成形性を有する樹脂層(S層)を積層した本発明のフィルムと、転写すべきパターンと反転した凹凸を有する金型を、を接近させ、そのまま所定圧力でプレスした後、金型側もしくは本発明のフィルム側のいずれかから電磁波を照射して樹脂を硬化させる。次にプレス圧力を解放して金型からフィルムを離型する。電磁波照射を用いて転写する場合において、プレス圧力は、賦形温度での賦形される材料の粘度に依存するが、好ましくは0.05MPa以上10MPa以下、より好ましくは0.1MPa以上5MPa以下である。プレス圧力が0.05MPaに満たないと金型内への樹脂の充填が不十分となりパターン精度が低下する。また10MPaを超えると、必要とする荷重が大きくなり、金型への負荷が大きく、くり返し使用耐久性が低下するため好ましくない。プレス圧力をこの範囲とすることで、良好な転写性を得ることができる。電磁波照射を用いて転写する場合において、電磁波の照射量は、積算エネルギー照射する波長での吸光率などに依存するが、10mJ/cm2以上5000mJ/cm2以下である。電磁波の照射量が10mJ/cm2に満たないと樹脂の硬化が不十分となりパターン精度が低下したり、離型時に強度が不足して、離型応力により破断したりするため、成型面内均一性が低下する。また5000mJ/cm2を超えると、硬化しすぎて、硬化収縮のためカールが起こったりする可能性があるため好ましくない。電磁波の照射量をこの範囲とすることで良好な転写性と、成形品の機械的強度の両立ができる。電磁波照射を用いて転写する場合、一連の工程中の温度は特に制限はないが、プレス温度としては10℃以上200℃以下、より好ましくは10℃以上150℃以下、最も好ましくは10℃以上100℃以下である。プレス温度が200℃より高いと、樹脂の流動性が高くなりすぎて、プレス前に流れてしまったり、プレス前に樹脂が硬化してしまい、成形が不十分となるため好ましくない。また、離型温度T3は硬化物のガラス転移温度Tg3以下がよく、より好ましくはTg3−10℃以下、最も好ましくはTg3−20℃以下である。離型温度T3がTg3℃を上回ると、離型時の樹脂の流動性が高かったり、表面が軟化して粘着性を有していたりして、離型時にパターンが変形して精度が低下することがあるため好ましくない。離型時の温度をTg3以下とすることによって、パターン精度よく離型することができる。電磁波照射を用いて転写する場合において、金型賦形して得たフィルムに熱処理を施すことによって、さらに、硬化度を向上することができる。その方法としては、前述の金型のプレス時に金型もしくはフィルムの少なくとも一方加熱しておく方法、電磁波照射による硬化後離型前に金型もしくはフィルムの少なくとも一方加熱する方法、パターン形成工程後に熱処理を行う方法、いずれも好適に用いられる。そのうち、金型プレス時の金型温度T1もしくは積層体1の温度T2の少なくとも一方を加熱しておく方法は、工程数を減らすことができるため好適に行われる。また、硬化度をさらに高めるために、これらを組み合わせて行っても構わない。
【0099】
転写方法については上述の方法があげられるが平版をプレスする方法(平版プレス法)の他に、表面に凹凸を形成したロール状の金型を用いて、ロール状シートに成形し、ロール状の成形体を得るロールtoロールの連続成形であってもよい。ロールtoロール連続成形の場合、生産性の点で平版プレス法より優れている。
【0100】
本発明の光拡散フィルムは上記構成、製法からなり、このフィルムを用いることで、図4の複数の光学フィルム群40の何れの部分に用いられても高いムラ消し性を発現する。そのうち、高輝度で、高いムラ消し効果が発現するという点で、図4の拡散板の直上の光学フィルム41として用いるのが後方散乱光を有効に利用でき高輝度とすることができるという点でより好ましい。
【0101】
本発明の光拡散フィルムは扁平状の拡散素子を有するという特徴から、単体でも高輝度かつ高ムラ消し性を有するものであるが、更にこの上に、表面に凹凸を有する光拡散層(D層)を形成することも好ましい形態である。光拡散層(D層)を設けた場合は、面光源に搭載する際には、光拡散層(D層)が形成されない側の面が拡散板30に対向するように設置するのが好ましい。このような構成にすることによって、内部拡散層(ID層)にて拡散した光の出射方向を、光拡散層(D層)にて、制御することが可能となる。その結果、より高輝度かつ均一性い優れた面光源とすることができる。なお両側表面に光拡散層(D層)を形成した場合は、どちらの面を拡散板30に対向させて設置しても良い。
【0102】
本発明の光拡散フィルムを用いた面光源は、上記フィルム上に、本発明の光拡散フィルムの効果が失われない範囲内で、さらにその他別の機能を有する光学フィルムを搭載することが好ましい。別の光学フィルムを用いることで、本発明の光拡散フィルムを用いてなる面光源の輝度や、輝度の均一性をさらに高めることが可能となる。別の光学フィルムの設置場所は、拡散板30と本発明の光拡散フィルム間(すなわち図4において、本発明の光拡散フィルムを42、別のフィルムを41とする)であっても良いし、本発明の光拡散フィルム上にその他フィルムを重ねても良い(すなわち、図4において、本発明の光拡散フィルムを41として、別のフィルムを42,43・・・と重ねていく)。この結果、面光源としての品位を高めることができる。別の光学フィルムの例としては、プリズムシート、等方拡散性を有する拡散シート、異方拡散性シート、偏光分離フィルムなどが挙げられる。
【0103】
本発明の光拡散フィルムを用いた面光源は、光利用効率に優れ高輝度でかつ広視野角視野の点で従来の直下型面光源と比べて優れており、TV、モニター他、各種表示媒体などの、液晶表示素子を背面から照射する用途に好適に用いることができる。
【0104】
(測定方法)
A.断面観察
各実施例・比較例で作製したマスターバッチ、未延伸フィルム、最終的なフィルムについて、また製品フィルムについて、ミクロトームを用いて断面を切り出し、白金−パラジウムを蒸着した後、日本電子(株)製電界放射走査型電子顕微鏡“JSM−6700F”で3000〜5000倍の写真を撮影した。より詳細は下記の通りであり、得られた画像から、マスターバッチの体積平均粒径、未延伸フィルムの体積平均粒径,扁平度、フィルム厚み方向の拡散素子数、体積平均粒径、拡散素子(D)の体積占有率、気泡の体積占有率を求めた。
A−1.扁平度の求め方
(A1)ミクロトームを用いて、フィルム断面を厚み方向に潰すことなく、薄膜切片状の観察サンプルを作製する。
(A2)得られた切片を、透過型電子顕微鏡(TEM)(日立製作所(株)製透過型電子顕微鏡“H−7100FA”)を用いて5000倍に拡大観察した画像を得る。観察場所は内部拡散層(ID層)内において無作為に定めるものとする。また、該画像において拡散素子が判別し難い場合は、適宜オスミニウム酸、酸化ルテニウムなどを用いて事前にフィルムを染色して行う。なお、フィルムの厚み方向と画像の上下方向は一致させるものとする。また、5000倍にて拡散素子(D)が入りきらない場合は、観察位置をずらした画像を得て、それを隙間無くつなぎ合わせて、観察画像とする。
(A3)画像中の内部拡散層(ID層)内の一つの拡散素子(D)について短軸長さと長軸長さを求める。以下、図1〜3を用いて説明する。図1〜3において、拡散素子1の長軸長さとは、フィルム面方向に平行な方向における拡散素子の一端(フィルム面方向と平行な方向における拡散素子の最左端)2から、もう一方の一端(フィルム面方向と平行な方向における拡散素子の最右端)3までを、線分4で結んだときの線分4の長さである。ここで、線分4はフィルム面方向と必ずしも平行になる必要はない(図2、図3を参照)。また、短軸長さとは線分4の中点5を通り、かつ線分4と垂直な線上にある拡散素子の一端(上端)6からもう一方の一端(下端)7までを線分8で結んだときの線分8の長さである。ここで、線分8は中点5を必ずしも含む必要はない(図3参照)。
(A4)長軸長さを短軸長さで除した値(長軸長さ/短軸長さ)を当該拡散素子(D)拡散素子における扁平度とする。
(A5)画像中の内部拡散層(ID層)内の他の拡散素子についても上記(A1)〜(A4)の方法にてそれぞれ扁平度を求めて、内部拡散層(ID層)に含まれる拡散素子(D)の全数に対する拡散素子(d1)数の割合を求める。
(A6)フィルム切断場所を無作為に変更して(A1)から(A5)と同様の手順を計100回行い、その平均値でもって内部拡散層(ID層)に含まれる拡散素子(D)の全数に対する拡散素子(d1)の数の割合とする。
A−2.フィルム厚み方向の拡散素子数の求め方
(B1)ミクロトームを用いて、フィルム断面を厚み方向に潰すことなく、薄膜切片状の観察サンプルを作製する。
(B2)得られた切片を、透過型電子顕微鏡(TEM)(日立製作所(株)製透過型電子顕微鏡“H−7100FA”)を用いて2000倍に拡大観察した画像を得る。観察場所は内部拡散層(ID層)内において無作為に定めるものとする。また、該画像において拡散素子(D)が判別し難い場合は、適宜オスミニウム酸、酸化ルテニウムなどを用いて事前にフィルムを染色して行う。なお、フィルムの厚み方向と画像の上下方向は一致させるものとする。また、2000倍にてフィルム厚み全体が入らない場合は、厚み方向に観察位置をずらした画像を得て、それを隙間無くつなぎ合わせて、フィルム厚み全体が入る観察画像とする。
(B3)画像中の任意の場所にてフィルムの面方向と垂直な線(フィルム厚み方向の線)をフィルム厚み全体に引き、その線と交差する拡散素子(D)の数を数える。
(B4)画像中の他の10ヶ所について、上記(B3)と同様にフィルム厚み方向の拡散素子(D)の数を数え、その平均値でもって、画像中のフィルム厚み方向の拡散素子数とする
(B5)フィルム切断場所を無作為に変更して(B1)から(B4)と同様の手順を計20回行い、その平均値でもってフィルム厚み方向の拡散素子数とする。
A−3.面内長軸長さ、面内単軸長さ、面内長軸長さと面内短軸長さの比(面内長軸長さ/面内短軸長さ)の求め方
(C1)ミクロトームを用いて、フィルム断面を面方向に潰すことなく、フィルム面方向に対して平行に切断する。
(C2)次いで切断した断面を、電子顕微鏡を用いて観察し、5000倍に拡大観察した画像を得る。なお、観察場所は内部拡散層(ID層)内において無作為に定めるものとするが、画像の上下方向がフィルムの長手方向と、画像の左右方向がフィルム幅方向とそれぞれ平行になるようにするものとする。また、該画像において拡散素子(D)の拡散素子が判別し難い場合は、適宜オスミニウム酸などを用いて事前にフィルムを染色しても良い。
(C3)画像中の内部拡散層(ID層)内の一つの拡散素子(D)について面内短軸長さと面内長軸長さを求める。
以下、図11〜13を用いて説明する。図11〜13において、拡散素子(D)の面内長軸長さとは、フィルム長手方向に平行な方向における拡散素子の一端(フィルム面方向と平行な方向における拡散素子の最左端)2’から、もう一方の一端(フィルム長手方向と平行な方向における拡散素子の最右端)3’までを、線分4’で結んだときの線分4’の長さである。ここで、線分4’はフィルム長手方向と必ずしも平行になる必要はない(図12、図13を参照)。また、面内短軸長さとは線分4’の中点5’を通り、かつ線分4’と垂直な線上にある拡散素子(D)の一端(上端)6’からもう一方の一端(下端)7’までを線分8’で結んだときの線分8の長さである。ここで、線分8’は中点5’を必ずしも含む必要はない(図13参照)。
(C4)面内長軸長さを面内短軸長さで除した値(面内長軸長さ/面内短軸長さ)を当該拡散素子における面内長軸長さと面内短軸長さの比(面内長軸長さ/面内短軸長さ)とする。
(C5)画像中の内部拡散層(ID層)内の他の拡散素子(D)についても同様に面内長軸長さと面内短軸長さの比(面内長軸長さ/面内短軸長さ)を求める。但し、計測対象とするのは、拡散素子(D)の全体が画像内に収まっているものに限る。
(C6)フィルム切断場所を無作為に変更して(C1)〜(C5)と同様の手順を計100回行う。
(C7)以上の手順で得られた全拡散素子の面内長軸長さと面内短軸長さの比(面内長軸長さ/面内短軸方向の長さ)の数値を用いて、それらの相加平均値を求め、当該相加平均値を当該内部拡散層(ID層)内における拡散素子(D)の面内長軸長さと面内短軸長さの比(面内長軸長さ/面内短軸長さ)とする。また、同様に、以上の手順で得られた拡散素子(D)の面内短軸長さ、面内長軸長さの数値の相加平均値をそれぞれ求め、当該相加平均値をそれぞれ平均面内短軸長さ、平均面内長軸長さとする。
A−4.拡散素子(D)の体積占有率の求め方
(D1)前記(A2)で得られる画像中における内部拡散層(ID層)の面積を計測し、これをAとする。
(D2)画像中の内部拡散層(ID)内に存在する全ての拡散素子(D)の面積を計測し、総面積をBとする。ここで、計測対象とするのは、拡散素子(D)の全体が画像内に収まっているものに限られず、画像内に一部のみが現われている拡散素子(D)も含むものとする。
(D3)BをAで除し(B/A)、それに100を乗じることにより、体積占有率(%)を算出する。
(D4)前記(A6)より得られる計100枚の画像についても同様の計測・計算を行ない、各々の画像で求められた体積占有率(%)の相加平均値を求め、当該相加平均値を当該内部拡散層(ID層)における拡散素子(D)の体積占有率(%)とする。
A−5.気泡の体積占有率の求め方
(E1)前記(A2)で得られる画像中における内部拡散層(ID層)の面積を計測し、これをAとする。
(E2)画像中の内部拡散層(ID層)内に存在する全ての気泡の面積を計測し、総面積をBとする。ここで、計測対象とするのは、気泡の全体が画像内に収まっているものに限られず、画像内に一部のみが現われている気泡も含むものとする。
(E3)BをAで除し(B/A)、それに100を乗じることにより、内部拡散層(ID層)内における気泡の体積占有率(%)を算出する。
(E4)前記(A6)より得られる計100枚の画像についても同様の計測・計算を行ない、各々の画像で求められた気泡の体積占有率(%)の相加平均値を求め、当該相加平均値を内部拡散層(ID層)における気泡の体積占有率とする。
A−6.マスターバッチの体積平均粒径、未延伸フィルムの体積平均粒径
(G1)ミクロトームを用いて、TD方向(横方向)と平行方向の断面を面方向に潰すことなく、フィルム面方向に対して平行に切断する。
(G2)該画像中の断面内に観察される各樹脂粒子について、その断面積Sを求めた、下記式(1)にて求められる粒径dを求める
d=2×(S/π)1/2・・・(1)
(ただしπは円周率)
(G3)また、下記式(4)においてDvを求めた。
Dv=Σ[4/3π×(d/2)3×d]/Σ[4/3π×(d/2)3] ・・・(4)
(ただしπは円周率)
(G4)上記G1)〜G2)を、10箇所場所を変えて実施し、その平均値でもって体積平均粒径Dvとする。なお、観察点1箇所に付き、2500μm2以上の領域にて上記評価を実施する。
【0105】
B.ガラス転移温度、融点、結晶化エンタルピー、結晶融解熱量
JIS K7122(1999)に準じて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置“ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション“SSC/5200”を用いて測定を実施し、下記(F1)〜(F4)の手順にて求めた。
(F1)サンプルパンに封入したサンプルを、昇温速度20℃/minで樹脂を25℃から300℃まで20℃/minの昇温速度で加熱する(1stRUN)。
(F2)その状態で5分間保持後、次いで25℃以下となるよう急冷する。
(F3)再度室温から20℃/minの昇温速度で300℃まで昇温を行う(2ndRUN)。
(F4)得られた2ndRUNの示差走査熱量測定チャートにおいて、ガラス転移の階段状の変化部分において、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線とガラス転移の階段状の変化部分の曲線とが交わる点でもって、ガラス転移温度Tgとする。また、2ndRunの結晶融解ピークにおけるピークトップの温度でもって樹脂の融点とする。また、結晶化に伴う発熱ピークの面積を結晶化エンタルピーΔHcc、融解に伴う吸熱ピークの面積でもって結晶融解熱量ΔHmとする
C.屈折率
マトリックス樹脂の屈折率Nmと拡散素子(d1)の屈折率Ndは、それぞれ単膜のシートを形成して、ナトリウムD線(波長589nm)を光源として、アッベ屈折計を用いて測定した。以下、単膜のシートの作製方法の一例を示す。
【0106】
フィルムをヘキサフルオロイソプロパノールに溶解させ、マトリックス樹脂を溶解させる。次いで、溶液に溶解しなかった拡散素子(d1)を分離し、それぞれ溶媒を乾燥させ、それぞれマトリックス樹脂、拡散素子(d1)を得る。これを公知の方法でシート状に成形して単膜シートを作製し、そのシートの屈折率を測定する。
【0107】
D.光線透過率およびヘイズ
ヘイズメーターNDH−5000(日本電色工業(株)製)を用いて、フィルム厚み方向の全光線透過率およびヘイズを測定し、それぞれ当該フィルムの光線透過率、ヘイズとした。なお、測定は、それぞれの面から光を入射させた場合ついて、フィルム中の任意の10ヶ所について実施し、それぞれの透過率の平均値のうちより高い方の値でもって透過率とし、そのときのヘイズの平均値でもってヘイズとした。
【0108】
E.塗布外観(塗布により光拡散層を形成した場合の光拡散層の外観)
光拡散層を形成したフィルムについて、蛍光灯下で反射光の肉眼観察を行い、塗布はじき部分を確認し、その部分を油性マジックで塗りつぶした。次に、塗りつぶし部分の面積を求め、フィルムの全面積に対する塗りつぶし部分の面積割合(%)を求めた。
得られた部分の面積割合が
1%以下の場合をS、
1%を越えて1.5%未満の場合をA、
1.5%を越えて2.0%未満の場合をB、
2%以上の場合をCとした。
SまたはAまたはBが良好であり、Sが最も優れている。
【0109】
F.成形性(金型成形で光拡散層を形成した場合の光拡散層の外観)
金型、光拡散層(D層)を形成したフィルムの断面を切り出し、必要に応じて白金―パラジウムを蒸着した後、日本電子(株)製電界放射走査型電子顕微鏡”JSM−6700F”を用いて、300〜5000倍で写真を撮影し、断面観察を行ない、同倍率の画像でもって、金型凹部の深さH、光拡散フィルムの凸部の高さH’を求めそれぞれ、10カ所の平均値でもって、それぞれ金型凹部の深さH、光拡散フィルムの凸部の高さH’とした。
【0110】
成形性は次のように判定した。光拡散フィルムの光拡散層(D層)の凸部高さH’と金型凹部の深さHとの比H’/Hが
0.9以上の場合をA、
0.8%以上0.9%未満の場合をB、
0.8%未満の場合をCとした。
AまたはBが良好であり、Aが最も優れている。
【0111】
G.輝度、表示品位
20インチサイズの直下型面光源(面光源は、筐体、CCFL、拡散板および反射板からなる。また、CCFLの本数は16本であり、CCFLの直径は3mmであり、CCFLの間隔は2.5cmであり、拡散板とCCFLの距離は1cmである。また、反射板は300μm厚のE6ZV(東レ(株)製)であり、拡散板はRM401(住友化学(株)製)である。)の拡散板上側に実施例・比較例で作製したフィルムを置き、その上に光拡散フィルムTDF187(東レセハン製)を2枚重ねた(構成A)。次いで、12Vの電圧を印加してCCFLを点灯させ、面光源を立ち上げた。50分後、EYESCALE−3((株)アイ・システム)を用い、付属のCCDカメラを面光源表面から90cmの地点に面光源面に対して正面となるように設置し、輝度(cd/m2)を測定した。次いで、面光源最表面の中心部を中心に、CCFLの長手方向とは垂直方向にCCDカメラを45°傾け、そのときの輝度L45(cd/m2)を測定した。なお、輝度は、面光源中央部を通り、CCFLの長手方向とは垂直の方向の線上において、8本のCCFLの位置(計8点)での輝度、ならびに、それら8本のCCFLの中点の位置(計7点)での輝度の値を抽出し、CCFLの位置での輝度の平均値をLmax、計CCFLの中点の位置での輝度の平均値をLminとした。また45°方向の輝度についても同様の方法で、CCFLの位置での輝度の平均値をL45max、計CCFLの中点の位置での輝度の平均値をL45minとした。得られたLmax,Lmin、L45max,L45min、を用いて、下記式(1)により平均輝度Lave、下記式(2)により正面方向の輝度ムラΔLを、下記式(3)により輝度ムラΔL45求めた。
【0112】
平均輝度Lave=(Lmax+Lmin)/2 (1)
正面方向輝度ムラΔL=Lmax―Lmin (2)
45°方向輝度ムラΔL45=L45max−L45min (3)
なお、光拡散層を形成した場合は、光拡散層が形成されていない側の面を拡散板と対向させた場合(構成I)と光拡散層が形成されている側の面を対向させた場合(構成II)の場合について、それぞれ測定を実施した。次いで、本発明のフィルムと拡散フィルム1枚の順番を入れ替えて(構成B)、同様に平均輝度Lave、正面方向の輝度ムラΔL、45°方向の輝度ムラΔL45を求めた。
【0113】
平均輝度Laveが、
8600cd/m2以上の場合 S、
8400cd/m2以上8600cd/m2未満の場合 A、
8200cd/m2以上8400cd/m2未満の場合 B、
8000cd/m2以上8200cd/m2以下の場合 C、
8000cd/m2以下の場合 D、
とした。
SまたはAまたはBまたはCが良好であり、Sが最も優れている。
【0114】
また、正面方向の輝度ムラΔLが、
100cd/m2以下の場合 S、
100cd/m2より大きく125cd/m2以下の場合 A、
125cd/m2より大きく150cd/m2以下の場合 B、
150cd/m2より大きい場合 C、
とした。
SまたはAまたはBが良好であり、Sが最も優れている。
また、45°方向の輝度ムラΔL45が
100cd/m2以下の場合 S、
100cd/m2より大きく125cd/m2以下の場合 A、
125cd/m2より大きく150cd/m2以下の場合 B、
150cd/m2より大きい場合 C、
とした。
SまたはAまたはBが良好であり、Sが最も優れている。
また表示品位は画面を肉眼で観察した場合に
モアレが確認されない A
モアレが確認される B
とした。Aが良好である。
【実施例】
【0115】
以下、実施例等により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0116】
(原料)
・ポリエステル樹脂(A)
A−1(PET):ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を、ジオール成分としてエチレングリコールを用い、三酸化アンチモン(重合触媒)を得られるポリエステルペレットに対してアンチモン原子換算で300ppmとなるように添加し、重縮合反応を行い、ガラス転移温度80℃、融点255℃のポリエチレンテレフタレート(PET)ペレットを得た。
A−2(ナフタレンジカルボン酸共重合PET):ジカルボン酸成分としてテレフタル酸85mol%,2,6−ナフタレンジカルボン酸15mol%、ジオール成分としてエチレングリコールを用い、三酸化アンチモン(重合触媒)を得られるポリエステルペレットに対してアンチモン原子換算で300ppmとなるように添加し、重縮合反応を行い、ガラス転移温度95℃、融点225℃のナフタレン共重合PETペレットを得た。
【0117】
・未変性非相溶性樹脂
b1−1(PMP):TPX“DX820”(三井化学(株)製、MFR180g/10min、80℃動的貯蔵弾性率140MPa、融点235℃)を用いた。
b1−2(PMP): TPX“RT−18”(三井化学(株)製、MFR26g/10min、80℃動的貯蔵弾性率140MPa、融点235℃)を用いた。
b1−3(PMP):TPX“DX310”(三井化学(株)製、MFR100g/10min、
80℃動的貯蔵弾性率80MPa、融点225℃)を用いた。
b1−4(柔軟性PMP):TPX“T3725”(三井化学(株)製、(三井化学(株)製、MFR25g/10min、80℃動的貯蔵弾性率20MPa、融点225℃)を用いた。
b1−5(柔軟性PMP):TPX“T3733”(三井化学(株)製、(三井化学(株)製、MFR150g/10min、80℃動的貯蔵弾性率20MPa、融点225℃)を用いた。
b1−6(ポリプロピレン(ホモ)):プライムポリプロ“F−704NP”((株)プライムポリマー製、MFR7g/10min、80℃動的貯蔵弾性率200MPa、融点165℃)を用いた。
b1−7(ポリエチレン):ノバティック“HF560”(日本ポリエチレン(株)製、MFR7g/10min、80℃動的貯蔵弾性率180MPa、融点124℃)を用いた。
を用いた
b1−8(ポリスチレン):GPPS“G430(日本ポリスチレン(株)製、MFR7g/10min、80℃動的貯蔵弾性率300MPa)を用いた。
【0118】
・変性非相溶性樹脂
b2−1(無水マレイン酸変性PMP):TPX“MM−101B”( 三井化学(株)製、酸価6KOHmg/g)を用いた。
b2−2(無水マレイン酸変性ポリプロピレン):ユーメックス“1001”(三洋化成工業(株)製、酸価26KOHmg/g)を用いた。
b2−3(無水マレイン酸変性ポリエチレン):ユーメックス“2000”アドマー(三井化学(株)製、酸価30)を用いた。
b2−4(エポキシ変性ポリスチレン):“エポフレンド”AT501(ダイセル化学工業(株)製、オキシラン酸素濃度1.5wt%)を用いた。
【0119】
(実施例1)
表1に示した原料の混合物を真空ベント付き二軸押出機に供給し、250℃の温度で溶融混練しダイスよりガット状に60℃の水中に押し出して急冷し、ストランドを形成した。ついで、これを裁断し、PET中にPMPを分散したマスターチップを得た。得られたチップの断面を観察したところ、PMPが体積平均粒径2.0μmで分散していることが分かった。ついで、得られたマスターバッチと、PET(A−1)とを表2に示した組成となるように混合したものを、180℃の温度で2時間真空乾燥した後に単軸押出機に供給し、280℃の温度で溶融押出後30μmカットフィルターにより濾過を行った後に、Tダイ口金に導入した。また、主押出機とは別に副押出機を用い、この副押出機に、PET(融点TA:255℃)ペレットを供給した。次いで主押出機に供給した成分層の両側表層に副押出機に供給した成分層が厚み比率で、副押出機の成分層:主押出機の成分層:副押出機の成分層=1:8:1、すなわち、ID層厚み/ID層以外の層(S層)の厚みの和=4/1となるよう合流させ、Tダイ口金内より、溶融3層積層共押出しを行い、積層シートとし、表面温度20℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて未配向(未延伸)積層シートを得た。得られた単層フィルムの断面を観察したところPMPが体積平均粒径2.5μmで分散していることが分かった。
【0120】
続いて、該未延伸単層フィルムを85℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、90℃の温度の加熱ロールを用いて長手方向(縦方向)に表2に記載の倍率でロール間延伸を行い、25℃の温度のロール群で冷却して一軸配向(一軸延伸)フィルムを得た。得られた一軸配向(一軸延伸)フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の95℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に105℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な方向(幅方向)に表2に記載の倍率で引っ張り延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで240℃にて20秒間の熱処理を施し、さらに200℃の温度で4%幅方向に弛緩処理を行った後、更に140℃の温度で1%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、均一に徐冷後、巻き取ることにより、フィルム全体の厚みが100μm、主押出機の成分層(すなわちID層)の厚みが80μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの断面を観察した結果を表2に示す。フィルム内部(すなわち、ID層内部)には拡散素子(D)として扁平の拡散素子(d1)を多数含有していた。また、このポリエステルフィルムの特性、および輝度測定した結果を表2に示す。輝度に優れ、特に、拡散板直上に本発明のフィルムを設置した場合に最も高輝度かつ均斉度、表示品位に優れた面光源となることが分かった。また、モアレは確認されたが、一般的なバックコート層を形成すれば良好な表示品位を得ることができた。
【0121】
(実施例2〜27)
表1に示した原料の混合物を用いること、表2に示した組成、条件、厚みとしたこと以外は実施例1と同様の方法で、2〜21、25〜26はフィルム全体の厚みが100μm、主押出機の成分層(すなわちID層)の厚みが80μmの二軸配向ポリエステルフィルム、実施例22はフィルム全体の厚みが188μm、主押出機の成分層(すなわちID層)の厚みが150μmの二軸配向ポリエステルフィルム、実施例23はフィルム全体の厚みが62.5μm、主押出機の成分層(すなわちID層)の厚みが50μmの二軸配向ポリエステルフィルム、実施例24はフィルム全体の厚みが31.3μm、主押出機の成分層(すなわちID層)の厚みが25μmの二軸延伸フィルムを得た。マスターバッチ、未延伸フィルム、二軸延伸フィルムの断面を観察した結果を表2に示す。二軸延伸フィルム内部(すなわち、ID層内部)には拡散素子(D)として扁平の拡散素子(d1)を多数含有していた。また、このポリエステルフィルムの特性、および輝度測定した結果を表2に示す。輝度に優れ、特に、拡散板直上に本発明のフィルムを設置した場合に最も高輝度かつ均斉度、表示品位に優れた面光源となることが分かった。また、モアレは確認されたが、一般的なバックコート層を形成すれば良好な表示品位を得ることができた。
【0122】
(実施例28)
マスターチップを作製せず、140℃8時間乾燥させた表2に示した組成の混合物を直接単軸押出機に導入する以外は実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。未延伸フィルム、二軸延伸フィルムの断面を観察した結果を表2に示す。二軸延伸フィルム内部(すなわち、ID層内部)には拡散素子(D)として扁平の拡散素子(d1)を多数含有していた。また、このポリエステルフィルムの特性、および輝度測定した結果を表2に示す。実施例1には劣るものの輝度に優れ、特に、拡散板直上に本発明のフィルムを設置した場合に最も高輝度かつ均斉度、表示品位に優れた面光源となることが分かった。また、モアレは確認されたが、一般的なバックコート層を形成すれば良好な表示品位を得ることができた。
【0123】
(実施例29)
実施例1のマスターバッチを用い、同じ組成となるように混合したものを、180℃の温度で2時間真空乾燥した後に主押出機に供給した。また、副押出機を用いず、主成分層のみを単層で押し出した以外は実施例1と同じ方法にて、単層の未延伸シート、および、厚みが80μm内部拡散層(ID)層単層からなる二軸配向ポリエステルフィルムを得た。マスターバッチ、未延伸フィルム、二軸延伸フィルムの断面を観察した結果、二軸延伸フィルムのID層の内部の拡散素子(D)として扁平状の拡散素子(d1)を含有しており、形態は実施例1と同様の形態であった。また、このポリエステルフィルムの特性、および輝度測定した結果を表2に示す。輝度に優れ、特に、拡散板直上に本発明のフィルムを設置した場合に最も高輝度かつ均斉度に優れた面光源となることが分かった。また、バックコート層を形成しなくても良好な表示品位を得ることができた。
【0124】
(実施例30)
主押出機に供給した成分層の片側表層に副押出機に供給した成分層が厚み比率で 副押出機の成分層:主押出機の成分層=1:9 すなわち、ID層厚み/ID層以外の層(S層)の厚みの和=1/9となるよう合流させ、Tダイ口金内より、溶融2層積層共押出しを行った以外は、実施例1と同様の方法にて、フィルム全体の厚みが90μm、主押出機の成分層(すなわちID層)の厚みが80μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
マスターバッチ、未延伸フィルム、二軸延伸フィルムの断面を観察した結果、二軸延伸フィルムのID層の内部の拡散素子(D)として扁平状の拡散素子(d1)を含有しており、形態は実施例1と同様の形態であった。
また、このポリエステルフィルムの特性、および輝度測定した結果を表2に示す。輝度に優れ、特に、拡散板直上に本発明のフィルムを設置した場合に最も高輝度かつ均斉度に優れた面光源となることが分かった。また、バックコート層を形成しなくても良好な表示品位を得ることができた。
【0125】
(実施例1−2〜28−2)
実施例1〜28にて得られた二軸配向ポリエステルフィルムを基材フィルムとして、それら基材フィルムの片面に、コロナ処理を施した。次に、コロナ処理面を実施した面に下記方法にて調整した塗剤を、メタバー(#20)を用いて塗布した。塗布後、100℃で30秒間乾燥し、150℃で10秒熱処理して、ポリエステルフィルム上に乾燥厚み15μmの光拡散層を形成した。得られた光拡散層の外観はムラが確認されず良好であった。得られたフィルムを用いて輝度を測定した結果を表3に示す。光拡散層を形成していない実施例1〜28と比べて輝度、輝度ムラに優れ、特に、拡散板直上に本発明のフィルムを設置し、かつ光拡散層が形成されていない側の面を拡散板と対向させた場合に最も高輝度かつ均斉度に優れた面光源となることが分かった。また、モアレは確認されたが、一般的なバックコート層を、光拡散層を形成した面と反対側の面に形成すれば良好な表示品位を得ることができた。
【0126】
(塗剤の調整)
バインダー樹脂として”アロニックス”(登録商標)M6050(東亞合成製)65質量部、”アロニックス”(登録商標)M5700(東亞合成製)5質量部、微粒子として”ケミスノー”(登録商標)MX−1500(綜研化学(株)製)30質量部、分散剤として”マリアリム”(登録商標) AKM−0531(日本油脂(株)製)0.5質量部、熱重合開始剤として”カヤエステル”(登録商標)AN(化薬アクゾ(株)製)0.5質量部、溶媒としてシクロヘキサノン/メチルエチルケトン=1/1(質量比)溶液200質量部を混合し、攪拌し、微粒子を分散せしめた塗剤を調整した。
【0127】
(実施例29−2)
それぞれ、基材フィルムとして、実施例29で得たポリエステルフィルムを用いた以外は、実施例1−2と同様に光拡散層を形成した。得られた光拡散層は部分的に塗布はじき等が確認された。
得られたフィルムを用いて輝度を測定した結果を表3に示す。光拡散層を形成していない実施例29と比べて輝度、輝度ムラに優れ、特に、拡散板直上に本発明のフィルムを設置し、かつ光拡散層が形成されていない側の面を拡散板と対向させた場合に最も高輝度かつ均斉度に優れた面光源となることが分かった。また、バックコート層を形成しなくても良好な表示品位を得ることができた。
【0128】
(実施例30−2)
それぞれ、基材フィルムとして、実施例30で得たポリエステルフィルムを用いた以外は、実施例1−2と同様に光拡散層を形成した。得られた光拡散層は内部拡散層(ID)層側に形成した場合は部分的に塗布はじき等が確認されたが、S層側に塗布した場合は得られた光拡散層の外観はムラが確認されず良好であった。S層側に光拡散層を形成したフィルムを用いて輝度を測定した結果を表3に示す。光拡散層を形成していない実施例30と比べて輝度、輝度ムラに優れ、特に、拡散板直上に本発明のフィルムを設置し、かつ光拡散層が形成されていない側の面を拡散板と対向させた場合に最も高輝度かつ均斉度に優れた面光源となることが分かった。
【0129】
(実施例1−3〜28−3)
副押出機の成分層(すなわち樹脂層S層)用原料として15モル%ナフタレンジカルボン酸共重合PETを用いた以外は実施例1〜28と同様の方法で、実施例1−3〜21−3、25−3〜28−3はフィルム全体の厚みが100μm、主押出機の成分層(すなわちID層)の厚みが80μmの二軸配向ポリエステルフィルム、実施例22−3はフィルム全体の厚みが188μm、主押出機の成分層(すなわちID層)の厚みが150μmの二軸配向ポリエステルフィルム、実施例23−3はフィルム全体の厚みが62.5μm、主押出機の成分層(すなわちID層)の厚みが50μmの二軸配向ポリエステルフィルム、実施例24−3はフィルム全体の厚みが31.3μm、主押出機の成分層(すなわちID層)の厚みが25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの片側のS層に、下記形状を有する金型1の凹凸面を、もう片側の面に下記形状を有する金型2を重ね合わせ、二軸延伸フィルム及び金型を120℃に加熱し、20MPaでプレスし、そのまま2分間保持した。その後70℃に冷却後プレスを解放し、30℃に冷却して金型から離型した。
(金型1)
ドーム状の突起が最密充填配列したもの(図19(a))を反転させたもの(ドーム状突起の断面形状は図19(b))
(金型2)
キモト(株)製拡散フィルムGM3のバックコート面の形状を電鋳にて凹凸形状を反転させたもの。
得られたフィルムの断面形状を観察した結果、実施例21−3以外は金型の形状を良好に転写できていることが分かった。
得られたフィルムを用いて輝度を測定した結果を表4に示す。実施例21−3以外は、光拡散層を形成していないもの(実施例1〜28)と比べて輝度、輝度ムラに優れ、特に、拡散板直上に本発明のフィルムを設置し、かつ光拡散層が形成されていない側の面を拡散板と対向させた場合に最も高輝度かつ均斉度に優れた面光源となることが分かった。また、バックコート層を形成しなくても良好な表示品位を得ることができた。
【0130】
(実施例30−3)
副押出機の成分層(すなわち樹脂層S層)用原料として15モル%ナフタレンジカルボン酸共重合PETを用いた以外は実施例1−3と同様の方法で、フィルム全体の厚みが90μm、主押出機の成分層(すなわちID層)の厚みが80μmの二軸配向ポリエステルフィルム、を得た。
次に金型2を用いないこと以外は実施例1−3と同様の方法で、金型1の形状をS層に転写した。
得られたフィルムの断面形状を観察した結果、金型1の形状を良好に転写できていることが分かった。得られたフィルムを用いて輝度を測定した結果を表4に示す。実施例21−3以外は、光拡散層を形成していないもの(実施例30)と比べて輝度、輝度ムラに優れ、特に、拡散板直上に本発明のフィルムを設置し、かつ光拡散層が形成されていない側の面を拡散板と対向させた場合に最も高輝度かつ均斉度に優れた面光源となることが分かった。また、バックコート層を形成しなくても良好な表示品位を得ることができた。
【0131】
(参考例)
実施例29のID層、および、実施例1〜28、実施例30のS層に実施例1−3と同様金型、方法で加熱、プレス、冷却後、金型から離型した。
得られたフィルムの断面形状を観察した結果、いずれも金型形状が転写できていないことが分かった。
(比較例1〜6)
表1に示した原料の混合物を用いること、表2に示した組成、条件、厚みとしたこと以外は実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。マスターバッチ、未延伸フィルム、二軸延伸フィルムの断面を観察した結果を表2に示す。また、このポリエステルフィルムの特性、および輝度測定した結果を表2に示す。実施例に比べて各種特性が劣る結果であった。
【0132】
(比較例7)
マスターチップを作製せず、PET−1のみを180℃に乾燥したものを単軸押出機に導入する以外はそれぞれ実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。また、このポリエステルフィルムの特性、および輝度測定した結果を表2に示す。実施例に比べて各種特性が劣る結果であった。
【0133】
(比較例1−2〜7−2)
比較例1〜7のフィルムを用いる以外は実施例1−2と同じ方法で光拡散層を形成した。
得られたフィルムを用いて輝度を測定した結果を表3に示す。光拡散層を形成していない比較例2−1〜2−7と比べて輝度、輝度ムラに優れるものの、実施例に比べて各種特性に劣る結果であった。
【0134】
(比較例1−3〜7−3)
S層用原料として15モル%ナフタレンジカルボン酸共重合PETを用いた以外は比較例1〜7と同じ方法で、S層として15モル%ナフタレンジカルボン酸共重合PETを積層したフィルムを得た。それぞれ、得られた積層フィルムのS層に、実施例1−3と同様金型、方法で加熱、プレス、冷却後、金型から離型した。
【0135】
得られたフィルムの断面形状を観察した結果、いずれも金型の形状を良好に転写できていることがわかった。しかし比較例1−3〜3−3においてはフィルムが白化することが分かった。
得られたフィルムを用いて輝度を測定した結果を表4に示す。比較例1−3〜3−3では、光拡散層を形成していないもの(比較例1〜3)に比べて、輝度が低下することが分かった。また比較例4−3〜7−3では、光拡散層を形成していない比較例4〜7に比べて、輝度、輝度ムラに優れるものの、実施例に比べて各種特性に劣る結果であった。
【0136】
【表1】
【0137】
【表2−1】
【0138】
【表2−2】
【0139】
【表3】
【0140】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明の拡散シートは、各種表示装置、中でも液晶表示装置の面光源ユニットに組み込むことにより高い画面均一性と高い輝度特性を発現させる薄型の光学部材として適用可能である。
【符号の説明】
【0142】
1:拡散素子(d1)
2:フィルム面方向と平行な方向における拡散素子(d1)の一端(左端)
3:フィルム面方向と平行な方向における拡散素子(d1)のもう一方の一端(右端)
4:拡散素子(d1)の一端(左端)2と拡散素子(d1)のもう一方の一端(右端)3を結んだ線分(長軸)
5:線分4の中点
6:中点5を通り、かつ線分4と垂直な線上にある拡散素子(d1)の一端(上端)
7:中点5を通り、かつ線分4と垂直な線上にある拡散素子(d1)の一端(下端)
8:拡散素子(d1)の一端(上端)6と拡散素子のもう一方の一端(下端)7を結んだ線分(短軸)
2’:フィルム長手方向と平行な方向における拡散素子(d1)の一端(左端)
3’:フィルム長手方向と平行な方向における拡散素子(d1)のもう一方の一端(右端)
4’:拡散素子(d1)の一端(左端)2と拡散素子(d1)のもう一方の一端(右端)3を結んだ線分(長軸)
5’:線分4’の中点
6’:中点5’を通り、かつ線分4’と垂直な線上にある拡散素子(d1)の一端(上端)
7’:中点5’を通り、かつ線分4’と垂直な線上にある拡散素子(d1)の一端(下端)
8’:拡散素子(d1)の一端(上端)6’と拡散素子(d1)のもう一方の一端(下端)7’を結んだ線分(短軸)
10:反射板
11:筐体
20:CCFL
30:拡散板
40:光学フィルム群
41:第一の光学フィルム
42:第二の光学フィルム
43:第三の光学フィルム
100:拡散素子
200:マトリックス
300:バインダー樹脂
400:微粒子
500:凹凸形態
λ0:入射光
λ1:拡散素子100を透過する光
λ2:マトリックス樹脂と拡散素子の界面で反射され入射方向側に散乱される光
λ3:マトリックス樹脂と拡散素子の界面で反射/屈折され入射方向に垂直方向近傍に散乱する光
λ3’:拡散素子に散乱され側面に出射し損失する光
x:フィルム長手方向
y:フィルム幅方向
z:フィルム厚み方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種表示装置、特に液晶表示装置の面光源に好適な拡散シート、およびそれを用いた面光源に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、ノートパソコンや携帯電話機器を始め、テレビ、モニター、カーナビゲーション等、多様な用途に用いられている。液晶表示装置には、光源となる面光源が組み込まれており、面光源からの光線を液晶セルで制御することにより、表示される仕組みとなっている。この面光源に求められる特性は、単に光を出射する光源としてだけではなく、画面全体を明るく且つ均一に光らせることである。
【0003】
面光源の構成は大きく二つに分けることができる。1つは、サイドライト型面光源と称される方式である。これは、例えば薄型化・小型化が求められるノートパソコン等に主に使用される方式であるが、基本構成として導光板を用いるのが特徴である。サイドライト型面光源の場合、導光板の側面に蛍光管を設置し、側面から導光板に光線を入射させて、導光板内部を全反射させながら面内全体に光を伝搬しつつ、導光板の裏面に施された拡散ドット等により一部を全反射条件から離脱させて導光板前面から採光することにより、面光源として機能させるものである。サイドライト型面光源の場合には、これら構成以外にも、導光板の裏面から漏れ出る光を反射させて再利用させる機能を担う反射フィルム、導光板前面から出射する光を均一化させる拡散シート、そして正面輝度を向上させるプリズムシートなど、多種類の光学フィルムが用いられている。
【0004】
また、もう1つの方式は、直下型面光源と称される方式である。これは、大型化・高輝度化が求められるテレビ用途に好ましく用いられる方式である。図4は、直下型面光源を縦方向に切断して示す断面図である。面光源の筐体は反射板10で覆われて一面が開口となっており、筐体内部に蛍光管20が配置されている。開口部には拡散板30の上に、複数の光学フィルム群40が配置されて、面光源が形成される。反射板10は、例えば内部に微細な気泡を含有させた白色ポリエステルシート等が好ましく用いられる。また、光源20は、線状光源として冷陰極管(CCFL)、外部電極蛍光管(EEFL)、点光源として発光ダイオード(LED)等が用いられる。これら線状または点状の光源を拡散板30および、その上に設置される光学フィルム群40にて均一化し、面状の光源となる。
【0005】
この方式の面光源は、画面奥に光源を複数個並べることにより、大画面にも対応可能で、さらに明るさも十分に確保できる。しかしながら、特徴でもある画面奥に設置された光源よる画面内の明るさムラ(輝度ムラ)が生じる。つまり、光源の真上は明るく、隣接する光源間が暗くなる。このため、直下型面光源では、この輝度ムラを解消するため、極めて強い光拡散性を有する光拡散板(乳白板)を蛍光管の上側に設置し、画面の均一化を図っている(特許文献1)。光拡散板は、微粒子を分散させたアクリル樹脂、またはポリカーボネート樹脂等からなる光拡散板である。この光拡散板により輝度ムラが解消され画面の均一化が図れるのであるが、強く拡散させるために全光線透過率が低く光利用効率が悪くなり、また強く拡散しすぎるために不要な方向へ光を散らしてしまい、結果として、必要となる正面の明るさが不十分となる。そこで、光拡散板のみでは完全に輝度ムラを解消せず、拡散板の上に、光を等方的に拡散しながら、正面方向に集光効果を示す拡散シートなどの光学フィルムを複数枚設置することで輝度ムラの解消を図っている(特許文献2)。この拡散シートは、基材シート上に有機架橋粒子などの微粒子を含有した拡散層を形成したビーズシートと呼ばれるシートであり、光拡散板とは違い、ある程度正面方向への指向性を示す光学フィルムである。また、必要に応じさらに集光性を向上させるためにプリズムシートなどが組み込まれている。
【0006】
これら液晶表示装置は、近年、省スペース化、軽量化、デザイン性などの観点から薄型化が求められたり、低コスト化のために搭載する光源を減らすことが求められている。このような構成となると、従来構成では、光学フィルム群(図4符号40)に従来の光学フィルムを用いた構成では一枚あたりの光の均一化効果が低いために、輝度ムラの解消が困難となり、光源直上と光源間の直上で輝度にムラが生じ、光源の像が視認されてしまう。そのため、輝度ムラを解消し均一化(ムラ消し)するためには、多数の光学フィルムを設置する必要があったが、それにより面光源の厚みが厚くなるといった問題があるため、それを解決する手段として、内部に球状の拡散素子を含むフィルムが提案されている(特許文献3)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−29091号公報
【特許文献2】特開2001−324607号公報
【特許文献3】特開2001−272508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
直下型面光源においては、画面奥に複数の光源を間隔をあけて設置するが故に、薄型化して拡散板と光源間が狭くなったり、光源数を減らしたときに、輝度ムラが大きくなり、それを解消させるのが困難となってきている。そのため、従来の光学シートでは、輝度ムラを解消させるために使用する枚数を増やすことで対応を図っているが、それでも十分に輝度ムラが解消されなかったり、たとえムラが解消されても輝度が大きく低下したりして、輝度ムラの解消と高輝度化の両立が困難であった。
【0009】
従って、本発明の目的は、かかる従来技術の背景に鑑み、薄型の直下型面光源や、光源数の少ない直下型面光源においても輝度ムラの解消と高輝度化の両立可能な光拡散フィルム、およびそれを用いた薄型や低コストでかつ高輝度の直下型面光源の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、かかる課題を解決するために、次の手段を採用するものである。すなわち、本発明の光拡散フィルムは、
1.拡散素子(D)を含有するマトリックス樹脂からなる層(以下、内部拡散層(ID層)という)を有するフィルムであって、内部拡散層(ID層)に含まれる拡散素子(D)の全数に対する拡散素子(d1)の下記(1)および(2)を満たす数の割合が50%以上であり、かつ内部拡散層(ID層)に含まれる拡散素子(D)のフィルム厚み方向の数が3個以上120個以下である光拡散フィルム。
(1)扁平度が3以上100以下であること。
(2)内部拡散層(ID層)を構成するマトリックス樹脂の屈折率Nmと拡散素子(d1)の屈折率Ndとの屈折率の差の絶対値|Nm−Nd|が0.1以上0.3以下であること。
2.フィルム厚み方向の長さ10μmあたりの拡散素子(D)の個数が1個/10μm以上10個/10μm以下である1に記載の光拡散フィルム、
3.フィルム面と平行な断面において、前記拡散素子(D)の面内長軸長さと、長軸方向に対して垂直方向の面内長さ(面内短軸長さ)の比(面内長軸長さ/面内短軸長さ)が2以下である1または2に記載の光拡散フィルム、
4.内部拡散層(ID層)の気泡の体積占有率が3体積%以下である、1〜3のいずれかに記載の光拡散フィルム、
5.内部拡散層(ID層)が二軸配向されてなる1〜4のいずれかに記載の光拡散フィルム、
6.内部拡散層(ID層)を構成するマトリックス樹脂が、ポリエステル系樹脂を含んでなる熱可塑性樹脂からなる1〜5のいずれかに記載の光拡散フィルム、
7.拡散素子(d1)が熱可塑性樹脂からなる1〜6のいずれかに記載の光拡散フィルム、
8.拡散素子(d1)がポリオレフィン系樹脂である7に記載の光拡散フィルム、
9.少なくとも一方の表面の表面自由エネルギーが35mN/m以上である1〜8のいずれかに記載の光拡散フィルム、
10.内部拡散層(ID層)の片側または両側に、樹脂層(S層)が積層されており、かつマトリックス樹脂の融点Tm1と、樹脂層(S層)の融点Tm2の差(Tm1−Tm2)が10℃以上である1〜9のいずれかに記載の光拡散フィルム、
11.少なくとも一方の表面に凹凸構造を有する1〜10のいずれかに記載の光拡散フィルム、
12.全光線透過率が25〜80%である1〜11のいずれかに記載の光拡散フィルム、
13.1〜12のいずれかに記載の光拡散フィルムを用いた面光源、
である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、輝度ムラの解消と高輝度化の両立可能な光拡散フィルムを提供することができ、これを液晶表示装置の面光源、特に直下型面光源に組み込むことにより、面光源を薄型化した際や、光源数を減らした際に、高い画面均一性と高い輝度特性の両立が図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】拡散素子(d1)のフィルム面内と垂直な断面における長軸長さ、短軸長さの計測方法の説明図である。
【図2】拡散素子(d1)のフィルム面内と垂直な断面における長軸長さ、短軸長さの計測方法の説明図である。
【図3】拡散素子(d1)のフィルム面内と垂直な断面における長軸長さ、短軸長さの計測方法の説明図である。
【図4】直下型面光源の一例を示す図である。
【図5】球状の拡散素子を含有する従来のフィルムの斜視図である。
【図6】球状の拡散素子に光が衝突したときの光の挙動の説明図である。
【図7】図5のフィルムを搭載した直下型面光源における光の挙動の説明図である。
【図8】扁平状の拡散素子(d1)を含有する本発明のフィルムの斜視図である。
【図9】扁平状の拡散素子(d1)に光が衝突したときの光の挙動の説明図である。
【図10】図8のフィルムを搭載した直下型面光源における光の挙動の説明図である。
【図11】拡散素子(d1)のフィルム面内と平行な断面における面内長軸長さ、面内短軸長さの計測方法の説明図である。
【図12】拡散素子(d1)のフィルム面内と平行な断面における面内長軸長さ、面内短軸長さの計測方法の説明図である。
【図13】拡散素子(d1)のフィルム面内と平行な断面における面内長軸長さ、面内短軸長さの計測方法の説明図である。
【図14】光拡散層を模式的に示す斜視図である。
【図15】光拡散層を模式的に示す斜視図である。
【図16】光拡散層を模式的に示す斜視図である。
【図17】光拡散層を模式的に示す斜視図である。
【図18】光拡散層を模式的に示す斜視図である。
【図19】実施例、比較例において用いた光拡散層の形状を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の光拡散フィルムは、少なくとも内部に、マトリックスとなる樹脂(以下、マトリックス樹脂)に対し、非相溶な成分を拡散素子(D)として含有する内部拡散層(ID層)を含んだ構成からなる。ここで、拡散素子(D)とは、マトリックス樹脂の屈折率Nmと拡散素子(D)の屈折率Ndの差の絶対値|Nm−Nd|が0.03以上であるもののことをいう。
【0014】
また、本発明の光拡散フィルムにおいて、内部拡散層(ID層)に含まれる拡散素子(D)には下記の(1)および(2)を満たす拡散素子(d1)が含まれる。
(1)内部拡散層(ID層)を構成するマトリックス樹脂の屈折率Nmと拡散素子(d1)の屈折率Nd1との屈折率の差の絶対値|Nm−Nd1|が0.05以上0.3以下であること。
(2)扁平度が3以上100以下であること。
【0015】
なお、拡散素子(D)の扁平度は、後述する手順(A1)〜(A4)で求められる。
【0016】
また、本発明の光拡散フィルムにおいて、上記拡散素子(d1)は、内部拡散層(ID層)に含まれる拡散素子(D)の全数に対して50%以上含まれる。
【0017】
また、本発明の光拡散フィルムは、内部拡散層(ID層)に含まれる拡散素子(D)のフィルム厚み方向の数が3個以上120個以下からなる。
【0018】
なお、フィルム厚み方向の拡散素子(D)の個数は、後述する手順(B1)〜(B5)で求められる。
【0019】
上記要件を全て満たすことによって液晶ディスプレイ面光源用の光拡散フィルム、特に直下型面光源における輝度とムラ消し性に優れるフィルムとして有用とすることができる。その理由について下記詳細に説明する。
【0020】
本発明の光拡散フィルムは、内部に、マトリックス樹脂と屈折率の異なる扁平状の拡散素子(d1)を含むため、従来の球状の拡散素子のみを含むフィルムに比べて、拡散素子(D)の体積占有率が同じであっても光の衝突確率が増大する結果、透過光は均一に拡散されやすくなる。
【0021】
また、拡散素子に衝突した光はマトリックス樹脂と拡散素子の界面にて反射/屈折されることで散乱される。そのときの挙動について図5〜図10を用いて説明する。
【0022】
図8はマトリックス200に扁平状の拡散素子(d1)100を含有する本発明の光拡散フィルムであり、図9は、図8のフィルムにおいて、扁平状の拡散素子(d1)100に光が入射した場合の挙動を示す図である。扁平状の拡散素子(d1)100に入射した光λ0は、界面により反射/屈折を繰り返しても、その形状から、透過する光(λ1)や、界面で反射され入射方向側に散乱される光(λ2)がほとんどであり、入射方向に対して垂直方向近傍に散乱する光(λ3)はほとんどない。そのため、フィルム面内方向に伝播し、フィルム端面から出射して、損失される光が少ない。図10は、本発明の光拡散フィルムを面光源用フィルム41として用いた場合の図であるが、図に示すように、フィルム側面から出射し損失される光量(λ3’)を少なくすることができる。なお、図10に示すように、界面で反射され入射方向側に散乱される光(λ2)は、光源側に戻される。そして、反射板10にて、反射し、再度、本発明の光拡散フィルムに入射する(この現象を、「光の再利用」と呼ぶこともある。)。また、光の再利用が起こる場合、光は反射フィルム10にて拡散反射されるため、このサイクルを繰り返すことで、面光源より出射する光の量を面内において均一化することが可能となる。その結果、輝度ムラを解消し均一化(ムラ消し)することができる。以上のメカニズムから、従来の球状の拡散素子(D)を含む拡散フィルムに比べて高輝度かつ高ムラ消し性を両立することができる。
【0023】
なお、本発明の光拡散フィルムは図4の複数の光学フィルム群40の何れの部分に用いられても高いムラ消し性を発現するが、その効果が高いという点で拡散板の直上の光学フィルム41として用いるのが後方散乱光を有効に利用でき高輝度とすることができるという点でより好ましい。
【0024】
ここで、本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子(d1)は拡散素子(D)の全数に対して、より好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上含まれるのがよい。拡散素子(d1)の含有量が50%に満たないと、入射方向に対して垂直方向近傍に散乱する光λ3が多くなり、輝度が低下する場合があるため好ましくない。
【0025】
また、内部拡散層(ID層)を構成するマトリックス樹脂の屈折率Nmと拡散素子(d1)の屈折率Ndとの屈折率の差の絶対値|Nm−Nd1|は、より好ましくは、0.1以上0.25未満、更に好ましくは0.15以上0.25未満、特に好ましくは0.17以上0.23未満である。内部拡散層(ID層)を構成するマトリックス樹脂の屈折率Nmと拡散素子(d1)の屈折率Nd1との屈折率の差の絶対値|Nm−Nd1|が0.05に満たないと、界面での屈折/反射が少なくなる結果、拡散性が低下して輝度ムラの解消が困難となる場合があり、また0.3を越えると、拡散性が強くなりすぎて入射方向に対して垂直方向近傍に散乱する光λ3が多くなり、輝度が低下する場合があったり、光の透過性が低下し輝度が低下することがあるため好ましくない。
【0026】
また、拡散素子(d1)の扁平度は、より好ましくは5以上50以下が良く、更に好ましくは10以上30以下、特に好ましくは12以上25以下である。扁平度が3に満たないと入射方向に対して垂直方向近傍に散乱する光λ3が多くなり、輝度が低下する場合があり、また扁平度が100を越えると、拡散性が低下して輝度ムラの解消が困難となったり、光の透過性が低下し輝度が低下することがあるため好ましくない。
【0027】
ここで、扁平度を3以上100未満の拡散素子(d1)を含有させるためには、拡散素子(d1)として無機粒子や、有機架橋性粒子を用いた場合は、扁平度を3以上100の範囲に制御した粒子を用いる方法があげられる。また、拡散素子(d1)として熱可塑性樹脂を用いる場合は、マトリックス中に拡散素子として熱可塑性樹脂を分散させてシート化したものを、
1’)面積延伸倍率が1.5倍以上となるよう一軸または二軸延伸する、
2’)圧延率が90%以上となるよう厚み方向に圧延する、
3’)上記1’)と2’)を併用する、
などの方法が挙げられる。なお、1’)の方法の詳細は後述する。また、面積倍率とは一軸目の延伸倍率に二軸目の延伸倍率を乗じたものである。また、2’)の方法において圧延率(%)とは、圧延後の厚みを、圧延前の厚みで除し、100を乗じたものである。
【0028】
なお、本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子(d1)として熱可塑性樹脂を用いる場合に扁平度を高めるためには、
1”)面積延伸倍率、もしくは圧延率を大きくする、他に、
2”)拡散素子となる熱可塑性樹脂をマトリックス中に微分散させる、
3”)マトリックス樹脂のガラス転移温度+25℃での拡散素子となる熱可塑性樹脂の弾性率とマトリックス樹脂の弾性率差を小さくする、
4”)上記1”)〜3”)の少なくとも2つの方法を併用する、
などの方法が好ましく用いられる。
【0029】
また、本発明の光拡散フィルムにおいて、フィルム厚み方向の拡散素子(D)の個数はより好ましくは7個以上100個以下、更に好ましくは、13個以上60個以下である。フィルム厚み方向の拡散素子(D)の個数が3に満たないと、光を十分に拡散させることができず、面光源に組み込んだ際の輝度ムラの解消が不十分となる場合があるため好ましくなく、120個以上であると、光の透過効率が不十分で、面光源に組み込んだ際の輝度が大きく低下することがある。本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子(D)の個数を3以上120個以下とすることにより、光の透過効率を落とすことなく拡散性を付与する事が可能となり、その結果、面光源に組み込んだ際に効率的に輝度ムラの解消と、高輝度化の両立が可能となる。
【0030】
また、本発明の光拡散フィルムにおいて、フィルム厚み方向の単位長さあたりの拡散素子(D)の個数が1個/10μm以上10個/10μm以下であるのが好ましい。より好ましくは1.2個/10μm以上9個/10μm以下、1.5個/10μm以上8個/10μm以下、更に好ましくは2個/10μm以上7個/10μm以下である。フィルム厚み方向の単位長さあたりの拡散素子の個数が1個/10μmに満たないと、斜め方向から入射した光に対する光拡散性が低下し、面光源に組み込んだ際に斜め方向から輝度ムラが視認される場合があるため好ましくなく、また、10個/10μmを越えると、拡散素子間隔が可視光の波長と同程度になるため、干渉効果により、光の失活が起こり光の透過効率が低下したり、透過光が着色することがあり、面光源に組み込んだ際の輝度が大きく低下したり、面光源の色調が大きく変化することがあるため好ましくない。本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子の単位長さあたりの個数を1個/10μm以上10個/10μmとすることにより、光の透過効率を落とすことなく斜め方向からの光に対しても拡散性を付与する事が可能となり、その結果、面光源に組み込んだ際に輝度の低下、色調の変化などなく斜め方向の輝度ムラを解消することが可能となる。
【0031】
また、本発明の光拡散フィルムにおいて、内部拡散層(ID)層に含まれる拡散素子(D)の平均扁平度は3以上100以下となるのが好ましい。拡散素子(D)の平均扁平度が3に満たないと入射方向に対して垂直方向近傍に散乱する光λ3が多くなり、輝度が低下する場合があり、また平均扁平度が100を越えると、拡散性が低下して輝度ムラの解消が困難となったり、光の透過性が低下し輝度が低下することがあるため好ましくない。本発明において、内部拡散層(ID)層に含まれる拡散素子(D)の平均扁平度を3以上100以下とすることによって、光の利用効率を落とすことなく拡散性を付与する事が可能となり、その結果、面光源に組み込んだ際に効率的に輝度ムラの解消と、高輝度化の両立が可能となる。
【0032】
また、本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子(D)の平均長軸長さaが0.5μm以上25μm以下であるのが好ましい。より好ましくは1μm以上20μm以下、更に好ましくは3μm以上15μm以下、特に好ましくは4μm以上15μm以下である。拡散素子(D)の平均長軸長さaが0.5μmに満たないと、拡散させる光の波長よりも拡散素子(D)の平均長軸長さaが小さくなるため光の拡散性が不十分となり、面光源に組み込んだ際の輝度ムラの解消が不十分となる場合があるため好ましくなく、一方、拡散素子(D)の平均長軸長さaが30μm以上であると、形状が平板状になり、拡散性が低下したりすることがあったり、光の透過効率が低下し、面光源に組み込んだ際の輝度が大きく低下することがある。本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子(D)の平均長軸長さaが0.5μm以上30μm以下とすることにより、光の透過効率を落とすことなく拡散性を付与する事が可能となり、その結果、面光源に組み込んだ際に効率的に輝度ムラの解消と、高輝度化の両立が可能となる。
【0033】
また、本発明の光拡散フィルムにおいて拡散素子(D)の平均厚みdが0.01μm以上1μm以下であるのが好ましい。より好ましくは0.1μm以上1μm以下、更に好ましくは0.2μm以上0.9μm以下、特に好ましくは0.3μm以上0.8μm以下である。拡散素子(D)の平均厚みdが0.1μmに満たないと、入射した光が拡散素子(D)として認識せず、光拡散性が低下したり、薄膜干渉により光線が失活し輝度が低下したりする場合があり、また、1μmよりを越えると、厚み方向の拡散素子(D)数が少なくなる結果、光拡散性が低下し、面光源に組み込んだ際の輝度ムラの解消が不十分となる場合があるため好ましくない。本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子の平均厚みを0.01μm以上1μm以下とすることで、光線の失活なく効率的な光拡散性を付与することが可能となり、面光源に組み込んだ際に輝度を落とすことなく、効率的に輝度ムラを解消することが可能となる。
【0034】
本発明の光拡散フィルムにおいて、前記拡散素子(D)は、フィルム面と平行な断面において、面内長軸長さと、長軸方向に対して垂直方向の面内長さである面内短軸長さの比(面内長軸長さ/面内短軸長さ)が2以下であることが好ましい。なお、面内長軸長さ/面内短軸長さの比は、後述する手順(C1)〜(C7)で求められる。
【0035】
面内長軸長さと面内短軸長さの比(面内長軸長さ/面内短軸長さ)は、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.2以下である。面内長軸長さと面内短軸長さの比(面内長軸長さ/面内短軸長さ)が2を越えると、拡散性が低下しムラ消し性が低下したり、方向によってムラ消し性や、輝度が異なったりして液晶ディスプレイへの設置の際に制限を受ける場合がある。本発明の光拡散フィルムにおいて、面内長軸長さと面内短軸長さの比(面内長軸長さ/面内短軸長さ)を2以下とすることで、全方向に渡り、高い拡散性を有することが可能となる。
【0036】
本発明では、内部拡散層(ID)内における拡散素子(D)の体積占有率が0.1体積%以上25体積%未満であることが好ましい。拡散素子(D)の体積占有率は、後述する手順(D1)〜(D4)で求めることができる。拡散素子(D)の体積占有率は0.5体積%以上20体積%であることがより好ましく、1体積%以上15体積%以下であることが更に好ましく、1.5体積%以上10体積%以下であることが特に好ましく、最も好ましくは2体積%以上10体積%以下である。体積占有率が0.1体積%に満たないと、拡散性が低下して輝度ムラの解消が困難となったりする場合があったり、25体積%以上となると光の透過性が低下し輝度が低下することがあるため好ましくない。本発明の光拡散フィルムにおいて、内部拡散層(ID層)に含まれる拡散素子(D)の含有量を0.1体積%以上25体積%以下とすることで、光の利用効率を落とすことなく拡散性を付与する事が可能となり、その結果、面光源に組み込んだ際に効率的に輝度ムラの解消と、高輝度化の両立が可能となる。
【0037】
本発明の光拡散フィルムにおいて、内部拡散層(ID層)には気泡(ボイド)が極力含有しないのが好ましく、その体積占有率は3体積%以下が好ましい。より好ましくは2体積%以下、更に好ましくは1体積%以下である。気泡の体積占有率は、後述する手順(E1)〜(E4)で求めることができる。気泡の体積占有率は、2体積%以下であることが好ましく、より好ましくは1体積%以下、特に好ましくは0.5体積%以下である。体積占有率が3%以上を越えると、気泡により光が不必要に散乱されてしまい、その結果、入射方向に対して垂直方向近傍に散乱する光λ3が多くなり、輝度が低下する場合があるため好ましくない。本発明の光拡散フィルムにおいて、気泡の体積占有率を3体積%以下とすることで、光の利用効率を落とすことなく拡散性を付与する事が可能となり、その結果、面光源に組み込んだ際に効率的に輝度ムラの解消と、高輝度化の両立が可能となる。
【0038】
本発明の光拡散フィルムにおいて、内部拡散層(ID層)のマトリックスとなる樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、ポリエーテルエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などが挙げられる。これらの中で共重合することができるモノマー種の多様性、およびそれによって材料物性の調整が容易であるなどの理由から、特にポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂またはこれらの混合物から選ばれる熱可塑性樹脂から主として形成されていることが好ましい。また、特に機械的強度、耐熱性等の点から、ポリエステル系樹脂がより好ましく、これらの中でも、透明性、成形性、耐熱性の観点から、エチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステル樹脂がより好ましい。
【0039】
本発明の光拡散フィルムにおいて、内部拡散層(ID層)のマトリックスとなる樹脂がポリエステル樹脂には、共重合成分を含むことも好ましい。かかる共重合成分の例として、ジカルボン酸成分としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、イソソルビド、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸等芳香族ジカルボン酸などのジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体や、ジカルボン酸成分のカルボキシ末端に、l-ラクチド、d−ラクチド、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類、およびその誘導体、そのオキシ酸類が複数個連なったもの等を付加させたジカルボキシ化合物などが代表例としてあげられるがこれらに限定されない。また、これらは単独で用いても、必要に応じて、複数種類用いても構わない。
【0040】
また、ジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等の脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、イソソルビドなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールA、1,3―ベンゼンジメタノール,1,4−ベンセンジメタノール、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、などの芳香族ジオール類等のジオール、およびこれらジオール類が複数つながったジヒドロキシ化合物などが代表例としてあげられるがこれらに限定されない。また、これらは単独で用いても、必要に応じて、複数種類用いても構わない。
【0041】
また、一分子内にカルボン酸もしくはカルボン酸誘導体骨格と水酸基を有する化合物の例としては、l-ラクチド、d−ラクチド、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類、およびその誘導体、そのオキシ酸類が複数個連なったもの等を付加させたジカルボキシ化合物等があげられる。
【0042】
ここで、本発明の光拡散フィルムにおいて、内部拡散層(ID層)のマトリックスとなる樹脂には少なくとも結晶性樹脂(A)を含むことが好ましい。マトリックス樹脂として、結晶性樹脂(A)を少なくとも含むことによって、延伸、熱処理により、配向結晶化させることが可能となり、機械的強度、耐熱性に優れた光拡散フィルムとすることができる。ここで、結晶性樹脂とは、JIS K7122(1999)に準じて、後述する(F1)〜(F4)の手順で得られる2ndRUNの示差走査熱量測定チャートにおいて、融解に伴う発熱ピークが観察される樹脂のことである。より詳しくは、融解に伴うピーク面積から求められる結晶融解熱量ΔHmが1J/g以上の樹脂を結晶性樹脂とする。本発明の光拡散フィルムにおいては、内部拡散層(ID層)のマトリックスを構成する樹脂のうち、結晶性樹脂が1種類である場合はその樹脂を結晶性樹脂(A)とする。また、マトリックスを構成する結晶性樹脂が複数含まれる場合は、結晶性樹脂のうち、主たる成分となる結晶性樹脂を結晶性樹脂(A)とする。本発明の光拡散フィルムにおいて、結晶性樹脂(A)は、好ましくは結晶融解熱量ΔHmが5J/g以上、より好ましくは10J/g以上、更に好ましくは15J/g以上の樹脂を用いるのがよい。本発明の光拡散フィルムにおいて結晶性樹脂(A)の結晶融解熱量を上述の範囲とすることによって、延伸、熱処理による配向結晶化をより高める可能となり、その結果、より機械的強度、耐熱性に優れた光拡散フィルムとすることができる。
【0043】
また、本発明の光拡散フィルムにおいては、マトリックスを構成する樹脂種が結晶性樹脂と非晶性樹脂との混合物であっても構わない。その場合、マトリックスを構成する樹脂100質量%のうち全結晶性樹脂の割合を80質量%以上とするのが、耐熱性、機械的強度の点から好ましい。
【0044】
本発明の光拡散フィルムに用いられる結晶性ポリエステル樹脂(A)に共重合成分を導入する場合は、結晶性が消失しない範囲で行う。その共重合成分を導入する方法としては、原料であるポリエステルペレットの重合時に共重合成分を添加し、あらかじめ共重合成分が重合されたペレットとして用いても良いし、また、例えば、ポリブチレンテレフタレートのように単独で重合されたペレットとポリエチレンテレフタレートペレットの混合物を押出し機に供給し、溶融混練時にエステル交換反応させることによって共重合化する方法を用いても良い。
【0045】
本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子(D)の材質は無機粒子、架橋性樹脂粒子、マトリックス樹脂と非相溶の熱可塑性樹脂(以下、非相溶性樹脂とする)などが挙げられ、いずれも好ましく用いられる。無機微粒子や架橋性樹脂粒子を用いる場合は、上述の範囲となるように予め形状を制御した粒子を拡散素子(d1)として用いることによって、上述の要件を満たす光拡散フィルムを容易に得ることができる。また、該拡散素子(D)の粒子として非相溶性樹脂を用いる場合は、コストの点や、フィルター濾過性、および後述する方法により気泡の発生を抑制しつつ、拡散素子(d1)として高扁平度のものを容易に得られるという点が、拡散素子(d1)として、無機微粒子や架橋性樹脂粒子と比べて有利となるため、より好ましい。
【0046】
本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子(D)として、無機粒子や架橋性粒子を用いる場合、その例としては、ガラス、シリカ、硫酸バリウム、酸化チタン、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレー等の無機粒子、またはアクリル樹脂、有機シリコーン樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、尿素樹脂、ホルムアルデヒド縮合物、フッ素樹脂等を架橋した架橋性樹脂粒子などを挙げることができる。
【0047】
また、本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子(D)として非相溶性樹脂を用いる場合、その具体例としては、共重合したポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、シクロペンタジエンなどのような直鎖状、分鎖状あるいは環状のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、ポリエーテルエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、フッ素系樹脂などが挙げられる。これらの中で共重合するモノマー種の多様性、およびそれによって材料物性の調整が容易であるなどの理由から、特にポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂またはこれらの混合物から選ばれる熱可塑性樹脂から主として形成されていることが好ましい。これらの非相溶性樹脂は単独重合体であっても共重合体であってもよく、さらには2種以上の非相溶性樹脂を併用してもよい。
【0048】
具体的には、内部拡散層(ID層)のマトリックス樹脂としてポリエステル系の樹脂を用いた場合、非相溶性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、ポリエーテルエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、などが好ましく挙げられる。これらの中で、非相溶性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、シクロペンタジエンなどのような直鎖状、分鎖状あるいは環状のポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン、フッ素系樹脂などが好ましく用いられる。これらの非相溶性樹脂は単独重合体であっても共重合体であってもよく、さらには2種以上の非相溶性樹脂を併用してもよい。これらの中でも、透明性に優れ、かつ耐熱性に優れ、かつ屈折率の点で、ポリオレフィンが好ましく用いられる。具体的には、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、シクロオレフィン共重合体などが特に耐熱性が高いという点で好ましく用いられる。
【0049】
また、本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子(D)として非相溶性樹脂を用いる場合、内部拡散層(ID層)のマトリックスとなる樹脂のガラス転移温度での動的貯蔵弾性率が500MPa以下であることが好ましい。ここでいうガラス転移温度とは、示差走査熱量測定(以下、DSC)により得られる、昇温過程(昇温速度:20℃/min)におけるガラス転移温度Tgで、詳しくは、JIS K−7121(1999年版)に基づき、後述する(F1)〜(F4)の手順により求められる。
【0050】
また、動的貯蔵弾性率とは、厚さ200μmのシートを作製し、そのシートをJIS K−7244(1999年版)に準じた方法により求めた値である。詳しくは、引張モード、試料動的振幅速さ(駆動周波数)は1Hz、チャック間距離5mm、歪振幅10μm、力振幅初期値100mN、昇温速度2℃/minでの測定条件にて温度依存性(温度分散)を測定した時に得られる値である。
【0051】
拡散素子(D)となる非相溶性樹脂の、内部拡散層(ID層)のマトリックスとなる樹脂のガラス転移温度での動的貯蔵弾性率は、より好ましくは250MPa以下、更に好ましくは200MPa以下、特に好ましくは100MPa以下、最も好ましくは50MPa以下である。動的貯蔵弾性率が500MPaを越えると、後述する方法により、延伸時の変形が困難となり、界面剥離が起こりやすくなる結果、気泡が形成しやすくなって光透過性が低下することがあったり、扁平形状に形成するのが困難となり、入射方向に対して垂直方向近傍に散乱する光λ3が多くなり、輝度が低下する場合があるため好ましくない。本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子(D)として非相溶性樹脂を用いる場合、内部拡散層(ID層)のマトリックスとなる樹脂のガラス転移温度での動的貯蔵弾性率を500MPa以下とすることによって、扁平状の拡散素子(d1)を有する内部拡散層(ID層)を容易に形成することが可能となり、得られたフィルムは光の利用効率を落とすことなく拡散性を付与する事が可能となり、その結果、面光源に組み込んだ際に効率的に輝度ムラの解消と、高輝度化の両立が可能となる。
【0052】
また、本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子(D)として非相溶性樹脂を用いる場合、その樹脂のMFRが1g/10min以上であるのが好ましい。ここでいうMFRとは、ASTM−D1238(1999)に基づいて,内部拡散層(ID層)のマトリックスとなる樹脂の融点+5℃の温度で、5kgの荷重をかけて、測定された値である。また、内部拡散層(ID層)のマトリックスとなる樹脂の融点とはJIS K−7121(1999)に基づいて、DSCにより得られる、昇温過程(昇温速度:20℃/min)における融点Tmで、具体的には、下記(F1)〜(F4)の方法により得られる値である。
【0053】
より好ましくは拡散素子(D)となる非相溶性樹脂のMFRは20g/10min以上、更に好ましくは100g/min以上である。MFRが1以上であると内部拡散層(ID層)のマトリックスとなる樹脂中に充分に微分散させることができず、その結果、得られるフィルムは光拡散性が低下することがある。
【0054】
本発明の光拡散フィルムにおいて、内部拡散層(ID層)のマトリックス樹脂としてポリエステル系の樹脂を用いた場合、拡散素子(D)として用いる非相溶性樹脂には、カルボン酸エステル基、無水マレイン酸基、オキサゾリン基、エポキシ基、オキセタン基等の置換基を有する樹脂(以下変性非相溶性樹脂(b2))を含むことが好ましい。変性非相溶性樹脂(b2)を含有させることで、後述する方法により、溶融混練時にポリエステル樹脂と反応してブロック共重合型化合物を形成する。また、未変性の非相溶性樹脂と併用した場合は、ポリエステル樹脂と未変性の非相溶性樹脂との界面付近に介在する。これにより、延伸工程でのポリエステル樹脂と非相溶性樹脂界面での剥離が抑制され、非相溶性樹脂を共延伸させることができ、それにより内部に略扁平状の拡散素子(d1)を有する内部拡散層(ID層)を形成することができる。
【0055】
本発明の光拡散フィルムに用いられる変性非相溶性樹脂(b2)は、例えば非相溶性樹脂としてポリオレフィン樹脂の場合は、上記置換基を有する化合物をグラフト共重合させることによって得ることができる。
【0056】
例えば、カルボン酸エステル、無水マレイン酸基を導入する場合は、不飽和カルボン酸をグラフト共重合させることによって得ることができる。また、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸をグラフト共重合させるには、ポリオレフィン樹脂を有機溶剤中に溶解させるか、懸濁させるかした後、不飽和カルボン酸を加え、ラジカル発生剤の分解温度(一般に50℃以上150℃以下)まで昇温させ、ラジカル発生剤を少量ずつ添加してグラフト反応させる方法を用いることができる。あるいは、ポリオレフィン樹脂にグラフトモノマーである不飽和カルボン酸をラジカル発生剤と共に押出機中で必要に応じて熱(例えば150℃以上260℃以下)をかけグラフト重合させる方法を用いることもできる。
【0057】
なお、不飽和カルボン酸とは、−COOH基を有する不飽和化合物だけでなく、その誘導体であるエステルや無水物も含む概念で用いられている。不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸;メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、フマル酸ブチル等の不飽和カルボン酸エステル;マレイン酸無水物、イタコン酸無水物等の酸無水物などが挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物が好ましく、特にアクリル酸、マレイン酸及びマレイン酸無水物が、生産性および非相溶性樹脂をポリエステル樹脂中で微分散化させることができる点で好ましい。
【0058】
また、オキサゾリン基、エポキシ基、オキセタン基等を導入する場合は、該置換基と不飽和結合とを有する化合物をグラフト重合することによって得られる。また、不飽和カルボン酸と上記置換基を有する化合物とのエステル結合性誘導体をグラフト重合させたり、不飽和カルボン酸をグラフト重合した変性非相溶性樹脂を作製した後、不飽和カルボン酸と上記置換基を有する化合物とエステル化反応させることによっても得ることができる。
【0059】
本発明の光拡散フィルムにおいて、非相溶性樹脂として、未変性の非相溶性樹脂と、カルボン酸エステル、無水マレイン酸基を導入した変性非相溶性樹脂(b2)を含む場合、その酸価を1KOHmg/g以上80KOHmg/g以下とするのが好ましい。なお、本発明において、酸価とはJIS−K0070−1992にて規定される酸価をいう。より好ましくは2KOHmg/g以上60KOHmg/g以下、更に好ましくは、3KOHmg/g以上60KOHmg/g以下、特に好ましく5KOHmg/g以上60KOHmg/g以下、最も好ましくは5KOHmg/g以上40mg/g以下である。酸価を上記範囲とすることにより、内部拡散層(ID層)のマトリックス樹脂であるポリエステル樹脂と拡散素子(D)となる非相溶樹脂との共延伸性を高めることができ、その結果、気泡の発生を抑えつつ、拡散素子(d1)の扁平度をより高めることができる。加えて、非相溶性樹脂をポリエステル樹脂中に極めて微細に分散させることもできる。
【0060】
変性非相溶性樹脂(b2)の酸価が1KOHmg/g未満であると、ポリエステル樹脂と非相溶性樹脂を共延伸させることができないことがある。その結果、非相溶性樹脂の拡散素子の扁平度を高めることができなくなったり、延伸工程において非相溶性樹脂の周辺でボイドが生成してしまうことがある。この場合、気泡により光が不必要に散乱されてしまい、その結果、入射方向に対して垂直方向近傍に散乱する光λ3が多くなり、輝度が低下する場合があるため好ましくない。
【0061】
また、変性非相溶性樹脂の酸価が80KOHmg/gを超えると、非相溶性樹脂耐熱性が低下して、溶融押出しする際に、押出機内で分解し、分解物がフィルム欠点の原因となったり、非相溶性樹脂の耐熱性が低下しなくてもマトリックス樹脂であるポリエステル樹脂の劣化が激しく、製膜自体が困難となる場合があるなど、フィルム生産上、好ましくないことがある。
【0062】
また、本発明の光拡散フィルムにおいて、カルボン酸エステル、無水マレイン酸基を導入した変性非相溶性樹脂(b2)のみ含む場合、変性非相溶性樹脂(b2)の酸価を0.001KOHmg/g以上20KOHmg/g以下とするのが好ましい。より好ましくは0.01KOHmg/g以上15KOHmg/g以下、更に好ましくは0.1KOHmg/g以上10KOH以下である。酸価を上記範囲とすることにより、内部拡散層(ID層)のマトリックス樹脂であるポリエステル樹脂と拡散素子(D)となる非相溶樹脂との共延伸性を高めることができ、その結果、気泡の発生を抑えつつ、拡散素子(d1)の扁平度をより高めることができる。加えて、非相溶性樹脂をポリエステル樹脂中に極めて微細に分散させることもできる。
【0063】
変性非相溶性樹脂(b2)の酸価が0.001KOHmg/g未満であったりすると、ポリエステル樹脂と非相溶性樹脂を共延伸させることができないことがある。その結果、非相溶性樹脂の拡散素子の扁平度を高めることができなくなったり、延伸工程において非相溶性樹脂の周辺でボイドが生成してしまうことがある。この場合、気泡により光が不必要に散乱されてしまい、その結果、入射方向に対して垂直方向近傍に散乱する光λ3が多くなり、輝度が低下する場合があるため好ましくない。
【0064】
一方、変性非相溶性樹脂(b2)の酸価が20KOHmg/gを越えると、非相溶性樹脂耐熱性が低下して、溶融押出しする際に、押出機内で分解し、分解物がフィルム欠点の原因となったり、非相溶性樹脂の耐熱性が低下しなくてもマトリックス樹脂であるポリエステル樹脂の劣化が激しく、製膜自体が困難となる場合があるなど、フィルム生産上、好ましくないことがある。
【0065】
また、本発明の光拡散フィルムにおいては、非相溶性樹脂全体の酸価が0.001KOHmg/g以上20KOHmg/g以下であることが好ましい。酸価をかかる範囲とすることにより、非相溶樹脂をポリエステル樹脂中に極めて微細に分散させることができる。
非相溶性樹脂の酸価が0.001KOHmg/g未満であったりすると、ポリエステル樹脂と非相溶性樹脂を共延伸させることができないことがある。その結果、非相溶性樹脂の拡散素子の扁平度を高めることができなくなったり、延伸工程において非相溶性樹脂の周辺でボイドが生成してしまうことがある。この場合、気泡により光が不必要に散乱されてしまい、その結果、入射方向に対して垂直方向近傍に散乱する光λ3が多くなり、輝度が低下する場合があるため好ましくない。
【0066】
また、20KOHmg/gを越える場合、非相溶性樹脂の耐熱性が低下して、溶融押出しする際に、押出機内で分解し、分解物がフィルム欠点の原因となったり、非相溶性樹脂の耐熱性が低下しなくてもマトリックス樹脂であるポリエステル樹脂の劣化が激しく、製膜自体が困難となる場合があるなど、フィルム生産上、好ましくないことがある。
【0067】
本発明の光拡散フィルムにおいて、非相溶性樹脂として未変性の非相溶性樹脂と変性非相溶性樹脂(b2)を含む場合には、変性非相溶性樹脂(b2)を未変性の非相溶性樹脂100質量部に対して2質量部以上45質量部以下の割合で含有させるのが好ましい。変性非相溶性樹脂(b2)の含有量が、未変性非相溶性樹脂100質量部に対して2質量部未満であると、非相溶性樹脂をポリエステル樹脂中で充分に微分散化させることができず、また、延伸工程においてポリエステル樹脂と非相溶性樹脂を共延伸させることができないことがある。この場合、気泡により光が不必要に散乱されてしまい、その結果、入射方向に対して垂直方向近傍に散乱する光λ3が多くなり、輝度が低下する場合があるため好ましくない。
【0068】
また、変性非相溶性樹脂(b2)の含有量が、未変性非相溶性樹脂(b1)100質量部に対して45質量部を超えると、溶融押出しする際に、押出機内で分解し、分解物がフィルム欠点の原因となったり、非相溶性樹脂の耐熱性が低下しなくてもマトリックス樹脂であるポリエステル樹脂の劣化が激しく、製膜自体が困難となる場合があるなど、フィルム生産上、好ましくないことがあったり、拡散素子(D)が微分散しすぎて光拡散性が低下する傾向にある。なお、内部拡散層(ID層)に、未変性の非相溶性樹脂を含有させずに、変性非相溶性樹脂(b2)とポリエステル樹脂のみを含有せしめた場合において、高変性度のものを用いた場合にも同様の現象が生じ、生産性や実用性に著しく劣ることがある。
【0069】
本発明の光拡散フィルムにおいて、拡散素子(D)として非相溶性樹脂を用いる場合、その含有量は内部拡散層(ID層)に対して0.1質量%以上25質量%以下が好ましい。より好ましくは0.5質量%以上20質量%以下、更に好ましくは1質量%以上15質量%以下、特に好ましくは1.5質量%以上10質量%以下、最も好ましくは1.5質量%以上8質量%以下である。含有量が0.1質量%に満たないと、拡散性が低下して輝度ムラの解消が困難となったりする場合があったり、25質量%以上となると光の透過性が低下し輝度が低下することがあるため好ましくない。本発明の光拡散フィルムにおいて、非相溶性樹脂の含有量を0.1質量%以上25質量%以下とすることで、光の利用効率を落とすことなく拡散性を付与する事が可能となり、その結果、面光源に組み込んだ際に効率的に輝度ムラの解消と、高輝度化の両立が可能となる。
【0070】
本発明の光拡散フィルムにおいて、内部拡散層(ID層)には、必要に応じて本発明の効果が損なわれない量での適宜な添加剤、例えば、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、核剤、染料、分散剤、カップリング剤等が配合されていたり、マトリックスとなる樹脂の屈折率との差が0.1以下の無機粒子、有機樹脂粒子など充填剤が配合されていてもよい。
【0071】
本発明の光拡散フィルムの内部拡散層(ID層)は上述の構成、材料から形成され、その厚みは、一般的には10μm以上500μm以下であることが好ましい。より好ましくは、20μm以上300μm以下、更に好ましくは50μm以上250μm以下である。フィルム厚みが10μm未満であると、製膜時に破れが生じやすいことがあったり、光拡散性が低下する傾向にあり、輝度ムラの解消が困難となる場合がある。また、フィルム厚みが500μmを超えると、フィルムをロール状に巻き取ることが困難となったり、光透過性が低下し、輝度が低下することが低下することがある。
【0072】
本発明の光拡散フィルムは、上記内部拡散層(ID層)のみからなる単膜フィルムであってもよいし、他の層が積層された積層フィルムであっても良い。すなわち、内部拡散層(ID層)の片側もしくは両側に他の樹脂層(S層)が積層されていてもよい。特に、得られたフィルムを用いて、コーティングなどの表面加工をする場合は、その加工性などから、拡散素子(D)が含まないポリエステル層(P層)、より好ましくは二軸延伸ポリエステル層が少なくとも片側表面に積層されている積層フィルムが好ましい態様となる。また、得られたフィルムを用いて金型を用いて表面を成形する場合は、その加工性等から、成形性を有する樹脂層が少なくとも金型表面に積層されている積層フィルムが好ましい態様となる。
【0073】
本発明の光拡散フィルムが積層フィルムである場合、その内部拡散層(ID層)厚さ(内部拡散層(ID層)が複数ある場合は各層の厚さの和をもって、内部拡散層(ID層)の厚さとする)と、その他の樹脂層の厚さの和との比((内部拡散層(ID層)の厚さ/ID層以外の層の厚さの和)=(積層比))は用いる用途により任意に設定することができるが、高い光拡散性を得るという点から、5/1以上が好ましく、更に好ましくは8/1以上である。このような構成とすることによって、高い光拡散性を有しながら、表面への加工性を付与することができる。
【0074】
また、本発明の光拡散フィルムの厚みは、一般的には10μm以上500μm以下であることが好ましい。より好ましくは、20μm以上300μm以下、更に好ましくは50μm以上250μm以下である。フィルム厚みが10μm未満であると、製膜時に破れが生じやすいことがあったり、光拡散性が低下する傾向にあり、輝度ムラの解消が困難となる場合があったり、面光源用光拡散フィルムとしてディスプレイに組み込んだときに、自己支持性がなく、フィルムがたるんだりして、ディスプレイの輝度ムラが発生したりしたりる。また、フィルム厚みが500μmを超えると、フィルムをロール状に巻き取ることが困難となったり、光透過性が低下し、輝度が低下することが低下することがある。
【0075】
また、本発明の光拡散フィルムは、少なくとも一方の表面の表面自由エネルギーが35mN/m以上であることが好ましい。より好ましくは38mN/m以上、更に好ましくは40mN/m以上である。35mN/mに満たないと、得られたフィルムを用いて、コーティングなどにより表面加工をする場合(例えば、後述するように、光拡散層(D層)などをコーティング法により形成する場合など)において、その塗膜形成の際に塗布ムラが形成されたり、均一に形成できたとしても、塗膜との密着性が低下することがある。本発明の光拡散フィルムにおいて、少なくとも一方の表面自由エネルギーをー35mN/mとすることで、フィルムに加工を施す際の形成性、および形成した層との密着性を付与することができる。
【0076】
本発明の光拡散フィルムにおいて、内部拡散層(ID層)の片側または両側に、積層された樹脂層(S層)が積層されている場合、内部拡散層(ID層)のマトリックス樹脂の融点Tm1と、樹脂層(S層)の融点Tm2の差(Tm1−Tm2)が10℃以上であることが好ましい。このような構成とすることによって、内部拡散層(ID層)を支持体として、S層に成形性を付与することが可能となり、後述するように、光拡散層(D層)や、バックコート層形状などを容易に形成することが可能となる。
【0077】
また、本発明の光拡散フィルムは、必要に応じて本発明の効果が失われない範囲で、周知の技術を用いて、別の機能を有する層(C層)を積層しても構わない。その例としては球状粒子を含んだ光拡散層、集光層、偏光分離層、反射防止層、光反射層、難燃層、クッション層、帯電防止層、紫外線吸収層、ハードコート層、接着層、ガスバリア層、等があげられる。
【0078】
本発明の光拡散フィルムは内部拡散層(ID層)として扁平状の拡散素子を有するという特徴から、単体でも高輝度かつ高ムラ消し性を有するものであるが、更にこの上に、表面に凹凸を有する光拡散層(D層)を形成することも好ましい形態である。この光拡散層の例としては、バインダー樹脂300に微粒子400を含んだ不規則な凹凸形態500を有するもの(図14)、金型による転写層等のように幾何学的な凹凸形態500を有するもの(図15)、バインダー樹脂300に微粒子400を含みかつ幾何学的な凹凸形態500を有するもの(図16)、およびこれらの組み合わせなどがあげられる。これらの様に、表面の凹凸を形成させることにより、内部拡散層(ID層)による光の屈折作用による拡散性と、光拡散層(D層)によるレンズ効果による集光性を併せ持たせることが可能となり、光拡散性を更に向上させたり、高輝度化することが可能となる。
【0079】
また、本発明の光拡散フィルムにおいて、表面の凹凸形態の断面形状としては、図17(a)のように略球状の形状を半面切り取ったような形状、図17(b)のように正弦波状などがあげられる。これらは図17(c)、(d)等のように、高さやピッチなどが異なるものが混在したり、図17(e)のように、全く不規則な形状であっても構わない。また、幾何学的な表面形態500の場合、これらのフィルム面内での形状は、図18(a)の様に略ドーム状のものを配列したものであったり、図18(b)の様に略ラグビーボール状のものを配列したものであったり、図18(c)、(d)のように一方向に延在するストライプ状に配列したものであったり、いずれも好ましく用いることができる。また、図18(b)ではラグビーボール状の長軸が一方向に配列したものを示したが、その配列方向がランダムであってもかまわない。
【0080】
本発明の光拡散フィルムに形成される光拡散層(D層)において、微粒子400を用いる場合は、その体積平均粒径Rは0.1μm以上30μm以下であることが好ましい。なお、微粒子400の断面形状が真円でない場合には同面積の真円に変換した値とする。より好ましくは0.2μm以上20μm以下、最も好ましくは0.3μm以上10μm以下である。微粒子400の体積平均粒径Rが0.1μmより小さい場合には、散乱、反射現象が波長に依存することがあり、その結果透過する光が着色したり、集積させて凹凸形状6を形成させても所望とする光拡散性を得ることができない場合があるため好ましくない。また微粒子400の体積平均粒径Rが30μmより大きくなると光拡散効率が悪くなるため好ましくない。本発明の光拡散フィルムにおいて、微粒子400の体積平均粒径Rを0.1μm以上30μm以下とすることによって、透過光の着色なく所望の光拡散性に制御するのが容易となる。また、その材質はポリメチルメタクリレート系、ポリスチレン系およびそれらの共重合体等の有機粒子やポリシリコン、シリカ、酸化チタニウム等の無機粒子および有機−無機の複合材料等を用いることができる。
【0081】
また、光拡散層(D層)の表面は凹凸を有しているのが好ましく、その凹凸の尺度である光沢度は50以下が好ましく、更に好ましくは40以下、特に好ましくは30以下である。ここでいう光沢度は、JIS Z8741(1999年版)に基づいて測定される60°光沢度である。光沢度を上記範囲とすることで、より光拡散性が高くなり、ムラ消し性を更に高めたり、輝度を高めたりすることができる。また、光拡散層(D層)の最も光沢度が大きくなる方向の光沢度Gmaxと、最も光沢度が小さくなる方向の光沢度Gminの比Gmax/Gminは2以下となるのが好ましい。より好ましくは1.5以下である。光沢度の比Gmax/Gminを上記範囲とすることで,フィルムの方向、観察角度に依存せずどの方向においても高いムラ消し性を有するフィルムとすることができる。光拡散層(D層)の厚みは特に限定されないが好ましくは1μm以上20μm以下、更に好ましくは1μm以上10μm以下である。また、光拡散層(D層)には、本発明の効果が損なわれない範囲内で、各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、充填剤、帯電防止剤および核剤などが配合されていてもよい。
【0082】
本発明の光拡散フィルムの透過率は、25%以上80%以下であるのが好ましい。より好ましくは、30%以上80%以下、更に好ましくは35%以上75%以下、特に好ましくは45%以上75%以下である。透過率が30%に満たないと光の透過性が低すぎて、輝度が低下する場合があり、また透過率が80%を越えると、面光源内に戻される光が少なすぎて、光の均一化効果が少なすぎて、輝度ムラの解消が困難となる場合がある。本発明の光拡散フィルムにおいて、透過率を25%以上80%以下とすることによって、高輝度かつ高ムラ消し性を両立することができる。
【0083】
本発明の光拡散フィルムのヘイズは、70%以上であることが好ましい。より好ましくは80%以上、更に好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上である。ヘイズが70%に満たないと、光拡散性が不足して輝度ムラの解消が困難となる場合がある。本発明の光拡散フィルムにおいて、ヘイズを70%以上とすることによって、良好なムラ消し性を発現させることができる。なお、上限は特に限定されるものではないが、100(%)が実質的な上限となる。
【0084】
次に、本発明の光拡散フィルムの製造方法について、その一例を説明するが、本発明は、かかる例のみに限定されるものではない。内部拡散層(ID層)を形成するために、押出機(主押出機)を有する製膜装置を用い、必要に応じて十分な真空乾燥を行った熱可塑性樹脂と拡散素子(D)の原料(無機粒子および/または架橋性樹脂粒子および/または未変性の非相溶性樹脂および/または変性熱可塑性樹脂)とを少なくとも含む組成物を混合したものを加熱された押出機に供給する。拡散素子(D)の原料の添加は、事前に均一に溶融混練して配合させて作製されたマスターチップを用いても、もしくは直接混練押出機に供給するなどしてもよいが、本発明においては、二軸押出機を用いて事前に溶融混練して配合されたマスターバッチを用いる、もしくは二軸押出機で溶融混練後直接製膜するのが、拡散素子(d1)の分散性の点から好ましい。また、特に、および拡散素子(d1)として非相溶性樹脂を用いた場合は、形成したフィルムが本発明の要件を満たすためには、二軸押出機を用いて混練中の平均分散径を予め0.5μm以上10μm以下の範囲に制御することがより好ましい。より好ましくは0.8μm以上8μm以下、更に好ましくは1μm以上5μm以下、特に好ましくは1μm以上3μm以下である。二軸押出機を用いない場合は、フィルム中の分散径にばらつき生じ、それにより製膜性が低下したり、製膜できたとしても、場所により光拡散性や、透過率に差が生じ、その結果面光源に搭載した場合に輝度ムラが生じる場合がある。拡散素子(D)として非相溶性樹脂を用いた場合、二軸延伸機での混練時の分散径を上述の範囲に制御することによって、均一な光拡散性と透過性を得ることができる。
【0085】
また、本発明の光拡散フィルムが積層フィルムである場合は、上記主押出機のほかに副押出機を有する複合製膜装置を用い、必要に応じて十分な真空乾燥を行った熱可塑性樹脂(例えば、樹脂層(S層用)原料樹脂や、光拡散層(D層)を共押出法により形成する場合はその原料など)のチップおよび各種添加物が混合された混合物を加熱された副押出機に供給して共押出し積層する。
【0086】
また、溶融押出に際してはメッシュ40μm以下のフィルターにて濾過した後に、Tダイ口金内に導入し押出成形により溶融シート(積層フィルムの場合は溶融積層シート)を得ることが好ましい。この溶融シートを表面温度10℃以上マトリックス樹脂のTg−15℃以下に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未配向(未延伸)フィルムを作製する。該未配向フィルムをTg℃以上Tg+50℃以下の温度に加熱されたロール群に導き、長手方向(すなわちフィルムの進行方向を指し、以下「縦方向」ということもある)にロール間延伸によって2倍以上4倍以下に延伸し、20℃以上マトリックス樹脂のTg℃以下の温度のロール群で冷却することにより一軸配向(一軸延伸)フィルムを得る(なお、かかる延伸工程を縦延伸工程ということもある)。
【0087】
続いて、この一軸配向フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、マトリックス樹脂のTg+5℃以上Tg+70℃以下の温度に加熱された雰囲気中で、長手方向に直角な方向(すなわちフィルム幅方向を指し、以下「横方向」ということもある)に2倍以上4倍以下に引っ張り延伸することにより二軸配向(二軸延伸)フィルムを得る(なお、かかる延伸工程を横延伸工程ということもある)。この一連の延伸工程により、拡散素子(D)用原料として扁平状の無機粒子および/または架橋性樹脂粒子を用いた場合は扁平状の粒子がフィルム面と平行に配列させることが可能となり拡散素子(d1)として形成させることができる。また、拡散素子(D)用原料として非相溶性樹脂を用いる場合は、マトリックスとなる樹脂と共延伸され、扁平形状となり、拡散素子(d1)として形成させることができる。
【0088】
長手方向と幅方向の延伸倍率は、それぞれ2.2倍以上4倍以下が好ましく、より好ましくはそれぞれ2.5倍以上3.5倍以下、更に好ましくはそれぞれ2.8倍以上3.3倍以下である。延伸倍率がそれぞれ4倍を越えると延伸工程においてフィルム破れを生じ易くなったり、製膜できたとしても内部拡散層(ID層)のマトリックスと拡散素子(D)の界面で剥離が生じ、気泡が形成される結果、光線透過率が低下する場合がある。また、延伸倍率がそれぞれ2.0倍に満たないと、フィルムの機械的強度が低下したり、拡散素子(d1)の形成が不十分となり、得られたフィルムが入射方向に対して垂直方向近傍に散乱する光λ3が多くなり、輝度が低下する場合がある。本発明の光拡散フィルムにおいて、延伸倍率を2.2倍以上4倍以下とすることによって、製膜性、フィルムの機械的強度を落とすことなく面光源に組み込んだ際に効率的に輝度ムラの解消と、高輝度化の両立が可能な光拡散フィルムとすることができる。
【0089】
また、必要に応じて、得られた二軸配向フィルムの結晶配向を完了させて、平面性と寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内にてTg+70℃以上、内部拡散層(ID層)のマトリックスとなる樹脂の融点Tm1−10℃以下(マトリックスとなる樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合150℃以上240℃以下)の温度で1秒以上30秒間以下の熱処理を行ない、均一に徐冷後、室温まで冷却し、その後必要に応じて、他素材との密着性をさらに高めるためにコロナ放電処理などを行ってもよい。上記熱処理工程中では、必要に応じて幅方向あるいは長手方向に0.1以上12%以下の弛緩処理を施してもよい。
【0090】
なお、一般に熱処理温度が高いほど、熱寸法安定性も高くなり、また、拡散素子(d1)の扁平度も高まる傾向にあるため、本発明のフィルムは製膜工程において高温(180℃以上)で熱処理されることが好ましい。より好ましくは、拡散素子(D)が熱可塑性樹脂からなる場合、その樹脂が結晶性樹脂の場合はその融点以上、非晶性樹脂の場合はガラス転移温度以上で熱処理することが好ましい。それにより、拡散素子(d1)の扁平度を高めるだけでなく、延伸時に僅かに発生した気泡を消滅させ、内部拡散層(ID層)の気泡の体積占有率を低減させることが可能となり、より高透過率とすることができる。
【0091】
また、本発明の光拡散フィルムが積層構造であり、その積層される樹脂層Sに成形性を発現させるためには、樹脂層(S層)を構成する樹脂の融点Tm2以上、内部拡散層(ID層)のマトリックスとなる樹脂の融点Tm1−10℃以下の範囲で熱処理することによって、熱処理工程中に樹脂層(S層)を溶融させ、延伸による配向を解消することができる結果、成形性を付与できるため好ましい。かかる二軸配向フィルムを巻き取ることにより、本発明の光拡散フィルムを得ることができる。また、二軸延伸を行なうときは逐次延伸あるいは同時二軸引っ張り延伸のいずれでもよいが、同時二軸引っ張り延伸法を用いた場合は、製造工程のフィルム破れを防止でき、かつ加熱ロールに粘着することによって生ずる転写欠点が発生しにくい。また、二軸延伸後に長手方向および/または幅方向に再延伸してもよい。また、本発明の光拡散フィルムには、本発明の効果を失わない範囲で、各種添加剤が添加されていてもよい。
【0092】
また、本発明の光拡散フィルムにおいて、光拡散層(D層)を形成する方法は、基材となるフィルムの表面に、例えば、粒子を含む塗剤をフィルム表面に塗布する方法(塗布法)、基材となるフィルムに光拡散層の原料を押出機に投入して溶融押出して口金から押出しながらラミネートする方法(共押出法)、光拡散層を単膜で作製し、加熱されたロール群などにより基材1と熱圧着する方法(熱ラミネート法)、接着剤を介して基材となるフィルムと張り合わせる方法(接着法)、サンドブラスト法、熱インプリント法や光インプリント法により表面に凹凸形状を設ける方法、およびこれらを組み合わせた方法などが挙げられる。また、光拡散層(D層)が異方形状を有する場合は、上述の熱インプリント法や光インプリント法の他に、棒状粒子を含む塗剤をフィルム表面に粒子の方向を制御しながら塗布する方法、ヘアライン加工(フィルム表面をスクラッチする加工)により表面に凹凸を設ける方法、なども挙げられる。サンドブラスト法とはフィルムの表面に細かい金剛砂などを吹き付けて、細かいキズを付けることにより光拡散性を発現させる方法である。また、ヘアライン加工と基材表面をブラシなどで擦って 線状の傷を形成させるものである。
【0093】
塗布法に用いられる塗布方法においては、マルチロールコーティング、ブレードコーティング、ワイヤーバーコーティング、スリットダイコーティング、グラビアコーティング、ナイフコーティング、リバースロールコーティング、スプレコーティング、オフセットグラビアコーティングおよびスピンコーティング等の方法が挙げられる。また、熱インプリント法とは、微細な表面形状が施された金型と成形可能な樹脂層(S層)を積層したフィルムを加熱し、金型をフィルムに押し付け、冷却後、離型し、金型表面に施された形状をフィルム表面へ転写させる手法である。ここで、熱インプリントに用いられる樹脂は熱可塑性樹脂であっても、熱硬化性樹脂であってもよいが、透明性の高い樹脂が好ましい。一方、光インプリント法とは、フィルム上に光硬化性樹脂を塗布した後、光硬化性樹脂層に微細な表面形状が施された金型を押し付けた状態、又は金型上に光硬化性樹脂を塗布した後、フィルムを重ね合わせ状態で、金型側又はフィルム側から紫外線等の光線を照射し、光硬化性樹脂を硬化させた後離型し、金型表面に施された形状を樹脂へ転写させる手法である。加熱・加圧を用いて転写する場合、まず、成形性を有する樹脂層(S層)を積層した本発明のフィルムと、金型を樹脂層(S層)のガラス転移温度Tg2以上融点Tm未満の温度範囲内に加熱する。次いで、本発明のフィルムと金型を接近させ、そのまま所定圧力でプレス、所定時間保持する。次にプレスした状態を保持したまま降温し、最後にプレス圧力を解放して金型からシートを離型する。
【0094】
加熱・加圧を用いて金型賦形する場合において、加熱温度およびプレス温度(T1)はTg2以上(Tg2+60℃)以下(ただし、内部拡散層(ID層)のマトリックスとなる樹脂の融点Tm1以下)の範囲内であることが好ましい。加熱温度およびプレス温度(T1)がTg2に満たないと、表面の樹脂層(S層)が十分に軟化していないため、金型をプレスしたときの変形が起こりにくくなり、成形に必要な圧力が非常に高くなる。またTg2+60℃を上回ると、加熱温度、およびプレス温度T1が高くエネルギー的に非効率であり、また、金型とシートの加熱/冷却時の体積変動量の差が大きくなりすぎて、基材が金型に噛み込んで離型できなくなったり、また離型できたとしても転写されるパターンの精度が低下したり、部分的にパターンが欠けてしまう等の理由により好ましくない。加熱温度およびプレス温度(T1)をTg2以上(Tg2+60℃)以下とすることで、良好な成形性と、離型性を両立することができる。
【0095】
また、加熱・加圧を用いて金型賦形する場合において、プレス圧力は、プレス温度T1での表面の樹脂層(S層)の弾性率の値等により適宜調整されるが、好ましくは0.5MPa以上50MPa以下、より好ましくは1MPa以上30MPa以下である。プレス圧力が0.5MPaに満たないと金型内への樹脂の充填が不十分となりパターン精度が低下する。また50MPaを超えると、必要とする荷重が大きくなり、金型への負荷が大きく、くり返し使用耐久性が低下するため好ましくない。プレス圧力を0.5MPa以上50MPa以下とすることで、良好な転写性を得ることができる。
【0096】
また、加熱・加圧を用いて金型賦形する場合において、プレス圧力保持時間は、プレス温度T1での樹脂層(S層)の弾性率の値等と成形圧力により適宜調整されるが、平板プレスの場合、10秒以上10分以下が好ましい。プレス圧力保持時間が10秒に満たないと金型内への樹脂の充填が不十分となりパターン精度が低下したり、面内均一性が低下する。また10分を超えると、樹脂の熱分解による劣化などが起こり成形品の機械的強度が低下する可能性があるため好ましくない。プレス圧力保持時間を10秒以上10分以下とすることで良好な転写性と、成形品の機械的強度の両立ができる。ただし、ロールtoロール成形の場合はプレス時間が10秒以下であっても構わない。
【0097】
また、加熱・加圧を用いて金型賦形する場合において、プレス圧力開放温度T2は、(Tg2−10℃)以上(Tg2+30℃)以下の温度範囲内で、プレス温度T1より低いのが好ましく、より好ましくは(Tg2−10℃)以上(Tg2+30℃)以下である。プレス圧力開放温度T2がTg2−10℃に満たないと、プレス時の樹脂の変形が残留応力として残り、離型時にパターンが崩壊したり、離型できたとしても成形品の熱的な安定性が低下するため好ましくない。またこTg2+30℃を上回ると、圧力解放時の樹脂の流動性が高いため、パターンが変形したりして転写精度が低下したりするため好ましくない。プレス圧力開放温度T2を(Tg2−10℃)以上(Tg2+30℃)以下とすることによって、良好な転写性と離型性とを両立することができる。また、加熱・加圧を用いて金型賦形する場合は、離型温度T3は20℃以上T2℃以下の温度範囲内であることが好ましく、より好ましくは20℃以上Tg2℃以下の温度範囲である。離型温度がT2℃を上回ると、離型時の樹脂の流動性が高かったり、表面が軟化して粘着性を有していたりして、離型時にパターンが変形して精度が低下することがあるため好ましくない。離型時の温度を20℃以上T2℃以下とすることによって、パターン精度よく離型することができる。
【0098】
また、電磁波照射を用いて転写する場合、まず、成形性を有する樹脂層(S層)を積層した本発明のフィルムと、転写すべきパターンと反転した凹凸を有する金型を、を接近させ、そのまま所定圧力でプレスした後、金型側もしくは本発明のフィルム側のいずれかから電磁波を照射して樹脂を硬化させる。次にプレス圧力を解放して金型からフィルムを離型する。電磁波照射を用いて転写する場合において、プレス圧力は、賦形温度での賦形される材料の粘度に依存するが、好ましくは0.05MPa以上10MPa以下、より好ましくは0.1MPa以上5MPa以下である。プレス圧力が0.05MPaに満たないと金型内への樹脂の充填が不十分となりパターン精度が低下する。また10MPaを超えると、必要とする荷重が大きくなり、金型への負荷が大きく、くり返し使用耐久性が低下するため好ましくない。プレス圧力をこの範囲とすることで、良好な転写性を得ることができる。電磁波照射を用いて転写する場合において、電磁波の照射量は、積算エネルギー照射する波長での吸光率などに依存するが、10mJ/cm2以上5000mJ/cm2以下である。電磁波の照射量が10mJ/cm2に満たないと樹脂の硬化が不十分となりパターン精度が低下したり、離型時に強度が不足して、離型応力により破断したりするため、成型面内均一性が低下する。また5000mJ/cm2を超えると、硬化しすぎて、硬化収縮のためカールが起こったりする可能性があるため好ましくない。電磁波の照射量をこの範囲とすることで良好な転写性と、成形品の機械的強度の両立ができる。電磁波照射を用いて転写する場合、一連の工程中の温度は特に制限はないが、プレス温度としては10℃以上200℃以下、より好ましくは10℃以上150℃以下、最も好ましくは10℃以上100℃以下である。プレス温度が200℃より高いと、樹脂の流動性が高くなりすぎて、プレス前に流れてしまったり、プレス前に樹脂が硬化してしまい、成形が不十分となるため好ましくない。また、離型温度T3は硬化物のガラス転移温度Tg3以下がよく、より好ましくはTg3−10℃以下、最も好ましくはTg3−20℃以下である。離型温度T3がTg3℃を上回ると、離型時の樹脂の流動性が高かったり、表面が軟化して粘着性を有していたりして、離型時にパターンが変形して精度が低下することがあるため好ましくない。離型時の温度をTg3以下とすることによって、パターン精度よく離型することができる。電磁波照射を用いて転写する場合において、金型賦形して得たフィルムに熱処理を施すことによって、さらに、硬化度を向上することができる。その方法としては、前述の金型のプレス時に金型もしくはフィルムの少なくとも一方加熱しておく方法、電磁波照射による硬化後離型前に金型もしくはフィルムの少なくとも一方加熱する方法、パターン形成工程後に熱処理を行う方法、いずれも好適に用いられる。そのうち、金型プレス時の金型温度T1もしくは積層体1の温度T2の少なくとも一方を加熱しておく方法は、工程数を減らすことができるため好適に行われる。また、硬化度をさらに高めるために、これらを組み合わせて行っても構わない。
【0099】
転写方法については上述の方法があげられるが平版をプレスする方法(平版プレス法)の他に、表面に凹凸を形成したロール状の金型を用いて、ロール状シートに成形し、ロール状の成形体を得るロールtoロールの連続成形であってもよい。ロールtoロール連続成形の場合、生産性の点で平版プレス法より優れている。
【0100】
本発明の光拡散フィルムは上記構成、製法からなり、このフィルムを用いることで、図4の複数の光学フィルム群40の何れの部分に用いられても高いムラ消し性を発現する。そのうち、高輝度で、高いムラ消し効果が発現するという点で、図4の拡散板の直上の光学フィルム41として用いるのが後方散乱光を有効に利用でき高輝度とすることができるという点でより好ましい。
【0101】
本発明の光拡散フィルムは扁平状の拡散素子を有するという特徴から、単体でも高輝度かつ高ムラ消し性を有するものであるが、更にこの上に、表面に凹凸を有する光拡散層(D層)を形成することも好ましい形態である。光拡散層(D層)を設けた場合は、面光源に搭載する際には、光拡散層(D層)が形成されない側の面が拡散板30に対向するように設置するのが好ましい。このような構成にすることによって、内部拡散層(ID層)にて拡散した光の出射方向を、光拡散層(D層)にて、制御することが可能となる。その結果、より高輝度かつ均一性い優れた面光源とすることができる。なお両側表面に光拡散層(D層)を形成した場合は、どちらの面を拡散板30に対向させて設置しても良い。
【0102】
本発明の光拡散フィルムを用いた面光源は、上記フィルム上に、本発明の光拡散フィルムの効果が失われない範囲内で、さらにその他別の機能を有する光学フィルムを搭載することが好ましい。別の光学フィルムを用いることで、本発明の光拡散フィルムを用いてなる面光源の輝度や、輝度の均一性をさらに高めることが可能となる。別の光学フィルムの設置場所は、拡散板30と本発明の光拡散フィルム間(すなわち図4において、本発明の光拡散フィルムを42、別のフィルムを41とする)であっても良いし、本発明の光拡散フィルム上にその他フィルムを重ねても良い(すなわち、図4において、本発明の光拡散フィルムを41として、別のフィルムを42,43・・・と重ねていく)。この結果、面光源としての品位を高めることができる。別の光学フィルムの例としては、プリズムシート、等方拡散性を有する拡散シート、異方拡散性シート、偏光分離フィルムなどが挙げられる。
【0103】
本発明の光拡散フィルムを用いた面光源は、光利用効率に優れ高輝度でかつ広視野角視野の点で従来の直下型面光源と比べて優れており、TV、モニター他、各種表示媒体などの、液晶表示素子を背面から照射する用途に好適に用いることができる。
【0104】
(測定方法)
A.断面観察
各実施例・比較例で作製したマスターバッチ、未延伸フィルム、最終的なフィルムについて、また製品フィルムについて、ミクロトームを用いて断面を切り出し、白金−パラジウムを蒸着した後、日本電子(株)製電界放射走査型電子顕微鏡“JSM−6700F”で3000〜5000倍の写真を撮影した。より詳細は下記の通りであり、得られた画像から、マスターバッチの体積平均粒径、未延伸フィルムの体積平均粒径,扁平度、フィルム厚み方向の拡散素子数、体積平均粒径、拡散素子(D)の体積占有率、気泡の体積占有率を求めた。
A−1.扁平度の求め方
(A1)ミクロトームを用いて、フィルム断面を厚み方向に潰すことなく、薄膜切片状の観察サンプルを作製する。
(A2)得られた切片を、透過型電子顕微鏡(TEM)(日立製作所(株)製透過型電子顕微鏡“H−7100FA”)を用いて5000倍に拡大観察した画像を得る。観察場所は内部拡散層(ID層)内において無作為に定めるものとする。また、該画像において拡散素子が判別し難い場合は、適宜オスミニウム酸、酸化ルテニウムなどを用いて事前にフィルムを染色して行う。なお、フィルムの厚み方向と画像の上下方向は一致させるものとする。また、5000倍にて拡散素子(D)が入りきらない場合は、観察位置をずらした画像を得て、それを隙間無くつなぎ合わせて、観察画像とする。
(A3)画像中の内部拡散層(ID層)内の一つの拡散素子(D)について短軸長さと長軸長さを求める。以下、図1〜3を用いて説明する。図1〜3において、拡散素子1の長軸長さとは、フィルム面方向に平行な方向における拡散素子の一端(フィルム面方向と平行な方向における拡散素子の最左端)2から、もう一方の一端(フィルム面方向と平行な方向における拡散素子の最右端)3までを、線分4で結んだときの線分4の長さである。ここで、線分4はフィルム面方向と必ずしも平行になる必要はない(図2、図3を参照)。また、短軸長さとは線分4の中点5を通り、かつ線分4と垂直な線上にある拡散素子の一端(上端)6からもう一方の一端(下端)7までを線分8で結んだときの線分8の長さである。ここで、線分8は中点5を必ずしも含む必要はない(図3参照)。
(A4)長軸長さを短軸長さで除した値(長軸長さ/短軸長さ)を当該拡散素子(D)拡散素子における扁平度とする。
(A5)画像中の内部拡散層(ID層)内の他の拡散素子についても上記(A1)〜(A4)の方法にてそれぞれ扁平度を求めて、内部拡散層(ID層)に含まれる拡散素子(D)の全数に対する拡散素子(d1)数の割合を求める。
(A6)フィルム切断場所を無作為に変更して(A1)から(A5)と同様の手順を計100回行い、その平均値でもって内部拡散層(ID層)に含まれる拡散素子(D)の全数に対する拡散素子(d1)の数の割合とする。
A−2.フィルム厚み方向の拡散素子数の求め方
(B1)ミクロトームを用いて、フィルム断面を厚み方向に潰すことなく、薄膜切片状の観察サンプルを作製する。
(B2)得られた切片を、透過型電子顕微鏡(TEM)(日立製作所(株)製透過型電子顕微鏡“H−7100FA”)を用いて2000倍に拡大観察した画像を得る。観察場所は内部拡散層(ID層)内において無作為に定めるものとする。また、該画像において拡散素子(D)が判別し難い場合は、適宜オスミニウム酸、酸化ルテニウムなどを用いて事前にフィルムを染色して行う。なお、フィルムの厚み方向と画像の上下方向は一致させるものとする。また、2000倍にてフィルム厚み全体が入らない場合は、厚み方向に観察位置をずらした画像を得て、それを隙間無くつなぎ合わせて、フィルム厚み全体が入る観察画像とする。
(B3)画像中の任意の場所にてフィルムの面方向と垂直な線(フィルム厚み方向の線)をフィルム厚み全体に引き、その線と交差する拡散素子(D)の数を数える。
(B4)画像中の他の10ヶ所について、上記(B3)と同様にフィルム厚み方向の拡散素子(D)の数を数え、その平均値でもって、画像中のフィルム厚み方向の拡散素子数とする
(B5)フィルム切断場所を無作為に変更して(B1)から(B4)と同様の手順を計20回行い、その平均値でもってフィルム厚み方向の拡散素子数とする。
A−3.面内長軸長さ、面内単軸長さ、面内長軸長さと面内短軸長さの比(面内長軸長さ/面内短軸長さ)の求め方
(C1)ミクロトームを用いて、フィルム断面を面方向に潰すことなく、フィルム面方向に対して平行に切断する。
(C2)次いで切断した断面を、電子顕微鏡を用いて観察し、5000倍に拡大観察した画像を得る。なお、観察場所は内部拡散層(ID層)内において無作為に定めるものとするが、画像の上下方向がフィルムの長手方向と、画像の左右方向がフィルム幅方向とそれぞれ平行になるようにするものとする。また、該画像において拡散素子(D)の拡散素子が判別し難い場合は、適宜オスミニウム酸などを用いて事前にフィルムを染色しても良い。
(C3)画像中の内部拡散層(ID層)内の一つの拡散素子(D)について面内短軸長さと面内長軸長さを求める。
以下、図11〜13を用いて説明する。図11〜13において、拡散素子(D)の面内長軸長さとは、フィルム長手方向に平行な方向における拡散素子の一端(フィルム面方向と平行な方向における拡散素子の最左端)2’から、もう一方の一端(フィルム長手方向と平行な方向における拡散素子の最右端)3’までを、線分4’で結んだときの線分4’の長さである。ここで、線分4’はフィルム長手方向と必ずしも平行になる必要はない(図12、図13を参照)。また、面内短軸長さとは線分4’の中点5’を通り、かつ線分4’と垂直な線上にある拡散素子(D)の一端(上端)6’からもう一方の一端(下端)7’までを線分8’で結んだときの線分8の長さである。ここで、線分8’は中点5’を必ずしも含む必要はない(図13参照)。
(C4)面内長軸長さを面内短軸長さで除した値(面内長軸長さ/面内短軸長さ)を当該拡散素子における面内長軸長さと面内短軸長さの比(面内長軸長さ/面内短軸長さ)とする。
(C5)画像中の内部拡散層(ID層)内の他の拡散素子(D)についても同様に面内長軸長さと面内短軸長さの比(面内長軸長さ/面内短軸長さ)を求める。但し、計測対象とするのは、拡散素子(D)の全体が画像内に収まっているものに限る。
(C6)フィルム切断場所を無作為に変更して(C1)〜(C5)と同様の手順を計100回行う。
(C7)以上の手順で得られた全拡散素子の面内長軸長さと面内短軸長さの比(面内長軸長さ/面内短軸方向の長さ)の数値を用いて、それらの相加平均値を求め、当該相加平均値を当該内部拡散層(ID層)内における拡散素子(D)の面内長軸長さと面内短軸長さの比(面内長軸長さ/面内短軸長さ)とする。また、同様に、以上の手順で得られた拡散素子(D)の面内短軸長さ、面内長軸長さの数値の相加平均値をそれぞれ求め、当該相加平均値をそれぞれ平均面内短軸長さ、平均面内長軸長さとする。
A−4.拡散素子(D)の体積占有率の求め方
(D1)前記(A2)で得られる画像中における内部拡散層(ID層)の面積を計測し、これをAとする。
(D2)画像中の内部拡散層(ID)内に存在する全ての拡散素子(D)の面積を計測し、総面積をBとする。ここで、計測対象とするのは、拡散素子(D)の全体が画像内に収まっているものに限られず、画像内に一部のみが現われている拡散素子(D)も含むものとする。
(D3)BをAで除し(B/A)、それに100を乗じることにより、体積占有率(%)を算出する。
(D4)前記(A6)より得られる計100枚の画像についても同様の計測・計算を行ない、各々の画像で求められた体積占有率(%)の相加平均値を求め、当該相加平均値を当該内部拡散層(ID層)における拡散素子(D)の体積占有率(%)とする。
A−5.気泡の体積占有率の求め方
(E1)前記(A2)で得られる画像中における内部拡散層(ID層)の面積を計測し、これをAとする。
(E2)画像中の内部拡散層(ID層)内に存在する全ての気泡の面積を計測し、総面積をBとする。ここで、計測対象とするのは、気泡の全体が画像内に収まっているものに限られず、画像内に一部のみが現われている気泡も含むものとする。
(E3)BをAで除し(B/A)、それに100を乗じることにより、内部拡散層(ID層)内における気泡の体積占有率(%)を算出する。
(E4)前記(A6)より得られる計100枚の画像についても同様の計測・計算を行ない、各々の画像で求められた気泡の体積占有率(%)の相加平均値を求め、当該相加平均値を内部拡散層(ID層)における気泡の体積占有率とする。
A−6.マスターバッチの体積平均粒径、未延伸フィルムの体積平均粒径
(G1)ミクロトームを用いて、TD方向(横方向)と平行方向の断面を面方向に潰すことなく、フィルム面方向に対して平行に切断する。
(G2)該画像中の断面内に観察される各樹脂粒子について、その断面積Sを求めた、下記式(1)にて求められる粒径dを求める
d=2×(S/π)1/2・・・(1)
(ただしπは円周率)
(G3)また、下記式(4)においてDvを求めた。
Dv=Σ[4/3π×(d/2)3×d]/Σ[4/3π×(d/2)3] ・・・(4)
(ただしπは円周率)
(G4)上記G1)〜G2)を、10箇所場所を変えて実施し、その平均値でもって体積平均粒径Dvとする。なお、観察点1箇所に付き、2500μm2以上の領域にて上記評価を実施する。
【0105】
B.ガラス転移温度、融点、結晶化エンタルピー、結晶融解熱量
JIS K7122(1999)に準じて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置“ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション“SSC/5200”を用いて測定を実施し、下記(F1)〜(F4)の手順にて求めた。
(F1)サンプルパンに封入したサンプルを、昇温速度20℃/minで樹脂を25℃から300℃まで20℃/minの昇温速度で加熱する(1stRUN)。
(F2)その状態で5分間保持後、次いで25℃以下となるよう急冷する。
(F3)再度室温から20℃/minの昇温速度で300℃まで昇温を行う(2ndRUN)。
(F4)得られた2ndRUNの示差走査熱量測定チャートにおいて、ガラス転移の階段状の変化部分において、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線とガラス転移の階段状の変化部分の曲線とが交わる点でもって、ガラス転移温度Tgとする。また、2ndRunの結晶融解ピークにおけるピークトップの温度でもって樹脂の融点とする。また、結晶化に伴う発熱ピークの面積を結晶化エンタルピーΔHcc、融解に伴う吸熱ピークの面積でもって結晶融解熱量ΔHmとする
C.屈折率
マトリックス樹脂の屈折率Nmと拡散素子(d1)の屈折率Ndは、それぞれ単膜のシートを形成して、ナトリウムD線(波長589nm)を光源として、アッベ屈折計を用いて測定した。以下、単膜のシートの作製方法の一例を示す。
【0106】
フィルムをヘキサフルオロイソプロパノールに溶解させ、マトリックス樹脂を溶解させる。次いで、溶液に溶解しなかった拡散素子(d1)を分離し、それぞれ溶媒を乾燥させ、それぞれマトリックス樹脂、拡散素子(d1)を得る。これを公知の方法でシート状に成形して単膜シートを作製し、そのシートの屈折率を測定する。
【0107】
D.光線透過率およびヘイズ
ヘイズメーターNDH−5000(日本電色工業(株)製)を用いて、フィルム厚み方向の全光線透過率およびヘイズを測定し、それぞれ当該フィルムの光線透過率、ヘイズとした。なお、測定は、それぞれの面から光を入射させた場合ついて、フィルム中の任意の10ヶ所について実施し、それぞれの透過率の平均値のうちより高い方の値でもって透過率とし、そのときのヘイズの平均値でもってヘイズとした。
【0108】
E.塗布外観(塗布により光拡散層を形成した場合の光拡散層の外観)
光拡散層を形成したフィルムについて、蛍光灯下で反射光の肉眼観察を行い、塗布はじき部分を確認し、その部分を油性マジックで塗りつぶした。次に、塗りつぶし部分の面積を求め、フィルムの全面積に対する塗りつぶし部分の面積割合(%)を求めた。
得られた部分の面積割合が
1%以下の場合をS、
1%を越えて1.5%未満の場合をA、
1.5%を越えて2.0%未満の場合をB、
2%以上の場合をCとした。
SまたはAまたはBが良好であり、Sが最も優れている。
【0109】
F.成形性(金型成形で光拡散層を形成した場合の光拡散層の外観)
金型、光拡散層(D層)を形成したフィルムの断面を切り出し、必要に応じて白金―パラジウムを蒸着した後、日本電子(株)製電界放射走査型電子顕微鏡”JSM−6700F”を用いて、300〜5000倍で写真を撮影し、断面観察を行ない、同倍率の画像でもって、金型凹部の深さH、光拡散フィルムの凸部の高さH’を求めそれぞれ、10カ所の平均値でもって、それぞれ金型凹部の深さH、光拡散フィルムの凸部の高さH’とした。
【0110】
成形性は次のように判定した。光拡散フィルムの光拡散層(D層)の凸部高さH’と金型凹部の深さHとの比H’/Hが
0.9以上の場合をA、
0.8%以上0.9%未満の場合をB、
0.8%未満の場合をCとした。
AまたはBが良好であり、Aが最も優れている。
【0111】
G.輝度、表示品位
20インチサイズの直下型面光源(面光源は、筐体、CCFL、拡散板および反射板からなる。また、CCFLの本数は16本であり、CCFLの直径は3mmであり、CCFLの間隔は2.5cmであり、拡散板とCCFLの距離は1cmである。また、反射板は300μm厚のE6ZV(東レ(株)製)であり、拡散板はRM401(住友化学(株)製)である。)の拡散板上側に実施例・比較例で作製したフィルムを置き、その上に光拡散フィルムTDF187(東レセハン製)を2枚重ねた(構成A)。次いで、12Vの電圧を印加してCCFLを点灯させ、面光源を立ち上げた。50分後、EYESCALE−3((株)アイ・システム)を用い、付属のCCDカメラを面光源表面から90cmの地点に面光源面に対して正面となるように設置し、輝度(cd/m2)を測定した。次いで、面光源最表面の中心部を中心に、CCFLの長手方向とは垂直方向にCCDカメラを45°傾け、そのときの輝度L45(cd/m2)を測定した。なお、輝度は、面光源中央部を通り、CCFLの長手方向とは垂直の方向の線上において、8本のCCFLの位置(計8点)での輝度、ならびに、それら8本のCCFLの中点の位置(計7点)での輝度の値を抽出し、CCFLの位置での輝度の平均値をLmax、計CCFLの中点の位置での輝度の平均値をLminとした。また45°方向の輝度についても同様の方法で、CCFLの位置での輝度の平均値をL45max、計CCFLの中点の位置での輝度の平均値をL45minとした。得られたLmax,Lmin、L45max,L45min、を用いて、下記式(1)により平均輝度Lave、下記式(2)により正面方向の輝度ムラΔLを、下記式(3)により輝度ムラΔL45求めた。
【0112】
平均輝度Lave=(Lmax+Lmin)/2 (1)
正面方向輝度ムラΔL=Lmax―Lmin (2)
45°方向輝度ムラΔL45=L45max−L45min (3)
なお、光拡散層を形成した場合は、光拡散層が形成されていない側の面を拡散板と対向させた場合(構成I)と光拡散層が形成されている側の面を対向させた場合(構成II)の場合について、それぞれ測定を実施した。次いで、本発明のフィルムと拡散フィルム1枚の順番を入れ替えて(構成B)、同様に平均輝度Lave、正面方向の輝度ムラΔL、45°方向の輝度ムラΔL45を求めた。
【0113】
平均輝度Laveが、
8600cd/m2以上の場合 S、
8400cd/m2以上8600cd/m2未満の場合 A、
8200cd/m2以上8400cd/m2未満の場合 B、
8000cd/m2以上8200cd/m2以下の場合 C、
8000cd/m2以下の場合 D、
とした。
SまたはAまたはBまたはCが良好であり、Sが最も優れている。
【0114】
また、正面方向の輝度ムラΔLが、
100cd/m2以下の場合 S、
100cd/m2より大きく125cd/m2以下の場合 A、
125cd/m2より大きく150cd/m2以下の場合 B、
150cd/m2より大きい場合 C、
とした。
SまたはAまたはBが良好であり、Sが最も優れている。
また、45°方向の輝度ムラΔL45が
100cd/m2以下の場合 S、
100cd/m2より大きく125cd/m2以下の場合 A、
125cd/m2より大きく150cd/m2以下の場合 B、
150cd/m2より大きい場合 C、
とした。
SまたはAまたはBが良好であり、Sが最も優れている。
また表示品位は画面を肉眼で観察した場合に
モアレが確認されない A
モアレが確認される B
とした。Aが良好である。
【実施例】
【0115】
以下、実施例等により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0116】
(原料)
・ポリエステル樹脂(A)
A−1(PET):ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を、ジオール成分としてエチレングリコールを用い、三酸化アンチモン(重合触媒)を得られるポリエステルペレットに対してアンチモン原子換算で300ppmとなるように添加し、重縮合反応を行い、ガラス転移温度80℃、融点255℃のポリエチレンテレフタレート(PET)ペレットを得た。
A−2(ナフタレンジカルボン酸共重合PET):ジカルボン酸成分としてテレフタル酸85mol%,2,6−ナフタレンジカルボン酸15mol%、ジオール成分としてエチレングリコールを用い、三酸化アンチモン(重合触媒)を得られるポリエステルペレットに対してアンチモン原子換算で300ppmとなるように添加し、重縮合反応を行い、ガラス転移温度95℃、融点225℃のナフタレン共重合PETペレットを得た。
【0117】
・未変性非相溶性樹脂
b1−1(PMP):TPX“DX820”(三井化学(株)製、MFR180g/10min、80℃動的貯蔵弾性率140MPa、融点235℃)を用いた。
b1−2(PMP): TPX“RT−18”(三井化学(株)製、MFR26g/10min、80℃動的貯蔵弾性率140MPa、融点235℃)を用いた。
b1−3(PMP):TPX“DX310”(三井化学(株)製、MFR100g/10min、
80℃動的貯蔵弾性率80MPa、融点225℃)を用いた。
b1−4(柔軟性PMP):TPX“T3725”(三井化学(株)製、(三井化学(株)製、MFR25g/10min、80℃動的貯蔵弾性率20MPa、融点225℃)を用いた。
b1−5(柔軟性PMP):TPX“T3733”(三井化学(株)製、(三井化学(株)製、MFR150g/10min、80℃動的貯蔵弾性率20MPa、融点225℃)を用いた。
b1−6(ポリプロピレン(ホモ)):プライムポリプロ“F−704NP”((株)プライムポリマー製、MFR7g/10min、80℃動的貯蔵弾性率200MPa、融点165℃)を用いた。
b1−7(ポリエチレン):ノバティック“HF560”(日本ポリエチレン(株)製、MFR7g/10min、80℃動的貯蔵弾性率180MPa、融点124℃)を用いた。
を用いた
b1−8(ポリスチレン):GPPS“G430(日本ポリスチレン(株)製、MFR7g/10min、80℃動的貯蔵弾性率300MPa)を用いた。
【0118】
・変性非相溶性樹脂
b2−1(無水マレイン酸変性PMP):TPX“MM−101B”( 三井化学(株)製、酸価6KOHmg/g)を用いた。
b2−2(無水マレイン酸変性ポリプロピレン):ユーメックス“1001”(三洋化成工業(株)製、酸価26KOHmg/g)を用いた。
b2−3(無水マレイン酸変性ポリエチレン):ユーメックス“2000”アドマー(三井化学(株)製、酸価30)を用いた。
b2−4(エポキシ変性ポリスチレン):“エポフレンド”AT501(ダイセル化学工業(株)製、オキシラン酸素濃度1.5wt%)を用いた。
【0119】
(実施例1)
表1に示した原料の混合物を真空ベント付き二軸押出機に供給し、250℃の温度で溶融混練しダイスよりガット状に60℃の水中に押し出して急冷し、ストランドを形成した。ついで、これを裁断し、PET中にPMPを分散したマスターチップを得た。得られたチップの断面を観察したところ、PMPが体積平均粒径2.0μmで分散していることが分かった。ついで、得られたマスターバッチと、PET(A−1)とを表2に示した組成となるように混合したものを、180℃の温度で2時間真空乾燥した後に単軸押出機に供給し、280℃の温度で溶融押出後30μmカットフィルターにより濾過を行った後に、Tダイ口金に導入した。また、主押出機とは別に副押出機を用い、この副押出機に、PET(融点TA:255℃)ペレットを供給した。次いで主押出機に供給した成分層の両側表層に副押出機に供給した成分層が厚み比率で、副押出機の成分層:主押出機の成分層:副押出機の成分層=1:8:1、すなわち、ID層厚み/ID層以外の層(S層)の厚みの和=4/1となるよう合流させ、Tダイ口金内より、溶融3層積層共押出しを行い、積層シートとし、表面温度20℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて未配向(未延伸)積層シートを得た。得られた単層フィルムの断面を観察したところPMPが体積平均粒径2.5μmで分散していることが分かった。
【0120】
続いて、該未延伸単層フィルムを85℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、90℃の温度の加熱ロールを用いて長手方向(縦方向)に表2に記載の倍率でロール間延伸を行い、25℃の温度のロール群で冷却して一軸配向(一軸延伸)フィルムを得た。得られた一軸配向(一軸延伸)フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の95℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に105℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な方向(幅方向)に表2に記載の倍率で引っ張り延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで240℃にて20秒間の熱処理を施し、さらに200℃の温度で4%幅方向に弛緩処理を行った後、更に140℃の温度で1%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、均一に徐冷後、巻き取ることにより、フィルム全体の厚みが100μm、主押出機の成分層(すなわちID層)の厚みが80μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの断面を観察した結果を表2に示す。フィルム内部(すなわち、ID層内部)には拡散素子(D)として扁平の拡散素子(d1)を多数含有していた。また、このポリエステルフィルムの特性、および輝度測定した結果を表2に示す。輝度に優れ、特に、拡散板直上に本発明のフィルムを設置した場合に最も高輝度かつ均斉度、表示品位に優れた面光源となることが分かった。また、モアレは確認されたが、一般的なバックコート層を形成すれば良好な表示品位を得ることができた。
【0121】
(実施例2〜27)
表1に示した原料の混合物を用いること、表2に示した組成、条件、厚みとしたこと以外は実施例1と同様の方法で、2〜21、25〜26はフィルム全体の厚みが100μm、主押出機の成分層(すなわちID層)の厚みが80μmの二軸配向ポリエステルフィルム、実施例22はフィルム全体の厚みが188μm、主押出機の成分層(すなわちID層)の厚みが150μmの二軸配向ポリエステルフィルム、実施例23はフィルム全体の厚みが62.5μm、主押出機の成分層(すなわちID層)の厚みが50μmの二軸配向ポリエステルフィルム、実施例24はフィルム全体の厚みが31.3μm、主押出機の成分層(すなわちID層)の厚みが25μmの二軸延伸フィルムを得た。マスターバッチ、未延伸フィルム、二軸延伸フィルムの断面を観察した結果を表2に示す。二軸延伸フィルム内部(すなわち、ID層内部)には拡散素子(D)として扁平の拡散素子(d1)を多数含有していた。また、このポリエステルフィルムの特性、および輝度測定した結果を表2に示す。輝度に優れ、特に、拡散板直上に本発明のフィルムを設置した場合に最も高輝度かつ均斉度、表示品位に優れた面光源となることが分かった。また、モアレは確認されたが、一般的なバックコート層を形成すれば良好な表示品位を得ることができた。
【0122】
(実施例28)
マスターチップを作製せず、140℃8時間乾燥させた表2に示した組成の混合物を直接単軸押出機に導入する以外は実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。未延伸フィルム、二軸延伸フィルムの断面を観察した結果を表2に示す。二軸延伸フィルム内部(すなわち、ID層内部)には拡散素子(D)として扁平の拡散素子(d1)を多数含有していた。また、このポリエステルフィルムの特性、および輝度測定した結果を表2に示す。実施例1には劣るものの輝度に優れ、特に、拡散板直上に本発明のフィルムを設置した場合に最も高輝度かつ均斉度、表示品位に優れた面光源となることが分かった。また、モアレは確認されたが、一般的なバックコート層を形成すれば良好な表示品位を得ることができた。
【0123】
(実施例29)
実施例1のマスターバッチを用い、同じ組成となるように混合したものを、180℃の温度で2時間真空乾燥した後に主押出機に供給した。また、副押出機を用いず、主成分層のみを単層で押し出した以外は実施例1と同じ方法にて、単層の未延伸シート、および、厚みが80μm内部拡散層(ID)層単層からなる二軸配向ポリエステルフィルムを得た。マスターバッチ、未延伸フィルム、二軸延伸フィルムの断面を観察した結果、二軸延伸フィルムのID層の内部の拡散素子(D)として扁平状の拡散素子(d1)を含有しており、形態は実施例1と同様の形態であった。また、このポリエステルフィルムの特性、および輝度測定した結果を表2に示す。輝度に優れ、特に、拡散板直上に本発明のフィルムを設置した場合に最も高輝度かつ均斉度に優れた面光源となることが分かった。また、バックコート層を形成しなくても良好な表示品位を得ることができた。
【0124】
(実施例30)
主押出機に供給した成分層の片側表層に副押出機に供給した成分層が厚み比率で 副押出機の成分層:主押出機の成分層=1:9 すなわち、ID層厚み/ID層以外の層(S層)の厚みの和=1/9となるよう合流させ、Tダイ口金内より、溶融2層積層共押出しを行った以外は、実施例1と同様の方法にて、フィルム全体の厚みが90μm、主押出機の成分層(すなわちID層)の厚みが80μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
マスターバッチ、未延伸フィルム、二軸延伸フィルムの断面を観察した結果、二軸延伸フィルムのID層の内部の拡散素子(D)として扁平状の拡散素子(d1)を含有しており、形態は実施例1と同様の形態であった。
また、このポリエステルフィルムの特性、および輝度測定した結果を表2に示す。輝度に優れ、特に、拡散板直上に本発明のフィルムを設置した場合に最も高輝度かつ均斉度に優れた面光源となることが分かった。また、バックコート層を形成しなくても良好な表示品位を得ることができた。
【0125】
(実施例1−2〜28−2)
実施例1〜28にて得られた二軸配向ポリエステルフィルムを基材フィルムとして、それら基材フィルムの片面に、コロナ処理を施した。次に、コロナ処理面を実施した面に下記方法にて調整した塗剤を、メタバー(#20)を用いて塗布した。塗布後、100℃で30秒間乾燥し、150℃で10秒熱処理して、ポリエステルフィルム上に乾燥厚み15μmの光拡散層を形成した。得られた光拡散層の外観はムラが確認されず良好であった。得られたフィルムを用いて輝度を測定した結果を表3に示す。光拡散層を形成していない実施例1〜28と比べて輝度、輝度ムラに優れ、特に、拡散板直上に本発明のフィルムを設置し、かつ光拡散層が形成されていない側の面を拡散板と対向させた場合に最も高輝度かつ均斉度に優れた面光源となることが分かった。また、モアレは確認されたが、一般的なバックコート層を、光拡散層を形成した面と反対側の面に形成すれば良好な表示品位を得ることができた。
【0126】
(塗剤の調整)
バインダー樹脂として”アロニックス”(登録商標)M6050(東亞合成製)65質量部、”アロニックス”(登録商標)M5700(東亞合成製)5質量部、微粒子として”ケミスノー”(登録商標)MX−1500(綜研化学(株)製)30質量部、分散剤として”マリアリム”(登録商標) AKM−0531(日本油脂(株)製)0.5質量部、熱重合開始剤として”カヤエステル”(登録商標)AN(化薬アクゾ(株)製)0.5質量部、溶媒としてシクロヘキサノン/メチルエチルケトン=1/1(質量比)溶液200質量部を混合し、攪拌し、微粒子を分散せしめた塗剤を調整した。
【0127】
(実施例29−2)
それぞれ、基材フィルムとして、実施例29で得たポリエステルフィルムを用いた以外は、実施例1−2と同様に光拡散層を形成した。得られた光拡散層は部分的に塗布はじき等が確認された。
得られたフィルムを用いて輝度を測定した結果を表3に示す。光拡散層を形成していない実施例29と比べて輝度、輝度ムラに優れ、特に、拡散板直上に本発明のフィルムを設置し、かつ光拡散層が形成されていない側の面を拡散板と対向させた場合に最も高輝度かつ均斉度に優れた面光源となることが分かった。また、バックコート層を形成しなくても良好な表示品位を得ることができた。
【0128】
(実施例30−2)
それぞれ、基材フィルムとして、実施例30で得たポリエステルフィルムを用いた以外は、実施例1−2と同様に光拡散層を形成した。得られた光拡散層は内部拡散層(ID)層側に形成した場合は部分的に塗布はじき等が確認されたが、S層側に塗布した場合は得られた光拡散層の外観はムラが確認されず良好であった。S層側に光拡散層を形成したフィルムを用いて輝度を測定した結果を表3に示す。光拡散層を形成していない実施例30と比べて輝度、輝度ムラに優れ、特に、拡散板直上に本発明のフィルムを設置し、かつ光拡散層が形成されていない側の面を拡散板と対向させた場合に最も高輝度かつ均斉度に優れた面光源となることが分かった。
【0129】
(実施例1−3〜28−3)
副押出機の成分層(すなわち樹脂層S層)用原料として15モル%ナフタレンジカルボン酸共重合PETを用いた以外は実施例1〜28と同様の方法で、実施例1−3〜21−3、25−3〜28−3はフィルム全体の厚みが100μm、主押出機の成分層(すなわちID層)の厚みが80μmの二軸配向ポリエステルフィルム、実施例22−3はフィルム全体の厚みが188μm、主押出機の成分層(すなわちID層)の厚みが150μmの二軸配向ポリエステルフィルム、実施例23−3はフィルム全体の厚みが62.5μm、主押出機の成分層(すなわちID層)の厚みが50μmの二軸配向ポリエステルフィルム、実施例24−3はフィルム全体の厚みが31.3μm、主押出機の成分層(すなわちID層)の厚みが25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの片側のS層に、下記形状を有する金型1の凹凸面を、もう片側の面に下記形状を有する金型2を重ね合わせ、二軸延伸フィルム及び金型を120℃に加熱し、20MPaでプレスし、そのまま2分間保持した。その後70℃に冷却後プレスを解放し、30℃に冷却して金型から離型した。
(金型1)
ドーム状の突起が最密充填配列したもの(図19(a))を反転させたもの(ドーム状突起の断面形状は図19(b))
(金型2)
キモト(株)製拡散フィルムGM3のバックコート面の形状を電鋳にて凹凸形状を反転させたもの。
得られたフィルムの断面形状を観察した結果、実施例21−3以外は金型の形状を良好に転写できていることが分かった。
得られたフィルムを用いて輝度を測定した結果を表4に示す。実施例21−3以外は、光拡散層を形成していないもの(実施例1〜28)と比べて輝度、輝度ムラに優れ、特に、拡散板直上に本発明のフィルムを設置し、かつ光拡散層が形成されていない側の面を拡散板と対向させた場合に最も高輝度かつ均斉度に優れた面光源となることが分かった。また、バックコート層を形成しなくても良好な表示品位を得ることができた。
【0130】
(実施例30−3)
副押出機の成分層(すなわち樹脂層S層)用原料として15モル%ナフタレンジカルボン酸共重合PETを用いた以外は実施例1−3と同様の方法で、フィルム全体の厚みが90μm、主押出機の成分層(すなわちID層)の厚みが80μmの二軸配向ポリエステルフィルム、を得た。
次に金型2を用いないこと以外は実施例1−3と同様の方法で、金型1の形状をS層に転写した。
得られたフィルムの断面形状を観察した結果、金型1の形状を良好に転写できていることが分かった。得られたフィルムを用いて輝度を測定した結果を表4に示す。実施例21−3以外は、光拡散層を形成していないもの(実施例30)と比べて輝度、輝度ムラに優れ、特に、拡散板直上に本発明のフィルムを設置し、かつ光拡散層が形成されていない側の面を拡散板と対向させた場合に最も高輝度かつ均斉度に優れた面光源となることが分かった。また、バックコート層を形成しなくても良好な表示品位を得ることができた。
【0131】
(参考例)
実施例29のID層、および、実施例1〜28、実施例30のS層に実施例1−3と同様金型、方法で加熱、プレス、冷却後、金型から離型した。
得られたフィルムの断面形状を観察した結果、いずれも金型形状が転写できていないことが分かった。
(比較例1〜6)
表1に示した原料の混合物を用いること、表2に示した組成、条件、厚みとしたこと以外は実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。マスターバッチ、未延伸フィルム、二軸延伸フィルムの断面を観察した結果を表2に示す。また、このポリエステルフィルムの特性、および輝度測定した結果を表2に示す。実施例に比べて各種特性が劣る結果であった。
【0132】
(比較例7)
マスターチップを作製せず、PET−1のみを180℃に乾燥したものを単軸押出機に導入する以外はそれぞれ実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。また、このポリエステルフィルムの特性、および輝度測定した結果を表2に示す。実施例に比べて各種特性が劣る結果であった。
【0133】
(比較例1−2〜7−2)
比較例1〜7のフィルムを用いる以外は実施例1−2と同じ方法で光拡散層を形成した。
得られたフィルムを用いて輝度を測定した結果を表3に示す。光拡散層を形成していない比較例2−1〜2−7と比べて輝度、輝度ムラに優れるものの、実施例に比べて各種特性に劣る結果であった。
【0134】
(比較例1−3〜7−3)
S層用原料として15モル%ナフタレンジカルボン酸共重合PETを用いた以外は比較例1〜7と同じ方法で、S層として15モル%ナフタレンジカルボン酸共重合PETを積層したフィルムを得た。それぞれ、得られた積層フィルムのS層に、実施例1−3と同様金型、方法で加熱、プレス、冷却後、金型から離型した。
【0135】
得られたフィルムの断面形状を観察した結果、いずれも金型の形状を良好に転写できていることがわかった。しかし比較例1−3〜3−3においてはフィルムが白化することが分かった。
得られたフィルムを用いて輝度を測定した結果を表4に示す。比較例1−3〜3−3では、光拡散層を形成していないもの(比較例1〜3)に比べて、輝度が低下することが分かった。また比較例4−3〜7−3では、光拡散層を形成していない比較例4〜7に比べて、輝度、輝度ムラに優れるものの、実施例に比べて各種特性に劣る結果であった。
【0136】
【表1】
【0137】
【表2−1】
【0138】
【表2−2】
【0139】
【表3】
【0140】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明の拡散シートは、各種表示装置、中でも液晶表示装置の面光源ユニットに組み込むことにより高い画面均一性と高い輝度特性を発現させる薄型の光学部材として適用可能である。
【符号の説明】
【0142】
1:拡散素子(d1)
2:フィルム面方向と平行な方向における拡散素子(d1)の一端(左端)
3:フィルム面方向と平行な方向における拡散素子(d1)のもう一方の一端(右端)
4:拡散素子(d1)の一端(左端)2と拡散素子(d1)のもう一方の一端(右端)3を結んだ線分(長軸)
5:線分4の中点
6:中点5を通り、かつ線分4と垂直な線上にある拡散素子(d1)の一端(上端)
7:中点5を通り、かつ線分4と垂直な線上にある拡散素子(d1)の一端(下端)
8:拡散素子(d1)の一端(上端)6と拡散素子のもう一方の一端(下端)7を結んだ線分(短軸)
2’:フィルム長手方向と平行な方向における拡散素子(d1)の一端(左端)
3’:フィルム長手方向と平行な方向における拡散素子(d1)のもう一方の一端(右端)
4’:拡散素子(d1)の一端(左端)2と拡散素子(d1)のもう一方の一端(右端)3を結んだ線分(長軸)
5’:線分4’の中点
6’:中点5’を通り、かつ線分4’と垂直な線上にある拡散素子(d1)の一端(上端)
7’:中点5’を通り、かつ線分4’と垂直な線上にある拡散素子(d1)の一端(下端)
8’:拡散素子(d1)の一端(上端)6’と拡散素子(d1)のもう一方の一端(下端)7’を結んだ線分(短軸)
10:反射板
11:筐体
20:CCFL
30:拡散板
40:光学フィルム群
41:第一の光学フィルム
42:第二の光学フィルム
43:第三の光学フィルム
100:拡散素子
200:マトリックス
300:バインダー樹脂
400:微粒子
500:凹凸形態
λ0:入射光
λ1:拡散素子100を透過する光
λ2:マトリックス樹脂と拡散素子の界面で反射され入射方向側に散乱される光
λ3:マトリックス樹脂と拡散素子の界面で反射/屈折され入射方向に垂直方向近傍に散乱する光
λ3’:拡散素子に散乱され側面に出射し損失する光
x:フィルム長手方向
y:フィルム幅方向
z:フィルム厚み方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡散素子(D)を含有するマトリックス樹脂からなる層(以下、内部拡散層(ID層)という)を有するフィルムであって、内部拡散層(ID層)に含まれる拡散素子(D)の全数に対する拡散素子(d1)の下記(1)および(2)を満たす数の割合が50%以上であり、かつ内部拡散層(ID層)に含まれる拡散素子(D)のフィルム厚み方向の数が3個以上120個以下であることを特徴とする光拡散フィルム。
(1)内部拡散層(ID層)を構成するマトリックス樹脂の屈折率Nmと拡散素子(d1)の屈折率Ndとの屈折率の差の絶対値|Nm−Nd|が0.05以上0.3以下であること。
(2)扁平度が3以上100以下であること。
【請求項2】
フィルム厚み方向の長さ10μmあたりの拡散素子(D)の個数が1個/10μm以上10個/10μm以下である請求項1に記載の光拡散フィルム。
【請求項3】
フィルム面と平行な断面において、前記拡散素子(D)の面内長軸長さと、長軸方向に対して垂直方向の面内長さ(面内短軸長さ)の比(面内長軸長さ/面内短軸長さ)が2以下である請求項1または2のいずれかに記載の光拡散フィルム。
【請求項4】
内部拡散層(ID層)の気泡の体積占有率が3体積%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の光拡散フィルム。
【請求項5】
内部拡散層(ID層)が二軸配向されてなる請求項1〜4のいずれかに記載の光拡散フィルム。
【請求項6】
内部拡散層(ID層)を構成するマトリックス樹脂が、ポリエステル系樹脂を含んでなる熱可塑性樹脂からなる請求項1〜5のいずれかに記載の光拡散フィルム。
【請求項7】
拡散素子(d1)が熱可塑性樹脂からなる請求項1〜6のいずれかに記載の光拡散フィルム。
【請求項8】
拡散素子(d1)がポリオレフィン系樹脂である請求項7に記載の光拡散フィルム。
【請求項9】
少なくとも一方の表面の表面自由エネルギーが35mN/m以上である請求項1〜8のいずれかに記載の光拡散フィルム。
【請求項10】
内部拡散層(ID層)の片側または両側に、樹脂層(S層)が積層されており、かつマトリックス樹脂の融点Tm1と、樹脂層(S層)の融点Tm2の差(Tm1−Tm2)が10℃以上である請求項1〜9のいずれかに記載の光拡散フィルム。
【請求項11】
少なくとも一方の表面に凹凸構造を有する請求項1〜10のいずれかに記載の光拡散フィルム。
【請求項12】
全光線透過率が25〜80%である請求項1〜11のいずれかに記載の光拡散フィルム。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の光拡散フィルムを用いた面光源。
【請求項1】
拡散素子(D)を含有するマトリックス樹脂からなる層(以下、内部拡散層(ID層)という)を有するフィルムであって、内部拡散層(ID層)に含まれる拡散素子(D)の全数に対する拡散素子(d1)の下記(1)および(2)を満たす数の割合が50%以上であり、かつ内部拡散層(ID層)に含まれる拡散素子(D)のフィルム厚み方向の数が3個以上120個以下であることを特徴とする光拡散フィルム。
(1)内部拡散層(ID層)を構成するマトリックス樹脂の屈折率Nmと拡散素子(d1)の屈折率Ndとの屈折率の差の絶対値|Nm−Nd|が0.05以上0.3以下であること。
(2)扁平度が3以上100以下であること。
【請求項2】
フィルム厚み方向の長さ10μmあたりの拡散素子(D)の個数が1個/10μm以上10個/10μm以下である請求項1に記載の光拡散フィルム。
【請求項3】
フィルム面と平行な断面において、前記拡散素子(D)の面内長軸長さと、長軸方向に対して垂直方向の面内長さ(面内短軸長さ)の比(面内長軸長さ/面内短軸長さ)が2以下である請求項1または2のいずれかに記載の光拡散フィルム。
【請求項4】
内部拡散層(ID層)の気泡の体積占有率が3体積%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の光拡散フィルム。
【請求項5】
内部拡散層(ID層)が二軸配向されてなる請求項1〜4のいずれかに記載の光拡散フィルム。
【請求項6】
内部拡散層(ID層)を構成するマトリックス樹脂が、ポリエステル系樹脂を含んでなる熱可塑性樹脂からなる請求項1〜5のいずれかに記載の光拡散フィルム。
【請求項7】
拡散素子(d1)が熱可塑性樹脂からなる請求項1〜6のいずれかに記載の光拡散フィルム。
【請求項8】
拡散素子(d1)がポリオレフィン系樹脂である請求項7に記載の光拡散フィルム。
【請求項9】
少なくとも一方の表面の表面自由エネルギーが35mN/m以上である請求項1〜8のいずれかに記載の光拡散フィルム。
【請求項10】
内部拡散層(ID層)の片側または両側に、樹脂層(S層)が積層されており、かつマトリックス樹脂の融点Tm1と、樹脂層(S層)の融点Tm2の差(Tm1−Tm2)が10℃以上である請求項1〜9のいずれかに記載の光拡散フィルム。
【請求項11】
少なくとも一方の表面に凹凸構造を有する請求項1〜10のいずれかに記載の光拡散フィルム。
【請求項12】
全光線透過率が25〜80%である請求項1〜11のいずれかに記載の光拡散フィルム。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の光拡散フィルムを用いた面光源。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
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【図4】
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【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−249898(P2010−249898A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96703(P2009−96703)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】
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