光拡散器およびこれを製造するための方法
拡散光を組織に導入するのに特に好適な光拡散器(10)は、液体状態の拡散器材料を多孔質の成形材料の境界層(4)に浸透させることによって製造され、このプロセスによって、成形材料の穴の構造の凹を基本的には表わし、表面張力によって引起こされるアンダーカット構造を含む表面構造を有する拡散器表面が形成される。光拡散器(10)は、たとえば機械的振動によって液化可能な材料を含む拡散器ブランク(1)を成形材料に導入し、同時に機械的振動を用いて成形材料を刺激することによって製造され、そのため、液化可能な材料は少なくとも成形材料と接触する場所で液化し、成形材料に圧入される。拡散器のその場での製造は特に骨組織(20)での光力学療法に有利であり、拡散器ブランク(1)を構成するインプラントは、たとえば超音波によって多孔質の成形材料の役割を果たす骨組織(20)に移植され、次いで骨組織を照明するための光導体に接続される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、第1の独立請求項の総称的な用語に従う光拡散器、および対応する独立請求項の総称的な用語に従う光拡散器を製造するための方法に関わる。この発明に従う光拡散器は、光源からまたは光導体を通して拡散器に与えられる光を基本的に軸方向に拡散偏向することに好適である。この発明に従う光拡散器は、たとえば内視鏡による方法での用途に好適であり、たとえば組織構造、特に骨組織の中に拡散光を標的を絞って導入することに好適であり、中空の生物学的構造を一貫して照明することに好適である。
【背景技術】
【0002】
拡散光は、たとえば腫瘍発生の病気の治療のために特に公知であるいわゆる光力学療法による方法の中で組織構造に適用される。この目的のために、光に対して感度がよく、腫瘍組織に主に蓄積する物質が患者に投与される。次いで、腫瘍組織は特定の波長の光で照明され、この光は感光性物質を活性化し、化学反応を引起し、次いで腫瘍細胞を破壊する。
【0003】
光によって感光性物質を活性化することは、腫瘍細胞の破壊を起こさせる。したがって、腫瘍の大きさに合わせて調整された特定の投与量の光を、標的を絞った態様でできる限り均質に腫瘍細胞に導入できることが重要であり、これは通常光導体によって達成され、光導体の遠位端は拡散器として設計される。拡散器の役割は光を散乱させることであり、光は光導体内で基本的に軸方向に、できる限り多くの異なる方向に、できる限り均一に伝わる。拡散器は、照明されるべき組織にもたらされるかまたは導入され、光導体によって所与の波長の光を供給される。拡散器は、光導体によって導入された光を空間の中でできる限り均質に分散させ、その形状は有利に状況に適合される。
【0004】
このような拡散器は、光導体の遠位端を対応して修正することによって、および/または適切に備え付けられた端部部品を光導体の遠位端上または光導体の遠位端に置くことによって製造されることが公知である。したがって、たとえば公報FR−2782778に開示されるように、たとえば光伝導繊維の周りに置かれたスリーブは光導体の遠位端で除去され、光伝導繊維の表面は、光を散乱させる表面を作るために、わずかに粗面化され、好適な道具でエッチングまたは処理される。光を散乱させる端部部品は通常、粒子で充填された透過性の材料(たとえば、酸化アルミニウムまたは酸化チタンの粒子を有する透過性のプラスチック)を含む。修正された繊維表面および/または端部部品の光を散乱させる効果が軸方向から供給された光の十分な部分を偏向するのに十分でない場合には、光導体または拡散器の遠位端に鏡が位置決めされ、偏向されていない光を拡散器区域に戻すように反射することも提案される(たとえば、US−5695583、US−2002/0094161およびUS−5431647に開示される)。
【0005】
したがって、公知の光拡散器は基本的に、光導体の遠位端であり、医学的な目的のために、最小限に侵襲性の方法で、治療されるべき組織にもたらされるかまたは導入され、治療後に除去される。治療のために、光導体の近位端は光源に取付けられ、光源はたとえばレーザであるが、別の光導体の遠位端である可能性もある。
【0006】
上述の公知の拡散器は比較的精巧な方法によって製造され、したがって、高価である。そうでなければ、公知の拡散器は使い捨ての製品として扱われなければならない。なぜなら、公知の拡散器は洗浄および滅菌が困難であり、繰返し使用するには臨床的に感染の危険があまりに高いとしばしば考えられるためである。光力学療法の場合、拡散器は治療されるべき組織のすぐ近くにまたは治療されるべき組織の中にさえ入れられなければならず
、拡散器は治療後にこの組織から退避されなければならず、これは腫瘍細胞を転移させるなどの罹患細胞が広がる危険に関係する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の目的は、光拡散器およびこれを製造するための方法を作ることである。この発明に従う光拡散器は、最も多様な用途、つまり医学的用途だけでなく技術的用途にも好適であるが、特に上述のように骨組織の中に拡散光を導入すること(光力学療法)、および中空器官を均質に照明することに好適である。公知の光拡散器の製造と比較して、この発明に従う光拡散器を製造するための方法はより単純であり、拡散光を供給されるべき空間の形状を、所与の状況に合わせて単純に調整できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、特許請求の範囲に規定される光拡散器およびその製造のための方法によって達成される。
【0009】
光拡散器を製造すること、または組織、特に骨組織に拡散光を供給することに役立つ、この発明に従う方法は、それぞれに以下の発見に基づいている。その発見とは、たとえば公報WO−02/069817に記載されるように、熱可塑性材料で構成されるインプラントが機械的振動、特に超音波によって骨組織に移植されるときに、特にこの表面が存在する場所またはこの表面が骨組織と接触される場所でその表面は変化し、特にこのような場所がエネルギー方向付与器(Energierichtungsgeber)を備えるときにその表面は変化する。これらのポイントで、熱可塑性材料は液化し、骨組織の不均一なパッチおよび穴(小柱室)に圧入され、熱可塑性材料は骨組織に浸透するというものである。通常の移植条件下で、たとえば海綿状の骨組織へのこの浸透は、2つの小柱室とおよそ等しい深さに達する。熱可塑性材料の再固化の後、この材料および骨組織は嵌め合い接続(formschluessige Verbindung)の状態で互いに接続され、たとえば移植のすぐ後の移植の一次安定化として利用される。
【0010】
骨組織に染み込む熱可塑性材料は、光を散乱させるのに理想的に適した表面構造をインプラントに与えることも発見されており、光は透過性のインプラントの近位面の中に軸方向に、インプラントからインプラントを囲む骨組織の中に結合される。移植された状態で、インプラントは優れた光拡散器である。移植の前には、インプラントは一種の拡散器ブランク(Diffusorrohling)である。
【0011】
機械的振動による骨組織への移植によって引起された表面に対する変化は、その変化によって対応するインプラント(拡散器ブランク)が拡散器になるのだが、拡散器材料の液体状態で伸展し、そのため、現われる構造は流れる動きで作られる形、したがって表面張力によって引起され、基本的には多孔質の骨構造の凹(Negativ)を示し、つまり特にアンダーカットを含む形を有する。
【0012】
波長が625nmのレーザビームが光導体(直径0.4mm)から、ポリ−LDL−ラクチドからなるピン型のインプラント(長さ25mm、直径3.5mm)の近位面に結合されるとき、結合された光度の約75%がインプラントの遠位端において測定され、これは、非常に異方性の光の分散を示す。構造が骨に非常に似ている「ソーボーン(Sawbone)」(ガラス繊維によって強化された閉気孔ポリウレタン発泡体)に、事前に穴を開けることなく超音波によって同一のインプラントが打ち込まれる場合、インプラントの表面は変化し、光を散乱させるようになる。インプラントのこの状態で、移植によって変えられたインプラントの表面全体にわたって基本的に等しい光度が測定される(遠位端:0.22W/mm2、周方向の表面:0.20W/mm2)。これらの測定値は、変えられた表面
が結合された光を非常に均質に散乱させる、つまりインプラントを非常に優れた光拡散器にすることを示している。
【0013】
上述の発見は、骨組織に当てはまるだけではく、他の多孔質材料、特に人工的な材料に移されることができ、このような人工的な成形材料は骨組織のような多孔質構造を含む。このような成形材料の穴の大きさは有利に、0.005から1.0mmの間である。さらに、成形材料の特性は、拡散器ブランクが機械的振動によって成形材料に導入されるときに拡散器ブランクの熱可塑性材料の液化および浸透を可能にするのに十分な耐性をその多孔質構造がもたらすことができるようなものでなければならない。そうでない場合には、多孔質構造は崩壊し、所望の表面構造の伸展に必要な多孔質の成形材料の浸透は起こらない。
【0014】
拡散器ブランクが多孔質の成形材料と接触する区域において固体拡散器ブランク材料を機械的振動によって液化する、および拡散器ブランクにかけられた圧力によって、液化された材料を多孔質の成形材料に圧入する代わりに、液体拡散器材料を多孔質の成形材料に(たとえば、毛管作用または圧力差によって)圧入または吸引することも可能である。液体拡散器材料は次いで、冷却によって(たとえば、熱可塑性ポリマー、ガラス)、好適な化学反応によって(たとえば、エポキシ樹脂もしくはシリコーンなどの架橋樹脂)、または濃厚化によって(たとえば、ポリエチレングリコール、アルギナート、キトサン、コラーゲンおよびそれらの共重合体もしくは混合物に基づくゲルもしくはヒドロゲル)、硬化される。この方法は、「移植方法」よりも拡散器構造のより大きな選択肢を与えるだけでなく、可撓性の成形材料の中でゲルのような、つまり可撓性の拡散器を作ることもできるようにし、成形材料はその後拡散器から除去されず、たとえば中空空間の多様な形状に適合し得るときには中空空間の壁を照明するのに好適であり、たとえば再吸収可能なヒドロゲルが使用される場合には対応する空間に残されることさえ可能である。このような光拡散器は、たとえば腫瘍の切除の際の傷の場合に、照明の機能を想定できるだけでなく、照射後に傷にタンポン挿入する機能も想定でき、この目的で、光拡散器は有利に、細胞毒、抗炎症性物質、抗生物質、または欠損のさらなる治療のための成長因子などの活性物質を用いて公知の態様で修正される。
【0015】
この発明に従う拡散器を製造するのに好適な人工的な多孔質の成形材料の特性は、中で製造された拡散器から、たとえば適切な溶剤での溶解によって、エッチングによって、融解または昇華によって成形材料が除去されることができるようなものであり得る。成形材料を与えることは少なくとも局所的に好適な特性を有し、成形材料は拡散器表面にとどまり、一種の拡散器キャップを形成することも可能であり、拡散器キャップは、その気孔のために、たとえば拡散器によって偏向された光をさらに散乱させることができる。多孔質の成形材料からなるこのような拡散器キャップは、拡散器が製造されるときにキャップの形状、つまり比較的薄い壁をすでに有する場合もあれば、後に適切に加工される場合もある。拡散器キャップは、特定の非光学的な追加の機能のために作られる可能性もあれば、材料を後に追加または除去することによってもしくは再形成によって適切に成形される可能性もある。成形材料の気孔は均質であり得る。特に拡散器キャップが特定の非光学的な追加の機能を有する場合には、均質でない気孔を作ること、および拡散器キャップの各々の部分の機能に応じて気孔を変化させることが有利であるかもしれない。したがって、拡散器キャップは拡散器材料によって浸透される場所で多孔質である可能性があるが、たとえば内視鏡の用途で組織における摩擦および汚染を最小限にするためにキャップの外面は滑らかで穴のないものである。
【0016】
人工的な成形材料によって製造される、この発明に従う拡散器は非医療的用途および医療的用途に適しているが、特に柔らかい組織または組織の空隙(たとえば、血管、気道もしくは消化管)に拡散光を導入することに適している。その場合、当該技術水準に従う拡
散器と同様に、拡散光の導入のために同一の手順が辿られ、この発明に従う拡散器は光導体または光源と結合され、その用途のために位置決めされる。次いで、所望の波長の光は光導体から拡散器の中に結合され、拡散器は光を散乱させ、したがって組織の中に光をもたらす。上述の方法によって製造される可撓性の拡散器の特定の利点は、その可撓性のために、それ自体が公知のカテーテル技術を使用して大きな立体角を囲むように操縦者によって拡散器が曲げられることができるという事実であり、これは一方で機器の対応する制御を可能にし、他方で標的を絞った照明を可能にする。
【0017】
拡散器の一部の中にのみ散乱されるように光を結合すること、および他の機能のためにその他の区域に備え付けることも可能であり、これらの他の区域はたとえば透過性ではない。
【0018】
拡散器を拡散器ブランクから製造するための多孔質の成形材料として主要組織、特に骨組織を使用することは、拡散器ブランクが移植され、光を散乱させる表面構造が移植中に(その場で)伸展することを意味する。移植の前に骨材料に開口(たとえば、中ぐり)を作ることは必須ではない。たとえば、骨の皮質層が前もって穴を開けられることができ、海綿体に穴を開けることなく圧力および同時の振動によって海綿体にインプラントが打ち込まれる前にインプラントは中ぐりに位置決めされることができる。このような拡散器がその場で製造される場合、海綿体に位置する腫瘍(または、転移)は最も単純な方法で照明されることができる。拡散器インプラントはさらなる照明のために骨組織にとどまることができ、拡散器インプラントが強力に固定された状態で、腫瘍によって衰弱した骨組織を歓迎すべくさらに強化することを示し得る。拡散器インプラントは生物学的に再吸収可能な光伝導材料で構成されることもでき、そのため、組織を照明するために使用された後除去される必要がなく、再生される骨組織によって徐々に置き換えられる。
【0019】
拡散器インプラントが照明後に移植の場所にとどまる場合には、拡散器インプラントの近位端が実質的に骨から突出することがなく、その近位端が光導体との接続に備えるように注意されなければならず、光導体は公知の内視鏡による方法のように照明のためにこの近位端に進められる。
【0020】
同一の目的で使用される公知の拡散器と比較した、主要骨組織に移植することによって製造される拡散器の非常に重要な利点は、準備となる穴開けが必ずしも必要とされないという事実であり、インプラントが必ずしも除去される必要がなく、または照明もしくは活性化のために拡散器を利用した後すぐに除去される必要がないという事実である。これは、治療の前または治療のすぐ後に治療されるべき組織から除去される必要のある要素がないことを意味し、したがって、たとえば腫瘍細胞を転移させるなどの罹患細胞を広げる危険が大幅に低減されることを意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
この発明に従う拡散器およびその製造のための方法は、図面に関連して詳細に記載される。
【0022】
図1は、製造中の拡散器を通る一連の断面を利用して、光拡散器を製造するための、この発明に従う方法を示す。図1は例示的な光拡散器の製造を示し、この例示的な光拡散器はほぼ円筒形の活性領域(Wirkungsbereich)を有する。上述のように、拡散器は人工的な成形材料によって骨の中でその場でまたは他の場所で製造されることができ、人工的な成形材料は接触層で拡散器材料によって浸透され、拡散器を使用するために、成形材料は拡散器キャップとして拡散器に残されてもよく、または拡散器から除去される。
【0023】
(固体状態の)好適に透過性の熱可塑性材料で構成される拡散器ブランク1は、たとえ
ば遠位端1.1および近位端1.2を有する基本的に円筒形の形を有し、近位端1.2は、適切に準備された遠位光導体端部11をたとえば周方向の溝1.4と結合するための手段を備える。
【0024】
示される例では、基本的には、拡散器ブランク1の周方向の表面全体は、たとえ遠位面ではなくとも、光を散乱させる機能のために構成される。このように構成される表面は熱可塑性材料で構成され、エネルギー方向付与器、たとえば瘤のパターンまたは軸方向に延在するリブ(図示せず)をさらに備え付けられてもよい。光を散乱させる機能のために構成されない拡散器ブランク1の表面、特に光が結合される近位面および拡散器から散乱されない光を反射する遠位面は、有利に研磨される。遠位面に、拡散器ブランク1は適切な鏡のようなコーティングも含んでもよい。
【0025】
拡散器ブランク1から光拡散器10を製造するために、多孔質の成形材料2に開口3(たとえば、中ぐり)が設けられ、したがって、この開口は、拡散器ブランク1が開口の寸法よりも少なくとも局所的にわずかに大きくなるように寸法決めされる。中ぐりの長さは、中ぐりに位置決めされる拡散器ブランク1のその部分の軸方向の長さよりも大きい。拡散器ブランクが中ぐりの中に入り過ぎることを防ぐために、ブランクは適切な手段、たとえば近位鍔1.5を含む。
【0026】
拡散器ブランク1は、多孔質の成形材料2の中ぐり3に位置決めされ、次いでたとえば超音波振動によって励起されるソノトロード4によって中ぐり3に圧入される。拡散器ブランクの熱可塑性材料は、多孔質の成形材料2と接触する場所、特に熱可塑性材料からなるエネルギー方向付与器(図示せず)が多孔質の成形材料2と接触する場所で液化し、機械的振動によって励起された多孔質の成形材料2は拡散器材料の中に応力の集中を引起す。液化した拡散器材料は多孔質の成形材料2の穴に圧入され、約0.02から1.0mmの厚さを有利に含む境界層4で多孔質の成形材料に浸透する。そこで、詳細Aに示されるように、光を散乱させる表面構造5が拡散器材料の再固化の際に形成され、それとともに拡散器ブランク1は拡散器10になる。製造された表面構造4は、多孔質の成形材料2の穴の構造またはその凹の鋳型と基本的にはそれぞれに対応する。つまり、製造された表面構造4は、表面張力によって引起されるアンダーカットの形を含む。なぜなら、アンダーカットの形は拡散器材料の液体状態で形成されたためである。
【0027】
図1の右側に示されるように、使用の際に、拡散器10は遠位光導体端部11を拡散器10の近位端に結合することによって、たとえば適切な結合部品12を溝1.4に固定することによって光Lを供給される。このような結合は、当該技術水準の技術の一部であり、したがってさらにここで記載されることはない。
【0028】
拡散器10はその照明機能のために多孔質の成形材料2にとどまることができ、図1の右上に示されるように、たとえば骨組織の中で照明するインプラントとして拡散光をこの成形材料に導入するのに役立ち得る。鎖線13(図3も参照)によって示されるように、拡散器は非常に均質な態様で、相当に円筒形の活性領域で光を散乱させる。
【0029】
その一方で、多孔質の成形材料2(この場合、必然的に透過性である)は拡散器キャップ14(図1、右中央)を形成することも可能である。このような拡散器キャップは拡散器を保護し、たとえば拡散器キャップが拡散器10から受取る光のさらなる散乱またはさらなる非光学的機能に備えることも可能である。さらに、拡散器キャップは、当該技術水準から公知であるようにさらに光を伝導する、反らす、遮蔽する、焦点を合わせるまたはフィルタリングする機能に備えてもよい。光学的機能に加えて、拡散器キャップは、必要であれば適切に仕上げられ、機器または機器の一部に相当し得る(図12および図13を参照)。
【0030】
光を散乱させる表面構造4が拡散器10の唯一の光を散乱させる手段であるように、多孔質の成形材料2は拡散器10から除去されてもよい(図1、右下)。
【0031】
図1に従うこの発明に従う方法の実施例の場合、拡散器材料は拡散器ブランク1に関して選択され、つまり中ぐり3に圧入されるように十分な機械的安定性を含む。エネルギー効率をできる限りよく製造するために、特に生体の骨組織の中でいたわりつつ実行するために、拡散器材料は、機械的振動をできるだけ小さく減衰させる(0.5GPaよりも大きな弾性モジュール)ために選択される。
【0032】
骨組織に移植される拡散器ブランクに好適な、透過性または十分に透過性に加工された熱可塑性拡散器材料は、たとえば、乳酸および/またはグリコール酸に基づく生物学的に再吸収可能なポリマー(PLA、PLLA、PGA、PLGAなど)、特にポリ−LDL−ラクチド(たとえば、レゾマLR708(Resomer LR708)という商品名でベーリンガー(Boehringer)から入手可能である)もしくはポリ−DL−乳酸(たとえば、レゾマR208(Resomer R208)という商品名でベーリンガーから入手可能である)、または同様に再吸収可能なポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリカプロラクトン(PCL)、多糖、ポリジオキサノン(PD)、ポリ無水物、ポリペプチドもしくは対応する共重合体、または再吸収不可能なポリオレフィン(たとえば、ポリエチレン)、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリフェニルスルフィド、液晶高分子(LCP)、ポリアセタール、ハロゲン化ポリマー、特にハロゲン化ポリオレフィン、ポリフェニルスルフィド、ポリスルホン、ポリエステルもしくは対応する共重合体および重合体混合物である。
【0033】
多孔質の成形材料2はその穴の構造に関して選択され、その穴の構造は、液化した拡散器材料と接触するときには安定したままであるが、この材料によって浸透可能である。人工的な多孔質の成形材料は、浸透のために好適な気孔を含み、これはこの方法の状況下で穴を開けることのできる仕切りを有する開気孔または閉気孔であってもよい。穴の大きさは有利に、0.01から1.0mmの間である。穴の大きさおよび分布は、さらに、たとえばフラクタル表面の形状の生成のためまたは滑らかな穴のない表面を有する拡散器キャップの製造のために勾配を含んでもよい。
【0034】
拡散器キャップとして拡散器にとどまり、さらなる機能を想定する人工的な多孔質の成形材料の例は、たとえばガラス(焼結ガラス、発泡ガラス)、ガラス相の含有率が高いアモルファスセラミックもしくはセラミック(たとえば酸化アルミニウムもしくは酸化チタンなどの酸化セラミックまたはたとえば窒化物などの非酸化セラミック)、ドープされたセラミック(dotierte Keramiken)(たとえば、蛍光のフィルタリングもしくは刺激などのさらなる光学的物理的な機能のため)、またはアモルファスもしくは部分的にアモルファスの熱可塑性もしくは架橋重合体である。上記材料の多孔質の形を製造するために、たとえば発泡方法、真空方法、浸出方法、焼結方法または分離方法などのそれ自体が公知の方法が使用される。
【0035】
多孔質の成形材料がその製造後に拡散器から除去される場合、多孔質の成形材料の融点は拡散器材料よりも低く、熱によって除去されるか、または拡散器材料が溶けない溶剤に溶けて、溶剤によって除去される。さらなる好適な除去方法は、エッチング処置または昇華もしくは蒸発技術である。したがって、たとえば多孔質の成形材料として使用される発泡石膏は中程度の酸(溶剤)によってアモルファスポリマーの拡散器から除去されることが可能であり、またはナトリウムの含有率が高いガラス(たとえば、水ガラス)は水を用いて除去されることが可能である。
【0036】
図1に示される拡散器ブランクおよび拡散器は円筒形の形状を有する。もちろん、これはこの発明の条件ではない。同様に、拡散器ブランクおよび拡散器は、任意の選択された断面を含んでもよく、遠位端に向かって連続的にまたは次第に先細りになってもよい。
【0037】
図2は、さらなる拡散器ブランク1、およびたとえば骨20(多孔質の成形材料)の中でその場で製造される光拡散器10を示す。図2に従う拡散器ブランク1は、先の尖った遠位端1.1を有し、その周方向の表面の遠位領域30のみが、光を散乱させる表面構造4を製造するための突出するエネルギー方向付与器21(たとえば、軸方向に延在するリブ)を備える。周方向の表面の近位領域31は、たとえば研磨されるか、または鏡のようなコーティングを含む。
【0038】
拡散器ブランク1の移植のために、対応する開口3がたとえば骨20の皮質層20.1に設けられ、その開口は有利に拡散器ブランクの断面よりもわずかに大きい。拡散器ブランク1は次いで、その遠位端1.1が前方を向いた状態で開口に位置決めされる。拡散器ブランク1の先の尖った遠位端1.1は次いで、圧力および機械的振動によって海綿状の骨20.2に打ち込まれ、拡散器材料は遠位端1.1の領域および周方向の表面30の領域で液化され、海綿体の多孔質構造に圧入される。それによって、遠位拡散器部10.1および近位光導体部10.2を有する拡散器10が形成される。
【0039】
明らかに、骨の中の拡散器部の深さは、拡散器ブランク1の軸方向の長さ、およびエネルギー方向付与器を備えていない周方向の表面領域31の軸方向の長さによって予め定められる。図2に従う拡散器10の活性領域の形状は、エネルギー方向付与器21を備える表面領域30の軸方向の長さに応じて球形または球形/円筒形(鎖線13)である。
【0040】
近位光伝導部のために、図2に従う拡散器ブランク1は、特に骨の中の腫瘍または転移の光力学治療のための照明するインプラントとして好適である。そこでは、拡散器ブランク1の長さは、治療されるべき骨の区域の深さに合わせて調節され、エネルギー方向付与器21を備える表面範囲30の長さは、治療されるべき骨の区域の大きさに合わせて調節される。拡散器ブランク1は、治療されるべき骨の区域に拡散器ブランク1の遠位端が位置決めされるまで骨の表面から骨に打ち込まれ、このようにして拡散器ブランクは拡散器になる。次いで、遠位光導体端部または光源が拡散器の近位端に取付けられ、治療されるべき骨の区域が照明される。
【0041】
明らかに、照明のために、治療されるべき骨の区域を切開し、治療されるべき骨の区域を任意の道具と接触させる必要はなく、これは当該技術水準の技術に従う照明方法と比較して、罹患細胞がこの区域から広がる危険を関連して低減する。
【0042】
拡散器材料によっては、拡散器ブランク1′(図2では、拡散器ブランク1の下に示される)の遠位区域(表面範囲30)にエネルギー方向付与器21を備えるのではなく、近位表面範囲31よりもわずかに大きな断面を拡散器ブランク1′の遠位区域にもたらすことが十分である場合があり、そのために、遠位範囲30の表面は近位範囲31の表面からわずかに突出し、光を散乱させる表面構造が生成されないさらなる表面範囲31よりも中ぐり3の中の骨組織20とより強力に接触する。
【0043】
図1に関連して既に記載されたように、図2に従う方法の実施例が人工的な成形材料を使用し、拡散器キャップとして拡散器に人工的な成形材料を残すこと、またはそこから人工的な成形材料を除去することももちろん可能である。図2に従う方法は特に、液体拡散器材料の使用に好適である。液体拡散器材料は鋳型(Form)に圧入または吸引され(形の外側での減圧)、鋳型は多孔質の成形材料で構成されるか、または多孔質の成形材料からなる内側コーティングを含む。拡散器材料は、境界層の範囲で多孔質の成形材料に浸透す
る。型の中の液体拡散器材料および指定された境界層は次いで、たとえば冷却、重合または濃厚化によって硬化され、したがってこの発明に従う光拡散器を製造し、これはさらに上述の態様で使用される。
【0044】
たとえばシリコーン、ポリウレタン、エポキシ樹脂またはポリエステル樹脂などの鋳造可能な拡散器材料架橋性ポリマー(たとえば、化学的、熱的または放射線によって架橋される)が使用され得る。熱可塑性ポリマー、ゲル(たとえば、PEG、PHEMA、アクリラート、糖、アルギナート、キトサンまたは共重合体およびアルギナートとキトサンとの混合物)、ガラス、ガラスセラミック、またはアモルファス相の含有率が高い酸化セラミックおよび非酸化セラミックが同様に好適である。鋳造可能な材料はさらに、酸化チタン、雲母などのそれ自体が公知の散乱材料を含んでもよい。
【0045】
ゲル化拡散器材料から拡散器を製造するための除去可能な多孔質の成形材料として、たとえばウッド(Wood)の合金が使用され得る。このような合金は非常に低い温度で燒結されることができ、拡散器の製造後、周囲の温度よりもわずかに高い温度でゲルから除去されることができる。代替的には、拡散器は、ゲルの中の溶剤を除去することによって、つまりゲルを乾燥させることによって鋳型から除去されることができ、これは拡散器の体積を低減する。
【0046】
図3は、図1に従う拡散器のために測定された強度プロファイルを示す。拡散器は、適切に予め穴を開けられた海綿状の骨(ヒツジの大腿骨)に、超音波(ブランソン(Branson)手工具、20kHz)によって、ポリ−LDL−乳酸からなるピン型の拡散器ブランク(長さ25mm、直径3.5mm)を移植することによって製造された。中ぐりの深さは12mmを超え、インプラントは12mmの深さに打ち込まれた。つまり、インプラントは中ぐりの底部にまでは打ち込まれなかった。次いで、625nmの波長のレーザ光(電力0.5W)が近位面を通して光伝導繊維(直径400μm)によってインプラントの中に結合され、シリコーン検出器(直径7.9mm)によって骨のさまざまなポイントで光度が測定された。
【0047】
図3に示される図は、拡散器表面からの距離[mm]に対する測定された光度[mW]を示す。指数関数的に下降する曲線との適合度は約−2.2という指数になり、これは球形(理論的な指数=−3)の形よりも円筒形(理論的な指数=−2)の形を有する拡散器によって照明される空間を示唆する。
【0048】
測定された光度は、直径約1.5cmの骨の体積に10Jのエネルギーを供給することが可能であることを示し、これは直径が3.5mmであり、放射時間が約15分であるインプラントを利用した細胞毒性の光力学療法による治療に十分である。
【0049】
図4は、図2に従う拡散器に関して測定された強度プロファイルを示す。拡散器は、予め穴を開けることなく、「ソーボーン」(ガラス繊維強化ポリウレタン発泡体)の部分に、超音波(ブランソン手工具、20kHz)を使用して、ポリ−LDL−乳酸からなるピン型の拡散器ブランク(長さ25mm、直径3.5mm)を深さ12mmまで圧入することによって製造された。次いで、625nmの波長のレーザ光(電力0.5μW)が光伝導繊維(直径400μm)から近位面を通ってインプラントの中に結合され、繊維検出器(直径200μm)によってソーボーンの部分におけるさまざまなポイントで光度が測定された。
【0050】
図4に示される図は、拡散器表面からの距離[mm]に対する測定された光度[カウント]を示す。指数が−3である指数関数的に下降する曲線との適合度は優れており(r=0.89)、拡散器によって照明される空間の基本的に球形の形を示す。
【0051】
図5および図6は、2つのさらなる例示的な拡散器ブランク1を示し、これらの拡散器ブランクから、さまざまな用途のための拡散器がこの発明に従う方法によって製造されることが可能である。図5に従う拡散器ブランク1は、先の尖った遠位端1.1を含み、その周方向の表面の遠位領域は円周の半分の周囲にエネルギー方向付与器21(たとえば、軸方向に延在するリブ)を備え、そのため、光を散乱させる構造がこの表面範囲でのみ生成されることが可能である。このような拡散器ブランクは、活性領域がおよそ半球の形状を含む拡散器をもたらす。図6に従う拡散器ブランク1は尖っていない遠位端1.1を含み、その周方向の表面の中央の領域は円周を半周するエネルギー方向付与器21(たとえば、瘤(Hoecker))を備える。図1に示される方法を使用して、この拡散器ブランクは、活性領域が半円柱におよそ等しい拡散器を製造する。
【0052】
最も多様な形状からなる活性領域を有する拡散器は、図5および図6に示されるもののような拡散器ブランクから設計されることが可能である。そこでは、示されるように、拡散器ブランクは必ずしもピン型である必要はなく、円形の断面を含む必要はない。拡散器ブランクはより小型の形を有する可能性もあり、円錐形に成形される可能性もあり、および/または多角形もしくは不規則な断面を含む可能性もある。
【0053】
図7は、拡散器の芯40を含む、この発明に従う別の拡散器10の軸方向の断面であり、拡散器の芯40はさらなるたとえば非光学的機能のために備え付けられる。光を散乱させる表面構造を有する拡散器材料(たとえば、ポリマーパイン(Polymerpin))が拡散器の芯40の周囲に配置され、拡散器の芯40の表面を完全にまたは部分的に覆う。拡散器の芯40は、たとえばチタンで構成され、拡散器インプラントではたとえば耐荷重性の機能を想定する。拡散器は、対応する拡散器ブランクからその場でまたは他の場所で製造されることができる。
【0054】
光は、近位面(外側リング)の一部を通ってのみ、図7に従う拡散器10の中に結合される。この目的のために、たとえば図8に断面で示される光導体11が使用される。この光導体11は、導体の芯41とその周りに配置される光伝導繊維42を含み、導体の芯41の断面は拡散器の芯40の近位面に合わせて調節される。
【0055】
拡散器の芯40は、既に記載された耐荷重性の機能の代わりのさらなる機能または耐荷重性の機能に加えたさらなる機能を想定することができ、このような目的のために適切な材料で構成され得る。拡散器が他の場所で製造される場合、このような追加の機能は、たとえば照明されるべき場所に拡散器を位置決めする際に拡散器の動きを制御することに役立つ。拡散器または拡散器キャップが機器(図11および図12を参照)として製造される場合、追加の機能はさらにすすぐ機能または吸引する機能である可能性があり、そのために拡散器の芯は中空のコンダクトとして設計される。さらなる光導体はたとえばその場で製造された拡散器のそのような中空のコンダクト(Kondukt)に延在してもよく、さらなる光導体はたとえば記録機能を有し、マイクロカメラに接続され、マイクロカメラはたとえば照明効果を同時に分析すること、または蛍光によって印を付けられる腫瘍細胞を検出および探し当てることに役立ち得る。
【0056】
その場で製造された拡散器(拡散器インプラント)の拡散器の芯40は、さらに、拡散器を囲む組織に薬を投与するために放出機能を有してもよい。再吸収可能なポリマーまたはゲルが拡散器材料として使用される場合、この放出機能は拡散器材料を介して直接に実行されることもできる。拡散器の芯は光学要素として製造されることもでき、光学要素は、拡散器から分離され、(たとえば、別の感光性の薬を活性化させるために)別の波長の光を結合するために設計されるか、または拡散器を囲む組織を温めるために赤外線光を結合するために設計される。拡散器材料の、拡散器の芯40への配置は、拡散器の芯40の
機能に適合されることになる。
【0057】
図9は、この発明に従うさらなる拡散器を通る軸方向の断面であり、この拡散器はその場でまたは他の場所で製造されることができ、拡散器の芯40を含み、その上に拡散器材料がたとえばコーティングとして配置される。光導体11に結合されるために、拡散器の芯40は中央開口43を有する近位領域を含み、たとえば開口の底部には円錐形の鏡面50が配置され、光放射口51が鏡面の上に配置される。光導体11の遠位端は、(クラッディングすることなく、およびその前面が有利に鏡面50に適合された状態で)中央開口43の中に光を結合するためのこの開口に導入される。光導体11によって導入された光は、図9に矢印によって示されるように、鏡面50から反射され、光放射口51を通って拡散器材料に到達する。
【0058】
図10は、拡散器の芯40を有する、この発明に従うさらなる拡散器10を通る軸方向の断面であり、この拡散器もその場でまたは他の場所で製造されることができる。拡散器の芯40は鞘型であり、貫通開口を含む。たとえば熱可塑性ポリマー、ゲルまたは熱硬化性ポリマーなどの拡散器材料が、鞘型の拡散器の芯40内の拡散器ブランクに与えられる。拡散器10は、拡散器材料が機械的振動を利用して拡散器の芯に、開口を通って、周囲の骨組織または人工的な多孔質の成形材料により深く圧入されることによって製造され、それによって、光を散乱させる表面構造5を得る。
【0059】
図11および図12は、この発明に従う拡散器10を示し、これらは他の場所で製造され、機器または機器の一部を構成する拡散器キャップ14を含む。図11に示される機器は軸方向の断面で示されるメスであり、その刃は拡散器キャップ12であり、つまりこの発明に従う拡散器10を収容している。拡散器キャップはたとえば透過性のセラミック材料で構成されることができ、多孔質の成形材料の役割を果たす区域においてのみ関連して有利に多孔質であり、特に刃先の区域ではできる限り目が詰まっている。光導体(図示せず)のための結合ポイントは柄60の領域に位置する。光を拡散器10の中に結合するために、メスの刃は発光するようになり、それ自体の動作区域を均質に照明することができる。
【0060】
図11に従うメスの刃は、たとえば液体拡散器材料が刃の中の適切な中ぐりに吸引されるまたは他の上述の方法のいずれかによって導入されることによって製造される。刃は、拡散器10が製造された後にさらに適合されることが可能である。拡散器材料が柄60の領域で光を散乱させる表面を得ることを防ぐために、多孔質の成形材料ではなく目の詰まった成形材料がそこに与えられることになる。
【0061】
しかしながら、柄60の領域に、刃の領域よりもわずかに大きな中ぐりを設けること、およびピンの形状の拡散器材料を柄に導入すること、および超音波を用いて拡散器材料を刃にさらに圧入すること、および光導体として機能する柄を介して光を刃に伝えることも可能である。
【0062】
図12は、拡散器キャップ14を有する、この発明に従う拡散器10のさらなる例として、挟みまたは鉗子の対に似た機器を示し、その刃または脚部70および71は各々、図11のメスの刃(Skalpellklinge)に関して記載された態様で拡散器(概略的に破線によって示される)を備え付ける。機器が使用されるとき、刃または脚部70および71は同時に拡散光の供給源の役割を果たし、機器の動作区域を照明する。
【0063】
明らかに、図11および図12に示される拡散器を備え付ける機器または機器の一部は、当該技術水準から公知の拡散器を備え付けることも可能である。言い換えると、表面張力によって引起され、アンダーカットの形を含む光を散乱させる表面を拡散器が有するこ
とはこのような機器の条件ではない。他の公知の光を散乱させる表面構造は、多孔質でない構造で鋳造することによって、または拡散器キャップに位置決めされる前に拡散器ブランクを対応して機械加工することによって作られることが可能である。
【0064】
記載された拡散器ブランクから、示された方法によって製造されることができる記載された拡散器は、たとえば光力学療法による方法のため、特に腫瘍発生の病気の治療のために使用される。このような用途のために、本明細書に記載され主張される方法のうちの1つである、本明細書に記載され主張される拡散光を組織領域に導入するための方法では、特にピン型の拡散器ブランクが組織に移植され、問題の組織はたとえば骨組織であり、治療されるべき骨組織領域は骨腫瘍または転移の領域である。
【0065】
このように、光力学療法による方法は、感光性物質を腫瘍組織または転移に導入するステップと、本明細書に記載され主張される方法の実施例のうちの1つに従って拡散器を(その場で)製造するまたは他の場所で製造された拡散器を腫瘍組織もしくは転移に導入するステップと、拡散器を通して、特に感光性物質を活性化する特定の波長を用いて腫瘍組織もしくは転移を照明するステップと、化学反応を引起し、それによって腫瘍細胞もしくは転移が破壊されるステップとを含む。「物質を導入する」方法ステップおよび「拡散器を製造する」方法ステップはさらに、逆の順序で行なわれてもよい。照明は波長の可視域にある光を用いて行なわれる必要はなく、「照明する」という用語は特に赤外線または紫外線の範囲の他の波長の電磁放射を用いた放射にまで及ぶ。
【0066】
感光性物質を導入するステップは、腫瘍組織または転移に主に集まる物質を全身に投与することによって行なわれることが可能である。この物質はさらに、腫瘍組織または転移に局所的に投与されてもよい。さらに、拡散器または拡散器ブランクを通して物質を放出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】拡散器の例に関するこの発明に従う光拡散器を製造するための方法を示し、この拡散器はほぼ円筒形の活性領域を有する。
【図2】さらなる例示的な拡散器ブランク、および拡散器ブランクから製造されるこの発明に従う光拡散器を示し、この拡散器はより球形の活性領域を含む。
【図3】図1および図2に従う光拡散器の強度プロファイルを示す。
【図4】図1および図2に従う光拡散器の強度プロファイルを示す。
【図5】さまざまな活性領域を有する光拡散器を製造するのに好適な拡散器ブランクのさらなる例示的な実施例を示す。
【図6】さまざまな活性領域を有する光拡散器を製造するのに好適な拡散器ブランクのさらなる例示的な実施例を示す。
【図7】追加の機能に備える拡散器の芯を含む、この発明に従うさらなる光拡散器を示す。
【図8】図7に従う光拡散器の中に光を結合するさまざまな方法を示す。
【図9】図7に従う光拡散器の中に光を結合するさまざまな方法を示す。
【図10】さらなる機能に備える中空の拡散器の芯を有する、この発明に従うさらなる光拡散器を示す。
【図11】さらなる機能に備える拡散器キャップを有する、この発明に従う拡散器を示す。
【図12】さらなる機能に備える拡散器キャップを有する、この発明に従う拡散器を示す。
【技術分野】
【0001】
この発明は、第1の独立請求項の総称的な用語に従う光拡散器、および対応する独立請求項の総称的な用語に従う光拡散器を製造するための方法に関わる。この発明に従う光拡散器は、光源からまたは光導体を通して拡散器に与えられる光を基本的に軸方向に拡散偏向することに好適である。この発明に従う光拡散器は、たとえば内視鏡による方法での用途に好適であり、たとえば組織構造、特に骨組織の中に拡散光を標的を絞って導入することに好適であり、中空の生物学的構造を一貫して照明することに好適である。
【背景技術】
【0002】
拡散光は、たとえば腫瘍発生の病気の治療のために特に公知であるいわゆる光力学療法による方法の中で組織構造に適用される。この目的のために、光に対して感度がよく、腫瘍組織に主に蓄積する物質が患者に投与される。次いで、腫瘍組織は特定の波長の光で照明され、この光は感光性物質を活性化し、化学反応を引起し、次いで腫瘍細胞を破壊する。
【0003】
光によって感光性物質を活性化することは、腫瘍細胞の破壊を起こさせる。したがって、腫瘍の大きさに合わせて調整された特定の投与量の光を、標的を絞った態様でできる限り均質に腫瘍細胞に導入できることが重要であり、これは通常光導体によって達成され、光導体の遠位端は拡散器として設計される。拡散器の役割は光を散乱させることであり、光は光導体内で基本的に軸方向に、できる限り多くの異なる方向に、できる限り均一に伝わる。拡散器は、照明されるべき組織にもたらされるかまたは導入され、光導体によって所与の波長の光を供給される。拡散器は、光導体によって導入された光を空間の中でできる限り均質に分散させ、その形状は有利に状況に適合される。
【0004】
このような拡散器は、光導体の遠位端を対応して修正することによって、および/または適切に備え付けられた端部部品を光導体の遠位端上または光導体の遠位端に置くことによって製造されることが公知である。したがって、たとえば公報FR−2782778に開示されるように、たとえば光伝導繊維の周りに置かれたスリーブは光導体の遠位端で除去され、光伝導繊維の表面は、光を散乱させる表面を作るために、わずかに粗面化され、好適な道具でエッチングまたは処理される。光を散乱させる端部部品は通常、粒子で充填された透過性の材料(たとえば、酸化アルミニウムまたは酸化チタンの粒子を有する透過性のプラスチック)を含む。修正された繊維表面および/または端部部品の光を散乱させる効果が軸方向から供給された光の十分な部分を偏向するのに十分でない場合には、光導体または拡散器の遠位端に鏡が位置決めされ、偏向されていない光を拡散器区域に戻すように反射することも提案される(たとえば、US−5695583、US−2002/0094161およびUS−5431647に開示される)。
【0005】
したがって、公知の光拡散器は基本的に、光導体の遠位端であり、医学的な目的のために、最小限に侵襲性の方法で、治療されるべき組織にもたらされるかまたは導入され、治療後に除去される。治療のために、光導体の近位端は光源に取付けられ、光源はたとえばレーザであるが、別の光導体の遠位端である可能性もある。
【0006】
上述の公知の拡散器は比較的精巧な方法によって製造され、したがって、高価である。そうでなければ、公知の拡散器は使い捨ての製品として扱われなければならない。なぜなら、公知の拡散器は洗浄および滅菌が困難であり、繰返し使用するには臨床的に感染の危険があまりに高いとしばしば考えられるためである。光力学療法の場合、拡散器は治療されるべき組織のすぐ近くにまたは治療されるべき組織の中にさえ入れられなければならず
、拡散器は治療後にこの組織から退避されなければならず、これは腫瘍細胞を転移させるなどの罹患細胞が広がる危険に関係する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の目的は、光拡散器およびこれを製造するための方法を作ることである。この発明に従う光拡散器は、最も多様な用途、つまり医学的用途だけでなく技術的用途にも好適であるが、特に上述のように骨組織の中に拡散光を導入すること(光力学療法)、および中空器官を均質に照明することに好適である。公知の光拡散器の製造と比較して、この発明に従う光拡散器を製造するための方法はより単純であり、拡散光を供給されるべき空間の形状を、所与の状況に合わせて単純に調整できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、特許請求の範囲に規定される光拡散器およびその製造のための方法によって達成される。
【0009】
光拡散器を製造すること、または組織、特に骨組織に拡散光を供給することに役立つ、この発明に従う方法は、それぞれに以下の発見に基づいている。その発見とは、たとえば公報WO−02/069817に記載されるように、熱可塑性材料で構成されるインプラントが機械的振動、特に超音波によって骨組織に移植されるときに、特にこの表面が存在する場所またはこの表面が骨組織と接触される場所でその表面は変化し、特にこのような場所がエネルギー方向付与器(Energierichtungsgeber)を備えるときにその表面は変化する。これらのポイントで、熱可塑性材料は液化し、骨組織の不均一なパッチおよび穴(小柱室)に圧入され、熱可塑性材料は骨組織に浸透するというものである。通常の移植条件下で、たとえば海綿状の骨組織へのこの浸透は、2つの小柱室とおよそ等しい深さに達する。熱可塑性材料の再固化の後、この材料および骨組織は嵌め合い接続(formschluessige Verbindung)の状態で互いに接続され、たとえば移植のすぐ後の移植の一次安定化として利用される。
【0010】
骨組織に染み込む熱可塑性材料は、光を散乱させるのに理想的に適した表面構造をインプラントに与えることも発見されており、光は透過性のインプラントの近位面の中に軸方向に、インプラントからインプラントを囲む骨組織の中に結合される。移植された状態で、インプラントは優れた光拡散器である。移植の前には、インプラントは一種の拡散器ブランク(Diffusorrohling)である。
【0011】
機械的振動による骨組織への移植によって引起された表面に対する変化は、その変化によって対応するインプラント(拡散器ブランク)が拡散器になるのだが、拡散器材料の液体状態で伸展し、そのため、現われる構造は流れる動きで作られる形、したがって表面張力によって引起され、基本的には多孔質の骨構造の凹(Negativ)を示し、つまり特にアンダーカットを含む形を有する。
【0012】
波長が625nmのレーザビームが光導体(直径0.4mm)から、ポリ−LDL−ラクチドからなるピン型のインプラント(長さ25mm、直径3.5mm)の近位面に結合されるとき、結合された光度の約75%がインプラントの遠位端において測定され、これは、非常に異方性の光の分散を示す。構造が骨に非常に似ている「ソーボーン(Sawbone)」(ガラス繊維によって強化された閉気孔ポリウレタン発泡体)に、事前に穴を開けることなく超音波によって同一のインプラントが打ち込まれる場合、インプラントの表面は変化し、光を散乱させるようになる。インプラントのこの状態で、移植によって変えられたインプラントの表面全体にわたって基本的に等しい光度が測定される(遠位端:0.22W/mm2、周方向の表面:0.20W/mm2)。これらの測定値は、変えられた表面
が結合された光を非常に均質に散乱させる、つまりインプラントを非常に優れた光拡散器にすることを示している。
【0013】
上述の発見は、骨組織に当てはまるだけではく、他の多孔質材料、特に人工的な材料に移されることができ、このような人工的な成形材料は骨組織のような多孔質構造を含む。このような成形材料の穴の大きさは有利に、0.005から1.0mmの間である。さらに、成形材料の特性は、拡散器ブランクが機械的振動によって成形材料に導入されるときに拡散器ブランクの熱可塑性材料の液化および浸透を可能にするのに十分な耐性をその多孔質構造がもたらすことができるようなものでなければならない。そうでない場合には、多孔質構造は崩壊し、所望の表面構造の伸展に必要な多孔質の成形材料の浸透は起こらない。
【0014】
拡散器ブランクが多孔質の成形材料と接触する区域において固体拡散器ブランク材料を機械的振動によって液化する、および拡散器ブランクにかけられた圧力によって、液化された材料を多孔質の成形材料に圧入する代わりに、液体拡散器材料を多孔質の成形材料に(たとえば、毛管作用または圧力差によって)圧入または吸引することも可能である。液体拡散器材料は次いで、冷却によって(たとえば、熱可塑性ポリマー、ガラス)、好適な化学反応によって(たとえば、エポキシ樹脂もしくはシリコーンなどの架橋樹脂)、または濃厚化によって(たとえば、ポリエチレングリコール、アルギナート、キトサン、コラーゲンおよびそれらの共重合体もしくは混合物に基づくゲルもしくはヒドロゲル)、硬化される。この方法は、「移植方法」よりも拡散器構造のより大きな選択肢を与えるだけでなく、可撓性の成形材料の中でゲルのような、つまり可撓性の拡散器を作ることもできるようにし、成形材料はその後拡散器から除去されず、たとえば中空空間の多様な形状に適合し得るときには中空空間の壁を照明するのに好適であり、たとえば再吸収可能なヒドロゲルが使用される場合には対応する空間に残されることさえ可能である。このような光拡散器は、たとえば腫瘍の切除の際の傷の場合に、照明の機能を想定できるだけでなく、照射後に傷にタンポン挿入する機能も想定でき、この目的で、光拡散器は有利に、細胞毒、抗炎症性物質、抗生物質、または欠損のさらなる治療のための成長因子などの活性物質を用いて公知の態様で修正される。
【0015】
この発明に従う拡散器を製造するのに好適な人工的な多孔質の成形材料の特性は、中で製造された拡散器から、たとえば適切な溶剤での溶解によって、エッチングによって、融解または昇華によって成形材料が除去されることができるようなものであり得る。成形材料を与えることは少なくとも局所的に好適な特性を有し、成形材料は拡散器表面にとどまり、一種の拡散器キャップを形成することも可能であり、拡散器キャップは、その気孔のために、たとえば拡散器によって偏向された光をさらに散乱させることができる。多孔質の成形材料からなるこのような拡散器キャップは、拡散器が製造されるときにキャップの形状、つまり比較的薄い壁をすでに有する場合もあれば、後に適切に加工される場合もある。拡散器キャップは、特定の非光学的な追加の機能のために作られる可能性もあれば、材料を後に追加または除去することによってもしくは再形成によって適切に成形される可能性もある。成形材料の気孔は均質であり得る。特に拡散器キャップが特定の非光学的な追加の機能を有する場合には、均質でない気孔を作ること、および拡散器キャップの各々の部分の機能に応じて気孔を変化させることが有利であるかもしれない。したがって、拡散器キャップは拡散器材料によって浸透される場所で多孔質である可能性があるが、たとえば内視鏡の用途で組織における摩擦および汚染を最小限にするためにキャップの外面は滑らかで穴のないものである。
【0016】
人工的な成形材料によって製造される、この発明に従う拡散器は非医療的用途および医療的用途に適しているが、特に柔らかい組織または組織の空隙(たとえば、血管、気道もしくは消化管)に拡散光を導入することに適している。その場合、当該技術水準に従う拡
散器と同様に、拡散光の導入のために同一の手順が辿られ、この発明に従う拡散器は光導体または光源と結合され、その用途のために位置決めされる。次いで、所望の波長の光は光導体から拡散器の中に結合され、拡散器は光を散乱させ、したがって組織の中に光をもたらす。上述の方法によって製造される可撓性の拡散器の特定の利点は、その可撓性のために、それ自体が公知のカテーテル技術を使用して大きな立体角を囲むように操縦者によって拡散器が曲げられることができるという事実であり、これは一方で機器の対応する制御を可能にし、他方で標的を絞った照明を可能にする。
【0017】
拡散器の一部の中にのみ散乱されるように光を結合すること、および他の機能のためにその他の区域に備え付けることも可能であり、これらの他の区域はたとえば透過性ではない。
【0018】
拡散器を拡散器ブランクから製造するための多孔質の成形材料として主要組織、特に骨組織を使用することは、拡散器ブランクが移植され、光を散乱させる表面構造が移植中に(その場で)伸展することを意味する。移植の前に骨材料に開口(たとえば、中ぐり)を作ることは必須ではない。たとえば、骨の皮質層が前もって穴を開けられることができ、海綿体に穴を開けることなく圧力および同時の振動によって海綿体にインプラントが打ち込まれる前にインプラントは中ぐりに位置決めされることができる。このような拡散器がその場で製造される場合、海綿体に位置する腫瘍(または、転移)は最も単純な方法で照明されることができる。拡散器インプラントはさらなる照明のために骨組織にとどまることができ、拡散器インプラントが強力に固定された状態で、腫瘍によって衰弱した骨組織を歓迎すべくさらに強化することを示し得る。拡散器インプラントは生物学的に再吸収可能な光伝導材料で構成されることもでき、そのため、組織を照明するために使用された後除去される必要がなく、再生される骨組織によって徐々に置き換えられる。
【0019】
拡散器インプラントが照明後に移植の場所にとどまる場合には、拡散器インプラントの近位端が実質的に骨から突出することがなく、その近位端が光導体との接続に備えるように注意されなければならず、光導体は公知の内視鏡による方法のように照明のためにこの近位端に進められる。
【0020】
同一の目的で使用される公知の拡散器と比較した、主要骨組織に移植することによって製造される拡散器の非常に重要な利点は、準備となる穴開けが必ずしも必要とされないという事実であり、インプラントが必ずしも除去される必要がなく、または照明もしくは活性化のために拡散器を利用した後すぐに除去される必要がないという事実である。これは、治療の前または治療のすぐ後に治療されるべき組織から除去される必要のある要素がないことを意味し、したがって、たとえば腫瘍細胞を転移させるなどの罹患細胞を広げる危険が大幅に低減されることを意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
この発明に従う拡散器およびその製造のための方法は、図面に関連して詳細に記載される。
【0022】
図1は、製造中の拡散器を通る一連の断面を利用して、光拡散器を製造するための、この発明に従う方法を示す。図1は例示的な光拡散器の製造を示し、この例示的な光拡散器はほぼ円筒形の活性領域(Wirkungsbereich)を有する。上述のように、拡散器は人工的な成形材料によって骨の中でその場でまたは他の場所で製造されることができ、人工的な成形材料は接触層で拡散器材料によって浸透され、拡散器を使用するために、成形材料は拡散器キャップとして拡散器に残されてもよく、または拡散器から除去される。
【0023】
(固体状態の)好適に透過性の熱可塑性材料で構成される拡散器ブランク1は、たとえ
ば遠位端1.1および近位端1.2を有する基本的に円筒形の形を有し、近位端1.2は、適切に準備された遠位光導体端部11をたとえば周方向の溝1.4と結合するための手段を備える。
【0024】
示される例では、基本的には、拡散器ブランク1の周方向の表面全体は、たとえ遠位面ではなくとも、光を散乱させる機能のために構成される。このように構成される表面は熱可塑性材料で構成され、エネルギー方向付与器、たとえば瘤のパターンまたは軸方向に延在するリブ(図示せず)をさらに備え付けられてもよい。光を散乱させる機能のために構成されない拡散器ブランク1の表面、特に光が結合される近位面および拡散器から散乱されない光を反射する遠位面は、有利に研磨される。遠位面に、拡散器ブランク1は適切な鏡のようなコーティングも含んでもよい。
【0025】
拡散器ブランク1から光拡散器10を製造するために、多孔質の成形材料2に開口3(たとえば、中ぐり)が設けられ、したがって、この開口は、拡散器ブランク1が開口の寸法よりも少なくとも局所的にわずかに大きくなるように寸法決めされる。中ぐりの長さは、中ぐりに位置決めされる拡散器ブランク1のその部分の軸方向の長さよりも大きい。拡散器ブランクが中ぐりの中に入り過ぎることを防ぐために、ブランクは適切な手段、たとえば近位鍔1.5を含む。
【0026】
拡散器ブランク1は、多孔質の成形材料2の中ぐり3に位置決めされ、次いでたとえば超音波振動によって励起されるソノトロード4によって中ぐり3に圧入される。拡散器ブランクの熱可塑性材料は、多孔質の成形材料2と接触する場所、特に熱可塑性材料からなるエネルギー方向付与器(図示せず)が多孔質の成形材料2と接触する場所で液化し、機械的振動によって励起された多孔質の成形材料2は拡散器材料の中に応力の集中を引起す。液化した拡散器材料は多孔質の成形材料2の穴に圧入され、約0.02から1.0mmの厚さを有利に含む境界層4で多孔質の成形材料に浸透する。そこで、詳細Aに示されるように、光を散乱させる表面構造5が拡散器材料の再固化の際に形成され、それとともに拡散器ブランク1は拡散器10になる。製造された表面構造4は、多孔質の成形材料2の穴の構造またはその凹の鋳型と基本的にはそれぞれに対応する。つまり、製造された表面構造4は、表面張力によって引起されるアンダーカットの形を含む。なぜなら、アンダーカットの形は拡散器材料の液体状態で形成されたためである。
【0027】
図1の右側に示されるように、使用の際に、拡散器10は遠位光導体端部11を拡散器10の近位端に結合することによって、たとえば適切な結合部品12を溝1.4に固定することによって光Lを供給される。このような結合は、当該技術水準の技術の一部であり、したがってさらにここで記載されることはない。
【0028】
拡散器10はその照明機能のために多孔質の成形材料2にとどまることができ、図1の右上に示されるように、たとえば骨組織の中で照明するインプラントとして拡散光をこの成形材料に導入するのに役立ち得る。鎖線13(図3も参照)によって示されるように、拡散器は非常に均質な態様で、相当に円筒形の活性領域で光を散乱させる。
【0029】
その一方で、多孔質の成形材料2(この場合、必然的に透過性である)は拡散器キャップ14(図1、右中央)を形成することも可能である。このような拡散器キャップは拡散器を保護し、たとえば拡散器キャップが拡散器10から受取る光のさらなる散乱またはさらなる非光学的機能に備えることも可能である。さらに、拡散器キャップは、当該技術水準から公知であるようにさらに光を伝導する、反らす、遮蔽する、焦点を合わせるまたはフィルタリングする機能に備えてもよい。光学的機能に加えて、拡散器キャップは、必要であれば適切に仕上げられ、機器または機器の一部に相当し得る(図12および図13を参照)。
【0030】
光を散乱させる表面構造4が拡散器10の唯一の光を散乱させる手段であるように、多孔質の成形材料2は拡散器10から除去されてもよい(図1、右下)。
【0031】
図1に従うこの発明に従う方法の実施例の場合、拡散器材料は拡散器ブランク1に関して選択され、つまり中ぐり3に圧入されるように十分な機械的安定性を含む。エネルギー効率をできる限りよく製造するために、特に生体の骨組織の中でいたわりつつ実行するために、拡散器材料は、機械的振動をできるだけ小さく減衰させる(0.5GPaよりも大きな弾性モジュール)ために選択される。
【0032】
骨組織に移植される拡散器ブランクに好適な、透過性または十分に透過性に加工された熱可塑性拡散器材料は、たとえば、乳酸および/またはグリコール酸に基づく生物学的に再吸収可能なポリマー(PLA、PLLA、PGA、PLGAなど)、特にポリ−LDL−ラクチド(たとえば、レゾマLR708(Resomer LR708)という商品名でベーリンガー(Boehringer)から入手可能である)もしくはポリ−DL−乳酸(たとえば、レゾマR208(Resomer R208)という商品名でベーリンガーから入手可能である)、または同様に再吸収可能なポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリカプロラクトン(PCL)、多糖、ポリジオキサノン(PD)、ポリ無水物、ポリペプチドもしくは対応する共重合体、または再吸収不可能なポリオレフィン(たとえば、ポリエチレン)、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリフェニルスルフィド、液晶高分子(LCP)、ポリアセタール、ハロゲン化ポリマー、特にハロゲン化ポリオレフィン、ポリフェニルスルフィド、ポリスルホン、ポリエステルもしくは対応する共重合体および重合体混合物である。
【0033】
多孔質の成形材料2はその穴の構造に関して選択され、その穴の構造は、液化した拡散器材料と接触するときには安定したままであるが、この材料によって浸透可能である。人工的な多孔質の成形材料は、浸透のために好適な気孔を含み、これはこの方法の状況下で穴を開けることのできる仕切りを有する開気孔または閉気孔であってもよい。穴の大きさは有利に、0.01から1.0mmの間である。穴の大きさおよび分布は、さらに、たとえばフラクタル表面の形状の生成のためまたは滑らかな穴のない表面を有する拡散器キャップの製造のために勾配を含んでもよい。
【0034】
拡散器キャップとして拡散器にとどまり、さらなる機能を想定する人工的な多孔質の成形材料の例は、たとえばガラス(焼結ガラス、発泡ガラス)、ガラス相の含有率が高いアモルファスセラミックもしくはセラミック(たとえば酸化アルミニウムもしくは酸化チタンなどの酸化セラミックまたはたとえば窒化物などの非酸化セラミック)、ドープされたセラミック(dotierte Keramiken)(たとえば、蛍光のフィルタリングもしくは刺激などのさらなる光学的物理的な機能のため)、またはアモルファスもしくは部分的にアモルファスの熱可塑性もしくは架橋重合体である。上記材料の多孔質の形を製造するために、たとえば発泡方法、真空方法、浸出方法、焼結方法または分離方法などのそれ自体が公知の方法が使用される。
【0035】
多孔質の成形材料がその製造後に拡散器から除去される場合、多孔質の成形材料の融点は拡散器材料よりも低く、熱によって除去されるか、または拡散器材料が溶けない溶剤に溶けて、溶剤によって除去される。さらなる好適な除去方法は、エッチング処置または昇華もしくは蒸発技術である。したがって、たとえば多孔質の成形材料として使用される発泡石膏は中程度の酸(溶剤)によってアモルファスポリマーの拡散器から除去されることが可能であり、またはナトリウムの含有率が高いガラス(たとえば、水ガラス)は水を用いて除去されることが可能である。
【0036】
図1に示される拡散器ブランクおよび拡散器は円筒形の形状を有する。もちろん、これはこの発明の条件ではない。同様に、拡散器ブランクおよび拡散器は、任意の選択された断面を含んでもよく、遠位端に向かって連続的にまたは次第に先細りになってもよい。
【0037】
図2は、さらなる拡散器ブランク1、およびたとえば骨20(多孔質の成形材料)の中でその場で製造される光拡散器10を示す。図2に従う拡散器ブランク1は、先の尖った遠位端1.1を有し、その周方向の表面の遠位領域30のみが、光を散乱させる表面構造4を製造するための突出するエネルギー方向付与器21(たとえば、軸方向に延在するリブ)を備える。周方向の表面の近位領域31は、たとえば研磨されるか、または鏡のようなコーティングを含む。
【0038】
拡散器ブランク1の移植のために、対応する開口3がたとえば骨20の皮質層20.1に設けられ、その開口は有利に拡散器ブランクの断面よりもわずかに大きい。拡散器ブランク1は次いで、その遠位端1.1が前方を向いた状態で開口に位置決めされる。拡散器ブランク1の先の尖った遠位端1.1は次いで、圧力および機械的振動によって海綿状の骨20.2に打ち込まれ、拡散器材料は遠位端1.1の領域および周方向の表面30の領域で液化され、海綿体の多孔質構造に圧入される。それによって、遠位拡散器部10.1および近位光導体部10.2を有する拡散器10が形成される。
【0039】
明らかに、骨の中の拡散器部の深さは、拡散器ブランク1の軸方向の長さ、およびエネルギー方向付与器を備えていない周方向の表面領域31の軸方向の長さによって予め定められる。図2に従う拡散器10の活性領域の形状は、エネルギー方向付与器21を備える表面領域30の軸方向の長さに応じて球形または球形/円筒形(鎖線13)である。
【0040】
近位光伝導部のために、図2に従う拡散器ブランク1は、特に骨の中の腫瘍または転移の光力学治療のための照明するインプラントとして好適である。そこでは、拡散器ブランク1の長さは、治療されるべき骨の区域の深さに合わせて調節され、エネルギー方向付与器21を備える表面範囲30の長さは、治療されるべき骨の区域の大きさに合わせて調節される。拡散器ブランク1は、治療されるべき骨の区域に拡散器ブランク1の遠位端が位置決めされるまで骨の表面から骨に打ち込まれ、このようにして拡散器ブランクは拡散器になる。次いで、遠位光導体端部または光源が拡散器の近位端に取付けられ、治療されるべき骨の区域が照明される。
【0041】
明らかに、照明のために、治療されるべき骨の区域を切開し、治療されるべき骨の区域を任意の道具と接触させる必要はなく、これは当該技術水準の技術に従う照明方法と比較して、罹患細胞がこの区域から広がる危険を関連して低減する。
【0042】
拡散器材料によっては、拡散器ブランク1′(図2では、拡散器ブランク1の下に示される)の遠位区域(表面範囲30)にエネルギー方向付与器21を備えるのではなく、近位表面範囲31よりもわずかに大きな断面を拡散器ブランク1′の遠位区域にもたらすことが十分である場合があり、そのために、遠位範囲30の表面は近位範囲31の表面からわずかに突出し、光を散乱させる表面構造が生成されないさらなる表面範囲31よりも中ぐり3の中の骨組織20とより強力に接触する。
【0043】
図1に関連して既に記載されたように、図2に従う方法の実施例が人工的な成形材料を使用し、拡散器キャップとして拡散器に人工的な成形材料を残すこと、またはそこから人工的な成形材料を除去することももちろん可能である。図2に従う方法は特に、液体拡散器材料の使用に好適である。液体拡散器材料は鋳型(Form)に圧入または吸引され(形の外側での減圧)、鋳型は多孔質の成形材料で構成されるか、または多孔質の成形材料からなる内側コーティングを含む。拡散器材料は、境界層の範囲で多孔質の成形材料に浸透す
る。型の中の液体拡散器材料および指定された境界層は次いで、たとえば冷却、重合または濃厚化によって硬化され、したがってこの発明に従う光拡散器を製造し、これはさらに上述の態様で使用される。
【0044】
たとえばシリコーン、ポリウレタン、エポキシ樹脂またはポリエステル樹脂などの鋳造可能な拡散器材料架橋性ポリマー(たとえば、化学的、熱的または放射線によって架橋される)が使用され得る。熱可塑性ポリマー、ゲル(たとえば、PEG、PHEMA、アクリラート、糖、アルギナート、キトサンまたは共重合体およびアルギナートとキトサンとの混合物)、ガラス、ガラスセラミック、またはアモルファス相の含有率が高い酸化セラミックおよび非酸化セラミックが同様に好適である。鋳造可能な材料はさらに、酸化チタン、雲母などのそれ自体が公知の散乱材料を含んでもよい。
【0045】
ゲル化拡散器材料から拡散器を製造するための除去可能な多孔質の成形材料として、たとえばウッド(Wood)の合金が使用され得る。このような合金は非常に低い温度で燒結されることができ、拡散器の製造後、周囲の温度よりもわずかに高い温度でゲルから除去されることができる。代替的には、拡散器は、ゲルの中の溶剤を除去することによって、つまりゲルを乾燥させることによって鋳型から除去されることができ、これは拡散器の体積を低減する。
【0046】
図3は、図1に従う拡散器のために測定された強度プロファイルを示す。拡散器は、適切に予め穴を開けられた海綿状の骨(ヒツジの大腿骨)に、超音波(ブランソン(Branson)手工具、20kHz)によって、ポリ−LDL−乳酸からなるピン型の拡散器ブランク(長さ25mm、直径3.5mm)を移植することによって製造された。中ぐりの深さは12mmを超え、インプラントは12mmの深さに打ち込まれた。つまり、インプラントは中ぐりの底部にまでは打ち込まれなかった。次いで、625nmの波長のレーザ光(電力0.5W)が近位面を通して光伝導繊維(直径400μm)によってインプラントの中に結合され、シリコーン検出器(直径7.9mm)によって骨のさまざまなポイントで光度が測定された。
【0047】
図3に示される図は、拡散器表面からの距離[mm]に対する測定された光度[mW]を示す。指数関数的に下降する曲線との適合度は約−2.2という指数になり、これは球形(理論的な指数=−3)の形よりも円筒形(理論的な指数=−2)の形を有する拡散器によって照明される空間を示唆する。
【0048】
測定された光度は、直径約1.5cmの骨の体積に10Jのエネルギーを供給することが可能であることを示し、これは直径が3.5mmであり、放射時間が約15分であるインプラントを利用した細胞毒性の光力学療法による治療に十分である。
【0049】
図4は、図2に従う拡散器に関して測定された強度プロファイルを示す。拡散器は、予め穴を開けることなく、「ソーボーン」(ガラス繊維強化ポリウレタン発泡体)の部分に、超音波(ブランソン手工具、20kHz)を使用して、ポリ−LDL−乳酸からなるピン型の拡散器ブランク(長さ25mm、直径3.5mm)を深さ12mmまで圧入することによって製造された。次いで、625nmの波長のレーザ光(電力0.5μW)が光伝導繊維(直径400μm)から近位面を通ってインプラントの中に結合され、繊維検出器(直径200μm)によってソーボーンの部分におけるさまざまなポイントで光度が測定された。
【0050】
図4に示される図は、拡散器表面からの距離[mm]に対する測定された光度[カウント]を示す。指数が−3である指数関数的に下降する曲線との適合度は優れており(r=0.89)、拡散器によって照明される空間の基本的に球形の形を示す。
【0051】
図5および図6は、2つのさらなる例示的な拡散器ブランク1を示し、これらの拡散器ブランクから、さまざまな用途のための拡散器がこの発明に従う方法によって製造されることが可能である。図5に従う拡散器ブランク1は、先の尖った遠位端1.1を含み、その周方向の表面の遠位領域は円周の半分の周囲にエネルギー方向付与器21(たとえば、軸方向に延在するリブ)を備え、そのため、光を散乱させる構造がこの表面範囲でのみ生成されることが可能である。このような拡散器ブランクは、活性領域がおよそ半球の形状を含む拡散器をもたらす。図6に従う拡散器ブランク1は尖っていない遠位端1.1を含み、その周方向の表面の中央の領域は円周を半周するエネルギー方向付与器21(たとえば、瘤(Hoecker))を備える。図1に示される方法を使用して、この拡散器ブランクは、活性領域が半円柱におよそ等しい拡散器を製造する。
【0052】
最も多様な形状からなる活性領域を有する拡散器は、図5および図6に示されるもののような拡散器ブランクから設計されることが可能である。そこでは、示されるように、拡散器ブランクは必ずしもピン型である必要はなく、円形の断面を含む必要はない。拡散器ブランクはより小型の形を有する可能性もあり、円錐形に成形される可能性もあり、および/または多角形もしくは不規則な断面を含む可能性もある。
【0053】
図7は、拡散器の芯40を含む、この発明に従う別の拡散器10の軸方向の断面であり、拡散器の芯40はさらなるたとえば非光学的機能のために備え付けられる。光を散乱させる表面構造を有する拡散器材料(たとえば、ポリマーパイン(Polymerpin))が拡散器の芯40の周囲に配置され、拡散器の芯40の表面を完全にまたは部分的に覆う。拡散器の芯40は、たとえばチタンで構成され、拡散器インプラントではたとえば耐荷重性の機能を想定する。拡散器は、対応する拡散器ブランクからその場でまたは他の場所で製造されることができる。
【0054】
光は、近位面(外側リング)の一部を通ってのみ、図7に従う拡散器10の中に結合される。この目的のために、たとえば図8に断面で示される光導体11が使用される。この光導体11は、導体の芯41とその周りに配置される光伝導繊維42を含み、導体の芯41の断面は拡散器の芯40の近位面に合わせて調節される。
【0055】
拡散器の芯40は、既に記載された耐荷重性の機能の代わりのさらなる機能または耐荷重性の機能に加えたさらなる機能を想定することができ、このような目的のために適切な材料で構成され得る。拡散器が他の場所で製造される場合、このような追加の機能は、たとえば照明されるべき場所に拡散器を位置決めする際に拡散器の動きを制御することに役立つ。拡散器または拡散器キャップが機器(図11および図12を参照)として製造される場合、追加の機能はさらにすすぐ機能または吸引する機能である可能性があり、そのために拡散器の芯は中空のコンダクトとして設計される。さらなる光導体はたとえばその場で製造された拡散器のそのような中空のコンダクト(Kondukt)に延在してもよく、さらなる光導体はたとえば記録機能を有し、マイクロカメラに接続され、マイクロカメラはたとえば照明効果を同時に分析すること、または蛍光によって印を付けられる腫瘍細胞を検出および探し当てることに役立ち得る。
【0056】
その場で製造された拡散器(拡散器インプラント)の拡散器の芯40は、さらに、拡散器を囲む組織に薬を投与するために放出機能を有してもよい。再吸収可能なポリマーまたはゲルが拡散器材料として使用される場合、この放出機能は拡散器材料を介して直接に実行されることもできる。拡散器の芯は光学要素として製造されることもでき、光学要素は、拡散器から分離され、(たとえば、別の感光性の薬を活性化させるために)別の波長の光を結合するために設計されるか、または拡散器を囲む組織を温めるために赤外線光を結合するために設計される。拡散器材料の、拡散器の芯40への配置は、拡散器の芯40の
機能に適合されることになる。
【0057】
図9は、この発明に従うさらなる拡散器を通る軸方向の断面であり、この拡散器はその場でまたは他の場所で製造されることができ、拡散器の芯40を含み、その上に拡散器材料がたとえばコーティングとして配置される。光導体11に結合されるために、拡散器の芯40は中央開口43を有する近位領域を含み、たとえば開口の底部には円錐形の鏡面50が配置され、光放射口51が鏡面の上に配置される。光導体11の遠位端は、(クラッディングすることなく、およびその前面が有利に鏡面50に適合された状態で)中央開口43の中に光を結合するためのこの開口に導入される。光導体11によって導入された光は、図9に矢印によって示されるように、鏡面50から反射され、光放射口51を通って拡散器材料に到達する。
【0058】
図10は、拡散器の芯40を有する、この発明に従うさらなる拡散器10を通る軸方向の断面であり、この拡散器もその場でまたは他の場所で製造されることができる。拡散器の芯40は鞘型であり、貫通開口を含む。たとえば熱可塑性ポリマー、ゲルまたは熱硬化性ポリマーなどの拡散器材料が、鞘型の拡散器の芯40内の拡散器ブランクに与えられる。拡散器10は、拡散器材料が機械的振動を利用して拡散器の芯に、開口を通って、周囲の骨組織または人工的な多孔質の成形材料により深く圧入されることによって製造され、それによって、光を散乱させる表面構造5を得る。
【0059】
図11および図12は、この発明に従う拡散器10を示し、これらは他の場所で製造され、機器または機器の一部を構成する拡散器キャップ14を含む。図11に示される機器は軸方向の断面で示されるメスであり、その刃は拡散器キャップ12であり、つまりこの発明に従う拡散器10を収容している。拡散器キャップはたとえば透過性のセラミック材料で構成されることができ、多孔質の成形材料の役割を果たす区域においてのみ関連して有利に多孔質であり、特に刃先の区域ではできる限り目が詰まっている。光導体(図示せず)のための結合ポイントは柄60の領域に位置する。光を拡散器10の中に結合するために、メスの刃は発光するようになり、それ自体の動作区域を均質に照明することができる。
【0060】
図11に従うメスの刃は、たとえば液体拡散器材料が刃の中の適切な中ぐりに吸引されるまたは他の上述の方法のいずれかによって導入されることによって製造される。刃は、拡散器10が製造された後にさらに適合されることが可能である。拡散器材料が柄60の領域で光を散乱させる表面を得ることを防ぐために、多孔質の成形材料ではなく目の詰まった成形材料がそこに与えられることになる。
【0061】
しかしながら、柄60の領域に、刃の領域よりもわずかに大きな中ぐりを設けること、およびピンの形状の拡散器材料を柄に導入すること、および超音波を用いて拡散器材料を刃にさらに圧入すること、および光導体として機能する柄を介して光を刃に伝えることも可能である。
【0062】
図12は、拡散器キャップ14を有する、この発明に従う拡散器10のさらなる例として、挟みまたは鉗子の対に似た機器を示し、その刃または脚部70および71は各々、図11のメスの刃(Skalpellklinge)に関して記載された態様で拡散器(概略的に破線によって示される)を備え付ける。機器が使用されるとき、刃または脚部70および71は同時に拡散光の供給源の役割を果たし、機器の動作区域を照明する。
【0063】
明らかに、図11および図12に示される拡散器を備え付ける機器または機器の一部は、当該技術水準から公知の拡散器を備え付けることも可能である。言い換えると、表面張力によって引起され、アンダーカットの形を含む光を散乱させる表面を拡散器が有するこ
とはこのような機器の条件ではない。他の公知の光を散乱させる表面構造は、多孔質でない構造で鋳造することによって、または拡散器キャップに位置決めされる前に拡散器ブランクを対応して機械加工することによって作られることが可能である。
【0064】
記載された拡散器ブランクから、示された方法によって製造されることができる記載された拡散器は、たとえば光力学療法による方法のため、特に腫瘍発生の病気の治療のために使用される。このような用途のために、本明細書に記載され主張される方法のうちの1つである、本明細書に記載され主張される拡散光を組織領域に導入するための方法では、特にピン型の拡散器ブランクが組織に移植され、問題の組織はたとえば骨組織であり、治療されるべき骨組織領域は骨腫瘍または転移の領域である。
【0065】
このように、光力学療法による方法は、感光性物質を腫瘍組織または転移に導入するステップと、本明細書に記載され主張される方法の実施例のうちの1つに従って拡散器を(その場で)製造するまたは他の場所で製造された拡散器を腫瘍組織もしくは転移に導入するステップと、拡散器を通して、特に感光性物質を活性化する特定の波長を用いて腫瘍組織もしくは転移を照明するステップと、化学反応を引起し、それによって腫瘍細胞もしくは転移が破壊されるステップとを含む。「物質を導入する」方法ステップおよび「拡散器を製造する」方法ステップはさらに、逆の順序で行なわれてもよい。照明は波長の可視域にある光を用いて行なわれる必要はなく、「照明する」という用語は特に赤外線または紫外線の範囲の他の波長の電磁放射を用いた放射にまで及ぶ。
【0066】
感光性物質を導入するステップは、腫瘍組織または転移に主に集まる物質を全身に投与することによって行なわれることが可能である。この物質はさらに、腫瘍組織または転移に局所的に投与されてもよい。さらに、拡散器または拡散器ブランクを通して物質を放出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】拡散器の例に関するこの発明に従う光拡散器を製造するための方法を示し、この拡散器はほぼ円筒形の活性領域を有する。
【図2】さらなる例示的な拡散器ブランク、および拡散器ブランクから製造されるこの発明に従う光拡散器を示し、この拡散器はより球形の活性領域を含む。
【図3】図1および図2に従う光拡散器の強度プロファイルを示す。
【図4】図1および図2に従う光拡散器の強度プロファイルを示す。
【図5】さまざまな活性領域を有する光拡散器を製造するのに好適な拡散器ブランクのさらなる例示的な実施例を示す。
【図6】さまざまな活性領域を有する光拡散器を製造するのに好適な拡散器ブランクのさらなる例示的な実施例を示す。
【図7】追加の機能に備える拡散器の芯を含む、この発明に従うさらなる光拡散器を示す。
【図8】図7に従う光拡散器の中に光を結合するさまざまな方法を示す。
【図9】図7に従う光拡散器の中に光を結合するさまざまな方法を示す。
【図10】さらなる機能に備える中空の拡散器の芯を有する、この発明に従うさらなる光拡散器を示す。
【図11】さらなる機能に備える拡散器キャップを有する、この発明に従う拡散器を示す。
【図12】さらなる機能に備える拡散器キャップを有する、この発明に従う拡散器を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過性の拡散器材料で少なくとも部分的に構成される光拡散器(10)であって、前記光拡散器は光導体(11)によって供給された光を前記光拡散器(10)の中に結合するのに好適な近位端を含み、前記光拡散器は光を散乱させる表面区域をさらに含み、そこを通って、前記光拡散器の中に結合された前記光は前記光拡散器(10)から拡散して偏向され、前記光を散乱させる表面区域は、液体状態の前記拡散器材料を多孔質の成形材料(2)の境界層(4)に浸透させることによって製造され、したがって表面張力によって引起されるアンダーカットの形を含む構造(5)を含むことを特徴とする、光拡散器。
【請求項2】
前記光拡散器はピン型であり、前記光を散乱させる表面区域はその周方向の表面および/またはその遠位端(1.1)に位置することを特徴とする、請求項1に記載の光拡散器。
【請求項3】
前記拡散器材料は、熱可塑性材料、化学反応を経て熱硬化する材料、またはゲルである、請求項1または2のいずれかに記載の光拡散器。
【請求項4】
前記光拡散器は、さらなる機能のために備え付けられた拡散器の芯(40)を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の光拡散器。
【請求項5】
前記拡散器の芯(40)は透過性でない材料で構成され、非光学的機能のために備え付けられることを特徴とする、請求項4に記載の光拡散器。
【請求項6】
前記拡散器の芯(40)は透過性の材料で少なくとも部分的に構成され、さらなる光学的機能のために備え付けられることを特徴とする、請求項4に記載の光拡散器。
【請求項7】
前記光拡散器は骨組織に移植され、前記骨組織は前記成形材料であることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の光拡散器。
【請求項8】
前記光拡散器は、前記多孔質の成形材料(2)からなる拡散器キャップ(14)を含み、前記拡散器キャップ(14)の前記多孔質の成形材料(2)は、前記拡散器材料によって境界層(4)に浸透されることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の光拡散器。
【請求項9】
前記拡散器キャップ(14)は、機器または機器の一部として設計されることを特徴とする、請求項8に記載の光拡散器。
【請求項10】
前記拡散器キャップは均質でない多孔質となっている、請求項8または9のいずれかに記載の光拡散器。
【請求項11】
液体状態の前記拡散器材料は、境界領域において前記多孔質の成形材料(2)の穴に圧入され、次いで固体またはゲルのような状態にされることを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載の光拡散器(10)を製造するための方法。
【請求項12】
前記多孔質の成形材料(2)は、拡散器キャップ(14)として前記拡散器(10)に残されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記多孔質の成形材料(2)は、前記拡散器(10)から除去されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
熱可塑性拡散器材料で構成される拡散器ブランク(1)は、遠位端(1.1)と、供給された光を前記光拡散器の中に結合するために備え付けられる近位端(1.2)とを含み、前記多孔質の成形材料(2)の中または前記多孔質の成形材料(2)上に位置決めされ、機械的振動が前記近位端(1.2)にかけられ、前記拡散器ブランク(1)は同時に前記多孔質の成形材料(2)に対して押圧され、そのため、前記熱可塑性拡散器材料は、前記多孔質の成形材料(2)と接触する前記表面区域のそれらの領域で液化し、前記多孔質の成形材料(2)に圧入されることを特徴とする、請求項11から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記多孔質の成形材料(2)は、穴の大きさが0.005から1.0mmの間の範囲である穴を含むことを特徴とする、請求項11から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
開口(3)が前記多孔質の成形材料(2)に設けられ、前記拡散器ブランク(1)は、その遠位端(1.1)が、位置決めされるときでもなく、押圧され前記機械的振動がかけられるときでもないときに、前記開口の底部と接触しないように前記開口(3)に位置決めされることを特徴とする、請求項11から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
開口は前記多孔質の成形材料(2)に設けられ、前記遠位端(1.1)が前方を向いた状態で前記拡散器ブランク(1)が前記開口の底部に打ち込まれること、または前記多孔質の成形材料に開口が設けられず、前記遠位端が前方を向いた状態で前記拡散器ブランクが前記多孔質の成形材料(2)に打ち込まれることを特徴とする、請求項11から15のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
請求項11から16のいずれかに記載の方法で使用されるのに好適な拡散器(1)ブランクであって、前記拡散器(1)ブランクは透過性の熱可塑性拡散器材料で少なくとも部分的に構成され、遠位端および近位端(1.1,1.2)を含み、前記近位端(1.2)は、光を前記拡散器ブランクの中に結合し、前記拡散器ブランクにかけられる機械的振動に好適であり、前記拡散器ブランクは表面区域をさらに含み、前記拡散器材料は光を散乱させる表面構造(5)の生成のために液化され、多孔質の成形材料(2)に圧入され、この目的のために、前記表面区域はさらなる表面区域を超えて突出するか、または突出するエネルギー方向付与器(21)を備え、前記表面区域が前記多孔質の成形材料(2)と接触できるような態様で前記拡散器ブランク(1)に位置することを特徴とする、拡散器ブランク。
【請求項19】
前記拡散器ブランクはピン型であり、前記光を散乱させる構造(5)が製造される前記表面区域は、その周方向の表面に位置することを特徴とする、請求項18に記載の拡散器ブランク。
【請求項20】
前記さらなる表面区域は研磨されるか、またはコーティングされることを特徴とする、請求項18または19のいずれかに記載の拡散器ブランク。
【請求項21】
前記拡散器ブランクは、照明するインプラントとして好適であり、臨床的に適用可能な熱可塑性ポリマーで構成されることを特徴とする、請求項18から20のいずれかに記載の拡散器ブランク。
【請求項22】
前記ポリマーは生物学的に再吸収可能であることを特徴とする、請求項21に記載の拡散器ブランク。
【請求項23】
前記拡散器ブランクは、さらなる機能のために備え付けられた拡散器の芯(40)を含み、前記拡散器材料は前記拡散器の芯(40)の周囲に位置するか、または前記拡散器材
料は前記拡散器の芯(40)内に与えられ、前記拡散器の芯は開口を含み、その開口を通って前記拡散器材料は前記拡散器の芯(40)の表面に押圧されることができることを特徴とする、請求項18から22のいずれかに記載の拡散器ブランク。
【請求項24】
光で治療されるべき組織における区域の中に拡散光を導入するための方法であって、前記光は遠位光導体端部(11)を有する光導体によって組織区域に供給され、請求項21から23のいずれかに記載の拡散器ブランク(1)は、その近位端(1.2)が接触可能なままであり、その遠位端(1.1)が治療されるべき前記組織区域に到達するまたは治療されるべき前記組織区域の中に到達するように前記組織に移植され、移植のために、機械的振動がその近位端(1.2)を通して前記拡散器ブランク(1)にかけられ、前記拡散器ブランクは前記組織に圧入され、そのため、熱可塑性拡散器材料は、突出する表面区域またはエネルギー方向付与器(21)を備え付けられた表面区域で液化し、前記組織に圧入され、次いで、前記遠位光導体端部(11)は前記近位端(1.2)に結合され、光は拡散器の中に結合されることを特徴とする、方法。
【請求項25】
前記拡散器ブランク(1)はピン型であり、骨組織(20)に移植されることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
皮質骨層(20.1)は前記拡散器ブランク(1)の移植のために開けられ、前記拡散器ブランク(1)は中に開口を設けることなく海綿状の骨(20.2)に打ち込まれることを特徴とする、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記拡散器ブランク(1)は、その近位端(1.2)に向かって、エネルギー方向付与器(21)を持たない表面範囲(31)または窪んだ表面を有する表面範囲(31)を含み、この表面範囲(31)の軸方向の長さは、治療されるべき骨領域の深さに合わせて調節されることを特徴とする、請求項24から26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記拡散器ブランク(1)は、その遠位端(1.1)に向かって、エネルギー方向付与器(21)を有する表面範囲(30)または突出する表面を有する表面範囲(30)を含み、この表面範囲(30)の軸方向の長さは、治療されるべき骨組織区域の大きさに合わせて調節されることを特徴とする、請求項26または27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
光を散乱させる表面を有する光拡散器であって、拡散器キャップ(14)は前記光を散乱させる表面を囲んで位置し、前記拡散器キャップ(14)は機器または機器の一部として設計されることを特徴とする、光拡散器。
【請求項30】
前記機器は、メスの刃、鋏のような機器の刃、もしくは鉗子のような機器の脚部、またはそれらの一部であることを特徴とする、請求項29に記載の光拡散器。
【請求項1】
透過性の拡散器材料で少なくとも部分的に構成される光拡散器(10)であって、前記光拡散器は光導体(11)によって供給された光を前記光拡散器(10)の中に結合するのに好適な近位端を含み、前記光拡散器は光を散乱させる表面区域をさらに含み、そこを通って、前記光拡散器の中に結合された前記光は前記光拡散器(10)から拡散して偏向され、前記光を散乱させる表面区域は、液体状態の前記拡散器材料を多孔質の成形材料(2)の境界層(4)に浸透させることによって製造され、したがって表面張力によって引起されるアンダーカットの形を含む構造(5)を含むことを特徴とする、光拡散器。
【請求項2】
前記光拡散器はピン型であり、前記光を散乱させる表面区域はその周方向の表面および/またはその遠位端(1.1)に位置することを特徴とする、請求項1に記載の光拡散器。
【請求項3】
前記拡散器材料は、熱可塑性材料、化学反応を経て熱硬化する材料、またはゲルである、請求項1または2のいずれかに記載の光拡散器。
【請求項4】
前記光拡散器は、さらなる機能のために備え付けられた拡散器の芯(40)を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の光拡散器。
【請求項5】
前記拡散器の芯(40)は透過性でない材料で構成され、非光学的機能のために備え付けられることを特徴とする、請求項4に記載の光拡散器。
【請求項6】
前記拡散器の芯(40)は透過性の材料で少なくとも部分的に構成され、さらなる光学的機能のために備え付けられることを特徴とする、請求項4に記載の光拡散器。
【請求項7】
前記光拡散器は骨組織に移植され、前記骨組織は前記成形材料であることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の光拡散器。
【請求項8】
前記光拡散器は、前記多孔質の成形材料(2)からなる拡散器キャップ(14)を含み、前記拡散器キャップ(14)の前記多孔質の成形材料(2)は、前記拡散器材料によって境界層(4)に浸透されることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の光拡散器。
【請求項9】
前記拡散器キャップ(14)は、機器または機器の一部として設計されることを特徴とする、請求項8に記載の光拡散器。
【請求項10】
前記拡散器キャップは均質でない多孔質となっている、請求項8または9のいずれかに記載の光拡散器。
【請求項11】
液体状態の前記拡散器材料は、境界領域において前記多孔質の成形材料(2)の穴に圧入され、次いで固体またはゲルのような状態にされることを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載の光拡散器(10)を製造するための方法。
【請求項12】
前記多孔質の成形材料(2)は、拡散器キャップ(14)として前記拡散器(10)に残されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記多孔質の成形材料(2)は、前記拡散器(10)から除去されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
熱可塑性拡散器材料で構成される拡散器ブランク(1)は、遠位端(1.1)と、供給された光を前記光拡散器の中に結合するために備え付けられる近位端(1.2)とを含み、前記多孔質の成形材料(2)の中または前記多孔質の成形材料(2)上に位置決めされ、機械的振動が前記近位端(1.2)にかけられ、前記拡散器ブランク(1)は同時に前記多孔質の成形材料(2)に対して押圧され、そのため、前記熱可塑性拡散器材料は、前記多孔質の成形材料(2)と接触する前記表面区域のそれらの領域で液化し、前記多孔質の成形材料(2)に圧入されることを特徴とする、請求項11から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記多孔質の成形材料(2)は、穴の大きさが0.005から1.0mmの間の範囲である穴を含むことを特徴とする、請求項11から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
開口(3)が前記多孔質の成形材料(2)に設けられ、前記拡散器ブランク(1)は、その遠位端(1.1)が、位置決めされるときでもなく、押圧され前記機械的振動がかけられるときでもないときに、前記開口の底部と接触しないように前記開口(3)に位置決めされることを特徴とする、請求項11から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
開口は前記多孔質の成形材料(2)に設けられ、前記遠位端(1.1)が前方を向いた状態で前記拡散器ブランク(1)が前記開口の底部に打ち込まれること、または前記多孔質の成形材料に開口が設けられず、前記遠位端が前方を向いた状態で前記拡散器ブランクが前記多孔質の成形材料(2)に打ち込まれることを特徴とする、請求項11から15のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
請求項11から16のいずれかに記載の方法で使用されるのに好適な拡散器(1)ブランクであって、前記拡散器(1)ブランクは透過性の熱可塑性拡散器材料で少なくとも部分的に構成され、遠位端および近位端(1.1,1.2)を含み、前記近位端(1.2)は、光を前記拡散器ブランクの中に結合し、前記拡散器ブランクにかけられる機械的振動に好適であり、前記拡散器ブランクは表面区域をさらに含み、前記拡散器材料は光を散乱させる表面構造(5)の生成のために液化され、多孔質の成形材料(2)に圧入され、この目的のために、前記表面区域はさらなる表面区域を超えて突出するか、または突出するエネルギー方向付与器(21)を備え、前記表面区域が前記多孔質の成形材料(2)と接触できるような態様で前記拡散器ブランク(1)に位置することを特徴とする、拡散器ブランク。
【請求項19】
前記拡散器ブランクはピン型であり、前記光を散乱させる構造(5)が製造される前記表面区域は、その周方向の表面に位置することを特徴とする、請求項18に記載の拡散器ブランク。
【請求項20】
前記さらなる表面区域は研磨されるか、またはコーティングされることを特徴とする、請求項18または19のいずれかに記載の拡散器ブランク。
【請求項21】
前記拡散器ブランクは、照明するインプラントとして好適であり、臨床的に適用可能な熱可塑性ポリマーで構成されることを特徴とする、請求項18から20のいずれかに記載の拡散器ブランク。
【請求項22】
前記ポリマーは生物学的に再吸収可能であることを特徴とする、請求項21に記載の拡散器ブランク。
【請求項23】
前記拡散器ブランクは、さらなる機能のために備え付けられた拡散器の芯(40)を含み、前記拡散器材料は前記拡散器の芯(40)の周囲に位置するか、または前記拡散器材
料は前記拡散器の芯(40)内に与えられ、前記拡散器の芯は開口を含み、その開口を通って前記拡散器材料は前記拡散器の芯(40)の表面に押圧されることができることを特徴とする、請求項18から22のいずれかに記載の拡散器ブランク。
【請求項24】
光で治療されるべき組織における区域の中に拡散光を導入するための方法であって、前記光は遠位光導体端部(11)を有する光導体によって組織区域に供給され、請求項21から23のいずれかに記載の拡散器ブランク(1)は、その近位端(1.2)が接触可能なままであり、その遠位端(1.1)が治療されるべき前記組織区域に到達するまたは治療されるべき前記組織区域の中に到達するように前記組織に移植され、移植のために、機械的振動がその近位端(1.2)を通して前記拡散器ブランク(1)にかけられ、前記拡散器ブランクは前記組織に圧入され、そのため、熱可塑性拡散器材料は、突出する表面区域またはエネルギー方向付与器(21)を備え付けられた表面区域で液化し、前記組織に圧入され、次いで、前記遠位光導体端部(11)は前記近位端(1.2)に結合され、光は拡散器の中に結合されることを特徴とする、方法。
【請求項25】
前記拡散器ブランク(1)はピン型であり、骨組織(20)に移植されることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
皮質骨層(20.1)は前記拡散器ブランク(1)の移植のために開けられ、前記拡散器ブランク(1)は中に開口を設けることなく海綿状の骨(20.2)に打ち込まれることを特徴とする、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記拡散器ブランク(1)は、その近位端(1.2)に向かって、エネルギー方向付与器(21)を持たない表面範囲(31)または窪んだ表面を有する表面範囲(31)を含み、この表面範囲(31)の軸方向の長さは、治療されるべき骨領域の深さに合わせて調節されることを特徴とする、請求項24から26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記拡散器ブランク(1)は、その遠位端(1.1)に向かって、エネルギー方向付与器(21)を有する表面範囲(30)または突出する表面を有する表面範囲(30)を含み、この表面範囲(30)の軸方向の長さは、治療されるべき骨組織区域の大きさに合わせて調節されることを特徴とする、請求項26または27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
光を散乱させる表面を有する光拡散器であって、拡散器キャップ(14)は前記光を散乱させる表面を囲んで位置し、前記拡散器キャップ(14)は機器または機器の一部として設計されることを特徴とする、光拡散器。
【請求項30】
前記機器は、メスの刃、鋏のような機器の刃、もしくは鉗子のような機器の脚部、またはそれらの一部であることを特徴とする、請求項29に記載の光拡散器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2007−536028(P2007−536028A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511826(P2007−511826)
【出願日】平成17年5月3日(2005.5.3)
【国際出願番号】PCT/CH2005/000246
【国際公開番号】WO2005/105208
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(501485227)ウッドウェルディング・アクチェンゲゼルシャフト (17)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月3日(2005.5.3)
【国際出願番号】PCT/CH2005/000246
【国際公開番号】WO2005/105208
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(501485227)ウッドウェルディング・アクチェンゲゼルシャフト (17)
【Fターム(参考)】
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