説明

光源とイメージ・センサを使用する焦点合せシステム

光軸を有し、1つまたは複数の焦点合せ要素を含む可動光学要素と、光軸に沿って位置決めされ、実質的に光軸に垂直なイメージ・センサと、可動光学要素に取り付けられた放射源であって、光軸に対する相対的な選択された角度でセンサに放射ビームを向ける放射源とを含む装置。可動光学要素の光軸に沿って、これに垂直にセンサを位置決めすることと、可動光学要素に取り付けられた放射源から光軸に対して相対的に選択された角度でセンサに放射ビームを投影することと、放射ビームがセンサに当たる位置が、可動光学要素に焦点が合っている時に放射ビームがセンサに当たると期待される位置に対応するまで、可動光学要素の位置を調整することとを含む方法。他の実施形態が開示され請求される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には結像デバイスの焦点合せに関し、具体的には、それだけには限らないが、イメージング・センサと光源を使用するフォーカス・フィードバック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に、レンズ102が物体104の像を像平面106に焦点合せする単純なレンズ系100を示す。物体104は、レンズからの前側焦点距離ffであり、像平面106は、レンズからの後側焦点距離fbである。レンズ102が像平面106上の最適に焦点合せされた像を維持するために、光学の法則は、ffとfbとの間のある関係を規定する、言い換えると、所与のffについて、像が像平面106上に正しく焦点合せされるために維持されなければならないfbの特定の値がある。
【0003】
非常に単純なレンズ系100にあてはまることは、より複雑な焦点合せ系にもあてはまる。例えば、あるffに対して、維持されなければならないfbの特定の値がある。しかし、より複雑な焦点合せ要素を含むデバイスでは、熱膨張、機械部分の公差、類似物などの様々な要因が、焦点合せ要素を移動させ、したがって、ffとfbの値を変え、焦点を合わされる像の品質に影響する。焦点合せ要素のこれらの動きを訂正するために、一部のデバイスには、その位置が制御システムによって制御される可動光学要素が組み込まれる。制御システムは、像が焦点外れになる時を感知し、ffとfbがその正しい値に戻され、その結果、像が最適焦点に戻されるまで、可動光学要素の位置を調整する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、制御システムは、正しく働けるようになる前に、可動光学要素の位置を検出する何らかの方法を有しなければならない。可動光学要素の位置を検出する最も一般的な方法では、機械式センサが使用される。しかし、機械式センサは、かさばり、高価であり、小さいシステムに一体化するのが難しい。これらのセンサは、機械式なので、その正確さは、センサ内の機械的公差のゆえに制限されてもおり、さらに、これらのセンサには、熱膨張などの要因によってもたらされる不正確さもある。光学ベースの位置センサが開発されてきたが、これらも、かさばり、高価であり、主として、例えば信号を送り、受け取り、距離を計算するために遅延を測定することによる前側焦点距離ffの測定に頼る。したがって、当技術分野には、安価で、コンパクトで、光学系に組み込むのが簡単であると同時に、可動焦点合せ要素の位置を正確に測定する装置と方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願は、光軸を有し、1つまたは複数の焦点合せ要素を含む可動光学要素と、光軸に沿って位置決めされ、実質的に光軸に垂直なイメージ・センサと、可動光学要素に取り付けられた放射源であって、光軸に対する相対的な選択された角度でセンサに放射ビームを向ける放射源とを含む装置の実施態様を開示する。本願は、可動光学要素の光軸に沿って、これに垂直にセンサを位置決めし、可動光学要素に取り付けられた放射源から光軸に対して相対的に選択された角度でセンサに放射ビームを投影し、放射ビームがセンサに当たる位置が、可動光学要素に焦点が合っている時に放射ビームがセンサに当たると期待される位置に対応するまで、可動光学要素の位置を調整することを含む方法の実施態様を開示する。上記ならびに他の実施形態が、開示され請求される。
【0006】
本発明の非限定的かつ非網羅的な実施形態を、図面に関して説明するが、図面では、そうでないと指定されない限り、類似する符号が、様々な図にまたがって類似する部分を指す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
光源とセンサを使用して結像デバイスの焦点を合わせる装置と方法の実施形態を、本明細書で説明する。次の説明では、本発明の実施形態の完全な理解をもたらすために、多数の具体的な詳細を説明する。しかし、当業者は、1つまたは複数の特定の詳細なしで、あるいは他の方法、構成要素、材料などを用いて、本発明を実現できることを認めるであろう。他の場合には、周知の構造、材料、または動作は、詳細には図示されず、または説明されないが、それでも、本発明の範囲に含まれる。
【0008】
本明細書全体を通じて、「一実施形態」または「実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書での句「一実施形態で」または「実施形態で」の出現は、必ずしもすべてが同一の実施形態に言及するのではない。さらに、その特定の特徴、構造、または特性が、1つまたは複数の実施形態で、任意の適切な形で組み合わされる場合がある。
【0009】
図2に、フォーカス・フィードバック・システム200を含む本発明の実施形態を概略的に示す。システム200は、ハウジングまたは支持体214内に取り付けられた可動光学要素202を含む。ステップ・モータ218が、動き伝達機構220を介して可動光学要素202に結合されている。可動光学要素202は、物体(図示せず)の像をイメージ・センサ222上に焦点合せする。物体と可動光学要素との間の各前側焦点距離ffは、可動光学要素とイメージ・センサ222との間の対応する後側焦点距離fbを有する。放射源212が、放射ビーム213を光軸210に対して相対的な選択された角度αでイメージ・センサ222に向けるように、可動光学要素202に取り付けられる。コントローラ224が、イメージ・センサ222の出力とステップ・モータ218に結合され、コントローラ224は、放射ビーム213がイメージ・センサ222に当たる位置に応答してステップ・モータ218の動きを制御できるようになっている。
【0010】
可動光学要素202の主機能は、物体(この図には図示せず)の像をイメージ・センサ222に焦点合せすることである。正しく焦点合せされた像を、可動光学要素202から可変前側焦点距離にある物体についてセンサ上で作成できることを確実にするために、可動光学要素は、矢印209によって示されるように、実質的にそれ自体の光軸210に沿って前後に動くことができる。図示の実施形態では、可動光学要素202は、光軸210に沿って整列された3つの焦点合せ要素204、206、208を含む複合光学要素である。他の実施形態では、可動光学要素202に、より多数またはより少数の焦点合せ要素を含めることができ、焦点合せ要素を、可動光学要素内で異なって配置することができる。さらに、焦点合せ要素204、206、208は、これらの図では、屈折焦点合せ要素として図示されるが、他の実施形態では、焦点合せ要素を回折要素または反射要素とすることもできる。さらに他の実施形態では、屈折焦点合せ要素、回折焦点合せ要素、反射焦点合せ要素の組合せを使用することができる。
【0011】
放射源212は、可動光学要素202に取り付けられる。放射源212は、可動光学要素の光軸210に対する相対的な選択された角度αで放射ビーム213を放つように位置決めされる。放射源212には、放たれるビームを焦点合せするかコリメートする要素をその中に含めることができる。したがって、放たれるビームがコリメートされる場合には、実質的に楕円形の放射スポットが、その放射がセンサに当たるところに作成される。最大の感度のために、選択された角度αは、可動光学要素202がその動きの範囲を通って移動する時のセンサを横切る放射スポットの移動を最大にする(図3A〜3Bを参照されたい)ように選択することができ、したがって、センサのサイズ、可動光学要素とセンサとの間の距離、および可動光学要素がその軸に沿ってどれほど移動できるかなどのパラメータに依存する。一実施形態で、αは、62.5°の値を有するが、他の実施形態では、もちろん、αの値を異なるものにすることができる。
【0012】
図示の実施形態では、放射源212は、可動光学要素202の外面で、実質的にこの光学要素のセンサに最も近い端に取り付けられる。しかし、他の実施形態では、放射源を、可動光学要素の他の場所に位置決めすることができ、あるいは、放射源によって放たれる放射ビームがセンサに達することができる限り、センサ平面上で可動光学要素202に向けて位置決めし、イメージ・センサ222に戻って反射させることができる。一実施形態で、放射源212によって放たれる放射は、スペクトルの可視部分とすることができ、放射源の例が、発光ダイオード(LED)である。しかし、他の実施形態では、放たれる放射を、スペクトルの赤外範囲または紫外範囲など、スペクトルのうちで可視範囲の外の部分にあるものとすることができる。
【0013】
光学要素202がその軸210に沿って移動できるように、光学要素202は、光軸210に沿った動きを可能にしながら可動光学要素202を支持する要素によってハウジング214内の開口内に保持される。図示の実施形態では、可動光学要素は、ハウジング214内でローラー216によって支持されるが、他の実施形態では、可動光学要素を、ハウジング内で他の手段によって支持することができ、あるいは、ハウジング214に取り付けられてはいない手段によって支持することができる。
【0014】
ステップ・モータ218は、動き伝達機構220に結合され、動き伝達機構220は可動光学要素220に結合される。ステップ・モータ218がアクティブ化される時に、その動きは、動き伝達機構220を駆動し、動き伝達機構は、矢印209によって示されるように、モータの動きを可動光学要素202の、実質的にその光軸210に沿った前後の直線運動に変換する。ステップ・モータ218の動きが回転である実施形態では、動き伝達機構220を、モータの回転運動を可動光学要素202の直線運動に変換する要素とすることができ、適切な動き伝達機構の例には、カム、歯車、摩擦車、ウォーム歯車、ラック・アンド・ピニオン・アセンブリ、または上記および/もしくは他のそのような機構の組合せが含まれる。モータ218の動きが直線である代替実施形態では、動き伝達機構を、モータを可動光学要素に接続する堅い要素などの単純なものとすることができ、あるいは、カム、歯車、摩擦車、ウォーム歯車、ラック・アンド・ピニオン・アセンブリ、または上記および/もしくは他のそのような機構の組合せをも含むより複雑な機構とすることができる。
【0015】
イメージ・センサ222は、可動光学要素202によってその上で焦点合せされる像を取り込むことができる任意のセンサとすることができる。一実施形態で、イメージ・センサ222は、2次元像を取り込むことができる、例えば1.3メガ画素アレイなどの画素のアレイを含むデジタル・センサである。適切なセンサの例には、電荷結合素子(CCD)アレイ、相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサ、光検出器、その類似物が含まれる。しかし、他の実施形態では、他のタイプのセンサを使用することができる。
【0016】
コントローラ224がイメージ・センサ222の出力に結合され、ステップ・モータ218にも結合され、したがって、閉ループ制御をもたらす。下で図5A〜5Bに関してさらに説明するように、コントローラ224は、放射源212によって作成されるスポットの位置を含むセンサの出力を分析し、この情報を使用して、ステップ・モータ218を制御する。したがって、コントローラ224は、可動光学要素を正しい後側焦点距離まで移動させること、および正しい後側焦点距離が見つかった後にそれを維持することなどの機能にスポット位置情報を使用する。図示の実施形態では、コントローラは、イメージ・センサ222とは物理的に別々のユニットであるが、他の実施形態では、この2つの両方を同一ユニットの一部とすることができる。例えば、一体化されたセンサを有するプロセッサにおいて、コントローラをそのプロセッサ内に実装することができる。さらに、コントローラは、ハードウェアまたはソフトウェアのいずれかで実装することができる。
【0017】
図3A〜3Cに、可動光学要素202の動きと放射源212によって作成されるスポットのイメージ・センサ222を横切る対応する移動の実施形態を示す。図面に示された寸法は、図を明瞭にするために誇張されており、多数の実用的応用例では、ΔfbとΔxなどの距離は、実際には非常に小さい。図3Aは、スポットの中央が矢印302によってマークされた位置xRになる、引っ込められた位置での可動光学要素202を示す。図3Bは、延ばされた位置での可動光学要素202を示し、可動光学要素は、引っ込められた位置から距離Δfbだけ移動している。可動光学要素202が延ばされた位置にある状態で、スポットは、センサを横切って、この図では矢印304によってマークされる位置xEまで移動している。したがって、距離Δfbの可動光学要素の移動は、スポットを、イメージ・センサ222を横切って距離Δx=xE−xRだけ移動させる。角度αが一定のままである限り、ΔfbとΔxとの間の関係は、線形である。
【0018】
図3Cに、イメージ・センサ222を横切るスポットの動きを示す。可動光学要素202が引っ込められた位置にある時に、スポット306は、センサ上で位置xRにある。可動光学要素202がイメージ・センサ222から離れて移動すると、スポットが移動し、位置xEのスポット308になる。スポット308は、スポット306より大きいものとして図示されており、スポットが増大する(すなわち、面積を変化させる)この傾向は、放射源212によって放たれるビームが、コリメートされないまたは不完全にコリメートされるのいずれかである場合に発生する。スポット308とスポット306との間の面積の変化は、コントローラ224によって使用できる追加のスポット移動情報をもたらすことができるので、有用である。この図に示されたもう1つの特徴は、スポットがセンサを横切って移動する時のスポットの位置とサイズが確立されたならば、センサのうちでスポットが移動した部分だけを分析する必要があることである。この図に関して、コントローラは、センサ全体からの情報を分析する必要があるのではなく、センサのうちでスポットの経路とサイズの境界を示す部分310だけを分析することによって、労力を節約することができる。
【0019】
図4に、図2に示されたフォーカス・フィードバック・システム200を較正する方法400の実施形態を示す。この方法は、ボックス402で開始される。ボックス404で、ステップ・モータをホーム・ポジションに位置決めし、ボックス406で、イメージ・センサ222上のスポットの対応するホーム・ポジション(xH,yH)を記録する。スポットの位置は、通常はイメージ・センサ222の指定された原点から画素単位で測定される、その中央のx座標とy座標を使用して特徴を表すことができる。ボックス408で、ターゲットを、可動光学要素の前で、このシステムが焦点を合わせることのできる最小前側焦点距離ffに位置決めする。これを、開始位置fsと呼称する。ボックス410で、可動光学要素202を、ターゲットに焦点が合うまで移動させて、後側焦点距離fbを調整し、ボックス412で、スポット開始位置(xS,yS)、開始面積As、ffを記録する。スポット面積は、通常、画素単位で測定される。
【0020】
ボックス414で、ターゲットを、較正で使用される次の焦点位置ffに置く。ボックス416で、可動光学要素202を移動させて、ターゲットに焦点が合うまで後側焦点距離fbを調整し、その点で、ボックス418でffの値を記録する。ボックス420で、センサ上のスポットの位置と面積を記録し、ボックス422で、ステップ・モータ218が開始位置と現在位置との間で要したステップ数を記録する。開始位置と現在位置との間でステップ・モータが要したステップ数は、現在スポット位置での後側焦点距離fbの測定値として働く。ボックス424で、この方法は、較正に含めなければならない焦点位置がまだあるかどうかを検査する。通常、正しい較正を行うためには、最小限3つのフォーカス距離がなければならない。較正に関するフォーカス距離がまだある場合には、この方法は、ボックス414に戻り、そのフォーカス位置に関してボックス414〜422を繰り返す。
【0021】
較正に関するフォーカス位置がもうない場合には、この方法は、ボックス424からボックス426に継続し、ここで、例えばffとfbの記録された値に曲線をあてはめることによって、前側焦点距離と後側焦点距離を相関させ、fbは、開始位置に対するモータ・ステップ数単位で参照される。曲線をあてはめたならば、正しいfb値を、較正中に収集されたffの特定の値だけではなく、ffの任意の値について見つけることができる。しかし、他の実施形態では、他の手段を使用して、ffとfbを相関させることができる。例えば、ffとfbの収集された値をテーブルに格納することができ、任意のffに関するfbの値を、このテーブル内の値の間の補間によって計算することができる。同様に、スポット位置を、較正された物体距離ごとに記録し、ffに相関させ、上で説明したものと同一の形で曲線にあてはめることができる。
【0022】
ボックス428で、スポット位置に関して収集されたデータとモータ位置に関して収集されたデータを使用して、モータ・ステップあたりのスポット位置の平均変化、言い換えると、ステップ・モータの移動ごとに、平均してスポットがどれほど移動するかを計算する。この値を、ボックス430で格納し、この方法は、ボックス432に継続し、ここで、スポット面積に関して収集されたデータと、Asに関して収集されたデータとを使用して、モータ・ステップあたりのスポット面積の平均変化、言い換えると、ステップ・モータの移動ごとに、平均してスポット面積がどれほど変化するかを計算する。ボックス434でこの値を格納し、較正方法は、ボックス436で完了する。
【0023】
図5Aと5Bに、フォーカス・フィードバック・システム200の動作の実施形態を示す。図5Aは、センサ222上のスポットの動きを示す。この図のすべての寸法は、図を明瞭にするために誇張されており、実際には、寸法とスポットの動きは、図示されたものよりはるかに小さい。システム200が始動されると、システム200は、較正中に収集された情報を使用して、可動光学要素202を正しい後側焦点距離に位置決めする。これは、まず、センサ上のスポットが記録された開始位置(xS,yS)に関する正しい位置に来るまで光学要素202を移動させることによって行われる。次に、較正中に生成された曲線を使用することによって、正しい後側焦点距離を設定するのに必要なステップ数が決定され、光学要素202が、所望の位置まで移動される。その後、スポットの位置と面積が記録される。これが、「期待される」スポット位置504である。
【0024】
このシステムの動作中に、熱膨張、機械的な移動、様々な他の要因が、可動光学要素202を移動させ、したがって、後側焦点距離を変化させ、スポットを、期待されるスポット位置504からスポット位置502または506などの「現在」スポット位置にドリフトさせる場合がある。このフィードバック・システムの主要な目標は、可動光学要素202に関して正しい後側焦点距離を維持することである。このフィードバック・システムは、現在スポット502または506の位置と面積が期待されるスポット位置504と実質的に一致するまで光学要素の位置を調整することによって、これを行う。
【0025】
スポットが期待されるスポット位置504にある時に、そのスポットは、座標(xEXP,yEXP)で突き止められ、期待される面積AEXPを有する。例として現在スポット位置502を使用すると、可動光学要素が動作中にドリフトする場合に、スポットは、座標(xCUR,yCUR)の現在スポット位置502に移動し、この位置で、スポットは、面積ACURを有する。したがって、スポットは、その期待される位置から水平に距離Δx、垂直に距離Δyだけドリフトしており、その面積は、期待される面積から量ΔAだけ異なる。較正中に収集された情報と共に図5Bに示されたものなどの方法の実施形態を使用することによって、このフィードバック・システムは、スポットがその現在位置502から期待される位置504に移動するまで、可動光学要素202を移動する。
【0026】
図5Bに、図5Aに関して、フォーカス・フィードバック・システム200の動作の実施形態550を示す。この方法は、ボックス551で開始され、ボックス552に進み、ここで、可動光学要素202を、その開始位置になるまで移動させる。ボックス553で、この方法は、較正に基づいて、光学要素202を開始位置から焦点位置まで移動させるのに必要なモータ・ステップ数を判定する。光学要素202が、焦点位置に移動され、スポットの位置と面積が記録される。これは、座標(xEXP,yEXP)および面積AEXPを有する「期待される」スポット位置504である。
【0027】
指定された遅延の後に、ボックス555で、スポットの現在位置502の座標(xCUR,yCUR)を判定し、記録する。上で説明したように、スポットの位置は、通常はセンサ上の指定された原点からの画素数単位で測定される、その中央の位置によって判定される。ボックス556で、スポット502の現在面積ACURを判定し、やはり記録する。ボックス558で、システムが動作しているフォーカス距離について、スポットの期待される位置504の座標(xEXP,yEXP)と、スポット504の期待される面積AEXPとを取り出す。ボックス560で、この方法は、スポットの実際の位置がその期待される位置と異なる距離を定量化するオフセットΔxとΔyを計算する。
【0028】
オフセットΔxとΔyを計算したので、この方法は、次に、これらの値を使用して、スポット502が有効であるかどうかを検査する。ボックス562で、この方法は、Δyの値を指定された許容範囲と比較する。Δyの値が指定された許容範囲を超える場合には、この方法は、ボックス570で、スポットが無効であると判定し、ボックス566で停止する。Δyの値が指定された許容範囲内である場合には、この方法は、ボックス568に継続し、ここで、Δxの値を指定された許容範囲と比較する。Δxの値が指定された許容範囲を超える場合には、この方法は、ボックス570で、スポットが無効であると判定し、ボックス566で停止する。
【0029】
ΔxとΔyの値を使用して、スポット502が有効であることがわかった場合に、この方法は、ボックス572に進み、ここで、ΔAすなわち所与の焦点位置に関する実際のスポット面積と期待されるスポット面積との間の差値を計算する。ボックス574で、この方法は、正規化係数ΔxFを使用してΔxの値を正規化し、ボックス576では、異なる正規化係数ΔAFを使用して、ΔAの値を正規化する。ボックス578で、この方法は、ΔxとΔAの正規化された値を比較する。正規化された値が等しくない場合には、この方法は、ボックス564で、スポットが無効であると判定し、この方法は、ボックス566で停止する。正規化された値ΔxとΔAが等しい場合には、スポットは有効であり、この方法は、ボックス580に進み、ここで、較正に基づいて、スポット502をその期待される位置504に移動させるために、距離Δxだけスポット502を移動させるのに要するモータ・ステップ数を判定する。必要なモータ・ステップ数を判定した後に、ボックス582で、この方法は、適当なステップ数だけモータをステップして、スポットをその期待される位置504に戻す。最後に、この方法は、ボックス584に継続し、ここで、指定された時間だけ待った後に、ボックス555に戻り、ボックス555〜582を通ってもう一度進行する。
【0030】
図6に、フォーカス・フィードバック・システム600の代替実施形態を示す。フォーカス・フィードバック・システム600は、図2に関連して説明したフォーカス・フィードバック・システム200に類似する。この2つの間の主要な相違は、放射源からの放射がセンサ222に向けられる形にある。システム600では、放射源604が、センサの像平面に沿って位置決めされ、可動光学要素202に取り付けられた反射器602に向かって向けられる。放射源604は、放射ビーム606を反射器602に向け、反射器602は、ビーム606をビーム608に方向変更し、このビーム608は、可動光学要素の光軸210に対して相対的に選択された角度αになっている。ビーム608は、センサ222に向けられる。他の実施形態では、可動光学要素202の動きの範囲全体を通じて、ビーム606が反射器602に当たり、ビーム608がセンサ222に当たる限り、放射源を異なる形で位置決めすることができる。フォーカス・フィードバック・システム600は、実質的にフォーカス・フィードバック・システム200に関して上で説明した通りに較正し、動作させることができる。
【0031】
要約で説明されるものを含む、本発明の図示の実施形態の上の説明は、網羅的であることまたは本発明を開示された正確な形態に限定することが意図されたものではない。本発明の特定の実施形態およびそれに関する例は、本明細書で、例示のために説明されるが、当業者が認める通り、本発明の範囲内で様々な同等の変更が可能である。これらの変更は、上の詳細な説明に鑑みて、本発明に対して行われる。
【0032】
添付の特許請求の範囲で使用される用語は、本発明を、本明細書で開示された特定の実施形態に限定するものと解釈されてはならない。そうではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲のみによって決定されなければならず、添付の特許請求の範囲は請求項解釈の確立された原則に従って解釈されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】前側焦点距離および後側焦点距離を示す、焦点合せ要素を示す単純化された概略図である。
【図2】本発明の実施形態を示す概略図である。
【図3】図2の実施形態の可動光学要素の動きならびに放射ビームが光学センサに当たるところに作成されるスポットの対応する動きを示す図である。
【図4】図2に示された本発明の実施形態を較正する方法の実施形態を示す流れ図である。
【図5A】図2に示された実施形態の動作の実施形態を示す図で、光学センサ上のスポットの動きを示す。
【図5B】図2に示された実施形態の動作の実施形態を示す図で、後側焦点距離を維持する方法を示す流れ図である。
【図6】本発明の代替実施形態を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸を有し、1つまたは複数の焦点合せ要素を含む可動光学要素と、
前記光軸に沿って位置決めされ、実質的に前記光軸に垂直なイメージ・センサと、
前記可動光学要素に取り付けられ、前記光軸に対する相対的な選択された角度で前記センサに放射ビームを向ける放射源と
を含む装置。
【請求項2】
前記可動光学要素を前記光軸に沿って移動させるために前記可動光学要素に結合された駆動機構をさらに含む請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記センサと前記駆動機構に結合されたコントローラをさらに含み、前記コントローラが、前記ビームまたは放射が前記センサに当たる位置に基づいてモータの動きを制御する請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記駆動機構が、
モータと、
前記モータおよび前記可動光学要素に結合された動き伝達機構であって、前記モータの動きを前記光軸に沿った前記可動光学要素の直線運動に変換する動き伝達機構と
を含む請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記動き伝達機構が、摩擦車、ウォーム歯車、歯車、カムのうちの1つまたは複数を含む請求項4に記載の装置。
【請求項6】
放射の前記ビームが実質的にコリメートされる請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記1つまたは複数の焦点合せ要素が、屈折焦点合せ要素、回折焦点合せ要素、もしくは反射焦点合せ要素、またはこれらの組合せを含むことができる請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記放射源が、スペクトルの可視部分のビームを発する請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記放射源が、発光ダイオード(LED)である請求項8に記載の装置。
【請求項10】
可動光学要素の光軸に沿って、これに垂直にセンサを位置決めするステップと、
前記可動光学要素から前記センサに放射ビームを投影するステップであって、前記放射ビームは、前記光軸に対して相対的に選択された角度である、投影するステップと、
前記放射ビームが前記センサに当たる位置が、前記可動光学要素に焦点が合っている時に前記放射ビームが前記センサに当たると期待される位置に対応するまで、前記可動光学要素の位置を調整するステップと
を含む方法。
【請求項11】
前記可動光学要素から前記センサに放射ビームを投影するステップが、前記可動光学要素に取り付けられた放射源から放射ビームを投影することを含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記可動光学要素から前記センサに放射ビームを投影するステップが、前記放射ビームを前記センサに反射するのに前記可動光学要素に取り付けられた反射器を使用することを含む項10に記載の方法。
【請求項13】
前記可動光学要素の位置を調整するステップが、
前記放射ビームが前記センサに当たる現在位置を判定するステップと、
前記可動光学要素に焦点が合っている時に前記放射ビームが前記センサに当たる前記期待される位置を判定するステップと、
前記現在位置と前記期待される位置との間の差に基づいて、前記放射ビームが当たる前記位置を前記現在位置から前記期待される位置に移動するのに必要なステップ数だけ、前記可動光学要素に結合されたステップ・モータをアクティブ化するステップと
を含む請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記放射ビームが、前記センサ上にスポットを作成し、前記可動光学要素に結合された前記ステップ・モータの前記アクティブ化が、前記現在位置にある前記スポットの面積と前記期待される位置にある前記スポットの面積との間の差にも基づく請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記可動光学要素に結合されたステップ・モータのアクティブ化が、
動き伝達機構の動きを引き起こすのに前記ステップ・モータを使用するステップと、
前記動き伝達機構の前記動きを前記可動光学要素に伝達するステップと
を含む請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記放射ビームが前記センサに当たる前記位置のモータのステップあたりの平均移動を判定するステップをさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記放射ビームを実質的にコリメートするステップをさらに含む請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記放射ビームが前記センサに当たる前記現在位置を判定するステップが、前記センサの一部だけを分析することを含む項10に記載の方法。
【請求項19】
可動光学要素からセンサに放射ビームを投影するステップであって、前記放射ビームが、前記可動光学要素の光軸に対して相対的に選択された角度である、投影するステップと、
複数のターゲットを前記可動光学要素から既知の前側焦点距離に位置決めするステップと、
前側焦点距離ごとに、前記可動光学要素の後側焦点距離と、放射の前記ビームが前記センサに当たる位置を判定し、記録するステップと
を含む方法。
【請求項20】
前記可動光学要素から前記センサに放射ビームを投影するステップが、前記可動光学要素に取り付けられた放射源から放射ビームを投影することを含む項19に記載の方法。
【請求項21】
前記可動光学要素から前記センサに放射ビームを投影するステップが、前記放射ビームを前記センサに反射するのに前記可動光学要素に取り付けられた反射器を使用することを含む項19に記載の方法。
【請求項22】
前記後側焦点距離を判定するステップが、
前記センサ上の前記ターゲットの像に焦点が合うまで前記可動光学要素の前記位置を調整するステップと、
前記可動光学要素と前記センサとの間の距離を判定するステップと
を含む請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記放射ビームが、それが前記センサに当たるところにスポットを作成する請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記放射ビームが前記センサに当たる位置が、前記スポットの中央の位置である請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記スポットの面積を判定し、記録するステップをさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前焦点位置を後焦点位置に相関させるステップをさらに含む請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記前焦点位置を前記後焦点位置に相関させるステップが、前側焦点位置と後側焦点位置の前記記録された値に曲線をあてはめることを含む項26に記載の方法。
【請求項28】
前記可動光学要素が、動き伝達機構によってそれに結合されたステップ・モータを有し、さらに、前側焦点位置ごとにステップ・モータの位置を記録することを含む項19に記載の方法。
【請求項29】
前記ステップ・モータの前記位置を前記放射ビームが前記センサに当たる前記位置に相関させるステップをさらに含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ステップ・モータの前記位置を前記放射ビームが前記センサに当たる前記位置に相関させるステップが、前記放射ビームが前記センサに当たる前記位置のモータのステップあたりの平均移動を計算することを含む項29に記載の方法。
【請求項31】
光軸を有し、1つまたは複数の焦点合せ要素を含む可動光学要素と、
前記光軸に沿って位置決めされ、実質的に前記光軸に垂直なイメージ・センサと、
前記可動光学要素に取り付けられ、放射源からの放射ビームを、前記光軸に対する相対的な選択された角度で前記センサに向ける反射器と
を含む装置。
【請求項32】
前記可動光学要素を前記光軸に沿って移動させるために前記可動光学要素に結合された駆動機構をさらに含む請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記センサと前記駆動機構に結合されたコントローラをさらに含み、前記コントローラが、前記ビームまたは放射が前記センサに当たる位置に基づいてモータの動きを制御する請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記駆動機構が、
モータと、
前記モータおよび前記可動光学要素に結合された動き伝達機構であって、前記モータの動きを前記光軸に沿った前記可動光学要素の直線運動に変換する動き伝達機構と
を含む請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記動き伝達機構が、摩擦車、ウォーム歯車、歯車、カムのうちの1つまたは複数を含む請求項34に記載の装置。
【請求項36】
放射の前記ビームが、実質的にコリメートされる請求項31に記載の装置。
【請求項37】
前記1つまたは複数の焦点合せ要素が、屈折焦点合せ要素、回折焦点合せ要素、もしくは反射焦点合せ要素、またはこれらの組合せを含むステップができる請求項31に記載の装置。
【請求項38】
前記放射源が、スペクトルの可視部分のビームを発する請求項31に記載の装置。
【請求項39】
前記放射源が、発光ダイオード(LED)である請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記放射源が、前記センサの平面内に位置決めされる請求項21に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−535000(P2008−535000A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503046(P2008−503046)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/009632
【国際公開番号】WO2006/102026
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(502435683)マイクロスキャン・システムズ・インコーポレーテッド (6)
【Fターム(参考)】