説明

光源装置、プロジェクタ、及び、光源装置の製造方法

【課題】 弾性部材を用いて光源用素子の光軸とレンズの光軸とのずれを修正して位置合わせを容易とする光源装置、この光源装置を用いたプロジェクタ、及び、光源装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 光源装置は、コリメータレンズ73と発光素子71と光源用素子ホルダ79とリアホルダ82とハウジング84とを有し、ハウジング84は、レンズ周囲にレンズ調整空間87を設けてコリメータレンズ73を収納し、コリメータレンズ73の周囲にレンズ位置を固定するレンズ位置調整手段85を有し、コリメータレンズ73の後方に弾性体であるつる巻きばね86を圧縮状態で配置して発光素子71を収納し、発光素子71のフランジ部71aの周囲に接する発光素子保持部84bを有し、リアホルダ82は、光源用素子ホルダ79の後面に配置され、発光素子71の裏面に密着して発光素子71のリード端子を貫通させる穴部82aを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、この光源装置を用いたプロジェクタ、及び、光源装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、パーソナルコンピュータの画面やビデオ画像、さらにメモリカード等に記憶されている画像データによる画像等をスクリーンに投影する画像投影装置としてのデータプロジェクタが多用されている。このプロジェクタは、光源から射出された光をDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)と呼ばれるマイクロミラー表示素子、又は、液晶板に集光させ、スクリーン上にカラー画像を表示させるものである。
【0003】
そして、プロジェクタは、パーソナルコンピュータやDVDプレーヤーなどの映像機器の普及に伴って、業務用プレゼンテーションから家庭用に至るまで、用途が拡大している。このようなプロジェクタにおいて、従来は高輝度の放電ランプを光源とするものが主流であったが、近年、光源として複数のレーザーダイオード等の半導体発光素子を用い、それに伴い複数のレンズやミラー等の光学部品により構成される光源装置の開発や提案が多々なされている。
【0004】
そして、レーザダイオードなどの半導体発光素子を保持する保持部材と、レンズを保持する保持部材との間に配置する弾性部材と3本の止め螺子とにより半導体発光素子の向きを調整して、半導体発光素子を所定の位置に保持させることが可能な書き込み装置用の光源装置も提案されている。(例えば特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−341451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の光源装置は、半導体発光素子とレンズとを別々の保持部材に保持させ、半導体発光素子の向きとレンズと半導体発光素子との距離を3本の螺子により調整するものであり、光を照射対象位置に正確に照射することができるも、調整に手数を要するものであった。
【0007】
本発明は上述したような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、弾性部材を用いて光源用素子の光軸とレンズの光軸とのずれを修正して位置合わせを容易とする光源装置、この光源装置を用いたプロジェクタ、及び、光源装置の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光源装置は、発光素子とコリメータレンズと弾性体とを収納し且つレンズ位置調整手段を備えた筒状形状のハウジングを保持する光源用素子ホルダと、リアホルダとを有し、前記発光素子は、シリンダ部と、当該シリンダ部の後端に設けられたフランジ部とを有し、前記ハウジングは、先端の内側に突出する鍔部と、前記発光素子の前記フランジ部の周囲に接する発光素子保持部と、を有し、前記ハウジングには、前面に前記鍔部の内側が接触するように前記レンズ位置調整手段によって固定された前記コリメータレンズが収納され、且つ前記コリメータレンズの後方に前記弾性体が圧縮状態で収納され、且つ前記弾性体の後方に前記発光素子が収納され、前記リアホルダは、前記ハウジングの後端及び前記発光素子の後面に密着するように前記光源用素子ホルダの後面に配置されることを特徴とする。
【0009】
本発明のプロジェクタは、光源装置と、表示素子と、前記光源装置からの光を前記表示素子に導光する光源側光学系と、前記表示素子から射出された画像をスクリーンに投影する投影側光学系と、前記光源装置や表示素子を制御するプロジェクタ制御手段と、を備え、前記光源装置が、赤色波長帯域光を発する光源装置、青色波長帯域光を発する光源装置、及び、緑色波長帯域光を発する光源装置であって、少なくとも1つの光源装置が上述の本発明の光源装置であることを特徴とする。
【0010】
本発明の光源装置の製造方法は、発光素子とコリメータレンズと弾性体とを収納し且つレンズ位置調整手段を備えた筒状形状のハウジングを保持する光源用素子ホルダと、リアホルダとを有し、前記発光素子は、シリンダ部と、当該フランジ部の後端に設けられたフランジ部とを有し、前記ハウジングは、先端の内側に突出する複数の鍔部と、前記発光素子の前記フランジ部の周囲に接する発光素子保持部と、を有し、前記ハウジングには、前面に前記複数の鍔部の内側が接触するように前記レンズ位置調整手段によって固定された前記コリメータレンズが収納され且つ、前記コリメータレンズの後方に前記弾性体が圧縮状態で収納され且つ、前記弾性体の後方に前記発光素子が収納され、前記リアホルダは、前記ハウジングの後端及び前記発光素子の後面に密着するように前記光源用素子ホルダの後面に配置される光源装置の製造方法であって、前記コリメータレンズを前記ハウジングに収納する工程と、前記弾性体を前記ハウジングに収納する工程と、前記発光素子を前記ハウジングに収納する工程と、前記ハウジングを調整用治具に取り付ける工程と、前記発光素子を点灯させる工程と、前記レンズ位置調整手段を作動させて前記コリメータレンズを前記レンズ調整空間内で所定の位置に移動させる工程と、作動させた前記レンズ位置調整手段を固定させる工程と、前記ハウジングを前記調整用治具から取り外す工程と、前記ハウジングを前記光源用素子ホルダに取り付ける工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、弾性部材を用いて光源用素子の光軸とレンズの光軸とのずれを修正して位置合わせを容易とする光源装置、この光源装置を用いたプロジェクタ、及び、光源装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るプロジェクタを示す外観斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るプロジェクタの機能ブロックを示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るプロジェクタの内部構造を示す平面模式図である。
【図4】本発明の実施形態に係る光源装置の断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るハウジング内部の構成を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係るハウジングを前方から見た図である。
【図7】本発明の実施形態に係る弾性手段であるつる巻きばねの図である。
【図8】本実施形態に係るハウジングのコリメータレンズ位置調整前とコリメータレンズ位置調整後との状態を示すハウジングの断面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る光源装置の製造方法の流れを示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態に係るレンズ位置調整手段に関する図である。
【図11】本発明の実施形態に係るレンズ位置調整手段に関する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて詳説する。図1は、プロジェクタ10の外観斜視図である。なお、本実施形態において、プロジェクタ10における左右とは投影方向に対しての左右方向を示し、前後とはプロジェクタ10のスクリーン側方向及び光線束の進行方向に対しての前後方向を示す。
【0014】
そして、プロジェクタ10は、図1に示すように、略直方体形状であって、プロジェクタ筐体の前方の側板とされる正面パネル12の側方に投影口を覆うレンズカバー19を有するとともに、この正面パネル12には複数の吸気孔18を設けている。さらに、図示しないがリモートコントローラからの制御信号を受信するIR受信部を備えている。
【0015】
また、筐体の上面パネル11にはキー/インジケータ部37が設けられ、このキー/インジケータ部37には、電源スイッチキーや電源のオン又はオフを報知するパワーインジケータ、投影のオン、オフを切りかえる投影スイッチキー、光源ユニットや表示素子又は制御回路等が過熱したときに報知をする過熱インジケータ等のキーやインジケータが配置されている。
【0016】
さらに、筐体の背面には、背面パネルにUSB端子やアナログRGB映像信号が入力される映像信号入力用のD−SUB端子、S端子、RCA端子、音声出力端子等を設ける入出力コネクタ部及び電源アダプタプラグ等の各種端子20が設けられている。また、背面パネルには、複数の吸気孔が形成されている。なお、図示しない筐体の側板である右側パネル、及び、図1に示した側板である左側パネル15には、各々複数の排気孔17が形成されている。また、左側パネル15の背面パネル近傍の隅部には、吸気孔18も形成されている。
【0017】
次に、プロジェクタ10のプロジェクタ制御手段について図2の機能ブロック図を用いて述べる。プロジェクタ制御手段は、制御部38、入出力インターフェース22、画像変換部23、表示エンコーダ24、表示駆動部26等から構成される。
【0018】
この制御部38は、プロジェクタ10内の各回路の動作制御を司るものであって、CPU、各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成されている。
【0019】
そして、このプロジェクタ制御手段により、入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース22、システムバス(SB)を介して画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換されたあと、表示エンコーダ24に出力される。
【0020】
また、表示エンコーダ24は、入力された画像信号をビデオRAM25に展開記憶させた上でこのビデオRAM25の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力する。
【0021】
表示駆動部26は、表示素子制御手段として機能するものであり、表示エンコーダ24から出力された画像信号に対応して適宜フレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子51を駆動するものである。そして、このプロジェクタ10は、光源ユニット60から射出された光線束を後述の光源側光学系を介して表示素子51に照射することにより、表示素子51の反射光で光像を形成し、投影側光学系を介して図示しないスクリーンに画像を投影表示する。なお、この投影側光学系の可動レンズ群235は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動が行われる。
【0022】
また、画像圧縮/伸長部31は、画像信号の輝度信号及び色差信号をADCT及びハフマン符号化等の処理によりデータ圧縮して着脱自在な記録媒体とされるメモリカード32に順次書き込む記録処理を行う。
【0023】
さらに、画像圧縮/伸長部31は、再生モード時にメモリカード32に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長し、この画像データを画像変換部23を介して表示エンコーダ24に出力し、メモリカード32に記憶された画像データに基づいて動画等の表示を可能とする処理を行う。
【0024】
そして、筐体の上面パネル11に設けられるメインキー及びインジケータ等により構成されるキー/インジケータ部37の操作信号は、直接に制御部38に送出され、リモートコントローラからのキー操作信号は、IR受信部35で受信され、IR処理部36で復調されたコード信号が制御部38に出力される。
【0025】
なお、制御部38にはシステムバス(SB)を介して音声処理部47が接続されている。この音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備えており、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音させる。
【0026】
また、制御部38は、光源制御手段としての光源制御回路41を制御しており、この光源制御回路41は、画像生成時に要求される所定波長帯域の光が光源ユニット60から射出されるように、光源ユニット60の赤色、緑色及び青色の波長帯域光を発光させる個別の制御を行う。
【0027】
さらに、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43に光源ユニット60等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせ、この温度検出の結果から冷却ファンの回転速度を制御させている。また、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43にタイマー等によりプロジェクタ本体の電源オフ後も冷却ファンの回転を持続させる、あるいは、温度センサによる温度検出の結果によってはプロジェクタ本体の電源をオフにする等の制御も行う。
【0028】
次に、このプロジェクタ10の内部構造について述べる。図3は、プロジェクタ10の内部構造を示す平面模式図である。プロジェクタ10は、図3に示すように、右側パネル14の近傍に制御回路基板241を備えている。この制御回路基板241は、電源回路ブロックや光源制御ブロック等を備えてなる。また、プロジェクタ10は、制御回路基板241の側方、つまり、プロジェクタ筐体の略中央部分に光源ユニット60を備えている。さらに、プロジェクタ10は、光源ユニット60と左側パネル15との間に光学系ユニット160を備えている。
【0029】
光源ユニット60は、プロジェクタ筐体の左右方向における略中央部分であって背面パネル13近傍に配置される励起光照射装置70と、この励起光照射装置70から射出される光線束の光軸上であって正面パネル12の近傍に配置される蛍光発光装置100と、励起光照射装置70と蛍光発光装置100との間に配置される赤色光源装置120と、蛍光発光装置100からの射出光や赤色光源装置120からの射出光の光軸が同一の光軸となるように変換して、各色光を所定の一面であるライトトンネル175の入射口に集光する導光光学系140と、を備える。
【0030】
励起光照射装置70は、背面パネル13と光軸が平行になるよう配置された複数の励起光源71から成る光源群72、各励起光源71からの射出光の光軸を正面パネル12方向に90度変換する複数の反射ミラー75、複数の反射ミラー75で反射した各励起光源71からの射出光を集光する集光レンズ78、及び、励起光源71と右側パネル14との間に配置されたヒートシンク81等を備える。
【0031】
光源群72は、複数の青色レーザー発光器とされる励起光源71がマトリクス状に配列されて成る。また、各励起光源71の光軸上には、各励起光源71からの射出光の指向性を高めるように平行光に変換するコリメータレンズ73が夫々配置されている。そして、複数の反射ミラー75は、階段状に配列されて、各励起光源71から射出される光源光束同士の間隔を狭めることにより、光源群72から射出される光線束の断面積を水平方向において縮小して、集光レンズ78に向けて反射する。
【0032】
ヒートシンク81と背面パネル13との間には冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261とヒートシンク81とによって励起光源71が冷却される。さらに、反射ミラー75と背面パネル13との間にも冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261によって反射ミラー75や集光レンズ78が冷却される。
【0033】
蛍光発光装置100は、正面パネル12と平行となるように、つまり、励起光照射装置70からの射出光の光軸と直交するように配置された蛍光ホイール101と、この蛍光ホイール101を回転駆動するホイールモータ110と、励起光照射装置70から射出される光線束を蛍光ホイール101に集光するとともに蛍光ホイール101から背面パネル13方向に射出される光線束を集光する集光レンズ群111と、蛍光ホイール101から正面パネル12方向に射出される光線束を集光する集光レンズ115と、を備える。
【0034】
蛍光ホイール101は、励起光照射装置70からの射出光を励起光として受けて緑色波長帯域の蛍光発光光を射出する緑色蛍光発光領域と、励起光照射装置70からの射出光を拡散透過する拡散透過領域と、が周方向に並設してなる。また、緑色蛍光発光領域における基材は銅やアルミニウム等から成る金属基材であって、この基材の背面パネル13側の表面は、銀蒸着等によってミラー加工されており、このミラー加工された表面に緑色蛍光体の層が敷設されている。さらに、拡散透過領域における基材は透光性を有する透明基材であって、この基材の表面には、サンドブラスト等によって微細凹凸が形成されている。
【0035】
そして、蛍光ホイール101の緑色蛍光体層に照射された励起光照射装置70からの射出光は、緑色蛍光体層における緑色蛍光体を励起し、緑色蛍光体から全方位に蛍光発光された光線束は、直接背面パネル13側へ、あるいは、蛍光ホイール101の表面で反射した後に背面パネル13側へ射出され、集光レンズ群111に入射する。また、蛍光ホイール101の拡散透過領域に照射された励起光照射装置70からの射出光は、微細凹凸によって拡散された拡散透過光として集光レンズ115に入射する。なお、ホイールモータ110と正面パネル12との間には冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261によって蛍光発光装置100等が冷却される。
【0036】
赤色光源装置120は、励起光源71と光軸が平行となるように配置された赤色光源121と、赤色光源121からの射出光を集光する集光レンズ群125と、を備える単色発光装置である。この赤色光源121は、赤色波長帯域の光を発する赤色発光ダイオードである。そして、この赤色光源装置120は、励起光照射装置70からの射出光及び蛍光ホイール101から射出される緑色波長帯域光と光軸が交差するように配置されている。さらに、赤色光源装置120は、赤色光源121の右側パネル14側に配置されるヒートシンク130を備える。そして、ヒートシンク130と正面パネル12との間には冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261によって赤色光源121が冷却される。
【0037】
そして、導光光学系140は、赤色、緑色、青色波長帯域の光線束を集光させる集光レンズや、各色波長帯域の光線束の光軸を変換して同一の光軸とさせる反射ミラー、ダイクロイックミラー等からなる。具体的には、励起光照射装置70から射出される青色波長帯域光及び蛍光ホイール101から射出される緑色波長帯域光と、赤色光源装置120から射出される赤色波長帯域光とが交差する位置に、青色及び赤色波長帯域光を透過し、緑色波長帯域光を反射してこの緑色光の光軸を左側パネル15方向に90度変換する第一ダイクロイックミラー141が配置されている。
【0038】
また、蛍光ホイール101を拡散透過した青色波長帯域光の光軸上、つまり、集光レンズ115と正面パネル12との間には、青色波長帯域光を反射してこの青色光の光軸を左側パネル15方向に90度変換する第一反射ミラー143が配置されている。さらに、第一反射ミラー143で反射した青色波長帯域光の光軸上であって光学系ユニット160の近傍には、この青色光の光軸を背面パネル13方向に90度変換する第二反射ミラー145が配置されている。
【0039】
また、第一ダイクロイックミラー141を透過した赤色波長帯域光の光軸及びこの光軸と一致するように第一ダイクロイックミラー141により反射された緑色波長帯域光の光軸と、第二反射ミラー145で反射した青色波長帯域光の光軸とが交差する位置には、青色波長帯域光を透過し、赤色及び緑色波長帯域光を反射してこれら赤色及び緑色光の光軸を背面パネル13方向に90度変換する第二ダイクロイックミラー148が配置されている。そして、ダイクロイックミラーや反射ミラーの間には、夫々集光レンズが配置されている。さらに、ライトトンネル175の近傍には、ライトトンネル175の入射口に光源光を集光する集光レンズ173が配置されている。
【0040】
光学系ユニット160は、励起光照射装置70の左側方に位置する照明側ブロック161と、背面パネル13と左側パネル15とが交差する位置の近傍に位置する画像生成ブロック165と、導光光学系140と左側パネル15との間に位置する投影側ブロック168と、の3つのブロックによって略コの字状に構成されている。
【0041】
この照明側ブロック161は、光源ユニット60から射出された光源光を画像生成ブロック165が備える表示素子51に導光する光源側光学系170の一部を備えている。この照明側ブロック161が有する光源側光学系170としては、光源ユニット60から射出された光線束を均一な強度分布の光束とするライトトンネル175や、ライトトンネル175から射出された光を集光する集光レンズ178、ライトトンネル175から射出された光線束の光軸を画像生成ブロック165方向に変換する光軸変換ミラー181等がある。
【0042】
画像生成ブロック165は、光源側光学系170として、光軸変換ミラー181で反射した光源光を表示素子51に集光させる集光レンズ183と、この集光レンズ183を透過した光線束を表示素子51に所定の角度で照射する照射ミラー185と、を有している。さらに、画像生成ブロック165は、表示素子51とするDMDを備え、この表示素子51と背面パネル13との間には表示素子51を冷却するためのヒートシンク190が配置されて、このヒートシンク190によって表示素子51が冷却される。また、表示素子51の正面近傍には、投影側光学系220としてのコンデンサレンズ195が配置されている。
【0043】
投影側ブロック168は、表示素子51で反射されたオン光をスクリーンに放出する投影側光学系220のレンズ群を有している。この投影側光学系220としては、固定鏡筒に内蔵する固定レンズ群225と可動鏡筒に内蔵する可動レンズ群235とを備えてズーム機能を備えた可変焦点型レンズとされ、レンズモータにより可動レンズ群235を移動させることによりズーム調整やフォーカス調整を可能としている。
【0044】
次に、本発明の青色波長帯域光を発する光源装置であるとともに、緑色波長帯域光を発する光源装置における励起光照射装置70としての励起光源71等を有する光源装置の構成について図を用いて詳細に説明する。図4は、光源装置の構成を示す断面図である。なお、本実施形態において、本発明の光源装置における左右とは、図4に示す励起光源71の光射出方向に対しての左右を示し、前後については、励起光源71の光射出方向を前方向とする。
【0045】
光源装置は、図4に示すように、励起光源71やコリメータレンズ73、この励起光源71及びコリメータレンズ73を収納するとともに、つる巻きばね86等による弾性体をも収納し、収納したコリメータレンズ73とハウジング内壁との隙間であるレンズ調整空間87を介してコリメータレンズ73に接触することにより、コリメータレンズ73の姿勢調整及びコリメータレンズ73を固定させるレンズ位置調整手段である複数の螺子85を備えたハウジング84と、ハウジング84を保持する光源用素子ホルダ79と、ハウジング84を後方から保持するリアホルダ82と、を有する。
【0046】
励起光源71は、光源用素子であって、円柱状のシリンダ部71bの後端にシリンダ部71bよりも径の大きい円柱状の金属製で放熱を可能とするフランジ部71aを有する青色レーザー発光器からなる発光素子である。また、励起光源71による発光点からの射出光のビーム広がり角は、20度乃至30度程である。
【0047】
図5はハウジング内部の構成を示す図である。コリメータレンズ73は、図5に示すように、円筒形状の厚肉レンズであって、光の入射側及び出射側を所定の曲面とされて、ビーム広がり角dが20度乃至30度程である各励起光源71からの射出光の指向性を高めるように平行光に変換するものである。尚、図5はコリメータレンズ73と励起光源71との間の位置関係を分かり易く示すためにつる巻きばね86については非図示としている。
【0048】
そして、詳しくは後述するが、コリメータレンズ73が各励起光源71からの射出光を適正に平行光に変換するために、コリメータレンズ73の主点と励起光源71の発光中心との距離Lが、コリメータレンズ73の焦点距離の長さと等しくなるようにコリメータレンズ73及び励起光源71がハウジング84に配置される。
【0049】
ハウジング84は、中空で円筒形状のアルミニウム等の金属材であって、筒状にして本体部84cの先端の内側に突出する複数の鍔部84dを有し、コリメータレンズ73の前面を鍔部内側にあるレンズ保持部84aに接触させ、コリメータレンズ73の光軸前側方向への移動を規制している。図6はハウジング84を前方から見た平面図である。このように本実施形態ではハウジング84は鍔部84dを4つ備えており、対向する一対の鍔部84dを結んでできる2つの直線が直交するように、この鍔部84dは配置されている。このように鍔部84dを設けたのでコリメータレンズ73位置を正確に規定することができ、ハウジング84の設計時に決められた所望の位置にコリメータレンズ73を正確に設置できる。尚、鍔部84dを環状に形成して、当該環状の鍔部内側のレンズ保持部84aにコリメータレンズ73の前面を当接させる構成でもよい。
【0050】
また、ハウジング84は、収納したコリメータレンズ73周囲とハウジング84内壁との間に隙間であるレンズ調整空間87を設けてある。
【0051】
具体的には、ハウジング84は、コリメータレンズ73の周囲のレンズ調整空間87を介してコリメータレンズ73と先端が接触し、コリメータレンズ73の位置を固定又はコリメータレンズ73の姿勢調整させるレンズ位置調整手段である螺子85を複数有する。
【0052】
なお、ハウジング84におけるレンズ位置調整手段である複数の螺子85は、本実施形態では、コリメータレンズ73の厚さ方向中央で、ハウジング84の中心軸と直交する平面上に中心軸の周囲3方向に等間隔で3個配置させているが、コリメータレンズ73の規制方向がハウジング84の構造により限定されれば螺子85を1箇所又は、2箇所で調整可能する構造としても構わない。
【0053】
また、ハウジング84は、その内部に、コリメータレンズ73の後方、及び、励起光源71の前方で、両者に挟まれるようにして、図7に示すような弾性体であるつる巻きバネ86を圧縮状態で配置している。このつる巻きバネ86は、励起光源71のシリンダ部71b側端部及びコリメータレンズ73の側端部にのみ当接し、励起光源71から発せられる光の影にならないように配置されている。そして、つる巻きバネ86は、圧縮状態でコリメータレンズ73を前方に付勢して、コリメータレンズ73をハウジング84のレンズ保持部84aに押圧し接触させ、励起光源71をハウジング84後方側に付勢している。なお、弾性体は、上述したように励起光源71から発せられる光の影にならないような構造、例えば中央部に開口を有するような構造であれば、つる巻きばね86などのばね材以外にも、弾性力を有するゴム材であっても構わない。
【0054】
そして、ハウジング84は、本体部84cの後端側に励起光源71のフランジ部71aの周囲に接する発光素子保持部84bを有している。これにより、励起光源71は、ハウジング84の発光素子保持部84bにより、光軸が傾斜したり、光軸垂直方向の移動である横移動をしないように規制されて保持固定される。
【0055】
上述したように、ハウジング内で励起光源71は、光軸垂直方向の移動をしないように規制されて保持固定される。そして、ハウジング84は、コリメータレンズ73の出射側の所定の曲面にレンズ保持部84aの全てが確実に接触するようにレンズ位置調整手段である螺子85でコリメータレンズ73の位置を調整し固定することで、ハウジング内において、コリメータレンズ73の光軸と励起光源71から射出される光の光軸とが一致するように設計されている。
【0056】
即ち、図8はコリメータレンズ位置調整前とコリメータレンズ位置調整後との状態を示すハウジングの断面図であるが、コリメータレンズ73の出射側の面は曲面状に形成されているので、コリメータレンズ73を傾けた状態でハウジング84に設置すると、図8(a)に示すように、コリメータレンズ73の出射側の曲面にハウジング84の複数のレンズ保持部84aのうち幾つかが接触しない状態でコリメータレンズ73がハウジング84に設置される。このような状態から螺子85を用いて、図8(b)に示すようにコリメータレンズ73の出射側曲面に複数のレンズ保持部84aの全てが接触するようにコリメータレンズ73の位置を調整することでハウジング84内において、コリメータレンズ73の光軸と励起光源71から射出される光の光軸とが一致するようにハウジング84が設計されている。
【0057】
尚、本実施形態では、ハウジング84の内壁にコリメータレンズ73を接触させることでコリメータレンズ73の光軸垂直方向の位置決めを行なわず、収納したコリメータレンズ73周囲とハウジング84内壁との間にレンズ調整空間87を設けて螺子85でコリメータレンズ位置や光軸角度を調整する構成となっている。これは、コリメータレンズ73は精密な部品であって、傷付くなどしてその光学特性に影響を及ぼしかねないことを鑑みてのことである。
【0058】
即ち、ハウジング84の内壁でコリメータレンズ73の光軸垂直方向の位置決めをする構成の場合、コリメータレンズ73をハウジング84に挿入する際に、コリメータレンズ73周囲とハウジング84内壁との間にレンズ調整空間87が無いことから非常に挿入しづらく、また無理に入れることでコリメータレンズ73を傷つけてしまいかねない。そのようなことが無いよう、本実施形態では、収納したコリメータレンズ73周囲とハウジング84内壁との間にレンズ調整空間87を設けて螺子85でコリメータレンズ73位置を固定又はコリメータレンズ73の姿勢調整をする構成となっている。
【0059】
また、ハウジング84に後述する光源用素子ホルダ79とリアホルダ82とを覆うようにして取り付けることにより、ハウジング84の後端を励起光源71の後端面と同一平面とさせることとなる。これにより、励起光源71は、励起光源71の前方からはつる巻きばね86により後側方向に付勢されるとともに、励起光源71のフランジ部71aの後面をリアホルダ82の前面と同一面とされて、光軸方向で所定位置に配置される。
【0060】
光源用素子ホルダ79は、アルミニウムや銅等の金属材の平板形状であって、ハウジング84を側面から保持させるものである
【0061】
リアホルダ82は、アルミニウムや銅等の金属材の平板形状であって、光源用素子ホルダ79の後面に配置され、励起光源71のフランジ部71aを後方から押圧する素子支持部82bを有し、素子支持部82bにより、励起光源71のフランジ部71aの後面をリアホルダ82の前面と同一面とされて、励起光源71を光軸方向で所定位置に配置させている。
【0062】
そして、リアホルダ82は、励起光源71の後面に密着して励起光源71のリード端子71cを貫通させる穴部82aを有し、励起光源71のリード端子71cは、フレキシブル基板等に結線されて制御回路基板241と接続される。
【0063】
また、リアホルダ82は、励起光源71とコリメータレンズ73とつる巻きバネ86を収納したハウジング84を複数個保持するものである。また、リアホルダ82は、図3に示したように、後面にヒートシンク81を有する。
【0064】
これにより、ハウジング84内部で、コリメータレンズ73は、後方からつる巻きばね86により前側方向に付勢されるとともに、光軸前側方向でレンズ保持部84aにより規制されて、光軸方向で所定の位置に配置されることとなる。
【0065】
また、ハウジング84内部で、励起光源71は、前方からつる巻きばね86により後側方向に付勢されるとともに、後方をリアホルダ82の前面と同一面とされて光軸方向で所定位置に配置されることとなる。
【0066】
即ち、コリメータレンズ73の後方からはつる巻きバネ86によりハウジング84のレンズ保持部84aに押圧し接触させることでコリメータレンズ73の光軸方向の位置が規定され、さらに励起光源71の前方からはつる巻きばね86により後方に付勢されるとともに、励起光源71のフランジ部71aの後面をリアホルダ82の前面と同一面とすることで励起光源71の光軸方向の位置が規定されることとなる。
【0067】
よって、励起光源71とコリメータレンズ73との間の配置関係が一義的に規定されることとなり、ハウジング84は、この配置関係においてコリメータレンズ73の主点と励起光源71の発光中心との距離Lとコリメータレンズ73の焦点距離の長さとが等しくなるように設計されている。
【0068】
ところで、複数のコリメータレンズと複数の励起光源とを夫々異なる部材に実装した場合には異なる部材間の接合部のクリアランス又は各部材の加工精度によっては正確に複数のコリメータレンズと複数の励起光源との光軸を夫々合わせることが困難であった。本実施形態では、一個のハウジング84でコリメータレンズ73の光軸と励起光源71の光軸とを一致させ、この光軸調整が終了したハウジング84を複数準備して、それらを光源素子ホルダ79及びリアホルダ82に設置する構成なので、異なる部材間の接合クリアランスや各部材の加工精度については憂慮する必要なく、光源装置にコリメータレンズ73と励起光源71とがそれぞれ複数設置されたとしても、正確にコリメータレンズ73と励起光源71との光軸を同軸とすることができる。
【0069】
次に、本発明の光源装置の製造方法の流れについて図を用いて説明する。図9は、光源装置の製造方法の流れを示すフローチャートである。図10は、光源装置の製造時のレンズ位置を調整するときのユニット状態を示す断面図である。図11は、光源装置の製造時のレンズ位置を調整するときのユニット状態を前方から見た図である。
【0070】
光源装置は、先述のとおり、光源用素子ホルダ79と、リアホルダ82と、コリメータレンズ73と、励起光源71と、内部にレンズ位置調整手段である複数の螺子85や弾性体であるつる巻きバネ86を有するハウジング84と、を備えるものである。
【0071】
光源装置の製造方法は、先ず、コリメータレンズ73をハウジング84の後方から挿入し、ハウジング84のレンズ保持部84aにコリメータレンズ73の前面が接するように収納させる工程(ステップS10)を行う。
【0072】
次に、コリメータレンズ73を収納したハウジング84にハウジング84の後方からつる巻きバネ86をコリメータレンズ73の後面に接触させるように挿入して収納させる工程(ステップS20)を行う。
【0073】
続いて、つる巻きばね86を収納したハウジング84にハウジング84の後方から励起光源71をつる巻きばね86の後面に接触させるように挿入して収納させる工程(ステップS30)を行い、ハウジング84内部にコリメータレンズ73、つる巻きばね86、及び、励起光源71を夫々に収納させる。
【0074】
次に、コリメータレンズ73、つる巻きばね86、及び、励起光源71を収納したハウジング84を調整用治具に取り付けて、励起光源71をハウジング84に内部で所定位置に位置させる工程(ステップS40)を行う。図10にこの工程時のユニット状態を例示する。調整用治具はハウジング84の下方から当該ハウジング84を支持し、励起光源71のリード端子71cを貫通させる穴部300aを有する下治具300と、ハウジング84を固定して当該下治具を上方から支持するリング状の上治具301とから成る。このような冶具を用いることで、ハウジング84内部で、励起光源71の後方を冶具300の前面と同一面とされて光軸方向で励起光源71とコリメータレンズ73とが所定位置に配置されることとなる。
【0075】
続いて、調整用治具に取り付けたハウジング84の励起光源71を点灯させる工程(ステップS50)を行う。
【0076】
次に、励起光源71を点灯させたハウジング84におけるコリメータレンズ73の光軸と励起光源から射出される光の光軸との位置調整を行うために、図11に示すレンズ位置調整手段である3方向に位置する螺子85を回転させて、コリメータレンズの出射側曲面にレンズ保持部84aの全てが確実に接触するように、コリメータレンズ73を姿勢調整させる工程(ステップS60)を行う。本実施形態では励起光源71を点灯させた状態で本工程を行なっているので、励起光源71の光の明るさ等を観測しながら確実にコリメータレンズの出射側曲面にレンズ保持部84aの全てを接触させることができる。
【0077】
続いて、コリメータレンズの出射側曲面にレンズ保持部84aの全てが確実に接触しているコリメータレンズ73が動かないように、各螺子85を接着剤等の固定材により固定させる工程(ステップS70)を行う。
【0078】
各螺子85が固定材により固定させると、次に、ハウジング84を調整用治具から取り外す工程(ステップS80)を行う。
【0079】
続いて、ハウジング84を光源用素子ホルダ79に取り付け(ステップS90)、更に、リアホルダ82を励起光源71のリード端子71cをリアホルダ82の穴部82aを通すようにして配置させ励起光源71の後面に密着させるとともに、光源用素子ホルダ79の後面に密着するように配置させる(ステップS95)を行う。
【0080】
次に、フレキシブル基板等と励起光源71のリード端子71cとを接続する工程(ステップS100)を行う。
【0081】
このように光源装置の製造方法が、上述の工程を含むことにより、弾性部材を用いて励起光源71の光軸とコリメータレンズ73の光軸とのずれを修正して位置合わせを容易とすることができる。
【0082】
尚、ステップS50及びステップS60の工程で、励起光源71を点灯させながらコリメータレンズ73の位置調整をしていたが、励起光源71を点灯させることなく、ハウジング84のレンズ保持部84aとコリメータレンズ73とを目視しながら配置調整しても勿論良い。
【0083】
なお、上記実施形態では、複数のレンズ部73bを備えたレンズアレイ73に光源用素子を組み合わせて形成したプロジェクタ10の光源装置として青色光源装置である励起光照射装置70の構成について説明してきたが、本発明の光源装置は、例えば、プロジェクタ10の赤色光源装置や緑色光源装置についても複数の光源が行及び列をなすように平面状に配列された光源群と、各光源から射出された各光線束を集光させる等のレンズ群と、を有する光学系の構成とする場合には同様に適用できる。
【0084】
また、上記実施形態では、プロジェクタ10の光源装置として、半導体発光素子である青色レーザーダイオードをマトリクス状に複数配置して形成される励起光照射装置70の構成について説明してきたが、本発明の光源装置は、例えば、1個の素子であっても発光量の大きな発光素子による光源と、その光源から射出された光線束を集光させる集光レンズ等のレンズと、による光源装置の構成においても、ハウジング構造及び、ホルダの構造を適用することができる。
【0085】
以上のように本発明の実施形態によれば、弾性部材を用いて光源用素子の光軸とレンズの光軸とのずれを修正して位置合わせを容易とする光源装置であって、レンズと光源を適正な配置とする明るい光源装置と、この光源装置を用いた明るい投影が可能なプロジェクタ10、及び、明るく効率の良い光源装置の製造方法を提供することができる。
【0086】
さらに、本発明の実施形態によれば、励起光源71をハウジング84の発光素子保持部84bにより光の射出方向と傾斜及び横移動しないように保持固定して配置させていることにより、コリメータレンズ73の姿勢調整のときに励起光源71の光軸を安定させることができる。
【0087】
また、本発明の実施形態によれば、コリメータレンズ73の主点と励起光源71の発光中心との距離が、コリメータレンズ73の焦点距離の長さと等しくされていることから、光軸のぶれの調整を行うことにより、レンズと光源の位置を適正な配置とすることができる。
【0088】
また、本発明の実施形態によれば、レンズ調整手段として3個の螺子85を用いることにより、比較的容易に位置調整を行うことができる
【0089】
さらに、本発明の実施形態によれば、レンズ位置調整手段である螺子85をコリメータレンズ73の厚さ方向中央に位置していることから、調整時にコリメータレンズ73を適正に光軸と垂直の方向に移動させることができる。
【0090】
そして、本発明の実施形態によれば、弾性体としてつる巻きバネ86を用いることにより、比較的安価な構成でコリメータレンズ73及び励起光源71の所定方向に付勢させることができる。
【0091】
また、本発明の実施形態によれば、光源用素子ホルダ79により励起光源71とコリメータレンズ73、つる巻きばね86を収納したハウジング84を複数保持することにより、光軸が適正に調整された複数の光源による輝度の高い光源装置とすることができる。
【0092】
さらに、本発明の実施形態によれば、リアホルダ82の後面にヒートシンク81を有することにより、励起光源71による発熱を、ヒートシンク81を用いて放熱することにより光源を効果的に冷却することができる。
【0093】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0094】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 発光素子とコリメータレンズと弾性体とを収納し且つレンズ位置調整手段を備えた筒状形状のハウジングを保持する光源用素子ホルダと、リアホルダとを有し、
前記発光素子は、シリンダ部と、当該シリンダ部の後端に設けられたフランジ部とを有し、
前記ハウジングは、先端の内側に突出する鍔部と、前記発光素子の前記フランジ部の周囲に接する発光素子保持部と、を有し、
前記ハウジングには、前面に前記鍔部の内側が接触するように前記レンズ位置調整手段によって固定された前記コリメータレンズが収納され、且つ前記コリメータレンズの後方に前記弾性体が圧縮状態で収納され、且つ前記弾性体の後方に前記発光素子が収納され、
前記リアホルダは、前記ハウジングの後端及び前記発光素子の後面に密着するように前記光源用素子ホルダの後面に配置されることを特徴とする光源装置。
[2] 前記ハウジングと前記コリメータレンズとの間に空間が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
[3] 前記ハウジングの前記発光素子保持部は、前記発光素子を当該発光素子の光軸が傾斜及び横移動しないように保持固定していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光源装置。
[4] 前記コリメータレンズの主点と前記発光素子の発光中心との距離が、前記コリメータレンズの焦点距離の長さと等しくされていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の光源装置。
[5] 前記レンズ位置調整手段は、前記ハウジングの中心軸と直交する平面上に前記中心軸の周囲3方向に等間隔で配置された3個の螺子であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の光源装置。
[6] 前記コリメータレンズは、厚肉レンズであって、
前記レンズ位置調整手段は、前記レンズの厚さ方向中央に位置していることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の光源装置。
[7] 前記発光素子は、前記フランジ部の後端面から延出するリード端子をさらに有し、
前記リアホルダは、前記発光素子のリード端子を貫通させる穴部をさらに有し、 前記リアホルダは、前記リード端子が前記孔部を貫通するように前記発光素子の後面に密着して配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の光源装置。
[8] 前記弾性体は、つる巻きバネであることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の光源装置。
[9] 前記光源用素子ホルダは、前記発光素子と前記コリメータレンズと前記弾性体とを収納した前記ハウジングを複数個保持することを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載の光源装置。
[10] 前記リアホルダの後面にヒートシンクを有することを特徴とする請求項1乃至請求項請求項9の何れかに記載の光源装置。
[11] 光源装置と、
表示素子と、
前記光源装置からの光を前記表示素子に導光する光源側光学系と、
前記表示素子から射出された画像をスクリーンに投影する投影側光学系と、
前記光源装置や表示素子を制御するプロジェクタ制御手段と、を備え、
前記光源装置が、赤色波長帯域光を発する光源装置、青色波長帯域光を発する光源装置、及び、緑色波長帯域光を発する光源装置であって、少なくとも1つの光源装置が請求項1乃至請求項10の何れかに記載の光源装置であることを特徴とするプロジェクタ。
[12] 発光素子とコリメータレンズと弾性体とを収納し且つレンズ位置調整手段を備えた筒状形状のハウジングを保持する光源用素子ホルダと、リアホルダとを有し、前記発光素子は、シリンダ部と、当該フランジ部の後端に設けられたフランジ部とを有し、前記ハウジングは、先端の内側に突出する複数の鍔部と、前記発光素子の前記フランジ部の周囲に接する発光素子保持部と、を有し、前記ハウジングには、前面に前記複数の鍔部の内側が接触するように前記レンズ位置調整手段によって固定された前記コリメータレンズが収納され且つ、前記コリメータレンズの後方に前記弾性体が圧縮状態で収納され且つ、前記弾性体の後方に前記発光素子が収納され、前記リアホルダは、前記ハウジングの後端及び前記発光素子の後面に密着するように前記光源用素子ホルダの後面に配置される光源装置の製造方法であって、
前記コリメータレンズを前記ハウジングに収納する工程と、
前記弾性体を前記ハウジングに収納する工程と、
前記発光素子を前記ハウジングに収納する工程と、
前記ハウジングを調整用治具に取り付ける工程と、
前記発光素子を点灯させる工程と、
前記レンズ位置調整手段を作動させて前記コリメータレンズを前記レンズ調整空間内で所定の位置に移動させる工程と、
作動させた前記レンズ位置調整手段を固定させる工程と、
前記ハウジングを前記調整用治具から取り外す工程と、
前記ハウジングを前記光源用素子ホルダに取り付ける工程と、
を含むことを特徴とする光源装置の製造方法。
[13] 前記発光素子は、前記フランジ部の後端面から延出するリード端子をさらに有し、
前記光源装置の製造方法は、さらに、フレキシブル基板と前記リード端子とを接続する工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の光源装置の製造方法。
【符号の説明】
【0095】
10 プロジェクタ 11 上面パネル
12 正面パネル
13 背面パネル 14 右側パネル
15 左側パネル 17 排気孔
18 吸気孔 19 レンズカバー
20 各種端子 21 入出力コネクタ部
22 入出力インターフェース 23 画像変換部
24 表示エンコーダ 25 ビデオRAM
26 表示駆動部 31 画像圧縮/伸長部
32 メモリカード 35 IR受信部
36 IR処理部 37 キー/インジケータ部
38 制御部 41 光源制御回路
43 冷却ファン駆動制御回路 45 レンズモータ
47 音声処理部 48 スピーカ
51 表示素子 60 光源ユニット
70 励起光照射装置 71 励起光源
71a フランジ部 71b シリンダ部
71c リード端子
72 光源群
73 コリメータレンズ 75 反射ミラー
78 集光レンズ
79 光源用素子ホルダ 81 ヒートシンク
82 リアホルダ 82a 穴部
84 ハウジング 84a レンズ保持部
84b 発光素子保持部 84c 本体部
84d 鍔部
85 螺子
86 つる巻きばね 87 レンズ調整空間
100 蛍光発光装置 101 蛍光ホイール
110 ホイールモータ
111 集光レンズ群 115 集光レンズ
120 赤色光源装置 121 赤色光源
125 集光レンズ群 130 ヒートシンク
140 導光光学系 141 第一ダイクロイックミラー
143 第一反射ミラー
145 第二反射ミラー 148 第二ダイクロイックミラー
160 光学系ユニット 161 照明側ブロック
165 画像生成ブロック 168 投影側ブロック
170 光源側光学系 173 集光レンズ
175 ライトトンネル
178 集光レンズ
181 光軸変換ミラー 183 集光レンズ
185 照射ミラー 190 ヒートシンク
195 コンデンサレンズ 220 投影側光学系
225 固定レンズ群 235 可動レンズ群
241 制御回路基板 261 冷却ファン
300 下治具 300a 穴部
301 上治具


【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子とコリメータレンズと弾性体とを収納し且つレンズ位置調整手段を備えた筒状形状のハウジングを保持する光源用素子ホルダと、リアホルダとを有し、
前記発光素子は、シリンダ部と、当該シリンダ部の後端に設けられたフランジ部とを有し、
前記ハウジングは、先端の内側に突出する鍔部と、前記発光素子の前記フランジ部の周囲に接する発光素子保持部と、を有し、
前記ハウジングには、前面に前記鍔部の内側が接触するように前記レンズ位置調整手段によって固定された前記コリメータレンズが収納され、且つ前記コリメータレンズの後方に前記弾性体が圧縮状態で収納され、且つ前記弾性体の後方に前記発光素子が収納され、
前記リアホルダは、前記ハウジングの後端及び前記発光素子の後面に密着するように前記光源用素子ホルダの後面に配置されることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記ハウジングと前記コリメータレンズとの間に空間が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記ハウジングの前記発光素子保持部は、前記発光素子を当該発光素子の光軸が傾斜及び横移動しないように保持固定していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記コリメータレンズの主点と前記発光素子の発光中心との距離が、前記コリメータレンズの焦点距離の長さと等しくされていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の光源装置。
【請求項5】
前記レンズ位置調整手段は、前記ハウジングの中心軸と直交する平面上に前記中心軸の周囲3方向に等間隔で配置された3個の螺子であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の光源装置。
【請求項6】
前記コリメータレンズは、厚肉レンズであって、
前記レンズ位置調整手段は、前記レンズの厚さ方向中央に位置していることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の光源装置。
【請求項7】
前記発光素子は、前記フランジ部の後端面から延出するリード端子をさらに有し、
前記リアホルダは、前記発光素子のリード端子を貫通させる穴部をさらに有し、 前記リアホルダは、前記リード端子が前記孔部を貫通するように前記発光素子の後面に密着して配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の光源装置。
【請求項8】
前記弾性体は、つる巻きバネであることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の光源装置。
【請求項9】
前記光源用素子ホルダは、前記発光素子と前記コリメータレンズと前記弾性体とを収納した前記ハウジングを複数個保持することを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載の光源装置。
【請求項10】
前記リアホルダの後面にヒートシンクを有することを特徴とする請求項1乃至請求項請求項9の何れかに記載の光源装置。
【請求項11】
光源装置と、
表示素子と、
前記光源装置からの光を前記表示素子に導光する光源側光学系と、
前記表示素子から射出された画像をスクリーンに投影する投影側光学系と、
前記光源装置や表示素子を制御するプロジェクタ制御手段と、を備え、
前記光源装置が、赤色波長帯域光を発する光源装置、青色波長帯域光を発する光源装置、及び、緑色波長帯域光を発する光源装置であって、少なくとも1つの光源装置が請求項1乃至請求項10の何れかに記載の光源装置であることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項12】
発光素子とコリメータレンズと弾性体とを収納し且つレンズ位置調整手段を備えた筒状形状のハウジングを保持する光源用素子ホルダと、リアホルダとを有し、前記発光素子は、シリンダ部と、当該フランジ部の後端に設けられたフランジ部とを有し、前記ハウジングは、先端の内側に突出する複数の鍔部と、前記発光素子の前記フランジ部の周囲に接する発光素子保持部と、を有し、前記ハウジングには、前面に前記複数の鍔部の内側が接触するように前記レンズ位置調整手段によって固定された前記コリメータレンズが収納され且つ、前記コリメータレンズの後方に前記弾性体が圧縮状態で収納され且つ、前記弾性体の後方に前記発光素子が収納され、前記リアホルダは、前記ハウジングの後端及び前記発光素子の後面に密着するように前記光源用素子ホルダの後面に配置される光源装置の製造方法であって、
前記コリメータレンズを前記ハウジングに収納する工程と、
前記弾性体を前記ハウジングに収納する工程と、
前記発光素子を前記ハウジングに収納する工程と、
前記ハウジングを調整用治具に取り付ける工程と、
前記発光素子を点灯させる工程と、
前記レンズ位置調整手段を作動させて前記コリメータレンズを前記レンズ調整空間内で所定の位置に移動させる工程と、
作動させた前記レンズ位置調整手段を固定させる工程と、
前記ハウジングを前記調整用治具から取り外す工程と、
前記ハウジングを前記光源用素子ホルダに取り付ける工程と、
を含むことを特徴とする光源装置の製造方法。
【請求項13】
前記発光素子は、前記フランジ部の後端面から延出するリード端子をさらに有し、
前記光源装置の製造方法は、さらに、フレキシブル基板と前記リード端子とを接続する工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の光源装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−73010(P2013−73010A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211881(P2011−211881)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】