説明

光源装置及びプロジェクタ

【課題】 発光ダイオードや固体発光素子を用いた光源装置と、該光源装置を用いることにより輝度の高い投影画像を投影可能なプロジェクタとを提供する。
【解決手段】 光源装置と、導光装置と、表示素子と、投影側光学系と、プロジェクタ制御手段とを備えるプロジェクタにおいて、光源装置は、赤色光源装置と、緑色光源装置151Gと、青色光源装置とを備え、緑色光源装置151Gは、励起光を受けて緑色光を発光する平板状の発光光源152と、発光光源152の表裏両面に励起光を照射する面光源とする励起光源153と、励起光源153の少なくとも二面を備えて発光光源152を内部に有する反射空間170と、反射空間170から射出される所定の波長域の発光光源光を発光光源152の面積よりも小さな面積とされた射出口173から射出する射出空間171とを備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード又は固体発光素子を用いた光源装置と、該光源装置を備えたプロジェクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、パーソナルコンピュータの画面やビデオ画像、更にメモリカード等に記憶されている画像データによる画像等をスクリーンに投影する画像投影装置としてのデータプロジェクタが多用されている。このプロジェクタは、光源から射出された光をDMDと呼ばれるマイクロミラー表示素子、又は、液晶板に集光させ、スクリーン上にカラー画像を表示させるものである。
【0003】
このようなプロジェクタにおいて、従来は高輝度の放電ランプを光源とするものが主流であったが、近年、光源として赤色、緑色、青色の発光ダイオードや有機EL等の固体発光素子を用いるための開発がなされており多くの提案がなされている。
【0004】
発光ダイオードは放電ランプと比較して電力消費が少なく、信頼性も高いが、プロジェクタにおいて用いるためには単体ではまだ発光量が少なく、所望の輝度を得られないという問題点があった。そこで、発光ダイオードをプロジェクタの光源とするために、複数の発光ダイオードを配置し、複数の発光ダイオードからの射出光を合成して用いる場合がある。
【0005】
例えば、特開2005−274836号公報(引用文献1)では、白色ダイオードを略回転楕円面形状或いは回転放物面形状のベース部材に複数並設し、導光装置の入射面近傍に焦点が位置するように配置した光源装置についての提案がなされている。
【0006】
又、特開2006−208894号公報(引用文献2)では、アレイ状に複数の発光ダイオードを配置した3つの光源をクロスダイクロイックミラーの三方に配置し、このクロスダイクロイックミラーから射出される光線束の光軸上に縦長で四角錐台形状のロッドインテグレータを配置することで、複数の輝点から射出された光を合成させている。
【特許文献1】特開2005−274836号公報
【特許文献2】特開2006−208894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
画像表示装置等の光学系では、有効に扱える光束が存在する空間的な広がりを面積と立体角との積として表すことができ、この積をエテンデュー(Etendue)という。このエテンデューは光学系において保存される値である。
【0008】
上述したようなDMD等の表示素子を用いたプロジェクタにおいては、表示素子の被照明領域の面積をS'、該被照明領域の面積S'が取り込める入射光の立体角をΩ'とした場合、表示素子のエテンデューはS'×Ω'で表される。又、光源装置の発光領域の面積をS、射出光の立体角をΩとすると、光源装置のエテンデューはS×Ωで表される。
【0009】
エテンデューは光学系において保存される値であるため、光源装置のエテンデューS×Ωの値が表示素子のエテンデューS'×Ω'の値よりも小さい場合、光源装置から射出された光は全て利用することが可能となり、全ての射出光を有効光とすることができるが、光源装置のエテンデューS×Ωの値が表示素子のエテンデューS'×Ω'の値よりも大きい場合、光源装置から射出された光の中で利用できない光が発生することになる。
【0010】
従来の発光ダイオードを用いたプロジェクタでは、発光ダイオードの発光量が少ないため、複数の発光ダイオードを配置し、複数の発光ダイオードから射出される光線束を集光して利用する必要があるが、複数の発光ダイオードを用いた場合、表示素子のエテンデューの値と比較して光源装置のエテンデューの値が大きくなり、利用できない光が増大するため発光ダイオードの利用効率が低下するという問題点があった。
【0011】
又、発光ダイオードの中で緑色発光ダイオードは、赤色発光ダイオードや青色発光ダイオードと比較して発光効率が低いため、赤色発光ダイオードや青色発光ダイオードよりも多数配置する必要がある。この場合、発光ダイオードを密に集めても数の増加により発光領域の面積も増加し、緑色発光ダイオード光源のエテンデューの値が大きくなるために有効光の割合が小さくなり、結局緑色発光ダイオードの光量不足が解消できないといった問題点があった。
【0012】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みて成されたものであり、光源として発光ダイオードや固体発光素子を用いる場合において、発光ダイオード等の利用効率が高く光量を容易に増やすことが可能な光源装置と、該光源装置を用いることにより輝度の高い投影画像を投影可能なプロジェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の光源装置は、励起光を受けて所定の波長域の光を発光する発光光源と、該発光光源に励起光を照射する励起光源と、前記発光光源を内部に有する反射空間と、該反射空間から射出される発光光源光を前記発光光源の面積よりも小さな面積とされた射出口から射出する射出空間とを備えるものである。
【0014】
又、前記励起光源は、発光ダイオード又は固体発光素子の複数個を平面上に配置して面光源の励起光源としているものである。
【0015】
尚、前記励起光源は、板状の発光ダイオード又は板状の固体発光素子を用いて面光源の励起光源としていることもある。
【0016】
又、前記励起光源を二つ備え、該励起光源は平行に対向して配置されていることを特徴とするものである。
【0017】
更に、前記発光光源は、対向して配置された前記励起光源の中間に該励起光源と平行に配置されているものである。
【0018】
そして、前記反射空間は、二つの励起光源と、複数の反射ミラーと、前記励起光源からの射出光は反射し前記発光光源からの射出光は透過させる射出用ダイクロイックミラーとによる平面で囲まれた中空直方体形状に形成されているものである。
【0019】
又、前記射出空間は、前記射出用ダイクロイックミラーと、反射ミラーと、前記射出口とされる所定の開口とによる平面で囲まれた中空直方体形状に形成されているものである。
【0020】
更に、前記射出空間の射出口は、前記発光光源と平行になるよう形成されていることを特徴とするものである。
【0021】
又、前記励起光源と前記発光光源の間には、励起光源から射出された励起光は透過し前記発光光源から射出された所定の波長域の発光光源光は反射させる反射用ダイクロイックミラーが配置されていることを特徴とするものである。
【0022】
そして、赤色光を射出する赤色光源装置と、緑色光を射出する緑色光源装置と、青色光を射出する青色光源装置とを備え、前記赤色光源装置及び緑色光源装置並びに青色光源装置の内の少なくとも一つは前記励起光源及び発光光源を備えるものである。
【0023】
更に、前記赤色光源装置及び緑色光源装置並びに青色光源装置の内、緑色光源装置が前記励起光源及び発光光源を備えていることを特徴とするものである。
【0024】
そして、本発明のプロジェクタは、光源装置と、導光装置と、表示素子と、投影側光学系と、プロジェクタ制御手段とを備え、前記光源装置としては、上述した光源装置を用いているものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、光源として発光ダイオードや固体発光素子を用いる場合において、発光ダイオード等の利用効率が高く光量を容易に増やすことが可能な光源装置と、該光源装置を用いることにより輝度の高い投影画像を投影可能なプロジェクタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明を実施するための最良の形態のプロジェクタ10は、光源装置63と、導光装置75と、表示素子51と、投影側光学系90と、プロジェクタ制御手段とを備えるものである。
【0027】
そして、光源装置63は、赤色発光ダイオード161Rを用いた赤色光源装置151Rと、緑色光を射出する緑色光源装置151Gと、青色発光ダイオード161Bを用いた青色光源装置151Bとを備え、緑色光源装置151Gは、励起光を受けて緑色光を発光する平板方形状の発光光源152と、発光光源152の表裏両面に励起光を照射する面光源とされる励起光源153と、励起光源153の少なくとも二面を備えて発光光源152を内部に有する反射空間170と、反射空間170から射出される所定波長域の発光光源光を発光光源152の面積よりも小さな面積とされた射出口173から射出する射出空間171とを備えるものである。
【0028】
又、この励起光源153は、紫外線発光ダイオード161UVの複数個を平面上に配置して面光源の励起光源153とされるものである。
【0029】
そして、緑色光源装置151Gは、平行に対向して配置される二つの励起光源153を備え、二つの励起光源153の中間に励起光源153と平行に発光光源152が配置され、反射空間170は、二つの励起光源153と、複数の反射ミラー155と、励起光源153からの射出光は反射し発光光源152からの射出光は透過する射出用ダイクロイックミラー156とによる平面で囲まれた中空直方体形状に形成されているものである。
【0030】
更に、射出空間171は、射出用ダイクロイックミラー156と、複数の反射ミラー157と、射出口173とされる所定の開口とによる平面で囲まれた中空直方体形状に形成され、この射出口173は、発光光源152と平行になるよう形成されているものである。
【0031】
又、励起光源153と発光光源152の間には、励起光源153から射出された励起光は透過し発光光源152から射出された緑色光は透過させる反射用ダイクロイックミラー154が配置されているものである。
【実施例】
【0032】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。本発明の実施例に係るプロジェクタ10は、図1に示すように、略直方体形状であって、本体ケースの前方の側板とされる前面パネル12の側方に投影口を覆うレンズカバー19を有すると共に、この前面パネル12には複数の排気孔17を設けている。更に、図示しないがリモートコントローラからの制御信号を受信するIr受信部を備えている。
【0033】
又、本体ケースである上面パネル11にはキー/インジケータ部37を設けるものであり、このキー/インジケータ部37には、電源スイッチキーや電源のオン又はオフを報知するパワーインジケータ、投影のオン、オフを切りかえる投影スイッチキー、光源装置や表示素子又は制御回路等が過熱したときに報知をする過熱インジケータ等のキーやインジケータを設けるものである。
【0034】
更に、本体ケースの背面には、背面パネルにUSB端子や画像信号入力用のD−SUB端子、S端子、RCA端子等を設ける入出力コネクタ部及び電源アダプタプラグ等の各種端子20を設けているものである。
【0035】
尚、図示しない本体ケースの側板である右側パネル14、及び、図1に示した側板である左側パネル15の下部近傍には、各々複数の吸気孔18を設けているものである。
【0036】
そして、このプロジェクタ10のプロジェクタ制御手段は、図2に示すように、制御部38、入出力インターフェース22、画像変換部23、表示エンコーダ24、表示駆動部26等を有するものであって、入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース22、システムバス(SB)を介して画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換された後、表示エンコーダ24に送られるものである。
【0037】
又、表示エンコーダ24は、送られてきた画像信号をビデオRAM25に展開記憶させた上でこのビデオRAM25の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力するものである。
【0038】
そして、表示エンコーダ24からビデオ信号が入力される表示駆動部26は、送られてきた画像信号に対応して適宜フレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子51を駆動するものであり、光源装置63から射出された光線束を光源側光学系を介して表示素子51に入射することにより、表示素子51の反射光で光像を形成し、投影側光学系とする投影系レンズ群を介して図示しないスクリーンに画像を投影表示するものであり、この投影側光学系の可動レンズ群97は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動が行われるものである。
【0039】
又、画像圧縮伸長部31は、画像信号の輝度信号及び色差信号をADTC及びハフマン符号化等の処理によりデータ圧縮して着脱自在な記録媒体とされるメモリカード32に順次書き込む記録処理や、再生モード時はメモリカード32に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長して画像変換部23を介して表示エンコーダ24に送り、メモリカード32に記憶された画像データに基づいて動画等の表示を可能とするものである。
【0040】
そして、制御部38は、プロジェクタ10内の各回路の動作制御を司るものであって、CPUや各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成されている。
【0041】
又、本体ケースの上面パネル11に設けられるメインキー及びインジケータ等により構成されるキー/インジケータ部37の操作信号は、直接に制御部38に送出され、リモートコントローラからのキー操作信号は、Ir受信部35で受信され、Ir処理部36で復調されたコード信号が制御部38に送られるものである。
【0042】
尚、制御部38にはシステムバス(SB)を介して音声処理部47が接続されており、音声処理部47はPCM音源等の音源回路を備え、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音させることができるものである。
【0043】
又、この制御部38は、光源制御回路41を制御するものであり、画像信号に応じて赤色光源、緑色光源、青色光源を時分割制御している。更に、冷却ファン駆動制御回路43には、光源装置63等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせて、冷却ファンの回転速度を制御させ、又、タイマー等によりプロジェクタ本体の電源OFF後も冷却ファンの回転を持続させるものであり、更に、温度センサによる温度検出の結果によってはプロジェクタ本体の電源をOFFにする等の制御も行うものである。
【0044】
そして、これらのROM、RAM、ICや回路素子は、図3に示す主制御基板としての制御回路基板103や電源回路ブロック101に組み込まれ、制御系の主制御基板とした制御回路基板103と電力系の電源回路ブロック101等が取付けられる光源制御回路基板102とを分けて形成しているものである。
【0045】
このプロジェクタ10の内部構造は、図3に示したように、電源回路ブロック101等を取付けた光源制御回路基板102を右側パネル14の近傍に配置し、筐体内を区画用隔壁120により背面パネル13側の吸気側空間室121と前面パネル12側の排気側空間室122とに気密に区画している。そして、冷却ファンとするシロッコファンタイプのブロア110を、吸込み口111が吸気側空間室121に位置し排気側空間室122と吸気側空間室121の境界に吐出口113が位置するように配置しているものである。
【0046】
又、排気側空間室122内には、光源装置63と、光源装置63からの射出光を表示素子51に導光する光学系ユニット70の照明側ブロック78が備える導光装置75と、排気温低減装置114とが配置されているものである。
【0047】
この光源装置63は、図4に示すように、赤色光である特定の波長域光を生成する特定波長域光生成装置としての赤色光源装置151Rと、緑色光である特定の波長域光を生成する特定波長域光生成装置としての緑色光源装置151Gと、青色光である特定の波長域光を生成する特定波長域光生成装置としての青色光源装置151Bとを備え、赤色光源装置151Rは、図3に示した前面パネル12の近傍に光軸が前面パネル12と略平行となるように配置され、緑色光源装置151Gは、赤色光源装置151Rと光軸が平行となるように赤色光源装置151Rよりも背面パネル13側に配置され、青色光源装置151Bは、赤色光源装置151R及び前面パネル12の近傍であって赤色光源装置151Rの光軸と青色光源装置151Bの光軸が垂直に交差するように配置されているものである。
【0048】
又、光源装置63は、赤色光源装置151R及び青色光源装置151Bの光軸が交差する位置に配置された第一ダイクロイックミラー142と、第一ダイクロイックミラー142で反射又は第一ダイクロイックミラー142を透過した赤色光及び青色光の光軸と緑色光源装置151Gの光軸とが交差する位置に配置された第二ダイクロイックミラー144と、第二ダイクロイックミラー144で反射又は第二ダイクロイックミラー144を透過した赤色光及び緑色光並びに青色光の光線束の光軸上に配置された集光レンズ148とを備えるものである。
【0049】
この第一ダイクロイックミラー142は、青色光源装置151Bから射出された青色光は透過させ、赤色光源装置151Rから射出された赤色光は青色光源装置151Bから射出された青色光の光軸方向と同一の光軸方向となるように反射するものであり、第二ダイクロイックミラー144は、第一ダイクロイックミラー142で反射した赤色光及び第一ダイクロイックミラー142を透過した青色光は透過させ、緑色光源装置151Gから射出された緑色光は赤色光及び青色光の光軸方向と同一の光軸方向となるように反射するものであり、集光レンズ148は、赤色光及び緑色光並びに青色光を図3に示した導光装置75の入射面に集光するものである。
【0050】
そして、特定波長域光生成装置とする赤色光源装置151Rは、プロジェクタ制御手段によって時分割制御される光源としての所要個数の赤色発光ダイオード161Rと、この赤色発光ダイオード161Rが保持される光源保持具と、赤色発光ダイオード161Rの前方近傍に配置された透明なカバー部材と、赤色発光ダイオード161Rからの射出光を集光する集光レンズ164とを備えたものである。
【0051】
この光源保持具は、背面と背面の外周縁から立ち上がる縁部とから形成されたものであり、背面の中心近傍に赤色発光ダイオード161Rが配置されているものである。又、カバー部材は、透明なガラス又は樹脂によって形成された方形状の板であり、光源保持具の縁部の前端近傍に配置され、赤色発光ダイオード161Rの前方を封止しているものである。
【0052】
そして、赤色発光ダイオード161Rからの射出光は、カバー部材を透過し集光レンズ164により集光されて第一ダイクロイックミラー142に照射され、第一ダイクロイックミラー142で反射した後、第二ダイクロイックミラー144を透過し、集光レンズ148によって図3に示した導光装置75の入射面に集光されるものである。
【0053】
又、特定波長域光生成装置とする青色光源装置151Bは、赤色光源装置151Rと同様の構成であって、赤色発光ダイオード161Rの代りに光源として時分割制御される所要個数の青色発光ダイオード161Bを使用したものであり、青色発光ダイオード161Bからの射出光は、カバー部材を透過し集光レンズ164により集光されて第一ダイクロイックミラー142に照射され、第一ダイクロイックミラー142を透過した後、第二ダイクロイックミラー144を透過し、集光レンズ148によって図3に示した導光装置75の入射面に集光されるものである。
【0054】
そして、本実施例に係る緑色光を生成する特定波長域光生成としての緑色光源装置151Gは、図5に示すように、励起光を受けて緑色光を発光する平板方形状の発光光源152と、発光光源152の表裏両面に励起光を照射する面光源としての励起光源153と、励起光源153からの射出光を発光光源152に導光すると共に、発光光源152から射出された緑色光を所定の一面から後述する射出空間171に射出する直方体形状の反射空間170と、反射空間170からの射出された緑色光を発光光源152の面積よりも小さな面積とされた射出口173から外部に射出する直方体形状の射出空間171とを備えるものである。
【0055】
この励起光源153は、紫外線発光ダイオード161UVを備えた平板方形状の面光源を形成するものであって、二枚の励起光源153が対向するように配置され、直方体形状の反射空間170を形成する後述の反射室の所定の対向する二面を形成しているものである。この平板形状の励起光源153としては、複数の紫外線発光ダイオード161UVを並設することによって平板状に形成する場合や、平板型の紫外線発光ダイオード161UVを用いる場合がある。
【0056】
又、発光光源152は、励起光源153から射出された紫外線とする励起光を吸収して緑色に発光する平板方形状の蛍光体であって、二枚の励起光源153の中間に励起光源153と平行に配置され、その外縁が透明な支持部材を介して後述する反射ミラー155に固定されているものである。
【0057】
そして、反射空間170は、二つの励起光源153による二面と、紫外線とされる励起光及び緑色光とされる発光光源光を反射する反射ミラー155による面と、励起光源153からの射出光である紫外線は反射し発光光源152からの射出光である緑色光は透過させる射出用ダイクロイックミラー156による一面とによる平面で囲まれた中空直方体形状の反射室によって形成されているものである。
【0058】
この反射空間170を形成する反射室は、二枚の励起光源153が所定の距離離れた状態で平行として対向するように配置され、この二枚の励起光源153の各々三辺と接するように三枚の反射ミラー155が連結され、残りの一辺に接する面に射出用ダイクロイックミラー156が配置されることによって形成されているものである。尚、対向する二枚の反射ミラー155の中央近傍に発光光源152が固定されている。更に、励起光源153と発光光源152の間には励起光源153からの射出光は透過し発光光源152からの射出光は反射する反射用ダイクロイックミラー154が配置されているものである。
【0059】
又、射出空間171は、射出用ダイクロイックミラー156による一面と、緑色光とされる発光光源光を反射する反射ミラー157による面と、射出口173とされる開口とによる平面で囲まれた中空直方体形状の射出室によって形成されているものである。そして、射出口173とされる開口は、発光光源152の面積よりも小さく形成されると共に、発光光源152の発光面と平行とされ、又、射出口173の近傍には、図4に示したように、集光レンズ164が配置されているものである。
【0060】
そして、本実施例における緑色光源装置151Gにおいて、励起光源153から反射空間170に射出される紫外線は、図6に示すように、反射用ダイクロイックミラー154を透過し、直接又は反射ミラー155や射出用ダイクロイックミラー156で反射を繰り返した後に発光光源152に照射される。尚、励起光源153つまり発光ダイオードは、光を反射する性質も有しているため、発光光源152に入射されずに再び励起光源153に照射された光は、励起光源153で反射されて反射空間170内に再び射出されるものである。
【0061】
又、発光光源152は、紫外線とされる励起光が照射されると、紫外線を励起エネルギーとして吸収し緑色に発光する。そして、発光光源152が発光することにより射出された緑色の発光光源光は、図7に示すように、直接又は反射ミラー155や反射用ダイクロイックミラー154で反射を繰り返した後に射出用ダイクロイックミラー156を透過して射出空間171に入射され、射出空間171に入射された緑色の発光光源光は、直接又は反射ミラー157で反射して射出口173から外部に射出されるものである。又、反射ミラー157で反射して射出用ダイクロイックミラー156に照射される光線束は、再び反射空間170内に入射され、反射空間170内で反射を繰り返した後に再度射出空間171に入射されて射出口173から外部に射出されるものである。
【0062】
更に、射出空間171の射出口173から外部に射出された光線束は、図4に示した射出空間171の射出口173の近傍に配置された集光レンズ164によって集光されて第二ダイクロイックミラー144に照射され、第二ダイクロイックミラー144で反射して光軸方向を赤色及び青色光線と同一に変更され、集光レンズ148によって図3に示した導光装置75の入射面に集光されるものである。
【0063】
そして、光学系ユニット70は、図3に示したように、光源装置63の近傍に位置する照明側ブロック78と、画像生成ブロック79と、投影側ブロック80との3つのブロックから構成され、左側パネル15に沿って配置されているものである。
【0064】
照明側ブロック78は、光源装置63から射出された光を画像生成ブロック79が備える表示素子51に導光する光源側光学系62の一部を備え、照明側ブロック78が有する光源側光学系62としては、光源装置63から射出された光線束を均一な強度分布の光束とする導光装置75や、導光装置75を透過した光を集光する集光レンズ等がある。
【0065】
又、画像生成ブロック79は、導光装置75から射出された光の向きを変更する光軸変更ミラー74と、この光軸変更ミラー74により反射した光を表示素子51に集光させる複数枚のレンズで形成した光源側レンズ群83及び光源側レンズ群83を透過した光を表示素子51に所定の角度で照射する照射ミラー84等を光源側光学系62として有し、更に、表示素子51とするDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を備えている。尚、この表示素子51の背面パネル13側には表示素子51を冷却するための表示素子冷却装置53が配置され、表示素子51が高温となることを防止している。
【0066】
更に、投影側ブロック80は、表示素子51で反射されて画像を形成する光をスクリーンに放出する投影側光学系90のレンズ群を有し、投影側光学系90としては、固定鏡筒に内蔵する固定レンズ群93と可動鏡筒に内蔵する可動レンズ群97とを備えてズーム機能を備えた可変焦点型レンズとしているものであり、レンズモータにより可動レンズ群97を移動させてズーム調整やフォーカス調整を可能としているものである。
【0067】
次に本実施例における効果について述べる。プロジェクタ10等における光学系では、有効に扱える光束が存在する空間的な広がりを面積と立体角との積として表すことができ、この積をエテンデュー(Etendue)という。このエテンデューは光学系において保存される値である。
【0068】
上述したようなDMD等の表示素子51を用いたプロジェクタ10においては、表示素子51の被照明領域の面積をS'、該被照明領域の面積S'が取り込める入射光の立体角をΩ'とした場合、表示素子51のエテンデューはS'×Ω'で表される。又、光源装置63の発光領域の面積をS、射出光の立体角をΩとすると、光源装置63のエテンデューはS×Ωで表される。
【0069】
エテンデューは光学系において保存される値であるため、光源装置63のエテンデューS×Ωの値が表示素子51のエテンデューS'×Ω'の値よりも小さい場合、光源装置63から射出された光は全て利用されることとなり全ての射出光が有効光となるが、光源装置63のエテンデューS×Ωの値が表示素子51のエテンデューS'×Ω'の値よりも大きい場合、光源装置63から射出された光の中で利用できない光が発生することになる。
【0070】
よって、発光ダイオードの光量不足を補うために複数の発光ダイオードを用いる場合、発光領域が広がるため光源装置63のエテンデューの値が大きくなり、発光ダイオードから射出された光線束の中で利用できない光が増え、発光ダイオードの利用効率が下がるといった問題点があった。
【0071】
又、発光ダイオードを光源としてプロジェクタ10に用いた場合、緑色発光ダイオードの発光量が赤色や青色発光ダイオードの発光量と比較して少ないため、緑色の光量を増やすためには赤色や青色発光ダイオードよりも発光ダイオードの量を増やす必要があった。しかしながら、発光ダイオードの量を単純に増やした場合には、上述したようにエテンデューの値も大きくなるため、発光ダイオードの利用効率が下がり、結局光量不足を解消することができないといった問題点もあった。
【0072】
しかし、本実施例においては、緑色光源装置151Gを平板方形状の発光光源152及び面光源とされた励起光源153を備えた緑色光源装置151Gとし、発光光源152の表裏両面から励起光源153からの射出光を照射できるように反射空間170を形成することによって、励起光源153からの射出光の利用効率を高めることができ、緑色光の光量不足を補うことができるものである。
【0073】
又、射出空間171から外部に発光光源光を射出する射出口173の面積を発光光源152の面積よりも小さく形成することにより、実際は発光光源152の面積が発光面の面積であるが、見かけ上は射出口173の面積が発光面の面積となり射出される光線束の密度を高くすることができるものである。
【0074】
更に、反射空間170や射出空間171を直方体形状とし、発光光源152の発光面と射出口173を平行に形成し、又、射出空間171の射出口152を発光光源152と平行に形成することによって、発光光源152から射出された発光光源光の角度分布を保ったまま射出口173から射出することができるため、発光光源152からの射出光のエテンデューを小さくして利用効率を高くすることができるものである。
【0075】
又、面光源の励起光源153を二つを平行に対向して配置させ、対向して配置された励起光源153の中間に励起光源153と平行に発光光源152を配置することにより、平板形状の発光光源152の表裏両面から面に対して面で光を照射することになり、発光光源152の平面全体に効率よく励起光を照射できるため、発光光源152の平面全体から均一な光を発光することができるものである。
【0076】
又、励起光源153と発光光源152の間に励起光源153からの射出光は透過し発光光源152からの射出光は反射する反射用ダイクロイックミラー144を配置することにより、発光光源152からの射出光が励起光源153に照射されることによる光の減衰を防止することができ、発光光源152から射出された光線束の利用効率を高めることができるものである。
【0077】
尚、励起光源143とする面光源を複数個の発光ダイオードを平面上に配置して形成する場合には、発光ダイオードの数を増やすことによって容易に光量を増やすことができ、又、安価に製造することができる。又、励起光源143とする面光源として平板型の発光ダイオードを用いる場合には、加工を施すことなくそのまま反射室の面として配置できるため、本実施例の特定波長域光生成装置とする光源装置を容易に製造できるものである。
【0078】
そして、このように平板状の発光光源152と面光源の励起光源153を備え、発光光源152の表裏両面から励起光源153の射出光を光量の多い所定の波長域の光を生成できる特定波長域光生成装置とする光源装置を用いることにより、輝度が高く明瞭な画像を投影可能なプロジェクタ10を提供することができるものである。
【0079】
尚、上述した実施例においては、面光源の励起光源153を反射室の二面に用いているが、他の面にも励起光源153を配置することによって更に光量の増加を図ることもできる。又、励起光源153として紫外線発光ダイオード161UVを用いているが、他の色の発光ダイオードや有機EL等の固体発光素子を励起光源153として用いることもできる。
【0080】
又、第三光源として発光色の異なる蛍光物質を用いることにより、光の三原色のみならず色の三原色である黄色(イエロー)、紫色(マジェンタ)、水色(シアン)を光源装置63に組み込むことも可能であり、板状とする発光光源152は方形状に限ることなく、円形又は楕円形のものを使用することもできる。
【0081】
更に、各色における発光素子の輝度を相対比較した場合において、輝度が低い色の特定波長域光生成装置とする光源装置に第一光源及び第二光源並びに第三光源を有した特定波長域光生成装置とする光源装置を用いることにより発光輝度の低い素子による色の輝度を上げることができるものである。
【0082】
尚、本発明は、以上の実施例に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施例に係るプロジェクタの外観を示す斜視図。
【図2】本発明の実施例に係るプロジェクタの機能回路ブロックを示す図。
【図3】本発明の実施例に係るプロジェクタの上面パネルを取り除いた上面図。
【図4】本発明の実施例に係る光源装置の断面図。
【図5】本発明の実施例に係る緑色光源装置の立体断面図。
【図6】本発明の実施例に係る緑色光源装置における励起光源からの射出光の流れを示す図。
【図7】本発明の実施例に係る緑色光源装置における発光光源からの射出光の流れを示す図。
【符号の説明】
【0084】
10 プロジェクタ 11 上面パネル
12 前面パネル 13 背面パネル
14 右側パネル 15 左側パネル
17 排気孔 18 吸気孔
19 レンズカバー 20 各種端子
21 入出力コネクタ部 22 入出力インターフェース
23 画像変換部 24 表示エンコーダ
25 ビデオRAM 26 表示駆動部
31 画像圧縮伸長部 32 メモリカード
35 Ir受信部 36 Ir処理部
37 キー/インジケータ部 38 制御部
41 光源制御回路 43 冷却ファン駆動制御回路
45 レンズモータ 47 音声処理部
48 スピーカ 51 表示素子
53 表示素子冷却装置 62 光源側光学系
63 光源装置 70 光学系ユニット
74 光軸変更ミラー 75 導光装置
78 照明側ブロック 79 画像生成ブロック
80 投影側ブロック 83 光源側レンズ群
84 照射ミラー 90 投影側光学系
93 固定レンズ群 97 可動レンズ群
101 電源回路ブロック 102 光源制御回路基板
103 制御回路基板 110 ブロア
111 吸込み口 113 吐出口
114 排気温低減装置 120 区画用隔壁
121 吸気側空間室 122 排気側空間室
142 第一ダイクロイックミラー 144 第二ダイクロイックミラー
148 集光レンズ 151R 赤色光源装置
151G 緑色光源装置 151B 青色光源装置
151 緑色光源装置 152 発光光源
153 励起光源 154 反射用ダイクロイックミラー
155 反射ミラー 156 射出用ダイクロイックミラー
157 反射ミラー 161R 赤色発光ダイオード
161B 青色発光ダイオード 161UV 紫外線発光ダイオード
164 集光レンズ 170 反射空間
171 射出空間 173 射出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光を受けて所定の波長域の光を発光する発光光源と、該発光光源に励起光を照射する励起光源と、前記発光光源を内部に有する反射空間と、該反射空間から射出される発光光源光を前記発光光源の面積よりも小さな面積とされた射出口から射出する射出空間とを備えることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記励起光源は、発光ダイオード又は固体発光素子の複数個を平面上に配置して面光源の励起光源としていることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記励起光源は、板状の発光ダイオード又は板状の固体発光素子を用いて面光源の励起光源としていることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項4】
前記励起光源を二つ備え、該励起光源は平行に対向して配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光源装置。
【請求項5】
前記発光光源は、対向して配置された前記励起光源の中間に該励起光源と平行に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の光源装置。
【請求項6】
前記反射空間は、二つの励起光源と、複数の反射ミラーと、前記励起光源からの射出光は反射し前記発光光源からの射出光は透過させる射出用ダイクロイックミラーとによる平面で囲まれた中空直方体形状に形成されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の光源装置。
【請求項7】
前記射出空間は、前記射出用ダイクロイックミラーと、反射ミラーと、前記射出口とされる所定の開口とによる平面で囲まれた中空直方体形状に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の光源装置。
【請求項8】
前記射出空間の射出口は、前記発光光源と平行になるよう形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の光源装置。
【請求項9】
前記励起光源と前記発光光源の間には、励起光源から射出された励起光は透過し前記発光光源から射出された所定の波長域の発光光源光は反射させる反射用ダイクロイックミラーが配置されていることを特徴とする請求項5乃至請求項8のいずれかに記載の光源装置。
【請求項10】
赤色光を射出する赤色光源装置と、緑色光を射出する緑色光源装置と、青色光を射出する青色光源装置とを備え、
前記赤色光源装置及び緑色光源装置並びに青色光源装置の内の少なくとも一つは前記励起光源及び発光光源を備えた光源装置とされていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の光源装置。
【請求項11】
前記赤色光源装置及び緑色光源装置並びに青色光源装置の内、緑色光源装置が前記励起光源及び発光光源を備えていることを特徴とする請求項10に記載の光源装置。
【請求項12】
光源装置と、導光装置と、表示素子と、投影側光学系と、プロジェクタ制御手段とを備え、
前記光源装置は、請求項10又は請求項11に記載の光源装置であることを特徴とするプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−266619(P2009−266619A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−114827(P2008−114827)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】