説明

光源駆動方法、光源駆動回路及び画像形成装置

【課題】 光源をフィードバック制御により制御する場合、光源の光量変調領域を広げることができるとともに光ビームの応答性を向上できる光源駆動方法及び光源駆動回路を提供する。かかる光源駆動回路を用いて、記録媒体に形成される画像の品質を向上できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 この光源駆動方法は、光源を自動光量出力制御(APC)系とAPC系に並列に設けた自動電流制御(ACC)系とでフィードバック制御により制御する際に、光源を駆動するAPC系の駆動回路部がプラス方向とマイナス方向の両方向の光量安定化制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源をフィードバック制御により制御する光源駆動方法、光源駆動回路及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体レーザ(LD)やLEDは、応答性がよく光のコヒーレンシィー性やスペクトルの単一性といった特性を有するために、熱現像感光材料等の記録媒体に画像を形成する画像形成装置の光源として用いられているが、その光源駆動回路には、半導体レーザ等の安定な駆動のために自動光量出力制御(APC:Automatic Power Control)回路や自動電流制御(ACC:Automatic Current Control)回路が設けられている。下記特許文献1は、APC回路とACC回路を並列で用い、半導体レーザの強度特性をLED領域からレーザ発振領域にわたって線形にするためにACC回路に非線形補正テーブルを設けたレーザ記録装置を開示する。APC回路は、半導体レーザのモニタ光をホトダイオード等の受光素子で受光し駆動回路へフィードバックし安定な光出力を得るためのものである。ACC回路は光量のフィードバックなしで電流量を制御して半導体レーザを駆動するものである。
【特許文献1】特公平5−56711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
半導体レーザ等の光源をAPC回路、ACC回路でフィードバック制御により制御する場合、例えば、記録媒体に露光し画像記録を行う画像形成装置では、その光ビームの状態が画質に直接影響を及ぼすため、光ビームの光量安定性が必要とされる。このため、APC回路のフィードバックループの遅れに応じてAPC回路の光量変調応答帯域を制限せざるをえない問題があった。この場合、上記特許文献1のように、APC回路と並列に設けたACC回路のゲインを大きくすると、誤差が発生し易くなり安定性が低下するという問題があった。
【0004】
また、半導体レーザ(LD)は光量に誤差が生じることがあるが、この光量誤差の原因としてLDの効率のばらつきや使用の連続による効率劣化レベルや環境温度の変化などがある。このような誤差を抑制する方法としては、LD固体ごとに調整する方法や現状の劣化レベルを測定し信号に反映する方法や温度を測定して補正する方法などがあるが、コストアップとなるとともに完全な補正は困難である。
【0005】
また、ランプなどが光源である場合には、応答性が悪く、また温度や経時による光量変動が大きいため、光量や応答性を安定化するのが難しかった。また、画像形成装置において記録媒体が熱現像感光材料であると、その鮮鋭性、階調性、安定性が特に要求される。
【0006】
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、光源をフィードバック制御により制御する場合、光源の光量変調領域を広げることができるとともに光ビームの応答性を向上できる光源駆動方法及び光源駆動回路を提供することを目的とする。また、かかる光源駆動回路を用いて、記録媒体に形成される画像の品質を向上できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明による光源駆動方法は、光源を自動光量出力制御(APC)系と前記APC系に並列に設けた自動電流制御(ACC)系とでフィードバック制御により制御する光源駆動方法において、前記光源を駆動する前記APC系の駆動回路部がプラス方向とマイナス方向の両方向の光量安定化制御を行うことを特徴とする。
【0008】
この光源駆動方法によれば、APC系の駆動回路部がプラス方向とマイナス方向の両方向の光量安定化制御を行うので、ACC系のゲインを大きくすることで発生する誤差分を吸収することができる。このようにして、光量誤差を減らすことができるので、光源の光量変調帯域を広げることができるとともに、光ビームの応答性が向上する。
【0009】
上記光源駆動方法において前記ACC系の制御信号を遅延させることが好ましい。ACC系の制御信号に遅れを持たせることより、ACC系とAPC系の両制御系の特徴を充分に発揮させることができ、APC系の安定性とACC系の応答性の両立が可能となる。
【0010】
また、前記APC系が前記ACC系よりも時間的に早く動作するようにできる。これにより、APC系がACC系よりも先に動作するため、光ビームの応答性及び安定性が向上する。
【0011】
また、前記光源はLEDまたは半導体レーザであることが好ましい。LEDまたは半導体レーザを用いることで電流により光量を制御可能であるので、光量と応答性の性能保証がし易くなる。
【0012】
本発明による光源駆動回路は、光源を自動光量出力制御(APC)系と前記APC系に並列に設けた自動電流制御(ACC)系とでフィードバック制御により制御する光源駆動回路において、前記APC系が前記光源を駆動する駆動回路部を有し、前記駆動回路部がプラス方向とマイナス方向の両方向の光量安定化制御を行うことを特徴とする。
【0013】
この光源駆動回路によれば、APC系の駆動回路部がプラス方向とマイナス方向の両方向の光量安定化制御を行うので、ACC系のゲインを大きくすることで発生する誤差分を吸収することができる。このようにして、光量誤差を減らすことができるので、光源の光量変調帯域を広げることができるとともに、光ビームの応答性が向上する。
【0014】
上記光源駆動回路において前記ACC系が信号遅延部を備えることが好ましい。ACC系の制御信号に信号遅延部で遅れを持たせることより、ACC系とAPC系の両制御系の特徴を充分に発揮させることができ、APC系の安定性とACC系の応答性の両立が可能となる。
【0015】
また、前記信号遅延部が例えば、電圧レベル変換機能や電圧正負反転機能等の他の機能を併せ持つようにすることで、信号遅延部を設けることによる無駄なコストアップを防ぐことができる。
【0016】
また、前記光源はLEDまたは半導体レーザであることが好ましい。LEDまたは半導体レーザを用いることで電流により光量を制御可能であるので、光量と応答性の性能保証がし易くなる。
【0017】
本発明による画像形成装置は、光源と、上述の光源駆動回路と、を備え、前記光源駆動回路で駆動された光源からの光ビームを走査することで記録媒体に画像を形成する。
【0018】
この画像形成装置によれば、上述の光源駆動回路により、光源の光量変調帯域を広げることができるとともに、光ビームの応答性が向上する。このように、変調帯域が広く応答性のよい光ビームを記録媒体に照射できるので、記録媒体に形成される画像の品質を向上できる。また、ACC系が信号遅延部を備えることで、APC系の安定性とACC系の応答性の両立が可能となり、光ビームの応答性及び安定性が向上し、光ビームを高速でかつ安定して記録媒体に照射できるので、記録媒体に形成される画像の品質を向上できる。
【0019】
上記画像形成装置において前記記録媒体が、特にマンモグラフィ等の医用画像に関し鮮鋭性と階調性と安定性が要求される熱現像感光材料であっても、良好な画像品質を得ることができる。即ち、紙などにプリントする通常の写真画像に比較して、フィルム等の医用記録媒体にプリントする際の光量制御範囲は、薄い濃度から濃い濃度まで連続して広範囲に再現する必要があるため、非常に広い必要があり、その中でもマンモグラフィ画像は更に厳しい特性が必要となるが、本発明による光源駆動回路により駆動された光源からの光ビームを走査することで、熱現像感光材料からなる記録媒体に画像を形成することにより、上記厳しい特性を満足することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の光源駆動方法及び光源駆動回路によれば、光源をフィードバック制御により制御する場合、光源の光量変調領域を広げることができるとともに光ビームの応答性を向上できる。また、かかる光源駆動回路を用いた画像形成装置によれば、記録媒体に形成される画像の品質を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0022】
〈第1の実施の形態〉
【0023】
図1は第1の実施の形態を示す光源駆動回路のブロック図である。図2は図1の光源駆動回路における要部回路例を示す回路図である。図3は図1の光源駆動回路においてプラス方向とマイナス方向両方向の光量安定化制御無し及び有りの場合におけるAPC駆動部の各出力曲線(a)、(b)、同じくACC駆動部の各出力曲線(c)、(d)、及び同じく半導体レーザの応答曲線(e)、(f)である。
【0024】
図1の光源駆動回路10は、光源である半導体レーザ13からのレーザ光Lを走査することで記録媒体Sに潜像を形成する画像形成装置の光源駆動回路であり、フィードバック制御により半導体レーザ(LD)13を制御し駆動するものである。
【0025】
図1に示すように、光源駆動回路10は、自動光量出力制御(APC)系として差動アンプ11とAPC駆動部12とを備え、更に、自動電流制御(ACC)系としてACC駆動部22をAPC系に並列して備える。半導体レーザ13は、APC駆動部12とACC駆動部22からの電流で駆動される。
【0026】
半導体レーザ13から記録媒体Sに向けて射出されるレーザ光Lの一部L1が反射ミラー17等の分離手段により分離されてモニタ光L1となってフォトダイオード(PD)14に入射する。APC系においてモニタ光L1の受光によるフォトダイオード14のモニタ信号がAPC系の差動アンプ11にフィードバックされ、差動アンプ11で画像信号出力部16からの画像信号とモニタ信号との偏差がとられることで偏差信号が出力し、APC駆動部12で増幅されてレーザ駆動電流が半導体レーザ13に出力する。
【0027】
ACC系において画像信号出力部16からの画像信号がACC駆動部22に入力すると、ACC駆動部22で画像信号に応じてレーザ駆動電流が出力し、半導体レーザ13に送られる。
【0028】
APC系においてAPC駆動部12は、半導体レーザ13に対し電流供給機能のみならず電流吸収機能をも有し、ACC駆動部22のゲインを大きくしたために発生する誤差分を吸収することができる。このようにAPC駆動部12を構成することでプラス方向とマイナス方向の両方向の光量安定化制御が可能となる。
【0029】
図1のAPC駆動部12及びACC駆動部22は、例えば、図2のように構成でき、APC駆動部12はオペアンプ12aを有し、上記偏差信号に基づいてオペアンプ12aから半導体レーザ13にレーザ駆動電流I1が流れ、また、ACC駆動部22はオペアンプ22aを有し、上記画像信号に基づいてオペアンプ22aから半導体レーザ13にレーザ駆動電流I2が流れる。
【0030】
図1,図2において、ACC駆動部22のゲインが大きいと、半導体レーザ13が過発光となって、APC駆動部12のオペアンプ12aからの電流I1が余分になってしまうが、このとき、図2の破線のように、ACC駆動部22のオペアンプ22a側から電流I3がAPC駆動部12のオペアンプ12a側に流れることで電流I1が減少する結果、APC駆動部12が電流吸収機能を発揮する。また、ACC駆動部22のゲインが小さいときには、半導体レーザ13が低発光となり、APC駆動部12のオペアンプ12aからの電流I1が増えてAPC駆動部12が電流供給機能を発揮する。このようにして、APC駆動部12がプラス方向とマイナス方向の両方向の光量安定化制御を行う。
【0031】
図1,図2の光源駆動回路10の動作を図3(b)、(d)、(f)を参照して説明する。デジタル信号である画像信号がDA変換部15に入力し、アナログ信号に変換された画像信号が画像信号出力部16からAPC系の差動アンプ11とACC系のACC駆動部22に入力し、半導体レーザ13にレーザ駆動電流I1+I2が流れる。
【0032】
このとき、ACC駆動部22のゲインが大きいと、比較的短時間t0で、図3(d)のように電流I2が破線で示す基準レベルよりも大きくなり、図3(f)のように半導体レーザ13が過発光となり、APC駆動部12側から電流I1が余分に流れるが、図2の破線のようにACC駆動部22側から電流I3がAPC駆動部12に流れることで、図3(b)のように、APC駆動部12側からの電流I1が減少し、その結果、半導体レーザ13には、図3(f)のように、時間t0から比較的短時間t3の後に定格電流I0が流れてレーザ光Lが出射する。
【0033】
以上のようにして、APC系のAPC駆動部12が電流吸収機能を発揮し、ACC系のゲインを大きくしたことで発生する誤差分を吸収するので、レーザ駆動電流の誤差を減らすことができ、光量変調帯域を広げることができる。また、光源として半導体レーザを用いることで電流により光量を制御でき、応答性もGHz帯域まで可能となり、光量と応答性の性能保証がし易くなる。
【0034】
ここで、比較のために図3(a)、(c)、(e)を参照してAPC系が電流吸収機能を有しない場合について説明する。画像信号がAPC系の差動アンプ11とACC系のACC駆動部22に入力し、半導体レーザ13にレーザ駆動電流I1+I2が流れるが、このとき、ACC駆動部22のゲインが大きいと、比較的短時間で、図3(c)のように電流I2が破線で示す基準レベルよりも大きくなり、図3(e)のように半導体レーザ13が過発光となり、図3(a)のように、APC駆動部12側から電流I1が流れた後にほぼゼロになり、電流I1がさほど減少しない結果、半導体レーザ13には、図3(e)の破線で示す定格電流値I0よりも大きな電流が流れ続けてしまい、誤差が発生してしまう。
【0035】
APC系は、半導体レーザ13からのモニタ光L1をモニタし、そのモニタ値が目的の値となるようにレーザ駆動電流を制御するためにAPC系の応答性はフィードバックループの遅れに対応して遅くなるので、半導体レーザ13の光量制御の応答性に制限が発生してしまう。この応答性改善のためにACC系をAPC系に並列に追加することが考えられるが、この場合に、ACC系に十分なゲインを配分すると過発光となった場合にAPC系からの電流が余分になる問題が生じる。そこで、APC系のAPC駆動部12が電流供給機能及び電流吸収機能の両方を発揮することで、プラス方向とマイナス方向の両方向の光量安定化制御が行われるので、レーザ光Lの光量誤差がなくなり、高速な応答性が得られる。
【0036】
〈第2の実施の形態〉
【0037】
図4は第2の実施の形態を示す光源駆動回路のブロック図である。図5は図4の光源駆動回路において遅延制御無し及び有りの場合におけるAPC駆動部の各出力曲線(a)、(b)、同じくACC駆動部の各出力曲線(c)、(d)、及び同じく半導体レーザの応答曲線(e)、(f)である。
【0038】
図4の光源駆動回路100は、光源である半導体レーザ13からのレーザ光Lを走査することで記録媒体Sに潜像を形成する画像形成装置の光源駆動回路であり、フィードバック制御により半導体レーザ(LD)13を制御し駆動するものであり、図1の光源駆動回路10に対し、自動電流制御(ACC)系として信号遅延部21をACC駆動部22に前置した点が図1と異なり、それ以外は、図1〜図3と同様である。
【0039】
ACC系において画像信号出力部16からの画像信号が信号遅延部21に制御信号として入力すると、信号遅延部21でタイミングを遅らせて画像信号(制御信号)がACC駆動部22に入力する。画像信号が信号遅延部21を介してACC駆動部22に入力すると、ACC駆動部22で画像信号に応じてレーザ駆動電流が出力し、半導体レーザ13に送られる。なお、信号遅延部21における遅延タイミングを調整することも可能である。
【0040】
図4の光源駆動回路100の動作を図5(b)、(d)、(f)を参照して説明する。デジタル信号である画像信号がDA変換部15に入力し、アナログ信号に変換された画像信号が画像信号出力部16からAPC系の差動アンプ11とACC系の信号遅延部21に入力する。図5(d)のように、ACC系では信号遅延部21における画像信号の遅延のために遅延時間tだけACC駆動部22からレーザ駆動電流が遅れて出力する。
【0041】
上述のように遅延時間tの間、ACC駆動部22からレーザ駆動電流が流れないために、APC系では図5(b)のように、APC駆動部12からレーザ駆動電流が比較的高いレートで出力し、比較的速く出力する。その結果、半導体レーザ13には、図5(f)のように、比較的短時間t1の後に定格電流Iが流れてレーザ光Lが出射する。
【0042】
以上のように、ACC系の動作を遅らせることで先にAPC系が動作し、その後ACC系が動作することにより、半導体レーザ13の高速な応答性を得ることができる。
【0043】
ここで、比較のために図5(a)、(c)、(e)を参照してACC系における画像信号の遅延がない場合について説明すると、図5(c)のように、ACC駆動部22からレーザ駆動電流が図5(d)の場合よりも時間的に速く出力するので、半導体レーザ13が速く発光しACC系が速く動作する一方、APC系において半導体レーザ13からのモニタ光L1によるモニタ信号がいち早くフィードバックされる。このため、図5(a)のようにAPC駆動部12からレーザ駆動電流が図5(b)の場合よりも緩やかなレートで出力し、比較的遅く出力する結果、半導体レーザ13には図5(e)のように、図5(f)の時間t1よりも長い時間t2後に定格電流Iが流れてレーザ光Lが出射するため半導体レーザ13の応答性が低下してしまう。
【0044】
上述のように、APC系の応答性改善のためにACC系をAPC系に並列に追加することが考えられるが、その際に、APC系及びACC系の両方へ画像信号を同時に入力すると、上述の図5(a)、(c)、(e)のように、応答性の良いACC系が先に動作することとなり、その結果、レーザ光Lが出射し、モニタ光L1によるモニタ信号がいち早くフィードバックされる結果、変調初期においてAPC系が十分に機能せずに、ACC系のみの駆動能力となり、結果として十分な高速応答性が得られなかった。
【0045】
これに対し、本実施の形態の光源駆動回路100によれば、ACC系の信号伝達部に画像信号を遅延させる信号遅延部21を加えることにより、先にAPC系が動作し、その後ACC系が動作する。これにより、半導体レーザ13の光量変調帯域を広げることができるとともに、APC系の光量安定性と、ACC系の高速応答性を両立させることができる。このようにして、図1〜図3の効果と相俟って、光量変調帯域の拡大及び応答性・安定性の向上を一層確実に実現できる。また、光源として半導体レーザを用いることで電流により光量を制御でき、半導体レーザの応答性もGHz帯域まで可能であり、かかる半導体レーザを用いた場合にも、光量と応答性の性能保証がし易くなる。
【0046】
なお、信号増幅や信号反転などの別機能の回路に遅延の機能を持たせることで無駄なコストアップを防ぐことができる。また、図5(d)の信号遅延部21による遅延時間tを調整し、適切な遅延時間tを設定するようにできる。
【0047】
また、図1の光源駆動回路10または図4の光源駆動回路100は、記録媒体Sとして熱現像感光材料を用いる熱現像方式の画像形成装置に適用して好ましく、光源駆動回路10、100で駆動された半導体レーザ13からのレーザ光を走査することで熱現像感光材料からなる記録媒体Sに潜像を形成するように構成できる。潜像が形成された熱現像感光材料からなる記録媒体Sは、その後、加熱されることで熱現像されて潜像が可視像化される。
【0048】
〈第3の実施の形態〉
【0049】
上述のような熱現像方式の画像形成装置の例を第3の実施の形態として図7を参照して説明する。図7は熱現像方式の画像形成装置の内部を概略的に示す斜視図である。
【0050】
図7に示すように、第3の実施の形態による画像形成装置101は、記録媒体Sとしてシート状の熱現像感光材料であるフィルムFを収納するサプライ部110と、サプライ部110から給送されたフィルムFを露光するための走査光学部120と、露光されたフィルムFを現像する熱現像部130と、を有し、各部110,120,130がこの順で下から積層して配置されている。
【0051】
図7のように、サプライ部110には、積層された複数枚のフィルムFを感光面F1が上面側になるように収納した収納トレイ140が引き出し・押し込み自在に設けられており、装置使用時に図4の方向xに押し込まれる。収納トレイ140から搬送されたフィルムFは搬送ローラ対210及び220により、図7の搬送方向H’から搬送方向Hへと鉛直方向に搬送され、更に搬送ローラ対230により搬送方向Hに熱現像部130へと搬送される。
【0052】
フィルムFの上記搬送方向Hへの搬送途中で、図7に示すように、走査光学部120は、フィルムFの感光面F1に対し、光源である半導体レーザ13からポリゴンミラー(回転多面鏡)122及びfθレンズ123を介して、赤外域の波長780〜860nmの範囲内のレーザ光Lで走査しながら露光し、画像信号に応じた潜像を形成させる。走査光学部120の半導体レーザ13は、図1の光源駆動回路10または図4の光源駆動回路100により制御され駆動される。
【0053】
潜像の形成されたフィルムFは、搬送ローラ対230により搬送方向Hに熱現像部130へと搬送される。熱現像部130は、所定の温度に加熱される加熱ドラム131と、加熱ドラム131の外周近傍に配置された複数の案内ローラ132と、を備える。
【0054】
熱現像部130に搬送されたフィルムFが加熱ドラム131の外周面と複数の案内ローラ132との間で加熱ドラム131の外周面に密着し、この状態で加熱ドラム131が図7の回転方向Rに回転する間にフィルムFを加熱し熱現像することで、フィルムFの潜像を可視画像に形成する。その後、図7の加熱ドラム131の右方からフィルムFが出てきて加熱ドラム131から離れ、装置外部へと搬送される。
【0055】
図7の熱現像方式の画像形成装置101によれば、光源駆動回路10または100により半導体レーザ13から変調帯域が広く応答性のよいレーザ光を記録媒体Sに照射できるので、記録媒体Sに形成される画像の品質を向上できる。
【0056】
また、画像形成装置の光源駆動回路100でAPC系の安定性とACC系の応答性の両立が可能となり、レーザ光の応答性及び安定性が更に向上し、レーザ光を高速でかつ安定して記録媒体Sに照射できるので、記録媒体Sに形成される画像の品質を向上できる。このため、記録媒体Sが特に鮮鋭性と階調性と安定性が要求される熱現像感光材料であっても、良好な画像品質を得ることができる。
【0057】
上記熱現像感光材料の具体例としては、例えば、本発明者が他の発明者とともに、特開2000−347311号公報で提案したように、ハロゲン化銀粒子と有機酸銀とを含有する感光層を支持体上に設けた、感光層のハロゲン化銀粒子の含有量が1g/m2以下で、感光層のハロゲン化銀粒子の平均粒径が0.1μm以下で、レーザ光の平均波長での光透過率が20%以上で、γが2以上であるハロゲン化銀熱現像感光材料がある。
【0058】
上記ハロゲン化銀熱現像感光材料は、鮮鋭性と階調性と安定性が非常に求められているところ、特に、マンモグラフィ画像(乳房画像)等を扱う際には、濃度も従来の3D(3桁の階調性)から4D(4桁の階調性)が必要となるとともに微小石灰化をはじめとする非常に小さい対象の再現性が必要とされる。つまり、マンモグラフィ画像では、鮮鋭性、階調性、安定性のトレードオフがより重要な課題となっている。また、通常のサンプリングAPCではマンモグラフィ等の医用画像の安定性を確保することは非常に困難であり、常にリアルタイムでAPCを行うことはその点で非常に有利であるが、常にフィードバック回路が作動しているために高速化(鮮鋭性)の確保が困難というデメリットがある。そこで、階調性と鮮鋭性の安定性の基準が厳しい医用画像を形成する画像形成装置では、レーザ光の応答性及び安定性を向上できる本実施の形態の光源駆動回路10,100を用いて半導体レーザ13を駆動し露光することが極めて効果的である。
【0059】
以上のように本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、光源駆動回路は、図4の信号遅延部21の代わりに、図6のように、出力電流遅延部23をACC駆動部22の後段に設け、ACC駆動部22からのレーザ駆動電流が遅れて出力するようにしてもよい。
【0060】
また、図1,図4,図6では、フォトダイオード14を半導体レーザ13と別に配置した例で説明したが、半導体レーザ13とフォトダイオード14が一体にパッケージにされたものであってもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1の実施の形態による光源駆動回路のブロック図である。
【図2】図1の光源駆動回路における要部回路例を示す回路図である。
【図3】図1の光源駆動回路においてプラス方向とマイナス方向両方向の光量安定化制御無し及び有りの場合におけるAPC駆動部の各出力曲線(a)、(b)、同じくACC駆動部の各出力曲線(c)、(d)、及び同じく半導体レーザの応答曲線(e)、(f)である。
【図4】第2の実施の形態による光源駆動回路のブロック図である。
【図5】図4の光源駆動回路において遅延制御無し及び有りの場合におけるAPC駆動部の各出力曲線(a)、(b)、同じくACC駆動部の各出力曲線(c)、(d)、及び同じく半導体レーザの応答曲線(e)、(f)である。
【図6】図4の光源駆動回路の変形例を示すブロック図である。
【図7】第3の実施の形態による熱現像方式の画像形成装置の内部を概略的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
10,100 光源駆動回路
11 差動アンプ
12 APC駆動部
12a オペアンプ
13 半導体レーザ、LD(光源)
14 フォトダイオード、PD
21 信号遅延部
22 ACC駆動部
22a オペアンプ
23 出力電流遅延部
101 画像形成装置
L レーザ光(光ビーム)
L1 モニタ光
S 記録媒体
F フィルム(記録媒体)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を自動光量出力制御(APC)系と前記APC系に並列に設けた自動電流制御(ACC)系とでフィードバック制御により制御する光源駆動方法において、
前記光源を駆動する前記APC系の駆動回路部がプラス方向とマイナス方向の両方向の光量安定化制御を行うことを特徴とする光源駆動方法。
【請求項2】
前記ACC系の制御信号を遅延させる請求項1に記載の光源駆動方法。
【請求項3】
前記APC系が前記ACC系よりも時間的に早く動作する請求項2に記載の光源駆動方法。
【請求項4】
前記光源がLEDまたは半導体レーザである請求項1,2または3に記載の光源駆動方法。
【請求項5】
光源を自動光量出力制御(APC)系と前記APC系に並列に設けた自動電流制御(ACC)系とでフィードバック制御により制御する光源駆動回路において、
前記APC系が前記光源を駆動する駆動回路部を有し、前記駆動回路部がプラス方向とマイナス方向の両方向の光量安定化制御を行うことを特徴とする光源駆動回路。
【請求項6】
前記ACC系が信号遅延部を備える請求項5に記載の光源駆動回路。
【請求項7】
前記信号遅延部が他の機能を併せ持つ請求項6に記載の光源駆動回路。
【請求項8】
前記光源がLEDまたは半導体レーザである請求項5,6または7に記載の光源駆動回路。
【請求項9】
光源と、請求項5乃至7のいずれか1項に記載の光源駆動回路と、を備え、前記光源駆動回路で駆動された光源からの光ビームを走査することで記録媒体に画像を形成する画像形成装置。
【請求項10】
前記記録媒体が熱現像感光材料である請求項9に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−332426(P2006−332426A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−155408(P2005−155408)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】