説明

光画像形成方法及び光画像形成装置

【課題】画像化可能な深度範囲の拡大を低コストで実現可能な光画像形成方法を提供する。
【解決手段】光画像形成装置400は、FD−OCTを用いて対象物の断層像を形成する装置であり、スキャンステップと、検出ステップと、画像形成ステップとを実行する。スキャンステップでは、信号光と参照光との間の位相差をあらかじめ設定された2つの位相差に交互に変更しながら対象物を信号光でスキャンする。検出ステップでは、対象物を経由した信号光と参照光との干渉光を検出する。画像形成ステップは、スキャンに伴い検出ステップで逐次に得られた複数の干渉光の検出結果に基づいて対象物の断層像を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光干渉断層法を用いた光画像形成方法及び光画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光干渉断層法(optical coherence tomography、略称OCT)は、対象物を経由した信号光と参照光との干渉光を検出して対象物の断層像を形成する技術である。OCTは、高解像度の画像を高速かつ非侵襲的に取得できるという利点から、医療分野などにおいて用いられている。
【0003】
この技術における主要な進歩としてフーリエドメインOCT(Fourier domain OCT、略称FD−OCT)がある。FD−OCTによれば、従来のタイムドメインOCT(time domainOCT、略称TD−OCT)と比較して、数十倍から数百倍の測定速度を達成できる。
【0004】
FD−OCTには、干渉光をスペクトル分解して検出するスペクトラルドメインOCT(spectral domain OCT、略称SD−OCT)と、波長掃引光源を用いて様々な波長の干渉光を得るスウェプトソースOCT(swept source OCT、略称SS−OCT)がある。
【0005】
SD−OCT及びSS−OCTにおいて検出されるスペクトル、つまりスペクトラルインターフェログラム(spectral interferogram、干渉スペクトル)は、次式のように表される。
【0006】

【0007】
ここで、kは波数、s(k)は光源のスペクトル、zは信号アームと参照アームの光路長差、Iは参照ミラーによる参照光の後方反射(参照光)、Iは対象物を経由した信号光の自己相関項、φ(z)は初期位相項をそれぞれ表す。一般に、I、Iは低周波数信号又は背景成分(DC成分)であり、容易に除去できる。それにより、式(1)は次のように簡略化される。
【0008】

【0009】
ここで、A(z)=s(k)・2√(I)は、対象物の深度zにおける後方散乱係数を表す。式(2)に基づいてI(k)のフーリエ変換を行うことにより、深度zにおける対象物の後方散乱プロファイル、つまりAラインプロファイルを再構成することができる。
【0010】
しかし、スペクトラルインターフェログラムは実数値として検出されるので、再構成されたAラインプロファイルには、複素共役曖昧性(complex conjugate ambiguity)が発生する。複素共役曖昧性とは、z=Δzでの信号とz=−Δzでの信号とを区別できないことを意味する。その結果、FD−OCTにおける画像化可能深度は半分に縮小されてしまう。
【0011】
図11A〜図11Cを参照し、複素共役曖昧性による画像化可能深度の縮小を説明する。図11Aは、全フレームF0中に描画される対象物の真像Tを示す。しかし、実数値からなるインターフェログラムから画像を再構成すると、図11Bに示すように、真像Tだけでなく虚像T´(複素共役アーチファクト)も現れてしまう。このような複素共役曖昧性を避けるために、対象物の測定深度をシフトさせて真像Tと虚像T´とを互いに分離することが行われている(図11Cを参照)。そうすると、再構成された画像のフレームF0の下半分Fのみが真像Tの描画範囲となる。つまり、フレームF0の上半分は無駄となり、画像化可能深度が半分になってしまう。それにより、できるだけ広範囲の画像が得たいという要望が制限される。
【0012】
このような複素共役曖昧性の問題を除去又は低減させるための様々な技術が開発されている。この技術には、位相シフト(非特許文献1〜3)、BMモードスキャン(非特許文献4〜9)、周波数シフト(非特許文献10、11)、3×3ファイバー光カプラ(非特許文献12〜14)、位相変調(特許文献1、非特許文献15〜18)などがある。しかし、これら技術の実装は、以下に記載するように実用上の問題の制限を受ける。
【0013】
位相シフトは、フーリエ光学の分野でよく知られた方法であり、たとえば参照ミラーを光波長オーダーの距離で段階的に移動させながら、それぞれ異なる初期位相でスペクトラルインターフェログラムを取得する方法である。位相シフトに基づく技術には、隣接するAラインの間において正確な位相変化が要求される。この技術は、ピエゾステージや電気的位相変調などのデバイスによる制限を受ける。また、この技術においては、システムの機械的な不安定性や波長誤差(chromatic error)などの要因による妥協が必要である。
【0014】
BMモードスキャンは、位相シフトの延長としての技術であり、横方向へのスキャン中に位相を変化させるものである。位相の変化方法としては、段階的に変化させるもの(非特許文献8、9)や直線的に変化させるもの(非特許文献4〜7)がある。前者は、位相シフトのいくつかの欠点を引き継ぐものであり、段階的な位相変化を達成するためのコスト効率が良くない。後者においては、横スキャンの範囲を広くすると、経路長が変わるという望ましくない事態が生じる。
【0015】
周波数シフトは、周波数分離に基づく方法であり、SS−OCTにのみ適用可能である。更に、周波数シフトには、信号を高周波数帯にシフトさせるために、EOM(electro-optic modulators)やAOM(acousto-optic modulators)などの高価なデバイスが必要である。結果として、このシステムには、非常に高速なデータ収集デバイスも要求される。
【0016】
3×3ファイバー光カプラに基づく技術では、広帯域のための波長依存の結合係数の問題があり、高コストの検出器が追加的に要求される。
【0017】
位相変調技術は、より最近報告された方法であり、正弦的な位相変調を印加することにより複素共役アーチファクトを除去するものである。通常、位相の変調は、参照アームに設けられたピエゾステージにより駆動されるディザリングミラーによって導入される。そのアプローチの一つはカメラの積分効果に依存するため、その適用はSD−OCTに限定される(非特許文献17)。他のアプローチでは、複雑なベッセル関数に基づく変調により生成される多重調和信号から複素信号を抽出する。これは、いくつかの大きな問題を引き起こす。たとえば、復号用のハードウェアが余分に必要であるか、或いはソフトウェアで復号する場合には高負荷の演算処理が必要である。更に、オーダーの異なる調和信号が少なくとも3つ(0次〜2次)関与し(非特許文献15、19)、また多くの場合において3次のキャリブレーションも必要となるが(非特許文献16、18)、これら多重調和信号においては容易にエイリアシングが生じてしまう。つまり、位相変調における変調信号の復調では、少なくとも3つの信号の検出が必要とされるため、ハードウェア上、ソフトウェア上の問題があるとともに、高次の変調信号をエイリアシングなしで検出するには高い測定バンドが要求されるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】国際公開第2006/127952
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Wojtkowski, M., A. Kowalczyk, R. Leitgeb, and A.F. Fercher, Full range complex spectral optical coherence tomography technique in eye imaging. Opt Lett, 2002. 27(16): p. 1415-7
【非特許文献2】Leitgeb, R.A., C.K. Hitzenberger, A.F. Fercher, and T. Bajraszewski, Phase-shifting algorithm to achieve high-speed long-depth-range probing by frequency-domain optical coherence tomography. Opt. Lett., 2003. 28(22): p. 2201-2203
【非特許文献3】Gotzinger, E., M. Pircher, R. Leitgeb, and C. Hitzenberger, High speed full range complex spectral domain optical coherence tomography. Opt Express, 2005. 13(2): p. 583-94
【非特許文献4】Wang, R.K., Fourier domain optical coherence tomography achieves full range complex imaging in vivo by introducing a carrier frequency during scanning. Applied Physics Letters, 2007. 52(19): p. 5897-907
【非特許文献5】Leitgeb, R.A., R. Michaely, T. Lasser, and S.C. Sekhar, Complex ambiguity-free Fourier domain optical coherence tomography through transverse scanning. Opt. Lett., 2007. 32(23): p. 3453-3455
【非特許文献6】An, L. and R.K. Wang, Use of a scanner to modulate spatial interferograms for in vivo full-range Fourier-domain optical coherence tomography. Opt. Lett., 2007. 32(23): p. 3423-3425
【非特許文献7】Yasuno, Y., S. Makita, T. Endo, G. Aoki, M. Itoh, and T. Yatagai, Simultaneous B-M-mode scanning method for real-time full-range Fourier domain optical coherence tomography. Appl Opt, 2006. 45(8): p. 1861-5
【非特許文献8】Vergnole, S., G. Lamouche, and M.L. Dufour, Artifact removal in Fourier-domain optical coherence tomography with a piezoelectric fiber stretcher. Opt Lett, 2008. 33(7): p. 732-4
【非特許文献9】Makita, S., T. Fabritius, and Y. Yasuno, Full-range, high-speed, high-resolution 1 microm spectral-domain optical coherence tomography using BM-scan for volumetric imaging of the human posterior eye. Opt Express, 2008. 16(12): p. 8406-20
【非特許文献10】Yun, S., G. Tearney, J. de Boer, and B. Bouma, Removing the depth-degeneracy in optical frequency domain imaging with frequency shifting. Opt Express, 2004. 12(20): p. 4822-8
【非特許文献11】Zhang, J., J.S. Nelson, and Z. Chen, Removal of a mirror image and enhancement of the signal-to-noise ratio in Fourier-domain optical coherence tomography using an electro-optic phase modulator. Opt Lett, 2005. 30(2): p. 147-9
【非特許文献12】Choma, M.A., C. Yang, and J.A. Izatt, Instantaneous quadrature low-coherence interferometry with 3 x 3 fiber-optic couplers. Opt Lett, 2003. 28(22): p. 2162-4
【非特許文献13】Sarunic, M.V., B.E. Applegate, and J.A. Izatt, Real-time quadrature projection complex conjugate resolved Fourier domain optical coherence tomography. Opt Lett, 2006. 31(16): p. 2426-8
【非特許文献14】Mao, Y., S. Sherif, C. Flueraru, and S. Chang, 3×3 Mach-Zehnder interferometer with unbalanced differential detection for full-range swept-source optical coherence tomography. Appl. Opt., 2008. 47(12): p. 2004-2010
【非特許文献15】Vakhtin, A.B., K.A. Peterson, and D.J. Kane, Resolving the complex conjugate ambiguity in Fourier-domain OCT by harmonic lock-in detection of the spectral interferogram. Opt Lett, 2006. 31(9): p. 1271-3
【非特許文献16】Wang, K., Z. Ding, Y. Zeng, J. Meng, and M. Chen, Sinusoidal B-M method based spectral domain optical coherence tomography for the elimination of complex-conjugate artifact. Opt Express, 2009. 17(19): p. 16820-33
【非特許文献17】Tao, Y.K., M. Zhao, and J.A. Izatt, High-speed complex conjugate resolved retinal spectral domain optical coherence tomography using sinusoidal phase modulation. Opt Lett, 2007. 32(20): p. 2918-20
【非特許文献18】Vakhtin, A.B., K.A. Peterson, and D.J. Kane, Demonstration of complex-conjugate-resolved harmonic Fourier-domain optical coherence tomography imaging of biological samples. Appl Opt, 2007. 46(18): p. 3870-7
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
この発明の目的は、画像化可能な深度範囲の拡大を低コストで実現することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この発明に係る光画像形成方法は、対象物を経由した信号光と参照光とを合成して得られる干渉光に基づく干渉スペクトルを処理して前記対象物の断層像を形成する光画像形成方法であって、信号光と参照光との間の位相差をあらかじめ設定された2つの位相差に交互に変更しながら対象物を信号光でスキャンするスキャンステップと、前記対象物を経由した前記信号光と前記参照光との干渉光を検出する検出ステップと、前記スキャンに伴い前記検出ステップで逐次に得られた複数の前記干渉光の検出結果に基づいて前記対象物の断層像を形成する画像形成ステップとを含んでいる。
前記スキャンステップにおいて、前記対象物に対する前記信号光の照射位置を順次に変更することで前記スキャンを実行し、かつ、前記対象物に対する前記信号光の照射タイミングと前記位相差の変更タイミングとを同期させることができる。
前記スキャンステップにおいて、前記信号光を実質的に等しい時間間隔で前記対象物に照射し、前記位相差の交互変更の周波数を実質的に前記時間間隔の半分にすることができる。
前記スキャンステップにおいて、前記位相差の交互変更を、前記参照光の位相を2つの位相の間で交互に変更することによって行うことができる。
前記スキャンステップにおいて、前記位相差の交互変更を、前記信号光の位相を2つの位相の間で交互に変更することによって行うことができる。
前記画像形成ステップにおいて、前記干渉光の検出結果に基づいて複素数からなる複素干渉スペクトルを生成し、この複素干渉スペクトルに基づいて前記断層像を形成することができる。
前記複素干渉スペクトルを生成する処理は、前記干渉光の検出結果に基づく干渉スペクトルにローパスフィルターを適用して第1の干渉スペクトルを求め、前記第1の干渉スペクトルを前記位相差の余弦で除算して実数部を求める処理と、前記検出結果に基づく干渉スペクトルに−(−1)を乗算し、この積にローパスフィルターを適用して第2の干渉スペクトルを求め、前記第2の干渉スペクトルを前記位相差の正弦で除算して虚数部を求める処理と、前記実数部と前記虚数部に虚数単位を乗算した積とを加算することにより前記複素干渉スペクトルを生成する処理とを含んでいてもよい。ここで、nは軸線の識別番号であり、横スキャンにおけるAラインの位置を示す。
前記画像形成ステップは、前記干渉光の検出結果に基づいて、前記2つの位相差を両端とする範囲を定義域とし、かつ、背景成分を中心とする低周波数部と前記両端のそれぞれの近傍に存在する高周波数部とからなる干渉スペクトルを生成する処理を含み、前記スキャンステップにおける前記スキャンは、前記低周波数部と前記高周波数部とが分離されるオーバーサンプリングレシオで実行されるように構成できる。
前記2つの位相差は、実質的に+π/4及び−π/4であってよい。
この発明に係る光画像形成装置は、光源と、前記光源から出力された光を信号光と参照光とに分割する光学部材と、対象物に対する前記信号光の照射位置を変更するスキャナーと、前記信号光と前記参照光との間の位相差を、あらかじめ設定された2つの位相差に交互に変更する位相変更部と、前記対象物を経由した信号光と参照光とを合成して干渉光を生成する光学部材と、前記干渉光を検出する検出器と、前記信号光の照射位置の変更に伴い前記検出器により逐次に得られた複数の前記干渉光の検出結果に基づいて前記対象物の断層像を形成する画像形成部とを備える。
前記光源及び前記位相変更部を制御して、前記対象物に対する前記信号光の照射タイミングと前記位相差の変更タイミングとを同期させる制御部を更に備えていてもよい。
前記制御部は、前記光源を制御して、実質的に等しい時間間隔で前記信号光を前記対象物に照射させ、かつ、前記位相変更部を制御して、実質的に前記時間間隔の半分の周波数で前記位相差を交互に変更させるように構成されていてもよい。
前記位相変更部は、前記参照光の位相をあらかじめ設定された2つの位相の間で交互に変更することにより前記位相差を交互に変更するように構成されていてもよい。
前記位相変更部は、前記信号光の位相をあらかじめ設定された2つの位相の間で交互に変更することにより前記位相差を交互に変更するように構成されていてもよい。
前記画像形成部は、前記干渉光の検出結果に基づいて複素数からなる複素干渉スペクトルを生成する生成部を含み、この複素干渉スペクトルに基づいて前記断層像を形成するように構成されていてもよい。
前記生成部は、前記干渉光の検出結果に基づく干渉スペクトルにローパスフィルターを適用して第1の干渉スペクトルを求め、前記第1の干渉スペクトルを前記位相差の余弦で除算して実数部を求め、前記検出結果に基づく干渉スペクトルに−(−1)を乗算し、この積にローパスフィルターを適用して第2の干渉スペクトルを求め、前記第2の干渉スペクトルを前記位相差の正弦で除算して虚数部を求め、前記実数部と前記虚数部に虚数単位を乗算した積とを加算することにより前記複素干渉スペクトルを生成するように構成されていてもよい。
前記画像形成部は、前記干渉光の検出結果に基づいて、前記2つの位相差を両端とする範囲を定義域とし、かつ、背景成分を中心とする低周波数部と前記両端のそれぞれの近傍に存在する高周波数部とからなる干渉スペクトルを生成し、前記光源及び前記スキャナーを制御して、前記低周波数部と前記高周波数部とが分離されるオーバーサンプリングレシオで前記対象物を前記信号光でスキャンさせる制御部を更に備えていてもよい。
前記2つの位相差は、実質的に+π/4及び−π/4であってよい。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、信号光と参照光との位相差を2つの位相差に交互に変更しながらスキャンを行うことで逐次に得られた複数の検出結果に基づいて断層像を形成することにより、画像化可能な深度範囲の拡大を低コストで実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態に係る光画像形成方法及び光画像形成装置の原理を説明するための概略構成図である。
【図2】実施形態に係る光画像形成方法及び光画像形成装置の原理を説明するための概略図である。
【図3】実施形態に係る光画像形成方法及び光画像形成装置の原理を説明するための概略図である。
【図4】実施形態に係る光画像形成方法及び光画像形成装置の原理を説明するための概略図である。
【図5A】実施形態に係る光画像形成方法及び光画像形成装置の原理を説明するための概略図である。
【図5B】実施形態に係る光画像形成方法及び光画像形成装置の原理を説明するための概略図である。
【図6】実施形態に係る光画像形成装置の構成の一例を表す概略図である。
【図7】実施形態に係る光画像形成装置の構成の一例を表す概略図である。
【図8】実施形態に係る光画像形成装置の構成の一例を表す概略図である。
【図9】実施形態に係る光画像形成装置が実行する同期制御の一例を表すタイミングチャートである。
【図10A】この発明に係る光画像形成装置の実施例により取得されたAラインプロファイルの具体例を示す。
【図10B】従来の光画像形成装置により取得されたAラインプロファイルの具体例を示す。
【図11A】複素共役曖昧性による画像化可能深度の縮小を説明するための概略図である。
【図11B】複素共役曖昧性による画像化可能深度の縮小を説明するための概略図である。
【図11C】複素共役曖昧性による画像化可能深度の縮小を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明に係る光画像形成方法及びこれを実行する装置の実施形態の一例について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
〈原理の説明〉
まず、実施形態に係る光画像形成方法の原理を説明する。
【0026】
この実施形態は、位相を2つの値の間で交代的に(つまり交互に)変更させつつ横スキャン(Bスキャン)を行うことでデータを収集し、収集されたデータに基づいて複素数からなるスペクトラルインターフェログラム(複素インターフェログラム、或いは複素干渉スペクトル)を生成する。そして、この複素インターフェログラムに基づいて画像を再構成することにより虚像のない断層像(Bスキャン像)を得る。その結果、画像化が可能な深度範囲の拡大という目的が達成される。また、後述のように、この実施形態の装置は、従来のFD−OCTに僅かな構成を追加するだけで、すなわち低コストで、この目的を実現するものである。
【0027】
ほとんどのFD−OCTは、2種類のスキャンモード、つまりAラインスキャンと横スキャン、を組み合わせて測定を行う。Aラインスキャンは、対象物の軸線方向のプロファイルを符号化したスペクトラルインターフェログラムを収集するモードである。具体的には、SS−OCTのAラインスキャンは、各Aラインに対して複数の波長の光を順次に照射する方式であり、SD−OCTのAラインスキャンは、各Aラインに対して様々な波長を有する広帯域光を各Aラインに照射する方式である。また、横スキャンは、2次元断層像を形成するために複数のAラインを順次にスキャンするモードである。収集されたデータから背景成分を除くと、横スキャンにより収集されたスペクトラルインターフェログラムは次のように表される。
【0028】

【0029】
ここで、nは軸線の識別番号であり、横スキャンにおけるAラインの位置を示す。
【0030】
横スキャンは、Aライントリガー信号などの所定の信号によってAラインスキャンと同期される。Aライントリガー信号は、各Aラインスキャンの開始タイミングを示すものであり、SS−OCTでは波長掃引光源の駆動器により生成され、SD−OCTでは干渉光検出モジュールにより生成される。横スキャンレートfは、Aラインスキャンの反復周波数として定義される。複数のAラインは、一般に、横スキャンの方向に沿って等間隔で配列されているので、横スキャンレートfを横方向のサンプリングレートとみなすことができる。
【0031】
この実施形態の原理を実現する装置の構成例を図1に示す。光画像形成装置100は、対象物(サンプル)1000の断層像を形成する装置であり、光源101と、ビームスプリッター102と、スキャナー103と、位相変調器104と、変調コントローラー104aと、参照ミラー105と、検出システム106と、コントローラー107と、コンピューター108とを含んで構成される。
【0032】
光源101から出力された光は、ビームスプリッター102により信号光と参照光に分割される。スキャナー103は、信号光で対象物1000を走査する。対象物1000による信号光の反射光や後方散乱光は、スキャナー103を介してビームスプリッター102に戻される。位相変調器104は、変調コントローラー104aにより制御されて、参照光の位相を変調する。参照光は、参照ミラー105により反射され、再び位相変調器を経由してビームスプリッター102に戻される。ビームスプリッター102は、それぞれ戻された信号光と参照光を重畳させて干渉光を生成する。この干渉光は検出システム106により検出される。検出システム106は、その検出データをコンピューター108に送る。コンピューター108は、この検出データに基づいて、信号光のスキャン範囲に相当する対象物の画像を形成する。なお、コントローラー107は、スキャナー103、変調コントローラー104a及び検出システム106の同期制御を行う。
【0033】
位相変調器104は、光の位相を変調するものであり、参照アーム又はサンプルアームに設けられる。なお、この実施形態で用いる位相の変更は、位相変調というよりむしろ「位相交代(phase alternation)」と言うべきものである。位相交代とは、複数のAラインに対する逐次の検出に対応して(つまり横スキャンに対応して)、2つの位相状態+Δφ、−Δφを交互に適用するものである。換言すると、複数のAラインに対する順次の検出における初期位相が、Δφ、−Δφ、Δφ、−Δφ、Δφ、・・・・となる。
【0034】
これを実現させるための制御の例として、位相交代と複数のAラインに対するスキャンとを同期させて、Aラインに対するスキャンの周波数(つまり横スキャンレートf)の半分の周波数f/2で位相交代を行わせる方法がある。この条件が適用される場合、検出されるスペクトラルインターフェログラムは次のように表される。
【0035】

【0036】
ここで、Δφは位相交代の振幅であり、変調コントローラー104aにより変更される。更に、式(4)は次のように展開できる。
【0037】

【0038】
式(5)の第1項は、重みファクターcos(Δφ)を除いて、式(3)と同じである。一方、式(5)の第2項は、交代項(−1)の存在により周波数f/2で交代する。その結果として、第1項と第2項は、周波数領域において分離可能となる。なお、交代周波数f/2は横スキャンレートfの半分に過ぎないことから、CCDカメラ等を用いたSD−OCTでも検出可能である。
【0039】
横スキャンにより得られるI´(k,n)の周波数スペクトルの例を図2に示す。この周波数スペクトルは、背景成分DCを中心とする低周波数部LF1と、周波数f/2を中心とする高周波数部HF1とが含まれる。低周波数部LF1は式(5)の第1項に対応し、高周波数部HF1は式(5)の第2項に対応する。ナイキスト−シャノンのサンプリング定理によれば、このスペクトルは領域[−f/2,f/2]に制限される。f/2より大きい周波数、及び−f/2より小さい周波数は、mfを加算することにより、この領域にくるめることができる。ここで、mは正又は負の整数である。たとえば、0.6fは、m=−1として0.6f+mfを算出することにより−0.4fとなる。したがって、図2に示す高周波数部HF1は、この周波数スペクトルにおいて負側と正側の双方に現れる。
【0040】
式(5)の第1項と第2項は、その周波数の違いにより、次式に示すように別々に抽出できる。
【0041】

【0042】
ここで、Iim(k,n)は、式(2)の第2項の周波数を数値的にf/2だけ引き戻すことで得られる。Ire(k,n)とIim(k,n)を再び組み合わせることにより、次式に示す複素インターフェログラムが得られる。
【0043】


【0044】
ここで、jは虚数単位である。
【0045】
図3は、位相交代信号I´(k,n)から複素信号I(k,n)を生成し、更に画像を形成する処理の例を示す。まず、符号201に示すように、検出されたスペクトラルインターフェログラムI´(k,n)に対して−(−1)を乗算することにより、新たな信号I"(k,n)が生成される。この演算は、前述の第2項を背景成分にシフトさせ、かつその符号(±)を補正するものである。次に、符号204、202に示すように、横方向の周波数領域におけるローパスフィルターをI´(k,n)とI"(k,n)の双方に適用することにより、式(6)に示すIre(k,n)とIim(k,n)がそれぞれ生成される。続いて、符号203、205、206に示すようにIre(k,n)とIim(k,n)を組み合わせることにより、式(7)に示す複素信号I(k,n)が生成される。そして、符号207に示すように複素信号I(k,n)に対して高速フーリエ変換を施すことにより、複素共役アーチファクトのない画像208が再構成される。
【0046】
なお、実際に検出された信号I´(k,n)に−(−1)を乗算して信号I"(k,n)が生成する演算は、復調に相当する。それにより、I´(k,n)及びI"(k,n)をそれぞれ複素数の実数部及び虚数部とみなすことができ、式(7)のような複素インターフェログラムが得られる。そして、この複素インターフェログラムを用いれば、複素共役アーチファクトを含まないFD−OCT画像を形成できる。
【0047】
式(7)の複素信号I(k,n)を得るためには、cos(Δφ)とsin(Δφ)を求める必要がある。これらを求める処理の例について図4を参照しつつ説明する。まず、所定の物体(たとえば単一反射面の鏡)をサンプルアームと参照アームに配置して通常のFD−OCT測定を行うことにより、単一の深度に対応するインターフェログラム301を生成する。このインターフェログラム301に高速フーリエ変換(302)を施して画像303を形成する。画像303には、所定の物体の虚像303aと真像303bが描出されている。次に、フィルター処理(304)により真像bを抽出して画像305を形成する。続いて、画像305に対して逆高速フーリエ変換(306)を施してインターフェログラム307を得る。次に、各Aラインのインターフェログラム307の位相がφとして算出される。そして、隣接するAラインの間の位相差の半分の値としてΔφが得られる。つまり、nを偶数とすると、Δφ={φ(n)−φ(n−1)}/2となる。なお、2つ以上のAラインを用いて平均を算出することにより、Δφの精度、確度を向上させることができる。このΔφを用いることで、cos(Δφ)とsin(Δφ)を算出できる。
【0048】
Δφの他の算出方法を説明する。この実施形態が適用される対象物は散乱体であり、これには、ヒト網膜などの人体組織が含まれる。この場合、より実際的な手法として、Ire(k,n)とIim(k,n)の強度を比較することにより、Δφを統計的に推定することができる。たとえば、横スキャン方向への加算によりIre(k,n)とIim(k,n)の絶対値を算出し、次式に示すこれらの比を演算する。
【0049】

【0050】
ほとんどの場合において、OCTの対象物はランダムなφ(Δz,n)を有する濁った散乱体であることを考慮すると、式(8)は統計的に次のように簡略化できる。
【0051】

【0052】
そうすると、Δφの絶対値|Δφ|は次式のようになる。
【0053】

【0054】
明らかに、tan(Δφ)又はΔφを用いてcos(Δφ)とsin(Δφ)を算出することができる。tan(Δφ)又はΔφの符号は正又は負であるが、いずれの場合においても複素共役アーチファクトのない画像を得ることができるので、符号は重要ではない。しかし、必要に応じ、奇数番及び偶数番のAラインの間の位相の符号としてこれらの符号を求めることができる。たとえば、1つの画像を構成するAラインの総数をN(Nは偶数)とすると、再構成される画像は次にように表される。
【0055】

【0056】
そして、tan(Δφ)やΔφの符号は、次のようにして求められる。
【0057】

【0058】
ほとんどの場合において、Δφは波数kの関数である。よって、この統計的に推定されたtan(Δφ)やΔφは、たとえばカーブフィッティングやフィルター処理により滑らかにされて統計的なノイズが除去された、波数kに沿う曲線である。画質の最大化を達成し、かつ複素共役アーチファクトの抑制度合を最大化するためには、Ire(k,n)とIim(k,n)の強度をバランスさせて、各部に高い誤差が発生することを避ける必要がある。これは、tan(Δφ)≒1、つまりΔφ≒π/4が最適な値であることを意味する。また、スペクトル全体でtan(Δφ)=1となるΔφが得られるように、位相変調器104を調整することも可能である。したがって、式(7)に示す複素インターフェログラムは、次式のように更に簡略化される。
【0059】

【0060】
つまり、Δφ≒π/4になるように位相交代の周波数を決定することにより、この実施形態は、特に生体組織のような散乱体、たとえばヒト網膜に有効である。
【0061】
I´(k,n)からIre(k,n)とIim(k,n)を曖昧さなく抽出するためには、横方向におけるオーバーサンプリングを最適化する必要がある。オーバーサンプリングは、低周波数部と高周波数部の双方の帯域幅を狭めるよう作用するので、図5Aに示すように低周波数部LF2と高周波数部HF2を分離させることができる。これに対し、ダウンサンプリングは、双方の周波数部の帯域幅を広げるので、図5Bに示すように低周波数部LF3と高周波数部HF3との重なりやエイリアシングが生じるおそれがある。一方、サンプリングレートを高めるにはAラインの数を増加させる必要があり、装置の負荷が増大するという望ましくない事態が生じる。したがって、実用上においては、Aラインの数の増加を抑えつつ、I´(k,n)の周波数スペクトルの重なりを避けるべく、適当なオーバーサンプリングレシオを設定することが望ましい。このように、この実施形態は2つの周波数部のみを扱うものであり、特許文献1や非特許文献15、16、18のように5つ以上の周波数部を扱う場合と比較して、オーバーサンプリングレシオの最適化が実質的に容易である。
【0062】
〈実用化の例〉
以下、この実施形態を実用化する場合の一例を説明する。
【0063】
[構成]
この実施形態に係る光画像形成装置の構成例を図6に示す。ここではSS−OCTを用いた装置について説明するが、SD−OCTを用いた装置に対しても同様の構成を適用することが可能である。つまり、この発明に係るSS−OCTを用いた装置と、この発明に係るSD−OCTを用いた装置との相異は、SS−OCTとSD−OCTとの一般的な相異に過ぎない。
【0064】
〔全体構成〕
図6に示す光画像形成装置400は、波長可変レーザー等の波長掃引光源401を有する。波長掃引光源401は、高速で連続的に波長を変えながら光を出力する。波長掃引光源401から出力された光は、光ファイバー402を経由してファイバーカプラ403に導かれる。ファイバーカプラ403は、4本の光ファイバー402、404、410及び412を接続している。光ファイバー402により導かれた光は、ファイバーカプラ403により信号光と参照光とに分割される。信号光は、対象物に照射される光であり、測定光、サンプル光などとも呼ばれる。参照光は、所定の参照経路を介して信号光に合成される。
【0065】
信号光は、光ファイバー404に導かれてそのファイバー端から出射し、コリメーター405により平行光束となる。平行光束となった信号光は、スキャナー406を経由し、レンズ407及び408により被検眼Eの眼底Efに集束される。スキャナー406は、眼底Efに対する信号光の照射位置を変更する。スキャナー406としては、ガルバノスキャナー、ポリゴンミラー、共振スキャナー、音響光学変調器、回転プリズム、振動プリズムなどが用いられる。光ファイバー404、コリメーター405、スキャナー406、レンズ407及び408が形成する光路は、信号光路あるいはサンプルアームなどと呼ばれる。
【0066】
眼底Efに照射された信号光は、眼底Efの様々な組織により散乱される。この散乱光のうちの後方散乱光は、信号光路を介してファイバーカプラ403に戻ってくる。更に、この後方散乱光は、光ファイバー412によりファイバーカプラ413に導かれる。後方散乱光は、眼底Efの深さ方向の情報を含んでいる。
【0067】
一方、ファイバーカプラ403により生成された参照光は、光ファイバー410によってファイバーカプラ413に導かれる。光ファイバー410の途中には、ファイバーストレッチャー411が設けられている。ファイバーストレッチャー411は、電気的な駆動信号をファイバーストレッチャー駆動部417から受けて、この駆動信号の電圧に比例する微小な長さだけ光ファイバー410の長さを変化させる。その結果、参照光の位相がΔφ=kΔVだけ変化する。ここで、ΔVは駆動信号の振幅である。このようにして、ファイバーストレッチャー411は、参照光の位相を2つの位相±Δφの間で交互に変更する。それにより、信号光と参照光との間の位相差が、あらかじめ設定された2つの位相差に交互に変更される。ファイバーストレッチャー411は、ファイバーストレッチャー駆動部417とともに「位相変更部」の一例を構成する。位相変更部としては、ファイバーストレッチャーだけでなく、2つの位相状態を切り替えることが可能な任意のデバイス、たとえば電気的/光学的位相変調器、光学スイッチ、波長板、translation stage、ピエゾなどを用いることが可能である。なお、参照光の経路は参照光路あるいは参照アームなどと呼ばれる。
【0068】
位相変更部は、この実施形態のように参照アームにのみ設けられてもよいし、サンプルアームのみにもうけられてもよいし、参照アームとサンプルアームの双方に設けられてもよい。すなわち、位相変更部は、信号光と参照光との間の位相差を、あらかじめ設定された2つの位相差に交互に変更するものであれば、その具体的構成や配置は任意である。
【0069】
ファイバーカプラ413は、4本の光ファイバー410、412、414a及び414bを接続している。ファイバーカプラ413の分岐比はたとえば1:1である。信号光と参照光は、ファイバーカプラ413により合成されて干渉光を生成する。この干渉光は、信号光に含まれる眼底Efの深さ方向の情報と、参照光に付与された位相の変化の情報とを引き継いでいる。検出器415は、光ファイバー414a及び414bにより導かれた干渉光を検出する。検出器415は、たとえば、2つのフォトディテクタを有し、これらによる検出結果の差分を出力するバランスド検出器(balanced photo detector、平衡検出器)である。
【0070】
検出器415は、干渉光を検出する度に、その検出結果(検出信号)をデータ収集部416に送る。データ収集部416は、検出器415から順次に入力される検出信号を収集する。データ収集部416は、これら検出信号を、たとえば一連の波長掃引毎に、つまりAライン毎にまとめて演算制御部420に送る。
【0071】
演算制御部420は、前述した原理を用いることで、データ収集部416から入力されるデータに基づき各Aラインプロファイル(Aライン像)を再構成する。更に、演算制御部420は、信号光のスキャンパターンに応じて複数のAラインプロファイルを一列に配列させることによりBスキャン像(断層像)を形成する。また、演算制御部420は、信号光のスキャンパターンに応じて複数のBスキャン像を配列させてスタックデータを生成し、このスタックデータに補間処理等の画像処理を施すことにより、ボリュームデータを生成することができる。
【0072】
ユーザインターフェイス(マンマシンインターフェイス)430は、表示デバイス、入力デバイス、操作デバイス等を含む。表示デバイスとしては、LCDなどが用いられる。入力デバイスや操作デバイスとしては、光画像形成装置400に設けられた各種ハードウェアキー(スイッチ、ボタン、ノブ、ジョイスティック等)がある。また、光画像形成装置400に接続された装置に設けられたハードウェアキー(たとえばコンピューターに設けられたキーボード、ポインティングデバイス等)を、入力デバイスや操作デバイスとして用いることもできる。また、上記表示デバイスや上記コンピューターに表示されるソフトウェアキーを入力デバイスや操作デバイスとして用いることも可能である。
【0073】
〔制御系の構成〕
光画像形成装置400の制御系の構成の一例を図7に示す。
【0074】
演算制御部240は、光画像形成装置400の各部を制御する機能と、各種演算処理を行う機能とを備える。演算制御部420は、同期制御部421と、画像形成部422とを有する。画像制御部422は、複素干渉スペクトル生成部423を有する。同期制御部421は「制御部」の一例であり、複素干渉スペクトル制御部423は「生成部」の一例である。
【0075】
同期制御部421は、OCT計測を行うための同期制御を行う。そのために、同期制御部421は、波長掃引光源401、スキャナー406、ファイバーストレッチャー駆動部417、検出器415及びデータ収集部416を制御する。波長掃引光源401の制御として、同期制御部421は、波長掃引光源401の点灯/消灯の制御や、波長を高速で変更する制御を行う。スキャナー406の制御として、同期制御部421は、たとえばガルバノミラーの向きを変更することにより、眼底Efに対する信号光の照射位置を変更する。ファイバーストレッチャー駆動部417の制御として、同期制御部421は、ファイバーストレッチャー411を駆動させる信号をファイバーストレッチャー駆動部417に送信させる。検出器415の制御として、同期制御部421は、干渉光を検出するタイミングや検出信号を出力するタイミングを制御する。データ収集部416の制御として、同期制御部421は、収集されたデータを出力させる。
【0076】
同期制御部421が実行する同期制御について説明する。同期制御部421は、制御対象である各部に対して制御信号を送信する。この制御信号は、前述の横スキャンレートfの周波数を含む電気信号である。この制御信号は、たとえば周波数fの電気信号である。この制御信号としてはたとえば正弦的な電気信号が用いられるが、その波形はこれには限定されない。なお、1種類の制御信号で全ての部位を制御する代わりに、2つ以上の制御信号を用いることも可能である。たとえば、波長掃引光源401やスキャナー406には周波数fの制御信号を送信し、ファイバーストレッチャー駆動部417には周波数f/2の電気信号を送信することができる。
【0077】
波長掃引光源401は、制御信号に基づいて、波長を高速で変更しながら光を繰り返し出力する。スキャナー406は、制御信号に基づいて、予め設定されたスキャンパターンに応じた複数のAラインの配列に対応する順序で信号光を偏向する。ファイバーストレッチャー駆動部417は、制御信号に基づいて、参照光の位相を交代的に変更するための駆動信号を生成してファイバーストレッチャー411に送信する。この制御信号により、波長掃引光源401の動作と、スキャナー406の動作と、ファイバーストレッチャー411の動作とが同期される。すなわち、スキャナー406は、複数のAラインの配列に対して横スキャンを実行し、波長掃引光源401は、各Aラインに対して一連の波長の光を順次に照射するAラインスキャンを実行し、ファイバーストレッチャー411は、横スキャンレートの半分の周波数で参照光の位相交代を実行する。
【0078】
周波数fの制御信号から周波数f/2の駆動信号を生成するための、ファイバーストレッチャー駆動部417の構成について説明する。この信号変換処理は、たとえば図8に示すように、J−Kフリップフロップ4171、狭帯域バンドバス(narrow band pass、NBP)フィルター4172及び位相シフター4173により実行される。
【0079】
J−Kフリップフロップ4171は、同期制御部421から入力される制御信号の周波数fをその半分のf/2に低下させて狭帯域バンドパスフィルター4172に出力する。狭帯域バンドパスフィルター4172は、J−Kフリップフロップ4171から入力される電気信号から1次調和信号、つまり周波数f/2における正弦信号を抽出して位相シフター4173に出力する。位相シフター4173は、Aラインの収集と位相交代との間のタイミングのずれを正確に調整するために、狭帯域バンドパスフィルター4172から入力される正弦信号の位相を変更してスイッチ4174に出力する。
【0080】
スイッチ4174は、演算制御部420からの(他の)制御信号を受けて、位相シフター4173とファイバーストレッチャー411との間の電気的接続を確立/遮断する。つまり、スイッチ4174は、この実施形態に係る測定を実行する場合には当該電気的接続を確立し、従来の測定を実行する場合には当該電気的接続を遮断する。このような測定モードの変更の指示は、たとえばユーザインターフェイス430を用いて行われる。つまり、ユーザは、この実施形態に係る測定モードと、従来の通常の測定モードとを使い分けることができる。
【0081】
このような同期制御の例を図9に示す。なお、検出器415やデータ収集部416を制御する場合には、波長掃引光源401やスキャナー406と同様の制御、つまり周波数fでの制御が行われる。“Aライン識別情報(AラインID)”は、スキャンパターンに応じた複数のAラインのそれぞれに付与された識別情報である。“Aライントリガー”は、各Aラインを測定するための光を波長掃引光源401に出力させるタイミングを表すパルス信号を示す。このパルス信号は、たとえば波長掃引光源401に含まれる駆動部(図示せず)により生成される。なお、このようなパルス信号を同期制御部421が生成するように構成してもよい。
【0082】
“駆動信号”は、ファイバーストレッチャー駆動部417からファイバーストレッチャー411に送信される正弦信号を示す。駆動信号の周波数は、Aライントリガーの周波数の半分である。“位相の交代状態”は、Aライントリガーのタイミングによって正弦的な駆動信号から特定される、+Δφと−Δφとの間で交代する位相の状態を表している。“位相交代”は、正弦的な駆動信号から特定される交代する位相による、参照光の位相交代の状態を表している。
【0083】
このような同期制御を行うことにより、検出器415は、波長掃引光源401により繰り返し出力される光に対応する干渉光を逐次に検出し、その検出結果としての電気信号(検出信号)を逐次に出力する。データ収集部416は、検出器415から逐次に出力される検出信号を収集し、画像形成部422に送信する。また、画像形成部422には、制御信号に対応する情報(たとえばAライン識別情報)が入力される。複素干渉スペクトル生成部423は、この情報に基づいて、データ収集部416から入力されるデータをAラインごとにまとめ、前述した原理にしたがって各Aラインの複素干渉スペクトル(複素インターフェログラム)を生成する。画像形成部422は、各Aラインの複素干渉スペクトルに基づいて当該Aラインの画像を形成する。更に、画像形成部422は、スキャンパターンに応じて複数のAラインの画像を配列することにより対象物の断層像を形成する。
【0084】
[実施例]
発明者らは、このような位相交代方式のSS−OCTを用いて生体眼の測定を行った。オーバーサンプリングレシオはR=8に設定に設定した。ここで、オーバーサンプリングレシオRは、焦点スポットサイズwと、横スキャンのステップサイズ(隣接するAラインの間隔)Δxとの比として定義される:R=w/Δx。
【0085】
この実施例により取得されたAラインプロファイルを図10Aに示す。また、従来の方式で取得されたAラインプロファイルを図10Bに示す。なお、各Aラインプロファイルの横軸は深度zを示し、縦軸は後方散乱光の強度Iを示す。
【0086】
従来の方式によるAラインプロファイルAP2には、真像Q1だけでなく、その複素共役である虚像Q2が含まれている。一方、この実施例によるAラインプロファイルAP1には虚像はなく、真像P1のみが含まれる。
【0087】
[作用]
この実施形態の作用を説明する。
【0088】
この実施形態の光画像形成装置400は、対象物を経由した信号光と参照光とを合成して得られる干渉光に基づく干渉スペクトルを処理して対象物の断層像を形成するものであり、スキャンステップと、検出ステップと、画像形成ステップとを実行する。
【0089】
スキャンステップでは、光画像形成装置400は、信号光と参照光との間の位相差をあらかじめ設定された2つの位相差に交互に変更しながら対象物を信号光でスキャンする。このスキャンステップは、同期制御部421による制御の下、波長掃引光源401、スキャナー406、ファイバーストレッチャー411、ファイバーストレッチャー駆動部417などにより実行される。
【0090】
検出ステップでは、対象物を経由した信号光と参照光との干渉光を検出する。この検出ステップは、スキャンステップと並行して、検出器415やデータ収集部416により実行される。
【0091】
画像形成ステップは、スキャンに伴い検出ステップで逐次に得られた複数の干渉光の検出結果に基づいて対象物の断層像を形成する。この画像形成ステップは、画像形成部422により実行される。
【0092】
スキャンステップにおいて、対象物に対する信号光の照射位置を順次に変更することでスキャンを実行し、かつ、対象物に対する信号光の照射タイミングと位相差の変更タイミングとを同期させてもよい。
【0093】
スキャンステップにおいて、信号光を実質的に等しい時間間隔で対象物に照射し、かつ、位相差の交互変更の周波数を実質的に当該時間間隔の半分としていてもよい。
【0094】
スキャンステップにおいて、参照光の位相を2つの位相の間で交互に変更することにより、位相差の交互変更を行ってもよい。
【0095】
画像形成ステップにおいて、干渉光の検出結果に基づいて複素数からなる複素干渉スペクトルを生成し、この複素干渉スペクトルに基づいて断層像を形成してもよい。
【0096】
複素干渉スペクトルを生成する処理は、次の3つの処理を含んでいてもよい。
(1)干渉光の検出結果に基づく干渉スペクトルにローパスフィルターを適用して第1の干渉スペクトルを求め、この第1の干渉スペクトルを位相差の余弦で除算して実数部を求める。
(2)検出結果に基づく干渉スペクトルに−(−1)を乗算し、この積にローパスフィルターを適用して第2の干渉スペクトルを求め、この第2の干渉スペクトルを位相差の正弦で除算して虚数部を求める。
(3)実数部と虚数部に虚数単位を乗算した積とを加算することにより複素干渉スペクトルを生成する。
【0097】
画像形成ステップにおいて、干渉光の検出結果に基づいて2つの位相差を両端とする範囲を定義域とし、かつ、背景成分を中心とする低周波数部と当該両端のそれぞれの近傍に存在する高周波数部とからなる干渉スペクトルを生成する処理を行い、かつ、スキャンステップにおいて、低周波数部と高周波数部とが分離されるオーバーサンプリングレシオでスキャンを実行するようにしてもよい。
【0098】
上記2つの位相差は実質的に+π/4及び−π/4としてもよい。
【0099】
[効果]
この実施形態の効果を説明する。
【0100】
この実施形態によれば、簡易な構成で実現可能な「位相交代」という手法を新規に導入することにより複素干渉スペクトルを生成し、これを再構成することにより虚像の無い画像を得ることができる。したがって、画像化可能な深度範囲の拡大を低コストで実現することが可能である。この深度範囲の拡大は、実数値の干渉スペクトルを生成する従来の場合と比較して2倍である。
【0101】
また、位相交代の手法には、SS−OCTでもSD−OCTでも使用できるという利点がある。
【0102】
また、位相交代の手法には、従来の手法、たとえば位相シフト、BMモードスキャン、位相変調等と比較して装置の設定や調整が容易であり、また、位相を変更するための制御が容易であるという利点がある。
【0103】
この実施形態の手法は、位相交代によりそれぞれエンコードされた一連の干渉スペクトル(横スキャン方向に配列された複数のAラインに対応する干渉スペクトル)を取得するものであり、複数の干渉スペクトルのそれぞれにフーリエ変換を適用する従来の手法と本質的に異なっている。
【0104】
また、位相交代の手法における2つの位相状態±Δφは任意であり、したがって、従来の手法と比較して格段に自由度が高い。なお、前述のように、Δφの最適値はπ/4である。これは、Δφ=π/4の場合、cos(Δφ)=sin(Δφ)であるから、式(5)の実数部と虚数部とに同じ量が乗算され、双方のパワーのバランスが取れるからである。なお、Δφの値はπ/4に限定されるものではなく、上記のように任意である。
【0105】
また、位相交代の手法は、高調波を介在しない点も特徴的である。これは、たった2つの位相状態しか使用しないことによるものであり、高調波を伴う従来の位相変調の手法と大きく異なる。したがって、従来の位相変調の手法では、背景成分側から順に、0次、1次、2次、3次・・・というように多数の調和信号が互いに重ならないようにする必要があるが、この実施形態では、図5A及び図5Bに示すように低周波数部と高周波数部を考慮するだけでよいのでキャリブレーションが容易である。
【0106】
以上、この発明の実施形態について説明したが、これらは上記の実施形態は単なる例示に過ぎず、発明の範囲を限定することを意図するものではない。これら実施形態は、上記した以外の様々な形態で実施されることが可能である。つまり、この発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意の変形、つまり省略、置換、変更などを施すことができる。これら実施形態やその変形は、この発明の範囲や要旨、及びその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0107】
100 光画像形成装置
101 光源
102 ビームスプリッター
103 スキャナー
104 位相変調器
104a 変調コントローラー
105 参照ミラー
106 検出システム
107 コントローラー
400光画像形成装置
401波長掃引光源
402 光ファイバー
403 ファイバーカプラ
404 光ファイバー
405 コリメーター
406 スキャナー
407 レンズ
408 レンズ
410 光ファイバー
411 ファイバーストレッチャー
412 光ファイバー
413 ファイバーカプラ
414a、414b 光ファイバー
415 検出器
416 データ収集部
417 ファイバーストレッチャー駆動部
4171 J−Kフリップフロップ
4172 狭帯域バンドパスフィルター
4173 位相シフター
4174 スイッチ
420 演算制御部
421 同期制御部
422 画像形成部
423 複素干渉スペクトル生成部
430 ユーザインターフェイス
E 被検眼
Ef 眼底

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を経由した信号光と参照光とを合成して得られる干渉光に基づく干渉スペクトルを処理して前記対象物の断層像を形成する光画像形成方法であって、
信号光と参照光との間の位相差をあらかじめ設定された2つの位相差に交互に変更しながら対象物を信号光でスキャンするスキャンステップと、
前記対象物を経由した前記信号光と前記参照光との干渉光を検出する検出ステップと、
前記スキャンに伴い前記検出ステップで逐次に得られた複数の前記干渉光の検出結果に基づいて前記対象物の断層像を形成する画像形成ステップと、
を含むことを特徴とする光画像形成方法。
【請求項2】
前記スキャンステップにおいて、前記対象物に対する前記信号光の照射位置を順次に変更することで前記スキャンを実行し、かつ、前記対象物に対する前記信号光の照射タイミングと前記位相差の変更タイミングとを同期させることを特徴とする請求項1に記載の光画像形成方法。
【請求項3】
前記スキャンステップにおいて、前記信号光を実質的に等しい時間間隔で前記対象物に照射し、かつ、前記位相差の交互変更の周波数は、実質的に前記時間間隔の半分とされている、
ことを特徴とする請求項2に記載の光画像形成方法。
【請求項4】
前記スキャンステップにおいて、前記位相差の交互変更は、前記参照光の位相を2つの位相の間で交互に変更することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の光画像形成方法。
【請求項5】
前記スキャンステップにおいて、前記位相差の交互変更は、前記信号光の位相を2つの位相の間で交互に変更することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の光画像形成方法。
【請求項6】
前記画像形成ステップにおいて、前記干渉光の検出結果に基づいて複素数からなる複素干渉スペクトルを生成し、この複素干渉スペクトルに基づいて前記断層像を形成することを特徴とする請求項1に記載の光画像形成方法。
【請求項7】
前記複素干渉スペクトルを生成する処理は、
前記干渉光の検出結果に基づく干渉スペクトルにローパスフィルターを適用して第1の干渉スペクトルを求め、前記第1の干渉スペクトルを前記位相差の余弦で除算して実数部を求める処理と、
前記検出結果に基づく干渉スペクトルに−(−1)を乗算し、この積にローパスフィルターを適用して第2の干渉スペクトルを求め、前記第2の干渉スペクトルを前記位相差の正弦で除算して虚数部を求める処理と、
前記実数部と前記虚数部に虚数単位を乗算した積とを加算することにより前記複素干渉スペクトルを生成する処理と、
を含むことを特徴とする請求項6に記載の光画像形成方法。
【請求項8】
前記画像形成ステップは、前記干渉光の検出結果に基づいて、前記2つの位相差を両端とする範囲を定義域とし、かつ、背景成分を中心とする低周波数部と前記両端のそれぞれの近傍に存在する高周波数部とからなる干渉スペクトルを生成する処理を含み、
前記スキャンステップにおける前記スキャンは、前記低周波数部と前記高周波数部とが分離されるオーバーサンプリングレシオで実行される、
ことを特徴とする請求項6に記載の光画像形成方法。
【請求項9】
前記2つの位相差は、実質的に+π/4及び−π/4であることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の光画像形成方法。
【請求項10】
光源と、
前記光源から出力された光を信号光と参照光とに分割する光学部材と、
対象物に対する前記信号光の照射位置を変更するスキャナーと、
前記信号光と前記参照光との間の位相差を、あらかじめ設定された2つの位相差に交互に変更する位相変更部と、
前記対象物を経由した信号光と参照光とを合成して干渉光を生成する光学部材と、
前記干渉光を検出する検出器と、
前記信号光の照射位置の変更に伴い前記検出器により逐次に得られた複数の前記干渉光の検出結果に基づいて前記対象物の断層像を形成する画像形成部と、
を備えることを特徴とする光画像形成装置。
【請求項11】
前記光源及び前記位相変更部を制御して、前記対象物に対する前記信号光の照射タイミングと前記位相差の変更タイミングとを同期させる制御部を更に備えることを特徴とする請求項10に記載の光画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部は、
前記光源を制御して、実質的に等しい時間間隔で前記信号光を前記対象物に照射させ、かつ、
前記位相変更部を制御して、実質的に前記時間間隔の半分の周波数で前記位相差を交互に変更させる、
ことを特徴とする請求項11に記載の光画像形成装置。
【請求項13】
前記位相変更部は、前記参照光の位相をあらかじめ設定された2つの位相の間で交互に変更することにより前記位相差を交互に変更することを特徴とする請求項10に記載の光画像形成装置。
【請求項14】
前記位相変更部は、前記信号光の位相をあらかじめ設定された2つの位相の間で交互に変更することにより前記位相差を交互に変更することを特徴とする請求項10に記載の光画像形成装置。
【請求項15】
前記画像形成部は、
前記干渉光の検出結果に基づいて複素数からなる複素干渉スペクトルを生成する生成部を含み、
この複素干渉スペクトルに基づいて前記断層像を形成する、
ことを特徴とする請求項10に記載の光画像形成装置。
【請求項16】
前記生成部は、
前記干渉光の検出結果に基づく干渉スペクトルにローパスフィルターを適用して第1の干渉スペクトルを求め、前記第1の干渉スペクトルを前記位相差の余弦で除算して実数部を求め、
前記検出結果に基づく干渉スペクトルに−(−1)を乗算し、この積にローパスフィルターを適用して第2の干渉スペクトルを求め、前記第2の干渉スペクトルを前記位相差の正弦で除算して虚数部を求め、
前記実数部と前記虚数部に虚数単位を乗算した積とを加算することにより前記複素干渉スペクトルを生成する、
ことを特徴とする請求項15に記載の光画像形成装置。
【請求項17】
前記画像形成部は、前記干渉光の検出結果に基づいて、前記2つの位相差を両端とする範囲を定義域とし、かつ、背景成分を中心とする低周波数部と前記両端のそれぞれの近傍に存在する高周波数部とからなる干渉スペクトルを生成し、
前記光源及び前記スキャナーを制御して、前記低周波数部と前記高周波数部とが分離されるオーバーサンプリングレシオで前記対象物を前記信号光でスキャンさせる制御部を更に備える、
ことを特徴とする請求項15に記載の光画像形成装置。
【請求項18】
前記2つの位相差は、実質的に+π/4及び−π/4であることを特徴とする請求項10〜請求項17のいずれか一項に記載の光画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【公開番号】特開2013−29500(P2013−29500A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−140027(P2012−140027)
【出願日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
【Fターム(参考)】