説明

光画像計測装置、光画像計測プログラム、眼底観察装置及び眼底観察プログラム

【課題】信号光の走査中に被測定物体が動いた場合でも確度の高い画像を形成できる光画像計測装置を提供する。
【解決手段】光画像形成装置1は、低コヒーレンス光L0を信号光LSと参照光LRに分割し、眼底Erで反射された信号光LSと参照ミラー14で反射された参照光LRとを重畳させて干渉光LCを生成する干渉計と、干渉光LCを受光し検出信号を出力するCCD34と、信号光LSを主走査方向、副走査方向に走査するガルバノミラー22、23と、副走査方向の異なる位置における主走査方向に沿った断層画像G1〜Gmを形成するコンピュータ40とを有する。ガルバノミラー22、23は、主走査方向に交差する所定の方向に信号光LSを走査し、コンピュータ40は、この所定の方向に沿った補正用断層画像GRを形成し、補正用断層画像GRに基づいて各断層画像Giの位置ずれを補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に光散乱媒質の被測定物体に光ビームを照射し、その反射光もしくは透過光を用いて被測定物体の表面形態や内部形態を計測し、その画像を形成する光画像計測装置及び光画像計測プログラムと、この光画像計測装置を具備し被検眼の眼底を観察するための眼底観察装置及び眼底観察プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザ光源等からの光ビームを用いて被測定物体の表面形態や内部形態を表す画像を形成する光画像計測技術が注目を集めている。この光画像計測技術は、従来からのX線CTのような人体に対する侵襲性を持たないことから、特に医療分野における応用の展開が期待されている。
【0003】
特許文献1には、測定腕が、例えば回転式転向鏡(ガルバノミラー)により物体を走査し、参照腕に参照鏡が設置されており、さらにその出口では、計測腕および参照腕からの光束の干渉によって現れる光の強度が、分光器で分析もされるという干渉器が利用されていて、参照腕には参照光光束位相を不連続な値で段階的に変える装置が設置された構成の装置が開示されている。
【0004】
この装置は、特許文献2を基本技術とするいわゆる「フーリエドメインOCT(Fourier Domain Optical Coherence Tomography)」の手法を用いるものである。すなわち、被測定物体に対して光ビームを照射し、その反射光のスペクトル強度分布を取得し、それをフーリエ変換することにより、被測定物体の深度方向(z方向)の形態を画像化するものである。
【0005】
更に、特許文献1に記載の装置は、光ビーム(信号光)を走査するガルバノミラーを備え、それにより被測定物体の所望の測定対象領域の画像を形成できるようになっている。なお、この装置においては、z方向に直交する1方向(x方向)にのみ光ビームを走査するようになっているので、形成される画像は、光ビームの走査方向(x方向)に沿った深度方向(z方向)の2次元断面画像となる。
【0006】
また、特許文献3には、このような装置の眼科分野への応用例が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開平11−325849号公報
【特許文献2】独国特許出願公開第DE4309056A1号明細書
【特許文献3】特開2003−543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような光ビームで走査する構成の光画像計測装置を眼などの生体に適用する場合、光ビーム走査中における生体の動きを考慮する必要がある。つまり、走査中に生体が動くと、光ビームによる各計測位置(特許文献1ではx方向の各計測位置)にずれが発生し、結果として画像に歪みが生じてしまう。
【0009】
たとえば生体眼(眼底)の画像計測を行うときの光ビームの走査には、たとえば2.5秒〜3.5秒程度の時間が掛かる。この走査時間中に、心臓の拍動や眼球運動等により生体眼の位置がずれてしまうと、形成される画像は、生体眼のずれ方向に歪んだものになったり、画像の一部が途切れてしまったりして、画像の確度が損なわれる結果となる。
【0010】
したがって、生体の画像計測の確度を高めるには、この画像の歪みを補正する何らかの手段が必要となる。しかしながら、前述のような従来の光画像計測装置では、生体の動きに起因する画像の歪みを補正することはできなかった。
【0011】
本発明は、このような問題点を解決するために為されたものであり、光ビームの走査中に被測定物体が動いてしまった場合であっても、確度の高い画像を形成することが可能な光画像計測装置、光画像計測プログラム、眼底観察装置及び眼底観察プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、光源と、前記光源から出力された光を被測定物体に向かう信号光と参照物体に向かう参照光とに分割するとともに、前記被測定物体を経由した信号光と前記参照物体を経由した参照光とを重畳させて干渉光を生成する干渉光生成手段と、前記生成された干渉光を受光して検出信号を出力する検出手段と、前記被測定物体に対する前記信号光の入射位置を所定の主走査方向及び該主走査方向に直交する副走査方向にそれぞれ走査する走査手段と、前記主走査方向に沿った複数の前記入射位置のそれぞれについて、当該入射位置を経由した信号光と前記参照光とから生成される干渉光に基づく前記検出信号に基づいて当該入射位置における前記被測定物体の深度方向の画像を形成し、該形成された各入射位置の前記画像に基づいて前記主走査方向に沿った断層画像を形成することにより、前記副走査方向の異なる位置における2以上の前記主走査方向に沿った断層画像を形成する画像処理手段と、を有し、前記走査手段は、前記主走査方向に交差する所定の方向に前記信号光を走査し、前記画像処理手段は、当該所定の方向に沿った補正用断層画像を形成するとともに、該補正用断層画像に基づいて、前記形成された前記2以上の断層画像のそれぞれの位置ずれを補正する、ことを特徴とする光画像計測装置である。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光画像計測装置であって、前記走査手段は、前記2以上の断層画像を形成するとき、前記主走査方向の一定の向きに前記信号光の入射位置を走査し、前記所定の方向は、前記2以上の断層画像を形成するときの走査の終了位置と開始位置とを結んだ方向とされる、ことを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の光画像計測装置であって、前記画像処理手段は、前記2以上の断層画像のそれぞれの前記深度方向の位置ずれを補正する、ことを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の光画像計測装置であって、前記画像処理手段は、前記2以上の断層画像のそれぞれについて、前記補正用断層画像との交差位置における前記深度方向の画像の位置を、当該交差位置における前記補正用断層画像の深度方向の画像の位置に合わせることにより、前記深度方向の位置ずれを補正する、ことを特徴とする。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の光画像計測装置であって、前記2以上の断層画像のそれぞれの前記深度方向の前記位置ずれの補正は、前記交差位置における当該断層画像の前記深度方向の画像と前記補正用断層画像の前記深度方向の画像との正規化相関の相関値が最大となるように、当該断層画像を前記深度方向に移動させることにより行う、ことを特徴とする。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の光画像計測装置であって、前記2以上の断層画像のそれぞれの前記深度方向の前記位置ずれの補正は、前記交差位置における当該断層画像の前記深度方向の画像の特徴部分と前記補正用断層画像の前記深度方向の画像の特徴部分とを一致させるように、当該断層画像を前記深度方向に移動させることにより行う、ことを特徴とする。
【0018】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の光画像計測装置であって、前記深度方向の画像の前記特徴部分は、前記被測定物体の表面に相当する部分とされる、ことを特徴とする。
【0019】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7に記載の光画像計測装置であって、前記画像処理手段は、前記2以上の断層画像に基づいて、前記被測定物体の3次元画像を形成し、該形成された3次元画像に基づいて、前記所定の方向に沿った新たな断層画像を形成し、前記補正用断層画像に対する前記新たな断層画像の変位に基づいて、前記2以上の断層画像のそれぞれの位置ずれを補正する、ことを特徴とする。
【0020】
また、請求項9に記載の発明は、光源と、前記光源から出力された光を被測定物体に向かう信号光と参照物体に向かう参照光とに分割するとともに、前記被測定物体を経由した信号光と前記参照物体を経由した参照光とを重畳させて干渉光を生成する干渉光生成手段と、前記生成された干渉光を受光して検出信号を出力する検出手段と、前記被測定物体に対する前記信号光の入射位置を所定の主走査方向及び該主走査方向に直交する副走査方向にそれぞれ走査する走査手段と、前記主走査方向に沿った複数の前記入射位置のそれぞれについて、当該入射位置を経由した信号光と前記参照光とから生成される干渉光に基づく前記検出信号に基づいて当該入射位置における前記被測定物体の深度方向の画像を形成し、該形成された各入射位置の前記画像に基づいて前記主走査方向に沿った断層画像を形成することにより、前記副走査方向の異なる位置における2以上の前記主走査方向に沿った断層画像を形成する画像処理手段と、を有する光画像計測装置を制御する光画像計測プログラムであって、前記走査手段を制御して、前記主走査方向に交差する所定の方向に前記信号光を走査させ、前記画像処理手段に、当該所定の方向に沿った補正用断層画像を形成させるとともに、該補正用断層画像に基づいて、前記形成された前記2以上の断層画像のそれぞれの位置ずれを補正させる、ことを特徴とする。
【0021】
また、請求項10に記載の発明は、被検眼の眼底の表面の2次元画像を形成する第1の画像形成手段と、前記眼底の断層画像を形成する第2の画像形成手段と、を備える眼底観察装置であって、前記第2の画像形成手段により形成された断層画像を深度方向に積算して積算画像を生成し、前記第1の画像形成手段により形成された2次元画像に基づいて、前記生成された積算画像の前記深度方向に直交する方向における変位を検出し、該検出された変位に基づいて、前記断層画像の前記直交する方向における位置ずれを補正する第1の画像処理手段を備える、ことを特徴とする。
【0022】
また、請求項11に記載の発明は、被検眼の眼底の表面の2次元画像を形成する第1の画像形成手段と、光源と、前記光源から出力された光を前記眼底に向かう信号光と参照物体に向かう参照光とに分割するとともに、前記眼底を経由した信号光と前記参照物体を経由した参照光とを重畳させて干渉光を生成する干渉光生成手段と、前記生成された干渉光を受光して検出信号を出力する検出手段と、前記眼底に対する前記信号光の入射位置を所定の主走査方向及び該主走査方向に直交する副走査方向にそれぞれ走査する走査手段と、前記主走査方向に沿った複数の前記入射位置のそれぞれについて、当該入射位置を経由した信号光と前記参照光とから生成される干渉光に基づく前記検出信号に基づいて当該入射位置における前記眼底の深度方向の画像を形成し、該形成された各入射位置の前記画像に基づいて前記主走査方向に沿った断層画像を形成することにより、前記副走査方向の異なる位置における2以上の前記主走査方向に沿った断層画像を形成する第2の画像形成手段と、を備える眼底観察装置であって、前記第2の画像形成手段により形成された2以上の断層画像のそれぞれを前記深度方向に積算して、前記2以上の断層画像のそれぞれの積算画像を生成し、前記第1の画像形成手段により形成された2次元画像に基づいて、前記生成された2以上の積算画像のそれぞれの前記深度方向に直交する方向における変位を検出し、該検出された変位に基づいて、前記2以上の断層画像のそれぞれの前記直交する方向における位置ずれを補正する第1の画像処理手段と、前記第2の画像形成手段の前記走査手段を制御して、前記主走査方向に交差する所定の方向に前記信号光を走査させる制御手段と、当該所定の方向に沿った補正用断層画像を形成するとともに、該補正用断層画像に基づいて、前記形成された前記2以上の断層画像のそれぞれの前記深度方向における位置ずれを補正する第2の画像処理手段と、
を備える、ことを特徴とする。
【0023】
また、請求項12に記載の発明は、請求項10又は請求項11に記載の眼底観察装置であって、前記第2の画像形成手段により形成された断層画像の計測位置を示す位置情報を記憶する位置記憶手段を更に備え、前記第1の画像処理手段による前記変位の検出は、前記第1の画像形成手段により形成された2次元画像における前記生成された積算画像の位置を特定し、該特定された位置と前記記憶された位置情報に示す計測位置との前記深度方向に直交する方向における変位を検出することにより行う、ことを特徴とする。
【0024】
また、請求項13に記載の発明は、請求項10又は請求項11に記載の眼底観察装置であって、前記第1の画像形成手段により形成された2次元画像を表示する表示手段と、
前記第2の画像形成手段により形成される断層画像の計測位置を前記表示された2次元画像上に指定するための操作手段と、を備え、前記第1の画像処理手段による前記変位の検出は、前記第1の画像形成手段により形成された2次元画像における前記生成された積算画像の位置を特定し、該特定された位置と前記指定された計測位置との前記深度方向に直交する方向における変位を検出することにより行う、ことを特徴とする。
【0025】
また、請求項14に記載の発明は、被検眼の眼底の表面の2次元画像を形成する第1の画像形成手段と、前記眼底の断層画像を形成する第2の画像形成手段と、を備える眼底観察装置を、前記第2の画像形成手段により形成された断層画像を深度方向に積算して積算画像を生成し、前記第1の画像形成手段により形成された2次元画像に基づいて、前記生成された積算画像の前記深度方向に直交する方向における変位を検出し、該検出された変位に基づいて、前記断層画像の前記直交する方向における位置ずれを補正するように機能させる、ことを特徴とする眼底観察プログラムである。
【0026】
また、請求項15に記載の発明は、被検眼の眼底の表面の2次元画像を形成する第1の画像形成手段と、光源と、前記光源から出力された光を前記眼底に向かう信号光と参照物体に向かう参照光とに分割するとともに、前記眼底を経由した信号光と前記参照物体を経由した参照光とを重畳させて干渉光を生成する干渉光生成手段と、前記生成された干渉光を受光して検出信号を出力する検出手段と、前記眼底に対する前記信号光の入射位置を所定の主走査方向及び該主走査方向に直交する副走査方向にそれぞれ走査する走査手段と、前記主走査方向に沿った複数の前記入射位置のそれぞれについて、当該入射位置を経由した信号光と前記参照光とから生成される干渉光に基づく前記検出信号に基づいて当該入射位置における前記眼底の深度方向の画像を形成し、該形成された各入射位置の前記画像に基づいて前記主走査方向に沿った断層画像を形成することにより、前記副走査方向の異なる位置における2以上の前記主走査方向に沿った断層画像を形成する画像処理手段とを有する第2の画像形成手段と、を備える眼底観察装置を、前記第2の画像形成手段により形成された2以上の断層画像のそれぞれを前記深度方向に積算して、前記2以上の断層画像のそれぞれの積算画像を生成し、前記第1の画像形成手段により形成された2次元画像に基づいて、前記生成された2以上の積算画像のそれぞれの前記深度方向に直交する方向における変位を検出し、該検出された変位に基づいて、前記2以上の断層画像のそれぞれの前記直交する方向における位置ずれを補正する第1の画像処理手段、前記第2の画像形成手段の前記走査手段を制御して、前記主走査方向に交差する所定の方向に前記信号光を走査させる制御手段、及び、当該所定の方向に沿った補正用断層画像を形成するとともに、該補正用断層画像に基づいて、前記形成された前記2以上の断層画像のそれぞれの前記深度方向における位置ずれを補正する第2の画像処理手段、として機能させる、ことを特徴とする眼底観察プログラムである。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る光画像計測装置及び光画像計測プログラムによれば、走査手段が、主走査方向と交差する所定の方向に信号光を走査し、画像処理手段が、この所定の方向に沿った補正用断層画像を形成するとともに、この補正用断層画像に基づいて、主走査方向に沿った2以上の断層画像のそれぞれの位置ずれを補正するように構成されているので、信号光(光ビーム)の走査中に被測定物体が動いてしまった場合であっても、それに起因する各断層画像の位置ずれを補正できることから、確度の高い画像を形成することが可能である。
【0028】
本発明に係る眼底観察装置及び眼底観察プログラムによれば、第2の画像形成手段により形成された断層画像を深度方向に積算して積算画像を生成するとともに、第1の画像形成手段により形成された2次元画像に基づいて、この積算画像の深度方向に直交する方向における変位を検出する。そして、検出された変位に基づいて、深度方向に直交する方向における断層画像の位置ずれを補正するように作用する。それにより、信号光の走査中に被測定物体が動いてしまった場合であっても、それに起因する断層画像の深度方向に直交する方向への位置ずれを補正できるので、確度の高い画像を形成することが可能である。
【0029】
また、本発明に係る眼底観察装置及び眼底観察プログラムによれば、第2の画像形成手段により形成された各断層画像を深度方向に積算して、各断層画像の積算画像を生成するとともに、第1の画像形成手段により形成された2次元画像に基づいて、各積算画像の深度方向に直交する方向における変位を検出する。そして、検出された変位に基づいて、各断層画像の深度方向に直交する方向における位置ずれを補正する。更に、第2の画像形成手段の走査手段を制御して、主走査方向に交差する所定の方向に信号光を走査させるとともに、当該所定の方向に沿った補正用断層画像を形成し、この補正用断層画像に基づいて、各断層画像の深度方向における位置ずれを補正するように作用する。それにより、信号光の走査中に被測定物体が動いてしまった場合であっても、それに起因する断層画像の深度方向に直交する方向への位置ずれとともに深度方向への位置ずれも補正できるので、確度の高い画像を形成することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明に係る光画像計測装置、光画像計測プログラム、眼底観察装置及び眼底観察プログラムの好適な実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0031】
〈第1の実施形態〉
[装置構成]
図1は、本発明に係る光画像計測装置の全体構成の一例を表す。同図に示す光画像計測装置1は、従来とほぼ同様に構成されており、レーザ光源から出力されたレーザ光を参照光と信号光とに分割し、参照物体を経由した参照光と被測定物体を経由した信号光とを重畳して干渉光を生成する干渉計を具備するとともに、この干渉光の検出結果を解析して被測定物体の画像を形成するように構成されている。
【0032】
低コヒーレンス光源2は、低コヒーレンス光L0を出力するスーパールミネセントダイオード(SLD)や発光ダイオード(LED)等の広帯域光源により構成されている。この低コヒーレンス光L0は、たとえば、近赤外領域の波長を有し、かつ、数十マイクロメートル程度の時間的コヒーレンス長を有する光とされる。
【0033】
低コヒーレンス光源2から出力された低コヒーレンス光L0は、たとえばシングルモードファイバからなる光ファイバ3を通じて光カプラ(coupler)4に導かれ、参照光LRと信号光LSとに分割される。
【0034】
なお、光カプラ4は、光を分割する手段(スプリッタ;splitter)、及び、光を重畳する手段(カプラ)の双方の作用を有するが、ここでは慣用的に「光カプラ」と称することにする。
【0035】
参照光LRは、光ファイバ5により導光されてファイバ端から出射される。出射された参照光LRは、コリメータレンズ11により平行光束とされた後、ガラスブロック12及び濃度フィルタ13を経由し、参照ミラー14(参照物体)によって反射される。
【0036】
参照ミラー14により反射された参照光LRは、再び濃度フィルタ13及びガラスブロック12を経由し、コリメータレンズ11によって光ファイバ5のファイバ端に集光される。集光された参照光LRは、光ファイバ5を通じて光カプラ4に導かれる。
【0037】
なお、ガラスブロック12と濃度フィルタ13は、参照光LRと信号光LSの光路長(光学距離)を合わせるための遅延手段として、また参照光LRと信号光LSの分散特性を合わせるための手段として作用している。
【0038】
一方、信号光LSは、光ファイバ6により導光されてファイバ端から出射され、コリメータレンズ21によって平行光束とされる。平行光束になった信号光LSは、ガルバノミラー22により反射され、更に、ガルバノミラー23により反射される。
【0039】
ガルバノミラー22、23は、それぞれ回動軸22a、23aを中心に回動される。回動軸22a、23aは、互いに直交するように配設されている。ガルバノミラー22の回動軸22aは、図1の紙面に平行に、かつ、信号光LSの進行方向に対して所定角度(たとえば45度)を成すようにして配設されている。また、ガルバノミラー23の回動軸23aは、図1の紙面に対して垂直に配設されている。すなわち、ガルバノミラー23は、図1中の両側矢印に示す方向に回動可能とされ、ガルバノミラー22は、当該両側矢印に対して直交する方向に回動可能とされる。それにより、ガルバノミラー22、23は、信号光LSの反射方向を、互いに直交する方向に変更するようにそれぞれ作用する。このガルバノミラー22、23による信号光LSの具体的な反射態様については後述するものとする。
【0040】
ガルバノミラー23により反射された信号光LSは、レンズ24によって集光されつつダイクロイックミラー25により反射されて一旦結像し、対物レンズ26を介して被検眼Eに入射する。被検眼Eに入射した信号光LSは、眼底(網膜)Er上にて結像し反射される。
【0041】
このとき信号光LSは、眼底Erの表面で反射されるだけでなく、眼底Erの深部領域にも到達して屈折率境界にて散乱される。それにより、信号光LSの眼底反射光は、眼底Erの表面形態を示す情報と、深部組織の屈折率境界における後方散乱の状態を表す情報とを含んだ光となる。
【0042】
なお、ダイクロイックミラー25は、(近)赤外領域の光を反射し、可視領域の光を透過させるように作用する。
【0043】
眼底Erにて反射された信号光LSは、対物レンズ26、ダイクロイックミラー25、レンズ24、ガルバノミラー22、23を経由し、コリメータレンズ21によって光ファイバ6のファイバ端に集光される。集光された信号光LSは、光ファイバ6を通じて光カプラ4に導かれる。
【0044】
光カプラ4は、参照ミラー14にて反射されて戻ってきた参照光LRと、被検眼Eの眼底Erにて反射されて戻ってきた信号光LSとを重畳して、干渉光LCを生成する。生成された干渉光LCは、光ファイバ7を通じてスペクトロメータ(分光計)30に導光される。
【0045】
ここで、本発明の「干渉光生成手段」は、少なくとも、光カプラ4、光ファイバ5、6、参照ミラー14を含む干渉計によって構成される。
【0046】
スペクトロメータ30は、コリメータレンズ31、回折格子32、結像レンズ33、CCD(Charge Coupled Device)34を含んで構成される。回折格子32は、透過型回折格子であるが、もちろん反射型回折格子を用いることも可能である。また、CCD34に代えて、任意の光検出素子(検出手段)を使用することも可能である。
【0047】
スペクトロメータ30に入射した干渉光LCは、コリメータレンズ31により平行光束とされた後、回折格子32によって分光(スペクトル分解)される。分光された干渉光LCは、結像レンズ33によってCCD34の撮像面上に結像される。CCD34は、この干渉光LCを受光し、電気的な検出信号に変換してコンピュータ40に出力する。
【0048】
コンピュータ40は、CCD34から入力される検出信号を解析して、被検眼Eの眼底Erの断層画像を形成する。このときの解析手法は、従来のフーリエドメインOCTの手法と同じである。このコンピュータ40による、本発明に特徴的な断層画像形成処理については後述する。
【0049】
また、コンピュータ40は、光画像計測装置1の各部の制御を行う。たとえば、ガルバノミラー22、23の回動動作の制御や、被検眼Eに対する光画像計測装置1のアライメント機構(図示せず)の動作制御や、低コヒーレンス光源2による低コヒーレンス光の出力制御などを行う。
【0050】
観察装置(撮影装置)50は、たとえばスリットランプ(細隙灯顕微鏡)や眼底カメラなどの、眼科分野にて使用される任意の観察装置及び/又は撮影装置である。この観察装置50は、光画像計測装置1と一体的に設けられていてもよいし、別個に設けられていてもよい。検者は、観察装置50を用いて被検眼Eを観察しながら、被検眼Eに対する光画像計測装置1の手動アライメントを行ったり、計測時における眼底Erの状態の確認を行ったり、眼底Erの撮影を行ったりすることができる。
【0051】
[信号光の走査について]
前述のように、信号光LSは、ガルバノミラー22、23によって反射方向が変更される。ガルバノミラー22、23の反射面の向きをそれぞれ変更することにより、信号光LSを眼底Erの様々な位置に照射することができる。すなわち、眼底Erにおいて信号光LSを走査することができる。ガルバノミラー22、23は、本発明の「走査手段」の一例に相当するものである。
【0052】
図1中に破線で示す信号光LSと、点線で示す信号光LS′とは、ガルバノミラー23の向きの変更に対応する、2つの異なる光路を進行する信号光を表している。
【0053】
点線で示す信号光LS′は、上記[装置構成]の説明におけるガルバノミラー23の向きが、図1の紙面下方向(−y方向)に或る角度だけ変更されたときの信号光を表している。向き変更前の信号光LSが、眼底Erの略中心位置に集光されているのと比較して、向き変更後の信号光LS′は、眼底Erの中心位置から上方(+y方向)に離れた位置に集光されている。この場合、眼底Erにて反射された信号光LSが眼底Erの略中心位置における情報(表面及び深部の情報)を含んだ光となるのに対し、信号光LS′の反射光は、眼底中心から+y方向に離れた位置の情報(表面及び深部の情報)を含んだ光となる。
【0054】
したがって、ガルバノミラー23を図1の+y方向に回転させる(つまり、信号光の入射角度を小さくするように反射面の向きを変更させる)ことにより、眼底Erにおける信号光の集光位置を−y方向に移動させることができる。逆に、ガルバノミラー23を−y方向に回転させる(つまり、信号光の入射角度を大きくするように反射面の向きを変更させる)ことにより、眼底Erにおける信号光の集光位置を+y方向に移動させることができる。
【0055】
同様に、ガルバノミラー22を図1の紙面手前側(+x方向)に回転させることにより、眼底Erにおける信号光の集光位置を紙面奥側(−x方向)に移動させることができ、逆に、ガルバノミラー22を−x方向に回転させることにより、眼底Erにおける信号光の集光位置を+x方向に移動させることができる。
【0056】
なお、ガルバノミラー22、23の双方を同時に回転させることにより、信号光の集光位置をx方向とy方向とを合成した方向に移動させることができる。すなわち、2つのガルバノミラー22、23をそれぞれ制御することにより、xy平面上の任意の方向に信号光を走査することが可能である。
【0057】
[制御系の構成]
本実施形態の光画像計測装置1の制御系の構成について説明する。図2、図3に示すブロック図は、それぞれ、光画像計測装置1の制御系の構成の一例を表している。図2は、光画像計測装置1の制御系の機能的構成を表す。また、図3は、コンピュータ40のハードウェア構成を表す。
【0058】
〔コンピュータのハードウェア構成〕
まず、図3を参照して、コンピュータ40のハードウェア構成について説明する。コンピュータ40は、従来のコンピュータと同様のハードウェア構成を備えている。具体的には、CPU100(等のマイクロプロセッサ)、RAM101、ROM102、ハードディスクドライブ(HDD)103、キーボード104、マウス105、ディスプレイ106及び通信インターフェイス(I/F)107を含んで構成されている。これら各部は、バス108を介して接続されている。
【0059】
CPU100は、ハードディスクドライブ103に格納された制御プログラム103aをRAM101上に展開することにより、本発明に特徴的な動作を実行する。なお、この制御プログラム103aは、本発明の「光画像計測プログラム」の一例に相当するものである。
【0060】
CPU100は、装置各部の制御、各種演算処理等を実行する。たとえば、前述した低コヒーレンス光源2、ガルバノミラー22、23の制御に加え、キーボード104やマウス105からの操作信号に対応する装置各部の制御、ディスプレイ106による表示処理の制御、通信インターフェイス107によるデータや制御信号等の送受信処理の制御などを実行する。
【0061】
キーボード104、マウス105及びディスプレイ106は、光画像計測装置1のユーザインターフェイスとして使用される。キーボード104は、文字や数字等をタイピング入力するためのデバイスとして用いられる。マウス105は、ディスプレイ106の表示画面に対する各種入力操作を行うためのデバイスとして用いられる。
【0062】
また、ディスプレイ106は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等の任意の表示デバイスであり、光画像計測装置1により形成された被検眼Eの画像や、各種の操作画面や設定画面などを表示する。なお、ディスプレイ106は、光画像計測装置1の筐体外面上に嵌め込まれるようにして配設されていてもよいし、通常のコンピュータが具備するモニタ装置として配設されていてもよい。
【0063】
なお、光画像計測装置1のユーザインターフェイスは、このような構成に限定されるものではなく、たとえばトラックボール、ジョイスティック、タッチパネル式のLCD、眼科検査用のコントロールパネルなど、各種情報を表示出力する機能と、各種情報を入力する機能とを備えた任意のユーザインターフェイス手段によって構成することが可能である。
【0064】
通信インターフェイス107は、CPU100からの制御信号を、低コヒーレンス光源2やガルバノミラー22などの装置各部に送信する処理や、CCD34からの検出信号を受信する処理などを行う。また、コンピュータ40がLAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワークに接続されている場合には、通信インターフェイス107に、LANカード等のネットワークアダプタやモデム等の通信機器を具備させて、当該ネットワーク経由のデータ通信を行わせるように構成することが可能である。
【0065】
〔機能的構成〕
続いて、図2を参照しつつ、光画像計測装置1の制御系の構成について説明する。
【0066】
光画像計測装置1には、ガルバノミラー22を回転駆動するミラー駆動機構22Aと、ガルバノミラー23を回転駆動するミラー駆動機構23Aとが設けられている。ミラー駆動機構22A、23Aは、それぞれ、従来と同様の構成を備え、ステッピングモータ等の駆動装置と、この駆動装置が発生した動力をガルバノミラー22、23に伝達する動力伝達機構とを具備している。
【0067】
コンピュータ40は、図3に示すハードウェア構成に基づいて、制御部41、画像形成処理部42、位置補正処理部43及びユーザインターフェイス(UI)44を備えた構成になっている。画像形成処理部42及び位置補正処理部43は、各種の画像処理を行う画像処理部45を形成している。この画像処理部45は、本発明の「画像処理手段」の一例に相当するものである。
【0068】
制御部41、画像形成処理部42、位置補正処理部43は、それぞれ、制御プログラム103aを実行するCPU100を含んで構成される。また、制御部41は、RAM101、ROM102、HDD103等の記憶装置を含んで構成されている。ユーザインターフェイス44は、キーボード104、マウス105、ディスプレイ106を含んで構成される。
【0069】
制御部41は、低コヒーレンス光源2、ミラー駆動機構22A、23Aのそれぞれに対して制御信号を送信する。低コヒーレンス光源2は、制御部41からの制御信号に基づいて、低コヒーレンス光L0の出力開始/停止の切り換えや、出力強度の調整などを行う。また、ミラー駆動機構22A(ミラー駆動機構23A)は、制御部41からの制御信号に基づいて、ガルバノミラー22(ガルバノミラー23)を駆動して、当該制御信号が要求する角度だけ回転させる。
【0070】
また、制御部41は、CCD34からの検出信号を受けて、画像形成処理部42や位置補正処理部43に提供する処理を行う。更に、制御部44は、ユーザインターフェイス44からの操作信号に基づく装置各部の動作制御や、ユーザインターフェイス44による画像や画面の表示処理の制御を行う。
【0071】
画像形成処理部42は、制御部41から提供されるCCD34の検出信号に基づいて、被検眼Eの眼底Erの画像(断層画像)を形成する処理を行う。以下、CCD34の検出信号の取得処理及び画像形成処理部42の処理の具体的態様の一例について、それぞれ具体的に説明する。
【0072】
(検出信号の取得処理について)
CCD34からの検出信号は、信号光LSの走査に対応して生成される。制御部41は、ガルバノミラー22、23を制御して、眼底Er上における信号光LSの走査点(眼底Er上における信号光LSの入射目標位置(集光目標位置))を順次移動させる。同時に、低コヒーレンス光源2を制御して、低コヒーレンス光L0の出力/停止を所定のタイミング(走査点の移動に同期されている。)連続的に切り換える。それにより、信号光LSは、眼底Er上の複数の走査点に順次集光され、その深部組織に入射するように走査される。
【0073】
信号光LSの走査態様の一例を図4に示す。図4(A)は、眼底Erを信号光LSの入射側(−z方向)から見たときの信号光LSの走査態様の一例を表す。また、図4(B)は、各走査線上の走査点の配列態様の一例を表す。
【0074】
図4(A)に示すように、信号光LSは、あらかじめ設定された矩形の走査領域R内を走査される。この走査領域R内には、−x方向に複数(m本)の走査線R1〜Rmが設定されている。各走査線Ri(i=1〜m)に沿って信号光LSが走査されるときに、干渉光LCの検出信号が生成される(後述)。
【0075】
ここで、各走査線Riの方向を「主走査方向」と呼び、それに直交する方向を「副走査方向」と呼ぶことにする。したがって、信号光LSの主走査方向への走査はガルバノミラー22によって為され、副走査方向への走査はガルバノミラー23によって為されることになる。
【0076】
各走査線Ri上には、図4(B)に示すように、複数(n個)の走査点Ri1〜Rinがあらかじめ設定されている。
【0077】
制御部41は、まず、ガルバノミラー22、23を制御して、信号光LSの入射目標を第1の走査線R1上の走査開始位置RS(走査点R11)に設定する。低コヒーレンス光源2を制御して低コヒーレンス光L0をフラッシュ発光させて、走査開始位置RSに信号光LSを入射させる。CCD34は、その反射光に基づく干渉光LCを受光して検出信号を制御部41に出力する。
【0078】
次に、制御部41は、ガルバノミラー22を制御して、信号光LSの入射目標を走査点R12に設定するとともに、低コヒーレンス光L0をフラッシュ発光させて走査点R12に信号光LSを入射させる。CCD34は、その反射光に基づく干渉光LCを受光して検出信号を出力する。
【0079】
同様に、信号光LSの入射目標を走査点R13、R14、・・・、R1(n−1)、R1nと順次移動させつつ、各走査点において低コヒーレンス光L0をフラッシュ発光させてCCD34からの検出信号を取得する。
【0080】
第1の走査線R1の最後の走査点R1nにおける計測が終了したら、制御部41は、ガルバノミラー22、23を同時に制御し、信号光LSの入射目標を、線換え走査rに沿って第2の走査線R2の最初の走査点R21まで移動させる。そして、この第2の走査線R2の各走査点R2j(j=1〜n)における計測を同様に行い、各走査点R2jに対応する検出信号をそれぞれ取得する。
【0081】
同様に、第3の走査線R3、・・・・、第m−1の走査線R(m−1)、第mの走査線Rmのそれぞれについて計測を行い、各走査点に対応する検出信号を取得する。それにより、制御部41は、走査領域R内のm×n個の走査点Rij(i=1〜m、j=1〜n)に対応するm×n個の検出信号を取得する。以下、走査点Rijに対応する検出信号をDijと表すことがある。
【0082】
以上のような走査点の移動と低コヒーレンス光L0の出力との連動制御は、たとえば、ミラー駆動機構22A、23Aに対する制御信号の送信タイミングと、低コヒーレンス光源2に対する制御信号(出力要求信号)の送信タイミングとを互いに同期させることによって行う。
【0083】
(画像形成処理について)
画像形成処理部42は、従来と同様に、2段階の演算処理を行うことで各走査線Riに沿った眼底Erの断層画像を形成する。第1段階の演算処理では、画像形成処理部42は、各走査点Rijに対応する検出信号Dijに基づいて、その走査点Rijにおける眼底Erの深度方向(図1に示すz方向)の画像を形成する。また、第2段階の演算処理では、各走査線Riについて、その上のn個の走査点Ri1〜Rinにおける深度方向の画像に基づき、当該走査線Riに沿った眼底Erの断層画像を形成する。
【0084】
すなわち、第1段階は、主走査方向(走査線Riの方向)に沿った信号光LSのn個の入射位置(走査点Rij)のそれぞれについて、その入射位置を経由した信号光LSと参照光LRとから生成される干渉光LCに基づく検出信号Dijに基づき、その入射位置における眼底Erの深度方向(z方向)の画像を形成する演算処理である。また、第2段階は、第1段階で形成された各入射位置の画像に基づいて、主走査方向に沿った断層画像を形成する演算処理である。それにより、副走査方向(y方向)の異なる位置におけるm個の断層画像が得られる。
【0085】
また、画像形成処理部42は、上記演算処理により得られたm個の断層画像に基づいて、眼底Erの表面形態及び内部形態を表す3次元画像の形成処理を行う。この3次元画像形成処理は、たとえば隣接する断層画像間の補間処理を行うなどの従来と同様の手法で行うことができる。
【0086】
なお、画像形成処理部42は、主走査方向(走査線Riの方向;x方向)以外の方向の断層画像を形成することも可能である。特に、本実施形態においては、図5に示す戻し走査線RRに沿った眼底Erの断層画像(図6の補正用断層画像GR)が重要となる。
【0087】
戻し走査線RRは、走査終了位置REから走査開始位置RSへ向かう方向の信号光LSの入射位置(走査点)の走査に対応するものである。また、戻し走査線RRに沿った補正用断層画像GRは、後述の断層画像位置補正処理において、各走査線Riに沿った断層画像Gi(図6参照)の位置を補正するために用いられる。
【0088】
戻し走査線RR上には、図4(B)の走査線Riと同様に、複数(n′個)の走査点RRk(k=1〜n′)があらかじめ設定される。この戻し走査線RR上の走査点RRkの個数(n′)は、主走査方向の各走査線Ri上の走査点の個数(n)と同じであっても異なっていてもよい。なお、戻し走査線RR上の走査点の間隔(=|RR(k+1)−RRk|;k=1〜n′−1)と、各走査線Ri上の走査点の間隔(=|Ri(j+1)−Rij|;j=1〜n−1)とは、互いに等しいか、若しくは同程度に設定されることが望ましい。
【0089】
戻し走査線RRは、図6に示すように、各走査線Riと交差位置Ciにおいて交わる。ここで、走査時における被検眼Eの動きに起因する走査線Riのずれが無いものと仮定すると、戻し走査線RRと走査線R1との交差位置C1は走査開始位置RSであり、戻し走査線RRと走査線Rmとの交差位置Cmは走査終了位置REである。
【0090】
なお、図6に示す画像Gmjは、走査線Rm上の走査点Rmjにおける深度方向(z方向)の画像を表している。同様に、前述の第1段階の演算処理において形成される、各走査線Ri上の各走査点Rijにおける深度方向の画像を、「画像Gij」と表すことがある。また、戻し走査線RR上の各走査点RRkにおける深度方向の画像を、「画像GRk」と表すことがある。
【0091】
(断層画像位置補正処理について)
信号光LSの走査中に被検眼Eが動くと、走査線R1〜Rmは、図4〜図6に示したように矩形の走査領域R内に整列された形態にはならず、図7に示すように互いの位置がずれてしまう。すると、実際の走査領域R′は、あらかじめ設定された走査領域R(図4(A)、図5参照)とは異なったものとなり、得られる画像の確度が劣化してしまう。特に、被検眼Eは、心臓の拍動によってz方向(深度方向)に動いてしまうことが多いため、走査線R1〜Rmの位置のz方向へのずれが問題視されることが多々ある。
【0092】
なお、1つの走査線Riに沿った走査中に被検眼Eが動いた場合には、この走査線Ri上の走査点Rijの間にもずれが生じる。本実施形態では、このような走査点間のずれも「走査線のずれ」と表現することにする。なお、1つの走査線Ri上を走査中に被検眼Eが動いた場合、その走査線Riは図4等のような直線状にはならない。
【0093】
位置補正処理部43は、画像形成処理部42により生成された眼底Erの3次元画像に基づいて、戻し走査線RRに沿った新たな断層画像(比較用断層画像と呼ぶことにする。)を形成する。このような、3次元画像の任意断面の断層画像を形成するための処理は、従来と同様の手法を用いることができる。
【0094】
たとえば、位置補正処理部43は、次のようにして比較用断層画像を形成する:(1)3次元画像の断面方向を設定する;(2)3次元画像の元になった各断層画像(本例では断層画像G1〜Gmのそれぞれ)と、当該断面方向との交差位置を求める;(3)各断層画像の当該交差位置における深度方向の画像を求める;(4)各断層画像の深度方向の画像をつなげて比較用断層画像を形成する。なお、(4)の処理において、必要があれば、隣接する断層画像の深度方向の画像の間を補間する画像処理を行う。
【0095】
図8は、走査を行っている間に走査線R1〜Rmの位置が(少なくとも)z方向にずれた場合において、位置補正処理部43により形成される比較用断層画像の一例を表している。同図に示す比較用断層画像GCは、表面形態が比較的滑らかな眼底を測定して得られた画像であるが、戻し走査線RR方向に配列する深度方向の画像がz方向にずれてしまっている。
【0096】
また、図9は、図8と同じ眼底について得られた補正用断層画像GRの一例を表している。補正用断層画像GRは、走査終了位置REから走査開始位置RSまでの直線的な走査によって一度に取得されたデータ(検出信号群)に基づいて形成されるので、走査に掛かる時間は非常に短時間である。図9に示す補正用断層画像GRにおいても、戻し走査線RR方向に配列する深度方向の画像のz方向へのずれは、ほとんど無い。
【0097】
位置補正処理部43は、このような比較用断層画像GCと補正用断層画像GRとを比較することにより、各断層画像Giの位置を補正する。この位置補正処理は、たとえば、正規化相関による画像の位置合わせ(マッチング)法や、画像の特徴部分の位置を一致させることによる画像マッチング法などの、一般的な画像マッチングの手法を用いて行うことができる。
【0098】
なお、位置補正処理部43による画像マッチングの手法は、これらに限定されるものではなく、平行移動の関係にある2つの画像の位置を合わせることが可能な任意の手法を適用することができる。
【0099】
(正規化相関による手法)
正規化相関の手法を用いる場合、位置補正処理部43は、比較用断層画像GCを形成する深度方向の画像について、その深度方向の画像を1画素単位でずらしながら、補正用断層画像GRの対応位置における深度方向の画像との間の正規化相関の相関値を逐次算出する。
【0100】
更に、この相関値の値が最大になるときの当該深度方向の画像の変位量(ずらした画素数)Δziを求める。この変位量Δziを、当該深度方向の画像の位置(走査点Rijとする。)に対応する走査線Riに沿った断層画像Giの、z方向への補正量として採用する。
【0101】
この処理を、比較用断層画像GCを形成する各深度方向の画像ごとに行う。なお、補間処理を行って比較用断層画像GCを形成した場合には、各走査線Riと戻し走査線RRとの交点位置に対応する深度方向の画像についてのみ、当該処理を実行すれば十分である。
【0102】
図10は、図8の比較用断層画像GC及び図9の補正用断層画像GRに対して、正規化相関による手法を用いたときの、比較用断層画像GCの補正後の形態を表している。この図10の比較用断層画像GCを図8と比較すると、深度方向の画像のz方向へのずれが良好に補正されていることが見て取れる。したがって、補正後の各深度方向の画像の位置(走査点Rij)に対応する走査線Riの断層画像Giのz方向へのずれが好適に補正される。
【0103】
なお、上記では比較用断層画像GCをずらしていったが、補正用断層画像GCをずらすようにしてもよい。ただし、その場合には、断層画像Giの補正量として、変位量Δziの符号を逆にしたもの(つまり、−Δz)を採用することになる。
【0104】
(特徴部分を一致させる手法)
特徴部分を一致させる手法を用いる場合、位置補正処理部43は、比較用断層画像GCを形成する深度方向の画像の特徴部分と、補正用断層画像GRの対応位置における深度方向の画像の(同じ)特徴部分とをそれぞれ抽出する。
【0105】
抽出対象の特徴部分は、その抽出方法等によってあらかじめ設定されている。ここでは、眼底Erの表面に相当する部分を抽出対象の特徴部分として設定する。その抽出方法の一例を説明する。
図8に示す比較用断層画像GCの特徴部分(眼底表面相当部分)を抽出する場合について説明する。なお、この比較用断層画像GCは、ユーザインターフェイス44のディスプレイ106の画面上に表示される。その表示態様は、眼底Erの表面に相当する部分を画面上方に表示し、眼底Erの深層部分に相当する部分を画面下方に表示するようになっている(図8中のz座標の向きを参照)。
【0106】
また、ディスプレイ106の画面の背景領域の画素値は0とされ、比較用断層画像GCは、この背景領域上における輝度の階調画像(たとえば256階調の輝度(画素値)からなる画像)として表示される。
【0107】
位置補正処理部43は、この比較用断層画像GCの表示画面における画素の各縦ラインについて、画面上方から下方に向かって各画素の画素値を参照していく。背景領域の画素値は0であるので、画面上方からしばらくは「画素値0」が続くことになる。更に下方に向かって画素値を参照して、画素値が0から正値に切り替わる画素を見つける。
【0108】
この画素値が初めて正値になった画素の座標値を、当該縦ラインにおける眼底表面相当部分の座標値として、制御部41の記憶装置(RAM101、ハードディスクドライブ103等)に保存する。なお、保存する画素の座標値の座標系は、前述のxyz座標系を用いてもよいし、画面上に設定された2次元座標系を用いてもよい。
【0109】
なお、縦ラインの最下部の画素まで全てが画素値0だった場合、その縦ラインについては画像が無いものと判断する。
【0110】
位置補正処理部43は、同様の処理を比較用断層画像GCの表示画面における画素の各縦ラインについて行う。それにより、比較用断層画像GCにおける眼底表面相当部分を抽出することができる。
【0111】
また、位置補正処理部43は、同様の処理を補正用断層画像GRに施して、補正用断層画像GRにおける眼底表面相当部分を抽出する。
【0112】
更に、位置補正処理部43は、表示画面の画素の各縦ラインについて、比較用断層画像GCの眼底表面相当部分の画素を1画素単位でずらしながら、補正用断層画像GRの眼底表面相当部分の画素との間の相関値(任意の相関値を適宜使用できる。)を逐次算出する。
【0113】
そして、この相関値の値が最大になるときの画素の変位量(ずらした画素数)を求める。この変位量を、当該縦ラインに対応する走査線Riに沿った断層画像Giの、z方向への補正量として採用する。
【0114】
図11は、図8の比較用断層画像GC及び図9の補正用断層画像GRに対して、眼底表面相当部分を一致させる手法を用いたときの、比較用断層画像GCの補正後の形態を表している。この図11の比較用断層画像GCを図8と比較すると、眼底表面相当部分の形状が平坦になり、深度方向の画像のz方向へのずれが良好に補正されていることが見て取れる。したがって、補正後の各深度方向の画像の位置(走査点Rij)に対応する走査線Riの断層画像Giのz方向へのずれが好適に補正される。
【0115】
また、上記では比較用断層画像GCをずらしていったが、補正用断層画像GCをずらすようにしてもよい。ただし、その場合には、断層画像Giの補正量として、上記変位量の符号を逆にしたものを採用することになる。
【0116】
また、眼底表面相当部分以外の特徴部分を用いることも可能である。たとえば、比較用断層画像GC及び補正用断層画像GRに病変部(と見られる部位)がある場合に、その病変部を特徴部分として用いることができる。それにより、病変部及びその周辺の画像の位置合わせの精度が向上し、この病変部の所見、診断の正確性向上を期待できる。
【0117】
[動作]
以上のような構成を具備する本実施形態の光画像計測装置1の動作について説明する。図12に示すフローチャートは、光画像計測装置1の動作の一例を表すものである。
【0118】
ユーザがコンピュータ40のユーザインターフェイス44を操作して計測開始を指示すると(S1)、制御部41は、ミラー駆動機構22A、23Aをそれぞれ制御して、信号光LSの入射位置が走査開始位置RSになるように、ガルバノミラー22、23の向きをそれぞれ調整する(S2)。
【0119】
次に、制御部41は、低コヒーレンス光源2を制御して、低コヒーレンス光L0を出力させる(S3)とともに、ミラー駆動機構22A、23Aを制御して、図4に示したように眼底Erに設定された複数の走査線Ri上の各走査点Rijを信号光LSで走査する(S4)。スペクトロメータ30のCCD34は、各走査点Rijにて反射された信号光LSと参照光LRとからなる干渉光LCを受光して検出信号Dijを出力する(S5)。
【0120】
走査終了位置REまで走査が完了したら、制御部41は、ミラー駆動機構22A、23Aを制御し、信号光LSを戻し走査線RRに沿って走査する(S6)。CCD34は、戻し走査線RR上の各走査点RRkに対応する干渉光LCを受光して、検出信号Dkを出力する(S7)。
【0121】
コンピュータ40の画像形成処理部42は、ステップS5で出力された各走査点Rijに対応する検出信号Dijに基づいて、走査点Rijにおける眼底Erの深度方向の画像Gijを形成し(S8)、各走査線Ri上の走査点Ri1〜Rinにおける画像Gi1〜Ginに基づいて、各走査線Riに沿った眼底Erの断層画像Giを形成し(S9)、形成された断層画像G1〜Gmに基づいて眼底Erの3次元画像を形成する(S10)。
【0122】
また、画像形成処理部42は、ステップS7で出力された戻し走査線RR上の各走査点RRkに対応する検出信号Dkに基づいて、走査点RRkにおける眼底Erの深度方向の画像GRkを形成し(S11)、形成された画像GR1〜GRn′に基づいて、戻し走査線RRに沿った眼底Erの断層画像(補正用断層画像GR)を形成する(S12)。
【0123】
続いて、位置補正処理部43は、ステップS10で形成された眼底Erの3次元画像に基づいて、戻し走査線RRに沿った比較用断層画像GCを形成し(S13)、この比較用断層画像GCと、ステップS12で形成された補正用断層画像GRとに基づいて、断層画像G1〜Gmのそれぞれの位置を補正する(S14)。
【0124】
画像形成処理部42は、位置が補正された断層画像G1〜Gmに基づいて、眼底Erの3次元画像を形成する(S15)。
【0125】
[作用・効果]
以上のような本実施形態に係る光画像計測装置1によれば、次のような作用、効果が奏される。
【0126】
光画像計測装置1は、低コヒーレンス光源2から出力された低コヒーレンス光L0を被検眼Eに向かう信号光LSと参照ミラー14に向かう参照光LRとに分割し、被検眼Eの眼底Erにて反射された信号光LSと参照ミラーLRにて反射された参照光LRとを重畳させて干渉光LCを生成し、この干渉光LCを受光したCCD34が検出信号を出力するものである。
【0127】
また、この光画像計測装置1は、被検眼Eに対する信号光LSの入射位置を主走査方向(x方向)及び副走査方向(y方向)に走査するガルバノミラー22、23を備えている。更に、主走査方向に沿った複数の入射位置(n個の走査点Ri1〜Rin;i=1〜m)のそれぞれについて、その入射位置にて反射された信号光LSと参照光LRとから生成される干渉光LCに基づく検出信号に基づいて当該入射位置における被検眼Eの眼底Erの深度方向(z方向)の画像を形成し、この各入射位置の画像に基づいて主走査方向に沿った断層画像を形成することにより、副走査方向の異なる位置における2以上の断層画像(m個の断層画像Gi;i=1〜m)を形成するコンピュータ40(画像形成処理部42)を備えている。ここまでは、従来の光画像計測装置1と同様の構成となっている。
【0128】
本実施形態の特徴は、ガルバノミラー22、23が、主走査方向と交差する所定の方向(戻し走査線RRの方向)に信号光LSを走査し、コンピュータ40の画像形成処理部42が、この所定の方向に沿った補正用断層画像GRを形成し、位置補正処理部43が、この補正用断層画像GRに基づいて、画像形成処理部42が形成した2以上の断層画像(m個の断層画像Gi;i=1〜m)のそれぞれの位置ずれを補正するように構成されている点である。
【0129】
ここで、補正用断層画像GRは、m個の断層画像Giの全てと交差するように、その方向があらかじめ設定されている。なお、断層画像Giを形成するための走査時と、補正用断層画像GRを形成するための走査時とで被検眼Eの位置が違う(つまり被検眼Eが動いてしまった)場合でも、補正用断層画像GRは、断層画像Giの近傍領域と交差する。したがって、この補正用断層画像GRは、各断層画像Giの位置(特に深度方向の位置)を反映したものとなる。本発明の「所定の方向」は、m個の断層画像Giの全てと交差するような方向とすることが望ましい。
【0130】
以上のような特徴を具備する本実施形態に係る光画像計測装置1によれば、光ビーム(信号光LS)の走査中に被測定物体が動いてしまった場合であっても、それに起因する各断層画像Giの位置ずれを、戻し走査線RRに沿った補正用断層画像GRを用いて補正することができるので、確度の高い画像を形成することが可能である。
【0131】
本実施形態の更なる特徴として、ガルバノミラー22は、断層画像Giを形成するときには、主走査方向の一定の向きに信号光LSの入射位置を走査し、補正用断層画像GRを形成するときには、この走査の終了位置REから開始位置RSに向かう戻し走査線RRに沿って信号光LSの入射位置を走査するように制御される点がある。
【0132】
それにより、断層画像Giを形成するための走査の終了後、迅速に補正用断層画像GRを形成するための走査に移行することができる。なお、補正用断層画像GRを形成するための走査は、1走査線のみの走査であるので、極めて短時間で行うことができる。したがって、光画像計測装置1による走査時間は従来とほぼ同じであり、被検者に掛かる負担が増大することもない。
【0133】
なお、断層画像Giを形成するための走査の前に、補正用断層画像GRを形成するための走査を実施することもできるが、その場合にも、補正用断層画像GRを形成するための走査の終了後迅速に、断層画像Giを形成するための走査に移行することができる。
【0134】
また、本実施形態に係る光画像計測装置1は、m個の断層画像Giのそれぞれの深度方向(z方向)の位置ずれを補正するようになっている。深度方向の位置ずれは、心臓の拍動による血流の変化に起因する場合や、被検者が頭を前後に動かしてしまった場合などがあるが、本実施形態では、このような位置ずれを好適に補正することができる。
【0135】
また、本実施形態に係る光画像計測装置1は、各断層画像Giについて、補正用断層画像GRとの交差位置Ciにおける深度方向の画像の位置を、この交差位置Ciにおける補正用断層画像GRの深度方向の画像の位置に合わせることによって、当該断層画像Giの深度方向の位置ずれを補正するようになっている。また、補正用断層画像GRは、前述のように、各断層画像Giの深度方向の位置を反映している。それにより、本実施形態によれば、この補正用断層画像GRに基づいて、各断層画像Giの深度方向の位置を良好に補正することができる。
【0136】
また、本実施形態に係る光画像計測装置1による各断層画像Giの深度方向の位置ずれの補正は、交差位置Ciにおける断層画像Giの深度方向の画像と補正用断層画像GRの深度方向の画像との正規化相関の相関値が最大となるように、断層画像Giを深度方向に移動させて行うようになっている。したがって、各断層画像Giの位置ずれを高い確度で行うことができる。
【0137】
また、各断層画像Giの深度方向の位置ずれ補正の他の例として、交差位置Ciにおける断層画像Giの深度方向の画像の特徴部分と補正用断層画像GRの深度方向の画像の特徴部分とを一致させるように、断層画像Giを深度方向に移動させることもできる。この特徴部分は、各画像Gi、GRのたとえば眼底Erの表面に相当する部分とされる。このような補正処理によっても、各断層画像Giの位置ずれを高い確度で行うことが可能である。
【0138】
また、本実施形態に係る光画像計測装置1は、m個の断層画像Giに基づいて眼底Erの3次元画像を形成し、この3次元画像に基づいて所定の方向(戻し走査線RRの方向)に沿った比較用断層画像GCを形成し、補正用断層画像GRに対する比較用断層画像GCの変位に基づいて、各断層画像Giの位置ずれを補正するように構成されている。このような比較用断層画像GCを用いることにより、各断層画像Giの位置ずれ(変位)を高い確度で取得することができる。
【0139】
[変形例]
以上に説明した構成は、本発明を好適に実施するための一具体例に過ぎない。したがって、たとえば以下に示すような、本発明の要旨の範囲内における任意の変形を適宜施すことが可能である。
【0140】
補正用断層画像は、上記実施形態の補正用断層画像GRに限定されるものではない。本発明に係る補正用断層画像は、位置ずれの補正対象となる断層画像の全てと交差するものであれば十分である。
【0141】
また、補正用断層画像は、上記実施形態のように単一平面からなるものだけでなく、ガルバノミラー22、23の適当な制御により、複数の平面若しくは曲面からなるものであってもよい。
【0142】
断層画像の位置ずれ補正の手法は、上記実施形態で説明した正規化相関の手法や特徴部分を一致させる手法には限定されず、断層画像の少なくとも平行移動を補正することが可能な手法であれば任意の手法を適用することが可能である。
【0143】
また、上記実施形態のように、2以上の断層画像から3次元画像を形成し、その3次元画像の断面である比較用断層画像を形成するとともに、補正用断層画像に対する比較用断層画像の変位に基づいて断層画像の位置ずれを補正する手法以外の手法を用いることができる。たとえば、2以上の断層画像のそれぞれについて、断層画像及び補正用断層画像の双方の走査点をそれらの交差位置に設定し、その走査点における両者の深度方向の画像を比較することにより、当該断層画像の位置ずれを補正することができる。
【0144】
また、断層画像の位置ずれ補正は、深度方向(z方向)だけでなく、x方向やy方向にも実施することができる。以下、そのための補正手法の一例を説明する。
【0145】
各断層画像と補正用断層画像との交差位置について、適当なサイズの近傍領域をあらかじめ設定しておく。この近傍領域は、たとえば当該交差位置を中心とする所定の半径の円に設定することができる。
【0146】
2以上の断層画像から形成された3次元画像から、この近傍領域を表面とする深さ方向の3次元画像(上記例では円柱状の画像になる。)を抽出する。次に、当該交差位置における補正用断層画像の深さ方向の画像に対する一致の度合いが最も高いものを、当該近傍領域内の各点における深さ方向の画像から選択する。この一致の度合いの判断は、たとえば前述の正規化相関等の従来の手法を用いることができる。
【0147】
選択された深さ方向の画像のx座標、y座標を取得し、当該交差位置のx座標、y座標からの変位をそれぞれ算出する。この変位は、当該断層画像のx方向、y方向への変位を表すので、これらを用いて当該断層画像の位置ずれを補正する。
【0148】
上記実施形態においては、被測定物体として人眼の眼底を適用したが、本発明は、生体の任意の部位(光画像計測装置により計測可能な部位に限る。)に適用することが可能である。
【0149】
また、上記実施形態においては、被測定物体による反射光を用いてその被測定物体の表面形態や内部形態を計測する構成の光画像計測装置について説明したが、被測定物体を透過した光を用いてその表面形態や内部形態を計測する構成の光画像計測装置に対しても、本発明を適用することが可能である。
【0150】
〈第2の実施形態〉
次に、本発明に係る眼底観察装置及び眼底観察プログラムの好適な実施形態の一例を説明する。
【0151】
最初に、本実施形態の眼底観察装置の構成について図13〜図17を参照して説明する。図13は、本実施形態に係る眼底観察装置1000の全体構成を表している。図14は、眼底カメラユニット1000A内の走査ユニット1141の構成を表している。図15は、OCTユニット1150の構成を表している。図16は、コンピュータ1200のハードウェア構成を表している。図17は、眼底観察装置1000の制御系の構成を表している。
【0152】
[全体構成]
図13に示すように、眼底観察装置1000は、眼底カメラとして機能する眼底カメラユニット1000Aと、光画像計測装置(OCT装置)の光学系を格納したOCTユニット1150と、各種制御処理などを実行するコンピュータ1200を含んで構成されている。
【0153】
この眼底カメラユニット1000Aは、本発明の「第1の画像形成手段」の一例に相当する。また、OCTユニット1150及びコンピュータ1200(の画像処理部1220)は、本発明の「第2の画像形成手段」の一例に相当する。なお、この「第2の画像形成手段」には、眼底カメラユニット1000Aに設けられた走査ユニット1141も含まれる。
【0154】
OCTユニット1150には、接続線1152の一端が取り付けられている。この接続線1152の他端には、コネクタ部1151が取り付けられている。このコネクタ部1151は、眼底カメラユニット1000Aの筐体に形成された装着部1008cに装着される。また、接続線1152の内部には光ファイバが導通されている。OCTユニット1150と眼底カメラユニット1000Aとは、接続線1152を介して光学的に接続されている。OCTユニット1150の詳細構成については、図15を参照しつつ後述することにする。
【0155】
〔眼底カメラユニットの構成〕
眼底カメラユニット1000Aは、従来の眼底カメラとほぼ同様の外観構成を有している。また、この眼底カメラユニット1000Aは、従来の眼底カメラの光学系と同様に、被検眼Eの眼底Efを照明する照明光学系1100と、この照明光の眼底反射光を接眼レンズ部(図示せず)や撮像装置1010やOCTユニット1150に導く撮影光学系1120とを備えている。
【0156】
照明光学系1100は、従来と同様に、ハロゲンランプ1101、コンデンサレンズ1102、キセノンランプ1103、コンデンサレンズ1104、エキサイタフィルタ1105及び1106、リング透光板1107、ミラー1108、液晶表示器1109、照明絞り1110、リレーレンズ1111、孔開きミラー1112、対物レンズ1113を含んで構成される。
【0157】
また、撮影光学系1120についても、従来と同様に、対物レンズ1113、孔開きミラー1112(の孔部1112a)、撮影絞り1121、バリアフィルタ1122及び1123、変倍レンズ1124、リレーレンズ1125、撮影レンズ1126、クイックリターンミラー1127、フィールドレンズ(視野レンズ)1128、切換ミラー1129、接眼レンズ1130、リレーレンズ1131、反射ミラー1132、撮影レンズ1133及び撮像素子1010aを含んで構成される。
【0158】
撮像素子1010aは、テレビカメラ等の撮像装置1010に内蔵されたCCD等の撮像素子である。撮像装置1010によって撮影された眼底Efの表面の2次元画像(眼底画像Ef′)は、タッチパネルモニタ1011や、コンピュータ1200のディスプレイ(後述)などの表示装置に表示される。
【0159】
また、本実施形態の撮影光学系1120には、走査ユニット1141と、レンズ1142とが設けられている。走査ユニット1141は、OCTユニット1150から出力される光(信号光LS;後述する。)を眼底Ef上において走査する構成を具備している。
【0160】
レンズ1142は、OCTユニット1150からの信号光LSを平行な光束にして走査ユニット1141に入射させる。また、レンズ1142は、走査ユニット1141を経由してきた信号光LSの眼底反射光を集束させるように作用する。
【0161】
図14に、走査ユニット1141の具体的構成の一例を示す。走査ユニット1141は、ガルバノミラー1141A、1141Bと、反射ミラー1141C、1141Dとを含んで構成されている。
【0162】
ガルバノミラー1141A、1141Bは、それぞれ回動軸1141a、1141bを中心に回動可能とされている。回動軸1141a、1141bは、互いに直交するように配設されている。図14においては、ガルバノミラー1141Aの回動軸1141aは、同図の紙面に平行に配設されており、ガルバノミラー1141Bの回動軸1141bは、同図の紙面に対して垂直に配設されている。すなわち、ガルバノミラー1141Bは、図14中の両側矢印に示す方向に回動可能とされ、ガルバノミラー1141Aは、当該両側矢印に対して直交する方向に回動可能とされている。それにより、この一対のガルバノミラー1141A、1141Bは、信号光LSの反射方向を互いに直交する方向に変更するようにそれぞれ作用する。なお、ガルバノミラー1141A、1141Bのそれぞれの回動動作は、後述の駆動機構によって駆動される。
【0163】
ガルバノミラー1141A、1141Bにより反射された信号光LSは、反射ミラー1141C、1141Dにより反射され、ガルバノミラー1141Aに入射したときと同一の向きに進行するようになっている。
【0164】
なお、前述のように、接続線1152の内部には光ファイバ1152aが導通されており、この光ファイバ1152aの端面1152bは、レンズ1142に対峙して配設される。この端面1152bから出射した信号光LSは、レンズ1142に向かってビーム径を拡大しつつ進行するが、このレンズ1142によって平行な光束とされる。逆に、信号光LSの眼底反射光は、このレンズ1142により、端面1152bに向けて集束される。
【0165】
〔OCTユニットの構成〕
次に、図15を参照しつつOCTユニット1150の構成について説明する。同図に示すOCTユニット1150は、従来の光画像計測装置とほぼ同様の光学系を有するものであり、光源から出力された光を参照光と信号光とに分割し、参照物体を経由した参照光と被測定物体(眼底Ef)を経由した信号光とを重畳して干渉光を生成する干渉計を具備するとともに、この干渉光の検出結果を解析して被測定物体の画像を形成するように構成されている。
【0166】
低コヒーレンス光源1160は、低コヒーレンス光L0を出力するスーパールミネセントダイオード(SLD)や発光ダイオード(LED)等の広帯域光源により構成されている。この低コヒーレンス光L0は、たとえば、近赤外領域の波長を有し、かつ、数十マイクロメートル程度の時間的コヒーレンス長を有する光とされる。
【0167】
低コヒーレンス光源1160から出力された低コヒーレンス光L0は、たとえばシングルモードファイバからなる光ファイバ1161を通じて光カプラ(coupler)1162に導かれ、参照光LRと信号光LSとに分割される。
【0168】
なお、光カプラ1162は、光を分割する手段(スプリッタ;splitter)、及び、光を重畳する手段(カプラ)の双方の作用を有するが、ここでは慣用的に「光カプラ」と称することにする。
【0169】
参照光LRは、光ファイバ1163により導光されてファイバ端面から出射される。出射された参照光LRは、コリメータレンズ1171により平行光束とされた後、ガラスブロック1172及び濃度フィルタ1173を経由し、参照ミラー1174(参照物体)によって反射される。
【0170】
参照ミラー1174により反射された参照光LRは、再び濃度フィルタ1173及びガラスブロック1172を経由し、コリメータレンズ1171によって光ファイバ1163のファイバ端面に集光される。集光された参照光LRは、光ファイバ1163を通じて光カプラ1162に導かれる。
【0171】
なお、ガラスブロック1172と濃度フィルタ1173は、参照光LRと信号光LSの光路長(光学距離)を合わせるための遅延手段として、また参照光LRと信号光LSの分散特性を合わせるための手段として作用している。
【0172】
一方、信号光LSは、光ファイバ1164により接続線1152の端部まで導光される。接続線1152の内部には光ファイバ1152aが導通されている。ここで、光ファイバ1164と光ファイバ1152aとは、単一の光ファイバにより構成されていてもよいし、また、各々の端面同士を接合して一体形成されたものであってもよい。いずれにしても、光ファイバ1164、1152aは、眼底カメラユニット1000AとOCTユニット1150との間で、信号光LSを伝送可能に構成されていれば十分である。
【0173】
信号光LSは、接続線1152内部を導光されて眼底カメラユニット1000Aに案内される。そして、信号光LSは、レンズ1142、走査ユニット1141、撮影レンズ1126、リレーレンズ1125、変倍レンズ1124、撮影絞り1121、孔開きミラー1112の孔部1112a、対物レンズ1113を経由して、被検眼Eに入射する(このとき、後述のように、バリアフィルタ1122、1123及びクイックリターンミラー1127は、それぞれ光路から退避されている。)。
【0174】
被検眼Eに入射した信号光LSは、眼底(網膜)Ef上にて結像し反射される。このとき信号光LSは、眼底Efの表面で反射されるだけでなく、眼底Efの深部領域にも到達して屈折率境界にて散乱される。それにより、信号光LSの眼底反射光は、眼底Efの表面形態を反映する情報と、深部組織の屈折率境界における後方散乱の状態を反映する情報とを含んだ光となる。この光を単に「(信号光LSの)眼底反射光」と呼ぶことにする。
【0175】
信号光LSの眼底反射光は、上記経路を逆向きに進行して光ファイバ1152aの端面1152bに集光され、この光ファイバ1152を通じてOCTユニット1150に入射し、光ファイバ1164を通じて光カプラ1162に戻ってくる。光カプラ1162は、この信号光LSと、参照ミラー1174にて反射された参照光LRとを重畳して干渉光LCを生成する。生成された干渉光LCは、光ファイバ1165を通じてスペクトロメータ1180に導光される。
【0176】
ここで、本発明の「干渉光生成手段」は、少なくとも、光カプラ1162、光ファイバ1163、1164、参照ミラー1174を含む干渉計によって構成される。なお、本実施形態ではマイケルソン型の干渉計を採用したが、たとえばマッハツェンダー型など任意のタイプの干渉計を適宜採用することが可能である。
【0177】
スペクトロメータ(分光計)1180は、コリメータレンズ1181、回折格子1182、結像レンズ1183、CCD(Charge Coupled Device)1184を含んで構成される。本実施形態の回折格子1182は、透過型回折格子であるが、もちろん反射型回折格子を用いることも可能である。また、CCD1184に代えて、その他の光検出素子(検出手段)を適用することも当然に可能である。
【0178】
スペクトロメータ1180に入射した干渉光LCは、コリメータレンズ1181により平行光束とされた後、回折格子1182によって分光(スペクトル分解)される。分光された干渉光LCは、結像レンズ1183によってCCD1184の撮像面上に結像される。CCD1184は、この干渉光LCを受光して電気的な検出信号に変換し、この検出信号をコンピュータ1200に出力する。
【0179】
〔コンピュータの構成〕
次に、コンピュータ1200の構成について、図16を参照しつつ説明する。このコンピュータ1200は、CCD1184から入力される検出信号を解析して、被検眼Eの眼底Efの断層画像を形成する処理を行う。このときの解析手法は、従来のフーリエドメインOCTの手法と同じである。また、コンピュータ1200は、眼底カメラユニット1000Aの各部の制御、及び、OCTユニット1150の各部の制御を実行する。
【0180】
眼底カメラユニット1000Aの制御としては、たとえば、ハロゲンランプ1101やキセノンランプ1103による照明光の出力制御、エキサイタフィルタ1105、1106やバリアフィルタ1122、1123の光路上への挿入/退避動作の制御、液晶表示器1109の表示動作の制御、照明絞り1110の移動制御(絞り値の制御)、撮影絞り1121の絞り値の制御、変倍レンズ1124の移動制御(倍率の制御)、クイックリターンミラー1127や切換ミラー1129の光路上への挿入/退避動作(光路切換)の制御などを行う。また、コンピュータ1200は、走査ユニット1141内のガルバノミラー1141A、1141Bの回動動作の制御を行う。
【0181】
一方、OCTユニット1150の制御としては、低コヒーレンス光源1160による低コヒーレンス光の出力制御、CCD1184の蓄積時間の制御などを行う。
【0182】
上記のように作用するコンピュータ1200のハードウェア構成について図16を参照して説明する。コンピュータ1200は、従来のコンピュータと同様のハードウェア構成を備えている。具体的には、CPU1201(等のマイクロプロセッサ)、RAM1202、ROM1203、ハードディスクドライブ(HDD)1204、キーボード1205、マウス1206、ディスプレイ1207及び通信インターフェイス(I/F)1208を含んで構成されている。これら各部は、バス1209を介して接続されている。
【0183】
CPU1201は、ハードディスクドライブ1204に格納された制御プログラム1204aをRAM1202上に展開することにより、本発明に特徴的な動作を実行する。この制御プログラム1204aは、本発明の「眼底観察プログラム」の一例に相当する。
【0184】
また、CPU1201は、前述した装置各部の制御や、各種の演算処理などを実行する。また、キーボード1205やマウス1206からの操作信号に対応する装置各部の制御、ディスプレイ1207による表示処理の制御、通信インターフェイス1208による各種のデータや制御信号等の送受信処理の制御などを実行する。
【0185】
キーボード1205、マウス1206及びディスプレイ1207は、眼底観察装置1000のユーザインターフェイスとして使用される。キーボード1205は、文字や数字等をタイピング入力するためのデバイスとして用いられる。マウス1206は、ディスプレイ1207の表示画面に対する各種入力操作を行うためのデバイスとして用いられる。
【0186】
また、ディスプレイ1207は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等の任意の表示デバイスであり、眼底観察装置1000により形成された眼底Efの画像を表示したり、各種の操作画面や設定画面などを表示したりする。
【0187】
なお、眼底観察装置1000のユーザインターフェイスは、このような構成に限定されるものではなく、たとえばトラックボール、ジョイスティック、タッチパネル式のLCD、眼科検査用のコントロールパネルなど、各種情報を表示出力する機能と、各種情報を入力する機能とを具備する任意のユーザインターフェイス手段を用いて構成することが可能である。
【0188】
通信インターフェイス1208は、CPU1201からの制御信号を、眼底カメラユニット1000AやOCTユニット1150の各部に送信する処理や、CCD1184から出力された検出信号を受信する処理などを行う。
【0189】
また、コンピュータ1200がLAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワークに接続されている場合には、通信インターフェイス1208に、LANカード等のネットワークアダプタやモデム等の通信機器を具備させて、当該ネットワーク経由のデータ通信を行うことができるように構成することが可能である。その場合、制御プログラム1204aを格納するサーバを設置するとともに、コンピュータ1200を当該サーバのクライアント端末として構成することができる。
【0190】
[制御系の構成]
以上のような構成を有する眼底観察装置1000の制御系の構成について、図17を参照しつつ説明する。図17は、眼底観察装置1000が具備する構成のうち、本発明に係る動作や処理に関わる部分を特に選択して示したものである。
【0191】
眼底観察装置1000の制御系は、コンピュータ1200の制御部1210を中心に構成される。制御部1210は、本発明の「制御手段」の一例に相当するものであり、CPU1201、RAM1202、ROM1203、ハードディスクドライブ1204(制御プログラム1204a)、通信インターフェイス1208を含んで構成される。
【0192】
制御部1210は、制御プログラム1204に基づいて動作するCPU1201により、前述の制御処理を実行する。特に、眼底カメラユニット1000Aのミラー駆動機構1241、1242、1243、1244をそれぞれ制御することにより、ガルバノミラー1141A、1141B、クイックリターンミラー1127、切換ミラー1129を、それぞれ独立に動作させることができる。
【0193】
また、制御部1210は、眼底観察装置1000により撮影される2種類の画像、すなわち眼底カメラユニット1000Aによる眼底Efの表面の2次元画像(眼底画像Ef′)と、OCTユニット1150により得られた検出信号を基に形成される眼底Efの画像とを、ユーザインターフェイス1230のディスプレイ1207に並べて表示させるための制御を実行する。
【0194】
ユーザインターフェイス(UI)1230は、キーボード1205やマウス1206等の操作デバイスと、ディスプレイ1207等の表示デバイスとを具備している。このユーザインターフェイス1230は、本発明の「操作手段」及び「表示手段」の一例を構成するものである。画像処理部1220は、CPU1201、RAM1202、ROM1203、ハードディスクドライブ1204等を含んで構成される。
【0195】
以下、制御部1210による信号光LSの走査の制御態様について、そして画像処理部1220による画像形成処理の態様について、そして同じく画像処理部1220による画像の位置補正処理の態様について、それぞれ説明する。
【0196】
〔信号光の走査について〕
信号光LSの走査は、前述のように、眼底カメラユニット1000Aの走査ユニット1141のガルバノミラー1141A、1141Bの反射面の向きを変更することにより行われる。制御部1210は、ミラー駆動機構1241、1242をそれぞれ制御することで、ガルバノミラー1141A、1141Bの反射面の向きをそれぞれ変更し、信号光LSを眼底Ef上において走査する。
【0197】
ガルバノミラー1141Aの反射面の向きが変更されると、信号光LSは、眼底Ef上において水平方向(図13のx方向)に走査される。一方、ガルバノミラー1141Aの反射面の向きが変更されると、信号光LSは、眼底Ef上において垂直方向(図13のy方向)に走査される。また、ガルバノミラー1141A、1141Bの双方の反射面の向きを同時に変更させることにより、x方向とy方向とを合成した方向に信号光LSを走査することができる。すなわち、これら2つのガルバノミラー1141A、1141Bを制御することにより、xy平面上の任意の方向に信号光LSを走査できる。
【0198】
本実施形態における信号光LSの走査態様は、たとえば第1の実施形態と同様に行われる。すなわち、図4(A)に示すように、信号光LSは、あらかじめ設定された矩形の走査領域R内を走査される。この走査領域R内には、x方向に複数(m本)の走査線R1〜Rmが設定されている。各走査線Ri(i=1〜m)に沿って信号光LSが走査されるときに、干渉光LCの検出信号が生成されるようになっている。
【0199】
ここで、各走査線Riの方向を「主走査方向」と呼び、それに直交する方向を「副走査方向」と呼ぶことにする。したがって、信号光LSの主走査方向への走査は、ガルバノミラー1141Aの反射面の向きを変更することにより為され、副走査方向への走査は、ガルバノミラー1141Bの反射面の向きを変更することによって為される。
【0200】
各走査線Ri上には、図4(B)に示すように、複数(n個)の走査点Ri1〜Rinがあらかじめ設定されている。
【0201】
図4に示す走査を実行するために、制御部1210は、まず、ガルバノミラー1141A、1141Bを制御し、眼底Efに対する信号光LSの入射目標を第1の走査線R1上の走査開始位置RS(走査点R11)に設定する。続いて、制御部1210は、低コヒーレンス光源1160を制御し、低コヒーレンス光L0をフラッシュ発光させて、走査開始位置RSに信号光LSを入射させる。CCD1184は、この信号光LSの走査開始位置RSにおける眼底反射光に基づく干渉光LCを受光し、検出信号を制御部1210に出力する。
【0202】
次に、制御部1210は、ガルバノミラー1141Aを制御して、信号光LSを主走査方向に走査して、その入射目標を走査点R12に設定し、低コヒーレンス光L0をフラッシュ発光させて走査点R12に信号光LSを入射させる。CCD1184は、この信号光LSの走査点R12における眼底反射光に基づく干渉光LCを受光し、検出信号を制御部1210に出力する。
【0203】
制御部1210は、同様にして、信号光LSの入射目標を走査点R13、R14、・・・、R1(n−1)、R1nと順次移動させつつ、各走査点において低コヒーレンス光L0をフラッシュ発光させることにより、各走査点ごとの干渉光LCに対応してCCD1184から出力される検出信号を取得する。
【0204】
第1の走査線R1の最後の走査点R1nにおける計測が終了したら、制御部1210は、ガルバノミラー1141A、1141Bを同時に制御して、信号光LSの入射目標を、線換え走査rに沿って第2の走査線R2の最初の走査点R21まで移動させる。そして、この第2の走査線R2の各走査点R2j(j=1〜n)について前述の計測を行うことで、各走査点R2jに対応する検出信号をそれぞれ取得する。
【0205】
同様に、第3の走査線R3、・・・・、第m−1の走査線R(m−1)、第mの走査線Rmのそれぞれについて計測を行い、各走査点に対応する検出信号を取得する。なお、走査線Rm上の符号REは、走査点Rmnに対応する走査終了位置である。
【0206】
それにより、制御部1210は、走査領域R内のm×n個の走査点Rij(i=1〜m、j=1〜n)に対応するm×n個の検出信号を取得する。以下、走査点Rijに対応する検出信号をDijと表すことがある。
【0207】
以上のような走査点の移動と低コヒーレンス光L0の出力との連動制御は、たとえば、ミラー駆動機構1241、1242に対する制御信号の送信タイミングと、低コヒーレンス光源1160に対する制御信号(出力要求信号)の送信タイミングとを互いに同期させることによって実現することができる。
【0208】
制御部1210は、上述のように各ガルバノミラー1141A、1141Bを動作させるときに、各走査線Riの位置や各走査点Rijの位置(xy座標系における座標)を、図18に示す画像処理部1220の位置情報記憶部1225に記憶させる。この記憶内容(位置情報)は、従来と同様に画像形成処理において用いられる。
【0209】
〔画像形成処理について〕
画像処理部1220による画像形成処理について、その一例を説明する。この画像処理部1220は、制御プログラム1204aに基づいて動作するCPU1201、RAM1202、ハードディスクドライブ1204を含んで構成される。なお、以下に説明する処理は、図18のブロック図に示す画像処理部1220の光画像形成処理部1222によって実行される。
【0210】
画像処理部1220は、各走査線Ri(主走査方向)に沿った眼底Efの断層画像の形成処理と、これら断層画像に基づく眼底Efの3次元画像の形成処理とを実行する。
【0211】
主走査方向に沿った断層画像の形成処理は、従来と同様に、2段階の演算処理を含んで構成される。第1段階の演算処理においては、各走査点Rijに対応する検出信号Dijに基づいて、その走査点Rijにおける眼底Efの深度方向(図13に示すz方向)の画像Gijを形成する。
【0212】
画像処理部1220により形成される断層画像は、たとえば第1の実施形態の図6と同様の態様を有する。第2段階の演算処理においては、各走査線Riについて、その上のn個の走査点Ri1〜Rinにおける深度方向の画像Gi1〜Ginに基づき、この走査線Riに沿った眼底Efの断層画像Giを形成する。このとき、画像処理部1220は、各走査点Ri1〜Rinの位置情報(前述)を参照して各走査点Ri1〜Rinの配列及び間隔を決定して、この走査線Riを形成するようになっている。以上の処理により、副走査方向(y方向)の異なる位置におけるm個の断層画像G1〜Gmが得られる。
【0213】
次に、眼底Efの3次元画像の形成処理について説明する。眼底Efの3次元画像は、上記の演算処理により得られたm個の断層画像に基づいて形成される。画像処理部1220は、隣接する断層画像Gi、G(i+1)の間の画像を補間する公知の補間処理を行うなどして、眼底Efの3次元画像を形成する。
【0214】
このとき、画像処理部1220は、各走査線Riの位置情報を参照して各走査線Riの配列及び間隔を決定して、この3次元画像を形成するようになっている。この3次元画像には、各走査点Rijの位置情報と、深度方向の画像Gijにおけるz座標とに基づいて、3次元座標系(x、y、z)が設定される。
【0215】
また、画像処理部1220は、この3次元画像に基づいて、主走査方向(x方向)以外の任意方向の断面における眼底Efの断層画像を形成することができる。断面が指定されると、画像処理部1220は、この指定断面上の各走査点(及び/又は補間された深度方向の画像)の位置を特定し、各特定位置における深度方向の画像(及び/又は補間された深度方向の画像)を3次元画像から抽出し、抽出された複数の深度方向の画像を配列させることにより当該指定断面における眼底Efの断層画像を形成する。
【0216】
〔画像位置補正処理について〕
まず、画像処理部1220の構成について説明する。図18は、この画像処理部1220の構成の一例を表すブロック図である。
【0217】
画像処理部1220には、前述の光画像形成処理部1222及び位置情報記憶部1225とともに、積算処理部1223、位置特定処理部1224、変位検出部1226、xy位置補正処理部1227及びz位置補正処理部1228が設けられている。
【0218】
光画像形成処理部1222は、上述した光画像の生成処理を実行する。また、位置情報記憶部1225には、上述のように、各走査線Riの位置や各走査点Rijのxy座標(つまり、各断層画像Giの計測位置や深度方向の画像Gijの計測位置)を示す位置情報が記憶される。この位置情報記憶部1225は、本発明の「位置記憶手段」の一例に相当する。
【0219】
積算処理部1223は、光画像形成処理部1222により形成された各断層画像Giを深度方向に積算して1次元の画像(積算画像)を生成する。すなわち、断層画像Giを構成する各深度方向の画像Gijを深度方向(z方向)に積算して点状の画像を形成する。各点状の画像は、その基になった深度方向の画像Gijの位置(位置情報記憶部1225に記憶される前述の位置情報に示すxy方向の位置)における深度方向の積算輝度を示すものである。ここで、「深度方向に積算する」とは、深度方向の画像Gijの各深度位置における輝度値を深度方向に足し合わせる(投影する)演算処理を意味する。
【0220】
このような処理を全ての断層画像Giについて実行することにより、光画像の計測領域における眼底画像Ef′と同様に、当該計測領域における眼底Efの形態を表す画像が得られる。つまり、眼底カメラユニット1000Aにより得られる眼底画像とOCTユニット1150により得られる光画像は、ともに、眼底表面における反射光と、眼底組織の浅い領域における反射光とから形成される画像である。したがって、眼底上の2次元の計測領域をスキャンして得られた各断層画像Giを深度方向に積算して2次元画像化することにより、当該計測領域における眼底画像Ef′と同様の画像が得られる。
【0221】
位置特定処理部1224は、眼底カメラユニット1000Aにより撮影された眼底画像Ef′における、上記の積算画像の位置を特定する処理を行う。具体的に説明すると、位置特定処理部1224は、位置特定情報記憶部1225に記憶された各断層画像Giの位置情報を参照して、この位置情報に対応する眼底画像Ef′上の位置を特定する。そして、積算画像の輝度分布と同様の輝度分布を有する領域(「対応領域」と呼ぶことにする。)を、この特定された位置及びその近傍から探索する。対応領域を見つけられない場合には探索範囲を広げていき、目的の対応領域を特定する。この特定された対応領域の位置を積算画像の位置とする。
【0222】
なお、断層画像Giの位置情報を参照せずに眼底画像全体を探索してもよいが、上記のように位置情報を探索範囲の目安とすることにより、探索時間の短縮を図ることが可能である。
【0223】
変位検出部1226は、各断層画像Giについて、位置特定処理部1224により特定された断層画像Giの位置と、位置情報記憶部1225に記憶された断層画像Giの位置情報に示す計測位置とを比較し、それらの深度方向に直交する方向(すなわちxy方向)における変位を検出する。たとえば、断層画像Giを構成する或る深度方向の画像Gijについて特定された座標がP1(x1、y1)であり、記憶された座標がP2(x2、y2)であるとすると、変位検出部1226は、{(x1−x2)^2+(y1−y2)^2}^(1/2)を算出することにより、P1とP2との変位を検出する。
【0224】
xy位置補正処理部1227は、位置検出部1226により検出された各断層画像Giの位置の変位に基づいて、各断層画像Giのxy方向における位置ずれを補正する。つまり、光画像形成部1222により形成された断層画像Giの位置を検出された変位だけ移動させることにより、眼底画像Ef′の位置に合わせ込むように処理する。このxy位置補正処理部1227は、本発明の「第1の画像処理手段」の一例に相当するものである。
【0225】
z位置補正処理部1228は、第1の実施形態の位置補正処理部43と同様の処理を実行するものであり、戻し走査線RR(図5、6参照)に沿った補正用断層画像GRを用いて、各断層画像Giの深度方向(z方向)の位置ずれの補正を行う。なお、光画像形成処理部1222とz位置補正処理部1228は、本発明の「第2の画像処理手段」の一例を構成するものである。
【0226】
〔画像の表示態様について〕
本実施形態の眼底観察装置1000によれば、眼底カメラユニット1000Aによる眼底画像Ef′と、OCTユニット1150による光画像(断層画像、3次元画像等)の2種類の画像を取得することができる。眼底観察装置1000は、これら2種類の画像をそれぞれディスプレイ1207に表示させたり、2種類の画像を並べて表示させたりすることができる。後者の並列表示を行う場合には、後述の図20に示すように、ディスプレイ1207の表示画面には、眼底画像Ef′が表示される眼底画像表示領域1207Aと、光画像が表示される光画像表示領域1207Bとが形成される。
【0227】
[動作]
以上のような構成を具備する本実施形態の眼底観察装置1000の動作について説明する。図19に示すフローチャートは、この眼底観察装置1000の動作の一例を表すものである。
【0228】
まず、準備段階として、計測対象の眼底Efに対する光学系のアライメントを行う(S101)。
【0229】
アライメントが完了したら、眼底カメラユニット1000Aのハロゲンランプ1101を点灯させて眼底Efの観察画像をディスプレイ1207に表示させ、光画像を計測する計測領域(走査領域R)を指定する(S102)。制御部1210は、指定された計測領域における走査線R1〜Rmの位置を決定するとともに走査点R11〜Rmnの位置を決定する(S103)。決定されたこれらの位置は、位置情報記憶部1225に位置情報として記憶される。ここで、走査線Riの位置は、断層画像Giの計測位置に相当し、走査点Rijの位置は、深度方向の画像Gijの計測位置に相当する。
【0230】
次に、眼底カメラユニット1000Aのキセノンランプ1103をフラッシュ発光させて眼底画像Ef′を撮影する(S104)。撮影された眼底画像Ef′は、図20に示すように、制御部1210によってディスプレイ1207の眼底画像表示領域1207Aに表示される(S105)。
【0231】
続いて、OCTユニット1150が、制御部1210の制御を受けて信号光LSを走査させて、各走査点Rijの光画像計測を行うとともに(S106)、第1の実施形態と同様に戻し走査線RRに沿って光画像計測を行う(S107)。
【0232】
光画像形成処理部1222は、各走査点Rijにおける計測結果に基づいて、眼底Efの断層画像G1〜Gmを形成するとともに(S108)、戻し走査線RRに沿った計測の結果に基づいて、補正用断層画像GRを形成する(S109)。ステップS108で形成された断層画像G1〜Gmは、図21に示すように、ディスプレイ1207の光画像表示領域1207Bに表示される(S110)。
【0233】
図22は実際の眼底画像Ef′の表示例を示しており、図23は実際の断層画像G1〜Gmの表示例を示している。図23の断層画像G1〜Gmは、それぞれの計測位置に対応する間隔で配列され、あたかも眼底Efの3次元画像のように表示されている。
【0234】
次に、積算処理部1223が、各断層画像G1〜Gmを深度方向に積算して積算画像を生成する(S111)。
【0235】
図24は、図23の断層画像G1〜Gmを積算処理して得られる積算画像GPを示している。この積算画像GPは、断層画像Giを積算して得られたx方向に沿った1次元画像をy方向に配列して得られる画像である。
【0236】
この積算画像GPには、画像中の血管が途切れてしまっている部分がある(血管切断部分GPa)。これは、実際に血管が途切れている訳ではなく、計測時における眼球運動や心拍の影響により、被検眼Eがx方向にずれてしまったことに起因するものである。
【0237】
続いて、位置特定処理部1224が、眼底画像Ef′上における積算画像の位置(xy座標)を特定する(S112)。
【0238】
次に、変位検出部1226が、各断層画像Giについて、ステップS112で特定された断層画像Giの位置と、位置情報記憶部1225に記憶された断層画像Giの位置情報に示す計測位置とを比較してxy方向における位置の変位を検出する(S113)。
【0239】
続いて、xy位置補正処理部1227が、ステップS113で検出された各断層画像Giの位置の変位に基づいて、各断層画像Giのxy方向における位置ずれを補正する(S114)。
【0240】
図25は、図24の積算画像GPのxy方向の位置ずれを補正して得られる補正積算画像GP′を示している。図24の血管切断部分GPaは、補正積算画像GP′においてはつながった状態になっている。これは、各断層画像Giの位置をxy方向に移動させて、眼底画像Ef′における対応位置に配置させたことによるものである。
【0241】
なお、この補正積算画像GPの右上端付近と左端付近の黒色領域GPb′、GPc′は、断層画像Giをx方向に移動させたことによる無画像部分である。したがって、積算画像GPの上部(+y方向)側の断層画像を図面左方向(+x方向)に移動させるとともに、その下部の断層画像を図面右方向(−x方向)に移動させることにより、補正積算画像GP′が作成されたことが分かる。
【0242】
最後に、z位置補正処理部1228が、ステップS109で形成された補正用断層画像GRを用いて、各断層画像Giのz方向の位置ずれを補正し(S115)、xyz方向の位置ずれがそれぞれ補正された断層画像G1〜Gmをディスプレイ1207の光画像表示領域1207Bに表示させる(S116)。検者は、眼底画像Ef′と、位置ずれ補正がなされた断層画像G1〜Gmとを参照して、診断を行う。
【0243】
[作用・効果]
以上のように動作する本実施形態の眼底観察装置1000が奏する作用、効果について説明する。
【0244】
まず、この眼底観察装置1000によれば、光画像計測時の眼球運動等に起因する光画像の位置ずれを効果的に補正して、確度の高い画像を形成することができる。特に、第1の実施形態と同様のz方向の補正だけでなく、眼底画像Ef′を用いることで、xy方向の補正についても効果的に行うことが可能である点が特徴的である。
【0245】
ここで、図26、図27を参照して、眼底観察装置1000による位置ずれ補正の効果を説明する。図26は、OCTユニット1150で計測したデータに基づく断層画像から作成された眼底網膜の表面画像(補正前眼底表面画像)Gの形態を示している。また、図27は、この補正前眼底表面画像Gに対してx、y、z方向の補正を施して得られた補正後眼底表面画像G′の形態を示している。
【0246】
図26の補正前眼底表面画像Gは、上下(z方向)に波打つなどした非常に粗い画像になっている。一方、図27の補正後眼底表面画像G′は、実際の眼底表面に近い滑らかな画像となっている。このように、本実施形態の眼底観察装置1000によれば、非常に効果的な画像補正を提供することができる。
【0247】
なお、補正後眼底表面画像G′上の凹凸部分は、計測時に混入したノイズの影響によるものである。このようなノイズの影響は、公知のノイズ除去処理によって除去することができる。
【0248】
[変形例]
以上で説明した構成は、本発明の画像観察装置を好適に実施するための一例に過ぎないものである。したがって、本発明の要旨の範囲内において任意の変形を適宜に施すことが可能である。以下、そのような変形例の一例を説明する。
【0249】
まず、上記の本実施形態では、xy方向の位置ずれ補正処理とz方向の位置ずれ補正処理の双方を実行しているが、xy方向の位置ずれ補正のみを実行するように構成することが可能である。その場合、図18のブロック図において、z位置補正処理部1228を設ける必要はない。
【0250】
また、x方向の位置ずれ補正のみを実行するように構成したり、y方向の位置ずれ補正のみを実行するように構成したりすることもできる。
【0251】
上記の本実施形態では、光画像計測を行う前に眼底画像を撮影するようになっているが、眼底画像を撮影するタイミングは任意に決定することができる。たとえば、光画像計測後に眼底画像を撮影することや、光画像計測の前後に眼底画像を撮影することも可能である。
【0252】
上記の本実施形態では、各断層画像を深度方向に積算して各断層画像ごとの積算画像を生成し、この1次元積算画像を配列して2次元積算画像を生成するように構成されているが、積算画像の生成手法はこれに限定されるものではない。たとえば、断層画像から3次元画像を形成し、この3次元画像を深度方向に積算して2次元積算画像を生成することが可能である。その場合、この2次元積算画像自体の眼底画像における位置を特定し、2次元積算画像のxy方向における歪み(位置ずれ)を特定することにより、3次元画像の位置ずれ補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0253】
【図1】本発明に係る光画像計測装置の好適な実施形態の全体構成の一例を表した概略図である。
【図2】本発明に係る光画像計測装置の好適な実施形態の制御系の構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図3】本発明に係る光画像計測装置の好適な実施形態が有するコンピュータのハードウェア構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図4】本発明に係る光画像計測装置の好適な実施形態による信号光の走査態様の一例を表す概略図である。図4(A)は、眼底を信号光の入射側(−z方向)から見たときの信号光の走査態様の一例を表している。また、図4(B)は、各走査線上の走査点の配列態様の一例を表している。
【図5】本発明に係る光画像計測装置の好適な実施形態による信号光の走査態様の一例を表す概略図である。
【図6】本発明に係る光画像計測装置の好適な実施形態による信号光の走査態様、及び、各走査線に沿って形成される断層画像の形態の一例を表す概略図である。
【図7】本発明に係る光画像計測装置の好適な実施形態による信号光の走査中に被検眼が動いた場合の、各走査線及び断層画像の配置形態の一例を表す概略図である。
【図8】本発明に係る光画像計測装置の好適な実施形態により形成される比較用断層画像の一例を表す概略図である。
【図9】本発明に係る光画像計測装置の好適な実施形態により形成される補正用断層画像の一例を表す概略図である。
【図10】本発明に係る光画像計測装置の好適な実施形態により画像位置の補正が施された比較用断層画像の一例を表す概略図である。
【図11】本発明に係る光画像計測装置の好適な実施形態により画像位置の補正が施された比較用断層画像の一例を表す概略図である。
【図12】本発明に係る光画像計測装置の好適な実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。
【図13】本発明に係る眼底観察装置の好適な実施形態の全体構成の一例を表した概略図である。
【図14】本発明に係る眼底観察装置の好適な実施形態における眼底カメラユニットに内蔵される走査ユニットの構成の一例を表す概略構成図である。
【図15】本発明に係る眼底観察装置の好適な実施形態におけるOCTユニットの構成の一例を表す概略構成図である。
【図16】本発明に係る眼底観察装置の好適な実施形態におけるコンピュータのハードウェア構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図17】本発明に係る眼底観察装置の好適な実施形態の制御系の構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図18】本発明に係る眼底観察装置の好適な実施形態の制御系における画像処理部の構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図19】本発明に係る眼底観察装置の好適な実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。
【図20】本発明に係る眼底観察装置の好適な実施形態による眼底の画像の表示態様の一例を表す概略図である。
【図21】本発明に係る眼底観察装置の好適な実施形態による眼底の画像の表示態様の一例を表す概略図である。
【図22】本発明に係る眼底観察装置の好適な実施形態により表示される眼底画像の一例を表す図である。
【図23】本発明に係る眼底観察装置の好適な実施形態により表示される眼底の断層画像の一例を表す図である。
【図24】本発明に係る眼底観察装置の好適な実施形態により生成される積算画像の一例を表す図である。
【図25】本発明に係る眼底観察装置の好適な実施形態により生成される補正積算画像の一例を表す図である。
【図26】本発明に係る眼底観察装置の好適な実施形態による位置ずれ補正を施す前の補正前眼底表面画像の一例を表す図である。
【図27】本発明に係る眼底観察装置の好適な実施形態による位置ずれ補正を施した後の補正後眼底表面画像の一例を表す図である。
【符号の説明】
【0254】
1 光画像計測装置
2 低コヒーレンス光源
3、5、6、7 光ファイバ
4 光カプラ
11、21、31 コリメータレンズ
12 ガラスブロック
13 濃度フィルタ
14 参照ミラー
22、23 ガルバノミラー
22a、23a 回動軸
22A、23A ミラー駆動機構
24 レンズ
25 ダイクロイックミラー
26 対物レンズ
30 スペクトロメータ
32 回折格子
33 結像レンズ
34 CCD
40 コンピュータ
41 制御部
42 画像形成処理部
43 位置補正処理部
44 ユーザインターフェイス(UI)
100 CPU
103 ハードディスクドライブ
103a制御プログラム
104 キーボード
105 マウス
106 ディスプレイ
50 観察装置(撮影装置)
L0 低コヒーレンス光
LR 参照光
LS、LS′ 信号光
LC、LC′ 干渉光
R 走査領域
R1〜Rm 走査線
RS 走査開始位置
RE 走査終了位置
Rij(i=1〜m、j=1〜n) 走査点
RR 戻し走査線
C1〜Cm 交差位置
G1〜Gm 断層画像
Gij(i=1〜m、j=1〜n) 深度方向の画像
GC 比較用断層画像
GR 補正用断層画像
E 被検眼
Er 眼底
1000 眼底観察装置
1000A 眼底カメラユニット
1008c 装着部
1010 撮像装置
1011 タッチパネルモニタ
1100 照明光学系
1101 ハロゲンランプ
1103 キセノンランプ
1112 孔開きミラー
1112a 孔部
1113対物レンズ
1120 撮影光学系
1127 クイックリターンミラー
1129 切換ミラー
1141 走査ユニット
1141A、1141B ガルバノミラー
1142 レンズ
1150 OCTユニット
1151 コネクタ部
1152 接続線
1152a、1161、1163、1164、1165 光ファイバ
1160 低コヒーレンス光源
1174 参照ミラー
1180 スペクトロメータ
1184 CCD
1200 コンピュータ
1201 CPU
1204a 制御プログラム
1206 マウス
1207 ディスプレイ
1207A 眼底画像表示領域
1207B 光画像表示領域
1210 制御部
1220 画像処理部
1222 光画像形成処理部
1223 積算処理部
1224 位置特定処理部
1225 位置情報記憶部
1226 変位検出部
1227 xy位置補正処理部
1228 z位置補正処理部
1230 ユーザインターフェイス
1241、1242、1243、1244 ミラー駆動機構
Ef 眼底
Ef′ 眼底画像(2次元画像)
GP 積算画像
GP′ 補正積算画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出力された光を被測定物体に向かう信号光と参照物体に向かう参照光とに分割するとともに、前記被測定物体を経由した信号光と前記参照物体を経由した参照光とを重畳させて干渉光を生成する干渉光生成手段と、
前記生成された干渉光を受光して検出信号を出力する検出手段と、
前記被測定物体に対する前記信号光の入射位置を所定の主走査方向及び該主走査方向に直交する副走査方向にそれぞれ走査する走査手段と、
前記主走査方向に沿った複数の前記入射位置のそれぞれについて、当該入射位置を経由した信号光と前記参照光とから生成される干渉光に基づく前記検出信号に基づいて当該入射位置における前記被測定物体の深度方向の画像を形成し、該形成された各入射位置の前記画像に基づいて前記主走査方向に沿った断層画像を形成することにより、前記副走査方向の異なる位置における2以上の前記主走査方向に沿った断層画像を形成する画像処理手段と、
を有し、
前記走査手段は、前記主走査方向に交差する所定の方向に前記信号光を走査し、
前記画像処理手段は、当該所定の方向に沿った補正用断層画像を形成するとともに、該補正用断層画像に基づいて、前記形成された前記2以上の断層画像のそれぞれの位置ずれを補正する、
ことを特徴とする光画像計測装置。
【請求項2】
前記走査手段は、前記2以上の断層画像を形成するとき、前記主走査方向の一定の向きに前記信号光の入射位置を走査し、
前記所定の方向は、前記2以上の断層画像を形成するときの走査の終了位置と開始位置とを結んだ方向とされる、
ことを特徴とする請求項1に記載の光画像計測装置。
【請求項3】
前記画像処理手段は、前記2以上の断層画像のそれぞれの前記深度方向の位置ずれを補正する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光画像計測装置。
【請求項4】
前記画像処理手段は、前記2以上の断層画像のそれぞれについて、前記補正用断層画像との交差位置における前記深度方向の画像の位置を、当該交差位置における前記補正用断層画像の深度方向の画像の位置に合わせることにより、前記深度方向の位置ずれを補正する、
ことを特徴とする請求項3に記載の光画像計測装置。
【請求項5】
前記2以上の断層画像のそれぞれの前記深度方向の前記位置ずれの補正は、前記交差位置における当該断層画像の前記深度方向の画像と前記補正用断層画像の前記深度方向の画像との正規化相関の相関値が最大となるように、当該断層画像を前記深度方向に移動させることにより行う、
ことを特徴とする請求項4に記載の光画像計測装置。
【請求項6】
前記2以上の断層画像のそれぞれの前記深度方向の前記位置ずれの補正は、前記交差位置における当該断層画像の前記深度方向の画像の特徴部分と前記補正用断層画像の前記深度方向の画像の特徴部分とを一致させるように、当該断層画像を前記深度方向に移動させることにより行う、
ことを特徴とする請求項4に記載の光画像計測装置。
【請求項7】
前記深度方向の画像の前記特徴部分は、前記被測定物体の表面に相当する部分とされる、
ことを特徴とする請求項6に記載の光画像計測装置。
【請求項8】
前記画像処理手段は、
前記2以上の断層画像に基づいて、前記被測定物体の3次元画像を形成し、
該形成された3次元画像に基づいて、前記所定の方向に沿った新たな断層画像を形成し、
前記補正用断層画像に対する前記新たな断層画像の変位に基づいて、前記2以上の断層画像のそれぞれの位置ずれを補正する、
ことを特徴とする請求項1〜請求項7に記載の光画像計測装置。
【請求項9】
光源と、
前記光源から出力された光を被測定物体に向かう信号光と参照物体に向かう参照光とに分割するとともに、前記被測定物体を経由した信号光と前記参照物体を経由した参照光とを重畳させて干渉光を生成する干渉光生成手段と、
前記生成された干渉光を受光して検出信号を出力する検出手段と、
前記被測定物体に対する前記信号光の入射位置を所定の主走査方向及び該主走査方向に直交する副走査方向にそれぞれ走査する走査手段と、
前記主走査方向に沿った複数の前記入射位置のそれぞれについて、当該入射位置を経由した信号光と前記参照光とから生成される干渉光に基づく前記検出信号に基づいて当該入射位置における前記被測定物体の深度方向の画像を形成し、該形成された各入射位置の前記画像に基づいて前記主走査方向に沿った断層画像を形成することにより、前記副走査方向の異なる位置における2以上の前記主走査方向に沿った断層画像を形成する画像処理手段と、
を有する光画像計測装置を制御する光画像計測プログラムであって、
前記走査手段を制御して、前記主走査方向に交差する所定の方向に前記信号光を走査させ、
前記画像処理手段に、当該所定の方向に沿った補正用断層画像を形成させるとともに、該補正用断層画像に基づいて、前記形成された前記2以上の断層画像のそれぞれの位置ずれを補正させる、
ことを特徴とする光画像計測プログラム。
【請求項10】
被検眼の眼底の表面の2次元画像を形成する第1の画像形成手段と、
前記眼底の断層画像を形成する第2の画像形成手段と、
を備える眼底観察装置であって、
前記第2の画像形成手段により形成された断層画像を深度方向に積算して積算画像を生成し、前記第1の画像形成手段により形成された2次元画像に基づいて、前記生成された積算画像の前記深度方向に直交する方向における変位を検出し、該検出された変位に基づいて、前記断層画像の前記直交する方向における位置ずれを補正する第1の画像処理手段を備える、
ことを特徴とする眼底観察装置。
【請求項11】
被検眼の眼底の表面の2次元画像を形成する第1の画像形成手段と、
光源と、前記光源から出力された光を前記眼底に向かう信号光と参照物体に向かう参照光とに分割するとともに、前記眼底を経由した信号光と前記参照物体を経由した参照光とを重畳させて干渉光を生成する干渉光生成手段と、前記生成された干渉光を受光して検出信号を出力する検出手段と、前記眼底に対する前記信号光の入射位置を所定の主走査方向及び該主走査方向に直交する副走査方向にそれぞれ走査する走査手段と、前記主走査方向に沿った複数の前記入射位置のそれぞれについて、当該入射位置を経由した信号光と前記参照光とから生成される干渉光に基づく前記検出信号に基づいて当該入射位置における前記眼底の深度方向の画像を形成し、該形成された各入射位置の前記画像に基づいて前記主走査方向に沿った断層画像を形成することにより、前記副走査方向の異なる位置における2以上の前記主走査方向に沿った断層画像を形成する第2の画像形成手段と、
を備える眼底観察装置であって、
前記第2の画像形成手段により形成された2以上の断層画像のそれぞれを前記深度方向に積算して、前記2以上の断層画像のそれぞれの積算画像を生成し、前記第1の画像形成手段により形成された2次元画像に基づいて、前記生成された2以上の積算画像のそれぞれの前記深度方向に直交する方向における変位を検出し、該検出された変位に基づいて、前記2以上の断層画像のそれぞれの前記直交する方向における位置ずれを補正する第1の画像処理手段と、
前記第2の画像形成手段の前記走査手段を制御して、前記主走査方向に交差する所定の方向に前記信号光を走査させる制御手段と、
当該所定の方向に沿った補正用断層画像を形成するとともに、該補正用断層画像に基づいて、前記形成された前記2以上の断層画像のそれぞれの前記深度方向における位置ずれを補正する第2の画像処理手段と、
を備える、
ことを特徴とする眼底観察装置。
【請求項12】
前記第2の画像形成手段により形成された断層画像の計測位置を示す位置情報を記憶する位置記憶手段を更に備え、
前記第1の画像処理手段による前記変位の検出は、前記第1の画像形成手段により形成された2次元画像における前記生成された積算画像の位置を特定し、該特定された位置と前記記憶された位置情報に示す計測位置との前記深度方向に直交する方向における変位を検出することにより行う、
ことを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の眼底観察装置。
【請求項13】
前記第1の画像形成手段により形成された2次元画像を表示する表示手段と、
前記第2の画像形成手段により形成される断層画像の計測位置を前記表示された2次元画像上に指定するための操作手段と、
を備え、
前記第1の画像処理手段による前記変位の検出は、前記第1の画像形成手段により形成された2次元画像における前記生成された積算画像の位置を特定し、該特定された位置と前記指定された計測位置との前記深度方向に直交する方向における変位を検出することにより行う、
ことを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の眼底観察装置。
【請求項14】
被検眼の眼底の表面の2次元画像を形成する第1の画像形成手段と、
前記眼底の断層画像を形成する第2の画像形成手段と、
を備える眼底観察装置を、
前記第2の画像形成手段により形成された断層画像を深度方向に積算して積算画像を生成し、前記第1の画像形成手段により形成された2次元画像に基づいて、前記生成された積算画像の前記深度方向に直交する方向における変位を検出し、該検出された変位に基づいて、前記断層画像の前記直交する方向における位置ずれを補正するように機能させる、
ことを特徴とする眼底観察プログラム。
【請求項15】
被検眼の眼底の表面の2次元画像を形成する第1の画像形成手段と、
光源と、前記光源から出力された光を前記眼底に向かう信号光と参照物体に向かう参照光とに分割するとともに、前記眼底を経由した信号光と前記参照物体を経由した参照光とを重畳させて干渉光を生成する干渉光生成手段と、前記生成された干渉光を受光して検出信号を出力する検出手段と、前記眼底に対する前記信号光の入射位置を所定の主走査方向及び該主走査方向に直交する副走査方向にそれぞれ走査する走査手段と、前記主走査方向に沿った複数の前記入射位置のそれぞれについて、当該入射位置を経由した信号光と前記参照光とから生成される干渉光に基づく前記検出信号に基づいて当該入射位置における前記眼底の深度方向の画像を形成し、該形成された各入射位置の前記画像に基づいて前記主走査方向に沿った断層画像を形成することにより、前記副走査方向の異なる位置における2以上の前記主走査方向に沿った断層画像を形成する画像処理手段とを有する第2の画像形成手段と、
を備える眼底観察装置を、
前記第2の画像形成手段により形成された2以上の断層画像のそれぞれを前記深度方向に積算して、前記2以上の断層画像のそれぞれの積算画像を生成し、前記第1の画像形成手段により形成された2次元画像に基づいて、前記生成された2以上の積算画像のそれぞれの前記深度方向に直交する方向における変位を検出し、該検出された変位に基づいて、前記2以上の断層画像のそれぞれの前記直交する方向における位置ずれを補正する第1の画像処理手段、
前記第2の画像形成手段の前記走査手段を制御して、前記主走査方向に交差する所定の方向に前記信号光を走査させる制御手段、及び、
当該所定の方向に沿った補正用断層画像を形成するとともに、該補正用断層画像に基づいて、前記形成された前記2以上の断層画像のそれぞれの前記深度方向における位置ずれを補正する第2の画像処理手段、として機能させる、
ことを特徴とする眼底観察プログラム。











【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2007−130403(P2007−130403A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−337628(P2005−337628)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
【出願人】(504171134)国立大学法人 筑波大学 (510)
【Fターム(参考)】