説明

光画像計測装置における画像情報の解析及び組織判別可視化装置

【課題】試料の組織の画像特性に対する事前知識なくても、特定組織を判別表示することが可能な光画像計測装置における画像情報の解析及び組織判別可視化装置を実現する。
【解決手段】基準となる試料断層像から所定の2種類以上のパラメータである物理量の値を、断層像の複数の点に対応し画像情報から前記抽出手段で抽出し、該抽出されたパラメータ値を、前記複数のパラメータである物理量を規定する座標上にプロットし、プロットされた断層像の複数の点を分類する基準を設定し、被計測試料の断層像に含まれる特性を示す複数のパラメータである物理量の中から選択された所定の2以上のパラメータである物理量の値を、断層像の複数の点に対応し画像情報から抽出し、前記基準で分類し、該分類に対応した断層像の領域にカラーを付す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光画像計測装置(光コヒーレンストモグラフィー(OCT:Optical coherence tomography))などの画像解析及び組織判別可視化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物体の内部情報、つまり屈折率分布の微分構造を非破壊、高分解能で捉えるために、OCTを用いることが行われている。
【0003】
医療分野等で用いられる非破壊断層計測技術の1つとして、光断層画像化法「光コヒーレンストモグラフィー」(OCT)がある(特許文献1参照)。OCTは、光を計測プローブとして用いるため、被計測物体の屈折率分布、分光情報、偏光情報(複屈折率分布)等が計測できるという利点がある。
【0004】
基本的なOCT43は、マイケルソン干渉計を基本としており、その原理を図7で説明する。光源44から射出された光は、コリメートレンズ45で平行化された後に、ビームスプリッター46により参照光と物体光に分割される。物体光は、物体アーム内の対物レンズ47によって被計測物体48に集光され、そこで散乱・反射された後に再び対物レンズ47、ビームスプリッター46に戻る。
【0005】
一方、参照光は参照アーム内の対物レンズ49を通過した後に参照鏡50によって反射され、再び対物レンズ49を通してビームスプリッター46に戻る。このようにビームスプリッター46に戻った物体光と参照光は、物体光とともに集光レンズ51に入射し光検出器52(フォトダイオード等)に集光される。
【0006】
OCTの光源44は、時間的に低コヒーレンスな光(異なった時刻に光源から出た光同士は極めて干渉しにくい光)の光源を利用する。時間的低コヒーレンス光を光源としたマイケルソン型の干渉計では、参照アームと物体アームの距離がほぼ等しいときにのみ干渉信号が現れる。この結果、参照アームと物体アームの光路長差(τ)を変化させながら、光検出器52で干渉信号の強度を計測すると、光路長差に対する干渉信号(インターフェログラム)が得られる。
【0007】
そのインターフェログラムの形状が、被計測物体48の奥行き方向の反射率分布を示しており、1次元の軸方向走査により被計測物体48の奥行き方向の構造を得ることができる。このように、OCT43では、光路長走査により、被計測物体48の奥行き方向の構造を計測できる。
【0008】
このような軸方向の走査のほかに、横方向の機械的走査を加え、2次元の走査を行うことで被計測物体の2次元断面画像が得られる。この横方向の走査を行う走査装置としては、被計測物体を直接移動させる構成、物体は固定したままで対物レンズをシフトさせる構成、被計測物体も対物レンズも固定したままで、対物レンズの瞳面付近においたガルバノミラーの角度を回転させる構成等が用いられている。
【0009】
以上の基本的なOCTが発展したものとして、光源の波長を走査してスペクトル干渉信号を得る波長走査型OCT(Swept Source OCT、略して「SS−OCT」という。)と、分光器を用いてスペクトル信号を得るスペクトルドメインOCT(フーリエドメインOCT(Fourier DomainOCT、略して「FD−OCT」という。特許文献2参照)ともいう)があり,それらに偏光感受機能を付与した偏光感受型OCT(Polarization-Sensitive OCT、略して「PS−OCT」という。特許文献3参照)がある。
【0010】
波長走査型OCTは、高速波長スキャニングレーザーにより光源の波長を変え、スペクトル信号と同期取得された光源走査信号を用いて干渉信号を最配列し、信号処理を加えることで3次元光断層画像を得るものである。なお、光源の波長を変える手段として、モノクロメーターを利用したものでも、波長走査型OCTとして利用可能である。
【0011】
フーリエドメインOCTは、被計測物体からの反射光の波長スペクトルを、スペクトロメーター(スペクトル分光器)で取得し、このスペクトル強度分布に対してフーリエ変換することで、実空間(OCT信号空間)上での信号を取り出すことを特徴とするものであり、このフーリエドメインOCTは、奥行き方向の走査を行う必要がなく、x軸方向の走査を行うことで被計測物体の断面構造を計測可能である。
【0012】
偏光感受型OCTは、波長走査型OCTおよびフーリエドメインOCTと同様に、広帯域光源を使用し、被計測物体からの反射光の波長スペクトルを光源波長走査あるいはスペクトル分光器で取得するものであるが、入射光及び参照光をそれぞれ1/2波長板、1/4波長板等を通して水平直線偏光、垂直直線偏光、45°直線偏光、円偏光として、被計測物体からの反射光と参照光を重ねて1/2波長板、1/4波長板等を通して、例えば水平偏光成分だけをスペクトル分光器に入射させて干渉させ、物体光の特定偏光状態をもつ成分だけを取り出してフーリエ変換するものである。この偏光感受型OCTも、奥行き方向の走査を行う必要がない。
【0013】
ドップラーOCTは、スペクトル干渉情報のフーリエ変換によって得られる位相の変化量がドップラー信号として被検体の移動速度に対応することを利用し、血流などの速度を求める方法であり、波長走査型OCT、フーリエドメインOCTなどに摘要することができる(非特許文献1参照)。
【0014】
以上、従来のOCTの概略を説明したが、物体の屈折率分布の微分構造は、非破壊、高分解能で捉えることはできるものの、物体そのものが本来持っている偏光依存性を十分捉えることはできない。
【0015】
特に、OCTを生体計測へ応用することを考える場合、繊維状の構造(繊維の伸長方向等)や歯のエナメル質の相違に起因する複屈折による偏光依存性を持つ生物試料の測定においては、解像度の低下とともに、構造を捉えられないなどの問題が生じてしまう。
【0016】
この問題を解決するために、すでに、OCTのような低コヒーレンス干渉計で、ある特定部分からの散乱光成分とある偏光状態の参照光とを干渉させて、その干渉成分には偏光特性が強く反映され、その結果、奥行き方向の断面のある特定部分の偏光情報を捉える偏光感受光画像計測装置が提案されている(特許文献3参照)。
【0017】
ところで、従来提案されている偏光感受光画像計測装置では、偏光情報を取得するためには、異なった偏光状態毎にそれぞれ断層画像を計測し、複数枚の断層画像を入手しなければならないという問題があったが、本発明者らは、計測に用いる入射ビーム光の偏光状態を、EO変調器(偏光変調器、電気光学変調器)を用いて連続的に変調し、1回のBスキャン(試料の奥行方向に垂直な平面上の一方向、例えばx軸方向のスキャン)によって、試料の偏光情報(試料の複屈折(分布)による偏光依存性)を計測する偏光感受光画像計測装置を提案している(特許文献4参照)。
【0018】
【特許文献1】特開2002−310897号公報
【特許文献2】特開平11−325849号公報
【特許文献3】特開2004−028970号公報
【特許文献4】特開2007−298461号公報
【非特許文献1】B. R. White他, Optics Express, 11巻25号(2003年)3490頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従来の光画像計測装置では、試料について組織の形態的な特徴を計測することは可能であったが、組織の違いを可視化することは困難であった。本発明は、試料についてその組織の画像特性に対する事前知識なくても、特定組織を判別表示することが可能となる光画像計測装置における画像情報の解析及び組織判別可視化装置を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は上記課題を解決するために、光画像計測装置において、取得した試料の断層像の画像情報を画像処理装置に入力して、断層像の画像情報に含まれる情報を用いて画像を解析し、組織判別可能なように可視化を行う画像解析及び組織判別可視化装置であって、
試料の断層像に含まれる組織の特性を示す複数種類のパラメータである物理量の中から選択された所定の2種類以上のパラメータである物理量の値を、断層像の複数の点に対応し該断層像の画像情報から抽出する抽出手段と、該抽出された前記2種類以上のパラメータである物理量の値を、前記2種類以上のパラメータである物理量を規定する座標上に、点としてプロットするプロット手段と、基準となる試料の断層像の画像情報から前記抽出手段で抽出し、前記プロット手段でプロットされた複数の点を分類する基準線を設定する基準設定手段と、前記基準線で前記複数の点を分類する手段と、分類された前記複数の点について、それぞれ該分類に対応したカラー情報を付し、該カラー情報を付された前記複数の点に対応する断層像の領域にカラーを付す可視化手段と、を備えており、被計測試料の断層像の画像情報から前記抽出手段で前記2種類以上のパラメータである物理量の値を抽出し、これを前記プロット手段でプロットした複数の点を、前記基準線で分類し、該分類に対応するカラー情報を付し、該複数の点に対応する断層像の領域をカラーに付して断層像をカラー化する構成であることを特徴とする光画像計測装置における画像情報の解析及び組織判別可視化装置を提供する。
【0021】
光画像計測装置は、偏光感受光画像計測装置とすることが好ましい。
【0022】
前記パラメータである物理量は2種類以上であることが好ましい。
【0023】
前記パラメータである物理量は、画素強度、画像強度の深さ方向の微分値、局所複屈折量、複屈折量の深さ方向の微分値、位相遅延量の深さ方向の微分値の最小自乗フィッティング誤差の標準偏差、複屈折の局所コントラスト及び光学軸の方向から選択された少なくとも2種類以上の物理量であることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、光画像計測装置の画像解析し、組織判別可視化が行われるから、試料について、その組織の画像特性に対する事前知識なくても、特定組織を判別表示することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明に係る光画像計測装置における画像情報の解析及び組織判別可視化装置を実施するための最良の形態を実施例に基づいて図面を参照して説明する。
【実施例】
【0026】
(全体構成)
本発明に係る光画像計測装置における画像情報の解析及び組織判別可視化装置は、通常の光画像計測装置(OCT)でも、計測光として偏光を利用した偏光感受光画像計測装置でも適用可能であるが、ここでは、本発明の光画像計測装置は、「背景技術」の項で説明した偏光感受光画像計測装置(参考文献4)と同様の構成に適用したもので説明する。よって、まず、本発明の偏光感受光画像計測装置(複屈折トモグラフィー)の前提となる偏光感受光画像計測装置の全体構成について説明する。
【0027】
本発明に係る偏光感受光画像計測装置は、Bスキャン(光ビームが進む試料の深さ方向をA方向とした場合、このA方向と直交する方向のスキャン)と同時に(同期して)光源からの偏光ビーム(偏光子により直線的に偏光されたビーム)をEO変調器(偏光変調器、電気光学変調器)によって連続的に変調し、この連続的に偏光を変調した偏光ビームを分けて、一方を入射ビームとして走査して試料に照射し、その反射光(物体光)を得ると共に、他方を参照光として、両者のスペクトル干渉によりOCT計測を行うものである。
【0028】
そして、このスペクトル干渉成分のうち、垂直偏光成分(H)と水平偏光成分(V)を同時に2つの光検出器で測定することにより、試料の偏光特性を表すジョーンズベクトルを得る(H画像とV画像)構成を特徴とするものである。
【0029】
図1は、本発明を適用する偏光感受光画像計測装置の光学系の全体構成を示す図である。図1に示す偏光感受光画像計測装置1は、光源2、偏光子3、EO変調器4、ファイバーカプラー(光カプラー)5、参照アーム6、試料アーム7、分光器8等の光学要素を備えている。この偏光感受光画像計測装置1の光学系は、光学要素が互いにファイバー9で結合されているが、ファイバーで結合されていないタイプの構造(フリースペース型)であってもよい。
【0030】
光源2は、広帯域スペクトルを有するスーパールミネッセントダイオード(SLD:Super Luminescent Diode)を使用する。なお、光源2は、パルスレーザでもよい。光源2には、コリメートレンズ11、光源2からの光を直線偏光にする偏光子3、進相軸を45°の方向にセットされたEO変調器(偏光変調器、電気光学変調器)4、集光レンズ13及びファイバーカプラー5が、順次、接続されている。
【0031】
EO変調器4は、進相軸を45°の方向に固定して、該EO変調器4にかける電圧を正弦的に変調することで、進相軸とそれに直交する遅相軸との間の位相差(リタデーション)を連続的に変えるもので、これにより、光源2から出て偏光子3で(縦)直線偏光となった光がEO変調器4に入射すると、上記変調の周期で、直線偏光→楕円偏光→直線偏光………などのように変調される。EO変調器4は、市販されているEO変調器を使用すればよい。
【0032】
ファイバーカプラー5には分岐するファイバー9を介して、参照アーム6と試料アーム7が接続されている。参照アーム6には、偏波コントローラ(polarization controller)10、コリメートレンズ11、偏光子12、集光レンズ13及び参照鏡(固定鏡)14が、順次、設けられている。参照アーム6の偏光子12は、上記のとおり偏光状態を変調しても参照アーム6から戻ってくる光の強度が変化しないような方向を選択するために用いている。この偏光子12の方向(直線偏光の偏光方向)の調整は偏波コントローラ10とセットで行う。
【0033】
試料アーム7では、偏波コントローラ15、コリメートレンズ11、固定鏡24、ガルバノ鏡16、集光レンズ13が、順次、設けられ、ファイバーカプラー5からの入射ビームが2軸のガルバノ鏡16により走査されて試料17に照射される。試料17からの反射光は物体光として再びファイバーカプラー5に戻り、参照光と重畳されて干渉ビームとして分光器8に送られる。
【0034】
分光器8は、順次接続される偏波コントローラ18、コリメートレンズ11、(偏光感受型体積位相ホログラフィック)回折格子19、フーリエ変換レンズ20、偏光ビームスプリッター21及び2つの光検出器22、23を備えている。この実施例では、光検出器22、23として、ラインCCDカメラ(1次元CCDカメラ)を利用する。ファイバーカプラー5から送られてくる干渉ビームは、コリメートレンズ11でコリメートされ、回折格子19によって干渉スペクトルに分光される。
【0035】
回折格子19で分光された干渉スペクトルビームは、フーリエ変換レンズ20でフーリエ変換され偏光ビームスプリッター21で水平及び垂直成分に分けられ、それぞれ2つラインCCDカメラ(光検出器)22、23で検出される。この2つラインCCDカメラ22、23は、水平および垂直偏光信号両方の位相情報を検知するために使われるので、2つのラインCCDカメラ22、23は同一の分光器の形成に寄与するものでなくてはならない。
【0036】
なお、光源2、参照アーム6、試料アーム7及び分光器8には、それぞれ偏波コントローラ10、15、18が設けられているが、これらは、光源2から参照アーム6、試料アーム7、分光器8に送られるそれぞれのビームの初期偏光状態を調整して、EO変調器4で連続的に変調された偏光状態が、参照光と物体光においても互いに一定の振幅と一定の相対偏光状態の関係が維持され、さらにファイバーカプラー5に接続された分光器8において一定の振幅と一定の相対偏光状態を保たれるようにコントロールする。
【0037】
また、2つラインCCDカメラ22、23を含む分光器8を校正するときはEO変調器4は止める。参照光をブロックし、スライドガラスと反射鏡を試料アーム7におく。この配置は水平および垂直偏光成分のピークの位置が同じであることを保証する。そして、スライドガラスの後ろの面と反射鏡からのOCT信号は2つの分光器8で検知される。OCT信号のピークの位相差はモニターされる。
【0038】
この位相差はすべての光軸方向の深さでゼロであるべきである。次に、信号は2つラインCCDカメラ22、23を含む分光器8で複素スペクトルを得るために、ウィンドウされ逆フーリエ変換される。この位相差はすべての周波数でゼロであるべきなので、これらの値をモニターすることによって2つラインCCDカメラ22、23の物理的な位置は位相差が最小になるようにアライメントされる。
【0039】
上記偏光感受光画像計測装置では、次のように偏光情報を取得できる。光源2からの光を直線偏光し、この直線偏光されたビームをEO変調器4により連続的に偏光状態の変調を行う。即ち、EO変調器4は、進相軸を45°の方向に固定して、該EO変調器4にかける電圧を正弦的に変調することで、進相軸とそれに直交する遅相軸との間の位相差(偏光角:リタデーション)を連続的に変えるもので、これにより、光源2から出て直線偏光子で(縦)直線偏光となった光がEO変調器4に入射すると、上記変調の周期で、直線偏光→楕円偏光→直線偏光………などのように変調される。
【0040】
そして、直線偏光された偏光ビームをEO変調器4により連続的に偏光状態の変調を行うと同時に、Bスキャンを同期して行う。即ち、1回のBスキャンの間に、EO変調器4による偏光の連続的な変調を複数周期行う。ここで、1周期とは、偏光角(リターデーション)φが0〜2πと変化する期間である。要するに、この1周期の間に、偏光子からの光の偏光が、直線偏光(垂直偏光)→楕円偏光→直線偏光(水平偏光)………などのように連続的に変調する。
【0041】
このように偏光ビームの偏光を連続的に変調しながら、試料アーム7では、入射ビームをガルバノ鏡16により試料17に走査してBスキャンを行い、分光器8において、その反射光である物体光と参照光の干渉スペクトルについて、その水平偏光成分および垂直偏光成分を2つのラインCCDカメラ22、23で検出する。これにより、1回のBスキャンによって、それぞれ水平偏光成分及び垂直偏光成分に対応する2枚のA−Bスキャン画像(A方向は試料の深さ方向)が得られる。
【0042】
上記のとおり、1回のBスキャンの間に、偏光ビームの偏光の連続的な変調を複数周期行うが、各周期(1周期)の連続的な変調の間に2つのラインCCDカメラ22、23で検出した水平偏光成分および垂直偏光成分それぞれの偏光情報が1画素分の偏光情報となる。1周期の連続的な変調の間に2つのラインCCDカメラ22、23で偏光情報を検出タイミング信号に同期して行い、1周期に検出回数(取込回数)を、4回、8回等、適宜決めればよい。
【0043】
このようにして1回のBスキャンの間に得た2枚のA−Bスキャン画像のデータを、Bスキャン方向に1次元フーリエ変換を行う。すると、0次、1次、−1次のピークが出る。ここで、0次のピークをそれぞれ抽出し、そのデータのみを用いて逆フーリエ変換すると、H0、V0画像が得られる。同様に、1次のピークをそれぞれ抽出し、そのデータのみを用いて逆フーリエ変換すると、H1、V1画像が得られる。
【0044】
H0、H1画像から、試料17の偏光特性であるジョーンズマトリックスの成分のうち、J(1,1)およびJ(1,2)を求める事ができる。そして、V0、V1画像から、試料17の偏光特性である式(1)のジョーンズマトリックスの成分のうち、J(2,1)およびJ(2,2)を求める事ができる。
【0045】
このようにして、1回のBスキャンにおついて4つの偏光特性を含む情報が得られる。そして、この4つの情報をそれぞれ、通常のFD−OCTと同様にAスキャン方向にフーリエ変換すると、1次のピークが試料17の深さ方向の情報を有し、しかもそれぞれ偏光特性に応じた4枚のA−B画像が得られる。
【0046】
(特徴的構成)
本発明に係る光画像計測装置における画像情報の解析及び組織判別可視化装置(以下、単に「画像解析組織判別可視化装置」という)は、以上のとおりの全体構成を備えた偏光感受光画像計測装置において、CCDカメラで取得した試料の偏光特性(複屈折)に応じた画像(断層像)の画像情報から、付加的なデータなしに、画像に含まれる情報を用いて画像を解析し、組織判別可能なように可視化できる画像処理を行う構成を特徴とするものであり、これにより、試料についてその組織の画像特性に対する事前の知識なくても、特定組織を判別表示することが可能となる。
【0047】
この画像解析組織判別可視化装置の基本的な原理は、次のとおりである。上記偏光感受光画像計測装置で取得できた2次元の断層像(深さ方向と、深さ方向に垂直な方向の2つの次元から成る画像)について、画像の複数の点について画像に含まれる情報を、断層像の画像情報から抽出し、画像の各点と抽出情報を相関づける構成を特徴とする。
【0048】
この相関付けをするには、画像に含まれる情報として、複数のパラメータから2つのパラメータを選択し、画像の多数の点から抽出した2つのパラメータの物理量の値をxy座標上にそれぞれプロットすることにより行われる。3つ以上のパラメータを用いることも可能であり、その場合プロットする空間は3次元以上となる。
【0049】
このような画像の各点と抽出情報を相関づける構成により、予め既存の試料について抽出情報を相関づけして試料を判別するための基準を設定しておき、被計測試料について画像の各点と抽出情報を相関づけして、上記基準を利用して、被計測試料の判別及び可視化を可能とする。
【0050】
この画像解析組織判別可視化装置は、具体的には、図2に示すように、入力部、出力部、記憶装置及びCPUを備えたコンピュータが利用される。光画像計測装置で取得された試料の断層像の画像情報は、入力部に入力される。CPUは、記憶装置に搭載された所定のアルゴリズムに基づくソフトに従って、次のような機能を発揮する手段として動作する。
【0051】
CPUがソフトに従って機能する手段は、次のとおりである。
(1)試料の断層像に含まれる組織の特性を示す複数種類のパラメータである物理量の中から選択された所定の2種類以上のパラメータである物理量の値(以下、「パラメータ値」という)を、断層像の複数の点に対応し画像情報から抽出する手段(以下、「抽出手段」という)。
(2)抽出されたパラメータ値を、複数のパラメータである物理量を規定する座標上にプロットする手段(以下、「プロット手段」という)。
(3)基準となる試料の断層像について、プロット手段でパラメータ値がプロットされた複数の点をプロット群に分類(分離)する基準を設定する手段(以下、「基準設定手段」という)。
(4)被計測試料の断層像について、プロット手段でパラメータ値がプロットされた複数の点を、前記基準で分類する手段(以下、「分類手段」という)。
(5)分類された前記複数の点に対応した断層像の領域(試料の部位)にカラーを付し可視化する手段(以下、「可視化手段」という)。
【0052】
このような手段によって、本発明の画像解析組織判別可視化装置は、断層像の画像情報から、2種類以上のパラメータである物理量の値を抽出し、これをプロットした複数の点を、基準線で分類し、該分類に対応するカラー情報を付し、該複数の点に対応する断層像の領域にカラーを付して断層像をカラー化する画像処理を行うものである。この画像処理された信号は出力部から出力装置で可視化することが可能である。本発明の画像解析組織判別可視化装置を、さらに、図3(断層像及び座標を示す模式図)及び図4(フロー図)で説明する。
【0053】
既知の基準となる試料(予め組織の内容、分布などの知られた試料であり、「基準試料」という。)について上記の偏光感受光画像計測装置によって、断層像の画像情報を取得し(図4(a)の(ア))、画像解析組織判別可視化装置(コンピュータ)に入力される(図4(a)の(イ))。
【0054】
画像解析組織判別可視化装置の抽出手段は、この基準試料の断層像の画像情報から、予め組織の内容、分布などの知られた領域(A領域及びB領域にそれぞれ対応する試料の部位の組織、構造等が既知である。)も含めて断層像の複数の点について、断層像パラメータIとパラメータIIの値(物理量の値)を抽出する(図3(a)、(b)、図4(a)の(ウ))。
【0055】
プロット手段は、各点について抽出した2つのパラメータの値(パラメータIの値、パラメータIIの値)をx軸(パラメータI)とy軸(パラメータII)の座標(xy座標)上にプロットし、xy座標上に2つのパラメータ値プロットしたxy座標データを取得する(図3(b)、図4(a)の(エ))。
【0056】
基準設定手段は、既知の試料について、その断層像の画像情報から抽出したパラメータI、IIの値を、それぞれxy座標上にプロットして得られたxy座標データについて、プロットした複数の点を線引きし、断層像のA領域に対応するプロット群A’とB領域に対応するプロット群B’とに分類(分離)するための基準線を設定する(図3(c)、図4(a)の(オ))。その基準線は、直線、折れ線又は曲線でもよい。
【0057】
以上は、本発明の画像解析組織判別可視化装置の各手段が、基準試料の断層像の画像情報からパラメータ値を抽出し、それらをxy座標上にプロットして、これらをプロット群に分類するための基準線を設定する画像解析組織判別可視化のための準備処理行う機能である。
【0058】
このような準備処理が予めなされた上で、本発明の画像解析組織判別可視化装置によって被計測試料(組織の分布など未知な試料)を計測する場合は、その被計測試料について、偏光感受光画像計測装置によって、断層像の画像情報を取得し、画像解析組織判別可視化装置(コンピュータ)に入力される(図4(b)の(ア’)、(イ’))。
【0059】
画像解析組織判別可視化装置の抽出手段は、この被計測試料の断層像について、その断層像の画像情報から、パラメータIとパラメータIIの値(物理量の値)を抽出する(図3(d)、(e)、図4(b)の(ウ’))。
【0060】
プロット手段は、被計測試料の断層像の各点について抽出した2つのパラメータI、IIの値を、x軸(パラメータI)とy軸(パラメータII)の座標上にプロットし、xy座標上に2つのパラメータ値をプロットしたxy座標データを取得する(図3(e)、図4(b)の(エ’))。
【0061】
分類手段は、このxy座標上において上記基準線によりプロット群に分類する(図3(f)、図4(b)の(オ’))。この分類されたプロット群A’、B’に対応する断層像の領域が、既知のA領域(部位)の組織、B領域(部位)の組織に対応する。
【0062】
可視化手段は、基準線で分類されたxy座標データ上のプロット群A’、B’に属する各点にカラー情報を付して、このカラー情報に基づき、xy座標データ上の各点に対応する断層像の各領域を着色する(図3(g)、図4(b)の(カ’)、(キ’))。なお、カラー情報は、予め、基準線で分類されたプロット群毎に対応する色が記憶装置に記憶しておく。
【0063】
このように、断層像の各領域A、B毎に着色されると、A領域及びB領域のそれぞれが明確となり、組織判別のための可視化が可能となる。本発明の画像解析組織判別可視化装置は、このような構成であるから、被計測試料についてその組織の画像特性に対する事前知識なくても、特定組織を判別表示することが可能となる。
【0064】
ここで、断層像の特徴を表す画像情報に含まれるパラメータとなる物理量について説明する。パラメータとなる物理量は、例えば、次のようなものがある。
(1)画素強度(intensity)
画素強度としては、1画素の強度としてもよいが、5画素×5画素の局所的な平均強度であってもよい。また、平均強度と注目している画素の強度差である局所的なコントラストであってもよい。
(2)画像強度の傾斜量(深さ方向の微分値)
【0065】
(3)局所複屈折量(local birefringence)
表面から深さ方向の所定箇所までの複屈折量(位相遅延量)の累積量ではなく、所定箇所を含む局所領域の複屈折量(位相遅延量)である。
(4)複屈折量(位相遅延量)の傾斜量(深さ方向の微分値)
具体的には、位相遅延量の局所的傾斜量(深さ方向の微分値)である。
【0066】
(5)位相遅延量の局所的傾斜量(深さ方向の微分値)の最小自乗フィッティング誤差の標準偏差
(6)複屈折の局所コントラスト
(7)光学軸の方向(axis of orientation)
(8)2色性(diattenuation)
【0067】
上記物理量それぞれについて、「物理量そのもの」、あるいは、「局所領域平均」、「分散」、「高次の分散」、「分布の尖度(kurtosis)」及び「分布の歪度(skewness)」のいずれかの統計処理をほどこしたものが、試料のテクスチャーの特徴(試料の組織の模様、特性等の特徴)を抽出するパラメータとなる。
【0068】
(作用)
本発明に係る光画像計測装置における画像情報の解析組織判別可視化装置の作用を、以下説明する。ここでは、画像処理する断層像の画像情報は、光画像計測装置により取得し、画像解析組織判別可視化装置(コンピュータ)に入力されるものとし(図4(a)の(ア)、(イ)、図4(b)の(ア’)、(イ’))、画像解析組織判別可視化装置による画像解析及び組織判別可視化のプロセスを中心に説明する。
【0069】
(1)上記のような複数のパラメータの中から、断層像の画像情報からみて、計測対象とする試料に応じて、その組織、構造(テクスチャー)の特徴をよく表しており、組織判別のために適した2つのパラメータI、IIを予め選択する。なお、選択されるべき対象となる可能性のあるパラメータ(上記(1)〜(8)のパラメータ等)については、選択項目として画像解析組織判別可視化装置(コンピュータ)の記憶装置に記憶させておく。
【0070】
(2)被計測対象である試料の基準となる試料(基準試料。例えば、人の目を被計測試料とする場合は、健康な人の目等)について組織が既知の断層像の部分を選択し、この部分を含めて断層像の多数の点について、それぞれ予め選択された上記2つのパラメータI、IIの値を、抽出手段によって、断層像の画像情報から抽出する(図4(a)の(ウ))。
【0071】
(3)多数の点についての2つのパラメータI、IIに関する抽出された値を、プロット手段によって、それぞれx軸(横軸)及びy軸(縦軸)上にプロットする(図4(a)の(エ))。
【0072】
(4)x軸(横軸)及びy軸(縦軸)上にプロットされた点の分布状態に基づいて、基準設定手段は、プロットされた複数の点を、線引きしてプロット群A’、B’に分類(分離)できる基準線を設定する(図4(a)の(オ))。
【0073】
(5)被計測対象である試料について、光画像計測装置で取得した断層像の画像情報を画像解析組織判別可視化装置に入力し(図4(b)の(ア’)、(イ’))、上記基準試料と同様な2つのパラメータI、IIの値を断層像の画像情報から抽出し、それぞれプロット手段によって、xy座標上にプロットする(図4(b)の(エ’))。
【0074】
(6)上記基準線に基づいて、xy座標上にプロットされたパラメータI、IIの抽出値のxy座標データについて、分類手段により基準線でプロット群A’、B’に分類する(図4(b)の(オ’))。
【0075】
(7)分類されたプロット群A’、B’のそれぞれの点について、可視化手段によって、予めプロット群毎に決められ記憶装置に記憶されているカラー情報を付与させる。そして、このカラー情報が付与された各点に対応する断層像の各領域についてカラー情報を付与し断層像を着色すれば、分類された組織のそれぞれの点及び領域に疑似カラーが付与された断層像を得られ、組織の画像解析及び可視化判別にきわめて有用となる(図4(b)の(キ’)。
【0076】
ところで、以上の説明では複数のパラメータから利用者が試料の組織の判別に適した2つのパラメータを選択した例について説明したが、画像解析組織判別可視化装置においては、パラメータは、基準試料について組織の特徴をより明確にするために自動的に、複数決定してもよい。
【0077】
すなわち、試料の断層像を画像情報によって自動的に解析し、計測対象とする試料について、断層像のテクスチャーの特徴をよく表しており、組織判別のために適した複数のパラメータを自動的に決定する自動決定手段で行ってもよい。この自動決定手段も、具体的には、所定のアルゴリズムに基づいて、コンピュータの演算機能を利用して行うものであり、その機能で特徴付けられる構成は、次のとおりである。
【0078】
(1)この自動決定手段では、基準試料の断層像の多数の点について、その画像情報から、全て又は特徴的なパラメータについて、それぞれパラメータ値を抽出し、多次元空間にプロットする。
【0079】
(2)3次元試料内の各点(あるいはその点を中心とする3次元ボリューム)はこの多次元空間の1点にプロット(写像)される。試料の特徴の構造解析(テクスチャー解析)を行い、独立した特徴を認識(perception)する。類似のテクスチャーに共通し、異なるテクスチャーを分類するような(複数の)最適なパラメータを自動的に選択する。このようにして選択されたパラメータを、最適な分離パラメータとし、分類のためのパラメータの値の境界(2次元空間であれば直線、多次元空間であれば多角形など)を決める。
【0080】
(3)その際、ニューラル・ネットワーク(NN)、遺伝的アルゴリズム(GA)、シミュレーテッドアニーリング(SA)などの非線形弁別アルゴリズムを用いてもよい。ニューラル・ネットワークは、 人間の脳の仕組みを模倣した情報処理アルゴリズムであり予めプログラムを書くことなしに最適な解を得られる手段である。遺伝的アルゴリズムは解の候補を遺伝子で表現した「個体」を複数用意し、適応度の高い個体を優先的に選択して組み換え・突然変異などの操作を繰り返しながら解を探索する手段で状況に適応した最適解を得る手段である。シミュレーティド・アニーリングは、膨大なパラメータを最適化する確率的アルゴリズムであり、広大な探索空間内の与えられた関数の大域的最適解を求める手段である。
【0081】
(4)被計測試料について基準試料と同様にして断層像の画像情報から、その多数の点について、それぞれパラメータ値を抽出し、多次元空間にプロットする。
【0082】
(5)この多次元空間にプロットされた多数のパラメータ値の点を、上記自動的に決定された基準によりプロット群に分類し、分類された各点についてプロット群に対応するカラーを付与し、これを断層像に適用し疑似カラー表示することができる。
【0083】
(計測例)
本発明に係る光画像計測装置における画像情報の解析組織判別可視化装置による計測例を、以下説明する。試料(基準試料、被計測試料)は、解剖学的に人の目の結膜と強膜である。
【0084】
図5(a)は、パラメータとして、「複屈折の局所的平均(BR)」と「消衰係数の局所的平均(EC)」を採用し、それぞれ横軸と縦軸にとる。図5(b)は、基準となる試料(人の目)の結膜と強膜の断層像である、この基準試料の断層像における組織分布は、予めの知れたものである。
【0085】
この図5(b)の断層像の多数の点について、その画像情報から「複屈折の局所的平均(BR)」と「消衰係数の局所的平均(EC)」の値を抽出し、横軸及び縦軸にプロットした図を、図5(a)に示す。この図5(a)中、プロットした点が密なプロット群と、疎なプロット群を分類する基準線を設定する。この基準線で分けられるそれぞれの領域に属する「複屈折の局所的平均(BR)」と「消衰係数の局所的平均(EC)」の値を有する点について、同じ領域内の点については、同じカラーを付した。
【0086】
そして、組織の状態を計測すべき2つの被計測試料について、それぞれ光画像計測装置で断層像を取得し、その画像情報を画像解析組織判別可視化装置に入力して、「複屈折の局所的平均(BR)」と「消衰係数の局所的平均(EC)」の値を抽出し、図5(a)と同様にプロットして、これに基準線を適用して分類し、断層像の領域(部位)毎にカラーを付して、断層像をカラー化した図が、それぞれ図5(c)及び図5(d)である。
【0087】
この図5(c)及び図5(d)ではカラー状態が把握できないが、実際は、結膜と強膜の部分が明確に着色されて、断層像において、可視化でき判別可能となる。
【0088】
図6は、図5の場合と同様に、試料(基準試料、被計測試料)は、解剖学的に人の目の結膜と強膜であるが、2つのパラメータを、「複屈折の局所的平均(BR)」と「複屈折の局所的なフィッティングエラーの標準偏差(εBR)」であり、これを横軸と縦軸にしてプロットしてカラー化した図である。
【0089】
図6(b)は、基準試料の断層像であり、図6(a)は基準試料のパラメータ値のプロット図であり、図6(c)、(d)は、基準試料の基準によりカラー化した2つの被計測試料の断層像を示す。この図6(c)、(d)によっても、2つのパラメータにより、結膜と強膜の境界が明確になり、着色された断層像において、可視化でき判別可能となる。
【0090】
以上、本発明に係る光画像計測装置における画像情報の解析組織判別可視化装置を実施するための最良の形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明に係る光画像計測装置における画像情報の解析組織判別可視化装置は、試料についてその組織の画像特性に対する事前知識なくても、特定組織を判別表示することが可能であるから、眼科における網膜の可視化や、歯科におけるエナメル質の検査等、きめ細かい検査を要する医療分野等に最適である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明に係る光画像計測装置における画像情報の解析組織判別可視化装置の全体構成を示す図である。
【図2】本発明の画像情報の解析組織判別可視化装置の構成を説明する図である。
【図3】本発明の構成、機能を説明するための模式図である。
【図4】本発明の構成、機能を説明するためのフロー図である。
【図5】本発明の計測例を説明する図である。
【図6】本発明の別の計測例を説明する図である。
【図7】OCTの基本的な構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0093】
1 偏光感受光画像計測装置
2 光源
3、12 偏光子
4 EO変調器(偏光変調器、電気光学変調器)
5 ファイバーカプラー(光カプラー)
6 参照アーム
7 試料アーム
8 分光器
9 ファイバー
10、15、18 偏波コントローラ(polarization controller)
11 コリメートレンズ
13 集光レンズ
14 参照鏡(固定鏡)
16 ガルバノ鏡
17 試料
19 回折格子
20 フーリエ変換レンズ
21 偏光ビームスプリッター
22、23 光検出器(ラインCCDカメラ)
24 固定鏡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光画像計測装置において、取得した試料の断層像の画像情報を画像処理装置に入力して、断層像の画像情報に含まれる情報を用いて画像を解析し、組織判別可能なように可視化を行う画像解析及び組織判別可視化装置であって、
試料の断層像に含まれる組織の特性を示す複数種類のパラメータである物理量の中から選択された所定の2種類以上のパラメータである物理量の値を、断層像の複数の点に対応し該断層像の画像情報から抽出する抽出手段と、
該抽出された前記2種類以上のパラメータである物理量の値を、前記2種類以上のパラメータである物理量を規定する座標上に、点としてプロットするプロット手段と、
基準となる試料の断層像の画像情報から前記抽出手段で抽出し、前記プロット手段でプロットされた複数の点を分類する基準線を設定する基準設定手段と、
前記基準線で前記複数の点を分類する手段と、
分類された前記複数の点について、それぞれ該分類に対応したカラー情報を付し、該カラー情報を付された前記複数の点に対応する断層像の領域にカラーを付す可視化手段と、を備えており、
被計測試料の断層像の画像情報から前記抽出手段で前記2種類以上のパラメータである物理量の値を抽出し、これを前記プロット手段でプロットした複数の点を、前記基準線で分類し、該分類に対応するカラー情報を付し、該複数の点に対応する断層像の領域にカラーを付して断層像をカラー化する構成であることを特徴とする光画像計測装置における画像情報の解析及び組織判別可視化装置。
【請求項2】
光画像計測装置は、偏光感受光画像計測装置であることを特徴とする請求項1記載の光画像計測装置における画像情報の解析及び組織判別可視化装置。
【請求項3】
前記パラメータである物理量は2種類以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の光画像計測装置における画像情報の解析及び組織判別可視化装置。
【請求項4】
前記パラメータである物理量は、画素強度、画像強度の深さ方向の微分値、局所複屈折量、複屈折量の深さ方向の微分値、位相遅延量の深さ方向の微分値の最小自乗フィッティング誤差の標準偏差、複屈折の局所コントラスト及び光学軸の方向から選択された少なくとも2種類の物理量であることを特徴とする請求項1又は2記載の光画像計測装置における画像情報の解析及び組織判別可視化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−151685(P2010−151685A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331434(P2008−331434)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度〜平成19年度、文部科学省、先端計測分析技術・機器開発事業に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504171134)国立大学法人 筑波大学 (510)
【Fターム(参考)】