説明

光硬化性重合体組成物およびそれを用いた表示素子

【課題】光硬化性組成物に対して一般的に求められている感度、塗布均一性、現像性、耐熱性、保存安定性等の特性を満足し、かつ、プロキシミティー露光においてマスクサイズと略同じ大きさのパターンを形成できる、高精細液晶ディスプレイや携帯電話用ディスプレイのスペーサー用として最適な光硬化性重合体組成物を提供すること。
【解決手段】上記課題は、アルカリ可溶性重合体(A)、重合性二重結合を有する化合物(B)、式(2)で表される化合物を含む光重合開始剤(C)および溶媒(D)を含有する光硬化性重合体組成物であって、上記成分(A)および(C)の構造を特定したことを特徴とする組成物、それを用いて製造される透明膜またはスペーサー等によって達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示素子やEL表示素子などを製造するための光硬化性重合体組成物、該組成物から製造した透明膜またはスペーサー、および該透明膜または該スペーサーを含む表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
パターン化された透明膜は、スペーサー、絶縁膜、保護膜など液晶表示素子の多くの部分で使用されており、これまでに多くの光硬化性重合体組成物がこの用途に提案されてきた(例えば、特開2001−261761号公報(特許文献1)、特開2001−324809号公報(特許文献2)、特開2004−240241号公報(特許文献3)、特開2004−264384号公報(特許文献4)、特開2004−287232号公報(特許文献5)を参照)。特に近年では、高精細液晶ディスプレイや携帯電話用ディスプレイの需要が高まっていることにより、スペーサーの用途において直径10μM以下の小さなパターンが求められるようになっている。液晶ディスプレイの生産ラインで一般的に使用されるプロキシミティー露光機は、光の平行度が悪いためマスクサイズよりもパターンサイズの方が大きくなってしまうという欠点があり、このため小さなパターンを形成することが難しかった。また、高感度の光硬化性重合体組成物ではこの傾向がよりいっそう顕著であり、高感度と小さなパターンを両立させることは非常に難しい問題であった。
【特許文献1】特開2001−261761号公報
【特許文献2】特開2001−324809号公報
【特許文献3】特開2004−240241号公報
【特許文献4】特開2004−264384号公報
【特許文献5】特開2004−287232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記状況を考慮して、光硬化性組成物に対して一般的に求められている感度、塗布均一性、現像性、耐熱性、保存安定性等の特性を満足し、かつ、プロキシミティー露光においてマスクサイズと略同じ大きさのパターンを形成できる、高精細液晶ディスプレイや携帯電話用ディスプレイのスペーサー用として最適な光硬化性組成物の開発が望まれている。また、該透明膜または該スペーサーを含む表示素子の開発も望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者等は、アルカリ可溶性重合体(A)、重合性二重結合を有する化合物(B)、光重合開始剤(C)、および溶媒(D)を含有する光硬化性重合体組成物において、アルカリ可溶性重合体(A)の構造および、光重合開始剤(C)の構造を特定することにより、感度と、小さなパターン形成を両立させることができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。本発明は以下のような光硬化性重合体組成物、それを用いて製造される透明膜またはスペーサー等を提供する。
【0005】
[1] 下記式(1)
【化3】

(式中、R1は水素またはメチルであり;R2は水素、炭素数1〜5のアルキル、炭素数2〜5のアルケニルまたは炭素数2〜5のアルキニルであり;Nは1〜5の整数であり、Mは1〜6の整数である。)
で表されるラジカル重合性モノマー(A1)、カルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(A2)およびその他のラジカル重合性モノマー(A3)含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られるアルカリ可溶性重合体(A)、重合性二重結合を有する化合物(B)、下記式(2)
【化4】

(式中、R11、R12、R13はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜5のアルキル、炭素数2〜5のアルケニルまたは炭素数2〜5のアルキニルであり;R14は炭素数1〜15のアルキル、炭素数2〜15のアルケニルまたは炭素数2〜15のアルキニルであり、Lはそれぞれ独立して1〜5の整数である。)
で表される化合物を含む光重合開始剤(C)、および溶媒(D)を含有する光硬化性重合体組成物。
【0006】
[2] アルカリ可溶性重合体(A)が、全てのモノマーの総重量に対し、成分(A1)を1〜50重量%、成分(A2)を5〜50重量%、成分(A3)を10〜90重量%含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られた共重合体である、上記[1]に記載の光硬化性重合体組成物。
[3] アルカリ可溶性重合体(A)が、全てのモノマーの総重量に対し、成分(A1)を1〜50重量%、成分(A2)を5〜50重量%、エポキシ基またはオキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(A3’)を5〜70重量%、その他のラジカル重合性モノマー(A3’’)を10〜90重量%含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られた共重合体である、上記[1または上記[2]に記載の光硬化性重合体組成物。
[4] アルカリ可溶性重合体(A)が、全てのモノマーの総重量に対し、成分(A1)を8〜20重量%、成分(A2)を7〜15重量%、成分(A3’)を15〜50重量%、成分(A3’’)を20〜70重量%含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られた共重合体である、上記[3]に記載の光硬化性重合体組成物。
【0007】
[5] 光重合開始剤(C)が、式(2)で表される化合物を20重量%以上含有する光重合開始剤の混合物である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の光硬化性重合体組成物。
[6] アルカリ可溶性重合体(A)が、成分(A1)として、式(1)で表される化合物(ただし、N=1または2であり、R1、R2は水素であり、Mは6である。)から選ばれる1種以上を、成分(A2)としてメタクリル酸を、成分(A3’)として3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタンおよびグリシジルメタクリレートから選ばれる1種以上を、成分(A3’’)としてベンジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよびN−フェニルマレイミドから選ばれる1種以上を含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られた共重合体である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の光硬化性重合体組成物。
[7] 重合性二重結合を有する化合物(B)が、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、およびトリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレートからなる群から選ばれる1種以上である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の光硬化性重合体組成物。
[8] 光重合開始剤(C)が、式(2)の化合物の他に3,3′,4,4′−テトラ(T−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有している、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の光硬化性重合体組成物。
【0008】
[9] 上記[1]〜[8]のいずれかに記載の光硬化性重合体組成物を用いて製造された透明膜。
[10] 上記[1]〜[8]のいずれかに記載の光硬化性重合体組成物を用いて製造されたスペーサー。
[11] 上記[9]に記載の透明膜を含む表示素子。
[12] 上記[10]に記載のスペーサーを含む表示素子。
【0009】
本明細書中、アクリル酸とメタクリル酸の両者を示すために「(メタ)アクリル酸」のように表記することがある。
本明細書中、「アルキル基」とは、直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、N−ブチル基、T−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。
本明細書中、「アルケニル基」としては、1〜3個の2重結合を有する直鎖または分岐鎖のアルケニル基が挙げられ,具体的には、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−メチルエテニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−2−プロペニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、4−ペンテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、1−ヘプテニル、2−ヘプテニル、1−オクテニル、2−オクテニル、1,3−オクタジエニル、2−ノネニル、1,3−ノナジエニル、2−デセニル等が挙げられる。
「アルキニル基」としては、1〜3個の3重結合を有する直鎖または分岐鎖のアルキニル基が挙げられ、具体的には、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、4−ペンチニル、1−オクチニル、6−メチル−1−ヘプチニル、2−デシニル等が挙げられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の好ましい態様に係る光硬化性重合体組成物は、例えば、重合体組成物に対して一般的に求められている高感度、塗布均一性、現像性、耐熱性、保存安定性等の特性を満足し、かつ、プロキシミティー露光においてマスクサイズと略同じ大きさのパターンを形成できる。したがって、そのような光硬化性重合体組成物は、高精細液晶ディスプレイや携帯電話用ディスプレイのスペーサー用として最適である。また、該スペーサーを用いることにより、光抜け等の欠陥が少なくなり、高精細な液晶パネル歩留まりよく製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
1 本発明の光硬化性重合体組成物
本発明の第1の態様は、上記式(1)で表されるラジカル重合性モノマー(A1)、カルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(A2)およびその他のラジカル重合性モノマー(A3)含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られるアルカリ可溶性重合体(A)、重合性二重結合を有する化合物(B)、上記式(2)で表される化合物を含む光重合開始剤(C)、および溶媒(D)を含有する光硬化性重合体組成物に関する。
以下、本発明の光硬化性重合体組成物の成分である、成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)について順次説明する。
【0012】
1−1 アルカリ可溶性重合体(A)
本発明で用いるアルカリ可溶性重合体(A)は、上記式(1)で表されるラジカル重合性モノマー(A1)、カルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(A2)およびその他のラジカル重合性モノマー(A3)含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られる共重合体である。
以下、ここで用いられる成分(A1)、成分(A2)および成分(A3)について順次説明する。
【0013】
1−1−1 式(1)で表されるラジカル重合性モノマー(A1)
アルカリ可溶性重合体(A)に含有される式(1)で表されるラジカル重合性モノマーは、特に限定されないが、例えば、5−テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルペンチルアクリレートなどの、テトラヒドロフルフリルアルコールをε−カプロラクトンで変性して得られる化合物の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。テトラヒドロフルフリルアルコールをε−カプロラクトンで変性する過程で1つ以上のε−カプロラクトンと反応しうるので、式(1)においてNは1〜5の値をとるが、本発明の効果には影響はない。特に、式(1)で表されるラジカル重合性モノマーとしては、Nが1〜5の整数であり、R1、R2が水素であり、Mが6のものであることが好ましい。これらのラジカル重合性モノマーは1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。このような成分(A1)としては、市販品を用いることもでき、例えば、日本化薬(株)製KAYARAD(商標)TC110Sが好ましく挙げられる。
式(1)で表されるラジカル重合性モノマーを用いると、得られるポリマーの酸価が低くても現像性が良好となる。ポリマーの酸価が低くなると、アルカリ現像液への耐性が増し、現像後の残膜率が高くなり、結果的に高感度の光硬化性重合体組成物を提供することができる。
【0014】
式(1)で表されるラジカル重合性モノマーは、全てのモノマーの総重量に対し1〜50重量%の範囲であることが好ましい。このような範囲であると、本発明の光硬化性重合体組成物を塗布、露光、現像したときに、パターンサイズがマスク寸法に近くなり、かつ、低露光量で所望のパターンを得ることができる。すなわち、高解像度と高感度が両立できる。現像時間と密着性のバランスを考慮すると、式(1)で表されるラジカル重合性モノマーは全てのモノマーの総重量に対し5〜30重量%であるとさらに好ましく、8〜20重量%であると最も好ましい。
【0015】
1−1−2 カルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(A2)
アルカリ可溶性重合体(A)に含有されるカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマーは、そのような官能性基を有する限り特に限定されない。そのようなラジカル重合性モノマーの具体例は、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、けい皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル] 、マレイン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、シクロヘキセン−3,4−ジカルボン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]等である。中でも、(メタ)アクリル酸、コハク酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)が好ましく、特に(メタ)アクリル酸を用いると光硬化性重合体組成物のパターンサイズがマスク寸法に近くなり、透明性が高く、現像残渣が少なく、保存安定性に優れた光硬化性重合体組成物が得られるので一層好ましい。
これらのカルボキシ基を有するラジカル重合性モノマーは単独でも、または2つ以上を混合しても使用することができる。
【0016】
本発明の光硬化性組成物に含有されるアルカリ可溶性重合体(A)の重合に際しては、カルボキシル基を有するラジカル重合性モノマーを、好ましくは、全モノマーの総重量に対して5〜50重量%使用する。この範囲であると、本発明の光硬化性重合体組成物のアルカリ水溶液での現像性が良好となり好ましい。該モノマーの範囲が6〜25重量%であると、パターンサイズがマスク寸法に近くなるため好ましく、7〜15重量%であると高感度であるためより好ましい。
【0017】
1−1−3 その他のラジカル重合性モノマー(A3)
本発明で用いられるその他のラジカル重合性モノマー(A3)は、上記式(1)で表されるラジカル重合性モノマー(A1)およびカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(A2)と共重合可能なラジカル重合性モノマーであれば、特に限定されるものではない。
このようなその他のラジカル重合性モノマー(A3)としては、エポキシ基またはオキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(A3’)が例示される。エポキシ基またはオキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(A3’)として、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタンから選ばれる少なくとも1つを共重合したアルカリ可溶性重合体(A)を用いると、耐熱性、耐薬品性が高くなる。
その他のラジカル重合性モノマー(A3)の1つとしてエポキシ基またはオキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(A3’)が選択された場合、アルカリ可溶性重合体(A)において、エポキシ基またはオキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(A3’)が全モノマーの総重量に対し5〜70重量%の範囲であると、本発明の光硬化性重合体組成物から得られた塗膜の耐薬品性、耐熱性が高くなり好ましい。また、該モノマーの範囲が10〜60%であると耐薬品性、耐熱性が高く、現像時間も適正となりさらに好ましい。また、該モノマーの範囲が15〜50%であると、本発明の光硬化性重合体組成物を塗布、露光、現像したときに、パターンサイズがマスク寸法に近くなるためより好ましい。
【0018】
上記の式(1)で表されるラジカル重合性モノマーおよびカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー、好ましくは、エポキシ基またはオキセタニル基を有するラジカル重合性モノマーとも共重合可能な他のラジカル重合性モノマーの具体例は、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルメチルスチレン、(メタ)アクリルアミド、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、N−フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、N−アクリロイルモルホリン、インデン、等である。
【0019】
これらのモノマーの中でもアルカリ可溶性重合体(A)に含有される他のラジカル重合性モノマーとして、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル(メタ)アクリレート、N−フェニルマレイミド、およびポリスチレンマクロモノマーから選ばれる少なくとも1つを共重合したアルカリ可溶性重合体(A)を用いた光硬化性重合体組成物は、パターンサイズがマスク寸法に近くなり、透明性が高く、保存安定性に優れているので好ましい。
【0020】
これら他のモノマーは、重合体組成物に要求される特性や、その組成物を反応させた生成物である重合体に要求される特性に応じて、モノマー混合物中の割合が10〜90重量%であることが好ましく、20〜70重量%であればさらに好ましい。
【0021】
1−1−4 アルカリ可溶性重合体(A)の重合方法
アルカリ可溶性重合体(A)の重合方法は特に制限されないが、溶媒を用いた溶液中でのラジカル重合が好ましい。重合温度は使用する重合開始剤からラジカルが十分発生する温度であれば特に限定されないが、通常50℃〜150℃の範囲である。重合時間も特に限定されないが、通常3〜24時間の範囲である。また、当該重合は、加圧、減圧または大気圧のいずれの圧力下でも行うことができる。
【0022】
上記の重合反応に使用する溶媒は、式(1)で表される重合性モノマー、カルボキシ基を有するラジカル重合性モノマー、その他の重合性モノマー、および生成するアルカリ可溶性重合体(A)を溶解することが好ましい。い。当該溶媒の具体例は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、2−ブタノン、酢酸エチル、酢酸プロピル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジオキサン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸、水等であり、これらの混合物であってもよい。
【0023】
アルカリ可溶性重合体(A)を合成する際用いる重合開始剤は、熱によりラジカルを発生する化合物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤や、過酸化ベンゾイル等の過酸化物系開始剤を使用することができる。分子量を調節するために、チオグリコール酸等の連鎖移動剤を適量添加してもよい。
【0024】
アルカリ可溶性重合体(A)の酸価は20〜200MGKOH/Gが好ましい。この範囲の酸価であると、未露光部分がアルカリ現像液で溶解されるまでの現像時間が適正となる。さらに、アルカリ可溶性重合体(A)の酸価が25〜150MGKOH/Gであると、現像時間が適正であり、現像時の膜荒れが少なく、一層好ましい。特に、酸価が30〜120MGKOH/Gであるとなお一層好ましい。
【0025】
アルカリ可溶性重合体(A)は、ポリエチレンオキシドを標準としたGPC分析で求めた重量平均分子量が2,000〜100,000の範囲であると、未露光部分がアルカリ現像液で溶解されるまでの現像時間が適正であり、現像時に膜の表面が荒れないので好ましい。さらに、重量平均分子量が3,000〜50,000の範囲であると、未露光部分がアルカリ現像液で溶解されるまでの現像時間が適正であり、現像時に膜の表面が荒れず、現像残渣も無いので、一層好ましい。特に、重量平均分子量が4,000〜20,000の範囲であるとより一層好ましい。
【0026】
1−2 重合性二重結合を有する化合物(B)
本発明の光硬化性組成物に含有される重合性二重結合を有する化合物(B)は、紫外線が照射されることによって、本発明の光重合開始剤(C)との硬化反応が可能な化合物であれば、特に限定されるものではない。
本発明の光硬化性重合体組成物に含有される重合性二重結合を有する化合物の具体例は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、ビス[(メタ)アクリロキシネオペンチルグリコール]アジペート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン,エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン,エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリグルセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、(メタ)アクリル化イソシアヌレート等である。
これらの重合性二重結合を有する化合物は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用してもよい。
【0027】
これらの重合性二重結合を有する化合物の中でも、本発明の光硬化性組成物に含有される重合性二重結合を有する化合物(B)として、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジグリセリンテトラアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキシド変性トリアクリレート、またはこれらの混合物を用いるとは光硬化性組成物の硬化速度が早くなり好ましい。
【0028】
重合性二重結合を有する化合物(B)は現像時の接着性にも大きく影響する。重合性二重結合を3個以上有する化合物を、重合性二重結合を有する化合物(B)の全重量に対して20重量%以上含有するように調製すると、現像時の接着性が向上するので好ましい。
【0029】
重合性二重結合を有する化合物(B)はパターンサイズにも大きく影響する。中でもペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートを、重合性二重結合を有する化合物(B)の全重量に対して20重量%以上含有するように調製すると、光硬化性重合体組成物のパターンサイズがマスク寸法に近くなるので、より一層好ましい。
【0030】
1−3 光重合開始剤(C)
本発明の光硬化性組成物に含有される本発明の光重合開始剤(C)は、本発明の重合性二重結合を有する化合物(B)との硬化反応が可能な化合物であれば、特に限定されるものではない。本発明の光硬化性組成物に含有される光重合開始剤(C)として、例えば、上記式(2)の化合物が例示される。
光重合開始剤(C)として用いられる上記式(2)式の化合物としては、例えば、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル−2−[O−(4−メチルベンゾイル)オキシム]、1,2−ブタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル−2−[O−(4−メチルベンゾイル)オキシム]、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル−2−[O−(4−エチルベンゾイル)オキシム]、1,2−ブタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル−2−[O−(4−エチルベンゾイル)オキシム]、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)等が挙げられるが、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)が特に好ましい。本化合物はチバスペシャリティーケミカルズ(株)製IRGACURE(商標)OXE01として市販されている。
【0031】
式(2)の化合物が光重合開始剤(C)の全重量に対し20重量%以上であると、パターンサイズがマスク寸法に近くなり好ましい。また、全重量に対し50重量%以上であるとより好ましい。光重合開始剤(C)が上記一般式(2)の化合物からなるものでもよい。また、光重合開始剤(C)は上記一般式(2)の化合物を単独または2つ以上を含んでも良い。
【0032】
式(2)の化合物と混合して用いられる光重合開始剤の具体例は、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4′−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4′−ジ(T−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4′−トリ(T−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−(4′−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−(3′,4′−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−(2′,4′−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−(2′−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−(4′−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、4−[P−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−S−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2′−クロロフェニル)−S−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4′−メトキシフェニル)−S−トリアジン、2−(P−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(P−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3′−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(O−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−N−ドデシルカルバゾール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、3,3′,4,4′−テトラ(T−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(T−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジ(メトキシカルボニル)−4,4′−ジ(T−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4′−ジ(メトキシカルボニル)−4,3′−ジ(T−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4′−ジ(メトキシカルボニル)−3,3′−ジ(T−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、1,2−ブタンジオン−[4−(メチルチオ)フェニル−2−(O−オキシムアセテート)、1,2−ブタンジオン−1−(4−モルフォリノフェニル)−2−(O−ベンゾイルオキシム)等である。これらの化合物は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用することも有効である。
【0033】
光重合開始剤(C)が、上記式(2)の化合物とその他の光重合開始剤との混合物である場合、その他の光重合開始剤が、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、3,3′,4,4′−テトラ(T−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジ(メトキシカルボニル)−4,4′−ジ(T−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4′−ジ(メトキシカルボニル)−4,3′−ジ(T−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4′−ジ(メトキシカルボニル)−3,3′−ジ(T−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、1,2−ブタンジオン−[4−(メチルチオ)フェニル−2−(O−オキシムアセテート)、1,2−ブタンジオン−1−(4−モルフォリノフェニル)−2−(O−ベンゾイルオキシム)から選ばれる化合物であると、高感度とパターンサイズがマスク寸法に近くなることを両立できるため、好ましい。上記式(2)の化合物の他の光重合開始剤は、2つ以上を混合して用いてもよい。
【0034】
1−5 溶媒(D)
本発明で用いる溶媒(D)は、沸点が100℃〜200℃である化合物の少なくとも1つ、またはこの化合物を20重量%以上含有する混合溶媒であることが好ましい。沸点が100℃〜200℃である化合物の具体例は、水、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トルエン、キシレン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド等である。
【0035】
これらの溶媒の中でも、光硬化性重合体組成物に含まれる溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、および乳酸エチルから選ばれる少なくとも1つを用いると、塗布均一性が高くなるのでより好ましい。特にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、および乳酸エチルから選ばれる少なくとも1つを用いると、光硬化性重合体組成物は塗布均一性が高く、人体への安全性が高くなるため、より一層好ましい。
【0036】
1−5 光硬化性重合体組成物の組成
本発明の光硬化性重合体組成物において、重合性二重結合を有する化合物(B)と光重合開始剤(C)の重量比は、アルカリ可溶性重合体(A)100に対し、重合性二重結合を有する化合物(B)が20〜200、光重合開始剤(C)が1〜40であることが好ましい。また、固形分濃度が10〜50重量%となるように溶媒(D)が配合されることが好ましい。
【0037】
本発明の光硬化性重合体組成物には、解像度、塗布均一性、現像性、接着性を向上させるために、各種の添加剤を添加することができる。添加剤の例は、アクリル系、スチレン系、ポリエチレンイミン系もしくはウレタン系の高分子分散剤、アニオン系、カチオン系、ノニオン系もしくはフッ素系の界面活性剤、シリコン樹脂等の塗布性向上剤、シランカップリング剤等の密着性向上剤、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤、ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤、エポキシ化合物、メラミン化合物もしくはビスアジド化合物等の熱架橋剤、有機カルボン酸等のアルカリ溶解性促進剤、等である。
【0038】
添加剤の具体例は、EFKA−745、EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(商標、以上、森下産業製)、ソルスパーズ(商標)3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、20000、24000、24000GR、26000、28000、32000(以上、ゼネカ製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(以上いずれも商標、サンノプコ製)、ポリフローNO.75、ポリフローNO.90、ポリフローNO.95(以上いずれも商標、共栄社油脂化学工業製)、ディスパーベイク(DISPERBYK)161、同(DISPERBYK)162、同(DISPERBYK)163、同(DISPERBYK)164、同(DISPERBYK)166、同(DISPERBYK)170、同(DISPERBYK)180、同(DISPERBYK)181、同(DISPERBYK)182(以上いずれも商標、ビックケミー製)、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオルアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、フルオロアルキルアミノスルホン酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンオレレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ビックケミー(株)製BYK300、同BYK310、同BYK320、同BYK330、同BYK346、共栄社化学(株)製ポリフローNO.45、同ポリフローKL−245等であり、これらから選ばれる少なくとも1つを用いることが好ましい。
【0039】
これらの添加剤の中でも、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオルアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、フルオロアルキルアミノスルホン酸塩のなかから選ばれる少なくとも1種が添加されると、光硬化性組成物の塗布均一性が高くなるので好ましい。
【0040】
本発明の光硬化性重合体組成物には、耐熱性、耐薬品性を向上させるために、エポキシ基含有ポリマーを添加してもよい。エポキシ基含有ポリマーの具体例は、グリシジルメタクリレートのホモポリマーおよびグリシジルメタクリレートと他のラジカル重合可能な単官能モノマーとの共重合体が、耐熱性、耐薬品性が高く、現像性が良好で好ましい。特に、グリシジルメタクリレートとメチルメタクリレートの共重合体およびグリシジルメタクリレートとN−フェニルマレイミドの共重合体は、耐熱性、耐薬品性が高く、現像性が良好で一層好ましい。
なお、本発明の光硬化性重合体組成物に添加される、エポキシ基含有ポリマーは、本発明の光硬化性組成物に含まれるアルカリ可溶性重合体(A)に含有される、エポキシ基またはオキセタニル基を有するラジカル重合性モノマーとの共重合体以外のものである。
【0041】
エポキシ基含有ポリマーのGPC分析(ポリエチレンオキシド標準)で求めた重量平均分子量は、2,000〜70,000の範囲であると耐熱性、耐薬品性が高く、好ましい。さらに、重量平均分子量が3,000〜30,000の範囲であると、耐熱性、耐薬品性が高く、現像時間が適正であり、一層好ましい。
【0042】
本発明の光硬化性重合体組成物には、無水トリメリト酸、無水フタル酸、等の多価カルボン酸を添加してもよい。多価カルボン酸のカルボキシル基は、加熱によりオキセタン基と反応して、耐熱性、耐薬品性を向上させる。特に無水トリメリト酸が好ましい。
【0043】
本発明の光硬化性重合体組成物は、温度−5℃〜25℃の範囲で遮光して保存すると、組成物の経時安定性が良好である。保存温度が0℃〜10℃であれば、経時安定性が一層良好である。
【0044】
本発明の光硬化性重合体組成物を露光後に現像する場合の現像液は、アルカリ水溶液が好ましい。アルカリの具体例は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等であり、これらの水溶液が好適に用いられる。
【0045】
現像液には現像残渣の低減やパターン形状の適性化を目的として、界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤はアニオン系、カチオン系、ノニオン系から選択して使用することができる。特にノニオン系のポリオキシエチレンアルキルエーテルを添加すると、パターン形状が良好になるので好ましい。
【0046】
現像方法は特に限定されない。ディップ現像、パドル現像、シャワー現像のいずれも用いることができる。
【0047】
2 本発明の光硬化性組成物を用いて製造した透明膜
本発明の第2の態様は、本発明の光硬化性重合体組成物を用いて製造した透明膜である。本発明の透明膜は、パターニングの際の解像度が高く、小さな径のスペーサーを形成するのに最適である。該透明膜は以下のようにして形成される。まず、光硬化性重合体組成物をガラス等の基板上に塗布する。基板としては、たとえば、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラスなどの透明ガラス基板、ポリカーボネート、ポリエステル、アクリル樹脂、塩化ビニール樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミドなどの合成樹脂製シート、フィルムまたは基板、アルミニウム板、銅板、ニッケル板、ステンレス板などの金属基板、その他セラミック板、光電変換素子を有する半導体基板などが挙げることができる。これらの基板には所望により、シランカップリング剤などの薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着などの前処理を行うことができる。基板への感光性 樹脂組成物の塗布は、スピンコート法、ロールコート法、ディッピング法など従来からの公知の方法により行うことができる。
次に、ホットプレートまたはオーブンで通常60〜120℃、1〜5分間乾燥する。乾燥した基板に、所望のパターン形状のマスクを介して紫外線を照射する。照射量はI線で5〜1000MJが適当である。紫外線の当たった部分はアクリルモノマーの重合により三次元化架橋体となり、アルカリ現像液に対して不溶化する。アルカリ現像液としては、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機アルカリ類、およびテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機アルカリ類などの水溶液を挙げることができる。また、上記アルカリ現像液にメタノール、エタノール、界面活性剤などを適当量添加して用いることもできる。
次いで、シャワー現像、スプレー現像、パドル現像、ディップ現像等により基板をアルカリ現像液に浸し、不要部分を溶解除去する。最後に180〜250℃で10〜120分焼成すると、所望パターンの透明膜を得ることができる。
【0048】
3 本発明の透明膜またはスペーサーを含む表示素子
本発明の第3の態様は、本発明の透明膜またはスペーサーを含む表示素子である。また、スペーサーの形状は、真上から見た場合、正方形、長方形、円形、楕円形であることが好ましく、長方形、楕円形の場合、長軸方向が、ラビング方向と水平もしくは直交しているのが好ましい。また、樹脂塗膜中に従来から用いられてきたビーズを分散させ、固定させて使用することもできる。また、感光性 樹脂組成物をガラス基板上に塗布し、同様にパターニングを行い基板の周辺部のみ該組成物を残し、その上に別の基板を対向するように液晶セルを組み立て、圧着し、焼成することにより該組成物をシール材として液晶素子に組み込むことができる。さらに、該樹脂塗膜上に配向処理を行う膜を形成させても良い。
本発明の液晶表示素子は、上記のようにして形成された上下の素子基板の位置を合わせて圧着後、熱処理して組み合わせて後、液晶を注入し、注入口を封止することによって製作される。また、液晶素子基板上に液晶 を散布した後、基板を重ね合わせ、液晶が漏れないように密封して液晶表示素子を製作してもよい。このようにして、本発明の感光性樹脂組成物で形成された優れた耐液晶性を有するスペーサーを液晶表示素子中に存在させることができる。なお、本発明の液晶表示素子に用いられる液晶、すなわち液晶化合物および液晶組成物については特に限定されず、いずれの液晶化合物および液晶 組成物をも使用することができる。
【実施例】
【0049】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、アルカリ可溶性重合体の酸価は常法により測定する。
【0050】
[合成例1]アルカリ可溶性重合体(A1)の合成
攪拌器付4つ口フラスコに成分(A1)として日本化薬(株)製KAYARAD(商標)TC110S、成分(A2)としてメタクリル酸、成分(A3’)として3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン、成分(A3’’)として、ベンジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよびN−フェニルマレイミドを仕込み、64℃で6時間加熱した。重合開始剤としてジメチル2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオネート)を、および連鎖移動剤としてチオグリコール酸を用いた。また、溶媒はメタノールおよび酢酸エチルを用いた。

メタノール 41.7G
酢酸エチル 83.3G
ベンジルメタクリレート 15.0G
式(1)で表される化合物である
日本化薬(株)製KAYARAD(商標)TC110S 5.0G
3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン 15.0G
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 5.0G
N−フェニルマレイミド 5.0G
メタクリル酸 5.0G
ジメチル2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオネート) 0.25G
チオグリコール酸 0.75G
【0051】
反応液を室温まで冷却し、大量のヘキサンに投入した。生成した沈殿をプロピレングリコールモノメチルエーテル(以後PGMEAと略す)に溶解し、1.33×104PAの減圧下100℃にて重合溶媒、ヘキサンを留去し、アルカリ可溶性重合体(A1)のPGMEA溶液を得た。溶液の一部をサンプリングし220℃で30分乾燥して減量を求め、その結果をもとに重合体濃度が30重量%となるようにPGMEAを加えて溶液を調製した。ポリマーの収率は75%であった。得られたアルカリ可溶性重合体(A1)の酸価は68MGKOH/G、GPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は6,400であった。
【0052】
[合成例2]アルカリ可溶性重合体(A2)の合成
攪拌器付4つ口フラスコに成分(A1)として日本化薬(株)製KAYARAD(商標)TC110S、成分(A2)としてメタクリル酸、成分(A3’)としてグリシジルメタクリレート、成分(A3’’)として、ベンジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよびN−フェニルマレイミドを仕込み、80℃で6時間加熱した。重合開始剤および溶媒は合成例1と同じものを用いた。
メタノール 41.7G
酢酸エチル 83.3G
ベンジルメタクリレート 25.0G
式(1)で表される化合物である
日本化薬(株)製KAYARAD(商標)TC110S 5.0G
グリシジルメタクリレート 8.0G
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 2.0G
N−フェニルマレイミド 5.0G
メタクリル酸 5.0G
ジメチル2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオネート) 0.25G
チオグリコール酸 0.75G
【0053】
合成例1に記載の方法に準じた処理を行い、アルカリ可溶性重合体(A1)の30重量%PGMEA溶液を得た。ポリマーの収率は79%であった。得られたアルカリ可溶性重合体(A1)の酸価は60MGKOH/G、GPC分析(ポリエチレンオキシド標準)により求めた重量平均分子量は7,000であった。
【0054】
[合成例3]アルカリ可溶性重合体(A3)の合成(比較例)
攪拌器付4つ口フラスコに以下を仕込み、64℃で6時間加熱した。本合成例では、成分(A1)を用いなかった。

メタノール 41.7G
酢酸エチル 83.3G
ベンジルメタクリレート 25.0G
グリシジルメタクリレート 8.0G
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 2.0G
N−フェニルマレイミド 5.0G
メタクリル酸 10.0G
アゾビスイソブチロニトリル 0.25G
チオグリコール酸 0.50G
合成例1に記載の方法に準じた処理を行い、アルカリ可溶性重合体(A4)の30重量%PGMEA溶液を得た。ポリマーの収率は80%であった。得られたアルカリ可溶性重合体(A4)の酸価は95MGKOH/G、重量平均分子量は7,300であった。
【0055】
[実施例1]
アルカリ可溶性重合体(A1)、重合性二重結合を有する化合物(B)であるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亜合成(株)製アロニックス(商標)M402、以下M402と略す)、上記式(2)で表される光重合開始剤(C)であるチバスペシャリティーケミカルズ(株)製IRGACURE(商標)OXE01(以下OXE01と略す)、フッ素系界面活性剤であるネオス(株)製フタージェント(商標)DFX−18(以下DFX−18と略す)、溶媒(D)として、PGMEAを下記組成にて混合溶解し、光硬化性重合体組成物を得た。
PGMEA 5.41G
アルカリ可溶性重合体(A1)の30重量%PGMEA溶液 10.00G
M402 3.60G
OXE01 0.06G
DFX−18 0.008G
【0056】
この光硬化性重合体組成物をガラス基板上に700RPMで10秒間スピンコートし、100℃のホットプレート上で2分間乾燥した。この基板を空気中ドットパターンのマスクを介して、(株)トプコン製プロキシミティー露光機TME−150PRCを使用し、波長カットフィルターを通してI線のみを取り出し、露光ギャップ100μMで露光した。露光量はウシオ(株)製積算光量計UIT−102、受光器UVD−365PDで測定して50MJ/CM2とした。露光後のガラス基板を、0.4重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間ディップ現像し、未露光部を除去した。現像後の基板を純水で20秒間洗ってから100℃のホットプレートで2分間乾燥した。現像後の残膜率(現像後膜厚×100/現像前膜厚)は95.6%であり、十分な感度を有していることを確認した。さらにオーブン中220℃で30分ポストベイクした。膜厚は4.04μMであった。1000倍の光学顕微鏡で観察したところ、10μM角のドットパターンの大きさは、対角線長さが11μMであった。倍率1万倍のSEMで観察したところ、現像残渣はみられず、パターンエッジはほぼ垂直であった。
【0057】
[実施例2〜20、比較例1〜5]
実施例1と同様に、下表組成にて光硬化性重合体組成物を調製した。溶媒の添加量は、固形分濃度が35%となるように調整した。
【0058】
これらの光硬化性重合体組成物を、ポストベイク後の膜厚が4.0〜4.1μMになるような回転数でスピンコートし、実施例1と同様の評価を行った。結果を下表に示す。
表中のカッコ内の数字は固形分の重量比である。
【0059】
表中の略号は以下を表す。
B1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
B2:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
B3:ペンタエリスリトールトリアクリレート
B4:トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート
C1:OXE01
C2:3,3′,4,4′−テトラ(T−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン
C3:4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
C4:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン
C5:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1

【表1】

【表2】

【0060】
以上から明らかなように、実施例1〜20はいずれも得られるパターンの大きさがマスクサイズに近く、小さなパターンを得ることができる。これに対し、本発明と違う光重合開始剤を使用した比較例1、2は、現像後残膜率が低く感度が不十分であるにもかかわらず、パターンの大きさはマスクサイズに比べて大きなものであった。また、本発明のアルカリ可溶性重合体とは異なる比較例化合物(A3)を使用した比較例3〜5は、現像後残膜率がやや低く、パターンの大きさはマスクサイズよりも大きなものであった。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の光硬化性重合体組成物は液晶表示素子の製造工程に用いられることで、欠陥の少ない優れた液晶パネルを製造することができる。特にブラックマトリクスの細い高精細なディスプレイの表示品位を向上させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
【化1】

(式中、R1は水素またはメチルであり;R2は水素、炭素数1〜5のアルキル、炭素数2〜5のアルケニルまたは炭素数2〜5のアルキニルであり;Nは1〜5の整数であり、Mは1〜6の整数である。)
で表されるラジカル重合性モノマー(A1)、カルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー(A2)およびその他のラジカル重合性モノマー(A3)含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られるアルカリ可溶性重合体(A)、重合性二重結合を有する化合物(B)、下記式(2)
【化2】

(式中、R11、R12、R13はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜5のアルキル、炭素数2〜5のアルケニルまたは炭素数2〜5のアルキニルであり;R14は炭素数1〜15のアルキル、炭素数2〜15のアルケニルまたは炭素数2〜15のアルキニルであり、Lはそれぞれ独立して1〜5の整数である。)
で表される化合物を含む光重合開始剤(C)、および溶媒(D)を含有する光硬化性重合体組成物。
【請求項2】
アルカリ可溶性重合体(A)が、全てのモノマーの総重量に対し、成分(A1)を1〜50重量%、成分(A2)を5〜50重量%、成分(A3)を10〜90重量%含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られた共重合体である、請求項1に記載の光硬化性重合体組成物。
【請求項3】
アルカリ可溶性重合体(A)が、全てのモノマーの総重量に対し、成分(A1)を1〜50重量%、成分(A2)を5〜50重量%、エポキシ基またはオキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー(A3’)を5〜70重量%、その他のラジカル重合性モノマー(A3’’)を10〜90重量%含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られた共重合体である、請求項1または請求項2に記載の光硬化性重合体組成物。
【請求項4】
アルカリ可溶性重合体(A)が、全てのモノマーの総重量に対し、成分(A1)を8〜20重量%、成分(A2)を7〜15重量%、成分(A3’)を15〜50重量%、成分(A3’’)を20〜70重量%含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られた共重合体である、請求項3に記載の光硬化性重合体組成物。
【請求項5】
光重合開始剤(C)が、式(2)で表される化合物を20重量%以上含有する光重合開始剤の混合物である請求項1〜4のいずれかに記載の光硬化性重合体組成物。
【請求項6】
アルカリ可溶性重合体(A)が、成分(A1)として、式(1)で表される化合物(ただし、Nは1〜5の整数であり、R1、R2は水素であり、Mは6である。)から選ばれる1種以上を、成分(A2)としてメタクリル酸を、成分(A3’)として3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタンおよびグリシジルメタクリレートから選ばれる1種以上を、成分(A3’’)としてベンジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよびN−フェニルマレイミドから選ばれる1種以上を含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合させて得られた共重合体である、請求項1〜5のいずれかに記載の光硬化性重合体組成物。
【請求項7】
重合性二重結合を有する化合物(B)が、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、およびトリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレートからなる群から選ばれる1種以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の光硬化性重合体組成物。
【請求項8】
光重合開始剤(C)が、式(2)の化合物の他に3,3′,4,4′−テトラ(T−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有している、請求項1〜7のいずれかに記載の光硬化性重合体組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の光硬化性重合体組成物を用いて製造された透明膜。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載の光硬化性重合体組成物を用いて製造されたスペーサー。
【請求項11】
請求項9に記載の透明膜を含む表示素子。
【請求項12】
請求項10に記載のスペーサーを含む表示素子。

【公開番号】特開2006−249131(P2006−249131A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−63753(P2005−63753)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【出願人】(596032100)チッソ石油化学株式会社 (309)
【Fターム(参考)】