説明

光端末ユニット

【課題】 光端末ユニットの構成を簡略化し、かつ低コストとする。
【解決手段】 光端末ユニット2dは、変調光信号を受けるフォトダイオード26を有している。このフォトダイオードのカソードが接地され、アノードが抵抗器46を介して接地されることによって、無バイアス状態で動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバーで伝送された光信号を電気信号に変換する光端末ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
光信号を使用して例えば共同受信施設を構成することがある。この場合、共同受信施設の加入者端末では、光信号を電気信号に変換する必要がある。この変換に使用する光端末ユニットの一例が、特許文献1に開示されている。この技術では、フォトダイオードのアノード側をバイアス抵抗器を介して接地し、カソード側をローパスフィルタを介して正の直流電源に接続し、フォトダイオードに逆バイアスを与えている。フォトダイオードが受光したことにより、フォトダイオードに発生した電流をアノード側及びカソード側からそれぞれ取り出し、増幅器によって増幅した後に合成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−51504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術によれば、フォトダイオードを逆バイアスしているので、逆バイアス用の直流電源を光端末ユニットが備えている必要がある。この光端末ユニットは、屋外に設置されることが多いので、直流電源を動作させるためには、光端末ユニットに商用交流電源を供給するための電源線を敷設したり、光端末ユニットから屋内に敷設されている出力伝送用のケーブルに、屋内に設けた電源装置から動作電力を重畳したりする必要があり、光端末ユニットの構成が複雑になる上に、コストも高くなる。
【0005】
本発明は、構成が簡単で、かつ低コストで光端末ユニットを、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の光端末ユニットは、光送信機において光信号を共同受信信号で変調した変調光信号を、光伝送線路を介して受光するものである。この光端末ユニットは、前記変調光信号を受けるフォトダイオードを有し、このフォトダイオードのカソードとアノードとが、前記フォトダイオードに対して直列に接続された負荷を介して、かつ無バイアス状態で接続されている。
【0007】
上記の態様の光端末ユニットにおいて、前記フォトダイオードを挟んで前記負荷と反対側に電圧降下用抵抗器を接続することができる。この場合、前記負荷と前記フォトダイオードと前記電圧降下用抵抗器とが直列に接続されている。
【0008】
上記の態様の光端末ユニットにおいて、前記フォトダイオードのカソードとアノードとの間を、前記無バイアス状態及び逆バイアス回路による逆バイアス状態のいずれか一方に切り換える切換手段を設けることもできる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明による光端末ユニットは、構成を簡略化することができ、かつ低コストとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の参考例の光共同受信施設で使用する光端末ユニットの回路図である。
【図2】本発明の第1の参考例の光共同受信施設のブロック図である。
【図3】図1の光端末ユニットの光入力レベル対高周波出力レベル特性図である。
【図4】本発明の第2の参考例の光共同受信施設の光端末ユニットの回路図である。
【図5】図4の光端末ユニットの光入力レベル対高周波出力レベル特性図である。
【図6】本発明の第3の参考例の光共同受信施設の光端末ユニットの回路図である。
【図7】本発明の第4の参考例の光共同受信施設の光端末ユニットの回路図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の光共同受信施設の光端末ユニットの回路図である。
【図9】本発明の第2の実施形態の光共同受信施設の光端末ユニットの回路図である。
【図10】本発明の第5の参考例の光共同受信施設の光端末ユニットの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1の参考例の光端末ユニット2は、図2に示すような共同受信施設に使用される。この共同受信施設では、地上デジタル放送用アンテナ4で受信されたUHF帯の地上デジタルテレビジョン放送信号を地上デジタル放送受信用アンプ6で増幅する。同様にFM専用アンテナ8で受信したFM放送信号をチャンネルプロパアンプ10で増幅する。2つのアンプ6、10の増幅信号を混合器12で混合し、この混合出力を屋外型U・V光送信機14に伝送する。屋外型U・V光送信機14には、衛星放送受信用アンテナ16のコンバータ16aからの衛星放送中間周波信号も供給されている。屋外型U・V光送信機14は、これら供給された地上デジタルテレビジョン放送信号、FM放送信号及び衛星放送中間周波信号で光信号を変調し、変調光信号を出力する。
【0012】
この変調光信号は、光伝送線路、例えば光ファイバで伝送されるが、この光ファイバの中途には、それぞれ光分配器、例えば光カプラクロージャ18a、18b、18c等が設けられ、これらによって変調光信号は分配されて、各端末、例えば各家庭20に伝送される。
【0013】
各家庭20の屋外に、光端末ユニット2がそれぞれ設けられ、これには、光ファイバで伝送された光変調信号が供給されている。光端末ユニット2は、光変調信号を高周波信号、例えば地上デジタルテレビジョン放送信号、FM放送信号及び衛星放送中間周波信号に変換し、屋内の信号処理装置22に供給する。信号処理装置22は、地上デジタルテレビジョン放送信号、FM放送信号及び衛星放送中間周波信号を復調して、テレビジョン受像機24において視聴可能とする。
【0014】
図1に示すように、光端末ユニット2は、フォトダイオード26を有している。フォトダイオード26は、光ファイバによって伝送された光変調信号を受光する。
【0015】
アノードとカソードとは、負荷、例えば変成器、例えば高周波トランス28の一次巻線28p間に接続されている。一次巻線28pは中間タップ28tを有するもので、中間タップ28tは基準電位、例えば接地電位に接続されている。また、フォトダイオード26のアノードは、高周波阻止コイル30を介して接地電位に接続されている。これによってアノードは、高周波的には接地されていない。
【0016】
高周波トランス28の二次巻線28sの一端は接地され、他端はコンデンサ32を介して出力端子34に接続されている。出力端子34は、図示していない伝送線路、例えば同軸ケーブルを介して信号処理装置22に供給されている。
【0017】
この光端末ユニット2では、フォトダイオード26には、バイアスが供給されてなく、無バイアス状態で使用されている。
【0018】
このように構成された光端末ユニット2では、フォトダイオード26が変調光信号を受光すると、高周波トランス28の一次巻線28pに電流が流れ、二次巻線28sに電圧(地上デジタルテレビジョン放送信号、FM放送信号及び衛星放送中間周波信号に相当する電圧)が誘起され、これがコンデンサ32、出力端子34を介して信号処理装置22に供給される。しかも、図3に示すように、フォトダイオード26に入力される光変調信号のレベルが大きくなればなるほど、二次巻線28sから出力されるレベルが大きくなる。従って、光変調信号の入力レベルが高くなっても、信号処理装置22に供給する地上デジタルテレビジョン放送信号、FM放送信号及び衛星放送中間周波信号を大きくすることができ、最大光入力レベルが規定できる場合に有効で、通常使用される光入力レベル0dBm以下では問題なく使用することができる。
【0019】
図4に本発明の第2の参考例の光端末ユニット2aを示す。この光端末ユニット2aは、フォトダイオード26のカソードを電圧降下素子、例えば抵抗器36を介して接地すると共に、カソードをコンデンサ38を介して高周波トランス28の一次巻線28pの一端に接続したものである。他の構成は、第1の実施形態の光端末ユニット2と同一であるので、同一部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0020】
第1の参考例の光端末ユニット2では、光変調信号のフォトダイオード26への入力レベルが高くなりすぎると、出力端子34から出力される地上デジタルテレビジョン放送信号、FM放送信号及び衛星放送中間周波信号のレベルが高くなりすぎ、信号処理装置22において歪が増加する可能性が高くなる。そこで、第2の実施形態の光端末ユニット2aでは、フォトダイオード26に発生している電流が予め定めた値を超えると、抵抗器36に流れる電流が大きくなり、抵抗器36間に発生する電圧が大きくなり、高周波トランス28の一次巻線28pに供給される電圧が低くなり、光変調信号の入力レベルが大きくなっても、出力端子34から出力される地上デジタルテレビジョン放送信号、FM放送信号及び衛星放送中間周波信号のレベルは、図5に示すように大きくならない。
【0021】
図6に第3の参考例の光共同受信施設の光端末ユニット2bを示す。この光端末ユニット2bは、第2の参考例の光端末ユニット2aの抵抗器36を除去し、切換スイッチ40の接触子40aをコンデンサ38とフォトダイオード26のカソードとの接続点に接続し、接触子40aが接触可能な接点40bを接地し、同じく接触子40aが接触可能な接点40cに抵抗器42を介して逆バイアス用電源、例えば電池44の正極を接続し、電池44の負極を接地してある。即ち、抵抗器42、電池44からなる逆バイアス回路がフォトダイオード26に接続された状態と、フォトダイオード26の無バイアス状態とを、切換スイッチ40の操作によって切換えることができる。なお、他の構成は、第2の参考例の光端末ユニット2aと同一であるので、同一部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0022】
第1の参考例の光端末ユニット2では、フォトダイオードに入力される光変調信号のレベルが大きくなると、地上デジタルテレビジョン放送信号同士、FM放送信号同士及び衛星放送中間周波信号同士間で或いは地上デジタルテレビジョン放送信号、FM放送信号及び衛星放送中間周波信号間で相互歪が発生し、伝送信号品質が劣化する可能性がある。従って、フォトダイオードに入力される光変調信号のレベルが大きい場合には、切換スイッチ40を操作して、逆バイアス回路から逆バイアスをフォトダイオード26に与える。この場合、能動素子としては、フォトダイオード26のみしか使用していないので、直流電源としては例えば乾電池のような電池44を使用することができ、商用交流電源を供給するための配線等が不要になり、製造が容易になるし、コストも低下させることができる。
【0023】
図7に第4の参考例の光共同受信施設の光端末ユニット2cを示す。この光端末ユニット2cは、第2の参考例の光端末ユニット2aに切換スイッチ40と電池44とを設けたもので、第2及び第3の参考例の光端末ユニット2a、2bの構成要素に対応する部分には、同一符号を付して、その説明を省略する。この光端末ユニット2cでは、第2の参考例の光端末ユニット2aと同様に、無バイアス状態において、光変調信号の入力レベルが大きくなっても、出力端子34から出力される地上デジタルテレビジョン放送信号、FM放送信号及び衛星放送中間周波信号のレベルを大きくならないようにすることができる上に、逆バイアスを印加した状態にもすることができ、相互歪の発生を防止できる。
【0024】
図8に本発明の第1の実施形態の光端末ユニット2dを示す。この光端末ユニット2dは、負荷を抵抗器46としたものである。抵抗器46は、フォトダイオード26のアノードと接地電位との間に接続され、フォトダイオード26のアノードと抵抗器46との接続点がコンデンサ32を介して出力端子34に接続され、フォトダイオード26のカソードは接地されている。この構成では、負荷として抵抗器46を使用して、高周波トランス28を使用していないので、より安価に構成することができる。
【0025】
図9に第2の実施形態の光端末ユニット2eを示す。この光端末ユニット2eは、第1の実施形態の光端末ユニット2dに、第2の参考例と同様に逆バイアスをフォトダイオード26に供給可能に、切換スイッチ40と電池44とを設けたもので、逆バイアスの電圧降下用の抵抗器48が切換スイッチ40の接触子40aとフォトダイオード26のカソードとの間に接続されている。また、カソードはコンデンサ50を介して接地されている。
【0026】
図10に第5の参考例の光端末ユニット2fを示す。この光端末ユニット2fは、第4の参考例の光端末ユニット2cの高周波トランス28をタップ付きの高周波コイル52に置換し、このタップから出力を取り出したものである。
【0027】
上記の各実施形態では、光変調信号として、地上デジタルテレビジョン放送信号、FM放送信号及び衛星放送中間周波信号で光信号を変調したものを使用したが、これに加えてインターネット等において使用するデータ通信用の信号で光信号を変調したものを使用することもできる。
【符号の説明】
【0028】
2d 2e 光端末ユニット
26 フォトダイオード
46 抵抗器(負荷)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光送信機において光信号を共同受信信号で変調した変調光信号を、光伝送線路を介して受光する光端末ユニットであって、
前記変調光信号を受けるフォトダイオードを有し、このフォトダイオードのカソードとアノードとが、前記フォトダイオードに対して直列に接続された負荷を介して、かつ無バイアス状態で接続されている光端末ユニット。
【請求項2】
請求項1記載の光端末ユニットにおいて、前記フォトダイオードを挟んで前記負荷と反対側に電圧降下用抵抗器が接続され、前記負荷と前記フォトダイオードと前記電圧降下用抵抗器とが直列に接続されている光端末ユニット。
【請求項3】
請求項1記載の光端末ユニットにおいて、前記フォトダイオードの前記フォトダイオードのカソードとアノードとの間を、前記無バイアス状態及び逆バイアス回路による逆バイアス状態のいずれか一方に切り換える切換手段を設けた光端末ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−78142(P2011−78142A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8763(P2011−8763)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【分割の表示】特願2005−350568(P2005−350568)の分割
【原出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】