説明

光素子

【課題】ブラッグピークを大幅に縮小化することで、1.49μmの光の透過率を実用上十分な大きさに保つとともに、波長1.30μm付近の光の透過率を十分に抑えること。
【解決手段】基板8の主面8a側に設けられたクラッド12と、クラッド中に設けられたコア18とで構成された光導波路11を備えており、光導波路が、幅が第1幅の幅広部14a及び第2幅の幅狭部14bを、光伝搬方向に沿って直列に接続してなり、長さを第1周期とするユニットUを、n段にわたり直列に接続したグレーティング14を備え、グレーティングの第1周期が、グレーティングに入力された第1波長の第1光をクラッドに放射するとともに、第1波長より波長が長い第2波長の第2光を透過させるように決められている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、1本の光ファイバを伝搬する波長の異なる2種の光により双方向通信を行うに当たり、発光素子から出力される光と、受光素子へと入力される光との合分波を行う光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
加入者側から局側への光伝送(上り通信)と、局側から加入者側への光伝送(下り通信)とを1本の光ファイバで行う光加入者系の通信システムにおいては、上り通信及び下り通信を異なる波長の光で行うことがある。この場合、局側及び加入者側の双方で、異なる波長の光を合分波する光素子(以下、光合分波素子とも称する。)が必要となる。
【0003】
光加入者系の通信システムで用いられる加入者側終端装置(ONU:Optical Network Unit)は、空間光学的に光軸合わせされた光合分波素子、発光素子及び受光素子を備えている。しかし、近年、光軸合わせの手間を軽減するために、光導波路により構成された光合分波素子が開発されている(例えば、特許文献1〜5参照)。この光導波路を用いた光合分波素子(以下、導波路型光素子とも称する。)では、光の伝搬経路を、予め作りこまれた光導波路内に限定するので、従来の光合分波素子におけるレンズやミラー等の光軸合わせが不要となる。さらに、導波路型光素子では、発光素子及び受光素子を、予め光合分波素子に作成されたマークを基準にして、光導波路の入出射端に位置合わせすればよい。そのため、発光素子及び受光素子に入出射される光ビームの厳密な光軸合わせの手間が大幅に省かれる。
【0004】
近年、SiOを材料とするクラッドと、SiOとの屈折率差が大きなSiを材料とするコアとで光導波路(以下、Si光導波路とも称する。)を構成した導波路型光素子が報告されている(例えば、非特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Photonics Technology Letters vol.18,No.22,p.2392,2006年11月
【非特許文献2】Photonics Technology Letters vol.20,No.23,p.1968,2008年12月
【非特許文献3】Optics Express vol.18,No.23,p.23891,2010年11月
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許4860294号明細書
【特許文献2】米国特許5764826号明細書
【特許文献3】米国特許5960135号明細書
【特許文献4】米国特許7072541号明細書
【特許文献5】特開平8−163028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
Si光導波路は、コアの屈折率がクラッドの屈折率よりも非常に大きいために、光を光導波路に強く閉じ込めることができる。また、この大きな屈折率差を利用して、光を1μm程度の小さい曲率半径で曲げる曲線状光導波路を実現することができる。さらに、製造時に、Si電子デバイスでの加工技術が利用できるために、きわめて微細なサブミクロンの断面構造を実現できる。これらのことから、Si光導波路を用いることで、導波路型光素子を小型化することができる。
【0008】
しかし、Si光導波路では、その屈折率の高さ故に、光導波路の寸法誤差等の僅かな外乱で、光導波路に大きな等価屈折率誤差が生じてしまう。その結果、Si光導波路を備えた導波路型光素子を含むONUでは、十分な消光比を得ることができなかった。ここで、消光比とは、ONUの受光素子が受ける光において、下り通信光の波長(1.49μm)の光強度に対する上り通信光の波長(1.30μm)の光強度の比率である。
【0009】
導波路型光素子を用いたONUの場合に限らず、一般に、所定の波長の光成分を系外に除去するためには、グレーティングが用いられることがある。例えば、波長1.30μm付近の光をクラッドに効果的に放射するグレーティングを用いれば、ONUの消光比を改善できる。
【0010】
しかし、光導波路を構成する材料の種類に関わりなく、波長1.30μm付近の光をクラッドに放射するように設計すると、不可避的にグレーティングのブラッグ波長が1.6μm付近に設定されてしまう。ブラッグ波長付近には、反射率が非常に高い反射ピーク(以下、「ブラッグピーク」と称する。)が存在する。そのため、ブラッグ波長との波長差が0.1μm程度の下り通信光(波長1.49μm)は、ブラッグピークの影響を受け、グレーティングにより部分的に反射されてしまう。つまり、この設計では、グレーティングにおける下り通信光の透過率が減少してしまう。そのため、従来、ONUの消光比を改善する目的のためにグレーティングが採用されることはなかった。
【0011】
発明者は、鋭意検討の結果、Si光導波路で形成されたグレーティングを所定の構造とすることで、ブラッグピークの縮小化、及び波長1.30μm付近の透過光の低強度化を同時に達成できることに想到した。
【0012】
従って、この発明の第1の目的は、(1)ブラッグピークを大幅に縮小化することで、波長1.49μmの光の透過率を実用上十分な大きさに保つとともに、(2)波長1.30μm付近の光の透過率を十分に抑えることを可能とした、Si光導波路で形成されたグレーティングとして機能する光素子を提供することにある。
【0013】
また、この発明の第2の目的は、上述のグレーティングを用いた、導波路型光素子として機能する光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した第1の目的の達成のために、この発明の第1の光素子は、基板の主面側に設けられたクラッドと、クラッド中に設けられたコアで構成された光導波路を備えている。光導波路が備えるグレーティングは、光伝搬方向に垂直かつ主面に平行な方向に沿って測った長さである幅が、第1幅の幅広部及び第1幅よりも小さい第2幅の幅狭部を、光伝搬方向に沿って直列に接続してなり、光伝搬方向に沿って測った長さを第1周期とするユニットを、n段(nは2以上の整数)にわたり直列に接続している。
【0015】
そして、グレーティングの第1周期が、グレーティングに入力された第1波長の第1光をクラッドに放射するとともに、第1波長より波長が長い第2波長の第2光を透過させるように決められている。
【0016】
上述した第2の目的の達成のために、この発明の第2の光素子は1個以上の第1型のマッハツェンダ干渉計を備えた干渉器をさらに有している。ここで、第1型のマッハツェンダ干渉計は、第1光導波路及び第2光導波路を備えている。
【0017】
第1光導波路は、2個の第1直線部、及び、2個の第1直線部の間を接続する第1湾曲部を備えている。第2光導波路は、2個の第2直線部及び第2湾曲部を備えている。第2直線部は、2個の第1直線部のそれぞれに光結合可能な距離だけ離間して、2個の第1直線部とそれぞれ平行に配置されている。第2湾曲部は、2個の第2直線部の間を接続し、第1湾曲部との光路長差がΔS(ただし、ΔSは正の実数)である。
【0018】
そして、第1型のマッハツェンダ干渉計は、第1光導波路の入力端に入力された第2光を、第2光導波路の出力端から出力させるように構成されている。
【0019】
さらに、干渉器が複数のマッハツェンダ干渉計を有する場合、それぞれの第1光導波路同士が互いに接続され、及び、それぞれの第2光導波路同士が互いに接続されており、グレーティングが、第2光導波路の出力端に接続されている。
【発明の効果】
【0020】
この発明の第1の光素子は、波長1.30μm付近の光をクラッドに放射するように設計されたグレーティングを備えているにも関わらず、波長1.6μm付近に存在するブラッグピークの強度を、実用上十分な強度にまで低下させることができる。その結果、グレーティングを透過する波長1.49μmの下り通信光の透過率の低下を従来に比較して抑えることができる。
【0021】
この発明の第2の光素子は、上述のグレーティングを備えているので、この光素子を構成要素としたONUは、消光特性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(A)は、実施形態1の光素子の構造を模式的に示す平面図であり、(B)は、(A)のA−A線に沿って取った端面図である。
【図2】実施形態1の光素子の特性を示す特性図である。
【図3】(A)は、実施形態2の光素子の構造を模式的に示す平面図であり、(B)は、(A)のB−B線に沿って取った端面図である。
【図4】実施形態3の光素子の構造を概略的に示す平面図である。
【図5】実施形態3の光素子の特性を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。なお、各図において各構成要素の形状、大きさ及び配置関係について、この発明が理解できる程度に概略的に示してある。また、以下、この発明の好適な構成例について説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。また、各図において、共通する構成要素には同符号を付し、その説明を省略することもある。
【0024】
[実施形態1]
以下、図1及び図2を参照して、実施形態1の光素子について説明する。図1(A)は、光素子の構造を概略的に示す平面図である。図1(B)は、図1(A)をA−A線に沿って切断した端面図である。図2は、光素子の特性を示す特性図である。
【0025】
なお、図1(A)において、光素子を構成するグレーティング14は、クラッド12に覆われているために、直接目視することはできないが、強調のために実線で描いてある。
【0026】
(構造)
図1(A)及び(B)を参照して、光素子10の構造について説明する。光素子10は、クラッド12とコア18とで構成される光導波路11を備えている。光導波路11はグレーティング14を備えている。
【0027】
クラッド12は、基板8の主面8a側に一様な厚みで延在する膜体である。より詳細には、クラッド12は、主面8a上に設けられており、内部に包含したコア18とともに、光導波路11を構成している。
【0028】
以降、光素子の寸法に関して、光伝搬方向に垂直かつ主面8aに平行な方向に沿って測った長さを「幅」と称する。また、主面8aに垂直な方向に沿って測った長さを「厚み」と称する。同様に、光伝搬方向に沿って測った長さを「長さ」と称する。また、所定の構造体の光伝搬方向に垂直な断面のことを「横断面」と称する。
【0029】
クラッド12を構成する材料は、例えば、屈折率が約1.44のSiOとする。クラッド12の厚みは約3μmとする。そして、主面8aからの距離が約1.5μmの深さにコア18が配置されている。基板8への不所望な光の結合を防ぐためには、コア18と基板8との間に1μm以上の厚みのクラッド12を介在させることが好ましい。基板8は、例えば、Siを材料とする。
【0030】
コア18は、クラッド12の屈折率よりも40%以上大きな屈折率を有する材料で形成されている。この実施形態に示す例では、コア18は、屈折率が約3.47のSiとする。
【0031】
グレーティング14は、コア18に形成された光導波路型の回折格子である。より詳細には、グレーティング14は、幅広部14aと幅狭部14bとを光伝搬方向に直列に接続したユニットUを、n段(nは2以上の整数)にわたり直列に接続して構成されている。この実施形態では、例えば、n=60とする。
【0032】
グレーティング14の一端には光入力部IN14が設けられている。光入力部IN14から、第1波長λ1の第1光Lt1と、第1波長λ1よりも波長が長い第2波長λ2(>λ1)の第2光Lt2との混合光が入力される。グレーティング14の他端には光出力部OUT14が設けられている。光出力部OUT14からは波長選択された第2光Lt2のみが出力される。第1光Lt1は、グレーティング14を伝搬する過程でクラッド12に放射され、放射光Ltとして失われる。この点については後述する。
【0033】
この実施形態に示す例では、第1光Lt1の第1波長λ1を、光加入者系通信システムで上り通信光として一般的に用いられる1.30μmとする。また、第2光Lt2の第2波長λ2を、光加入者系通信システムで下り通信光として一般的に用いられる1.49μmとする。
【0034】
ところで、ONUの発光素子から出力される第1光Lt1は、正確に言えば、第1波長λ1±0.5μmの波長範囲に広がっている。よって、以下の説明において、特に断らない限り、第1波長λ1とは1.30±0.5μmの波長範囲を示す。また、同様に、第1光Lt1とは、第1波長λ1の波長範囲に広がった光のことを示す。
【0035】
ユニットUを構成する幅広部14aは、横断面形状が矩形状のチャネル型光導波路である。幅広部14aは、厚みをDとし、幅を第1幅W1とし、及び長さを第1長L1とする。一方、ユニットUを構成する幅狭部14bは、横断面形状が幅広部14aとは異なる矩形状のチャネル型光導波路である。幅狭部14bは、厚みを幅広部14aと等しいDとし、幅を第1幅W1よりも小さい第2幅W2とし、及び長さを第2長L2とする。
【0036】
この実施形態に示す例では、第1幅W1は、好ましくは例えば約390nmとする。また、第2幅W2は、好ましくは例えば約210nmとする。また、厚みDは、好ましくは例えば約300nmとする。また、第1長L1及び第2長L2は互いに等しく、約185nmとする。
【0037】
幅広部14aと幅狭部14bの長さL1及びL2は等しいので、ユニットUの平均幅は、第1幅W1と第2幅W2の単純平均である300nmとなる。グレーティング14の基本単位はユニットUであるので、グレーティング14の全長における平均幅は、ユニットUの平均幅と等しく300nmである。このように、グレーティング14の平均幅と厚みDとを共に300nmとすることで、光の伝搬に関して、グレーティング14は、1辺の長さが300nmの正方形横断面形状のチャネル型光導波路と同等に機能する。これにより、グレーティング14は、第1及び第2光Lt1及びLt2をシングルモードで伝搬する。さらに、グレーティング14は、両光Lt1及びLt2に対して、偏波無依存で動作する。
【0038】
ユニットUは、直列に接続された1個ずつの幅広部14aと幅狭部14bとからなるので、ユニットUの長さである第1周期Λは、L1+L2(=370nm)となる。幅広部14aと幅狭部14bの長さL1及びL2は互いに等しいので、グレーティング14のデューティー比は50%となる。後述のように、この第1周期Λは、グレーティング14に入力された第1波長λ1の光をクラッド12に放射させるとともに、第1波長λ1より波長が長い第2波長λ2の第2光Lt2を透過させるように定められている。
【0039】
幅広部14aの第1幅W1は、幅狭部14bの第2幅W2よりも大きい。よって、グレーティング14を伝搬する光が感じる等価屈折率は、幅広部14aの方が幅狭部14bよりも大きい。つまり、ユニットUは、直列に接続された、等価屈折率が大きい高屈折率領域(幅広部14a)と、等価屈折率が高屈折率領域よりも小さい低屈折率領域(幅狭部14a)とを備えている。
【0040】
ここで、第1周期Λの設計方法について説明する。グレーティング14を伝搬する第1波長λ1の光をクラッド12に放射するためには、第1周期Λを下記式(1)に従い決定すればよいことが知られている。
【0041】
Λ=λ1/(nc×cosΘ+nw)・・・(1)
ここで、ncは、第1波長λ1におけるクラッド12の等価屈折率である。また、nwは、第1波長λ1におけるグレーティング14の等価屈折率である。また、結合角Θとは、グレーティング14の中心軸Cと、放射光Ltの伝搬方向とのなす角度とする。
【0042】
また、式(1)に従い設計されたグレーティング14のブラッグ波長λBは、下記式(2)で与えられることが知られている。
【0043】
λB=2nw×Λ・・・(2)
なお、式(1)及び式(2)において、第1波長λ1の波長範囲で、nc及びnwは波長依存性が無くそれぞれ定数とみなせる。
【0044】
グレーティング14からクラッド12へと光を効果的に放射させるには、一般に、結合角Θを0°<Θ≦30°の範囲内に収めればよいことが知られている。よって、第1周期Λを決定するためには、(1)式に、nc及びnwとともに、第1波長λ1の上限波長(1.35μm)及び下限波長(1.25μm)を入力して、下限波長と上限波長との間で結合角Θが0°<Θ≦30°の範囲内に収まるようにすればよい。
【0045】
上述したグレーティング14の第1周期Λ(370nm)は、このようにして求められている。なお、この第1周期Λを求めるに当たり、式(1)に代入するncとしては、上述したクラッド12の屈折率である1.44を用いた。また、nwとしては、コア18の屈折率(3.47)と、幅広部14a及び幅狭部14bの寸法とから求めた等価屈折率である2.3を用いた。
【0046】
なお、このグレーティング14のブラッグ波長λBは、式(2)から、不可避的に1.57μmと定まる。
【0047】
また、この実施形態に示す例では、光素子10は、Si基板上にSiO層とSi層とがこの順序で積層されたSOI基板を利用して作成される。すなわち、最上層のSi層を従来公知のドライエッチング法等でパターニングして、グレーティング14を備えたコア18を作成する。その後に、コア18を埋め込むように、従来公知のCVD(Chemical Vapor Deposition)法等で、SOI基板の全面にクラッド12となるSiO層を堆積する。これにより、光導波路11を形成し、光素子10を完成させる。
【0048】
(動作)
以下、図1を参照して、光素子10の動作について説明する。
【0049】
第1及び第2光Lt1及びLt2の混合光は、光入力部IN14からグレーティング14へと入力される。グレーティング14の第1周期Λが上述のように設定されているので、グレーティング14を伝搬する過程で、第1光Lt1は、波長に応じた結合角Θでクラッド12を伝搬する放射光Ltに変換され、クラッド12に放射される。つまり、第1光Lt1は、グレーティング14の伝搬距離に応じて減衰していく。
【0050】
上述のように、第1波長λ1の第1光Lt1を、クラッド12に放射させるように第1周期Λを決定すると、グレーティング14のブラッグ波長λBが不可避的に1.6μm付近に設定される。例えば、この実施形態では、ブラッグ波長λBは1.57μmである。その結果、ブラッグ波長λBを中心波長とするブラッグピークが生じる。従来は、このブラッグピークを小さくできなかったために、ブラッグピークの波長範囲に第2光Lt2(波長1.49μm)が含まれてしまい、第2光Lt2の透過率が減少していた。
【0051】
この実施形態のグレーティング14は、後述のように、第2光Lt2の透過率が実用上十分に大きな値となるまでブラッグピークを縮小化している。従って、第2光Lt2は、グレーティング14を透過して、入力された時の光強度を略保ったまま光出力部OUT14から出力される。
【0052】
(効果)
次に、図2を参照して、光素子10の効果について説明する。図2は、光素子10の動作特性を示す特性図である。
【0053】
図2では、波長を変化させた入射光を、光入力部IN14からグレーティング14に入力したときに、光入力部IN14で観測される反射光の入射光に対する強度比率(反射率)、及び光出力部OUT14で観測される透過光の入射光に対する強度比率(透過率)をそれぞれ求めている。より詳細には、(構造)の項で説明したグレーティング14に対してFDTD(Finite Difference Time Domain)法を適用して、図2の反射率及び透過率を計算した。なお、図2において、縦軸はdB単位で測った反射率(曲線II)及び透過率(曲線I)である。横軸は、反射光及び透過光の波長(μm)である。
【0054】
透過率に対応する曲線Iを参照すると、第1波長λ1(1.30±0.5μm)における透過率は−30dB未満、すなわち入射光強度の1/1000以下に抑えられている。つまり、グレーティング14は、第1波長λ1の光の透過率を十分に小さくしている。
【0055】
一方、第2波長λ2(1.49μm)における透過率は約−1dBである。従って、第2光Lt2に対する第1光Lt1の消光比は−30dB以下となり、光加入者系通信システムで下り通信光(第2波長λ2)に求められるS/N比(−30dB以下)を満足する。
【0056】
また、反射光に対応する曲線IIに注目すると、ブラッグ波長λB(1.57μm)付近に、反射率が約−7dBのブラッグピークが存在する。ブラッグピークでの高い反射率に対応して、曲線Iには、波長1.56〜1.59μmの範囲に広がる窪みが存在する。この窪みの極小値は約−2dBであるので、グレーティング14のブラッグ波長λBにおける光の透過率は、約80%に保たれていることが判る。
【0057】
ところで、第1波長λ1の光をクラッドに放射するように設計された従来型グレーティングは、コアを構成する材料の種類によらず、ブラッグピークが巨大であった。その結果、従来型グレーティングにおけるブラッグ波長λBでの光の透過率は10%以下に止まっていた。しかし、この実施形態のグレーティング14では、ブラッグピークを実用上十分に縮小化することができるので、ブラッグ波長λBにおける光の透過率を従来の8倍以上にまで高めることができる。その結果、曲線Iにおいて、ブラッグピークに由来する上述の窪みを、第2波長λ2の透過率に影響を与えない程度まで小さくすることができる。
【0058】
このように、グレーティング14は、(効果1)第1波長λ1の第1光Lt1の透過率を小さくすること、及び(効果2)第2波長λ2の第2光Lt2の透過率が悪影響を受けない程度にブラッグピークを縮小化すること、の2つの効果を同時に奏する。
【0059】
(変形例)
以下、光素子10の変形例について説明する。
【0060】
(変形例1)
この実施形態では、幅広部14aの第1幅W1と、幅狭部14bの第2幅W2との差が、180nmの場合について説明した。しかし、第1幅W1と第2幅W2との差は、この値に限定されず、180〜200nmの範囲で設計に応じた好適値を選択できる。第1幅W1と第2幅W2との差をこの範囲の値に設定することによっても、光素子10は、上述した(効果1)及び(効果2)を奏する。
【0061】
(変形例2)
この実施形態では、グレーティング14を偏波無依存とする場合について説明した。しかし、偏波無依存性は、グレーティング14が満たすべき必要条件ではない。従って、平均幅と厚みとを異なる値に設定することで偏波依存性を発生させたグレーティングも本発明の範囲に含まれる。
【0062】
(変形例3)
この実施形態では、グレーティング14の全長での平均幅を300nmとした場合について説明した。しかし、グレーティング14の平均幅は、400〜500nmの範囲内で設計に応じた好適値を選択できる。グレーティング14の平均幅をこの範囲の値とした場合に、グレーティング14はシングルモードで動作する。また、グレーティング14の平均幅をこの範囲の値とし、かつ、厚みを平均幅と等しく設定することにより、さらにグレーティング14を偏波無依存で動作させることができる。
【0063】
(変形例4)
この実施形態では、グレーティング14を構成するユニットUの段数nを60とした場合について説明した。しかし、ユニットUの段数nは、この値に限定されず、60〜100段の間で設計に応じた好適値を選択できる。ユニットUの段数nをこの範囲の値とすることによっても、光素子10は、上述した(効果1)及び(効果2)を奏する。
【0064】
(変形例5)
この実施の形態では、幅広部14aと幅狭部14bの長さL1及びL2を等しくした場合、つまり、グレーティング14のデューティー比を50%とした場合について説明した。しかし、実用上十分な程度にグレーティング14のブラッグピークを縮小化することを条件として、デューティー比はこの値には限定されず、設計に応じた好適値を選択できる。
【0065】
(変形例6)
この実施形態では、コア18として、クラッド12の屈折率よりも40%以上大きな屈折率を有する材料を用いた場合について説明した。しかし、コアに十分な強度で光を閉じ込めることができれば、コアの屈折率は、クラッドの屈折率よりも40%以上大きい必要は無い。このようなコア及びクラッドで構成された光導波路を備えた光素子も、上述した(効果1)及び(効果2)を奏する。
【0066】
[実施形態2]
以下、図3を参照して、実施形態2の光素子について説明する。図3(A)は、光素子の構造を概略的に示す平面図である。図3(B)は、図3(A)のB−B線に沿って取った端面図である。なお、図3において、光素子20を構成する光導波路11は、クラッド12に覆われているために、直接目視することはできないが、強調のために実線で描いてある。
【0067】
(構造)
この実施形態の光素子20は、光導波路11が更に干渉器22を備えている点が、実施形態1の光素子10と異なっている。よって、図3において、図1と同様の構成要素には同符号を付して、その説明を省略する。
【0068】
光素子20を構成する光導波路11は、1個の第1型のマッハツェンダ干渉計(以下、MZ干渉計とも称する。)22を備えた干渉器22と、グレーティング14とを有している。光導波路11は、さらに、任意的な要素として入力部24と出力部26とを備えている。
【0069】
入力部24の入力用光導波路24aは、干渉器22の第1光導波路16aの入力端IN16aに接続されている。干渉器22の第1光導波路16aの出力端OUT16aは、出力部26の第1出力用光導波路26aに接続されている。干渉器22の第2光導波路16bの出力端OUT16bは、グレーティング14を介して出力部26の第2出力用光導波路26bに接続されている。
【0070】
ここで、MZ干渉計の型について、簡単に説明する。一般に、MZ干渉計は、2個の方向性結合器と、これらの方向性結合器を接続するアーム部とを備える。アーム部は、所定の光路長差ΔSを有し、互いに並列された2本の湾曲光導波路からなる。ここで、絶対値が等しく符号が異なる光路長差ΔS及び−ΔSをそれぞれ有する以外は等しく構成された2種類のMZ干渉計を考え、便宜的に、一方(光路長差ΔS)を「第1型」と称し、他方(光路長差−ΔS)を「第2型」と称する。
【0071】
なお、ここで「光路長」とは、一般的に、光導波路の幾何学的な長さPを、ある波長の光が感じる光導波路の等価屈折率qで補正した光学的な長さのことを示す。光路長をSとすると、SはP×qで与えられる。
【0072】
光導波路11は、全ての構成要素を断面矩形状のチャネル型導波路とする。また、光導波路11は、全ての構成要素の厚みDを300nmとする。また、グレーティング14と、後述する方向性結合器22L及び22Rとを除いて、光導波路11は、構成要素の幅Wを300nmとする。このように、グレーティング14と、方向性結合器22L及び22Rとを除く光導波路11の構成要素の横断面形状を幅300nm及び厚み300nmの正方形状とすることにより、グレーティング14と、方向性結合器22L及び22Rとを除く光導波路11の構成要素を偏波無依存にすることができる。
【0073】
光導波路11を構成する入力部24は、入力用光導波路24aとダミー導波路24bとを備えている。入力用光導波路24aの一端は、クラッド12の側面から露出している。この一端から第1光Lt1及び第2光Lt2の混合光が入力される。入力用光導波路24aの他端は、干渉器22、すなわち第1型のMZ干渉計22を構成する第1光導波路16aに接続されている。ダミー導波路24bは、一端部がクラッド12中に開放された自由端であり、他端部が第2光導波路16bに接続されている。ダミー導波路24bは、実質的に光素子10の動作には関係しない。
【0074】
光導波路11を構成する干渉器22は、1個の第1型のMZ干渉計22を備えている。第1型のMZ干渉計22は、第1光導波路16aの入力端IN16aに入力された第2光Lt2を、第2光導波路16bの出力端OUT16bから出力させるように構成されている。
【0075】
干渉器22を構成する第1型のMZ干渉計22は、構造的には、並列された2本の光導波路である第1及び第2光導波路16a及び16bで構成されている。また、機能的には、第1及び第2光導波路16a及び16bにより形成された2個の方向性結合器22L及び22Rと、アーム部22Cとを備えている。
【0076】
第1型のMZ干渉計22の構造的要素である第1光導波路16aは、2個の第1直線部16aL及び16aRと、第1湾曲部16aCとを備えている。第1湾曲部16aCは、これらの第1直線部16aL及び16aR間に介在している。第2光導波路16bは、2個の第2直線部16bL及び16bRと、第2湾曲部16bCとを備えている。第2湾曲部16bCは、これらの第2直線部16bL及び16bR間に介在している。なお、以下の記載において、特に断らない限り、「第i直線部」又は「第i湾曲部」(i=1又は2)とは、第i直線部又は第i湾曲部を構成する第j光導波路(j=1又は2)の部分領域を示す。
【0077】
第1型のMZ干渉計22の機能的要素である方向性結合器22Lは、第1及び第2直線部16aL及び16bLで構成されている。また、方向性結合器22Rは、第1及び第2直線部16aR及び16bRで構成されている。同様に、アーム部22Cは、第1及び第2湾曲部16aC及び16bCで構成されている。第1型のMZ干渉計22において、方向性結合器22L、アーム部22C及び方向性結合器22Rは、この順番で直列に配置されている。
【0078】
方向性結合器22Lは、光結合可能な距離だけ離間して互いに平行に配置された第1及び第2直線部16aL及び16bLで構成されている。第1及び第2直線部16aL及び16bLの長さLL1は、互いに等しく、第2光Lt2に関する結合長の1/2とする。また、第1及び第2直線部16aL及び16bLの幅WW1は、互いに等しく、約285nmとする。また、第1及び第2直線部16aL及び16bLの導波路間隔、すなわち互いに対向する側面同士の間隔は、約650nmとする。
【0079】
ここで、「結合長」とは、互いに平行な2本の直線状光導波路からなる方向性結合器において、一方の光導波路から入力された光が、他方の光導波路へと完全にパワー移行するために要する、方向性結合器の光伝搬方向に沿った幾何学的長さである。
【0080】
方向性結合器22Rは、寸法も含めて方向性結合器22Lと同様に構成されている。
【0081】
方向性結合器22L及び22Rは、アーム部22Cと相俟って、第1直線部16aLへと入力された混合光を波長分離して、第2光Lt2を第2直線部16bRから出力させ、第1光Lt1を第1直線部16aRから出力させる機能を有する。
【0082】
上述のように方向性結合器22L及び22Rの厚みDを300nmとし、幅WW1を285nmとすることにより、方向性結合器22L及び22Rを偏波無依存で動作させることができる。
【0083】
また、方向性結合器22L及び22Rの長さの和(LL1×2)を第2光Lt2に関する結合長と等しくすることにより、方向性結合器22L及び22Rの伝搬終了時に、第2光Lt2のパワーの全てが第1光導波路16aから第2光導波路16bへと移行する。一方、第1光Lt1は、パワー移行を生じることなく、第1光導波路16aを伝搬する。
【0084】
なお、この実施形態では、方向性結合器22L及び22Rの幾何学的長さを第2光Lt2の結合長を基にして設計している。これは、波長の長い第2光Lt2(λ2=1.49μm)の方が、波長の短い第1光Lt1(λ1=1.30±0.5μm)よりも方向性結合器22L及び22Rにおける結合が強いため、方向性結合器22L及び22Rの長さを短くできるからである。
【0085】
再び、第1型のMZ干渉計22の機能的要素の説明に戻ると、アーム部22Cは、互いに異なる光路長を有し、並列された第1及び第2湾曲部16aC及び16bCで構成されている。第1湾曲部16aCの光路長をSaとし、第2湾曲部16bCの光路長をSb(<Sa)とする。このとき、第1及び第2湾曲部16aC及び16bCの光路長差(Sa−Sb)を、ΔSとする。この実施形態では、ΔSは、下記の2条件が成立する値である約1.35μmとした。
【0086】
第1及び第2湾曲部16aC及び16bCの光路長Sa及びSbは、ΔSが以下の2条件を満たすように決定する。その条件とは、kを正の整数とした場合に、(条件1)第1及び第2光湾曲部16aC及び16bCを伝搬後の第1光Lt1の位相差が(2k+1)πとなること、及び、(条件2)第1及び第2光湾曲部16aC及び16bCを伝搬後の第2光Lt2の位相差が2kπとなること、である。
【0087】
第1及び第2光湾曲部16aC及び16bCの光路長Sa及びSbを上述のように設定すれば、アーム部22Cを伝搬後の第2光Lt2は位相が一致するので、方向性結合器22Rを伝搬する過程で第2直線部16bRにパワーが移行する。一方、アーム部22Cを伝搬後の第1光Lt1は位相が反転するので、方向性結合器22Rを伝搬する過程でパワー移行を生じることなく第1直線部16aRを伝搬する。
【0088】
アーム部22Cは、第1及び第2光湾曲部16aC及び16bCを伝搬する第1及び第2光Lt1及びLt2に所定の位相差を付与して、光素子20の波長分離能力を高める機能を有する。
【0089】
光導波路11を構成するグレーティング14は、方向性結合器22Rの第2直線部16bRに接続されている。グレーティング14には、第2波長λ2の第2光Lt2と、この第2光Lt2に対する妨害光とが入力される。妨害光は、第1型のMZ干渉計22により分離し切れなかった第1波長λ1の第1光Lt1を主成分とする。
【0090】
上述のように、グレーティング14は、(1)第1波長λ1の妨害光の強度を低減するとともに、(2)第2光Lt2の強度を高く保つことにより、消光比を高めた第2光Lt2を出力部26の第2出力用光導波路26bに出力する。
【0091】
光導波路11を構成する出力部26は、第1出力用光導波路26aと第2出力用光導波路26bとを備えている。第1出力用光導波路26aの一端は、方向性結合器22Rの第1直線部16aRに接続されている。第2出力用光導波路26bの一端は、グレーティング14の他端に接続されている。第1出力用光導波路26aから第1光Lt1が出力され、第2出力用光導波路26bから第2光Lt2が出力される。
【0092】
(動作)
以下、図3を参照して、光素子20の動作について説明する。
【0093】
入力部24に入力された第1及び第2光Lt1及びLt2の混合光は、入力用光導波路24aを伝搬して方向性結合器22Lの第1直線部16aLに至る。
【0094】
方向性結合器22Lの長さは、上述のようにLL1に設定されている。その結果、第2光Lt2(λ2=1.49μm)は、第1及び第2直線部16aL及び16bL間の相互作用により、方向性結合器22Lの伝搬が終了した時点で、第2直線部16bLに半分のパワーが移行する。一方、第1光Lt1(λ1=1.30±0.5μm)は、パワー移行を生じることなく第1直線部16aLを伝搬する。
【0095】
また、方向性結合器22Lを構成する第1及び第2直線部16aL及び16bLの幅はWW1に、厚さはDにそれぞれ設定している。その結果、第1及び第2光Lt1及びLt2に関して、方向性結合器22Lは偏波無依存で動作する。
【0096】
続いて、第1及び第2光Lt1及びLt2はアーム部22Cを伝搬する。アーム部22Cを構成する第1及び第2湾曲部16aC及び16bCの光路長差ΔSは、上述したように設定されているので、アーム部22Cを伝搬後の第2光Lt2は、位相が一致して、方向性結合器22Rの第1及び第2直線部16aR及び16bRに入力される。一方、アーム部22Cを伝搬後の第1光Lt1は位相が反転して、方向性結合器22Rの第1及び第2直線部16aR及び16bRに入力される。
【0097】
なお、アーム部22Cを構成する第1及び第2湾曲部16aC及び16bCは厚みがD、及び幅がWにそれぞれ設定されている。よって、第1及び第2光Lt1及びLt2に関して、アーム部22Cは偏波無依存で動作する。
【0098】
続いて、第1及び第2光Lt1及びLt2は、方向性結合器22Rに入力される。方向性結合器22Rは、方向性結合器22Lと同様に構成されている。そのため、第2光Lt2は、方向性結合器22Rの伝搬後、偏波無依存で第2直線部16bRに全てのパワーが移行して、グレーティング14へとクロス状態で出力される。一方、第1光Lt1は、偏波無依存で第1直線部16aRを伝搬して、第1出力用光導波路26aからバー状態で出力される。
【0099】
ここで、「クロス状態で出力」とは、第1光導波路16aから入力された光が、方向性結合器22L及び22Rと、アーム部22Cとの作用により、第2光導波路16bに全てのパワーが移行し、第2光導波路16bから出力されることを意味する。また、「バー状態で出力」とは、第1光導波路16aから入力された光が、第2光導波路16bへのパワー移行が発生せず、第1光導波路16aから出力されることを意味する。
【0100】
再び動作の説明に戻ると、第1型のMZ干渉計22から出力された第2光Lt2はグレーティング14に入力される。ところで、(発明が解決しようとする課題)の項で説明した理由により、グレーティング14に入力される第2光Lt2は、発光素子から出力される第1波長λ1の第1光Lt1を主成分とする妨害光を含んでいる。
【0101】
上述のようにグレーティング14は、第1波長λ1の光を−30dB以下にまで減少させることができる。また、グレーティング14は、第2光Lt2の透過率が実用上十分に大きな値となるまで、ブラッグピークを縮小化している。よって、第2光Lt2は、グレーティング14により消光比を高められて第2出力用光導波路26bから出力される。
【0102】
このように、光素子20は、入力用光導波路24aから入力された第1及び第2光Lt1及びLt2の混合光を、偏波無依存で波長分離して、第1光Lt1を第1出力用光導波路26aから出力し、及び第2光Lt2を第2出力用光導波路26bから出力する。
【0103】
なお、光の伝搬に関しては逆過程が成り立つことから、波長λ1(1.30±0.5μm)の第1光Lt1が、上述とは反対の経路で伝搬する場合も成り立つ。つまり、第1光Lt1が第1出力用光導波路26aから光素子20に入力され、入力用光導波路24aから出力される場合も同様に成り立つ。この場合、入力用光導波路24aに光ファイバを接続し、第1出力用光導波路26aに発光素子を接続し、及び第2出力用光導波路26bに受光素子を接続すれば、光素子20は、導波路型光素子として機能する。このとき光素子20と発光素子と受光素子とは、上り通信に第1光Lt1を用い、下り通信に第2光Lt2を用いるONUを構成する。
【0104】
このように、この実施形態の光素子20は、上述のグレーティング14を用いて導波路型光素子を形成しているので、ONUの消光比を向上することができる。
【0105】
なお、この実施形態においては、第1型のMZ干渉計22を偏波無依存とする場合について説明した。しかし、偏波無依存性は、第1型のMZ干渉計22が満たすべき必要条件ではない。従って、第1及び第2光導波路16a及び16bの幅と厚みとを異なる値に設定することで偏波依存性を発生させた第1型のMZ干渉計22を構成要素とする光素子20も本発明の範囲に含まれる。
【0106】
[実施形態3]
図4は、実施形態3に係る光素子の構造を概略的に示す平面図である。図5は、この光素子の特性を示す特性図である。なお、図4において、光素子を構成する光導波路11は、クラッド12に覆われているために、直接目視することはできないが、強調のために実線で描いてある。
【0107】
(構造)
この実施形態の光素子30は、光導波路11が、(1)2個のMZ干渉計を備えた干渉器31を有している点、及び(2)副干渉器32を備えている点が、実施形態2の光素子20と主に異なっている。よって、図4において、図3と同様の構成要素には同符号を付して、その説明を省略する。
【0108】
光素子30が光素子20と異なる点の一つは、干渉器31が、第1型のMZ干渉計22と、第2型のMZ干渉計22とを備えていることである。これらのMZ干渉計22及び22は、後述するように略等しく構成されている。そこで、MZ干渉計22の構成要素には、MZ干渉計22と同じ符号を付与し、符号に付した下付きの添字「1」又は「2」で両者を区別する。
【0109】
これら2個のMZ干渉計22及び22は、それぞれの第1光導波路16a同士が互いに接続され、及び、それぞれの第2光導波路16b同士が互いに接続されている。そして、グレーティング14は、第2型のMZ干渉計22の第2光導波路16bの出力端OUT16bに接続されている。
【0110】
上述のように第1型と第2型のMZ干渉計22及び22の違いは、それぞれのアーム部22C及び22Cを構成する2本の光導波路間の光路長差の正負が逆転していることである。より詳細には、第2型のMZ干渉計22においては、第1光導波路16aの第1湾曲部16aCと、第2光導波路16bの第2湾曲部16bCとでアーム部22Cが構成されている。ここで、第1及び第2湾曲部16aC及び16bCの光路長をそれぞれSa及びSbとする。そして、第1及び第2湾曲部16aC及び16bCの光路長差(Sa−Sb)をΔSとする。このとき、ΔSと−ΔSとが等しくなる。
【0111】
なお、この実施形態では、第1型のMZ干渉計22の方向性結合器22L及び22Rの長さと、第2型のMZ干渉計22の方向性結合器22L及び22Rの長さとを、それぞれ第2光Lt2の結合長の1/4に変更している。これは、干渉器31が備える合計4個の方向性結合器22L,22R,22L及び22Rの長さの総和を第2光Lt2の結合長と等しくするためである。これにより、第1型及び第2型のMZ干渉計22及び22を伝搬後の第2光Lt2は、第2直線部16bRからクロス状態で出力される。
【0112】
このように、干渉器31を複数のMZ干渉計で構成することにより、実施形態2の光素子20に比較して、光素子30の波長分離能力を高めることができる。より詳細には、干渉器31からの出力段階において、第1光Lt1の消光比と第2光Lt2の消光比とを、光素子20に比較して改善することができる。特に、光素子30は、グレーティング14を伝搬することなく第1出力用光導波路26aから出力される第1光Lt1の消光比を高めることができる。
【0113】
また、発明者らのシミュレーションの結果、第1型と第2型のMZ干渉計22及び22が直列に接続された干渉器31では、光素子30の第2出力用光導波路26bからクロス状態で出力される第2光Lt2の波長ズレに対する安定度が高まる。つまり、図5において、クロス出力光を表す曲線IIの波長1.5〜1.7μmに存在するピークの平坦領域を光素子20に比べて幅広くすることができる。
【0114】
光素子30が光素子20と異なるもう一つの点は、光導波路11が副干渉器32を備えていることである。以下、副干渉器32の構成について説明する。
【0115】
副干渉器32は、第1型のMZ干渉計32と第2型のMZ干渉計32とを備えている。ここで、第1型のMZ干渉計32は、干渉器31の第1型のMZ干渉計22と、寸法を含めて同様に構成されている。また、第2型のMZ干渉計32は、干渉器31の第2型のMZ干渉計22と、寸法を含めて同様に構成されている。副干渉器32を構成する2個のMZ干渉計32及び32は、それぞれの第1光導波路36a同士が互いに接続され、及び、それぞれの第2光導波路36b同士が互いに接続されている。
【0116】
副干渉器32の第2光導波路36bの入力端IN36bは、干渉器31の第1光導波路16aの出力端OUT16aに接続されている。より詳細には、副干渉器32の方向性結合器32Lを構成する第2直線部36bLに、干渉器31における第2型のMZ干渉計22の方向性結合器22Rを構成する第1直線部16aRが接続されている。
【0117】
副干渉器32の第2光導波路36bの出力端OUT36bは、出力部26の第1出力用光導波路26aに接続されている。より詳細には、副干渉器32の方向性結合器32Rを構成する第2直線部36bRに、第1出力用光導波路26aが接続されている。
【0118】
また、副干渉器32の第1光導波路36aの両端部は、他の光導波路と接続されない自由端とされている。
【0119】
副干渉器32の第2光導波路36bには、干渉器31の第1光導波路16aから波長選択された第1光Lt1が入力される。副干渉器32は干渉器31と同様に構成されているので、上述したように、第1波長λ1の第1光Lt1をバー状態で出力し、第2波長λ2の第2光Lt2をクロス状態で出力する。よって、副干渉器32の第2光導波路36bに入力された第1光Lt1は、第1光導波路36aにパワーが移行することなく、第2光導波路36bから第1出力用光導波路26aへと出力される。
【0120】
副干渉器32の第2光導波路36bに入力された第1光Lt1に含まれる第2波長λ2の妨害光は、副干渉器32の伝搬過程で、第1光導波路36aにパワーが移行し、クラッド12中へと放射される。その結果、副干渉器32を設けることにより、第1出力用光導波路26aから出力される第1光Lt1の消光比を高めることができる。
【0121】
光素子30の動作は、(1)第1及び第2光Lt1及びLt2が、干渉器22と同様に機能する干渉器31を伝搬する点、及び(2)副干渉器32により第1光Lt1から第2波長λ2の妨害光が除去される点を除いて、実質的に光素子20と同様である。よって、光素子30の動作の説明を省略する。
【0122】
(シミュレーション)
次に、図5を参照して、光素子30の動作特性について説明する。図5は、光素子30の動作特性を示す特性図である。
【0123】
図5では、波長を変化させた入射光を、入力用光導波路24aから光素子30に入力したときに、第1及び第2出力光用導波路26a及び26bから出力される光の強度を、それぞれFDTD法で求めている。曲線Iは、第1出力用光導波路26aからバー状態で出力される光(以下、バー出力光と称する)に対応し、曲線IIは、第2出力用光導波路26bからクロス状態で出力される光(以下、クロス出力光と称する)に対応する。図5の縦軸は出力される光の強度(dB)であり、横軸は出力される光の波長(μm)である。
【0124】
なお、このシミュレーションに当たり、以下に列記する点を除いて、グレーティング14、干渉器31及び副干渉器32は、既に説明した寸法を有している。
【0125】
(1)グレーティング14の第1周期Λを350nmとした。この変更は、ブラッグ波長λBを調整するためである。この変更に伴い、幅広部14aと幅狭部14bの長さL1及びL2は、それぞれ175nmとなる。また、式(2)より、ブラッグ波長λBは、約1.61μmと計算される。
【0126】
(2)グレーティング14のユニットUを構成する幅広部14aの第1幅W1を400nmとし、幅狭部14bの第2幅W2を200nmとした。
【0127】
(3)グレーティング14を構成するユニットUの段数nを100とした。
【0128】
(4)干渉器31を構成する第1型及び第2型のMZ干渉計22及び22において、方向性結合器22L及び22Rの長さをそれぞれ2.25μmとし、方向性結合器22R及び22Lの長さをそれぞれ3.25μmとした。この変更は、干渉器31の波長選択範囲を調整するためである。なお、副干渉器32を構成する第1型及び第2型のMZ干渉計32及び32についても、同様に変更した。
【0129】
クロス出力光に対応する曲線IIを参照すると、第2波長λ2(1.49μm)の第2光Lt2の強度は、約−4dBである。一方、妨害光である第1波長λ1(1.30±0.5μm)の第1光Lt1の強度は、略−40dB未満に抑えられている。よって、光素子30における第1光Lt1の第2光Lt2に対する消光比は−30dB未満となり、光加入者系通信システムで下り通信光(第2光Lt2)に求められるS/N比を満足する。
【0130】
バー出力光に対応する曲線Iを参照すると、ブラッグ波長λB(1.61μm)でのブラッグピークの強度は、約−25dBである。この値は、図2で説明したブラッグピーク強度(約−7dB)の、1/100程度の値である。このように、ブラッグピークが十分に小さいため、ブラッグ波長λBの位置において曲線IIには、図2で説明した窪みが存在しない。つまり、光素子30は、第2光Lt2の透過率が悪影響を受けない程度にブラッグピークを縮小化している。
【0131】
このように、光素子30は、グレーティング14の寸法を最適化したこと、及び、光素子30が干渉器31及び副干渉器32を更に備えていることにより、光素子20以上の効果を奏する。すなわち、クロス出力光における第1光Lt1の強度を−40dB未満に低減するとともに、クロス出力光における第2光Lt2の強度が影響を受けない程度にブラッグピークを縮小化した。その結果、光素子30を導波路型光素子として用いたONUでは、第1光Lt1の第2光Lt2に対する消光比を改善することができる。
【0132】
(変形例)
以下、光素子30の変形例について説明する。なお、光素子30は、光素子10及び20と同様の変形が可能である。
【0133】
(変形例1)
この実施形態では、干渉器31が合計2個のMZ干渉計として、第1型のMZ干渉計22と第2型のMZ干渉計22とを1個ずつ備える場合について説明した。しかし、干渉器31を構成するMZ干渉計の個数、及び、干渉器31を構成する第1型及び第2型のMZ干渉計の個数の比率は、この値に限定されない。
【0134】
干渉器31を構成するMZ干渉計の個数は、1個又は2個には限定されず、設計に応じて3個以上としてもよい。なお、型に関わりなく、複数のMZ干渉計を直列に接続する場合には、それぞれの第1及び第2光導波路同士を互いに接続する。このように構成することにより、MZ干渉計の個数に応じて、干渉器31からの出力段階における光素子の波長分離能力が高まる。ただし、MZ干渉計の個数が多すぎる場合、光が干渉器31を伝搬する際の伝搬損失が大きくなるため好ましくない。
【0135】
また、干渉器31を構成する第1型及び第2型のMZ干渉計の個数の比率は、1対1には限定されず、設計に応じて任意の比率とすることができる。すなわち、第1型のMZ干渉計の個数に対する第2型のMZ干渉計の個数の比率は、0〜1の範囲で任意の比率とすることができる。
【0136】
発明者らは、光路長差がΔS及び−ΔSである第1型と第2型のMZ干渉計を2個以上含む干渉器31についてシミュレーションを行った。その結果、隣接する2個のMZ干渉計対における光路長差の和の値により、干渉器31の波長分離挙動に差が生じるという知見を得ている。すなわち、光路長差の和が0(ゼロ)となるMZ干渉計対(以下、クロス状態対と称する。)の数が多ければ、クロス状態で出力される第2光Lt2のピーク波長帯域が広がる。一方、光路長差の和が2ΔS又は−2ΔSとなるMZ干渉計対(以下、バー状態対と称する。)の数が多ければ、バー状態で出力される第1光Lt1のピーク波長帯域が広がる。
【0137】
よって、第1型及び第2型のMZ干渉計の個数の比率は、クロス状態対とバー状態対の個数を勘案しつつ、第1及び第2光Lt1及びLt2のピーク波長帯域が所望の範囲となるような値とすればよい。
【0138】
(変形例2)
この実施形態では、副干渉器32が合計2個のMZ干渉計として、第1型のMZ干渉計32と第2型のMZ干渉計32とを1個ずつ備える場合について説明した。しかし、副干渉器32を構成するMZ干渉計の個数、及び、副干渉器32を構成する第1型及び第2型のMZ干渉計の個数の比率は、この値に限定されない。
【0139】
副干渉器32を構成するMZ干渉計の個数は、2個には限定されず、設計に応じて1個又は3個以上としてもよい。なお、型に関わりなく、複数のMZ干渉計を直列に接続する場合には、それぞれの第1及び第2光導波路同士を互いに接続する。このように構成することにより、MZ干渉計の個数に応じて、第1光Lt1の消光比が向上する。ただし、MZ干渉計の個数が多すぎる場合、光が干渉器32を伝搬する際の伝搬損失が大きくなるため好ましくない。
【0140】
また、上述した(変形例1)と同様の理由により、第1型及び第2型のMZ干渉計の個数の比率は、クロス状態対とバー状態対の個数を勘案しつつ、第1及び第2光Lt1及びLt2のピーク波長帯域が所望の範囲となるような値とすればよい。
【符号の説明】
【0141】
8 基板
8a 主面
10,20,30 光素子
11 光導波路
12 クラッド
14 グレーティング
14a 幅広部
14b 幅狭部
IN14 光入力部
OUT14 光出力部
18 コア
22,31 干渉器
22,32 第1型のマッハツェンダ干渉計(MZ干渉計)
22,32 第2型のマッハツェンダ干渉計(MZ干渉計)
22L,22R,22L,22R,32L,32R,32L,32R 方向性結合器
22C,22C,32C,32C アーム部
16aL,16aR,16aL,16aR,36aL,36aR,36aL,36aR 第1直線部
16bL,16bR,16bL,16bR,36bL,36bR,36bL,36bR 第2直線部
16aC,36aC,16aC,36aC 第1湾曲部
16bC,36bC,16bC,36bC 第2湾曲部
16a,36a 第1光導波路
16b,36b 第2光導波路
IN16a,IN36b 入力端
OUT16a,OUT16b,OUT36b 出力端
24 入力部
24a 入力用光導波路
26 出力部
26a 第1出力用光導波路
26b 第2出力用光導波路
32 副干渉器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の主面側に設けられたクラッドと、該クラッド中に設けられたコアとで構成された光導波路を備えており、
該光導波路が、光伝搬方向に垂直かつ前記主面に平行な方向に沿って測った長さである幅が、第1幅の幅広部及び前記第1幅よりも小さい第2幅の幅狭部を、光伝搬方向に沿って直列に接続してなり、光伝搬方向に沿って測った長さを第1周期とするユニットを、n段(nは2以上の整数)にわたり直列に接続したグレーティングを備え、
前記グレーティングの前記第1周期が、当該グレーティングに入力された第1波長の第1光を前記クラッドに放射するとともに、前記第1波長より波長が長い第2波長の第2光を透過させるように決められていることを特徴とする光素子。
【請求項2】
前記コアを構成する材料をSiとし、前記クラッドを構成する材料をSiOとすることを特徴とする請求項1に記載の光素子。
【請求項3】
前記コアを構成する材料は、前記クラッドを構成する材料の屈折率よりも40%以上大きな屈折率を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の光素子。
【請求項4】
前記第1波長を1.30±0.5μmの範囲の波長とし、前記第2波長を1.49μmとすることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の光素子。
【請求項5】
前記第1幅と前記第2幅との差を180〜200nmの範囲の値とし、
前記第1幅を400〜500nmの範囲の値とし、
前記nを60〜100の範囲の値とすることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の光素子。
【請求項6】
前記第1周期をΛとし、前記第1波長をλ1とし、前記第1波長λ1における前記クラッドの等価屈折率をncとし、前記第1波長λ1における前記グレーティングの等価屈折率をnwとし、及び、前記クラッドに放射される前記第1光の伝搬方向と前記グレーティングの中心軸とのなす角をΘとするとき、
第1周期Λを下記式を満足する値に設定することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の光素子。
Λ=λ1/(nc×cosΘ+nw)
【請求項7】
前記光導波路が、
2個の第1直線部、及び、該2個の第1直線部の間を接続する第1湾曲部を備えた第1光導波路、並びに、前記2個の第1直線部のそれぞれに光結合可能な距離だけ離間して、該2個の第1直線部とそれぞれ平行に配置されている2個の第2直線部、及び、該2個の第2直線部の間を接続し、前記第1湾曲部との光路長差がΔS(ただし、ΔSは正の実数)である第2湾曲部とを備えた第2光導波路を有し、前記第1光導波路の入力端に入力された前記第2光を、前記第2光導波路の出力端から出力させるように構成された第1型のマッハツェンダ干渉計を1個以上含む干渉器をさらに有し、
複数の前記マッハツェンダ干渉計を有する場合、それぞれの前記第1光導波路同士が互いに接続され、及び、それぞれの前記第2光導波路同士が互いに接続されており、
前記グレーティングが、前記干渉器の前記第2光導波路の前記出力端に接続されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の光素子。
【請求項8】
前記光導波路が、
2個の第1直線部、及び、該2個の第1直線部の間を接続する第1湾曲部を備えた第1光導波路、並びに、前記2個の第1直線部のそれぞれに光結合可能な距離だけ離間して、該2個の第1直線部とそれぞれ平行に配置されている2個の第2直線部、及び、該2個の第2直線部の間を接続し、前記第1湾曲部との光路長差が−ΔSである第2湾曲部とを備えた第2光導波路を有し、前記第1光導波路の入力端に入力された前記第2光を、前記第2光導波路の出力端から出力させるように構成された第2型のマッハツェンダ干渉計を1個以上さらに備え、
複数の前記マッハツェンダ干渉計において、それぞれの前記第1光導波路同士が互いに接続され、及び、それぞれの前記第2光導波路同士が互いに接続されていることを特徴とする請求項7に記載の光素子。
【請求項9】
前記光導波路が、
1個の前記第1型のマッハツェンダ干渉計を副干渉器として更に備え、
前記干渉器における前記第1光導波路の出力端に、前記副干渉器における第2光導波路の入力端が接続されており、前記干渉器の前記第1光導波路の前記入力端に入力された第1光が、前記副干渉器の前記第2光導波路の出力端から出力されることを特徴とする請求項7又は8に記載の光素子。
【請求項10】
前記光導波路が、
それぞれの前記第1光導波路同士を互いに接続するとともに、それぞれの前記第2光導波路同士を互いに接続した2個以上の前記マッハツェンダ干渉計を備えた副干渉器を更に含み、
前記干渉器における前記第1光導波路の出力端に、前記副干渉器における第2光導波路の入力端が接続されており、前記干渉器の前記第1光導波路の前記入力端に入力された第1光が、前記副干渉器の前記第2光導波路の出力端から出力されることを特徴とする請求項7又は8に記載の光素子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−64942(P2013−64942A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204596(P2011−204596)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】