光脱毛装置
【課題】脱毛処理時に照射の不要な部位や危険な部位へ光を照射することなく、毛根位置近辺への光照射を行い、脱毛処理の安全性を向上させることができる光脱毛装置を提供する。
【解決手段】検出部4は基板に光センサを設けた構造となっており、発光部2は発光器を2次元アレイ状に基板に実装した構造となっている。発光部2の基板には、隣接する発光器の間に貫通孔が形成されており、この貫通孔から皮膚面からの反射光を通過させて、レンズ3を介して検出部4に結像させる。検出部4で撮像されたデータは画像処理され体毛認識処理が行われる。検出された体毛位置近辺の発光器を選択して脱毛用の光を照射する。
【解決手段】検出部4は基板に光センサを設けた構造となっており、発光部2は発光器を2次元アレイ状に基板に実装した構造となっている。発光部2の基板には、隣接する発光器の間に貫通孔が形成されており、この貫通孔から皮膚面からの反射光を通過させて、レンズ3を介して検出部4に結像させる。検出部4で撮像されたデータは画像処理され体毛認識処理が行われる。検出された体毛位置近辺の発光器を選択して脱毛用の光を照射する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を用いた脱毛装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、体毛を除去する装置として、例えば、皮膚にレーザ光を照射して脱毛を行うものが知られている。1本の光ビームを使用して皮膚の広範囲にわたって脱毛処理を行おうとすると光ビームを移動させて毛根に光エネルギーを与える必要があり、処理が煩雑になり時間がかかる。
【0003】
そこで、複数個の半導体レーザダイオードを等間隔に配置して、多数の光ビームを皮膚面に照射し、一度に照射できる面積を拡げて脱毛等の処理を向上させるレーザ光照射器等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特許第3188437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の技術では、皮膚の広い範囲に光ビームを照射するようにしているので、脱毛処理に必要な毛根位置近辺以外にも光が照射されて皮膚にダメージを与える可能性がある。
【0006】
レーザ光を皮膚に照射した場合、肌状態により温度上昇が異なり、特に、ホクロなどのように皮膚色が濃いと、皮膚面で光エネルギーが吸収され温度上昇して火傷になりやすい。
【0007】
また、毛根位置付近だけではなく、光照射が不必要な領域まで発光器を駆動するので、電源等の消耗が大きい。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するために創案されたものであり、脱毛処理時に照射の不要な部位へ光を照射することなく、毛根位置近辺への光照射を行い、脱毛処理の安全性を向上させることができるとともに、消費電力を抑制することができる光脱毛装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、皮膚面の体毛位置を検出する検出部と、前記検出部で検出された体毛位置に脱毛用の光を照射する発光器と、前記発光器が前記検出部よりも皮膚面に近い位置で皮膚面に面して2次元状に配列されるとともに、隣接する発光器の間に貫通孔が形成された発光部とを備え、前記貫通孔からの入射光により前記検出部が体毛位置を検出したとき、検出された体毛位置近辺の発光器を選択して脱毛用の光を照射することを特徴とする光脱毛装置である。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、前記検出部はエリアイメージセンサで構成されたことを特徴とする請求項1記載の光脱毛装置である。
【0011】
また、請求項3記載の発明は、前記検出部と発光部とは密着して一体構造となっていることを特徴とする請求項2記載の光脱毛装置である。
【0012】
また、請求項4記載の発明は、前記検出部は配設位置が固定されているとともに前記発光部は皮膚面上を皮膚面に面した状態で移動することを特徴とする請求項1〜請求項2のいずれか1項に記載の光脱毛装置である。
【0013】
また、請求項5記載の発明は、前記発光部は発光器が実装された基板により形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の光脱毛装置である。
【0014】
また、請求項6記載の発明は、前記発光部の各発光器の光照射側に光の拡散を防ぐ集光機構部を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の光脱毛装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光照射の不要な領域や光照射を行うと危険な領域等が、光照射範囲内に混在していても、そのような領域に過度の光を照射することなく、体毛(毛穴)位置や毛根位置への光照射を行い、脱毛処理の安全性を向上させることができる。また、光照射を最小限に抑え、無駄な光照射を少なくすることができるので、バッテリー等の消耗を抑えることができる。
【0016】
また、照射光はブロードな光でも良いので、様々な種類の光源を使用することができ、安価な光源を用いてコストを削減することができるとともに、検出部と発光部とを上下方向に重ねて配置することができるので、装置をコンパクトに構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1は本発明による光脱毛装置の断面図を、図2は図1の構成を下方向から見た断面図を、図4は光脱毛装置の外観図を示す。
【0018】
装置本体は、ケース12で覆われており、皮膚面に光を照射したり、皮膚面からの反射光を装置内部に取り込むために透明ガラス等で形成された照射窓1が皮膚面側に設けられている。
【0019】
ケース12の内部には、共振バネ11、発光器2、レンズ3、検出部4、走査ユニット5、駆動用磁石6、固定子7を有するリニアモータ8、電源9、制御基板10等が取り付けられている。走査ユニット5には、発光部2、レンズ3、検出部4、駆動用磁石6が配設されている。走査ユニット5は、駆動用磁石6と固定子7を有するリニアモータ8との相互作用により移動方向1の方向に動き、共振バネ11の作用により滑らかに均一の動きになるようになっている。
【0020】
発光部2は、皮膚面に検出用の照明光を照射する動作と、脱毛を行うための光を毛根位置に照射する動作に用いられる。発光部2は、レーザ光源を用いても良いし、単なる光源であっても良い。平均的に毛穴から深さ4〜5mmに毛根が存在するが、発毛細胞めがけて一定エネルギーの光を照射すると発毛細胞に刺激を与えることができる。
【0021】
検出部4は、発光部2の検出用照明光により照らされた皮膚面からの反射光を検出して、皮膚面の状態を撮像するもので、光センサ、小型のTVカメラ、CCDセンサ等が用いられる。また、検出部4には、その他、赤外線センサや紫外線センサを用いることができる。
【0022】
走査ユニット5に取り付けられた発光部2、レンズ3、検出部4は、所定の関係を保ったまま移動方向1へ一体で移動する。移動方向1と直交する方向へは、操作者が手動により移動させる。なお、レンズ3は、皮膚面からの反射光を検出部4に結像させるために用いられるもので、結像した像の大きさを拡大、縮小できるように上下に移動できるようになっている。
【0023】
電池等からなる電源9は、制御基板10、リニアモータ8、検出部4、発光部2等に電気を供給するもので、図示はしていないが適宜配線がなされている。 制御基板10は、CPUやメモリ等が搭載されており、モータの制御や検出用照明、発光器、検出器の制御等、装置全体の制御を行うとともに、収集されたデータをメモリに記憶させておき、適宜演算を行う等の動作を行う。
【0024】
本発明の光脱毛装置の全体概観のデザインの一例を示したのが、図4であり、カバー20の中央当たりを手に持って、髭剃り機のように皮膚面に対して接触するように置く形状となっている。照射窓1の部分は照射窓1の両側に形成されているカバー部分よりは少し窪んでいるので、この両側のカバー部分が皮膚面に当接して光脱毛装置を固定させる。図4では、光脱毛装置を皮膚面の下側から押し当てるようにしているが、もちろん皮膚面の上側から照射窓10を下向きにして光脱毛装置を固定するようにすることもできる。
【0025】
スイッチ21の押し釦部分は、カバー20の外側に出ており、操作者が押せるようになっている。起動時にスイッチ21を押し、脱毛処理時に再度スイッチ21を押す。また、処理ランプ22はLED等から構成されており、点灯部分が外部から認識できるように、処理ランプ22の設置位置に該当するケースの一部分を透明にしたり、くり貫いたりしている。この処理ランプ22は脱毛処理完了時に点灯する。
【0026】
図3に発光部2、レンズ3、検出部4付近の詳細図を示す。検出部4は基板にエリアイメージセンサとしてのCCDセンサ76を設けた構造となっており、発光部2は発光器としてのLED(発光ダイオード)モジュール71を2次元アレイ状に基板に実装した構造となっている。発光部2の基板には、貫通孔75がライン状に並べられたLEDモジュール71の列と列との間で、かつ隣接するLEDモジュールとの中間地点に形成されており、この貫通孔75から皮膚面からの反射光を通過させて、レンズ3を介してCCDセンサ76に結像させる。
【0027】
LEDモジュール71は発光素子としてのLEDチップ73、反射板72、封止材77により構成されている。封止材77は、シリコン材料等を用いてLEDチップ73を覆うように凸形状(レンズ形状)に形成されている。LEDチップ73に電流が流れると、LEDチップ73が発光し、この光が皮膚面に照射される。LEDチップ73から放射される光の半分以上は横方向へ出射するので、反射板72を設けて横方向の放射光を前方(皮膚面方向)に集めて照射効率を高めるようにしている。反射板72は、LEDチップ73を配置する基板上に形成するので、加工が容易なセラミック等で構成される。
【0028】
CCDセンサ76の撮像領域は発光部2の破線で囲んだ部分となっている。
発光部2の上部(光軸上)からCCDセンサにて画像を撮像する。
なお、LEDモジュール71のサイズMは200〜250μm、LEDモジュール71の配置間隔Lは200〜250μmとすることができる。
【0029】
検出部4、レンズ3の部分は、他のエリアイメージセンサで置き換えが可能であり、例えばカメラモジュール30に置き換えた構成例を図5に示す。図の破線で囲まれた部分が撮像範囲であり、すべてのLEDモジュール71を含んでいる。また、発光部2の構成は、図3と同様であるので説明を省略する。貫通孔75を通過してきた皮膚面からの反射光をカメラモジュール30で撮像し画像処理を行う。
【0030】
図6は、検出部4と発光部2とを密着させた構成を示し、図7はこの密着させた検出部4と発光部2の詳細な構成例を示す。検出部4は、CCDセンサ76から構成されており、発光部2のLEDモジュール71の全領域と合致し、貫通孔75から皮膚面を撮像することができる。この撮像画像に基づいて体毛の認識処理を行う。なお、CCDセンサ76で結像する画像の大きさを調整する(拡大または縮小)ために、貫通孔75にはマイクロレンズを取り付けるようにしても良い。
【0031】
体毛又は毛穴位置に脱毛用の光を照射するためにLEDモジュール71が2次元アレイ状に設けられている。LEDモジュール71は、LEDチップ73、蛍光体74、反射板72、封止材77から構成されており、脱毛用光源と照明用光源とを兼ねている。発光部2と検出部4の各構成は、上述した図3の構成と同様である。
【0032】
前述した図1〜図7の構成とした場合の体毛認識時の発光処理の様子を図8に示す。図8(a)は、発光部2を真上から見た図を示し、「光」と記載しているのは発光器であるLEDモジュール71の位置を、○で表しているのは貫通孔75を示している。また、図の左上のLEDモジュールをA11とし、その右横をA12とし、順に識別番号を付けていくと、第一行目に並んだLEDモジュールは、各々A11〜A15までとなり、第2行目はA21〜A25、第3行目はA31〜A35、第4行目はA41〜A45、第5行目はA51〜A55となる。
【0033】
貫通孔75を通過した反射光により、体毛を図8(b)のように認識できたとすると、この体毛位置を図8(a)の構成図と重ね合わしたものが図8(c)となる。ここで、貫通孔75を通過した皮膚面からの反射光により図のように体毛を認識できたのであるから、図8(d)のように斜線を付した○位置に相当する貫通孔からの通過光により体毛が認識できたことになる。
【0034】
例えば、CCDセンサ76からの検出電圧を0V〜3.3Vとし、A/D変換して0V〜3.3Vを0〜255とするとデジタル信号のしきい値レベル120以下と検出された光ビームが通過した貫通孔位置を体毛位置と認識する。体毛位置と認識された貫通孔(斜線を付した○位置)の対角線上にある4角のLEDを発光させる。
【0035】
例えば、左上の斜線を付した○位置B11の4角のLEDは、A11、A12、A31、A32が対応する。また、その下の斜線を付した○位置B21の4角のLEDは、A21、A22、A41、A42が対応する。さらにその下の斜線を付した○位置B31の4角のLEDには、A41、A42が対応し、下の部分には対応するLEDが配置されていないのでこの2個になる。以上のようにして発光させるべきLED位置を太線枠で囲んだのが図8(e)である。このように発光処理が行われ、脱毛処理がなされる。
【0036】
図9に本発明の光脱毛装置のブロック構成を示し、図10に動作のフローチャートを示す。CPUやDSP等から構成される制御部41は、光脱毛装置の各部の制御を行い、記憶部45はメモリ等から構成される。制御部41と記憶部45は、制御基板10に実装されている。表示部43は処理ランプ22等により、入力部44はスイッチ21等により、駆動部42はリニアモータ8等により構成される。
【0037】
次に、光脱毛装置の動作を説明する。まず、ユーザが光脱毛装置の起動時にスイッチ21を押すと、装置各部に電源9から電源が供給される。脱毛処理を開始したい場合には、再度スイッチ21を押す。この2回目に押された脱毛処理開始のトリガ信号を制御部41で検出する(S1)。トリガ信号が検出されると、制御部41は照明用の光を発光させるように発光部2に制御信号を送る。この制御信号により発光部2が発光し、皮膚面に光が照射される。皮膚面で光が反射して貫通孔75を通過してくるので、この通過光を検出部4で撮像する(S2)。撮像信号は、制御部41に送られて画像処理され(S3)、体毛又は毛穴の認識処理を行う。体毛又は毛穴の認識処理が終了すると、処理結果は記憶部45に記憶させられる。
【0038】
上述したように、例えば、CCDセンサ76からの検出電圧を0V〜3.3Vとし、A/D変換して0V〜3.3Vを0〜255とするとデジタル信号のしきい値レベル120以下と検出された光ビームが通過した貫通孔位置を前述の図8に示すように体毛又は毛穴位置として検出する。このとき、体毛や毛穴位置だけでなく、皮膚色等も検出するようにしても良い。
【0039】
体毛又は毛穴が検出された光ビームが通過した貫通孔位置の四隅の(又は二隅)のLEDモジュール71から脱毛用の光を発光させるように、制御信号が発光部2に送信され、前述の図8のように発光部2の所定位置のLEDモジュールが発光して皮膚面に照射される(S4)。光照射の方法は、貫通孔位置の四隅のLEDモジュールをすべて同時に発光させるようにしても良いし(図8(e)の太線枠で囲んだLEDをすべて同時に発光)、LEDモジュールを一個ずつ順番に発光させても良く、また、複数のLEDモジュールをまとめてブロック分けし、ブロック毎に同時照射を行っていくようにしても良い。
【0040】
次に駆動部42を駆動して、1ピッチ分走査ユニット5を移動させる(S5)。走査ユニット5が移動方向1の最終位置まで移動が完了した場合(S6YES)は、所定範囲の脱毛処理が終了したので、この終了信号が制御部41から表示部43に送信され(S7)、表示部43、すなわち処理ランプ22が点灯する。一方、移動方向1の最終位置まで移動が完了していない場合(S6NO)は、上記S2〜S5までの動作を繰り返す。
【0041】
次に、皮膚面の他の領域の脱毛処理を行いたい場合には、ユーザが光脱毛装置を手動により移動させて上記S1〜S7の処理を行う。上記実施例では、移動方向1の方向に移動を行って、自動的に脱毛処理するようにしているが、例えば移動方向1と直交する方向へも移動できるようにして、2方向ともに自動処理できるようにしても良い。
【0042】
ところで、ホクロのように皮膚色が濃い部分は、メラニンが多いため、照射光のエネルギーを吸収して発熱するので、火傷を生じる可能性が高い。検出部4で皮膚色等も検出するようにしておき、体毛(毛穴)の近くにホクロやシミ等の皮膚色の濃い部分が検出部4の撮影画像から検出されている場合には、皮膚色の濃い部分に光が照射されないように発光器(LEDモジュール)を選択することもできる。
【0043】
上述のように、脱毛用の光照射が必要な部位、すなわち体毛や毛穴(毛根)位置付近に相当する発光器のみを選択して光照射を行うようにしているので、効果的に脱毛処理が行えるとともに、体毛や毛穴位置が含まれる領域以外の皮膚面には光が照射されずに、皮膚へのダメージを防止することができる。また、すべての発光器を使用せずに、体毛や毛穴)位置付近に相当する発光器のみを選択して使用しているので、バッテリー(電源9)の消耗を抑えることができる。さらに、発光部の上方向に検出部を重ねるようにして検出部を配置することができるので装置全体をコンパクトに構成することができる。
【0044】
上記の動作については、例えば、移動ピッチは150〜250μm、移動方向1への移動速度は50〜500mm/s、移動方向1への1ストローク長は5〜20mm、発光器の脱毛用光出力波長は650nm〜680nm、照射スポット径50〜150μm、照射強度150〜200mW/(100μm)2、照射時間10〜40ms程度を想定している。
【0045】
次に、発光部2と検出部4との関係が図5の構成になっている場合、検出部4を移動させないで、発光部2を移動させる構成を図11、12に示す。図11は、光脱毛装置を側面から見た図であり、図12は正面から見た図である。
【0046】
カメラモジュール30で構成された検出部4は検出部支持体81によりケース12に固定されている。一方、発光部2は、走査ユニット82に固定されており、走査ユニット82はリニアモータ8の作用により移動方向1に移動する。移動方向1は、発光部2に設けられている発光素子(LED)の光軸に直交する方向に動くようになっている。また、発光部2は、図3、図5の発光部2と同様の構成であり、細部の構成については同じ数字で示す。
【0047】
図の検出部撮像範囲が発光部2の移動範囲に相当する。走査ユニット82は、図12の右端の破線位置から左端の破線位置までの間を移動する。発光部2の移動に伴い発光部2に設けられた貫通孔75も移動し、撮像領域が次々と変化することで、検出部4はその変化した撮像領域を撮像して体毛又は毛穴を認識する。なお、走査ユニット82の移動ピッチ、移動方向1への移動速度、光出力等の数値については前記実施例と同様である。
【0048】
このようにすれば、発光部(発光器)のみを移動させるので、リニアモータ8等の駆動機構の負荷が軽減して安価な駆動機構でも高精度で駆動させることができる。また、検出部(検出器)を固定して、移動動作を行わせないようにしているので、位置情報を正確に検出することができる。
【0049】
以上述べた実施例について、発光部2の集光機能を高めた構造を示すのが、図13である。発光部2Aは、上記発光部2の構成に、取付枠54と集光機構部51を設けた構成となっており、集光機構部51は集光板52と集光レンズ53からなる。
【0050】
図13のA方向から見た断面図を示すのが、図14であり、LEDモジュール71や貫通孔75に対応する部分がくり貫かれた取付枠54に集光板52が取り付けられ、集光板52の先端部分に集光レンズ53が取り付けられている。LEDモジュール71を集光板52で覆うように構成することで、LEDモジュールから放射される全ての光を集光板52に入射させ、集光板52では、所定の入射角以下である光を集光レンズ53位置へ反射させて導く。
【0051】
集光板52は、金属(SUS等)で鏡面仕上げのものが用いられる。集光レンズ53に集まった光は、集光レンズ53により集光、集束させられて皮膚面の所定位置にスポット径を形成する。通常、LEDチップサイズ(例えば直径4mm)と上記スポット径はほぼ同サイズとなるように構成される。
【0052】
このようにして、皮膚面以外へ拡散する光ビームを集光して皮膚面への照射光とするようにしているので、照射効率が向上し、脱毛効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の光脱毛装置の断面を示す図である。
【図2】図1の構成を下方向から見た断面を示す図である。
【図3】発光部とレンズと検出部付近の詳細な構成を示す図である。
【図4】光脱毛装置の外観を示す図である。
【図5】図3の検出部とレンズ部分をカメラモジュールで置き換えた構成を示す図である。
【図6】図1の検出部と発光部とを密着させた構成を有する光脱毛装置を示す図である。
【図7】図6の密着した検出部と発光部の詳細な構成を示す図である。
【図8】体毛認識時の発光処理の様子を示す図である。
【図9】本発明の光脱毛装置のブロック構成を示す図である。
【図10】本発明の光脱毛装置の動作示すフローチャート図である。
【図11】図5の構成で検出部を移動させないで、発光部を移動させる構成を有する光脱毛装置の側面図である。
【図12】図11の正面図である。
【図13】発光部の集光機能を高めた構造を示す図である。
【図14】図13をA方向から見た断面図を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 照射窓
2 発光部
3 レンズ
4 検出部
5 走査ユニット
6 駆動用磁石
7 固定子
8 リニアモータ
9 電源
10 制御基板
11 共振バネ
12 ケース
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を用いた脱毛装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、体毛を除去する装置として、例えば、皮膚にレーザ光を照射して脱毛を行うものが知られている。1本の光ビームを使用して皮膚の広範囲にわたって脱毛処理を行おうとすると光ビームを移動させて毛根に光エネルギーを与える必要があり、処理が煩雑になり時間がかかる。
【0003】
そこで、複数個の半導体レーザダイオードを等間隔に配置して、多数の光ビームを皮膚面に照射し、一度に照射できる面積を拡げて脱毛等の処理を向上させるレーザ光照射器等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特許第3188437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の技術では、皮膚の広い範囲に光ビームを照射するようにしているので、脱毛処理に必要な毛根位置近辺以外にも光が照射されて皮膚にダメージを与える可能性がある。
【0006】
レーザ光を皮膚に照射した場合、肌状態により温度上昇が異なり、特に、ホクロなどのように皮膚色が濃いと、皮膚面で光エネルギーが吸収され温度上昇して火傷になりやすい。
【0007】
また、毛根位置付近だけではなく、光照射が不必要な領域まで発光器を駆動するので、電源等の消耗が大きい。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するために創案されたものであり、脱毛処理時に照射の不要な部位へ光を照射することなく、毛根位置近辺への光照射を行い、脱毛処理の安全性を向上させることができるとともに、消費電力を抑制することができる光脱毛装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、皮膚面の体毛位置を検出する検出部と、前記検出部で検出された体毛位置に脱毛用の光を照射する発光器と、前記発光器が前記検出部よりも皮膚面に近い位置で皮膚面に面して2次元状に配列されるとともに、隣接する発光器の間に貫通孔が形成された発光部とを備え、前記貫通孔からの入射光により前記検出部が体毛位置を検出したとき、検出された体毛位置近辺の発光器を選択して脱毛用の光を照射することを特徴とする光脱毛装置である。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、前記検出部はエリアイメージセンサで構成されたことを特徴とする請求項1記載の光脱毛装置である。
【0011】
また、請求項3記載の発明は、前記検出部と発光部とは密着して一体構造となっていることを特徴とする請求項2記載の光脱毛装置である。
【0012】
また、請求項4記載の発明は、前記検出部は配設位置が固定されているとともに前記発光部は皮膚面上を皮膚面に面した状態で移動することを特徴とする請求項1〜請求項2のいずれか1項に記載の光脱毛装置である。
【0013】
また、請求項5記載の発明は、前記発光部は発光器が実装された基板により形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の光脱毛装置である。
【0014】
また、請求項6記載の発明は、前記発光部の各発光器の光照射側に光の拡散を防ぐ集光機構部を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の光脱毛装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光照射の不要な領域や光照射を行うと危険な領域等が、光照射範囲内に混在していても、そのような領域に過度の光を照射することなく、体毛(毛穴)位置や毛根位置への光照射を行い、脱毛処理の安全性を向上させることができる。また、光照射を最小限に抑え、無駄な光照射を少なくすることができるので、バッテリー等の消耗を抑えることができる。
【0016】
また、照射光はブロードな光でも良いので、様々な種類の光源を使用することができ、安価な光源を用いてコストを削減することができるとともに、検出部と発光部とを上下方向に重ねて配置することができるので、装置をコンパクトに構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1は本発明による光脱毛装置の断面図を、図2は図1の構成を下方向から見た断面図を、図4は光脱毛装置の外観図を示す。
【0018】
装置本体は、ケース12で覆われており、皮膚面に光を照射したり、皮膚面からの反射光を装置内部に取り込むために透明ガラス等で形成された照射窓1が皮膚面側に設けられている。
【0019】
ケース12の内部には、共振バネ11、発光器2、レンズ3、検出部4、走査ユニット5、駆動用磁石6、固定子7を有するリニアモータ8、電源9、制御基板10等が取り付けられている。走査ユニット5には、発光部2、レンズ3、検出部4、駆動用磁石6が配設されている。走査ユニット5は、駆動用磁石6と固定子7を有するリニアモータ8との相互作用により移動方向1の方向に動き、共振バネ11の作用により滑らかに均一の動きになるようになっている。
【0020】
発光部2は、皮膚面に検出用の照明光を照射する動作と、脱毛を行うための光を毛根位置に照射する動作に用いられる。発光部2は、レーザ光源を用いても良いし、単なる光源であっても良い。平均的に毛穴から深さ4〜5mmに毛根が存在するが、発毛細胞めがけて一定エネルギーの光を照射すると発毛細胞に刺激を与えることができる。
【0021】
検出部4は、発光部2の検出用照明光により照らされた皮膚面からの反射光を検出して、皮膚面の状態を撮像するもので、光センサ、小型のTVカメラ、CCDセンサ等が用いられる。また、検出部4には、その他、赤外線センサや紫外線センサを用いることができる。
【0022】
走査ユニット5に取り付けられた発光部2、レンズ3、検出部4は、所定の関係を保ったまま移動方向1へ一体で移動する。移動方向1と直交する方向へは、操作者が手動により移動させる。なお、レンズ3は、皮膚面からの反射光を検出部4に結像させるために用いられるもので、結像した像の大きさを拡大、縮小できるように上下に移動できるようになっている。
【0023】
電池等からなる電源9は、制御基板10、リニアモータ8、検出部4、発光部2等に電気を供給するもので、図示はしていないが適宜配線がなされている。 制御基板10は、CPUやメモリ等が搭載されており、モータの制御や検出用照明、発光器、検出器の制御等、装置全体の制御を行うとともに、収集されたデータをメモリに記憶させておき、適宜演算を行う等の動作を行う。
【0024】
本発明の光脱毛装置の全体概観のデザインの一例を示したのが、図4であり、カバー20の中央当たりを手に持って、髭剃り機のように皮膚面に対して接触するように置く形状となっている。照射窓1の部分は照射窓1の両側に形成されているカバー部分よりは少し窪んでいるので、この両側のカバー部分が皮膚面に当接して光脱毛装置を固定させる。図4では、光脱毛装置を皮膚面の下側から押し当てるようにしているが、もちろん皮膚面の上側から照射窓10を下向きにして光脱毛装置を固定するようにすることもできる。
【0025】
スイッチ21の押し釦部分は、カバー20の外側に出ており、操作者が押せるようになっている。起動時にスイッチ21を押し、脱毛処理時に再度スイッチ21を押す。また、処理ランプ22はLED等から構成されており、点灯部分が外部から認識できるように、処理ランプ22の設置位置に該当するケースの一部分を透明にしたり、くり貫いたりしている。この処理ランプ22は脱毛処理完了時に点灯する。
【0026】
図3に発光部2、レンズ3、検出部4付近の詳細図を示す。検出部4は基板にエリアイメージセンサとしてのCCDセンサ76を設けた構造となっており、発光部2は発光器としてのLED(発光ダイオード)モジュール71を2次元アレイ状に基板に実装した構造となっている。発光部2の基板には、貫通孔75がライン状に並べられたLEDモジュール71の列と列との間で、かつ隣接するLEDモジュールとの中間地点に形成されており、この貫通孔75から皮膚面からの反射光を通過させて、レンズ3を介してCCDセンサ76に結像させる。
【0027】
LEDモジュール71は発光素子としてのLEDチップ73、反射板72、封止材77により構成されている。封止材77は、シリコン材料等を用いてLEDチップ73を覆うように凸形状(レンズ形状)に形成されている。LEDチップ73に電流が流れると、LEDチップ73が発光し、この光が皮膚面に照射される。LEDチップ73から放射される光の半分以上は横方向へ出射するので、反射板72を設けて横方向の放射光を前方(皮膚面方向)に集めて照射効率を高めるようにしている。反射板72は、LEDチップ73を配置する基板上に形成するので、加工が容易なセラミック等で構成される。
【0028】
CCDセンサ76の撮像領域は発光部2の破線で囲んだ部分となっている。
発光部2の上部(光軸上)からCCDセンサにて画像を撮像する。
なお、LEDモジュール71のサイズMは200〜250μm、LEDモジュール71の配置間隔Lは200〜250μmとすることができる。
【0029】
検出部4、レンズ3の部分は、他のエリアイメージセンサで置き換えが可能であり、例えばカメラモジュール30に置き換えた構成例を図5に示す。図の破線で囲まれた部分が撮像範囲であり、すべてのLEDモジュール71を含んでいる。また、発光部2の構成は、図3と同様であるので説明を省略する。貫通孔75を通過してきた皮膚面からの反射光をカメラモジュール30で撮像し画像処理を行う。
【0030】
図6は、検出部4と発光部2とを密着させた構成を示し、図7はこの密着させた検出部4と発光部2の詳細な構成例を示す。検出部4は、CCDセンサ76から構成されており、発光部2のLEDモジュール71の全領域と合致し、貫通孔75から皮膚面を撮像することができる。この撮像画像に基づいて体毛の認識処理を行う。なお、CCDセンサ76で結像する画像の大きさを調整する(拡大または縮小)ために、貫通孔75にはマイクロレンズを取り付けるようにしても良い。
【0031】
体毛又は毛穴位置に脱毛用の光を照射するためにLEDモジュール71が2次元アレイ状に設けられている。LEDモジュール71は、LEDチップ73、蛍光体74、反射板72、封止材77から構成されており、脱毛用光源と照明用光源とを兼ねている。発光部2と検出部4の各構成は、上述した図3の構成と同様である。
【0032】
前述した図1〜図7の構成とした場合の体毛認識時の発光処理の様子を図8に示す。図8(a)は、発光部2を真上から見た図を示し、「光」と記載しているのは発光器であるLEDモジュール71の位置を、○で表しているのは貫通孔75を示している。また、図の左上のLEDモジュールをA11とし、その右横をA12とし、順に識別番号を付けていくと、第一行目に並んだLEDモジュールは、各々A11〜A15までとなり、第2行目はA21〜A25、第3行目はA31〜A35、第4行目はA41〜A45、第5行目はA51〜A55となる。
【0033】
貫通孔75を通過した反射光により、体毛を図8(b)のように認識できたとすると、この体毛位置を図8(a)の構成図と重ね合わしたものが図8(c)となる。ここで、貫通孔75を通過した皮膚面からの反射光により図のように体毛を認識できたのであるから、図8(d)のように斜線を付した○位置に相当する貫通孔からの通過光により体毛が認識できたことになる。
【0034】
例えば、CCDセンサ76からの検出電圧を0V〜3.3Vとし、A/D変換して0V〜3.3Vを0〜255とするとデジタル信号のしきい値レベル120以下と検出された光ビームが通過した貫通孔位置を体毛位置と認識する。体毛位置と認識された貫通孔(斜線を付した○位置)の対角線上にある4角のLEDを発光させる。
【0035】
例えば、左上の斜線を付した○位置B11の4角のLEDは、A11、A12、A31、A32が対応する。また、その下の斜線を付した○位置B21の4角のLEDは、A21、A22、A41、A42が対応する。さらにその下の斜線を付した○位置B31の4角のLEDには、A41、A42が対応し、下の部分には対応するLEDが配置されていないのでこの2個になる。以上のようにして発光させるべきLED位置を太線枠で囲んだのが図8(e)である。このように発光処理が行われ、脱毛処理がなされる。
【0036】
図9に本発明の光脱毛装置のブロック構成を示し、図10に動作のフローチャートを示す。CPUやDSP等から構成される制御部41は、光脱毛装置の各部の制御を行い、記憶部45はメモリ等から構成される。制御部41と記憶部45は、制御基板10に実装されている。表示部43は処理ランプ22等により、入力部44はスイッチ21等により、駆動部42はリニアモータ8等により構成される。
【0037】
次に、光脱毛装置の動作を説明する。まず、ユーザが光脱毛装置の起動時にスイッチ21を押すと、装置各部に電源9から電源が供給される。脱毛処理を開始したい場合には、再度スイッチ21を押す。この2回目に押された脱毛処理開始のトリガ信号を制御部41で検出する(S1)。トリガ信号が検出されると、制御部41は照明用の光を発光させるように発光部2に制御信号を送る。この制御信号により発光部2が発光し、皮膚面に光が照射される。皮膚面で光が反射して貫通孔75を通過してくるので、この通過光を検出部4で撮像する(S2)。撮像信号は、制御部41に送られて画像処理され(S3)、体毛又は毛穴の認識処理を行う。体毛又は毛穴の認識処理が終了すると、処理結果は記憶部45に記憶させられる。
【0038】
上述したように、例えば、CCDセンサ76からの検出電圧を0V〜3.3Vとし、A/D変換して0V〜3.3Vを0〜255とするとデジタル信号のしきい値レベル120以下と検出された光ビームが通過した貫通孔位置を前述の図8に示すように体毛又は毛穴位置として検出する。このとき、体毛や毛穴位置だけでなく、皮膚色等も検出するようにしても良い。
【0039】
体毛又は毛穴が検出された光ビームが通過した貫通孔位置の四隅の(又は二隅)のLEDモジュール71から脱毛用の光を発光させるように、制御信号が発光部2に送信され、前述の図8のように発光部2の所定位置のLEDモジュールが発光して皮膚面に照射される(S4)。光照射の方法は、貫通孔位置の四隅のLEDモジュールをすべて同時に発光させるようにしても良いし(図8(e)の太線枠で囲んだLEDをすべて同時に発光)、LEDモジュールを一個ずつ順番に発光させても良く、また、複数のLEDモジュールをまとめてブロック分けし、ブロック毎に同時照射を行っていくようにしても良い。
【0040】
次に駆動部42を駆動して、1ピッチ分走査ユニット5を移動させる(S5)。走査ユニット5が移動方向1の最終位置まで移動が完了した場合(S6YES)は、所定範囲の脱毛処理が終了したので、この終了信号が制御部41から表示部43に送信され(S7)、表示部43、すなわち処理ランプ22が点灯する。一方、移動方向1の最終位置まで移動が完了していない場合(S6NO)は、上記S2〜S5までの動作を繰り返す。
【0041】
次に、皮膚面の他の領域の脱毛処理を行いたい場合には、ユーザが光脱毛装置を手動により移動させて上記S1〜S7の処理を行う。上記実施例では、移動方向1の方向に移動を行って、自動的に脱毛処理するようにしているが、例えば移動方向1と直交する方向へも移動できるようにして、2方向ともに自動処理できるようにしても良い。
【0042】
ところで、ホクロのように皮膚色が濃い部分は、メラニンが多いため、照射光のエネルギーを吸収して発熱するので、火傷を生じる可能性が高い。検出部4で皮膚色等も検出するようにしておき、体毛(毛穴)の近くにホクロやシミ等の皮膚色の濃い部分が検出部4の撮影画像から検出されている場合には、皮膚色の濃い部分に光が照射されないように発光器(LEDモジュール)を選択することもできる。
【0043】
上述のように、脱毛用の光照射が必要な部位、すなわち体毛や毛穴(毛根)位置付近に相当する発光器のみを選択して光照射を行うようにしているので、効果的に脱毛処理が行えるとともに、体毛や毛穴位置が含まれる領域以外の皮膚面には光が照射されずに、皮膚へのダメージを防止することができる。また、すべての発光器を使用せずに、体毛や毛穴)位置付近に相当する発光器のみを選択して使用しているので、バッテリー(電源9)の消耗を抑えることができる。さらに、発光部の上方向に検出部を重ねるようにして検出部を配置することができるので装置全体をコンパクトに構成することができる。
【0044】
上記の動作については、例えば、移動ピッチは150〜250μm、移動方向1への移動速度は50〜500mm/s、移動方向1への1ストローク長は5〜20mm、発光器の脱毛用光出力波長は650nm〜680nm、照射スポット径50〜150μm、照射強度150〜200mW/(100μm)2、照射時間10〜40ms程度を想定している。
【0045】
次に、発光部2と検出部4との関係が図5の構成になっている場合、検出部4を移動させないで、発光部2を移動させる構成を図11、12に示す。図11は、光脱毛装置を側面から見た図であり、図12は正面から見た図である。
【0046】
カメラモジュール30で構成された検出部4は検出部支持体81によりケース12に固定されている。一方、発光部2は、走査ユニット82に固定されており、走査ユニット82はリニアモータ8の作用により移動方向1に移動する。移動方向1は、発光部2に設けられている発光素子(LED)の光軸に直交する方向に動くようになっている。また、発光部2は、図3、図5の発光部2と同様の構成であり、細部の構成については同じ数字で示す。
【0047】
図の検出部撮像範囲が発光部2の移動範囲に相当する。走査ユニット82は、図12の右端の破線位置から左端の破線位置までの間を移動する。発光部2の移動に伴い発光部2に設けられた貫通孔75も移動し、撮像領域が次々と変化することで、検出部4はその変化した撮像領域を撮像して体毛又は毛穴を認識する。なお、走査ユニット82の移動ピッチ、移動方向1への移動速度、光出力等の数値については前記実施例と同様である。
【0048】
このようにすれば、発光部(発光器)のみを移動させるので、リニアモータ8等の駆動機構の負荷が軽減して安価な駆動機構でも高精度で駆動させることができる。また、検出部(検出器)を固定して、移動動作を行わせないようにしているので、位置情報を正確に検出することができる。
【0049】
以上述べた実施例について、発光部2の集光機能を高めた構造を示すのが、図13である。発光部2Aは、上記発光部2の構成に、取付枠54と集光機構部51を設けた構成となっており、集光機構部51は集光板52と集光レンズ53からなる。
【0050】
図13のA方向から見た断面図を示すのが、図14であり、LEDモジュール71や貫通孔75に対応する部分がくり貫かれた取付枠54に集光板52が取り付けられ、集光板52の先端部分に集光レンズ53が取り付けられている。LEDモジュール71を集光板52で覆うように構成することで、LEDモジュールから放射される全ての光を集光板52に入射させ、集光板52では、所定の入射角以下である光を集光レンズ53位置へ反射させて導く。
【0051】
集光板52は、金属(SUS等)で鏡面仕上げのものが用いられる。集光レンズ53に集まった光は、集光レンズ53により集光、集束させられて皮膚面の所定位置にスポット径を形成する。通常、LEDチップサイズ(例えば直径4mm)と上記スポット径はほぼ同サイズとなるように構成される。
【0052】
このようにして、皮膚面以外へ拡散する光ビームを集光して皮膚面への照射光とするようにしているので、照射効率が向上し、脱毛効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の光脱毛装置の断面を示す図である。
【図2】図1の構成を下方向から見た断面を示す図である。
【図3】発光部とレンズと検出部付近の詳細な構成を示す図である。
【図4】光脱毛装置の外観を示す図である。
【図5】図3の検出部とレンズ部分をカメラモジュールで置き換えた構成を示す図である。
【図6】図1の検出部と発光部とを密着させた構成を有する光脱毛装置を示す図である。
【図7】図6の密着した検出部と発光部の詳細な構成を示す図である。
【図8】体毛認識時の発光処理の様子を示す図である。
【図9】本発明の光脱毛装置のブロック構成を示す図である。
【図10】本発明の光脱毛装置の動作示すフローチャート図である。
【図11】図5の構成で検出部を移動させないで、発光部を移動させる構成を有する光脱毛装置の側面図である。
【図12】図11の正面図である。
【図13】発光部の集光機能を高めた構造を示す図である。
【図14】図13をA方向から見た断面図を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 照射窓
2 発光部
3 レンズ
4 検出部
5 走査ユニット
6 駆動用磁石
7 固定子
8 リニアモータ
9 電源
10 制御基板
11 共振バネ
12 ケース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚面の体毛位置を検出する検出部と、
前記検出部で検出された体毛位置に脱毛用の光を照射する発光器と、
前記発光器が前記検出部よりも皮膚面に近い位置で皮膚面に面して2次元状に配列されるとともに、隣接する発光器の間に貫通孔が形成された発光部とを備え、
前記貫通孔からの入射光により前記検出部が体毛位置を検出したとき、検出された体毛位置近辺の発光器を選択して脱毛用の光を照射することを特徴とする光脱毛装置。
【請求項2】
前記検出部はエリアイメージセンサで構成されたことを特徴とする請求項1記載の光脱毛装置。
【請求項3】
前記検出部と発光部とは密着して一体構造となっていることを特徴とする請求項2記載の光脱毛装置。
【請求項4】
前記検出部は配設位置が固定されているとともに前記発光部は皮膚面上を皮膚面に面した状態で移動することを特徴とする請求項1〜請求項2のいずれか1項に記載の光脱毛装置。
【請求項5】
前記発光部は発光器が実装された基板により形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の光脱毛装置。
【請求項6】
前記発光部の各発光器の光照射側に光の拡散を防ぐ集光機構部を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の光脱毛装置。
【請求項1】
皮膚面の体毛位置を検出する検出部と、
前記検出部で検出された体毛位置に脱毛用の光を照射する発光器と、
前記発光器が前記検出部よりも皮膚面に近い位置で皮膚面に面して2次元状に配列されるとともに、隣接する発光器の間に貫通孔が形成された発光部とを備え、
前記貫通孔からの入射光により前記検出部が体毛位置を検出したとき、検出された体毛位置近辺の発光器を選択して脱毛用の光を照射することを特徴とする光脱毛装置。
【請求項2】
前記検出部はエリアイメージセンサで構成されたことを特徴とする請求項1記載の光脱毛装置。
【請求項3】
前記検出部と発光部とは密着して一体構造となっていることを特徴とする請求項2記載の光脱毛装置。
【請求項4】
前記検出部は配設位置が固定されているとともに前記発光部は皮膚面上を皮膚面に面した状態で移動することを特徴とする請求項1〜請求項2のいずれか1項に記載の光脱毛装置。
【請求項5】
前記発光部は発光器が実装された基板により形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の光脱毛装置。
【請求項6】
前記発光部の各発光器の光照射側に光の拡散を防ぐ集光機構部を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の光脱毛装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−223393(P2006−223393A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−38367(P2005−38367)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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