説明

光触媒材料およびその製造方法

【課題】 異臭や触媒の性能低下原因となる有機化合物分解時の中間生成物の放出を、効果的に抑制することのできる光触媒材料、およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 原料Rを用いて過程P1により調製されたチタンゾル溶液をシリカフィルター上に担持し(過程P2)、乾燥固化処理(過程P3)、ついで熱処理(過程P4)を施して、最終的に光触媒材料Mを得る。熱処理は、700℃以上800℃以下にて行うが、望ましくは740℃以上760℃以下、より望ましくは745℃以上755℃以下の温度範囲が最適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光触媒材料およびその製造方法に係り、特に、異臭や触媒の性能低下原因となる分解時の中間生成物の放出を、効果的に抑制可能な光触媒材料、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人らはこれまで、独自開発による画期的な光触媒材料である「柱状結晶」構造の光触媒材料の発明について開示してきた(後掲特許文献、他)。該光触媒材料は、極めて高い分解性能を始めとして、取り扱い上の便利さ、応用の広さでも優れた特長を有する。
【0003】
この柱状柱状結晶光触媒材料とは、結晶核から成長させた柱状構造、または柱状中空構造を有する光触媒材料であり、柱状中空の酸化チタン結晶がその典型である。すなわち、結晶核上に一つ以上の柱状結晶を成長させ、結晶核とその上に成長させる柱状結晶が同一方位に成長し、典型的なものでは柱状結晶の内部は中空構造を有している。
【0004】
ここで光触媒結晶の形状が柱状とは、角柱状のものを始めとして、円柱状、棒状、その他柱状の立体構造をとるものをすべて含み、また該柱状結晶は鉛直方向に真っ直ぐに伸びるもの、傾斜状に伸びるもの、湾曲しながら伸びるもの、枝状に分岐して伸びるもの、柱状結晶が複数本成長し途中で融合したもの等を含む。また、結晶核はスパッタリング法、PVD法、またはCVD法で作製した結晶核のみならず、その種類は単結晶、多結晶体、その他を広く用いることができる。また結晶核としては、通常の化学反応に見られる様に明らかには核と認められないようなもの、たとえば基板上の傷等を核の代替物とすることも可能である(特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−253975
【特許文献2】特開2005−161259
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで一般的に、光触媒により有機化合物を二酸化炭素まで分解する際、生成する中間生成物は異臭や触媒の性能低下原因となる。また、これら中間生成物の放出は空気中の水分量(湿度)に依存し、湿度により酸化チタン表面の吸着水の密度が変化することによって、中間生成物の放出挙動は著しく変化する。本願出願人らによる柱状の光触媒材料においても、この点は同様である。
【0007】
そこで本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点を除き、異臭や触媒の性能低下原因となる有機化合物分解時の中間生成物の放出を、効果的に抑制することのできる光触媒材料、およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者は上記課題について検討した結果、柱状酸化チタン光触媒材料の調製時の焼成温度を制御することにより、柱状結晶内の物理的構造を改質し、表面吸着水密度を制御することによって上記課題の解決が可能であることを見出し、本発明に至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下のとおりである。
【0009】
(1) チタンゾル溶液をシリカフィルター上に担持し、乾燥固化処理、ついで熱処理を施すことからなる光触媒材料製造方法であって、該熱処理は、700℃以上800℃以下にて行う処理であることを特徴とする、光触媒材料製造方法。
(2) チタンゾル溶液をシリカフィルター上に担持し、乾燥固化処理、ついで熱処理を施すことからなる光触媒材料製造方法であって、該熱処理は、700℃以上800℃以下にて1時間以上保持する処理であることを特徴とする、光触媒材料製造方法。
(3) 前記熱処理の温度は、740℃以上760℃以下であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の光触媒材料製造方法。
(4) 前記熱処理の温度は、745℃以上755℃以下であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の光触媒材料製造方法。
(5) 1,3−ブタンジオール、水、硝酸ならびにチタンテトライソプロポキシドからなるチタンゾル溶液を得、これをシリカフィルター上に担持し、乾燥固化処理、ついで熱処理を施すことからなる光触媒材料製造方法であって、該熱処理は、700℃以上800℃以下にて行う処理であることを特徴とする、光触媒材料製造方法。
(6) チタンテトライソプロポキシドを用いたチタンゾル溶液を担持したシリカフィルターに乾燥固化処理、ついで熱処理を施すことにより製造される柱状の光触媒材料であって、チタンテトライソプロポキシド5gを用いてなる該光触媒材料により、20L反応容器中の濃度30ppmのエタノールから生成される中間生成物たるアセトアルデヒドの放出濃度を11ppm以下に抑制可能であることを特徴とする、光触媒材料。
(7) チタンテトライソプロポキシドを用いたチタンゾル溶液を担持したシリカフィルターに乾燥固化処理、ついで熱処理を施すことにより製造される柱状の光触媒材料であって、チタンテトライソプロポキシド5gを用いてなる該光触媒材料により、20L反応容器中の濃度20ppmのトルエンを70分以内に1ppm以下にまで分解可能であることを特徴とする、光触媒材料。
【0010】
(8) チタンゾル溶液をシリカフィルター上に担持し、乾燥固化処理、ついで700℃以上800℃以下にて行う熱処理を施すことにより得られる柱状の光触媒材料であって、該光触媒材料は、前記熱処理温度を500℃以上550℃未満とする場合と比較して表面吸着水密度を約70%減少させる、もしくは70%以上減少させる表面構造を有するものであることを特徴とする、光触媒材料。
(9) チタンゾル溶液をシリカフィルター上に担持し、乾燥固化処理、ついで熱処理を施すことにより得られる柱状の光触媒材料であって、該光触媒材料は、一次粒子間隙からなる微細孔が閉塞した角柱状多結晶体を備えた表面構造を有するものであり、これにより、前記熱処理温度を500℃以上550℃未満とする場合と比較して表面吸着水密度を約70%減少させる、もしくは70%以上減少させるものであることを特徴とする、光触媒材料。
(10) チタンゾル溶液をシリカフィルター上に担持し、乾燥固化処理、ついで熱処理を施すことにより得られる柱状の光触媒材料であって、該光触媒材料は、一次粒子間隙からなる細孔内の表面積が3.9m/g以上10.2m/g以下であることを特徴とする、光触媒材料。
【0011】
つまり本発明は、柱状酸化チタンを調整する際、乾燥条件・熱処理条件の制御により、角柱結晶内の微細孔が閉塞した結晶を作製することによって柱状結晶内の物理的構造、すなわち酸化チタン表面の物理構造を改質し、もって表面吸着水密度を制御することで、異種元素ドープや化学的表面処理をすることなく、従来の分解活性を維持したまま、中間生成物の生成抑制を図るものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の光触媒材料およびその製造方法は上述のように構成されるため、これによれば、有機化合物分解時における異臭や触媒の性能低下原因となる中間生成物の放出を、効果的に抑制することができる。さらにまた、トルエン等の疎水性有機化合物の分解速度も向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を図面により詳細に説明する。なお、以下、「柱状」結晶構造の主要例として、角柱状のものを主として説明する。
図1は、本発明の光触媒材料製造方法の構成を示すフロー図である。図示するように本製造方法は、光触媒材料の原料Rを用いて過程P1により調製されたチタンゾル溶液をシリカフィルター上に担持し(過程P2)、乾燥固化処理(過程P3)、ついで熱処理(過程P4)を施して、最終的に光触媒材料Mを得るという手順からなり、該熱処理は、700℃以上800℃以下にて行うこととするものである。
【0014】
図中に示すように、該熱処理P4における加熱温度保持時間は、1時間以上とすることが望ましい。また加熱温度は、より望ましくは740℃以上760℃以下、つまり750±10℃の範囲が最適である。とりわけ、745℃以上755℃以下、つまり750±5℃の範囲に保持することによって、本発明における最も高い結果を得ることができる。
【0015】
なお原料Rとしては、実施例に詳述するように、1,3−ブタンジオール、水、硝酸ならびにチタンテトライソプロポキシドを好適に用いることができるが、これに限定はされない。
【0016】
本法により得られる光触媒材料は、従来の光触媒材料と比較して、エタノールから生成される中間生成物たるアセトアルデヒドの放出濃度を約1/2程度にまで抑制することができる。つまり、光触媒により有機化合物を二酸化炭素まで分解する際に生成する中間生成物による異臭発生や触媒の性能低下を有効に防止することができる。
【0017】
本法により得られる光触媒材料はまた、従来の光触媒材料と比較して、トルエン分解時間を約2/3に短縮し、分解効率を約1.5倍に高めることができる。つまり、疎水性有機化合物の分解速度向上作用も有するものである。
【0018】
700℃以上800℃以下にて行う熱処理過程を含む本発明方法によれば、熱処理過程を500℃以上550℃未満とする従来方法と比較して、分解性能を維持しつつ、表面吸着水密度を約70%も減少させる表面構造を有する光触媒材料を得ることができる。かかる作用は、追って詳述するように、本発明製法によって製造される光触媒材料が、一次粒子間隙からなる微細孔が閉塞した角柱状多結晶体を備えた表面構造を有することによるものである。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
<1 光触媒材料の基本的な製造(作製)方法>
1,3−ブタンジオール35g、水0.4g、硝酸0.5gを混合して溶液とし、この溶液にチタンテトライソプロポキシド5gを撹拌しながら滴下し、その後4時間常温にて撹拌し含チタンゾル溶液を得た。この溶液をシリカフィルター上に塗布し、乾燥固化、熱処理を施すことにより、フィルター上に酸化チタンを形成した。酸化チタンは柱状構造を有しており、固化は乾燥機中で到達温度150〜200℃、保持時間2時間の条件で行った。熱処理は電気炉中で昇温速度10℃/min、到達温度500〜800℃、保持時間1時間の条件で行った。
【0020】
<2 特性評価方法>
2.1 エタノール分解時のアセトアルデヒド放出抑制効果
エタノールを酸化分解する場合、アセトアルデヒド、酢酸を経由してCOに至る。そこで、20Lの反応容器内にエタノール約30ppmを注入し、濃度が安定した後、ブラックライトを照射し、中間生成物であるアセトアルデヒドの放出量を測定、評価した。
【0021】
2.2 トルエン分解性能評価
トルエン濃度を20ppmとし、エタノール分解と同様の測定、評価を行った。この際、トルエン濃度が20ppmから1ppm以下になるまでにかかる時間を測定し、触媒性能として評価した。
【0022】
2.3 吸着水密度等の評価方法
熱処理制御した酸化チタン表面の吸着水密度の評価には、TPD(昇温脱離法)、BET法およびBJH法(細孔分布測定)を用いた。まず、任意量の試料を30℃で1h真空排気した後、昇温速度10℃/minで30〜600℃の温度範囲でTPD測定を行った。得られた質量数18(HO)のスペクトルから波形乖離解析により、スペクトル面積を表面吸着水の量的数値として算出した。
【0023】
ついで、この数値と測定に供した試料重量から、試料1g当たりのHO(HO/g)を算出した。得られた値を、別途BET法から得られた試料の比表面積(m/g)で除することにより、単位表面積あたりのHO量(HO/m)として評価した。また、BJH法により角柱酸化チタン内に存在する細孔内の表面積を評価した。なお、TPDでは絶対量の評価は不可能であるため、得られる結果は相対的評価である。
【0024】
吸着水密度等の特性評価には下記の装置を用いた。
表面積(BET法)、細孔分布測定(BJH法):日本ベル株式会社製BELSORP−mini高精度ガス吸着装置
(TPD)昇温脱離法:ULVAC製装置 SEPION
【0025】
<3 実施例・比較例の製造(作製)>
3.1 実施例1
上記1の作製方法により、酸化チタン光触媒材料を作製した。ここで、熱処理の温度条件は、700〜800℃(700℃以上800℃以下)で保持時間1時間とした。熱処理方法について、詳述する。150〜200℃、保持時間2時間で乾燥処理した試料を、予め250℃に予熱した電気炉内に投入し、昇温速度10℃/minで700℃まで到達させた。その後、昇温速度5℃/minで750℃まで昇温後、750±10℃で1時間保持した。そして、加熱を停止後50分間で750℃から350℃まで降温させた。
【0026】
3.2 実施例2
チタンテトライソプロポキシド5g、アセチルアセトン1.8g、イソプロピルアルコール93.2gを混合して含Ti溶液を得た。これをシリカフィルター上に塗布し、150℃にて1時間乾燥、500℃にて1時間焼成を行い、酸化チタンを形成した。その後、上記1の作製方法によってチタンゾルに浸漬し、150〜250℃にて1時間乾燥、700〜800℃(700℃以上800℃以下)にて1時間焼成を行い、酸化チタン光触媒材料を作製した。
【0027】
3.3 実施例3
上記1の作製方法により、酸化チタン光触媒材料を作製した。ここで、熱処理の温度条件は、600〜700℃(600℃以上700℃未満)で保持時間1時間とした。
【0028】
3.4 比較例1
チタンテトライソプロポキシド5g、アセチルアセトン1.8g、イソプロピルアルコール93.2gを混合して含Ti溶液を得た。これをシリカフィルター上に塗布し、150℃にて1時間乾燥、500℃にて1時間焼成を行い、酸化チタンを形成した。その後、上記1の作製方法と同様に含チタンゾルに浸漬し、150℃にて1時間乾燥、550℃にて1時間焼成を行い、酸化チタン光触媒材料を作製した。これを比較例1とした。
【0029】
3.5 比較例2
市販の粉末状光触媒材料(日本アエロジル製P−25)を比較例2とした。
表1に各実施例および比較例における光触媒材料の形態と熱処理温度を示す。また、
表2にはエタノール分解時のアセトアルデヒド放出抑制効果、
表3にはトルエン分解性能評価の各評価結果を示す。
【0030】
【表1】







【0031】
【表2】







【0032】
【表3】







【0033】
<4 特性評価結果>
4.1 エタノール分解時のアセトアルデヒド放出抑制効果
乾燥150℃、焼成550℃で作製した比較例1、および市販粉体光触媒である比較例2では、エタノール分解時のアセトアルデヒド放出濃度が19ppmであり、エタノール濃度に対し約2/3の濃度で、光触媒による分解反応の中間生成物たるアセトアルデヒドを放出するという結果が得られた。
【0034】
これに対し、乾燥温度・焼成温度を制御した実施例1、2では、エタノール分解時のアセトアルデヒド放出濃度がそれぞれ10ppm、11ppmであり、比較例1、2と比較して、約1/2に抑制可能であるという結果が得られた。もちろんこの場合にも、エタノールの分解速度には何ら変化がなく、光触媒による分解性能を減じることなく、中間生成物の放出抑制効果が得られるものであった。
【0035】
4.2 トルエン分解性能
また、実施例1のトルエン分解性能は60分であり、比較例1と比較して分解時間を2/3に短縮し、分解効率を1.5倍にまで高めることができた。
【0036】
つまり、本方法により作製された光触媒材料は、異種元素ドープや化学的表面処理をすることなく、従来技術の特性を大きく改良することができるとともに、完全酸化力に優れた高活性な光触媒であることが示された。
【0037】
4.3 吸着水密度等の評価
表4に各実施例および比較例における吸着水密度等の評価結果を示す。
【0038】
【表4】

【0039】
表4より、実施例1における細孔内表面積は3.9m/g であり、比較例1および実施例3と比較して半分以下に減少していた。同様に、吸着水密度も比較例1に比べ約70%減少していた。以上より、実施例1と実施例3の処理条件の相違により、著しい特性変化が認められた。つまり、熱処理温度をより高温域に保持することによって、細孔内表面積、表面吸着水密度が減少し、そのことが光触媒反応中間生成物の放出抑制効果と関連することが示された。
【0040】
<5 熱処理による構造の変化>
以下、図を用いつつ、本発明による効果の要因となる角柱状酸化チタンの構造変化について説明する。
図2は実施例3による光触媒材料における物理的構造の特徴を示す模式図、
図3は実施例1による光触媒材料における物理的構造の特徴を示す模式図、
図4は比較例1による光触媒材料における物理的構造の特徴を示す模式図である。
【0041】
図4に示すように、比較例1においては処理温度が低いことにより、結晶粒子がより微細に形成される。したがって、粒子間隙からなる微細孔により、細孔内表面積は大きくなる。すなわち、表面に露出する酸化チタン粒子の割合が高いために吸着水密度は高くなる。
【0042】
図2に示すように、600〜700℃で熱処理した実施例3では、一次粒子の成長による粒子間隙の増大により、細孔内部の表面積は僅かに減少し、それに伴い吸着水密度も減少し、上述した本発明の効果が得られるものである。
【0043】
図3に示すように、熱処理温度を実施例3よりも高くした実施例1では、一次粒子の成長および焼結により、一次粒子同士の空隙からなる微細孔が閉塞する。これにより細孔内表面積が急激に減少することで、酸化チタンの表面露出度が低下し、吸着水密度が著しく減少し、上述した本発明の効果、つまり分解反応の中間生成物の放出抑制効果、トルエン等の疎水性有機化合物の分解性能向上効果が大きく発揮されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の光触媒材料およびその製造方法によれば、有機化合物分解時における異臭や触媒の性能低下原因となる中間生成物の放出を効果的に抑制し、トルエン等の疎水性有機化合物の分解速度の向上効果も得ることができる。したがって、特に光触媒を用いた空気浄化装置の分野においてそのさらなる利用拡大に大いに貢献することができ、極めて利用価値が高い発明である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の光触媒材料製造方法の構成を示すフロー図である。
【図2】実施例3による光触媒材料における物理的構造の特徴を示す模式図である。
【図3】実施例1による光触媒材料における物理的構造の特徴を示す模式図である。
【図4】比較例1による光触媒材料における物理的構造の特徴を示す模式図である。
【符号の説明】
【0046】
R…光触媒材料の原料
P1…チタンゾル溶液を得る過程
P2…担持過程
P3…乾燥固化処理の過程
P4…熱処理の過程
M…光触媒材料


【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタンゾル溶液をシリカフィルター上に担持し、乾燥固化処理、ついで熱処理を施すことからなる光触媒材料製造方法であって、該熱処理は、700℃以上800℃以下にて行う処理であることを特徴とする、光触媒材料製造方法。
【請求項2】
チタンゾル溶液をシリカフィルター上に担持し、乾燥固化処理、ついで熱処理を施すことからなる光触媒材料製造方法であって、該熱処理は、700℃以上800℃以下にて1時間以上保持する処理であることを特徴とする、光触媒材料製造方法。
【請求項3】
前記熱処理の温度は、740℃以上760℃以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の光触媒材料製造方法。
【請求項4】
前記熱処理の温度は、745℃以上755℃以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の光触媒材料製造方法。
【請求項5】
1,3−ブタンジオール、水、硝酸ならびにチタンテトライソプロポキシドからなるチタンゾル溶液を得、これをシリカフィルター上に担持し、乾燥固化処理、ついで熱処理を施すことからなる光触媒材料製造方法であって、該熱処理は、700℃以上800℃以下にて行う処理であることを特徴とする、光触媒材料製造方法。
【請求項6】
チタンテトライソプロポキシドを用いたチタンゾル溶液を担持したシリカフィルターに乾燥固化処理、ついで熱処理を施すことにより製造される柱状の光触媒材料であって、チタンテトライソプロポキシド5gを用いてなる該光触媒材料により、20L反応容器中の濃度30ppmのエタノールから生成される中間生成物たるアセトアルデヒドの放出濃度を11ppm以下に抑制可能であることを特徴とする、光触媒材料。
【請求項7】
チタンテトライソプロポキシドを用いたチタンゾル溶液を担持したシリカフィルターに乾燥固化処理、ついで熱処理を施すことにより製造される柱状の光触媒材料であって、チタンテトライソプロポキシド5gを用いてなる該光触媒材料により、20L反応容器中の濃度20ppmのトルエンを70分以内に1ppm以下にまで分解可能であることを特徴とする、光触媒材料。
【請求項8】
チタンゾル溶液をシリカフィルター上に担持し、乾燥固化処理、ついで700℃以上800℃以下にて行う熱処理を施すことにより得られる柱状の光触媒材料であって、該光触媒材料は、前記熱処理温度を500℃以上550℃未満とする場合と比較して表面吸着水密度を約70%減少させる、もしくは70%以上減少させる表面構造を有するものであることを特徴とする、光触媒材料。
【請求項9】
チタンゾル溶液をシリカフィルター上に担持し、乾燥固化処理、ついで熱処理を施すことにより得られる柱状の光触媒材料であって、該光触媒材料は、一次粒子間隙からなる微細孔が閉塞した角柱状多結晶体を備えた表面構造を有するものであり、これにより、前記熱処理温度を500℃以上550℃未満とする場合と比較して表面吸着水密度を約70%減少させる、もしくは70%以上減少させるものであることを特徴とする、光触媒材料。
【請求項10】
チタンゾル溶液をシリカフィルター上に担持し、乾燥固化処理、ついで熱処理を施すことにより得られる柱状の光触媒材料であって、該光触媒材料は、一次粒子間隙からなる細孔内の表面積が3.9m/g以上10.2m/g以下であることを特徴とする、光触媒材料。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−152221(P2007−152221A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−350567(P2005−350567)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【出願人】(591269712)アンデス電気株式会社 (33)
【Fターム(参考)】