説明

光計測システム

【課題】 装置を大型化することなく、チャンネル数を増加させる。
【解決手段】 複数の送光点A1〜A8、B1〜B8と、複数の受光点a1〜a8、b1〜b8と、各チャンネル#1〜A#52についての検出信号を検出する制御を行う計測制御部12、22とを有する少なくとも2台の光計測装置100、200と、各光計測装置100、200の各光計測制御部12、22を同期制御する主制御部40と、解析する解析部42とを備え、主制御部40は、各計測制御部10、20に対し、同一装置間チャンネル12、22についての検出信号を検出する制御するとともに、異装置間チャンネル51についての検出信号を検出する制御を行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を用いて非侵襲的に生体内部情報を計測する光計測システムに関し、さらに詳細には、生体に光を入射するための送光点、生体から出射する光を検出するための受光点をそれぞれ複数個有し、1つの送光点と1つの受光点との組ごとに定まる複数のチャンネル(感度領域)についての生体内部情報を計測するマルチチャンネル方式の光計測システムに関する。
本発明は、例えば、脳内各部の血流の経時変化、生体内の酸素供給の変化を測定することで、脳機能計測や循環器系障害診断を行う医用機器に適用される。
【背景技術】
【0002】
近赤外光は、皮膚組織や骨組織を透過し、かつ、血液中のオキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビンにより吸収される性質を有する。また、近赤外光は、オキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンとに対して、それぞれ異なる分光吸収スペクトル特性を有する。したがって、近赤外光の光吸収データを計測することにより、生体内各部のオキシヘモグロビン量とデオキシヘモグロビン量を計測することができる。近赤外光のこのような性質は、近年、脳、各種臓器、筋肉などの生体組織の状態を非侵襲で測定する光計測装置に利用され、脳機能測定装置や酸素モニタとして利用されている。
【0003】
例えば、脳内では、脳活動により酸素が消費されると、血流再配分作用によって、活性化している部位に必要以上の酸素供給が行われ、その結果、活性化部位では、オキシヘモグロビン量が増加することになる。したがって、近赤外光によるオキシヘモグロビン量とデオキシヘモグロビン量の変化の光測定を行うことにより、脳賦活状態の観察を行うことができる。
【0004】
酸素モニタでは、被検体に近赤外測定光を入射して、被検体の生体組織内を散乱・反射させ、入射位置から少し離れた出射位置で、生体組織内を通過した散乱・反射光を検出光として検出し、検出光の吸光度変化から生体組織の酸素化状態(酸素飽和度)を測定するようにしている。
【0005】
また、光計測装置では、光を生体に入射する送光点、生体から放出(出射)される光を受光する受光点をそれぞれ複数備えてなるプローブを用いた構成によって、生体の複数箇所での光測定を行い、血液量変化や酸素化状態の分布を測定するようにしたものもある(例えば特許文献1参照)。この特許文献1によれば、分布測定を行う際に、対応表などを利用して送光点や受光点の組み合わせ(チャンネル)を自在に選択できるようにしている。
そして、取得した分布データは、画像処理を施すことにより二次元画像化され、生体の脳機能診断、循環器系障害診断に適用されている。
【特許文献1】特開2001−337033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光計測装置では、送光点P(送光端子)から測定光を入射して、生体内を散乱、反射した光を受光点Q(受光端子)で検出することから、送光点Pと受光点Qとの間にある領域が感度領域となり、この領域をチャンネルとして扱っている。
光計測装置による脳賦活状態や酸素化状態の二次元的な分布測定を行う場合、感度領域であるチャンネルの点数をできるだけ多くとって、分解能を高めることが望ましい。
【0007】
例えば、図9に示すように、頭部に複数の送光点と複数の受光点を配置して計測するのであるが、チャンネル数をできるだけ増やすために、各送光点と各受光点とを互いに隣り合うように配置して、すべての隣接する送光点と受光点との間に、チャンネルが格子状に配置されるようにしている。そして、送光点に対する点灯制御と、受光点に対する受光制御とを、適宜、行うことにより、送光点と受光点の間のチャンネルについて順次、信号を検出するようにしている。
【0008】
図5は、従来からの光計測装置のプローブを含む検出系の構成例を示す図である。この光計測装置は、主に、計測制御部10と、図示しない光源からの近赤外光を生体に入射する8個の送光点A1〜A8、および、生体内を散乱/反射した近赤外光を、検出光として受光する8個の受光点a1〜a8とを有するプローブ12とにより構成される。
計測制御部10は、各送光点A1〜A8に対する送光のタイミングを制御するとともに、各受光点a1〜a8に対する受光のタイミングを制御する。
【0009】
プローブ12は、各送光点A1〜A8と各受光点a1〜a8とが、互いに隣り合うように並べられ、4行4列の格子状に配置されている。図6は、図5に示した各送光点と各受光点とにより定まるチャンネルの配置を説明する図である。この場合、各送光点と各受光点との間に、チャンネル#1〜チャンネル#24の計24個のチャンネルが設定されることになる。
【0010】
また、プローブ12は、送光点および受光点の配置を変えることができるようになっている。図7は、プローブ12の8個の送光点および8個の受光点の配置を変えたときの構成例を示す図である。プローブ12は、各送光点A1〜A8と各受光点a1〜a8とが、互いに隣り合うように並べられ、2行8列の格子状に配置されている。
図8は、図7に示した送光点、受光点によるチャンネルの配置を説明する図である。この場合、各送光点と各受光点との間に、チャンネル#1〜チャンネル#22まで計22個のチャンネルが得られることになる。
このように、光計測装置のプローブ12は、送光点および受光点の配置を変えることにより、被検体上のチャンネルの位置や個数の変更を行うことができるようになっている。
【0011】
しかしながら、1台の光計測装置が有する送光点、受光点の個数は有限であり、その結果、チャンネル数も有限である。脳の光計測を目的とする際に、脳全体を同時に測定したい場合には、単に、送光点、受光点の配置を自由に変えることができるだけでは足りず、チャンネル数を増加する必要があり、そのためには送光点、受光点の数を増加させる必要がある。脳以外での分布測定であっても、高い分解能で測定するには、できるだけ、送光点、受光点の数を増加させることが望ましい。しかしながら、1台の装置に実装する送光点数、受光点数を増やすことは、光計測装置の大型化につながる。
1台の装置に実装する送光点数、受光点数を増加させるかわりに、2台の光計測装置を同時に使用した光計測システムとすることが考えられる。これによれば、光計測装置を大型化することなく、送光点数、受光点数を倍増させることができることになり、チャンネル数も倍増させることができるが、単に、2台の光計測装置を用いてチャンネル数を2倍にしているだけにすぎず、さほど、送光点、受光点を有効に利用しているとは言えない。単に光計測装置の台数に比例して、チャンネル数を増加させるだけではなく、それ以上にチャンネル数を増やすことができれば、より望ましい。
【0012】
そこで、本発明は、複数の光計測装置を用いて光計測を行う際に、効率よくチャンネル数を増加することを目的とする。
【0013】
また、チャンネル数が増えた場合に、チャンネル1点ごとに順次測定するとなると、全チャンネルの測定が一巡するまでに長時間を要することになる。一巡に要する時間を短縮しようとするなら、同時に複数チャンネルを測定すればよいが、その場合、同時に2つ以上の送光点から発せられた光が、1つの受光点にて同時に受光されると、複数のチャンネルの検出信号が混在してしまうことになる。
そこで、本発明は、複数の光計測装置を用いて光計測を行う際に、複数のチャンネルで同時に測定することにより、できるだけ効率的に光計測を行うとともに、複数のチャンネルの検出信号が混在しないように測定することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するためになされた本発明の光計測システムは、複数の光計測装置を同時に使用して光計測を行う。その際に、同一装置の送光点と受光点との間のチャンネルだけではなく、異装置同士の送光点と受光点との間のチャンネルをも利用することにより、チャンネル数を増加させて、光計測を行うようにする。
すなわち、本発明の光計測システムは、生体内に向けて光を送光する複数の送光点と、生体内を散乱/反射した光を検出信号として受光する複数の受光点と、送光点に対する送光制御および受光点に対する受光制御を行うことにより、1つの送光点と1つの受光点との組ごとに定まる各チャンネルについての検出信号を検出する制御を行う計測制御部とを有する少なくとも2台の光計測装置と、前記各光計測装置の各光計測制御部を同期制御する主制御部と、各光計測装置により検出された検出信号を解析する解析部とを備え、主制御部は、各計測制御部に対し、各光計測装置内の送光点と受光点との組による同一装置間チャンネルについての検出信号を検出する制御するとともに、異なる光計測装置の送光点と受光点との組により定まる異装置間チャンネルについての検出信号を検出する制御を行うようにしている。
【0015】
この発明によれば、複数の光計測装置は、それぞれが主制御装置の制御の元で、光計測制御部により送光点に対する制御、受光点に対する制御を行い、チャンネルごとに検出信号を検出する制御を行う。
主制御部は、各光計測装置の光計測制御部に対し、同期信号を送り、異なる光計測装置間の送光制御、受光制御のタイミングを調整する制御を行う。これにより、各光計測制御部が、同一装置間の送光点、受光点の組によるチャンネルに対する信号検出の制御を行うだけではなく、異装置間の送光点、受光点の組によるチャンネルに対する信号検出の制御をも行うようにする。
同一装置間および異装置間の送光点、受光点の組によるチャンネルで検出した各検出信号は、解析部に送られ、解析されることにより、同一装置間チャンネルだけではなく、異装置間チャンネルをも含めた検出信号による光計測データを得る。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の光計測装置を用いるとともに、これら複数の光計測装置に対する主制御部によるシステムとしての同期制御を行うことにより、同一装置間の送光点、受光点の組によるチャンネル(本来、各光計測装置が単独で測定できるチャンネル)を利用するだけではなく、異装置間の送光点、受光点の組によるチャンネル(主制御部による異装置間の同期制御により測定できる付加的なチャンネル)をも利用することができる。
すなわち、一つの光計測装置の送光点(受光点)と、他の1つの光計測装置の受光点(送光点)との間で、互いに同期させつつ送光制御と受光制御とを実行することにより、これらの異なる2つの光計測装置間の組による送光点と受光点とに挟まれた新たなチャンネルについても利用することができるようになり、各光計測装置が、本来単独で測定できるチャンネルの他に、異装置間の同期制御によって付加されたチャンネル数だけ、利用チャンネル数を増加することができる。
したがって、それぞれの光計測装置が単独で測定できるチャンネル数以上に、異装置間の同期制御によって付加されるチャンネルの数だけ増加させることができ、同時に測定可能なチャンネル数を、効率的に増加することができる。
【0017】
また、上記発明において、いずれか1つの光計測装置が、主制御部を内蔵することにより主光計測装置を構成し、他の光計測装置は主光計測装置からの制御信号に基づいて動作する副光計測装置を構成するようにしてもよい。これによれば、別途に、複数の光計測装置間の同期制御を行うための制御装置を設けることなく、いずれか1つの光計測装置の制御系ハードウェアを利用して、システム全体の制御を行うことができる。
【0018】
また、上記発明において、主制御部が、送光点を複数の組に分けてそれぞれの組に複数の送光点が含まれるようにした上で、各組ごとに同時に送光し、送光が行われた送光点に隣接する受光点が信号検出することにより、前記送光点の周囲のチャンネルについての検出信号を同時に検出するように各計測制御部を同期制御するとともに、送光点を複数の組に分ける際に、1つの組に含まれる各送光点は、その組に含まれるいずれかの送光点に隣接する受光点が同じ組に含まれる他の送光点とは隣接することがないように、距離が隔てられた送光点どうしが選択されるようにして、信号検出を行う各受光点はいずれか1つの送光点だけからの光を受光するようにしてもよい。
【0019】
この発明によれば、光計測システムは、以下の動作を行うように、主制御部が各計測制御部を同期制御する。すなわち、送光点を複数の組に分けて、各組ごとに、その組に含まれる複数の送光点から同時に送光する。送光が行われると、その組に含まれる送光点に隣接する受光点は、隣接する送光点から発し、生体内を散乱/反射してきた光を検出信号として受光することで、送光点と各受光点との間のチャンネルについての検出信号を検出する。ここで、各送光点に隣接する複数の受光点とは、各送光点の最も近くに位置する受光点群であり、距離が近いために、送光点からの光を感度よく受光できる受光点群をいう。
【0020】
このように、複数の送光点から同時に送光し、各送光点に隣接する受光点がそれぞれ、受光することにより、送光点の周囲にあるチャンネルについての検出信号を測定するのであるが、1つの受光点が2つの送光点と同時に隣接することになると、これら2つの送光点からの光を同時に受光することとなるので、送光点を複数の組に分ける際に、1つの組に含まれる送光点のいずれかに隣接する受光点が、重複して、同じ組に含まれる他の送光点とも隣接することがないように、互いに距離が離れた送光点どうしが送光点の組となすように定める。これにより、各受光点は、いずれか1つの隣接する送光点から発する光のみを検出信号として受光することになり、その結果、複数のチャンネルについて、互いの信号が混在することなく、検出信号を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の光計測装置の一実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態である光計測システムの構成を示すブロック図である。この光計測システムは、プローブ101を含む主光計測装置100と、プローブ201を含む副光計測装置200とからなる装置が、システムを組むように構成される。このうち主光計測装置100は、8つの送光点A(A1〜A8)、8つの受光点a(a1〜a8)、計測制御部10、主制御部40、解析部42とにより構成される。また、副光計測装置200は、8つの送光点B(B1〜B8)、8つの受光点b(b1〜b8)、計測制御部20とにより構成される。
【0022】
そして、1つの送光点と1つの受光点との組ごとに、1つの感度領域となるチャンネルが定められている。チャンネルは、主光計測装置100の送光点A(A1〜A8)と受光点a(a1〜a8)との同一装置内の組により定まるチャンネルである同一装置間チャンネル12と、副光計測装置200の送光点B(B1〜B8)と受光点b(b1〜b8)との同一装置内の組により定まるチャンネルである同一装置間チャンネル22と、主光計測装置100の送光点A(受光点a)と副光計測装置200の受光点b(送光点B)との異装置の組により定まる異装置間チャンネル51とからなる。
【0023】
図2は、主光計測装置100のプローブ101と、副光計測装置200のプローブ201とに配置される送光点、受光点の位置関係を説明する図である。プローブ101は、送光点A1〜A8と、受光点a1〜a8とが、2行8列の格子状配置をなすようにして、交互に取り付けられる。プローブ201は、送光点B1〜B8と、受光点b1〜b8とが、行8列の格子状をなすようにして交互に取り付けられる。さらに、プローブ101の送光点(受光点)とプローブ201の受光点(送光点)とが隣り合うようにして、プローブ101の1行とプローブ201の1行とが並べられ、全体として、4行8列の格子配置をなすように取り付けられる。
【0024】
図3は、図2に示したプローブ101、201の送光点と受光点とによって定められるチャンネルの配置を説明する図である。プローブ101内の送光点A1〜A8と受光点a1〜a8との組による同一装置内チャンネル12として、チャンネル#1〜チャンネル#22の計22個のチャンネルが定められる。同様に、プローブ201内の送光点B1〜B8と受光点b1〜b8との組による同一装置内チャンネル22として、チャンネル#31〜チャンネル#52の計22個のチャンネルが定められる。
そして、これら同一装置間チャンネル12、22に加えて、さらに、プローブ101の送光点(受光点)とプローブ201の受光点(送光点)との組による異装置間チャンネル51として、チャンネル#23〜#30の計8個のチャンネルが定められる。
【0025】
続いて、計測制御部10、20と、主制御部40、解析部41について、説明する。これらは、いずれもCPU、ROM/RAMなどで構成されるコンピュータ構成機器により構成される。本実施例では、主制御部40、解析部41と、計測制御部10とを、ともに、主光計測装置100に内蔵するようにして、主制御部40、解析部41と計測制御部10とを、1つのコンピュータで兼用させている。すなわち、光計測装置100側が、システム全体の制御を行うようにして、光計測装置200を遠隔操作するようにしている。なお、主制御部40、解析部42とを、独立したコンピュータにより構成し、独立したコンピュータにより、各光計測装置100、200が遠隔操作されるようにしてもよいことはいうまでもない。
【0026】
計測制御部10、20は、各光計測装置100、200が単独で使用されるときは、各光計測装置100、200の制御を行って、同一装置内チャンネル12、22についての測定データを取得するとともに、取得した測定データの解析を行うが、2つの光計測装置100、200が一体となり、システム的に使用されるときは、主制御部40からの制御の元で、それぞれの光計測制御部10、20が送光制御、受光制御を行うようになり、また、解析部42が光測定装置100、200で取得したすべての測定データを解析するようになる。
そのため、主制御部40、解析部42と、計測制御部10、20とは、イーサネット(登録商標)ケーブルなどによるデータ通信を行う通信部11、21、41により接続されている。
【0027】
主制御部40が、各計測制御部10、20を制御することにより、異装置間チャンネル51についても、測定データを取得することができるようにしてある。すなわち、主制御部40は、計測制御部10に対し、計測制御部10が制御する送光点(あるいは受光点)のひとつ(例えば送光点A2)の送光制御を行うとともに、計測制御部20に対し、計測制御部20が制御する受光点(あるいは送光点)のひとつ(例えば受光点b2)の受光制御を行う。これにより、異装置間チャンネル51(送光点A2と受光点b2との間のチャンネル#24)についての測定データが取得される。そして、取得された測定データは、解析部42により解析される。
【0028】
次に、主制御部40から計測制御部10、20を介して行われる各送光点への送光制御と検出チャンネルとの関係について説明する。
上述したように、送光点と受光点とは、交互に並べて配置されているので、1つの送光点に対して送光が行われると、送光中の送光点の周囲にあるすべての受光点は、その送光点との間のチャンネルについての検出信号を検出することになる。これを受光点側から見ると、1つの受光点の周囲には、複数の送光点が隣接するので、同時に2つ以上の隣接する送光点に対して送光されると、2つのチャンネルについての検出信号が、1つの受光点で、混在して検出されることになる。
そこで、測定時間を短縮するため、同時に2つ以上の送光点から送光しようとする場合、1つの受光点は、1つの送光点との間のチャンネルについての信号しか検出できないように、送光点の送光タイミングを調整する必要がある。そのため、主制御部40は、1つの受光点には、隣接する1つの送光点との間のチャンネルについての検出信号だけが検出できるように、全送光点の送光順序を制御するようにしている。
すなわち、同時に送光する送光点は、互いに距離が離れたものどうしを選択するようにして、1つの送光点に隣接する受光点は、少なくとも、同時に送光される他の送光点とは隣接することがないようにしている。これにより、1つの送光点に隣接する受光点は、隣接する送光点からの光のみを検出し、それ以外の距離が離れた他の送光点からの光を検出しないようにしてある。
【0029】
図4は、図2や図3で示した送光点、受光点の配置の場合の各送光点への送光制御と、その際に検出されるチャンネルとの関係を説明する図である。
ここでは、送光点を8つのグループに分け、1つのグループ内には、互いに距離が離れた2つの送光点が、順次、選択するようにしている。具体的には、図4に示すように、A1とB5、A2とB6、A3とB7、・・・・・、A8とB4、の送光点が互いにグループを形成するようにしている。
【0030】
ここで、1つのグループに含まれる送光点どうしの関係について説明する。例えば、送光点A1が含まれるグループについて説明すると、送光点A1に隣接する受光点は、a1、a2の2つである。そして、受光点a1、a2が、A1以外と隣接する送光点は、A3、A2、B1である。したがって、A1と同じグループには、A2、A3、B1以外のものを選択しさすれば、受光点a1、a2で、2つの送光点からの信号が同時に検出されることがなくなる。
【0031】
なお、本実施形態では、具体的には、A1と同じグループには、A2、A3、B1以外の送光点として、上述したようにB5を選択している。これは、送光点を8つのグループに分ける際に、同時に送光される2つの送光点間の距離が、各グループとも一定となるようにして、できるだけ同一条件にするとともに、2つの送光点間の距離が最も離れるようにして、送光点間での影響がなるべく生じないように組み合わせを考慮したものである。
【0032】
そして、送光制御により点灯される送光点に対応して、その送光点に隣接する受光点が適宜、選択され、各受光点が1つの隣接する送光点との間のチャンネルについての信号だけを検出するようにしている。例えば、送光点A1と送光点B5との2点から送光されているときは、受光点a2によりチャンネル#1の検出信号が検出され、同様に、受光点a1によりチャンネル#8、受光点a5によりチャンネル#27、受光点b4によりチャンネル#34、受光点b6によりチャンネル#35、受光点b5によりチャンネル#42が検出されている。
いずれの受光点も、1つのチャンネルについての検出信号のみを検出することができている。
【0033】
上記実施形態では、1つのグループごとに2つの送光点を含むようにしたが、例えば、1つのグループに3つ、あるいは、それ以上の送光点を含むようにして、同時に点灯する送光点を増やしてもよい。
【0034】
また、上記実施形態では、2台の光計測装置を用いて光計測システムを構成したが、さらに光計測装置を増加したシステムにして、プローブ数を増やすようにしてもよい。この場合も、同一装置間チャンネルの増加分に加えて、異装置間チャンネル分をさらに増加させることができる。
【0035】
また、上記実施形態ではプローブ101、201の送光点、受光点は2行8列の格子状配置を取るようにしたが、異装置間チャンネルによるチャンネル数の増加を図ることができる配置であるなら、その他の配置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、生体内に光を照射して生体内部情報を取得する光計測装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態である光計測装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の一実施形態である光計測装置のプローブにおける送光点と受光点との配置を示す図。
【図3】図2のプローブにおける送光点、受光点とチャンネルとの位置関係を説明する図。
【図4】送光点ごとの送光順と検出されるチャンネルとの関係を示す図。
【図5】従来からの光計測装置のプローブにおける送光点と受光点との配置を示す図。 本発明の一実施形態である経頭蓋脳機能測定装置における画像変換処理を説明する図。
【図6】図5のプローブにおける送光点、受光点とチャンネルとの位置関係を説明する図。
【図7】従来からの光計測装置のプローブにおける送光点と受光点との配置を示す図。
【図8】図7のプローブにおける送光点、受光点とチャンネルとの位置関係を説明する図。
【図9】脳機能を測定する際に光計測装置のプローブを頭部に取り付けた状態を示す図。
【符号の説明】
【0038】
10、20:計測制御部
11、21、41:通信部
12、22:同一装置間チャンネル
40:主制御部
42:解析部
51:異装置間チャンネル
100:主光計測装置
200:副光計測装置
101、201:プローブ
A1〜A8、B1〜B8:送光点
a1〜a8、b1〜b8:受光点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内に向けて光を送光する複数の送光点と、生体内を散乱/反射した光を検出信号として受光する複数の受光点と、送光点に対する送光制御および受光点に対する受光制御を行うことにより、1つの送光点と1つの受光点との組ごとに定まる各チャンネルについての検出信号を検出する制御を行う計測制御部とを有する少なくとも2台の光計測装置と、前記各光計測装置の各光計測制御部を同期制御する主制御部と、各光計測装置により検出された検出信号を解析する解析部とを備え、
主制御部は、各計測制御部に対し、各光計測装置内の送光点と受光点との組による同一装置間チャンネルについての検出信号を検出する制御を行うとともに、異なる光計測装置の送光点と受光点との組により定まる異装置間チャンネルについての検出信号を検出する制御を行うことを特徴とする光計測システム。
【請求項2】
いずれか1つの光計測装置が前記主制御部を内蔵することにより主光計測装置を構成し、他の光計測装置は主光計測装置からの制御信号に基づいて動作する副光計測装置を構成することを特徴とする請求項1に記載の光計測システム。
【請求項3】
主制御部は、送光点を複数の組に分けて、それぞれの組に複数の送光点が含まれるようにした上で、各組ごとに同時に送光し、送光が行われた送光点に隣接する受光点が信号検出することにより、前記送光点の周囲のチャンネルについての検出信号を同時に検出するように各計測制御部を同期制御するとともに、
送光点を複数の組に分ける際に、1つの組に含まれる各送光点は、その組に含まれるいずれかの送光点に隣接する受光点が同じ組に含まれる他の送光点とは隣接することがないように、距離が隔てられた送光点どうしが選択されることを特徴とする請求項1に記載の光計測システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−47160(P2006−47160A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−230040(P2004−230040)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】