説明

光誘起逐次重合に基づく眼用デバイスの製造

本発明は、ヒドロゲルコンタクトレンズ製造用の新規なレンズ硬化方法を提供する。新規なレンズ硬化方法は、化学線誘起逐次重合に基づく。本発明はまた、本発明の方法により調製したヒドロゲルコンタクトレンズ及び新規なレンズ硬化方法に基づくヒドロゲルコンタクトレンズ製造用液体組成物を提供する。さらに、本発明は、化学線誘起逐次重合を行ってヒドロゲルコンタクトレンズを形成することのできるプレポリマーを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼用デバイス、特にヒドロゲルコンタクトレンズの製造方法に関する。特に、本発明は、光誘起逐次重合に基づくヒドロゲルコンタクトレンズの注型成形法に関連する。さらに、本発明は、ポリマー製品、好ましくは眼用デバイス、より好ましくはソフトヒドロゲルコンタクトレンズ製造のために有用な、化学線により架橋可能なプレポリマー及び組成物に関する。
【0002】
背景技術
高い精度、正確さ及び再現性を有し、低コストなヒドロゲルコンタクトレンズの注型成形技術を開発するため、大いなる努力がなされてきた。そのような製造技術の1つは、米国特許第5,508,317号、5,583,463号、5,789,464号、及び5,849,810号に記載されているような、実質的にモノマーを含まず、エチレン性不飽和基を有する実質的に精製されたプレポリマーを含むレンズ形成組成物、再使用可能な金型、及び化学線(例:UV)の空間的制限下での硬化が関わる、所謂 Lightstream Technology(商標)(CIBA Vision)である。コンタクトレンズ製造のためのLightstream Technology(商標)は、幾つかの利点を有する。第1に、硬化プロセスが、数秒間の時間スケールであり速い。速い硬化は、オンラインでのレンズ硬化を含む、高速、連続的かつ自動的なレンズ製造の設計及び適合を確実にする。第2に、プレポリマーを含み、実質的にモノマーを含まない組成物を使用することにより、従来の注型成形製造法において必要とされた、その後の抽出工程(レンズから重合されなかったモノマーを除去すること)が不要になる。レンズ抽出工程がなければ、製造コストを削減することができ、製造効率をさらに高めることができる。第3に、使い捨てプラスチック金型ではなく、再使用可能な石英/ガラス金型又は再使用可能なプラスチック金型を使用することができる。これらの金型は、レンズ製造後に、適切な溶媒を用いて、架橋しなかったプレポリマー及び他の残留物を迅速かつ効率よく除去し、そして風乾させることができるためである。使い捨てプラスチック金型は、潜在的に寸法にばらつきがある。というのは、プラスチック金型の射出成形の間に、製造プロセスにおける変動(温度、圧力、材料特性)の結果、金型寸法にばらつきが生じ得るため、さらにまた、得られた金型が、射出成形後、不均一な収縮を来たす可能性があるためである。金型におけるこれらの寸法変化は、製造されるコンタクトレンズのパラメーター(ピーク屈折率、直径、基本曲線、中心厚等)に変動を来たし、複雑なレンズ設計の再現正確さが低くなることがある。高精度に製造された再使用可能な金型を使用することによって、使い捨て金型に潜在的にもたらされる寸法のばらつきをなくし、それによって、そこから製造されるコンタクトレンズのばらつきをなくすことができる。Lightstream Technology(商標)にしたがって製造されるレンズは、当初のレンズ設計に対する高い整合性及び高い正確さを有することができる。
【0003】
しかしながら、このような技術の優れた潜在能力すべてを実現することを阻む、幾つかの現実的な制約が存在する。例えば、レンズ形成組成物は、組成物を金型内に高速に分配するためには、比較的低い粘度を有する必要があろう。比較的低い粘度を有するためには、組成物中のプレポリマーが、比較的低い分子量を有する必要がある。プレポリマーの分子量は、プレポリマーの架橋から作られるレンズの機械的強度に影響を与える可能性があると考えられている。低分子量のプレポリマーの架橋から作られるレンズは、例えば、低い引裂抵抗のように、所望の機械的強度を有しない可能性がある。低い機械的強度を有するヒドロゲルコンタクトレンズは、日々の及び長期の装着様式に適切でない場合がある。
【0004】
したがって、所望の物性を有し、耐久性があり、弾力性に富むソフトコンタクトレンズを経済的に製造するレンズ製造方法が依然求められている。また、所望の機械的強度及び所望の物性を有するヒドロゲルコンタクトレンズの製造に適切な、新規な化学線架橋性プレポリマーが求められている。
【0005】
発明の概要
上記を達成するために、本発明の一態様にしたがって、コンタクトレンズの製造方法が提供される。本方法は:ヒドロゲルコンタクトレンズを製造する方法であって、(1)複数の第1の重合基を有し、各々が逐次重合剤の存在下又は非存在下で光誘起逐次重合を行うことができる、少なくとも1つの第1のプレポリマーを含み、逐次重合剤が、2以上の第2の重合基を有し、各々がヒドロゲル材料を形成するために光誘起逐次重合において第1の重合基と共反応性である、液体組成物を得る工程;(2)コンタクトレンズの前面を画定する第1の成形面を有する第1の型半と、コンタクトレンズの後面を画定する第2の成形面を有する第2の型半とを備え、該第1及び第2の型半が、キャビティが該第1及び第2の成形面の間に形成されるように互いに受けて構成されている金型によって形成されたキャビティに液体組成物を導入する工程;及び(3)金型内の組成物を化学線照射又は熱硬化して、該少なくとも1つの第1のプレポリマーを架橋させてヒドロゲルコンタクトレンズを形成する工程を含む。
【0006】
もう1つの態様において、本発明は、ソフトヒドロゲルコンタクトレンズを提供する。本発明のコンタクトレンズは、液体組成物の重合によって得られるが、その組成物は、複数の第1の重合基を有し、各々が逐次重合剤の存在下又は非存在下で光誘起逐次重合を行うことができる、少なくとも1つの第1のプレポリマーを含み、逐次重合剤が、2以上の第2の重合基を有し、各々が光誘起逐次重合において第1の重合基と共反応性であるが、但し組成物は、実質的に如何なるビニルモノマーも含まない。
【0007】
さらなる態様において、本発明は、ソフトヒドロゲルコンタクトレンズの製造に適切なプレポリマーを提供する。本発明のプレポリマーは、複数の第1の重合基を有し、各々が逐次重合剤の存在下又は非存在下で光誘起逐次重合を行うことができる、少なくとも1つの第1のプレポリマーを含み、逐次重合剤が、2以上の第2の重合基を有し、各々が光誘起逐次重合において第1の重合基と共反応性であるが、ここでプレポリマーは、あらゆるビニルモノマー及び/又は2〜8個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有し、700ダルトン未満の分子量を有するあらゆる化合物の非存在下、化学線照射下で架橋され、ヒドロゲル材料を形成することができる。
【0008】
またさらなる態様において、本発明は、医療デバイス、好ましくは眼用デバイス、より好ましくはソフトヒドロゲルコンタクトレンズを製造するための液体組成物を提供する。本発明の液体組成物は、複数の第1の重合基を有し、各々が逐次重合剤の存在下又は非存在下で光誘起逐次重合を行うことができる、少なくとも1つの第1のプレポリマーを含み、逐次重合剤が、2以上の第2の重合基を有し、各々が光誘起逐次重合において第1の重合基と共反応性であるが、組成物が、低粘度を有し、光誘起逐次重合を行ってプレポリマーを架橋し、ヒドロゲル材料を形成することができることを特徴とするが、但し組成物は、実質的に如何なるビニルモノマーも含まない。
【0009】
本発明の実施態様の詳細な説明
他に記載のない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明の属する分野における通常の知識を有する者に通常理解されるそれらと同義である。一般に、本明細書において使用される命名法及び試験方法は、当分野で周知であり、通常使用されているものである。これらの手順には、当分野及び様々な一般文献に記載されるような従来の手順が使用される。用語が単数で記載される場合、発明者らは、その用語の複数をも考慮にいれている。本明細書における命名法及び下記の試験方法は、当分野で周知であり、且つ通常使用されているものである。
【0010】
本明細書において、「眼用デバイス」は、目の上、目の付近又は眼球近傍で使用されるコンタクトレンズ(ハード又はソフト)、眼内レンズ、角膜装飾用その他の眼用デバイス(例:ステント、緑内障シャント等)を意味する。
【0011】
「コンタクトレンズ」は、装着者の目の上に又は目の中に設置することができる構造物を意味する。コンタクトレンズは、使用者の視力を矯正し、向上させ、又は変化させることができるが、そうである必要はない。コンタクトレンズは、当分野に公知の又は今後開発される任意の適切な物質のものであることができ、ソフトレンズ、ハードレンズ、又はハイブリッドレンズであることができる。「シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ」は、シリコーンヒドロゲル材料を含むコンタクトレンズを意味する。
【0012】
本明細書において、コンタクトレンズの「前又は前面」は、装着時に目の外方向に面するレンズの表面を意味する。前面は、通常実質的に凸面であるが、レンズのフロント曲線とも称する場合がある。
【0013】
本明細書において、コンタクトレンズの「後ろ又は後面」は、装着時に目の方向に面するレンズの表面を意味する。後面は、通常、実質的に凹面であるが、レンズのベース曲線とも称する場合がある。
【0014】
「ヒドロゲル」又は「ヒドロゲル材料」は、十分水和させたときに少なくとも10重量パーセントの水を吸収することができるポリマー材料を意味する。
【0015】
「シリコーンヒドロゲル」は、少なくとも1つのシリコーン含有モノマー又は少なくとも1つのシリコーン含有マクロマー又は少なくとも1つの架橋性のシリコーン含有プレポリマーを含む重合性組成物を共重合することによって得られるシリコーン含有ヒドロゲルを意味する。
【0016】
本明細書において、「親水性」とは、脂質よりも水と容易に結合する物質又はその一部を表す。
【0017】
「モノマー」は、重合されることができる低分子量化合物を意味する。低分子量とは、通常、700ダルトン未満の平均分子量を意味する。
【0018】
本明細書において、「ビニルモノマー」は、エチレン性不飽和基を有し、及び化学線の作用又は熱により重合されることができる低分子量化合物を意味する。低分子量とは、通常、700ダルトン未満の平均分子量を意味する。
【0019】
本明細書において、用語「オレフィン性不飽和基」又は「エチレン性不飽和基」は、広義に使用され、カルボニル基(−CO−)、ベンゼン環、窒素原子、又は酸素原子に直接結合している少なくとも1つの>C=C<基を含有するあらゆる基を包含することを意図している。エチレン性不飽和基の例は、アクリロイル、メタクリロイル、スチレニル、ビニルカルバマート基、ビニルラクタム基を含むがこれに限定されない。
【0020】
ビニルラクタムは、式
【化1】


を有し、Rは、炭素原子2〜8個を有するアルキレン二価ラジカル、R’は水素、アルキル、アリール、アラルキル又はアルカリル、好ましくは、水素又は、最大7個の炭素原子を有する低級アルキル、より好ましくは、例えば、メチル、エチル又はプロピルのような、最大4個の炭素原子を有する低級アルキル;最大10個の炭素原子を有するアリール、そして最大14個の炭素原子を有するアラルキル又はアルカリルであり;R”は、水素又は、最大7個の炭素原子を有する低級アルキル、より好ましくは、例えば、メチル、エチル又はプロピルのような、最大4個の炭素原子を有する低級アルキルである。
【0021】
本明細書において、重合性組成物又は物質の硬化又は重合化との関連において、「化学線作用により」とは、硬化(例:架橋及び/又は重合)が、例えば、UV照射、電離放射線(例:ガンマ線又はX線照射)、マイクロ波照射等のような化学線照射によって行われることを意味する。熱硬化又は化学線硬化の方法は、当業者に周知である。
【0022】
本明細書において、「親水性モノマー」は、重合化されて、少なくとも10重量パーセントの水を吸収することができるホモポリマーを形成することができるモノマーを意味する。
【0023】
本明細書において、「疎水性モノマー」は、重合化されて、水に不溶性であり、10重量パーセント未満の水を吸収することができるホモポリマーを形成することができるモノマーを意味する。
【0024】
「マクロマー」は、少なくとも1つの化学線架橋性の基を含み、重合化及び/又は架橋化され、ポリマーを形成することができる、中分子量及び高分子量の化合物又はポリマーを意味する。中分子量及び高分子量は、通常、700ダルトンより大きい平均分子量を意味する。
【0025】
「プレポリマー」は、化学線又は熱又は化学的に硬化され(例:架橋されるか/又は重合される)て、出発ポリマーよりもはるかに大きい分子量を有する架橋されたポリマーを得ることができる出発ポリマーを意味する。
【0026】
「シリコーン含有プレポリマー」は、シリコーンを含有し、架橋されて、出発ポリマーよりもはるかに大きい分子量を有する架橋されたポリマーを得ることができるプレポリマーを意味する。
【0027】
「ポリマー」は、1つ以上のモノマー、1つ以上のマクロマー、1つ以上のプレポリマー、又はそれらの混合物を重合/架橋することにより形成される物質を意味する。
【0028】
「光開始剤」は、光を使用して、ラジカル架橋化/重合化反応を開始する化学物質を意味する。適切な光開始剤は、ベンゾインメチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイルホスフィンオキシド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、Darocure(登録商標)タイプ、及びIrgacure(登録商標)タイプ、好ましくはDarocure(登録商標)1173、及びIrgacure(登録商標)2959を含むがこれに限定されない。
【0029】
「熱重合開始剤」は、熱エネルギーを用いることにより、ラジカル架橋化/重合化反応を開始する化学物質を意味する。適切な熱重合開始剤の例は、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパンニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)、ベンゾイルペルオキシドのような過酸化物等を含むがこれに限定されない。好ましくは、熱重合開始剤は、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)である。
【0030】
本明細書において、「相互貫入高分子網目構造(IPN)」は、広義に、他のポリマーの存在下、少なくとも1つが合成されるか/又は架橋される2つ以上のポリマーの密な網目構造を意味する。IPNの調製技術は、当業者に公知である。一般的な手順に関しては、その内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,536,554号、4,983,702号、5,087,392号、及び5,656,210号を参照されたい。重合は、一般にほぼ室温〜約145℃の範囲の温度で実施される。
【0031】
「化学線照射の空間的制限」は、明確な周辺境界線を有する領域に、空間的に制限された方法で、光線の形態でのエネルギー放射が、例えば、マスク又はスクリーン又はそれらの組み合わせの手段によって導かれて作用する動き又はプロセスを意味する。例えば、紫外線照射の空間的制限は、(全文が参照により本明細書に組み込まれる)米国特許第6,627,124号の図1−9に概念的に示されるように、紫外線不透過領域(マスクされた領域)に囲まれた、透明又は開口された領域(マスクされていない領域)を有するマスク又はスクリーンを使用することにより達成することができる。マスクされていない領域は、マスクされている領域と明確な周辺境界線を有する。
【0032】
レンズに関連して「視認性のための着色」とは、ユーザーがレンズ保管容器、殺菌又は洗浄用容器内の清澄な溶液中のレンズの在り処を容易に確認できるようにするための、レンズの染色(又は着色)を意味する。レンズの視認性のための着色において、染料及び/又は顔料を使用することができることは、当分野において周知である。
【0033】
「染料」とは、溶媒に可溶性であり、色を付与するのに使用される物質を意味する。染料は、通常半透明であり、光を吸収するが散乱させない。本発明において、任意の適切な生体適合性の染料を使用することができる。
【0034】
「顔料」とは、それが不溶である液体に懸濁された粉末物質を意味する。顔料は、蛍光顔料、リン光性顔料、真珠光沢顔料、又は従来の顔料であることができる。任意の適切な顔料を使用してよいが、顔料が、耐熱性、無毒性及び水溶液に不溶性であることが現在のところ好ましい。
【0035】
本明細書において、用語「流体」とは、ある物質が、液体のように流れることのできることを意味する。
【0036】
本明細書において、「表面改質」とは、物品が、その形成前又は後に、表面処理方法(又は表面改質方法)において処理されたことを意味し、その処理において、(1)物品の表面にコーティングが塗布される、(2)物品の表面に化学種が吸着される、(3)物品の表面の化学基の化学的性質(例:帯電性)が変更される、又は(4)物品の表面特性がその他の方法により改質されることを意味する。表面処理方法の例は、エネルギー(例:プラズマ、静電気、放射線照射、又はその他のエネルギー源)による表面処理、化学処理、親水性モノマー又はマクロマーの物品表面へのグラフト、(全文が参照により本明細書に組み込まれる)米国特許第6,719,929号に開示されているモールドトランスファーコーティング方法、(それらの全文が参照により本明細書に組み込まれる)米国特許第6,367,929号、第6,822,016号、第7,279,507号に提案されている、コンタクトレンズ製造のためのレンズ配合物への湿潤剤の組み込み、共同所有の同時係属の(全文が参照により本明細書に組み込まれる)米国特許出願番号11/810,601に開示されている補強モールドトランスファーコーティング、及びLbLコーティングによる表面処理を含むがこれらに限定されない。表面処理方法の好ましい種類は、イオン化したガスを物品表面に当てるプラズマ方法である。プラズマガス及び処理条件は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,312,575号及び第4,632,844号において十分に記載されている。プラズマガスは、好ましくは、低級アルカンと、窒素、酸素又は不活性ガスとの混合物である。
【0037】
本明細書において、「LbLコーティング」は、コンタクトレンズ又は型半に共有結合せず、レンズ又は型半上にポリイオン性(又は帯電した)及び/又は非帯電物質を一層ずつ(「LbL」)堆積することにより得られるコーティングを意味する。LbLコーティングは、1つ以上の層で構成することができる。
【0038】
本明細書において、「ポリイオン性物質」は、高分子電解質、p型及びn型ドープ導電ポリマーのような、複数の荷電基又はイオン性基を有するポリマー物質を意味する。ポリイオン性物質は、ポリカチオン性(正電荷を有する)及びポリアニオン性(負電荷を有する)物質の両方を含む。
【0039】
本明細書において、「二層」は広義に使用され、以下を包含することを意図する:第1のポリイオン性物質(又は帯電物質)1層、続いて、第1のポリイオン性物質(又は帯電物質)の電荷と反対の電荷を有する、第2のポリイオン性物質(又は帯電物質)1層を、特に順序を定めず、二者択一で積層することにより、コンタクトレンズ又は型半上に形成されるコーティング構造物;あるいは第1の帯電ポリマー物質1層及び非帯電ポリマー物質又は第2の帯電ポリマー物質1層を、特に順序を定めず、二者択一で積層することにより、コンタクトレンズ又は型半上に形成されるコーティング構造物。第1及び第2コーティング物質(上記)の層が、二層の中で互いに絡み合ってよいことが理解されよう。
【0040】
コンタクトレンズ又は型半上のLbLコーティングの形成は、例えば、(参照によりそれら全文が本明細書に組み込まれる)米国特許第6,451,871号、第6,719,929号、第6,793,973号、第6,811,805号、第6,896,926号に記載されるような様々な方法で行ってよい。
【0041】
本明細書において、「最内層」は、コンタクトレンズ又は型半の表面に適用される、LbLコーティングの第1層を意味する。
【0042】
本明細書において、「キャッピング層」又は「最外層」は、コンタクトレンズ又は型半に適用されるLbLコーティングの最後の層又は単独層を意味する。
【0043】
「平均接触角」は、少なくとも3個のコンタクトレンズの測定値を平均することにより得られる水接触角(Wilhelmy Plate法で測定した前進角)を意味する。
【0044】
本明細書において、「抗菌剤」は、当分野で公知のように、微生物の増殖を削減するか除去する又は抑制することのできる化学物質を意味する。
【0045】
「抗菌性金属」は、そのイオンが、抗菌性効果を有し、且つ生体適合性である金属である。好ましい抗菌性金属は、Ag、Au、Pt、Pd、Ir、Sn、Cu、Sb、Bi及びZnを含むが、Agが最も好ましい。
【0046】
「抗菌性金属含有ナノ粒子」は、1ミクロメーター未満の粒径を有し、その1つ以上の酸化状態において存在する、少なくとも1つの抗菌性金属を含有する粒子を意味する。
【0047】
「抗菌性金属ナノ粒子」は、主として抗菌性金属からなり、1ミクロメーター未満の粒径を有する粒子を意味する。抗菌性金属ナノ粒子中の抗菌性金属は、その1つ以上の酸化状態において存在することができる。例えば、銀含有ナノ粒子は、Ag、Ag1+及びAg2+のような、その1つ以上の酸化状態における銀を含有することができる。
【0048】
「安定化抗菌性金属ナノ粒子」は、その調製中に安定剤により安定化された抗菌性金属ナノ粒子を意味する。安定化抗菌性金属ナノ粒子は、ナノ粒子を調製するための溶液に存在し、得られたナノ粒子を安定化させることができる物質(又はいわゆる安定剤)に大きく依存し、正荷電又は負荷電のいずれか又は電気的に中性であることができる。安定剤は、任意の公知の適切な物質であることができる。安定剤の例は、正荷電ポリイオン性物質、負荷電ポリイオン性物質、ポリマー、界面活性剤、サリチル酸、アルコール等を含むがこれらに限定されない。
【0049】
本明細書において、レンズの「酸素伝達率」は、酸素が特定の眼用レンズを通過する率である。酸素伝達率、Dk/tは、従来、単位barrers/mmで表され、ここでtは、測定面積に対する材料の平均厚さ[単位mm]であり、「barrers/mm」は次のように定義される:
[(cm3酸素)/(cm2)(秒)(mm2Hg)]×10−9
【0050】
レンズ材料固有の「酸素透過率」、Dkは、レンズ厚に依存しない。固有の酸素透過性は、酸素が材料を通過する率である。酸素透過性は、従来より、barrerの単位で表わされている。ここで、「barrer」は、以下のように定義される:
[(cm3酸素)(mm)/(cm2)(sec)(mm2Hg)]×10−10
【0051】
これらは、当分野で一般的に使用される単位である。そのため、当分野における使用との一貫性をもたせるため、単位「barrer」は、上記の定義のとおりの意味をもつ。例えば、90barrerのDk(「酸素透過性barrer」)及び90ミクロン(0.090mm)の厚さを有するレンズは、100barrer/mmのDk/t
【数1】


(酸素透過性barrer/mm)を有する。本発明によれば、材料又はコンタクトレンズに関連して、高い酸素透過性とは、実施例に記載の電量分析法(coulometry)に従って、100ミクロン厚のサンプル(フィルム又はレンズ)を用いて測定された、少なくとも40barrer以上の見掛けの酸素透過率を特徴とする。
【0052】
レンズを通過する「イオン透過性」は、イオノフラックス拡散係数及びイオノトン(Ionoton)イオン透過性係数の両者と、相互に関連する。
【0053】
イオノフラックス拡散係数、Dは、Fickの法則を適用することにより、次のように求められる:
D=−n’/(A×dc/dx)
式中、 n’=イオン輸送率[mol/min]
A=露出レンズ面積[mm2
D=イオノフラックス拡散係数[mm2/min]
dc=濃度差[mol/L]
dx=レンズ厚[mm]
【0054】
イオノトンイオン透過性係数、Pは、よって、次式により求められる:
ln(1−2C(t)/C(0))=−2APt/Vd
式中: C(t)=受け入れセル内の時間tでのナトリウムイオン濃度
C(0)=供給セル内の初期濃度
A=膜面積、すなわち、セルに暴露したレンズ面積
V=セルコンパートメント容量(3.0ml)
d=露出領域における平均レンズ厚
P=透過係数
【0055】
イオノフラックス拡散係数、Dは、約1.5×10−6mm/minより大きいことが好ましく、約2.6×10−6mm/minより大きいことがより好ましく、約6.4×10−6mm/minより大きいことが最も好ましい。
【0056】
涙の良好な交換を確保し、最終的に、角膜の健康を確保するためには、レンズが眼球上で動くことが必要であることは公知である。イオン透過性は、水の透過性に正比例すると考えられるため、イオン透過性は、レンズの眼球上での動きの予測子の1つである。
【0057】
本発明は、全般的に、所望の機械的及び物理的性質を有し、耐久性を有する弾性の高いヒドロゲルコンタクトレンズを経済的に製造する方法に関する。本発明は、一部には、コンタクトレンズ業界で使用されている現在の硬化方法とは異なる、逐次重合を基本にした新規なレンズ硬化方法が、所望の機械的及び物理的性質を有するヒドロゲルコンタクトレンズの注型成形に、有利に及び直接に使用することができるという発見に基づいている。このような新規なレンズ硬化機序によって、フリーラジカル連鎖成長重合に基づく従来のレンズ硬化機序の欠点を克服することができる。例えば、フリーラジカル連鎖成長重合は、迅速ではあるものの、架橋間の分子量が極めて低く、得られるポリマーが、望ましくない高い弾性係数、低い引裂抵抗及び/又はその他の最適でない機械的及び物理的性質を有する場合がある。架橋間の分子量は、一般に出発マクロマー又はプレポリマーの分子量に支配されると考えられている。このため、コンタクトレンズの機械的性質(例:引裂抵抗)を高めるためには、フリーラジカル連鎖成長重合に基づくコンタクトレンズ製造用の組成物に大きい分子量を有するプレポリマーを使用しなければならない。しかし、大きい分子量を有するプレポリマーは、必然的に、その重合性組成物の粘度を大幅に高めることになり、その結果、重合性組成物の加工性(例:金型への投入)が大幅に阻害される。その上、得られたポリマーは、重合の連鎖成長の性質により、モノマー転化率がほぼゼロとなり、低い転化率で高い粘度となり、形成されるヒドロゲルの網目構造にストレスを生じさせることになる。
【0058】
しかし、光誘起逐次重合に基づくレンズ硬化方法が、従来のレンズ硬化方法(すなわち、フリーラジカル連鎖成長重合)に比べて利点を有することができることが、今や見出された。第1に、光誘起逐次重合は、迅速であり、例えば、秒のタイムスケールにおいて行うことができる。このようなレンズ硬化は、Lightstream Technology(商標)で容易に実施することができる。第2に、逐次重合において、各鎖の端は、他の鎖の端1つのみと反応し、これが、架橋間の分子量の増大につながると考えられる。架橋間の分子量が高いと、例えば、引裂抵抗等のような機械的強度を向上させることができると予測される。第3に、得られるポリマーが高いモノマー転化率で形成されるので、高い転化率及び重合の結果、ヒドロゲルの網目構造において従来よりも低いストレスを引き起こすまでは、反応系の粘度は低いままであると考えられる。所望の機械的性質を有するコンタクトレンズを製造するために、比較的低い分子量を有するプレポリマーを使用することができる。このようなプレポリマーを有する重合性組成物の粘度は、比較的低くあることができる。第4に、逐次重合をフリーラジカル連鎖成長重合と組み合わせて使用することにより、広範囲の機械的及び物理的性質に調整可能な重合性組成物を提供することができる。
【0059】
本発明は、1つの態様において、コンタクトレンズを製造する方法を提供する。本発明の方法は、(1)複数の第1の重合基を有し、各々が逐次重合剤の存在下又は非存在下で光誘起逐次重合を行うことができる、少なくとも1つの第1のプレポリマーを含み、逐次重合剤が、2以上の第2の重合基を有し、各々がヒドロゲル材料を形成するために光誘起逐次重合において第1の重合基と共反応性である、液体組成物を得る工程;(2)コンタクトレンズの前面を画定する第1の成形面を有する第1の型半と、コンタクトレンズの後面を画定する第2の成形面を有する第2の型半とを備え、該第1及び第2の型半が、キャビティが該第1及び第2の成形面の間に形成されるように互いに受けて構成されている金型によって形成されたキャビティに液体組成物を導入する工程;及び(3)金型内の組成物を化学線照射して、該少なくとも1つのプレポリマーを架橋させ、コンタクトレンズを形成する工程を含む。
【0060】
本発明によれば、本発明のプレポリマーは、ペンダント基又は末端官能基を有するコポリマーから、そのコポリマーを官能化させることにより、2つ以上の第2の重合基を有し、光誘起逐次重合において各々が第1の重合基の1つと共反応性である逐次重合促進剤の存在下又は非存在下、各々が光誘起逐次重合を行うことができる複数の逐次重合基を含むようにすることによって得られる。
【0061】
本明細書において、コポリマーに関連して「官能化させる」とは、逐次重合基が、化学的な方法により、コポリマーのペンダント基又は末端官能基を介してコポリマーと共有結合したことを表すことを意図する。
【0062】
本明細書において「複数の」は、3つ以上を意味する。
【0063】
本発明によれば、逐次重合基が、化学線照射(好ましくはUV照射)下で逐次重合に関わるかぎり、任意の逐次重合基を本発明において使用することができる。
【0064】
好ましい逐次重合の1つは、ビニル基を介するチイルラジカル(−S*)のプロパゲーションにより進行する、チオール−エン逐次ラジカル重合である。このプロパゲーション工程では、この後さらにプロパゲーションが続くのではなく、このプロパゲーション工程の後に、このようにして得られた炭素ラジカル
【化2】


のチオール基への連鎖移動が連続的に起こり、チイルラジカル(スキームI)を再生する。
【化3】

【0065】
スキームIに示されるように、光誘起チオール−エン重合においては、一対の逐次重合基、チオール及びビニル基が必要である。
【0066】
もう1つの好ましい逐次重合は、例えば、2−ニトロケイ皮酸(スキームII)の光誘起による二量化、及び光誘起されたジアルキルマレイミド付加環化反応(スキームIII)のような、2+2付加環化反応である。スキームII及びIIIに示されるように、2+2付加環化反応には、1個の逐次重合基が必要である。
【化4】

【0067】
好ましい態様において、プレポリマーは、チオール基、エン含有基、ケイ皮酸部分、ジアルキルマレイミド基、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される複数の逐次重合基を含む。
【0068】
本発明によれば、エン含有基とは、一価又は二価のラジカルが、カルボニル基(−CO−)、ベンゼン環、窒素原子又は酸素原子に直接結合していない炭素−炭素の二重結合を含有していることを表すことを意図する。好ましくは、エン含有基は、式(I)−(III)のいずれか1つの式によって定義される。
【化5】


[式中、Rは、水素又はC−C10アルキルであり;R及びRは、互いに独立して、水素、C−C10アルケン二価ラジカル、C−C10アルキル、又は−(R18−(X−R19(式中、R18は、C−C10アルケン二価ラジカル、Xは、エーテル結合(−O−)、ウレタン結合(−N)、ウレア結合、エステル結合、アミド結合又はカルボニルであり、R19は水素、単結合、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、C−C12アミノアルキル基、C−C18アルキルアミノアルキル基、C−C18カルボキシアルキル基、C−C18ヒドロキシアルキル基、C−C18アルキルアルコキシ基、C−C12アミノアルコキシ基、C−C18アルキルアミノアルコキシ基、C−C18カルボキシアルコキシ基又はC−C18ヒドロキシアルコキシ基であり、a及びbは、互いに独立して、ゼロ又は1である)であるが、但しR及びRのうちの1つのみが、二価ラジカルであり;R−Rは、互いに独立して、水素、C−C10アルケン二価ラジカル、C−C10アルキル、又は−(R18−(X−R19であり、場合により、R及びRは、アルケン二価ラジカルを介して結合され、環を形成するが、但し、R−Rのうちの少なくとも1つは、二価ラジカルであり;n及びmは、互いに独立して、0〜9の整数であるが、但し、nとmとの総数は、2〜9の整数であり;R10−R17は、互いに独立して、水素、C−C10アルケン二価ラジカル、C−C10アルキル、又は−(R18−(X−R19であり、pは、1〜3の整数であるが、但し、R10−R17の1つ又は2つのみが、二価ラジカルである。]
【0069】
本発明によれば、ケイ皮酸部分は、式(IV)
【化6】


(式中、R20−R25は、互いに独立して、水素、C−C10アルケン二価ラジカル、C−C10アルキル、又は−(R18−(X−R19であるが、但し、R21又はR25は、−NOであり、但し、R20−R25の1つ又は2つだけは、二価ラジカルである)で定義される一価又は二価ラジカルであることを表すことを意図する。
【0070】
本発明によれば、ジアルキルマレイミド基は、式(V):
【化7】


(式中、R26及びR27は、互いに独立して、水素又はC−C10アルキルであり、R28は、C−C10アルケン二価ラジカルである)で定義される一価のラジカルであることを表すことを意図する。
【0071】
プレポリマーが複数のエン含有基を含む場合、これらの基は、2つ以上のチオール基を有する逐次架橋剤によって提供されることができるチオール基の存在下においてのみ、チオール−エン逐次ラジカル重合を受ける。同様に、プレポリマーが複数のチオール基を含む場合、これらの基は、2つ以上のエン含有基を有する逐次架橋剤によって提供されることができるエン含有基の存在下においてのみ、チオール−エン逐次ラジカル重合を受ける。
【0072】
プレポリマーが、複数のケイ皮酸部分又はジアルキルマレイミド基を含む場合、これらの基は、逐次架橋剤によって提供される他の逐次重合基の非存在下、光誘起2+2付加環化反応重合を受けることができる。
【0073】
本発明のプレポリマーは、好ましくはあらゆる親水性のビニルモノマーの非存在下、ヒドロゲル材料(非シリコーンヒドロゲル又はシリコーンヒドロゲル)を形成することができ、コポリマーのペンダント基又は末端官能基に、チオール基、エン含有基、ケイ皮酸部分、又はジアルキルマレイミド基を、任意の公知の共有カップリング方法によって共有結合させることにより得ることができる。一対の対応する架橋性基は、酸化還元条件、脱水縮合条件、付加条件、置換(又は置き換え(displacement))条件、ディールス−アルダー反応条件、カチオン性架橋条件、及びエポキシ硬化条件のような、公知の反応条件下で、共有結合又は結合を形成することができることは当分野で周知である。例えば、アミノ基は、アルデヒドと共有結合可能(アルデヒド基及びアミノ基から形成されるシッフ塩基は、さらに還元される可能性がある)であり;アミノ基は、酸クロリド、無水物又はイソシアナートと共有結合可能であり;ヒドロキシルは、酸塩化物、イソシアナート又はエポキシ等と共有結合可能である。
【0074】
一対の架橋性基の間に形成される共有結合又は結合の例は、エステル、エーテル、アセタール、ケタール、ビニルエーテル、カルバマート、ウレア、ウレタン、アミン、アミド、エナミン、イミン、オキシム、アミジン、イミノエステル、カーボナート、オルソエステル、ホスホナート、ホスフィナート、スルホナート、スルフィナート、スルフィド、スルファート、ジスルフィド、スルフィンアミド、スルホンアミド、チオエステル、アリール、シラン、シロキサン、ヘテロ環、チオカーボナート、チオカルバマート、及びホスホンアミドを含むがこれに限定されない。
【0075】
架橋性基の例は、ヒドロキシル基、アミン基、アミド基、無水物基、スルフィドリル基、−COOR(R及びR’は、水素又はC−Cアルキル基)、ハロゲン化物(塩化物、臭化物、ヨウ化物)、アシルクロリド、イソチオシアナート、イソシアナート、モノクロロトリアジン、ジクロロトリアジン、モノ−又はジ−ハロゲン置換ピリジン、モノ−又はジ−ハロゲン置換ジアジン、ホスホラミダイト、マレイミド、アジリジン、スルホニルハライド、ヒドロキシスクシンイミドエステル、ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル、イミドエステル、ヒドラジン、アジドニトロフェニル基、アジド、3−(2−ピリジルジチオ)プロピオンアミド、グリオキサール、アルデヒド、エポキシを含む。
【0076】
説明的な例として、本発明のプレポリマーは、第1の架橋性基と、チオール基、エン含有基、ケイ皮酸部分又はジアルキルマレイミド基とを含む化合物を、複数の第2の架橋性基を含むコポリマーと反応させることによって得ることができるが、ここで第1の架橋性基は、第2の架橋性基の1つと反応し、上述の共有結合又は結合を形成する。
【0077】
カップリング剤を使用してもよいことが理解される。カップリングに有用なカップリング剤は、N,N’−カルボニルジイミダゾール、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(「EDC」)、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド又はそれらの混合物ような、カルボジイミドを含むがこれに限定されない。カルボジイミドは、また、N−ヒドロキシスクシンイミド又はN−ヒドロキシスルホスクシンイミドと一緒に使用して、アミンと反応してアミドを形成することができるエステルを形成することができる。
【0078】
ペンダント基又は末端基を有するコポリマーは、水、有機溶媒又は水と少なくとも1つの有機溶媒との混合物に可溶性である必要がある。ペンダント基又は末端官能基を有する任意のコポリマーを本発明に使用することができる。好ましいコポリマーの例は、架橋剤の存在下又は非存在下における、ビニルアルコールと1つ以上のビニルモノマーとのコポリマー;架橋剤の存在下又は非存在下における、C−Cアミノアルキルアクリラートと1つ以上のビニルモノマーとのコポリマー;架橋剤の存在下又は非存在下における、C−Cヒドロキシアルキルアクリラートと1つ以上のビニルモノマーとのコポリマー;架橋剤の存在下又は非存在下における、C−Cアミノアルキルメタクリラートと1つ以上のビニルモノマーとのコポリマー;架橋剤の存在下又は非存在下における、C−Cヒドロキシアルキルメタクリラートと1つ以上のビニルモノマーとのコポリマー;架橋剤の存在下又は非存在下における、C−Cアルキルアクリル酸と1つ以上のビニルモノマーとのコポリマー;架橋剤の存在下又は非存在下における、C−Cアルキルメタクリルと1つ以上のビニルモノマーとのコポリマー;架橋剤の存在下又は非存在下における、エポキシ含有アクリラートモノマーと1つ以上のビニルモノマーとのコポリマー;架橋剤の存在下又は非存在下における、エポキシ含有メタクリラートモノマーと1つ以上のビニルモノマーとのコポリマー;(a)少なくとも1つのポリ(オキシアルキレン)ジアミン、(b)場合により、少なくとも1つの有機ジ−又はポリ−アミン、(c)場合により、少なくとも1つのジイソシアナート、及び(d)少なくとも1つのポリイソシアナートを含む混合物を共重合することによって得られるアミン−又はイソシアナート−キャップポリウレア;(a)少なくとも1つのポリ(オキシアルキレン)ジオール、(b)場合により、少なくとも1つの、ジ−又はポリ−ヒドロキシ基を有する有機化合物、(c)場合により、少なくとも1つのジイソシアナート、及び(d)少なくとも1つのポリイソシアナートを含む混合物を共重合することによって得られるヒドロキシ−又はイソシアナート−キャップポリウレタン;少なくとも1つのシロキサン含有ビニルモノマー、少なくとも1つのシロキサン含有マクロマー、少なくとも1つのシリコーン含有プレポリマー、又はそれらの混合物を含有する混合物を共重合することによって得られるシロキサン含有コポリマー;及びポリ(ジ−C1−12アルキルシロキサン)と1つ以上の共反応性モノマーとのコポリマーを含むがこれらに限定されない。
【0079】
あるいは、本発明のエン含有プレポリマーは、式(I)、(II)、又は(III)の1つのエン基を有する少なくとも1つのモノマーと1つのエチレン性不飽和基とを含む重合性組成物を共重合することにより調製することができる。チオール含有化合物非存在下のフリーラジカル重合において、エン基は、生き残る(すなわち、ほとんど関与しない)が、エチレン性不飽和基は関与する(すなわち、消費される)。エン含有のアクリラート又はメタクリラートの例は、を含むがこれらに限定されない。
【0080】
好ましい態様において、逐次架橋剤は、光誘起逐次重合における第1の重合基と共反応性である、2つ以上のチオール基又はエン含有基を含む。より好ましくは、逐次架橋剤は、複数のチオール基又はエン含有基を含むプレポリマーである。
【0081】
好ましくは、本発明に使用するプレポリマーは、それ自体公知の方法、例えば、アセトンのような有機溶媒による沈殿、ろ過及び洗浄、適切な溶媒における抽出、透析又は限外ろ過(限外ろ過が特に好ましい)で事前に精製される。この精製方法により、プレポリマーは、極めて純粋な形態、例えば、塩のような反応生成物を含まないか、少なくとも実質的に含まず、また、例えば、非ポリマー成分のような出発物質を含まない、濃縮溶液の形態で得られる。本発明による方法で使用するプレポリマーにとって好ましい精製方法、限外ろ過は、それ自体公知の方法で、実施することができる。限外ろ過を、例えば、2〜10回繰り返して実施することが可能である。あるいは、限外ろ過を、選択した純度が得られるまで連続して実施することができる。選択した純度は、原理上、所望するだけ高くすることができる。純度の適切な測定は、例えば、副産物として得られる溶解した塩の濃度であり、これは、公知の方法で容易に測定可能である。こうして、デバイスは、重合後に、例えば、重合されなかったマトリックス形成物質の高コストで複雑な抽出といった、その後の精製を必要としない。さらに、プレポリマーの架橋を、溶媒の非存在下、すなわち水溶液中で行うことができるので、その後の溶媒の入れ替えや水和工程を必要としない。
【0082】
好ましい実施態様において、液体組成物は、式(I)−(III)の1つで定義される複数のエン含有基を有するプレポリマーと2つ以上のチオール基を有する逐次架橋剤とを含む。エン含有基は、好ましくは式(II)により、より好ましくは式(III)により定義される。好ましくは、逐次架橋剤は、複数のチオール基を有するプレポリマーである。この実施態様におけるプレポリマーはすべて、液体組成物への添加に先立って実質的に精製される。
【0083】
もう1つの好ましい実施態様において、液体組成物は、式(I)−(III)の1つで定義される複数のエン含有基を有するプレポリマーと、2つ以上のチオール基を有する逐次架橋剤と、複数のアクリロイル
【化8】


又はメタクリロイル
【化9】


基を有するプレポリマーとを含む。エン含有基は、好ましくは、式(II)により定義され、より好ましくは式(III)により定義される。好ましくは、逐次架橋剤は、複数のチオール基を有するプレポリマーである。この実施態様におけるプレポリマーはすべて、液体組成物への添加に先立って実質的に精製される。
【0084】
エン含有基及びアクリロイル(又はメタクリロイル)基の両方を液体組成物中に有することにより、硬化プロセスの間に2種類の重合:チオール−エン逐次ラジカル重合及びフリーラジカル連鎖成長重合を行うことができる。これらの2種類の重合を調節することにより、広範囲の機械的及び物理的性質を有するコンタクトレンズの製造のための液体組成物を調製することができるであろう。
【0085】
複数のアクリロイル又はメタクリロイル基を有するプレポリマーの例は、(それらの全文が参照により組み込まれる)米国特許第5,583,163号及び第6,303,687号に記載の水溶性の架橋性ポリ(ビニルアルコール)プレポリマー;(全文が参照により本明細書に組み込まれる)米国特許出願公報第2004/0082680に記載の水溶性ビニル基−末端ポリウレタンプレポリマー;(その全文が参照により組み込まれる)米国特許第5,849,841号に開示されている、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン又はポリビニルアミンの誘導体;(本明細書においてそれらの全文が参照により組み込まれる)米国特許第6,479,587号及び米国出願公開番号2005/0113549に記載の水溶性の架橋性ポリウレアプレポリマー;架橋性のポリアクリルアミド;(本明細書においてそれらの全文が参照により組み込まれる)EP655,470及び米国特許第5,712,356号に開示されている、ビニルラクタム、MMA及びコモノマーの架橋性ランダムコポリマー;(本明細書においてそれらの全文が参照により組み込まれる)EP712,867及び米国特許第5,665,840号に開示されている、ビニルラクタム、ビニルアセタート及びビニルアルコールの架橋性コポリマー;(本明細書においてそれらの全文が参照により組み込まれる)EP932,635及び米国特許第6,492,478号に開示されている架橋性側鎖を有するポリエーテル−ポリエステルコポリマー;(本明細書においてそれらの全文が参照により組み込まれる)EP958,315及び米国特許第6,165,408号に開示されている分岐鎖ポリアルキレングリコール−ウレタンプレポリマー;(本明細書においてそれらの全文が参照により組み込まれる)EP961,941及び米国特許第6,221,303号に開示されているポリアルキレングリコール−テトラ(メタ)アクリラートプレポリマー;(本明細書においてそれらの全文が参照により組み込まれる)国際出願番号WO2000/31150及び米国特許第6,472,489号に開示されている架橋性のポリアリルアミングルコノラクトンプレポリマー;本明細書においてそれらの全文が参照により組み込まれる)米国特許出願公開番号2001−0037001A1、米国特許第6,039,913号、US特許出願番号60/830,288に記載されているシリコーン含有プレポリマーを含むが、これらに限定されない。
【0086】
もう1つの好ましい実施態様において、液体組成物は、式(I)−(III)の1つに定義される複数のエン含有基を有するシリコーン含有プレポリマーと、2つ以上のチオール基を有する逐次架橋剤とを含む。エン含有基は、好ましくは式(II)により定義され、より好ましくは式(III)により定義される。好ましくは、逐次架橋剤は、複数のチオール基を有するプレポリマーである。チオール含有プレポリマーは、シリコーンを含まないプレポリマー又はシリコーン含有プレポリマーであることができる。この実施態様におけるプレポリマーはすべて、液体組成物への添加に先立ち実質的に精製される。
【0087】
もう1つの好ましい実施態様において、液体組成物は、式(I)−(III)の1つに定義される複数のエン含有基を有するシリコーン含有プレポリマーと、2つ以上のチオール基を有する逐次架橋剤と、複数のアクリロイル
【化10】


又はメタクリロイル
【化11】


基を有するプレポリマーとを含む。エン含有基は、好ましくは式(II)により定義され、より好ましくは式(III)により定義される。好ましくは、逐次架橋剤は、複数のチオール基を有するプレポリマーである。チオール含有プレポリマーは、シリコーンを含まないプレポリマー又はシリコーン含有プレポリマーであることができる。この実施態様におけるプレポリマーはすべて、液体組成物への添加に先立ち実質的に精製される。
【0088】
液体組成物は、場合により、1つ以上のビニルモノマー及び/又は1つ以上の架橋剤(すなわち、2つ以上のエチレン性不飽和基及び分子量700ダルトン未満を有する化合物)を含むことができる。しかし、最終的な眼用デバイスが、許容されない濃度の未重合モノマー及び/又は架橋剤を含有しないように、これらの成分は低量でなくてはならない。許容されない濃度の未重合モノマー及び/又は架橋剤の存在は、それらを除去するための抽出を必要とし、これは高コストで非効率な、追加の工程を必要とする。しかし、好ましくは、液体組成物は、実質的にビニルモノマー及び架橋剤を含まない(すなわち、好ましくは約2重量%以下、より好ましくは約1重量%以下、さらに好ましくは約0.5重量%以下)。
【0089】
組成物は、溶液、溶媒を含まない液体、又は溶融物であることができる。好ましくは、液体組成物は、水又は有機溶媒又は水と1つ以上の有機溶媒との混合物中の、少なくとも1つのプレポリマーの溶液である。
【0090】
少なくとも1つのプレポリマーの溶液は、プレポリマー及び他の成分を、当業者に公知の任意の適切な溶媒中に溶解することにより調製することができる。適切な溶媒の例は、水、アルコール類(例:メタノール、エタノール、プロパノール、又は炭素を4〜15個有するアルカノール)、カルボン酸アミド(例:ジメチルホルムアミド)、双極性非プロトン性溶媒(例:ジメチルスルホキシド又はメチルエチルケトン)、ケトン類(例:アセトン又はシクロヘキサノン)、炭化水素(例:トルエン)、エーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン、ジオキサン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ハロゲン化炭化水素(例:トリクロロエタン)、及びそれらの混合物であるが、これらに限定されない。
【0091】
液体組成物は、例えば、重合開始剤(例:光開始剤又は熱重合開始剤)、視認性のための着色剤(例:染料、顔料、又はそれらの混合物)、UV遮断剤、光増感剤、阻害剤、抗菌剤(例:好ましくは銀ナノ粒子又は安定化銀ナノ粒子)、生物活性剤、潤滑剤、充填材等のような、当業者に公知の様々な成分をも含むことができることが理解されるはずである。
【0092】
例えば、重合の分野におけるこのような用途に周知の物質から選択された開始剤を、重合反応を促進するため及び/又は反応速度を高めるために、重合性液体組成物中に含んでよい。開始剤は、重合反応を開始させることのできる化学物質である。開始剤は、光開始剤又は熱重合開始剤であることができる。
【0093】
光開始剤は、フリーラジカル重合及び/又は架橋を、光を使用することにより開始することができる。適切な光開始剤は、ベンゾインメチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイルホスフィンオキシド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及びDarocur及びIrgacurタイプ、好ましくはDarocur 1173(登録商標)及びDarocur 2959(登録商標)である。ベンゾイルホスフィン開始剤の例は、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド;ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−N−プロピルフェニルホスフィンオキシド;及びビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−N−ブチルフェニルホスフィンオキシドを含む。例えば、マクロマーに組み込むことができるか、又は特定のモノマーとして使用できる反応性光重合開始剤もまた適切である。反応性光開始剤の例は、全文が参照により本明細書に組み込まれるEP632329に開示されているものである。そして重合は、化学線、例えば光、特に適切な波長の紫外線により誘発することができる。スペクトル要件は、状況に応じて、適切であれば、適切な光開始剤を加えることにより、調節することができる。
【0094】
適切な熱重合開始剤の例は、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパンニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)、ベンゾイルペルオキシドのような過酸化物等を含むが、これらに限定されない。好ましくは、熱重合開始剤は、アゾビスイソブチロナイト(AIBN)である。
【0095】
好ましい顔料の例は、D&CブルーNo.6、D&CグリーンNo.6、D&CバイオレットNo.2、カルバゾールバイオレット、特定の銅錯体、特定の酸化クロム、種々の酸化鉄、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、二酸化チタン等のような、医療デバイスにおいて許容され、FDAで認可されているあらゆる着色剤を含む。本発明に使用してよい着色剤の一覧に関しては、Marmiom DM Handbook of U.S. Colorantsを参照のこと。より好ましい顔料の実施態様(C.I.は、カラーインデックス番号である)は、青色は、フタロシアニンブルー(顔料ブルー15:3、C.I.74160)、コバルトブルー(ピグメントブルー36、C.I.77343)、トナーシアンBG(Clariant)、パーマジェットブルーB2G(Clariant);緑色は、フタロシアニングリーン(ピグメントグリーン7、C.I.74260)及び三二酸化クロム;黄色、赤、褐色及び黒色は、様々な酸化鉄;PR122、PY154、バイオレットは、カルバゾールバイオレット;黒色は、モノリスブラックC−K(CIBA Specialty Chemicals)を含むが、これらに限定されない。
【0096】
ポリマーマトリックスに組み込まれる生物活性剤は、目の疾患を防ぐか、又は目の疾患の症状を緩和することができる任意の化合物である。生物活性剤は、薬剤、アミノ酸(例:タウリン、グリシン等)、ポリペプチド、タンパク質、核酸、又はそれらの任意の組み合わせであることができる。本明細書において有用な薬剤の例は、レバミピド、ケトチフェン、オラプチジン(olaptidine)、クロモグリコラート(cromoglycolate)、シクロスポリン、ネドクロミル、レボカバスチン、ロドクサミド(lodoxamide)、ケトチフェン、又は医薬的に許容されるそれらの塩又はエステルを含むが、これらに限定されない。生物活性剤の他の例は、2−ピロリドン−5−カルボン酸(PCA)、アルファヒドロキシ酸(例:グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデル酸及びクエン酸及びそれらの塩等)、リノール酸及びガンマリノール酸、並びにビタミン(例:B5、A、B6等)を含む。
【0097】
潤滑剤の例は、ムチン様物質及び親水性のポリマーを含むがこれらに限定されない。ムチン様物質の例は、ポリグリコール酸、ポリラクチド、コラーゲン、ヒアルロン酸及びゼラチンを含むがこれらに限定されない。
【0098】
親水性のポリマーの例は、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアミド、ポリイミド、ポリラクトン、ビニルラクタムのホモポリマー、1つ以上の親水性のビニルコモノマーの存在下又は非存在下の少なくとも1つのビニルラクタムのコポリマー、アクリルアミド又はメタクリルアミドのホモポリマー、アクリルアミド又はメタクリルアミドと1つ以上の親水性のビニルモノマーとのコポリマー、ポリエチレンオキシド(すなわち、ポリエチレングリコール(PEG))、ポリオキシエチレン誘導体、ポリ−N−N−ジメチルアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリ2エチルオキサゾリン、ヘパリンポリサッカライド、ポリサッカライド、及びそれらの混合物を含むがこれらに限定されない。
【0099】
N−ビニルラクタムの例は、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−3−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−4−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−4−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−5,5−ジメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3,3,5−トリメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5−メチル−5−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3,4,5−トリメチル−3−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−6−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−6−エチル−2−ピペリドン、N−ビニル−3,5−ジメチル−2−ピペリドン、N−ビニル−4,4−ジメチル−2−ピペリドン、N−ビニル−7−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−7−エチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3,5−ジメチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−4,6−ジメチル−2−カプロラクタム、及びN−ビニル−3,5,7−トリメチル−2−カプロラクタムを含む。
【0100】
親水性のポリマーの数平均分子量Mは、例えば、マトリックス形成物質のそれよりも10,000より大きく、又は20,000より大きい。例えば、マトリックス形成物質が、平均分子量M12,000〜25,000を有する水溶性プレポリマーである場合、親水性ポリマーの平均分子量Mは、例えば、25,000〜100000、30,000〜75,000、又は35,000〜70,000である。
【0101】
適切なポリオキシエチレン誘導体は、例えば、n−アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル、n−アルキルポリオキシ−エチレンエーテル(例:TRITON(登録商標))、ポリグリコールエーテル界面活性剤(TERGITOL(登録商標))、ポリオキシエチレンソルビタン(例:TWEEN(登録商標))、ポリオキシエチル化グリコールモノエーテル(例:BRIJ(登録商標)、ポリオキシエチレン9ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン10エーテル、ポリオキシエチレン10トリデシルエーテル)、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマーである。
【0102】
エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマーの例は、ポロキサマー及びポロキサミン(例えば、PLURONIC(登録商標)、PLURONIC-R(登録商標)、TETRONIC(登録商標)、TETRONIC-R(登録商標)又はPLURADOT(登録商標)の商品名で入手可能である)を含むがこれに限定されない。ポロキサマーは、PEO−PPO−PEO(「PEO」は、ポリ(エチレンオキシド)であり、「PPO」は、ポリ(プロピレンオキシド)である)の構造を有するトリブロックコポリマーである。
【0103】
分子量及びPEO/PPO率のみが異なる、かなりの数のポロキサマーが公知である;ポロキサマーの例は、101、105、108、122、123、124、181、182、183、184、185、188、212、215、217、231、234、235、237、238、282、284、288、331、333、334、335、338、401、402、403及び407である。ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロックの順序を逆にして、PPO−PEO−PPOの構造のブロックコポリマーを作ることができるが、これは、PLURONIC-R(登録商標)ポリマーとして公知である。
【0104】
ポロキサミンは、(PEO−PPO)−N−(CH−N−(PPO−PEO)構造のポリマーであり、異なる分子量及びPEO/PPO率を有するものが入手できる。この場合も、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロックを逆にして、(PPO−PEO)−N−(CH−N−(PEO−PPO)構造のブロックコポリマーを作ることができるが、これは、TETRONIC-R(登録商標)ポリマーとして公知である。
【0105】
ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックコポリマーは、また、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの繰り返し単位の不規則な混合を含む親水性のブロックで設計することができる。ブロックの親水性の性質を維持するためには、エチレンオキシドが優勢となるであろう。同様に、疎水性ブロックは、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの繰り返し単位の混合物であることができる。このようなブロックコポリマーは、PLURADOT(登録商標)の商品名で入手することができる。
【0106】
本発明によれば、液体組成物を、任意の公知の方法により、成形した金型で作られたキャビティの中に導入(分配)することができる。
【0107】
コンタクトレンズ製造用のレンズ金型は、当業者に周知であり、例えば、注型成形又は回転成形で使用される。例えば、金型(注型成形用)は、一般に、少なくとも2つの金型セクション(又は部分)又は型半、すなわち第1及び第2の型半を含む。第1の型半は、第1の成形(又は、光学)面を画定し、第2の型半は、第2の成形(又は、光学)面を画定する。第1及び第2の型半は、レンズ形成キャビティが、第1の成形面及び第2の成形面の間に形成されるように互いを受けるように構成されている。型半の成形面は、金型のキャビティ形成面であり、レンズ形成物質と直接接触する。
【0108】
コンタクトレンズを注型成形するための金型セクションの製造方法は、一般に当分野の通常の知識を有する者に周知である。本発明の方法は、如何なる特定の金型成形法にも限定されない。実際、本発明においては、任意の金型成形法を使用することができる。第1及び第2の型半は、射出成形又は施盤加工のような様々な技術で形成することができる。型半の適切な成形方法は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,444,711号(Schad);第4,460,534号(Boehmら);第5,843,346号(Morrill);及び第5,894,002号(Bonebergerら)に開示されている。
【0109】
当分野で金型製造用として公知の材料はほぼすべて、眼用レンズ調製のための金型製造用に使用することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、PMMA、環状オレフィンコポリマー(例:Ticona GmbH of Frankfurt, Germany 及びSummit, New JerseyのTopas(登録商標)COC;Zeon Chemicals LP, Louisville, KY のZeonex(登録商標)及びZeonor(登録商標))のようなポリマー材料等を使用することができる。石英ガラス及びサファイアのような紫外線を透過させる他の物質を使用することができる。
【0110】
好ましい態様において、液体組成物中の重合性成分が、主としてプレポリマーからなる場合、再使用可能な金型を使用することができる。石英又はガラス製の再使用可能な金型の例は、全文が参照により組み込まれる米国特許第6,627,124号に開示されている。この態様においては、液体組成物が2つの型半からなる金型に注がれるが、2つの型半は、互いに接触せず、それらの間に配された環状構造の細い隙間を有する。隙間は、金型キャビティに繋がっているので、過剰のプレポリマー組成物は、隙間に流れ込むことができる。1回のみ使用可能なポリプロピレン金型の代わりに、再使用可能な石英、ガラス、サファイア金型を使用することができる。レンズの製造後に、これらの金型は、水又は適切な溶媒を用いて、素早く洗浄し、未反応物質及び他の残留物を効果的に取り除くことができ、そして風乾燥させることができるためである。再使用可能な金型は、また、例えば、Ticona GmbH of Frankfurt, Germany 及びSummit, New JerseyのTopas(登録商標)COC grade 8007-S10(エチレン及びノルボルネンの清澄な非晶質コポリマー)、Zeon Chemicals LP, Louisville, KYのZeonex(登録商標)及びZeonor(登録商標)のような、環状オレフィンコポリマーからなることもできる。型半が再使用可能であるため、極めて高い精度及び再現性を有する金型を得るための製造時において、比較的高い費用を支出することができる。型半は、レンズが製造される領域、すなわちキャビティ又は実際の金型面において互いに接触しないので、接触による損傷がない。これが、金型の高い耐用性を保証し、それが、特に、製造されるコンタクトレンズの高い再現性及びレンズ設計の高い正確さを保証する。
【0111】
流体が金型に分配されると、それが重合され、コンタクトレンズが製造される。架橋及び/又は重合は、UV照射、電離放射(例:ガンマ又はX線照射)のような化学線によって、金型の中で開始されてよい。本発明のプレポリマーが、液体組成物中の重合性成分である場合、液体組成物を含有する金型を、空間的に制限された化学線に暴露し、プレポリマーを架橋することができる。
【0112】
「化学線の空間的制限」とは、例えば、マスク又はスクリーン又はそれらの組み合わせによって方向づけて、明確な周辺境界線を有する領域に、空間的に制限された方法で、光線の形態でのエネルギー放射を当てる作用又はプロセスを意味する。例えば、紫外線照射の空間的制限は、(全文が参照により本明細書に組み込まれる)米国特許第6,627,124号の図1−9に図式的に示されるように、紫外線不透過領域(マスクされた領域)に囲まれた、透明又は開口された領域(マスクされていない領域)を有するマスク又はスクリーンを使用することにより達成することができる。マスクされていない領域は、マスクされた領域と明確な周辺境界線を有する。架橋に使用されるエネルギーは、放射エネルギー、特に紫外線、ガンマ線、電子放射線又は熱放射線であり、放射エネルギーは、一方では、制限効果を上げるため、他方では、エネルギーの効率的な使用のために、好ましくは実質的に平行な光線の形態である。
【0113】
注目すべきは、本発明による架橋は、例えば、60分間以下、有利には、20分間以下、好ましくは10分間以下、最も好ましくは5分間以下、特に好ましくは1〜60秒及び特に最も好ましくは1〜30秒という短時間に生じるであろうことである。
【0114】
さらに注目すべきは、本発明によるコンタクトレンズは、本発明の1つ以上の放射線硬化性プレポリマーから、従来技術に比べて、極めて簡単で効率的な方法で製造できることである。これは、多くの要因に基づく。1つには、出発物質が、安価に入手又は製造できることである。第2に、プレポリマーが、驚くべき安定性を有し、その結果、高度な精製を経ることができるという利点がある。レンズ硬化後の未重合成分の複雑な抽出のような、後工程での精製を事実上必要としない。さらに、所望の機械的及び物理的性質を有するコンタクトレンズを製造するための、新規な重合方法が使用できることである。最後に、光重合が短期間に行われるので、この視点からも、本発明によるコンタクトレンズ製造方法は、極めて経済的な方法で構成することができる。
【0115】
成形された物品を金型から取り出すことができるように金型を開くことは、それ自体公知の方法で行ってよい。
【0116】
成形されたコンタクトレンズが、本発明による既に精製されたプレポリマーから溶媒を含まずに製造されたなら、成形されたレンズを取り出した後、抽出のようなその後の精製工程を行う必要は、通常ない。これは、使用されたプレポリマーが、低分子量の望まない成分を一切含有しないためである;その結果、架橋された生成物も、このような成分を含まないか、実質的に含まず、その後の抽出を無しに済ますことができる。したがって、コンタクトレンズは、直接、通常の方法で、水和により、すぐ使用できるコンタクトレンズに変質させることができる。水和の適切な実施態様は、当業者に公知であり、それにより、含水量の多様な、すぐに使用可能なコンタクトレンズが得られる。コンタクトレンズは、例えば、水、塩水溶液、特に1000ml中オスモル濃度約200〜450ミリオスモルの塩水溶液(単位:mOsm/ml)、好ましくは約250〜350mOsm/l及び特に約300mOsm/lの塩水溶液、又は水若しくは塩水溶液と、生理的に適合可能な極性有機溶媒、例えば、グリセリン、との混合物中で膨張される。水又は塩水溶液中での物品の膨張が好ましい。
【0117】
成形されたコンタクトレンズが、本発明による既に精製されたプレポリマーの水溶液から製造された場合、架橋された生成物も、問題となる不純物を一切含有しない。したがって、その後の抽出を実施する必要がない。架橋は、実質的に水溶液中で実施されるので、その後の水和をさらに行う必要はない。有利な態様によれば、抽出を行わなくても意図した用途に適切であるので、この方法で得たコンタクトレンズは、したがって注目すべきである。この文脈における意図された用途を理解するならば、コンタクトレンズをヒトの目に使用することができる。
【0118】
同様に、成形されたコンタクトレンズが、本発明による既に精製されたプレポリマーの溶媒溶液から製造された場合、その後の精製を行う必要はないが、水和プロセスの代わりに、溶媒を交換する必要がある。
【0119】
成形されたコンタクトレンズは、さらに、例えば、表面処理、殺菌等のような追加のプロセスに付すことができる。
【0120】
もう1つの態様において、本発明は、ソフトヒドロゲルコンタクトレンズの製造に適切なプレポリマーを提供する。本発明のプレポリマーは、光誘起逐次重合において、各々が第1の重合基の1つと共反応性である第2の重合基の存在下又は非存在下、各々が光誘起逐次重合を行うことができる複数の第1の重合基を有するが、ここでプレポリマーは、あらゆるビニルモノマー及び/又は2〜8個のアクリロイル又はメタクリロイル基を有し且つ700ダルトン未満の分子量を有するあらゆる化合物の非存在下、化学線下で架橋されて、ヒドロゲル材料を形成することができる。
【0121】
好ましい実施態様において、ソフトヒドロゲルコンタクトレンズ製造に適切なプレポリマーは、複数のチオール基、式(I)、(II)又は(III)の複数のエン含有基、式(IV)の複数のケイ皮酸部分、式(V)の複数のジアルキルアルメイミド(dialkylalmeimide)基、又はそれらの組み合わせを含むが、ここでプレポリマーは、ビニルモノマー及び/又は2〜8個のアクリロイル又はメタクリロイル基を有し且つ700ダルトン未満の分子量を有するあらゆる化合物の非存在下、化学線下で架橋されて、ヒドロゲル材料を形成することができる。
【0122】
上記のように、本発明のプレポリマーは、ペンダント基又は末端官能基を有するコポリマーから、ペンダント基又は末端官能基を介して、チオール基、式(I)、(II)又は(III)のエン含有基、式(IV)のケイ皮酸部分、式(V)のジアルキルアルメイミド基をコポリマーに共有結合することにより得られる。好ましくは、官能基は、ヒドロキシル基(−OH)、第1級アミノ基(−NH)、第2級アミノ基(−NHR)、カルボキシル基(−COOH)、エポキシ基、アルデヒド基(−CHO)、アミド基(−CONH)、酸ハロゲン化物基(−COX、X=Cl、Br、又はI)、イソチオシアナート基、イソシアナート基、ハライド基(−X、X=Cl、Br、又はI)、酸無水物基、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。好ましくは、ペンダント基又は末端官能基を有するコポリマーは、少なくとも1つのシロキサン単位を含む。
【0123】
好ましい実施態様において、ペンダント基又は末端官能基を有するコポリマーは、(1)少なくとも1つの親水性のビニルモノマー(すなわち、エチレン性不飽和二重結合1個を有する)、(2)エチレン性不飽和二重結合1個を有する少なくとも1つのシリコーン含有モノマー、エチレン性不飽和二重結合1個を有する少なくとも1つのシロキサン含有マクロマー、エチレン性不飽和二重結合2個以上を有する少なくとも1つのシロキサン含有マクロマー、エチレン性不飽和二重結合2個以上を有するポリシロキサン、エチレン性不飽和二重結合2個以上を有するペルフルオロアルキルポリエーテル、エチレン性不飽和二重結合2個以上を有するポリシロキサン/ペルフルオロアルキルポリエーテルブロックコポリマー、又はそれらの2つ以上の組み合わせ、(3)場合により、少なくとも1つの疎水性ビニルモノマー(すなわち、エチレン性不飽和二重結合1個を有する);及び(4)場合により、複数のアクリロイル又はメタクリロイル基を有する1つ以上の親水性のプレポリマーを含む組成物の共重合により得られる。但し、成分(1)−(4)の少なくとも1つは、さらに、少なくとも1つの官能基を有し、それを介して、得られたコポリマーに、チオール基、エン含有基、ケイ皮酸部分、又はジアルキルアルメイミド基が、共有結合することができる。
【0124】
もう1つの好ましい実施態様において、ペンダント基又は末端官能基を有するコポリマーは、(1)少なくとも1つの親水性のビニルモノマー、(2)エチレン性不飽和二重結合1個を有する少なくとも1つのシリコーン含有モノマー、エチレン性不飽和二重結合1個を有する少なくとも1つのシロキサン含有マクロマー、エチレン性不飽和二重結合2個以上を有する少なくとも1つのシロキサン含有マクロマー、エチレン性不飽和二重結合2個以上を有するポリシロキサン、エチレン性不飽和二重結合2個以上を有するペルフルオロアルキルポリエーテル、エチレン性不飽和二重結合2個以上を有するポリシロキサン/ペルフルオロアルキルポリエーテルブロックコポリマー、又はそれらの2つ以上の組み合わせ、(3)場合により、少なくとも1つの疎水性ビニルモノマー;(4)場合により、複数のアクリロイル又はメタクリロイル基を有する1つ以上の親水性のプレポリマー、及び(5)官能基を有する少なくとも1つの連鎖移動剤を含む組成物の共重合により得られる。
【0125】
もう1つの好ましい実施態様において、コポリマーは、重合性組成物の共重合生成物であるペンダント基又は末端官能基を有するフッ素含有コポリマーである。組成物は、(a)少なくとも1つのフッ素含有ビニルモノマー、(b)少なくとも1つの親水性のビニルモノマー、(c)少なくとも1つの官能基を含有する少なくとも1つの官能化ビニルモノマー、及び(d)エチレン性不飽和二重結合1個を有する少なくとも1つのシリコーン含有モノマー、エチレン性不飽和二重結合1個を有する少なくとも1つのシロキサン含有マクロマー、エチレン性不飽和二重結合2個以上を有する少なくとも1つのシロキサン含有マクロマー、エチレン性不飽和二重結合2個以上を有するポリシロキサン、エチレン性不飽和二重結合2個以上を有するペルフルオロアルキルポリエーテル、エチレン性不飽和二重結合2個以上を有するポリシロキサン/ペルフルオロアルキルポリエーテルブロックコポリマー、又はそれらの2つ以上の組み合わせを含む。重合性組成物は、重合開始剤(すなわち、光開始剤又は熱重合開始剤)、溶媒、及び連鎖移動剤をも含むことができる。
【0126】
もう1つの好ましい態様において、ペンダント基又は末端官能基を有するフッ素含有コポリマーは、重合性組成物の共重合生成物であり、(a)少なくとも1つのフッ素含有ビニルモノマー、(b)少なくとも1つの親水性のビニルモノマー、(c)エチレン性不飽和二重結合1個を有する少なくとも1つのシリコーン含有モノマー、エチレン性不飽和二重結合1個を有する少なくとも1つのシロキサン含有マクロマー、エチレン性不飽和二重結合2個以上を有する少なくとも1つのシロキサン含有マクロマー、エチレン性不飽和二重結合2個以上を有するポリシロキサン、エチレン性不飽和二重結合2個以上を有するペルフルオロアルキルポリエーテル、エチレン性不飽和二重結合2個以上を有するポリシロキサン/ペルフルオロアルキルポリエーテルブロックコポリマー、又はそれらの2つ以上の組み合わせ、及び(d)官能基を有する少なくとも1つの連鎖移動剤を含む。重合性組成物は、重合開始剤(すなわち、光開始剤又は熱重合開始剤)、溶媒、及び連鎖移動剤をも含むことができる。
【0127】
本発明の液体組成物においては、ほぼあらゆる親水性のビニルモノマーを使用することができる。適切な親水性モノマーは、ヒドロキシル置換低級アルキル(C−C)アクリラート及びメタクリラート、アクリルアミド、メタクリルアミド、(低級アリル)アクリルアミド及び(低級アリル)メタクリルアミド、エトキシ化アクリラート及びメタクリラート、ヒドロキシル置換(低級アルキル)アクリルアミド及びヒドロキシル置換(低級アルキル)メタクリルアミド、ヒドロキシル置換低級アルキルビニルエーテル、ナトリウムビニルスルフォナート、ナトリウムスチレンスルフォナート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−ビニルピロール、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ビニルオキサゾリン、2−ビニル−4,4’−ジアルキルオキサゾリン−5−オン、2−及び4−ビニルピリジン、炭素原子総数3〜5個を有するビニル性不飽和カルボン酸、アミノ(低級アルキル)−(ここで用語「アミノ」は、第4級アンモニウムも含む。)、モノ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)及びジ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)アクリラート及びメタクリラート、アリルアルコール等であるが、これらは限定的なリストではない。
【0128】
好ましい親水性のビニルモノマーの中には、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、2−ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)、2−ヒドロキシエチルアクラート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリラート、ヒドロキシプロピルメタクリラート(HPMA)、トリメチルアンモニウム2−ヒドロキシプロピルメタクリラート塩酸塩、ジメチルアミノエチルメタクリラート(DMAEMA)、グリセロールメタクリラート(GMA)、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリルアルコール、ビニルピリジン、N−(1,1ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミド、アクリル酸、及びメタクリル酸がある。
【0129】
適切な疎水性ビニルモノマーは、C−C18−アルキルアクリラート及び−メタクリラート、C−C18アルキルアクリルアミド及び−メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニル−C−C18−アルカノアート、C−C18−アルケン、C−C18−ハロアルケン、スチレン、C−C−アルキルスチレン、ビニルアルキルエーテル(アルキル部分は、炭素原子1〜6個を有する)、C−C10−ペルフルオロアルキル−アクリラート及び−メタクリラート又は対応する部分的にフッ素化されたアクリラート及びメタクリラート、C−C12−ペルフルオロアルキル−エチル−チオカルボニルアミノエチル−アクリラート及び−メタクリラート、アクリロキシ及びメタクリルオキシアルキルシロキサン、N−ビニルカルバゾール、マレイン酸のC−C12−アルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸等を含むが、これらに限定されない。好ましくは、例えば、炭素原子3〜5個のビニル性不飽和カルボン酸のC−Cアルキルエステル又は炭素原子最大5個のカルボン酸のビニルエステルである。
【0130】
好ましい疎水性ビニルモノマーの例は、メチルアクリラート、エチルアクリラート、プロピルアクリラート、イソプロピルアクリラート、シクロヘキシルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート、プロピルメタクリラート、ビニルアセタート、ビニルプロピオナート、ビニルブチラート、ビニルバレラート、スチレン、クロロプレン、ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、アクリロニトリル、1−ブテン、ブタジエン、メタクリロニトリル、ビニルトルエン、ビニルエチルエーテル、ペルフルオロヘキシルエチル−チオ−カルボニル−アミノエチル−メタクリラート、イソボルニルメタクリラート、トリフルオロエチルメタクリラート、ヘキサフルオロ−イソプロピルメタクリラート、ヘキサフルオロブチルメタクリラート、トリス−トリメチルシリルオキシ−シリル−プロピルメタクリラート、3−メタクリルオキシプロピル−ペンタメチル−ジシロキサン及びビス(メタクリルオキシプロピル)−テトラメチル−ジシロキサンを含む。
【0131】
本発明において、少なくとも1つの官能基を含有する、任意の公知の適切なビニルモノマーを使用することができる。このようなビニルモノマーの好ましい例は、メタクリル酸(MAA)、アクリル酸、グリシジルメタクリラート、グリシジルアクリラート、HEMA、HEA、メタクリル酸無水物、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド(NHMA)、2−ブロモエチルメタクリラート、及びビニルベンジルクロリドを含む。
【0132】
本発明において、任意のシリコーン含有ビニルモノマーを使用することができる。シリコーン含有ビニルモノマーの例は、メタクリルオキシアルキルシロキサン、3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン、ビス(メタクリルオキシプロピル)テトラメチル−ジシロキサン、モノメタクリラート化ポリジメチルシロキサン、モノアクリラート化ポリジメチルシロキサン、メルカプト末端ポリジメチルシロキサン、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]メタクリルアミド、及びトリストリメチルシリルオキシシリルプロピルメタクリラート(TRIS)、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]メタクリルアミド(「TSMA」)、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド(「TSA」)、2−プロペン酸、2−メチル−,2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシルオキサニル]プロポキシ]プロピルエステル((3−メタクリルオキシ2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシランとも称する)、(3−メタクリルオキシ2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ビス−3−メタクリルオキシ2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン、3−メタクリルオキシ2−(2−ヒドロキシエトキシ)プロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、N,N,N’,N’−テトラキス(3−メタクリルオキシ2−ヒドロキシプロピル)−アルファ,オメガ−ビス−3−アミノプロピル−ポリジメチルシロキサン、ポリシロキサニルアルキル(メタ)アクリルモノマー、シリコーン含有ビニルカーボナート又はビニルカルバマートモノマー(例:1,3−ビス[4−ビニルオキシカルボニルオキシ)ブタ−1−イル]テトラメチル−ジシロキサン;3−(トリメチルシリル)、プロピルビニルカーボナート、3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバマート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバマート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカーボナート、t−ブチルジメチルシロキシエチルビニルカーボナート;トリメチルシリルエチルビニルカーボナート、及びトリメチルシリルメチルビニルカーボナート)を含むがこれに限定されない。好ましいシロキサン含有モノマーは、TRISであり、これは、3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランを意味し、CASNo.17096−07−0で表示される。用語「TRIS」は、また3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランのダイマーをも含む。様々な分子量のモノメタクリラート化又はモノアクリラート化ポリジメチルシロキサンを使用することができる。様々な分子量のジメタクリラート化又はジアクリラート化ポリジメチルシロキサンもまた使用することができる。
【0133】
エチレン性不飽和基を有する任意の適切なシロキサン含有マクロマーを使用して、シリコーンヒドロゲル材料を製造することができる。特に好ましいシロキサン含有マクロマーは、全文が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,760,100号に記載される、マクロマーA、マクロマーB、マクロマーC、及びマクロマーDからなる群より選択される。マクロマーは、アクリラート、メタクリラート又はビニル基で、単官能化又は二官能化されたものである場合もある。2つ以上の重合性基(ビニル基)を含有するマクロマーもまた、架橋剤として働くことができる。ポリジメチルシロキサン及びポリアルキレンオキシドからなるジブロック及びトリブロックマクロマーも有用である。例えば、メタクリラートエンドキャップポリエチレンオキシド−ブロック−ポリジメチルシロキサン−ブロック−ポリエチレンオキシドを使って、酸素透過率を向上させることができよう。
【0134】
シリコーン含有プレポリマーの例は、参照によりそれらの全文が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開番号US2001−0037001A1及び米国特許第6,039,913号に開示されているものを含むがこれに限定されない。
【0135】
エチレン性不飽和二重結合2個以上を有するポリシロキサンの好ましい例は、米国特許第7,091,283号(全文が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている、エチレン性不飽和二重結合2個以上を有するペルフルオロアルキルポリエーテル、エチレン性不飽和二重結合2個以上を有するポリシロキサン/ペルフルオロアルキルポリエーテルブロックコポリマーである。
【0136】
エチレン性不飽和二重結合2個以上を有する好ましいポリシロキサンは、式(1)で定義される:
【化12】


(式中(alk)は、−O−によって中断される、炭素原子最大20個を有するアルキレンであり;Xは、−O−又は−NR31−であり、R31は、水素又はC−C−アルキルであり、Qは、架橋性又は重合性の基を有する有機ラジカルであり、ラジカルR29、R29’、R29”、R29”’、R29、R30、R30’及びR30”の80−100%は、互いに独立して、C−C−アルキルであり、及びラジカルR29、R29’、R29”、R29”’、R29、R30、R30’及びR30”の0−20%は、互いに独立して、非置換の又はC−Cアルキル−若しくはC−C−アルコキシ置換フェニル、フルオロ(C−C18−アルキル)、シアノ(C−C12−アルキル)、ヒドロキシ−C−C−アルキル又はアミノ−C−C−アルキルであり、xは、0又は1の数であり、dは、5〜700の整数であり、dは、xが0の場合、0〜8の整数であり、xが1の場合、2〜10であり、(d+d)の合計は、5〜700である。)
【0137】
エチレン性不飽和二重結合2個以上を有する、より好ましいポリシロキサンは、式(2)で定義される:
【化13】


(式中、R29、R29’、R30及びR30’は、それぞれ、メチルであり、dは、10〜300の整数であり、(alk)は、直鎖又は分岐鎖のC−Cアルキレン又はラジカル−(CH1−3−O−(CH1−3−であり、Xは、−O−又は−NH−であり、Qは、式(3)、(4)、(5)、又は(6)のラジカルである:
【化14】

【0138】
エチレン性不飽和二重結合2個以上を有する、もうひとつのより好ましいポリシロキサンは、式(7):
【化15】


[式中、(PDMS)及び(PDMS)は、それぞれ、互いに独立して、式(8)のラジカル:
【化16】


(式中、R29、R29’、R30及びR30’は、それぞれメチルであり、dは、10〜300の整数であり、(alk)は、直鎖又は分岐鎖のC−Cアルキレン又はラジカル−(CH1−3−O−(CH1−3−であり、Xは、−O−又は−NH−であるが、ここで式(8)のセグメントの平均分子量は、180〜6000の範囲である)であり;Qは、架橋性又は重合性の基を含む有機ラジカルであり;Lは、二官能性結合基である]で定義される。
【0139】
エチレン性不飽和二重結合2個以上を有する、好ましいペルフルオロアルキルポリエーテルは、式(9):
【化17】


(式中、nは、31である)で定義され、各PFPEは、同一又は異なってよく、
式(10):
【化18】


(式中、CFCFO及びCFO単位は、鎖中、ランダム分布されるか、ブロックとして分布されてよく、z及びyは、ペルフルオロポリエーテルの平均分子量が、500〜4,000の範囲になるように、同一又は異なってよく;Lは、二官能性連結基であり;Qは、架橋性又は重合性の基を含む有機ラジカルである)のペルフルオロ化ポリエーテルである。
【0140】
エチレン性不飽和二重結合2個以上を有する、より好ましいペルフルオロアルキルポリエーテルは、式(11):
【化19】


[式中、Qは架橋性又は重合性の基を含む有機ラジカルであり;PFPEは、式(10)(式中、z及びyは、ペルフルオロアルキルポリエーテルの平均分子量が、500〜2,500の範囲になるように、同一又は異なってよい)のペルフルオロ化ポリエーテルである]で定義される。
【0141】
エチレン性不飽和二重結合2個以上を有するポリシロキサン/ペルフルオロアルキルポリエーテルブロックコポリマーは、式(12)
【化20】


[式中、Lは、二官能性連結基であり;Qは、架橋性又は重合性の基を含む有機ラジカルであり;PFPEは、式(10)(式中、z及びyは、ペルフルオロアルキルポリエーテルの分子量が、500〜2,500の範囲になるように、同一又は異なってよい)のペルフルオロ化ポリエーテルであり;Mは、式(8)(式中、R29、R29’、R30及びR30’は、各々メチル、dは、10〜300の整数、(alk)は、直鎖又は分岐鎖のC−Cアルキレン又はラジカル−(CH1−3−O−(CH1−3−であり、Xは、−O−又は−NH−であるが、ここで式(8)のセグメントの平均分子量は、180〜6000の範囲にある)のラジカルである]で定義される。
【0142】
複数のアクリロイル又はメタクリロイル基を有する親水性のプレポリマーの例は、米国特許第5,583,163号及び第6,303,687号に記載の水溶性の架橋性ポリ(ビニルアルコール)プレポリマー;米国特許出願公開番号2004/0082680に記載の水溶性ビニル基末端ポリウレタンプレポリマー;米国特許第5,849,841号に開示されている、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン又はポリビニルアミンの誘導体;米国特許第6,479,587及び米国特許公開出願番号2005/0113549に記載されている水溶性の架橋性ポリウレアプレポリマー;架橋性のポリアクリルアミド;EP655,470及び米国特許第5,712,356に開示されている、ビニルラクタム、MMA及びコモノマーの架橋性の統計コポリマー;EP712,867及び米国特許第5,665,840号に開示されている、ビニルラクタム、ビニルアセタート及びビニルアルコールの架橋性のコポリマー;EP932,635及び米国特許第6,492,478号に開示されている架橋性側鎖を有するポリエーテル−ポリエステルコポリマー;EP958,315及び米国特許第6,165,408号に開示されている、分岐鎖ポリアルキレングリコール−ウレタンプレポリマー;EP961,941及び米国特許第6,221,303号に開示されている、ポリアルキレングリコール−テトラ(メタ)アクリラートプレポリマー;及び国際出願番号WO2000/31150及び米国特許第6,472,489号に開示されている、架橋性のポリアリルアミングルコノラクトンプレポリマーを含むがこれらに限定されない。
【0143】
得られたコポリマーの分子量を調整し、その後のチオール基、エン含有基、ケイ皮酸部分、ジアルキルマレイミド基の添加のために官能性を付与するために、官能連鎖移動剤が使用される。連鎖移動剤は、1つ以上のチオール基、例えば、2つ又は最も好ましくは1つのチオール基を有してよい。適切な連鎖移動剤は、例えば、ヒドロキシ、アミノ、N−C−C−アルキルアミノ、カルボキシ又はそれらの適切な誘導体のような、官能基をさらに有する有機第1級チオール又はメルカプタンを含む。好ましい連鎖移動剤は、脂環式又は好ましくは、2〜約24個の炭素原子及びアミノ、ヒドロキシ及びカルボキシから選択されるさらなる官能基を有する脂肪族チオールである;したがって、好ましい連鎖移動剤は、脂肪族メルカプトカルボン酸、ヒドロキシメルカプタン又はアミノメルカプタンである。特に好ましい連鎖移動剤の例は、チオグリコール酸、2−メルカプトエタノール、及び特に2−アミノエタンチオール(システアミン)である。アミン又はカルボン酸の場合、連鎖移動剤は、遊離アミン若しくは酸の形態、又は、好ましくは、それらの適切な塩の形態(例えば、アミンの場合、塩酸塩、酸の場合、ナトリウム、カリウム又はアミン塩)であってよい。1つ以上のチオール基を有する連鎖移動剤の例は、ジエチレントリアミン1当量とγ−チオブチロラクトン約2当量との反応生成物である。
【0144】
本発明には、任意のフッ素含有(又は、フッ素化)モノマーを使用することができる。好ましくは、フッ素含有モノマーは、1モノマー分子(それ自体が約4〜約20、好ましくは約6〜約15個の炭素原子を有する)中、少なくとも3つのフッ素原子を含有し、ポリフッ素化モノマーとも称されることがある。
【0145】
好ましいフッ素化モノマーは、2−(N−エチル−ペルフルオロオクタンスルホンアミド)−エチルアクリラート(FX−13)、2−(N−エチル−ペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチルメタクリラート(FX−14)、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリラート(TEM)、1,1−ジヒドロペルフルオロエチルアクリラート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアクリラート(DFHA)、ヘキサフルオロイソプロピルアクリラート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリラート、ペンタフルオロスチレン(PFS)、トリフルオロメチルスチレン、ペンタフルオロアクリラート、ペンタフルオロエチルメタクリラート、ヘキサフルオロイソプロピルアクリラート、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリラート(HFIPMA)、メタクリラート−官能化フッ素化ポリエチレンオキシド等を含む。1モノマー分子中3〜約20のフッ素原子を含有する好ましいフッ素化モノマーは、アミド又はアクリル酸又はメタクリル酸のエステルである。1モノマー分子中3〜約20のフッ素原子を含有する特に好ましいフッ素化モノマーは、13又は14個の炭素原子を含有する、FX−13、FX−14及び1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリラート、並びに6〜8個の炭素原子を含有するPFS及びHFIPMAである。これらのモノマーの中で最も好ましいのは、アクリル酸又はメタクリル酸のスルホンアミドエチルエステルであるFX−13及びFX−14である。
【0146】
少なくとも1つの官能基を含有する、任意の公知の適切なビニルモノマーを、本発明における官能化ビニルモノマーとして使用することができる。このようなビニルモノマーの好ましい例は、メタクリル酸(MAA)、アクリル酸、グリシジルメタクリラート、グリシジルアクリラート、HEMA、HEA、メタクリル酸無水物、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド(NHMA)、2−ブロモエチルメタクリラート、及びビニルベンジルクロリドを含む。
【0147】
ビニルモノマーは、ペンダント基又は末端官能基を有するシリコーン含有ポリマー調製用の重合性組成物において、親水性のビニルモノマー及び官能化ビニルモノマーの両方として使用できることが理解されよう。好ましくは、親水性のビニルモノマーは、官能基を有しない(例:DMA、NVP)。
【0148】
さらなる態様において、本発明は、ソフトヒドロゲルコンタクトレンズを提供する。本発明のコンタクトレンズは、液体組成物の重合により得られるが、その組成物は、複数の第1の重合基を有し、各々が逐次架橋剤の存在下又は非存在下で光誘起逐次重合を行うことができる、少なくとも1つのプレポリマーを含み、逐次重合剤が、2つ以上の第2の重合基を有し、各々が光誘起逐次重合において第1の重合基の1つと共反応性である。但し組成物は、実質的に如何なるビニルモノマーも含まない。
【0149】
またさらなる態様において、本発明は、医療デバイス、好ましくは眼用デバイス、より好ましくはソフトヒドロゲルコンタクトレンズ製造用の液体組成物を提供する。本発明の液体組成物は、複数の第1の重合基を有し、各々が逐次架橋剤の存在下又は非存在下で光誘起逐次重合を行うことができる、少なくとも1つのプレポリマーを含み、逐次重合剤が、2つ以上の第2の重合基をし、各々が光誘起逐次重合において第1の重合基の1つと共反応性であり、組成物が、低粘度を有し、光誘起逐次重合を受けてプレポリマーを架橋し、ヒドロゲル材料を形成することができることを特徴とするが、但し組成物は、実質的に如何なるビニルモノマーも含まない。
【0150】
液体組成物及びプレポリマーの様々な実施態様を上に述べた。
【0151】
本願全体にわたって、様々な刊行物が参照される。本明細書に記載する化合物、組成物及び方法をより詳細に説明するために、これらの刊行物全文の開示が、参照により本願に組み込まれる。
【0152】
前述の開示は、当分野で通常の知識を有する者が、本発明を実施することを可能にするであろう。読者が、具体的な実施態様及びその利点をよりよく理解することができるように、以下の限定的でない実施例を参照することを推奨する。しかし、以下の実施例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0153】
ノルボルネンカルボニルクロリドの合成
500ml硫黄フラスコに、磁気撹拌、添加漏斗、温度計、N2−インレットアダプター付き還流冷却器、及びドライアイス/アセトン浴に浸漬したトラップに接続したアウトレットアダプターを備え付けた。2−ノルボルネン−5−カルボン酸(Aldrich)58.28gを、窒素の陽圧流下、反応器に装填し、次に塩化チオニル(51.32g)31.4mlを加えた。メチル−t−ブチルエーテル450mlを加え、氷浴を適用し、反応器の内容物を撹拌して混合し、3℃に冷却した。トリエチルアミン(37.45g)51.6ml及びMTBE20mlを、添加漏斗に装填し、滴下して、温度を10℃未満に維持した。添加完了後、氷浴を除去し、フラスコを1時間撹拌した。得られた懸濁液をろ過し、トリエチルアミン塩酸塩を除去した。得られた清澄な黄色の溶液をロータリーエバポレーターで油状物とし、8mBarでの分留(62−75℃での沸点分留)により精製した。純度99.13%で72%が回収できた。使用するまで、生成物を室温でデシケーターに保存した。
【実施例2】
【0154】
アルファ−オメガ−ジアクリルアミドポリ(ジメチルシロキサン)4500の合成
4Lビーカー中で、NaCO(996mEq)61.73g、NaCl 80g及び脱イオン水1.52kgを混合して溶解した。別の4Lビーカー中で、アルファ、オメガ−アミノプロピル−ポリジメチルシロキサン(Shin-Etsu manufacture, 分子量約4500,305mEq)700gを、ヘキサン1000gに溶解した。4L反応器に、タービンアジテーター付きオーバーヘッド攪拌器及びマイクロフローコントローラー付き250ml添加漏斗を備え付けた。2つの溶液を次に反応器に装填し、強く攪拌しながら15分間混合し、エマルションを生成した。アクリロイルクロリド(405mEq)36.6gを、ヘキサン100ml中に溶解し、添加漏斗に装填した。アクリロイルクロリド溶液を、強く攪拌しながら、1時間かけてエマルションに滴下した。滴下終了後、エマルションを30分間撹拌し、次に攪拌を止め、一晩置いて相を分離させた。水相をデカントし、有機相を、水に溶解した2.5%NaCl 2.0kgの混合物で2回洗浄した。有機相を次に硫酸マグネシウムで乾燥させ、除外物1.0μmまでろ過して、ロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた油状物をさらに、高真空乾燥で精製し一定重量とした。得られた生成物を滴定により分析すると、C=Cの二重結合0.435mEq/gを有することが分かった。
【実施例3】
【0155】
アルファ−オメガ−ジアクリルアミドポリ(ジメチルシロキサン)2500の合成
4Lビーカー中、NaCO水和物(1790mEq)111.1g、NaCl 80g及び脱イオン水1.52kgを混合して溶解した。別の4Lビーカー中で、アルファ、オメガ−アミノプロピル−ポリジメチルシロキサン(Shin-Etsu manufacture, 分子量約2500,560mEq)700gを、ヘキサン1000gに溶解した。4L反応器に、タービンアジテーター付きオーバーヘッド攪拌器及びマイクロフローコントローラー付き250ml添加漏斗を備え付けた。2つの溶液を次に反応器に装填し、強く攪拌しながら15分間混合し、エマルションを生成した。アクリロイルクロリド(728.1mEq)65.89gを、ヘキサン100ml中に溶解し、添加漏斗に装填した。アクリロイルクロリド溶液を、強く攪拌しながら、1時間かけてエマルションに滴下した。滴下終了後、エマルションを30分間撹拌し、次に攪拌を止め、一晩置いて相を分離させた。水相をデカントし、有機相を、水に溶解した2.5%NaCl 2.0kgの混合物で2回洗浄した。有機相を次に硫酸マグネシウムで乾燥させ、除外物1.0μmまでろ過して、ロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた油状物をさらに、高真空乾燥で精製し一定重量とした。得られた生成物を滴定により分析すると、C=Cの二重結合0.8mEq/gを有することが分かった。
【実施例4】
【0156】
分岐鎖アルファ−オメガ−ジアクリルアミドポリ(ジメチルシロキサン)4500の合成
実施例2で生成したPDMSジアクリルアミド300gを、磁気撹拌器を備えた2−L丸底フラスコ中の、テトラヒドロフラン70%及びイソプロパノール30%の混合物500mlに溶解した。トリメチロールプロパントリス(メルカプトプロピオナート)(Aldrich)5.73gを加え、混合物を撹拌して、均質にした。メタノール(Fisher)中の、0.1N NaOH5.0mlを加え、フラスコを一晩撹拌した。翌日、反応混合物のサンプルを採り、0.1Nヨウ素溶液(Acros)で滴定した;ヨウ素溶液25μLが、黄色の反応混合物5mlに変化し、チオールがほぼ完全に消費されていることを示した。イソプロパノール(Fisher)中のHCl 5.0mlを加え、溶媒をロータリーエバポレーターで取り去った。得られた油状物をさらに高真空乾燥で精製し、一定重量とした。
【実施例5】
【0157】
セミテレケリックシリコーンヒドロゲルポリマーの合成
2Lジャケット付き反応器に、加熱/冷却ループ、セプタム(隔膜)インレットアダプター、N−インレットアダプター付き還流冷却器、及びオーバーヘッド攪拌器を備え付けた。実施例2に記載の手順により調製したPDMS−DAm55.43gを1−プロパノール150gに溶解して、溶液を生成した。この溶液を反応器に装填し、8℃に冷却した。溶液を真空排気によって5mBar未満に脱気し、真空に15分間保持し、次に乾燥窒素で再加圧した。この脱気手順を全部で5回繰り返した。
【0158】
磁気撹拌器及びバルブ付き真空インレットアダプターを備えた、別の500mlフラスコにおいて、システアミン塩酸塩5.9gを1−プロパノール300mlに溶解した。また別の、磁気撹拌器及びバルブ付き真空インレットアダプターを備えた500mlフラスコにおいて、N,N−ジメチルアクリルアミド(Bimax Corporation)30.77g及びヒドロキシエチルアクリラート(Aldrich)7.72gの溶液を、1−プロパノール300mlに溶解した。同様に装備した3つ目のフラスコにおいて、アゾ−ビス(イソブチロニトリル)(Aldrich)0.18gを1−プロパノール150gに溶解した。3つの溶液すべてを真空排気によって2回脱気して60mBarとし、真空に5分間保持し、次に窒素で再加圧した。
【0159】
窒素の陽圧流下、反応器を開き、システアミン塩酸塩、N,N−ジメチルアクリルアミド/ヒドロキシエチルアクリラート、及びアゾ−ビス(イソブチロニトリル)溶液を反応器に装填した。依然8℃に保持しながら、反応器を真空排気によって5mBar未満まで脱気し、5分間保持し、次に窒素で再加圧した。全4回の脱気サイクルを実施した。反応器を次に68℃に加熱し、窒素下で撹拌しながら温度を保持した。反応混合物を次にフラスコに移し、ロータリーエバポレーターで40℃/100mBarで真空ストリップし、1−プロパノールを除去した。最初の1−プロパノール500gを除去した後、水500gを撹拌しながら徐々に加え、エマルションを作成した。次に、留出物200gが回収されるまで、エマルションからさらに1−プロパノールを除去した。水200gを再びエマルションに加え戻し、最終的な留出物200gが回収されるまで、溶媒交換を続けた。エマルションを次に、2.0kgに希釈した。
【0160】
このエマルションを次にオーバーヘッド攪拌器、冷却ループ、温度計、及びpH計及びMetrohm Model 718 STAT Titrinoの分配チップを備えた2L反応器に装填した。反応混合物を次に1℃に冷却した。NaHCO 1.5gをエマルションに添加し、撹拌して溶解した。15%水酸化ナトリウム溶液を断続的に加えることにより、pHを9.5に保つようにTitrinoを設定した。次にアクリロイルクロリド6.2mlをシリンジポンプで1時間かけて加えた。エマルションをさらに1時間攪拌し、次にTitrinoを、塩酸15%溶液を加えることにより反応混合物を中性化するように設定した。次にエマルションを反応器から出し、3.5Lに希釈し、除外物16μmまでろ過した。エマルションを、脱イオン水を用いた透析ろ過(公称分子量カットオフ、10,000D)によって、透過コンダクタンスが、2.5μS/cm未満になるまで精製し、ポリマーを凍結乾燥により単離した。
【実施例6】
【0161】
比較配合物
実施例5のポリマーを1−プロパノール約200ml中に溶解し、全溶液重量約70gに濃縮し、ろ過し、除外物0.45μmを得た。固形物13.87%での溶液106.71gを回収した。2−ヒドロキシ−4’−ヒドロキシエチル−2−メチルプロピオフェノン(IRGACURE(登録商標)−2959、Ciba Specialty Chemicals)1%溶液3.702gを加え、次に溶液を最終重量22.77g(固体65.0%)に濃縮した。
【実施例7】
【0162】
比較レンズ注型
実施例6の配合物を、以下のように、レンズの注型に使用した。配合物200mgをポリ(プロピレン)金型に加え、金型を閉じた。次に2.18mW/cm2の強度を有する紫外線光源を金型に36秒間照射した。次に金型を開き、レンズが付着している型半を、イソプロパノール80%、水20%(v/v)の混合物に一晩浸漬した。レンズをこの溶媒混合物で洗浄して金型から外し、次に2時間ずつ2回、それぞれイソプロパノール/水の混合物の新しいアリコートで洗浄した。レンズの水を切り、次に脱イオン水に浸漬して水和化した。次に2時間ずつ3回、純粋な水(3.0ml/レンズ)で洗浄した。
【実施例8】
【0163】
本発明の配合物
実施例6の配合物4.0gを、シリンジに加えた。トリメチロールプロパントリス(メルカプトプロピオナート)0.0215g及び1,6−ジチオヘキサン0.0486gを加え、配合物をステンレスへらで5分間撹拌した。配合物を次にポリ(プロピレン)金型に加え、金型を閉じた。次に2.18mW/cm2の強度を有する紫外線光源を金型に36秒間照射した。次に金型を開き、レンズが付着している型半を、イソプロパノール80%、水20%(v/v)の混合物に一晩浸漬した。レンズをこの溶媒混合物で洗浄して金型から外し、次に2時間ずつ2回、それぞれイソプロパノール/水の混合物の新しいアリコートで洗浄した。レンズの水を切り、次に脱イオン水に浸漬して水和化した。それらを次に2時間ずつ3回、純粋な水(3.0ml/レンズ)で洗浄した。
【実施例9】
【0164】
セミテレケリックシリコーンヒドロゲルポリマーの合成
2Lジャケット付き反応器に、加熱/冷却ループ、セプタム(隔膜)インレットアダプター、N−インレットアダプター付き還流冷却器、及びオーバーヘッド攪拌器を備え付けた。実施例4に記載の手順により調製したPDMS−DAm62.97gを1−プロパノール150gに溶解して、溶液を生成した。この溶液を反応器に装填し、8℃に冷却した。溶液を真空排気により、5mBar未満に脱気し、真空に15分間保持し、次に乾燥窒素で再加圧した。この脱気手順を全部で5回繰り返した。
【0165】
磁気撹拌器及びバルブ付き真空インレットアダプターを備えた、別の500mlフラスコにおいて、システアミン塩酸塩2.72gを1−プロパノール300mlに溶解した。また別の、磁気撹拌器及びバルブ付き真空インレットアダプターを備えた500mlフラスコにおいて、N,N−ジメチルアクリルアミド(Bimax Corporation)27.39g及びヒドロキシエチルアクリラート(Aldrich)6.84gの溶液を、1−プロパノール300mlに溶解した。同様に装備した3つ目のフラスコにおいて、アゾ−ビス(イソブチロニトリル)(Aldrich)0.19gを1−プロパノール150gに溶解した。3つの溶液すべてを真空排気によって2回脱気し、60mBarとし、5分間真空に保持し、次に窒素で再加圧した。
【0166】
窒素の陽圧流下、反応器を開き、システアミン塩酸塩、N,N−ジメチルアクリルアミド/ヒドロキシエチルアクリラート、及びアゾ−ビス(イソブチロニトリル)溶液を反応器に装填した。依然8℃に保持しながら、真空排気によって反応器を5mBar未満まで脱気し、5分間保持し、次に窒素で再加圧した。全4回の脱気サイクルを実施した。反応器を次に68℃に加熱し、窒素下で撹拌しながら温度を保持した。反応混合物を次にフラスコに移し、ロータリーエバポレーターで40℃/100mBarで真空ストリップし、1−プロパノールを除去した。最初の1−プロパノール500gを除去した後、水500gを撹拌しながら徐々に加え、エマルションを作成した。次に留出物200gが回収されるまで、エマルションから、さらに1−プロパノールを除去した。水200gを再びエマルションに加え戻し、最終的な留出物200gが回収されるまで、溶媒交換を続けた。エマルションを次に、2.0kgに希釈した。このアミン末端ポリマーを凍結乾燥で単離した。
【0167】
ポリマー約50gを次にテトラヒドロフラン中に再溶解し、アミン当量を滴定により判定した。アミン16.2mEqを見出した。50%NaOH(水性)3.10gを、磁気撹拌を備えた丸底フラスコ中の溶液に加えた。フラスコの内容物を氷浴により冷却した。実施例1で合成した酸塩化物2.53gを無水THFで25mlに希釈した。これを1時間かけて反応混合物に滴下した。氷浴を除去し、溶媒350mlを除去し、脱イオン水350gを戻し加え、次にさらに2回溶媒250mlを除去し、水250mlを加え戻し、水の総量が850mlになるようにすることにより、反応混合物を水に溶媒交換した。エマルションを次に2Lに希釈し、除外物16μmまでろ過した。エマルションを、脱イオン水を用いた透析ろ過(公称分子量カットオフ、10,000D)によって、透過コンダクタンスが、2.5μS/cm未満になるまで精製し、ポリマーを凍結乾燥により単離した。NMRによる判定によれば、ポリマーは、ノルボルネン二重結合0.142mEq/gを有していた。
【実施例10】
【0168】
本発明の配合物
ポリマー/Irgacure配合物。実施例9のポリマー10.0gを琥珀色のフラスコ中に加えた。1−プロパノール100gを加え、フラスコを回転させて溶解した。溶液をWhatman glass fiber GF/B filter paperでろ過した。溶液の固体含量をhalogen moisture analyzerで測定した。固体8.27%の溶液116.32gに、Irgacure-2959 2.405gを加え、溶液を、総量が12.33gになるように濃縮した。
【0169】
原液。1,6−ヘキサンジチオール及びトリメチロールプロパントリス(メルカプトプロピオナート)の原液を、1,6−ヘキサンジチオール3.912g及びトリメチロールプロパントリス(メルカプトプロピオナート)3.559gそれぞれをn−メチルピロリドンで10mlに希釈して調製した。
【0170】
レンズ配合物:1,6−ヘキサンジチオール原液65.4μL、トリメチロールプロパントリス(メルカプトプロピオナート)原液360μL、及び1−プロパノール2.4gをポリマー/Irgacureに加え、ステンレスへらを用いて5分間撹拌した。
【0171】
レンズ調製:レンズ配合物を次にポリ(プロピレン)金型に量り入れ、金型を閉じた。配合物を次にポリ(プロピレン)金型に量り入れ、金型を閉じた。次に、金型に、2.18mW/cm2の強度を有する紫外線光源を10秒間照射した。次に金型を開き、レンズが付着している型半を、イソプロパノール80%、水20%(v/v)の混合物に一晩浸漬した。レンズをこの溶媒混合物で洗浄して金型から外し、次に2時間ずつ2回、それぞれイソプロパノール/水の混合物の新しいアリコートで洗浄した。レンズの水を切り、次に脱イオン水に浸漬して水和化した。それらを次に2時間ずつ3回、純粋な水(3.0ml/レンズ)で洗浄した。
【0172】
得られたレンズの引裂抵抗をテスト(手動)した。結果を表1に示す。
【表1】

【実施例11】
【0173】
セミテレケリックシリコーンヒドロゲルポリマーの合成
2Lジャケット付き反応器に、加熱/冷却ループ、セプタム(隔膜)インレットアダプター、N−インレットアダプター付き還流冷却器、及びオーバーヘッド攪拌器を備え付けた。実施例4に記載の手順により調製したPDMS−DAm125.93gを1−プロパノール555gに溶解して、溶液を生成した。この溶液を反応器に装填し、8℃に冷却した。溶液を真空排気により、5mBar未満に脱気し、真空に15分間保持し、次に乾燥窒素で再加圧した。この脱気手順を全部で5回繰り返した。
【0174】
磁気撹拌器及びバルブ付き真空インレットアダプターを備えた、別の1000mlフラスコにおいて、システアミン塩酸塩5.44gを1−プロパノール280gに溶解した。また別の、磁気撹拌器及びバルブ付き真空インレットアダプターを備えた1000mlフラスコにおいて、N,N−ジメチルアクリルアミド(Bimax Corporation)54.79g及びヒドロキシエチルアクリラート(Aldrich)13.68gの溶液を、1−プロパノール280 gに溶解した。同様に装備した3つ目のフラスコにおいて、アゾ−ビス(イソブチロニトリル)(Aldrich)0.37gを1−プロパノール37gに溶解した。3つの溶液すべてを真空排気によって2回脱気し60mBarとし、5分間真空に保持し、次に窒素で再加圧した。
【0175】
窒素の陽圧流下、反応器を開き、システアミン塩酸塩、N,N−ジメチルアクリルアミド/ヒドロキシエチルアクリラート、及びアゾ−ビス(イソブチロニトリル)溶液を反応器に装填した。依然8℃に保持しながら、真空排気によって反応器を5mBar未満まで脱気し、5分間保持し、次に窒素で再加圧した。全4回の脱気サイクルを実施した。反応器を次に68℃に加熱し、窒素下で16時間撹拌しながら温度を保持した。反応混合物を次にフラスコに移し、ロータリーエバポレーターで40℃/100mBarで真空ストリップし、1−プロパノールを除去した。最初の1−プロパノール672gを除去した後、水800gを撹拌しながら徐々に加え、エマルションを作成した。次にエマルションから、留出物769gが回収されるまで、さらに1−プロパノールを除去した。水800gを再びエマルションに加え戻し、最終的な留出物225gが回収されるまで、溶媒交換を続けた。エマルションを次に、3.0kgに希釈し、脱イオン水を用いた透析ろ過(公称分子量カットオフ、10,000D)によって、透過コンダクタンスが2.5μS/cm未満になるまで精製した。このアミン末端ポリマーを凍結乾燥で単離した。
【0176】
ポリマー95.0gを次に抑制剤不含有無水テトラヒドロフラン800mlに溶解した。硫酸マグネシウム20gを加え、フラスコを30分間撹拌した。懸濁液を、ガラス繊維フィルターペーパーを用いて、除外物1.2μmになるまでろ過し、次に滴定によりアミン当量を測定した。アミン総当量7.5mEqを有する溶液950gを回収した。ジアザビシクロオクタン(15.0mEq)1.68gを溶液を含有するフラスコに加え、撹拌して溶解した。実施例1(15mEq)の酸塩化物2.35gを次に、抑制剤不含有無水THFで4mlに希釈し、及びピペットで滴下した。次にフラスコに、Nインレットアダプター付き還流冷却器を装備し、3時間還流した。反応混合物を、次に脱イオン水で1.5Lに希釈した。次に、ロータリーエバポレーターで、溶液から、流体500−600mlを除去し、水を加え戻し、さらに留出物の除去と脱イオン水の加え戻しを、実質的に水性エマルションが残存するまで続けることにより、THFを除去した。エマルションを次に2.0kgに希釈し、脱イオン水を用いた透析ろ過(公称分子量カットオフ、10,000D)によって、透過コンダクタンスが2.5μS/cm未満になるまで精製すると、透過水にノルボルネンカルボン酸臭は検出されなかった。このノルボルネン末端ポリマーを凍結乾燥により単離し、分析して、ポリマーが、ノルボルネンからの二重結合0.079mEq/gを有することを見出した。
【実施例12】
【0177】
4Lビーカーにおいて、NaCO(389mEq)24.13g、NaCl 80g及び脱イオン水1.52kgを混合し、溶解した。別の4Lビーカーにおいて、アルファ−オメガ−アミノプロピル−ポリジメチルシロキサン(Shin-Etsu manufacture, 分子量約11500,123mEq)700gを、ヘキサン1000gに溶解した。4L反応器に、タービンアジテーター付きオーバーヘッド攪拌器及びマイクロフローコントローラー付き添加漏斗250mlを備え付けた。2つの溶液を次に反応器に装填し、強く攪拌しながら15分間混合し、エマルションを生成した。アクリロイルクロリド(160.2mEq)14.5gを、ヘキサン100mlに溶解し、添加漏斗に装填した。アクリロイルクロリド溶液を、激しい攪拌下で、エマルションに1時間かけて滴下した。滴下完了後、エマルションを30分間撹拌し、次に攪拌を停止して、一晩、相を分離した。水相をデカントし、有機相をNaCl 2.5%を水に溶解した混合物2.0kgで2回洗浄した。有機相を次に硫酸マグネシウムで乾燥させ、除外物1.0μmまでろ過し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた油状物をさらに高真空乾燥で一定重量に精製した。得られた生成物の滴定による分析は、C=C二重結合0.175mEq/gを見出した。
【実施例13】
【0178】
セミテレケリックシリコーンヒドロゲルポリマーの合成
2Lジャケット付き反応器に、加熱/冷却ループ、セプタムインレットアダプター、Nインレットアダプター付き還流冷却器、及びオーバーヘッド攪拌器を備え付けた。実施例12記載の手順で製造したPDMS−DAm54.86g及び実施例2により製造したPDMS−DAm6.24gを1−プロパノール200gに溶解して溶液を生成した。この溶液を、反応器に装填し、8℃に冷却した。溶液を真空排気により5mBar未満に脱気し、真空に15分間保持してから、乾燥窒素で再加圧した。この脱気手順を全部で5回繰り返した。
【0179】
磁気撹拌器及びバルブ付き真空インレットアダプターを備えた、別の500mlフラスコにおいて、システアミン塩酸塩2.84gを1−プロパノール140gに溶解した。また別の、磁気撹拌器及びバルブ付き真空インレットアダプターを備えた500mlフラスコにおいて、N,N−ジメチルアクリルアミド(Bimax Corporation)28.84g及びヒドロキシエチルアクリラート(Aldrich)7.21gの溶液を1−プロパノール210gに溶解した。同様に備え付けた125mlフラスコにおいて、アゾ−ビス(イソブチロニトリル)(Aldrich)0.14gを、1−プロパノール14gに溶解した。そして4つ目の、100mlフラスコにおいて、ヒドロキシエチルアクリラート0.72g及びN,N−ジメチルアクリルアミド2.88gを、1−プロパノール21gに溶解した。4つの溶液すべてを、真空排気により2回脱気して60mBarとし、5分間真空を保持してから、乾燥窒素で再加圧した。
【0180】
窒素の陽圧流下、反応器を開き、システアミン塩酸塩及び2つのN,N−ジメチルアクリルアミド/ヒドロキシエチルアクリラート溶液の大きい方を反応器に装填した。依然8℃に保持しながら、反応器を、真空排気により5mBar未満に脱気し、5分間保持してから、窒素で再加圧した。全4回の脱気サイクルを実施した。ヒドロキシエチルアクリラート0.72g及びN,N−ジメチルアクリルアミド2.88gを含有する溶液を、Alltech 590516インライン脱気ユニットを備えたAlltech 301 HPLCポンプの貯蔵器に装填した。アウトレット(流出口)を、流体を貯蔵器に戻す位置に配置し、ポンプを、0.146ml/minの速度で30分間稼働させ、溶液をさらに脱酸素化した。
【0181】
反応器を次に68℃に加熱し、HPLCポンプを停止して、流体が、容器の壁に接触することなく、反応混合物に滴下されるようにそのアウトレットを取り付けた。その温度である時に、アゾビス(イソブチロニトリル)溶液をシリンジで反応器に注入し、HPLCポンプを作動開始した。溶液を3時間かけて反応器に添加し、次にろ過したプロパノール10mlを、すすぎ水としてHPLCラインに通して反応器に入れた。反応器を次に室温に冷ました。
【0182】
反応混合物を次にフラスコに移し、ロータリーエバポレーターで40℃/100mBarで真空ストリップし、1−プロパノールを除去した。最初の1−プロパノール344gを除去した後、水500gを撹拌しながら徐々に加え、エマルションを作成した。次にエマルションから、留出物473gが回収されるまで、さらに1−プロパノールを除去した。水600gを再びエマルションに加え戻し、最終的な留出物150gが回収されるまで、溶媒交換を続けた。エマルションを次に2.0kgに希釈し、脱イオン水を用いた透析ろ過(公称分子量カットオフ、10,000D)によって、透過コンダクタンスが、3.0μS/cm未満になるまで精製した。物質を凍結乾燥で単離した。
【0183】
こうして製造したポリマー40gを抑制剤不含有の無水テトラヒドロフラン400mlに溶解した。硫酸マグネシウム20gを加え、フラスコを30分間撹拌した。懸濁液をガラスファイバーフィルターペーパーで除外物1.2μmまでろ過し、次に滴定によりアミン当量を測定した。アミン総当量3.58mEqを有する溶液398gを回収した。ジアザビシクロオクタン(7.16mEq)0.80gを、溶液を含有するフラスコに加え、撹拌して溶解した。実施例1(7.16mEq)の酸塩化物1.12gを次に抑制剤不含有無水THFで4mlに希釈し、ピペットで滴下した。フラスコに次にNインレットアダプター付き還流冷却器を装備し、3時間還流した。反応混合物を、次に脱イオン水200mlで希釈した。次に、ロータリーエバポレーターで、溶液から、流体150−200mlを除去し、水を加え戻し、さらに留出物の除去と脱イオン水の加え戻しを、実質的に水性エマルションが残存するまで続けることにより、THFを除去した。エマルションを次に2.0kgに希釈し、脱イオン水を用いた透析ろ過(公称分子量カットオフ、10,000D)によって、透過コンダクタンスが2.5μS/cm未満になるまで精製すると、透過水にノルボルネンカルボン酸臭は検出されなかった。このノルボルネン末端ポリマーを凍結乾燥により単離し、分析し、ポリマーが、ノルボルネンからの二重結合0.09mEq/gを有することを分見出した。
【実施例14】
【0184】
実施例9のポリマー10gを、1−プロパノール約200mlに溶解し、除外物0.45μmまでろ過した。固体6.74%の溶液148.1gを回収した。2−ヒドロキシ−4’−ヒドロキシエチル−2−メチルプロピオフェノン(IRGACURE(登録商標)-2959, Ciba Specialty Chemicals)の1%溶液2.5gを加え、次に溶液を最終重量15.32g(固体65.0%)まで濃縮した。
【実施例15】
【0185】
実施例13のポリマー26.22gを、1−プロパノール約200ml中に溶解し、除外物0.45μmまでろ過した。固体13.65%の溶液187.78gを回収した。2−ヒドロキシ−4’−ヒドロキシエチル−2−メチルプロピオフェノン(IRGACURE(登録商標)−2959、Cibaスペシャルティケミカル)の1%溶液6.45gを加え、次に溶液を最終重量36.63g(固体70.0%)まで濃縮した。
【実施例16】
【0186】
実施例11のポリマー約75gを、1−プロパノール約400ml中に溶解し、除外物0.45μmまでろ過した。固体14.24%の溶液435.24gを回収した。2−ヒドロキシ−4’−ヒドロキシエチル−2−メチルプロピオフェノン(IRGACURE(登録商標)-2959, Ciba Specialty Chemicals)の1%溶液15.5gを加え、次に溶液を最終重量95.35g(固体65.0%)まで濃縮した。
【実施例17】
【0187】
実施例14の配合物5.0g及び実施例15の配合物5.0gを、琥珀色バイアルに加えた。アルファ−オメガジチオ(ポリジメチルシロキサン)(分子量3,000D, Shin-Etsu Co.)1.14gを加え、フラスコを金属へらで5分間撹拌した。配合物を添加用シリンジに移した。次に配合物を以下のようにレンズの注型に使用した。配合物200mgをポリ(プロピレン)金型に添加し、金型を閉じた。次に、金型に、強度1.82mW/cm2を有する紫外線光源を40秒間照射した。次に金型を開き、レンズが付着している型半を、イソプロパノール80%、水20%(v/v)の混合物に一晩浸漬した。レンズを、この溶媒混合物で洗浄して金型から外し、次に2時間ずつ2回、それぞれイソプロパノール/水の混合物の新しいアリコートで洗浄した。レンズの水を切り、次に脱イオン水に浸漬して水和化した。次に2時間ずつ3回、純粋な水(3.0ml/レンズ)で洗浄した。
【実施例18】
【0188】
実施例14の配合物4.0g及び実施例15の配合物4.0gを、琥珀色バイアルに加えた。アルファ−オメガジチオ(ポリジメチルシロキサン)(分子量3,000D, Shin-Etsu Co.)0.48g及びポリ(ジメチルシロキサン)−コ−(メルカプトプロピル−メチルシロキサン)0.634gを加え、フラスコを金属へらで5分間撹拌した。配合物を添加用シリンジに移した。次に配合物を以下のようにレンズの注型に使用した。配合物200mgをポリ(プロピレン)金型に添加し、金型を閉じた。次に、金型に、強度1.82mW/cm2を有する紫外線光源を40秒間照射した。次に金型を開き、レンズが付着している型半を、イソプロパノール80%、水20%(v/v)の混合物に一晩浸漬した。レンズを、この溶媒混合物で洗浄して金型から外し、次に2時間ずつ2回、それぞれイソプロパノール/水の混合物の新しいアリコートで洗浄した。レンズの水を切り、次に脱イオン水に浸漬して水和化した。次に2時間ずつ3回、純粋な水(3.0ml/レンズ)で洗浄した。
【実施例19】
【0189】
実施例16の配合物13.0gを、琥珀色バイアルに加えた。アルファ−オメガジチオ(ポリジメチルシロキサン)(分子量3,000D, Shin-Etsu Co.)0.853gを加え、フラスコを金属へらで5分間撹拌し、30分間ミルでロールした。配合物を添加用シリンジに移した。次に配合物を以下のようにレンズの注型に使用した。配合物200mgをポリ(プロピレン)金型に添加し、金型を閉じた。次に、金型に、強度1.82mW/cm2を有する紫外線光源を110秒間照射した。次に金型を開き、熱湯で洗浄して金型からレンズを外した。
【実施例20】
【0190】
ノルボルネンのPVAへの添加
PVA(KL03)100gを、1リットル反応ケトルを用いて、撹拌しながらDMSO(477g)に溶解した。5−ノルボルネン−2−カルボキシアルデヒド(5.67g)を溶液に加えた。濃縮HCl(37%)を加え(29.3g)修飾反応を開始させた。溶液を40℃に加熱し、18時間保持した。溶液を次に室温に冷ました。ポリマー溶液を、激しく撹拌しながら10−15倍過剰量の20%NaCl水溶液に滴下した。撹拌を停止すると、PVA沈殿物が容器の上部に上昇した。20%NaClを沈殿物から分離し、次にD.I.水(2.5リットル)を加え、改質されたPVAを溶解した。溶液を0.45μmフィルターカートリッジを通してろ過し、次に1KDa膜を用いて超ろ過した。約8倍量の水を膜に通した。精製したマクロマー溶液を、ロータリーエバポレーターを用いて>30%固体まで濃縮した。
【実施例21】
【0191】
配合物の調製とレンズ製造
精製したマクロマーの30.55%水溶液(5.89g)、水(0.36g)中の1%Irgacure 2959溶液、ヒドロキシル−TEMPO(0.0064g)、及びジチオエリトリトール(0.129g)を小バイアル中で混合した。
光レオロジーにより硬化特性を調べた。配合物を1.74mW/cm2の紫外線光源で硬化した。28kPaで剪断弾性率が横ばいとなるのに必要なUV照射線量は、31mJ/cm2であった。この試験結果を、本書類の最後に添付する。
【実施例22】
【0192】
セミテレケリックシリコーンヒドロゲルポリマーの合成
2Lジャケット付き反応器に、加熱/冷却ループ、セプタムインレットアダプター、Nインレットアダプター付き還流冷却器、及びオーバーヘッド攪拌器を備え付けた。実施例12記載の手順で製造したPDMS−DAm109.02g及び実施例2により製造したPDMS−DAm12.37gを、1−プロパノール200gに溶解して溶液を生成した。この溶液を反応器に装填し、8℃に冷却した。
【0193】
磁気撹拌器及びバルブ付き真空インレットアダプターを備えた、別の500mlフラスコにおいて、システアミン塩酸塩5.63gを、1−プロパノール297gに溶解した。磁気撹拌器及びバルブ付き真空インレットアダプターを備えた1Lフラスコにおいて、N,N−ジメチルアクリルアミド(Bimax Corporation)50.82g、ヒドロキシエチルアクリラート(Aldrich)16.55g及びアミノプロピルメタクリルアミド塩酸塩(Polysciences Corpから入手。以下APMAと称する)5.08gを、1−プロパノール600gに溶解した。同様に備え付けた125mlフラスコにおいて、アゾ−ビス(イソブチロニトリル)(Aldrich)0.14gを、1−プロパノール14gに溶解した。4つ目の100mlフラスコにおいて、ヒドロキシエチルアクリラート1.70g、N,N−ジメチルアクリルアミド5.12g、及びアミノプロピルメタクリルアミド5.09gをジメチルスルホキシド60gに溶解した。4つの溶液すべてを、真空排気により2回脱気して60mBarとし、5分間真空に保持してから、窒素で再加圧した。
【0194】
窒素の陽圧流下、反応器を開き、システアミン塩酸塩、及び1−プロパノール中のN,N−ジメチルアクリルアミド/ヒドロキシエチルアクリラート/アミノプロピルメタクリルアミド塩酸塩溶液を反応器に装填した。依然8℃に保持しながら、真空排気によって反応器を5mBar未満まで脱気し、5分間保持し、次に窒素で再加圧した。全15回の脱気サイクルを実施した。ヒドロキシエチルアクリラート0.72g、N,N−ジメチルアクリルアミド2.88g及びアミノプロピルメタクリルアミド塩酸塩を含有するジメチルスルホキシド溶液をAlltech 590516インライン脱気ユニットを備えたAlltech 301 HPLCポンプの貯蔵器に装填した。アウトレットを、流体を貯蔵器に戻す位置に配置し、ポンプを、0.353ml/minの速度で30分間稼働させ、溶液をさらに脱酸素化した。
【0195】
反応器を次に68℃に加熱し、HPLCポンプを停止して、流体が、容器の壁に接触することなく、反応混合物に滴下されるようにそのアウトレットを取り付けた。その温度である時に、アゾビス(イソブチロニトリル)溶液をシリンジで反応器に注入し、HPLCポンプを作動開始した。溶液を3時間かけて反応器に添加し、次にろ過したプロパノール10mlを、すすぎ水としてHPLCラインに通して反応器に入れた。反応器を次に室温に冷ました。
【0196】
反応混合物を次にフラスコに移し、ロータリーエバポレーターで、40℃/100mBarで真空ストリップし、1−プロパノールを除去した。最初の1−プロパノール344gを除去した後、水500gを撹拌しながら徐々に加え、エマルションを作成した。次にエマルションから、留出物473gが回収されるまで、さらに1−プロパノールを除去した。水600gを再びエマルションに加え戻し、最終的な留出物150gが回収されるまで、溶媒交換を続けた。エマルションを次に4.0kgに希釈した。
【実施例23】
【0197】
アクリルアミド−官能基セミテレケリック
実施例22で製造したエマルション2.0kgを、オーバーヘッド攪拌器、冷却ループ、温度計及びpH計、並びにMetrohm Model 718 STAT Titrino 分注チップを備えた2L反応器に装填した。反応混合物を次に1℃に冷却した。NaHCO 1.5gをエマルションに装填し、撹拌して溶解した。Titrinoを、15%水酸化ナトリウム溶液を断続的に添加することにより、pHを9.5に維持するように設定した。アクリロイルクロリド6.2mlを次に、シリンジポンプを用いて1時間かけて加えた。エマルションをさらに1時間撹拌し、次に、15%塩酸溶液を添加することにより反応混合物を中和するようにTitrinoを設定した。エマルションを次に反応器から抜き取り、3.5Lに希釈し、除外物16μmまでろ過した。エマルションを脱イオン水を用いた透析ろ過(公称分子量カットオフ、10,000D)によって、透過コンダクタンスが2.5μS/cm未満になるまで精製し、ポリマー凍結乾燥により単離した。核磁気共鳴分光法により、炭素−炭素の二重結合0.15mEq/gが検出された。
【実施例24】
【0198】
ノルボニル−官能基セミテレケリック
実施例22の、残りのエマルション2.0kgを、脱イオン水を用いた透析ろ過(公称分子量カットオフ、10,000D)によって、透過コンダクタンスが3.0μS/cm未満になるまで精製した。物質を次に凍結乾燥により単離した。
このようにして製造したポリマー18gを抑制剤不含有の無水テトラヒドロフラン約200mlに溶解した。硫酸マグネシウム10gを加え、フラスコを30分間撹拌した。懸濁液をガラス繊維フィルターペーパーで、除外物1.2μmまでろ過し、次にアミン当量を滴定により測定した。アミン総当量2.78mEqを有する溶液207gを回収した。ジアザビシクロオクタン(13.9mEq)1.56gを、溶液を含有するフラスコに加え、撹拌して溶解した。実施例1(13.9mEq)の酸塩化物2.18gを、次に抑制剤不含有の無水THFで4mlに希釈し、ピペットで滴下した。フラスコに次にNインレットアダプター付き還流冷却器を装備し、3時間還流した。反応混合物を次に脱イオン水200mlで希釈した。次に、ロータリーエバポレーターで、溶液から、流体150−200mlを除去し、水を加え戻し、さらに留出物の除去と脱イオン水の加え戻しを、実質的に水性エマルションが残存するまで続けることにより、THFを除去した。エマルションを次に2.0kgに希釈し、水酸化カリウム50%水溶液30mlを添加し、アルカリpHにした。このエマルションを、脱イオン水を用いた透析ろ過(公称分子量カットオフ、10,000D)によって、透過コンダクタンスが70μS/cm未満になるまで精製した。サンプルを次に水中の10%イソプロパノールで透析ろ過し、最終的に、透過水にノルボルネンカルボン酸臭が検出されなくなるまで、水60Lでさらに超ろ過した。このノルボルネン末端ポリマーを凍結乾燥により単離し、分析し、ノルボルネンからの二重結合0.159mEq/gを有することを見出した。
【実施例25】
【0199】
比較配合物:フリーラジカル硬化
実施例23のポリマー30.0gを、2−ヒドロキシ−4’−ヒドロキシエチル−2−メチルプロピオフェノン(IRGACURE(登録商標)-2959, Ciba Specialty Chemicals)1%溶液(1−プロパノール80重量%/テトラヒドロフラン20重量%)7.5gと合わせ、さらに、溶媒混合物8.64gと、琥珀色のガラスバイアルにおいて合わせ、完全に均質になるまでロールした。
【実施例26】
【0200】
本発明の配合物:25%混成硬化
実施例25の配合物(ビニル0.481mEq)4.93gを、シリンジに量り入れた。分子量3000(チオール0.120mEq)のジチオール末端ポリ(ジメチルシロキサン)0.1895gを加え、配合物をステンレスへらで5分間撹拌し、次に1時間ロールした。
【実施例27】
【0201】
本発明の配合物:50%混成硬化
実施例25の配合物(ビニル0.467mEq)4.79gをバイアルに量り入れた。分子量3000(チオール0.234mEq)のジチオール末端ポリ(ジメチルシロキサン)0.368gを加え、配合物をステンレスへらで5分間撹拌し、次に1時間ロールした。
【実施例28】
【0202】
本発明の配合物:完全なチオール−エン硬化
実施例23のポリマー10.0gを、2−ヒドロキシ−4’−ヒドロキシエチル−2−メチルプロピオフェノン(IRGACURE(登録商標)-2959, Ciba Specialty Chemicals)1%溶液(1−プロパノール80重量%/テトラヒドロフラン20重量%)2.5gと合わせ、さらに、溶媒混合物2.88gと、琥珀色のガラスバイアルにおいて合わせ、完全に均質になるまでロールした。この配合物(ビニル0.32mEq)3.098gを新しい琥珀色バイアルに量り入れた。分子量3000(チオール0.32mEq)のジチオール末端ポリ(ジメチルシロキサン)0.505gを加え、配合物をステンレスへらで5分間撹拌し、次に1時間ロールした。
【0203】
レンズ製造:
実施例25−28の配合物を、ポリ(プロピレン)金型に添加し、金型を閉じた。次に、金型に、強度4mW/cm2を有する紫外線光源を、表に記載の時間照射した。次に金型を開き、レンズが付着している型半を、エタノールで洗浄し、レンズを外した。レンズを次に脱イオン水に浸漬して水和化し、オートクレーブバイアルに移し、リン酸緩衝生理食塩水に浸漬してオートクレーブした。レンズの弾性率を、Instron引張試験器で測定した:
【表2】


表に示すように、フリーラジカル硬化に対する逐次硬化の量を増すと、弾性率が低くなることから分かるように、レンズの柔軟性は大幅に上昇する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロゲルコンタクトレンズを製造する方法であって、
(1)複数の第1の重合基を有し、各々が逐次重合剤の存在下又は非存在下で光誘起逐次重合を行うことができる、少なくとも1つの第1のプレポリマーを含み、逐次重合剤が、2以上の第2の重合基を有し、各々がヒドロゲル材料を形成するために光誘起逐次重合において第1の重合基と共反応性である、液体組成物を得る工程;
(2)コンタクトレンズの前面を画定する第1の成形面を有する第1の型半と、コンタクトレンズの後面を画定する第2の成形面を有する第2の型半とを備え、該第1及び第2の型半が、キャビティが該第1及び第2の成形面の間に形成されるように互いに受けて構成されている金型によって形成されたキャビティに液体組成物を導入する工程;及び
(3)金型内の組成物を化学線照射又は熱硬化して、該少なくとも1つの第1のプレポリマーを架橋させてヒドロゲルコンタクトレンズを形成する工程
を含む方法。
【請求項2】
第1の重合基が、エン含有基であり、第2の重合基がチオール基であるか、又は第1の重合基がチオール基であり、第2の重合基がエン含有基である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1の重合基が、式(I)、(II)、又は(III):
【化21】


[式中、Rは、水素又はC−C10アルキルであり;R及びRは、互いに独立して、水素、C−C10アルケン二価ラジカル、C−C10アルキル、又は−(R18−(X−R19(式中、R18は、C−C10アルケン二価ラジカルであり、Xは、エーテル結合(−O−)、ウレタン結合(−N)、ウレア結合、エステル結合、アミド結合又はカルボニルであり、R19は水素、単結合、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、C−C12アミノアルキル基、C−C18アルキルアミノアルキル基、C−C18カルボキシアルキル基、C−C18ヒドロキシアルキル基、C−C18アルキルアルコキシ基、C−C12アミノアルコキシ基、C−C18アルキルアミノアルコキシ基、C−C18カルボキシアルコキシ基又はC−C18ヒドロキシアルコキシ基であり、a及びbは、互いに独立して、ゼロ又は1である)であるが、但しR及びRのうちの1つのみが、二価ラジカルであり;R−Rは、互いに独立して、水素、C−C10アルケン二価ラジカル、C−C10アルキル、又は−(R18−(X−R19であり、場合により、R及びRは、アルケン二価ラジカルを介して結合され、環を形成するが、但し、R−Rのうちの少なくとも1つは、二価ラジカルであり;n及びmは、互いに独立して、0〜9の整数であるが、但し、nとmとの総数は、2〜9の整数であり;R10−R17は、互いに独立して、水素、C−C10アルケン二価ラジカル、C−C10アルキル、又は−(R18−(X−R19であり、pは、1〜3の整数であるが、但し、R10−R17の1つ又は2つのみが、二価ラジカルである]のエン含有基である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1のプレポリマーが、ペンダント基又は末端官能基を有するコポリマーから、コポリマーのペンダント基又は末端官能基に、エン含有基を共有結合させることにより得られ、第1のプレポリマーが、ヒドロゲル材料を形成することができる、請求項3記載の方法。
【請求項5】
ペンダント基又は末端官能基を有するコポリマーが、シロキサン単位を含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
ペンダント基又は末端基を有するコポリマーが、架橋剤の存在下又は非存在下における、ビニルアルコールと1つ以上のビニルモノマーとのコポリマー;架橋剤の存在下又は非存在下における、C−Cアミノアルキルアクリラートと1つ以上のビニルモノマーとのコポリマー;架橋剤の存在下又は非存在下における、C−Cヒドロキシアルキルアクリラートと1つ以上のビニルモノマーとのコポリマー;架橋剤の存在下又は非存在下における、C−Cアミノアルキルメタクリラートと1つ以上のビニルモノマーとのコポリマー;架橋剤の存在下又は非存在下における、C−Cヒドロキシアルキルメタクリラートと1つ以上のビニルモノマーとのコポリマー;架橋剤の存在下又は非存在下における、C−Cアルキルアクリル酸と1つ以上のビニルモノマーとのコポリマー;架橋剤の存在下又は非存在下における、C−Cアルキルメタクリルと1つ以上のビニルモノマーとのコポリマー;架橋剤の存在下又は非存在下における、エポキシ含有アクリラートモノマーと1つ以上のビニルモノマーとのコポリマー;架橋剤の存在下又は非存在下における、エポキシ含有メタクリラートモノマーと1つ以上のビニルモノマーとのコポリマー;(a)少なくとも1つのポリ(オキシアルキレン)ジアミン、(b)場合により、少なくとも1つの有機ジ−又はポリ−アミン、(c)場合により、少なくとも1つのジイソシアナート、及び(d)少なくとも1つのポリイソシアナートを含む混合物を共重合することによって得られるアミン−又はイソシアナート−キャップポリウレア;(a)少なくとも1つのポリ(オキシアルキレン)ジオール、(b)場合により、少なくとも1つの、ジ−又はポリ−ヒドロキシ基を有する有機化合物、(c)場合により、少なくとも1つのジイソシアナート、及び(d)少なくとも1つのポリイソシアナートを含む混合物を共重合することによって得られるヒドロキシ−又はイソシアナート−キャップポリウレタン;少なくとも1つのシロキサン含有ビニルモノマー、アクリロイル若しくはメタクリロイル基を有する少なくとも1つのシロキサン含有マクロマー、アクリロイル若しくはメタクリロイル基を有する少なくとも1つのシリコーン含有プレポリマー、あるいはそれらの混合物を含有する混合物を共重合することによって得られるシロキサン含有コポリマー;及びポリ(ジ−C1−12アルキルシロキサン)と1つ以上の共反応性モノマーとのコポリマーからなる群より選択される請求項4記載の方法。
【請求項7】
第1の重合基が、式(III)のエン含有基である、請求項4記載の方法。
【請求項8】
第1の重合基が、式(II)のエン含有基である、請求項4記載の方法。
【請求項9】
第1の重合基が、式(I)のエン含有基である、請求項4記載の方法。
【請求項10】
逐次架橋剤が、複数のチオール基を有する第2のプレポリマーである、請求項4記載の方法。
【請求項11】
液体組成物が、複数のアクリロイル
【化22】


又はメタクリロイル
【化23】


基を有する第3のプレポリマーを含む、請求項4記載の方法。
【請求項12】
液体組成物が、実質的にビニルモノマー及び架橋剤を含まない、請求項4記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第1のプレポリマーが、式(I)、(II)、又は(III)の1つのエン基を有する少なくとも1つのモノマーと1つのエチレン性不飽和基とを含む重合性混合物を共重合することにより得られる、請求項3記載の方法。
【請求項14】
第1の重合基が、式(IV):
のケイ皮酸部分又は式(V)のジアルキルマレイミド基:
【化24】


[式中、R20−R25は、互いに独立して、水素、C−C10アルケン二価ラジカル、C−C10アルキル、又は−(R18−(X−R19(式中、R18は、C−C10アルケン二価ラジカル、Xは、エーテル結合(−O−)、ウレタン結合(−N)、ウレア結合、エステル結合、アミド結合又はカルボニルであり、R19は水素、単結合、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、C−C12アミノアルキル基、C−C18アルキルアミノアルキル基、C−C18カルボキシアルキル基、C−C18ヒドロキシアルキル基、C−C18アルキルアルコキシ基、C−C12アミノアルコキシ基、C−C18アルキルアミノアルコキシ基、C−C18カルボキシアルコキシ基又はC−C18ヒドロキシアルコキシ基であり、a及びbは、互いに独立して、ゼロ又は1である)であるが、但し、R21又はR25は、−NOであり、但し、R20−R25のうち1つ又は2つのみが、二価ラジカルであり;R26及びR27は、互いに独立して、水素又はC−C10アルキルであり、R28は、C−C10アルケン二価ラジカルである]である、請求項1記載の方法。
【請求項15】
金型が、再使用可能な金型である、請求項1記載の方法。
【請求項16】
工程(3)が、化学線の空間的制限により実施されて第1のプレポリマーを架橋させる、請求項15記載の方法。
【請求項17】
複数の第1の重合基を有し、各々が逐次重合剤の存在下又は非存在下で光誘起逐次重合を行うことができる、少なくとも1つの第1のプレポリマーを含み、逐次重合剤が、2以上の第2の重合基を有し、各々が光誘起逐次重合において第1の重合基と共反応性であるが、但し、実質的に如何なるビニルモノマーを含まない、液体組成物を重合することによって得られるソフトヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項18】
第2の重合基及び第1の重合基のいずれか一方が、チオール基であり、他方が式(I)、(II)、又は(III):
【化25】


[式中、Rは、水素又はC−C10アルキルであり;R及びRは、互いに独立して、水素、C−C10アルケン二価ラジカル、C−C10アルキル、又は−(R18−(X−R19(式中、R18は、C−C10アルケン二価ラジカル、Xは、エーテル結合(−O−)、ウレタン結合(−N)、ウレア結合、エステル結合、アミド結合又はカルボニルであり、R19は水素、単結合、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、C−C12アミノアルキル基、C−C18アルキルアミノアルキル基、C−C18カルボキシアルキル基、C−C18ヒドロキシアルキル基、C−C18アルキルアルコキシ基、C−C12アミノアルコキシ基、C−C18アルキルアミノアルコキシ基、C−C18カルボキシアルコキシ基又はC−C18ヒドロキシアルコキシ基であり、a及びbは、互いに独立して、ゼロ又は1である)であるが、但しR及びRのうちの1つのみが、二価ラジカルであり;R−Rは、互いに独立して、水素、C−C10アルケン二価ラジカル、C−C10アルキル、又は−(R18−(X−R19であり、場合により、R及びRは、アルケン二価ラジカルを介して結合され、環を形成するが、但し、R−Rのうちの少なくとも1つは、二価ラジカルであり;n及びmは、互いに独立して、0〜9の整数であるが、但し、nとmとの総数は、2〜9の整数であり;R10−R17は、互いに独立して、水素、C−C10アルケン二価ラジカル、C−C10アルキル、又は−(R18−(X−R19であり、pは、1〜3の整数であるが、但し、R10−R17の1つ又は2つのみが、二価ラジカルである]のエン含有基である、請求項17記載のソフトヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項19】
第1の重合基が、式(IV)のケイ皮酸部分又は式(V)のジアルキルマレイミド基:
【化26】


[式中、R20−R25は、互いに独立して、水素、C−C10アルケン二価ラジカル、C−C10アルキル、又は−(R18−(X−R19(式中、R18は、C−C10アルケン二価ラジカル、Xは、エーテル結合(−O−)、ウレタン結合(−N)、ウレア結合、エステル結合、アミド結合又はカルボニルであり、R19は水素、単結合、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、C−C12アミノアルキル基、C−C18アルキルアミノアルキル基、C−C18カルボキシアルキル基、C−C18ヒドロキシアルキル基、C−C18アルキルアルコキシ基、C−C12アミノアルコキシ基、C−C18アルキルアミノアルコキシ基、C−C18カルボキシアルコキシ基又はC−C18ヒドロキシアルコキシ基であり、a及びbは、互いに独立して、ゼロ又は1である)であるが、但し、R21又はR25は、−NOであり、但し、R20−R25の1つ又は2つのみが、二価ラジカルであり;R26及びR27は、互いに独立して、水素又はC−C10アルキルであり、R28は、C−C10アルケン二価ラジカルである]である、請求項17記載のソフトヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項20】
ソフトヒドロゲルコンタクトレンズを製造するのに適したプレポリマーであって、
複数のチオール基、複数の、式(I)、(II)又は(III)のエン含有基、複数の、式(IV)のケイ皮酸部分、複数の、式(V)のジアルキルアルメイミド基:
【化27】


[式中、Rは、水素又はC−C10アルキルであり;R及びRは、互いに独立して、水素、C−C10アルケン二価ラジカル、C−C10アルキル、又は−(R18−(X−R19(式中、R18は、C−C10アルケン二価ラジカル、Xは、エーテル結合(−O−)、ウレタン結合(−N)、ウレア結合、エステル結合、アミド結合又はカルボニルであり、R19は、水素、単結合、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、C−C12アミノアルキル基、C−C18アルキルアミノアルキル基、C−C18カルボキシアルキル基、C−C18ヒドロキシアルキル基、C−C18アルキルアルコキシ基、C−C12アミノアルコキシ基、C−C18アルキルアミノアルコキシ基、C−C18カルボキシアルコキシ基又はC−C18ヒドロキシアルコキシ基であり、a及びbは、互いに独立して、ゼロ又は1である)であるが、但しR及びRのうちの1つのみが、二価ラジカルであり;R−Rは、互いに独立して、水素、C−C10アルケン二価ラジカル、C−C10アルキル、又は−(R18−(X−R19であり、場合により、R及びRは、アルケン二価ラジカルを介して結合され、環を形成するが、但し、R−Rのうちの少なくとも1つは、二価ラジカルであり;n及びmは、互いに独立して、0〜9の整数であるが、但し、nとmとの総数は、2〜9の整数であり;R10−R17は、互いに独立して、水素、C−C10アルケン二価ラジカル、C−C10アルキル、又は−(R18−(X−R19であり、pは、1〜3の整数であるが、但し、R10−R17の1つ又は2つのみが、二価ラジカルであり、R20−R25は、互いに独立して、水素、C−C10アルケン二価ラジカル、C−C10アルキル、又は−(R18−(X−R19であり、但し、R21又はR25は、−NOであり、但し、R20−R25のうち1つ又は2つのみが、二価ラジカルであり;R26及びR27は、互いに独立して、水素又はC−C10アルキルであり、R28は、C−C10アルケン二価ラジカルである]、又はそれらの組み合わせを含み、
逐次重合剤の存在下又は非存在下で、及び如何なるビニルモノマー及び/又は2から8個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有し、700ダルトン未満の分子量を有する如何なる化合物の非存在下で、化学線照射により架橋され、ヒドロゲル材料を形成することができるプレポリマー。
【請求項21】
ペンダント基又は末端官能基を有するコポリマーから、コポリマーのペンダント基又は末端官能基に、チオール基、式(I)、(II)又は(III)のエン含有基、式(IV)のケイ皮酸部分、式(V)のジアルキルアルメイミド基、又はそれらの組み合わせを共有結合することにより得られる、請求項20記載のプレポリマー。
【請求項22】
複数の第1の重合基を有し、各々が逐次重合剤の存在下又は非存在下で光誘起逐次重合を行うことができる、少なくとも1つの第1のプレポリマーを含み、逐次重合剤が、2以上の第2の重合基を有し、各々が光誘起逐次重合において第1の重合基と共反応性であるが、但し、実質的に如何なるビニルモノマーを含まない、ソフトヒドロゲルコンタクトレンズ製造用の液体組成物。
【請求項23】
第1の重合基及び第2の重合基のいずれか一方がチオール基であり、他方が式(I)、(II)、又は(III):
【化28】


[式中、Rは、水素又はC−C10アルキルであり;R及びRは、互いに独立して、水素、C−C10アルケン二価ラジカル、C−C10アルキル、又は−(R18−(X−R19(式中、R18は、C−C10アルケン二価ラジカル、Xは、エーテル結合(−O−)、ウレタン結合(−N)、ウレア結合、エステル結合、アミド結合又はカルボニルであり、R19は水素、単結合、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、C−C12アミノアルキル基、C−C18アルキルアミノアルキル基、C−C18カルボキシアルキル基、C−C18ヒドロキシアルキル基、C−C18アルキルアルコキシ基、C−C12アミノアルコキシ基、C−C18アルキルアミノアルコキシ基、C−C18カルボキシアルコキシ基又はC−C18ヒドロキシアルコキシ基であり、a及びbは、互いに独立して、ゼロ又は1である)であるが、但しR及びRのうちの1つのみが、二価ラジカルであり;R−Rは、互いに独立して、水素、C−C10アルケン二価ラジカル、C−C10アルキル、又は−(R18−(X−R19であり、場合により、R及びRは、アルケン二価ラジカルを介して結合され、環を形成するが、但し、R−Rの少なくとも1つは、二価ラジカルであり;n及びmは、互いに独立して、0〜9の整数であるが、但し、nとmとの総数は、2〜9の整数であり;R10−R17は、互いに独立して、水素、C−C10アルケン二価ラジカル、C−C10アルキル、又は−(R18−(X−R19であり、pは、1〜3の整数であるが、但し、R10−R17の1つ又は2つのみが、二価ラジカルである]のエン含有基である、請求項22の液体組成物。
【請求項24】
第1の重合基が、式(IV)のケイ皮酸部分であるか、又は式(V)のジアルキルマレイミド基:
【化29】


[式中、R20−R25は、互いに独立して、水素、C−C10アルケン二価ラジカル、C−C10アルキル、又は−(R18−(X−R19(式中、R18は、C−C10アルケン二価ラジカル、Xは、エーテル結合(−O−)、ウレタン結合(−N)、ウレア結合、エステル結合、アミド結合又はカルボニルであり、R19は水素、単結合、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、C−C12アミノアルキル基、C−C18アルキルアミノアルキル基、C−C18カルボキシアルキル基、C−C18ヒドロキシアルキル基、C−C18アルキルアルコキシ基、C−C12アミノアルコキシ基、C−C18アルキルアミノアルコキシ基、C−C18カルボキシアルコキシ基又はC−C18ヒドロキシアルコキシ基であり、a及びbは、互いに独立して、ゼロ又は1である)であるが、但し、R21又はR25は、−NOであり、但し、R20−R25の1つ又は2つのみが、二価ラジカルであり;R26及びR27は、互いに独立して、水素又はC−C10アルキルであり、R28は、C−C10アルケン二価ラジカルである]である、請求項22記載の液体組成物。

【公表番号】特表2010−513954(P2010−513954A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541540(P2009−541540)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/087147
【国際公開番号】WO2008/076729
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】