説明

光透過性電極

【課題】電極パターンの視認性が低い光透過性電極を提供する。
【解決手段】光透過性基材1上の片面に、網目状導電部からなる大格子と、少なくとも1つの接続格子を有し隣接する大格子間を電気的に接続する接続部を少なくとも有する、2枚の光透過性導電材料3を重ねて作製される光透過性電極であって、2枚の光透過性導電材料はそれぞれの接続部の中心が略一致するように重ねられ、かつ少なくとも一方の光透過性導電材料が、前記重ねて作製された際の光透過性電極の接続部12内および/または大格子11と接続部に囲まれる部分に相当する位置に、細線の一部が断線され導通の取れない断線格子を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルに用いられる光透過性電極に関し、特に投影型静電容量方式タッチパネルに好適に用いられる光透過性電極に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)、ノートPC、OA機器、医療機器、あるいはカーナビゲーションシステム等の電子機器においては、これらのディスプレイに入力手段としてタッチパネルが広く用いられている。
【0003】
タッチパネルには、位置検出の方法により光学方式、超音波方式、静電容量方式、抵抗膜方式などがある。抵抗膜方式のタッチパネルは、光透過性導電材料と透明導電体層付ガラスとがスペーサーを介して対向配置されており、光透過性導電材料に電流を流し光透過性導電層付ガラスに於ける電圧を計測するような構造となっている。一方、静電容量方式のタッチパネルは、光透過性基材上に透明導電体層を有するものを基本的構成とし、可動部分がないことが特徴であり、高耐久性、高透過率を有するため、例えば車載用途等において適用されている。
【0004】
タッチパネル用途の透明電極(光透過性導電材料)としては、一般にITOからなる光透過性導電膜が光透過性基材上に形成されたものが使用されてきた。しかしながらITO導電膜は屈折率が大きく、光の表面反射が大きいため、全光線透過率が低下する問題や、可撓性が低いため屈曲した際にITO導電膜に亀裂が生じて電気抵抗値が高くなる問題があった。
【0005】
ITOに代わる光透過性導電膜を有する光透過性導電材料として、基板上に薄い触媒層を形成し、その上にレジストパターンを形成した後、めっき法によりレジスト開口部に金属層を積層し、最後にレジスト層およびレジスト層で保護された下地金属を除去することにより、導電性パターンを形成するセミアディティブ方法が、例えば特開2007−287994号公報、特開2007−287953号公報などに開示されている。
【0006】
また近年、銀塩拡散転写法を用いた銀塩写真感光材料を導電性材料前駆体として用いる方法も提案されている。例えば特開2003−77350号公報、特開2005−250169号公報や特開2007−188655号公報等では、光透過性基材上に物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層を少なくともこの順に有する導電性材料前駆体に、可溶性銀塩形成剤および還元剤をアルカリ液中で作用させて、金属銀パターンを形成させる技術が開示されている。この方式によるパターニングは均一な線幅を再現することができることに加え、銀は金属の中で最も導電性が高いため、他方式に比べ、より細い線幅で高い導電性を得ることができるので、全光線透過率が高く、かつ低抵抗な光透過性導電材料を得ることができる。また、さらにこの方法で得られた光透過性導電材料はITO導電膜よりも可撓性が高く折り曲げに強いという利点がある。
【0007】
投影型静電容量方式を用いたタッチパネルは、複数の電極が同一平面上にパターニングされた光透過性導電材料を2枚貼り合わせることでタッチセンサーを製造している。タッチパネルは通常作業者が画面を凝視し操作するため、全光線透過率の異なる部分があるとパターンが目に映ってしまう(視認性が高い)という問題があった。静電容量方式では横方向に電極を配列させた光透過性材料と縦方向に電極を配列された光透過性電極を重ねて用いるため、どうしても上下の電極に重なりが発生するため、重なった部分の全光線透過率が低くなり、パターンが目に映るという問題があった。また、投影型静電容量方式のタッチパネルにおいて、電極は比較的大型の正方形、あるいは菱形等からなる主電極部と、隣接する主電極部を電気的に接続する面積の小さい接続部とが、交互に繰り返される構造からなるものを用いられ、面積の小さな接続部が重なるよう2枚の光透過性導電材料を重ねるようにし、全光線透過率の異なる部分の面積を小さくすることが一般的になされているが、十分満足できるものではなく改善が求められていた。
【0008】
このような問題に対し、例えば特開2011−129501号公報(特許文献1)や特開2011−113149号公報(特許文献2)等では、主電極となる大格子を構成する小格子のn倍のピッチを有する中格子をジグザグ状に配列した導電シートが開示されている。しかしこの技術を用いた場合、上下の電極間で生じる重なりは改善されるものの、上下の電極間の頂点部においてパターンが存在しない微少点が生じることから、タッチパネルの画面にざらつき感が生じ、さらなる改善が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−129501号公報
【特許文献2】特開2011−113149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、投影型静電容量方式を用いたタッチパネルの光透過性電極として好適な、電極パターンの視認性が低い光透過性電極を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記課題は、以下の発明によって達成される。
(1)光透過性基材上の片面に、網目状導電部からなる大格子と、少なくとも1つの接続格子を有し隣接する大格子間を電気的に接続する接続部を少なくとも有する、2枚の光透過性導電材料を重ねて作製される光透過性電極であって、2枚の光透過性導電材料はそれぞれの接続部の中心が略一致するように重ねられ、かつ少なくとも一方の光透過性導電材料が、前記重ねて作製された際の光透過性電極の接続部内および/または大格子と接続部に囲まれる部分に相当する位置に、細線の一部が断線され導通の取れない断線格子を有することを特徴とする光透過性電極。
(2)光透過性基材の両面に、網目状導電部からなる大格子と、少なくとも1つの接続格子を有し隣接する大格子間を電気的に接続する接続部をそれぞれ有する光透過性電極であって、一方の面が有する接続部の中心と他方の面が有する接続部の中心が略一致するように配置され、かつ少なくとも一方の免状の接続部内および/または大格子と接続部に囲まれる部分に相当する位置に、細線の一部が断線され導通の取れない断線格子を有することを特徴とする光透過性電極。
(3)前記2枚の光透過型導電材料が有するそれぞれの接続部の大きさ、あるいは光透過性基材の一方の面と他方の面が有する接続部の大きさが異なり、かつ大きさが異なる接続部の形状が略相似形であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の光透過性電極。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、投影型静電容量方式を用いたタッチパネルの光透過性電極として好適な、電極パターンの視認性が低い光透過性電極を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】光透過性導電材料の大格子と接続部の繰り返し電極パターンの一例を示す説明図
【図2】図1の電極パターンを拡大した概略図
【図3】図2の電極パターンに断線格子を設けた電極パターンの一例
【図4】別の隣接格子を有する電極パターンの一例
【図5】図4に断線格子を加えた電極パターンの一例
【図6】光透過性電極の概略断面図の一例である。
【図7】本発明の光透過性電極の別の一例を示す断面図。
【図8】実施例1で用いたパターンの説明図
【図9】実施例2で用いたパターンの説明図
【図10】実施例3で用いたパターンの説明図
【図11】実施例4で用いたパターンの説明図
【図12】比較例1で用いたパターンの説明図
【図13】比較例2で用いたパターンの説明図
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず最初に、光透過性基材上の片面に、網目状導電部からなる大格子と、少なくとも1つの接続格子を有し隣接する大格子間を電気的に接続する接続部を少なくとも有する2枚の光透過性導電材料を重ねて作製される光透過性電極について詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の光透過性電極が有する、光透過性導電材料の大格子と接続部の繰り返し電極パターンの一例を示す説明図である。図1aは一方の光透過性導電材料が有する大格子と接続部の繰り返し電極パターンを示し、図1bは、もう一方の光透過性導電材料が有する大格子と接続部の繰り返し電極パターンを示し、図1cは図1aと図1bの電極パターンを有する光透過性導電材料を接続部の中心が略一致するように重ねた際の電極パターンを示す。
【0016】
図1aにおいて、大格子11と接続部12は光透過性基材1上に設けられており、網目状導電部からなる大格子11は、大格子11間を電気的に接続する接続部12により、縦方向に接続されている。一方、図1bにおいては、光透過性基材1上に設けられた網目状導電部からなる大格子11は、大格子11間を電気的に接続する接続部12により、横方向に接続されている。そして本発明の光透過性電極では、図1aの大格子11と接続部12の繰り返し電極パターンを有する光透過性導電材料3と、図1bの大格子11と接続部12の繰り返し電極パターンを有する光透過性導電材料3とが、それぞれの電極パターンの向きが直交するように、それぞれの接続部の中心が略一致するように重ね合わすことで、投影型静電容量方式を用いたタッチパネルに好適な光透過性電極が得られる。なお、図1cは重ね合わせた状態を示すものであるが図1bの繰り返し電極パターンを有する光導電材料は点線にて示した。
【0017】
図2は、図1の電極パターンを拡大した概略図であり、図2aは図1aの電極パターンを拡大した概略図、図2bは図1bの電極パターンを拡大した概略図、図2cは図1cの重ね合わせて得られる電極パターンを拡大した概略図をそれぞれ示す。図2aにおいて、大格子11は、複数の単位格子20を網目状に配置することによって構成される。単位格子20の形状としては、例えば正三角形、二等辺三角形、直角三角形などの三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形などの四角形、(正)六角形、(正)八角形、(正)十二角形、(正)二十角形などの(正)n角形、円、楕円、星形などを組み合わせた形状が挙げられ、またこれらの形状の単独の繰り返し、あるいは2種類以上の複数の形状の組み合わせが挙げられる。このような単位格子20を複数組み合わせることで、網目状導電部からなる大格子11が形成される。中でも単位格子20の形状としては正方形もしくは菱形であることが好ましく、また単位格子20は大格子11の外輪部の形と略相似形であるが好ましい。なお、ここで略相似形とは、後述するように、大格子11間を接続部12により電気的に接続する際、大格子11中に接続部12が陥入する形態であっても、この陥入に伴う大格子11の外輪部の形状の変化がなければ形状が相似である場合も包含する。
【0018】
単位格子20の細線幅は20μm以下が好ましく、1〜10μmがさらに好ましい。また単位格子20の細線間隔は500μm以下が好ましく、300μm以下がさらに好ましい。さらに単位格子20から構成される大格子11の開口率は85%以上が好ましく、88〜97%がさらに好ましい。
【0019】
本発明において接続部12は接続格子16単独で構成されていても良いし、もしくは接続格子16とそれに付属する隣接格子17から構成されていても良い。図2dは説明のため、図2aの接続部12のみ取り出した図で、図2eは図2bの接続部12のみ取り出した図である。図2dの場合、接続部17は接続格子16だけで構成されているが、図2eでは接続部12は1つの接続格子16と2つの隣接格子17から構成されている。本発明においてはこのように隣接する大格子11を電気的に接続する部分で、単位格子20から構成される大格子11に属さない部分は全て接続部12に属するものとする。
【0020】
次に、接続格子16について説明する。接続格子16の形状は、例えば正三角形、二等辺三角形、直角三角形などの三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形などの四角形、(正)六角形、(正)八角形、(正)十二角形、(正)二十角形などの(正)n角形、円、楕円、星形などを組み合わせた形状が挙げられ、またこれらの形状の単独の繰り返し、あるいは2種類以上の複数の形状の組み合わせが挙げられる。中でも正方形、もしくは菱形であることが好ましい。さらに接続格子16の形状は、前述した大格子11と略相似形であることも好ましい。
【0021】
本発明において2枚の光透過性導電材料は、それぞれの接続部12の中心が略一致するように重ねられる。図2aおよび図2bにおいて、接続部の中心点15は、接続部12によって電気的に接続される隣接した2つの大格子の中心点を結ぶ線13上に存在し、かつ2つの大格子の中心点14の中間に位置することが最も好ましいが、大格子11を構成する単位格子20の一辺の長さの20%以下の距離であれば、好ましくは10%以下の距離であれば、中間点15からずれていても良い。このことを本発明では略一致と記載する。
【0022】
接続格子16の一辺の長さは大格子11を構成する単位格子20のn倍(nは整数)の95〜105%の範囲であることが好ましい。図2cにおける2枚の光透過性導電材料を重ねた際の、隣接する大格子11間の距離18、19より、接続格子16の一辺の長さが大きい場合、例えば図2aのような場合、大格子11に接続格子16が陥入する形になり、大格子11の陥入された部分の単位格子は消去される。一方接続格子16の一辺の長さが隣接する大格子間の距離18、19以下の場合、例えば図2bのような場合、接続格子16に接する形で隣接格子17を設けることも、本発明の好ましい態様である。隣接格子17は単位格子20の一辺をm倍、別の一辺はn(m、nは整数で、m=nであってもなくても良い)倍した形であることが好ましいが、その一辺の長さは大格子11を構成する単位格子20のn倍(nは整数)の95〜105%の範囲であることが好ましい。図2bにおいて、隣接格子17は大格子11に陥入する形になるが、接続格子16の一辺の大きさが大格子間の距離18、19より大きい場合、接続格子16と大格子11の形状の関係と同様に、隣接格子17と重なる部分の大格子11を構成する単位格子20は消去される。接続格子16、隣接格子17の細線幅は20μm以下が好ましく、1〜10μmがさらに好ましく、さらに単位格子20の線幅の1〜2倍であることが好ましい。また、接続格子16、隣接格子17の一辺のみ、あるいは一辺の一部だけ、線幅を太くすることもできる。
【0023】
前述の通り図2cは図1cの電極パターンを拡大した図であるが、同時に図2aの電極パターンと図2bの電極パターンを重ねた図でもある。図2aに由来する接続格子16と図2bに由来する接続格子16の中心点15は大格子11を形成する単位格子の一辺の長さの20%以下のずれ、好ましくは10%以下のずれで略一致するように重ねられる。図2aに由来する接続格子16と図2bに由来する接続格子16の大きさは異なっているが、本発明においては、このように重なる2つの接続格子の大きさは異なることが好ましい。これにより、重なる電極パターンの視認性をより低下させることが可能となる。
【0024】
前述したように、図1cに示した、図1aと図1bの電極パターンを有する光透過性導電材料を接続部12の中心が略一致するように重ねた際の電極パターンでは、大格子11と接続部12に囲まれる部分が余白となる。この様子を拡大したものが図2fであり、さらに図2fを拡大したものが図2cとなる。図2c、図2fにおいてこの余白は、大格子と接続部に囲まれる余白部分21として示した。この大格子11と接続部12に囲まれる余白部分21が存在すると、この部分の全光線透過率が大格子11の全光線透過率と変わるために目につきやすくなり、電極パターンの視認性が低い光透過性電極は得られなくなる。
【0025】
図3は図2の電極パターンに断線格子を設けた電極パターンの一例である。図3aは図2cの電極パターンの、大格子と接続部に囲まれた余白部分21に相当する部分に断線格子を設けた電極パターンであり、図3b、図3dは図3aの電極パターンを得るために図2aの電極パターンに断線格子を導入した電極パターンの例であり、図3e、図3gは図3aの電極パターンを得るために図2bの電極パターンに断線格子を導入した電極パターンの例である。図3aにおいて、図2cの余白部分21に相当する部分に格子の一部が断線した、断線格子31が設けられている。断線格子31(図3において点線で示している)は線の一部が電気的に断線された細線からなり、大格子11同士、あるいは接続部12同士、あるいは大格子11と接続部12とを電気的に繋がらないように断線部が設けられていれば、どのように断線部が入っていても良い。断線格子31の細線幅は20μm以下が好ましく、1〜10μmがさらに好ましい。断線格子31の断線している部分の長さは30μm以下が好ましく、さらに15μm以下が好ましい。また断線部は細線に直交するように断線されていても良いし、あるいは斜めに断線されていても良い。また2枚の光透過性導電材料を重ねた際の、大格子11の開口率、接続部12の開口率、断線格子31の開口率の差は全て1%以内に収まることが好ましい。
【0026】
2枚の光透過性導電材料を重ねた際に図3aのような電極パターンを得る方法は多数の方法がある。このような電極パターンを得るための例として、例えば図3bと図3cのような電極パターンを略一致するよう重ねたり、あるいは図3dと図3eを略一致するよう重ねたり、あるいは図3fと図3gを略一致するよう重ねたりすることが挙げられる。これらの例で示されるように断線格子31は断線格子同士が重ならないように、かつ2枚の光透過性導電材料を重ねた際に大格子11を構成する単位格子20の95〜105%の大きさで、断線部を含む格子(断線格子)が形成されるようことが好ましい。
【0027】
図4は別の隣接格子を有する電極パターンの一例であるが、説明のため、断線格子は表示していない。図4aは図2aの電極パターンに別の隣接格子17を設けた電極パターンの例であり、図4bは図2bの電極パターンに別の隣接格子17を設けたパターンの例であり、さらに図4cは図4aの電極パターンと図4bの電極パターンを接続格子の中心が略一致するよう重ねた図である。これらに見られるように隣接格子17は接続部12が複数の経路で大格子11を電気的に接続するために設けられる。そのため、隣接格子17は接続格子16と他の隣接格子17とに接触するよう、あるいは接続格子16と大格子11とに接触するよう、あるいは他の隣接格子17とさらにまた他の隣接格子17とに接触するよう設けられることが好ましく、また接続格子16の中、あるいは他の隣接格子17の中に埋没する形で設けられても良い。図4dは説明のため、図4aの接続部12のみを取り出した図である。図4dには隣接格子17は171〜176まで合計6個ある。隣接格子171は大格子11(図示しない)と隣接格子172と接触するよう設けられ、隣接格子172は隣接格子171と大格子11(図示しない)、および隣接格子173と接触する様設けられている。隣接格子173と隣接格子174は2つそろって接続格子16を構成しており、これらは大格子11(図示しない)とそれぞれに隣接する隣接格子172、175と隣接するように設けられている。171〜176の隣接格子17は図4aの電極パターンと図4bの電極パターンを重ねた図4cの電極パターンのように、一枚の電極パターンに設けられた隣接格子17ともう一枚の電極パターンに設けられた隣接格子17とが互いに重ならないようすることが好ましい。なお、隣接格子17の線幅は前述の通りである。
【0028】
図5は図4の電極パターンに断線格子を加えた電極パターンの一例である。図5aの電極パターンと図5bの電極パターンとを重ねることで、一切の線が重ならないような電極パターン図5cを作製することができる。
【0029】
図6は、光透過性導電材料を2枚重ねて作製する光透過性電極の概略断面図の一例である。本発明の光透過性電極100は光透過性導電性材料3を接着剤層2を介して2枚重ねて作製される。接着剤層2を構成する接着剤としては、公知の粘着剤、例えばアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤や、あるいは熱可塑性樹脂、例えばEVAやPVB、ウレタン系ホットメルト接着剤、熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂や熱硬化性ウレタン樹脂、紫外硬化型樹脂、例えばアクリル系紫外線硬化樹脂、エポキシ系紫外線硬化樹脂など公知のものを用いることができる。光透過性導電材料3を重ねる向きとしては、図6aに示すように光透過性導電材料3の裏(導電部61のない面)と表(導電部61のある面)、図6bに示すように光透過性導電材料3の裏と裏、図6cに示すように光透過性導電材料3の表と表のいずれの向きでも重ねることができる。
【0030】
本発明の光透過性導電材料に用いる光透過性基材としては、プラスチック、ガラス、ゴム、セラミックス等が好ましく用いられる。これら光透過性基材は全光線透過率が60%以上である光透過性基材が好ましい。プラスチックの中でも、フレキシブル性を有する樹脂フィルムは、取扱い性が優れている点で好適に用いられる。光透過性基材として使用される樹脂フィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂等からなる樹脂フィルムが挙げられ、その厚さは50〜300μmであることが好ましい。光透過性基材には易接着層など公知の層が設けられていても良い。さらに光透過性基材には物理現像核層など公知の層を設けることができる。
【0031】
導電部61は金属、特に金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、およびこれらの複合材からなることが好ましい。これら導電部61を形成する方法としては、銀塩感光材料を用いる方法、同方法を用いさらに得られた銀画像に無電解めっきや電解めっきを施す方法、スクリーン印刷法を用いて銀ペーストなどの導電性インキを印刷する方法、銀インクなどの導電性インクをインクジェット法で印刷する方法、無電解めっき等で銅などの金属からなる導電性層を形成する方法、あるいは蒸着やスパッタなどで導電性層を形成し、その上にレジスト膜を形成し、露光、現像、エッチング、レジスト層除去することで得る方法、銅箔などの金属箔を貼り、さらにその上にレジスト膜を形成し、露光、現像、エッチング、レジスト層除去することで得る方法など、公知の方法を用いることができる。中でも導電部61の厚みが薄くでき、さらに導電部61の線幅を微細にすることが容易な銀塩拡散転写法を用いることが好ましい。銀塩拡散転写法としては例えば特開2003−77350号公報や特開2005−250169号公報に記載されている。これらの手法で作製した導電部61の厚みは薄すぎるとタッチパネルとして必要な導電性を確保し難くなる。よって、その厚みは0.05〜5μmが好ましく、より好ましくは0.1〜1μmである。
【0032】
本発明において光透過性導電材料3は光透過性基材1とその上に位置する導電部61以外にも、ハードコート層、反射防止層、粘着層、防眩層など公知の層を電極パターンの上(光透過性基材から遠い側)、あるいは光透過性基材の電極パターンとは反対の側に設けることができる。
【0033】
次に光透過性基材の両面上に網目状導電部からなる大格子と、隣接する大格子を電気的に接続する接続部とを少なくとも有し、表裏の接続部が重なるように設けられて作製される光透過性電極について説明する。
【0034】
図7は本発明の光透過性電極の別の一例を示す断面図である。本発明の光透過性電極100は光透過性基材1として、前述の2枚の光透過性導電材料を重ねて製作された光透過性電極(以下2枚ものと記述する)が有する光透過性基材と同様の光透過性基材を用いることができる。光透過性基材1にはやはり2枚ものと同様に、物理現像核層、易接着層、接着剤層など公知の層を設けることができる。
【0035】
図7において導電部71、72は金属、特に金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、およびこれらの複合材からなることが好ましい。これら導電部71を形成する方法としては前述した導電部61と同様の方法を用いる。また、中でも導電部71、72の厚みが薄くでき、さらに導電部71、72の線幅を微細にすることが容易な銀塩拡散転写法を用いることが好ましい。しかしながら2枚ものと異なり、一枚ものでは光透過性基材の両面に導電部を設けることが必要となるが、片面の導電部71を上記方法で作成し、続いて残る片面の導電部72を同じ方法あるいは、別の公知の方法で導電部を設けることで両面に導電部を設けることができる。特に工程中に露光工程の入る製造法、例えば、蒸着やスパッタなどで導電性層を形成し、その上にレジスト膜を形成し、露光、現像、エッチング、レジスト層除去することで得る方法、銅箔などの金属箔を貼り、さらにその上にレジスト膜を形成し、露光、現像、エッチング、レジスト層除去することで得る方法、銀塩拡散転写法を用いる方法、白黒銀塩写真法を用いる方法などにおいては、露光を行う際には、ピンバーを用いて上下面の相対的位置精度を上げることが可能となるため好ましい。これらの手法で作製した導電部72の厚みは薄すぎるとタッチパネルとして必要な導電性を確保し難くなる。よって、その厚みは0.05〜5μmが好ましく、より好ましくは0.1〜1μmである。
【0036】
図7の光透過性電極100は光透過性基材1とその上に位置する導電部71、72以外にも、ハードコート層、反射防止層、粘着層、防眩層など公知の層を電極パターンの上(光透過性基材から遠い側)に設けることができる。
【実施例】
【0037】
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0038】
<実施例1>
光透過性基材として、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。この光透過性基材の全光線透過率は91%であった。
【0039】
次に下記処方に従い、物理現像核層塗液を作製し、光透過性基材上に塗布、乾燥して物理現像核層を設けた。
【0040】
<硫化パラジウムゾルの調製>
A液 塩化パラジウム 5g
塩酸 40ml
蒸留水 1000ml
B液 硫化ソーダ 8.6g
蒸留水 1000ml
A液とB液を撹拌しながら混合し、30分後にイオン交換樹脂の充填されたカラムに通し硫化パラジウムゾルを得た。
【0041】
<物理現像核層塗液の調製>各1mあたり
前記硫化パラジウムゾル 0.4mg
2質量%グリオキザール水溶液 0.2ml
界面活性剤(S−1) 4mg
デナコールEX−830 50mg
(ナガセケムテックス(株)製ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル)
10質量%SP−200水溶液 0.5mg
((株)日本触媒製ポリエチレンイミン;平均分子量10,000)
【0042】
続いて、光透過性基材に近い方から順に下記組成の中間層、ハロゲン化銀乳剤層、および保護層を上記物理現像核液層の上に塗布、乾燥して、銀塩感光材料1を得た。ハロゲン化銀乳剤は、写真用ハロゲン化銀乳剤の一般的なダブルジェット混合法で製造した。このハロゲン化銀乳剤は、塩化銀95モル%と臭化銀5モル%で、平均粒径が0.15μmになるように調製した。このようにして得られたハロゲン化銀乳剤を定法に従いチオ硫酸ナトリウムと塩化金酸を用い、金イオウ増感を施した。こうして得られたハロゲン化銀乳剤は銀1gあたり0.5gのゼラチンを含む。
【0043】
<中間層組成/1mあたり>
ゼラチン 0.5g
界面活性剤(S−1) 5mg
染料1 0.1g
【0044】
【化1】

【0045】
【化2】

【0046】
<ハロゲン化銀乳剤層1組成/1mあたり>
ゼラチン 0.5g
ハロゲン化銀乳剤 3.0g銀相当
1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール 3mg
界面活性剤(S−1) 20mg
【0047】
<保護層1組成/1mあたり>
ゼラチン 1g
不定形シリカマット剤(平均粒径3.5μm) 10mg
界面活性剤(S−1) 10mg
【0048】
図1aのパターンを有する透過原稿であって、大格子11と接続部12とが電気的に接続される部分には図8aのパターンを、大格子11が接続部12とが電気的に接続されない部分には図8cのパターンを有する透過原稿A1と、図1bのパターンを有する透過原稿であって、大格子11が接続部12とが電気的に接続される部分には図8bのパターンを、大格子11が接続部12とが電気的に接続されない部分には図8dのパターンを有する透過原稿B1をそれぞれ準備した。
【0049】
透過原稿A1およびB1において、大格子11は一辺の長さが0.25mmの正方形からなる単位格子20から構成され、大格子11は一辺の長さが5mmの正方形であり、これらの大格子11および単位格子20は幅7μmの細線により構成されている。また断線格子31は一辺の長さが0.25mmの正方形および長さ0.25mmの辺を有し、これらは幅8μmの細線により構成されている。なお断線格子31は67.5μm毎に10μmの断線部を有する。
【0050】
透過原稿A1の接続部12は、図8aに示すように一辺の長さが1mmの正方形(線幅7μm)である接続格子16単独からなる。一方、図8bに示すように透過原稿B1の接続部12は、一辺の長さが0.5mmの正方形(線幅7μm)である接続格子16と、同様の形状をした2つの隣接格子17からなる。
【0051】
上記のようにして得られた銀塩感光材料1のハロゲン化銀乳剤層を有する面と透過原稿A1のパターンを有する側の面を密着し、水銀灯を光源とする密着プリンターを用いて、400nm以下の波長の光をカットする樹脂フィルターを介して露光した。また銀塩感光材料1と透過原稿B1を密着して同様に露光した。なお、後述する実施例および比較例についても露光する際に密着させる面は実施例1と同様である。
【0052】
その後、下記拡散転写現像液中に20℃で60秒間浸漬した後、続いてハロゲン化銀乳剤層、中間層、B1と同様のパターンを銀パターンとして有する光透過性導電材料1aと1bを得た。なお、得られた光透過性導電材料の線幅、線間隔は透過原稿A1とB1と全く同じ形状、線幅の画像であった。
【0053】
<拡散転写現像液組成>
水酸化カリウム 25g
ハイドロキノン 18g
1−フェニル−3−ピラゾリドン 2g
亜硫酸カリウム 80g
N−メチルエタノールアミン 15g
臭化カリウム 1.2g
全量を水で1000ml
pH=12.2に調整する。
【0054】
得られた光透過性導電材料1aおよび1bを、接続部12の中心が一致するよう、MHM−FW25(日栄化工(株)製基材レス両面粘着テープ)を用い、光透過性導電材料の向きが図6aのようになるよう貼合して、光透過性電極1を得た。なお光透過性電極1において、大格子11と接続部12とが電気的に接続される部分の拡大図を図8eに示した。また大格子11が接続部12と電気的に接続されない部分の拡大図を図8fに示した。
【0055】
<実施例2>
大格子11と接続部12とが電気的に接続される部分には図9aのパターンを、大格子11と接続部12とが電気的に接続されない部分には図8cのパターンを有する以外は実施例1で用いたのと同じ透過原稿A2と、大格子11と接続部12と電気的に接続される部分には図9bのパターンを、大格子11と接続部12とが電気的に接続されない部分には図8dのパターンを有する以外は実施例1で用いたのと同じ透過原稿B2を用いる以外は実施例1と同様にして、光透過性電極2を得た。
【0056】
透過原稿A2およびB2において、単位格子20、および断線格子31は透過原稿A1およびB1の単位格子20、断線格子31と同じ線幅、線間隔、断線方法を有する。
【0057】
透過原稿A2の接続部12は、一辺の長さが0.5mmの正方形(線幅7μm)である接続格子16と、同様の形状をした2つの隣接格子17からなる。透過原稿B2の接続部12は、一辺の長さが0.5mmの正方形(線幅7μm)である接続格子16と、同様の形状をした2つの隣接格子17からなる。また光透過性電極2において、大格子11と接続部12とが電気的に接続される部分の拡大図を図9cに示した。なお、大格子11が接続部12と電気的に接続されない部分の拡大図を図8fに示した。
【0058】
<実施例3>
大格子11と接続部12とが電気的に接続される部分には図10aのパターンを、大格子11と接続部12とが電気的に接続されない部分には図10cのパターンを有する以外は実施例1で用いたのと同じ透過原稿A3と、大格子11と接続部12とが電気的に接続される部分には図10bのパターンを、大格子11と接続部12とが電気的に接続されない部分には図10dのパターンを有する以外は実施例1で用いたのと同じ透過原稿B3を用いる以外は実施例1と同様にして、光透過性電極3を得た。
【0059】
透過原稿A3およびB3において、単位格子20、および断線格子31は透過原稿A1およびB1の単位格子20、断線格子31と同じ線幅、線間隔、断線方法を有する。
【0060】
透過原稿A3の接続部12は、一辺の長さが0.25mmの正方形(線幅7μm)である接続格子16とそれに隣接する2つの一辺0.5mmの正方形(線幅7μm)の隣接格子17からなる。一方、透過原稿B3の接続部12は、一辺の長さが0.75mmの正方形(線幅7μm)である接続格子16単独からなる。なお、光透過性電極3において、大格子11と接続部12とが電気的に接続される部分の拡大図を図10eに示した。また大格子11と接続部12とが電気的に接続されない部分の拡大図を図10fに示した。
【0061】
<実施例4>
大格子11と接続部12とが電気的に接続される部分には図11aのパターンを、大格子11と接続部12とが電気的に接続されない部分には図11cのパターンを有する以外は実施例1で用いたのと同じ透過原稿A4と、大格子11と接続部12とが電気的に接続される部分には図11bのパターンを、大格子11と接続部12とが電気的に接続されない部分には図11dのパターンを有する以外は実施例1で用いたのと同じ透過原稿B4を用いる以外は実施例1と同様にして、光透過性電極4を得た。
【0062】
透過原稿A4およびB4において、単位格子20、および断線格子31は透過原稿A1およびB1の単位格子20、断線格子31と同じ線幅、線間隔、断線方法を有する。
【0063】
透過原稿A4の接続部12は、一辺の長さが0.75mmの正方形(線幅7μm)である接続格子16(0.25mm×0.75mmの長方形の隣接格子(線幅7μm)3つからなる)とそれに隣接する一辺の長さが0.5mmの隣接格子17(線幅7μm)2ヶ、さらにこの隣接格子と接続格子に接触する0.25mm×0.5mmの隣接格子2ヶ、この隣接格子に隣接する0.25mm×0.25mmの隣接格子2ヶからなる。一方、透過原稿B4の接続部12は、一辺の長さが1.25mmの正方形(線幅7μm)である接続格子16(0.5mm×1.25mmの長方形(線幅7μm)が2つと0.25mm×1.25mmの長方形(線幅7μm)1つからなる)と、接続格子16並びに大格子11を電気的に接続する一辺の長さが0.25mmの隣接格子17(線幅7μm)が合計8ヶからなる。また光透過性電極4において、大格子11と接続部12とが電気的に接続される部分の拡大図を図11eに示した。また大格子11と接続部12とが電気的に接続されない部分の拡大図を図11fに示した。
【0064】
<比較例1>
大格子11と接続部12とが電気的に接続される部分には図12aのパターンを、大格子11と接続部12とが電気的に接続されない部分には図12cのパターンを有する以外は実施例1で用いたのと同じ透過原稿A5と、大格子11と接続部12とが電気的に接続される部分には図12bのパターンを、大格子11と接続部12とが電気的に接続されない部分には図12dのパターンを有する以外は実施例1で用いたのと同じ透過原稿B5を用いる以外は実施例1と同様にして、比較1の光透過性電極を得た。
【0065】
透過原稿A5およびB5において、単位格子20は透過原稿A1およびB1の単位格子20と同じ線幅、線間隔を有する。
【0066】
透過原稿A5、B5の接続部12は、一辺の長さが0.5mmの正方形(線幅7μm)である接続格子16がジグザグに配置されてなる。なお、比較1の光透過性電極において、大格子11と接続部12とが電気的に接続される部分の拡大図を図12eに示した。また大格子11と接続部12とが電気的に接続されない部分の拡大図を図12fに示した。
【0067】
<比較例2>
大格子11と接続部12とが電気的に接続される部分には図13aのパターンを、大格子11と接続部12とが電気的に接続されない部分には図13cのパターンを有する以外は実施例1で用いたのと同じ透過原稿A6と、大格子11と接続部12とが電気的に接続される部分には図13bのパターンを、大格子11と接続部12とが電気的に接続されない部分には図13dのパターンを有する以外は実施例1で用いたのと同じ透過原稿B6を用いる以外は実施例1と同様にして、比較2の光透過性電極を得た。
【0068】
透過原稿A6およびB6において、単位格子20は透過原稿A1およびB1の単位格子20と同じ線幅、線間隔を有する。
【0069】
透過原稿A6、B6の接続部12は、一辺の長さが0.5mmの正方形(線幅7μm)である接続格子16がジグザグに配置されてなる。なお、比較2の光透過性電極において、大格子11と接続部12とが電気的に接続される部分の拡大図を図13eに示した。また大格子11と接続部12とが電気的に接続されない部分の拡大図を図13fに示した。
【0070】
得られた光透過性電極1〜4、および比較1、2の光透過性電極の視認性を確認した。パターンがはっきり判るものを1、少し見れば判るものを2、良く見れば判るものを3、注視しないと判らないものを4、全く判らないものを5とした。結果を表1に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
表1の結果から、本発明の有効性が良く判る結果となった。
【0073】
<実施例5>
光透過性基材として実施例1で用いたポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。
【0074】
次に実施例1で用いた物理現像核層塗液を作製し、光透過性基材上に塗布、乾燥して物理現像核層を設けた。
【0075】
続いて、光透過性基材に近い方から順に実施例1で用いた中間層、ハロゲン化銀乳剤層、および保護層を上記物理現像核液層の上に塗布、乾燥して、銀塩感光材料を得た。
【0076】
このようにして得た銀塩感光材料と、透過原稿A1とをピンバーにて固定、密着し、水銀灯を光源とする密着プリンターで254nmの光のみを透過する樹脂フィルターを介して露光した。
【0077】
その後、実施例1で用いた拡散転写現像液中に20℃で60秒間浸漬した後、続いてハロゲン化銀乳剤層、中間層、および保護層を40℃の温水で水洗除去し、乾燥処理した。こうして光透過性基材上に厚み0.1μmの銀パターンを得た。
【0078】
上記のようにして得られた銀パターンとは反対側の面の光透過性基材に実施例1と、同様の方法にて物理現像核層を設け、さらに中間層、ハロゲン化銀乳剤層、保護層をこの順に塗布した。このようにして作製した銀塩感光材料と、画像が透過原稿B1の鏡像になる透過原稿B6を、先に得た銀パターンが有する接続部の中心点15と透過原稿B1が有する接続部の中心点15が一致し接続部が図8eのようになるよう、大格子の接続部に接続されていない部分が図8fのようになるようにピンバーにて固定、密着し、水銀灯を光源とする密着プリンターで254nmの光のみを透過する光をカットする樹脂フィルターを介して露光した。なお、この銀パターンは透過原稿A1と同様の線幅の銀パターンである。
【0079】
その後、上記拡散転写現像液中に20℃で60秒間浸漬した後、続いてハロゲン化銀乳剤層、中間層、および保護層を40℃の温水で水洗除去し、乾燥処理した。こうして先に設けた銀パターンとは異なるパターン(厚み0.1μm)を、光透過性基材の反対面側に有する光透過性電極5を得た。光透過性電極5の視認性は光透過性電極1と同様にパターンは全く判らなかった。
【符号の説明】
【0080】
1 光透過性基材
2 接着剤層
3 光透過性導電材料
11 大格子
12 接続部
13 2つの大格子の中心点を結ぶ線
14 大格子の中心点
15 接続部の中心点
16 接続格子
17 隣接格子
18、19 隣接する大格子の距離
20 単位格子
21 大格子と接続部に囲まれる余白部分
31 断線格子
41 補助接続細線
61、71、72 導電部
171、172、173、174、175、176 別の隣接格子
100 光透過性電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性基材上の片面に、網目状導電部からなる大格子と、少なくとも1つの接続格子を有し隣接する大格子間を電気的に接続する接続部を少なくとも有する、2枚の光透過性導電材料を重ねて作製される光透過性電極であって、2枚の光透過性導電材料はそれぞれの接続部の中心が略一致するように重ねられ、かつ少なくとも一方の光透過性導電材料が、前記重ねて作製された際の光透過性電極の接続部内および/または大格子と接続部に囲まれる部分に相当する位置に、細線の一部が断線され導通の取れない断線格子を有することを特徴とする光透過性電極。
【請求項2】
光透過性基材の両面に、網目状導電部からなる大格子と、少なくとも1つの接続格子を有し隣接する大格子間を電気的に接続する接続部をそれぞれ有する光透過性電極であって、一方の面が有する接続部の中心と他方の面が有する接続部の中心が略一致するように配置され、かつ少なくとも一方の免状の接続部内および/または大格子と接続部に囲まれる部分に相当する位置に、細線の一部が断線され導通の取れない断線格子を有することを特徴とする光透過性電極。
【請求項3】
前記2枚の光透過型導電材料が有するそれぞれの接続部の大きさ、あるいは光透過性基材の一方の面と他方の面が有する接続部の大きさが異なり、かつ大きさが異なる接続部の形状が略相似形であることを特徴とする請求項1または2記載の光透過性電極。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−105255(P2013−105255A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247624(P2011−247624)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】