説明

光量調節装置、レンズ鏡筒および撮像装置

【課題】光軸方向の厚み方向の薄型化および小径化を達成する。
【解決手段】少なくとも一つの羽根部材205,206と、羽根部材を光軸と直交する方向に開閉させて、通過光束量を変化させる駆動手段210とを有し、羽根部材が第1および第2の光学部材101,201の間に配置される光量調節装置において、前記羽根部材の少なくとも一部は曲面形状をしており、該曲面形状は、前記第1の光学部材と第2の光学部材の少なくとも一方の前記羽根部材側の曲面形状と略同形状としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絞り装置等の光量調節装置や、該光量調節装置を有するレンズ鏡筒や、これらの装置を具備した撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラなどの撮影装置の小型化が進められている。特に撮影時にカメラボディからレンズ部を繰り出してレンズ間隔が所定の位置となるように動作させる構成のレンズ鏡筒では、薄型化を図る為に、撮影時以外はレンズ間隔を極力接近させてカメラボディに収納するようにしている。また、光学系内に配置される絞りやシャッタ装置については、前後のレンズとの距離を極力短くするように収納されている。更にカメラの薄型化を進めるためにはレンズ枚数を減らすことが考えられるが、光学系の緒収差を抑えることが難しく、光学性能を悪化させていた。
【0003】
そこで、特開2001−281513号公報(特許文献1)では、絞り羽根が閉じた時の変形方向に着目し、変形により空いたスペースにレンズ曲面が食い込むようにし、レンズ鏡筒の沈胴時の厚みを薄くする技術が提案されている。また、特許第3496667号公報(特許文献2)では、非撮影時には絞り羽根やシャッタ羽根を全開させ、開口部にレンズを収納することで、レンズ鏡筒の沈胴時の厚みを薄くする技術が提案されている。また、特開2003−315861号公報(特許文献3)では、レンズ収納時にレンズの一部を撮影光路外へ退避させてレンズ鏡筒の沈胴時の厚みを薄くする技術が提案されている。
【特許文献1】特開2001−281513号公報
【特許文献2】特許第3496667号公報
【特許文献3】特開2003−315861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1に提案された装置においては、絞り羽根を積極的に変形させるものではなく、変形量を大きくしてしまうと本来の絞り羽根の機能に影響を与えてしまう恐れがあり、沈胴厚を大幅に薄くするといった効果は少ないという問題があった。
【0005】
また、上記の特許文献2に提案された装置においては、非撮影時にレンズを完全に絞り開口内に沈胴させる為には必要以上に羽根を光路外に退避させる必要がある。そのため、羽根退避スペースが必要となり、レンズ鏡筒の外径が大きくなってしまっていた。更に非撮影時に光路を遮蔽する羽根が無い為にバリア等別の遮蔽部材を具備してその光路を塞ぎ、フィルムが感光したり、CCD等のセンサが故障することを防止したりする必要があるという問題があった。
【0006】
また、上記の特許文献3に提案された装置においては、沈胴長は短縮できるものの、鏡筒径が大きくなることは避けられず、更に退避構造部品のガタ等により性能に影響が出る恐れがあるという問題があった。
【0007】
(発明の目的)
本発明の目的は、光軸方向の厚み方向の薄型化および小径化を達成することのできる光量調節装置、レンズ鏡筒および撮像装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも一つの羽根部材と、前記羽根部材を光軸と直交する方向に開閉させて、通過光束量を変化させる駆動手段とを有し、前記羽根部材が第1および第2の光学部材の間に配置される光量調節装置において、前記第1の光学部材の一部に前記第2の光学部材が入り込んだ状態で、前記第1の光学部材と前記第2の光学部材の間に前記羽根部材が配置される光量調節装置とするものである。
【0009】
同じく上記目的を達成するために、本発明は、上記の光量調節装置を具備したレンズ鏡筒とするものである。
【0010】
同じく上記目的を達成するために、本発明は、上記のレンズ鏡筒を具備した撮像装置とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光軸方向の厚み方向の薄型化および小径化を達成することができる光量調節装置、レンズ鏡筒または撮像装置を提供できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例に示す通りである。
【実施例】
【0013】
図1は本発明の一実施例に係わる絞り装置が組み込まれたデジタルスチルカメラに用いられるレンズ鏡筒の沈胴時を示す断面図である。
【0014】
1群レンズ101は1群レンズ枠102に固定されており、1群レンズ枠102の外周部には図示しないカムピンが3方向に突出していて、カム筒502に形成されたカム溝に係合されている。1群レンズ101の像面側には、複数の絞り羽根203〜206(203,204は図1では不図示。図3参照)、および、この絞り羽根203〜206の光軸方向への移動を規制するカバー板211が、2群レンズ枠207を基板として取り付けられている。さらに、絞り羽根203,204,205,206を駆動する絞りリング208、この絞りリング208を回転駆動するモータ210、および、モータギヤ209が、2群レンズ枠207を基板として取り付けられている。そして、これらにより絞り装置が構成されている。詳細は図3を用いて説明する。
【0015】
2群レンズ枠207には絞り羽根203〜206より撮像面側に、被写体側から順に2群レンズA201、2群レンズB202が固定されている。また、2群レンズ枠207の外周部には、図示しないカムピンが3方向に突出しており、カム筒502に形成されたカム溝に係合されている。1群レンズ枠102および2群レンズ枠207とカム筒502の間に、それぞれのカムピンを嵌合させる光軸方向に直進案内するための直進溝を備えた直進筒503がある。そして、この直進筒503がカム筒502を図示しない駆動源により光軸周りに回転させることにより、1群レンズ枠102および2群レンズ枠207が上記カム溝と直進溝に案内され、所定の位置まで光軸方向に直進移動しながら繰り出し動作が行われるようになっている。
【0016】
また、2群レンズ枠207には3群レンズ301を備えた3群レンズ枠302が移動可能に備えられており、2群レンズ(2群レンズA201、2群レンズB202)と共に光軸方向へ移動可能である。2群レンズ枠207上には、3群レンズ枠302を駆動するための図示しないモータおよび光軸方向への移動をガイドするためのガイドバーが備えられ、2群レンズとの間隔を変える事ができるようになっている。なお、3群レンズ枠302を駆動するモータを利用して焦点位置を調節することも可能となっている。
【0017】
図2は、撮影可能状態に各レンズの間隔をとった状態を示すレンズ鏡筒の断面図である。このとき、1群レンズ101と2群レンズA201との間隔が広がることにより、絞り羽根203〜206は全開動作が可能になっており、撮影光束がCCD402に入射可能となる。
【0018】
上記構成において、撮影開始信号により絞り羽根203〜206を所定の位置まで駆動し、適正露光量となるように制御した後、CCD402に電荷が蓄積され、撮影が行われる。尚、電荷蓄積時間についてはCCD402に備えられた電子シャッタ機能により制御される例を想定しているが、本実施例の絞り羽根を全閉動作可能な形状とし、メカシャッタとして流用しても良い。また、メカ部品で構成されるシャッタを別途レンズ鏡筒内に備えるようにしても良い。
【0019】
次に、絞り羽根203〜206の動作および形状について説明する。本実施例においては、絞り羽根203〜206の被写体側に配置される1群レンズ101の撮像面側は凹面形状となっており、絞り羽根203〜206の撮像面側に配置される2群レンズA201の物体側は凸面となっている。1群レンズ101と2群レンズA201を接近させたときに生じる空間は曲面の空間となることから、この曲面空間に這わせるように絞り羽根203〜206の一部を曲面形状に形成している。尚、絞り羽根203〜206の材質は特に限定されるものではない。例えば、近年樹脂による薄肉成型技術が確立されてきたことにより、曲面部も含め一体的に樹脂で成型しても良いし、金属の薄板を絞り加工等により曲面部を形成したものでも良い。
【0020】
図2に示すように、撮影時には1群レンズ101が2群レンズA201から遠ざかるようにその間隔が広がるため、絞り羽根203〜206は光軸に垂直な平面内で直線的に移動してもレンズ枠やレンズと干渉することが無い。
【0021】
尚、絞り装置と2群レンズ枠207を分離し、撮影時に絞り装置と2群レンズが光軸方向に対して重複することがないように、2群レンズ枠207も絞り装置から遠ざけるようにすることもできる。この場合、絞り羽根203〜206の作動可能範囲が広がり、光軸に垂直な平面内の直線動作に限定されず、回転移動も可能となる。
【0022】
電源OFF信号などにより、レンズ鏡筒の沈胴動作が開始された場合、図2のように絞り羽根203〜206が全開のまま沈胴動作すると、絞り羽根203〜206と1群レンズ枠102が干渉し、沈胴長を短くできない。このため、絞り羽根203〜206を最小絞り状態若しくは全閉状態としてから1群レンズ101と2群レンズA201を接近させるようにする。これにより、絞り羽根203〜206を配置できる曲面空間を最小限残しつつ、1群レンズ101の凹面に2群レンズの凸面が入り込むようにすることができ、沈胴厚みを最も薄くすることができる。
【0023】
図10は、本実施例に係わる絞り装置を、従来の絞り装置に置き換えて、図1と同様の沈胴状態を示すレンズ鏡筒の従来例である。
【0024】
絞り羽根703〜706はいずれも平面形状であり、絞りリング708の回転駆動により光軸に垂直な平面内を移動し、撮影光量を制御するものである。絞り羽根703〜706より被写体側にある1群レンズ101と撮像面側にある2群レンズA201の間隔は少なくとも、1群レンズ101の固定部102aと、カバー板711と、絞り羽根703〜706の作動空間と、絞りリング708の光軸方向の厚みを合計した量が必要となっている。図1の本実施例によるレンズ鏡筒の沈胴長に比べ、厚くなってしまうことは避けられない。
【0025】
次に、本実施例における絞り装置について説明する。
【0026】
図3は絞り装置の分解斜視図である。絞り装置は、被写体側より、カバー板211、絞り羽根203〜206、絞りリング208、2群レンズ枠207、駆動モータ210、および、モータギヤ209が配置されて成る。駆動モータ210の駆動力を伝達する為のモータギヤ209は、絞りリング208の外周部に構成されたギヤ部208eと歯車連結している。そして、駆動モータ210の通電により、絞りリング208が光軸中心に回転する。
【0027】
絞りリング208には円弧状のカム溝部208a,208b,208c,208dが構成されており、このカム溝部208a〜208dにそれぞれ絞り羽根203〜206に設けられた軸部203a,204a,205a(不図示),206a(不図示)が嵌合される。また、それぞれの絞り羽根203〜206には、被写体側に二つの軸部203b,204b,205b,206bも設けられている。そして、それぞれカバー板211に設けられた直線形状の溝部211a,211b,211c,211dに嵌合される。
【0028】
駆動モータ210への通電により、絞りリング208が光軸周りに回転すると、それぞれの絞り羽根203〜206はカバー板211に設けられた直線形状の溝部211a〜211dにガイドされ、光軸に垂直な平面上を直線移動する。
【0029】
図4〜図6は絞り羽根203〜206の動作の状態を示す斜視図であり、同じく図7〜図9は絞り羽根203〜206の動作状態を示す平面図である。
【0030】
絞り羽根203と204は光軸に垂直な同一平面内に配置されているが、それぞれが重なることが無い形状となっている。更に移動量が略同じになるように絞りリング208に構成されたカム溝部208aと208bの形状が光軸を中心とした点対称に略同一形状となっている。そして、絞りリング208の右回転により、被写体側から見て絞り羽根203は右方向に、絞り羽根204は左方向に、それぞれ同じ移動量だけ絞り開口を開放する方向へ移動する。
【0031】
また、絞り羽根205と206は、絞り羽根203,204より撮像面側の光軸に垂直な同一平面内に配置されているが、それぞれが重なることが無い形状となって配置されている。また、絞り羽根205と206の移動量が略同じになるように絞りリング208に構成されたカム溝部208cと208dの形状が光軸を中心とした点対称に略同一形状となっている。そして、絞りリング208の右回転により、被写体側から見て絞り羽根205は上方向に、絞り羽根206は下方向に、それぞれ同じ移動量だけ絞り開口を開放する方向へ移動する。このとき、絞りリング208のカム溝部208a(208b)と208c(208d)が同一形状であると、四つの絞り羽根203〜206の移動量が略同一となり、それぞれの絞り羽根203〜206に形成された曲面部同士が干渉してしまう。
【0032】
そこで、絞りリング208のカム溝部208a(208b)と208c(208d)の形状を異ならせ、カム溝部208a(208b)による移動量の方がカム溝部208c(208d)の移動量より多くなるようにしている。また、これとともに、絞り羽根205,206を覆っている、左右方向へ作動する絞り羽根203,204を絞り羽根205,206より先行して作動するようにして、絞り羽根203〜206の曲面部同士が干渉しないようにしている。
【0033】
従って、絞りリング208の右回転により光軸に対して略90°位相のずれた位置に配置された4枚の絞り羽根203〜206はそれぞれが干渉することなく開口部を開放するように動作が可能となっている(図4〜図9参照)。また、図示しない位置センサにより絞りリング208の回転位置を検知し、モータの駆動量を制御することにより開口部の開口量を制御することが可能となっている。
【0034】
また、沈胴時若しくは露光量を減少させるための開口部の閉鎖動作時には、絞りリング208を左回転することにより、それぞれの絞り羽根203〜206の曲面部同士が干渉することなく、開口部の閉鎖動作が可能となっている。
【0035】
上記実施例の絞り装置によれば、絞り羽根203〜206は曲面形状を有し、この絞り羽根203〜206の曲面形状は、1群レンズ101と2群レンズA201の少なくとも一方の絞り装置側の曲面形状と略同じである。この構成によれば、沈胴時にレンズ曲面と絞り羽根の距離を短縮することができ、レンズ鏡筒を薄型化することが可能となる。
【0036】
また、本実施例における絞り装置は4枚の絞り羽根203〜206で構成され、作動方向がそれぞれ略90°異なり、上下方向に対向して作動する2枚の絞り羽根205,206と、左右方向に対向して作動する2枚の絞り羽根203,204である。そして、上下方向へ作動する絞り羽根と左右方向へ作動する絞り羽根の移動タイミング、若しくは。移動量が異なる。
【0037】
この構成によれば、光軸に対して略90°位相のずれた4枚の絞り羽根で開口形状を構成するために、絞り形状が多角形化でき、ボケ味を良好に得ることができる。更に、上下方向と左右方向の絞り羽根の作動タイミングをずらしたり、移動量を異ならせたりすることで、絞り羽根同士の干渉を防止することができる。
【0038】
また、本実施例における絞り装置は、4枚の絞り羽根203〜206と嵌合し、各絞り羽根203〜206を所定量作動させるための四つのカム溝部208a〜208dを有した絞りリング208を備えている。そして、上下方向にそれぞれ2枚の絞り羽根205,206を移動させる二つのカム溝部208c,208dは略同一形状であり、左右方向にそれぞれ2枚の絞り羽根203,204を移動させる二つのカム溝部208a,208bは略同一形状である。このように上下方向に絞り羽根を移動させるカム溝部と、左右方向へ絞り羽根を移動させるカム溝部の形状が異なる形状とすることで、上下方向へ作動する2枚の絞り羽根と左右方向へ作動する2枚の絞り羽根の移動タイミング若しくは移動量が異なる。
【0039】
この構成によれば、一つの絞りリングの四つのカム溝部の形状を適切に形成することで、4枚の絞り羽根の移動タイミング若しくは移動量を制御し、羽根同士の干渉を防止しながら絞り開口径の制御を高精度に行うことができる。
【0040】
また、1群レンズ101と2群レンズ(210,202)は、最も光学全長が短くなった時に互いのレンズの一部が光軸方向に挿入される(凹面と凸面が重複する)とともに、羽根が最小絞り状態となる。この構成によれば、沈胴時に最もレンズ鏡筒を薄型化することができ、更に絞り羽根が最小絞り若しくは全閉状態となっている。よって、非撮影時のCCD等の撮像素子への有害光入射による悪影響を防止することが可能となる。
【0041】
以上により、従来の沈胴型レンズ鏡筒に対して、光学系の性能を劣化させたり、鏡筒径を大きくしたりすることなく、沈胴時のレンズ鏡筒の全長を短縮することが出来る。また、絞り羽根が最小絞り若しくは全閉状態となっているので、非撮影時のCCD等の撮像素子への有害光入射による悪影響を防止することができ、有害光入射を防止するためのバリア等の遮光手段を別途必要としないものとすることができる。
【0042】
尚、本実施例では、最小絞り時は全閉状態としない構成で説明したが、全閉状態にすることも可能である。その場合には、4枚の絞り羽根の作動平面を異ならせ、全閉状態で4枚の絞り羽根が光軸方向に重複して開口部を覆うようにすればよい。但しこの場合、絞り羽根とレンズとの干渉を避けるために光軸方向へ絞り羽根が重複して増加した量だけ沈胴長が増加することになる。
【0043】
また、本実施例では、絞り羽根は4枚としたが、これに限定されるものではない。例えば、沈胴時に1群レンズと2群レンズの隙間曲面部に略同一の曲面部を有した、光軸中心に小径の開口部を設けた1枚の絞り羽根で構成し、撮影時に1群レンズと2群レンズの間隔が広がった際に該絞り羽根が移動できる状態となればよい。但し、絞り開口の選択は、全開と小絞りの2通りのみとなる。
【0044】
また、2枚以上の複数の絞り羽根で構成することももちろん可能であり、絞り羽根の曲面部形状を、沈胴時の1群レンズと2群レンズの隙間曲面部に略同一の曲面部を有したものとしてもよい。そして、撮影状態で1群レンズと2群レンズの間隔が広がった際に複数の絞り羽根がそれぞれ光軸に垂直な平面内で移動できるようにすると共に、互いの絞り羽根の曲面部が干渉しないように移動量を適切に制御すればよい。
【0045】
この構成によれば、絞り羽根の移動量を制御することで絞り開口を複数段階に設定することができ、露光制御の精度を向上することが可能となる。
【0046】
但し、3枚の絞り羽根で構成した場合、それぞれの絞り羽根の曲面部が干渉しないようにするためにそれぞれの絞り羽根の移動量を変えてしまうと、絞り開口径が歪んだ形状となってしまう可能性がある。また、4枚以上の複数の絞り羽根で構成した場合、それぞれの絞り羽根の曲面部の干渉を避けるための制御が複雑になってしまう可能性がある。従って、比較的容易に本発明の絞り装置を実現する為には、2枚若しくは4枚の絞り羽根の構成がよい。
【0047】
本実施例における絞り装置は、その前後若しくは一方にある凹面若しくは凸面を有したレンズの曲面形状に近似した曲面形状を有する光量調節用の羽根を配置することで沈胴時のスペース効率を上げることを目的としたものである。よって、レンズの凹凸の形状には限定されず、また、絞り装置の配置位置についても限定されるものではなく、バリアやマスク等の目的で不要光線を制限(通過光束を調節)する為の装置として、本来の光学的な理想絞り位置以外に配置してももちろん良い。
【0048】
本実施例における絞り装置は、上述のようにデジタルカメラ用のレンズ鏡筒に限定されて使用されるものではない。例えば、ビデオカメラ、携帯電話等各種撮像素子を用いた光学機器に搭載されてもよいし、フィルムカメラ用の絞り装置として使用してももちろん良い。
【0049】
また、絞り羽根を閉じたときに全閉状態が可能な形状とし、メカシャッタとして絞り機能とシャッタ機能を両立するようにしてももちろん良い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施例に係わる絞り装置が組み込まれたレンズ鏡筒の沈胴時を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施例に係わる絞り装置が組み込まれたレンズ鏡筒の撮影時を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施例に係わる絞り装置の分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施例に係わる絞り装置の最小絞り時を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施例に係わる絞り装置の中間絞り時を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施例に係わる絞り装置の全開時を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施例に係わる絞り装置の最小絞り時を示す平面図である。
【図8】本発明の一実施例に係わる絞り装置の中間絞り時を示す平面図である。
【図9】本発明の一実施例に係わる絞り装置の全開時を示す平面図である。
【図10】従来例におけるレンズ鏡筒の沈胴時の断面図である。
【符号の説明】
【0051】
101 1群レンズ
102 1群レンズ枠
201 2群レンズA
202 2群レンズB
203 絞り羽根
204 絞り羽根
205 絞り羽根
206 絞り羽根
207 2群レンズ枠
208 絞りリング
210 モータ
211 羽根カバー板
301 3群レンズ
302 3群レンズ枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの羽根部材と、
前記羽根部材を光軸と直交する方向に開閉させて、通過光束量を変化させる駆動手段と、
を有し、前記羽根部材が第1および第2の光学部材の間に配置される光量調節装置において、
前記第1の光学部材の一部に前記第2の光学部材が入り込んだ状態で、前記第1の光学部材と前記第2の光学部材の間に前記羽根部材が配置されることを特徴とする光量調節装置。
【請求項2】
前記羽根部材の少なくとも一部は曲面形状をしており、該曲面形状は、前記第1の光学部材と第2の光学部材の少なくとも一方の前記羽根部材側の曲面形状と略同形状であることを特徴とする請求項1に記載の光量調節装置。
【請求項3】
前記羽根部材は少なくとも2対の羽根部材で構成され、光軸に直交する第1の方向に開閉する1対の羽根部材と、前記第1の方向とは90度異なる第2の方向に開閉する他の1対の羽根部材の、移動タイミング、または移動量が異なることを特徴とする請求項1または2に記載の光量調節装置。
【請求項4】
前記第1の光学部材と前記第2の光学部材が、最も光学全長が短くなるように光軸方向に移動させられた際、前記羽根部材は、通過光束量を最小の状態若しくは全ての光束を遮蔽した状態となることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の光量調節装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の光量調節装置を具備したことを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項6】
請求項5に記載のレンズ鏡筒を具備したことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−94074(P2007−94074A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−284125(P2005−284125)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】