説明

光電センサ

【課題】安定的に検出対象物の特徴量を検出可能な光電センサを提供する。
【解決手段】3×3の受光素子群は、3個の赤色光を受光するための受光素子と、3個の緑色光を受光するための受光素子と、3個の青色光を受光するための受光素子とを均一に含む。3×3の単位で構成される受光素子群を組み合わせて12×12のアレイ状の受光素子のパターンを形成する。12×12のアレイ状の受光素子の配列パターンにより、赤(R)、緑(G)、青(B)の光を受光するための受光素子が分散して配置される。これにより、例えば、円形のスポット領域がずれた場合受光素子が分散して配置されることにより、スポット領域に赤(R)、緑(G)、青(R)の光を受光するための受光素子が含まれる個数が大きく変わることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
検出対象領域の検出対象物に対して投光した光の反射光あるいは透過光を受光することにより検出対象物の特徴量を検出するファイバ型の光電センサに関する。
【背景技術】
【0002】
光電センサは、可視光線、赤外線等の光を投光部から信号光として投光し、検出対象物によって反射する光あるいは検出対象物を透過する光を受光部で検出して、検出対象物の特徴量を示す出力信号を得るものである。この点で、光電センサは、非接触での物体の検出が可能であるとともに色判別も可能であるため種々の分野で利用されている。例えば、特許文献1には、検出対象物に3色の光を投射し、その反射光または透過光を受光することにより色に基づいて検出対象物を検出するための色識別装置が開示されている。また、近年においては、微小スポットで物体の検知が可能なファイバ型の光電センサが知られている(特許文献2)。
【0003】
これら物体を検出する装置においては、一般的に受光素子としてフォトダイオード(PD)が用いられており、例えば特許文献3および特許文献4においては、フォトダイオードである受光素子を受光領域の表面の所定の領域毎に、所望の分光感度(例えば、赤色、緑色、青色)で得ることが可能なように設計する方式が開示されている。
【特許文献1】特開2005−291748号公報
【特許文献2】特開2004−101445号公報
【特許文献3】特開平09−210793号公報
【特許文献4】特開2004−214341号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の受光素子の配置方法では、設計した分光感度が十分に得られない可能性もある。
【0005】
図16は、従来の受光素子の配置および受光量を説明する図である。
図16(a)を参照して、ここでは、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)をそれぞれ受光するための受光素子を円形領域内にそれぞれ1/3ずつ(例えば120度ずつ)の領域に分割して配置して、受光面を形成した場合が示されている。そして、中心点付近(中央)に検出対象物の反射光あるいは透過光が照射されるようにすなわちスポット領域が形成されるように設計したものとする。
【0006】
図16(b)の表には、中心点付近にスポット領域が形成された場合の各色に対応する受光素子で受光した受光量が示されている。例えば、中心点付近(中央)にスポット領域が形成された場合には、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)がそれぞれ均等に受光量を検出することが可能である。表においては,一例として赤色(R)、緑色(G)、青色(B)をそれぞれ1000ずつ受光量として計測した場合が示されている。
【0007】
しかしながら、ファイバ型の光電センサの場合、ほんの少しの角度のずれによりスポット領域が大きく移動するため例えば、図16(a)の点線に示されるようにスポット領域が左側にずれた場合について考える。
【0008】
この場合、図16(b)に示されるように緑色(G)の受光量だけが3000として計測され、他の赤色(R)、青色(B)の受光量は0である場合が示されている。
【0009】
すなわち、このような場合には、赤色(R)、青色(B)を計測することができず計測対象物の特徴量を安定的に検出することができないという問題がある。
【0010】
一方、受光面に対してスポット領域を十分に大きくすれば、位置ずれが生じた場合においても問題が生じないようにすることも可能であるが、この場合、ファイバ端と受光面との間の距離を長くする必要があり、光電センサを小型化することが難しくなる。
【0011】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、検出対象物の特徴量を安定的に検出可能な光電センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る光電センサは、検出対象領域の光を受光することにより検出対象物の特徴量を検出する光電センサであって、検出対象領域の検出対象物を透過あるいは反射した光を受光する受光部と、受光部の受光結果に基づいて検出対象物の特徴量を検出する検出部とを備える。受光部は、検出対象領域の検出対象物を透過あるいは反射した光を導光するファイバと、ファイバを伝搬する光に含まれる複数の異なる波長を受光するためにそれぞれ対応して設けられ、各々が対応する波長の光を受光する複数の受光素子群とを含む。各受光素子群は、対応する波長の光を受光する複数の受光素子を有する。複数の受光素子群は、受光面を形成するようにファイバに対向して設けられる。各受光素子群に含まれる複数の受光素子のそれぞれは、受光面内において所定の規則に従って分散的に配置される。
【0013】
好ましくは、複数の受光素子群は、ファイバを伝搬する光に含まれる赤色、緑色および青色の光の波長を受光するためにそれぞれ設けられた第1〜第3の受光素子群に相当する。第1〜第3の受光素子群に含まれる複数の受光素子は、分散的に配置されてアレイ状の受光面を形成する。
【0014】
特に、受光面は、第1〜第3の受光素子が均一の個数となるように配置された3×3の最小単位の組み合わせに基づいて形成される。ファイバの出射端面の形状、大きさおよび出射端面と受光面との間の距離に基づいてアレイ状の受光面にファイバのスポット領域が形成される。ファイバの出射端面とアレイ状の受光面との間の距離は、アレイ状の受光面に形成されるファイバのスポット領域が、少なくとも1つの3×3の最小単位を囲むことができるように設定される。
【0015】
特に、ファイバは、複数のファイバコアを有する。ファイバのスポット領域は、各ファイバコアの出射端面の形状および出射端面とアレイ状の受光面との間の距離に基づいてアレイ状の受光面に形成される各ファイバコアのスポット領域を含む。ファイバコアの出射端面とアレイ状の受光面との間の距離は、アレイ状の受光面に形成されるファイバコアのスポット領域が、少なくとも1つの3×3の最小単位を囲むことができるように設定される。
【0016】
特に、距離は、9mm未満に設定される。
好ましくは、複数の受光素子群の分光感度は、所定の波長帯域内において互いに重なり、対応するそれぞれの光の波長領域において分光感度が最大となるように調整される。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る光電センサは、検出対象領域の検出対象物の光を受光することにより、検出対象物の特徴量を検出する光電センサであって、複数の受光パターンユニットに含まれる複数の受光素子は、ファイバに対向するように所定の規則に従って分散して配置されるため照射スポットの位置がずれた場合であってもそれぞれの受光素子の受光量のバランスを維持することが可能であり、検出対象物の安定的な計測が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に従う光電センサの上部カバーを開いた状態における外観斜視図である。
【0020】
図1を参照して、本発明の実施の形態に従う光電センサ1は多連装型のプラスチック製筐体101を有する。筐体101の前部には、投光用ファイバ2と受光用ファイバ3とが挿入され、クランプレバー103の操作によって抜け止め固定される。筐体101の後部からは電気コード4が引き出されている。
【0021】
図示の電気コード4は、アース(GND)用の芯線41と、電源(Vcc)用の芯線42と、検出出力用の芯線43と、補助出力用の芯線44と、リモート入力用の芯線45とを有する。
【0022】
筐体101は、制御盤などの取付面に対して図示しないDINレールを介して固定される。符号104で示されるものはDINレール嵌合溝である。筐体101の上部には、透明な上部カバー102が開閉可能に取り付けられている。上部カバー102を開いた状態で露出する筐体101の上面には、第1の表示器105と、第2の表示器106と、第1の操作ボタン(UP)107と、第2の操作ボタン(DOWN)108と、第3の操作ボタン(MODE)109と、第1のスライド操作子(SET/RUN)110と、第2のスライド操作子(L/D)111とが設けられている。
【0023】
図2は、本発明の実施の形態に従う光電センサの操作・表示部の拡大図を説明する図である。
【0024】
図1および図2を参照して、第1の表示器105及び第2の表示器106は、いずれも4桁の7セグメントデジタル表示器で構成されており、それぞれ4桁の数字、アルファベット、さらにはそれらの組み合わせを任意に表示可能となされている。
【0025】
第1の操作ボタン107、第2の操作ボタン108、及び第3の操作ボタン109は、いずれもモメンタリタイプの押しボタンスイッチを構成しており、図2に示されるように、第1の操作ボタン107は『UPキー』として、第2の操作ボタン108は『DOWNキー』として、第3の操作ボタン109は『MODEキー』としてそれぞれ機能するように構成されている。
【0026】
第1のスライド操作子110及び第2のスライド操作子111はいずれもスライドスイッチを構成するものであり、図2に示されるように、第1のスライド操作子110は『SET/RUN切替スイッチ』として、第2のスライド操作子111は『L/D切替スイッチ』として機能するように構成されている。
【0027】
図1を再び参照して、筐体101の内部には、図示しないが、物体検出用の発光素子と物体検出用の受光素子とが内蔵されている。投光用ファイバ2をファイバ挿入孔にしっかりと挿入すると、投光用ファイバ2の端面と検出用発光素子の発光部とがしっかりと光結合され、これにより検出用の発光素子から発生した光は、投光用ファイバ2を経由して、その先端の図示しないファイバヘッドから検出対象領域へと投光される。同様に、受光用ファイバ3をファイバ挿入孔にしっかりと挿入すると、受光用ファイバ3の端面と検出用受光素子とが光結合され、これにより図示しない受光用ファイバ3のファイバヘッドからファイバ内に導入された光は、受光用ファイバ3に導光されて、検出用の受光素子にたどり着くようになっている。以上述べた検出用の発光素子と検出用の受光素子との配置構成は従来のこの種のファイバ型光電スイッチに採用されたものと同様である。
【0028】
次に、本発明の実施形態に従う光電センサの電気的ハードウェア構成について説明する。
【0029】
図3は、本発明の実施の形態に従う光電センサの概略ブロック図である。
図3を参照して、この回路はマイクロプロセッサを主体として構成される信号処理部200を中心として構成されている。信号処理部200内には、図示しないがマイクロプロセッサの他に、システムプログラムを格納したROMやプログラムの実行に必要なワーキングRAM、その他各種の設定データを格納するためのEEPROMなどが内蔵されている。このEEPROMには、工場出荷前においてメーカ側が設定したデータや、工場出荷後にユーザが設定した各種のデータが格納される。このような信号処理部200の構成については、各種の文献において種々公知であるから、その点についての詳細な説明は省略する。
【0030】
図3の紙面左側においては、後に詳細に説明するが先に説明した発光素子を有する投光部202と受光素子を有する受光部203とが描かれている。投光部202は、検出用の発光素子である発光ダイオード(以下、LEDと称する)202aと、LED202aを駆動するためのLED駆動部202bとを含む。一方、受光部203は、検出用の受光素子であるフォトダイオード(以下、PDと称する)203aと、PD203aの出力を増幅するためのアンプ部203cとを含む。なお、本発明の実施の形態に従う投光部202は、白色光を出射するものとする。また、検出用受光素子PD203aは、本例において赤色光、緑色光および青色光をそれぞれ受光可能な3種類の受光素子で構成されるものとする。
【0031】
そして、LED駆動部202bの作用により検出用発光素子であるLED202aから発生したパルス光は、投光用ファイバ2を介して検出対象領域へと導かれる。検出対象領域において透過または反射したことにより受光用ファイバ3に導入された光は、受光用ファイバ3を経由して検出用受光素子であるPD203aへとたどり着く。検出用受光素子PD203aは、赤色光、緑色光および青色光をそれぞれ受光可能な3種類の受光素子でそれぞれ受光し、それぞれの各色について光電変換する。
【0032】
PD203aで光電変換されて生じた出力信号は、アンプ部203cで増幅された後信号処理部200へとA/D変換器(図示せず)を介して取り込まれる。尚、これら投受光の基本的な構成についても、各種の文献において公知であるから、この点についての詳細な説明は省略する。
【0033】
表示部204は、信号処理部200における各種の演算により生成されたデータを表示させるための表示器で構成されており、この表示部204には、より具体的には、先に図1並びに図2を参照して説明した第1の表示器105並びに第2の表示器106が含まれている。それらの第1並びに第2の表示器105,106には、各種の情報が、数値、アルファベット、それらの組み合わせなどにより表示される。
【0034】
入力部205は、信号処理部200に対して各種の情報を入力するためのものである。この入力部205には、キー入力部205aと信号入力部205bとが含まれている。キー入力部205aは、オペレータが手動操作で各種のデータを入力するためのものであり、この入力部205aには先に図1並びに図2を参照して説明したように、第1の操作ボタン107、第2の操作ボタン108、第3の操作ボタン109、第1のスライド操作子110、及び第2のスライド操作子111が含まれている。
【0035】
これに対して、信号入力部205bは、先に図1を参照して説明した電気コード4の芯線45を介してリモート入力信号を入力するためのものであり、この信号入力部205bを介して芯線45から到来する外部から入力される制御信号が信号処理部200へと取り込まれる。
【0036】
尚、この例にあっては、信号入力部205bは1ラインしか設けられていないが、これを2ライン以上すなわち複数ライン設けて入力させることも当然に可能である。
【0037】
出力部206は、信号処理部200で生成された各種の出力信号を電気コード4に含まれる芯線43及び44へと出力するためのものである。この出力部206には、物体検出信号出力用の出力部206aと任意の補助出力信号用の出力部206bとが含まれている。すなわち、信号処理部200で生成された物体検出用の検出信号は、出力部206aを介して電気コード4内の芯線43へと送り出される。
【0038】
同様にして、信号処理部200で生成された任意の補助出力信号は、出力部206bを介して、電気コード4に含まれる芯線44へと送り出される。これらの電気コード4に含まれる芯線43,44は一般的には外部のPLCやPC等の上位装置へと接続される。同様にして、電気コード4に含まれる芯線45についても、外部のPLCやPC等の上位装置と接続されている。
【0039】
電源部201は、図3に示される投光部202、受光部203、表示部204、入力部205、出力部206のそれぞれに対して電源を供給する電源安定化装置等で構成されており、この電源部201に対する給電は、電気コード4に含まれる芯線41及び42を介して行なわれる。この例では芯線41はGNDに接続され、芯線42はVccに接続される。
【0040】
次に、以上述べた機械的構造並びに電気的なハードウェア構成を前提として、この光電センサに備えられた様々な機能並びにそれらを実現するために信号処理部200で実行されるシステムプログラムの構成について説明する。
【0041】
一般的に光電センサには、選択的に実行(ON/OFF)可能な複数の機能が備えられている。それらの機能のそれぞれには、様々な選択肢が用意されている。それらの機能の選択(ON/OFF)並びに選択肢の選択は、この光電センサをSETモードに設定することで行なうことができる。特定の選択肢に従ってON設定された機能を実現させる動作は、この光電センサをRUNモードに設定することで行なうことができる。
【0042】
動作モードをSETモードとするかRUNモードとするかの指定は、図2に示されるように、第1のスライド操作子110を『SET』側とするか、『RUN』側とするかにより決定することができる。また、第2のスライド操作子111は、この光電センサの検出出力信号の論理極性を設定するためのもので、第2のスライド操作子111が『L』側に設定されているといわゆるライトオンモードとなり、『D』側に設定されるとダークオンモードとなる。
【0043】
図4は、本発明の実施の形態に従う投光部202および受光部203の詳細を説明する図である。
【0044】
図4を参照して、本発明の実施の形態に従う投光部202は、上述したようにLED202aと、LED駆動部202bとを含み、さらに、LED駆動部202bを制御してLEDの出射パワーを調整するためのLED駆動調整部202bgを含む。なお、LED駆動調整部202bgは、後述するオートパワーコントロール処理によりLED202aからの出射パワーのモニタ結果を信号処理部200から受けて、LED駆動部202bに指示してLED駆動部202bからLED202aに供給する投光電流のパワー制御を行なうものとする。
【0045】
本発明の実施の形態に従う受光部203は、上述したようにPD203aと、アンプ部203cとを含む。アンプ部203cは、PD203aから出力される受光した赤色、緑色、青色のそれぞれの波長領域の信号光を光電変換した電気信号をそれぞれ増幅する増幅部と、当該増幅部の増幅率を調整する増幅調整部を含む。
【0046】
本例においては、一例として、アンプ部203cは、赤色の波長領域の信号光に対して光電変換した電気信号を増幅するための増幅部203r(R増幅部とも称する)と、緑色の波長領域の信号光に対して光電変換した電気信号を増幅するための増幅部203g(G増幅部とも称する)と、青色の波長領域の信号光に対して光電変換した電気信号を増幅するための増幅部203b(B増幅部とも称する)と、増幅部203r,203g,203bにそれぞれ対応して設けられ、それぞれの対応する増幅部の増幅率を調整するための増幅調整部203rg(R増幅調整部とも称する)、増幅調整部203gg(G増幅調整部とも称する)および増幅調整部203bg(B増幅調整部とも称する)を含む。
【0047】
増幅調整部203rg、増幅調整部203ggおよび増幅調整部203bgは、それぞれ信号処理部200からの指示に応答して対応する増幅部の増幅率を調整するものとする。
【0048】
図5は、信号処理部200のCPUで実行されるシステムプログラムの全体を概略的に示すゼネラルフローチャートである。
【0049】
図5を参照して、このシステムプログラムは電源投入によって実行を開始される。
同図において、処理が開始されると、まず初期設定処理(ステップ401)が実行される。この初期設定処理(ステップ401)においては、後述するルーチン処理を開始するに先立って必要な各種の初期設定処理が実行される。この初期設定処理には、各種メモリ、表示灯、制御出力の初期化の実行や、信号処理部200に含まれるEEPROMから必要項目の読出とデータチェックを行なう処理などが実行される。
【0050】
初期設定処理(ステップ401)が実行を完了すると、ルーチン処理への移行が行なわれ、その最初においてまず第1のスライド操作子110の設定状態が参照される(ステップ402)。ここで、第1のスライド操作子110が『SET』側へ設定されていれば(ステップ402SET)、続いてSETモード初期設定処理(ステップ403)が実行される。このSETモード初期設定処理(ステップ403)では、SETモード用測定値の初期化や機能番号(F)の初期化(F=0)等が行なわれる。
【0051】
SETモード初期設定処理(ステップ403)が実行を完了すると、以後、第1のスライド操作子110が『SET』側へ設定された状態にある限り(ステップ405YES)、様々な機能(F)に関するSETモード処理(ステップ404)が実行される。この状態において、ユーザは、第1の操作ボタン107、第2の操作ボタン108、第3の操作ボタン109を適宜に操作することによって、当該光電センサに用意された様々な機能(F)のON/OFF設定、さらには、各機能(F)別の個別設定処理を実行することができる。
【0052】
一方、第1のスライド操作子110の設定状態を参照した結果、『RUN』側へと設定されたと判定されると(ステップ402RUN)、続いて、RUNモード初期設定処理(ステップ406)が実行される。このRUNモード初期設定処理(ステップ406)においては、表示灯、制御出力の初期化、しきい値及び各種RUNモード用設定値の初期化等が行なわれる。
【0053】
RUNモード初期設定処理(ステップ406)が完了すると、続いて第1のスライド操作子110が『RUN』側へ設定されている限り(ステップ408YES)、RUNモード処理(ステップ407)が実行される。このRUNモード処理(ステップ407)においては、光電センサとして必要な基本的な動作の他に、ユーザにより選択的に設定された各種の機能が実現される。尚、このRUNモード処理の具体的な内容については、必要に応じて、後に詳細に説明を行なう。
【0054】
このように、信号処理部200で実行されるシステムプログラムは、いわゆる電源投入直後に行なわれるイニシャル処理である初期設定処理(ステップ401)と、ルーチン処理であるところの2つの処理すなわちSETモード処理(ステップ404)及びRUNモード処理(ステップ407)に大別される。
【0055】
図6は、SETモード処理の全体を示すフローチャート図である。
図6を参照して、処理が開始されると、まず機能別表示処理(ステップ501)が実行される。この機能別表示処理(ステップ501)では、機能番号Fに該当する様々な表示処理が実行される。
【0056】
続いて、キー入力検出処理が実行され(ステップ502)、図1並びに図2に示される操作ボタン107〜109並びにスライド操作子110,111におけるキー入力操作の有無を待機する状態となる(ステップ503NO)。
【0057】
この状態において、キー入力有りと判定され(ステップ503YES)、しかも機能切替に相当するキー入力シーケンスが確認されると(ステップ504YES)、機能切替指令が確認されるたびに、機能番号(F)の値は全機能数に達するまで+1ずつインクリメントされ(ステップ505,506NO)、全機能数に達すると共に(ステップ506YES)、再びゼロリセットされて(ステップ507)、機能(F)の循環切替が実行される。
【0058】
この状態においてそのとき設定されている機能Fに関する選択が指示されると(ステップ504NO,508YES)、機能別実行処理が実行され、機能番号Fに該当する処理が行なわれる(ステップ509)。なお、当該機能別実行処理は、例えば操作ボタン107あるいは108のキー操作に従って機能Fの切替が行なわれ、切替に従って機能番号Fに対応する該当する処理が実行されるものとする。
【0059】
なお、これらの機能Fの切替に従って機能番号あるいは機能Fに対応するコードが上述した表示部204で表示されるため、ユーザはこれらの案内表示される内容に応じて、当該センサにどのような機能実現手段が設けられているかを容易に目で確認することが可能である。
【0060】
SETモード処理として設けられている機能の一例について説明する。
図7は、SETモード処理として設けられているティーチング処理の設定について説明するフロー図である。
【0061】
図7を参照して、処理が開始されると、ユーザのキー操作又は外部信号により指定された機能が、1点ティーチング機能である場合、例えば、ステップ901において1点ティーチング機能を選択した場合(YESの場合)には、1点ティーチング処理が実行される(ステップ902)。一方、ステップ903において、2点ティーチング機能を選択した場合(YESの場合)には、2点ティーチング処理が実行される(ステップ904)。
【0062】
ここで、『1点ティーチング処理』とは、基準となる対象物(基準対象物とも称する)の受光量をサンプリングし、その受光量から一定の値だけ低い値又は高い値にしきい値を設定する機能である。また、『2点ティーチング処理』とは、2つの検出対象物の一方の検出対象物の受光量をサンプリングし、取得したサンプリング値と、他方の検出対象物の受光量をサンプリングし、取得したサンプリング値との中間にしきい値を設定する機能である。すなわち、この2点ティーチング機能によれば、しきい値=(1回目のサンプリング値+2回目のサンプリング値)/2となる。
【0063】
これらティーチング処理が終了した後、ティーチングエラーがあったかどうかを判定する(ステップ905)。例えばティーチングエラーがあった場合にはフラグ等を立てることによりフラグの判別により判定可能である。
【0064】
ティーチングエラーがあった場合(YESの場合)には、ユーザにその旨の表示や、パラメータを調整して再度のティーチングを実行するためのティーチングエラー処理を実行する(ステップ906)。
【0065】
ティーチングエラーがない場合(NOの場合)には、ティーチング処理により得られたしきい値等のデータがEEPROMへ書き込まれる(ステップ907)。EEPROMに書き込まれたデータは、後のRUNモードの際に読み出されて検出対象物の特徴量を算出するために用いられる。
【0066】
次に、再び、図5に戻って、RUNモード処理について説明する。
RUNモードへの導入に先立ち、まずRUNモード初期設定処理が実行される(ステップ406)。このRUNモード初期設定処理(ステップ406)においては、RUNモードの実行に必要な各種のフラグ、カウンタ、レジスタ類等の初期設定処理が行なわれる。続いて、RUNモード初期設定処理(ステップ406)が完了すると、以後第1のスライド操作子110が『RUN』側に設定されている限り(ステップ408YES)、RUNモード処理(ステップ407)が繰り返し実行される。
【0067】
図8は、RUNモード処理を説明するフローチャート図である。
このRUNモード処理の全体は、通常処理と割込処理とに大別される。
【0068】
図8(a)は、このRUNモード処理における通常処理を説明するフローチャート図であり、図8(b)は、このRUNモード処理における割込処理を説明するフローチャート図である。
【0069】
そして、割込処理(ステップ806〜808)は、時間Tsec毎(例えば、100μsec毎)にタイマ割込で実行される。
【0070】
まず、図8(a)を参照して、通常処理(ステップ801〜805)について説明する。
【0071】
処理が開始されると、表示灯制御処理(ステップ801)が実行される。この表示灯制御処理(ステップ801)では、指定された表示内容に応じて、7セグメントデジタル表示器である第1及び第2の表示器105,106の点灯制御を行なう。
【0072】
続いて、オートパワーコントロール(以下、APCという)処理(ステップ802)が実行される。このAPC処理(ステップ802)では、後述する計測用の投受光処理(ステップ806)で取得したモニタ受光量を監視し、一定期間毎に、APC補正を実施する。このAPC補正は、この例においては、上述したように投光電流のパワー制御により行なわれている。
【0073】
続いて、キー入力検知処理(ステップ803)が実行される。このキー入力検知処理(ステップ803)においては、一定期間毎に、キー入力の検知を行ない、入力を検知した場合は、該当処理の実行ができるように設定を行なう。続いて、入力キー対応処理(ステップ804)が実行されて、検知されたキー入力に対応する様々な処理が実行される。
【0074】
そして、入力キー対応処理(ステップ804)が終了すると、外部入力処理(ステップ805)が実行される。尚、これらのRUNモードの処理は、一般的な光電センサに備えられている処理であるためその詳細な説明は省略する。
【0075】
次に、図8(b)を参照して、時刻Tsec毎に実行される割込処理について説明する。
【0076】
割込処理が開始されると、まず投受光処理(ステップ806)が実行される。この投受光処理(ステップ806)においては、図3に示されるLED201aを投光駆動部201bを介してパルス駆動することによって、白色光を発生させ、これを投光用ファイバ2を通じて投光用ヘッド(図示せず)へと導き、投光用ヘッドから検出対象領域へと放出する。同時に、検出対象領域において検出対象物からの反射光を、受光用ファイバ3の先端に設けられた受光ヘッドから受光用ファイバ3内へと導入し、これを受光用ファイバ3を経由してPD202bへと導き、PD202bにて光電変換により得られた信号を、アンプ部203cにて増幅し、その後増幅出力をA/Dコンバータ202cを介して信号処理部200に取り込む。これにより、検出対象領域の状況に対応する特徴量を含んだ受光量が信号処理部200に取得される。
【0077】
続いて、ON/OFF判定処理(ステップ807)が実行される。このON/OFF判定処理(ステップ807)においては、予め設定されたON/OFF判定用の光量しきい値を基準として、検出対象物の受光量に基づいて計算されるいわゆる一致度値を弁別二値化することにより、検出対象領域に物体の有無が判定される。すなわち、検出対象領域に目的とする物体が存在すれば、判定結果はONとなり、存在しなければ判定結果はOFFとされる。
【0078】
こうしてON/OFF判定処理(ステップ807)が実行終了すると、続いて出力制御処理(ステップ808)が実行されて、信号処理部200で生成された検出出力信号は、出力部209を介して、電気コード4に含まれる物体検出信号出力用の芯線43へと送り出される。こうして芯線43へと出力された検出出力信号は、例えばPLCやPC等の上位装置などへと送られる。
【0079】
図9は、本発明の実施の形態に従う光電センサ1の筐体101の前部領域の構造を説明する図である。
【0080】
図9を参照して、ここでは、光電センサ1の筐体101の全部領域の側面部分の断面図が示されている。投光用ファイバ2と受光用ファイバ3とをそれぞれ挿入可能なホルダ素子10,11が設けられ、ホルダ素子10,11に挿入されて投光用ファイバ2と受光用ファイバ3とが固定される。
【0081】
また、プリント基板(PWB)にLEDチップ13およびPDチップ14が設けられており、LEDチップ13に設けられているLED16から白色光がホルダ素子10に挿入された投光用ファイバ2に導入される。また、ホルダ素子11に挿入された受光用ファイバから検出対象物からの反射光がPDチップ14の受光領域である受光面を形成するフォトダイオード(PD)に照射される。なお、ホルダ素子11に挿入された受光用ファイバ3は、受光領域である受光面を形成するフォトダイオード(PD)に対向して設けられており、フォトダイオード(PD)の受光面と投光用ファイバの出射端面との間は所定の距離に設定されている。この距離については後述する。
【0082】
図10は、本発明の実施の形態に従うPDチップ14の形状を説明する図である。
図10(a)を参照して、ここでは、PDチップ14の側面部の高さが示されており、一例として高さ0.75mmのチップである場合が示されている。
【0083】
図10(b)を参照して、PDチップ14を上から見た図が示されている。リード端子がチップの周囲に4つずつ設けられ、中央部に受光領域が設けられている。一例として5mm×5mmのチップサイズが示されている。
【0084】
図11は、本発明の実施の形態に従うPDチップ14の受光領域に設けられる受光素子のレイアウトの一部を説明する図である。
【0085】
図11を参照して、ここで示される1つの受光素子の縦および横のサイズは、それぞれ約66μm、約71μmで設計されている。そして、受光面を形成するためにX方向およびY方向にそれぞれ12個ずつ配置した12×12のアレイ状に配置されている。そして、12×12のアレイ状に配置された受光素子により形成される受光面の縦および横のサイズは、受光素子同士間の間隔も考慮してそれぞれ約0.89mm、約0.91mmに設計されている。
【0086】
図12は、受光面を形成するアレイ状に配置された受光素子のパターンを説明する図である。
【0087】
図12を参照して、ここでは、12×12のアレイ状の受光素子のパターンの一例として3×3の単位で構成される受光パターンユニットが組み合わせて形成されている。
【0088】
具体的には、左上の3×3の受光パターンユニットに着目すると、3個の赤色光を受光するための受光素子と、3個の緑色光を受光するための受光素子と、3個の青色光を受光するための受光素子とが均一に3×3の受光パターンユニットに含められた構成である。右側に拡大して示されるように、一例として1行目が左から赤(R)、緑(G)、青(B)となっており、2行目が左から緑(G)、青(B)、赤(R)となっており、3行目が左から青(B)、赤(R)、緑(G)という配列で設けられている。
【0089】
本例における12×12のアレイ状の受光素子のパターンは、X方向に沿って隣接する3×3の受光パターンユニットのそれぞれは、Y軸に対して対称となる配列でそれぞれ受光パターンユニットが設けられている。また、Y方向に沿って隣接する3×3の受光パターンユニットのそれぞれは、X軸に対して対称となる配列でそれぞれ受光パターンユニットが設けられている。
【0090】
本例における12×12のアレイ状の受光素子の配列パターンにより、赤(R)、緑(G)、青(B)の光を受光するための受光素子が分散して配置されることになる。
【0091】
例えば、図12に示されるようにファイバ端面からの出射光が受光面に照射され、中央領域付近に円形のスポット領域が形成された場合について考える。
【0092】
ここで、円形のスポット領域に概して含まれている受光素子の個数を見ると、赤(R)が6個、緑(G)が8個、青(B)が7個程度である。したがって、各色について大幅な差がなくぼぼ均一に受光量を検出することが可能である。
【0093】
そして、次に、例えば、仮に下部領域付近に円形のスポット領域がずれた場合について考える。ここで、この円形のスポット領域に概して含まれている受光素子の個数を見ると、赤(R)が10個、緑(G)が8個、青(B)が8個程度である。したがって、受光素子が分散して配置されることにより、スポット領域に赤(R)、緑(G)、青(R)の光を受光するための受光素子が含まれる個数が大きく変わることはない。
【0094】
したがって、スポット領域がずれた場合であっても本発明の実施の形態に従う受光面を形成するアレイ状に配置された受光素子のパターンにより、各色についてばらつきの差がなく受光量を十分に検出することが可能である。したがって、安定的に検出対象物の特徴量を検出することが可能である。
【0095】
図13は、マルチコアファイバの構成を説明する図である。
図13に示されるようにマルチコアファイバは、複数のファイバコア(芯)と、複数のファイバコアを覆うクラッドの2重構造となっている。
【0096】
ここでは、一例としてファイバコアの端面の形状は6角形状で成型されており、ハニカム構造となっている。
【0097】
マルチコアファイバの場合、複数のファイバコアそれぞれから導光した反射光を受光面に対して照射可能である。すなわち、マルチコアファイバの場合、クラッドで覆われている複数のファイバコアの位置は異なるため各ファイバコアからの出射位置もそれぞれ異なる。
【0098】
したがって、受光面に形成される各ファイバコアのスポット領域の位置もそれぞれ異なることになる。したがって、図16で説明した従来の受光素子の配置構成では、ファイバ全体として位置ズレが生じない場合であっても受光面にスポット領域を形成するファイバコアの位置がクラッドに近い側であれば、スポット領域は中央領域からずれることととなる。すなわち、クラッドに近い側と遠い側とでスポット領域の位置が異なることになるため3色それぞれについて満遍なく受光量を検出することができず、いずれかの色の偏りが大きくなる可能性がある。
【0099】
一方、図12に示されるように3色の受光素子をアレイ状に分散的に配置したパターンを形成することにより、スポット領域を形成するマルチコアファイバのファイバコアの位置がそれぞれ異なっている場合であっても3色それぞれ満遍なく受光量を検出することが可能であり、色の偏りを抑制することが可能である。
【0100】
図14は、本発明の実施の形態に従うスポット領域を説明する図である。
図14(a)を参照して、ここでは、コア径Dmmのファイバのファイバ端面(出射端面)からアレイ状の受光素子が配列された受光面に対して照射した場合の図が示されている。
【0101】
なお、ファイバ端面から受光面までの距離(受光面距離はLmmとする。)なお、この距離は、ファイバ端面の中心点からファイバの中心軸が受光面と接触するまでの長さを指し示すものとする。また、受光面を形成する受光素子の縦および横の長さをそれぞれXamm、Yammとして説明する。
【0102】
図14(b)を参照して、ここでは、コア径Dmmのファイバの照射スポット径を説明する図である。
【0103】
図14(b)を参照して、例えば一般的な約30°の広がり角でファイバの出射端面から照射されるとすると、照射スポット径は、次式となる。
【0104】
【数1】

【0105】
図14(c)を参照して、ここでは、3×3の受光パターンユニットが示されている。上述したようにスポット領域は、ファイバの出射端面の形状、大きさおよび出射端面と受光面との間の距離に基づいて受光面にファイバのスポット領域が形成されるが、本実施の形態においては、ファイバのスポット領域が少なくとも1つの3×3の最小単位を囲むことができるように設定する。この3×3の最小単位を囲むスポット領域が少なくとも得られれば赤(R)、緑(G)、青(B)の光の受光量のバランスを維持することが可能であると推定される。
【0106】
例えば、ここで、スポット径をArとした場合の円で囲まれるマトリクス面積Sを計算すると、スポット径Arで囲まれるマトリクス面積はAr2/2=Sとして示される。本実施例の単体の受光素子の場合には、縦および横のサイズがそれぞれ約66μm、約71μmで設計されているためマトリクス面積は、約0.042mm2程度となる。ここで、マトリクス面積が正方形であると仮定した場合、スポット径Arを0.289mm以上に設定すれば最小単位の3×3の最小単位を囲むことが可能である。
【0107】
したがって、この3×3の最小単位を構成するマトリクス面積から最小のスポット径を算出することにより、上式を用いてコア径Dの値を用いて3×3の最小単位を囲むために必要なファイバ端面と受光面との間の最小距離Lを算出することが可能である。
【0108】
図14(d)は、実際の標準ファイバおよびマルチコアファイバを用いた場合のスポット径および距離について説明する図である。なお、ここでは、説明の簡略化のためファイバ端面は円形であり円形のスポット領域が形成されるものとする。
【0109】
図14(d)に示されるように例えばφ1mm標準ファイバの場合について説明する。ここで、D=1mmである。そして、一例として距離Lを0.8mmに設定する。
【0110】
そうすると、上記式に基づいてスポット径は約1.95mmとなる。スポット径1.95mmの円形の領域で囲むことが可能なマトリクス面積を計算するとS=1.95mm2程度となる。したがって、上記で計算した最小のマトリクス面積S#に対して十分に大きなスポット領域であり赤(R)、緑(G)、青(B)の光を均一に受光する3×3の受光パターンユニットを多数含むこととなり、色の偏りなく3色それぞれ満遍なく受光量を検出することが可能である。
【0111】
また、同様にして、φ0.5mm細径ファイバについても同様の条件で計算すると、スポット径が1.38mmとなり、スポット径1.38mmの円形の領域で囲むことが可能なマトリクス面積は、S=0.95mm2程度となり、この場合についても同様に3×3の受光パターンユニットを多数含むこととなり、色の偏りなく3色それぞれ満遍なく受光量を検出することが可能である。
【0112】
次に、φ0.07mmマルチコアファイバについて考える。ファイバコア単体について考える。ここで、D=0.075mmである。そして、距離Lについては0.29mmに設定する。
【0113】
そうすると、上記式に基づいてスポット径は、約0.38mmとなる。スポット径0.38mmの円形の領域で囲むことが可能なマトリクス面積を計算するとS=0.072mm2程度となる。したがって、上記で計算した最小のマトリクス面積S#よりも大きく3×3の最小単位を囲むことが可能である。
【0114】
スポット領域が微小であるためある特定のファイバコアのスポット領域については、3色それぞれについて受光素子の配置数が異なって色の偏りが生じる可能性も考えられるが、複数のファイバコア全体として考えた場合には、それぞれのファイバコアのスポット領域が3×3の均一に受光素子が配列された最小単位を含む構成であるため全体としては、3色それぞれについて満遍なく受光量を検出することとなり、色の偏りを抑制することが可能である。
【0115】
次に、φ0.07mmマルチコアファイバについて、距離Lを0.2mmに設定した場合について説明する。
【0116】
そうすると、上記式に基づいてスポット径は、約0.30mmとなる。スポット径0.30mmの円形の領域で囲むことが可能なマトリクス面積を計算するとS=0.045mm2程度となる。したがって、上記で計算した最小のマトリクス面積S#と同程度以上であり、3×3の最小単位を囲むことが可能であると考えられる。
【0117】
また、このように距離を近づけてスポット領域を微小とした場合には、上述したように特定のファイバコアのスポット領域については、3色それぞれについて受光素子の配置数が異なって色の偏りが生じる可能性も考えられるが、複数のファイバコア全体として考えた場合には、それぞれのファイバコアのスポット領域が3×3の均一に受光素子が配列された最小単位を含む構成であるため全体としては、3色それぞれについて満遍なく受光量を検出することとなり、色の偏りを抑制することが可能である。
【0118】
また、図14(d)の表で示されるように1mm未満の距離Lで3×3の最小単位の受光パターンユニットを十分に囲み、安定的な検出が可能である。すなわち、本実施の形態に従う方式によりファイバ端面と受光面との間の距離Lを短くすることが可能であり、ファイバコアの出射端面から照射される光の光量を十分確保可能しつつ、光電センサを小型化することも可能である。
【0119】
なお、ここでは、距離Lを短くした場合においても安定的な検出が可能である点について説明したが、マルチコアファイバの場合、距離Lを1mm程度とすることが望ましい。また、距離Lは、光電センサの外形横幅が10mm程度で成型されているため距離Lをそれよりも短い9mm未満程度に設定することも可能である。
【0120】
なお、本例においては、一例として単体の受光素子が縦および横のサイズがそれぞれ約66μm、約71μmで設計された場合について説明したが、特にこのサイズに限られず自由に設計可能であり、上記で説明したのと同様の考え方により最適な距離を算出し設定することが可能である。
【0121】
また、受光素子の形状については、本例で説明したような矩形状に限られず、正方形状、略円形状、ハニカム形状、略多角形状であっても良い。
【0122】
また、本例においては、受光素子がアレイ状に分散的に配置された矩形状の受光面について説明したがこれに限られず、任意の形状たとえば図16で説明した円形状であっても良いし、略多角形状であっても良い。いずれにせよ、その受光面内において3色の赤、緑、青色の光を受光するための受光素子が分散的に配置されていれば同様の効果を期待することができる。
【0123】
また、本例においては、3×3の各色に対応する受光素子が均一に設けられた受光パターンユニットを用いて受光面が設けられる場合について説明したが、各色に対応する受光素子が略均一に設けられた4×4の受光パターンユニットを用いて受光面を設けることも可能であるし、さらに同様の方式に従ってn×nの受光パターンユニットを用いて受光面を設けることも可能である。
【0124】
また、本例においては、赤色、緑色、青色の光を受光するための3種類の受光素子群について、各々の受光素子群を構成する受光素子を受光面に分散的に配置する構成について説明したが、これに限られず、それよりもさらに複数種類すなわち他の色の光を受光するための受光素子を設けて複数種類の受光素子群の受光素子のそれぞれを分散的に配置することも可能である。
【0125】
図15は、本発明の実施の形態に従う受光素子の分光感度を説明する図である。
図15を参照して、ここでは、赤色光、緑色光、青色光を検出するために設けられた3種類の受光素子の分光感度が示されている。
【0126】
これらの3種類の受光素子の分光感度は、所定の波長帯域内において互いに重なり、対応するそれぞれの光の波長領域において分光感度が最大となるように調整されている。
【0127】
図15に示されるように分光感度がターゲットとなる波長領域のみならず、その他の波長領域においても反応するように設計されていることにより、あらゆる検出対象物の反射率特性にも対応可能となっている。
【0128】
なお、本例においては、反射型の光電センサすなわち検出対象領域の検出対象物に反射した反射光を受光して検出対象物の特徴量を検出する光電センサについて説明したが、反射型の光電センサに限られず、透過型の光電センサすなわち検出対象力の検出対象物を透過した透過光を受光して検出対象物の特徴量を検出する光電センサについても同様に適用可能である。すなわち、この場合、受光用ファイバに導光される光が反射光ではなく透過光である点が異なりその他の方式については同様である。
【0129】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の実施形態に従う光電センサの上部カバーを開いた状態における外観斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に従う光電センサの操作・表示部の拡大図を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態に従う光電センサの概略ブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に従う投光部202および受光部203の詳細を説明する図である。
【図5】信号処理部200のCPUで実行されるシステムプログラムの全体を概略的に示すゼネラルフローチャートである。
【図6】SETモード処理の全体を示すフローチャート図である。
【図7】ティーチング処理の流れを説明するフロー図である。
【図8】RUNモード処理を説明するフローチャート図である。
【図9】本発明の実施の形態に従う光電センサ1の筐体101の前部領域の構造を説明する図である。
【図10】本発明の実施の形態に従うPDチップ14の形状を説明する図である。
【図11】本発明の実施の形態に従うPDチップ14の受光領域に設けられる受光素子のレイアウトの一部を説明する図である。
【図12】受光面を形成するアレイ状に配置された受光素子のパターンを説明する図である。
【図13】マルチコアファイバの構成を説明する図である。
【図14】本発明の実施の形態に従うスポット領域を説明する図である。
【図15】本発明の実施の形態に従う受光素子の分光感度を説明する図である。
【図16】従来の受光素子の配置および受光量を説明する図である。
【符号の説明】
【0131】
1 光電センサ、2 投光用ファイバ、3 受光用ファイバ、4 電気コード、41 GND用芯線、42 Vcc用芯線、43 検出出力信号用の芯線、44 補助出力信号用の芯線、45 制御信号用の芯線、101 筐体、102 透明カバー、103 クランプレバー、104 DINレール嵌合溝、105 第1の表示器、106 第2の表示器、107 第1の操作ボタン、108 第2の操作ボタン、109 第3の操作ボタン、110 第1のスライド操作子、111 第2のスライド操作子、200 信号処理部、201 電源部、202 投光部、202a LED、202b 投光駆動部、203 受光部、203a PD、203c アンプ部、204 表示部、205 入力部、205a キー入力部、205b 信号入力部、206 出力部、206a 検出信号用の出力部、206b 補助出力信号用の出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象領域の光を受光することにより検出対象物の特徴量を検出する光電センサであって、
前記検出対象領域の前記検出対象物を透過あるいは反射した光を受光する受光部と、
前記受光部の受光結果に基づいて前記検出対象物の特徴量を検出する検出部とを備え、
前記受光部は、
前記検出対象領域の前記検出対象物を透過あるいは反射した光を導光するファイバと、
前記ファイバを伝搬する光に含まれる複数の異なる波長を受光するためにそれぞれ対応して設けられ、各々が対応する波長の光を受光する複数の受光素子群とを含み、
各前記受光素子群は、対応する波長の光を受光する複数の受光素子を有し、
前記複数の受光素子群は、受光面を形成するように前記ファイバに対向して設けられ、
各前記受光素子群に含まれる複数の受光素子のそれぞれは、受光面内において所定の規則に従って分散的に配置される、光電センサ。
【請求項2】
前記複数の受光素子群は、前記ファイバを伝搬する光に含まれる赤色、緑色および青色の光の波長を受光するためにそれぞれ設けられた第1〜第3の受光素子群に相当し、
前記第1〜第3の受光素子群に含まれる複数の受光素子は、分散的に配置されてアレイ状の受光面を形成する、請求項1記載の光電センサ。
【請求項3】
前記受光面は、前記第1〜第3の受光素子が均一の個数となるように配置された3×3の最小単位の組み合わせに基づいて形成され、
前記ファイバの出射端面の形状、大きさおよび前記出射端面と前記受光面との間の距離に基づいて前記アレイ状の受光面に前記ファイバのスポット領域が形成され、
前記ファイバの出射端面と前記アレイ状の受光面との間の距離は、前記アレイ状の受光面に形成される前記ファイバのスポット領域が、少なくとも1つの3×3の最小単位を囲むことができるように設定される、請求項2記載の光電センサ。
【請求項4】
前記ファイバは、複数のファイバコアを有し、
前記ファイバのスポット領域は、各前記ファイバコアの出射端面の形状および前記出射端面と前記アレイ状の受光面との間の距離に基づいて前記アレイ状の受光面に形成される各前記ファイバコアのスポット領域を含み、
前記ファイバコアの出射端面と前記アレイ状の受光面との間の距離は、前記アレイ状の受光面に形成される前記ファイバコアのスポット領域が、少なくとも1つの3×3の最小単位を囲むことができるように設定される、請求項3記載の光電センサ。
【請求項5】
前記距離は、9mm未満に設定される、請求項3または4記載の光電センサ。
【請求項6】
前記複数の受光素子群の分光感度は、所定の波長帯域内において互いに重なり、対応するそれぞれの光の波長領域において分光感度が最大となるように調整される、請求項1記載の光電センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−175743(P2008−175743A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10689(P2007−10689)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】