説明

光電変換モジュールおよびその製造方法

【課題】透光性を有し、かつ、受光面積の増大に伴うエネルギー変換効率の低下が抑制された光電変換モジュールを提供する。
【解決手段】1対の透光性を有する基板2,8と、基板間に配置され互いに直列接続された複数の光電変換部12とを含み、光電変換部12が、透光性を有する導電性材料を含む第1の電極と、色素を担持した半導体層5と、半導体層5を挟んで第1の電極3と対向するように配置された第2の電極7と、電荷輸送体9とを含み、第2の電極7は、抵抗率が1×10-6Ωm以下の導電性材料を含む多孔体を含み、多孔体は、基板と直交する方向から入射する光が透過する複数の孔を有しており、第2の電極7のシート抵抗が、0.001Ω/□〜1Ω/□である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換モジュールおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池等の光電変換素子はクリーンなエネルギー源として非常に期待されている。すでにpn接合型太陽電池(シリコン系太陽電池)等は、実用化されている。しかし、シリコン系太陽電池は、高純度材料を原料とし、また、その製造方法において、1000℃程度の高温プロセスや真空プロセスを必要とするため、製造コストの低減が大きな課題となっている。
【0003】
近年、高純度材料および高エネルギープロセスを比較的必要としない太陽電池として、湿式太陽電池が注目されている。特に、半導体の表面に光を吸収する色素を吸着させ、半導体のバンドギャップより長波長の可視光を色素で吸収させることにより光電変換効率の向上を図った、いわゆる色素増感型太陽電池に関する研究が盛んに行われている。色素増感型太陽電池としては、例えば、グレッツェル・セル(Greztzel cell)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
次に、グレッツェル・セルの構成を説明する。図6に示すように、グレッツェル・セルは、透明電極31と、その一方の表面に接して配置されたガラス基板30と、同じく透明電極34と、その一方の表面に接して配置されたガラス基板35とを備えている。透明電極31,34は、フッ素ドープ酸化錫等の透光性を有する導電性材料からなる。透明電極31と透明電極34との間には電荷輸送体33が配置されている。透明電極31の透明電極34と対向する面には半導体層32が接合されており、その半導体層32には、増感色素が固定されている。上記電荷輸送体33は、例えば、エチレンカーボネートとアセトニトリルとの混合溶媒に、ヨウ化テトラ−n−プロピルアンモニウムとヨウ素とが溶解された電解液である。電解液は、還元状態の電解質(以下、「還元体」という)I-と、酸化状態の電解質(以下、「酸化体」という)I3-とからなる、酸化還元対を含んでいる。半導体層32は、例えば、酸化チタンの微粒子を含む多孔体である。透明電極34の電荷輸送体33側の表面には白金がコーティングされている。白金には、上記酸化体I3-を還元体I-へと還元する触媒作用がある。尚、図6において、36は電荷輸送体33をガラス基板30とガラス基板35との間に保持するための封止部である。
【0005】
図6に示した光電変換素子では以下の作用機構で光電変換が行われる。まず、光電変換素子に入射した光37は、ガラス板30と透明電極31とを通り、半導体層32に固定された増感色素により吸収される。光を吸収した増感色素では励起電子が発生し、励起電子は半導体層32に移動し、半導体粒子間を伝って透明電極31に達する。さらに電子は導線(図示せず)を通り透明電極34へと移動する。励起電子を失った増感色素は、電荷輸送体33に含まれる還元体I-から電子を受け取り基底状態の増感色素へと戻る。酸化体I3-は透明電極34から電子を受け取り還元体I-へと戻る。
【0006】
上記光電変換素子では、透光性が高く、エネルギー変換効率((モジュールの最大出力/モジュールに照射された光エネルギー)×100、以下「変換効率」ともいう)も高いが、研究を目的として作製されているため、受光面積(光電変換素子を光の入射側から観察したときに見える半導体層の面の面積)は約1cm2と小さい。受光面積を実用上十分に広い大きさ、例えば、40cm2以上とすると、透明電極34の抵抗損失が増大し、変換効率が低くなりすぎる。これは、透明電極31,34の材料であるフッ素ドープ酸化錫等の導電性材料の抵抗率が、例えば、約1×10-1Ωmと比較的大きいからである。
【0007】
一方で、受光面積が大きくかつ変換効率の高い光電変換素モジュールが開示されている(例えば、特許文献2参照)。この光電変換モジュールでは、複数の光電変換部が電気接続されており、一方の電極の材料に、抵抗率がフッ素ドープ酸化錫等よりも遥かに小さい、例えば、金属や炭素材料等が用いられている。これらの抵抗率は、通常1×10-6Ωm以下であり、上記電極の形状は、略平板状である。
【特許文献1】特開平01−220380号公報
【特許文献2】特開表11−514787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、金属や炭素材料のように抵抗率が小さい導電性材料は、実質的に不透明である。したがって不透明な導電性材料を電極に用いた上記光電変換モジュールも、実質的に不透明である。
【0009】
このように、従来の光電変換モジュールでは、受光面積の増大に伴うエネルギー変換効率の低下の抑制と、透光性とを両立できなかった。本発明は、受光面積の増大に伴うエネルギー変換効率の低下が抑制され、かつ、透光性を有する光電変換モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の光電変換モジュールは、1対の透光性を有する基板と、前記基板間に配置され互いに直列接続された複数の光電変換部とを含み、前記光電変換部が、前記1対の基板のうちの一方の基板に設けられ透光性を有する導電性材料を含む第1の電極と、前記第1の電極の前記一方の基板側の面の反対面に接して配置され色素を担持した半導体層と、前記半導体層を挟んで第1の電極と対向するように配置された第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された電荷輸送体とを含み、前記第2の電極は、抵抗率が1×10-6Ωm以下の導電性材料を含む多孔体を含み、前記多孔体は、前記基板と直交する方向から入射する光が透過する複数の孔を有しており、前記第2の電極のシート抵抗が、0.001Ω/□〜1Ω/□であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光電変換モジュールでは、受光面積の増大に伴うエネルギー変換効率の低下が抑制されており、かつ透光性を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(実施の形態1)
以下に本発明の光電変換モジュールの一例について、図1〜図4を用いて説明する。図1および図2は、本実施の形態の光電変換モジュールの一例を示す断面図である。
【0013】
図1および図2に示すように、本実施の形態の光電変換モジュール1は、1対の基板2,8と、上記基板間に配置された複数の光電変換部12とを含んでいる。1対の基板2,8および光電変換部12は、透光性を有している。光電変換モジュール1は、透光性を有する封止樹脂部4も含んでおり、1対の基板2,8間において、基板の主面と平行な方向に、光電変換部12と封止樹脂部4とが交互に配置されている。
【0014】
光電変換部12は、第1の電極3と、第2の電極7と、色素を担持した半導体層5と、電荷輸送体9とを備えている。第1の電極3は基板2の基板8と対向する面に設けられ、半導体層5は、第1の電極3の基板2側の面の反対面に接して配置されている。第2の電極7は、半導体層5を挟んで第1の電極3と対向するように配置され、電荷輸送体9は、第1の電極3と第2の電極7との間に配置されている。増感色素が固定された半導体層5は多孔構造をしており、半導体層5内には、電荷輸送体9が浸透している。
【0015】
隣り合う一対の光電変換部の間に配置された封止樹脂部4内では、隣り合う一対の光電変換部12のうちの一方の光電変換部12から延長された第1の電極3と、他方の光電変換部12から延長された第2の電極7とが電気的に接続されており、複数の光電変換部12は、直列に電気接続されている。
【0016】
第2の電極7は、抵抗率が1×10-6Ωm以下の導電性材料を含む多孔体を含んでいる。一方、第1の電極3は、透光性を有する導電性材料で形成されている。透光性を有する導電性材料の抵抗率は、通常、上記多孔体に含まれる導電性材料よりも遥かに大きい。したがって、第1の電極3は、第2の電極7よりも、個々の半導体層5の受光面積を大きくすることに伴う抵抗損失が大きい。しかし、本実施の形態の光電変換モジュール1では、光電変換部12数を増やすことにより受光面積を大きくすることができる。また、複数の光電変換部12が直列に接続されているので、電子は、第1の電極3と第2の電極7とを交互に伝わって集電されるが、シート抵抗が0.001Ω/□〜1Ω/□の第2の電極7を採用しているので、光電変換モジュール1全体で見たときに、受光面積の増大に伴う抵抗損失の増大が抑制される。その結果、本実施の形態の光電変換モジュール1では、光電変換部を増やして受光面積を大きくすることに伴う変換効率の低下が抑制されている。
【0017】
抵抗率が1×10-6Ωm以下の導電性材料は、通常、実質的に不透明であるが、基板に直交する方向から入射する光は多孔体の複数の孔を透過するので、第2の電極7は透光性を有し、光電変換モジュール1について透光性を確保できる。
【0018】
このように、本実施の形態の光電変換モジュールでは、受光面積の増大に伴う変換効率の低下の抑制と、透光性とを両立できる。尚、本発明において、透光性は、波長500nmの光を照射したときに上記光の少なくとも一部が透過する特性と定義する。光透過率は、波長500nmの光を照射したときに、下記式にて算出された値とする。
(数1)
光透過率=(透過した光量)×100/(入射した光量)
【0019】
本実施の形態の光電変換モジュールの光透過率は、0.1〜50%、さらには、1〜30%であることが好ましい。
【0020】
また、図1および図2に示すように、光電変換モジュール1では、1対の取出し電極6a,6bがともに、基板2の第1の電極3が設けられた面と同一の面、すなわち、基板8側の面2aに形成されている。このように、取出し電極6a,6bがともに、第1の電極3が設けられた基板2に形成されているので、光電変換モジュール1の筐体への取り付けが容易である。
【0021】
尚、図1および図2に示すように、取出し電極6a、6bは、第1の電極3と同じ材料で形成されているが、かならずしもこれに制限されない。例えば、取出し電極6bは、第2の電極7の端部を封止樹脂部4を突き抜けるように設け、第2の電極7のうちの封止樹脂部4から突き抜けた部分を取出し電極6bとしてもよい。多孔体は抵抗率が1×10-6Ωm以下の導電性材料を含んでいるので、第2の電極7の封止樹脂部4から突き抜けた部分を取出し電極6bとすると、取出し電極6bにおける集電性が高まる。
【0022】
次に、第2の電極7について説明する。多孔体に含まれる抵抗率が1×10-6Ωm以下の導電性材料としては、例えば、金属および炭素材料(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種が用いられる。上記金属としては、例えば、Al、Cu、Sn、Fe、Ni、Zn、Ti、およびCrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属、または上記群から選ばれる2種以上の金属を含む合金等が挙げられる。炭素材料としては、PAN系炭素繊維、またはピッチ系炭素繊維が用いられる。
【0023】
多孔体は、入射する光が透過する孔を有しており、かつ、電気的な接続を可能とする連続した構造をしている。多孔体としては、例えば、メッシュ、パンチングメタル、および発泡体からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。多孔体は、金属線や炭素繊維等の導電性繊維材料が組み合わされたメッシュであると、断線等が起こり難く、製造工程において歩留が良く好ましい。また、製造工程において独立した部材として取り扱えるので、他の部材との位置合わせがし易く好ましい。
【0024】
図3および図4に示すように、多孔体を平面視したときに見える孔7aの形状は、例えば、略正方形、ひし形、不規則な四角形、不定形(図3(a)〜(c),図4(e)参照)、六角形、三角形等の多角形(図4(a)(b)参照)、円形(図4(c)参照)等のいずれであってもよい。また、多孔体は、図4(d)に示すように櫛型であってもよい。このような形態の多孔体は、繊維状の材料を接合し、または編み込むことにより作製できる。また、一枚の箔や板にエッチング、パンチング,レーザー加工等を施して作製することもできる。
【0025】
第2の電極7は、図1〜図4に示すように、多孔体単体であってもよいが、多孔体の孔内に充填された透光性材料をさらに含んでいてもよい。透光性材料としては、例えば、ガラス、石英、樹脂、酸化亜鉛、インジウム−錫複合酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化錫等が挙げられる。上記樹脂としては、アイオノマー、ポリオレフィン、ポリイソブチレン等が挙げられる。なかでも、インジウム−錫複合酸化物(ITO)およびフッ素ドープ酸化錫からなる群から選ばれる少なくとも1種の導電性材料が好ましい。透光性を有する導電性材料が孔内に充填されていると、第2の電極7の導電性を高めることができる。
【0026】
第2の電極7の電荷輸送体9と接した面は、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ロジウム(Rh)、インジウム(In)、インジウム−錫複合酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化錫、炭素材料および導電性高分子からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料を含んでいることが好ましい。上記炭素材料としては、例えば、グラファイトが、導電性高分子としては、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDT)、ポリピロール、ポリアニリン等が挙げられる。これらの材料は、電荷輸送体9に含まれる酸化体、例えば、I3-に電子を与える反応において、触媒として機能するので、第2の電極7の負極としての機能が向上する。また、第2の電極7の電荷輸送体9と接する面がこれらの材料を含んでいると、第2の電極7全体に触媒としての機能を有する上記材料を用いる必要はないので、第2の電極7について材料選択の自由度が高まる。なかでも、第2の電極7の電荷輸送体9と接する面は、白金、パラジウム、グラファイトおよびポリエチレンジオキシチオフェンからなる群から選ばれる少なくとも1種の材料を含んでいることが好ましい。
【0027】
第2の電極7のシート抵抗は、0.001Ω/□〜1Ω/□であることを要するが、0.001Ω/□〜0.1Ω/□であるとより好ましい。
【0028】
第1の電極3に含まれる透光性を有する導電性材料としては、例えば、酸化亜鉛、インジウム−錫複合酸化物、インジウム−錫複合酸化物層と銀層とからなる積層体、アンチモンドープ酸化錫、フッ素ドープ酸化錫等を用いることができる。なかでも、導電性および透光性が比較的高い、フッ素ドープ酸化錫が好ましい。これらの材料からなる第1の電極3の光透過率は、通常、60〜90%、さらには70〜80%であることが好ましい。第1の電極3のシート抵抗は、通常、8Ω/□〜10Ω/□である。
【0029】
基板2,8の材料としては、透光性を有する材料であれば特に限定されないが、通常、耐候性およびガスバリア性が優れ、かつ安価なガラス板が適している。使用条件や仕様によっては、基板2,8の材料としてプラスチックフィルムを用いてもよい。
【0030】
上記プラスチックフィルムの材料としては、例えば、再生セルロース、ジアセテートセルロース、トリアセテートセルロース、テトラアセチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレート、シクロオレフィンポリマー、ノルボルネン樹脂、ポリスチレン、塩酸ゴム、ナイロン、ポリアクリレート、ポリフッ化ビニル、ポリ四フッ化エチレン等を1種または2種以上用いることができる。特には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、ポリアリレート、シクロオレフィンポリマー、ノルボルネン樹脂を1種または2種以上用いることが好ましい。これらの樹脂を用いたプラスチックフィルムは、強靭で且つ耐熱性に優れている。
【0031】
基板2,8の厚みについて、特に制限はないが、基板2,8が例えばガラス板である場合、0.1mm〜5mmが適当であり、特には0.7mm〜2mm程度が好ましい。基板2,8が例えばプラスチックフィルムである場合は、0.01mm〜5mmが適当であり、特には、0.07mm〜1mm程度が好ましい。
【0032】
半導体層5の材料としては、Cd、Zn、In、Pb、Mo、W、Sb、Bi、Cu、Hg、Ti、Ag、Mn、Fe、V、Sn、Zr、Sr、Ga、Si、Crの酸化物、SrTiO3、CaTiO3等のペロブスカイト型酸化物、CdS、ZnS、In23、PbS、Mo2S、WS2、Sb23、Bi23、ZnCdS2、Cu2S等の硫化物、CdSe、In2Se3、WSe2、HgS、PbSe、CdTe等の金属カルコゲナイド、GaAs、Si、Se、Cd23、Zn23、InP、AgBr、PbI2、HgI2、およびBiI3からなる群から選ばれる1種、または2種以上含む複合体が挙げられるが、なかでも、電解液中へ光溶解し辛く、光電変換特性が優れたTiO2が好ましい。
【0033】
尚、上記複合体としては、例えば、CdS/TiO2、CdS/AgI、Ag2S/AgI、CdS/ZnO、CdS/HgS、CdS/PbS、ZnO/ZnS、ZnO/ZnSe、CdS/HgS、CdSx/CdSe1-x、CdSx/Te1-x、CdSex/Te1-x、ZnS/CdSe、ZnSe/CdSe、CdS/ZnS、TiO2/Cd32、CdS/CdSeCdyZn1-yS、CdS/HgS/CdS等が挙げられる。
【0034】
半導体層5の形成に用いられる半導体粒子の粒径は、一般的に、5nm〜1000nm、特に、10nm〜100nmであることが好ましい。粒径が5nm〜1000nmであれば、充分な量の色素を吸着可能な表面積を有する半導体層5を形成でき、光の利用効率を高めることができる。また、適度な大きさの空孔を有する半導体層5を形成できるので、電荷輸送体9に含まれる酸化体および還元体の半導体層5内における移動がスムーズとなり、光電変換効率を高めることができる。
【0035】
半導体層5の厚みは、0.1μm〜100μmであることが好ましい。半導体層5の厚みが0.1μm〜100μmであれば、十分な光電変換効果が得られ、可視光および近赤外光の半導体層5に対する透過性も十分に確保できる。半導体層5の厚みは、さらに3μm〜20μmであることが好ましい。
【0036】
半導体層5は従来から知られた方法にて形成できる。例えば、半導体の粒子がバインダーに分散されたペーストを、例えば、ドクターブレードやバーコータ等により第1の電極3に塗布する塗布方法にて形成できる。上記ペーストを、例えば、スプレー法、ディップコーティング法、スクリーン印刷法、スピンコート法,電着法等にて、第1の電極3の表面に付着させてもよい。第1の電極3上のペーストは、第1の基板2がガラス基板である場合、500℃前後で焼成されて半導体層7となる。第1の基板2がプラスチックフィルムである場合は、第1の基板2とともにプレス機にて厚み方向に加圧されるか、またはマイクロ波の照射により加熱されて半導体層7となる。
【0037】
増感色素としては、従来の光電変換素子に用いられた色素を使用でき、無機色素、有機色素のいずれであってもよい。無機色素としては、例えば、RuL2(H2O)2タイプのルテニウム−シス−ジアクア−ビピリジル錯体(ここで、Lは、4,4'−ジカルボキシル−2,2'−ビピリジン)、または、ルテニウム−トリス(RuL3)、ルテニウム−ビス(RuL2)、オスニウム−トリス(OsL3)、オスニウム−ビス(OsL2)タイプの遷移金属錯体、または亜鉛−テトラ(4−カルボキシフェニル)ポルフィリン、鉄−ヘキサシアニド錯体、フタロシアニン等が挙げられる。有機色素としては、9−フェニルキサンテン系色素、クマリン系色素、アクリジン系色素、トリフェニルメタン系色素、テトラフェニルメタン系色素、キノン系色素、アゾ系色素、インジゴ系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素等などが挙げられる。なかでも、可視光域に広い吸収スペクトルを有する、ルテニウム−ビス(RuL2)誘導体が、特に好ましい。
【0038】
半導体層5へ増感色素を吸着させる方法としては、例えば、増感色素が溶媒に溶けた溶液に、半導体層5を浸漬する方法等がある。上記溶媒としては、例えば、水、アルコール、トルエン、ジメチルホルムアミド等が用いられる。半導体層5を上記溶液に浸漬している間、上記溶液を加熱還流したり、上記溶液に超音波を印加する等して、増感色素の半導体層5への吸着を促進してもよい。増感色素を半導体層5へ吸着させた後、吸着されずに半導体層5に残った増感色素は、アルコール洗浄または加熱還流等にて半導体層5から取り除くとよい。
【0039】
増感色素の吸着量としては、1×10-8〜1×10-6mol/cm2であることが好ましい。増感色素の吸着量が1×10-8〜1×10-6mol/cm2であると、経済的であり、かつ十分な変換効率を実現できる。
【0040】
電荷輸送体9には、例えば、下記の溶媒中に下記の化合物が溶解された電解液を用いることができる。
【0041】
化合物としては、溶媒に溶解されることにより、酸化体と還元体とを含む溶液を得ることができれば特に制限はないが、酸化体と還元体の電荷の符号が同一となるように化合物を選択することが好ましい。化合物としては、例えば、塩素化合物および塩素、ヨウ素化合物およびヨウ素、臭素化合物および臭素、キノン/ヒドロキノン、フマル酸/コハク酸等を用いることができる。なかでも、ヨウ素化合物/ヨウ素が好ましい。ヨウ素化合物としては、ヨウ化リチウム、ヨウ化カリウム等の金属ヨウ化物、テトラアルキルアンモニウムヨージド、ピリジニウムヨージド等のヨウ化4級アンモニウム塩化合物、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム等のヨウ化ジイミダゾリウム化合物が特に好ましい。
【0042】
酸化体および還元体は、I3-/I-、Cl3-/Cl-、Br3-/Br-、タリウムイオン(III)/タリウムイオン(I)、水銀イオン(II)/水銀イオン(I)、ルテニウムイオン(III)/ルテニウムイオン(II)、銅イオン(II)/銅イオン(I)、鉄イオン(III)/鉄イオン(II)、バナジウムイオン(III)/バナジウムイオン(II)、マンガン酸イオン/過マンガン酸イオン、フェリシアン化物イオン/フェロシアン化物イオン等が挙げられる。これらの酸化体と還元体とを含む溶液の作製法は公知であり、従来から知られた方法を採用できる。
【0043】
溶媒としては、イオン伝導性が優れていれば特に制限はなく、水性溶媒および有機溶媒のうちのいずれあってもよい。特には、酸化体および還元体が安定した状態で存在できる有機溶媒が好ましい。
【0044】
有機溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン等のエステル化合物、ジエチルエーテル、1、2−ジメトキシエタン、1、3−ジオキソシラン、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフラン等のエーテル化合物、3−メチル−2−オキサゾジリノン、2−メチルピロリドン等の複素環化合物、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物、スルフォラン、ジジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。なかでも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネ−ト化合物、3−メチル−2−オキサゾジリノン、2−メチルピロリドン等の複素環化合物、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物が、特に好ましい。
【0045】
尚、本実施形態の光電変換モジュール1に用いられる電荷輸送体9は、上記電解液に限定されない。電荷輸送体9は、上記電解液をポリマー製の支持体等に保持してゲル化したゲル状物質や、高分子電解質、常温溶融塩等であってもよい。
【0046】
封止樹脂部4の材料としては、透光性を有する材料であれば特に制限はなく、透光性を有する熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化樹脂等のいずれであってもよい。熱可塑性樹脂としては、アイオノマー、ポリオレフィン、フッ素樹脂等が、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂等が挙げられる。なかでも、封止樹脂部4は、アイオノマー等の熱溶融性樹脂を含んでいることが好ましい。封止樹脂部4が熱溶融性樹脂を含んでいると、後述する光電変換モジュールの製造方法において、接着剤等を用いなくても、第1の電極と第2の電極とを安定性よく電気接続でき、かつ光電変換部12を密閉性よく封止できる。
【0047】
図1に示した光電変換モジュール1では、第2の電極7が多孔体であるので、隣り合う一対の光電変換部の間に配置された封止樹脂部4内において、上記隣り合う一対の光電変換部のうちの一方の光電変換部12から延長された第1の電極3と、他方の光電変換部12から延長された第2の電極7とが接し、その封止樹脂部4の封止樹脂が上記第2の電極7の複数の孔内に充填され、当該封止樹脂と第1の電極3とが接合された接合構造を含むことができる。第2の電極7の多孔体の孔に封止樹脂が充填され、この封止樹脂と第1の電極3とが接合されているので、封止樹脂部4の封止機能は高く、第1の電極3と第2の電極7との接続安定性が良い。
【0048】
また、図1に示した光電変換モジュール1では、光電変換部12と封止樹脂部4とを横断するように、基板2,8の主面と直交する方向に切断したときの第2の電極7の切断面は略Z字状であり、第2の電極7の一方の面の一部と第1の電極3の一部とが接していると好ましい。製造過程において、第1の電極3と第2の電極7との位置合わせや、接合が行い易く、第2の電極7と第1の電極3との接触面積が大きくでき、第2の電極7と第1の電極3との接合部の抵抗が低くすることができるからである。
【0049】
次に、図5に示した光電変換モジュールの製造方法の一例を説明する。
【0050】
図5に示すように、基板2の一方の面上に、互いに絶縁された複数の第1の電極3と、取出し電極6a,6b(図示せず)を形成する。続いて、各第1の電極3上に色素が固定された半導体層5を形成する。
【0051】
次に、各第1の電極3上に、第2の電極7と、熱溶融性樹脂を含む封止樹脂4'と、基板8とをこの順で重ねせて積層体とし、積層体を厚み方向に加圧しながら加熱する。第2の電極7には、例えば、メッシュ、パンチングメタル、発泡体等の多孔体を用いる。尚、基板8には、後に、電荷輸送体を光電変換部の内部に充填するための複数の貫通孔13を形成しておく。貫通孔13は、例えば、ダイヤモンドドリルにて形成できる。
【0052】
加熱により溶融した熱溶融性樹脂は、加圧により第2の電極の複数の孔内に充填され、その熱溶融性樹脂は第1の電極3と接合される。上記積層体を加圧しながら加熱するので、第1の電極3と第2の電極7との界面には封止樹脂4'は入り込まない。複数の孔内に充填された熱溶融性樹脂は第1の電極3と接合するので、封止樹脂部4と第1の電極3とは強固に接合される。また、第1の電極3と第2の電極7との接続安定性も良い(図1参照)。
【0053】
封止樹脂4'は、例えば、フィルム状、ペースト状のいずれであってもよい。封止樹脂4'がフィルム状である場合は、図4に示すように、半導体層5を収めることができる大きさの開口部をフィルムに形成しておくことが好ましい。
【0054】
尚、加圧および加熱の条件は、熱溶融性樹脂の種類等に応じて適宜選択すればよい。
【0055】
次に、基板8の各貫通孔13から電荷輸送体を注入し、その後、貫通孔13を封止する。
【0056】
このように、隣合う1対の光電変換部のうちの一方の光電変換部の第1の電極3と、他方の光電変換部の第2の電極7とを、熱溶融性樹脂を含む封止樹脂4'とをこの順で重ねせて積層体とし、積層体を厚み方向に加圧しながら加熱する、本実施の形態の光電変換モジュールの製造方法によれば、第2の電極7と第1の電極3との接続安定性がよく、耐久性の高い光電変換モジュールを作製できる。
【0057】
以下に、実施例により本発明の光電変換モジュールの一例をより具体的に説明する。尚、シート抵抗(表面抵抗)は、4探針法に従い、Loresta−GP MCP−T600を用いて測定した。
【実施例1】
【0058】
一方の表面がフッ素ドープSnO2層にてコーティングされたガラス基板(旭硝子製、シート抵抗:10Ω/□、厚さ:1.1mm)を用意し、フッ素ドープSnO2膜の一部を、レーザーを用いて除去した。続いて、ガラス基板およびフッ素ドープSnO2膜を、塩化チタン水溶液中に30分間浸して洗浄し、塩化チタン水溶液から取出して乾燥させた。
【0059】
次に、平均1次粒子径が18nmの高純度酸化チタン粉末をエチルセルロースに分散させ、スクリーン印刷用のペーストを作製した。このペーストを、フッ素ドープSnO2膜上に塗布し、乾燥し、得られた乾燥物を500℃で30分間、空気中で焼成し、厚さ7μmの多孔質酸化チタン膜を形成した。続いて、ガラス基板、フッ素ドープSnO2膜および多孔質酸化チタン膜を、塩化チタン水溶液中に30分間浸して洗浄し、塩化チタン水溶液から取出して乾燥させた。次に、これらを450℃で30分間加熱した後、空気中に放置することにより80℃程度にまで冷却して、複数の半導体層5(各半導体層の受光面積:5cm2)を得た。尚、ガラス基板は1対の基板のうちの一方の基板2であり、フッ素ドープSnO2層は第1の電極3であり、半導体層5の総受光面積は40cm2である(図5参照)。
【0060】
次に、半導体層5を、[Ru(4、4'−ジカルボキシル−2、2'−ビピリジン)2(NCS)2]で表される増感色素を含むエタノール溶液(増感色素の濃度:3×10-4mol/dm3)に浸漬した後、暗所下室温で24時間静置して、半導体層5の酸化チタンに色素を吸着させた。
【0061】
次に、ステンレスメッシュ(線径:18μm、光透過率:45%、)の一方の表面にスパッタ法により白金を付着させた後、ステンレス製メッシュを側面から見た時の形状が略Z字状となるように加工して第2の電極7(シート抵抗:0.2Ω/□)とした。
【0062】
次に、第1の電極3上に、第2の電極7と、封止樹脂4'として熱溶融性接着剤(三井・デュポン ポリケミカル社製、「ハイミラン」)と、複数の貫通孔13が形成された基板8(ガラス基板、厚さ1mm)とを重ねて積層体とし、この積層体を厚み方向に加圧しながら加熱して(温度:90℃、圧力:0.5MPa)、基板2と基板8とを接合した。尚、上記封止樹脂は、半導体層5を囲うように配置した。各貫通孔13は、ダイヤモンドドリルにて形成した。
【0063】
次に各貫通孔13から、ヨウ化リチウム(0.5mol/dm3)とヨウ素(0.05mol/dm3)と4−tert−ブチルピリジン(0.5mol/dm3)とが、3−メトキシプロピオニトリル(溶媒)に溶解された電解液を0.32ml注入した後、各貫通孔13を塞いで、総受光面積が40cm2の光電変換モジュールを作製した。
【実施例2】
【0064】
ステンレスメッシュ(線径:18μm、光透過率:45%、シート抵抗:0.2Ω/□)に代えて、ステンレス製メッシュ(線径:30μm、光透過率:47%、シート抵抗:0.05Ω/□)を用いたこと以外は実施例1と同様にして光電変換モジュールを作製した。
【実施例3】
【0065】
ステンレスメッシュ(線径:18μm、光透過率:45%、シート抵抗:0.2Ω/□)に代えて、ステンレス製メッシュ(線径:120μm、光透過率:45%、シート抵抗:0.005Ω/□)を用いたこと以外は実施例1と同様にして光電変換モジュールを作製した。
【0066】
(比較例1)
下記の素子を8個直列接続した光電変換モジュールを作製した。一方の表面がフッ素ドープSnO2層にてコーティングされたガラス基板(旭硝子製、シート抵抗:10Ω/□、厚さ:1.1mm)を用意した。フッ素ドープSnO2層は、第1の電極である。このフッ素ドープSnO2層に、実施例1と同様にして、受光面積が5cm2の半導体層を形成し、この半導体層に、色素を吸着させた。
【0067】
一方、厚さ1mmの導電性ガラス基板(旭硝子社製、導電層:フッ素ドープSnO2層)の導電層にスパッタ法により白金を堆積させた材料を用意した。白金とフッ素ドープSnO2層とからなる部分(光透過率:約10%、シート抵抗:10Ω/□)は、第2の電極7として機能する。
【0068】
これらのガラス基板を、半導体層が間に配置されるように対向させ、封止材で張り合わせた。その後、実施例1と同様の方法により、実施例1と同様の電解液を電荷輸送体としてガラス基板間に充填して、光電変換モジュールを構成する素子を8個作製した。8個の素子をそれぞれに設けられた取出し電極によって直列に電気接続して、光電変換モジュールを得た(総受光面積:40cm2)。
【0069】
実施例1〜3、比較例の光電変換モジュールについて、下記のようにして光透過率および変換効率を測定した。その結果を表1に示している。
【0070】
[光透過率] 第1の電極が設けられた基板側からその基板と直交する方向に沿って波長550nmの光を光電変換モジュールに照射し(図1参照)、光電変換モジュールを透過した光量を分光光度計を用いて測定した。光電変換モジュールの光透過率は下記の式から算出した。
(数2)
光透過率=(光電変換モジュールを透過した光量)×100/(光電変換モジュールに入射した光量)
[変換効率] 光電変換モジュールに、キセノンランプを用いて光(照度1000W/m2)を照射し、光電変換モジュールの電気出力を測定して変換効率((光電変換モジュールの最大出力/光電変換モジュールに照射された光エネルギー)×100)を算出した。光は、第1の電極が設けられた基板側から照射した。
【0071】
【表1】

【0072】
以上の結果から、実施例1〜3の光電変換モジュールでは、透光性を有しており、受光面積の増大に伴う変換効率の低下が抑制されていることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の光電変換モジュールは、透光性を有し、かつ、受光面積の増大に伴うエネルギー変換効率の低下が制されているので、光電変換モジュールとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の光電変換モジュールの一例を示す断面図
【図2】本発明の光電変換モジュールの一例を示す断面図
【図3】(a)〜(c)は本発明の光電変換モジュールに用いられる第2の電極の一部を示す平面図
【図4】(a)〜(e)は本発明の光電変換モジュールに用いられる第2の電極の一部を示す平面図
【図5】本発明の光電変換モジュールの製造方法の一例を工程別断面図
【図6】従来の光電変換素子の一例を示す断面図
【符号の説明】
【0075】
1 光電変換モジュール
2,8 基板
4 封止樹脂部
5 半導体層
6a,6b 取出し電極
9 電荷輸送体
11 入射光


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1対の透光性を有する基板と、前記基板間に配置され互いに直列接続された複数の光電変換部とを含み、前記光電変換部が、前記1対の基板のうちの一方の基板に設けられ透光性を有する導電性材料を含む第1の電極と、前記第1の電極の前記一方の基板側の面の反対面に接して配置され色素を担持した半導体層と、前記半導体層を挟んで第1の電極と対向するように配置された第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された電荷輸送体とを含み、
前記第2の電極は、抵抗率が1×10-6Ωm以下の導電性材料を含む多孔体を含み、
前記多孔体は、前記基板と直交する方向から入射する光が透過する複数の孔を有しており、
前記第2の電極のシート抵抗が、0.001Ω/□〜1Ω/□であることを特徴とする光電変換モジュール。
【請求項2】
前記光電変換モジュールは、透光性を有する複数の封止樹脂部を含み、
前記基板間において、前記光電変換部と前記封止樹脂部とが前記基板の主面と平行な方向に交互に配置され、
隣り合う一対の光電変換部の間に配置された前記封止樹脂部内で、前記隣り合う一対の光電変換部のうちの一方の光電変換部から延長された第1の電極と、他方の光電変換部から延長された第2の電極とが電気接続されて、前記複数の光電変換部が直列に電気接続された請求項1に記載の光電変換モジュール。
【請求項3】
前記抵抗率が1×10-6Ωm以下の導電性材料は、C、Al、Cu、Sn、Fe、Ni、Zn、Ti、およびCrからなる群から選ばれる少なくとも1種の材料を含む請求項1に記載の光電変換モジュール。
【請求項4】
前記多孔体が、メッシュ、パンチングメタル、および発泡体からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の光電変換モジュール。
【請求項5】
前記第2の電極は、前記多孔体の孔に充填された透光性を有する導電性材料をさらに含む請求項1に記載の光電変換モジュール。
【請求項6】
前記透光性を有する導電性材料は、インジウム−錫複合酸化物およびフッ素ドープ酸化錫からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項5に記載の光電変換モジュール。
【請求項7】
前記第2の電極の前記電荷輸送体と接する面は、白金、パラジウム、炭素および導電性高分子からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料を含んでいる請求項1に記載の光電変換モジュール。
【請求項8】
前記第1の電極に含まれる前記透光性を有する導電性材料は、酸化亜鉛、インジウム−錫複合酸化物およびフッ素ドープ酸化錫からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料を含む請求項1に記載の光電変換モジュール。
【請求項9】
前記隣り合う一対の光電変換部の間に配置された前記封止樹脂部内において、前記隣り合う一対の光電変換部のうちの一方の光電変換部から延長された第1の電極と、他方の光電変換部から延長された第2の電極とが接し、当該封止樹脂部を構成する封止樹脂が、前記第2の電極の前記多孔体の孔内に充填され、当該封止樹脂と前記第1の電極とが接合している請求項2に記載の光電変換モジュール。
【請求項10】
前記光電変換部と前記封止樹脂部とを横断するように、前記1対の基板の主面と直交する方向に切断したときの前記第2の電極7の切断面は略Z字状であり、前記第2の電極の一方の面の一部と第1の電極の一部とが接している請求項9に記載の光電変換モジュール。
【請求項11】
前記封止樹脂が、熱溶融性樹脂を含む請求項9に記載の光電変換モジュール。
【請求項12】
前記熱溶融性樹脂は、アイオノマーを含む請求項11に記載の光電変換モジュール。
【請求項13】
1対の取出し電極をさらに含み、
前記1対の取出し電極は、前記第1の電極が設けられた前記基板に設けられている請求項1に記載の光電変換モジュール。
【請求項14】
請求項1に記載の光電変換モジュールの製造方法であって、
隣合う1対の前記光電変換部のうちの一方の光電変換部の前記第1の電極と、他方の光電変換部の前記第2の電極と、熱溶融性樹脂を含む封止樹脂とを、この順で重ねせて積層体とし、積層体を厚み方向に加圧しながら加熱する工程を含むことを特徴とする光電変換モジュールの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−12731(P2006−12731A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191991(P2004−191991)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】