説明

光電子速度センサを伴うスイープ型撮像装置を用いる指紋検出

皮膚の紋様、特に指紋を検出する方法及び装置において、少なくとも1つの細長い狭いセンサラインを有する少なくとも1つのストリップセンサが、指先がそのストリップセンサを通過するとき、指先の構造を検出すること、少なくとも1つの光電子速度センサが連続的に指の動きを測定すること、少なくとも1つの光電子速度センサとストリップセンサとの上を指先が動かされること、及び測定される指の動きが、非一様な動きの結果として歪む指構造の画像を訂正するのに使用されることが提供される。好ましくは、速度センサは、動かされる指の表面で反射される変調レーザ光の変調のドップラシフトを評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚の紋様(skinprint)、特に指紋を検出する方法及び装置に関する。提案される装置は、加えて、入力デバイスとしての使用に特に適している。入力デバイスは、例えば、電子デバイスにおいて、機能を操作することを行い、ディスプレイ上のカーソルをガイドし、又はメニュー内での選択を行うことができる。意図的に実行される動きのシーケンスが、画像を記録する間に検出され、連続的な評価において考慮されることができる。この追加的な特徴を用いると、指紋に対して考えられる偽造がますます問題ではなくなる。
【背景技術】
【0002】
生体特徴を用いて人々を自動認識することは、安価なコンピュータが利用可能になった結果として可能になった。しかしながら、指紋の画像を記録するための部品、それは指紋センサとも呼ばれるが、コストが非常に高い。
【0003】
一般に使用される指紋センサのほとんどが3つのグループに分けられることができる:
1)光学投影を備えるセンサ
2)フラットセンサ、又は
3)ストリップセンサ。
【0004】
光学投影を備えるセンサの場合、画像は、指先を支持するクリアで透明な(transparent)表面から撮られ、光学系によりサイズが縮小された態様でチップカメラ内に撮像される。チップカメラの表面は、支持領域(bearing area)の大きさの一部分に過ぎない。従って、半導体素材から生じるコストは、比較的低いが、光学系のコストは高い。更に、この原理に基づくセンサは、数センチメータの大きさを必要とする。
【0005】
最も広く使用されるのは、指先の大きさの画像レコーダを持つフラットセンサである。その画像レコーダは、半導体基板に基づき生産される。約14 x 18ミリメータと、22 x 25ミリメータとの間の面積が必要とされる。使用される画像原理(局部容量効果(local capacitance effect)の測定、電場変動又は光学記録)に関わらず、コストのほんの一部が、必要なチップ表面によって、記録素子(ピクセル)に対する支持として、もっぱらもたらされる。大量使用のために算出されると、こうしたコストは、例えば、画像評価マイクロプロセッサに対して今日生じているものよりもずっと高い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第3のグループにおいては、指先の画像は、ライン(line)ずつ連続的に記録されるので、ずっと小さな記録表面だけが必要とされる。ユーザは、記録用ラインセンサの上でその人の指を動かす。動作が進むにつれ、ラインセンサは、指紋を1行ずつ検出する。これらのセンサは、15 x 1ミリメータから20 x 3ミリメータまでのチップ表面の狭いストリップ(strip)だけを必要とする。つまり、半導体素材の一部だけ、ということである。こうして、より一層コストに対して効果的である。しかしながら、実際、それらは、使用することができない、歪んだ画像がしばしば作り出されるという重大な欠点を持つ。この問題の主な原因は、指の非一様な動きにある。結果として、これらのセンサは実際多くの欠点を持つので、しばしば利用されることができない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、指の動きが一定の速度かつ直線的な方向で行われなくても、ストリップセンサを用いて歪みの少ない画像記録を達成することにある。そこで、ストリップセンサの不利な点を伴うことなく、その利点(コスト、スペース)を大部分達成する試みがなされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、本発明によれば、
a)少なくとも1つの細長い狭いセンサラインを有する少なくとも1つのストリップセンサが、指先がそのストリップセンサを通過するときその指先の構造を検出し、
b)少なくとも1つの光電子(optoelectronic)速度センサが、指の動きを連続的に測定し、
c)指先がその少なくとも1つの光電子速度センサとストリップセンサとの上で動かされ、
d)測定される指の動きが、非一様な動きの結果として歪められるその指構造の画像を訂正するために使用されることで達成される。
【0009】
訂正は、歪められる画像の検出画像データ自身に対して適用されることができる。しかしながら、1つの有利な実施形態では、歪められる画像から得られる生体データレコードに訂正が適用されることで、計算の複雑さが少なくされることができる。
【0010】
本発明による方法において、好ましくは、動かされる指の表面で反射される変調レーザ光の変調のドップラシフトを、光電子速度センサが評価することが与えられる。このための特有の利点を伴い使用されることができる光電子速度センサは、Philipsにより「Laser Beetle」の名の下に開発され、例えば国際公開第WO 02/37410 A1号パンフレットに記載される。「マイクロマウス」として、それはコンピュータ用のカーソルガイダンスに使用されることができる。またデバイスのディスプレイ上でのメニュー選択のための機構がなくても、「トラックボール」として、それは使用されることできる。とてもコンパクトな組み立て品であるので、このデバイスは、デバイス表面積において、10から25平方ミリメートルの空間だけを必要とする。直径3から5ミリメートルの実施形態が与えられ、それは、従来の発光ダイオードの大きさ及び構造と同様である。
【0011】
このデバイスは、レーザ光を用いて指先の動きを測定することができる。デバイス表面上での1つ又は複数の方向への指先の瞬時速度が測定される。指先は、透明プラスチック又はガラスで作られる勾配付きの突起領域(beveled raised area)の表面側の上を移動する。勾配付き領域のおかげで、地(bottom)又は天(top)に向かう小さな移動成分(movement component)が生じる。つまり、レーザ光源に向かう又は離れる向きである。指先の皮膚は、コヒーレント光で下から照らされる。反射光の波は、指の動きに応じてドップラ効果の影響を受ける。従って、反射光の周波数及び位相位置は、放射光に対してわずかにシフトする。もし、光の放射成分と反射成分とが光レコーダに与えられる場合、一定の光学的規則性、建設的干渉又は相殺的干渉がそこで発生することに留意されたい。
【0012】
もし放射光が線形チップとして周波数変調される場合、数 kHzの非常に検出しやすい範囲における超低周波成分がドップラ効果及び干渉の結果として生み出されるように、デバイスの寸法が取られる(dimension)ことができる。これらの周波数は、ある方向への指の速度に比例する。多数の方向に対する速度を検出するために、多数の検出システムが組み立て品に一緒に結合されることができる。例えば、2つの直交するレーザ検出システムが例えば1つの速度ベクトルのデカルト(Cartesian)成分を与える。
【0013】
特に、本発明による方法は、指の動きを検出するため、
a)第1の動作フェーズにおいて、まず指先の部分領域だけがストリップセンサを通過し、画像として検出され、
b)続く動作フェーズの1つにおいて、指先の追加的な領域がストリップセンサを通過し、画像として検出され、
c)これらの動作フェーズが、相当種々の方向を持つ、及び/又は相当種々の方向の中間動作フェーズにより分離されており、動作フェーズにおいて検出される指の動きを介して画像が構築されるとき、画像情報の空間配分の少なくとも一部が行われるようにデザインされることができる。
【0014】
本発明による方法の信頼性を更に高めることは、人々を識別するための指先の生体特徴に加えて、測定される無意識の(involuntary)指の動きが追加的な特徴として使用されることを基礎とする。これらの無意識の指の動きはその人に特有であってよい。
【0015】
別の発展は、同様に信頼性を高めるのに役立ち、その別の発展は、
a)動きのシーケンスが、
b)指先の同じ領域がストリップセンサを何度も通過し、画像として検出され、
c)ある領域について何度も検出される画像情報が、画像改良目的のため考慮され、検出される動きのシーケンスを介して画像情報の空間配分の少なくとも一部が行われるように、行われることを基礎とする。
【0016】
生体特徴を用いる自動認識の1つの基本的な問題は、都合よく操作できる特徴を秘密状態に保つことがめったにできないことである。原理上、生体特徴は誰にでも得られることができる。例えば、小さな組織であれば、その人が気が付かないうちに、日々使用する物(everyday object)から指紋が抽出される(remove)ことが可能である。
【0017】
この情報を用いて、技術的な努力を少しすれば、ほとんどの指紋レコーダを用いて受け入れ可能な画像を生み出すのに十分な偽造品を作ることができる。シリコンゴム又はゼラチンから作られる偽造品が知られており、それは、自動検出システムでの識別に通じている。
【0018】
いわゆる「生体人間識別(living person identification)」の場合、表面皮膚構造(upper skin structure)に加えて、偽造と生体の指(living finger)とを区別するために意図される、追加的な特徴が生体識別に含められるべきである。しかしながら、一層努力された結果、例えば、異質な(foreign)皮膚構造のフィルム状の偽造品を生体の指を覆うように(over)引っ張ることによって、問題になっている特徴のほとんどを複製することができる、という状況を完全に除外することができない。
【0019】
特徴的な動きのシーケンスを伴うユーザにより指の動きが実行されるという点、及び測定される指の動きが格納された指の動きと比較されるという点において、これらの偽造の可能性は追加的な発展においては除外される。これは、様々な方法で使用されることができる入力の可能性を与える。例えば、格納された指の動きがそのユーザに特有であり、こうしてユーザが識別されることが与えられることができる。こうして、ユーザによる動作特徴の入力が実行され、これは、格納された指の動きとそれをリアルタイムに比較することによりチェックされる。この動作特徴は、いかなる表面から偽造者により抽出される指紋にも付着することがないという点で特に有利である。
【0020】
追加的な発展において、指の動きを検出する間、検出ユニットが種々の結果に応じて様々な動作状態にスイッチされることが与えられることもできる。
【0021】
原理上は、本発明による方法において、ストリップセンサによる指のスキャニングと、指の動きの測定とを両方とも完了し、それから - 画像処理の後に必要な場合 - 訂正を実行することが可能である。しかしながら、本発明による方法において、速度センサにより測定される設定可能な移動距離の通過が、ストリップセンサによる新しいラインの画像検出を引き起こすことも与えられることができる。すると、新しく読み出されるラインは、少なくとも、測定される指の動きに応じてそのライン方向で生じる誤差に関して訂正されることができる。
【0022】
全体画像又は個別のラインのでさえも、その幾何学的な訂正に対する1つの有利な可能性は、記憶媒体において指紋の画像を格納する画像点(image point)のアドレスが、測定される指の動きに依存することである。
【0023】
画像を訂正することに関する1つの追加的な有利な可能性は、測定される指の動きが非対称の、方向選択的な(orientation-selective)空間フィルタの係数を算出及び/又は選択するのに使用される点、及び画像を処理する間、その空間フィルタが移動方向の訂正を行う点を基礎とする。
【0024】
最後に、画像を訂正するために、測定される指の動きが空間フィルタの係数を算出及び/又は選択するのに使用されること、及び指の画像を処理する間、その空間フィルタが種々の移動距離の訂正を行うことが可能である。
【0025】
動作センサを用いて、指の並進的な(translational)動きを測定することが可能である。検出システムで配置され又は移動されることの結果として生じる指の歪みは、生体特徴方法の許容値以内であれば無視されることができる。指の回転動作及び歪みは、指の動きが指先の様々な部分表面において同時に測定される点、画像レコーディングの平面における比例的な回転動作(回転)が、そこから算出される点、又は指先の様々な部分表面からの移動情報が同時に測定され、部分表面に対して別々に考慮される点とを基礎とする方法の1つの発展を用いて検出されることができる。
【0026】
これらの発展において、指先の様々な部分表面において指の移動が同時に測定され、部分表面において測定される指の移動が、もっともらしいパラメタでの回転及び/又は移動の結果として起こりうるであろうものと相当に異なるとき、ものすごく非常に(excessively highly)明白な歪み及び/又は測定誤差が識別されることも与えられることができる。
【0027】
画像の訂正のための1つの有利な変形は、次のステップを有する:
a) 画像点の位置を、非一様な動きのため必ずしも等距離にない表現(representation)から空間的に高解像度な表現へとロウパス(low-pass)効果を伴う空間フィルタリングに基づき変換すること(オーバーサンプリング)
b)再度減じられるが、確実に等距離である表示へ変換すること(リサンプリング)。
【0028】
本発明による方法における使用可能性の1つの拡張は、速度センサにより放射され反射されるレーザ光が、更に、指によって反射される光学成分(light component)のカラー・ライン・スペクトラム(color line spectrum)に基づき、化学的な特性を決定するために用いられることを基礎とする。こうして、例えば、血中に溶解し、存在すべきガス、例えば、血中酸素成分又は血中二酸化炭素成分の濃度を測定することで、生体の指と複製物とを区別することを実行することが可能である。
【0029】
皮膚の紋様、特に指紋を検出するための1つの有利な配置は、少なくとも1つの光電子速度センサが、ストリップセンサのほぼ数ミリメータ内、かつ指紋を検出するために与えられるポイントにおける表面に位置していることを基礎とする。好ましくは、少なくとも1つの光電子速度センサとストリップセンサとがコンパクトな組み立て品を形成することが与えられる。
【0030】
皮膚の紋様を検出する機能に加えて、本発明による配置において、少なくとも1つの光電子速度センサが同時に機能を操作するための入力デバイスとして使用されること、及び/又は光電子速度センサの光源が同時に速度センサの照明デバイスでもあることが与えられることもできる。
【0031】
更に、本発明による配置は、光電子速度センサの光源が同時にユーザに対する信号を出力するデバイスとして使用されるようデザインされることもできる。
【0032】
最後に、本発明による配置において、光電子速度センサ及びストリップセンサは、弾力性のある支持素材に適用され、その結果として、支持素材により形成される指支持表面(finger bearing surface)が、少なくともストリップセンサを横切る方向に対して柔軟であることが与えられることができる。本発明による配置は、こうして、指の曲面に適応するので、指がその配置の使用の間に余り大きく歪むことはない。
【0033】
正当なユーザの識別は、しばしば携帯デバイスにおいて必要である。更に、通信ネットワークにおいては、携帯端末でユーザの識別が行われることが重要である場合がある。本発明による配置の1つの発展において、そこで、その配置が携帯通信用デバイスの一部であることが与えられる。
【0034】
多くの用途において、好ましくは、固定される配置が与えられ、その表面上を指が動かされる。本発明による配置が、皮膚の紋様を検出する目的で体の部位の表面に対してガイドされるようデザインされることもできる場合には有利である。
【0035】
次の説明は、本発明のより好適な理解のために役に立つ。もし検出ラインセンサに対する指の相対的な動きが考慮される場合、モデルとして次の構成要素に分解されることができる:
1)先端全体の並進、例えば、次の成分を備える
- 方向x(ラインセンサに垂直)
- 及び方向y(ラインの方向に沿って)
2)先端全体の回転、それぞれの場合において、次の要素により記述可能
- 回転速度(値及び方向)
- 回転の位置、それはある状況下においては連続的に移動されることができる
3)指先の弾力性のある歪みの結果としての複雑な移動成分、それは指先の部分表面に対して異なっていてよい
例えば、以下の結果として生じる
- フラットな表面へ丸い指の形状を押すこと
- 表面に対する加速及び摩擦力
4)他の移動成分及び測定誤差。
【0036】
移動は、時間において離散的なステップのシーケンスとして検出される。1つのステップは、有利には、1つのラインを検出するためにかかる時間に等しくされることができる。速度、時間及び距離の間の線形接続のため、各ステップに対して、速度測定に基づく移動の部分距離の測定はわずかである。ライン記録のためのタイムスパン(time span)と、場合により記録の間の時間とは、正確にわかっている。
【0037】
1つのステップの間に指が速度センサ越しに移動する距離は、1つのラインの検出の終わりから次のラインの検出の終わりまでの時間にわたり、測定される速度を積分することにより、算出されることができる。
【0038】
上述された光電子速度センサの場合、速度は正弦曲線の電気信号の周波数から得られるので、信号の固定位相位置が繰り返されるとき、特定の-とても小さい-距離がいつも移動される。ゼロクロッシング(zero crossing)は、その位相位置として容易に検出されることができる。信号が大部分干渉から解放されている場合、信号のゼロクロッシングは、直接数えられることができる。カウンタステータスは、移動距離に比例する。
【0039】
移動の並進成分は、各記録ステップにおいて、つまり各画像ラインにおいて、移動ベクトルとして説明される。そのベクトルは、デカルト成分において直接的に検出されることができる。この場合x方向は、ストリップセンサを横切る方向に存在する。y方向は、ストリップセンサのラインの方向に沿って存在する。
【0040】
スキャン操作における理想のセッティングとしては、画像記録の間x方向における速度が完全に一定であることが望ましいであろう。更に、各画像記録に対して、毎回同じ速度が繰り返されることが望ましいであろう。そこで、x方向において等距離かつ繰り返し可能な大きさのピクセルが生み出される。
【0041】
理想的には、y方向には移動がないべきである。つまり、値ゼロの速度が常に検出されるべきである。ラインピクセルの大きさは、画像素子(image element)の幅として使用されるべきものである。そのラインからの配置は、画像を格納する間に直接行われることができる。y方向における安定した位置(=動きゼロ)は、あるストリップセンサにおいては、弾力性のある窪み又はx方向におけるガイドにより補助される。これは、限定された効果、とりわけ、種々の大きさの指による効果のみを持つことができる。既に述べたように、人々がこの均一で理想的な動きに近づくことはめったにない。
【0042】
並進的な移動又は全体の複雑な動きにおける並進的な成分のモデルは、同時に記録される各画像点に対する同じ並進的なベクトルを分類する。つまり、所与のラインに対して、ベクトルが割り当てられ、場合によっては格納される。ベクトルは、訂正のために付加的に考慮される。
【0043】
移動のモデルが並進に対して減らされるべきであるとする場合、x方向における1つの速度測定及びy方向における1つの速度測定で十分である。簡略化された変形例においては、2つの方向のうち1つが省略されることさえ可能である。
【0044】
測定技術の理由から、検出のベクトル成分は、理想の動きの場合それらが同一の値を持つようデザインされて与えられることもできる。例えば、垂直成分は、ライン方向に対して(counter to)45度から135度回転されることができる。斜行角度(oblique-angled)座標系システムもまた可能である。これらは、それぞれの場合、ラインを横切る及びそれに沿う様々な大きさの動きをより好ましい測定誤差で検出するために、ライン方向に対して同じ角度値を持つ。
【0045】
1つの簡単なスキャン操作において、理想的には、画像検出の間に回転動作は何も発生するべきではない。
【0046】
移動の回転成分として、ストリップセンサ及びデバイス表面における平面に存在するものだけが考慮されるべきである。他のすべての回転成分が、他の移動成分に加えられ、そのようなものとして一般的に無視される。回転の結果として、開始点は、角運動であると仮定される。角度は、その値と符号に関して、各ライン毎に変更する場合がある。問題を複雑にするために、回転ポイント(回転中心点)はセンサ平面上を連続的に移動されると仮定される。更に、簡略化された態様において、回転ポイントは、離散的な時間ステップの間保たれることができると仮定される。
【0047】
回転動作の成分を説明するために、各記録されるラインは、回転角と回転中心点との組に割り当てられることができる。別の数学的な記述形式は、回転行列及び移動ベクトルである。回転が並進と共に考慮されると、各場合において2つの方向成分を伴う少なくとも2つの速度センサが与えられるべきである。更に、仮定とフレームワーク条件がセットされるべきである。例えば、回転角及び回転ポイントの位置のもっともらしい限界、又は、まず移動が圧倒的に並進的な成分からなり、測定される値の残りの差だけが回転としてみなされるべきであるという仮定がなされる。
【0048】
並進に加えての回転は、2つ以上の速度センサが存在する場合に考慮されることは簡単である。解かれるべき方程式系()は、回転行列及び移動ベクトルからの決定系(determined)又は優決定系(overdetermied)になる。優決定系の場合、しかしながら、測定誤差を伴う移動値の誤差の処理が行われなければならない。
【0049】
歪みの移動成分は、完全に閉じた(closed)態様でモデル化されるものではない。こうして、フラットな表面で範囲を変えて押し付けられる丸い指先の結果として、歪みは、範囲を変えて(to varying extents)上方へ向けられる先端の縁での動きを導くことができる。
【0050】
低摩擦で押し(pressing)が弱い場合、指の並進は、皮膚の表面での比較的均一な運動をもたらす。よりはっきりした押しの場合、しかしながら、まず、連続する摩擦力の結果として組織のバネの弾力性に圧力が加えられ、つまり、指全体の並進の一定の拡張の後にのみ上部皮膚に続く。種々の押しの結果として、これらの効果は、幾何学的に小さいけれども、検出される画像素子(ピクセル)の大きさのオーダー(order)を超える。
【0051】
強制的に押された指の回転は、反対方向の接線(tangent)に向けて摩擦力をもたらす。それを用いて、わずかにらせん状の歪みが生じる。歪みが考慮されることは難しい。楕円形又は双曲線表面への射影としての訂正の決定はとても複雑である。それは射影行列を介して算出されることができるが、行列の決定が困難である。
【0052】
そこで、種々の並進移動(そして可能であれば、わずかに種々の回転動作)が指先の部分領域に仮定され、多数の速度センサを用いてこれらが独立して互いに検出され、各場合において、画像訂正において異なって考慮されるよう、歪みの処理を簡略化することが提案される。
【0053】
別の手続は実際には、歪みの訂正を施すべきものであってよい。代わりに、それは、全体の歪みの範囲が閾値を上回る又は下回るかどうかを単に決定する。品質基準の態様において、受け入れ可能な検出プロセスと受け入れ不可能なものとの間の区別がなされるべきである。並進及び/又は回転に対する速度センサのパラメタが信じがたい値又は値比率(value ratio)に届くときは、大きな歪みの兆候が存在する。このため、少なくとも2つの速度センサが必要とされる。
【0054】
例において、互いに対する2つの速度センサの多量の動きは、並進又は回転に対して相対的に信じ難いものである。しかしながら、測定誤差は歪みとしてこのような現象をもたらす場合もある。両方の場合において、非常に高い確率で問題を生じる画像品質のために、検出プロセスが繰り返されることが提案される。
【0055】
ストリップセンサの平面及びデバイス表面の外側にある回転ポイントで、回転する又は傾ける動きは、同様に人間の関節システムによりもたらされる。それは理想の画像記録にとっては望ましくない。回転動作は、多数のストリップセンサを用いてのみ検出されることができ、主に、並進及び回転成分により表現される。移動パラメタ自身は大部分が、多数の速度センサの値から算出され、そして推定されることができる。しかし、その値は、困難さをもって検出のみされることができる回転によりもたらされる歪み成分を変化させることにより重畳される(superposed)。
【0056】
更に、冷たい、湿った、又は脂っぽい指の移動及び歪みがわずかに異なることが仮定される。通常これらの他の原因が移動モデルにおいて考慮されることは困難である。歪みの場合のような手続がアドバイスされる。しかしながら、他の原因を伴うこれらの移動は、並進ベクトルや回転パラメタにおいて、及び考慮に入れるのであれば訂正可能な歪みにおいても、かなりの範囲にわたって発見されることができる。
【0057】
ラインセンサ又はストリップセンサの適合は、本発明によれば、望ましくない、通常非一様な移動成分が訂正されることで改善される。
【0058】
この訂正は、画像検出に続くステップを処理することにより、又は検出プロセスの一部として行われることができる。1つの特に計算電力節約の変形例は、一旦生体特徴が測定された場合にのみ訂正ステップを適用することである。つまり、生体データレコード(テンプレート)に含まれる特徴における、より一層少数の空間情報項目に対して適用する。訂正の生画像(raw image)への適用と生体データレコードへの適用との間の中間段階は、指紋のベクトル表現にそれを適用することである。ベクトル訂正は、指構造のベクトル化の処理段階で行われることができる。ベクトル化は、2、3の処理アルゴリズムで与えられる。
【0059】
最初に、全体画像の画像検出の後に行われる訂正が議論される。時間に対して等距離で検出される各ラインで、1つの移動ベクトルが各速度センサに対して検出される。それは、以前のラインに対して規定されるか、又は以前のすべてのラインに対して積分されることができる。1つの速度センサだけが使用される場合、このベクトルは、ラインの画像点の座標に追加される。ベクトルを以前のラインに関連させるとき、このラインの訂正が含められる。理想的に記録される画像の場合に移動されるx方向における距離は、しかしながら、ベクトル的に事前に減じられる。
【0060】
多数の速度センサの場合、上述した並進ベクトルに加え回転行列が決定されることができる。このベクトルは加えられるが、事前に回転行列と画像点の未訂正ベクトルとの行列ベクトル積算が実行される。この乗算及び加算の結果は、画像点の訂正されたベクトルである。この場合、同じ回転行列が全体のラインに対しても使用される。1つの平面における回転行列は、次元2 x 2の値を持つ。それは、自由ではないが、回転角と中心点とのパラメタに依存する。回転行列及び並進ベクトルを決定するために、速度センサの移動値を用いて方程式系が解かれる。
【0061】
補間計算を用いて、移動成分の非一様な分離化(discretization)の破壊的な効果が弱められることが可能である。この目的のため、元の画像のオーバーサンプリングの使用、空間フィルタの使用、及び元の解像度でのいわゆるリサンプリングが提案される。対称的な畳み込み行列(folding matrix)(又は、画像フィルタ行列)がしばしば空間フィルタに使用される。
【0062】
この時点で、有利には、非対称な明白な係数を持つ行列を使用することができる。その非対称性は、補償する態様で、1つの計算ステップにおける動きを訂正及び補間する。
【0063】
専用の射影行列に結び付けられる、各ライン又はいくつかのラインに対する積算による射影的な調整もまた可能である。この目的のため、種々の位置からの多数の速度情報項目が常に必要とされる。
【0064】
測定される動きは、ラインの検出の後直ちに行われることもできる。これは、特に、並進を考慮するために用いられることができる。ストリップセンサに沿う動きが1ピクセルを超える場合、例えば、移動によりラインのデータが移動されることができる(ピクセルで計算される)。これは、ラインに対するメモリのアドレス計算によりもたらされることができる。又は、ラインを読むための連続移動に関連付けられることができる。
【0065】
ストリップセンサを横切る方向は、ラインに対する検出時間、特にライン検出の間の待ち時間を制御することにより影響されることができる。これらの時間は、検出が実質的に等距離の態様で行われるよう制御されることができる。動きの測定は、一定の距離が移動されるとき(traveled)、常に新しいラインを記録することを可能にする。この場合、必要とされる時間 - 移動速度に依存する - は、ありえない時間が過ぎるか又は達しないときに関してもはや何の影響も持たない。
【0066】
とても正確に測定される動きのシーケンスと共に、指先の位置がラインセンサを介して複数回検出されるとき指紋の画像を改善することが可能である。この目的のため、中断されない動き、例えば、複数の前進及び後進する指の動きが実行される。その動きの正確な続きは、幾何学的な位置のとても正確な配分を可能にし、そうでなければ、複数回画像を検出することに対応し、それは、あらゆる種類のスキャッタリング画像誤差(scattering image error)を減じる。大きく、広い指先が従来同様に狭いストリップセンサにより不完全にのみ撮像されるときでも、同様の態様でその手続は実行されることができる。この場合、画像は、複数の移動により補完されることができる。
【0067】
レーザ光は、光学検出原理に基づきラインセンサに対する照明目的として使用されることができる。特に散乱光は、指先を上手に照らすことができる。多数のレーザダイオードの場合、これらは、時間多重送信操作(time multiplex operation)において、指に対する種々の照明角度を生み出す。画像は、交互性の影(alternating shadow)のためよいコントラストを示すことができる。多数のレーザダイオードが、マルチカラー照明又は特定の励振周波数を伴う照明のために使用されることができる。結果として、適用される素材の多数の化学的特徴を推定することが可能である。例えば、血中酸素成分が測定されることができ、それは、偽造に対する限定的な兆候として機能することができる。
【0068】
可視レーザ光の場合の1つの人間工学的な利点は、入力ポイントの透明な光学的マーキング(clear optical marking)であり、そして場合によっては、例えば、可視フラッシング(flashing)又はパルシング(pulsing)を用いるシグナリング(signaling)である。
【0069】
多数の可能性のある用途を説明するため、2、3の分野における用途が挙げられる:
【0070】
動作素子と組み合わせるコンピュータアクセスは、提案されるソリューションの1つの明確な用途である。多数の追加的な機能及びサービスを伴う次世代の携帯電話、通信機能とノートブック機能とを伴うハンドヘルドコンピュータ(PDA)において特有の利点が得られる。追加的な用途は、自動車に対するアクセス及び電子操作機能を含む。自動車用電子キー(electronic car key)又はアクセストークンが動作可能にされることができ、場合によっては、指紋により操作されることもできる。提案されるタイプのシステムにより決済機能が制御されることができる。
【0071】
キャッシュマシン、POSシステム、金庫、ドアロックを用いるアクセス制御、回転ドア、クロックイン端末、及び公衆銀行端末に、本発明によるソリューションが装備されることができる。重大な操作処理を伴う医療デバイスは、特に認証された人々だけがこれらの重大な処理を開始することができるようにするため安全機構を必要とする。本発明によるソリューションは、このために使用されることができる。同じ種類の物がまた、航空機、自動車、機械及びシステムにおいて有益である場合がある。これは、操作についてだけでなく、メンテナンス、較正及びパラメタの設定について適用される。入力システム及び指検出の組み合わせを用いることにより、操作者の自動識別を伴う特定の操作機能のプロトコル化が可能である。例えば、株式市場におけるコンピュータが、取引注文を、証拠を持つ(as evidence)人間に接続することができる。スポーツ用武器及び狩猟用武器、並びに同様の危険なアイテム、ツール、及び機械に関する、人間関連保証(person-associated securing)が可能になる。
【0072】
特定の用途の利点は、非常にコストに敏感な製品の場合及びスペースに対する条件が非常に制限されている場合に得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0073】
本発明は、図面に示される実施形態の例示を参照して更に説明されるであろう。しかしながら、本発明はその実施形態の例示に限定されるものではない。
【0074】
図1は、ラインセンサ又はストリップセンサ(1)と光電子速度センサ(2)とを有する実施形態の例示を示す。図1では、デバイス筐体(4)の部分投影のみがここでは見ることができる。指(3)は、指先と共に、筐体(4)の表面に対するわずかな押圧の下に置かれ、速度センサ(2)とラインセンサ又はストリップセンサ(1)との上で引きずられる。
【0075】
再現可能かつ一定の速度での直線的な動きがストリップセンサを横切る方向に生じる場合にのみ、直角で等距離な(orthogonally equidistant)画像点を持つ標準画像が生成される。これは、指の動きにより一定の限度までのみ近づけることができる。その代わりに、速度を変えた、どこか曲がった、非一様な動き(5)が典型的である。
【0076】
図2aから2cは、画像の歪み、及び非一様な動きによる生体特徴の歪みを示す。図2aは、例えば、とても良質のフラットセンサにより与えられるであろう歪みのない指紋を示す。例示において、構造の中心(コア)からの矢印は、生体識別において決め手となる少数の選択された特徴(minutiae:特徴点)を示す。
【0077】
図2bにおいて、これらの特徴の幾何学的な関係が座標系における矢印ベクトルとして示される。図2cは、図2aと同じ方向の同じ指紋の画像を示す。しかしながら、ここでは、大量の歪みが生じている(undergo)。このような歪みは、既に述べられた原因が理由で生じるが、ラインセンサの場合、主に指の非一様な動きが原因である。選択された特徴(特徴点)が、ここでも矢印で示される。
【0078】
図2dは、これらの特徴の幾何学的な関係を矢印ベクトルで示す。図2bと比較すると、特徴の幾何学的な位置が大分異なることが示される。検出プロセスは、特に耐性パラメタがセットされるときのみ、偏差を同一なものとして受け入れることができる。しかしながら、高い耐性はまた、他人との不正確な識別を導いてしまう。
【0079】
図3aから図3iは、構成要素であるストリップセンサ(6)と速度センサ(7)とに関する配置の例を示す。特に:
【0080】
図3aは、ストリップセンサ(6)を横切る速度成分(ここでは、xで表記される)のみを検出する単純な速度センサ(7)を示す。そこで、それが、検出の間の指の動きの主成分である。このような配置を用いて、例えば、ライン記録の時間が、距離の関数として制御されることができる。
【0081】
図3bは、ストリップセンサ(6)に沿う速度成分(ここでは、yで表記される)のみを検出する速度センサ(7)を示す。理想的な検出プロセスにおいて、それはゼロに近いべきである。動きがストリップセンサ(6)のピクセル幅を超える場合、例えば、ラインのデータは、対応するピクセル数分、動きに関して移動される。
【0082】
図3cは、ストリップセンサ(6)を横切る(x)及びそれに沿う(y)速度成分を検出する速度センサ(7)を示す。それにより、並進的な(translation)動きが測定されることができる。
【0083】
図3dは、ストリップセンサ(6)を横切る(x)及びそれに沿う(y)速度成分を検出する速度センサ(7)を示す。2つのストリップセンサ(6)の間の中心にある速度センサ(7)の位置を用いて、画像及び速度検出が、その指に関して同じ位置で行われる。つまり、圧倒的に誤差が少なく、同じ接触期間にわたり行われる。
【0084】
速度センサ(7)は、更に、突起領域又は窪みを用いて、指の位置に対して、触れることのできる補助(tangible aid)を形成することができる。多数のラインセンサが互いに隣接して用いられる場合、有利には、これらは、それぞれの場合に一層小さくなるようにデザインされることができる。多数のストリップセンサ(6)を用いることで、大きな指先のより広範な領域を検出することが可能である。ストリップセンサの中断箇所(break)を通過して、中央に含まれる画像の切れ目(image strip)は、いずれにせよ冗長な少数の生体特徴を省略することをもたらすだけである。
【0085】
図3eは、画像に対して直交し、ストリップセンサ(6)に対して角度をなす速度成分(x’及びy’)を検出する速度センサ(7)を示す。速度成分の角度は、この場合、同じ大きさであるように選択されるが、異なる方向である。
【0086】
通常、速度センサは、ストリップセンサ(6)に対して45度の角度が作り出されるよう、直交する記録成分と共に生成される。この場合の決定的な利点は、実際的に理想的な動きが与えられる場合、速度成分と測定技術誤差の範囲とが、同じ大きさになることである。並進的な動きが、それにより検出されることができる。
【0087】
図3fは、いずれの場合でも、ストリップセンサ(6)を横切る(x1、x2)及びそれに沿う(y1、y2)速度成分を検出する2つの速度センサ(7)の配置を示す。速度センサの様々な値により、並進的な動き及び回転がそれにより検出されることができる。結果がもっともらしい値から逸脱する場合、測定誤差が生じているか、又は指の組織に大きな歪みが生じている。
【0088】
図3gは、図3fと比較可能な配置であるが、ストリップセンサ(6)への接触の直前及び同様に直後に、並進が少なくとも1つの速度センサにより測定されることができる。そこで、検出されたラインは、たとえ、下端画像から開始され、上端画像で終わる場合でさえ、一定の速度で連続的に与えられることになる。
【0089】
図3hは、図3fと比較可能な配置であるが、図3hの場合だと、速度センサ(7)がストリップセンサ(6)の端に位置する。その配置は、動きの主方向におけるストリップセンサ及び速度センサの位置が同じであるという利点を持つ。しかしながら、狭い指先は、短いストリップセンサ(6)の場合に2つの速度センサ(7)によってのみ検出されることができる。大きな指の場合、短いラインセンサは少ない情報を順に提供する。しかしながら、これは、本発明の内容において提案される複数の動作により、一定限度まで補償されることができる。
【0090】
図3iは、2つ以上の速度センサ(7)の助けを借りて、上述された歪みにも対処することができるものである。ストリップセンサ(6)の上下のオフセット配置は、各速度センサ(7)に対して実際に理想的な動きが与えられる場合、指先の他の部分が速度測定を受けるという利点を持つ。
【0091】
図4aから図4cは、生体特徴に加えて追加的な特徴として用いられることができる、1つの特徴的な動きのシーケンスを例として示す。
【0092】
図4aは、連続的な部分移動を例として示す。第1の動作セクション(9)では、指の動きは、下方向そしてわずかに右方向に向かう。これは、第2の動作セクション(10)へと続く。ここで、指の動きは、上方向そしてわずかに右方向に向かう。最後に、第3の動作セクション(11)では、指は移動されないが、指の回転が半時計回りに約180度行われる。
【0093】
図4bは、2つの速度センサ(7)と1つのラインセンサとを備える表面側(8)を示す。これは、図4a及び図4cに示される例に対応する基準座標系(x、y、a)を示す。
【0094】
図4cは、ベクトル成分(x、y)の経過及び特徴的な動作の間の角度αの回転の経過を示す。これらの変数は、3つの図において時間の関数として示される。第1の動作セクションの期間(12)は、x成分における鋭い降下、y成分におけるわずかな上昇、しかし回転角度の変化がないことにより区別される。第2の動作セクションの期間(13)では、x成分における鋭い上昇、y成分における別のわずかな上昇、そしてここでも回転角度の変化がないことが観察される。第3の動作セクションの期間(14)は、x成分及びy成分に変化が無いことにより特徴付けられる。しかしながら、回転の角度が急激に増加する。
【0095】
図5a及び図5bは、2つの用途を示す。本発明によるソリューションは、携帯電話(15)においてとても有利に使用されることができる。スペース節約ユニットにおいて、速度センサ(7)及びラインセンサ(6)は、フロント側又は筐体の側面に沿って配置される。このユニットは、同時にメニュー制御及び識別システムに対する入力部品でもある。
【0096】
更なる例は、適切な指紋により動作可能になる小さな認証デバイスである。ここでは、PCシステムにおけるアクセス制御に使用されることができる、USBインタフェースを伴ういわゆるトークン(16)が示される。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】実施形態の第1の例を示す図である。
【図2a】生体特徴の歪みを示す図である。
【図2b】生体特徴の歪みを示す図である。
【図2c】生体特徴の歪みを示す図である。
【図2d】生体特徴の歪みを示す図である。
【図3a】構成要素の様々な配置による実施形態の追加的な例を示す図である。
【図3b】構成要素の様々な配置による実施形態の追加的な例を示す図である。
【図3c】構成要素の様々な配置による実施形態の追加的な例を示す図である。
【図3d】構成要素の様々な配置による実施形態の追加的な例を示す図である。
【図3e】構成要素の様々な配置による実施形態の追加的な例を示す図である。
【図3f】構成要素の様々な配置による実施形態の追加的な例を示す図である。
【図3g】構成要素の様々な配置による実施形態の追加的な例を示す図である。
【図3h】構成要素の様々な配置による実施形態の追加的な例を示す図である。
【図3i】構成要素の様々な配置による実施形態の追加的な例を示す図である。
【図4a】偽造を防ぐための追加的な特徴として特徴的な動きのシーケンスを用いることの可能性を示す図である。
【図4b】偽造を防ぐための追加的な特徴として特徴的な動きのシーケンスを用いることの可能性を示す図である。
【図4c】偽造を防ぐための追加的な特徴として特徴的な動きのシーケンスを用いることの可能性を示す図である。
【図5a】2つの応用例を示す図である。
【図5b】2つの応用例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚の紋様、特に指紋を検出する方法において、
a)少なくとも1つの細長い狭いセンサラインを有する少なくとも1つのストリップセンサが、指先が前記ストリップセンサを通過するとき、前記指先の構造を検出し、
b)少なくとも1つの光電子速度センサが連続的に前記指の動きを測定し、
c)前記指先が、少なくとも1つの光電子速度センサ及び前記ストリップセンサの上を移動され、
d)前記測定される指の動きが、非一様な動きの結果として歪みが生じる前記指の構造の画像を訂正するのに使用されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記光電子速度センサが、前記移動される指の表面で反射される変調レーザ光の変調のドップラシフトを評価することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記訂正は、前記歪みが生じた画像から得られる生体データレコードに適用されることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記指の動きを検出するため、
a)第1の動作フェーズにおいて、まず前記指先の部分領域だけが前記ストリップセンサを通過し、かつ画像として検出され、
b)続く動作フェーズの1つにおいて、前記指先の追加的な領域が前記ストリップセンサを通過し、かつ画像として検出され、
c)これらの動作フェーズは、相当に種々の方向を持つ、及び/又は相当に種々の方向の中間動作フェーズにより分離され、前記動作フェーズにおいて前記検出される指の動きを介して前記画像が構築されるとき、少なくとも画像情報の空間配分の一部が行われることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記測定される無意識の指の動きが、人々を識別するための前記指先の生体特徴に加えて、追加的な特徴として使用されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
a)動きのシーケンスが、
b)前記指先の同じ領域が、前記ストリップセンサを複数回通過し、かつ画像として検出され、
c)1つの領域に対して複数回検出される前記画像情報が、画像改良目的のために考慮され、少なくとも前記画像情報の空間配分の一部が、前記検出される動きのシーケンスを介して行われるように、行われることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記指の動きが、特徴的な動きのシーケンスを伴うユーザにより実行され、前記測定される指の動きは、格納された指の動きと比較されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記格納された指の動きが、前記ユーザに特有であり、前記ユーザはこうして識別されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
検出ユニットが、前記指の動きの検出の間に種々の結果に応じて様々な動作状態にスイッチされることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記速度センサにより測定される設定可能な移動距離の前記通過が、前記ストリップセンサによる新しいラインの画像検出を引き起こすことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
記憶媒体に前記指紋の前記画像を格納するための画像点の前記アドレスが、前記測定される指の動きに依存することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記測定される指の動きが、非対称な、方向選択的な空間フィルタの係数を算出及び/又は選択するのに使用され、前記空間フィルタは、前記画像を処理する間に前記動きの方向の訂正を行うことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記測定される指の動きが、空間フィルタの係数を算出及び/又は選択するのに使用され、前記空間フィルタは、前記指の画像を処理する間に前記種々の移動距離の訂正を行うことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記指の動きが、前記指先の様々な部分表面に関して同時に測定され、画像記録の平面における比例的な回転動作である回転は、前記測定される指の動きに基づき算出されることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記指先の様々な部分表面からの移動情報が同時に測定され、かつ前記部分表面に対して別々に考慮されることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記指先の様々な部分表面の前記指の動きが同時に測定され、前記部分表面の前記測定される指の動きは、もっともらしいパラメタでの回転及び/又は移動の結果起こりうる動きと相当に異なるとき、非常に明白な歪み及び/又は測定誤差が識別されることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記測定される指の動きを用いる前記画像の前記訂正が、
a)前記画像点の前記位置を、非一様な動きのため必ずしも等距離ではない表現から空間的に高解像度な表現へとロウパス効果を伴う空間フィルタリングに基づき変換するオーバーサンプリングと、
b)再度減じられ、しかし確実に等距離な表現へと変換するリサンプリングとの部分計算を有することを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記速度センサにより放射され、かつ反射されるレーザ光が、更に、前記指で反射される前記光学成分のカラー・ライン・スペクトラムに基づき化学的特性を決定するのに使用されることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
血中に溶解し、存在すべきガスとして例えば血中酸素成分又は血中二酸化炭素成分の濃度の測定が実行されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
皮膚の紋様、特に指紋を検出する装置であって、
少なくとも1つの光電子速度センサが、ストリップセンサのほぼ数ミリメータの範囲内であって、前記指紋を検出するために与えられるポイントにおける表面に位置することを特徴とする装置。
【請求項21】
少なくとも1つの光電子速度センサと前記ストリップセンサとがコンパクトな筐体を形成することを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
少なくとも1つの光電子速度センサが、加えて、機能を操作する入力デバイスとして使用されることを特徴とする請求項20又は21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
前記光電子速度センサの光源が、加えて、前記速度センサの照明デバイスであることを特徴とする請求項20乃至22のいずれかに記載の装置。
【請求項24】
前記光電子速度センサの光源が、加えて、ユーザに信号を出力するデバイスとして使用されることを特徴とする請求項20乃至23のいずれかに記載の装置。
【請求項25】
前記光電子速度センサ及び前記ストリップセンサが、弾力性のある支持素材に適用され、結果として、前記支持素材により形成される指支持表面は、少なくとも前記ストリップセンサを横切る方向に対して柔軟であることを特徴とする請求項20乃至24のいずれかに記載の装置。
【請求項26】
携帯通信のためのデバイスの一部であることを特徴とする請求項20乃至25のいずれかに記載の装置。
【請求項27】
皮膚の紋様を検出する目的のため体の部位の表面に対してガイドされることができるような構成であることを特徴とする請求項20乃至26のいずれかに記載の装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図3f】
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【図3g】
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【図3h】
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【図3i】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5a】
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【図5b】
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【公表番号】特表2007−505389(P2007−505389A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525958(P2006−525958)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051600
【国際公開番号】WO2005/024706
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(501344315)コニンクリユケ フィリップス エレクトロニクス エヌ.ブイ. (174)
【Fターム(参考)】