免疫の調節、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下及び結膜炎の予防又は治療に有用な組成物及び方法
免疫の調節、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下、及び/又は動物における結膜炎の予防若しくは治療に有用な組成物及び方法。この組成物は、有効量のプロバイオティクスエンテロコッカス(Enterococcus)細菌を含有し、この方法では、意図する目的に適した量でこのような組成物を単独で、補助食品に入れて、又は食品組成物中に入れて動物に投与する。特定の実施形態では、プロバイオティクスはエンテロコッカス フェシウム(faecium)株NCIMB10415(SF68)であり、動物はネコである。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願]
[0001]この出願は、2005年10月6日出願の米国特許仮出願第60/724,214号明細書の優先権を主張する2006年10月6日出願の米国特許出願第11/544,120号明細書の特典を主張する一部係属出願である2007年5月24日出願の米国特許出願第11/805,813号明細書の優先権を主張するものであり、それらの開示全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
[発明の背景]
発明の分野
[0002]本発明は一般的にプロバイオティクスに関し、詳細には自然免疫及び適応免疫を改善し、ワクチン効果を増強し、慢性FHV−1感染に関連した罹患率を低下させ、並びに結膜炎を予防又は治療するためのプロバイオティクスの使用に関する。
【0003】
関連技術の説明
[0003]プロバイオティクスは、適量で投与されたとき、宿主の健康に利益をもたらす生きた微生物として定義することができる。プロバイオティクスは、病原細菌による粘膜表面のコロニー形成に対する耐性(コロニー形成耐性)を増加させることにより、又は免疫調節物質の産生を促進する、消化管関連リンパ系組織(GALT)に対する直接の影響を及ぼすことにより、プロバイオティックスの有益な健康効果を与えることができると理論付けられている。
【0004】
[0004]プロバイオティクスは、ヒト医療において種々の感染症の経過を調節するために使用されてきた。対照的に、獣医学ではほとんど研究が行われてこなかった。大部分の獣医学研究は、大動物において行われており、プロバイオティクスは糞便性病原体の排出の改造、又は体重増加、飼料転換率及び死亡率減少などの生産パラメータの改善の試みに使用されてきた。
【0005】
[0005]1つの動物試験で、エンテロコッカス フェシウム(Enterococcus faecium)株NCIMB10415(SF68)をイヌジステンパーウイルス(CDV)でワクチン接種した子イヌの1群に与え、ワクチン接種のみを受けた対照群と比較した。SF68が補給された子イヌでは、対照の子イヌと比べて血清及び糞便の総IgA濃度が増加し、CDV特異的IgG及びIgAの血清濃度が増加し、循環Bリンパ球のパーセンテージが増加しており、このプロバイオティクスによって誘導される免疫増強効果が立証された。
【0006】
[0006]ネコヘルペスウイルス(FHV−1)感染は、ネコに一般的で、ネコ間の伝染性が著しい。FHV−1はしばしば、世界中でネコの重篤な臨床疾患を引き起こす。感染の急性期には、発熱、くしゃみ、鼻汁、結膜炎、咳、呼吸困難及び死が起こり得る。FHV−1は、1次感染後に潜伏感染として残留する。FHV−1が感染したネコは一定期間臨床的に正常であり得るので、密集、その他の併発症及びその他のストレス形態によって活性化され得る。再発性結膜炎、角膜炎、くしゃみ及び鼻汁が一般的な徴候である。さらに、活性化されている間、FHV−1排泄率は高く、その他のネコの感染が生じる可能性がある。
【0007】
[0007]ネコ汎白血球減少症(FPV)は、重篤な胃腸疾患を招くウイルス血症を引き起こすウイルスである。適切にワクチン接種された子ネコは殺菌免疫を示した。ネコの鼻腔気管炎(FHV−1)及びネコカリシウイルス(FCV)は、この症候群に関係する2種類のウイルス病原体である。病原曝露株を接種後、ワクチン非接種対照と比較した場合、FCVワクチンはワクチン接種動物で>95%の相対的有効性を誘導するが、FHV−1ワクチンは、約60%の相対的防御を誘導するのみである。したがって、FHV−1は、ワクチン接種が広く行き渡っているにもかかわらず深刻な問題であり続ける。ワクチン接種の有効性を改善する以前の試みには、鼻腔内投与が含まれた。しかし、このような投与は、より大きな副作用及び、やがて疾患の重篤度の低下は導くがキャリア状態の有病率は低下させない病原性株の遺伝子操作を導いた。キャリア状態は、宿主の再発又は再感染並びに同居する動物に対する伝染を引き起こし得る。インターフェロンアルファ、頭蓋開口術、抗ウイルス剤、鼻切開術、グルココルチコイド、局所的鬱血除去剤、及び細菌の二次感染に対する抗生物質を含む慢性FHV−1感染症に対する複数の治療が試みられた。しかし、FHV−1を含有するワクチンの投与は感染を予防せず、現在では体からFHV−1を排除する薬剤はない。治療用に経口使用される薬剤は高価で、効果がなく、毒性であり得る。これらの処置はいずれも、慢性ウイルス感染を取り除くことはできなかった。したがって、ウイルスの排出及び臨床疾患の再発は一般的である。細胞媒介性及びIgA粘膜免疫応答は、α−ヘルペスウイルス感染の予防及び制御に重要と考えられる。
【0008】
[0008]結膜炎(「ピンクアイ」又は「マドラスアイ」)は、結膜の炎症である。結膜炎は通常、アレルギー反応又は細菌若しくはウイルスによる感染によって引き起こされる。眼瞼結膜炎は、結膜炎と眼瞼炎(眼瞼の炎症)の併発である。角結膜炎は、結膜炎と角膜炎(角膜炎)の併発である。
【0009】
[0009]免疫、ワクチンの有効性及びFHV−1感染に影響を及ぼす方法がいくつか知られているが、自然免疫及び適応免疫を改善し、ワクチン効果を増強し、慢性FHV−1感染に関連した罹患率を低下させる新たな組成物及び方法が依然として必要である。さらに、動物における結膜炎を予防又は治療する組成物及び方法が必要である。
【0010】
[発明の概要]
[0010]したがって、本発明の目的は、免疫を調節し、ワクチン効果を増強し、慢性FHV−1感染に関連した罹患率を低下させ、結膜炎を予防又は治療する方法及び組成物を提供することである。
【0011】
[0011]本発明の別の目的は、結膜炎を予防又は治療する方法を提供することである。
【0012】
[0012]本発明のさらなる目的は、自然免疫及び適応免疫の改善、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下、並びに動物における結膜炎の予防又は治療に有用なプロバイオティクス、食品、化合物及び装置の組合せを含有するキット形態の製品を提供することである。
【0013】
[0013]これらのその他の目的のうち1つ又は複数は、自然免疫及び適応免疫の改善、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下並びに動物における結膜炎の予防又は治療の1つ又は複数に有効な量でプロバイオティクスを動物に投与することによって実現される。本発明に有用なプロバイオティクスには、単独で、又はその他のプロバイオティクス、例えば、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、バチルス(Bacillus)属、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属若しくはサッカロミセス(Saccharomyces)属と組み合わせた少なくとも1種のエンテロコッカス属が含まれる。好ましい実施形態では、プロバイオティクスはエンテロコッカス フェシウムNCIMB10415(SF68)である。
【0014】
[0014]本発明のさらにその他の目的、特徴及び利点は、当業者には容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1a】図1は、7週齢で開始し27週齢まで毎日、鶏肉消化物PO150mg(プラセボ、n=9)又は5×108cfu/日のエンテロコッカス フェシウム株NCIMB10415(SF68)を混合した150mgの鶏肉消化物(処理、n=9)で補給した子ネコの経時的な体重(a)及び糞便スコア(b)を示す図である。子ネコは、9及び12週齢で市販の改良生FHV−1ワクチンdで皮下にワクチン接種した。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【図1b】図1は、7週齢で開始し27週齢まで毎日、鶏肉消化物PO150mg(プラセボ、n=9)又は5×108cfu/日のエンテロコッカス フェシウム株NCIMB10415(SF68)を混合した150mgの鶏肉消化物(処理、n=9)で補給した子ネコの経時的な体重(a)及び糞便スコア(b)を示す図である。子ネコは、9及び12週齢で市販の改良生FHV−1ワクチンdで皮下にワクチン接種した。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【0016】
【図2a】図2は、SF68補給あり(処理)又はSF68補給なし(プラセボ)の子ネコの血清(a)及び唾液(b)における、FHV−1特異的IgA結果を示す図である。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【図2b】図2は、SF68補給あり(処理)又はSF68補給なし(プラセボ)の子ネコの血清(a)及び唾液(b)における、FHV−1特異的IgA結果を示す図である。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【0017】
【図3】図3は、SF68補給あり(処理)又はSF68補給なし(プラセボ)の子ネコの血清における、FHV−1特異的IgG結果を示す図である。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【0018】
【図4】図4は、SF68補給あり(処理)又はSF68補給なし(プラセボ)の子ネコにおけるFCV特異的IgG結果を示す図である。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【0019】
【図5】図5は、SF68補給あり(処理)又はSF68補給なし(プラセボ)の子ネコにおけるFPV特異的IgG結果を示す図である。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【0020】
【図6a】図6は、SF68補給あり(処理)又はSF68補給なし(プラセボ)の子ネコの糞便抽出物における総IgG(a)及びIgA(b)を示す図である。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【図6b】図6は、SF68補給あり(処理)又はSF68補給なし(プラセボ)の子ネコの糞便抽出物における総IgG(a)及びIgA(b)を示す図である。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【0021】
【図7a】図7は、SF68補給あり(処理)又はSF68補給なし(プラセボ)の子ネコにおいて、フローサイトメトリーによりゲート設定された、末梢血中のCD4(a)及びCD8(b)陽性リンパ球のパーセントを示す図である。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。*は、処理群がプラセボ群より有意に高い時点を示す。
【図7b】図7は、SF68補給あり(処理)又はSF68補給なし(プラセボ)の子ネコにおいて、フローサイトメトリーによりゲート設定された、末梢血中のCD4(a)及びCD8(b)陽性リンパ球のパーセントを示す図である。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。*は、処理群がプラセボ群より有意に高い時点を示す。
【図8】図1は、7週齢で開始し27週齢まで毎日、鶏肉消化物PO150mg(プラセボ、n=9)又は5×108cfu/日のエンテロコッカス フェシウム株NCIMB10415(SF68)を混合した150mgの鶏肉消化物(処理、n=9)で補給した子ネコの経時的な体重(a)及び糞便スコア(b)を示す図である。子ネコは、9及び12週齢で市販の改良生FHV−1ワクチンdで皮下にワクチン接種した。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【0022】
[発明の詳細な説明]
定義
[0022]本明細書及び実施例で以下の略語を使用することができる。FHV−1、ネコ鼻腔気管炎ウイルス;FCV、ネコカリシウイルス;FPV、ネコ汎白血球減少症ウイルス;spp.、種;ELISA、酵素結合免疫吸着測定法;DM、乾物;CFU、コロニー形成単位;kg、キログラム;及びBW、体重。
【0023】
[0023]「動物」は、自然免疫及び適応免疫の改善、ワクチン効果の増強又は慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下から利益を得ることができる任意の動物、或いは結膜炎に罹患しやすいか、又は罹患している任意の動物を意味する。本発明の方法及び組成物は、鳥、ウシ、イヌ、ウマ、ネコ、ヤギ、マウス、ヒツジ及びブタを含む種々のヒト及び非ヒト動物に有用であり、特に、イヌ及びネコを含むイヌ科及びネコ科などのコンパニオン動物に有用である。
【0024】
[0024]「適応免疫」又は「適応免疫応答」とは、本明細書では交換可能に広義に使用され、免疫記憶の発達を含む抗原曝露に対する免疫応答を意味する。適応免疫応答には、限定はされないが、体液性及び細胞性免疫が含まれる。
【0025】
[0025]「細胞性免疫」又は「細胞性免疫応答」又は「細胞媒介性免疫」とは、本明細書では交換可能に使用され、抗原曝露に応答する細胞障害性又はヘルパーTリンパ球、単核細胞、及びサイトカインの活性化を意味する。この用語は、抗体を用いて未処置レシピエントへ移入することができない適応免疫全てを包含する。
【0026】
[0026]「コンパニオン動物」とは、任意の飼い慣らされた動物であり、ネコ、イヌ、ウサギ、モルモット、フェレット、ハムスター、マウス、スナネズミ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ロバ、ブタなどが含まれるが、それらだけに限らない。イヌ及びネコが最も好ましく、ネコが本明細書で例示される。
【0027】
[0027]「栄養的にバランスのとれた完全なペット又は動物食品」とは、動物栄養分野で認められた専門家の推奨に基づいた適切な量及び割合で知られている必要な栄養素全てを含有し、したがって補助的な栄養供給源を追加することなく生命を維持するか、又は産生を促進するために食事摂取の唯一の供給源として使用できる食品を意味する。栄養的にバランスのとれたペット食品及び動物食品組成物は、当技術分野で広く知られ広く使用されている。
【0028】
[0028]「結膜炎治療薬」とは、本発明の組成物以外の、結膜炎の予防又は治療に有用な任意の化合物、組成物又は薬剤を意味する。
【0029】
[0029]「栄養補助食品」とは、動物の通常の食餌に添加して摂取されることを意図した製品を意味する。
【0030】
[0030]「有効量」とは、特定の生物学的結果の達成に有効な化合物、物質、又は組成物の量を意味する。このような結果には、免疫の調節、ワクチン効果の増強又は動物における慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下が含まれるが、それだけに限らない。このような有効な活性は、例えば、動物に本発明の組成物を投与することによって達成され得る。
【0031】
[0031]「ヒト消費用に製剤化された食品」とは、ヒトによる摂取のために意図された任意の組成物を意味する。
【0032】
[0032]「体液性免疫」又は「体液性免疫応答」とは、本明細書では交換可能に使用され、抗原曝露に応答する免疫グロブリン分子の産生を意味する。
【0033】
[0033]「併用して」とは、1種又は複数のプロバイオティクス又は本発明のその他の化合物若しくは組成物を動物に(1)食品組成物若しくは補助食品中に一緒に、又は(2)ほぼ同時若しくは定期的に同じ、若しくは異なる投与経路を使用して同じ、若しくは異なる頻度で別々に投与することを意味する。「定期的に」とは、治療薬を特定の治療薬に許容される投薬計画で投与し、プロバイオティクスを特定の動物に適するように常法通り動物に投与することを意味する。「ほぼ同時」とは一般的に、プロバイオティクス及び治療薬が同時に、又は互いに約72時間以内に投与されることを意味する。「併用して」には具体的に、治療薬が指示された期間投与され、プロバイオティクスが不定期に投与される投与計画が含まれる。
【0034】
[0034]「自然免疫」とは、特定の抗原によるその後の曝露により増強されない、病原体に対する耐性の体の非特異的な機構を意味する。
【0035】
[0035]「免疫を調節する」又は「免疫の調節」とは、当分野に適切な任意の手段により測定されるような、抗原曝露に対する自然免疫応答又は適応免疫応答を生じる体の能力の任意の増強又は阻害を意味する。
【0036】
[0036]「ペット食品」又は「ペット食品組成物」又は「動物食品」又は「動物食品組成物」とは、動物、特にコンパニオン動物による摂取が意図される組成物を意味する。
【0037】
[0037]「プロバイオティクス(複数可)」とは、健康の増強又は疾患に対する耐性などの宿主動物に有益な効果を及ぼす任意の生物、特に微生物を意味する。プロバイオティクスは、以下の非限定的な特性の1種又は複数を示すことができる。即ち、宿主に対して非病原性又は無毒性である;生存細胞として、好ましくは多数存在する;腸環境(例えば、低いpH及び胃腸酸及び分泌物に対する耐性)で生存し、代謝し、存続できる;上皮細胞、特に胃腸管の上皮細胞への付着;殺菌若しくは静菌活性又は病原細菌に対する効果;抗発癌性活性;免疫調節活性、特に免疫の増強;内在微生物叢に対する調節活性;尿生殖路の健康状態の増強;創傷の中又はその周囲の殺菌活性及び創傷治癒の増強;下痢の抑制;アレルギー反応の抑制;新生児壊死性腸炎の抑制;炎症性腸疾患の抑制;並びに腸管透過性の抑制である。
【0038】
[0038]「単一のパッケージ」とは、キットの構成成分が1個若しくは複数の容器内に、又は容器と物理的に関連しており、製造、分配、販売若しくは使用のための単位と考えられることを意味する。容器には、袋、箱、瓶、収縮ラップ包装、ステープルされた構成成分若しくは別の方法で固定された構成成分、又はそれらの組合せが含まれるが、それだけに限らない。単一のパッケージは、製造、分配、販売若しくは使用のための単位と考えられるように物理的に関連した個々のプロバイオティクス、食品組成物などの容器であってもよい。
【0039】
[0039]「ワクチン効果」とは、特定病原体に対し、動物に所望の治療又は保護効果を生じるワクチンの能力を意味する。「増強されたワクチン効果」とは、当分野に適した任意の手段により測定されるような、特定病原体に対し、動物に及ぼす所望の治療効果又は保護効果を生じるワクチンの能力のいかなる改善をも意味する。
【0040】
[0040]「仮想パッケージ」とは、1種又は複数の実質的若しくは仮想的キット構成成分に関し、例えば、1種の構成成分を含有する袋内の、その他の構成成分の入手方法を使用者に指導し、キットの使用方法に関する指示を得るために、使用者にウェブサイトへの接続方法、記録された伝言への接触方法、視覚的情報の見方、又は医療従事者若しくは指導者への連絡方法を教示する指示がキットの構成成分に付随していることを意味する。
【0041】
[0041]本明細書で表現されたパーセントは全て、特に記載しない限り乾燥物質ベースの組成物の重量による。「乾燥物質ベース」という用語は、組成物中の成分の濃度が、組成物中のいかなる水分も除去された後で測定されることを意味する。
【0042】
[0042]本発明は、本明細書で記載した方法及びプロトコル及び試薬は変更可能なので、それらだけに限定されない。さらに、本明細書で使用した用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用したように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈で特に明確に指示していなければ、複数の指示対象を含む。同様に、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」という語は、限定的ではなく包含的に解釈されるべきである。
【0043】
[0043]特に定義しなければ、本明細書で使用した技術用語及び科学用語及び頭字語は全て本発明の分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で記載したものと類似若しくは等価の組成物、方法、製品又はその他の手段若しくは材料は本発明の実施において使用することができるが、好ましい組成物、方法、製品又はその他の手段若しくは材料は本明細書で記載する。
【0044】
[0044]本明細書で引用するか、又は参照した特許、特許出願、出版物及びその他の参照文献は全て、法律で許可される範囲まで本明細書に参照により組み込まれる。それらの参照文献の論述は、それらの参照文献中の主張をまとめて記載するためだけのものである。いかなるこのような特許、特許出願、出版物又は参照文献或いはそれらの一部も、本発明に関連した先行技術であることを容認するものではなく、このような特許、特許出願、出版物及びその他の参照文献の正確さ及び適切さに異議を申し立てる権利は明確に確保されている。
【0045】
本発明
[0045]一態様では、本発明は免疫の調節、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下、及び/又は動物における結膜炎の予防若しくは治療に適した組成物を提供する。この組成物は、1つ又は複数のプロバイオティクスを、免疫の調節(例えば、自然免疫及び適応免疫の改善)、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下或いは動物における結膜炎の予防又は治療に有効な量で含む。
【0046】
[0046]理論に拘泥するものではないが、エンテロコッカス フェシウムNCIMB10415(SF68)などのプロバイオティクスを動物に投与すると、CD4+リンパ球の数が増加し、特定の感染及び疾患の免疫及び進行に影響を及ぼすものと考えられる。
【0047】
[0047]本発明に有用なプロバイオティクスには、単独で、又はストレプトコッカス属、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属、バチルス属、ビフィドバクテリウム属、又はサッカロミセス属などの属内に含まれるその他のプロバイオティクスと組み合わせたエンテロコッカス属の少なくとも1種の任意の適切な種若しくは亜種が含まれる。エンテロコッカス種は、限定はしないが、エンテロコッカス フェシウム、特に、E.フェシウム株NCIMB10415(SF68)、並びにその他のエンテロコッカス属、例えば、E.フェシウムDSM10663(M74)、E.フェシウムGHR017DSM7134、E.フェシウムCECT4515、E.フェシウムCL15/ATCC19434、E.フェシウムNCIMB11181/DSM5464、E.フェシウムIMB52/DSM3530、E.フェシウムCNCMMA17/5U、E.フェシウム202DSM4788/ATCC53519、E.フェシウム301DSM4789/ATCC55593、E.フェシウムATCC19434、E.フェシウムEF−101ATCC19434、及びE.フェシウムAK2205BCCM/LMG S−16555を含む。ストレプトコッカス種は、限定はしないが、ストレプトコッカス フェシウム(faecium)、ストレプトコッカス サーモフィラス(thermophilus)及びストレプトコッカス サリバリウス(salivarius)を含む。ラクトバチルス種は、限定はしないが、ラクトバチルス アシドフィルス(acidophilus)、ラクトバチルス ブレビス(brevis)、ラクトバチルス ブルガリクス(bulgaricus)、ラクトバチルス カゼイ(casei)、ラクトバチルス セロビオサス(cellobiosus)、ラクトバチルス クリスパタス(crispatus)、ラクトバチルス カーバタス(curvatus)、ラクトバチルス ファーメンタム(fermentum)、ラクトバチルスGG(ラクトバチルス ラムノサス(rhamnosus)又はラクトバチルス カゼイ亜種ラムノサス)、ラクトバチルス ガセリ(gasseri)、ラクトバチルス ジョンソニイ(johnsonii)、ラクトバチルス プランタラム(plantarum)、ラクトバチルス サリバルス(salivarius)、ラクトバチルス ロイテリ(reuteri)、ラクトバチルス ジョンソニイLA1、ラクトバチルス アシドフィルスNCFB1748、ラクトバチルス カゼイ シロタ、ラクトバチルス アシドフィルスNCFM、ラクトバチルス アシドフィルスDDS−1、ラクトバチルス デルブリュッキー亜種デルブリュッキー(delbrueckii)、ラクトバチルス デルブリュッキー亜種ブルガリクス(bulgaricus)型2038、ラクトバチルス アシドフィルスSBT−2062、ラクトバチルス サリバリウスUCC118、ラクトバチルス パラカゼイ(paracasei)ST11及びラクトバチルス パラカゼイ亜種パラカゼイF19を含む。ラクトコッカス種は、限定はしないが、ラクトコッカス ラクチス(lactis)及びラクトコッカス プランタラム(plantarum)を含む。バチルス種は、限定はしないが、バチルス サブチルス(subtilis)を含む。ビフィドバクテリウム種は、限定はしないが、ビフィドバクテリウム アドレッセンティス(adolescentis)、ビフィドバクテリウム ビフィダム(bifidum)、ビフィドバクテリウム アニマリス(animalis)、ビフィドバクテリウム サーモフィラム(thermophilum)、ビフィドバクテリウム ブレーベ(breve)、ビフィドバクテリウム ロンガム(longum)、ビフィドバクテリウム シュードロンガム(pseudolongum)、ビフィドバクテリウム インファンティス(infantis)及びビフィドバクテリウム ラクチス(lactis)を含む。サッカロミセス種は、限定はしないが、サッカロミセス ブラウディ(boulardii)(セレビシエ(cerevisiae))を含む。これらのプロバイオティクスは、原核生物、真核生物又は古細菌であり得る。
【0048】
[0048]一実施形態では、本発明の組成物は、ペット又は動物食品組成物である。これらは、必要な栄養所要量を供給することを意図した食品及び褒美などの食品及び食餌を補給する玩具を含むと有利である。場合によって、ペット又は動物食品組成物は、乾燥組成物、半湿性組成物、湿性組成物、又はそれらの任意の混合物であり得る。特定の実施形態においては、組成物はイエネコを含むがそれに限定されないネコ科動物による消費のために製剤化される。
【0049】
[0049]別の実施形態では、本発明の組成物はヒトの消費のために製剤化された食品である。これらはヒトの必要な栄養所要量を供給することを意図した食品及び栄養素、並びにその他のヒトの栄養補助食品を含むと有利である。詳細な実施形態において、ヒトの消費のために製剤化された食品は栄養的にバランスがとれており、完全である。
【0050】
[0050]別の実施形態では、この組成物は、例えば、肉汁、飲料水、飲物、液体濃縮物、ヨーグルト、粉末、顆粒、ペースト、懸濁液、チュー(chew)、小片(morsel)、おやつ、スナック、ペレット、丸剤、カプセル、錠剤、又はその他の任意の送達形態などの栄養補助食品である。この栄養補助食品は、コンパニオン動物又は非コンパニオン動物などの特定の動物、特にネコ又はヒトによる消費のために特別に製剤化することができる。詳細な一実施形態では、この栄養補助食品は、この補助食品を動物に少量投与できるように高濃度のプロバイオティクスを含むことができ、又は別の方法で、動物に投与する前に希釈することができる。この栄養補助食品は、動物に投与する前に水と混合する必要がある場合もある。一実施形態では、この補助食品は、単独で、又はその他のプロバイオティクス若しくはその他の物質と混合して小袋に入れる。
【0051】
[0051]この組成物は冷蔵又は凍結してもよい。このプロバイオティクスは、必要とする有益な量を提供するために、この組成物のその他の構成成分と予めブレンドすることができ、ペット食品組成物、栄養補助食品、又はヒトの消費のために製剤化された食品の上にコーティングすることができ、或いは、例えば、粉末又は混合物を用いて、動物にこの組成物を提供する前にこれに添加することができる。
【0052】
[0052]本発明の組成物は、プロバイオティクスを、自然免疫及び適応免疫の改善、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下及び/又は結膜炎の予防若しくは治療に有効な量で含む。ペット食品及びヒトの消費のために製剤化された食品は、組成物1グラム当たり約102から約1011の範囲のコロニー形成単位(CFU)でプロバイオティクスを含有するように製剤化することができる。栄養補助食品は、数倍高濃度のプロバイオティクスを含有するように、錠剤、カプセル、液体濃縮物の形態、又はその他の類似の剤形での動物への投与に適するように、或いは、例えば水での希釈、ペット食品上への噴霧又は吹掛け、及び他の類似の投与形態によって、投与前に希釈されるように製剤化することができる。
【0053】
[0053]一実施形態では、組成物中のプロバイオティクスの濃度は、動物の血液中のCD4+リンパ球の割合及び/又は数の増加を含む免疫機能調節に必要とされる量の関数である。別の実施形態では、組成物中のプロバイオティクスの濃度は、血清、糞便及び分泌物、例えば、乳汁、涙、及び唾液における特定病原体の抗原に反応する免疫グロブリンの濃度を増加させるために必要な量の関数である。動物の血清、糞便及び分泌物、例えば、乳汁、涙、及び唾液におけるCD4+リンパ球のレベル及び免疫グロブリンの濃度は、当業者に認識され認められた任意の手段により測定することができる。
【0054】
[0054]本発明の組成物は、場合によっては、補助物質、例えば、ミネラル、ビタミン、塩類、調味料、着色剤及び保存料を含むことができる。補助的ミネラルの非限定的な例には、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、鉄、塩化物、ホウ素、銅、亜鉛、マグネシウム、マンガン、ヨウ素、セレニウムなどが含まれる。補助的ビタミンの非限定的な例には、ビタミンA、種々のビタミンB類、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、及びビタミンKが含まれる。他の栄養補助食品にはまた、例えば、ナイアシン、パントテン酸、イヌリン、葉酸、ビオチン、アミノ酸などを含めることができる。
【0055】
[0055]本発明の組成物は、健全な免疫系を促進若しくは維持する、又はさらに免疫を調節する1種又は複数の補助物質を場合によっては含むことができる。一実施形態では、本発明の組成物はさらに、免疫の調節、ワクチン効果の増強又は動物における慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下に有効な1種又は複数の物質を含む。このような物質には、L−アルギニン、7−オキソデヒドロエピアンドロステロン(7−オキソDHEA)などのステロイド、アルファ及びベータカロテンなどのカロテノイド、抗酸化剤、並びにハーブ又はアストラガルス及びエキナセアなどのハーブ抽出液が含まれるが、それだけに限らない。
【0056】
[0056]種々の実施形態において、本発明の動物食品又は栄養補助食品組成物は、乾物ベースで組成物の約15重量%から約50重量%までの粗タンパク質を含むことができる。この粗タンパク質物質は、植物性タンパク質、例えば、ダイズ、綿実、及びピーナッツ、又は動物性タンパク質、例えば、カゼイン、アルブミン、及び食肉タンパク質を含むことができる。本明細書で有用な食肉タンパク質の非限定的な例には、ポーク、ラム、ウマ、鳥肉、魚類、及びそれらの混合物が含まれる。
【0057】
[0057]この組成物はさらに、乾物ベースで組成物の約5重量%から約40重量%までの脂肪を含むことができる。この組成物はさらに、炭水化物の供給源を含むことができる。この組成物は、乾物ベースで組成物の約15重量%から約60重量%までの炭水化物を含むことができる。このような炭水化物の非限定的な例には、穀粒又は穀物、例えば、米、トウモロコシ、ソルガム、アルファルファ、オオムギ、ダイズ、アブラナ、オート麦、小麦、及びそれらの混合物が含まれる。この組成物はまた、場合によってその他の物質、例えば、乾燥ホエー及びその他の乳製品副産物を含むことができる。
【0058】
[OO58]この組成物はまた、最終食品組成物の1%を上回らない少なくとも1種の繊維質源を含むことができる。当業者には知られているように、様々な可溶性又は不溶性繊維質を利用することができる。繊維質源は、(サトウダイコン由来の)ビートパルプ、アラビアゴム、タルハガム、オオバコ、米糠、イナゴマメガム、シトラスパルプ、ペクチン、短鎖オリゴフルクトースに付加されたフルクトオリゴ糖、マンナンオリゴフルクトース、大豆繊維質、ハウチワマメ由来の繊維質、アラビノガラクタン、ガラクトオリゴ糖、アラビノキシラン、又はこれらの混合物であり得る。或いは、この繊維質源は、発酵性繊維質であり得る。発酵性繊維質は、コンパニオン動物の免疫系に利益を提供するために以前に記載されている。腸内でプロバイオティクス微生物の増殖を増強できるプレバイオティクス組成物を提供する、当業者に知られている発酵性繊維質又はその他の組成物はまた、本発明によって動物の免疫系に提供される利益の増強を促進するためにこの組成物に組み込むことができる。
【0059】
[0059]一実施形態では、この組成物は栄養的にバランスがとれた完全なペット又は動物食品である。この場合、ペット食品調合及び製造の当業者によって認識されるように、ペット食品は、湿性の食品、乾燥食品、又は中程度の水分含量の食品であってもよい。「湿性の食品」とは、典型的には缶又はホイルバッグに入れて販売され、典型的には約70%から約90%の範囲の水分含量を有するペット食品を表わす。「乾燥食品」とは、湿性の食品に類似した組成物であるが、典型的には約5%から約15%の範囲の限定された水分を含む量であり、したがって、例えば、小さいビスケット様のキブル粒として与えられるペット食品を表わす。この組成物及び栄養補助食品は、成体動物用に、又は高齢の動物若しくは若齢の動物用に、例えば、「子イヌ用固形飼料」、「子ネコ用固形飼料」、又は「シニア」製剤用に特別に製剤化することができる。一般的に、特殊化した製剤は、成長又は年齢の様々な段階での動物に適切なエネルギー及び栄養所要量を含む。
【0060】
[0060]本発明の特定の態様は、(例えば、全米研究評議会(National Research Council)、2006、Nutritional Requirements for Dogs and Cats、National Academy Press、Washington D.C.又はアメリカ飼料検査官協会(Association of American Feed Control Officials)Offcial Publicaiton 1996に記載されているように)バランスのとれた完全な食品と組み合わせて使用されるのが好ましい。即ち、本発明の特定の態様によるプロバイオティクスを含む組成物は、高品質の市販食品と共に使用されるのが好ましい。本明細書で使用したように、「高品質の市販食品」とは、例えば、イヌ及びネコについて上記の全米研究評議会の推奨で記載されているように、又はアメリカ飼料検査官協会によって記載された指針に記載されているように、80%以上の重要な栄養素の消化率を生じるように製造された食餌を意味する。同様の高い栄養素規格は、その他の動物のために使用されるであろう。
【0061】
[0061]当業者は、所与の組成物に添加すべきプロバイオティクスの適切な量をどのように決定するかを理解するであろう。考慮され得るこのような要素には、組成物の種類(例えば、ペット食品組成物、栄養補助食品、又はヒトの消費のために製剤化された食品)、種々の動物による特定の種類の組成物の平均消費量及び組成物を調製する製造条件が含まれる。組成物に添加するプロバイオティクスの濃度は、動物のエネルギー及び栄養所要量に基づいて算出することができる。本発明の特定の態様によれば、プロバイオティクスは、組成物の製造及び/又は加工中の任意の時点に添加することができる。これは、限定はしないが、ペット食品組成物、栄養補助食品、若しくはヒトの消費のために製剤化した食品の製剤の一部として、又はペット食品組成物、栄養補助食品、若しくはヒトの消費のために製剤化した食品に適用されるコーティングとして含む。
【0062】
[0062]この組成物は、当分野に適切な任意の方法、例えば、Waltham Book of Dog and Cat Nutrition、ATB Edney編、A.Rainbirdによる「A Balanced Diet」と題される章、57頁から74頁、Pergamon Press Oxfordに記載された方法などによって製造することができる。
【0063】
[0063]組成物の様々な実施形態では、プロバイオティクスは成分として、若しくは添加物として組成物中に入れるか、又は、例えば、組成物上に噴霧して、組成物上に存在させる。
【0064】
[0064]別の態様では、本発明は、免疫を調節し、ワクチン効果を増強し、動物における慢性FHV−1感染に関連した罹患率を低下させる方法を提供する。この方法は、免疫の調節、ワクチン効果の増強及び/又は慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下に有効な量で1種又は複数のプロバイオティクスを動物に投与するステップを含む。
【0065】
[0065]プロバイオティクスは、動物にプロバイオティクスを投与するための任意の方法を使用して投与される。一実施形態では、プロバイオティクスは、ペット若しくは動物食品組成物、栄養補助食品又はヒトの消費のために製剤化された食品を含む本発明の組成物を使用して経口的に投与される。
【0066】
[0066]ヒトがこの組成物を動物に与えるように指示される場合、このような指示は、この組成物の使用によって、参照された有益性、例えば、動物における免疫の調節又はワクチン効果の増強を提供できること、及び/又は提供することを、ヒトに教示及び/又は通知する指示であり得る。このような指示は、口頭の指示(例えば、医師、獣医師、若しくはその他の医療従事者からの口頭の指導を通して、又はラジオ若しくはテレビ媒体(即ち、広告)、或いは文書による指示(例えば、医師、獣医師、若しくは他の医療従事者からの文書による指示(例えば、処方箋)、販売専門家若しくは組織(例えば、販売用カタログ、パンフレット、若しくはその他の指導的用具を介して)、筆記媒体(例えば、インターネット、電子メール、若しくはその他のコンピュータ関連媒体)、及び/又は組成物に関連した包装(例えば、組成物が入っている容器上に存在するラベル)であってもよい。
【0067】
[0067]投与は、必要性に応じて、又は所望に応じて、例えば、月1回、週1回、毎日、又は毎日複数回であってもよい。同様に、投与は、1日おき、1週おき、又は1カ月おき、2日おき、2週おき、又は2カ月おき、3日おき、3週おき、又は3カ月おきなどであってもよい。投与は1日当たり複数回であってもよい。通常の栄養所要量に対する補助食品として利用するとき、この組成物は動物に直接投与されるか、そうでなければ1日の飼料又は食品と接触又は混合することができる。1日の飼料また食品として利用する場合、投与は当業者によく知られている。
【0068】
[0068]投与はまた、定期的に、例えば、動物における食事療法の一部として実施することができる。食事療法は、動物において免疫を調節するか、又はワクチン効果を増強するのに有効な量で、1種又は複数のプロバイオティクスを含む組成物の動物による定期的な摂取を引き起こすことを含んでもよい。定期的な摂取は、1日に1回、又は毎日若しくは毎週、1日に2回、3回、4回若しくはそれを上回る回数であってもよい。同様に定期的な投与は、1日若しくは1週おき、2日若しくは2週おき、3日若しくは3週おき、4日若しくは4週おき、又は5日若しくは5週おきであってよく、そのような食事療法において、投与は1日に複数回であってもよい。定期的な投与の目標は、本明細書中で例示したように、好ましい1日用量のプロバイオティクスを動物に提供することである。
【0069】
[0069]本発明の方法によれば、食事療法の一部としての投与を含む1種又は複数のプロバイオティクスを含む組成物の投与は、動物の妊娠期間から一生に及ぶ期間にわたることができる。
【0070】
[0070]一実施形態では、プロバイオティクスは動物の自然免疫を調節する。別の場合では、プロバイオティクスは動物の適応免疫応答を調節する。さらに別の場合では、プロバイオティクスは動物に投与されたワクチンの効果を増強する。別の場合では、プロバイオティクスは慢性FHV−1感染に関連した罹患率を低下させる。さらに別の場合では、プロバイオティクスは結膜炎を予防又は治療する。好ましい実施形態では、プロバイオティクスは動物におけるFHV−1、FCV及びFPVに対するワクチンの効果を増強する。
【0071】
[0071]いくつかの実施形態では、ワクチンはネコ汎白血球減少症ウイルス、ネコ鼻気管支炎ウイルス又はネコカリシウイルス用である。
【0072】
[0072]別の態様では、本発明は、動物における結膜炎を予防又は治療する方法を提供する。この方法は、結膜炎の予防又は治療に有効な量で1種又は複数のプロバイオティクスエンテロコッカス細菌を含む組成物を動物に投与するステップを含む。
【0073】
[0073]本発明の方法に有用なプロバイオティクスは、単独で、又は本明細書で記載したような1種又は複数のストレプトコッカス属、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属、バチルス属、ビフィドバクテリウム属、又はサッカロミセス属を含む別のプロバイオティクスと組み合わせた少なくとも1種のエンテロコッカス属、好ましくはE.フェシウム、最も好ましくは株NCIMB10415(SF68)である。
【0074】
[0074]プロバイオティクスの1日用量は、1日当たり動物当たりに投与されたコロニー形成単位(CFU)によって測定できる。プロバイオティクスの1日用量は、約105から約1012CFU/日の範囲であり得る。より好ましくは、プロバイオティクスの1日用量は、約107から約109CFU/日である。より好ましくは、プロバイオティクスの1日用量は、約108から約109CFU/日である。最も好ましくは、プロバイオティクスの1日用量は、約108CFU/日である。一実施形態では、プロバイオティクスは1種又は複数の結膜炎治療薬と併せて投与される。
【0075】
[0075]特に、本発明の様々な方法は、(例えば、動物園、獣医学施設、猟鳥獣保護区などにおいて)ネコがプロバイオティクス組成物の投与を受けることができる場合、本発明を適用することができるネコ科(Felidae)のメンバーに関する。イエネコFelis cattusに加えて、ネコ科には、(1)チーター属、例えばチーター(A.jubatus)、(2)ウンピョウ属、例えばウンピョウ(N.nebulosa)、(3)ヒョウ属、例えばライオン(P.leo)、ジャガー(P.onca)、ヒョウ(P.pardus)、トラ(P.tigris);(3)ユキヒョウ属、例えばユキヒョウ(U.uncial);(4)ピューマ属、例えばクーガー、マウンテンライオン又はピューマ(P.concolor)並びに(5)限定はしないが、ボルネオヤマネコ(F.badia)、カラカル(F.caracal)、ハイイロネコ(F.bieti)、ジャングルキャット(F.chaus)、サンドキャット(F.margarita)、クロアシネコ(F.nigripes)、ヤマネコ(F.sylvestris、F.lybica)、ジャガランディ(F.yagouraroundi)、オセロット(F.pardalis)、ジャガーネコ(F.tigrina)、トラネコ(F.wieldi)、サーバルキャット(F.serval)、オオヤマネコ(F.lynx)、ボブキャット(F.rufus)、パンパスキャット(F.colocolo)、ジェフリーキャット(F.geoffroyi)、アンデスネコ(F.jacobita)、パラスキャット(F.manul)、コドコド(F.guigna)、レオパードキャット(F.bengalensis、F.iriomotensis)、フラットヘッドキャット(F.planiceps)、サビイロヤマネコ(F.rubiginosus)、スナドリネコ(F.viverrina)及びアフリカゴールデンキャット(F.aurata)を含む種々の野生のネコ(Felis)の属のメンバーが含まれる。本明細書で使用する「ネコ(feline)」という用語は、別段の指定のない限りネコ科のメンバーを指す。
【0076】
[0076]別の態様では、本発明は、免疫の調節、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下、及び/又は動物における結膜炎の予防若しくは治療に有用なキットを提供する。キットは、単一のパッケージの別々の容器に、又は仮想パッケージの別々の容器に、キット構成成分として適切なように、プロバイオティクスエンテロコッカス細菌並びに(1)1種又は複数の異なるプロバイオティクスエンテロコッカス細菌、(2)動物による消費に適した1種又は複数の成分、(3)動物への投与に適した1種又は複数のワクチン、(4)1種又は複数のその他の種類のプロバイオティクス、(5)1種又は複数の結膜炎治療薬、(6)1種又は複数のプレバイオティクス、(7)プロバイオティクスを免疫の調節、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下及び/又は動物における結膜炎の予防又は治療のためのその他のキット構成成分と一緒にする方法の指示、及び(8)特に免疫の調節、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下、又は動物における結膜炎の予防又は治療のためのプロバイオティクス及びその他のキット構成成分の使用方法の指示の少なくとも1種を含む。
【0077】
[0077]キットに仮想パッケージを含むとき、キットは1種又は複数の物質的キット構成成分と組み合わせた仮想環境における指示に限定される。キットは、免疫の調節、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下、又は動物における結膜炎の予防若しくは治療に十分な量でプロバイオティクス及びその他の構成成分を含有する。典型的に、プロバイオティクス及びその他の適切なキット構成成分は、動物によって消費又は使用される直前に一緒にするか、又は混合される。キットは、様々な組合せ及び/又は混合物のいずれかにおいて、キット構成成分を含有することができる。一実施形態では、キットは1種又は複数のプロバイオティクスを含有する小包、及び動物によって消費されるための食品の容器を含有する。キットは、プロバイオティクスと成分を混合するための器具、又は混合物を含有する器具、例えば食品用ボールなどの品目をさらに含有してもよい。別の実施形態では、プロバイオティクスは動物の良好な健康を促進するビタミン及びミネラルなどの付加的栄養補助物と混合する。別の場合では、キットはプレバイオティクスを含有する。
【0078】
[0078]別の態様では、本発明は、(1)免疫を調節するためにプロバイオティクスエンテロコッカス細菌を使用すること、(2)ワクチン効果を増強するためにプロバイオティクスエンテロコッカス細菌を使用すること、(3)慢性FHV−1感染に関連した罹患率を低下させるためにプロバイオティクスエンテロコッカス細菌を使用すること、(4)結膜炎を予防又は治療するためにプロバイオティクスエンテロコッカス細菌を使用すること、(5)プロバイオティクスと本発明のその他の構成成分を混合すること、(6)プロバイオティクスを単独で、又は本発明のその他の要素と組み合わせて動物に投与すること、及び(7)免疫の調節、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下、又は動物における結膜炎の予防又は治療のための本発明のキットを使用することのうち1つ又は複数についての情報又は指導を伝達する手段を提供する。この手段には、書類、デジタル保存媒体、光学的保存媒体、音声による提示、又は情報若しくは指導を含む視覚的表示が含まれる。特定の実施形態では、伝達手段は、表示されたウェブサイト、視覚的表示キオスク端末、カタログ、製品標示、パッケージ挿入物、広告、ビラ、公式発表、録音テープ、録画テープ、DVD、CD−ROM、コンピュータ読み取りチップ、コンピュータ読み取りカード、コンピュータ読み取りディスク、コンピュータメモリ、又はこのような情報若しくは指示を含むそれらの組合せである。有用な情報には、(1)プロバイオティクス及び/又はその他のキット構成成分を一緒にして投与するための方法及び技術、並びに(2)使用する動物又はそれらの飼育者が本発明及びその用途について疑問を抱いた場合の連絡先の1つ又は複数を含む。有用な指示には、混合する量及び投与量及び投与頻度が含まれる。この伝達手段は、本発明を使用すること、及び動物に本発明を投与するための承認された方法を伝達することの利益を指導するのに有用である。
【0079】
[0079]さらなる態様では、本発明は医薬品を調製するための1種又は複数のプロバイオティクスエンテロコッカス細菌を含む組成物の使用を提供する。別の場合では、本発明は、免疫の調節、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下、及び/又は動物における結膜炎の予防又は治療のための医薬品を調製するためにこのような組成物の使用を提供する。一般的に、医薬品は、本発明の1種又は複数のプロバイオティクスを賦形剤、緩衝液、結合剤、可塑剤、着色料、希釈剤、圧縮剤、潤滑剤、矯臭剤、湿潤剤並びに医薬品の製造及び動物への投与に適した医薬品の製剤化に有用な当業者に知られているその他の成分と混合することによって調製する。医薬品は、免疫の調節、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下、及び/又は動物における結膜炎の予防又は治療に有用な量でプロバイオティクスを含有する。
【実施例】
【0080】
[0080]本発明は、以下の実施例によってさらに例示することができるが、これらの実施例は例示のためだけに含まれており、特に記載しない限り本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0081】
実施例1
動物及び実験パラメータ
[0081]ネコ科の研究対象集団。6週齢のSPFの子ネコ20匹は、Liberty Laboratories(Liberty、NY)から購入した。子ネコは、ELISAによってネコ白血病ウイルス抗原及びネコ免疫不全ウイルス抗体に対して血清反応陰性であることが示された(Snap Combo、IDEXX Laboratories、Portland、ME)。
【0082】
[0082]実験計画。10日間の平衡期間の後、子ネコを各々10匹の子ネコの2群に無作為に分け、治療研究を7週齢で開始した。0.25gと0.28gの間(希釈計数アッセイに基づいて約5×109CFU)の、LBC ME5 PET E.フェシウムNCIMB10415(SF68)(Cerbios−Pharma SA、Switzerland)を、個々の50mLの底部円錐型ポリプロピレン遠心管に添加し、蓋をして、研究期間中4℃で保存した。同様の調製物を、管当たり150mg使用して、一定量の嗜好促進剤(主な成分として肝臓消化物を含む典型的なペット食品コーティングを使用)に使用した。一定量を水吸収に関してモニターし、プロバイオティック又は嗜好促進剤のいずれかの何らかの凝集があるように見える場合には廃棄することとした。投与の直前に、嗜好促進剤の一定量を保存SF68管の1本(処理群)又は1本の空の管(プラセボ群)に移し、室温の水道水を用いて全容量10mLに希釈した。内容物を少なくとも3分間ボルテックスし、12ccの注射器中に吸引した。この懸濁液をボルテックスした直後に、適切な子ネコに子ネコが27週齢になるまでSF68(1日当たりの総1日用量5×108CFU)又は嗜好促進剤単独(プラセボ子ネコ)のいずれか1mlを経口投与した。両群に、自由に乾燥子ネコ食品(全AAFCO所要量を満たす典型的な子ネコ成長用処方であり主成分として米及び鶏肉をベースとしたのを使用)を与え、群を2つの別々の部屋に収容してプロバイオティクスによる相互汚染を避けた。American Association of Feline Practitionersによって推奨されるように、9及び12週齢で、子ネコ全てに、ネコヘルペスウイルス−1、カリシウイルス及び汎白血球減少症ウイルスの改良生組合せワクチン(Pfizer Animal Health、Exton、PA)を皮下にワクチン接種した(Richards.J他(2001))。
【0083】
[0083]統計学的評価。各試料採取日に、全測定パラメータの群平均値を算出した。プロバイオティック投与群とプラセボ群の間の差異を、反復測定実験に適切な混合ANOVAモデルを用いて分析した。時間は連続変数としてモデルに含まれていた。C.パーフリンジェンス(perfringens)のエンテロトキシン又はC.ディフィシレ(difficile)毒素A若しくはBに対して陽性のネコ試料のパーセンテージ及び細胞表面マーカーに関して陽性のゲート細胞のパーセンテージを、研究期間中ネコの各群に対して算出し、両側t検定により比較した(GRAPHPAD Prism、GRAPHPAD Software、Inc.、San Diego、CA)。統計的有意差は、p<0.05であるとみなした。
【0084】
実施例2
サンプル収集及び臨床的モニタリング
[0084]この研究を通して子ネコの態度と行動を毎日モニターした。体重は毎週測定した。血液、唾液、及び糞便を、7週齢のプロバイオティクス又は嗜好促進剤補給開始前、並びに9、15、21、及び27週齢時にネコ全てから採取した。さらに、糞便を28週齢の処理群の子ネコから採取した。子ネコの各群について、1日当たり5つの糞便試料を共用猫用トイレから無作為抽出し、標準化されたグラフィックスコアカードを用いて記録して、毎日の群平均値を測定した。総IgA及び総IgG測定用の糞便抽出液をBenyacoub J他(2003))によって記載されたプロトコルに従って処理した。試料は全て、バッチで測定するまで−80℃で保存した。
【0085】
[0085]全子ネコの糞便は、補給期間の当初(7週齢)は正常であった。各群の1匹の子ネコは、この研究とは無関係な理由で研究から除去し、したがって最終のデータ分析から除去した。期間中又は任意の個々の時点で、体重及び糞便スコアに2群間で統計学的に差異が見られなかった(図1)。
【0086】
[0086]この研究を通して、全血球数、生化学パラメータ及び体重は、ネコ群の間で類似していた。糞便スコアは群間で類似しており、同様に本明細書で記載した投薬量でのSF68の使用は、顕著な臨床的異常を誘導しないことが示唆された。
【0087】
実施例3
糞便のアッセイ
[0087]各試料採取日に、各子ネコから糞便を8階段で連続10倍希釈して、KFストレプトコッカス寒天培地に播種し、好気的に37℃で48時間インキュベートした。各形態型のコロニー10個を、無菌のループを用いて釣菌し、ブレインハートインフュージョン培地(BHI)(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)1.2mLに播種し、分析するまで−80℃に保存した。生きているE.フェシウムNCIMB10415(SF68)が投与したネコの糞便中に存在するかどうかを決定するため、及びこのプロバイオティクスが投与した子ネコから対照の子ネコに偶発的に伝播したかどうかを評価するために、RAPD−PCRを各試料からの細菌分離株で実施した。サーモサイクラーパラメータは以下の通りであった。即ち、95℃で1分の変性、40℃で1分のアニーリング、72℃で4分の伸長を30サイクル行った。反応混合液25.5μLには、10×マグネシウム非含有緩衝液(100mM Tris−HCl、pH8.3、500mM KC1)2.45μL、3.22mM MgCl2 、JumpStart Taq DNAポリメラーゼ(Sigma D−4184、Sigma−Aldrich,Inc.、St.Louis、MO)0.4μL(1ユニット)、dNTP混合物(2.5mM)1.9μL、プライマー(100μM)1μL、PCR水15.47μL及び細菌培養物1μLが含まれた。使用したプライマーの配列は、5’−GGTTGGGTGAGAATTGCACG−3’であった。PCR産物5〜10μLを2パーセントのアガロースゲルで泳動し、バンドのパターンをSF68陽性対照と比較した。市販のELISAを、クロストリジウム パーフリンジェンス エンテロトキシン又はC.ディフィシル毒素A/Bが全子ネコの糞便中に存在したかどうかを測定するために使用した(C.パーフリンジェンス(ELISA、キット番号92−000−22)及びC.ディフィシル(ELISA、キット番号94−0150−KT)、Techlabs、Blacksburg、VA.)。サルモネラ(Salmonella)属及びカンピロバクター(Campylobacter)属の所定の好気性糞便培養は、Colorado State University Diagnostic Laboratoryで実施された。
【0088】
[0088]処理したネコ9匹のうち7匹の糞便は、研究の間の少なくとも1つの時点でSF68陽性だった。しかし、SF68DNAは、補給を停止して1週後(28週)、いずれの投与ネコの糞便からも増幅されなかった。サルモネラ属もカンピロバクター属のいずれも、糞便から増殖しなかった。プラセボネコからの試料は全て、RAPD PCRによりSF68陰性だった。この研究を通して、C.ディフィシル毒素A/B又はC.パーフリンジェンス エンテロトキシンについて陽性の試料数(表1)は、群間で変わらなかった。
【0089】
[0089]サルモネラ属及びカンピロバクター属排泄は、SF68補給によって誘導されなかった。子ネコの両群のいくつかの糞便試料は、C.ディフィシル又はC.パーフリンジェンス毒素について陽性だったが、群間の陽性試料数に有意な差異はなく、陽性の結果は下痢の存在と関連していなかった。SF68は補給期間中に大部分の投与ネコの糞便で検出されたが、補給を停止して1週後の糞便ではもはや検出されず、この生物がネコにおいて存続したのは一過性であることを示した。したがって、本明細書で記載した投薬量を使用したSF68の投与は、有害な影響がなく、研究期間において投与するのに安全である。
【0090】
実施例4
免疫学的アッセイ
[0090]完全血球数、血清生化学的パネル、及び尿分析はColorado State UniversityのClinical Pathology Laboratoryで実施した。抗原特異的体液性免疫応答を、血清FHV−1特異的IgG、FHV−1特異的IgA、FCV特異的IgG、及びネコ汎白血球減少症特異的IgGを血清中で測定し、並びに以前に公表されたELISAアッセイの適応を使用して、唾液中でFHV−1特異的IgG及びIgAレベルを測定することにより評価した(Lappin MR他(2002)及びDitmer DA他(1998)。FHV−1特異的IgG及びIgAについて、結果は各試料の3連の試験ウェルに対する両方の平均吸光度によって、及びパーセンテージELISA単位の計算によって算出した(試験試料平均吸光度マイナス陰性対照試料平均吸光度/陽性対照試料平均吸光度マイナス陰性対照試料平均吸光度に100を掛けた)。FCV及びFPVについては平均吸光度を使用した。血清、糞便抽出液及び唾液中の総IgG及びIgA濃度は、市販のELISAアッセイ又は放射状免疫拡散アッセイを使用して推定した(Bethyl Laboaratories,Inc.、Montgomery、TX)。
【0091】
[0091]細胞性免疫応答は、フローサイトメトリー及び全血増殖アッセイによって評価した。フローサイトメトリーは、赤血球溶血緩衝液(NH4Cl 0.155M/KHCO3 0.010M/5×10−4%フェノールレッド(0.5%)中で、室温でインキュベートした抗凝固処理(EDTA)血液500μLを使用して、血液採集の12時間以内に実施した。細胞をPBSで2回洗浄し、得られた細胞ペレットを、PBS、0.1%アジ化ナトリウム及び2%ウシ胎児血清を含有するFACS緩衝液に、可能ならば1×106細胞/100μLの濃度を達成するように再懸濁した。上記の懸濁液の少なくとも500μLについて不十分な細胞を有する試料をカウントし、細胞濃度を記録した。免疫染色するために、各細胞懸濁液100μLを丸底96ウェルプレートのそれぞれのウェルに添加した。非特異的結合は、10%正常ネコ血清の添加によってブロックした(Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc.、West Grove、PA)。免疫染色は、暗所、4℃でFACS緩衝液中で実施した。リンパ球は、CD4及びCD8の発現(vpg34;抗CD4−FITC、vpg9;抗CD8−RPE抗体;Serotec、Raleigh、NC(Oxford、UK))並びにCD44の発現(IM7;抗CD44−PE/CY5抗体;Pharmingen、Franklin Lakes、NJ)について染色した。B細胞の分析については、溶解した全血を、B220(ra3−b62;抗B220−ビオチン化抗体;eBioscience、San Diego、CA)、CD21(b−ly4;抗CD21−APC抗体;BD−Biosciences、Franklin Lakes、NJ)、及びMHCクラスII(抗MHCクラスII−FITC抗体;クローンCAG5−3D1、Serotec、Raleigh、NC(Oxford、UK))に対する交差反応性抗体で免疫染色した。分析用の細胞を、前方及び側面分散特性に基づいて生リンパ球集団にゲート設定した。データは、Cyan MLE cytometerpで収集し、Summitソフトウェアを用いて分析した(Dako−Cytomation、Fort Collins、CO)。
【0092】
[0092]増殖アッセイは、分裂促進剤又は抗原を添加する前に5%CO2、37℃で30分間、完全腫瘍培地100μLでインキュベートすることによって予め条件付けした全ヘパリン添加血10μLを用いて3連で実施した(完全腫瘍培地:必須及び非必須アミノ酸+10%FBSを補給した改変Eagle培地)。細胞を培地単独で維持するか(非刺激)、又はコンカナバリンA(10μg/mL:Con A、Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)、若しくはFHV−1抗原調製物(1μL/ウェル、研究開始前に調製し、等分して−80℃で保存した)で、5%CO2、37℃で96時間刺激した(Veir JK他(2005))。細胞は、ウェル当たりトリチウム標識チミジン1μCiでパルス標識し、18時間後にガラス繊維フィルターマット上に収集した(Wallac−Microbeta Perkin−Elmer、Boston、MA)。マットは、MicroBetas液体シンチレーションカウンターを用いて読み取った。平均刺激指数(非刺激試料当たりの平均最大カウントで割った刺激試料当たりの平均最大カウント)を、全試料について算出した。
【0093】
[0093]完全血球数及び生化学的プロフィールは、全ネコの年齢群の全時点において正常範囲内であった。分析したこのアッセイの間で、期間中又は個々の時点で群間に統計的な差異はなかった。21及び27週齢で、血清及び唾液中のFHV−1特異的IgAの平均レベルは、プラセボ群と比べた場合、処理群で数値的に大きかったが、この差異は統計学的差異ではなかった(図2)。15、21及び27週齢で、平均FHV−1特異的血清IgGレベルは、両方のアッセイを使用すると、プラセボ群と比べた場合、投与群で数値的に大きかったが、この差異は統計学的に有意な差異ではなかった(図3)。FHV−1特異的IgGは、唾液中では検出されなかった。血清中のFCV特異的IgGレベルは、群間で同程度だった(図4)。15週齢で、投与群血清平均FPV特異的IgGレベルは、プラセボ群のレベルより数値的により大きかったが、この差異は統計学的に有意な差異ではなかった(図5)。
【0094】
[0094]血清中の総IgG及びIgAの濃度は、群間で同程度だった(データは示さず)。総IgGは唾液では検出されず、唾液中の総IgA濃度は群間で同程度だった(データは示さず)。27週齢で、糞便抽出液中の投与群平均総IgG濃度は、プラセボ群の濃度より数値的に大きかったが、この差異は統計学的差異ではなかった(図6)。糞便抽出液中の総IgA濃度は、群間で同程度だった(図6)。
【0095】
[0095]刺激剤として10μg/mLコンカナバリンA又はFHV−1抗原調製物1μLのいずれかを使用する増殖アッセイでは、どの時点でも群間で有意に異なる平均最大カウントを生じなかった。最初の4箇所の時点では、任意の細胞表面マーカーについて群間で統計的な差異はなかった(図7)。27週齢で、投与群(平均13.87%)は、プラセボ群(平均10.61%、p=0.0220)よりも有意に高いパーセンテージのゲート設定されたCD4陽性リンパ球を有していた。その他の比較で有意な差はなかった。
【0096】
[0096]27週齢でCD8+カウントの同時増加を伴わないプラセボ群と比較した投与群でのCD4+カウントの増加は、プロバイオティクスによる全身性免疫の調節効果を示している。
【0097】
[0097]ワクチン接種後、子ネコそれぞれは、その他の研究と類似したFHV−1、FCV、及びFPV特異的血清抗体応答を生じ、これらの子ネコは免疫適格性であり、使用した改良生ワクチンは実用的であることを示していた(Lappin MR他(2002))。この結果のいくつかはまた、プロバイオティクスの給餌は、これらの子ネコの体液性及び細胞性免疫応答に影響を与えたことを示している。これらには、プラセボ群と比較したとき、27週齢で統計学的に有意に大きいCD4+リンパ球カウントの検出、並びに21及び27週齢で血清及び唾液中のFHV−1特異的IgA、15、21及び27週齢で血清中のFHV−1特異的IgGレベル、15週齢で血清中のFPV特異的IgGレベルに関する数値的により大きな平均値の検出が含まれる。
【0098】
実施例5
結膜炎に対するプロバイオティクスエンテロコッカス細菌の効果
[0098]慢性FHV−1感染を有する若齢の雌雄の成体ネコ(n=12)を別の研究から移し、5.5カ月の間SF68又はプラセボを投与した。これらのネコは、平衡化期間中及び補給後、結膜炎、くしゃみ及び鼻汁を毎日モニターした。補給期間中、これらのネコは群れの収容場所から個体の収容場所へ移動させ、潜在的FHV−1感染を活性化させるために外科的に滅菌した。動物における結膜炎をモニターした。
【0099】
[0099]この結果から、全体的に結膜炎がよく見られ、観察点のSF68投与ネコの750匹中122匹(16.3%)及びプラセボネコの755匹中210匹(27.8%)にそれぞれ生じたことが示される。平衡化期間中、結膜炎が指摘された観察点の数は2群の間で差異はなかったが、SF68又はプラセボの投与開始後は、各投与期間内で、SF68補給ネコではプラセボネコよりも結膜炎の発症が有意に少なかった。この結果から、SF68は慢性FHV−1感染に関連した罹患率を低下させたことが示される。
【0100】
[00100]本明細書では、本発明の典型的に好ましい実施形態を開示しており、特定の用語を使用したが、それらの用語は一般的で説明的な意味でのみ使用しており、限定のためではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲に記載されている。明らかに、前記教示に関して、本発明の多くの改変及び変更が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本発明は具体的に記載した以外に実施することができることを理解されたい。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願]
[0001]この出願は、2005年10月6日出願の米国特許仮出願第60/724,214号明細書の優先権を主張する2006年10月6日出願の米国特許出願第11/544,120号明細書の特典を主張する一部係属出願である2007年5月24日出願の米国特許出願第11/805,813号明細書の優先権を主張するものであり、それらの開示全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
[発明の背景]
発明の分野
[0002]本発明は一般的にプロバイオティクスに関し、詳細には自然免疫及び適応免疫を改善し、ワクチン効果を増強し、慢性FHV−1感染に関連した罹患率を低下させ、並びに結膜炎を予防又は治療するためのプロバイオティクスの使用に関する。
【0003】
関連技術の説明
[0003]プロバイオティクスは、適量で投与されたとき、宿主の健康に利益をもたらす生きた微生物として定義することができる。プロバイオティクスは、病原細菌による粘膜表面のコロニー形成に対する耐性(コロニー形成耐性)を増加させることにより、又は免疫調節物質の産生を促進する、消化管関連リンパ系組織(GALT)に対する直接の影響を及ぼすことにより、プロバイオティックスの有益な健康効果を与えることができると理論付けられている。
【0004】
[0004]プロバイオティクスは、ヒト医療において種々の感染症の経過を調節するために使用されてきた。対照的に、獣医学ではほとんど研究が行われてこなかった。大部分の獣医学研究は、大動物において行われており、プロバイオティクスは糞便性病原体の排出の改造、又は体重増加、飼料転換率及び死亡率減少などの生産パラメータの改善の試みに使用されてきた。
【0005】
[0005]1つの動物試験で、エンテロコッカス フェシウム(Enterococcus faecium)株NCIMB10415(SF68)をイヌジステンパーウイルス(CDV)でワクチン接種した子イヌの1群に与え、ワクチン接種のみを受けた対照群と比較した。SF68が補給された子イヌでは、対照の子イヌと比べて血清及び糞便の総IgA濃度が増加し、CDV特異的IgG及びIgAの血清濃度が増加し、循環Bリンパ球のパーセンテージが増加しており、このプロバイオティクスによって誘導される免疫増強効果が立証された。
【0006】
[0006]ネコヘルペスウイルス(FHV−1)感染は、ネコに一般的で、ネコ間の伝染性が著しい。FHV−1はしばしば、世界中でネコの重篤な臨床疾患を引き起こす。感染の急性期には、発熱、くしゃみ、鼻汁、結膜炎、咳、呼吸困難及び死が起こり得る。FHV−1は、1次感染後に潜伏感染として残留する。FHV−1が感染したネコは一定期間臨床的に正常であり得るので、密集、その他の併発症及びその他のストレス形態によって活性化され得る。再発性結膜炎、角膜炎、くしゃみ及び鼻汁が一般的な徴候である。さらに、活性化されている間、FHV−1排泄率は高く、その他のネコの感染が生じる可能性がある。
【0007】
[0007]ネコ汎白血球減少症(FPV)は、重篤な胃腸疾患を招くウイルス血症を引き起こすウイルスである。適切にワクチン接種された子ネコは殺菌免疫を示した。ネコの鼻腔気管炎(FHV−1)及びネコカリシウイルス(FCV)は、この症候群に関係する2種類のウイルス病原体である。病原曝露株を接種後、ワクチン非接種対照と比較した場合、FCVワクチンはワクチン接種動物で>95%の相対的有効性を誘導するが、FHV−1ワクチンは、約60%の相対的防御を誘導するのみである。したがって、FHV−1は、ワクチン接種が広く行き渡っているにもかかわらず深刻な問題であり続ける。ワクチン接種の有効性を改善する以前の試みには、鼻腔内投与が含まれた。しかし、このような投与は、より大きな副作用及び、やがて疾患の重篤度の低下は導くがキャリア状態の有病率は低下させない病原性株の遺伝子操作を導いた。キャリア状態は、宿主の再発又は再感染並びに同居する動物に対する伝染を引き起こし得る。インターフェロンアルファ、頭蓋開口術、抗ウイルス剤、鼻切開術、グルココルチコイド、局所的鬱血除去剤、及び細菌の二次感染に対する抗生物質を含む慢性FHV−1感染症に対する複数の治療が試みられた。しかし、FHV−1を含有するワクチンの投与は感染を予防せず、現在では体からFHV−1を排除する薬剤はない。治療用に経口使用される薬剤は高価で、効果がなく、毒性であり得る。これらの処置はいずれも、慢性ウイルス感染を取り除くことはできなかった。したがって、ウイルスの排出及び臨床疾患の再発は一般的である。細胞媒介性及びIgA粘膜免疫応答は、α−ヘルペスウイルス感染の予防及び制御に重要と考えられる。
【0008】
[0008]結膜炎(「ピンクアイ」又は「マドラスアイ」)は、結膜の炎症である。結膜炎は通常、アレルギー反応又は細菌若しくはウイルスによる感染によって引き起こされる。眼瞼結膜炎は、結膜炎と眼瞼炎(眼瞼の炎症)の併発である。角結膜炎は、結膜炎と角膜炎(角膜炎)の併発である。
【0009】
[0009]免疫、ワクチンの有効性及びFHV−1感染に影響を及ぼす方法がいくつか知られているが、自然免疫及び適応免疫を改善し、ワクチン効果を増強し、慢性FHV−1感染に関連した罹患率を低下させる新たな組成物及び方法が依然として必要である。さらに、動物における結膜炎を予防又は治療する組成物及び方法が必要である。
【0010】
[発明の概要]
[0010]したがって、本発明の目的は、免疫を調節し、ワクチン効果を増強し、慢性FHV−1感染に関連した罹患率を低下させ、結膜炎を予防又は治療する方法及び組成物を提供することである。
【0011】
[0011]本発明の別の目的は、結膜炎を予防又は治療する方法を提供することである。
【0012】
[0012]本発明のさらなる目的は、自然免疫及び適応免疫の改善、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下、並びに動物における結膜炎の予防又は治療に有用なプロバイオティクス、食品、化合物及び装置の組合せを含有するキット形態の製品を提供することである。
【0013】
[0013]これらのその他の目的のうち1つ又は複数は、自然免疫及び適応免疫の改善、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下並びに動物における結膜炎の予防又は治療の1つ又は複数に有効な量でプロバイオティクスを動物に投与することによって実現される。本発明に有用なプロバイオティクスには、単独で、又はその他のプロバイオティクス、例えば、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、バチルス(Bacillus)属、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属若しくはサッカロミセス(Saccharomyces)属と組み合わせた少なくとも1種のエンテロコッカス属が含まれる。好ましい実施形態では、プロバイオティクスはエンテロコッカス フェシウムNCIMB10415(SF68)である。
【0014】
[0014]本発明のさらにその他の目的、特徴及び利点は、当業者には容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1a】図1は、7週齢で開始し27週齢まで毎日、鶏肉消化物PO150mg(プラセボ、n=9)又は5×108cfu/日のエンテロコッカス フェシウム株NCIMB10415(SF68)を混合した150mgの鶏肉消化物(処理、n=9)で補給した子ネコの経時的な体重(a)及び糞便スコア(b)を示す図である。子ネコは、9及び12週齢で市販の改良生FHV−1ワクチンdで皮下にワクチン接種した。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【図1b】図1は、7週齢で開始し27週齢まで毎日、鶏肉消化物PO150mg(プラセボ、n=9)又は5×108cfu/日のエンテロコッカス フェシウム株NCIMB10415(SF68)を混合した150mgの鶏肉消化物(処理、n=9)で補給した子ネコの経時的な体重(a)及び糞便スコア(b)を示す図である。子ネコは、9及び12週齢で市販の改良生FHV−1ワクチンdで皮下にワクチン接種した。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【0016】
【図2a】図2は、SF68補給あり(処理)又はSF68補給なし(プラセボ)の子ネコの血清(a)及び唾液(b)における、FHV−1特異的IgA結果を示す図である。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【図2b】図2は、SF68補給あり(処理)又はSF68補給なし(プラセボ)の子ネコの血清(a)及び唾液(b)における、FHV−1特異的IgA結果を示す図である。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【0017】
【図3】図3は、SF68補給あり(処理)又はSF68補給なし(プラセボ)の子ネコの血清における、FHV−1特異的IgG結果を示す図である。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【0018】
【図4】図4は、SF68補給あり(処理)又はSF68補給なし(プラセボ)の子ネコにおけるFCV特異的IgG結果を示す図である。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【0019】
【図5】図5は、SF68補給あり(処理)又はSF68補給なし(プラセボ)の子ネコにおけるFPV特異的IgG結果を示す図である。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【0020】
【図6a】図6は、SF68補給あり(処理)又はSF68補給なし(プラセボ)の子ネコの糞便抽出物における総IgG(a)及びIgA(b)を示す図である。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【図6b】図6は、SF68補給あり(処理)又はSF68補給なし(プラセボ)の子ネコの糞便抽出物における総IgG(a)及びIgA(b)を示す図である。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【0021】
【図7a】図7は、SF68補給あり(処理)又はSF68補給なし(プラセボ)の子ネコにおいて、フローサイトメトリーによりゲート設定された、末梢血中のCD4(a)及びCD8(b)陽性リンパ球のパーセントを示す図である。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。*は、処理群がプラセボ群より有意に高い時点を示す。
【図7b】図7は、SF68補給あり(処理)又はSF68補給なし(プラセボ)の子ネコにおいて、フローサイトメトリーによりゲート設定された、末梢血中のCD4(a)及びCD8(b)陽性リンパ球のパーセントを示す図である。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。*は、処理群がプラセボ群より有意に高い時点を示す。
【図8】図1は、7週齢で開始し27週齢まで毎日、鶏肉消化物PO150mg(プラセボ、n=9)又は5×108cfu/日のエンテロコッカス フェシウム株NCIMB10415(SF68)を混合した150mgの鶏肉消化物(処理、n=9)で補給した子ネコの経時的な体重(a)及び糞便スコア(b)を示す図である。子ネコは、9及び12週齢で市販の改良生FHV−1ワクチンdで皮下にワクチン接種した。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【0022】
[発明の詳細な説明]
定義
[0022]本明細書及び実施例で以下の略語を使用することができる。FHV−1、ネコ鼻腔気管炎ウイルス;FCV、ネコカリシウイルス;FPV、ネコ汎白血球減少症ウイルス;spp.、種;ELISA、酵素結合免疫吸着測定法;DM、乾物;CFU、コロニー形成単位;kg、キログラム;及びBW、体重。
【0023】
[0023]「動物」は、自然免疫及び適応免疫の改善、ワクチン効果の増強又は慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下から利益を得ることができる任意の動物、或いは結膜炎に罹患しやすいか、又は罹患している任意の動物を意味する。本発明の方法及び組成物は、鳥、ウシ、イヌ、ウマ、ネコ、ヤギ、マウス、ヒツジ及びブタを含む種々のヒト及び非ヒト動物に有用であり、特に、イヌ及びネコを含むイヌ科及びネコ科などのコンパニオン動物に有用である。
【0024】
[0024]「適応免疫」又は「適応免疫応答」とは、本明細書では交換可能に広義に使用され、免疫記憶の発達を含む抗原曝露に対する免疫応答を意味する。適応免疫応答には、限定はされないが、体液性及び細胞性免疫が含まれる。
【0025】
[0025]「細胞性免疫」又は「細胞性免疫応答」又は「細胞媒介性免疫」とは、本明細書では交換可能に使用され、抗原曝露に応答する細胞障害性又はヘルパーTリンパ球、単核細胞、及びサイトカインの活性化を意味する。この用語は、抗体を用いて未処置レシピエントへ移入することができない適応免疫全てを包含する。
【0026】
[0026]「コンパニオン動物」とは、任意の飼い慣らされた動物であり、ネコ、イヌ、ウサギ、モルモット、フェレット、ハムスター、マウス、スナネズミ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ロバ、ブタなどが含まれるが、それらだけに限らない。イヌ及びネコが最も好ましく、ネコが本明細書で例示される。
【0027】
[0027]「栄養的にバランスのとれた完全なペット又は動物食品」とは、動物栄養分野で認められた専門家の推奨に基づいた適切な量及び割合で知られている必要な栄養素全てを含有し、したがって補助的な栄養供給源を追加することなく生命を維持するか、又は産生を促進するために食事摂取の唯一の供給源として使用できる食品を意味する。栄養的にバランスのとれたペット食品及び動物食品組成物は、当技術分野で広く知られ広く使用されている。
【0028】
[0028]「結膜炎治療薬」とは、本発明の組成物以外の、結膜炎の予防又は治療に有用な任意の化合物、組成物又は薬剤を意味する。
【0029】
[0029]「栄養補助食品」とは、動物の通常の食餌に添加して摂取されることを意図した製品を意味する。
【0030】
[0030]「有効量」とは、特定の生物学的結果の達成に有効な化合物、物質、又は組成物の量を意味する。このような結果には、免疫の調節、ワクチン効果の増強又は動物における慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下が含まれるが、それだけに限らない。このような有効な活性は、例えば、動物に本発明の組成物を投与することによって達成され得る。
【0031】
[0031]「ヒト消費用に製剤化された食品」とは、ヒトによる摂取のために意図された任意の組成物を意味する。
【0032】
[0032]「体液性免疫」又は「体液性免疫応答」とは、本明細書では交換可能に使用され、抗原曝露に応答する免疫グロブリン分子の産生を意味する。
【0033】
[0033]「併用して」とは、1種又は複数のプロバイオティクス又は本発明のその他の化合物若しくは組成物を動物に(1)食品組成物若しくは補助食品中に一緒に、又は(2)ほぼ同時若しくは定期的に同じ、若しくは異なる投与経路を使用して同じ、若しくは異なる頻度で別々に投与することを意味する。「定期的に」とは、治療薬を特定の治療薬に許容される投薬計画で投与し、プロバイオティクスを特定の動物に適するように常法通り動物に投与することを意味する。「ほぼ同時」とは一般的に、プロバイオティクス及び治療薬が同時に、又は互いに約72時間以内に投与されることを意味する。「併用して」には具体的に、治療薬が指示された期間投与され、プロバイオティクスが不定期に投与される投与計画が含まれる。
【0034】
[0034]「自然免疫」とは、特定の抗原によるその後の曝露により増強されない、病原体に対する耐性の体の非特異的な機構を意味する。
【0035】
[0035]「免疫を調節する」又は「免疫の調節」とは、当分野に適切な任意の手段により測定されるような、抗原曝露に対する自然免疫応答又は適応免疫応答を生じる体の能力の任意の増強又は阻害を意味する。
【0036】
[0036]「ペット食品」又は「ペット食品組成物」又は「動物食品」又は「動物食品組成物」とは、動物、特にコンパニオン動物による摂取が意図される組成物を意味する。
【0037】
[0037]「プロバイオティクス(複数可)」とは、健康の増強又は疾患に対する耐性などの宿主動物に有益な効果を及ぼす任意の生物、特に微生物を意味する。プロバイオティクスは、以下の非限定的な特性の1種又は複数を示すことができる。即ち、宿主に対して非病原性又は無毒性である;生存細胞として、好ましくは多数存在する;腸環境(例えば、低いpH及び胃腸酸及び分泌物に対する耐性)で生存し、代謝し、存続できる;上皮細胞、特に胃腸管の上皮細胞への付着;殺菌若しくは静菌活性又は病原細菌に対する効果;抗発癌性活性;免疫調節活性、特に免疫の増強;内在微生物叢に対する調節活性;尿生殖路の健康状態の増強;創傷の中又はその周囲の殺菌活性及び創傷治癒の増強;下痢の抑制;アレルギー反応の抑制;新生児壊死性腸炎の抑制;炎症性腸疾患の抑制;並びに腸管透過性の抑制である。
【0038】
[0038]「単一のパッケージ」とは、キットの構成成分が1個若しくは複数の容器内に、又は容器と物理的に関連しており、製造、分配、販売若しくは使用のための単位と考えられることを意味する。容器には、袋、箱、瓶、収縮ラップ包装、ステープルされた構成成分若しくは別の方法で固定された構成成分、又はそれらの組合せが含まれるが、それだけに限らない。単一のパッケージは、製造、分配、販売若しくは使用のための単位と考えられるように物理的に関連した個々のプロバイオティクス、食品組成物などの容器であってもよい。
【0039】
[0039]「ワクチン効果」とは、特定病原体に対し、動物に所望の治療又は保護効果を生じるワクチンの能力を意味する。「増強されたワクチン効果」とは、当分野に適した任意の手段により測定されるような、特定病原体に対し、動物に及ぼす所望の治療効果又は保護効果を生じるワクチンの能力のいかなる改善をも意味する。
【0040】
[0040]「仮想パッケージ」とは、1種又は複数の実質的若しくは仮想的キット構成成分に関し、例えば、1種の構成成分を含有する袋内の、その他の構成成分の入手方法を使用者に指導し、キットの使用方法に関する指示を得るために、使用者にウェブサイトへの接続方法、記録された伝言への接触方法、視覚的情報の見方、又は医療従事者若しくは指導者への連絡方法を教示する指示がキットの構成成分に付随していることを意味する。
【0041】
[0041]本明細書で表現されたパーセントは全て、特に記載しない限り乾燥物質ベースの組成物の重量による。「乾燥物質ベース」という用語は、組成物中の成分の濃度が、組成物中のいかなる水分も除去された後で測定されることを意味する。
【0042】
[0042]本発明は、本明細書で記載した方法及びプロトコル及び試薬は変更可能なので、それらだけに限定されない。さらに、本明細書で使用した用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用したように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈で特に明確に指示していなければ、複数の指示対象を含む。同様に、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」という語は、限定的ではなく包含的に解釈されるべきである。
【0043】
[0043]特に定義しなければ、本明細書で使用した技術用語及び科学用語及び頭字語は全て本発明の分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で記載したものと類似若しくは等価の組成物、方法、製品又はその他の手段若しくは材料は本発明の実施において使用することができるが、好ましい組成物、方法、製品又はその他の手段若しくは材料は本明細書で記載する。
【0044】
[0044]本明細書で引用するか、又は参照した特許、特許出願、出版物及びその他の参照文献は全て、法律で許可される範囲まで本明細書に参照により組み込まれる。それらの参照文献の論述は、それらの参照文献中の主張をまとめて記載するためだけのものである。いかなるこのような特許、特許出願、出版物又は参照文献或いはそれらの一部も、本発明に関連した先行技術であることを容認するものではなく、このような特許、特許出願、出版物及びその他の参照文献の正確さ及び適切さに異議を申し立てる権利は明確に確保されている。
【0045】
本発明
[0045]一態様では、本発明は免疫の調節、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下、及び/又は動物における結膜炎の予防若しくは治療に適した組成物を提供する。この組成物は、1つ又は複数のプロバイオティクスを、免疫の調節(例えば、自然免疫及び適応免疫の改善)、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下或いは動物における結膜炎の予防又は治療に有効な量で含む。
【0046】
[0046]理論に拘泥するものではないが、エンテロコッカス フェシウムNCIMB10415(SF68)などのプロバイオティクスを動物に投与すると、CD4+リンパ球の数が増加し、特定の感染及び疾患の免疫及び進行に影響を及ぼすものと考えられる。
【0047】
[0047]本発明に有用なプロバイオティクスには、単独で、又はストレプトコッカス属、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属、バチルス属、ビフィドバクテリウム属、又はサッカロミセス属などの属内に含まれるその他のプロバイオティクスと組み合わせたエンテロコッカス属の少なくとも1種の任意の適切な種若しくは亜種が含まれる。エンテロコッカス種は、限定はしないが、エンテロコッカス フェシウム、特に、E.フェシウム株NCIMB10415(SF68)、並びにその他のエンテロコッカス属、例えば、E.フェシウムDSM10663(M74)、E.フェシウムGHR017DSM7134、E.フェシウムCECT4515、E.フェシウムCL15/ATCC19434、E.フェシウムNCIMB11181/DSM5464、E.フェシウムIMB52/DSM3530、E.フェシウムCNCMMA17/5U、E.フェシウム202DSM4788/ATCC53519、E.フェシウム301DSM4789/ATCC55593、E.フェシウムATCC19434、E.フェシウムEF−101ATCC19434、及びE.フェシウムAK2205BCCM/LMG S−16555を含む。ストレプトコッカス種は、限定はしないが、ストレプトコッカス フェシウム(faecium)、ストレプトコッカス サーモフィラス(thermophilus)及びストレプトコッカス サリバリウス(salivarius)を含む。ラクトバチルス種は、限定はしないが、ラクトバチルス アシドフィルス(acidophilus)、ラクトバチルス ブレビス(brevis)、ラクトバチルス ブルガリクス(bulgaricus)、ラクトバチルス カゼイ(casei)、ラクトバチルス セロビオサス(cellobiosus)、ラクトバチルス クリスパタス(crispatus)、ラクトバチルス カーバタス(curvatus)、ラクトバチルス ファーメンタム(fermentum)、ラクトバチルスGG(ラクトバチルス ラムノサス(rhamnosus)又はラクトバチルス カゼイ亜種ラムノサス)、ラクトバチルス ガセリ(gasseri)、ラクトバチルス ジョンソニイ(johnsonii)、ラクトバチルス プランタラム(plantarum)、ラクトバチルス サリバルス(salivarius)、ラクトバチルス ロイテリ(reuteri)、ラクトバチルス ジョンソニイLA1、ラクトバチルス アシドフィルスNCFB1748、ラクトバチルス カゼイ シロタ、ラクトバチルス アシドフィルスNCFM、ラクトバチルス アシドフィルスDDS−1、ラクトバチルス デルブリュッキー亜種デルブリュッキー(delbrueckii)、ラクトバチルス デルブリュッキー亜種ブルガリクス(bulgaricus)型2038、ラクトバチルス アシドフィルスSBT−2062、ラクトバチルス サリバリウスUCC118、ラクトバチルス パラカゼイ(paracasei)ST11及びラクトバチルス パラカゼイ亜種パラカゼイF19を含む。ラクトコッカス種は、限定はしないが、ラクトコッカス ラクチス(lactis)及びラクトコッカス プランタラム(plantarum)を含む。バチルス種は、限定はしないが、バチルス サブチルス(subtilis)を含む。ビフィドバクテリウム種は、限定はしないが、ビフィドバクテリウム アドレッセンティス(adolescentis)、ビフィドバクテリウム ビフィダム(bifidum)、ビフィドバクテリウム アニマリス(animalis)、ビフィドバクテリウム サーモフィラム(thermophilum)、ビフィドバクテリウム ブレーベ(breve)、ビフィドバクテリウム ロンガム(longum)、ビフィドバクテリウム シュードロンガム(pseudolongum)、ビフィドバクテリウム インファンティス(infantis)及びビフィドバクテリウム ラクチス(lactis)を含む。サッカロミセス種は、限定はしないが、サッカロミセス ブラウディ(boulardii)(セレビシエ(cerevisiae))を含む。これらのプロバイオティクスは、原核生物、真核生物又は古細菌であり得る。
【0048】
[0048]一実施形態では、本発明の組成物は、ペット又は動物食品組成物である。これらは、必要な栄養所要量を供給することを意図した食品及び褒美などの食品及び食餌を補給する玩具を含むと有利である。場合によって、ペット又は動物食品組成物は、乾燥組成物、半湿性組成物、湿性組成物、又はそれらの任意の混合物であり得る。特定の実施形態においては、組成物はイエネコを含むがそれに限定されないネコ科動物による消費のために製剤化される。
【0049】
[0049]別の実施形態では、本発明の組成物はヒトの消費のために製剤化された食品である。これらはヒトの必要な栄養所要量を供給することを意図した食品及び栄養素、並びにその他のヒトの栄養補助食品を含むと有利である。詳細な実施形態において、ヒトの消費のために製剤化された食品は栄養的にバランスがとれており、完全である。
【0050】
[0050]別の実施形態では、この組成物は、例えば、肉汁、飲料水、飲物、液体濃縮物、ヨーグルト、粉末、顆粒、ペースト、懸濁液、チュー(chew)、小片(morsel)、おやつ、スナック、ペレット、丸剤、カプセル、錠剤、又はその他の任意の送達形態などの栄養補助食品である。この栄養補助食品は、コンパニオン動物又は非コンパニオン動物などの特定の動物、特にネコ又はヒトによる消費のために特別に製剤化することができる。詳細な一実施形態では、この栄養補助食品は、この補助食品を動物に少量投与できるように高濃度のプロバイオティクスを含むことができ、又は別の方法で、動物に投与する前に希釈することができる。この栄養補助食品は、動物に投与する前に水と混合する必要がある場合もある。一実施形態では、この補助食品は、単独で、又はその他のプロバイオティクス若しくはその他の物質と混合して小袋に入れる。
【0051】
[0051]この組成物は冷蔵又は凍結してもよい。このプロバイオティクスは、必要とする有益な量を提供するために、この組成物のその他の構成成分と予めブレンドすることができ、ペット食品組成物、栄養補助食品、又はヒトの消費のために製剤化された食品の上にコーティングすることができ、或いは、例えば、粉末又は混合物を用いて、動物にこの組成物を提供する前にこれに添加することができる。
【0052】
[0052]本発明の組成物は、プロバイオティクスを、自然免疫及び適応免疫の改善、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下及び/又は結膜炎の予防若しくは治療に有効な量で含む。ペット食品及びヒトの消費のために製剤化された食品は、組成物1グラム当たり約102から約1011の範囲のコロニー形成単位(CFU)でプロバイオティクスを含有するように製剤化することができる。栄養補助食品は、数倍高濃度のプロバイオティクスを含有するように、錠剤、カプセル、液体濃縮物の形態、又はその他の類似の剤形での動物への投与に適するように、或いは、例えば水での希釈、ペット食品上への噴霧又は吹掛け、及び他の類似の投与形態によって、投与前に希釈されるように製剤化することができる。
【0053】
[0053]一実施形態では、組成物中のプロバイオティクスの濃度は、動物の血液中のCD4+リンパ球の割合及び/又は数の増加を含む免疫機能調節に必要とされる量の関数である。別の実施形態では、組成物中のプロバイオティクスの濃度は、血清、糞便及び分泌物、例えば、乳汁、涙、及び唾液における特定病原体の抗原に反応する免疫グロブリンの濃度を増加させるために必要な量の関数である。動物の血清、糞便及び分泌物、例えば、乳汁、涙、及び唾液におけるCD4+リンパ球のレベル及び免疫グロブリンの濃度は、当業者に認識され認められた任意の手段により測定することができる。
【0054】
[0054]本発明の組成物は、場合によっては、補助物質、例えば、ミネラル、ビタミン、塩類、調味料、着色剤及び保存料を含むことができる。補助的ミネラルの非限定的な例には、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、鉄、塩化物、ホウ素、銅、亜鉛、マグネシウム、マンガン、ヨウ素、セレニウムなどが含まれる。補助的ビタミンの非限定的な例には、ビタミンA、種々のビタミンB類、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、及びビタミンKが含まれる。他の栄養補助食品にはまた、例えば、ナイアシン、パントテン酸、イヌリン、葉酸、ビオチン、アミノ酸などを含めることができる。
【0055】
[0055]本発明の組成物は、健全な免疫系を促進若しくは維持する、又はさらに免疫を調節する1種又は複数の補助物質を場合によっては含むことができる。一実施形態では、本発明の組成物はさらに、免疫の調節、ワクチン効果の増強又は動物における慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下に有効な1種又は複数の物質を含む。このような物質には、L−アルギニン、7−オキソデヒドロエピアンドロステロン(7−オキソDHEA)などのステロイド、アルファ及びベータカロテンなどのカロテノイド、抗酸化剤、並びにハーブ又はアストラガルス及びエキナセアなどのハーブ抽出液が含まれるが、それだけに限らない。
【0056】
[0056]種々の実施形態において、本発明の動物食品又は栄養補助食品組成物は、乾物ベースで組成物の約15重量%から約50重量%までの粗タンパク質を含むことができる。この粗タンパク質物質は、植物性タンパク質、例えば、ダイズ、綿実、及びピーナッツ、又は動物性タンパク質、例えば、カゼイン、アルブミン、及び食肉タンパク質を含むことができる。本明細書で有用な食肉タンパク質の非限定的な例には、ポーク、ラム、ウマ、鳥肉、魚類、及びそれらの混合物が含まれる。
【0057】
[0057]この組成物はさらに、乾物ベースで組成物の約5重量%から約40重量%までの脂肪を含むことができる。この組成物はさらに、炭水化物の供給源を含むことができる。この組成物は、乾物ベースで組成物の約15重量%から約60重量%までの炭水化物を含むことができる。このような炭水化物の非限定的な例には、穀粒又は穀物、例えば、米、トウモロコシ、ソルガム、アルファルファ、オオムギ、ダイズ、アブラナ、オート麦、小麦、及びそれらの混合物が含まれる。この組成物はまた、場合によってその他の物質、例えば、乾燥ホエー及びその他の乳製品副産物を含むことができる。
【0058】
[OO58]この組成物はまた、最終食品組成物の1%を上回らない少なくとも1種の繊維質源を含むことができる。当業者には知られているように、様々な可溶性又は不溶性繊維質を利用することができる。繊維質源は、(サトウダイコン由来の)ビートパルプ、アラビアゴム、タルハガム、オオバコ、米糠、イナゴマメガム、シトラスパルプ、ペクチン、短鎖オリゴフルクトースに付加されたフルクトオリゴ糖、マンナンオリゴフルクトース、大豆繊維質、ハウチワマメ由来の繊維質、アラビノガラクタン、ガラクトオリゴ糖、アラビノキシラン、又はこれらの混合物であり得る。或いは、この繊維質源は、発酵性繊維質であり得る。発酵性繊維質は、コンパニオン動物の免疫系に利益を提供するために以前に記載されている。腸内でプロバイオティクス微生物の増殖を増強できるプレバイオティクス組成物を提供する、当業者に知られている発酵性繊維質又はその他の組成物はまた、本発明によって動物の免疫系に提供される利益の増強を促進するためにこの組成物に組み込むことができる。
【0059】
[0059]一実施形態では、この組成物は栄養的にバランスがとれた完全なペット又は動物食品である。この場合、ペット食品調合及び製造の当業者によって認識されるように、ペット食品は、湿性の食品、乾燥食品、又は中程度の水分含量の食品であってもよい。「湿性の食品」とは、典型的には缶又はホイルバッグに入れて販売され、典型的には約70%から約90%の範囲の水分含量を有するペット食品を表わす。「乾燥食品」とは、湿性の食品に類似した組成物であるが、典型的には約5%から約15%の範囲の限定された水分を含む量であり、したがって、例えば、小さいビスケット様のキブル粒として与えられるペット食品を表わす。この組成物及び栄養補助食品は、成体動物用に、又は高齢の動物若しくは若齢の動物用に、例えば、「子イヌ用固形飼料」、「子ネコ用固形飼料」、又は「シニア」製剤用に特別に製剤化することができる。一般的に、特殊化した製剤は、成長又は年齢の様々な段階での動物に適切なエネルギー及び栄養所要量を含む。
【0060】
[0060]本発明の特定の態様は、(例えば、全米研究評議会(National Research Council)、2006、Nutritional Requirements for Dogs and Cats、National Academy Press、Washington D.C.又はアメリカ飼料検査官協会(Association of American Feed Control Officials)Offcial Publicaiton 1996に記載されているように)バランスのとれた完全な食品と組み合わせて使用されるのが好ましい。即ち、本発明の特定の態様によるプロバイオティクスを含む組成物は、高品質の市販食品と共に使用されるのが好ましい。本明細書で使用したように、「高品質の市販食品」とは、例えば、イヌ及びネコについて上記の全米研究評議会の推奨で記載されているように、又はアメリカ飼料検査官協会によって記載された指針に記載されているように、80%以上の重要な栄養素の消化率を生じるように製造された食餌を意味する。同様の高い栄養素規格は、その他の動物のために使用されるであろう。
【0061】
[0061]当業者は、所与の組成物に添加すべきプロバイオティクスの適切な量をどのように決定するかを理解するであろう。考慮され得るこのような要素には、組成物の種類(例えば、ペット食品組成物、栄養補助食品、又はヒトの消費のために製剤化された食品)、種々の動物による特定の種類の組成物の平均消費量及び組成物を調製する製造条件が含まれる。組成物に添加するプロバイオティクスの濃度は、動物のエネルギー及び栄養所要量に基づいて算出することができる。本発明の特定の態様によれば、プロバイオティクスは、組成物の製造及び/又は加工中の任意の時点に添加することができる。これは、限定はしないが、ペット食品組成物、栄養補助食品、若しくはヒトの消費のために製剤化した食品の製剤の一部として、又はペット食品組成物、栄養補助食品、若しくはヒトの消費のために製剤化した食品に適用されるコーティングとして含む。
【0062】
[0062]この組成物は、当分野に適切な任意の方法、例えば、Waltham Book of Dog and Cat Nutrition、ATB Edney編、A.Rainbirdによる「A Balanced Diet」と題される章、57頁から74頁、Pergamon Press Oxfordに記載された方法などによって製造することができる。
【0063】
[0063]組成物の様々な実施形態では、プロバイオティクスは成分として、若しくは添加物として組成物中に入れるか、又は、例えば、組成物上に噴霧して、組成物上に存在させる。
【0064】
[0064]別の態様では、本発明は、免疫を調節し、ワクチン効果を増強し、動物における慢性FHV−1感染に関連した罹患率を低下させる方法を提供する。この方法は、免疫の調節、ワクチン効果の増強及び/又は慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下に有効な量で1種又は複数のプロバイオティクスを動物に投与するステップを含む。
【0065】
[0065]プロバイオティクスは、動物にプロバイオティクスを投与するための任意の方法を使用して投与される。一実施形態では、プロバイオティクスは、ペット若しくは動物食品組成物、栄養補助食品又はヒトの消費のために製剤化された食品を含む本発明の組成物を使用して経口的に投与される。
【0066】
[0066]ヒトがこの組成物を動物に与えるように指示される場合、このような指示は、この組成物の使用によって、参照された有益性、例えば、動物における免疫の調節又はワクチン効果の増強を提供できること、及び/又は提供することを、ヒトに教示及び/又は通知する指示であり得る。このような指示は、口頭の指示(例えば、医師、獣医師、若しくはその他の医療従事者からの口頭の指導を通して、又はラジオ若しくはテレビ媒体(即ち、広告)、或いは文書による指示(例えば、医師、獣医師、若しくは他の医療従事者からの文書による指示(例えば、処方箋)、販売専門家若しくは組織(例えば、販売用カタログ、パンフレット、若しくはその他の指導的用具を介して)、筆記媒体(例えば、インターネット、電子メール、若しくはその他のコンピュータ関連媒体)、及び/又は組成物に関連した包装(例えば、組成物が入っている容器上に存在するラベル)であってもよい。
【0067】
[0067]投与は、必要性に応じて、又は所望に応じて、例えば、月1回、週1回、毎日、又は毎日複数回であってもよい。同様に、投与は、1日おき、1週おき、又は1カ月おき、2日おき、2週おき、又は2カ月おき、3日おき、3週おき、又は3カ月おきなどであってもよい。投与は1日当たり複数回であってもよい。通常の栄養所要量に対する補助食品として利用するとき、この組成物は動物に直接投与されるか、そうでなければ1日の飼料又は食品と接触又は混合することができる。1日の飼料また食品として利用する場合、投与は当業者によく知られている。
【0068】
[0068]投与はまた、定期的に、例えば、動物における食事療法の一部として実施することができる。食事療法は、動物において免疫を調節するか、又はワクチン効果を増強するのに有効な量で、1種又は複数のプロバイオティクスを含む組成物の動物による定期的な摂取を引き起こすことを含んでもよい。定期的な摂取は、1日に1回、又は毎日若しくは毎週、1日に2回、3回、4回若しくはそれを上回る回数であってもよい。同様に定期的な投与は、1日若しくは1週おき、2日若しくは2週おき、3日若しくは3週おき、4日若しくは4週おき、又は5日若しくは5週おきであってよく、そのような食事療法において、投与は1日に複数回であってもよい。定期的な投与の目標は、本明細書中で例示したように、好ましい1日用量のプロバイオティクスを動物に提供することである。
【0069】
[0069]本発明の方法によれば、食事療法の一部としての投与を含む1種又は複数のプロバイオティクスを含む組成物の投与は、動物の妊娠期間から一生に及ぶ期間にわたることができる。
【0070】
[0070]一実施形態では、プロバイオティクスは動物の自然免疫を調節する。別の場合では、プロバイオティクスは動物の適応免疫応答を調節する。さらに別の場合では、プロバイオティクスは動物に投与されたワクチンの効果を増強する。別の場合では、プロバイオティクスは慢性FHV−1感染に関連した罹患率を低下させる。さらに別の場合では、プロバイオティクスは結膜炎を予防又は治療する。好ましい実施形態では、プロバイオティクスは動物におけるFHV−1、FCV及びFPVに対するワクチンの効果を増強する。
【0071】
[0071]いくつかの実施形態では、ワクチンはネコ汎白血球減少症ウイルス、ネコ鼻気管支炎ウイルス又はネコカリシウイルス用である。
【0072】
[0072]別の態様では、本発明は、動物における結膜炎を予防又は治療する方法を提供する。この方法は、結膜炎の予防又は治療に有効な量で1種又は複数のプロバイオティクスエンテロコッカス細菌を含む組成物を動物に投与するステップを含む。
【0073】
[0073]本発明の方法に有用なプロバイオティクスは、単独で、又は本明細書で記載したような1種又は複数のストレプトコッカス属、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属、バチルス属、ビフィドバクテリウム属、又はサッカロミセス属を含む別のプロバイオティクスと組み合わせた少なくとも1種のエンテロコッカス属、好ましくはE.フェシウム、最も好ましくは株NCIMB10415(SF68)である。
【0074】
[0074]プロバイオティクスの1日用量は、1日当たり動物当たりに投与されたコロニー形成単位(CFU)によって測定できる。プロバイオティクスの1日用量は、約105から約1012CFU/日の範囲であり得る。より好ましくは、プロバイオティクスの1日用量は、約107から約109CFU/日である。より好ましくは、プロバイオティクスの1日用量は、約108から約109CFU/日である。最も好ましくは、プロバイオティクスの1日用量は、約108CFU/日である。一実施形態では、プロバイオティクスは1種又は複数の結膜炎治療薬と併せて投与される。
【0075】
[0075]特に、本発明の様々な方法は、(例えば、動物園、獣医学施設、猟鳥獣保護区などにおいて)ネコがプロバイオティクス組成物の投与を受けることができる場合、本発明を適用することができるネコ科(Felidae)のメンバーに関する。イエネコFelis cattusに加えて、ネコ科には、(1)チーター属、例えばチーター(A.jubatus)、(2)ウンピョウ属、例えばウンピョウ(N.nebulosa)、(3)ヒョウ属、例えばライオン(P.leo)、ジャガー(P.onca)、ヒョウ(P.pardus)、トラ(P.tigris);(3)ユキヒョウ属、例えばユキヒョウ(U.uncial);(4)ピューマ属、例えばクーガー、マウンテンライオン又はピューマ(P.concolor)並びに(5)限定はしないが、ボルネオヤマネコ(F.badia)、カラカル(F.caracal)、ハイイロネコ(F.bieti)、ジャングルキャット(F.chaus)、サンドキャット(F.margarita)、クロアシネコ(F.nigripes)、ヤマネコ(F.sylvestris、F.lybica)、ジャガランディ(F.yagouraroundi)、オセロット(F.pardalis)、ジャガーネコ(F.tigrina)、トラネコ(F.wieldi)、サーバルキャット(F.serval)、オオヤマネコ(F.lynx)、ボブキャット(F.rufus)、パンパスキャット(F.colocolo)、ジェフリーキャット(F.geoffroyi)、アンデスネコ(F.jacobita)、パラスキャット(F.manul)、コドコド(F.guigna)、レオパードキャット(F.bengalensis、F.iriomotensis)、フラットヘッドキャット(F.planiceps)、サビイロヤマネコ(F.rubiginosus)、スナドリネコ(F.viverrina)及びアフリカゴールデンキャット(F.aurata)を含む種々の野生のネコ(Felis)の属のメンバーが含まれる。本明細書で使用する「ネコ(feline)」という用語は、別段の指定のない限りネコ科のメンバーを指す。
【0076】
[0076]別の態様では、本発明は、免疫の調節、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下、及び/又は動物における結膜炎の予防若しくは治療に有用なキットを提供する。キットは、単一のパッケージの別々の容器に、又は仮想パッケージの別々の容器に、キット構成成分として適切なように、プロバイオティクスエンテロコッカス細菌並びに(1)1種又は複数の異なるプロバイオティクスエンテロコッカス細菌、(2)動物による消費に適した1種又は複数の成分、(3)動物への投与に適した1種又は複数のワクチン、(4)1種又は複数のその他の種類のプロバイオティクス、(5)1種又は複数の結膜炎治療薬、(6)1種又は複数のプレバイオティクス、(7)プロバイオティクスを免疫の調節、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下及び/又は動物における結膜炎の予防又は治療のためのその他のキット構成成分と一緒にする方法の指示、及び(8)特に免疫の調節、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下、又は動物における結膜炎の予防又は治療のためのプロバイオティクス及びその他のキット構成成分の使用方法の指示の少なくとも1種を含む。
【0077】
[0077]キットに仮想パッケージを含むとき、キットは1種又は複数の物質的キット構成成分と組み合わせた仮想環境における指示に限定される。キットは、免疫の調節、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下、又は動物における結膜炎の予防若しくは治療に十分な量でプロバイオティクス及びその他の構成成分を含有する。典型的に、プロバイオティクス及びその他の適切なキット構成成分は、動物によって消費又は使用される直前に一緒にするか、又は混合される。キットは、様々な組合せ及び/又は混合物のいずれかにおいて、キット構成成分を含有することができる。一実施形態では、キットは1種又は複数のプロバイオティクスを含有する小包、及び動物によって消費されるための食品の容器を含有する。キットは、プロバイオティクスと成分を混合するための器具、又は混合物を含有する器具、例えば食品用ボールなどの品目をさらに含有してもよい。別の実施形態では、プロバイオティクスは動物の良好な健康を促進するビタミン及びミネラルなどの付加的栄養補助物と混合する。別の場合では、キットはプレバイオティクスを含有する。
【0078】
[0078]別の態様では、本発明は、(1)免疫を調節するためにプロバイオティクスエンテロコッカス細菌を使用すること、(2)ワクチン効果を増強するためにプロバイオティクスエンテロコッカス細菌を使用すること、(3)慢性FHV−1感染に関連した罹患率を低下させるためにプロバイオティクスエンテロコッカス細菌を使用すること、(4)結膜炎を予防又は治療するためにプロバイオティクスエンテロコッカス細菌を使用すること、(5)プロバイオティクスと本発明のその他の構成成分を混合すること、(6)プロバイオティクスを単独で、又は本発明のその他の要素と組み合わせて動物に投与すること、及び(7)免疫の調節、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下、又は動物における結膜炎の予防又は治療のための本発明のキットを使用することのうち1つ又は複数についての情報又は指導を伝達する手段を提供する。この手段には、書類、デジタル保存媒体、光学的保存媒体、音声による提示、又は情報若しくは指導を含む視覚的表示が含まれる。特定の実施形態では、伝達手段は、表示されたウェブサイト、視覚的表示キオスク端末、カタログ、製品標示、パッケージ挿入物、広告、ビラ、公式発表、録音テープ、録画テープ、DVD、CD−ROM、コンピュータ読み取りチップ、コンピュータ読み取りカード、コンピュータ読み取りディスク、コンピュータメモリ、又はこのような情報若しくは指示を含むそれらの組合せである。有用な情報には、(1)プロバイオティクス及び/又はその他のキット構成成分を一緒にして投与するための方法及び技術、並びに(2)使用する動物又はそれらの飼育者が本発明及びその用途について疑問を抱いた場合の連絡先の1つ又は複数を含む。有用な指示には、混合する量及び投与量及び投与頻度が含まれる。この伝達手段は、本発明を使用すること、及び動物に本発明を投与するための承認された方法を伝達することの利益を指導するのに有用である。
【0079】
[0079]さらなる態様では、本発明は医薬品を調製するための1種又は複数のプロバイオティクスエンテロコッカス細菌を含む組成物の使用を提供する。別の場合では、本発明は、免疫の調節、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下、及び/又は動物における結膜炎の予防又は治療のための医薬品を調製するためにこのような組成物の使用を提供する。一般的に、医薬品は、本発明の1種又は複数のプロバイオティクスを賦形剤、緩衝液、結合剤、可塑剤、着色料、希釈剤、圧縮剤、潤滑剤、矯臭剤、湿潤剤並びに医薬品の製造及び動物への投与に適した医薬品の製剤化に有用な当業者に知られているその他の成分と混合することによって調製する。医薬品は、免疫の調節、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下、及び/又は動物における結膜炎の予防又は治療に有用な量でプロバイオティクスを含有する。
【実施例】
【0080】
[0080]本発明は、以下の実施例によってさらに例示することができるが、これらの実施例は例示のためだけに含まれており、特に記載しない限り本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0081】
実施例1
動物及び実験パラメータ
[0081]ネコ科の研究対象集団。6週齢のSPFの子ネコ20匹は、Liberty Laboratories(Liberty、NY)から購入した。子ネコは、ELISAによってネコ白血病ウイルス抗原及びネコ免疫不全ウイルス抗体に対して血清反応陰性であることが示された(Snap Combo、IDEXX Laboratories、Portland、ME)。
【0082】
[0082]実験計画。10日間の平衡期間の後、子ネコを各々10匹の子ネコの2群に無作為に分け、治療研究を7週齢で開始した。0.25gと0.28gの間(希釈計数アッセイに基づいて約5×109CFU)の、LBC ME5 PET E.フェシウムNCIMB10415(SF68)(Cerbios−Pharma SA、Switzerland)を、個々の50mLの底部円錐型ポリプロピレン遠心管に添加し、蓋をして、研究期間中4℃で保存した。同様の調製物を、管当たり150mg使用して、一定量の嗜好促進剤(主な成分として肝臓消化物を含む典型的なペット食品コーティングを使用)に使用した。一定量を水吸収に関してモニターし、プロバイオティック又は嗜好促進剤のいずれかの何らかの凝集があるように見える場合には廃棄することとした。投与の直前に、嗜好促進剤の一定量を保存SF68管の1本(処理群)又は1本の空の管(プラセボ群)に移し、室温の水道水を用いて全容量10mLに希釈した。内容物を少なくとも3分間ボルテックスし、12ccの注射器中に吸引した。この懸濁液をボルテックスした直後に、適切な子ネコに子ネコが27週齢になるまでSF68(1日当たりの総1日用量5×108CFU)又は嗜好促進剤単独(プラセボ子ネコ)のいずれか1mlを経口投与した。両群に、自由に乾燥子ネコ食品(全AAFCO所要量を満たす典型的な子ネコ成長用処方であり主成分として米及び鶏肉をベースとしたのを使用)を与え、群を2つの別々の部屋に収容してプロバイオティクスによる相互汚染を避けた。American Association of Feline Practitionersによって推奨されるように、9及び12週齢で、子ネコ全てに、ネコヘルペスウイルス−1、カリシウイルス及び汎白血球減少症ウイルスの改良生組合せワクチン(Pfizer Animal Health、Exton、PA)を皮下にワクチン接種した(Richards.J他(2001))。
【0083】
[0083]統計学的評価。各試料採取日に、全測定パラメータの群平均値を算出した。プロバイオティック投与群とプラセボ群の間の差異を、反復測定実験に適切な混合ANOVAモデルを用いて分析した。時間は連続変数としてモデルに含まれていた。C.パーフリンジェンス(perfringens)のエンテロトキシン又はC.ディフィシレ(difficile)毒素A若しくはBに対して陽性のネコ試料のパーセンテージ及び細胞表面マーカーに関して陽性のゲート細胞のパーセンテージを、研究期間中ネコの各群に対して算出し、両側t検定により比較した(GRAPHPAD Prism、GRAPHPAD Software、Inc.、San Diego、CA)。統計的有意差は、p<0.05であるとみなした。
【0084】
実施例2
サンプル収集及び臨床的モニタリング
[0084]この研究を通して子ネコの態度と行動を毎日モニターした。体重は毎週測定した。血液、唾液、及び糞便を、7週齢のプロバイオティクス又は嗜好促進剤補給開始前、並びに9、15、21、及び27週齢時にネコ全てから採取した。さらに、糞便を28週齢の処理群の子ネコから採取した。子ネコの各群について、1日当たり5つの糞便試料を共用猫用トイレから無作為抽出し、標準化されたグラフィックスコアカードを用いて記録して、毎日の群平均値を測定した。総IgA及び総IgG測定用の糞便抽出液をBenyacoub J他(2003))によって記載されたプロトコルに従って処理した。試料は全て、バッチで測定するまで−80℃で保存した。
【0085】
[0085]全子ネコの糞便は、補給期間の当初(7週齢)は正常であった。各群の1匹の子ネコは、この研究とは無関係な理由で研究から除去し、したがって最終のデータ分析から除去した。期間中又は任意の個々の時点で、体重及び糞便スコアに2群間で統計学的に差異が見られなかった(図1)。
【0086】
[0086]この研究を通して、全血球数、生化学パラメータ及び体重は、ネコ群の間で類似していた。糞便スコアは群間で類似しており、同様に本明細書で記載した投薬量でのSF68の使用は、顕著な臨床的異常を誘導しないことが示唆された。
【0087】
実施例3
糞便のアッセイ
[0087]各試料採取日に、各子ネコから糞便を8階段で連続10倍希釈して、KFストレプトコッカス寒天培地に播種し、好気的に37℃で48時間インキュベートした。各形態型のコロニー10個を、無菌のループを用いて釣菌し、ブレインハートインフュージョン培地(BHI)(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)1.2mLに播種し、分析するまで−80℃に保存した。生きているE.フェシウムNCIMB10415(SF68)が投与したネコの糞便中に存在するかどうかを決定するため、及びこのプロバイオティクスが投与した子ネコから対照の子ネコに偶発的に伝播したかどうかを評価するために、RAPD−PCRを各試料からの細菌分離株で実施した。サーモサイクラーパラメータは以下の通りであった。即ち、95℃で1分の変性、40℃で1分のアニーリング、72℃で4分の伸長を30サイクル行った。反応混合液25.5μLには、10×マグネシウム非含有緩衝液(100mM Tris−HCl、pH8.3、500mM KC1)2.45μL、3.22mM MgCl2 、JumpStart Taq DNAポリメラーゼ(Sigma D−4184、Sigma−Aldrich,Inc.、St.Louis、MO)0.4μL(1ユニット)、dNTP混合物(2.5mM)1.9μL、プライマー(100μM)1μL、PCR水15.47μL及び細菌培養物1μLが含まれた。使用したプライマーの配列は、5’−GGTTGGGTGAGAATTGCACG−3’であった。PCR産物5〜10μLを2パーセントのアガロースゲルで泳動し、バンドのパターンをSF68陽性対照と比較した。市販のELISAを、クロストリジウム パーフリンジェンス エンテロトキシン又はC.ディフィシル毒素A/Bが全子ネコの糞便中に存在したかどうかを測定するために使用した(C.パーフリンジェンス(ELISA、キット番号92−000−22)及びC.ディフィシル(ELISA、キット番号94−0150−KT)、Techlabs、Blacksburg、VA.)。サルモネラ(Salmonella)属及びカンピロバクター(Campylobacter)属の所定の好気性糞便培養は、Colorado State University Diagnostic Laboratoryで実施された。
【0088】
[0088]処理したネコ9匹のうち7匹の糞便は、研究の間の少なくとも1つの時点でSF68陽性だった。しかし、SF68DNAは、補給を停止して1週後(28週)、いずれの投与ネコの糞便からも増幅されなかった。サルモネラ属もカンピロバクター属のいずれも、糞便から増殖しなかった。プラセボネコからの試料は全て、RAPD PCRによりSF68陰性だった。この研究を通して、C.ディフィシル毒素A/B又はC.パーフリンジェンス エンテロトキシンについて陽性の試料数(表1)は、群間で変わらなかった。
【0089】
[0089]サルモネラ属及びカンピロバクター属排泄は、SF68補給によって誘導されなかった。子ネコの両群のいくつかの糞便試料は、C.ディフィシル又はC.パーフリンジェンス毒素について陽性だったが、群間の陽性試料数に有意な差異はなく、陽性の結果は下痢の存在と関連していなかった。SF68は補給期間中に大部分の投与ネコの糞便で検出されたが、補給を停止して1週後の糞便ではもはや検出されず、この生物がネコにおいて存続したのは一過性であることを示した。したがって、本明細書で記載した投薬量を使用したSF68の投与は、有害な影響がなく、研究期間において投与するのに安全である。
【0090】
実施例4
免疫学的アッセイ
[0090]完全血球数、血清生化学的パネル、及び尿分析はColorado State UniversityのClinical Pathology Laboratoryで実施した。抗原特異的体液性免疫応答を、血清FHV−1特異的IgG、FHV−1特異的IgA、FCV特異的IgG、及びネコ汎白血球減少症特異的IgGを血清中で測定し、並びに以前に公表されたELISAアッセイの適応を使用して、唾液中でFHV−1特異的IgG及びIgAレベルを測定することにより評価した(Lappin MR他(2002)及びDitmer DA他(1998)。FHV−1特異的IgG及びIgAについて、結果は各試料の3連の試験ウェルに対する両方の平均吸光度によって、及びパーセンテージELISA単位の計算によって算出した(試験試料平均吸光度マイナス陰性対照試料平均吸光度/陽性対照試料平均吸光度マイナス陰性対照試料平均吸光度に100を掛けた)。FCV及びFPVについては平均吸光度を使用した。血清、糞便抽出液及び唾液中の総IgG及びIgA濃度は、市販のELISAアッセイ又は放射状免疫拡散アッセイを使用して推定した(Bethyl Laboaratories,Inc.、Montgomery、TX)。
【0091】
[0091]細胞性免疫応答は、フローサイトメトリー及び全血増殖アッセイによって評価した。フローサイトメトリーは、赤血球溶血緩衝液(NH4Cl 0.155M/KHCO3 0.010M/5×10−4%フェノールレッド(0.5%)中で、室温でインキュベートした抗凝固処理(EDTA)血液500μLを使用して、血液採集の12時間以内に実施した。細胞をPBSで2回洗浄し、得られた細胞ペレットを、PBS、0.1%アジ化ナトリウム及び2%ウシ胎児血清を含有するFACS緩衝液に、可能ならば1×106細胞/100μLの濃度を達成するように再懸濁した。上記の懸濁液の少なくとも500μLについて不十分な細胞を有する試料をカウントし、細胞濃度を記録した。免疫染色するために、各細胞懸濁液100μLを丸底96ウェルプレートのそれぞれのウェルに添加した。非特異的結合は、10%正常ネコ血清の添加によってブロックした(Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc.、West Grove、PA)。免疫染色は、暗所、4℃でFACS緩衝液中で実施した。リンパ球は、CD4及びCD8の発現(vpg34;抗CD4−FITC、vpg9;抗CD8−RPE抗体;Serotec、Raleigh、NC(Oxford、UK))並びにCD44の発現(IM7;抗CD44−PE/CY5抗体;Pharmingen、Franklin Lakes、NJ)について染色した。B細胞の分析については、溶解した全血を、B220(ra3−b62;抗B220−ビオチン化抗体;eBioscience、San Diego、CA)、CD21(b−ly4;抗CD21−APC抗体;BD−Biosciences、Franklin Lakes、NJ)、及びMHCクラスII(抗MHCクラスII−FITC抗体;クローンCAG5−3D1、Serotec、Raleigh、NC(Oxford、UK))に対する交差反応性抗体で免疫染色した。分析用の細胞を、前方及び側面分散特性に基づいて生リンパ球集団にゲート設定した。データは、Cyan MLE cytometerpで収集し、Summitソフトウェアを用いて分析した(Dako−Cytomation、Fort Collins、CO)。
【0092】
[0092]増殖アッセイは、分裂促進剤又は抗原を添加する前に5%CO2、37℃で30分間、完全腫瘍培地100μLでインキュベートすることによって予め条件付けした全ヘパリン添加血10μLを用いて3連で実施した(完全腫瘍培地:必須及び非必須アミノ酸+10%FBSを補給した改変Eagle培地)。細胞を培地単独で維持するか(非刺激)、又はコンカナバリンA(10μg/mL:Con A、Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)、若しくはFHV−1抗原調製物(1μL/ウェル、研究開始前に調製し、等分して−80℃で保存した)で、5%CO2、37℃で96時間刺激した(Veir JK他(2005))。細胞は、ウェル当たりトリチウム標識チミジン1μCiでパルス標識し、18時間後にガラス繊維フィルターマット上に収集した(Wallac−Microbeta Perkin−Elmer、Boston、MA)。マットは、MicroBetas液体シンチレーションカウンターを用いて読み取った。平均刺激指数(非刺激試料当たりの平均最大カウントで割った刺激試料当たりの平均最大カウント)を、全試料について算出した。
【0093】
[0093]完全血球数及び生化学的プロフィールは、全ネコの年齢群の全時点において正常範囲内であった。分析したこのアッセイの間で、期間中又は個々の時点で群間に統計的な差異はなかった。21及び27週齢で、血清及び唾液中のFHV−1特異的IgAの平均レベルは、プラセボ群と比べた場合、処理群で数値的に大きかったが、この差異は統計学的差異ではなかった(図2)。15、21及び27週齢で、平均FHV−1特異的血清IgGレベルは、両方のアッセイを使用すると、プラセボ群と比べた場合、投与群で数値的に大きかったが、この差異は統計学的に有意な差異ではなかった(図3)。FHV−1特異的IgGは、唾液中では検出されなかった。血清中のFCV特異的IgGレベルは、群間で同程度だった(図4)。15週齢で、投与群血清平均FPV特異的IgGレベルは、プラセボ群のレベルより数値的により大きかったが、この差異は統計学的に有意な差異ではなかった(図5)。
【0094】
[0094]血清中の総IgG及びIgAの濃度は、群間で同程度だった(データは示さず)。総IgGは唾液では検出されず、唾液中の総IgA濃度は群間で同程度だった(データは示さず)。27週齢で、糞便抽出液中の投与群平均総IgG濃度は、プラセボ群の濃度より数値的に大きかったが、この差異は統計学的差異ではなかった(図6)。糞便抽出液中の総IgA濃度は、群間で同程度だった(図6)。
【0095】
[0095]刺激剤として10μg/mLコンカナバリンA又はFHV−1抗原調製物1μLのいずれかを使用する増殖アッセイでは、どの時点でも群間で有意に異なる平均最大カウントを生じなかった。最初の4箇所の時点では、任意の細胞表面マーカーについて群間で統計的な差異はなかった(図7)。27週齢で、投与群(平均13.87%)は、プラセボ群(平均10.61%、p=0.0220)よりも有意に高いパーセンテージのゲート設定されたCD4陽性リンパ球を有していた。その他の比較で有意な差はなかった。
【0096】
[0096]27週齢でCD8+カウントの同時増加を伴わないプラセボ群と比較した投与群でのCD4+カウントの増加は、プロバイオティクスによる全身性免疫の調節効果を示している。
【0097】
[0097]ワクチン接種後、子ネコそれぞれは、その他の研究と類似したFHV−1、FCV、及びFPV特異的血清抗体応答を生じ、これらの子ネコは免疫適格性であり、使用した改良生ワクチンは実用的であることを示していた(Lappin MR他(2002))。この結果のいくつかはまた、プロバイオティクスの給餌は、これらの子ネコの体液性及び細胞性免疫応答に影響を与えたことを示している。これらには、プラセボ群と比較したとき、27週齢で統計学的に有意に大きいCD4+リンパ球カウントの検出、並びに21及び27週齢で血清及び唾液中のFHV−1特異的IgA、15、21及び27週齢で血清中のFHV−1特異的IgGレベル、15週齢で血清中のFPV特異的IgGレベルに関する数値的により大きな平均値の検出が含まれる。
【0098】
実施例5
結膜炎に対するプロバイオティクスエンテロコッカス細菌の効果
[0098]慢性FHV−1感染を有する若齢の雌雄の成体ネコ(n=12)を別の研究から移し、5.5カ月の間SF68又はプラセボを投与した。これらのネコは、平衡化期間中及び補給後、結膜炎、くしゃみ及び鼻汁を毎日モニターした。補給期間中、これらのネコは群れの収容場所から個体の収容場所へ移動させ、潜在的FHV−1感染を活性化させるために外科的に滅菌した。動物における結膜炎をモニターした。
【0099】
[0099]この結果から、全体的に結膜炎がよく見られ、観察点のSF68投与ネコの750匹中122匹(16.3%)及びプラセボネコの755匹中210匹(27.8%)にそれぞれ生じたことが示される。平衡化期間中、結膜炎が指摘された観察点の数は2群の間で差異はなかったが、SF68又はプラセボの投与開始後は、各投与期間内で、SF68補給ネコではプラセボネコよりも結膜炎の発症が有意に少なかった。この結果から、SF68は慢性FHV−1感染に関連した罹患率を低下させたことが示される。
【0100】
[00100]本明細書では、本発明の典型的に好ましい実施形態を開示しており、特定の用語を使用したが、それらの用語は一般的で説明的な意味でのみ使用しており、限定のためではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲に記載されている。明らかに、前記教示に関して、本発明の多くの改変及び変更が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本発明は具体的に記載した以外に実施することができることを理解されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結膜炎の予防又は治療に有効な量で1種又は複数のプロバイオティクスエンテロコッカス細菌を含む組成物を動物に投与するステップを含む、動物における結膜炎を予防又は治療する方法。
【請求項2】
前記動物がネコである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プロバイオティクスエンテロコッカス(Enterococcus)がE.フェシウム(faecium)株NCIMB10415(SF68)である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
免疫の調節、ワクチン効果の増強、又は慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下に有効な量で1種又は複数のプロバイオティクスエンテロコッカス(Enterococcus)細菌を含む組成物を動物に投与するステップを含む、免疫を調節し、ワクチン効果を増強し、又は動物における慢性FHV−1感染に関連した罹患率を低下させる方法。
【請求項5】
前記組成物が動物食品組成物又は栄養補助食品である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記プロバイオティクスエンテロコッカスがE.フェシウム株NCIMB10415(SF68)である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記プロバイオティクスエンテロコッカスが前記組成物1グラム当たり少なくとも約102から約1011CFUの量で存在する、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記動物がネコである、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記改善された免疫がFVH、FCV又はFPVに対する免疫を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
動物におけるワクチン効果の増強によって、動物におけるCD4+リンパ球の産生が増加する、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
動物におけるワクチン効果の増強によって、動物の血清、糞便、乳汁、涙、唾液、呼吸上皮又は胃腸上皮における特定病原体の抗原に反応する免疫グロブリン濃度が増加する、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
免疫の調節、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下、又は動物における結膜炎の予防若しくは治療に有効な量で1種又は複数のプロバイオティクスエンテロコッカス(Enterococcus)細菌を含む組成物。
【請求項13】
食品組成物又は栄養補助食品である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記プロバイオティクスエンテロコッカス細菌がE.フェシウム(faecium)株NCIMB10415(SF68)である、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記プロバイオティクスエンテロコッカス細菌が前記組成物1グラム当たり少なくとも約102から約1011コロニー形成単位(CFU)の量で存在する、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
免疫の調節、ワクチン効果の増強、動物における慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下、又は結膜炎の予防若しくは治療に有効な1種又は複数の物質をさらに含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項17】
少なくとも1種のその他の種類のプロバイオティクスをさらに含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項18】
前記動物がネコである、請求項12に記載の組成物。
【請求項19】
前記ワクチンがFVH−1ワクチン、FCVワクチン又はFPVワクチンである、請求項12に記載の組成物。
【請求項20】
前記改善された免疫がFVH、FCV又はFPVに対する免疫を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項1】
結膜炎の予防又は治療に有効な量で1種又は複数のプロバイオティクスエンテロコッカス細菌を含む組成物を動物に投与するステップを含む、動物における結膜炎を予防又は治療する方法。
【請求項2】
前記動物がネコである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プロバイオティクスエンテロコッカス(Enterococcus)がE.フェシウム(faecium)株NCIMB10415(SF68)である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
免疫の調節、ワクチン効果の増強、又は慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下に有効な量で1種又は複数のプロバイオティクスエンテロコッカス(Enterococcus)細菌を含む組成物を動物に投与するステップを含む、免疫を調節し、ワクチン効果を増強し、又は動物における慢性FHV−1感染に関連した罹患率を低下させる方法。
【請求項5】
前記組成物が動物食品組成物又は栄養補助食品である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記プロバイオティクスエンテロコッカスがE.フェシウム株NCIMB10415(SF68)である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記プロバイオティクスエンテロコッカスが前記組成物1グラム当たり少なくとも約102から約1011CFUの量で存在する、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記動物がネコである、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記改善された免疫がFVH、FCV又はFPVに対する免疫を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
動物におけるワクチン効果の増強によって、動物におけるCD4+リンパ球の産生が増加する、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
動物におけるワクチン効果の増強によって、動物の血清、糞便、乳汁、涙、唾液、呼吸上皮又は胃腸上皮における特定病原体の抗原に反応する免疫グロブリン濃度が増加する、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
免疫の調節、ワクチン効果の増強、慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下、又は動物における結膜炎の予防若しくは治療に有効な量で1種又は複数のプロバイオティクスエンテロコッカス(Enterococcus)細菌を含む組成物。
【請求項13】
食品組成物又は栄養補助食品である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記プロバイオティクスエンテロコッカス細菌がE.フェシウム(faecium)株NCIMB10415(SF68)である、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記プロバイオティクスエンテロコッカス細菌が前記組成物1グラム当たり少なくとも約102から約1011コロニー形成単位(CFU)の量で存在する、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
免疫の調節、ワクチン効果の増強、動物における慢性FHV−1感染に関連した罹患率の低下、又は結膜炎の予防若しくは治療に有効な1種又は複数の物質をさらに含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項17】
少なくとも1種のその他の種類のプロバイオティクスをさらに含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項18】
前記動物がネコである、請求項12に記載の組成物。
【請求項19】
前記ワクチンがFVH−1ワクチン、FCVワクチン又はFPVワクチンである、請求項12に記載の組成物。
【請求項20】
前記改善された免疫がFVH、FCV又はFPVに対する免疫を含む、請求項12に記載の方法。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【公表番号】特表2010−528004(P2010−528004A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509339(P2010−509339)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2008/006057
【国際公開番号】WO2008/153655
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2008/006057
【国際公開番号】WO2008/153655
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】
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