説明

免疫刺激のためのカテナン

本発明は、ヒトまたは動物の免疫系の活性の調節のための多量体の非コード核酸分子、およびその製造方法、および前記多量体の非コード核酸分子を含むワクチンに関するものである。前記多量体の非コード核酸分子は、少なくとも2つの前記分子からなる非コード核酸分子(二量体)またはいくつかの非コード核酸分子の集合体であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトおよび動物の免疫系の活性の調節のための多量体の非コード核酸分子、ならびにその製造方法、および多量体の非コード核酸分子を含むワクチンに関するものであり、多量体の非コード核酸分子は、前記非コード核酸分子の少なくとも2つのカテナン分子(二量体)を含む非コード核酸分子と理解され得る。
【背景技術】
【0002】
適合免疫応答は、それぞれの病原体についての特異的なリンパ球の選択ならびにそれらのクローン性増殖および分化の後に遅れて(3〜5日)始まり、その後、免疫記憶を形成することによってそれぞれの病原体についての長期にわたる保護をもたらすが、自然免疫系の細胞は、胚細胞にコードされる受容体によって、保存された病原体関連分子パターン(PAMP)を介して病原体を認識し、迅速に反応する。サイトカイン(例えば、IL−1、IL−6、TNF−α)およびケモカイン(例えば、IL−8/CXCL8、MIP−1α/β、MCP−I)の分泌、エフェクターの機構の活性化(食作用、呼吸の排出、殺菌剤物質または溶解性顆粒の放出)、共刺激分子(CD80、CD86)の発現、ならびにMHC分子の発現の増強のように、異なる反応が、異なる種類の細胞型に属する。それにより、一方では、侵入した病原体を排除し得るエフェクター細胞が動員および活性化され、他方では適合免疫系の細胞がそれらの活性化に必要なシグナルを受け取る。
【0003】
免疫応答を向上させるために、CpG−オリゴヌクレオチド(CpC−ODN)が新たなクラスの免疫調節分子として用いられてきた。このような非メチル化CGモチーフは、細菌のDNAにおいて見いだすことができ、免疫系にとって「危険なシグナル」を表す。病原体関連分子パターン(PAMP)として、それらは自然免疫系の非特異的な活性化を生じさせる(Krieg、Nat.Med、2003年、9:831〜835頁)。CpG−ODNは、サイトカインであるインターロイキン−12、インターフェロン−χ、および腫瘍壊死因子−αを介して、T1に基づいた免疫応答を誘発する。
【0004】
前記CpG−ODNを含む免疫刺激核酸配列(ISS)は、数塩基の長さを有し、タンパク質の発現のためのオープンリーディングフレームを含まない。
【0005】
ISSは線状の核酸分子を表し、その末端は開いている(遊離したヒドロキシル基およびリン酸基)か、または合成基によって保護されている。
【0006】
細胞免疫応答の強い刺激は、フィードバックループへの影響を許し、これによっては、介入することなく患者にとって満足のいく免疫活性がもたらされることはないであろう。
【0007】
CpG−DNAを安定化させるために用いられる、ホスホチオエート骨格でのCpC−ODNの修飾は、いくつかの深刻な不都合を有する。タンパク質に対する非特異的な結合(Brown、1994年)だけでなく、顕著な毒性も、とりわけこの不都合に属している(Heikenwalder、2004年、Levin、1999年)。
【0008】
このため、新たなクラスの共有結合的に閉じた免疫刺激DNAが開発された(WO01/07055/EP1196178)。これらのDNA分子は、回文性のオーバーラップした末端を有する自己相補的な部分を5’末端および3’末端に有する2つの化学的に合成されたDNA分子からなり、その結果、両方のDNA分子のライゲーションにより、共有結合的に閉じた分子が生じる。非相補的な部分にCGモチーフを有するこれらのDNA分子は、CpG−ODNと類似の活性を示す(B細胞上の表面分子CD80、CD40、MHCの発現の増強、およびPBMCによるIL−6、IFN−γ、IFN−α、IL−12、TNFαの分泌)が、それらは、ホスホロチオエート骨格を有するCpG−ODNと比較して、誘発されるサイトカインの発現パターンに関して差異を示し、マウスにおいて明らかに低い毒性を示す。最新技術のこの免疫刺激DNAは、ヒトおよび動物の免疫系の活性の調節に関していくつかの不都合を有する。ヒトおよび動物の免疫系の活性を所望の程度で調節すること、とりわけ活性化することは不可能である。例えば図1または請求項11において示されるような、WO01/07055に従った分子は、部分的に一本鎖の、亜鈴型で共有結合的に閉じたDNA分子を形成する、いくつかのデオキシリボヌクレオチド残基からなり、前記DNA分子は、本発明の趣旨においては単量体と呼ばれる。WO01/07055に従うと、オリゴヌクレオチドから形成されるこれらの単量体は、ライゲーションの前に加熱され、それぞれが亜鈴型の単量体からなる、オリゴヌクレオチドからの均一の分子を受け取っていた(WO01/07055の図1を比較されたい)。オリゴヌクレオチドからなる単量体という用語をいかに解釈するかについては当業者に知られている。当業者には、単量体が、単量体としてのそれらの特徴を失うことなく、オリゴヌクレオチド残基のようないくつかの分子要素からなり得ることが知られている(例えば、ミオグロビンは153個のアミノ酸からなる単量体である)。WO01/07055の図1に従うと、単量体は亜鈴型である。本発明の趣旨における単量体は、例えば単一の塩基からなる構造は意味しないが、それ自体いくつかのデオキシリボヌクレオチド残基からなるヌクレオチドからなる、閉じた亜鈴型を意味する(WO01/07055の図1または請求項11を比較されたい)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この最新技術に基づき、改善した免疫応答を開始する適切な免疫刺激DNA分子、ならびに、それらの製造方法、および前記免疫刺激DNA分子を含むワクチンを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
免疫刺激とは、本発明の状況において、免疫系のメディエーター細胞およびエフェクター細胞、すなわち、主に、現在知られている、ヘルパー機能を有する胸腺細胞および細胞傷害性の胸腺細胞、B細胞およびいわゆるNK(ナチュラルキラー)細胞、マクロファージおよび単球、ならびに樹状細胞およびその前駆体、ならびに免疫系における、今までのところ明らかに同定されていない機能を有する細胞集団が、増殖、移動、分化、またはそれらの活性について、核酸分子の使用によって刺激されることを意味する。免疫調節とは、上記に定義した意味における一般的な刺激に加え、開始または成熟した免疫反応に作用することによるか、または、それらの特徴に関する確立された反応を変化させることによるかにかかわらず、免疫反応のタイプまたは特徴に影響がもたらされることを意味する。
【0011】
本発明は、オリゴマー、それぞれ多量体の非コード核酸分子を提供することにより、目的を解決する。共有結合的に閉じた免疫刺激DNAの二量体、三量体、五量体、または多量体が、最新技術で知られている分子に関して驚くほど向上した効果を有することは、全く驚くべきことであった。本発明の多量体分子は、以下の工程を含む方法によって製造することができる。
− 5’−リン酸化オリゴヌクレオチドを提供すること、
− 乾燥残渣が得られるまで、とりわけMgClの存在下で、アルコール沈殿または凍結乾燥し、その後、緩衝液内において再懸濁すること、
− T4−DNAリガーゼを添加し、それにより反応混合物を生成すること、および
− 37℃で少なくとも30分間、反応混合物をインキュベートすること。
【0012】
本発明に従った分子は、その製造方法に特徴を有し得る。本製造方法は、生成物についての定義として役立つ。本方法によって定義される生成物は、例えばWO01/07055におけるような最新技術において記載されている分子に対して新規である。分子は、その製造方法によって説明され特許請求の範囲に記載されているが、その構造的および機能的特性によって定義され、この特性は、当業者にとっては、その製造方法を適用することにより得られる。構造的特徴による特徴付けは実現不可能であるため、本製造方法を用いた分子の製造は非常に正確なものである。当業者にとって必要な記載が全て開示されているため、特許請求の範囲に記載された方法は成功裏に実施することができる。本製造方法は、最新技術で知られている方法からさらに異なる。新たな方法の使用により、最新技術において記載されているものと異なる生成物が得られる。これは、例えばWO01/07055の図1に従った単量体および本発明に従った多量体の特性に関する明らかな差異によって示され得る。本発明の分子は、最新技術におけるものよりも驚くほど免疫刺激に適している。
【0013】
本発明に従った分子はまた、ポリアクリルアミドゲル電気泳動と同等の方法を用いて精製される場合、水中において5’−リン酸化オリゴデオキシリボヌクレオチド酸を提供することにより製造することもできる。とりわけ、HPLCの後にFPLCを行う、組み合わせた精製によるものである。HPLCまたはFPLCのようないくつかの高性能の方法を組み合わせることによりPAGE精製の程度に類似した程度の精製が得られることは、当業者に知られている。
【0014】
驚くべきことに、本方法の単一工程の順序により、安定してカテナン化された単量体および少なくとも48個のヌクレオチドを含む多量体分子(24個のヌクレオチドを有する2個の単量体)が得られる。形成された分子カテナは、遊離した5’または3’末端を含まない。分子間カテナン形成を介して、本発明に従った分子を形成する単量体は、
− 適切な条件下においてこの単量体の別の部分と共に二本鎖ステムを形成する、少なくとも8個の連続するヌクレオチドの配列を含むこと、
− これらの逆方向の相補的部分の間が少なくとも4個のヌクレオチドであること、
− 一本鎖部分内に、細胞構造によって認識されるCGモチーフが存在すること、
− 修飾されたヌクレオチドがまた一本鎖領域の一部であり得、脂肪酸、糖、またはアミノ酸に共有結合すること
を特徴とする。
【0015】
本発明に従った分子は、少なくとも2個の単量体を含み、上記の合成の際に形成される。単量体は、2個、3個、4個、5個、またはそれ以上の分子間カテナを形成している。これにより、図1(分離後のゲルの画像)に示されるように、いわゆる二量体、三量体、四量体、五量体、または六量体、いわゆるオリゴマーが形成される。
【0016】
本発明に従った分子はまた、カテナンとしても定義することもできる。好ましい実施形態において、本発明に従った分子およびカテナン分子は、少なくとも1つのループがさらなる分子の別のループに結合して互いに集合し、その結果、好ましくは少なくとも1個の、とりわけ好ましくはいくつかのカテナン要素が存在するようにされる。
【0017】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、ループの自己相補的な部分を有するいくつかの分子は互いにハイブリダイズし、これにより、本発明に従った生成物を形成するようにされる。
【0018】
用いられる配列に応じて、例えばいくつかの単量体構造が好ましくはそれらのそれぞれのループによってカテナに集合しているカテナン分子が提供され得る。
【0019】
さらなる多量体構造は、Gカルテットの1つである。グアニンは、グアニン−グアニン塩基対を介するその4つのH架橋結合側の方向に起因して、8個のH架橋を有する環状塩基カルテットを形成し得る。いくつかの連続したグアノシンヌクレオチドを含むDNA配列は、特別な安定な相互作用を有する強力な平面性を示すグアニン塩基を有する高次の分子らせん構造を形成し得る。配列内のグアノシンヌクレオチドの位置、数および分布に応じて、いくつかのG構造が形成され得る。
【0020】
本発明に従った分子は、最新技術の分子のように、ヒトまたは動物の免疫系の活性をより良好に調節することができ、とりわけ活性化させることができる。最新技術の分子は、単量体の亜鈴型構造として作動する、既知の免疫刺激核酸配列である。最も知られている免疫修飾短鎖オリゴデオキシリボヌクレオチド酸配列は、メチル化されていないシトシン−グアノシン・モチーフを含む。このような核酸の生理学的効果はまた、免疫調節、それぞれ本発明の趣旨における免疫系の活性の調節であると理解される。例えばEP1196178は、少なくとも1つのループを有するステムからなるいくつかの分子を開示しており、それらは例えば図1、2、および3において開示されている。本発明の趣旨において、このような分子は単量体構造である。本発明は、このような単量体を単一の分子としては含んでいない。オリゴマーという用語は、科学においていくつかの異なる意味で用いられることに注意すべきである。オリゴマーは例えば、長い核酸配列、およびより大きな集合体に形成された同一のまたは類似の分子のいくつかを含む構造であり得る。本発明の趣旨におけるオリゴマーは、いわゆる二量体から五量体を形成する少なくとも2〜5個の単量体を含む、分子のカテナを意味する。これは、図1によると、最大200kDaの分子量に相当する。本発明の趣旨における多量体は、例えば、EP1196178に従ったいくつかのステム−ループ構造であり、これらは、いくつかの同一または類似のステム−ループ構造が、より高次の構造(多量体)となった集合体に相当する。本発明に従うと、多量体は、200kDaよりも大きい全ての分子を意味する。記載される反応条件により、ライゲーションの間、ライゲーション生成物の安定した分子間カテナン形成が生じる。得られたオリゴマー/多量体は、そのコンフォメーションについては、特別な反応条件下においてのみ、合成の間に形成することになる。既に形成されている単量体から多量体を製造することは不可能である。多量体を形成する単量体構造は互いに共有結合していないが、それらはカテナン構造として結合している。形成されたオリゴマー(当業者には、多量体化との関連において、オリゴマーの特徴はオリゴデオキシリボ核酸配列の意味ではないことが理解される)または多量体は、熱または変性剤に関して安定であり、このことは、この単一の分子構造が、本発明に従った分子から単純な物理的手段では得られ得ないことを意味する。
【0021】
驚くべきことに、このようなオリゴマー構造および多量体構造は、単量体構造と比較して向上した、かつ自明ではない特性を有し、また比較的単純な方法工程によって得ることができる。集合体の生産は、例えば、遠心分離、ゲル電気泳動、またはカラムクロマトグラフィーを介して実施することができ、例えば二量体、五量体、またはその他のような高次の複雑な構造を示し、これは、免疫系の調節に関して、単一の分子構造と比較して向上した特性を有している(図3および4、5を比較されたい)。この結果、実験生物またはヒトにおいて異なる形式の免疫刺激がもたらされる。
【0022】
以下の特徴付けに従った全てのオリゴデオキシリボヌクレオチドは、多量体化の方法に適している。本発明の好ましい多量体とりわけカテナンは、上記方法において用いられ、下記の配列を備えるオリゴデオキシリボヌクレオチド配列によって特徴付けられたものである。

i)かつ、上記オリゴデオキシリボヌクレオチド配列が20から400個のヌクレオチド長を有すること。
【0023】
好ましい配列を選択することにより、免疫系の刺激に驚くほど良好に用いることができる分子が得られる。特徴c)に従った塩基配列が配列が、配列ggggttaccaccttcattggaaaacgttcttcggggcgttcttaggtggtaacccctaggggttaccaccttcattggaaaacgttcttcggggcgttcttaggtggtaaccccta(配列番号2)内に含まれるかどうか、それぞれd)agggttaccaccttcattggaaaacgttcttcggggcgttcttaggtggtaaccctcaggggttaccaccttcattggaaaacgttcttcggggcgttcttaggtggtaacccctg(配列番号4)の配列内に含まれるかどうかがとりわけ好ましい。驚くべきことに、単一の分子のこのような配列の存在の結果、本発明に従ったカテナン様の集合体分子の形成が向上する。
【0024】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、分子は、部分的に一本鎖であり共有結合的に閉じられたデオキシリボヌクレオチド鎖を含むものとされる。分子のカテナン構造、オリゴマー構造、それぞれ多量体構造内において、部分的に一本鎖であり共有結合的に閉じられたデオキシリボヌクレオチド鎖は、それが導入される生物において分子の長期的な効果をもたらす。
【0025】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、分子は塩基配列NCGNを含み、NがGT、GG、GA、AT、またはAAの群の一要素であり、NがCTまたはTT、およびCデオキシシトシン、Gデオキシグアノシン、Aデオキシアデノシン、およびTデオキシチミジンの群の一要素とされる。
【0026】
特に好ましい実施形態において、塩基配列NCGNは、デオキシリボヌクレオチドの閉じられた鎖の一本鎖部分内に位置するものとされる。とりわけ、これらの好ましい分子は、免疫系の刺激の際に非常に強い効果を示す。
【0027】
本発明に従った分子は、それにより、1つのデオキシリボヌクレオチド分子のみを含むとは限らず、ここでデオキシリボヌクレオチド酸分子は、
− 部分的に一本鎖の亜鈴型の共有結合的に閉じたデオキシリボヌクレオチド鎖を含み、かつ
− 塩基配列NCGNの1つまたは複数の配列を含み、
− ここで、Nは、GT、GG、GA、AT、またはAAの群の一要素であり、Nは、CTまたはTT、およびCデオキシシトシン、Gデオキシグアノシン、Aデオキシアデノシン、およびTデオキシチミジンの群の一要素であり、
この配列は、

c)塩基配列AACGTTCTTCGGGGCGTT(配列番号11)のデオキシリボ核酸配列
を含むことを特徴とする。
【0028】
本願に従った多量体は、前記単量体を含み得る。
【0029】
当然のことながら、本発明に従った分子は、共有結合を介して結合している1個または複数の置換基を有し得る。このような置換基は例えば、ペプチド、タンパク質、糖、抗原構造、脂質、DNA、および/またはRNAであり得る。
【0030】
本発明は、生成物の製造方法の上記の工程の他にまた、以下の工程を含む分子の製造方法にも関するものである。
− 水中において、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって精製された5’−リン酸化オリゴデオキシリボヌクレオチド酸配列を提供すること、
− 乾燥残渣が得られるまで凍結乾燥し、その後、緩衝液内において再懸濁すること、
− T4−DNAリガーゼを添加し、反応混合物を形成すること、および
− 37℃で少なくとも30分間、反応混合物をインキュベートすること、
または
− 塩化マグネシウムの存在下で沈殿させるかまたは凍結乾燥した後にオリゴデオキシリボヌクレオチド酸配列を提供し、T4−DNAリガーゼを添加し、得られた反応混合物を37℃で少なくとも10分間、好ましくは少なくとも30分間インキュベートし、これにおいてオリゴデオキシリボヌクレオチド酸を沈殿または凍結乾燥の前にHPLCによって、その後FPLCによって精製すること。
【0031】
とりわけオリゴデオキシリボヌクレオチド酸がポリアクリルアミドゲル電気泳動またはHPLCとFPLCとの組み合わせで精製されている場合、多量体の製造に関する同一の結果を、塩化マグネシウムの存在下における沈殿または凍結乾燥で得ることができる。
【0032】
最新技術(WO2007/131495)またはWO01/07055)で知られている異なる分子構造が本方法によって得られ得ることは、全く驚くべきことであった。本方法は、いくつかの工程における差異のみを示すため、この比較的わずかな修飾により異なる分子が製造されたということはさらに驚くべきことであった。最新技術(WO01/07055またはWO2007/131495)で知られている方法で得られる構造は、それらの特徴において明らかな差異を示す。分子は、免疫刺激効果に関して明らかに異なるが、例えば副作用のような他の特徴においても明らかに異なる。本方法の異なる工程に加えて、好ましい配列を用いることで、特異的かつ突出した特性を有する非常に特異的な反応生成物が形成される。本発明に従った配列を上記の方法工程と共に用いると、最新技術のものに関して有利な特性を示す有利な多量体が得られる。
【0033】
本発明に従ったカテナンは、好ましくは1+x個の単一の構成要素、好ましい部分的に一本鎖の亜鈴型の共有結合的に閉じたデオキシリボヌクレオチド鎖を含み、ここで、単一の構成要素はステムおよびループを有し、ステムは少なくとも8個のデオキシリボヌクレオチドを有し、ループは少なくとも4個のデオキシリボヌクレオチドを有し、ループは1から6個のCGモチーフを有し、xは全ての自然数一式から選ばれる要素である。
【0034】
本発明はまた、本発明に従った少なくとも1個の分子および化学療法剤を含む組成物にも関するものである。驚くべきことに、本発明に従った分子による免疫系の驚くほど効果的な刺激が、本発明に従った治療薬と既知の化学療法剤とを組み合わせることによって、また好ましくは例えば腫瘍の治療に組成物を用いることによってさらに驚くほど向上し得た。WO01/07055に従った単量体が免疫刺激効果を有することは当業者に知られており、化学療法剤が腫瘍に対して効果を有することもさらに知られていたが、単量体により形成されるポリマー、それぞれ多量体が、化学療法剤との組み合わせにおいて湊合に勝る効果をもたらすことは全く驚くべきことであった。本発明に従った組成物の要素は、機能的に相互作用し、相乗効果をもたらす。本発明に従った組成物に組み合わされた要素は、病原体、とりわけ腫瘍を治療するという同一の目的に対して効果を有する。それぞれの要素は、本発明に従った組成物内においては分離された結果に対して寄与しないが、単一の要素間の相互作用は驚くべき効果をもたらす。本発明に従った組成物は、個別に提供される本発明に従った分子および最新技術に従った化学療法剤と共に、キットとして提供され得る。したがって、好ましい実施形態において、キットの少なくとも2つの構成要素は、同時にまたは遅延した時間で適用され得る。本発明に従った組成物の適用は、例えば免疫系を活性化させ得、その結果、化学療法剤をその後適用すると非常に良好な効果が得られ得る。当然のことながら、ヒトまたは動物体内に、最初に化学療法剤を適用し、その後遅延した時間で本発明に従った分子を適用することが可能である。規定された腫瘍に対して、本発明に従った分子および化学療法剤を同時に適用することが好ましい。
【0035】
本発明の好ましい実施形態において、化学療法剤は、抗体、アルキル化剤、プラチナ類似体、挿入剤、抗生物質、有糸分裂抑制剤、タキサン、トポイソメラーゼ抑制剤、代謝拮抗剤および/もしくはL−アスパラギナーゼ、ヒドロキシカルバミド、ミトタン、ならびに/またはアマニチンを含む群から選択される。
【0036】
本発明の好ましい実施形態において、アルキル化剤は、
− ナイトロジェンマスタード誘導体、とりわけ
− シクロホスファミド、
− イホスファミド、
− トロホスファミド、
− メルファラン、および/もしくは
− クロラムブシル、
− アルキルスルフォネート、とりわけ
− ブスルファン、および/もしくは
− トレオスルファン
− ニトロソウレア、とりわけ
− カルムスチン、
− ロムスチン、
− ニムスチン、
− エストラムスチン、および/もしくは
− ストレプトゾトシン、
− プロカルバジンおよびダカルバジン、
− テモゾロミドならびに/または
− チオテパ
を含む群から選択される。
【0037】
アルキル化剤は、腫瘍に対する非常に良好な効果を有し、それらの成長を阻害する。
【0038】
本発明の好ましい実施形態において、プラチナ類似体は、
− シスプラチン、
− カルボプラチン、および/または
− オキサリプラチン
を含む群から選択される。
【0039】
本発明のさらに好ましい実施形態において、挿入剤は
− アントラサイクリン、とりわけ
− ドキソルビシン(アドリアマイシン)、
− ダウノルビシン、
− エピルビシン、および/もしくは
− イダルビシン、
− ミトキサントロン、
− アムサクリン、ならびに/または
− ドキシフルリジン
を含む群から選択されるものとされる。
【0040】
本発明のさらに好ましい実施形態において、抗生物質は
− ブレオマイシン、
− アクチノマイシンD(ダクチノマイシン)、および/または
− マイトマイシン
を含む群から選択されるものとされる。
【0041】
本発明の別の好ましい実施形態において、利点として、さらに、有糸分裂抑制剤は、
− ニチニチソウのアルカロイド、とりわけ
− ビノレルビン
− ビンクリスチン(オンコビン)
− ビンブラスチン、および/または
− ビンデシン
を含む群から選択されるものとされ得る。
【0042】
本発明のさらに特に好ましい実施形態において、タキサンは、
− パクリタキセル、および/または
− ドセタキセル
を含む群から選択される。
【0043】
さらに、トポイソメラーゼ抑制剤は、
− トポイソメラーゼ−I−阻害剤、とりわけ
− カンプトテシン、
− トポテカン、および/もしくは
− イリノテカン、ならびに/または
− トポイソメラーゼ−II−阻害剤、とりわけ
− エトポシド、
− テニポシド
を含む群から選択されることが好ましい場合がある。
【0044】
さらに、本発明の特別な実施形態において、代謝拮抗剤は
− 葉酸アンタゴニスト、とりわけ
− メトトレキサート、
− ピリミジン類似体、とりわけ
− 5−フロウリダシル、
− カペシタビン、
− シトシン・アラビノシド(シタラビン)、および/もしくは
− ゲムシタビン、
− プリン類似体、とりわけ
− 6−チオグナイン、
− ペントスタチン、
− アザチオプリン、
− 6−メルカプトプリン、
− フルダラビン、ならびに/または
− クラドリビン
を含む群から選択されることが好ましい。
【0045】
本発明はさらに、適切な場合、キットの内容物をいかにして組み合わせるかについての情報と共に、本発明に従った分子および化学療法剤を含むキットにも関するものである。本発明はまた、既に記載したように、適切な場合、薬学的に適合可能な担体と共に、本発明に従った分子または組成物を含む医薬品にも関するものである。
【0046】
本発明はさらに、ヒトもしくは動物の免疫系の調節のためのまたは前記免疫系の活性の調節のための治療薬を製造するための分子、組成物、または医薬品の使用に関するものである。それぞれが免疫系に影響する、ヒトまたは動物の免疫系の調節とは、免疫系が腫瘍または癌を阻害するという効果を有することであると理解されるべきである。免疫系の活性の調節は、これと同義に理解され得るか、または腫瘍に対する免疫系の既知の活性であって、本発明に従った治療薬によってそれらの活性が驚くほど増大する活性であると当業者によって記載されるものであり得る。調節はとりわけ、免疫系の刺激またはそれぞれ免疫系自体の効果の増大である。したがって、本発明に従った治療薬は、T細胞介在性の免疫応答を刺激するために好ましい実施形態において用いることができるが、また、T細胞非依存性の免疫応答を刺激するためにも用いることができる。このプロセスは、本発明の好ましい実施形態において、B細胞の増殖またはB細胞の活性化を含み得る。
【0047】
とりわけ好ましい実施形態において、免疫系の活性の調節により、サイトカインの分泌、それぞれ分泌の増強という効果を有する刺激が生じる。本発明に従った分子、それぞれ本発明に従った組成物が、治療的または予防的ワクチン接種においてアジュバントとして用いられることがとりわけ好ましい場合がある。本発明に従った治療薬は、細胞増殖障害の治療に非常に効果的に用いることができ、好ましい実施形態において、細胞増殖障害は腫瘍疾患である。好ましくは、腫瘍疾患は、内鼻、副鼻腔、鼻咽頭、唇、口腔、中咽頭、咽頭、下咽頭、耳、唾液腺の腫瘍、および傍神経節腫を含む、耳鼻咽喉領域の腫瘍、非小細胞気管支癌、小細胞気管支癌を含む肺の腫瘍、縦隔腫瘍、食道、胃、膵臓、肝臓、胆嚢および胆道、小腸の腫瘍、結腸および直腸の癌および肛門癌を含む消化管の腫瘍、腎臓、尿管、膀胱、前立腺、尿道、陰茎、および睾丸の腫瘍を含む泌尿生殖器の腫瘍、頸部、膣、外陰部の腫瘍、子宮癌、悪性絨毛性疾患、卵巣癌、卵管腫瘍(Tuba Faloppii)を含む婦人科系の腫瘍、腹腔の腫瘍、乳癌の腫瘍、甲状腺、副甲状腺、副腎皮質の腫瘍、膵島の腫瘍、カルチノイド腫瘍およびカルチノイド症候群、多発性内分泌腺腫瘍を含む内分泌器官の腫瘍、骨および軟組織の肉腫、中皮腫、皮膚腫瘍、皮膚および眼内の黒色腫を含む黒色腫、中枢神経系の腫瘍、網膜芽腫を含む幼年期の腫瘍、ウィルムス腫瘍、神経線維腫、神経芽細胞腫、ユーイング肉腫腫瘍ファミリー、横紋筋肉腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、中枢神経系の原発性リンパ腫を含むリンパ腫、ホジキン病、急性白血病、慢性骨髄性およびリンパ性白血病を含む白血病、形質細胞新生物、骨髄異形成症候群、腫瘍随伴性症候群、未知の原発性腫瘍を伴う転移(CUP症候群)、腹膜癌腫症、カポジ肉腫、AIDS関連リンパ腫、中枢神経系のAIDS関連リンパ腫、AIDS関連ホジキン病、およびAIDS関連肛門性器腫瘍などのAIDS関連悪性腫瘍を含む、免疫抑制関連悪性腫瘍、移植関連悪性腫瘍、脳転移、肺転移、肝臓転移、骨転移、胸膜および心膜転移を含む転移性腫瘍、ならびに悪性腹水を含む群から選択される疾患である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下において、本発明は実施例により説明されるが、これらの実施例に限定されるものではない。
【0049】
本発明に従った分子の製造のための実施例:
a)単量体の製造:
配列CCTAGGGGTTACCACCTTCATTGGAAAACGTTCTTCGGGGCGTTCTTAGGTGGTAACCCCTAGGGGTTACCACCTTCATTGGAAAACGTTCTTCGGGGCGTTCTTAGGTGGTAACC(配列番号12)を有する5’−リン酸化オリゴデオキシリボヌクレオチド(ODN)を90℃で5分間加熱し、その後氷で冷却してヘアピン構造の発達を可能にした。自己相補的なオーバーハングを、最終濃度が1mg/mlのDNAで、T4−DNAリガーゼの存在下で(ODN1μg当たり0.1U)、37℃で24時間ライゲーションした。1%アガロースゲル上での分離、それぞれのライゲーション生成物およびT7消化後、図2のレーン5および6を比較されたい。
【0050】
b)二量体、三量体、および四量体、いわゆるオリゴマーを含む、分子カテナの製造:
1mg/mlの濃度を有するオリゴデオキシリボヌクレオチド酸配列CCTAGGGGTTACCACCTTCATTGGAAAACGTTCTTCGGGGCGTTCTTAGGTGGTAACCCCTAGGGGTTACCACCTTCATTGGAAAACGTTCTTCGGGGCGTTCTTAGGTGGTAACC(配列番号13)を、0.3Mのナトリウム−酢酸(pH5.25)、10mMのMgCl、および3倍容積の無水エタノールで沈殿させた。遠心分離(4℃、13000rpm)し、ペレットを70%のEtOHで1回洗浄した後、ODNを50℃で10分間乾燥させた。その後、水中で再懸濁した(f.c.:1mg/ml)。ODN1μg当たり2.3UのT4−リガーゼの存在下において、ライゲーションを37℃で60分間行った。1%アガロースゲルにおける分離、それぞれのライゲーション生成物およびT7消化後、図2のレーン1および2を比較されたい。
【0051】
c)六量体および多量体を含む分子カテナの製造:
1mg/mlの濃度を有するオリゴデオキシリボヌクレオチド酸配列CTAGGGGTTACCACCTACAAAAAAAAACGAAATTCGGGGCGAAGGGAGGTGGTAACCC(配列番号14)を、0.3Mのナトリウム−酢酸(pH5.25)、10mMのMgCl、および3倍容積の無水エタノールで沈殿させた。遠心分離(4℃、13000rpm)した後、ODNを50℃で10分間乾燥させた。ペレットは直接ライゲーションに用い(ODN1μg当たり0.5U)、37℃で60分間インキュベートした。
【0052】
1%アガロースゲルにおける分離、それぞれのライゲーション生成物およびT7消化後、図2のレーン3および4を比較されたい。
【0053】
図2の説明:
それぞれの最初のレーンのライゲーション混合物、それぞれ、それぞれの第2のレーンのT7消化後の生成物を、レーンにアプライした。単一の分子、単量体に関連する単一のバンドが観察され得た(T7消化後のレーン6)。分子量が小さいため、移動は速く、製造方法b)に従って製造されレーン1および2にアプライされるオリゴマーに関して明らかに異なる。二量体から五量体を示すいくつかのバンドが、単量体のバンドの上に観察され得た。これに対し、方法c)に従って製造された生成物は大きく、明らかにより短い移動距離を示し、これは、より大きな分子に対応する。レーン3および4を比較されたい。
【0054】
図1の説明:
分子量を決定するために、生成した分子を3%アガロースゲル上で分離した。ゲルの画像の左隣には、二本鎖DNAの分子サイズが示されており、このサイズはそれぞれの移動距離に関連している。ゲルの画像の右隣では、高分子生成物が示されている。レーン1から3にはa)に従って製造した単量体をロードした。レーン3は最初のODNを示す。ここでは、製造工程の最初に熱によって破壊される、より高分子の構造が見られる。ライゲーションの後(レーン2)およびT7消化の後(レーン1)、単量体に対応する、約50kDaの分子量を有する、最初のODNに関して巨大化した分子を観察することができる。多量体分子が形成されていないことが明らかに確認可能であり、言い換えると、多量体分子は単量体自体の製造の際には得られないものである。レーン4もまた最初のODNを示す。レーン5はライゲーション混合物であり、レーン6はT7消化後のライゲーションである。オリゴマー分子および多量体分子の製造のために、b)およびc)に記載されている条件に従って製造を実施する。単一の分子の他に本発明に従った所望の分子が形成されていることも明らかに確認可能である。二量体、すなわち2つのカテナン単量体分子に対応する、約100kDaのバンドが見られ得る。同一のことが三量体および四量体で見られる。
【0055】
本発明に従った分子の機能的実証
本発明に従った分子の免疫刺激特性を証明するために、異なる細胞培養実験を行った。TLR9を刺激する能力を、細胞系RAW264のマウス・マクロファージを用いることによって調べた。細胞を125000細胞/cmで播種し、16時間後に、単量体(対照として)、および本発明に従ったオリゴマー(bに従ったもの)分子、多量体(cに従ったもの)分子をアプライした。7時間インキュベート(37℃、5%CO2)した後、細胞を回収し、蛍光活性化細胞選別(FACS)によって測定した。結果を用いて、図3に示す濃度−効果曲線を作成した。
【0056】
本発明に従った分子の能力は、単量体の単一分子(下の曲線)と比較して10倍増大する(上の曲線)。本発明に従った分子は、少ない使用量で明らかに良好な効果を有する。この、より高い免疫刺激能力は、多量体分子により得られる局所的により高い濃度によるものであり得、これは例えば適用可能な量の理由により、とりわけインビボにおいては、用量の増大によって達成され得ないものである。
【0057】
サイトカイン生産のためのPBMCの刺激
刺激アッセイを行うために、末梢血単核細胞(PBMC)を全血またはいわゆる「軟膜」から単離した。単離された細胞(PBMC)をマルチ・ウェル・プレート内に播種した。第1の混合物は、陰性対照として非刺激細胞を含み、第2の混合物は単量体との比較として刺激され、第3の混合物はオリゴマー分子を有し、第4の混合物は多量体分子を有していた。サイトカインであるインターフェロン−χおよびインターロイキン6の分泌を、細胞培養物の上清からELISAによって決定した。図4および5を比較されたい。図4によると、オリゴマー分子および多量体分子でのPBMCの刺激により、INF−ガンマの分泌が単量体の単一分子と比較して2倍になった。ここで、多量体分子は、オリゴマー分子と比較して、刺激において強力な効果を有する。図5は、刺激に起因するIL−6の分泌を示す。単量体は図4に匹敵する潜在的な刺激を示すが、本発明に従った分子のそれは数倍高い。
【0058】
本発明に従った分子は、以下の配列:


i)かつ、オリゴデオキシリボヌクレオチド配列が20から400ヌクレオチド長である、
を備える。
【0059】
核酸配列は、ライゲーションの前には加熱されず、ポリアクリルアミド電気泳動に匹敵する精製の程度を有する。これは、それ自体により、またはHPLCを介して、その後にFPLCによって精製することによって提供され得る。HPLCおよびFPLCの組み合わせの結果、ポリアクリルアミド電気泳動と同等の精製の程度が得られる。その後、乾燥残渣が得られるまで配列を凍結乾燥する。次いで、緩衝液内で再懸濁を行い、T4−DNAリガーゼを添加し、その後37℃で40分間インキュベートする。驚くべきことに、得られた連鎖物(concatenate)によりマウスにおける免疫刺激が向上した。驚くべきことに、本発明に従った連鎖物と化学療法剤との組み合わせにより、効果が向上する。向上した効果は、単一の構成要素の効果よりも驚くほど高く、添加剤の効果を超えるものである。化学療法抗体として、アルキル化剤、プラチナ類似体、挿入剤、抗生物質、有糸分裂抑制剤、タキサン、トポイソメラーゼ抑制剤、代謝拮抗剤および/もしくはL−アスパラギナーゼ、ヒドロキシカルバミド、ミトタン、ならびに/またはアマニチンを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】実施例で得られた分子の電気泳動図。
【図2】実施例で得られた分子の電気泳動図。
【図3】実施例で得られた濃度−効果曲線を示すグラフ。
【図4】実施例で得られたINF−ガンマの分泌の結果を示すグラフ。
【図5】実施例で得られたIL−6の分泌の結果を示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトおよび動物の免疫系の活性を調節するためのカテナン分子であって、
− 5’−リン酸化オリゴヌクレオチドを提供する工程、
− 乾燥残渣が得られるまで、MgClの存在下でアルコール沈殿または凍結乾燥し、その後、緩衝液内において再懸濁する工程、
− T4−DNAリガーゼを添加し、それにより反応混合物を生成する工程、および
− 37℃で少なくとも30分間、反応混合物をインキュベートする工程
を含む方法によって製造される分子。
【請求項2】
カテナン分子が、少なくとも1つのループ要素を有する分子であり、第2の分子の別のループ要素に連結し、とりわけ交互的に連結しており、その結果、好ましくは少なくとも1つのカテナン要素が存在することを特徴とする、請求項1に記載の分子。
【請求項3】
オリゴデオキシリボヌクレオチド配列が下記の配列:


かつ
i.オリゴデオキシリボヌクレオチド配列が20から400ヌクレオチド長を有する、
ことを特徴とする、請求項1または2の少なくとも一項に記載の分子。
【請求項4】
請求項1から3の一項に記載の分子と、抗体、アルキル化剤、プラチナ類似体、挿入剤、抗生物質、有糸分裂抑制剤、タキサン、トポイソメラーゼ抑制剤、代謝拮抗剤および/もしくはL−アスパラギナーゼ、ヒドロキシカルバミド、ミトタン、ならびに/またはアマニチンを含む群から選択される化学療法剤とを含む組成物。
【請求項5】
アルキル化剤が、
− ナイトロジェンマスタード誘導体、とりわけ
− シクロホスファミド、
− イホスファミド、
− トロホスファミド、
− メルファラン、および/もしくは
− クロラムブシル
− アルキルスルフォネート、とりわけ
− ブスルファン、および/もしくは
− トレオスルファン
− ニトロソウレア、とりわけ
− カルムスチン、
− ロムスチン、
− ニムスチン、
− エストラムスチン、および/もしくは
− ストレプトゾトシン
− プロカルバジンおよびダカルバジン、
− テモゾロミドならびに/または
− チオテパ
を含む群から選択されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
プラチナ類似体が、
− シスプラチン、
− カルボプラチン、および/または
− オキサリプラチン
を含む群から選択されることを特徴とする、請求項4または5に記載の組成物。
【請求項7】
挿入剤が、
− アントラサイクリン、とりわけ
− ドキソルビシン(アドリアマイシン)、
− ダウノルビシン、
− エピルビシン、および/もしくは
− イダルビシン、
− ミトキサントロン、
− アムサクリン、ならびに/または
− ドキシフルリジン
を含む群から選択されることを特徴とする、請求項4から6の一項に記載の組成物。
【請求項8】
抗生物質が、
− ブレオマイシン、
− アクチノマイシンD(ダクチノマイシン)、および/または
− マイトマイシン
を含む群から選択されることを特徴とする、請求項4から7の一項に記載の組成物。
【請求項9】
有糸分裂抑制剤が、
− ニチニチソウのアルカロイド、とりわけ
− ビノレルビン
− ビンクリスチン(オンコビン)
− ビンブラスチン、および/または
− ビンデシン
を含む群から選択されることを特徴とする、請求項4から8の一項に記載の組成物。
【請求項10】
タキサンが、
− パクリタキセル、および/または
− ドセタキセル
を含む群から選択されることを特徴とする、請求項4から9の一項に記載の組成物。
【請求項11】
トポシメラーゼ抑制剤が、
− トポイソメラーゼ−I−阻害剤、とりわけ
− カンプトテシン、
− トポテカン、および/もしくは
− イリノテカン、ならびに/または
− トポイソメラーゼ−II−阻害剤、とりわけ
− エトポシド、
− テニポシド
を含む群から選択されることを特徴とする、請求項4から10の一項に記載の組成物。
【請求項12】
代謝拮抗剤が、
− 葉酸アンタゴニスト、とりわけ
− メトトレキサート、
− ピリミジン類似体、とりわけ
− 5−フロウリダシル、
− カペシタビン、
− シトシン・アラビノシド(シタラビン)、および/もしくは
− ゲムシタビン、
− プリン類似体、とりわけ
− 6−チオグナイン、
− ペントスタチン、
− アザチオプリン、
− 6−メルカプトプリン、
− フルダラビン、ならびに/または
− クラドリビン
を含む群から選択されることを特徴とする、請求項4から11の一項に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1から3の一項に記載の分子および/または請求項4から12の一項に記載の組成物と、もし適用可能であればキットの内容物の組み合わせについての情報とを含むキット。
【請求項14】
薬剤として使用するための、請求項1から3の一項に記載の分子、請求項4から12の一項に記載の組成物。
【請求項15】
適切な場合、薬学的に適合可能な担体と共に、請求項1から3の一項に記載の分子および/または請求項4から12の一項に記載の組成物を含む医薬品。
【請求項16】
担体が、抗体、アルキル化剤、プラチナ類似体、挿入剤、抗生物質、有糸分裂抑制剤、タキサン、トポイソメラーゼ抑制剤、代謝拮抗剤および/もしくはL−アスパラギナーゼ、ヒドロキシカルバミド、ミトタン、ならびに/またはアマニチンを含む群から選択されることを特徴とする、請求項15に記載の医薬品。
【請求項17】
ヒトもしくは動物の免疫系の調節または前記免疫系の活性の調節のための治療薬を製造するための、請求項1から3に記載の分子、請求項4から12に記載の組成物、または請求項15もしくは16に記載の医薬品の使用。
【請求項18】
調節が、免疫系の刺激または免疫系の活性の増大であることを特徴とする、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
刺激がT細胞介在性またはT細胞非依存性の免疫応答を含むことを特徴とする、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
免疫応答が、B細胞の増殖および/またはB細胞の活性化を含むことを特徴とする、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
免疫系の刺激がサイトカインの分泌を含むことを特徴とする、請求項17から20の一項に記載の使用。
【請求項22】
請求項1から3の一項に記載の分子および/または請求項4から12に記載の組成物を治療的または予防的なワクチン接種におけるアジュバントとして用いることを特徴とする、請求項17から21の一項に記載の使用。
【請求項23】
細胞増殖障害の治療のための治療薬を製造するための、請求項1から3に記載の分子、請求項4から12に記載の組成物、または請求項15もしくは16に記載の医薬品の使用。
【請求項24】
細胞増殖障害が腫瘍疾患であることを特徴とする、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
腫瘍疾患が、内鼻、副鼻腔、鼻咽頭、唇、口腔、中咽頭、咽頭、下咽頭、耳、唾液腺の腫瘍、および傍神経節腫を含む、耳鼻咽喉領域の腫瘍、非小細胞気管支癌、小細胞気管支癌を含む肺の腫瘍、縦隔腫瘍、食道、胃、膵臓、肝臓、胆嚢および胆道、小腸の腫瘍、結腸および直腸の癌および肛門癌を含む消化管の腫瘍、腎臓、尿管、膀胱、前立腺、尿道、陰茎、および睾丸の腫瘍を含む泌尿生殖器の腫瘍、頸部、膣、外陰部の腫瘍、子宮癌、悪性絨毛性疾患、卵巣癌、卵管腫瘍(Tuba Faloppii)を含む婦人科系の腫瘍、腹腔の腫瘍、乳癌の腫瘍、甲状腺、副甲状腺、副腎皮質の腫瘍、膵島の腫瘍、カルチノイド腫瘍およびカルチノイド症候群、多発性内分泌腺腫瘍を含む内分泌器官の腫瘍、骨および軟組織の肉腫、中皮腫、皮膚腫瘍、皮膚および眼内の黒色腫を含む黒色腫、中枢神経系の腫瘍、網膜芽腫を含む幼年期の腫瘍、ウィルムス腫瘍、神経線維腫、神経芽細胞腫、ユーイング肉腫腫瘍ファミリー、横紋筋肉腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、中枢神経系の原発性リンパ腫を含むリンパ腫、ホジキン病、急性白血病、慢性骨髄性およびリンパ性白血病を含む白血病、形質細胞新生物、骨髄異形成症候群、腫瘍随伴性症候群、未知の原発性腫瘍を伴う転移(CUP症候群)、腹膜癌腫症、カポジ肉腫、AIDS関連リンパ腫、中枢神経系のAIDS関連リンパ腫、AIDS関連ホジキン病、およびAIDS関連肛門性器腫瘍などのAIDS関連悪性腫瘍を含む、免疫抑制関連悪性腫瘍、移植関連悪性腫瘍、脳転移、肺転移、肝臓転移、骨転移、胸膜および心膜転移を含む転移性腫瘍、ならびに悪性腹水を含む群から選択される疾患であることを特徴とする、請求項24に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−502492(P2011−502492A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532512(P2010−532512)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【国際出願番号】PCT/EP2008/009618
【国際公開番号】WO2009/059805
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(505106324)モロゲン・アーゲー (8)
【Fターム(参考)】