説明

免疫応答調節剤化合物による好中球活性化

本発明は、好中球を活性化する方法を提供する。概して、本方法は、好中球を活性化するのに効果的な量の好中球を活性化するIRM化合物および/またはTLR8−選択的作動薬に好中球を接触させるステップを含む。いくつかの実施態様では、本方法を使用して、好中球を活性化することで処置可能な病状を処置してもよい。別の態様では、本発明は、概して、好中球を活性化するIRM化合物および/またはTLR8−選択的作動薬、またはその薬学上許容可能な形態を、好中球を活性化するのに効果的な量で含む医薬組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
好中球は、ヒト血液中でもっとも豊富な免疫細胞である。しかし感染が起きると、好中球は血流から感染部位に遊走して、一次免疫学的防御に貢献する。好中球は、感染封じ込めを促進できる抗菌物質および炎症性サイトカインを生成し、それは感染を除去して免疫記憶を発生させるのに十分な時間を獲得免疫系に提供できる。好中球、ならびに例えば、マクロファージをはじめとするその他の専門貪食細胞は、多くの細菌感染を除去する。
【0002】
Toll様受容体(TLR)は、病原体の生得免疫認識に関与する膜貫通受容体である。ヒト好中球は、TLR 1、2、4、5、6、7、8、9、および10のヒトTLRのほとんどを発現する。特定のTLRを通じたシグナル伝達は好中球を活性化でき、それは好中球をトリガーして、感染に対する免疫応答の発生におけるそれらの様々な機能を果たさせる。したがって特定のTLRの作動薬は、ヒト好中球機能の刺激物質として同定されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特定タイプの病状(例えば細胞外感染および新生物症状)を処置する過程において好中球を活性化することの治療的可能性の観点から、好中球を活性化できる追加的物質を同定することに対するかなりの継続的必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
特定のIRM化合物を使用して、好中球を活性化できることが分かっている。適切なIRM化合物としては、例えばTLR8−選択的作動薬および/または置換イミダゾキノリンアミンが挙げられる。したがって本発明は、概して、好中球を活性化するのに十分な量のTLR8−選択的作動薬および/または置換イミダゾキノリンアミンに好中球を接触させるステップを含む、好中球を活性化する方法を提供する。いくつかの実施態様では、好中球が生体外(in vitro)で活性化されもよい。代案の実施態様では、好中球が生体内(in vivo)で活性化されてもよい。
【0005】
別の態様では、本発明は対象において病状を処置する方法もまた提供する。概して方法は、病状を処置するのに十分に対象の好中球を活性化するのに効果的な量で、TLR8−選択的作動薬および/または置換イミダゾキノリンアミンを対象の好中球に投与するステップを含む。いくつかの実施態様では、対象の好中球は生体外(in vitro)で活性化されてもよく、他方、代案の実施態様では、対象の好中球が生体内(in vivo)で活性化されてもよい。対象の好中球を生体外(in vitro)で活性化する場合、活性化好中球を対象に再導入してもよい。
【0006】
別の態様では、本発明は、概してTLR8−選択的作動薬および/または置換イミダゾキノリンアミン、またはその薬学上許容可能な形態を含む医薬組成物を提供する。
【0007】
本発明の様々なその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明、実施例、特許請求の範囲、および添付の図面を参照して、容易に理解されるであろう。本願明細書全体にわたり数カ所でガイダンスが実施例の一覧を通じて提供される。いずれの場合も列挙される一覧は代表的な群としてのみ機能し、排他的一覧ではないものと理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
好中球は生得免疫の重要な構成要素である。活性化好中球は宿主に入った微生物を死滅させることができる。抑制されないと微生物は感染を確立でき、それは微生物、宿主、そして多くのその他の要因次第で、病気、そして重症例では死亡を引き起こすことができる。好中球の活性化を増強することで、感染に対する宿主の初期生得免疫防御を増強できる。
【0009】
本発明は、概して、好中球を活性化するIRM化合物で好中球を活性化する方法を提供する。したがっていくつかの実施態様では、本発明は、好中球を活性化するIRM化合物を使用して好中球を活性化するステップと、対象において好中球を活性化するIRM化合物を使用して病状を処置する方法を含む。別の態様では、本発明は、好中球を活性化するIRM化合物を含む医薬組成物を提供する。これは好中球を活性化するIRM化合物を使用した、直接的好中球活性化の初めての実証である。
【0010】
いくつかの実施態様では、好中球を活性化するIRM化合物はTLR8−選択的作動薬であることができる。したがっていくつかの実施態様では、本発明は、TLR8−選択的作動薬を使用して好中球を活性化するステップと、TLR8−選択的作動薬を使用して対象において病状を処置する方法を含む。別の態様では、本発明は、TLR8−選択的作動薬を含む医薬組成物を提供する。これはTLR8−選択的作動薬を使用した、直接的好中球活性化の初めての実証である。したがってTLR7作動薬としては作用しない化合物を使用することで、TLR7−媒介生物学的活性を活性化することで生じることができる望ましくない影響を避けて、好中球を直接に活性化できるかもしれない。
【0011】
ここでの用法では、「TLR8−選択的作動薬」という用語は、適切なアッセイにおいてTLR8の作動薬として作用するが、TLR7作動薬としては作用しないことが実証できるあらゆる化合物を指す。したがってTLR8−選択的作動薬は、TLR8およびTLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR9、またはTLR10の1つ以上の作動薬として作用してもよい。したがってTLR8−選択的作動薬は、TLR8の作動薬としてのみ作用し、その他のTLRの作動薬としては作用しない化合物であってもよく、他方、代案としては、それは例えばTLR6などのTLR8の作動薬として作用する化合物であってもよい。
【0012】
本発明に関して使用される場合、TLRの作動薬は、TLRと組み合わせると、TLR−媒介細胞応答を生じることができる化合物を指す。化合物は、化合物がTLR−媒介細胞応答を生じられるかどうかにかかわらず、以下によってTLRの作動薬と見なしてもよい。(a)TLRに直接結合する、または(b)例えばTLRに直接結合する別の分子との複合体を形成することでTLRと間接に結合する、または別のやり方で別の化合物が直接にTLRに結合できるように別の化合物の修正をもたらす。
【0013】
特定の化合物のTLR作動性は、適切な様式で評価してもよい。例えば試験化合物のTLR作動性を検出するアッセイについては、例えば米国特許出願公開第2004/0132079号明細書に記載されており、このようなアッセイで使用するのに適した組換え細胞系については、例えば国際公開第04/053057号パンフレットに記載されている。1つのTLRに関する化合物の作動性を評価するために使用されるアッセイは、別のTLRに関する化合物の作動性を評価するのに使用されるアッセイと同一であってもよく、または異なってもよい。
【0014】
特定のアッセイを用いるかどうかにかかわらず、化合物のアッセイを実施した結果、TLR8−媒介生物学的活性に少なくとも閾値の増大があれば、化合物をTLR8の作動薬として同定することができる。同様に化合物を使用して、TLR7−媒介生物学的活性を検出するようにデザインされたアッセイを実施した際に、化合物がTLR7−媒介生物学的活性に閾値の増大を誘発できなかった場合、TLR7の作動薬として作用していない(すなわちTLR7非作動薬)と同定してもよい。特に断りのない限り、生物学的活性増大とは、適切な対照で観察されたものに対する同一生物学的活性の増大を指す。アッセイの実施は、適切な対照と組み合わせても組み合わせなくてもよい。当業者は経験から、特定のアッセイに十分精通するようになるかもしれないので(例えば特定のアッセイ条件下で適切な対照において観察される値の範囲)、特定のアッセイにおいて化合物のTLR作動性を判定するのに、対照の実施は必ずしも必要でないかもしれない。
【0015】
特定のアッセイにおいて特定の化合物が特定のTLRの作動薬であるかどうかを判定するための、TLR−媒介生物学的活性増大の正確な閾値は、アッセイ終点として観察される生物学的活性、アッセイ終点を測定または検出するために使用される方法、アッセイの信号対雑音比、アッセイ精度、そしてTLR7およびTLR8の双方に対する化合物の作動性を判定するのに同一アッセイを使用したかどうかをはじめとするが、これに限定されるものではない、技術分野で知られる要因に従って変動してもよい。したがって一般に、あらゆる可能なアッセイについて、化合物を特定のTLRの作動薬または非作動薬であると同定するのに必要なTLR−媒介生物学的活性の閾値増大について述べるのは実際的でない。しかし当業者は、このような要因を然るべく考察することで、適切な閾値を容易に判定できる。
【0016】
発現可能なTLR構造遺伝子を形質移入されたHEK293細胞を用いるアッセイでは、化合物が例えば約1μM〜約30μMの濃度で提供された際に、化合物を細胞に形質移入されたTLRの作動薬として同定するために、例えばTLR−媒介生物学的活性(例えばNFκB活性化)における少なくとも3倍の増大の閾値を使用してもよい。しかし特定の状況では、異なる閾値および/または異なる濃度範囲が適切かもしれない。また異なるアッセイについては異なる閾値が適切かもしれない。
【0017】
一態様では、本発明は、好中球を活性化する方法を提供する。概して方法は、好中球を活性化するのに効果的な量のTLR8−選択的作動薬であるかどうかに関わらず、IRM化合物に好中球を接触させるステップを含む。好中球は生体内(in vivo)または生体外(in vitro)で活性化されてもよい。
【0018】
好中球が生体外(in vitro)で活性化される場合、好中球を供給源から収集して、IRM化合物と生体外(in vitro)で接触させ、それによってサンプル中の好中球の少なくとも一部を活性化し、次に対象に導入してもよい。いくつかの実施態様では、好中球供給源と対象は同一個体であってもよい。その他の実施態様では、好中球源と対象は異なる個体であってもよい。
【0019】
供給源から収集されたサンプルは、好中球以外の細胞を含むかもしれない。したがって好中球を活性化する前に、サンプルを好中球について濃縮してもよく、または別のやり方で処理してもよい。代案としては、IRM化合物を未処理サンプルに投与してもよい。対象に導入する前に活性化好中球を洗浄しても、または別のやり方で処理してもよい。代案の実施態様では、未処理の活性化好中球を対象に導入してもよい。元のサンプルの組成、そしてサンプルが供給源から収集されて対象に導入されるまでの間に処理される程度次第で、対象に導入される細胞は、好中球以外の細胞を含んでもよい。
【0020】
好中球を活性化するのに効果的なIRM化合物の量は、活性化好中球に特徴的な少なくとも1つの生物学的活性を増大させるのに十分な量である。このような生物学的活性としては、例えば貪食作用、例えばMIP−1α、MIP−1β、MIP−3α、GRO−α、IL−1β、またはIL−8などのサイトカインおよび/またはケモカインの生成、IL−8に対する化学走性応答、L−セレクチンの脱落、超酸化物または呼吸バーストに付随するその他の酸素ラジカルの発生、および特定のケモカイン受容体(例えばCXCR1またはCXCR2)の発現の減少が挙げられる。
【0021】
IRM化合物は、サンプル中の好中球のあらゆる適切な部分を活性化してもよい。いくつかの実施態様では、IRM化合物はサンプル中の好中球の約1%〜約100%を活性化できるが、本発明の方法は、この範囲外のサンプル中の好中球百分率を活性化して実施してもよい。いくつかの実施態様では、IRM化合物は、サンプル中の少なくとも約80%の好中球を活性化してもよい。その他の実施態様では、IRM化合物はサンプル中の好中球の少なくとも約50%を活性化してもよい。特定の実施態様では、IRM化合物は、例えば好中球の少なくとも約10%、またはサンプル中の好中球の約1%〜約5%など、サンプル中の好中球の少なくとも約1%を活性化してもよい。特定の実施態様では、比較的低い百分率(例えば約1%〜約5%)の活性化好中球が得られるかもしれないが、活性化好中球に特徴的な特定の生物学的活性の性質のために、それでもなお実用的な有用性を提供する。例えばサイトカイン分泌を通じた細胞シグナル伝達などは、シグナル下流の生物学的活性を増幅できる。したがって、活性化好中球によって生成し分泌されるサイトカインシグナルによって誘導される(すなわち下流の)免疫細胞において、実用的で有用なレベルの生物学的活性を誘導するのに十分なサイトカインを、比較的低い百分率の活性化好中球が分泌することができる。
【0022】
好中球が生体内(in vivo)で活性化される場合、IRM化合物は医薬組成物の構成要素として投与されてもよい。IRM化合物を含む医薬組成物およびこのような医薬組成物を投与する方法については、下で詳細に説明する。
【0023】
活性化好中球は、所望ならば、活性化好中球に特徴的な1つ以上の生物学的活性を検出して同定してもよい。例えばIL−8などのサイトカインの生成および分泌の場合、サイトカインの生成および分泌の増大を検出して、活性化好中球を同定してもよい。好中球が生体外(in vitro)で活性化される場合、例えばELISAまたはバイオアッセイによってサイトカイン生成をアッセイしてもよい。好中球が生体内(in vivo)で活性化される場合、サイトカインの量を全身的に(例えば血液サンプルから)または局所的に(例えば組織生検から)測定して、サイトカイン生成をアッセイしてもよい。活性化好中球に特徴的なその他の生物学的活性を検出するために使用してもよい方法としては、例えば、フローサイトメトリー、mRNA抽出、QRT−PCR、化学走性アッセイ、呼吸バーストアッセイ、および貪食作用アッセイが挙げられる。例示的なアッセイについては、例えばハヤシ(Hayashi)ら、Blood 102(7):2660〜2669(2003)に記載されている。
【0024】
好中球を活性化するのに効果的なIRM複合体の正確な量は、IRM化合物の物理的および化学的性質、キャリアの性質、意図される投与計画、IRM化合物が生体外(in vitro)または生体内(in vivo)で投与されるかどうか、もし生体内(in vivo)ならば対象の免疫系の状態(例えば抑制されている、損なわれている、刺激されている)、IRM化合物の投与方法、薬剤がIRM化合物と共に同時投与されるかどうか、もしそうならば薬剤のアイデンティティー、性質、およびIRM化合物との相互作用、そしてIRM化合物が投与される種をはじめとするが、これに限定されるものではない、技術分野で知られている要因に従って変動してもよい。したがってあらゆる可能な用途に対して好中球を活性化するのに効果的なIRM化合物の量を構成する量について普遍的に述べるのは実際的でない。しかし当業者はこのような要因をしかるべく考察することで適切な量を容易に判断できる。
【0025】
別の態様では、本発明は、対象において特定の病状を処置する方法を提供する。ここでの用法では、「処置する」またはその変化形は、病状に関連した症状または徴候をあらゆる程度に減少、回復、または消散させることを指す。「徴候」または「臨床徴候」とは、患者以外の誰かによって見いだされることができる、特定の病状に関連した客観的理学的所見を指す。「症状」は、疾患または患者の病状のあらゆる主観的証拠を指す。
【0026】
概して、方法は、病状を処置するのに十分に対象の好中球を活性化するのに効果的な量のIRM化合物を対象の好中球に投与するステップを含む。いくつかの実施態様では、IRM化合物を生体外(in vitro)で対象の好中球に投与できる。代案の実施態様では、IRM化合物を生体内(in vivo)で対象の好中球に投与できる。
【0027】
IRM化合物を生体外(in vitro)で対象の好中球に投与する場合、好中球を対象から収集して、生体外(in vitro)でIRM化合物に接触させ、それによってサンプル中の好中球の少なくとも一部を活性化して、次に対象に再導入してもよい。
【0028】
好中球を対象から収集する際、好中球を含有するサンプルは、その他のタイプの細胞も含むかもしれない。したがって好中球を活性化する前に、サンプルを好中球について濃縮してもよく、または別のやり方で処理してもよい。代案としては、IRM化合物を未処理サンプルに投与してもよい。対象に再導入する前に活性化好中球を洗浄しても、または別のやり方で処理してもよい。代案の実施態様では、未処理の活性化好中球を対象に再導入してもよい。したがって元のサンプルの組成、そして収集と再導入間の処理の程度次第で、対象に再導入される細胞は、好中球以外の細胞を含んでもよい。
【0029】
病状を処置するのに十分に好中球を活性化するのに効果的なIRM化合物の量は、あらゆる程度に病状の症状を回復させる、または病状の進行(例えば症状の拡大、症状の重症度、または基礎感染または腫瘍の拡大または成長)を遅らせるあらゆる量であることができる。いくつかの実施態様では、病状が消散するように症状が完全に回復してもよい。代案の実施態様では、それは例えば紅斑、発熱、疼痛、腫脹、機能喪失、細菌汚染負荷、真菌汚染負荷、または腫瘍サイズなどの1つ以上を減少させるなどの病状の1つ以上の症状を回復させるのに十分であってもよい。
【0030】
IRM化合物を生体内(in vivo)で対象の好中球に投与する場合、医薬組成物の構成要素として、IRM化合物を投与してもよい。IRM化合物を含む医薬組成物、およびこのような医薬組成物を投与する方法については下で詳細に説明する。
【0031】
病状を処置するのに十分に好中球を活性化するのに効果的なIRM複合体の正確な量は、IRM化合物の物理的および化学的性質、キャリアの性質、意図される投与計画、IRM化合物が生体外(in vitro)または生体内(in vivo)で投与されるかどうか、もし生体内(in vivo)ならば対象の免疫系の状態(例えば抑制されている、損なわれている、刺激されている)、IRM化合物の投与方法、薬剤がIRM化合物と共に同時投与されるかどうか、もしそうならば薬剤のアイデンティティー、性質、およびIRM化合物との相互作用、そしてIRM化合物が投与される種をはじめとするが、これに限定されるものではない、技術分野で知られている要因に従って変動してもよい。したがってあらゆる可能な病状を処置するのに十分に好中球を活性化するのに効果的なIRM化合物の量を構成する量について、普遍的に述べるのは実際的でない。しかし当業者はこのような要因をしかるべく考察することで適切な量を容易に判断できる。
【0032】
特定のIRMは、例えば以下で開示されるような有機小分子である(タンパク質、ペプチドなどの生体大分子とは対照的に、例えば約1000ダルトン未満、場合によっては約500ダルトン未満の分子量)。米国特許第4,689,338号明細書、米国特許第4,929,624号明細書、米国特許第5,266,575号明細書、米国特許第5,268,376号明細書、米国特許第5,346,905号明細書、米国特許第5,352,784号明細書、米国特許第5,389,640号明細書、米国特許第5,446,153号明細書、米国特許第5,482,936号明細書、米国特許第5,756,747号明細書、米国特許第6,110,929号明細書、米国特許第6,194,425号明細書、米国特許第6,331,539号明細書、米国特許第6,376,669号明細書、米国特許第6,451,810号明細書、米国特許第6,525,064号明細書、米国特許第6,541,485号明細書、米国特許第6,545,016号明細書、米国特許第6,545,017号明細書、米国特許第6,573,273号明細書、米国特許第6,656,938号明細書、米国特許第6,660,735号明細書、米国特許第6,660,747号明細書、米国特許第6,664,260号明細書、米国特許第6,664,264号明細書、米国特許第6,664,265号明細書、米国特許第6,667,312号明細書、米国特許第6,670,372号明細書、米国特許第6,677,347号明細書、米国特許第6,677,348号明細書、米国特許第6,677,349号明細書、米国特許第6,683,088号明細書、米国特許第6,756,382号明細書、米国特許出願公開第2004/0091491号明細書、米国特許出願公開第2004/0132766号明細書、米国特許出願公開第2004/0147543号明細書、および米国特許出願公開第2004/0176367号明細書、そして2004年8月27日に出願された国際特許出願PCT/US04/28021号パンフレット。
【0033】
小分子IRMの追加的な例としては、特定のプリン誘導体(米国特許第6,376,501号明細書、および米国特許第6,028,076号明細書に記載されているものなど)、特定のイミダゾキノリンアミド誘導体(米国特許第6,069,149号明細書に記載されているものなど)、特定のイミダゾピリジン誘導体(米国特許第6,518,265号明細書に記載されているものなど)、特定のベンゾイミダゾール誘導体(米国特許第6,387,938号明細書に記載されているものなど)、五員環窒素含有ヘテロ環に縮合した4−アミノピリミジンの特定の誘導体(米国特許第6,376,501号、米国特許第6,028,076号、および米国特許第6,329,381号明細書、および国際公開第02/085905号パンフレットに記載されているアデニン誘導体など)、および特定の3−β−D−リボフラノシルチアゾロ[4,5−d]ピリミジン誘導体(米国特許出願公開第2003/0199461号明細書に記載されているものなどの)が挙げられる。
【0034】
その他のIRMとしては、オリゴヌクレオチド配列などの生体大分子が挙げられる。いくつかのIRMオリゴヌクレオチド配列は、シトシン−グアニンジヌクレオチド(CpG)を含有し、例えば米国特許第6,194,388号明細書、米国特許第6,207,646号明細書、米国特許第6,239,116号明細書、米国特許第6,339,068号明細書、および米国特許第6,406,705号明細書に記載されている。いくつかのCpG−含有オリゴヌクレオチドは、例えば米国特許第6,426,334号明細書、および米国特許第6,476,000号明細書に記載されているものなどの合成免疫調節構造モチーフを含むことができる。CpG配列が欠如したその他のIRMヌクレオチド配列については、例えば国際公開第00/75304号パンフレット、およびヘイル(Heil)ら、Science(2004)、vol.303、pp.1526〜1529に記載されている。
【0035】
その他のIRMとしては、アミノアルキルグルコサミニドリン酸塩(AGP)などの生体分子が挙げられ、例えば米国特許第6,113,918号明細書、米国特許第6,303,347号明細書、米国特許第6,525,028号明細書、および米国特許第6,649,172号明細書に記載されている。
【0036】
特に断りのない限り、添付の特許請求の範囲を含む本願明細書全体を通して、化合物への言及は、あらゆる異性体(例えばジアステレオマーまたは鏡像異性体)、塩、溶媒和物、多形体などをはじめとする、あらゆる薬学上許容可能な形態の化合物を含むことができる。特に化合物が光学活性である場合、化合物への言及は、各化合物の鏡像異性体ならびに鏡像異性体のラセミ混合物を含むことができる。
【0037】
本発明のいくつかの実施態様では、IRM化合物は、五員環の窒素含有複素環に縮合した2−アミノピリジンを含んでなるIRM化合物であることができる。本発明で使用するのに適したIRM化合物としては、例えば、五員環の窒素含有複素環に縮合した2−アミノピリジンを有する化合物が挙げられる。このような化合物としては、例えばアミド置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換イミダゾキノリンアミン、複素環式エーテル置換イミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンエーテル、チオエーテル置換イミダゾキノリンアミン、6−、7−、8−、または9−アリール、ヘテロアリールアリールオキシまたはアリールアルキレンオキシ置換イミダゾキノリンアミンおよびイミダゾキノリンジアミンなどの置換イミダゾキノリンアミンをはじめとするがこれに限定されるものではないイミダゾキノリンアミンと、アミド置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、尿素置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、複素環式エーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、尿素置換テトラヒドロイミダゾキノリンエーテル、チオエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、およびテトラヒドロイミダゾキノリンジアミンをはじめとするがこれに限定されるものではないテトラヒドロイミダゾキノリンアミンと、アミド置換イミダゾピリジンアミン、スルホンアミド置換イミダゾピリジンアミン、尿素置換イミダゾピリジンアミン、アリールエーテル置換イミダゾピリジンアミン、複素環式エーテル置換イミダゾピリジンアミン、アミドエーテル置換イミダゾピリジンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾピリジンアミン、尿素置換イミダゾピリジンエーテル、およびチオエーテル置換イミダゾピリジンアミンをはじめとするがこれに限定されるものではないイミダゾピリジンアミンと、1,2−架橋イミダゾキノリンアミンと、6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミンと、イミダゾナフチリジンアミンと、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミンと、オキサゾロキノリンアミンと、チアゾロキノリンアミンと、オキサゾロピリジンアミンと、チアゾロピリジンアミンと、オキサゾロナフチリジンアミンと、チアゾロナフチリジンアミンと、ピリジンアミン、キノリンアミン、テトラヒドロキノリンアミン、ナフチリジンアミン、またはテトラヒドロナフチリジンアミンに縮合した1H−イミダゾ二量体が挙げられる。
【0038】
特定の実施態様では、IRM化合物は、イミダゾナフチリジンアミン、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン、オキサゾロキノリンアミン、チアゾロキノリンアミン、オキサゾロピリジンアミン、チアゾロピリジンアミン、オキサゾロナフチリジンアミン、またはチアゾロナフチリジンアミンであってもよい。
【0039】
ここでの用法では、「好中球を活性化するIRM」とは、置換イミダゾキノリンアミン、テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、イミダゾピリジンアミン、1,2−架橋イミダゾキノリンアミン、6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン、イミダゾナフチリジンアミン、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン、オキサゾロキノリンアミン、チアゾロキノリンアミン、オキサゾロピリジンアミン、チアゾロピリジンアミン、オキサゾロナフチリジンアミン、またはチアゾロナフチリジンアミンであるIRM化合物を指す。
【0040】
ここでの用法では、置換イミダゾキノリンアミンとは、アミド置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換イミダゾキノリンアミン、複素環式エーテル置換イミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンエーテル、チオエーテル置換イミダゾキノリンアミン、6−、7−、8−、または9−アリール、ヘテロアリール、アリールオキシまたはアリールアルキレンオキシ置換イミダゾキノリンアミン、またはイミダゾキノリンジアミンを指す。ここでの用法では、置換イミダゾキノリンアミンは、具体的および明示的に1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンおよび4−アミノ−α,α−ジメチル−2−エトキシメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノールを除外する。
【0041】
適切なIRM化合物としては、上述のプリン誘導体、イミダゾキノリンアミド誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、アデニン誘導体、およびオリゴヌクレオチド配列も挙げられる。
【0042】
いくつかの実施態様では、IRM化合物は、例えば2−プロピルチアゾロ[4,5−c]キノリン−4−アミン、2−プロピル−7−(ピリジン−3−イル)−チアゾロ[4,5−c]キノリン−4−アミン、N−[3−(4−アミノ−2−プロピルチアゾロ[4,5−c]キノリン−7−イル)フェニル]メタンスルホンアミド、または[3−(4−アミノ−2−プロピルチアゾロ[4,5−c]キノリン−7−イル)フェニル]メタノールなどのチアゾロキノリンアミンであってもよい。その他の実施態様では、IRM化合物は、例えば、N−{2−[4−アミノ−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]エチル}メタンスルホンアミドなどのスルホンアミド置換イミダゾキノリンアミンであってもよい。さらに別の実施態様では、IRM化合物は、例えば、N−(2−{2−[4−アミノ−2−(2−メトキシエチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]エトキシ}エチル)ヘキサデカンアミドなどのアミド置換イミダゾキノリンアミンであってもよい。
【0043】
IRM化合物は、対象への投与に適した調合物中で提供されてもよい。適切なタイプの調合物については、例えば米国特許第5,736,553号明細書、米国特許第5,238,944号明細書、米国特許第5,939,090号明細書、米国特許第6,365,166号明細書、米国特許第6,245,776号明細書、米国特許第6,486,186号明細書、米国特許出願公開第2003/0199538号明細書、EP 0 394 026号明細書、および国際公開第03/045391号パンフレットに記載されている。調合物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、またはあらゆる形態の混合物をはじめとするが、これに限定されるものではない、適切な形態で提供されてもよい。IRM化合物は、あらゆる薬学上許容可能な賦形剤、キャリア、またはビヒクルを含む調合物中でデリバリされてもよい。例えば調合物は、例えば、クリーム、軟膏、煙霧剤調合物、非煙霧剤スプレー、ゲル、ローション、などの従来の局所用剤形中でデリバリされてもよい。調合物はアジュバント、皮膚透過性増強剤、着色剤、着香料、芳香剤、保湿剤、増粘剤などをはじめとするが、これに限定されるものではない、1つ以上の添加剤をさらに含んでもよい。
【0044】
IRM化合物を含有する調合物は、例えば、非経口的でない方法、または非経口的方法などのあらゆる適切な様式で投与されてもよい。ここでの用法では、非経口的でない方法とは、経口摂取をはじめとする消化管を通じた投与を指す。非経口的方法とは、例えば静脈内、筋肉内、経皮的、皮下、経粘膜的(例えば吸入による)、局所的などの消化管を通じたもの以外の投与を指す。
【0045】
いくつかの実施態様では、本発明の方法は、例えば約0.0001%〜約10%(特に断りのない限りここで提供される全ての百分率は、全調合物に対する重量/重量である。)の調合物中のIRM化合物を対象に投与するステップを含むが、実施態様によっては、この範囲外の濃度でIRM化合物を提供する調合物を使用して、IRM化合物を投与してもよい。特定の実施態様では、方法は、例えば約0.1%〜約0.5%のIRM化合物を含む調合物など、約0.01%〜約1%のIRM化合物を含む調合物を対象に投与するステップを含む。
【0046】
特定の実施態様(例えばIRM化合物が生体外(in vitro)で好中球を含む細胞培養に投与される実施態様)では、本発明の方法は、例えば約1.0nM〜約100mMの濃度を提供するのに十分なIRM化合物を投与するステップを含むが、実施態様によっては、方法は、この範囲外の濃度のIRM化合物を投与して実施してもよい。これらの実施態様のいくつかでは、方法は、約0.1μM〜約1Mmの濃度を提供するのに十分なIRM化合物を投与するステップを含む。特定の実施態様では、方法は、例えば約3μM〜約5μMのIRM化合物濃度など、約1μM〜約10μMの濃度を提供するのに十分なIRM化合物を投与するステップを含む。
【0047】
IRM化合物が対象に投与される実施態様では、本発明の方法は、対象に、例えば約100ng/kg〜約50mg/kgの用量を提供するのに十分なIRM化合物を投与するステップを含むが、いくつかの実施態様では、方法は、この範囲外の濃度でIRM化合物を投与して実施してもよい。これらのいくつかの実施態様では、方法は、対象に、例えば約100μg/kg〜約1mg/kgの用量など、約10μg/kg〜約5mg/kgの用量を提供するのに十分なIRM化合物を投与するステップを含む。
【0048】
投与計画は、IRM化合物の物理的および化学的性質、キャリアの性質、投与されるIRM化合物の量、対象の免疫系の状態(例えば抑制されている、損なわれている、刺激されている)、IRM化合物の投与方法、および調合物が投与される種をはじめとするがこれに限定されるものではない、技術分野で知られている多くの要因に少なくともある程度左右されてもよい。したがって概してあらゆる可能な用途で好中球を活性化する効果的な投与計画について述べることは実用的でない。しかし当業者はこのような要因をしかるべく考察することで投与計画を容易に判断できる。
【0049】
本発明のいくつかの実施態様では、例えば毎日1回の用量から複数回の用量でIRM化合物を投与してもよい。特定の実施態様では、毎週約1回から毎日約3回でIRM化合物を投与してもよいが、実施態様によっては、この範囲外の頻度でIRM化合物を投与して本発明の方法を実施してもよい。特定の一実施態様ではIRM化合物が毎日2回投与される。代案の実施態様ではIRM化合物が毎日1回投与される。
【0050】
いくつかの実施態様では、IRM化合物による処置は、1回限りの用量から継続的維持療法の期間を含むことができる。特定の実施態様では、処置は1日から約12週間IRM化合物を投与するステップを含むことができるが、いくつかの実施態様では、IRM化合物をこの範囲外の期間投与して本発明の方法を実施してもよい(例えば継続的維持療法)。特定の一実施態様では、約10日の期間を越えてIRM化合物を投与してもよい。
【0051】
IRM化合物を処置に使用してもよい病状としては、
(a)例えばアデノウィルス、ヘルペスウィルス(例えばHSV−I、HSV−II、CMV、またはVZV)、ポックスウィルス(例えば痘瘡またはワクシニアなどのオルトポックスウィルス、または伝染性軟属腫)、ピコルナウィルス(例えばライノウィルスまたはエンテロウィルス)、オルトミクソウィルス(例えばインフルエンザウィルス)、パラミクソウィルス(例えばパラインフルエンザウィルス、おたふく風邪ウィルス、はしかウィルス、および呼吸器合胞体ウィルス(RSV))、コロナウィルス(例えばSARS)、パポバウィルス(例えば生殖器疣、尋常性肬贅、または足底疣贅を引き起こすものなどの乳頭腫ウィルス)、ヘパドナウィルス(例えば肝炎Bウィルス)、フラビウィルス(例えば肝炎Cウィルスまたはデングウィルス)、またはレトロウィルス(例えばHIVなどのレンチウィルス)による感染から帰結する疾患などのウィルス性疾患、
(b)例えばエシェリキア(Escherichia)、エンテロバクター(Enterobacter)、サルモネラ(Salmonella)、ブドウ球菌(Staphylococcus)、赤痢菌(Shigella)、リステリア(Listeria)、アエロバクター(Aerobacter)、ヘリコバクター(Helicobacter)、クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、シュードモナス(Pseudomonas)、連鎖球菌(Streptococcus)、クラミジア(Chlamydia)、マイコプラズマ(Mycoplasma)、肺炎球菌(Pneumococcus)、ナイセリア(Neisseria)、クロストリジウム(Clostridium)、バシラス(Bacillus)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、カンピロバクター(Campylobacter)、ビブリオ(Vibrio)、セラチア(Serratia)、プロビデンシア(Providencia)、クロモバクテリウム(Chromobacterium)、ブルセラ(Brucella)、エルシニア(Yersinia)、ヘモフィルス(Haemophilus)、またはボルデテラ(Bordetella)属の細菌による感染から帰結する疾患などの細菌疾患、
(c)クラミジア(chlamydia)と、カンジダ症、アスペルギルス症、ヒストプラスマ症、クリプトコックス髄膜炎をはじめとするがこれに限定されるものではない真菌疾患と、またはマラリア、カリニ肺炎、レーシュマニア症、クリプトスポリジウム症、トキソプラズマ症、およびトリパノソーマ感染をはじめとするがこれに限定されるものではない寄生虫疾患などのその他の感染性疾患、および
(d)上皮内新生物形成と、子宮頚部異形成と、光線性角化症と、基底細胞癌と、扁平細胞癌と、腎細胞癌と、カポジ肉腫と、メラノーマと、骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T−細胞リンパ腫、B−細胞リンパ腫、および毛様細胞白血病をはじめとするがこれに限定されるものではない白血病と、その他の癌などの新生物疾患、
が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0052】
さらにIRM化合物は、例えばBCG、コレラ、ペスト、腸チフス、肝炎A、肝炎B、肝炎C、インフルエンザA、インフルエンザB、パラインフルエンザ、ポリオ、狂犬病、はしか、おたふく風邪、風疹、黄熱病、破傷風、ジフテリア、ヘモフィルスインフルエンザb、結核、髄膜炎菌性および肺炎球菌ワクチン、アデノウィルス、HIV、水痘、サイトメガロウィルス、デング、ネコ白血病、家禽ペスト、HSV−1およびHSV−2、豚コレラ、日本脳炎、呼吸器合胞体ウィルス、ロタウィルス、乳頭腫ウィルス、黄熱病、およびアルツハイマー疾患に関連して使用するための例えば生ウィルス、細菌、または寄生虫免疫原と、不活性化ウィルス、腫瘍由来、原生動物、生物体−由来、真菌、または細菌免疫原、トキソイド、毒素と、自己抗原と、多糖類と、タンパク質と、糖タンパク質と、ペプチドと、細胞性ワクチンと、DNAワクチンと、自家ワクチンと、組換えタンパク質と、糖タンパク質と、ペプチドなどの体液性および/または細胞媒介免疫応答のいずれかを引き起こす、あらゆる材料との組み合わせで使用するためのワクチンアジュバントとして有用かもしれない。
【0053】
本発明の方法は、あらゆる適切な対象において実施してもよい。適切な対象としては、ヒト、非ヒト霊長類、齧歯類、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、またはウシなどに限定されるものではない動物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【実施例】
【0054】
以下の実施例は、発明の特徴、利点、およびその他の詳細をさらに例証するためにのみ選択された。しかし実施例はこの目的を果たしながら、使用される特定の材料および量、ならびにその他の病状および詳細は、発明の範囲を不当に制限するものではないと明示的に理解される。
【0055】
実施例1で使用した化合物を表1に示す。
【0056】
【表1】

【0057】
実施例1
ミズーリ州セントルイスのシグマアルドリッチ(Sigma−Aldrich Co.(St.Louis、MO))からのHISTOPAQUE−1077濃度勾配遠心分離によって、ヒト末端血から好中球を濃縮し、次にカリフォルニア州オーバーンのミルテニー・バイオテック(Miltenyi Biotec,Inc.(Auburn、CA))からのCD15電磁ビーズを使用してさらに精製した。カリフォルニア州カマリロのバイオソース・インターナショナル(Biosource International Inc.(Camarillo、CA))からの塩化アンモニウム溶解緩衝液を使用して、濃縮サンプル中の赤血球細胞を溶解した。
【0058】
カリフォルニア州カマリロのバイオソース・インターナショナル(Biosource International Inc.(Camarillo、CA))からの熱不活性化RPMIウシ胎仔血清中で、37℃、5%CO2で細胞を一晩培養した。培養に0.01μM、0.03μM、0.1μM、0.3μM、1.0μM、3.0μM、10μM、または30μMの濃度で、化合物1(TLR8−選択的)、化合物2(TLR7/8作動薬)、化合物3(TLR7−選択的作動薬)、化合物4(TLR7−選択的作動薬)、化合物5(TLR8−選択的作動薬)、または化合物6(TLR8−選択的作動薬)を添加して、好中球を刺激した。メリーランド州ゲイサーズバーグのバイオヴェリス(BioVeris Corp.(Gaithersburg、MD))からのヒト特異的IL−8BV(登録商標)イムノアッセイを使用して、培養上清をIL−8生成について分析した。結果を図1に示す。
【0059】
ここで引用した特許、特許文献および公報の完全な開示は、その内容全体を個々に本願明細書に引用したように参照によってここに援用する。不一致がある場合、定義を含めた本願明細書が優先されるものとする。
【0060】
本発明の範囲を精神を逸脱することなく本発明の様々な修正および変更ができることは当業者には明らかである。例証的な実施態様および実施例は例証としてのみ提供され、本発明の範囲の制限を意図するものではない。発明の範囲は冒頭に記載された特許請求の範囲によってのみ制限される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】TLR作動薬による刺激時のヒト好中球によるIL−8生成を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
好中球を活性化するのに効果的な量のTLR8−選択的作動薬に好中球を接触させるステップを含んでなる、好中球を活性化する方法。
【請求項2】
前記好中球を生体外で前記TLR8−選択的作動薬に接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記活性化好中球を対象に投与するステップをさらに含んでなる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記好中球を生体内で前記TLR8−選択的作動薬に接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
好中球をTLR8−選択的作動薬に接触させるステップが、TLR8−選択的作動薬を含んでなる医薬組成物を対象に投与するステップを含んでなる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記医薬組成物が局所的に、静脈内に、筋肉内に、経皮的に、皮下に、または経粘膜的に投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記医薬組成物が非経口的でない方法で投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記TLR8−選択的作動薬がIRM化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
病状を処置するのに十分に好中球を活性化するのに効果的な量で、TLR8−選択的作動薬を対象の好中球に投与するステップを含んでなる、該対象において上記病状を処置する方法。
【請求項10】
前記TLR8−選択的作動薬が、好中球を活性化するのに効果的な量で生体外で好中球に投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記活性化好中球を前記対象に投与するステップをさらに含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記TLR8−選択的作動薬が、生体内で好中球に投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記TLR8−選択的作動薬を前記好中球に投与するステップが、TLR8−選択的作動薬を含んでなる医薬組成物を前記対象に投与するステップを含んでなる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記医薬組成物が、局所的に、静脈内に、筋肉内に、経皮的に、皮下に、または経粘膜的に投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記医薬組成物が非経口的でない方法で投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記TLR8−選択的作動薬がIRM化合物を含んでなる、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記病状が病原体による対象の感染を含んでなる、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記病原体が細胞外の病原体である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記細胞外の病原体が細菌を含んでなる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記細菌が、エシェリキア(Escherichia)、エンテロバクター(Enterobacter)、サルモネラ(Salmonella)、ブドウ球菌(Staphylococci)、赤痢菌(Shigella)、リステリア(Listeria)、アエロバクター(Aerobacter)、ヘリコバクター(Helicobacter)、クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、シュードモナス(Pseudomonas)、連鎖球菌(Streptococcus)、クラミジア(Chlamydia)、マイコプラズマ(Mycoplasma)、肺炎球菌(Pneumococcus)、ナイセリア(Neisseria)、クロストリジウム(Clostridium)、バシラス(Bacillus)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、カンピロバクター(Campylobacter)、ビブリオ(Vibrio)、セラチア(Serratia)、プロビデンシア(Providencia)、クロモバクテリウム(Chromobacterium)、ブルセラ(Brucella)、エルシニア(Yersinia)、ヘモフィルス(Haemophilus)、またはボルデテラ(Bordetella)属のものである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記病状が新生物疾患を含んでなる、請求項9に記載の方法。
【請求項22】
前記新生物疾患が、上皮内新生物形成、子宮頚部異形成、光線性角化症、基底細胞癌、扁平細胞癌、毛様細胞白血病、カポジ肉腫、メラノーマ、腎細胞癌、骨髄性白血病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、皮膚T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、結腸直腸癌、乳癌、または肺癌を含んでなる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
好中球を活性化するのに効果的な量のTLR8−選択的作動薬を含んでなる、医薬組成物。
【請求項24】
好中球を活性化するのに効果的な量の好中球を活性化するIRM化合物に好中球を接触させるステップを含んでなり、前記好中球を活性化する化合物が、置換イミダゾキノリンアミン、テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、イミダゾピリジンアミン、1,2−架橋イミダゾキノリンアミン、6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン、イミダゾナフチリジンアミン、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン、オキサゾロキノリンアミン、チアゾロキノリンアミン、オキサゾロピリジンアミン、チアゾロピリジンアミン、オキサゾロナフチリジンアミン、またはチアゾロナフチリジンアミンを含んでなる、好中球を活性化する方法。
【請求項25】
前記好中球を活性化するIRM化合物に好中球を生体外で接触させる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記活性化好中球を対象に投与するステップをさらに含んでなる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記好中球を活性化するIRM化合物に前記好中球を生体内で接触させる、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記好中球を活性化するIRM化合物に好中球を接触させるステップが、好中球を活性化するIRM化合物を含んでなる医薬組成物を対象に投与するステップを含んでなる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記医薬組成物が局所的に、静脈内に、筋肉内に、経皮的に、皮下に、または経粘膜的に投与される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記医薬組成物が非経口的でない方法で投与される、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記好中球を活性化するIRM化合物がTLR8−選択的作動薬である、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
病状を処置するのに十分に好中球を活性化するのに効果的な量で、好中球を活性化するIRM化合物を対象の好中球に投与するステップを含んでなる、前記対象において前記病状を処置する方法。
【請求項33】
前記好中球を活性化するIRM化合物が、好中球を活性化するのに効果的な量で好中球に生体外で投与される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記活性化好中球を前記対象に投与するステップをさらに含んでなる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記好中球を活性化するIRM化合物が、前記好中球に生体内で投与される、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記好中球を活性化するIRM化合物を好中球に投与するステップが、好中球を活性化するIRM化合物を含んでなる医薬組成物を前記対象に投与するステップを含んでなる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記医薬組成物が、局所的に、静脈内に、筋肉内に、経皮的に、皮下に、または経粘膜的に投与される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記医薬組成物が非経口的でない方法で投与される、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記好中球を活性化するIRM化合物がTLR8−選択的作動薬を含んでなる、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
前記病状が病原体による対象の感染を含んでなる、請求項32に記載の方法。
【請求項41】
前記病原体が細胞外の病原体である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記細胞外の病原体が細菌を含んでなる、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記細菌が、エシェリキア(Escherichia)、エンテロバクター(Enterobacter)、サルモネラ(Salmonella)、ブドウ球菌(Staphylococci)、赤痢菌(Shigella)、リステリア(Listeria)、アエロバクター(Aerobacter)、ヘリコバクター(Helicobacter)、クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、シュードモナス(Pseudomonas)、連鎖球菌(Streptococcus)、クラミジア(Chlamydia)、マイコプラズマ(Mycoplasma)、肺炎球菌(Pneumococcus)、ナイセリア(Neisseria)、クロストリジウム(Clostridium)、バシラス(Bacillus)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、カンピロバクター(Campylobacter)、ビブリオ(Vibrio)、セラチア(Serratia)、プロビデンシア(Providencia)、クロモバクテリウム(Chromobacterium)、ブルセラ(Brucella)、エルシニア(Yersinia)、ヘモフィルス(Haemophilus)、またはボルデテラ(Bordetella)属のものである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記病状が新生物疾患を含んでなる、請求項32に記載の方法。
【請求項45】
前記新生物疾患が、上皮内新生物形成、子宮頚部異形成、光線性角化症、基底細胞癌、扁平細胞癌、毛様細胞白血病、カポジ肉腫、メラノーマ、腎細胞癌、骨髄性白血病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、皮膚T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、結腸直腸癌、乳癌、または肺癌を含んでなる、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
好中球を活性化するのに効果的な量の好中球を活性化するIRM化合物を含んでなる、医薬組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2007−509987(P2007−509987A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538418(P2006−538418)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/036351
【国際公開番号】WO2005/041891
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】