説明

免疫炎症性障害の処置のための組成物および方法

本発明は、免疫炎症性障害と診断されたまたはその発症リスクを有する患者に、アデノシン活性上方制御因子と一つまたは複数のさらなる薬剤との組み合わせを投与することにより、該免疫炎症性障害を処置するための方法およびキットを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は免疫炎症性障害の処置に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫炎症性状態は身体の免疫防御の不適切な活性化によって特徴付けられる。その免疫応答は、感染性侵入物を標的とするのではなく、身体の自己組織または移植組織を標的とし損傷する。免疫系が標的とする組織は障害によって異なる。例えば、多発性硬化症では、免疫応答は神経組織に向けられ、その一方でクローン病は消化管を標的とする。
【0003】
免疫炎症性障害は何百万人もに影響を与えており、喘息、アレルギー性眼内炎症性疾患、関節炎、アトピー性皮膚炎、アトピー性湿疹、糖尿病、溶血性貧血、炎症性皮膚疾患、炎症性腸または胃腸障害(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎)、多発性硬化症、重症筋無力症、掻痒/炎症、乾癬、関節リウマチ、肝硬変、ならびに全身性エリテマトーデスのような状態を含む。
【0004】
免疫炎症性障害、移植臓器拒絶反応および移植片対宿主病に対する現行の処置計画は、典型的には、免疫抑制剤に依る。ステロイドは公知の強力な抗炎症剤である。しかしながら、抗炎症用量のステロイドの長期投与は周知の毒性によって制限もされ、これらの薬剤の有効性は変化することがあり、その使用は有害な副作用を伴うことが多い。例えば、ステロイドの長期間の使用は骨粗しょう症、高血圧、神経学的合併症、最適とは言えない免疫応答および眼障害に関連しており、治療状況でのその有用性を制限している。したがって、免疫炎症性状態の処置のために改善された治療剤および治療法が必要とされている。
【0005】
免疫炎症性障害の処置のためのさらなる薬剤が必要である。
【発明の開示】
【0006】
発明の概要
本発明は全体として、アデノシン活性上方制御因子をコルチコステロイド、またはいくつかの他の併用化合物のいずれかと組み合わせてそれを必要とする患者に投与することにより、免疫炎症性障害を処置するための方法およびキットを特徴とする。
【0007】
一つの局面において、本発明は免疫炎症性障害と診断されたまたはその発症リスクを有する患者に、B群アデノシン活性上方制御因子をコルチコステロイド、NSAIDまたはNsIDIと組み合わせて、免疫炎症性障害を処置するのに十分な量で同時にまたは相互に14日間、10日間、5日間、24時間もしくはさらに1時間以内に投与することにより、免疫炎症性障害を処置するための方法を特徴とする。
【0008】
さらに、第三の薬物、例えば、コルチコステロイド、NSAID、COX-2阻害剤、生物製剤、小分子免疫調節物質、DMARD、キサンチン、NsIDI、抗コリン作動性化合物、β受容体アゴニスト、気管支拡張剤、ビタミンD類似体、ソラレン、レチノイドまたは5-アミノサリチル酸を、B群アデノシン活性上方制御因子、第二の薬物および第三の薬物が患者を処置するのに十分な量で同時にまたは相互に14日間、10日間、5日間もしくはさらに24時間以内に投与されるように患者に投与することができる。
【0009】
本発明はさらに、(i) B群アデノシン活性上方制御因子および第二の薬物、例えば、コルチコステロイド、NSAIDまたはNsIDIを含有する組成物;ならびに(ii) 免疫炎症性障害と診断されたまたはその発症リスクを有する患者に該組成物を投与するための使用説明書を含むキットを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明は、(i) B群アデノシン活性上方制御因子;(ii) 第二の薬物、例えば、コルチコステロイド、NSAIDまたはNsIDI;ならびに(iii) 免疫炎症性障害と診断されたまたはその発症リスクを有する患者にB群アデノシン活性上方制御因子および第二の薬物を投与するための使用説明書を含むキットを特徴とする。
【0011】
本発明はさらに、(i) 薬物、例えば、コルチコステロイド、コルチコステロイド、NSAIDまたはNsIDI;ならびに(ii) 免疫炎症性障害と診断されたまたはその発症リスクを有する患者にB群アデノシン活性上方制御因子および該薬物を投与するための使用説明書を含むキットを特徴とする。
【0012】
本発明はさらに、(i) B群アデノシン活性上方制御因子;ならびに(ii) 免疫炎症性障害と診断されたまたはその発症リスクを有する患者にB群アデノシン活性上方制御因子および第二の薬物、例えば、コルチコステロイド、NSAIDまたはNsIDIを投与するための使用説明書を含むキットを特徴とする。
【0013】
本発明の併用療法は、他の抗サイトカイン剤または細胞接着に影響を及ぼす薬剤のような、疾患にプラスの効果を及ぼすように免疫応答を調節する薬剤、あるいはIL-6、IL-1、IL-2、IL-12、IL-15もしくはTNFαの作用を遮断する小分子または生物製剤(例えば、エタネルセプト、アデリムマブ、インフリキシマブもしくはCDP-870)と組み合わせて免疫炎症性障害の処置に有用である。この例(TNFαの効果を遮断する薬剤の例)において、併用療法はサイトカインの産生を低減し、エタネルセプトまたはインフリキシマブは炎症性サイトカインの残存部分に作用し、処置の増強をもたらす。サイトカインを遮断するまたは免疫応答を調節する小分子免疫調節物質の例としては、p38 MAPキナーゼ阻害剤(例えば、ドラマピモド、SCIO-469、VX-702)、ICE阻害剤(例えば、プラルナカサン)およびTACE阻害剤(例えば、BMS-561392)が挙げられる。
【0014】
本発明の方法、組成物、およびキットのいずれにおいても、特定の化合物の類似体を化合物それ自体の代わりに利用することができる。適当な類似体は本明細書において記載されている。化合物(例えば、プレドニゾリン(prednisoline))または化合物類(例えば、コルチコステロイド)の構造的類似体は、それが関連する化合物または化合物類と同じ活性を有する必要はない。
【0015】
望ましくは、本発明の方法、組成物、およびキットは、組み合わせの各成分を個別に用いる方法および組成物と比較して、免疫炎症性障害に罹患しているまたは罹患のリスクを有する患者の処置の有効性、安全性、忍容性または満足感の増大を有することが望ましい。
【0016】
本発明の方法のいずれかの特定の態様において、B群アデノシン活性上方制御因子および/または併用化合物は、本明細書において各々定義されている高投与量または低投与量で、同時にまたは相互に14日間、10日間、5日間、24時間もしくはさらに1時間以内に投与することができる。本発明の方法のいずれかの特定の態様において、B群アデノシン活性上方制御因子および第二の薬物は単一の組成物として一緒に製剤化されてもよく、または別々に製剤化され投与されてもよい。第二の薬物がコルチコステロイドである場合、B群アデノシン活性上方制御因子は、有用なコルチコステロイド投与量、例えば、0.1〜1500 mg/日、0.5〜30 mg/日または0.5〜10 mg/日と組み合わせて、任意の有用な投与量で投与することができる。組成物は、例えば、局所または全身投与のために製剤化することができる。この製剤の単位用量形態は経口の、局所の、非経口の、直腸の、皮膚のおよび/または皮下の形態であってよい。
【0017】
本発明の組成物、キットおよび方法の特定の態様において、該組成物もしくはキット中のまたは該方法において使用される、単独の薬理学的に活性な薬剤とは、列挙したものである。この態様において、薬理学的に不活性な賦形剤も組成物中に存在してよい。
【0018】
本発明において有用な化合物は同様に、同位体標識化合物でありうる。有用な同位体は水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素(例えば、2H、3H、13C、14C、15N、180、170、31P、32P、35S、18Fおよび36Cl)を含む。同位体標識化合物は、同位体非標識試薬の代わりに容易に利用可能な同位体標識試薬を用いて化合物を合成することにより調製することができる。
【0019】
他に定義のない限り、本明細書において使用する全ての技術的および科学的用語は、当業者に一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において用いられる場合、例えば文脈を通じてなど特に指定のない限り、以下の用語は本発明の解釈に際して以下の意味を有するよう意図される。
【0020】
「A群アデノシン活性上方制御因子」とは、式(I)を有する化合物を意味する:

式中、各Zおよび各Z'が独立してN、O、C、



、または

である。
ZまたはZ'がOまたは

であるなら、p=1であり、ZまたはZ'がN、

、または

であるなら、p=2であり、ZまたはZ'がCであるなら、p=3である。式(I)において、本明細書中で定義されているように、各R1は独立してX、OH、N-アルキル(ここでアルキル基は1〜20個、より好ましくは1〜5個の炭素原子を有する);1〜20個、より好ましくは1〜5個の炭素原子を有する分枝もしくは非分枝アルキル基;または複素環である。あるいは、p>1である場合、共通のZまたはZ'原子からの2つのR1基が互いに組み合わされて、-(CY2)k-を表してもよい(式中、kは4から6の整数である)。各Xは独立してY、CY3、C(CY3)3、CY2CY3、(CY2)1〜5OY、構造CnY2n-1(式中、nは3〜7である)の置換または非置換シクロアルカンである。各Yは独立してH、F、Cl、BrまたはIである。一つの態様において、各Zは同じ部分であり、各Z'は同じ部分であり、ZおよびZ'は異なる部分である。
【0021】
A群アデノシン活性上方制御因子の例はジピリダモール(2,6-ビス(ジエタノールアミノ)-4,8-ジピペリジノピリミド(5,4-d)ピリミジンとしても公知);2,6-二置換4,8-ジベンジルアミノピリミド[5,4-d]ピリミジン;モピダモール;一酢酸ジピリダモール;2,6-ジ-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)-メトキシ-4,8-ジ-ピペリジノピリミドピリミジン;2,6-ビス-(2,3-ジメチオキシプロポキシ)-4,8-ジ-ピペリジノピリミドピリミジン;2,6-ビス[N,N-ジ(2-メトキシ)エチル]-4,6-ジ-ピペリジノピリミドピリミジン、および2,6-ビス(ジエタノールアミノ)-4,8-ジ-4-メトキシベンジルアミノピリミドピリミジンである。他の四置換ピリミドピリミジンは、各々が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第3,031,450号および同第4,963,541号に記載されている。
【0022】
「B群アデノシン活性上方制御因子」とは、アデノシン、およびアデノシンの生理学的効果を模倣または増強しかつA群アデノシン活性上方制御因子ではない任意の化合物を意味する。B群アデノシン活性上方制御因子の例としては、本明細書において記載するように、アデノシンならびに特定のアデノシン受容体アゴニスト、アデノシン輸送阻害剤、アデノシンキナーゼ阻害剤、アデニル酸シクラーゼ刺激剤、アデノシンデアミナーゼ阻害剤、カルモジュリンアンタゴニストおよびホスホジエステラーゼ阻害剤が挙げられる。
【0023】
「十分な量」とは、筋骨格障害または免疫炎症性障害(もしくはそれに関連する疼痛)を臨床上適切な様式で処置または予防するのに十分な、本発明の組み合わせにおける化合物の量を意味する。該障害によって引き起こされるまたは該障害の一因となる状態の治療的処置のために本発明を実践するのに使用される活性化合物の十分な量は、投与の様式、患者の年齢体重、および全般的健康に応じて変化する。最終的に、処方者が適切な量および投与計画を決定するであろう。さらに、「有効量」とは、行政当局(米国食品医薬品局のような)が判定し承認しているような各薬剤単独に比べて、筋骨格障害または免疫炎症性障害を有する患者の処置において安全かつ有効な、本発明の組み合わせにおける化合物の量を意味する。
【0024】
「抗てんかん薬」とは、てんかん発作の阻止で用いられる医薬を意味する。抗てんかん薬の例としてはカルバマゼピン(carbanazepine)、オクスカルバゼピン、ラモトリジン、フェニトイン、トピラマート、レベチバセタム(levetivacetam)、ガバペンチンおよびバルプロ酸が挙げられる。
【0025】
「コルチコステロイド」とは、水素化されたシクロペンタノペルヒドロフェナントレン環系によって特徴付けられる任意の天然または合成化合物を意味する。天然コルチコステロイドは、一般に、副腎皮質によって産生される。合成コルチコステロイドはハロゲン化されていてもよい。例示的なコルチコステロイドは本明細書において記載されている。
【0026】
本発明の方法、組成物、およびキットに有用なコルチコステロイドは、例えば、アルゲストン、6-α-フルオロプレドニゾロン、6-α-メチルプレドニゾロン、6-α-メチルプレドニゾロン21-アセテート、6-α-メチルプレドニゾロン21-ヘミスクシネートナトリウム塩、6-α,9-α-ジフルオロプレドニゾロン21-アセテート17-ブチレート、アンシナファル、ベクロメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン一水和物、6-β-ヒドロキシコルチゾール、ベタメタゾン、ベタメタゾン-17-バレレート、ブデソニド、クロベタゾール、プロピオン酸クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、ピバル酸クロコルトロン、コルチゾン、酢酸コルチゾン、コルトドクソン、デフラザコート、21-デオキシコルチゾール、デプロドン、デシノロン、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン-21-アセテート、ジクロリゾン、ジフロラゾン、二酢酸ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ドキシベタゾール、フルドロコルチゾン、フルメタゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルモキソニド、フルニソリド、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、9-フルオロコルチゾン、フルオロヒドロキシアンドロステンジオン、フルオロメトロン、酢酸フルオロメトロン、フルオキシメステロン、フルプレジデン、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、フォルモコルタール、ハルシノニド、ハロメタゾン、ハロプレドン、ヒルカノシド、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンシピオナート、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、6-ヒドロキシデキサメタゾン、イソフルプレドン、酢酸イソフルプレドン、イソプレドニデン、メクロリゾン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、パラメタゾン、酢酸パラメタゾン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、メタスルホ安息香酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾロンテブテート、プレドニゾロン-21-ヘミスクシネート遊離酸、プレドニゾロン-21-アセテート、プレドニゾロン-21(β-D-グルクロニド)、プレドニゾン、プレドニリデン、プロシノニド、トラロニド、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンアセトニド21-パルミテート、二酢酸トリアムシノロン、トリアムシノロンヘキサアセトニドおよびワートマニンを含む。特に望ましいコルチコステロイドはプレドニゾロン、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、フルチカゾン、プレドニゾン、トリアムシノロンおよびジフロラゾンである。望ましくは、本発明の方法、組成物、およびキットは、組み合わせの各成分を個別に用いる方法および組成物と比較して、筋骨格障害またはそれに関連する疼痛に罹患しているまたは罹患のリスクを有する患者の処置の有効性、安全性、忍容性または満足感を増大させる。
【0027】
「高投与量」とは、任意のヒト疾患または状態の処置のための特定化合物の最高基準の推奨投与量よりも少なくとも5% (例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%またはさらに300%)高いことを意味する。
【0028】
「低投与量」とは、任意のヒト疾患または状態の処置のため所与の投与経路のために製剤化される特定化合物の最低基準の推奨投与量よりも少なくとも5% (例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはさらに95%)低いことを意味する。例えば、吸入による投与のために製剤化されるコルチコステロイドの低投与量は、経口投与のために製剤化されるコルチコステロイドの低投与量とは異なるであろう。
【0029】
「中投与量」とは、低投与量と高投与量との間の投与量を意味する。
【0030】
「より有効」とは、方法、組成物またはキットが比較対象の別の方法、組成物またはキットよりも高い有効性を示す、毒性が低い、より安全である、より好都合である、忍容性が高い、もしくは安価であること、または高い処置満足感を提供することを意味する。有効性は、当業者が所与の適応に適した任意の標準的な方法を用いて測定することができる。
【0031】
「免疫炎症性障害」とは、自己免疫疾患、増殖性皮膚疾患および炎症性皮膚疾患を含め、さまざまな状態を包含するよう意図される。免疫炎症性障害は、炎症過程、免疫系の調節不全、および望ましくない細胞増殖によって健常組織の破壊をきたす。免疫炎症性障害の例は尋常性ざ瘡;急性呼吸困難症候群;アジソン病;アレルギー性鼻炎;アレルギー性眼内炎症性疾患、ANCA-関連小血管血管炎;強直性脊椎炎;関節炎、喘息;アテローム性動脈硬化症;アトピー性皮膚炎;自己免疫性溶血性貧血;自己免疫性肝炎;ベーチェット病;ベル麻痺;類天疱瘡;脳虚血;慢性閉塞性肺疾患;肝硬変;コーガン症候群;接触皮膚炎;COPD;クローン病;クッシング症候群;皮膚筋炎;糖尿病;円板状エリテマトーデス;好酸球性筋膜炎;結節性紅斑;剥脱性皮膚炎;線維筋痛;巣状糸球体硬化症;巨細胞性動脈炎;痛風;痛風性関節炎;移植片対宿主病;手湿疹;ヘノッホ-シェーンライン紫斑病;妊娠性疱疹;多毛;特発性角膜-強膜炎;特発性肺線維症;特発性血小板減少性紫斑病;炎症性腸障害または胃腸障害、炎症性皮膚疾患;扁平苔癬;ループス腎炎;リンパ腫性気管気管支炎;黄斑性浮腫;多発性硬化症;重症筋無力症;筋炎;変形性関節炎;膵炎;妊娠性類天疱瘡;尋常性天疱瘡;結節性多発性動脈炎;リウマチ性多発性筋痛;陰嚢そう痒症;心因性そう痒症/炎症、乾癬;乾癬性関節炎;関節リウマチ;再発性多発性軟骨炎;サルコイドーシスが原因の酒さ;強皮症が原因の酒さ;スイート症候群が原因の酒さ;全身性エリテマトーデスが原因の酒さ;じんま疹が原因の酒さ;帯状疱疹関連疼痛が原因の酒さ;サルコイドーシス;強皮症;分節性糸球体硬化症;敗血症性ショック症候群;肩腱炎または滑液包炎;シェーグレン症候群;スティル病;発作誘導性脳細胞死;スイート病;全身性エリテマトーデス;全身性硬化症;高安動脈炎;側頭動脈炎;中毒性表皮壊死症;結核;1型糖尿病;潰瘍性大腸炎;ブドウ膜炎;血管炎;およびヴェグナー肉芽腫症である。「非皮膚炎症性障害」は、例えば、関節リウマチ、炎症性腸疾患、喘息および慢性閉塞性肺疾患を含む。
【0032】
「皮膚炎症性障害」または「炎症性皮膚疾患」は、例えば、乾癬、急性熱性好中球皮膚疾患、湿疹(例えば、皮脂欠乏性湿疹、異汗性湿疹、小水疱性掌蹠湿疹)、形質細胞限局性亀頭炎、亀頭包皮炎、ベーチェット病、遠心性環状紅斑、素異常性固定性紅斑、多形性紅斑、環状肉芽腫、光沢苔癬、扁平苔癬、硬化性萎縮性苔癬、慢性単純性苔癬、棘状苔癬、貨幣状皮膚炎、壊疽性膿皮症、サルコイドーシス、角層下膿疱症、じんま疹および一過性棘細胞離開性皮膚病を含む。
【0033】
「非皮膚炎症性障害」は、例えば、関節リウマチ、炎症性腸疾患、喘息および慢性閉塞性肺疾患を含む。
【0034】
「増殖性皮膚疾患」とは、表皮または真皮における細胞分裂の加速によって特徴付けられる良性または悪性疾患を意味する。増殖性皮膚疾患の例は乾癬、アトピー性皮膚炎、非特異的皮膚炎、原発性刺激性接触皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、皮膚の基底細胞および扁平上皮がん、葉状魚鱗癬、表皮剥離性角質増殖、前悪性角化症、ざ瘡および脂漏性皮膚炎である。
【0035】
「筋骨格障害」とは、免疫系に関連する筋肉、靭帯、骨、関節、軟骨または他の結合組織の障害を意味する。最も多く存在する筋骨格障害には、関節炎のさまざまな形態、例えば、変形性関節炎、関節リウマチ、若年性関節リウマチおよび痛風が含まれる。他の筋骨格障害には後天性骨過形成症候群、末端肥大症、強直性脊椎炎、ベーチェット病、骨疾患、滑液包炎、軟骨疾患、慢性疲労症候群、コンパートメント症候群、先天性甲状腺機能低下症、先天性ミオパチー、含歯性嚢胞、皮膚筋炎、汎発性特発性骨増殖症、デュビュイトラン拘縮、好中球増加筋肉痛症候群、筋膜炎、フェルティ症候群、線維筋痛、外反母趾、感染性関節炎、関節疾患、カブキ様顔貌症候群、レッグペルテス病、狼瘡、ライム病、メラス症候群、代謝性骨疾患、ミトコンドリア性筋障害、混合性結合組織病、筋疾患、筋ジストロフィー、筋骨格異常、筋骨格疾患、筋炎、骨化性筋炎、壊疽性筋膜炎、神経原性関節障害、変形性骨炎、骨軟骨炎、骨軟化症、骨髄炎、骨壊死、骨粗しょう症、パジェット病、ピエールロバン症候群、リウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎、ポリオ後遅発性筋萎縮症、偽痛風、乾癬性関節炎(psoriatric arthritis)、反応性関節炎、ライター病、再発性多発性軟骨炎、腎性骨ジストロフィー、横紋筋融解症、リウマチ性疾患、リウマチ熱、強皮症、シバー病(踵骨骨端炎(calceneal apophysitis))、シェーグレン症候群、脊椎脊髄疾患、脊髄狭窄症、スティル病、滑膜炎、顎関節障害、腱障害、テニス肘、腱滑膜炎、ティーツェ症候群およびヴェグナー肉芽腫症が含まれる。
【0036】
当業者によって理解されるように、特定の疾患、障害または状態は筋骨格性でもあり免疫炎症性でもあると特徴付けられることもある。そのような疾患の例は変形性関節炎である。
【0037】
「疼痛」という用語は、本明細書において最も広義の意味で用いられ、侵害受容性疼痛、例えば、体性痛および内臓痛;神経因性疼痛、例えば、中枢神経性疼痛および末梢神経性疼痛;ならびに心因性疼痛のような、急性疼痛および慢性疼痛を含め、あらゆるタイプの疼痛を指す。この用語は好ましくは、慢性疼痛、最も好ましくは体性痛および内臓痛を含む、侵害受容性疼痛を指す。
【0038】
「侵害受容性疼痛」という用語は、身体組織への損傷により、例えば、非限定的に、切り傷、打撲傷、骨折、挫滅外傷、火傷などにより引き起こされる全ての疼痛を含むように用いられる。このタイプの疼痛は、通常、うずいたり、刺すようなものだったり、ズキズキするようなものである。組織損傷に対する疼痛受容器(侵害受容器)は、皮膚にまたは内臓に主に位置している。
【0039】
「体性痛」という用語は、骨、関節、筋肉、皮膚または結合組織から生ずる疼痛を指すよう用いられる。このタイプの疼痛は、通常、うずいたりズキズキする質のものであり、極めて局部的なものである。
【0040】
「内臓痛」という用語は、消化管および膵臓のような内臓から生ずる疼痛を指すよう本明細書において用いられる。内臓痛はうずくものを含み、臓器莢膜の腫瘍病変により引き起こされるかなり局部的な疼痛である。中空臓器の閉塞によって通常引き起こされる、別のタイプの内臓痛は、間欠的で締めつけるような特徴があり、ほとんど局部的な疼痛ではない。
【0041】
「神経因性疼痛」という用語は、末梢神経系または中枢神経系による感覚入力過程の異常から生じる疼痛を指すよう本明細書において用いられる。
【0042】
「非ステロイド性抗炎症薬」または「NSAID」とは、炎症を阻止または軽減する非ステロイド薬を意味する。NSAIDはナプロキセンナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジクロフェナクカリウム、アスピリン、スリンダク、ジフルニサル、ピロキシカム、インドメタシン、イブプロフェン、ナブメトン、トリサリチル酸コリンマグネシウム、サリチル酸ナトリウム、サリチルサリチル酸、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、メクロフェナミン酸ナトリウム、メロキシカム、オキサプロジン、スリンダク、トルメチン、およびロフェコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブまたはルミラコキシブのようなCOX-2阻害剤を含む。
【0043】
「非ステロイド性イムノフィリン依存性免疫抑制剤」または「NsIDI」とは、炎症誘発性サイトカインの産生もしくは分泌を減らす、イムノフィリンを結合する、または炎症誘発性反応の下方制御を引き起こす任意の非ステロイド性薬剤を意味する。NsIDIはシクロスポリン、タクロリムス、アスコマイシン、ピメクロリムスのような、カルシニューリン阻害剤、およびカルシニューリンのホスファターゼ活性を阻害する他の薬剤(ペプチド、ペプチド断片、化学修飾ペプチドまたはペプチド模倣体)を含む。NsIDIはラパマイシン(シロリムス)およびエベロリムスも含み、これらはFK506結合タンパク質のFKBP-12に結合し、抗原誘導性の白血球増殖およびサイトカイン分泌を遮断する。
【0044】
「オピオイド」とは、オピオイド受容体に結合する任意の薬剤を意味する。オピオイドの非限定的な例としては、コデイン、ヒドロコドン、モルヒネ、ヒドロモルフォン、メタドンおよびフェンタニルが挙げられる。
【0045】
「患者」とは任意の動物(例えば、ヒト)を意味する。本発明の方法、組成物、およびキットを用いて処置できる他の動物は、ウマ、イヌ、ネコ、ブタ、ヤギ、ウサギ、ハムスター、サル、モルモット、ラット、マウス、トカゲ、ヘビ、ヒツジ、ウシ、魚および鳥を含む。
【0046】
「小分子免疫調節物質」とは、炎症誘発性サイトカインの産生または分泌を減らす、炎症誘発性反応の下方制御を引き起こす、または別の方法で免疫系をイムノフィリン非依存的に調節する、非ステロイド性の、NsIDI以外の化合物を意味する。例示的な小分子免疫調節物質は、VX 702 (Vertex Pharmaceuticals)、SCIO 469 (Scios)、ドラマピモド(Boehringer Ingelheim)、RO 30201195 (Roche)およびSCIO 323 (Scios)のようなp38 MAPキナーゼ阻害剤、DPC 333 (Bristol Myers Squibb)のようなTACE阻害剤、プラナルカサン(Vertex Pharmaceuticals)のようなICE阻害剤、ならびにミコフェノレート(Roche)およびメリメポジブ(Vertex Pharamceuticals)のようなIMPDH阻害剤である。
【0047】
「徐放」または「制御放出」とは、治療上活性な成分が、該成分の治療上有益な(しかし、有毒なレベルに満たない)血中レベルが例えば約12〜約24時間に及ぶ長時間にわたり維持されるような制御された速度で、製剤から放出され、したがって、例えば12時間または24時間、剤形を付与することを意味する。
【0048】
「全身投与」とは、皮膚以外の全ての投与経路を意味し、具体的には局所的および経皮的な投与経路を除く。
【0049】
「処置する」とは、筋骨格障害または免疫炎症性障害の処置または予防のために組成物を投与または処方することを意味する。
【0050】
「三環系抗うつ薬」とは、うつ病の処置および予防に使用される三環式環構造を有する化合物を意味する。三環系抗うつ薬の例としてはアミトリプチリン、イミプラミン、デシプラミン、ノルトリプチリンおよびパロキセチンが挙げられる。
【0051】
本発明において有用な化合物には、ジアステレオ異性体および鏡像異性体のような異性体、その塩、エステル、アミド、チオエステル、溶媒和物および多形体を含むそれらの薬学的に許容される全ての形態である、本明細書に記載の化合物が含まれ、かつ、本明細書に記載の化合物のラセミ混合物および純粋な異性体も含まれる。
【0052】
「薬学的に許容される塩」という用語は、正しい医学的判断の範囲内にあり、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴うことなくヒトおよび下等動物の組織と接触させて用いるのに適し、かつ妥当な損益比にふさわしい塩を表す。薬学的に許容される塩は当技術分野において周知である。塩は本発明の化合物の最終的な単離および精製の間にその場で調製され、または遊離塩基官能基を適当な有機酸と反応させることにより分離されうる。代表的な酸付加塩は酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチニン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などを含む。代表的アルカリまたはアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど、ならびにアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどを含むが、これらに限定されるものではない、非毒性アンモニウム、第四級アンモニウムおよびアミンカチオンを含む。
【0053】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から、および添付の特許請求の範囲から明らかであろう。
【0054】
詳細な説明
本発明は、筋骨格障害、免疫炎症性障害および疼痛の処置に有用な方法、組成物、およびキットを特徴とする。本発明によれば、筋骨格障害、免疫炎症性障害、または関連する疼痛は、有効量のアデノシン活性上方制御因子またはその類似体の、コルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)もしくは非ステロイド性イムノフィリン依存性免疫抑制剤(NsIDI)、またはそのいずれかの類似体を含む一つまたは複数の併用化合物と組み合わせの投与によって処置することができる。さらに、本発明によれば、疼痛は、有効量のアデノシン活性上方制御因子またはその類似体と、コルチコステロイド、NSAID、オピオイド、三環系抗うつ薬、抗てんかん薬、アマンタジン、トラマドール、オキシコドン、ブプロプリオン、メキシレチンもしくはカプサイシン、またはそのいずれかの類似体を含む、一つまたは複数の併用化合物との組み合わせの投与によって処置することができる。
【0055】
場合によっては、本発明の組み合わせの各成分は、特定の疾患ネットワークの一部だけに影響を与え、単独では効果不十分または効果なしとすることができ、一方でその組み合わせはどの成分単独の毒性も反復せずに一つまたは複数の治療効果を選択的に増幅する。例えば、アデノシン活性上方制御因子およびコルチコステロイドの組み合わせは、毒性の著しい低下をもたらしながら、どの薬剤単独の有効量の投与と比較しても増幅された抗炎症作用または免疫抑制作用をもたらすことができる。
【0056】
さまざまな態様に対する投与経路は、局所投与、経皮投与および全身投与(静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、吸入投与、直腸投与、口腔投与、腟内投与、くも膜下投与、腹腔内投与、関節内投与、眼投与または経口投与のような)を含むが、これらに限定されるものではない。本明細書において用いられる場合、「全身投与」は、皮膚以外の全ての投与経路を指し、具体的には局所的および経皮的な投与経路を除く。
【0057】
上述の治療法のいずれも、筋骨格障害、免疫炎症性障害または疼痛の処置に有用な従来の医薬とともに施されうる。
【0058】
本発明を以下にさらに詳細に記載する。
【0059】
アデノシンおよびアデノシン活性上方制御因子
内因性プリンヌクレオシドのアデノシンは、細胞外P1 Gタンパク質共役受容体(A1、A2A、A2BおよびA3)のファミリーと相互作用する細胞外シグナル伝達分子である。特定の条件の下で、細胞外ADOの局所組織濃度は、アデノシンそれ自体の放出および/または細胞外に代謝されてアデノシンを生ずるAMPの放出の後に増大する。
【0060】
アデノシン受容体アゴニスト、アデノシン輸送阻害剤、アデノシンキナーゼ阻害剤、アデニル酸シクラーゼ刺激剤(例えば、ORG 2766 (Organon)およびコルホルシンダプロパート(Nippon Kayaku, Sanofi-Aventis))、アデノシンデアミナーゼ阻害剤(例えば、ペントスタチン(National Cancer Institute (USA), Pfizer))、カルモジュリンアンタゴニスト(例えば、ザルダリド(Novartis Consumer Health)およびベプリジル(RETI))ならびにホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤のような、アデノシンの生理学的効果を模倣する化合物を、本明細書において論じる。
【0061】
アデノシン受容体アゴニスト
本発明の方法、組成物、およびキットにおいて利用できるアデノシン受容体アゴニストの例は、アデノシンヘミ硫酸塩、アデノシンアミン同種固体(congener solid)、N6-(4-アミノ-3-ヨードフェニル)メチル-5'-N-メチルカルボキシアミドアデノシン(I-AB-MECA);N-((2-メチルフェニル)メチル)アデノシン(メトリフジル);2-(1-ヘキシニル)-N-メチルアデノシン(HEMADO);N-(1-メチル-2-フェニルエチル)アデノシン(R-PIA);N6-(R-4-ヒドロキシフェニルイソプロピル)アデノシン(HPIA);N6-シクロペンチルアデノシン(CPA);N6-シクロペンチル-2-(3-フェニルアミノカルボニルトリアゼン-1-イル)アデノシン(TCPA);N-((1S,トランス)-2-ヒドロキシシクロペンチル)アデノシン(GR 79236);N6-シクロヘキシルアデノシン(CHA);2-クロロ-N6-シクロペンチルアデノシン(CCPA);N-エチルカルボキシアミドアデノシン(NECA);2-(4-(2-カルボキシエチル)フェネチルアミノ)-5'-N-エチルカルボキシアミドアデノシン(CGS 21680);N6-(3-ヨードベンジル)-5'-N-メチルカルボキシアミドアデノシン(IB-MECA);2-(シクロヘキシルメチリデンヒドラジノ)アデノシン(WRC 0470);2-(4-(2-カルボキシエチル)フェネチルアミノ)-5'-N-エチルカルボキシアミドアデノシン(CGS 21680);N6-(2-(3,5-ジメトキシフェニル)-2-(2-メチルフェニル)エチル)アデノシン(DPMA);ヘキシニルアデノシン-5'-N-エチルカルボキシアミド(HE-NECA);2-[(2-アミノエチル-アミノカルボニルエチル)フェニルエチルアミノ]-5'-N-エチル-カルボキシアミドアデノシン(APEC);2-クロロ-N6-(3-ヨードベンジル)-5'-N-メチルカルボキシアミドアデノシン(2-Cl-IB-MECA);2-フェニルアミノアデノシン(CV 1808);3'-アミノアデノシン-5'-ウロンアミド;CV Therapeutics(商標)小分子薬テカデノソン(Tecadenoson) (CVT-510);レガデノソン(Regadenoson) (CVT 3146);およびCarisa (CVT 3033);およびAderis Pharmaceuticals(商標)小分子薬2-[2-(4-クロロフェニル)エトキシ]アデノシン(MRE 0094)、1-デオキシ-1-[6-[[(ヨードフェニル)メチル]アミノ]-9H-プリン-9-イル]-N-メチル-(-D-リボフランウロンアミド) (CF1O1)、セロデノソン(Selodenoson) (DTI-0009)、アパデノソン(Apadenoson) (University of Virginia)およびビノデノソン(Binodenoson) (MRE-0470)である。他のアデノシン受容体アゴニストは、参照により本明細書に組み入れられるGao et al., JPET, 298: 209-218 (2001);米国特許第5,278,150号、同第5,877,180号、同第6,232,297号;米国特許出願公開第20050261236号および国際公開公報第9808855号において記載され主張されているものである。
【0062】
アデノシン輸送阻害剤
本発明の方法、組成物、およびキットにおいて利用できるアデノシン輸送阻害剤は、3-[1-(6,7-ジエトキシ-2-モルホリノキナゾリン-4-イル)ピペリジン-4-イル]-1,6-ジメチル-2,4(1H,3H)-キナゾリンジオン塩酸塩(KF24345);6-(4-ニトロベンジル)-チオイノシン(NBI)および6-(2-ヒドロキシ-5-ニトロベンジル)-チオグアノシン(NBG);6-[4-(1-シクロヘキシル-1H-テトラゾール-5-イル)ブトキシ]-3,4-ジヒドロ-2(1H)-キノリノン(シロスタゾール);(2-アミノ-4,5-ジメチル-3-チエニル)-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]メタノン(PD 81723);3,7-ジヒドロ-3-メチル-1-(5-オキソヘキシル)-7-プロピル-1H-プリン-2,6-ジオン(プロペントフィリン);6-[(4-ニトロベンジル)チオ]-9-β-D-リボフラノシルプリン(ニトロベンジルチオイノシン) (NBMR);3,4,5-トリメトキシ-,(テトラヒドロ-1H-1,4-ジアゼピン-1,4(5H)-ジイル)ジ-3,1-プロパンジイル安息香酸, エステル(ジラゼプ);ヘキソベンジン;ジピリダモール;ならびに各々が参照により本明細書に組み入れられるFredholm, J. Neurochem. 62:563-573 (1994)、Noji et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 300:200-205 (2002);およびCrawley et al.;Neurosci. Lett. 36:169-174 (1983)に記載されているアデノシン輸送阻害剤を含む。
【0063】
アデノシンキナーゼ阻害剤
アデノシンキナーゼ阻害剤は、本発明の方法、組成物、およびキットにおいてアデノシン活性上方制御因子として使用することができる。アデノシンキナーゼ阻害剤は一般的にヌクレオシド様または非ヌクレオシド様のいずれかとして記載されている。
【0064】
ヌクレオシド様アデノシンキナーゼ阻害剤
本発明の方法、組成物、およびキットにおいて使用できるヌクレオシド様アデノシンキナーゼ阻害剤は、5-ヨードツベルシジン(5IT)および2-ジアリールツベルシジン類似体;5'-デオキソ-5'-デオキシ-5-ヨードツベルシジン(5'd-5IT);ならびに5'-デオキソ-5'-アミノアデノシン(NH2dADO)を含む。他のヌクレオシド様アデノシンキナーゼ阻害剤は、各々が参照により本明細書に組み入れられるMcGaraughty et al., Current Topics in Medicinal Chemistry 5:43-58 (2005);Ugarkar, J. Med. Chem. 43:2883-2893 (2000);Ugarkar et al., J. Med. Chem. 43:2894-2905 (2000);Kaplan and Coyle, Eur. J. Pharmacol. 1:1-8 (1998);およびSinclair et al. Br. J. Pharmacol. 5:1037-1044 (2001)に記載されている。
【0065】
非ヌクレオシド様アデノシンキナーゼ阻害剤
本発明の方法、組成物、およびキットにおいて使用できる非ヌクレオシド様アデノシンキナーゼ阻害剤は、5-ブロモピロロピロリジン;4-アミノ-5-(3-ブロモフェニル)-7-(6-モルホリノ-ピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン(ABT-702)を含む。他の非ヌクレオシド様AK阻害剤は、各々が参照により本明細書に組み入れられるMcGaraughty et al., Current Topics in Medicinal Chemistry 5:43-58 (2005)、Gomtsyan and Lee, Current Pharmaceutical Design 10:1093-1103 (2004);Jarvis et al. J. Pharm. Exp. Ther. 295:1156-1164 (2000);Kowaluk, et al. J. Pharm. Exp. Ther. 295:1165-1174 (2000);および独国特許出願第DE 10141212 A1号に記載されている。
【0066】
ホスホジエステラーゼ阻害剤
ホスホジエステラーゼのいくつかのアイソザイムは、アデノシン-5-一リン酸塩(5'-AMP)へのcAMPの分解を触媒することにより調節スイッチの役割を果たす。ホスホジエステラーゼの阻害剤はcAMPレベルの増大をもたらすことができ、これが今度は抗炎症作用の増大をもたらすことができる。
【0067】
I型ホスホジエステラーゼ阻害剤
本発明の方法、組成物、およびキットにおいて利用できるI型PDE阻害剤は、(3-α,16-α)-エブルナメニン-14-カルボン酸エチルエステル(ビンポセチン(Vinpocetine));18-メトキシメチル-3-イソブチル-1-メチルキサンチン(MIMX);1-カルボキシ-2,3,4,4a,4b,5,6,6a,6b,7,8,8a,8b,9,10,10a,14,16,17,17a,17b,18,19,19a,19b,20,21,21a,21b,22,23,23a-ドトリアコンタヒドロ-14-ヒドロキシ-8a,10a-ビス(ヒドロキシメチル)-14-(3-メトキシ-3-オキソプロピル)-1,4,4a,6,6a,17b,19b,21b-オクタメチルβ-D-グルコピラノシドウロン酸(Ks-505a);シス-5,6a,7,8,9,9a-ヘキサヒドロ-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニルメチル)-5-メチル-シクロペンタ(4,5)イミダゾ(2,1-b)プリン-4(3H)-オン(SCH 51866);および2-o-プロポキシフェニル-8-アザプリン-6-オン(ザプリナスト(Zaprinast))を含む。他のI型PDE阻害剤は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願第20040259792号および同第20050075795号に記載されている。
【0068】
II型ホスホジエステラーゼ阻害剤
本発明の方法、組成物、およびキットにおいて利用できるII型PDE阻害剤は、エリトロ-9-(2-ヒドロキシ-3-ノニル)アデニン(EHNA);2,3,6,7-テトラヒドロ-9,10-ジメトキシ-3-メチル-2-((2,4,6-トリメチルフェニル)イミノ)-4H-ピリミド(6,1-a)イソキノリン-4-オン(トレキンシン);ND7001 (Neuro3D Pharmaceuticals);およびBAY 60-7550 (Alexis Biochemicals)を含む。他のII型PDE阻害剤は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願第20030176316号に記載されている。
【0069】
III型ホスホジエステラーゼ阻害剤
本発明の方法、組成物、およびキットにおいて利用できるIII型PDE阻害剤は、3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX);6-ジヒドロ-2-メチル-6-オキソ-3,4'-ビピリジン)-5-カルボニトリル(ミルリノン);およびN-シクロヘキシル-4-((1,2-ジヒドロ-2-オキソ-6-キノリニル)オキシ)-N-メチル-ブタンアミド(シロスタミド)を含む。他のIII型PDE阻害剤は、各々が参照により本明細書に組み入れられる以下の特許および特許出願に記載されている: EP 0 653 426、EP 0 294 647、EP 0 357 788、EP 0 220 044、EP 0 326 307、EP 0 207 500、EP 0 406 958、EP 0 150 937、EP 0 075 463、EP 0 272 914およびEP 0 112 987、米国特許第4,963,561号;同第5,141,931号、同第6,897,229号および同第6,156,753号;米国特許出願第20030158133号、同第20040097593号、同第20060030611号および同第20060025463号;国際公開公報第96/15117号;DE 2825048;DE 2727481;DE 2847621;DE 3044568;DE 2837161;およびDE 3021792。
【0070】
IV型ホスホジエステラーゼ阻害剤
本発明の方法、組成物、およびキットにおいて利用できるIV型PDE阻害剤は、4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドン(ロリプラム)および4-(3-ブトキシ-4-メトキシベンジル)-2-イミダゾリジノン(Ro20-1724)、シロミラスト(GlaxoSmithKline)、ロリプラム(Schering AG)、MN 001 (Kyorin Pharmaceutical)、アロフィリン(Almirall-Prodesfarma)、トフィミラスト(Pfizer)、オグレミラスト(Glenmark Pharmaceuticals Ltd)、テトミラスト(Otsuka Pharmaceutical)、ならびにロフルミラスト(ALTANA Pharma)を含む。他のIV型PDE阻害剤は、各々が参照により本明細書に組み入れられる以下の特許、特許出願および参考文献に記載されている: 米国特許第3,892,777号、同第4,193,926号、同第4,655,074号、同第4,965,271号、同第5,096,906号、同第5,124,455号、同第5,272,153号、同第6,569,890号、同第6,953,853号、同第6,933,296号、同第6,919,353号、同第6,953,810号、同第6,949,573号、同第6,909,002号および同第6,740,655号;米国特許出願第20030187052号、同第20030187257号、同第20030144300号、同第20030130254号、同第20030186974号、同第20030220352号、同第20030134876号、同第20040048903号、同第20040023945号、同第20040044036号、同第20040106641号、同第20040097593号、同第20040242643号、同第20040192701号、同第20040224971号、同第20040220183号、同第20040180900号、同第20040171798号、同第20040167199号、同第20040146561号、同第20040152754号、同第20040229918号、同第20050192336号、同第20050267196号、同第20050049258号、同第20060014782号、同第20060004003号、同第20060019932号、同第20050267196号、同第20050222207号、同第20050222207号、同第20060009481号;国際公開公報第92/079778号;ならびにMolnar-Kimber, K.L. et al. J. Immunol., 150:295A (1993)。
【0071】
V型ホスホジエステラーゼ阻害剤
本発明の方法、組成物、およびキットにおいて使用できるV型PDE阻害剤は、各々が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,992,192号、同第6,984,641号、同第6,960,587号、同第6,943,166号、同第6,878,711号および同第6,869,950号、ならびに米国特許出願第20030144296号、同第20030171384号、同第20040029891号、同第20040038996号、同第20040186046号、同第20040259792号、同第20040087561号、同第20050054660号、同第20050042177号、同第20050245544号、同第20060009481号に記載されているものを含む。
【0072】
VI型ホスホジエステラーゼ阻害剤
本発明の方法、組成物、およびキットにおいて使用できるVI型PDE阻害剤は、各々が参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願第20040259792号、同第20040248957号、同第20040242673号および同第20040259880号に記載されているものを含む。
【0073】
VII型ホスホジエステラーゼ阻害剤
本発明の方法、組成物、およびキットにおいて使用できるVII型PDE阻害剤は、各々が参照により本明細書に組み入れられる以下の特許、特許出願および参考文献に記載されているものを含む: 米国特許第6,838,559号、同第6,753,340号、同第6,617,357号および同第6,852,720号;米国特許出願第20030186988号、同第20030162802号、同第20030191167号、同第20040214843号および同第20060009481号;国際公開公報第00/68230号;ならびにMartinez et al., J. Med. Chem. 43:683-689 (2000)。
【0074】
コルチコステロイド
適当なコルチコステロイドは、選択的糖質コルチコステロイド受容体アゴニスト(SEGRA)のクラス由来のもの、11-α,17-α,21-トリヒドロキシプレグナ-4-エン-3,20-ジオン;11-β,16-α,17,21-テトラヒドロキシプレグナ-4-エン-3,20-ジオン;11-β,16-α,17,21-テトラヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;11-β,17-α,21-トリヒドロキシ-6-α-メチルプレグナ-4-エン-3,20-ジオン;11-デヒドロコルチコステロン;11-デオキシコルチゾール;11-ヒドロキシ-1,4-アンドロスタジエン-3,17-ジオン;11-ケトテストステロン;14-ヒドロキシアンドロスト-4-エン-3,6,17-トリオン;15,17-ジヒドロキシプロゲステロン;16-メチルヒドロコルチゾン;17,21-ジヒドロキシ-16-α-メチルプレグナ-1,4,9(11)-トリエン-3,20-ジオン;17-α-ヒドロキシプレグナ-4-エン-3,20-ジオン;17-α-ヒドロキシプレグネノロン;17-ヒドロキシ-16-β-メチル-5-β-プレグナ-9(11)-エン-3,20-ジオン;17-ヒドロキシ-4,6,8(14)-プレグナトリエン-3,20-ジオン;17-ヒドロキシプレグナ-4,9(11)-ジエン-3,20-ジオン;18-ヒドロキシコルチコステロン;18-ヒドロキシコルチゾン;18-オキソコルチゾール;21-アセトキシプレグネノロン;21-デオキシアルドステロン;21-デオキシコルチゾン;2-デオキシエクジソン;2-メチルコルチゾン;3-デヒドロエクジソン;4-プレグネン-17-α,20-β,21-トリオール-3,11-ジオン;6,17,20-トリヒドロキシプレグナ-4-エン-3-オン;6-α-ヒドロキシコルチゾール;6-α-フルオロプレドニゾロン、6-α-メチルプレドニゾロン、6-α-メチルプレドニゾロン 21-アセテート、6-α-メチルプレドニゾロン21-ヘミスクシネートナトリウム塩、6-β-ヒドロキシコルチゾール、6-α,9-α-ジフルオロプレドニゾロン21-アセテート17-ブチレート、6-ヒドロキシコルチコステロン;6-ヒドロキシデキサメタゾン;6-ヒドロキシプレドニゾロン;9-フルオロコルチゾン;ジプロピオン酸アルクロメタゾン;アルドステロン;アルゲストン;アルファダーム;アマジノン;アムシノニド;アナゲストン;アンドロステンジオン;アネコルタブアセテート;ベクロメタゾン;ジプロピオン酸ベクロメタゾン;ベタメタゾン-17-バレレート;酢酸ベタメタゾンナトリウム;リン酸ベタメタゾンナトリウム;ベタメタゾンバレレート;ボラステロン;ブデソニド;カルステロン;クロルマジノン;クロロプレドニゾン;クロロプレドニゾンアセテート;コレステロール;シクレソニド;クロベタゾール;プロピオン酸クロベタゾール;クロベタゾン;クロコルトロン;ピバル酸クロコルトロン;クロゲストン;クロプレドノール;コルチコステロン;コルチゾール;コルチゾールアセテート;コルチゾールブチレート;コルチゾールシピオネート;コルチゾールオクタノエート;リン酸コルチゾールナトリウム;コハク酸コルチゾールナトリウム;コルチゾールバレレート;コルチゾン;コルチゾンアセテート;コルチバゾール;コルトドキソン;ダツラオロン;デフラザコート、21-デオキシコルチゾール、デヒドロエピアンドロステロン;デルマジノン;デオキシコルチコステロン;デプロドン;デシノロン;デソニド;デソキシメタゾン;デキサフェン;デキサメタゾン;デキサメタゾン21-アセテート;デキサメタゾンアセテート;リン酸デキサメタゾンナトリウム;ジクロリゾン;ジフロラゾン;ジフロラゾンジアセテート;ジフルコルトロン;ジフルプレドナート;ジヒドロエラテリシンa;ドモプレドネート;ドキシベタゾール;エクジソン;エクジステロン;エモキソロン(emoxolone);エンドリゾン;エノキソロン;フルアザコルト;フルシノロン;フルクロロニド;フルドロコルチゾン;フルドロコルチゾンアセテート;フルゲストン;フルメタゾン;フルメタゾンピバレート;フルモキソニド;フルニソリド;フルオシノロン;フルオシノロンアセトニド;フルオシノニド;フルオコルチンブチル;9-フルオロコルチゾン;フルオコルトロン;フルオロヒドロキシアンドロステンジオン;フルオロメトロン;フルオロメトロンアセテート;フルオキシメステロン;フルペロロンアセテート;フルプレドニデン;フルプレドニゾロン;フルランドレノリド;フルチカゾン;フルチカゾンプロピオネート;フォルメボロン;フォルメスタン;フォルモコルタール;ゲストノロン;グリデリニン;ハルシノニド;ハロベタゾールプロピオネート;ハロメタゾン;ハロプレドン;ハロプロゲステロン;ヒドロコルタメート;ヒドロコルチゾンシピオネート(hydrocortiosone cypionate);ヒドロコルチゾン;ヒドロコルチゾン21-ブチレート;ヒドロコルチゾンアセポネート;ヒドロコルチゾンアセテート;ヒドロコルチゾンブテプレート;ヒドロコルチゾンブチレート;ヒドロコルチゾンシピオネート;ヒドロコルチゾンヘミスクシネート;ヒドロコルチゾンプロブテート;リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム;コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム;ヒドロコルチゾンバレレート;ヒドロキシプロゲステロン;イノコステロン;イソフルプレドン;イソフルプレドンアセテート;イソプレドニデン;エタボン酸ロテプレドノール;メクロリゾン;メコルトロン;メドロゲストン;メドロキシプロゲステロン;メドリゾン;メゲストロール;メゲストロールアセテート;メレンゲストロール;メプレドニゾン;メタンドロステノロン;メチルプレドニゾロン;メチルプレドニゾロンアセポネート;メチルプレドニゾロンアセテート;メチルプレドニゾロンヘミスクシネート;コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム;メチルテストステロン;メトリボロン;モメタゾン;モメタゾンフロエート;モメタゾンフロエート一水和物;ニソン;ノメゲストロール;ノルゲストメット;ノルビニステロン;オキシメステロン;パラメタゾン;パラメタゾンアセテート;ポナステロン;プレドニカルベート;プレドニソラメート;プレドニゾロン;プレドニゾロン21-ジエチルアミノアセテート;プレドニゾロン21-ヘミスクシネート;プレドニゾロンアセテート;プレドニゾロンファルネシレート;プレドニゾロンヘミスクシネート;プレドニゾロン-21(β-D-グルクロニド);プレドニゾロンメタスルホベンゾエート;リン酸プレドニゾロンナトリウム;プレドニゾロンステアグレート;プレドニゾロンテブテート;プレドニゾロンテトラヒドロフタレート;プレドニゾン;プレドニバール;プレドニリデン;プレグネノロン;プロシノニド;トラロニド;プロゲステロン;プロメゲストン;ラポンチステロン;リメキソロン;ロキシボロン;ルブロステロン;スチゾフィリン;チキソコルトール;トプテロン(topterone);トリアムシノロン;トリアムシノロンアセトニド;トリアムシノロンアセトニド21-パルミテート;トリアムシノロンベネトニド;二酢酸トリアムシノロン;トリアムシノロンヘキサアセトニド;トリメゲストン;ターケステロン;およびワートマニンを含む。
【0075】
さまざまなステロイド/疾患の組み合わせに対する標準的な推奨投与量を以下の表1に示す。
【0076】
(表1) 標準的なコルチコステロイド推奨投与量

【0077】
コルチコステロイドの他の標準的な推奨投与量は、例えば、Merck Manual of Diagnosis & Therapy (17th Ed. MH Beers et al., Merck & Co.)およびPhysicians' Desk Reference 2003 (57th Ed. Medical Economics Staff et al., Medical Economics Co., 2002)に示されている。一つの態様において、投与されるコルチコステロイドの投与量は、本明細書中で定義されるように、プレドニゾロン投与量に等しい投与量である。例えば、コルチコステロイドの低投与量はプレドニゾロンの低投与量に等しい投与量と見なすことができる。本発明の組み合わせがコルチコステロイドと併せて処置に使用される場合、コルチコステロイドかアデノシン活性上方制御因子単独の投与によりまたはコルチコステロイドとアデノシン活性上方制御因子の組み合わせの投与により同一の効果を達成するのに必要と考えられる投与量を実質的に下回るところまで、個々の成分の投与量を実質的に減らすことが可能である。例えば、アデノシン活性上方制御因子/コルチコステロイドの組み合わせにおいて、いずれかの化合物単独の投与に適した投与量と比べて低いアデノシン活性上方制御因子またはコルチコステロイドの投与量は、筋骨格障害および/もしくは免疫炎症性障害またはそれに関連する疼痛の処置に有効でありうる。二つまたはそれ以上のコルチコステロイドを同一の処置において投与することができる。
【0078】
ステロイド受容体調節物質
ステロイド受容体調節物質(例えば、アンタゴニストおよびアゴニスト)を、本発明の方法、組成物、およびキットにおいて、コルチコステロイドの代わりとしてまたはコルチコステロイドに加えて使用することができる。したがって、一つの態様において、本発明はアデノシン活性上方制御因子および糖質コルチコイド受容体調節物質または他のステロイド受容体調節物質の組み合わせ、ならびにそれを用いて筋骨格障害および/もしくは免疫炎症性障害、またはこのような障害に関連する疼痛を処置する方法を特徴とする。
【0079】
本発明の方法、組成物、およびキットにおいて使用できる糖質コルチコイド受容体調節物質は、各々が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,380,207号、同第6,380,223号、同第6,448,405号、同第6,506,766号および同第6,570,020号、米国特許出願公開第2003/0176478号、同第2003/0171585号、同第2003/0120081号、同第2003/0073703号、同第2002/015631号、同第2002/0147336号、同第2002/0107235号、同第2002/0103217号および同第2001/0041802号、ならびに国際公開公報第00/66522号に記載されている化合物を含む。本発明の方法、組成物、およびキットにおいて同様に使用できる他のステロイド受容体調節物質は、各々が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,093,821号、同第6,121,450号、同第5,994,544号、同第5,696,133号、同第5,696,127号、同第5,693,647号、同第5,693,646号、同第5,688,810号、同第5,688,808号および同第5,696,130号に記載されている。
【0080】
他の化合物
本発明の方法、組成物、およびキットにおいて、コルチコステロイドの代わりとしてまたはコルチコステロイドに加えて使用できる他の化合物はA-348441 (Karo Bio)、副腎皮質抽出物(GlaxoSmithKline)、アルサクチド(Aventis)、アメブコート(Schering AG)、アメロメタゾン(Taisho)、ATSA (Pfizer)、ビトルテロール(Elan)、CBP-2011 (InKine Pharmaceutical)、セバラセタム(Novartis)、CGP-13774 (Kissei)、シクレソニド(Altana)、シクロメタゾン(Aventis)、酪酸クロベタゾン(GlaxoSmithKline)、クロプレドノール(Hoffmann-La Roche)、コリスマイシンA (Kirin)、ククルビタシンE (NIH)、デフラザコート(Aventis)、プロピオン酸デプロドン(SSP)、デキサメタゾンアセフレート(Schering-Plough)、リノール酸デキサメタゾン(GlaxoSmithKline)、吉草酸デキサメタゾン(Abbott)、ジフルプレドナート(Pfizer)、ドモプレドナート(Hoffmann-La Roche)、エビラチド(Aventis)、エチプレドノールジクロアセテート(IVAX)、フルアザコート(Vicuron)、フルモキソニド(Hoffmann-La Roche)、フルオコルチンブチル(Schering AG)、フルオコルトロン一水和物(Schering AG)、GR-250495X (GlaxoSmithKline)、ハロメタゾン(Novartis)、ハロプレドン(Dainippon)、HYC-141 (Fidia)、イコメタゾンエンブテート(Hovione)、イトロシノニド(AstraZeneca)、L-6485 (Vicuron)、リポコルト(Lipocort) (Draxis Health)、ロシコルトン(Aventis)、メクロリゾン(Schering-Plough)、ナフロコート(Bristol-Myers Squibb)、NCX-1015 (NicOx)、NCX-1020 (NicOx)、NCX-1022 (NicOx)、ニココルトニド(Yamanouchi)、NIK-236 (Nikken Chemicals)、NS-126 (SSP)、Org-2766 (Akzo Nobel)、Org-6632 (Akzo Nobel)、P16CM、プロピルメステロロン(Schering AG)、RGH-1113 (Gedeon Richter)、ロフレポニド(AstraZeneca)、パルミチン酸ロフレポニド(AstraZeneca)、RPR-106541 (Aventis)、RU-26559 (Aventis)、Sch-19457 (Schering-Plough)、T25 (Matrix Therapeutics)、TBI-PAB (Sigma-Tau)、チカベソンプロピオネート(Hoffmann-La Roche)、チフルアドム(Solvay)、チモベゾン(Hoffmann-La Roche)、TSC-5 (Takeda)、RU24858、RU40066、AL-438、ZK216348、NCX-1004、A276575、およびZK-73634 (Schering AG)を含む。
【0081】
非ステロイド性抗炎症薬
必要なら、アデノシン活性上方制御因子を、アセトアミノフェン、ナプロキセンナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジクロフェナクカリウム、アスピリン、スリンダク、ジフルニサル、ピロキシカム、インドメタシン、イブプロフェン、ナブメトン、トリサリチル酸コリンマグネシウム、サリチル酸ナトリウム、サリチルサリチル酸(サルサレート)、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、メクロフェナミン酸ナトリウム、メロキシカム、オキサプロジン、スリンダクおよびトルメチンのような一つまたは複数の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)と併せて投与することができる。
【0082】
商品名アスピリンとしても公知のアセチルサリチル酸は、サリチル酸のアセチル誘導体である。アスピリンは頭痛ならびに筋肉および関節の痛みの緩和に有用である。アスピリンは同様に、熱、炎症および腫脹の軽減に有効であり、したがって、関節リウマチ、リウマチ熱および軽感染の処置に使用されている。したがって、一つの局面において、アデノシン活性上方制御因子およびアセチルサリチル酸(アスピリン)またはその類似体の組み合わせを上述の疾患の処置または予防を増強するために投与することもできる。
【0083】
NSAIDは、本出願において記載されている組み合わせのいずれか一つと併せて投与することができる。例えば、筋骨格障害または免疫炎症性障害に罹患している患者をアデノシン活性上方制御因子/糖質コルチコイド受容体調節物質の組み合わせで最初に処置することができ、その後、患者を、上記の組み合わせと併せて、アセチルサリチル酸のようなNSAIDで処置することもできる。
【0084】
アセチルサリチル酸の投与量は当業者に公知であり、一般的には、1日あたり約70 mg〜約350 mgの範囲である。より低用量またはより高用量のアスピリンが必要とされる場合、ジピリダモールおよびアスピリンを含有する製剤は、0〜25 mg、25〜50 mg、50〜70 mg、70〜75 mg、75〜80 mg、80〜85 mg、85〜90 mg、90〜95 mg、95〜100 mg、100〜150 mg、150〜160 mg、160〜250 mg、250〜300 mg、300〜350 mg、または350〜1000 mgのアスピリンを含有することができる。
【0085】
非ステロイド性イムノフィリン依存性免疫抑制剤
健常人において、免疫系は、B細胞およびT細胞のような細胞エフェクターを用いて、正常細胞は無傷のままにしながら感染性微生物および異常な細胞型を標的とする。自己免疫障害または移植臓器を有する個人においては、活性化されたT細胞が健常組織を損傷する。カルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ピメクロリムス)およびラパマイシンは、T細胞を含め、多くのタイプの免疫調節細胞を標的とし、臓器移植および自己免疫障害における免疫応答を抑制する。
【0086】
一つの態様において、NsIDIはシクロスポリンであり、0.05〜50ミリグラム/キログラム/日の量で(例えば、経口的には0.1〜12ミリグラム/キログラム/日の量で)投与される。別の態様において、NsIDIはタクロリムスであり、0.0001〜20ミリグラム/キログラム/日の量で(例えば、経口的には0.01〜0.2ミリグラム/キログラム/日の量で)投与される。別の態様において、NsIDIはラパマイシンであり、0.1〜502ミリグラム/日の量で(例えば、6 mg/日の単回負荷用量、続いて2 mg/日の維持用量で)投与される。別の態様において、NsIDIは、0.75〜8 mg/日の投与量で投与されるエベロリムスである。さらに他の態様において、NsIDIはピメクロリムスであり、0.1〜200ミリグラム/日の量で(例えば、アトピー性皮膚炎を処置するには1%クリーム/1日2回もしくは乾癬の処置の場合には1日に60 mgとして)投与され、またはNsIDIは、患者を処置するのに十分な量および頻度で投与されるカルシニューリン結合ペプチドである。二つまたはそれ以上のNsIDIが同時に投与されてもよい。
【0087】
シクロスポリン
シクロスポリンは、免疫抑制剤として作用する環状オリゴペプチド類を含む真菌代謝物である。シクロスポリンAは、11アミノ酸からなる疎水性環状ポリペプチドである。シクロスポリンAは、細胞内受容体シクロフィリンと結合し、複合体を形成する。シクロスポリン/シクロフィリン複合体は、Ca2+-カルモジュリン依存性セリン-スレオニン特異的プロテインホスファターゼであるカルシニューリンに結合し、これを阻害する。カルシニューリンはT細胞活性化に必要なシグナル伝達事象を媒介する(Schreiber et al., Cell 70:365-368, 1991に概説されている)。シクロスポリンならびにその機能的および構造的類似体は、抗原誘発性シグナル伝達を阻害することでT細胞依存的免疫応答を抑制する。この阻害はIL-2のような炎症誘発性サイトカインの発現を低減する。
【0088】
多くの異なるシクロスポリン(例えば、シクロスポリンA、B、C、D、E、F、G、HおよびI)は、真菌によって産生される。シクロスポリンAはNovartisから商品名NEORALで市販されている。シクロスポリンAの構造的および機能的類似体は、一つまたは複数のフッ化アミノ酸を有するシクロスポリン(例えば、米国特許第5,227,467号に記載されている);修飾アミノ酸を有するシクロスポリン(例えば、米国特許第5,122,511号および同第4,798,823号に記載されている);ならびにISAtx247のような重水素化シクロスポリン(米国特許出願公開第2002/0132763 A1号に記載されている)を含む。さらなるシクロスポリン類似体は、米国特許第6,136,357号、同第4,384,996号、同第5,284,826号および同第5,709,797号に記載されている。シクロスポリン類似体はD-Sar(α-SMe)3Val2-DH-Cs (209-825)、Allo-Thr-2-Cs、ノルバリン-2-Cs、D-Ala(3-アセチルアミノ)-8-Cs、Thr-2-Cs、およびD-MeSer-3-Cs、D-Ser(O-CH2CH2-OH)-8-Cs、およびD-Ser-8-Csを含むが、これらに限定されるものではなく、これらはCruz et al (Antimicrob. Agents Chemother. 44:143-149, 2000)に記載されている。
【0089】
シクロスポリンは高度に疎水性であり、水の存在下で(例えば、体液との接触で)容易に沈殿する。生物学的利用能が改善されたシクロスポリン製剤を提供する方法は、米国特許第4,388,307号、同第6,468,968号、同第5,051,402号、同第5,342,625号、同第5,977,066号および同第6,022,852号に記載されている。シクロスポリン・マイクロエマルジョン組成物は、米国特許第5,866,159号、同第5,916,589号、同第5,962,014号、同第5,962,017号、同第6,007,840号および同第6,024,978号に記載されている。
【0090】
シクロスポリンは静脈内にまたは経口に投与できるが、経口投与が好ましい。シクロスポリンAの疎水性を打開するため、静脈内用シクロスポリンAは通常、エタノールポリオキシエチル化ヒマシ油媒体中に提供されるが、これは投与の前に希釈しなければならない。シクロスポリンAは、例えば、25 mgもしくは100 mg錠のマイクロエマルジョンとして、または100 mg/mlの経口液剤(NEORAL)で提供されうる。
【0091】
典型的には、経口シクロスポリンの患者投与量は患者の状態に応じて変わるが、いくつかの標準的な推奨投与量を本明細書において示す。臓器移植を受けた患者には、典型的には経口シクロスポリンA 12〜15 mg/kg/日の初回用量を投与する。その後、7〜12 mg/kg/日の維持量に達するまで、投与量を1週間あたり5%ずつ徐々に減らす。静脈内投与の場合、2〜6 mg/kg/日がほとんどの患者にとって好ましい。クローン病または潰瘍性大腸炎を有すると診断された患者の場合、6〜8 mg/kg/日の投与量を一般に投与する。全身性エリテマトーデスを有すると診断された患者の場合、2.2〜6.0 mg/kg/日の投与量を一般に投与する。乾癬または関節リウマチの場合、0.5〜4 mg/kg/日の投与量が典型的である。推奨される投薬スケジュールを表2に示す。その他の有用な投与量は0.5〜5 mg/kg/日、5〜10 mg/kg/日、10〜15 mg/kg/日、15〜20 mg/kg/日または20〜25 mg/kg/日を含む。シクロスポリンは糖質コルチコイドのような他の免疫抑制剤と組み合わせて投与されることが多い。
【0092】
(表2)

表説明文
CsA = シクロスポリンA
RA = 関節リウマチ
UC = 潰瘍性大腸炎
SLE = 全身性エリテマトーデス
【0093】
タクロリムス
タクロリムス(FK506)は、T細胞の細胞内シグナル伝達経路を標的とする免疫抑制剤である。タクロリムスは、シクロフィリンに構造的に関連しない細胞内タンパク質FK506結合タンパク質(FKBP-12)に結合する(Harding et al. Nature 341:758-7601, 1989;Siekienka et al. Nature 341:755-757, 1989;およびSoltoff et al., J. Biol. Chem. 267:17472-17477, 1992)。FKBP/FK506複合体はカルシニューリンに結合し、カルシニューリンのホスファターゼ活性を阻害する。この阻害により、炎症誘発性サイトカイン(例えば、IL-2、γインターフェロン)産生およびT細胞活性化に必要な遺伝子転写を開始する核成分である、活性化T細胞核因子(NFAT)の脱リン酸化および核移行が阻止される。したがって、タクロリムスはT細胞活性化を阻害する。
【0094】
タクロリムスは、ストレプトミセス・ツクバエンシス(Streptomyces tsukubaensis)によって産生されるマクロライド系抗生物質である。これは免疫系を抑制し、移植臓器の生存を引き延ばす。現在、経口および注射用の製剤が入手可能である。タクロリムスカプセルは、ゼラチンカプセル殻内に0.5 mg、1 mgまたは5 mgのタクロリムス無水物を含有する。注射用製剤はヒマシ油およびアルコール中に5 mgのタクロリムス無水物を含有しており、これを注射の前に0.9%塩化ナトリウムまたは5%デキストロースで希釈する。経口投与が好ましいが、経口カプセルを服用できない患者には、注射用タクロリムスを投与してもよい。移植後6時間したらすぐに持続静脈内注入によって初回用量を投与するべきである。
【0095】
タクロリムスおよびタクロリムス類似体はTanaka et al., (J. Am. Chem. Soc., 109:5031, 1987)によりならびに米国特許第4,894,366号、同第4,929,611号および同第4,956,352号に記載されている。FR-900520、FR-900523およびFR-900525を含め、FK506関連化合物は、米国特許第5,254,562号に記載されており;O-アリール、O-アルキル、O-アルケニルおよびO-アルキニルマクロライドは米国特許第5,250,678号、同第532,248号、同第5,693,648号に記載されており;アミノO-アリールマクロライドは米国特許第5,262,533号に記載されており;アルキリデンマクロライドは米国特許第5,284,840号に記載されており;N-ヘテロアリール、N-アルキルヘテロアリール、N-アルケニルヘテロアリールおよびN-アルキニルヘテロアリールマクロライドは米国特許第5,208,241号に記載されており;アミノマクロライドおよびその誘導体は、米国特許第5,208,228号に記載されており;フルオロマクロライドは米国特許第5,189,042号に記載されており;アミノO-アルキル、O-アルケニルおよびO-アルキニルマクロライドは、米国特許第5,162,334号に記載されており;ならびにハロマクロライドは米国特許第5,143,918号に記載されている。
【0096】
推奨投与量は患者の状態に応じて変わるが、標準的な推奨投与量を以下に示す。クローン病または潰瘍性大腸炎を有すると診断された患者には、典型的には0.1〜0.2 mg/kg/日の経口タクロリムスを投与する。移植臓器を有する患者には、典型的には0.1〜0.2 mg/kg/日の経口タクロリムスを投与する。関節リウマチの処置を受けている患者には、典型的には1〜3 mg/日の経口タクロリムスを投与する。乾癬の処置の場合、0.01〜0.15 mg/kg/日の経口タクロリムスを患者に投与する。アトピー性皮膚炎は、0.03〜0.1%のタクロリムスのクリームを患部に塗布することによって、1日2回処置することができる。経口タクロリムスカプセルの投与を受ける患者には、典型的には、移植後6時間したらすぐに、または静脈内タクロリムス注入を中止してから8〜12時間後に初回用量を投与する。その他推奨されるタクロリムス投与量は、0.005〜0.01 mg/kg/日、0.01〜0.03 mg/kg/日、0.03〜0.05 mg/kg/日、0.05〜0.07 mg/kg/日、0.07〜0.10 mg/kg/日、0.10〜0.25 mg/kg/日または0.25〜0.5 mg/kg/日を含む。
【0097】
タクロリムスは混合機能オキシダーゼ系によって、特にチトクロムP-450系によって広範に代謝される。主な代謝機構は脱メチル化およびヒドロキシル化である。さまざまなタクロリムス代謝物は免疫抑制性の生物活性を示す可能性が高いが、13-デメチル代謝物はタクロリムスと同じ活性を有すると報告されている。
【0098】
ピメクロリムス
ピメクロリムスはマクロラクタム・アスコマイシンの33-エピ-クロロ誘導体である。ピメクロリムスの構造的および機能的類似体は、米国特許第6,384,073号に記載されている。ピメクロリムスはアトピー性皮膚炎の処置にとりわけ有用である。ピメクロリムスは、現在、1%クリームとして入手可能である。ピメクロリムスに対して推奨される投薬スケジュールを表2に示す。個々の投薬は患者の状態に応じて変わるが、いくつかの標準的な推奨投与量を以下に示す。経口ピメクロリムスは乾癬または関節リウマチの処置のため40〜60 mg/日の量で投与することができる。クローン病または潰瘍性大腸炎の処置の場合、80〜160 mg/日の量のピメクロリムスを投与することができる。臓器移植を受けた患者には、160〜240 mg/日のピメクロリムスを投与することができる。全身性エリテマトーデスを有すると診断された患者には、40〜120 mg/日のピメクロリムスを投与することができる。ピメクロリムスの他の有用な投与量は0.5〜5 mg/日、5〜10 mg/日、10〜30 mg/日、40〜80 mg/日、80〜120 mg/日、またはさらに120〜200 mg/日を含む。
【0099】
ラパマイシン
ラパマイシンは、ストレプトミセス・ハイグロスコピクス(Streptomyces hygroscopicus)によって産生される環状ラクトンである。ラパマイシンは、T細胞の活性化および増殖を阻害する免疫抑制剤である。シクロスポリンおよびタクロリムスと同様に、ラパマイシンはイムノフィリンFKBP-12と複合体を形成するが、ラパマイシン-FKBP-12複合体はカルシニューリンホスファターゼ活性を阻害しない。ラパマイシン・イムノフィリン複合体は、哺乳類のラパマイシンキナーゼ標的(mTOR)に結合し、これを阻害する。mTORは、細胞周期の進行に必要とされるキナーゼである。mTORキナーゼ活性の阻害により、T細胞活性化および炎症誘発性サイトカインの分泌が遮断される。
【0100】
ラパマイシンの構造的および機能的類似体は、モノおよびジアシル化ラパマイシン誘導体(米国特許第4,316,885号);ラパマイシン水溶性プロドラッグ(米国特許第4,650,803号);カルボン酸エステル(国際公開公報第92/05179号);カルバメート(米国特許第5,118,678号);アミドエステル(米国特許第5,118,678号);ビオチンエステル(米国特許第5,504,091号);フッ化エステル(米国特許第5,100,883号);アセタール(米国特許第5,151,413号);シリルエーテル(米国特許第5,120,842号);二環式誘導体(米国特許第5,120,725号);ラパマイシン二量体(米国特許第5,120,727号);O-アリール、O-アルキル、O-アルケニル(O-alkyenyl)およびO-アルキニル誘導体(米国特許第5,258,389号);ならびに重水素化ラパマイシン(米国特許第6,503,921号)を含む。さらなるラパマイシン類似体は、米国特許第5,202,332号および同第5,169,851号に記載されている。
【0101】
ラパマイシンは、現在、経口投与用に液体製剤および錠剤で入手可能である。RAPAMUNE液は1 mg/mLのラパマイシンを含有しており、これを投与の前に水またはオレンジジュースに希釈する。1または2 mgのラパマイシンを含有する錠剤も入手可能である。ラパマイシンは移植後にできるだけ早く1日1回投与されることが好ましい。これは経口投与後に迅速かつ完全に吸収される。典型的には、ラパマイシンの患者投与量は患者の状態に応じて変わるが、いくつかの標準的な推奨投与量を以下に示す。ラパマイシンのための初回負荷用量は6 mgである。その後0.5〜2 mg/日の維持量が典型的である。あるいは、3 mg、5 mg、10 mg、15 mg、20 mgまたは25 mgの負荷用量を、1日あたり1 mg、3 mg、5 mg、7 mgまたは10 mgの維持量とともに使用してもよい。体重40 kg未満の患者では、ラパマイシンの投与量は、典型的には体表面積に基づいて調整される;一般には3 mg/m2/日の負荷用量および1 mg/m2/日の維持量が使用される。
【0102】
ペプチド部分
カルシニューリンによるNFATの脱リン酸化および核移行を妨げるペプチド、ペプチド模倣体、ペプチド断片は、天然の、合成のまたは化学修飾のいずれであっても、本発明の実践で用いるのに適している。NFAT活性化およびNFAT転写因子を阻害することによりカルシニューリン阻害剤として作用するペプチドの例は、例えば Aramburu et al., (Science 285:2129-2133, 1999)およびAramburu et al., (Mol. Cell 1:627-637, 1998)によって記載されている。カルシニューリン阻害剤類として、これらの薬剤は本発明の方法において有用である。
【0103】
治療法
本発明による治療法は、単独でまたは別の治療法との併用で行われてもよく、家庭で、医院で、診療所で、病院の外来部門で、または病院で提供されてもよい。治療法の期間は、処置される疾患または障害のタイプ、患者の年齢および状態、患者の疾患の段階およびタイプ、ならびにどのように患者が処置に応答するかに依る。さらに、炎症性疾患発症のリスクがより高い人(例えば、加齢によるホルモンの変化を起こしている人)が、症状の発現を阻止するまたは遅延するように処置を受けてもよい。
【0104】
本発明の方法のいずれかの特定の態様において、本化合物は、患者を処置するのに十分な量で同時にまたは相互に14日間、10日間、5日間、24時間もしくは1時間以内に投与される。該化合物は単一の組成物として一緒に製剤化されてもよく、または別々に製剤化され投与されてもよい。一方または両方の化合物が、本明細書において各々定義されている低投与量でまたは高投与量で投与されてもよい。コルチコステロイド、NSAID (例えば、ナプロキセンナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジクロフェナクカリウム、アスピリン、スリンダク、ジフルニサル、ピロキシカム、インドメタシン、イブプロフェン、ナブメトン、トリサリチル酸コリンマグネシウム、サリチル酸ナトリウム、サリチルサリチル酸、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、メクロフェナミン酸ナトリウム、メロキシカム、オキサプロジン、スリンダクおよびトルメチン)、NsIDI (例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ピメクロリムスおよびISAtx247)、またはその類似体のような他の化合物を患者に投与することが望ましい場合もある。本発明の併用療法は、疾患にプラスの影響を及ぼすように免疫応答を調節する他の薬剤と組み合わせて免疫炎症性障害の処置にとりわけ有用となる。そのような薬剤は、鍵となる炎症細胞を枯渇させるもの、細胞接着に影響を与えるもの、または免疫応答に関わるサイトカインに影響を与えるものを含む。この最後の部類は、IL-10のような抗炎症性サイトカインの作用を模倣または増大する薬剤も、IL-6、IL-1、IL-2、IL-12、IL-15またはTNFαのような炎症誘発性サイトカインの活性を阻害する薬剤もともに含む。TNFαを阻害する薬剤はエタネルセプト、アデリムマブ、インフリキシマブおよびCDP-870を含む。この例(TNFαの効果を遮断する薬剤の例)において、併用療法はサイトカインの産生を低減し、エタネルセプトまたはインフリキシマブは炎症性サイトカインの残存部分に作用し、処置の増強をもたらす。小分子免疫調節物質は、例えば、VX 702、SCIO 469、ドラマピモド、RO 30201195、SCIO 323のようなp38 MAPキナーゼ阻害剤、DPC 333のようなTACE阻害剤、プラナルカサンのようなICE阻害剤、ならびにミコフェノレートおよびメリメポジブのようなIMPDH阻害剤を含む。
【0105】
組み合わせ療法において、組み合わせの各成分の投与量および投与頻度を独立的に制御することができる。例えば、第一の化合物を1日3回投与し、一方で第二の化合物を1日1回投与することができる。組み合わせ療法は、患者の身体が未だ予見できない任意の副作用から回復する機会を有するように、休止期間を含む断続的なサイクルで施すことができる。1回の投与で両方の化合物が送達されるように、化合物を一緒に製剤化することもできる。
【0106】
対象とする化合物は、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤もしくはシロップ剤の形態で経口的に、または坐剤の形態で経直腸的に投与することができる。化合物の非経口投与は、例えば、食塩水の形態でまたは化合物をリポソームに組み入れて行うことが適している。化合物それ自体が溶解されるのに十分可溶性でない場合、エタノールのような可溶化剤を適用することができる。
【0107】
本発明の方法、組成物、およびキットは他の方法、組成物、およびキットよりも有効であることが望ましい。「より有効」とは、方法、組成物またはキットが比較対象の別の方法、組成物またはキットよりも高い有効性を示す、毒性が低い、より安全である、より好都合である、忍容性が高い、もしくは安価であること、または高い処置満足感を提供することを意味する。
【0108】
変形性関節炎
本発明の方法、組成物、およびキットは変形性関節炎、またはそれに関連する疼痛の処置に使用することができる。必要なら、変形性関節炎を処置するのに通常使用される一つまたは複数の薬剤を、本発明の方法、組成物、およびキットにおいて、コルチコステロイドの代わりとしてまたはコルチコステロイドに加えて使用することができる。そのような薬剤はNSAID (例えば、ナプロキセンナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジクロフェナクカリウム、アスピリン、スリンダク、ジフルニサル、ピロキシカム、インドメタシン、イブプロフェン、ナブメトン、トリサリチル酸コリンマグネシウム、サリチル酸ナトリウム、サリチルサリチル酸(サルサレート)、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、メクロフェナミン酸ナトリウム、メロキシカム、オキサプロジン、スリンダクおよびトルメチン)、NsIDI (例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ピメクロリムスおよびISAtx247)、またはその類似体を含む。したがって、一つの態様において、本発明は、変形性関節炎またはそれに関連する疼痛の処置のための、上記の薬剤のいずれかとのアデノシン活性上方制御因子の組み合わせ、ならびに方法およびキットを特徴とする。
【0109】
慢性閉塞性肺疾患
一つの態様において、本発明の方法、組成物、およびキットは慢性閉塞性肺疾患(COPD)の処置に使用される。必要なら、COPDを処置するのに通常使用される一つまたは複数の薬剤を、本発明の方法、組成物、およびキットにおいて、コルチコステロイドの代わりとしてまたはコルチコステロイドに加えて使用することができる。そのような薬物は、キサンチン(例えば、テオフィリン)、抗コリン作動性化合物(例えば、イプラトロピウム、チオトロピウム)、生物製剤、小分子免疫調節物質、およびβ受容体アゴニスト/気管支拡張剤(例えば、硫酸イブテロール、ビトルテロールメシレート、エピネフリン、フマル酸フォルモテロール、イソプロテロノール、塩酸レバルブテロール、硫酸メタプロテレノール、酢酸ピルブテロール(pirbuterol scetate)、キシナホ酸サルメテロールおよびテルブタリン)を含む。したがって、一つの態様において、本発明はアデノシン活性上方制御因子および気管支拡張剤の組み合わせ、ならびにそれを用いてCOPDを処置する方法を特徴とする。
【0110】
乾癬
本発明の方法、組成物、およびキットは乾癬の処置に使用することができる。必要なら、乾癬を処置するのに通常使用される一つまたは複数の抗乾癬薬を、本発明の方法、組成物、およびキットにおいて、コルチコステロイドの代わりとしてまたはコルチコステロイドに加えて使用することができる。そのような薬剤は生物製剤(例えば、アレファセプト、インフリキシマブ(inflixamab)、アデリムマブ、エファリズマブ、エタネルセプトおよびCDP-870)、小分子免疫調節物質(例えば、VX 702、SCIO 469、ドラマピモド、RO 30201195、SCIO 323、DPC 333、プラナルカサン、ミコフェノレートおよびメリメポジブ)、非ステロイド性イムノフィリン依存性免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ピメクロリムスおよびISAtx247)、ビタミンD類似体(例えば、カルシポトリエン、カルシポトリオール)、ソラレン(例えば、メトキサレン)、レチノイド(例えば、アシトレチン、タゾレテン)、DMARD (例えば、メトトレキセート)およびアントラリンを含む。したがって、一つの態様において、本発明はアデノシン活性上方制御因子および抗乾癬薬の組み合わせ、ならびにそれを用いて乾癬を処置する方法を特徴とする。
【0111】
炎症性腸疾患
本発明の方法、組成物、およびキットは炎症性腸疾患の処置に使用することができる。必要なら、炎症性腸疾患を処置するのに通常使用される一つまたは複数の薬剤を、本発明の方法、組成物、およびキットにおいて、コルチコステロイドの代わりとしてまたはコルチコステロイドに加えて使用することができる。そのような薬剤は生物製剤(例えば、インフリキシマブ(inflixamab)、アデリムマブおよびCDP-870)、小分子免疫調節物質(例えば、VX 702、SCIO 469、ドラマピモド、RO 30201195、SCIO 323、DPC 333、プラナルカサン、ミコフェノレートおよびメリメポジブ)、非ステロイド性イムノフィリン依存性免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ピメクロリムスおよびISAtx247)、5-アミノサリチル酸(例えば、メサラミン、スルファサラジン、バルサラジド2ナトリウムおよびオルサラジンナトリウム)、DMARD(例えば、メトトレキセートおよびアザチオプリン)ならびにアロセトロンを含む。したがって、一つの態様において、本発明はアデノシン活性上方制御因子および上記の薬剤のいずれかの組み合わせ、ならびにそれを用いて炎症性腸疾患を処置する方法を特徴とする。
【0112】
関節リウマチ
本発明の方法、組成物、およびキットは関節リウマチの処置に使用することができる。必要なら、関節リウマチを処置するのに通常使用される一つまたは複数の薬剤を、本発明の方法、組成物、およびキットにおいて、コルチコステロイドの代わりとしてまたはコルチコステロイドに加えて使用することができる。そのような薬物はNSAID (例えば、ナプロキセンナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジクロフェナクカリウム、アスピリン、スリンダク、ジフルニサル、ピロキシカム、インドメタシン、イブプロフェン、ナブメトン、トリサリチル酸コリンマグネシウム、サリチル酸ナトリウム、サリチルサリチル酸(サルサレート)、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、メクロフェナミン酸ナトリウム、メロキシカム、オキサプロジン、スリンダクおよびトルメチン)、COX-2阻害剤(例えば、ロフェコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブおよびルミラコキシブ)、生物製剤(例えば、インフリキシマブ(inflixamab)、アデリムマブ、エタネルセプト、CDP-870、リツキシマブおよびアトリズマブ)、小分子免疫調節物質(例えば、VX 702、SCIO 469、ドラマピモド、RO 30201195、SCIO 323、DPC 333、プラナルカサン、ミコフェノレートおよびメリメポジブ)、非ステロイド性イムノフィリン依存性免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ピメクロリムスおよびISAtx247)、5-アミノサリチル酸(例えば、メサラミン、スルファサラジン、バルサラジド2ナトリウムおよびオルサラジンナトリウム)、DMARD (例えば、メトトレキセート、レフルノミド、ミノサイクリン、オーラノフィン、金チオリンゴ酸ナトリウム、アウロチオグルコースおよびアザチオプリン)、硫酸ヒドロキシクロロキンならびにペニシラミンを含む。したがって、一つの態様において、本発明は上記の薬剤のいずれかとのアデノシン活性上方制御因子の組み合わせ、ならびにそれを用いて関節リウマチを処置する方法を特徴とする。
【0113】
喘息
本発明の方法、組成物、およびキットは喘息の処置に使用することができる。必要なら、喘息を処置するのに通常使用される一つまたは複数の薬剤を、本発明の方法、組成物、およびキットにおいて、コルチコステロイドの代わりとしてまたはコルチコステロイドに加えて使用することができる。そのような薬剤はβ2アゴニスト/気管支拡張剤/ロイコトリエン修飾薬(例えば、ザフィルルカスト、モンテルカストおよびジレウトン)、生物製剤(例えば、オマリズマブ)、小分子免疫調節物質、抗コリン作動性化合物、キサンチン、エフェドリン、グアイフェネシン、クロモリンナトリウム、ネドクロミルナトリウム、ならびにヨウ化カリウムを含む。したがって、一つの態様において、本発明はアデノシン活性上方制御因子および上記の薬剤のいずれかの組み合わせ、ならびにそれを用いて喘息を処置する方法を特徴とする。
【0114】
疼痛
本発明の方法、組成物、およびキットは疼痛(例えば、神経因性疼痛または侵害受容性疼痛)の処置に使用することができる。必要なら、疼痛を処置するのに通常使用される一つまたは複数の薬剤を、本発明の方法、組成物、およびキットにおいて、コルチコステロイドの代わりとしてまたはコルチコステロイドに加えて使用することができる。そのような薬剤はNSAID、オピオイド、三環系抗うつ薬、抗てんかん薬、アマンタジン、トラマドール、オキシコドン、ブプロプリオン、メキシレチンおよびカプサイシンを含む。したがって、一つの態様において、本発明はアデノシン活性上方制御因子および上記の薬剤のいずれかの組み合わせ、ならびにそれを用いて疼痛を処置する方法を特徴とする。
【0115】
組成物の製剤
本発明の組み合わせの投与は、標的領域での炎症誘発性サイトカインレベルの抑制を引き起こす、任意の適当な手段によることができる。当該化合物は任意の適当な担体物質の中に任意の適当な量で含有されてもよく、一般には組成物の全重量の1〜95重量%の量で存在する。組成物は経口の、非経口(例えば、静脈内、筋肉内)の、直腸の、皮膚の、経鼻の、膣内の、吸入、皮膚(パッチ)の、または眼内の投与経路に適した剤形で提供することができる。したがって、組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤、懸濁液、乳濁液、溶液、ヒドロゲルを含むゲル、ペースト、軟膏、クリーム、硬膏剤、水薬、浸透圧送達装置、坐剤、浣腸、注射剤、インプラント、スプレイまたはエアロゾルの形態であってよい。組成物は従来の薬学的実践にしたがって製剤化することができる(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th edition, 2000, ed. A.R. Gennaro, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia、およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technology, eds. J. Swarbrick and J. C. Boylan, 1988-1999, Marcel Dekker, New Yorkを参照のこと)。
【0116】
組み合わせの各化合物は、当技術分野において公知のさまざまな様式で製剤化することができる。例えば、第一および第二の薬剤を一緒にまたは別々に製剤化することができる。第一および第二の薬剤は薬剤の同時投与またはほぼ同時投与のため一緒に製剤化されることが望ましい。
【0117】
個々にまたは別々に製剤化された薬剤をキットとして一緒に包装することができる。非限定的な例としては、例えば、2つの丸剤、丸剤および散剤、坐剤およびバイアル中の液体、2つの局所クリームなどを含むキットが挙げられる。キットは散剤形状を再構成するためのバイアル、注射用の注射器、個別調整されたIV送達系、吸入器などのような、患者への単位用量の投与に役立つ任意の成分を含むことができる。さらに、単位用量キットは組成物の調製および投与に関する使用説明書を含むことができる。
【0118】
キットは、患者一人に向けた単回使用の単位用量、特定の患者に向けた複数回使用のもの(一定用量の、もしくは治療の進行に合わせて個々の化合物は効力が変化しうるもの)として製造されてもよく;またはキットは複数の患者への投与に適した複数用量を含んでもよい(「バルク包装」)。キット成分はカートン、ブリスター包装、ボトル、チューブなどの中にまとめられてもよい。
【0119】
経口用の固体剤形
経口用の製剤は、無毒の薬学的に許容される賦形剤との混合物の中に活性成分を含有する錠剤を含む。これらの賦形剤は例えば、不活性希釈剤または増量剤(例えば、スクロースおよびソルビトール)、平滑剤、滑沢剤ならびに抗接着剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、硬化植物油またはタルク)であってもよい。
【0120】
二つの化合物を錠剤、カプセルもしくはその他の媒体中でともに混合してもよく、または分割してもよい。一例を挙げれば、第一の化合物は錠剤の内部に含有されており、第二の化合物は外側にあり、その結果、第二の化合物の大部分が第一の化合物の放出前に放出される。
【0121】
経口用の製剤は同様に、チュアブル錠として、または活性成分が不活性固体希釈剤と混合されている硬ゼラチンカプセルとして、または活性成分が水もしくは油性媒質と混合されている軟ゼラチンカプセルとして供与されてもよい。
【0122】
したがって、経口用に適した組成物の場合、経口媒体(例えば、カプセル)は0.01%〜25% (w/w)もしくはそれ以上のアデノシン活性上方制御因子もしくは類似体および/またはさらなる薬剤、好ましくは0.01%〜10% (w/w)の、より好ましくは0.05%〜4% (w/w)の活性薬剤を含有する。カプセルは毎日1〜4回、または必要に応じて服用することができる。
【0123】
本明細書に記載の方法を行うには、アデノシン活性上方制御因子および/またはさらなる薬剤を含有する経口媒体が経口的に服用されることが好ましい。例えば、カプセルを、免疫炎症性障害または抗血小板凝集活性のような免疫炎症性に関連する障害に罹患している被験者に、夕方に一回および午前中に服用させることができる。
【0124】
局所製剤
組成物は同様に、0.0001%〜25% (w/w)またはそれ以上のアデノシン活性上方制御因子ならびに0.001%〜25% (w/w)およびそれ以上のコルチコステロイドを含有する局所的媒体により局所用に適合されてもよい。
【0125】
好ましい組み合わせにおいて、コルチコステロイドおよびアデノシン活性上方制御因子は、0.0001%〜10% (w/w)の、より好ましくは0.0005%〜4% (w/w)の活性薬剤であることが好ましい。クリームは毎日1〜4回、または必要に応じて塗布されることができる。例えば、局所投与に適したプレドニゾロンの場合、局所的媒体は0.01%〜5% (w/w)の、好ましくは0.01%〜2% (w/w)の、より好ましくは0.01%〜1% (w/w)のプレドニゾロンを、0.0001%〜2% (w/w)の、より好ましくは0.0005%〜1% (w/w)のアデノシン活性上方制御因子と組み合わせて含有する。
【0126】
本明細書に記載の方法を行うには、アデノシン活性上方制御因子およびコルチコステロイドを含有する局所的媒体が被験者の不快部位に適用されることが好ましい。例えば、クリームを指の関節炎を患う被験者の手に塗布することができ、その一方でブドウ膜炎を処置するために局所点眼薬を被験者の眼に適用することができる。
【0127】
吸入
鼻腔内投与または吸入による投与の場合、本発明の活性化合物は、患者によって圧縮されるもしくはポンピングされるポンプスプレイ容器から溶液もしくは懸濁液の形態で、または適当な高圧ガス、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素もしくは他の適当なガスの使用により、加圧された容器もしくは噴霧器からエアロゾルスプレイ状として送達されることが好都合である。加圧されたエアロゾルの場合、投与量単位は、一定量を送達するための弁を供与することにより確定されてもよい。加圧された容器または噴霧器は、活性化合物の溶液または懸濁液を含んでもよい。吸入器または通気器に用いられるカプセルおよびカートリッジ(例えば、ゼラチンで作られた)は、本発明の化合物およびラクトースまたはデンプンのような適当な粉末基剤の粉末混合物を含有するように配合されてもよい。
【0128】
投与量
本発明の組み合わせの効力の向上を考慮し、低投与量(本明細書中で定義されているように)のアデノシン活性上方制御因子および/またはさらなる薬剤を使用できることが理解されよう。これらの投与量は患者の健康および状態に応じて変化するであろう。したがって、一方または両方の薬剤の中投与量またはさらに高投与量を使用することができる。
【0129】
組み合わせにおける各薬物の投与は独立して、1日間〜1年間にわたり毎日1〜4回であってよく、さらに患者の生涯にわたってもよい。慢性的な、長期投与が多くの場合に指示されるであろう。
【0130】
本発明の組み合わせは、炎症に関与する生物学的経路または新規の標的に関する機構的情報を解明するうえで有用な手段である。そのような情報は、炎症誘発性サイトカイン分泌を阻害するための新しい組み合わせまたは単一の薬剤の開発をもたらしうる。生物学的経路を判定するための当技術分野において公知の方法を用いて、炎症誘発性サイトカインを産生するよう刺激された細胞を本発明の化合物と接触させることにより影響を受ける経路または経路のネットワークを決定することができる。
【0131】
そのような方法は、本発明の化合物との接触後に、未処理の陽性もしくは陰性対照化合物、ならびに/または新しい単一薬剤および組み合わせと比較して、発現または抑制される細胞成分を分析すること、あるいは酵素活性、栄養取り込みおよび増殖のような細胞のいくつかの他の代謝活性を分析することを含みうる。分析される細胞成分は、遺伝子転写物およびタンパク質発現物を含むことができる。適当な方法は、標準的な生化学技術、本発明の化合物の放射性同位体標識(例えば、14Cまたは3H標識)、および例えば、2dゲル、遺伝子発現プロファイリングを用いたタンパク質への化合物の結合の観察を含むことができる。同定されたら、そのような化合物をインビボモデルで用いて、さらに手段を検証するかまたは新しい抗炎症薬を開発することができる。
【0132】
疼痛および機能指数
本発明の方法、組成物またはキットのいずれかの有効性を測定するために、測定指数を使用することができる。筋骨格障害または免疫炎症性障害に関連する疼痛の測定のために本発明の方法、組成物、およびキットにおいて有用である指数は、各々が当技術分野において周知である視覚的アナログ尺度(visual analog scale;VAS)、Likert尺度、Lequesne指数、WOMAC指数およびAUSCAN指数を含む。疼痛、機能、こわばりまたは他の変数を測定するために、そのような指数を使用することができる。
【0133】
視覚的アナログ尺度(VAS)は一次元量の尺度をもたらす。VASでは、一定の距離間隔で、例えば、10×1cm間隔でハッシュマークを描画した線図のような、距離による表示を一般に利用する。例えば、患者に質問をして、痛感に最もよく一致する線上の箇所を選択することにより痛感を位置付けることができ、この場合、線の一端が「無痛」(0 cmのスコア)に相当し、線のもう一端は「耐え難い痛み」(10 cmのスコア)に相当する。この手順は、患者がどれほどの痛みを感じているかに関する定量的情報を得るための単純かつ迅速なアプローチになる。VAS尺度およびその使用法は、例えば、米国特許第6,709,406号および同第6,432,937号に記載されている。
【0134】
Likert尺度は同様に、一次元量の尺度をもたらす。一般に、Likert尺度は、低値(例えば、0は痛みなしを意味する)から高値(例えば、7は激しい痛みを意味する)に及ぶ離散的整数値を有する。痛みを経験している患者に質問をし、経験した疼痛の程度に対応した低値から高値の数字を選択する。Likert尺度およびその使用法は、例えば、米国特許第6,623,040号および同第6,766,319号に記載されている。
【0135】
Lequesne指数および西オンタリオ大学・マクマスター大学(Western Ontario and McMaster Universities;WOMAC)変形性関節炎指数では、自己記入質問表を用いてOA患者の膝および腰における疼痛、機能およびこわばりを評価する。WOMACでは膝も腰もともに網羅されるのに対し、Lequesne質問表は膝用に一枚および腰用に別に一枚ある。これらの質問表はVASまたはLikertに比べ多くの情報量を含むので、それらは有用である。WOMAC指数の質問表もLequesne指数の質問表もともに、例えば外科的設定(例えば、膝および股関節形成術)においてなど、OAにおいて十分に有効性が確認されている。それらの計量的特徴に有意差はない。
【0136】
AUSCAN (Australian-Canadian手関節炎)指数では、妥当性、信頼性および反応性を有する患者自己申告式質問表を利用する。一例を挙げれば、この質問表には三次元(疼痛5問、こわばり1問、身体機能9問)にわたる、15問の質問が含まれる。AUSCAN指数では、例えば、LikertまたはVAS尺度を利用することができる。
【0137】
疼痛の測定のために本発明の方法、組成物、およびキットにおいて有用である指数は、疼痛記載尺度(Pain Descriptor Scale;PDS)、視覚的アナログ尺度(VAS)、口頭記載尺度(Verbal Descriptor Scales;VDS)、数的疼痛強度尺度(Numeric Pain Intesity Scale;NPIS)、神経因性疼痛尺度(Neuropathic Pain Scale;NPS)、神経因性疼痛症状一覧表(Neuropathic Pain Symptom Inventory;NPSI)、現在の疼痛一覧表(Present Pain Inventory;PPI)、高齢者の疼痛基準(Geriatric Pain Measure;GPM)、マクギル疼痛質問表(McGill Pain Questionaire;MPQ)、短文式マクギル疼痛質問表(Short-Form McGill Pain Questionaire)、ミネソタ多面人格目録(Minnesota Multiphasic Personality Inventory)、疼痛プロファイルおよび多次元的な疼痛一覧表(Pain Profile and Multidimensional Pain Inventory)、小児健康質問票(Child Heath Questionaire)、ならびに小児評価質問票(Child Assessment Questionaire)を含む。
【0138】
実験結果
TNFα分泌に及ぼす試験化合物の組み合わせの効果を、以下のように、リポ多糖類またはホルボール12-ミリステート13-アセテート(PMA)およびイオノマイシンにより刺激したヒトバフィーコート由来の白血球においてアッセイした。これらの実験の結果を図1および2に示す。
【0139】
リポ多糖類(LPS)
ポリスチレン384ウェルプレート(NalgeNunc)の各ウェル内に含有される希釈ヒト白血球の懸濁液100 μlを、終濃度2 μg/mLのリポ多糖類(Sigma L-4130)での処理により刺激してTNFαを分泌させた。種々の濃度の各試験化合物を刺激時に添加した。加湿インキュベーター中にて37℃での16〜18時間のインキュベーション後、プレートを遠心分離し、上清を、抗TNFα抗体(PharMingen, #551220)でコーティングした乳白色ポリスチレン384ウェルプレート(NalgeNunc, Maxisorb)に移した。2時間のインキュベーション後、プレートを0.1% Tween 20含有PBSで洗浄し(Tecan PowerWasher 384)、ビオチン標識された別の抗TNFα抗体(PharMingen, #554511)およびストレプトアビジン(strepavidin) (PharMingen, #13047E)にカップリングされたHRPとともにさらに1時間インキュベートした。プレートを0.1% Tween 20/PBSで洗浄した後に、HRP-発光基質を各ウェルに添加し、LJL Analystプレート照度計を用いて光度を測定した。
【0140】
PMA/イオノマイシン
ポリスチレン384ウェルプレート(NalgeNunc)の各ウェル内に含有される希釈ヒト白血球の懸濁液100 μlを、終濃度10 ng/mLのホルボール12-ミリステート13-アセテート(Sigma, P-1585)および750 ng/mLのイオノマイシン(Sigma, I-0634)での処理により刺激してTNFαを分泌させた。種々の濃度の各試験化合物を刺激時に添加した。加湿インキュベーター中にて37℃での16〜18時間のインキュベーション後、プレートを遠心分離し、上清を、抗TNFα抗体(PharMingen, #551220)でコーティングした乳白色ポリスチレン384ウェルプレート(NalgeNunc, Maxisorb)に移した。2時間のインキュベーション後、プレートを0.1% Tween 20含有PBSで洗浄し(Tecan PowerWasher 384)、ビオチン標識された別の抗TNFα抗体(PharMingen, #554511)およびストレプトアビジン(strepavidin) (PharMingen, #13047E)にカップリングされたHRPとともにさらに1時間インキュベートした。プレートを0.1% Tween 20/PBSで洗浄した後に、HRP-発光基質を各ウェルに添加し、LJL Analystプレート照度計を用いて光度を測定した。
【0141】
図1および2に記載の化合物の組み合わせに対し計算された相乗スコアは、全ての非単一な薬剤濃度対にわたって加算する式S = logfX logfY ΣIdata (Idata-ILoewe)により計算し、ここでlogfX,Yは各単一の薬剤に用いた希釈係数の自然対数である。これにより、高阻害の方に重み付けされかつ種々の希釈係数に対して補正された、Loewe加法応答曲面と測定応答曲面との間の体積が効果的に計算される。相乗スコアは、二つの薬剤の組み合わせが、個別的にこの組み合わせの各薬剤の活性に基づいて予想されるよりも高いTNFα分泌阻害をもたらすことを示唆する。図1に記載の実験に対し計算された相乗スコアは2.3であった。図2に記載の実験結果に対し計算された相乗スコアは3.7であった。
【0142】
他の態様
本発明の記載の方法およびシステムのさまざまな変更および変形は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく当業者には明らかであろう。本発明を具体的な望ましい態様に関連して記載してきたが、主張される本発明はこのような具体的な態様に不当に限定されるべきではないことが理解されるべきである。実際に、医学分野、免疫学分野、薬理学分野、内分泌学分野、または関連分野の当業者には明らかな、本発明を実施するために記載されている様式のさまざまな変更は、本発明の範囲内であることが意図される。
【0143】
本明細書において言及されている全ての刊行物は、各個々の刊行物が参照により具体的かつ個別的に組み入れられるのと同じ程度まで参照により本明細書に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】ロリプラムおよびプレドニゾロンで処理した細胞におけるLPS誘導性のTNFα分泌の抑制を示すグラフである。
【図2】ロリプラムおよびプレドニゾロンで処理した細胞におけるPMA/イオノマイシン誘導性のTNFα分泌の抑制を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫炎症性障害を処置するための方法であって、該免疫炎症性障害と診断されたまたはその発症リスクを有する患者に、B群アデノシン活性上方制御因子およびコルチコステロイドを、該患者を処置するのに十分な量で同時にまたは相互に14日間以内に投与する段階を含む方法。
【請求項2】
コルチコステロイド;非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、非ステロイド性イムノフィリン依存性免疫抑制剤(NsIDI)、COX-2阻害剤;生物製剤;小分子免疫調節物質;DMARD;キサンチン;抗コリン作動性化合物;β受容体アゴニスト;気管支拡張剤;ビタミンD類似体;ソラレン;レチノイド;および5-アミノサリチル酸からなる群より選択される第三の薬物を患者に投与する段階をさらに含む方法であって、B群アデノシン活性上方制御因子、該コルチコステロイド、および該第三の薬物が該患者を処置するのに十分な量で同時にまたは相互に14日間以内に投与される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
免疫炎症性障害が関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患、リウマチ性多発性筋痛、巨細胞性動脈炎、全身性エリテマトーデス、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症、重症筋無力症、乾癬、強直性脊椎炎、肝硬変、または乾癬性関節炎である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
B群アデノシン活性上方制御因子およびコルチコステロイドが相互に5日間以内に投与される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
B群アデノシン活性上方制御因子およびコルチコステロイドが相互に1日間以内に投与される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
B群アデノシン活性上方制御因子およびコルチコステロイドが相互に1時間以内に投与される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
B群アデノシン活性上方制御因子およびコルチコステロイドが同時に投与される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
B群アデノシン活性上方制御因子が、アデノシン、アデノシン受容体アゴニスト、アデノシン輸送阻害剤、アデノシンキナーゼ阻害剤、アデニル酸シクラーゼ刺激剤、アデノシンデアミナーゼ阻害剤、カルモジュリンアンタゴニスト、またはホスホジエステラーゼ阻害剤である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
コルチコステロイドが、アルゲストン、6-α-フルオロプレドニゾロン、6-α-メチルプレドニゾロン、6-α-メチルプレドニゾロン21-アセテート、6-α-メチルプレドニゾロン21-ヘミスクシネートナトリウム塩、6-α,9-α-ジフルオロプレドニゾロン21-アセテート17-ブチレート、アンシナファル、ベクロメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン一水和物、6-β-ヒドロキシコルチゾール、ベタメタゾン、ベタメタゾン-17-バレレート、ブデソニド、クロベタゾール、プロピオン酸クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、ピバル酸クロコルトロン、コルチゾン、酢酸コルチゾン、コルトドクソン、デフラザコート、21-デオキシコルチゾール、デプロドン、デシノロン、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン-21-アセテート、ジクロリゾン、ジフロラゾン、二酢酸ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ドキシベタゾール、フルドロコルチゾン、フルメタゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルモキソニド、フルニソリド、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、9-フルオロコルチゾン、フルオロヒドロキシアンドロステンジオン、フルオロメトロン、酢酸フルオロメトロン、フルオキシメステロン、フルプレジデン、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、フォルモコルタール、ハルシノニド、ハロメタゾン、ハロプレドン、ヒルカノシド、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンシピオナート、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、6-ヒドロキシデキサメタゾン、イソフルプレドン、酢酸イソフルプレドン、イソプレドニデン、メクロリゾン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、パラメタゾン、酢酸パラメタゾン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、メタスルホ安息香酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾロンテブテート、プレドニゾロン-21-ヘミスクシネート遊離酸、プレドニゾロン-21-アセテート、プレドニゾロン-21(β-D-グルクロニド)、プレドニゾン、プレドニリデン、プロシノニド、トラロニド、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンアセトニド21-パルミテート、二酢酸トリアムシノロン、トリアムシノロンヘキサアセトニド、およびワートマニンである、請求項1記載の方法。
【請求項10】
コルチコステロイドがプレドニゾロンである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
B群アデノシン活性上方制御因子およびコルチコステロイドが同じ薬学的製剤中で投与される、請求項1記載の方法。
【請求項12】
B群アデノシン活性上方制御因子またはコルチコステロイドが局所投与のために製剤化される、請求項1記載の方法。
【請求項13】
B群アデノシン活性上方制御因子またはコルチコステロイドが全身投与のために製剤化される、請求項1記載の方法。
【請求項14】
B群アデノシン活性上方制御因子またはコルチコステロイドが低投与量で投与される、請求項1記載の方法。
【請求項15】
B群アデノシン活性上方制御因子またはコルチコステロイドが高投与量で投与される、請求項1記載の方法。
【請求項16】
(i) B群アデノシン活性上方制御因子およびコルチコステロイドを含む組成物;ならびに
(ii) 免疫炎症性障害と診断されたまたはその発症リスクを有する患者に該組成物を投与するための使用説明書
を含む、キット。
【請求項17】
(i) B群アデノシン活性上方制御因子;
(ii) コルチコステロイド;ならびに
(iii) 免疫炎症性障害と診断されたまたはその発症リスクを有する患者に該B群アデノシン活性上方制御因子および該コルチコステロイドを投与するための使用説明書
を含む、キット。
【請求項18】
(i) コルチコステロイド;ならびに
(ii) 免疫炎症性障害と診断されたまたはその発症リスクを有する患者に該コルチコステロイドおよびB群アデノシン活性上方制御因子を投与するための使用説明書
を含む、キット。
【請求項19】
(i) B群アデノシン活性上方制御因子;ならびに
(ii) 免疫炎症性障害と診断されたまたはその発症リスクを有する患者に該B群アデノシン活性上方制御因子およびコルチコステロイドを投与するための使用説明書
を含む、キット。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−529053(P2009−529053A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558356(P2008−558356)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/005694
【国際公開番号】WO2007/103373
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(501273808)コンビナトアールエックス インコーポレーティッド (21)
【Fターム(参考)】