説明

免震装置

【課題】設置場所の広狭に応じて外レール又は内レールの水平方向のストロークを簡易、かつ、自在に最適に設定でき、しかも、減衰機能・転倒防止機能を発揮できるように構成し、被免震体に対する地震発生時における免震効果を高性能に実現する省スペース型の免震装置を提供する。
【解決手段】内レール24及び外レール34にローラ体とストローク規制体を挿入、装着、配置することにより内レール24及び外レール34が分離することがないことをもって、免震装置1の転倒防止機能を発揮でき、ローラ体のベアリングと、ローラ体支持軸42との摩擦により地震動減衰を行い、移動体41のストローク規制体の間隔を大、小に変更した設定として、免震装置1の周囲スペースに応じて外レール34又は内レール24のストロークを調整可能とし、外レール34又は内レール24のストロークを簡易、かつ、自在に最適に設定できるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免震装置に関し、詳しくは、設置場所の広狭に応じてレールのストロークを簡易、かつ、自在に最適に設定可能で、減衰機能・転倒防止機能を持った特徴構成の基に、美術品、精密機器、コンピュータ装置等のような各種の被免震体に対する地震発生時における免震効果を高性能に実現し得る免震装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の免震装置としては、種々の構造のものが開発されており、復元動作用に金属ばねや曲線レールを用いたもの、コロと曲線レールを組み合わせたもの、振動減衰手段にオイルダンパ、摩擦ダンパ等を用いたものがある。
【0003】
特許文献1には、支持体と被支持体間に介在して装着され、支持体側に固設され中央部が最低部分をなす凹状の平行な少なくとも一対の下部レールと、各下部レールに係合する少なくとも4個の下部車輪と、被支持体側に固設され中央部が最高部分なす凹状の下部レールの上方ずれた位置に向合わせて配設された少なくとも一対の上部レールと、各上部レールに係合する少なくとも4個の上部車輪と、支持部及び基部を有する一対の車軸と該基部間に跨がって固着された連結部材とを含み、各支持部に下部車輪及び上部車輪が対で回動可能に軸支され、地震動により各車輪が各レールに沿って転動し被支持体を免震するように構成した免震装置が提案されている。
【0004】
しかし、特許文献1の免震装置においては、転倒防止機能もなく、地震発生時、基本的には下部レール、上部レールのレール長をLとするとき、例えば下部レールに対する地震動による上部レールの水平方向のストロークSは、片側で略L/2、両側で略Lとなる構成であり、また、上部レールの下部レールに対する水平方向のストロークSを調整する機構も存在せず、このため、設置場所の広狭に応じてレールのストロークを調整しつつ被支持体の免震を行う構成とはなっておらず、免震装置の周囲スペースが小さい場合、新規にレールを製作することが必要であるという不都合な事態が生じる可能性を包含している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−55123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする問題点は、設置場所の広狭に応じてレールの水平方向のストロークを簡易、かつ、自在に最適に設定可能で、減衰機能・転倒防止機能を持った特徴構成の基に、各種の被免震体に対する地震発生時における免震効果を高性能に実現し得る免震装置が存在しない点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る免震装置は、垂直配置で、かつ、平行配置に立設した一対の側片と、一対の側片の長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って対応配置に設けた一対ずつの上向きの円弧状長孔とを有する内レールと、前記内レールより広幅に形成されるとともに、垂直配置で、かつ、平行配置に立設した一対の側片と、一対の側片の長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って対応配置に設けた一対ずつの前記内レールの円弧状長孔と上下対称形状の円弧状長孔とを有し、前記内レールと長さ方向中心を一致させつつ前記内レールの上部に各側片間に間隔を有しつつ配置され、かつ、各円弧状長孔が前記内レールの各円弧状長孔と対応する配置とした外レールと、前記内レール、外レールにおける各両側片において間隔を有しつつ対応する配置の各円弧状長孔を直交配置に貫通するローラ体支持軸と、このローラ体支持軸に対して内周に配置したベアリングを介して回転可能に支持されるとともに、対応する各円弧状長孔内にローラ部を嵌装させ、中央部に内レール、外レールの隣り合う側片間に位置させる前記ローラ部より大径のフランジを具備する一対のローラ体と、前記ローラ体支持軸の両側に所定の間隔を隔て平行配置するとともに、前記内レール、外レールにおける各両側片において間隔を有しつつ対応する配置の各円弧状長孔を直交配置に貫通するストローク規制体と、前記外レールの外側でローラ体支持軸、及びストローク規制体を各々固定配置に連結する一対の側片、固定具を用いた固定機構部と、を具備し、前記内レール、外レールの長さ方向の中心に関して対称配置の各円弧状長孔の領域に各々移動可能に配置する2台の移動体と、により免震レール体を構成し、前記免震レール体を4台用い、井桁状に組み合わせて2段構成とした免震構造体を有し、前記免震構造体上の被免震体に対する一方向とこれと直交する他方向の免震を行うように構成した免震装置であって、前記内外レールにローラ体とストローク規制体を挿入、装着、配置することにより前記内外レールが分離することがないことをもって装置の転倒防止機能を発揮でき、また、地震発生時における前記外レールと内レールの相対移動に応じて前記ローラ体に装着したベアリングと、ローラ体支持軸との摩擦により地震動減衰を行うとともに、前記移動体におけるストローク規制体の間隔を大、小に変更した設定(簡易、かつ、自在に最適に設定可能で、減衰機能・転倒防止機能を持った特徴構成)とすることによって、前記外レール又は内レールのストロークを、免震装置の周囲スペースに応じて前記間隔が大のときに小さく、前記間隔が小のときに大きくなるように調整可能であることは勿論、各図に示すX方向、Y方向のストロークを自在に変えることができるようにしたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、一対の側片の長さ方向における中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って対応配置に設けた一対ずつの上向きの(装置の転倒防止のための)円弧状長孔を有する内レールと、内レールより広幅で、一対の側片の長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って対応配置に設けた中央を最高部とした一対ずつの円弧状長孔を有する外レールと、内レール、外レールにおける各両側片において間隔を有しつつ対応する配置の各円弧状長孔を直交配置に貫通するローラ体支持軸と、このローラ体支持軸に対して内周に配置した(減衰力を発揮させるための)ベアリングを介して回転可能に支持されるとともに、対応する各円弧状長孔内にローラ部を嵌装させ、中央部に内レール、外レールの隣り合う側片間に位置させる前記ローラ部より大径のフランジを具備する一対のローラ体と、前記ローラ体支持軸の両側に所定の間隔を隔て平行配置するとともに、前記内レール、外レールにおける各両側片において間隔を有しつつ対応する配置の各円弧状長孔を直交配置に貫通するストローク規制体と、前記外レールの外側でローラ体支持軸、及びストローク規制体を各々固定配置に連結する一対の側片、固定具を用いた固定機構部と、を具備し、前記内レール、外レールの長さ方向の中心に関して対称配置の各円弧状長孔の領域に各々移動可能に配置する2台の移動体と、により免震レール体を構成し、この免震レール体を4台用い、井桁状に組み合わせて2段構成の免震構造体としたコンパクト、かつ、安価な構成で、免震装置自体の設置場所の広狭に応じてレールの水平方向のストロークを簡易、かつ、自在に最適に設定可能で、減衰機能・転倒防止機能を持った特徴構成の基に、設置場所の広狭に対応し、かつ、前記フランジにより内レール、外レールの接触防止、脱輪防止をも図りつつ上部に載置する各種の被免震体に対する地震発生時における免震効果を高性能に発揮することが可能で、省スペース型の免震装置を実現し提供することができる。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明と略同様な構成で、かつ、中央を最低部とした円弧状長孔を備える内レール、中央を最高部とした円弧状長孔を備える外レールの組み合わせとした免震レール体を採用し、かつ、上側の2台の免震レール体上に被免震体載置用の載置体を配置したコンパクト、かつ、安価な構成で、免震装置自体の設置場所の広狭に応じてレールの水平方向のストロークを簡易、かつ、自在に最適に設定可能で、減衰機能・転倒防止機能を持った特徴構成の基に、請求項1記載の発明と同様、設置場所の広狭に対応し、かつ、前記フランジにより内レール、外レールの接触防止、脱輪防止をも図りつつ上部に載置する各種の被免震体に対する地震発生時における免震効果を高性能に発揮することが可能で、省スペース型の免震装置を実現し提供することができる。
【0010】
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明と略同様な構成で、かつ、移動体における一対のローラ体を、双方とも一対の突き合わせフランジを用いた一対の個別回転する個別ローラの組み合わせ、一方を一対の突き合わせフランジを用いた一対の個別回転する個別ローラとし他方を一体型フランジを用いて一体ローラとした組み合わせ、又は、一対のローラ体の双方を一体型フランジを用いて一体ローラとした組み合わせのいずれかから選定する構造の基に、請求項2記載の発明と同様、設置場所の広狭に対応し、かつ、前記フランジにより内レール、外レールの接触防止、脱輪防止をも図りつつ上部に載置する各種の被免震体に対する地震発生時における免震効果を高性能に発揮することが可能で、減衰機能・転倒防止機能を持った省スペース型の免震装置を実現し提供することができる。
【0011】
請求項4記載の発明によれば、断面が凹形状で、底片から垂直に立設する両側片に、その長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って中央を最低部とした一対ずつの円弧状長孔を対応配置に設けた内レールと、前記内レールより広幅に形成されるとともに、断面が逆凹形状で、底片から垂直に立設する両側片に、その長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って中央を最低部とした一対ずつの円弧状長孔を対応配置に設け、前記内レールと長さ方向中心を一致させつつ前記内レールの上部に底片を前記内レールの底片と対向させつつ各側片間に間隔を有しつつ配置され、かつ、各円弧状長孔が前記内レールの各円弧状長孔と対応する配置とした外レールと、前記内レール、外レールにおける各両側片において間隔を有しつつ対応する配置の各円弧状長孔を直交配置に貫通するローラ体支持軸と、このローラ体支持軸に対して内周に配置したベアリングを介して回転可能に支持されるとともに、対応する各円弧状長孔内にローラ部を嵌装させ、中央部に内レール、外レールの隣り合う側片間に位置させる前記ローラ部より大径のフランジを具備する一対のローラ体と、前記ローラ体支持軸の両側に所定の間隔を隔て平行配置するとともに、前記内レール、外レールにおける各両側片において間隔を有しつつ対応する配置の各円弧状長孔を直交配置に貫通する各円弧状長孔に対応する部分に弾性材を配置したストローク規制体と、前記外レールの外側でローラ体支持軸、及びストローク規制体を各々固定配置に連結する一対の側片、固定具を用いた固定機構部と、を具備し、前記内レール、外レールの長さ方向の中心に関して対称配置の各円弧状長孔の領域に各々移動可能に配置する2台の移動体と、により免震レール体を構成し、前記免震レール体を4台用い、井桁状に組み合わせて2段構成とし、上側の2台の免震レール体上に被免震体載置用の載置体を配置したコンパクト、かつ、安価な構成で、免震装置自体の設置場所の広狭に応じてレールの水平方向のストロークを簡易、かつ、自在に最適に設定可能で、減衰機能・転倒防止機能を持った特徴構成の基に、設置場所の広狭に対応し、かつ、前記フランジにより内レール、外レールの接触防止、脱輪防止をも図りつつ上部に載置する各種の被免震体に対する地震発生時における免震効果を高性能に発揮することが可能で、省スペース型の免震装置を実現し提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は本発明の実施例に係る免震装置の被免震体を載置した状態を示す概略正面図である。
【図2】図2は本実施例に係る免震装置の被免震体を載置した状態を示す概略側面図である。
【図3】図3は本実施例に係る免震装置の概略平面図である。
【図4】図4は本実施例に係る免震装置の拡大正面図である。
【図5】図5は図4のA−A断面図で、本実施例に係る免震装置における移動体と個別ローラとの配置関係を示す概略説明図である。
【図6】図6は本実施例に係る免震装置における移動体を示す正面図である。
【図7】図7は図4のB−B断面図で、本実施例に係る免震装置における移動体と個別ローラとの配置関係を示す概略断面図である。
【図8】図8は図4のB−B断面図で、本実施例に係る免震装置における移動体の一対のローラ体を、双方とも一対の突き合わせフランジを接合させ個別回転する個別ローラを用いて構成した態様を示す説明図である。
【図9】図9は図4のB−B断面図で、本実施例に係る免震装置における移動体の一対のローラ体を、一方は一対の突き合わせフランジを接合させ個別回転する個別ローラを用いて構成し、他方を一体回転するローラ部とした態様を示す説明図である。
【図10】図10は図4のB−B断面図で、本実施例に係る免震装置における移動体の一対のローラ体を、双方とも一体回転するローラ部とした態様を示す説明図である。
【図11】図11は本実施例に係る免震装置における移動体の一対のストローク規制体の間隔を大とした場合の外レールと内レールのストロークを示す説明図である。
【図12】図12は本実施例に係る免震装置における移動体の一対のストローク規制体の間隔を小とした場合の外レールと内レールのストロークを示す説明図である。
【図13】図13の上欄、下欄は、本実施例の免震装置上に2019N、5047Nの錘を載せストローク試験を行った場合の変位、力の関係を測定した結果を各々示すグラフであり、摩擦係数μが荷重に関係なくほぼ一定であることにより減衰性能が安定していることを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、設置場所の広狭に応じてレールの水平方向のストロークを簡易、かつ、自在に最適に設定可能で、減衰機能・転倒防止機能を持った特徴構成の基に、各種の被免震体に対する地震発生時における免震効果を高性能に実現する免震装置を提供し実現するという目的を、垂直配置で、かつ、平行配置に立設した一対の側片と、一対の側片の長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って対応配置に設けた中央を最低部とした(装置の転倒防止のための)一対ずつの円弧状長孔とを有する内レールと、内レールより広幅に形成されるとともに、垂直配置で、かつ、平行配置に立設した一対の側片と、一対の側片の長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って対応配置に設けた中央を最高部とした一対ずつの円弧状長孔とを有し、前記内レールと長さ方向中心を一致させつつ前記内レールの上部に各側片間に間隔を有しつつ配置され、かつ、各円弧状長孔が前記内レールの各円弧状長孔と対応する配置とした外レールと、前記内レール、外レールにおける各両側片において間隔を有しつつ対応する配置の各円弧状長孔を直交配置に貫通するローラ体支持軸と、このローラ体支持軸に対して内周に配置した(減衰力を発揮させるための)ベアリングを介して回転可能に支持されるとともに、対応する各円弧状長孔内にローラ部を嵌装させ、中央部に内レール、外レールの隣り合う側片間に位置させる前記ローラ部より大径のフランジを具備する一対のローラ体と、前記ローラ体支持軸の両側に所定の間隔を隔て平行配置するとともに、前記内レール、外レールにおける各両側片において間隔を有しつつ対応する配置の各円弧状長孔を直交配置に貫通するストローク規制体と、前記外レールの外側でローラ体支持軸、及びストローク規制体を各々固定配置に連結する一対の側片、固定具を用いた固定機構部と、を具備し、前記内レール、外レールの長さ方向の中心に関して対称配置の各円弧状長孔の領域に各々移動可能に配置する2台の移動体と、により免震レール体を構成し、前記免震レール体を4台用い、井桁状に組み合わせて2段構成とした免震構造体と、前記上側の2台の免震レール体上に配置した被免震体載置用の載置体と、を有し、前記載置体上の被免震体に対する一方向とこれと直交する他方向の免震を行うように構成した免震装置であって、前記内外レールにローラ体とストローク規制体を挿入、装着、配置することにより前記内外レールが分離することがないことをもって装置の転倒防止機能を発揮でき、また、地震発生時における前記外レールと内レールの相対移動に応じて前記ローラ体に装着したベアリングと、ローラ体支持軸との摩擦により地震動減衰力として作用するとともに、前記移動体におけるストローク規制体の間隔を大、小に変更した設定(簡易、かつ、自在に最適に設定可能で、減衰機能・転倒防止機能を持った特徴構成)とすることによって、前記外レール又は内レールのストロークを、免震装置の周囲スペースに応じて前記間隔が大のときに小さく、前記間隔が小のときに大きくなるように調整規制可能とし、また、各図に示すX方向、Y方向のストロークを自在に変えることができるようにした構成により実現した。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施例に係る免震装置について詳細に説明する。
【0015】
本実施例に係る免震装置1は、図1乃至図4に示すように、設置面上に配置される2台の免震レール体11、11を一定の間隔で平行配置とし、かつ、2台の免震レール体11、11上の両隅部に同一構成からなる2台の免震レール体11、11を一定の間隔で、かつ、直交する方向に平行配置して2段構成で井桁状の構造を有する免震構造体10を構成し、上側の2台の免震レール体11、11上に、被免震体載置用の平坦で中央部に開口13を設けた平坦な載置体12を配置して、地震発生時に、美術品、精密機器、コンピュータ装置等から選ばれる被免震体100に対する一方向(X1、X2方向)とこれと直交する他方向(Y1、Y2方向)の免震を行うように構成している。
【0016】
なお、前記載置体12の中央部に設けた開口13は、免震装置1上に設置する被免震体100が電源ケーブル等を有するような場合に、当該電源ケーブル等の挿通の便宜を図るものである。
【0017】
前記免震構造体10を構成する免震レール体11について、更に詳述する。
【0018】
前記免震レール体11は、断面形状が凹形状で、平坦な底片21から垂直上方に両側片22、22を立設し、前記両側片22、22に対してその長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って中央を最低部とした(装置の転倒防止のための)一対ずつの円弧状長孔23を対応配置に設けた所定長さの長尺の内レール24と、幅寸法が前記内レール24より広幅に形成されるとともに、断面が逆凹形状で、底片31から垂直下方に両側片32、32を立設し、前記両側片32、32に対してその長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って中央を最高部とした一対ずつの円弧状長孔33を対応配置に設け、前記底片31が前記内レール24の底片21と上下対向配置で、前記内レール24と長さ方向中心を一致させつつ長さ方向の中心に関して対称配置の前記各円弧状長孔23、33同士が各々対応配置(長さ方向中央部が合致する配置)となるように組み合わせる所定長さ(前記内レール24と同一長さ)の長尺の外レール34と、を具備している。
実施例に係る免震装置では、前記内外レールにローラ体とストローク規制体を挿入、装着、配置することにより前記内外レールが分離することがないことをもって、装置の転倒防止機能を発揮できる。
【0019】
また、前記免震レール体11は、前記内レール24、外レール34の各円弧状長孔23、33間にこれらの長さ方向に移動可能に介在させる2台構成の移動体41を備えている。
【0020】
前記移動体41は、図5乃至図7に示すように、前記内レール24、外レール34における各両側片22、32に設けた対応する各円弧状長孔23、33を貫通するとともに両端部にネジを設けたローラ体支持軸42と、このローラ体支持軸42に対して内周に配置した(減衰力を発揮させるための)例えばオイルレスベアリング44を介して回転可能に支持されるとともに、対応する各円弧状長孔23、33内にローラ部46を嵌装させ、中央部に内レール24、外レール34の隣り合う側片22、32間に位置させる前記ローラ部46より大径のフランジ45を具備する一対のローラ体43と、前記ローラ体支持軸42に関して各円弧状長孔23、33の長さ方向両側に所定の間隔を隔て平行配置するとともに、前記内レール24、外レール34における対応する配置の各両側片22、32の各円弧状長孔23、33を直交配置に貫通する図示例のような例えば一対のストローク規制体51、51と、前記各外レール34の外側で、前記ローラ体支持軸42、及び一対のストローク規制体51、51の各端部を各々固定配置に連結する一対の固定機構部61、61と、を具備している。
なお、図示する実施例では上記ストローク規制体51、51を一対として構成しているが、本発明においては、当該ストローク規制体を一対でない構成として実施しても良い。したがって、本発明においては、ストローク規制体を一対の構成のものに限定するものではない。また、図示例では、各ストローク規制体51、51の間にローラ体43を配置した構成としているが、本発明においては、当該ローラ体43をいずれか一方のストローク規制体51、51に代替して配置して、このローラ体43をストローク規制体として利用することも可能である。
【0021】
前記一対のストローク規制体51は、両側の外レール34、34から外方に突出する各端部に各々ネジを設けた一対のストローク規制軸52、52と、連結側片62と外レール34の接触を避けるためのスペーサ54と、前記円弧状長孔23、33内に臨ませせる緩衝部材の作用を発揮する円筒状の嵌装筒部55とを一体形成することにより構成し、前記スペーサ54が外レール34に当接し、前記嵌装筒部55が各円弧状長孔23、33内に臨む状態で前記各ストローク規制軸52、52の両側隅部に各々嵌装する例えば合計4個のゴム材等の弾性材からなる前記嵌装筒部55とを具備している。
【0022】
前記一対の固定機構部61は、両側の外レール34、34の外側で、中央部において前記ローラ体支持軸42の各端部を貫通させ、長さ方向両隅部に前記一対のストローク規制体51、51の各端部を貫通させる一対の長方形状の連結側片62、62と、前記ローラ体支持軸42の各端部のネジにワッシャ63を介在させつつ螺合するナット64と、前記各ストローク規制軸52、52の各端部のネジにワッシャ65を介在させつつ螺合するナット66と、を具備し、前記ローラ体支持軸42を一対の長方形状の連結側片62、62間に回転不能に連結している。本実施例の構成によれば、前記ストローク規制軸52、52でもって前記ローラ体支持軸42の回転を防止している。
前記ナット64、66、ワッシャ63、65により固定具を構成している。
【0023】
前記弾性材からなる前記嵌装筒部55は、前記移動体41のストローク規制軸52が前記円弧状長孔23、33の端部に至ったとき緩衝作用を発揮するものである。
【0024】
ここで前記移動体41における各々フランジ45を具備する一対構成の前記ローラ体43、43について、図8乃至図10を参照して詳述する。
【0025】
本実施例においては、一対のローラ体43におけるローラ部46、フランジ45の構成として以下の3態様いずれかから選定するものとしている。
【0026】
すなわち、第1の態様は、図8に示すように、前記一対のローラ体43、43を、双方とも一対の突き合わせフランジ45a、45aを接合させ個別回転する内周にベアリング44を配置した個別ローラ46a、46aからなるローラ部46を備える構成としたものである。
【0027】
第2の態様は、図9に示すように、前記一対のローラ体43、43のうちの一方を、一対の突き合わせフランジ45a、45aを接合させ個別回転する内周にベアリング44を各々配置した個別ローラ46a、46aからなるローラ部46とし、他方を一体型フランジ45bを用いて一体回転するローラ部46としたものである。
【0028】
第3の態様は、図10に示すように、前記一対のローラ体43、43を双方とも一体型フランジ45bを用いて各々一体回転する内周にベアリング44を配置したローラ部46としたものである。
【0029】
次に、本実施例において、前記免震レール体11を構成する移動体41における一対のストローク規制体51、51の間隔調整(円弧状長孔23、33の長さ方向の間隔調整)による前記外レール34又は内レール24のストロークの調整原理について、図11、図12を参照して説明する。
【0030】
ここで、前記円弧状長孔23、33の長さ寸法をL0(図4参照)とし、前記移動体41における一対のストローク規制体51、51の間隔をL1とする。
【0031】
図11に示すように、例えば内レール24がX1方向に移動する際、外レール34の円弧状長孔33は、内レール24の円弧状長孔23に対してX1方向に位置ずれする。
【0032】
このとき、前記内レール24の水平方向の最大ストロークS1は、基本的に前記円弧状長孔23、33の長さ寸法L0と、一対のストローク規制体51、51の間隔L1との差である(L0−L1)となる。
【0033】
一方、前記移動体41における一対のストローク規制体51、51の間隔を、図12に示すように、上記間隔L1より小さいL2(L2<L1)とすると、前記内レール24の水平方向の最大ストロークS2は、(L0−L2)となる。
【0034】
ここで、L2<L1であることから、前記内レール24の水平方向の最大ストロークS2は、図11に示す最大ストロークS1よりも大きくなる。
【0035】
すなわち、一対のストローク規制体51、51の間隔L1が大のときに前記外レール34の水平方向の最大ストロークS1は小さく、逆に一対のストローク規制体51、51の間隔L2が小さいきに前記外レール34の水平方向の最大ストロークS2はS1より大きくなる。
【0036】
前記内レール24がX2方向に移動するときも、上述した場合と同様である。
【0037】
また、このような関係は、本実施例における免震装置1における上側の2台の前記免震レール体11、11における内レール24がY1方向、Y2方向に移動する場合も同様である。
【0038】
この結果、本実施例の免震装置1を設置する箇所における周囲スペース(免震装置1自体のX1、X2方向の各外側スペース、Y1、Y2方向の各外側スペース)の広狭に応じて、例えば周囲スペースが狭い(小さい)場合には、一対のストローク規制体51、51の間隔をいずれも大きくした移動体41を備える4台の免震レール体11を用いて免震装置1を構成し、逆に、周囲スペースが広い(大きい)場合には、一対のストローク規制体51、51の間隔をいずれも小さくした移動体41を備える4台の免震レール体11を用いて免震装置1を構成することで、各々の場合に、特に周囲スペースが狭い場合に被免震体100が載置される前記外レール34が周囲の壁等に衝突して免震性能を損なうというような不都合な事態の発生を回避することができる。
【0039】
次に、本実施例の免震装置1における被免震体100の免震動作について説明する。
【0040】
本実施例の免震装置1において、地震発生時における一方向、例えばX1、X2方向の地震動に着目すると、下段の2台の免震レール体11、11における各内レール24のX1、X2方向の地震動に応じて、免震レール体11、11の各円弧状長孔23、33にわたって介在させた各移動体41のローラ体43に回転力が作用する。
【0041】
これにより、各移動体41が円弧状長孔23、33にガイドされつつX1、X2方向に往復動し、かつ、前記外レール34も前記載置体12上に載置した被免震体100とともに前記移動体41における上述したような一対のストローク規制体51、51の間隔で規制される範囲内のストロークでX1、X2方向に往復動する。
【0042】
このときの往復動は、被免震体100による荷重にかかわらず前記円弧状長孔23の曲率半径に応じた一定の周期となる。
【0043】
同時に、前記外レール34、被免震体100には、前記移動体41を介して前記円弧状長孔23の傾斜に応じた復原力(元の位置に戻ろうとする力)が常に作用する。
【0044】
一方、前記被免震体100の荷重は、外レール34の側片32から円弧状長孔33に嵌装したローラ体43、その内周のベアリング44を経て回転しないローラ体支持軸42に作用し、このときベアリング44とローラ体支持軸42の材質で定まる摩擦係数μと、前記被免震体100の荷重との積で定まる摩擦力が生じ、これにより、外レール34、従って被免震体100は、前記移動体41における一対のストローク規制体51、51の間隔で規制される範囲内のストロークでX1、X2方向に往復動しつつ徐々に振動が減衰し地震動終了後は元の位置に復帰する。
【0045】
以上の免震動作は、上段の2台の免震レール体11、11によるY1、Y2方向の免震動作についても同様である。
【0046】
ここで、上述した3態様のローラ部46及びフランジ45の構成別に摩擦減衰作用を考察する。
【0047】
図8に示す第1の態様の場合には、被免震体100の荷重は、外レール34の側片32から円弧状長孔33に嵌装したローラ体43の外側の個別ローラ46a、その内周のベアリング44を経て回転しないローラ体支持軸42に作用し、このときベアリング44とローラ体支持軸42とで定まる摩擦係数μに応じた摩擦力を受け、また、前記ローラ体43における内レール24側の前記円弧状長孔23に嵌装した個別ローラ46aの回転に伴いその内周のベアリング44と回転しないローラ体支持軸42とで定まる摩擦係数μに応じた摩擦力を受けて摩擦減衰作用を発揮する。
すなわち、本実施例の構成によれば、この装置に荷重がかかったとき、前記ローラ体43、ベアリング44を経て内レール24で当該荷重を受けて、摩擦係数μに応じた摩擦力を受けて摩擦減衰作用を発揮する構成になっている。
【0048】
図9に示す第2の態様の場合には、個別ローラ46a、46aを採用した一方のローラ部46においては、上述した第1の態様の場合と同様な摩擦減衰作用を発揮し、一体型フランジ45bを用いて一体回転構造を採用した他方のローラ部46の場合には、外レール34と内レール24との相対移動に伴うローラ部46の回転に応じてその内周の外レール34側、内レール24側の各ベアリング44と、回転しないローラ体支持軸42とで定まる摩擦係数μに応じた摩擦力を受けて摩擦減衰作用を発揮する。
【0049】
図10に示す第3の態様の場合には、前記ローラ体43、43の双方において、図9の一体回転構造を採用した他方のローラ部46の場合と同様な摩擦減衰作用を発揮する。
【0050】
以上説明したように、本実施例の免震装置1によれば、上述した4台の免震レール体11を井桁状に組み合わせたコンパクト、かつ、安価な構成で、免震装置1自体の設置場所の広狭に応じて外レール34(又は内レール24)の水平方向のストロークを簡易、かつ、自在に最適に設定可能で、減衰機能・転倒防止機能を持った特徴構成の基に、各種の被免震体100に対する地震発生時における免震効果を高性能に実現することが可能となる。
【0051】
また、本実施例の免震装置1によれば、前記免震レール体11における移動体41として、各々フランジ45を具備する一対構成のローラ体43、43を設けたものであるから、地震発生時、各フランジ45が内レール24の側片22、外レール34の側片32間に常に介在した状態でローラ体43、43が回転し、内レール24、外レール34が相対移動することになり、これにより、内レール24、外レール34の側片22、側片32間の間隔が維持され、内レール24と外レール34との接触を確実に防止でき、地震発生時における免震装置1の免震効果を確実に発揮させることができる。
【0052】
また、前記免震レール体11における移動体41として、上述したフランジ45を具備する一対構成のローラ体43、43を備えるとともに、外レール34の両側片32の外側で、ローラ体支持軸42、及び一対のストローク規制体51、51の各端部を各々固定配置に連結する連結側片62、62を含む一対の固定機構部61、61を備える構成としているので、特に外レール34の免震レール体11の長さ方向と直交する方向の位置規制が万全となり、外レール34が脱輪状態になることも回避でき、この点からも地震発生時における免震装置1の免震効果を確実に発揮させることができ、また、前記内外レールにローラ体とストローク規制体を挿入、装着、配置することにより前記内外レールが分離することがないことをもって、装置の転倒防止機能を発揮できる。
【0053】
更に、本実施例の免震装置1によれば、前記各免震レール体11における各々隣り合う内レール24の円弧状長孔23と、外レール34の円弧状長孔33とにわたって各々一本のローラ体支持軸42の両端部により回転可能に支持されたローラ体43を嵌装し、前記ローラ体支持軸42を連結側片62により固定支持した構造からなる2台構成の移動体41を採用しているので、各免震レール体11の骨組構造が強固なものとなり、このような免震レール体11を4台井桁状に組み合わせて構成した免震装置1自体の骨組構造も強固となって、これにより、地震発生時においても免震装置1上に設置する被免震体100の転倒防止を図る構造とすることができる。
【0054】
図13は、本実施例の免震装置1上に2019N、5047Nの錘(荷重)を載せ稼動試験を行った場合の変位、力の関係を測定した結果を示すものである。
【0055】
また、錘2019Nの場合には摩擦力f=75N、摩擦係数μ=0.029で、錘5047Nの場合には摩擦力f=150N、摩擦係数μ=0.027であり、摩擦係数μは錘の重量の相違にも拘わらず近似した値を示した。
この結果、本実施例の装置によれば、摩擦係数μが荷重に関係なくほぼ一定であることにより減衰性能が安定していることが分かった。
【0056】
ここに、摩擦力fは前記ローラ体43のベアリング44と移動体41におけるローラ体支持軸42との間に作用する摩擦力を意味し、摩擦係数μはベアリング44と移動体41におけるローラ体支持軸42との間の摩擦係数μを意味するものである。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の免震装置は、美術品、精密機器、コンピュータ装置等の各種被免震体、更には、木造家屋、鉄筋コンクリート構造物のような建造物等の免震用として広範に適用可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 免震装置
10 免震構造体
11 免震レール体
12 載置体
13 開口
21 底片
22 側片
23 円弧状長孔
24 内レール
31 底片
32 側片
33 円弧状長孔
34 外レール
41 移動体
42 ローラ体支持軸
43 ローラ体
44 ベアリング
45 フランジ
45a 突き合わせフランジ
45b 一体型フランジ
46 ローラ部
46a 個別ローラ
51 ストローク規制体
52 ストローク規制軸
54 スペーサ
55 嵌装筒部
61 固定機構部
62 連結側片
63 ワッシャ
64 ナット
65 ワッシャ
66 ナット
100 被免震体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直配置で、かつ、平行配置に立設した一対の側片と、一対の側片の長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って対応配置に設けた一対ずつの上向きの円弧状長孔とを有する内レールと、
前記内レールより広幅に形成されるとともに、垂直配置で、かつ、平行配置に立設した一対の側片と、一対の側片の長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って対応配置に設けた一対ずつの前記内レールの円弧状長孔と上下対称形状の円弧状長孔とを有し、前記内レールと長さ方向中心を一致させつつ前記内レールの上部に各側片間に間隔を有しつつ配置され、かつ、各円弧状長孔が前記内レールの各円弧状長孔と対応する配置とした外レールと、
前記内レール、外レールにおける各両側片において間隔を有しつつ対応する配置の各円弧状長孔を直交配置に貫通するローラ体支持軸と、このローラ体支持軸に対して内周に配置したベアリングを介して回転可能に支持されるとともに、対応する各円弧状長孔内にローラ部を嵌装させ、中央部に内レール、外レールの隣り合う側片間に位置させる前記ローラ部より大径のフランジを具備する一対のローラ体と、前記ローラ体支持軸の両側に所定の間隔を隔て平行配置するとともに、前記内レール、外レールにおける各両側片において間隔を有しながら対応する配置の各円弧状長孔を直交配置に貫通するストローク規制体と、前記外レールの外側でローラ体支持軸、及びストローク規制体を各々固定配置に連結する一対の側片、固定具を用いた固定機構部と、を具備し、前記内レール、外レールの長さ方向の中心に関して対称配置の各円弧状長孔の領域に各々移動可能に配置する2台の移動体と、
により免震レール体を構成し、
前記免震レール体を4台用い、井桁状に組み合わせて2段構成とした免震構造体と、
を有し、
前記免震構造体上の被免震体に対する一方向とこれと直交する他方向の免震を行うように構成した免震装置であって、
前記内外レールにローラ体とストローク規制体を挿入、装着、配置することにより前記内外レールが分離することがないことをもって装置の転倒防止機能を発揮でき、地震発生時における前記外レールと内レールの相対移動に応じて前記ローラ体に装着したベアリングと、ローラ体支持軸との摩擦により地震動減衰を行うとともに、
前記移動体におけるストローク規制体の間隔を大、小に変更した設定とすることによって、前記外レール又は内レールのストロークを、免震装置の周囲スペースに応じて前記間隔が大のときに小さく、前記間隔が小のときに大きくなるように調整可能とし、前記外レール又は内レールのストロークを簡易、かつ、自在に最適に設定できるように構成したことを特徴とする免震装置。
【請求項2】
垂直配置で、かつ、平行配置に立設した一対の側片と、一対の側片の長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って対応配置に設けた中央を最低部とした一対ずつの円弧状長孔とを有する内レールと、
前記内レールより広幅に形成されるとともに、垂直配置で、かつ、平行配置に立設した一対の側片と、一対の側片の長さ方向における中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って対応配置に設けた中央を最高部とした一対ずつの円弧状長孔とを有し、前記内レールと長さ方向中心を一致させつつ前記内レールの上部に各側片間に間隔を有しつつ配置され、かつ、各円弧状長孔が前記内レールの各円弧状長孔と対応する配置とした外レールと、
前記内レール、外レールにおける各両側片において間隔を有しつつ対応する配置の各円弧状長孔を直交配置に貫通するローラ体支持軸と、このローラ体支持軸に対して内周に配置したベアリングを介して回転可能に支持されるとともに、対応する各円弧状長孔内にローラ部を嵌装させ、中央部に内レール、外レールの隣り合う側片間に位置させる前記ローラ部より大径のフランジを具備する一対のローラ体と、前記ローラ体支持軸の両側に所定の間隔を隔て平行配置するとともに、前記内レール、外レールにおける各両側片において間隔を有しながら対応する配置の各円弧状長孔を直交配置に貫通するストローク規制体と、前記外レールの外側でローラ体支持軸、及びストローク規制体を各々固定配置に連結する一対の側片、固定具を用いた固定機構部と、を具備し、前記内レール、外レールの長さ方向の中心に関して対称配置の各円弧状長孔の領域に各々移動可能に配置する2台の移動体と、
により免震レール体を構成し、
前記免震レール体を4台用い、井桁状に組み合わせて2段構成とした免震構造体と、
前記上側の2台の免震レール体上に配置した被免震体載置用の載置体と、
を有し、
前記載置体上の被免震体に対する一方向とこれと直交する他方向の免震を行うように構成した免震装置であって、
前記内外レールにローラ体とストローク規制体を挿入、装着、配置することにより前記内外レールが分離することがないことをもって装置の転倒防止機能を発揮でき、地震発生時における前記外レールと内レールの相対移動に応じて前記ローラ体に装着したベアリングと、ローラ体支持軸との摩擦により地震動減衰を行うとともに、
前記移動体におけるストローク規制体の間隔を大、小に変更した設定とすることによって、前記外レール又は内レールのストロークを、免震装置の周囲スペースに応じて前記間隔が大のときに小さく、前記間隔が小のときに大きくなるように調整可能とし、前記外レール又は内レールのストロークを簡易、かつ、自在に最適に設定できるように構成したことを特徴とする免震装置。
【請求項3】
垂直配置で、かつ、平行配置に立設した一対の側片と、一対の側片の長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って対応配置に設けた中央を最低部とした一対ずつの円弧状長孔とを有する内レールと、
前記内レールより広幅に形成されるとともに、垂直配置で、かつ、平行配置に立設した一対の側片と、一対の側片の長さ方向における中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って対応配置に設けた中央を最高部とした一対ずつの円弧状長孔とを有し、前記内レールと長さ方向中心を一致させつつ前記内レールの上部に各側片間に間隔を有しつつ配置され、かつ、各円弧状長孔が前記内レールの各円弧状長孔と対応する配置とした外レールと、
前記内レール、外レールにおける各両側片において間隔を有しつつ対応する配置の各円弧状長孔を直交配置に貫通するローラ体支持軸と、このローラ体支持軸に対して内周に配置したベアリングを介して回転可能に支持されるとともに、対応する各円弧状長孔内にローラ部を嵌装させ、中央部に内レール、外レールの隣り合う側片間に位置させる前記ローラ部より大径のフランジを具備する一対のローラ体と、前記ローラ体支持軸の両側に所定の間隔を隔て平行配置するとともに、前記内レール、外レールにおける各両側片において間隔を有しながら対応する配置の各円弧状長孔を直交配置に貫通するストローク規制体と、前記外レールの外側でローラ体支持軸、及びストローク規制体を各々固定配置に連結する一対の側片、固定具を用いた固定機構部と、を具備し、前記内レール、外レールの長さ方向の中心に関して対称配置の各円弧状長孔の領域に各々移動可能に配置する2台の移動体と、
により免震レール体を構成し、
前記免震レール体を4台用い、井桁状に組み合わせて2段構成とし、
前記一対のローラ体を、双方とも一対の突き合わせフランジを用いた一対の個別回転する個別ローラの組み合わせ、一方を一対の突き合わせフランジを用いた一対の個別回転する個別ローラとし他方を一体型フランジを用いて一体ローラとした組み合わせ、又は、一対のローラ体の双方を一体型フランジを用いて一体ローラとした組み合わせのいずれかから選定する構造とした免震構造体と、
前記上側の2台の免震レール体上に配置した被免震体載置用の載置体と、
を有し、
前記載置体上の被免震体に対する一方向とこれと直交する他方向の免震を行うように構成した免震装置であって、
前記内外レールにローラ体とストローク規制体を挿入、装着、配置することにより前記内外レールが分離することがないことをもって装置の転倒防止機能を発揮でき、地震発生時における前記外レールと内レールの相対移動に応じて前記ローラ体に装着したベアリングと、ローラ体支持軸との摩擦により地震動減衰を行うとともに、
前記移動体におけるストローク規制体の間隔を大、小に変更した設定とすることによって、前記外レール又は内レールのストロークを、免震装置の周囲スペースに応じて前記間隔が大のときに小さく、前記間隔が小のときに大きくなるように調整可能とし、前記外レール又は内レールのストロークを簡易、かつ、自在に最適に設定できるように構成したことを特徴とする免震装置。
【請求項4】
断面が凹形状で、底片から垂直に立設する両側片に、その長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って中央を最低部とした一対ずつの円弧状長孔を対応配置に設けた内レールと、
前記内レールより広幅に形成されるとともに、断面が逆凹形状で、底片から垂直に立設する両側片に、その長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って中央を最低部とした一対ずつの円弧状長孔を対応配置に設け、前記内レールと長さ方向中心を一致させつつ前記内レールの上部に底片を前記内レールの底片と対向させつつ各側片間に間隔を有しつつ配置され、かつ、各円弧状長孔が前記内レールの各円弧状長孔と対応する配置とした外レールと、
前記内レール、外レールにおける各両側片において間隔を有しつつ対応する配置の各円弧状長孔を直交配置に貫通するローラ体支持軸と、このローラ体支持軸に対して内周に配置したベアリングを介して回転可能に支持されるとともに、対応する各円弧状長孔内にローラ部を嵌装させ、中央部に内レール、外レールの隣り合う側片間に位置させる前記ローラ部より大径のフランジを具備する一対のローラ体と、前記ローラ体支持軸の両側に所定の間隔を隔て平行配置するとともに、前記内レール、外レールにおける各両側片において間隔を有しつつ対応する配置の各円弧状長孔を直交配置に貫通する各円弧状長孔に対応する部分に弾性材を配置したストローク規制体と、前記外レールの外側でローラ体支持軸、及びストローク規制体を各々固定配置に連結する一対の側片、固定具を用いた固定機構部と、を具備し、前記内レール、外レールの長さ方向の中心に関して対称配置の各円弧状長孔の領域に各々移動可能に配置する2台の移動体と、
により免震レール体を構成し、
前記免震レール体を4台用い、井桁状に組み合わせて2段構成とし、
前記一対のローラ体を、双方とも一対の突き合わせフランジを用いた一対の個別回転する個別ローラの組み合わせ、一方を一対の突き合わせフランジを用いた一対の個別回転する個別ローラとし他方を一体型フランジを用いて一体ローラとした組み合わせ、又は、一対のローラ体の双方を一体型フランジを用いて一体ローラとした組み合わせのいずれかから選定する構造とした免震構造体と、
前記上側の2台の免震レール体上に配置した被免震体載置用の中央部に開口を設けた載置体と、
を有し、
前記載置体上の被免震体に対する一方向とこれと直交する他方向の免震を行うように構成した免震装置であって、
前記内外レールにローラ体とストローク規制体を挿入、装着、配置することにより前記内外レールが分離することがないことをもって装置の転倒防止機能を発揮でき、地震発生時における前記外レールと内レールの相対移動に応じて前記ローラ体に装着したベアリングと、ローラ体支持軸との摩擦により地震動減衰を行うとともに、
前記移動体におけるストローク規制体の間隔を大、小に変更した設定とすることによって、前記外レール又は内レールのストロークを、免震装置の周囲スペースに応じて前記間隔が大のときに小さく、前記間隔が小のときに大きくなるように調整可能とし、前記外レール又は内レールのストロークを簡易、かつ、自在に最適に設定できるように構成したことを特徴とする免震装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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