説明

入力操作装置および入力操作方法

【課題】手に障害を持つ操作者などでも所望の操作ボタンを簡単な操作で選択することができる入力操作装置および入力操作方法を提供する。
【解決手段】タッチパネル式の操作表示部に表示された操作ボタンが押下された状態で、操作表示部の次の箇所が押下された場合に、操作ボタンを選択するように制御する。操作表示部の操作ボタンを選択するときは、操作ボタンを押下しその状態で操作表示部の次の箇所を押下するだけの操作となるため、手に障害を持つ操作者などでも手や指に負担の掛からない楽な操作で操作ボタンを簡単に選択できるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル式の操作表示部を備えた入力操作装置、および、タッチパネル式の操作表示部を通して行う入力操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタや複写機、複合機などの画像形成装置は、操作パネルにLCD(Liquid Crystal Display)タッチパネルモジュールで構成された操作表示部(パネル操作部)が設けられており、操作表示部に表示された操作ボタンが操作者によって押下されると、操作ボタンに対する入力操作を受け付けて対応する動作モードを実行するようになっている。
【0003】
このようなタッチパネル式の操作表示部は、視覚障害者などには表示が見えにくく操作が困難であることから、操作ボタンの選択および確定の操作を容易にするための技術が取り入れられている。
【0004】
たとえば、視覚障害者などがタッチパネル式の操作表示部上に指を置いて操作表示部をなぞり、音声ガイダンスを聞きながら操作表示部に表示されている所望の操作ボタンを選択して操作ボタンを連続的に押下(ダブルクリック)すると、選択した操作ボタンが確定される技術や(たとえば、特許文献1参照)、同様に音声ガイダンスを頼りに選択した操作表示部内の操作ボタン(ソフトボタン)と、操作表示部とは別に設けられた決定スイッチ(ハードボタン)とを同時に押下すると、選択した操作ボタンが決定(確定)される技術がある(たとえば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−76476号公報
【特許文献2】特開2004−271748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の場合、視覚障害者にとってはユーザフレンドリーなインターフェース(入力操作装置)となり得るが、手や指に障害を持つ操作者(非健常者)などは、操作ボタンを連続的に押下する際に指先が狙いの操作ボタンからずれてしまう可能性があり、操作ボタンから外れた場合は誤操作を招いて望まない動作モードが実行されてしまうことになる。
【0007】
また特許文献2の場合は、操作表示部外に設けられた決定スイッチであっても、視覚障害者などは容易に見つけ出せない可能性があり、手に障害がある、さらには片手も不自由である操作者などにとっては、決定スイッチを容易に押下できない可能性がある。さらに、専用の決定スイッチを別途設ける必要があってコスト高となる問題もある。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、手に障害を持つ操作者などでも所望の操作ボタンを簡単な操作で選択することができる入力操作装置および入力操作方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0010】
[1]入力操作を行うための操作ボタンが表示される操作表示部と、
前記操作表示部に表示された操作ボタンが押下された状態で前記操作表示部の次の箇所が押下されると前記操作ボタンを選択する制御部と、
を備える
ことを特徴とする入力操作装置。
【0011】
[4]操作表示部に表示された操作ボタンが押下された状態で前記操作表示部の次の箇所が押下されると前記操作ボタンを選択する
ことを特徴とする入力操作方法。
【0012】
上記発明では、操作表示部に表示された操作ボタンが操作者によって押下され、その状態で操作表示部の次の箇所が押下されると操作ボタンが選択される。この操作ボタンおよび操作表示部の押下については、通常使われる指(指先)の他に、手の他の部位(手の腹、手の甲など)やこぶし、あるいはタッチペンなどを使用して行うことができる。また、操作表示部の次に押下する箇所については、既に押下されている箇所を除いた操作表示部内の任意の箇所(全領域)としてもよく、操作表示部内の指定された一部の箇所としてもよい。たとえば、先に押下している操作ボタン(既に押下されている箇所は除く)や他の操作ボタンを含む操作表示部内の全領域(操作表示部内の任意の箇所)、あるいは、先に押下している操作ボタンのみを除いた、他の操作ボタンと操作表示部内の空き領域を含む領域とする、あるいは、全ての操作ボタンを除いた操作表示部内の空き領域とするなどが可能である。
【0013】
これにより、操作ボタンを選択する場合は、操作ボタンを押下しその状態で操作表示部の次の箇所を押下するだけの操作となり、手に障害を持つ操作者などでも手や指に負担の掛からない楽な操作で操作ボタンを簡単に選択できるようになる。
【0014】
[2]前記制御部に制御されて音声を出力する音声出力部を更に備え、
前記制御部は、前記操作ボタンが押下されるとその操作ボタンの説明を前記音声出力部により音声出力させる
ことを特徴とする[1]に記載の入力操作装置。
【0015】
[5]前記操作ボタンが押下されるとその操作ボタンの説明を音声出力する
ことを特徴とする[4]に記載の入力操作方法。
【0016】
上記発明では、操作ボタンを押下するとその操作ボタンの名称、種類、機能などに関する説明が音声出力されるため、操作者はいずれの操作ボタンを押下しているかを聴覚を通じて確実に認識することができる。これにより、押下する操作ボタンを他に変えたり、操作ボタンを選択するために操作表示部の次の箇所を押下したりするなどの次の操作を迅速に行えるようになり、望まない操作ボタンを選択してしまうような誤操作も防止することができる。
【0017】
[3]前記制御部は、前記選択した操作ボタンを確定するための操作を要求し、前記操作表示部で前記確定の操作が行われると前記操作ボタンの選択を確定する
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の入力操作装置。
【0018】
[6]前記選択した操作ボタンを確定するための操作を要求し、前記操作表示部で前記確定の操作が行われると前記操作ボタンの選択を確定する
ことを特徴とする[4]または[5]に記載の入力操作方法。
【0019】
上記発明では、選択した操作ボタンを確定するための操作の要求が、たとえば、操作表示部による表示や音声出力などで通知され、操作者が操作表示部を通してその確定の操作を行うと操作ボタンが確定される。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る入力操作装置および入力操作方法によれば、手に障害を持つ操作者などでも所望の操作ボタンを簡単な操作で選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態に係る入力操作装置10の構成をブロック図で示している。入力操作装置10は、原稿を読み取って対応する画像を記録紙上に形成して出力するコピー機能や、スキャナ機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能などを備えたデジタル複合機などの画像形成装置に搭載されており、画像形成装置を操作するユーザなどからの入力操作を受け付ける機能を備えている。
【0023】
図1に示すように、入力操作装置10は、CPU(Central Processing Unit)11と、パネルドライバ12と、パネル操作部13と、音声出力ドライバ14と、スピーカ15と、記憶部16と、クロック発生器17とを備えている。
【0024】
CPU11は、演算処理機能を備えると共に、入力操作装置10および画像形成装置全体の動作を統括制御する制御部(中央演算処理装置)として機能する。
【0025】
パネル操作部13は、LCD(液晶ディスプレイ)18上に透光性を有するタッチパネル19が重ねられたLCDタッチパネルモジュールで構成されており、タッチパネル式の操作表示部として機能する。
【0026】
パネル操作部13のLCD18は、入力操作を行うための操作ボタンや操作の説明、画像形成装置の動作モードやエラーなどに関する画像の表示を行い、LCD18による表示画像はタッチパネル19を通して外部から視認可能とされている。
【0027】
タッチパネル19については、たとえば、一般的なアナログ抵抗膜方式を採用している。アナログ抵抗膜方式のタッチパネルは、所定の隙間を設けて上下に対向配置された上部フィルムと下部ガラスを備え、上部フィルムと下部ガラスの各々の対向面に透明導電物質が成膜されており、上部フィルムが押下されると透明導電膜同士が接触して通電する構造とされている。
【0028】
パネル面を構成するフィルム上での押下点(押下箇所)の検出については、たとえば、フィルム側にはパネル面に沿った左右方向(X方向)の両端に電極を設け、ガラス側にはパネル面に沿った上下方向(Y方向)の両端に電極を設けることで、X−Y方向での電圧印加と電位検出を可能に構成し、フィルム側電極に電圧を印加して(フィルム側透明導電膜の抵抗によってX方向に電位勾配が生じた状態)、接触点の電位(フィルム側透明導電膜の抵抗分布の変化)をガラス側電極を通して測定することにより、分圧によって押下点のX座標を検出する。またガラス側電極に電圧を印加して(ガラス側透明導電膜の抵抗によってY方向に電位勾配が生じた状態)、接触点の電位(ガラス側透明導電膜の抵抗分布の変化)をフィルム側電極を通して測定することにより、分圧によって押下点のY座標を検出する。このような原理によって、タッチパネル19は押下点の位置検出を行い、フィルムで構成されたパネル面が押下されると、検出した押下位置(X−Y座標)を示すアナログ信号をパネルドライバ12に入力する。
【0029】
パネルドライバ12は、パネル操作部13のLCD18に対する表示制御を行う機能と、パネル操作部13のタッチパネル19から入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する機能とを備えている。タッチパネル19の押下位置を示すアナログ信号は、パネルドライバ12によりデジタル信号に変換されてCPU11に入力される。
【0030】
スピーカ15は、アラーム音などを含む各種音声の出力を行い、音声出力ドライバ14は、スピーカ15に対する音声出力の制御を行う機能を備えている。
【0031】
記憶部16は、揮発性/不揮発性メモリやHDD(Hard Disk Drive)などを含んで構成されている。記憶部16の不揮発性メモリまたはHDDなどには、パネル操作部13のLCD18に画像として表示される表示データDAと、スピーカ15から音声として出力される音声データDBとが記憶されている。
【0032】
クロック発生器17は、一定時間の経過を計測するためのタイマーとして機能するものであり、内蔵のクロック発生回路によってクロック信号を生成し、生成したクロック信号をCPU11に入力する。
【0033】
図2は、画像形成装置に設けられた操作パネル20の外観図を示している。操作パネル20は、パネル本体21を備えており、パネル本体21に形成された矩形状の窓部22にパネル操作部13が配置され、パネル操作部13の左右に複数のボタン23(ハードボタン)が配設されている。
【0034】
ボタン23の種類としては、電源ボタン23A、スタートボタン23B、ストップボタン23C、リセットボタン23D、ボックスモードボタン23E、スキャンモードボタン23F、ファックスモードボタン23G、コピーモードボタン23H、数字/アルファベットボタン23I、ID(Identification)ボタン23Jなどが用意されている。
【0035】
また、画像形成装置は、ユーザ認証機能およびユーザ認証に基づいた入力モード切替機能を備えている。ユーザ認証機能が動作しているときには、入力されたID(パスワード)に基づいて、または図示しない指紋認証ユニットを使用して、ユーザの認証を行い、パネル操作部13の入力モードを「通常モード」または「サポートモード」に切り替えるようになっている。
【0036】
ユーザ認証を行うためのIDまたは指紋とユーザレベルの対応関係についてのデータベース情報は、入力操作装置10の記憶部16(図1参照)に記憶されていてもよいし、画像形成装置の外部にあって通信可能な認証サーバに記憶されていてもよい。
【0037】
図3(A)は、通常モードにてパネル操作部13に表示される画面(通常モード画面)の一例を示しており、図3(B)は、サポートモードにてパネル操作部13に表示される画面(サポートモード画面)の一例を示している。
【0038】
通常モードでは、パネル操作部13の画面に12種類のボタン25(ボタンA〜L)が4列3段のマトリクス状に配列されて表示されるようになっている。サポートモードでは、パネル操作部13の画面に6種類のボタン25(ボタンA〜F)が3列2段のマトリクス状に配列されて表示されるようになっており、たとえば、ボタン表示を切り替える操作を行うことで、他の6種類のボタン25(ボタンG〜L)が同様に3列2段のマトリクス状に配列されて切り替え表示されるようになっている(図示省略)。
【0039】
通常モードおよびサポートモードで表示される各ボタン25は、矩形状で全て同じ大きさ(面積)とされている。なお、サポートモードで表示するボタン25の大きさは、通常モードで表示するボタン25より大きくしてもよい。また、サポートモードで表示される各ボタン25は、パネル操作部13の画面枠との間隔が通常モードよりも大きくされている。
【0040】
詳細には、画面の上側に左右方向に沿って配列表示されたボタン25(ボタンA、B、C)の上縁と画面上枠24Aとの間隔L1、画面の下側に左右方向に沿って配列表示されたボタン25(ボタンD、E、F)の下縁と画面下枠24Bとの間隔L2、画面の左側に上下方向に沿って配列表示されたボタン25(ボタンA、D)の左縁と画面左枠24Cとの間隔L3、画面の右側に上下方向に沿って配列表示されたボタン25(ボタンC、F)の右縁と画面右枠24Dとの間隔L4は、全て、人の手の1本の指FIの幅寸法FW以上に設定されている(L1、L2、L3、L4≧FW)。これにより、パネル操作部13の画面には、マトリクス状に配列表示されたボタン25の周囲(上下左右)に、指1本分以上の空き領域が確保され、その空き領域は指で押下できるようになっている。
【0041】
なお、ここでの人の手の指1本の幅寸法については、たとえば、手の中で通常は一番細い小指とした場合が下限値となる。また、パネル操作部13を押下する指は通常、人差し指または中指であることから、上記の間隔L1〜4は、好ましくは人差し指の幅寸法または中指の幅寸法以上である。成人の手の人差し指または中指を基準とした場合は、指1本の幅FWは十数mm程度であるため、間隔L1〜L4は十数mm以上に設定することが好ましい。また後述するように、パネル操作部13の空き領域は指などで押下されるため、指による押下を考慮すると、間隔L1〜L4はより好ましくは20mm以上であり、さらに好ましくは25mm以上である。
【0042】
次に、入力操作装置10の動作と入力操作方法について説明する。
【0043】
本実施形態の画像形成装置では、操作パネル20に設けられたパネル操作部13の入力モードの切り替えがユーザ認証を経て行われる。そのため、画像形成装置を使用するユーザは、操作パネル20のIDボタン23Jを押下してIDモードに切り替え、数字/アルファベットボタン23Iを使用してID(パスワード)を入力する(図2参照)、または、指紋認証ユニットを使用して、ユーザ認証を行う。
【0044】
ユーザによってIDの入力または指紋の認証が行われると、画像形成装置では、装置内の記憶部16(図1参照)、または、装置外の通信可能な認証サーバに記憶されているデータベース情報に基づいて、IDまたは指紋の照合が行われユーザレベルが判断される。ユーザ認証の結果、一般ユーザ(健常者)と判断された場合は、パネル操作部13の入力モードが通常モードに設定され、手に障害を持つユーザ(非健常者)などと判断された場合は、サポートモードに設定される。
【0045】
図4は、入力操作装置10における通常モードの処理の流れを示している。
【0046】
通常モードでは、操作パネル20に設けられたパネル操作部13の画面に、図3(A)に示したように12種類のボタン25(ボタンA〜L)が表示される。ユーザが手の指先でいずれかのボタン25を押下すると(ステップS101)、パネル操作部13のタッチパネル19は押下された位置を示すアナログ信号を出力する。
【0047】
タッチパネル19から出力されたアナログ信号はパネルドライバ12に入力され、パネルドライバ12によりデジタル信号に変換されてCPU11に入力される。CPU11は、パネルドライバ12から入力されたデジタル信号に基づいて、いずれのボタン25が押下されたかを判別し、押下されたと判断したボタン25を確定(決定)する(ステップS102)。そして、確定したボタン25に対応する動作モードを実行するよう画像形成装置を制御し、処理を終了する(終了)。
【0048】
図5は、入力操作装置10におけるサポートモードの処理の流れを示している。また、図6および図7は、サポートモードでのボタンの選択操作方法を示し、図8および図9は、サポートモードでのボタンの確定操作方法を示している。
【0049】
サポートモードでは、操作パネル20に設けられたパネル操作部13の画面に、図3(B)に示したように6種類のボタン25(ボタンA〜FまたはボタンG〜L)が表示される。ユーザが手の指先などでいずれかのボタン25を押下すると(ステップS111)、通常モードと同様に、パネル操作部13のタッチパネル19からは押下位置を示すアナログ信号が出力され、そのアナログ信号はパネルドライバ12によりデジタル信号に変換されてCPU11に入力される。
【0050】
CPU11は、パネルドライバ12から入力されたデジタル信号に基づいて、押下されたボタン25を判別し、クロック発生器17から入力されるクロック情報に基づいて、ボタン25に対する押下が規定時間行われているか否かを判断する(ステップS112)。この規定時間については、秒(sec)単位の設定を基本とするが、ミリ秒(msec)単位で設定するようにしてもよい。
【0051】
規定時間が経過する前にユーザがボタン25から指を離したり、指の位置をボタン25の外へ移動させたりすると、そのボタン25に対する押下は解除され(ステップS112;N)、ステップ111に戻って、いずれかのボタン25が再び押下されるのを待機する状態になる。
【0052】
ボタン25の押下が規定時間継続されると(ステップS112;Y)、そのボタン25は仮選択され(ステップS113)、CPU11は、仮選択したボタン25の説明に関する音声データDBを記憶部16から読み出して音声出力ドライバ14に入力する。音声出力ドライバ14は、入力された音声データDBを用いてスピーカ15から、押下されたボタン25の説明、たとえば、名称、種類、機能などに関する説明を音声ガイドで出力する。この音声ガイドを通して、ユーザにはボタン25を仮選択したことが通知される(ステップS114)。また、音声ガイドに代えてアラーム音などによって通知するようにしてもよい。音声ガイドの場合は、たとえば、「ボタンDはXXモード設定キーです。」などで通知される。
【0053】
手に障害を持つユーザなどがパネル操作部13で入力操作を行う場合は、所望のボタン25を一度の動作でスムーズに押下することができず、指先がずれて他のボタン25やパネル操作部13内の空き領域に触れてしまう可能性がある。また、ボタン25と空き領域の境界付近における空き領域寄りを押下してしまって、装置側でボタン25が押下されていると判断されないようなことも起こりえる。そのようなときは、パネル操作部13上をなぞるようにして指先を移動させ、ボタン25を規定時間押下する度に音声出力されるボタン25の説明を聞きながら、所望のボタン25を探し出して正確に押下することができる。
【0054】
ボタン25の仮選択とその通知を行うと、CPU11は、パネル操作部13の画面に表示している各ボタン25の役割を無効にするよう(ボタン領域の無効化)、内部の処理を切り替え(ステップS115)、パネル操作部13に対する押下状態が継続されているか否かを判断する(ステップS116)。このボタン領域を無効化した状態で、次にパネル操作部13が押下されると、CPU11は、各ボタン25および空き領域の何処が押下されても、押下位置は問わずに押下されたことのみの検出判断を行う。
【0055】
ここでユーザがパネル操作部13から指を離すと、パネル操作部13のタッチパネル19から出力されていた押下位置を示すアナログ信号が消滅し、そのことを示すデジタル信号がパネルドライバ12からCPU11へ入力される。これを受けてCPU11は、ユーザによるパネル操作部13への押下(仮選択したボタン25への押下)が解除されたと判断し(ステップS116;Y)、規定時間押下されたボタン25に対して行った仮選択を解除すると共に、各ボタン25の役割を有効に戻す内部処理を行って、ステップ111に戻り、ボタン25の再押下を受け付ける待機状態にする。
【0056】
ユーザによってパネル操作部13が押下され続けている場合(ステップS116;N)、CPU11は、パネル操作部13の次の箇所が押下されたか否かを判断する(ステップS117)。
【0057】
パネル操作部13の次の箇所が押下されない場合は(ステップS117;N)、ステップS116に戻る。パネル操作部13の次の箇所が押下された場合は(ステップS117;Y)、仮選択したボタン25が選択され(ステップS118)、CPU11は、ボタン25の選択に関する音声データDBを記憶部16から読み出して音声出力ドライバ14に入力する。音声出力ドライバ14は、入力された音声データDBを用いてスピーカ15から、押下されたボタン25が選択されたことを音声ガイドやアラーム音などで出力し、ユーザに通知する(ステップS119)。
【0058】
ステップS117によるパネル操作部13に対して行われる2度目の押下の検出については、たとえば、タッチパネル19が押下されたときに出力されるアナログ信号がX−Y座標にて非連続(瞬時)に移動するような出力を示した場合に、1箇所が押下された状態で2箇所目が押下されたと判断できる。
【0059】
アナログ抵抗膜方式のタッチパネル19では、たとえば、複数箇所が同時に押下された場合は、X−Y座標上でアナログ信号のピークが複数箇所現れる。この複数のアナログ信号のピークを平均化し、X−Y座標上における複数箇所の中心1箇所の座標を算出して、その中心1箇所が押下されているものと判断するような処理を行っている場合は、1箇所目が押下された状態で2箇所目が押下されると、アナログ信号の出力がX−Y座標上で、1箇所目の押下点を示す座標から、1箇所目と2箇所目の中心を示す座標へと非連続(瞬時)に移動する。
【0060】
たとえば、パネル操作部13上から指を離さずにスライドさせて押下している箇所を移動させたような場合は、アナログ信号の出力がX−Y座標上で連続的に移動する。また、先に押下した1箇所目から指が離れた後に2箇所目を押下した場合や、1箇所目から指が離れた後に複数箇所を同時に押下したような場合は、アナログ信号の出力が一旦途切れてからまた現れるようになる。そのため、パネル操作部13上で指が移動されたり、パネル操作部13から指が離れた後に再度押下されたりした場合と、1箇所目が押下された状態で2箇所目が押下された場合とでは、信号出力のX−Y座標上での移動や現れ方などの現象(出力変化)が異なるため識別可能である。
【0061】
図6は2本の指を用いてボタン25を選択操作する場合の例である。図6(A)に示すように、指FI1でボタンDを押下し、そのまま規定時間押下し続けると、ボタンDが仮選択される。そして、図6(B)に示すように、ボタンDを押下している指FI1と同じ手または他の手の指FI2でパネル操作部13の任意の箇所(図6(B)の例ではボタンDの左側の空き領域)を押下すると、ボタンDが選択される。また、パネル操作部13の画面に表示される各ボタン25と画面枠との間には指1本分以上の間隔が確保されているため、たとえば、右手の中指(FI1)でボタンAやボタンDを押下した場合でも、中指(FI1)を右側へずらすなどせずに、そのまま右手の人差し指(FI2)でボタンAやボタンDの左側の空き領域を容易に押下することができる。反対側のボタンCやボタンFを右手の人差し指(FI1)で押下した場合も同様に、人差し指(FI1)を左側へずらすなどせずに、そのまま右手の中指(FI2)でボタンCやボタンFの右側の空き領域を容易に押下することができる。
【0062】
また、図7は両手でボタン25を選択操作する場合の例である。図7(A)に示すように、右手の指FIでボタンCを押下し、そのまま規定時間押下し続けると、ボタンCが仮選択される。そして、図7(B)に示すように、左手LHでパネル操作部13の任意の箇所(図7(B)の例では、ボタンD、Eを含むパネル操作部13の左下領域)を押下すると、ボタンCが選択される。
【0063】
ボタン25の選択とその通知を行うと、CPU11は、選択したボタン25を確定するための操作を要求する(ステップS120)。この操作の要求は、パネル操作部13に表示してもよく、スピーカ15から音声ガイドやアラーム音などで出力してもよい。
【0064】
パネル操作部13に表示する場合は、たとえば、図8(A)に示すように、パネル操作部13の画面に、選択したボタン25を確定(最終決定)するか否かの確認と、確定するために必要な操作の説明とが確認メッセージMとして表示される。図8(A)の例は、選択したボタン25を確定するためにパネル操作部13をダブルクリックする必要がある場合であり、図示のように、パネル操作部13の画面には、「最終決定の確認です。確定する場合は、操作パネルを指でダブルクリックして下さい。」といった確認メッセージMが表示される。また、確定の操作方法を操作マニュアルやヘルプ画面などを通して別途案内している場合には、その操作を促す表示やアラーム音などを使用してユーザに確定操作を要求するようにしてもよい。
【0065】
選択したボタン25の確定または選択の取り消しを行う操作は、ダブルクリックを行うか否かといった操作の他にも、たとえば、確定する場合はパネル操作部13の右側(画面の右半分)にタッチし、取り消す場合はパネル操作部13の左側(画面の左半分)にタッチする(図9参照)、あるいは、確定する場合はパネル操作部13上に「○」を描き、取り消す場合はパネル操作部13上に「×」を描く、などとしてもよい。そのような操作方法に対しても同様に、パネル操作部13による表示やスピーカ15からの音声出力によって、選択したボタン25を確定するか否かの確認や、確定するための操作の説明などがユーザに通知される。
【0066】
選択したボタン25を確定するための操作の要求が行われると、CPU11は、要求した確定操作が行われるか否か、または、取り消し操作が行われるか否かを判断する(ステップS121)。
【0067】
ユーザが確定操作を所定時間内に行わない場合、あるいは、選択を取り消す操作を行った場合は(ステップS121;N)、ボタン25の選択を取り消すと共に、ステップS115で無効化した各ボタン25の役割を有効に戻す内部処理を行って、ステップS111に戻り、ボタン25の再押下を受け付ける待機状態にする。
【0068】
ユーザが確定操作を行った場合は(ステップS121;Y)、選択したボタンが確定(最終決定)される(ステップS122)。たとえば、図8(B)に示すように、指FIでパネル操作部13をダブルクリックすると選択したボタンDが確定され、所定時間内にダブルクリックを行わなければボタンDの選択が取り消される。また、図9(A)に示すように、指FIでパネル操作部13の右側にタッチすると、選択したボタンDが確定され、図9(B)に示すように、指FIでパネル操作部13の左側にタッチすると、ボタンDの選択が取り消される。
【0069】
ボタン25が確定されると、CPU11は、ボタン25の確定に関する音声データDBを記憶部16から読み出して音声出力ドライバ14に入力する。音声出力ドライバ14は、入力された音声データDBを用いてスピーカ15から、選択したボタン25が確定されたことを音声ガイドやアラーム音などで出力し、ユーザに通知する(ステップS123)。音声ガイドの場合は、たとえば、「ボタンDのXXのモード設定キーの選択が確定されました。」などで通知される。そしてCPU11は、確定したボタン25に対応する動作モードを実行するよう画像形成装置を制御し、処理を終了する(終了)。
【0070】
このように、本実施形態の入力操作装置10では、サポートモードにてユーザがパネル操作部13に表示されたボタン25を選択するには、パネル操作部13内のボタン25を押下し、その状態でパネル操作部13の次の箇所を押下するだけの操作となる。このパネル操作部13内で2度目に押下する箇所は、指定が無くパネル操作部13内の任意の箇所でよいため、手に障害を持つユーザなどにとっても、手や指に負担の掛からない楽な動作でパネル操作部13内の押下しやすい適当な箇所を押下することができる。
【0071】
たとえば、片手(腕)が不自由であるなどにより、ボタン25を押している方の手の他の指でパネル操作部13を押すような場合は、ボタン25を押している指を支えにして手を安定させ、他の指を軽く下ろすだけでパネル操作部13を押すことができる。また、他の指を動かさなくても手を少し傾けるだけで他の指によりパネル操作部13を押すこともできる。そのため、動かしやすい方の手だけを使って先にボタン25を押し、そのまま手や指に力を入れることなく少ない動きで次にパネル操作部13を容易に押すことができる。
【0072】
また、両手を動かせるが個々の指をうまく動かせないような場合は、一方の手の1本または2本以上の指、あるいは手の腹などでボタン25を押し、その状態で、他方の手の1本または2本以上の指、あるいは手の腹などでパネル操作部13を押すだけでよく、個々の指をさほど動かさなくても両手の動きだけでパネル操作部13内の2箇所(ボタン25およびパネル操作部13の任意の箇所)に触れることができる。
【0073】
また、ボタン25を選んでいるときは、ボタン25を規定時間押下するとそのボタン25の説明が音声出力されるため、ユーザはいずれのボタン25を押下しているかを確実に認識できる。そのため、押下するボタン25を他に変えたり、ボタン25を選択するためにパネル操作部13内の次の箇所を押下したりするなどの次の操作を迅速に行えるようになり、望まないボタン25を選択してしまうような誤操作も防止することができる。
【0074】
また、視覚に障害を持つユーザなどでも、パネル操作部13に触れながら音声による説明を聞いて所望のボタン25を探し出し、ボタン25を選択するときは、凡その検討でパネル操作部13内の適当な箇所を押下するだけでよいため、簡単な操作で所望のボタン25を選択できるようになる。
【0075】
また、ボタン25が選択されると、パネル操作部13による表示や音声出力などで確定のための操作の要求が行われ、ユーザによりパネル操作部13を通してその確定の操作が行われるとボタン25が確定され、確定の操作が行われない、または、取り消しの操作が行われると、ボタン25の選択は取り消される。これにより、操作途中でのミスタッチなどにより望まないボタン25を誤って選択してしまった場合でも、簡単に選択を解除でき、ボタン25の再選択などが迅速に行えるようになる。
【0076】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0077】
たとえば、実施の形態では、入力操作装置10が備えるパネル操作部13のタッチパネル19は汎用のアナログ抵抗膜方式としているが、マトリクス抵抗膜方式や、同時に押下された複数箇所を各々X−Y座標で独立して検出できる多点検出(多点認識)機能を備えた光学式(赤外線方式)などの他の方式のタッチパネルを用いるようにしてもよい。
【0078】
多点検出機能を備えたタッチパネルの場合は、パネル操作部13上で同時に押下されている複数箇所を各々X−Y座標で独立して検出できるため、1箇所目の押下を検出した後に、X−Y座標上で1箇所目とは独立した2箇所目の押下を検出することができる。したがって、実施の形態で説明したようなX−Y座標上でのアナログ信号出力の非連続的な移動による検出を用いなくても、1箇所目が押下された状態で2箇所目が押下されたことを識別できる。
【0079】
また、実施の形態で説明したサポートモードでは、押下したボタン25は仮選択、選択、確定のプロセスを経て最終的に決定されるようにしているが、確定のプロセスを省いて仮選択から選択までのプロセスで最終決定されるようにしてもよい。
【0080】
また、ボタン25が仮選択されるとボタン領域を無効化して、ボタン25の選択操作を行うときはパネル操作部13内の任意の箇所を押下できるようにしているが、パネル操作部13内の指定の箇所が押下されることでボタン25が選択されるようにしてもよい。たとえば、仮選択されたボタン25のみを無効化することで、パネル操作部13内の空き領域と他のボタン25の領域とを指定の押下箇所にする、あるいは、ボタン領域を無効化しないことで、パネル操作部13内の空き領域を指定の押下箇所にするなどが可能である。また、パネル操作部13内の空き領域のみを指定の押下箇所とした場合でも、実施の形態では、サポートモードでパネル操作部13の画面に表示される各ボタン25と画面枠との間には指1本分以上の間隔が確保されているため、パネル操作部13内の空き領域を選んで押下する操作は容易に行えるようになる。
【0081】
また、押下したボタン25の仮選択(ボタンの説明)、選択、確定が行われたことをユーザに音声ガイドやアラーム音などで通知するようにしているが、この音声出力は行わないようにしてもよい。また、音声出力のオン/オフを切り替えられるように構成し、ユーザが音声出力のオン/オフを選択できるようにしてもよい。
【0082】
また、パネル操作部13の入力モード(通常モード/サポートモード)は、ユーザ認証を行って切り替えるようにしているが、ユーザ認証による自動切り替えの他に、手動で切り替えるモードを設けてユーザが入力モードを任意に選択できるようにしてもよい。
【0083】
また、本発明は実施の形態で説明したデジタル複合機などの画像形成装置に搭載された入力操作装置、および、画像形成装置における入力操作方法に限らず、タッチパネル式の操作表示部を備えた入力操作装置、および、タッチパネル式の操作表示部を通して行う入力操作方法であれば適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施の形態に係る入力操作装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る操作パネルを示す外観図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るパネル操作部に表示される、(A)は通常モード画面を示す図、(B)はサポートモード画面を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る通常モードの処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係るサポートモードの処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】サポートモードにてパネル操作部に表示された複数のボタンの中から、(A)はボタンDを押下している状態を示す図、(B)はボタンDの選択操作を行っている状態を示す図である。
【図7】サポートモードにてパネル操作部に表示された複数のボタンの中から、(A)はボタンCを押下している状態を示す図、(B)はボタンCの選択操作を行っている状態を示す図である。
【図8】(A)はサポートモードにて選択したボタンを確定するためにパネル操作部に表示された確認メッセージを示す図、(B)は確認メッセージに従い選択したボタンの確定操作を行っている状態を示す図である。
【図9】(A)はサポートモードにて選択したボタンの確定操作を行っている状態を示す図、(B)は選択したボタンの取り消し操作を行っている状態を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
10…入力操作装置
11…CPU
12…パネルドライバ
13…パネル操作部
14…音声出力ドライバ
15…スピーカ
16…記憶部
17…クロック発生器
18…LCD
19…タッチパネル
20…操作パネル
21…パネル本体
22…窓部
23…ボタン
24A…画面上枠
24B…画面下枠
24C…画面左枠
24D…画面右枠
25…ボタン
DA…表示データ
DB…音声データ
FI…指
FI1、FI2…指
LH…左手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力操作を行うための操作ボタンが表示される操作表示部と、
前記操作表示部に表示された操作ボタンが押下された状態で前記操作表示部の次の箇所が押下されると前記操作ボタンを選択する制御部と、
を備える
ことを特徴とする入力操作装置。
【請求項2】
前記制御部に制御されて音声を出力する音声出力部を更に備え、
前記制御部は、前記操作ボタンが押下されるとその操作ボタンの説明を前記音声出力部により音声出力させる
ことを特徴とする請求項1に記載の入力操作装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記選択した操作ボタンを確定するための操作を要求し、前記操作表示部で前記確定の操作が行われると前記操作ボタンの選択を確定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の入力操作装置。
【請求項4】
操作表示部に表示された操作ボタンが押下された状態で前記操作表示部の次の箇所が押下されると前記操作ボタンを選択する
ことを特徴とする入力操作方法。
【請求項5】
前記操作ボタンが押下されるとその操作ボタンの説明を音声出力する
ことを特徴とする請求項4に記載の入力操作方法。
【請求項6】
前記選択した操作ボタンを確定するための操作を要求し、前記操作表示部で前記確定の操作が行われると前記操作ボタンの選択を確定する
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の入力操作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−204275(P2008−204275A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−41071(P2007−41071)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】