説明

入力表示装置、入力表示方法、コンピュータプログラム及び記録媒体

【課題】小さな文字であっても入力受付及び表示が確実、且つ簡単に行われる入力表示装置、入力表示方法、コンピュータプログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】表示部、音声受付手段及び前記表示部の表示画面上の位置指定を受け付ける位置指定受付手段を備える入力表示装置において、前記位置指定受付手段が受け付けた位置指定に基づき、前記音声受付手段が受け付けた音声のテキストデータに係る文字の前記表示部への表示属性が決定され、該表示属性に基づき前記文字が表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字の入力を受け付けて表示する入力表示装置、入力表示方法及びコンピュータプログラム並びに該コンピュータプログラムを記録している記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LCDモニタが大型化され、該LCDモニタにタッチパネル技術が加わることによって、いわゆる電子黒板としての利用が可能になった。
【0003】
電子黒板としての利用においては、多くの場合、利用者が大型モニタの前に立って指先又はペンを用いてタッチパネルをタッチ操作するのでキーボードを併用することが難しいことから、タッチパネル上の指先又はペンで触れている箇所に点を描画し、又は所定時間ごとに繰り返してタッチ操作の有無を検知して得られる複数の接触座標を線で結ぶことにより文字、図形等を描画する方法が一般に用いられている。
【0004】
一方、特許文献1には、コマンド操作までも音声で行うことにより、キーボード等の機械的入力手段を操作することなく音声だけでコンピュータのインタフェースを操作する、いわゆるハンドフリーで文字入力が可能な音声入力モード変換システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−295884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した電子黒板においては、タッチパネルの座標検知精度及び反応速度が劣る上に、LCD面とタッチパネル面との間に距離があるなど、幾つかの要因によって正確に軌跡を描くことが困難であり、このため小さな文字を書くことが困難であり、たとえ書けたとしてもそれを視認できないという問題がある。
【0007】
また、電子黒板にできる便利な機能として、入力済の図形を後で移動、拡縮等できる編集機能が付いているものの、文字又は文章を1つのまとまりとして正確に認識することが困難であるので、利用者が夫々の文字又は文章の編集を手作業で行う必要がある。これに対しては、操作の時間間隔に閾値を設けてまとまりを認識する機能、図形をOCR処理により文字へ変換する機能等も考案されているが、その精度が十分とは言えない。特許文献1の音声入力モード変換システムにおいても、このような問題を解決することは出来ない。
【0008】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、表示部、音声受付手段(音声受付部)及び前記表示部の表示画面上の位置指定を受け付ける位置指定受付手段(位置指定受付部)を備える入力表示装置において、前記位置指定受付手段(位置指定受付部)が受け付けた位置指定に基づき、前記音声受付手段(音声受付部)が受け付けた音声のテキストデータに係る文字の前記表示部への表示属性が決定され、該表示属性に基づき前記文字が表示されることにより、小さな文字であっても入力受付及び表示が確実、且つ簡単に行われる入力表示装置、入力表示方法、コンピュータプログラム及び記録媒体を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、前記位置指定受付手段が受け付けた位置指定に基づき、所定範囲内の文字を一括として記憶することにより、例えば、一つの文として記憶することにより、利用者の必要に応じて文字又は文章を1つのまとまりとして正確に認識することが出来る入力表示装置、入力表示方法、コンピュータプログラム及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る入力表示装置は、表示部と、音声を受け付けてテキストデータに変換する音声受付手段と、前記表示部の表示画面上の位置指定を受け付ける位置指定受付手段とを備え、文字の入力を受け付けて表示する入力表示装置において、前記位置指定受付手段が受け付けた位置指定に基づき、前記テキストデータに係る文字の表示属性を決定する属性決定手段を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、前記音声受付手段が受け付けた音声のテキストデータに係る文字を前記表示部に表示する際、前記位置指定受付手段が受け付けた位置指定に基づき、前記属性決定手段が前記文字の表示属性を決定する。該文字は前記前記属性決定手段によって決定された表示属性に基づき、前記表示部に表示される。
【0012】
本発明に係る入力表示装置は、前記属性決定手段は前記文字の表示の開始終了位置を決定するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、前記属性決定手段は、前記位置指定受付手段が受け付けた位置指定に基づき、前記音声受付手段が受け付けた音声のテキストデータに係る文字の表示の開始終了位置を決定する。該文字は前記前記属性決定手段によって決定された開始終了位置に基づき、前記表示部に表示される。
【0014】
本発明に係る入力表示装置は、前記属性決定手段は前記文字のフォントサイズを決定するように構成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、前記属性決定手段は、前記位置指定受付手段が受け付けた位置指定に基づき、前記音声受付手段が受け付けた音声のテキストデータに係る文字のフォントサイズを決定する。該文字は前記属性決定手段によって決定されたフォントサイズに基づき、前記表示部に表示される。
【0016】
本発明に係る入力表示装置は、前記属性決定手段は前記文字からなる文字列の向きを決定するように構成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、前記属性決定手段は、前記位置指定受付手段が受け付けた位置指定に基づき、前記音声受付手段が受け付けた音声のテキストデータに係る文字からなる文字列の向きを決定する。該文字列は前記属性決定手段によって決定された向きに基づき、前記表示部に表示される。
【0018】
本発明に係る入力表示装置は、前記属性決定手段は前記文字の表示の開始位置及び終了位置間の距離に基づき、該文字のフォントサイズを決定するように構成されていることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、例えば、前記属性決定手段は、前記表示の開始位置及び終了位置間の距離を、前記音声受付手段が受け付けた音声のテキストデータに係る文字(又は文字列)の長さに割ることによって、当該文字のフォントサイズを決定する。
【0020】
本発明に係る入力表示装置は、前記開始終了位置による範囲内の文字を一括して記憶する記憶手段を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、前記記憶手段が、前記開始終了位置による範囲内、換言すれば、前記表示の開始位置から終了位置までの範囲内の文字を一括して記憶する。例えば、前記記憶手段は、前記表示の開始位置から終了位置までの範囲内の文字を一つの文章として記憶する。
【0022】
本発明に係る入力表示方法は、表示部、音声を受け付けてテキストデータに変換する音声受付部、及び前記表示部の表示画面上の位置指定を受け付ける位置指定受付部を備える入力表示装置にて、文字の入力を受け付けて表示する入力表示方法において、受け付けた位置指定に基づき、前記テキストデータに係る文字の表示属性を決定する属性決定ステップと、該属性決定ステップにて決定された表示属性に基づき、前記テキストデータに係る文字を表示する表示ステップとを含むことを特徴とする。
【0023】
本発明に係るコンピュータプログラムは、表示部、音声を受け付けてテキストデータに変換する音声受付部、及び前記表示部の表示画面上の位置指定を受け付ける位置指定受付部を備える入力表示装置を構成するコンピュータに、文字の入力を受け付けて表示させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、受け付けた位置指定に基づき、前記テキストデータに係る文字の表示属性を決定させる属性決定ステップと、コンピュータに、前記属性決定ステップにて決定された表示属性に基づき、前記テキストデータに係る文字を表示させる表示ステップとを実行させることを特徴とする。
【0024】
本発明にあっては、前記音声受付部が受け付けた音声のテキストデータに係る文字を前記表示部に表示する際、前記位置指定受付部が受け付けた位置指定に基づき、前記文字の表示属性が決定される。該文字は決定された表示属性に基づき、前記表示部に表示される。
【0025】
本発明に係る記録媒体は、前述の発明のコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とする。
【0026】
本発明にあっては、前記記録媒体に前述のコンピュータプログラムを記録する。コンピュータが前記記録媒体からコンピュータプログラムを読み出して、前述の入力表示装置及び入力表示方法がコンピュータにより実現される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、たとえ入力される文字が小さな文字であっても、該文字の受付及び表示を確実、且つ簡単に行うことが出来る。
【0028】
本発明によれば、利用者の必要に応じて、利用者によって入力された文字又は文章を1つのまとまりとして正確に認識することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態1の電子黒板装置の要部構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1の電子黒板装置の表示部及びペン入力部の構成を説明する説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1の電子黒板装置における、文字の入力の受け付け及び表示の処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態1の電子黒板装置における、文字の入力の受け付け及び表示の処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態1の電子黒板装置による処理過程を示す例示図である。
【図6】本発明の実施の形態2の電子黒板装置の要部構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(実施の形態1)
以下に、本発明の実施の形態に係る、入力表示装置、入力表示方法、コンピュータプログラム及び記録媒体を、いわゆる電子黒板装置に適用した場合を例として、図面に基づいて詳述する。
【0031】
図1は本発明の実施の形態1の電子黒板装置100の要部構成を示す機能ブロック図である。電子黒板装置100はCPU1、ROM2及びRAM3を備えている。
【0032】
ROM2には各種の制御プログラム(例えば、電子黒板アプリケーション、描画用アプリケーション、音声受付用アプリケーション等)が予め格納されており、RAM3はデータを一時的に記憶し、記憶順、記憶位置等に関係なく読み出すことが可能である。また、RAM3は、例えば、ROM2から読み出されたプログラム、該プログラムを実行することにより発生する各種データ等を記憶する。また、RAM3には後述する座標履歴を記憶する
【0033】
CPU1は、ROM2に予め格納されている制御プログラムをRAM3上にロードして実行することによって、バスNを介して以下の各種ハードウェアの制御を行い、前記座標履歴を作成し、また、装置全体を本発明の電子黒板装置100として動作させる。
【0034】
また、電子黒板装置100は、表示部7と、該表示部7への文字、線画等の表示を制御する表示制御部8と、後述するペン形入力器92を介して利用者から表示部7上の位置指定、文字、線画等の入力を受け付けるペン入力部9と、該ペン入力部9による入力の受付を制御するペン入力制御部10と、利用者から音声を受け付けるマイク11と、マイク11による音声の受付の制御を行う音声入力制御部12とを備えている。
【0035】
更に、電子黒板装置100は、例えば、ハードディスク等の不揮発性の半導体メモリであり、後述するフォントテーブルが記憶されている記憶部4と、所定時刻からの時間の経過を測る計時部5と、表示制御部8が表示部7に文字又は文字列の表示を行う際における、表示属性を決定する表示属性決定部6とを備えている。
【0036】
表示部7は、例えばLCDモニタであり、表示部7にはペン入力部9及びマイク11を介して利用者から受け付ける線画及び文字が表示される。また、表示部7には、電子黒板装置100にて動作するソフトウエアを選択して起動させるための利用者インターフェース画面等が表示される。
【0037】
表示制御部8は、表示属性決定部6によって決定された表示属性に基づいて、マイク11を介して受け付けた音声に係る文字からなる文字又は文字列を表示部7に表示させる。前記表示属性は例えば、表示すべき文字又は文字列の表示開始及び表示終了位置(以下、表示始終位置と言う)、フォントサイズ、縦書き、横書き(向き)である。また、表示制御部8は、後述する位置指定受付部91が受け付けた位置指定に係る座標に基づき、ペン形入力器92を介して利用者から入力される線画を表示部7に表示させる。
【0038】
図2は実施の形態1の電子黒板装置100の表示部7及びペン入力部9の構成を説明する説明図である。
ペン入力部9は、いわゆるタッチパネルであり、利用者から表示部7の表示画面上における位置指定を受け付ける位置指定受付部91と、ペン形状を有しており、利用者が該位置指定、文字及び線画の入力の際に用いるペン形入力器92とを備えている。ペン入力部9は、これらを介して、利用者から表示部7上の位置指定、文字、線画等の入力を受け付ける。
【0039】
ペン入力制御部10は、ペン入力部9による入力の受付に関する制御を行ない、また、ペン入力部9の位置指定受付部91を介して受け付けられる位置指定に係る座標(以下、指定座標と言う。)をCPU1に送出する。
【0040】
CPU1は、ペン入力制御部10から指定座標を取得して、該指定座標を検出の順に関連付けた座標履歴を生成し、生成された座標履歴はRAM3に保存される。また、表示制御部8は、RAM3に保存された座標履歴に基づき、例えば、表示部7に線画を表示させる。以下に、詳しく説明する。
【0041】
ペン入力部9の位置指定受付部91は、表示部7の表示画面上に重ねて設置される。本実施の形態では位置指定受付部91がいわゆる光遮断型であるものとする。該光遮断型においては、入力はペン形入力器92の先端が位置指定受付部91表面の直近に近づいたことに応じて、位置指定受付部91により光遮断が検出されることによって実現される。
【0042】
利用者は電子黒板装置100に予めインストールされている描画用アプリケーションソフトを起動して画像データを入力する。例えば、利用者がペン形入力器92を用いて位置指定受付部91の表面上に一本の線を引く操作を行った場合を例に挙げて説明する。初めに光遮断が検出され、その後連続した光遮断があった場合、CPU1は、一本の線の入力が開始され、現在入力中であると判断する。一方、光遮断が途絶え、所定時間が経過した場合、CPU1は一本の線の入力が終了したと判断する。これによって一本の線に係る画像データ(例えば、座標履歴)が取得でき、該画像データに基づき表示部7に一本の線が表示される。
【0043】
位置指定受付部91は、描画された線を複数の連続した点の集合としてとらえ、各点の座標(指定座標)を検出する。検出された各点の座標はペン入力制御部10を介してCPU1に送出される。CPU1は、送出された座標を受け、当該指定座標を、検出の順に該指定座標を関連付けて座標履歴を生成し、該座標履歴はRAM3に記憶される。CPU1は、当該座標履歴に基づいて、例えば、複数の線データにより構成される所定の線画を表示部7に表示するよう表示制御部8に指示する。
【0044】
利用者はマイク11を用いて音声入力を行い、この際、音声入力制御部12はマイク11を介して受け付けた音声を音声データに変換してテキストデータを得る。音声入力制御部12は、音声認識部121と、FEP(かな漢字変換ソフトウエア)122とを備えている。
【0045】
音声認識部121は、マイク11を介して受け付けたアナログの音声信号を音声データに変換し、音響モデル、単語辞典等に基づいて語彙列に区分して、意味のあるひらがなのテキストデータに置き換える。該テキストデータはRAM3に記憶される。該テキストデータはFEP122に入力されてかな漢字変換され、複数の変換候補がある文字(単語)に対しては、斯かる候補が表示部7に表示され、ペン入力部9を介して利用者から何れかの候補の選択を受け付ける。
【0046】
表示属性決定部6は、ペン入力部9を介して受付けた位置指定(指定座標)に基づき、前記表示属性を決定する。以下に、詳しく説明する。
本発明の電子黒板装置100においては、利用者が表示部7の表示画面上に所定の範囲を指定しておき、マイク11を用いて音声入力を行い、該音声に対応する文字又は文字列(以下、音声入力文字列と言う。)が該範囲内に表示される。なお、前記範囲の指定は、利用者がペン形入力器92を用いて位置指定受付部91の表面に一本の線を引くことによって行う。
【0047】
このように、利用者が位置指定受付部91の表面に一本の線を引く操作を行った場合、位置指定受付部91は位置指定として受け付け、前記一本の線の始点及び終点の座標を検出し、ペン入力制御部10を介して表示属性決定部6に送られる。表示属性決定部6は、検出された一本の線の始点及び終点の座標を、前記音声入力文字列の表示始終位置として決定する。
【0048】
また、始点及び終点の座標を比較することによって、前記音声入力文字列の向きを決定する。例えば、前記始点座標及び終点座標のY値が等しく、該始点座標のX値が終点座標のX値より小さい場合、表示属性決定部6は前記音声入力文字列を横書きにて表示すべきであると決定する。一方、前記始点及び終点座標のX値が等しく、該始点座標のY値が終点座標のY値より大きい場合、表示属性決定部6は前記音声入力文字列を縦書きにて表示すべきであると決定する。
【0049】
更に、表示属性決定部6は、検出された前記始点及び終点の座標間の距離を演算し、前記音声入力文字列の文字数に割ることによって、該音声入力文字列のフォントサイズを決定する。記憶部4には、前記始点及び終点の座標間の距離を前記音声入力文字列の文字数に割ることによって算出される算出値と、該算出値に対応するフォントサイズとが関連づけられたフォントテーブルが記憶されており、表示属性決定部6は該フォントテーブルに基づいて、前記音声入力文字列のフォントサイズを決定する。
【0050】
図3及び図4は本発明の実施の形態1の電子黒板装置100における、文字の入力の受け付け及び表示の処理を示すフローチャートである。発明の便宜上、利用者がペン形入力器92を用いて位置指定受付部91の表面に一本の線を引くことによって、表示部7の表示画面上に音声入力文字列を表示すべき範囲を指定しておき、マイク11を用いて音声入力を行い、該音声に対応する1つの音声入力文字列が前記範囲内に表示させる場合を例として説明する。
【0051】
例えば、利用者は前記利用者インターフェース画面に設けられた、音声入力のためのソフトキーをタッチ操作する(図5参照)。斯かる際、位置指定受付部91は利用者のタッチ操作によって位置指定を受け付け、該位置指定に対応する指定座標に基づき、CPU1は音声入力へ切替る指示を受け付ける(ステップS101)。CPU1はROM2に予め格納されている音声受付用のアプリケーションをRAM3上にロードして起動させる。
【0052】
次いで、利用者がペン形入力器92を用いて位置指定受付部91の表面に一本の線を引いて、音声入力文字列を表示すべき範囲を指定する。CPU1は斯かる操作を前記音声入力文字列の表示始終位置の指定として受け付け(ステップS102)、位置指定受付部91は前記一本の線の始点及び終点の座標を検出し、表示属性決定部6は前記始点及び終点の座標を前記音声入力文字列の表示始終位置として決定する。
【0053】
CPU1は前記一本の線に係る座標履歴に基づき、表示部7に描画するように表示制御部8に指示する。CPU1の指示に応じて、表示制御部8は該座標履歴に基づき、一本の線を表示部7に表示させる。ことにより、前記表示始終位置が表示部7に表示される(ステップS103)。
【0054】
次いで、表示属性決定部6は、上述した手方により、前記音声入力文字列を縦書きすべきか、横書きすべきか決定する。説明の便宜上、本実施例においては、表示属性決定部6によって横書きであると決定されたものとし、該表示属性決定部6の決定結果に基づき、CPU1はFEP122への入力方向を指定する(ステップS104)。
【0055】
この後、CPU1は音声入力制御部12に音声の受付の開始を指示し、音声入力制御部12はマイク11を介して利用者から音声の受付を開始する(ステップS105)。
【0056】
CPU1はマイク11を監視することによって、詳しくは、マイク11から音声信号の出力があるか否かを監視することによって、利用者による音声入力があるか否かを判定する(ステップS106)。
【0057】
マイク11から音声信号の出力があることから、利用者による音声入力があると判定した場合(ステップS106:YES)、CPU1は受け付けた音声のテキストデータへの変換を音声認識部121指示する。CPU1の指示に応じて、音声認識部121は、上述した手方により、マイク11を介して受け付けた音声をテキストデータに変換する(ステップS107)。
【0058】
音声認識部121によって変換されたテキストデータはFEP122に入力されてかな漢字変換される(ステップS108)。
この際、ステップS107及びステップS108にて得られたデータはRAM3に記憶される(ステップS109)。一方、複数の変換候補がある文字(単語)においては、該変換候補が共に記憶される。ステップS109の後、処理は再びステップS106に戻る。
【0059】
一方、マイク11から音声信号の出力が無く、利用者による音声入力がないと判定した場合(ステップS106:NO)、CPU1は計時部5に計時開始を指示する。次いで、CPU1は前記計時開始から所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS110)。
【0060】
前記計時開始から所定時間が経過していないと判定した場合(ステップS110:NO)、CPU1はステップS106の処理に戻る。一方、CPU1が前記計時開始から所定時間が経過したと判定した場合(ステップS110:YES)、換言すれば、利用者による音声入力が途絶えてから所定時間が経過し、利用者による音声入力が終了したものとみなされる場合、表示属性決定部6は前記音声入力文字列のフォントサイズを決定する(ステップS111)。表示属性決定部6によるフォントサイズの決定は、上述したとおりであり、詳しい説明を省略する。
【0061】
以上の処理によって、音声入力文字列を表示部7に表示するための表示属性、すなわち、表示始終位置(開始終了位置)、フォントサイズ及び向きが決定される。
【0062】
次いで、CPU1は、これら表示属性に基づく音声入力文字列の表示部7への表示を表示制御部8に指示する。CPU1の指示に応じて、表示制御部8は決定された表示属性、RAM3に記憶されているテキストデータ等に基づき、音声入力文字列を表示部7に表示する(ステップS112)。
【0063】
この際、複数の変換候補があることから、かな漢字変換ができない単語においては、表示制御部8は、RAM3に記憶されている変換候補に基づき、表示部7に該文字に対応する変換候補を表示して(ステップS113)、利用者による何れかの変換候補の選択を促す。
【0064】
図5は本発明の実施の形態1の電子黒板装置100による処理過程を示す例示図である。説明の便宜上、利用者がマイク11を用いて「ほんじつのわーきんぐぐるーぷのぎだい」との文字列を音声入力した場合を例に説明する。
【0065】
例えば、利用者はペン形入力器92を用いて位置指定受付部91の表面に一本の直線を引いた後、前記利用者インターフェース画面の音声入力のためのソフトキー(図中、白抜き矢印にて表示)をタッチ操作して「ほんじつのわーきんぐぐるーぷのぎだい」と発声することによって、文字列の音声入力を行い、該文字列がマイク11を介して受け付けられ、上述した処理が施され、図5に示すように、前記一本の直線上に該文字列がひらがなにて表示される。なお、該文字列の先端側の「ほんじつ」との単語は複数の変換候補を有しており、該変換候補が、図5に示すように、列挙される。利用者が何れかの変換候補を選択することによって、当該単語は選択された候補に変換される。
【0066】
斯かる際、CPU1は位置指定受付部91を監視することによって、すなわち、何れかの変換候補がタッチ操作されるかを監視することにより、利用者から何れかの変換候補の選択を受け付けたか否かを判定する(ステップS114)。CPU1は利用者から変換候補の選択を受け付けていないと判定した場合(ステップS114:NO)、利用者から何れかの変換候補の選択を受け付けるまで待機する。
【0067】
一方、利用者から何れかの変換候補の選択を受け付けたと判定した場合(ステップS114:YES)、すなわち、何れかの変換候補がタッチ操作された場合、CPU1は、該タッチ点の座標に対応する変換候補への前記単語の変換を表示制御部8に指示する。
【0068】
CPU1の指示に応じて、表示制御部8は前記単語を前記タッチ操作された変換候補へ変換して表示する(ステップS115)。この後、CPU1は表示始終位置による範囲内、すなわち、前記直線上の前記音声入力文字列を、一括して、例えば、一つの文章として記憶部4に記憶する。
【0069】
上述した実施例においては、所定時間音声信号の出力が無い場合を音声入力の終了であるとみなす場合を例として説明したが、これに限るものでなく、ペン形入力器92の操作、例えば前記一本の直線(図5参照)と交差する線を引くなどの所定のゼスチャーによる明示的な終了指示も可能である。
【0070】
上述した実施例においては、1本の直線を引く操作によって音声(文字)を受け付ける場合を例として説明したが、これに限るものでない。例えば、「ペン形入力器92の長押し」、「V字の描画」、「閉曲線の描画」、「文字列の上を1度以上往復」といった操作が行われた場合、夫々「既に入力した文字列(単語)の再変換(漢字変換)」、「挿入」、「ハイライト・色変更」、「一部または全部削除」を実行する指示として受け付けるように構成しても良い。
【0071】
また、ペン形入力器92を用いて所定の文字列(単語)をダブルタッチした場合、該単語が所定の選択枠にて囲まれることによって選択され、ペン形入力器92を用いて該選択枠をドラッグすることにより拡大縮小の操作ができ、該選択枠の中をドラッグすることにより平行移動の操作ができるように構成しても良い。
【0072】
また、上述した実施の形態においては、いわゆるタッチパネル(ペン入力部9)を用いて位置指定を受け付ける場合を例に挙げて説明したが、これに限るものでない。例えば、表示部7の2箇所にカメラを設置し、該カメラを用いて前記1本の直線に係る座標を取得するように構成しても良い。
【0073】
更に、上述した実施の形態においては、一本の線を引いて音声入力文字列を表示すべき範囲を指定する場合を例として説明したが、線に限るものでなく、例えば、点、括弧等であっても良い。また、該線が透明であっても良い。
【0074】
上述したような構成により、本発明の電子黒板装置においては、易しい操作で見やすい板書を行えることができる上に、文字列部分を図形として記憶せず、テキストデータとして記憶することにより、例えば斯かる文字列を電子的に蓄積した際には、記憶容量が小さくなると共に、全文検索によるファイル等の検索が可能になる。また、高解像度での印刷ができ、美しい文字での印刷が可能である。
【0075】
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の形態2の電子黒板装置100の要部構成を示す機能ブロック図である。実施の形態2の電子黒板装置100は、動作を行うためのコンピュータプログラムが、I/F13を介してCD−ROM等の可搬型記録媒体Aで提供することも可能であるように構成されている。更に、実施の形態2の電子黒板装置100は、前記コンピュータプログラムを、図示しない外部装置からI/F13を介してダウンロードすることも可能であるように構成されている。以下に、その内容を説明する。
【0076】
実施の形態2のI/F13は外装(又は内装)の記録媒体読み取り装置(図示せず)を備えており、該記録媒体読み取り装置に、受け付けた位置指定に基づき、テキストデータに係る文字の表示属性を決定させ、決定された表示属性に基づき、テキストデータ係る文字を表示させるプログラム等が記録された可搬型記録媒体Aを挿入して、例えば、CPU1がROM2にこのプログラムをインストールする。かかるプログラムはRAM3にロードして実行される。これにより、実施の形態1の本発明の電子黒板装置100として機能する。
【0077】
前記記録媒体としては、いわゆるプログラムメディアであっても良く、磁気テープ及びカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスク及びハードディスク等の磁気ディスク並びにCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM、EEPROM、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムコードを担持する媒体であっても良い。
【0078】
I/F13を介してネットワークからプログラムコードをダウンロードするように流動的にプログラムコードを担持する媒体であっても良い。なお、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであっても良い。なお、本発明は、前記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0079】
実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0080】
1 CPU
4 記憶部(記憶手段)
6 表示属性決定部(属性決定手段)
7 表示部
9 ペン入力部
11 マイク
91 位置指定受付部
100 電子黒板装置
121 音声認識部(音声受付手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、音声を受け付けてテキストデータに変換する音声受付手段と、前記表示部の表示画面上の位置指定を受け付ける位置指定受付手段とを備え、文字の入力を受け付けて表示する入力表示装置において、
前記位置指定受付手段が受け付けた位置指定に基づき、前記テキストデータに係る文字の表示属性を決定する属性決定手段を備えることを特徴とする入力表示装置。
【請求項2】
前記属性決定手段は前記文字の表示の開始終了位置を決定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の入力表示装置。
【請求項3】
前記属性決定手段は前記文字のフォントサイズを決定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の入力表示装置。
【請求項4】
前記属性決定手段は前記文字からなる文字列の向きを決定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の入力表示装置。
【請求項5】
前記属性決定手段は前記文字の表示の開始位置及び終了位置間の距離に基づき、該文字のフォントサイズを決定するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の入力表示装置。
【請求項6】
前記開始終了位置による範囲内の文字を一括して記憶する記憶手段を備えることを特徴とする請求項2又は5に記載の入力表示装置。
【請求項7】
表示部、音声を受け付けてテキストデータに変換する音声受付部、及び前記表示部の表示画面上の位置指定を受け付ける位置指定受付部を備える入力表示装置にて、文字の入力を受け付けて表示する入力表示方法において、
受け付けた位置指定に基づき、前記テキストデータに係る文字の表示属性を決定する属性決定ステップと、
該属性決定ステップにて決定された表示属性に基づき、前記テキストデータに係る文字を表示する表示ステップと
を含むことを特徴とする入力表示方法。
【請求項8】
表示部、音声を受け付けてテキストデータに変換する音声受付部、及び前記表示部の表示画面上の位置指定を受け付ける位置指定受付部を備える入力表示装置を構成するコンピュータに、文字の入力を受け付けて表示させるコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、受け付けた位置指定に基づき、前記テキストデータに係る文字の表示属性を決定させる属性決定ステップと、
コンピュータに、前記属性決定ステップにて決定された表示属性に基づき、前記テキストデータに係る文字を表示させる表示ステップと
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とするコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−88969(P2012−88969A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235757(P2010−235757)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】