説明

入力装置、医療機器

【課題】装置や機器の小型化を図りつつ、管理オペレータなどの特定者が汚染された可能性のある操作パネルに接触することによって生じうる汚染の拡大を防止すること。
【解決手段】入力装置であって、特定者認証手段と、表示機能と入力機能を合わせ持つものであって前記特定者が入力するための特定者用操作パネルを有し、前記特定者用操作パネルの表示機能は、入力操作内容に対応する操作入力用ボタンを前記特定者用操作パネルに表示するものであって、前記特定者認証手段が前記特定者を認証しないときに前記特定者用操作パネルに対して入力操作を行なうための物体が前記特定者用操作パネルに接触したと判定されたときには、前記物体が前記特定者用操作パネルに接触したと認識される領域を含む汚染領域を設定し、前記操作入力用ボタンを前記汚染領域以外の領域に配置させて表示する汚染モード表示を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は入力装置、医療機器に係り、特に、操作パネルからの操作入力による機器の汚染に対応する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、赤外線センサが2次元的に配置され、所定のセンサ領域に指を持っていくことで、非接触の状態で機能操作スイッチにおける操作指示が可能な集中表示パネルや集中制御パネルが設けられた内視鏡システムの制御装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、リモコン上のスイッチを操作者が押下することにより、送信装置及び受信装置による無線通信を通じて、データをプロセッサ装置または光源装置に入力させる内視鏡システムが開示されている。
【0004】
特許文献3には、頭上カメラにより手の動きをモニタし、その結果に応じて表示オブジェクトをハンドリングすることにより、平面ディスプレイに表示した文書などを操作する情報処理装置が開示されている。
【特許文献1】特開平07−303654号公報
【特許文献2】特開2006−061193号公報
【特許文献3】特開平07−84715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、内視鏡を用いた手術により汚染された指が接触して操作パネルが汚染された後に、当該汚染された操作パネルに汚染されていない指を接触させてしまった場合には、当該汚染されていない指までもが2次的に汚染されて汚染が拡大してしまうおそれがある。
【0006】
特に、装置の操作を行なう操作オペレータと装置の管理を行なう管理オペレータの両方が同一の操作パネルを操作することにより、操作オペレータが汚染した内視鏡に触れた手で内視鏡用洗浄装置の操作ボタンに触れることにより汚染した操作ボタンに管理オペレータが感染防御をせずに触れて汚染するおそれがある。
【0007】
また、特許文献2,3に記載のものでは、装置に操作入力する際に当該装置のパネルに指を接触させる必要はなく、操作パネルの汚染による汚染されていない指への2次的な汚染は発生するおそれはないが、特許文献2に記載のものでは検査ごとに汚染されたリモコンを洗浄する必要があり手間が掛かってしまい、特許文献3に記載のものでは平面ディスプレイとは別方向の頭上カメラにより手をモニタするので装置全体の構成が大型化してしまう。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、装置や機器の小型化を図りつつ、管理オペレータなどの特定者が汚染された可能性のある操作パネルに接触することによって生じうる汚染の拡大を防止することができる入力装置、医療機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために請求項1に係る発明は、入力装置であって、特定者を認証する特定者認証手段と、表示機能と入力機能を合わせ持つものであって前記特定者が入力するための特定者用操作パネルを有し、前記特定者用操作パネルの表示機能は、入力操作内容に対応する操作入力用ボタンを前記特定者用操作パネルに表示するものであって、前記特定者認証手段が前記特定者を認証しないときに前記特定者用操作パネルに対して入力操作を行なうための物体が前記特定者用操作パネルに接触したと判定されたときには、前記物体が前記特定者用操作パネルに接触したと認識される領域を含む汚染領域を設定し、前記操作入力用ボタンを前記汚染領域以外の領域に配置させて表示する汚染モード表示を行なうこと、を特徴とする。
【0010】
本発明によれば、特定者認証手段が特定者を認証しないときに入力操作を行なうための物体が特定者用操作パネルに接触したと判定されたときには、物体が接触したと認識される領域を含む汚染領域を設定し、操作入力用ボタンを汚染領域以外の領域に配置させて表示する汚染モード表示を行なうので、特定者は汚染された可能性のある汚染領域を回避して入力操作を行なうことができ、汚染の拡大を防止することができる。
【0011】
前記目的を達成するために請求項2に係る発明は、請求項1の入力装置であって、前記汚染モード表示には前記汚染領域の表示が含まれること、を特徴とする。
【0012】
本発明によれば、特定者は汚染領域の表示を確認しながら汚染された可能性のある汚染領域を回避して入力操作を行なうことができ、確実に汚染の拡大を防止することができる。
【0013】
前記目的を達成するために請求項3に係る発明は、請求項1または2の入力装置であって、表示機能と入力機能を合わせ持つものであって前記特定者以外の非特定者が入力するための非特定者用操作パネルを前記特定者用操作パネルとは別に有すること、を特徴とする。
【0014】
本発明によれば、非特定者は、特定者用操作パネルとは別に有する非特定者用操作パネルにより入力操作を行なうことから、特定者用操作パネルの汚染を防止することができ、より確実に汚染の拡大を防止することができる。
【0015】
前記目的を達成するために請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1つの入力装置であって、前記特定者用操作パネルの入力機能は、当該特定者用操作パネルに対して入力操作を行なうための物体を接触させて当該物体の2次元位置情報を取得し、該取得した前記物体の2次元位置情報に基づいて前記物体による入力操作内容を認識すること、を特徴とする。
【0016】
本発明によれば、タッチパネルのような接触式の操作パネルであっても、特定者は汚染された可能性のある汚染領域を回避して入力操作を行なうことができ、汚染の拡大を防止することができる。
【0017】
前記目的を達成するために請求項5に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1つの入力装置であって、前記特定者用操作パネルの入力機能は、当該特定者用操作パネル上の空間に存在する当該特定者用操作パネルに対して入力操作を行なうための物体の3次元位置情報を前記物体と非接触の状態で取得し、該取得した前記物体の3次元位置情報に基づいて前記物体による入力操作内容を認識すること、を特徴とする。
【0018】
本発明によれば、特定者は操作パネルに非接触の状態で入力操作を行うことから、汚染された操作パネルに接触するおそれがなくなり、確実に汚染の拡大を防止することができる。
【0019】
前記目的を達成するために請求項6に係る発明は、請求項5の入力装置であって、前記物体の3次元位置情報は、前記特定者用操作パネルの表示画面に配置された撮像素子による前記物体の撮像画像から取得すること、を特徴とする。
【0020】
前記目的を達成するために請求項7に係る発明は、請求項5の入力装置であって、前記物体の3次元位置情報は、前記特定者用操作パネルに併設された赤外線センサにより取得すること、を特徴とする。
【0021】
前記目的を達成するために請求項8に係る発明は、医療機器であって、請求項1乃至7のいずれか1つの入力装置を有すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、装置や機器の小型化を図りつつ、管理オペレータなどの特定者が汚染された可能性のある操作パネルに接触することによって生じうる汚染の拡大を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。ここでは、本発明の入力装置を適用した医療機器について説明する。
【0024】
〔医療機器の説明〕
図1は、本発明の入力装置を適用した医療機器の一例である内視鏡洗浄装置の外観を示す斜視図である。
【0025】
図1に示すように、本実施例の内視鏡洗浄装置10は、箱型に形成され、装置本体12と上蓋14とから構成されている。
【0026】
装置本体12の上面には内視鏡16を収納する洗浄槽18が形成され、この洗浄槽18内には、回転型噴射装置20が設けられている。また、洗浄槽18の内側には、内視鏡16の電気信号コネクタ(図示省略)に装着される防水キャップ22が設けられている。
【0027】
なお、内視鏡16のLGコネクタは防水型に形成されているので、LGコネクタ用の防水キャップは図示を省略されている。
【0028】
装置本体12は、その上部前面に、洗浄オペレータ(非特定者)用の操作パネル24、装置管理者である管理オペレータ(特定者)用の操作パネル26及び操作内容あるいは内視鏡洗浄装置10の状態を表示する表示部(表示パネル)28を有している。洗浄オペレータ用の操作パネル24、管理オペレータ用の操作パネル26は、それぞれ内視鏡洗浄装置10を制御するコマンドを入力する入力機能とコマンド入力用ボタンや後述する汚染モード表示を表示する表示機能を有している。
【0029】
このように、管理オペレータへの汚染が拡大することを回避するため、詳しくは、汚染された洗浄オペレータが接触して汚染されたパネルに管理オペレータが接触して汚染が拡大することを回避するため、洗浄オペレータ用の操作パネル24が管理オペレータ用の操作パネル26とは別に設けられ、洗浄オペレータ用の操作パネル24と管理オペレータ用の操作パネル26が分離して配置されている。
【0030】
また、図示を省略したが、装置本体12は中央処理装置(CPU)を有しており、CPUは、予め設定された洗浄プログラムに従って、回転型噴射装置20等の各部の動作を制御し、内視鏡16の洗浄開始から終了までを自動で制御する。
【0031】
検査で使用された内視鏡16は、図示を省略した光源装置内蔵制御ユニット(内視鏡プロセッサ)から取り外され、内視鏡洗浄装置10の洗浄槽18に収納される。そして、電気信号コネクタに防水キャップ22が取り付けられ、上蓋14が閉じられるようになっている。
【0032】
その後、洗浄オペレータ用の操作パネル24から洗浄オペレータによりスタートのコマンドが入力されると、予め設定された洗浄工程に従って、回転型噴射装置20の噴射ノズル20Aから洗浄液が噴射され内視鏡16の洗浄が行われるようになっている。
【0033】
次に、このように構成された内視鏡洗浄装置10の作用について説明する。
【0034】
検査に使用した内視鏡16の電気信号コネクタ及びLGコネクタを内視鏡プロセッサの接続部から取り外し、内視鏡洗浄装置10の洗浄槽18に内視鏡16を載置する。
【0035】
そして、電気信号コネクタに防水キャップ22を装着すると、詳しい図示は省略するが、防水キャップ22の外周面に設けられた導通部材が電気信号コネクタの金属板に接触して内視鏡洗浄装置10の主電源がオンする。内視鏡洗浄装置10の主電源がオンされると、操作パネル24等が点灯し、各種コマンドの入力が可能になる。
【0036】
その後洗浄オペレータは、上蓋14を閉め、洗浄オペレータ用の操作パネル24から洗浄開始を指示するスタートのコマンドを入力する。すると、予め設定された洗浄プログラムに従って回転型噴射装置20や排水弁等が制御され、内視鏡16の洗浄作業が実施される。
【0037】
所定の洗浄工程が完了した後、洗浄オペレータは上蓋14を開け、電気コネクタから防水キャップ22を外す。防水キャップ22が電気コネクタから離脱すると、内視鏡洗浄装置10の主電源がオフされる。
【0038】
なお、内視鏡洗浄装置10の主電源のオンオフはこのように防水キャップ22の装着によるものに限定されるものではなく、別途主電源をオンオフするスイッチを例えば装置本体12の上部に設けるようにしてもよい。
【0039】
図2は、内視鏡洗浄装置10の電気的構成の一例を示すブロック図である。同図に示したように、内視鏡洗浄装置10は、操作パネル24、操作パネル26、主電源回路30、中央制御部32などから構成される。なお、後述するように、操作パネル24、操作パネル26外に管理オペレータ認証部50を備えていてもよい。
【0040】
主電源回路30は中央制御部32と接続され、中央制御部32によって主電源のON/OFFが制御される。また、操作パネル24、操作パネル26から入力された入力信号は中央制御部32に通知され、また、中央制御部32によって後述するようにコマンド入力者の指38(図3参照)が操作パネル26に接触したか否かを判定し、判定結果に応じて操作パネル24、操作パネル26の表示制御が行われる。
【0041】
中央制御部32は、中央処理装置(CPU)を含み、内視鏡洗浄装置を総括的に制御する。また、中央制御部32にはメモリ34が設けられている。
【0042】
〔管理オペレータ用の操作パネルの説明〕
次に、管理オペレータ用の操作パネル26の構成と作用について説明する。図3は、操作パネル26を内視鏡洗浄装置10の正面方向から見た図である。そして、図3に示すように、操作パネル26の平面方向についてXY軸を設定する。なお、図3に示すように、操作パネル26とは別に、コマンド入力内容を確認することができる確認表示パネル44を設けておいてもよい。
【0043】
本実施形態における操作パネル26は、表示機能と入力機能を備えたパネルである。
【0044】
表示機能としては、バックライトユニット(不図示)を光源として、画像を表示する機能を有している。
【0045】
入力機能としては、液晶画面である表示部26aに指38などを接触させることによりコマンド入力内容が認識される接触式、または、液晶画面である表示部26aに非接触でコマンド入力内容が認識される非接触式を採用している。
【0046】
液晶画面である表示部26aに指38などを接触させることによりコマンド入力内容が認識される接触式のものとしては、所謂、タッチパネルを採用する。
【0047】
また、液晶画面である表示部26aに非接触でコマンド入力内容が認識される非接触式のものとしては、以下の説明のようなものを採用する。そこで、非接触式の操作パネル26の構成と作用について以下に説明する。
【0048】
図4は、操作パネル26を断面方向(横方向)から見た図である。図4に示すように、操作パネル26の平面方向に対し垂直な方向についてZ軸を設定する。また、図5は、操作パネル26に撮像素子36を内蔵したときの操作パネル26の構成の概略を示したブロック図である。
【0049】
図5に示すように、操作パネル26の表示画面の各画素には、フォトダイオードなどの受光素子からなる撮像素子36(図5参照)が内蔵されている。そして、この撮像素子36により、操作パネル26の表示部26a上の空間に存在する管理オペレータの指38などの特定の物体について、非接触の状態で撮像する。
【0050】
また、図5に示すように、操作パネル26には、撮像素子36による撮像画像から3次元位置情報(XYZ軸の座標値など)を生成する3次元位置情報生成部40、当該3次元位置情報に基づいて選択されたコマンド入力用ボタン(例えば、図3,図4のコマンドA〜H)を特定して入力操作の内容に対応する入力信号を生成する入力信号生成部42が設けられている。
【0051】
図3と図4では、操作パネル26に表示され選択する入力操作の内容に対応するコマンドA〜Hのうち、操作パネル26に非接触の状態で管理オペレータの指38によりコマンドGを入力する状態を示している。なお、図3に示すように、確認表示パネル44にコマンドGが表示されている。
【0052】
このような構成の非接触式の操作パネル26について、当該操作パネル26の上に非接触の状態で指38をかざすと、フォトダイオードなどの受光素子からなる撮像素子36(図5参照)により得られる撮像画像において指38の撮像画像が得られる。そして、3次元位置情報生成部40(図5参照)において、この指38の撮像画像から、指38のXY平面上の位置(X座標、Y座標)、操作パネル26と指38の距離L(Z座標)を推定して、指38の3次元位置情報を生成する。そして、入力信号生成部42(図5参照)において、当該3次元位置情報から入力信号を生成し、当該入力信号は中央制御部32に通知され、コマンド入力操作が完了する。
【0053】
指38のXY平面上の位置(X座標、Y座標)としては、詳しくは指38の先端部38a(図3、図4参照)についてのXY平面上の位置である。また、操作パネル26と指38の距離L(Z座標)とは、詳しくは操作パネル26と指38の最下部38b(図4参照)の距離である。
【0054】
操作パネル26と指38の距離Lについての推定手法としては、指38の撮像画像における指38のエッジ部分(指38と背景の境界部分)の鮮鋭度から距離Lを推定すること、が考えられる。すなわち、指38が操作パネル24に近付くほど指38のエッジ部分における鮮鋭度は高くなって画像が鮮明になる一方、指38が操作パネル24から遠退くほど指38のエッジ部分における鮮鋭度は低くなって画像が不鮮明になることから、指38のエッジ部分の鮮鋭度から距離Lを推定することができる。
【0055】
そこで、例えば、キャリブレーションを行なって得られた指38のエッジ部分の鮮鋭度と距離Lとの関係を定めたルックアップテーブルなどを中央制御部32(図2参照)のメモリ34に事前に登録しておく。そして、当該ルックアップテーブルを用いて、指38の撮像画像から得られたエッジ部分における鮮鋭度から距離Lを推定すること、が考えられる。
【0056】
その他、操作パネル26と指38の距離Lについての推定手法としては、指38の撮像画像の明度から距離Lを推定すること、が考えられる。
【0057】
すなわち、バックライトユニットを光源として所定の時間間隔にて操作パネル26を特定色で発光させて、指38に光を反射させることにより当該反射光に同期した指38の撮像画像から指38の明度を得る。そして、指38が操作パネル26に近付くほど指38の明度は高くなる一方、指38が操作パネル26から遠退くほど指38の明度は低くなることから、撮像画像の指38の明度から距離Lを推定することができる。
【0058】
あるいは、部屋の照明光を利用して、部屋の照明光を遮る指38の撮像画像における明度を得てもよい。そして、指38が操作パネル26に近付くほど指38の撮像画像における明度は低くなる一方、指38が操作パネル26から遠退くほど指38の撮像画像における明度は高くなることから、指38の撮像画像の明度から距離Lを推定することができる。
【0059】
そこで、例えば、キャリブレーションを行なって得られた指38の撮像画像の明度と距離Lとの関係を定めたルックアップテーブルなどを中央制御部32のメモリ34に事前に登録しておく。そして、当該ルックアップテーブルを用いて、指38の撮像画像から得られた明度から距離Lを推定する。
【0060】
なお、図6は、非接触式の操作パネル26の変形例として、操作パネル26の上に赤外線センサを配置した例を示す図である。また、図7は、操作パネル26の上に赤外線センサを配置したときの操作パネル26の構成の概略を示したブロック図である。
【0061】
図6に示すように、前記のフォトダイオードなどの受光素子からなる撮像素子36に代えて、操作パネル26の上に、赤外線発光部46と赤外線センサ48を配置してもよい。図6(a)に示すようにXY平面上においてX軸方向およびY軸方向の各々の方向に複数の赤外線発光部46と各々対応する複数の赤外線センサ48を配置し、さらに、図6(b)に示すようにZ軸方向にも複数の赤外線発光部46と各々対応する複数の赤外線センサ48を配置する。そして、Z軸方向にN個の赤外線発光部46と各々対応するN個の赤外線センサ48を配置すれば、操作パネル26と指38の距離LをN段階まで認識することができる。
【0062】
このように、赤外線発光部46と赤外線センサ48を配置した例においても、Z軸方向に配置した赤外線発光部46と赤外線センサ48により操作パネル26と指38の距離L(Z座標)を推定することができる。また、X軸方向およびY軸方向に配置した赤外線発光部46と赤外線センサ48により、XY平面上における指38の位置(X座標、Y座標)を推定することができる。
【0063】
なお、赤外線センサ48自体に赤外線の発光機能を備え、赤外線センサ48に対して操作パネル26の上部の空間部分を挟んだ反対側に、赤外線反射部を備える仕様としてもよい。
【0064】
また、フォトダイオードなどの受光素子からなる撮像素子36や赤外線センサ48などにより、指38以外の物体が検出された場合には、操作パネル26のコマンド入力処理がなされないようにしてもよい。
【0065】
このように指38の3次元位置情報(X座標、Y座標、Z座標)を取得して、その取得結果を用いて操作パネル26の表示内容の変更およびコマンド入力処理を行う。
【0066】
そこで、このような非接触式の操作パネル26についての作用の一例を以下に説明する。
【0067】
距離Lが適正な距離の範囲内にある場合には、操作パネル26について通常モードとして、通常通りのコマンド表示を行いコマンド入力処理が行えるようにする。一方、距離Lが適正な距離以下である場合には、操作パネル26について警告モードとして、警告表示を行いコマンド入力処理ができないようにする。
【0068】
具体例として、図8を用いて説明する。図8は、操作パネル26と指38の距離Lを4段階に分けたコマンド入力処理例を示す図である。なお、L1<L2<L3の関係を満たすとする。
【0069】
図8に示すように、L3≦Lの場合には、操作パネル26から指38までの距離が遠すぎて正確なコマンド入力処理が行えないので、操作パネル26からのコマンド入力処理を行うことができないようにする。
【0070】
また、L2≦L<L3の場合には、距離Lが適正な距離の範囲内の位置に指38が存在するので、操作パネル26について通常モードとして、コマンド入力を受け付けるコマンド入力用画面の表示(図3参照)を行い、コマンド入力を受け付けるようにする。そして、指38を操作パネル26の平面方向(XY軸方向に)に移動させて、選択したいコマンドをかざすような位置で所定時間だけ指38を静止させると、操作パネル26は当該コマンドの入力を認識する。
【0071】
また、L1≦L<L2の場合には、指38が所定の距離L2よりも接近しており操作パネル26と指38が近付き過ぎているので、操作パネル26について警告モードとして、指38が操作パネル26に接触するおそれがあるとの警告表示を行い、コマンド入力を受け付けないようにする。操作パネル26の警告表示例を図9に示す。
【0072】
なお、警告モードは指38を遠ざければ解除され、L2≦L<L3となれば通常モードに戻すことができる。
【0073】
また、L<L1の場合には、実際に操作パネル26に指38が接触した可能性が高くなるので、操作パネル24について接触モードとして、操作パネル26に指38が接触したと判定して接触表示を行う。なお、操作パネル26の接触表示例を図10に示す。
【0074】
以上が、非接触式の操作パネル26の構成や作用についての説明である。
【0075】
次に、管理オペレータ認証部50に関して説明する。
【0076】
前記のような接触式または非接触式の操作パネル26は、コマンド入力者が管理オペレータであることを認証する管理オペレータ認証部50(図5,7参照)を備えている。これにより、コマンド入力者がコマンド入力を行なうため操作パネル26に所定の距離以下の位置に近づいた時に、管理オペレータ認証部50にてコマンド入力者が管理オペレータであるか否かを認証する。
【0077】
そして、管理オペレータ認証部50にてコマンド入力者が管理オペレータであると認証されなかった場合には、コマンド入力者が汚染された洗浄オペレータや管理オペレータでない第三者のおそれがある。
【0078】
そこで、接触式の操作パネル26の場合には、コマンド入力の際にコマンド入力者の指38が操作パネル26に接触したときに、接触モードになるようにする。また、非接触式の操作パネル26の場合には、コマンド入力の際にL1≦L<L2となったときに警告モードとなり、L<L1となったときに接触モードとなるようにする。
【0079】
一方、管理オペレータ認証部50にてコマンド入力者が管理オペレータであると認証された場合には、コマンド入力者は汚染されていないと考えられる管理オペレータであることが確認される。
【0080】
そこで、接触式の操作パネル26の場合には、コマンド入力の際に管理オペレータの指38が操作パネル26に接触したときでも、接触モードにはならずに通常モードのままとし、その後も通常通りのコマンド表示を行いコマンド入力処理が行えるようにする。また、非接触式の操作パネル26の場合には、コマンド入力の際にL1≦L<L2やL<L1となったときでも、警告モードや接触モードにはならずに通常モードのままとし、その後も通常通りのコマンド表示を行いコマンド入力処理が行えるようにする。
【0081】
なお、管理オペレータ認証部50は、操作パネル26外であって内視鏡洗浄装置10内のいずれかに備えておいてもよい(図2参照)。
【0082】
管理オペレータ認証部50の認証手法としては、管理オペレータ認証部50がコマンド入力者のRFIDタグを自動認識し洗浄管理サーバ(不図示)にアクセスして当該コマンド入力者のRFIDに対応するオペレータ情報を確認して認証する手法や、生体認証により認証する手法が考えられる。
【0083】
〔汚染拡大の防止に関する説明〕
前記のように、接触式の操作パネル26を採用した場合に、管理オペレータ認証部50にてコマンド入力者が管理オペレータであると認証されず、かつ、操作パネル26に当該コマンド入力者の指38が接触したと認識された場合には、接触モードとして、操作パネル26に指38が接触したと判定して接触表示を行う。
【0084】
また、非接触式の操作パネル26を採用した場合に、管理オペレータ認証部50にてコマンド入力者が管理オペレータであると認証されず、かつ、前記のようにL<L1となった場合には、接触モードとして、操作パネル26に指38が接触したと判定して接触表示を行う。
【0085】
そこで、このように一旦接触モードになった後に、管理オペレータが再びコマンド入力する際に汚染された領域に接触して2次的な汚染により汚染が拡大するおそれがあるので、以下にこれを防止するため手法について説明する。
【0086】
まず、接触モードになった時に、指38が接触した可能性が高い操作パネル26内の領域およびその周辺の領域を汚染領域として設定する。
【0087】
具体的には、接触モードになった時に、操作パネル26内に備わる汚染領域設定部54(接触式の操作パネル26については不図示、非接触式の操作パネル26については図5,図7参照。)において、指38のX座標とY座標の情報から、指38が接触した可能性が高い領域(実際に指38が接触した領域も含む)およびその周辺の領域からなる汚染領域を操作パネル26の表示部26a内に設定する。
【0088】
なお、指38のX座標とY座標の情報は、接触式の操作パネル26を採用した場合には、タッチパネルから取得する。また、非接触式の操作パネル26を採用した場合には3次元位置情報生成部40からの指38の3次元位置情報(X,Y、Z座標)から取得する。
【0089】
そして、設定された汚染領域を中央制御部32に通知し、中央制御部32によって操作パネル26の表示制御が行なわれ、汚染モード表示として、コマンド入力用ボタンが操作パネル26の表示部26a内の汚染領域を回避して再配置された状態で表示される。
【0090】
例えば、図11に示すように、当初コマンド入力用ボタンF,Gが配置されていた領域が汚染領域に設定されたときには、コマンド入力用ボタンF,Gは汚染領域以外の領域に配置替えする。なお、図11においては、コマンド入力用ボタンFが当初のコマンド入力用ボタンHの位置に再配置された影響で、コマンド入力用ボタンG,Hは次画面において表示されるようにしている。次画面は、操作パネル26の左上の次画面入力用ボタンから入力することにより表示される。
【0091】
また、中央制御部32によって操作パネル26の表示制御が行なわれ、操作パネル26の表示部26a内の汚染領域において、汚染モード表示として、図11に示すように汚染領域を示す枠の表示および「汚染領域」との文字の表示が行われるようにしてもよい。
【0092】
このような汚染モード表示から前記の通常モード表示への移行は、管理オペレータが消毒後パスワードを入力することでのみ解除できるようにする。
【0093】
また、非接触式の操作パネル26を採用した場合において、汚染モード表示のときに、管理オペレータが操作パネル26からコマンド入力を行なう際に、XY平面について操作パネル26内に設定された汚染領域に管理オペレータの指38が位置していることを3次元位置情報生成部40にて認識されたときには、操作パネル26に汚染の警告を促す表示を行なうこととしてもよい。これにより、管理オペレータの指38が誤って汚染領域に接触することを確実に防止できる。そのため、管理オペレータが指38を誤って汚染領域に接触して汚染が拡大することを確実に防止できる。
【0094】
以上のように、管理オペレータ用の操作パネル26の表示機能は、管理オペレータ認証部50にてコマンド入力者が管理オペレータであると認証されず、かつ、操作パネル26に当該コマンド入力者の指38が接触したと判定された場合には、指38の2次元位置情報に基づいて汚染領域を設定し、コマンド入力用ボタンを汚染領域以外の領域に配置させて表示する汚染モード表示を行なう。
【0095】
そのため、管理オペレータ以外の洗浄オペレータや第三者が指38を接触させて汚染されたおそれのある領域に、管理オペレータが指38を接触しないようにコマンド入力用ボタンが配置され、汚染した領域に管理オペレータの指38が接触して2次的に汚染することが防止され、汚染の拡大を防止できる。そして、装置構成は簡易であり、装置の小型化を図りつつこのような効果を得ることができる。
【0096】
また、汚染モード表示として汚染領域を示す枠の表示および「汚染領域」との文字の表示が行われるようにすることで、より確実に管理オペレータへの汚染の拡大を防止できる。
【0097】
また、洗浄オペレータ用の操作パネル24と管理オペレータ用の操作パネル26を分離して配置することで、より確実に管理オペレータへの汚染の拡大を防止できる。
【0098】
なお、洗浄オペレータ用の操作パネル24の入力機能としては、管理オペレータ用の操作パネル26と同様に、液晶画面である表示部に非接触でコマンドの入力をすることができる非接触式を採用することが望ましい。
【0099】
以上、本発明の入力装置、医療機器について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【0100】
本実施例では、医療機器として、内視鏡洗浄装置10を例示したが、その他、オートクレーブ装置、内視鏡装置、X線診断装置、X線CT装置、MRI装置等のなどの操作パネルにも適用できる。また、医療機器以外にも、情報処理装置、OA機器、POS端末装置、自動販売機、家電機器及び携帯端末装置などの電子機器の操作パネルにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の入力装置を適用した医療機器の一例である内視鏡洗浄装置の外観を示す斜視図である。
【図2】内視鏡洗浄装置の電気的構成の一例を示すブロック図である。
【図3】操作パネルを内視鏡洗浄装置の正面方向から見た図である。
【図4】操作パネルを断面方向(横方向)から見た図である。
【図5】操作パネルに撮像素子を内蔵したときの操作パネルの構成の概略を示したブロック図である。
【図6】操作パネルの上に赤外線センサを配置した例を示す図である。
【図7】操作パネルの上に赤外線センサを配置したときの操作パネルの構成の概略を示したブロック図である。
【図8】距離Lを4段階に分けたコマンド入力処理例を示す図である。
【図9】操作パネルの警告表示例を示す図である。
【図10】操作パネルの接触表示例を示す図である。
【図11】汚染モード表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0102】
10…内視鏡洗浄装置、12…装置本体、14…上蓋、16…内視鏡、18…洗浄槽、24,26…操作パネル、32…中央制御部、36…受光素子、38…指、40…3次元位置情報生成部、42…入力信号生成部、44…確認表示パネル、50…管理オペレータ認証部、54…汚染領域設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定者を認証する特定者認証手段と、
表示機能と入力機能を合わせ持つものであって前記特定者が入力するための特定者用操作パネルを有し、
前記特定者用操作パネルの表示機能は、入力操作内容に対応する操作入力用ボタンを前記特定者用操作パネルに表示するものであって、前記特定者認証手段が前記特定者を認証しないときに前記特定者用操作パネルに対して入力操作を行なうための物体が前記特定者用操作パネルに接触したと判定されたときには、前記物体が前記特定者用操作パネルに接触したと認識される領域を含む汚染領域を設定し、前記操作入力用ボタンを前記汚染領域以外の領域に配置させて表示する汚染モード表示を行なうこと、
を特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記汚染モード表示には前記汚染領域の表示が含まれること、
を特徴とする請求項1の入力装置。
【請求項3】
表示機能と入力機能を合わせ持つものであって前記特定者以外の非特定者が入力するための非特定者用操作パネルを前記特定者用操作パネルとは別に有すること、
を特徴とする請求項1または2の入力装置。
【請求項4】
前記特定者用操作パネルの入力機能は、当該特定者用操作パネルに対して入力操作を行なうための物体を接触させて当該物体の2次元位置情報を取得し、該取得した前記物体の2次元位置情報に基づいて前記物体による入力操作内容を認識すること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つの入力装置。
【請求項5】
前記特定者用操作パネルの入力機能は、当該特定者用操作パネル上の空間に存在する当該特定者用操作パネルに対して入力操作を行なうための物体の3次元位置情報を前記物体と非接触の状態で取得し、該取得した前記物体の3次元位置情報に基づいて前記物体による入力操作内容を認識すること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つの入力装置。
【請求項6】
前記物体の3次元位置情報は、前記特定者用操作パネルの表示画面に配置された撮像素子による前記物体の撮像画像から取得すること、
を特徴とする請求項5の入力装置。
【請求項7】
前記物体の3次元位置情報は、前記特定者用操作パネルに併設された赤外線センサにより取得すること、
を特徴とする請求項5の入力装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つの入力装置を有すること、を特徴とする医療機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−42207(P2010−42207A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210046(P2008−210046)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】