説明

入力装置、及びそれを備えた表示装置

【課題】静電容量結合方式のタッチパネルにおいて、非導電性の入力手段によるタッチにも反応し、かつタッチ面積が小さくても少ない電極本数で高精度の位置検出を実現する。
【解決手段】第1の絶縁層を介して交差するX電極XPとY電極YPと、第2の絶縁層を介して互いにフローティングである複数のZ電極を設ける。前記第2の絶縁層には、弾性絶縁材料などタッチによる押圧で厚さが変化する材質を用いる。また、前記Z電極は、隣接する前記X電極と前記Y電極の両方に重畳するよう配置する。また、前記X電極のパッド部は、該X電極の細線部付近で面積が最大となり、隣接する前記X電極の細線部付近で面積が最小となり、該X電極の細線部付近から離れるにつれてパッド部の面積が減少することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面へ座標を入力する入力装置、及びそれを備えた表示装置にかかり、特に容量結合方式の入力装置を有す表示装置における座標検出精度の高精度化に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
表示画面に使用者の指などを用いてタッチ操作(接触押圧操作、以下、単にタッチと称する)して情報を入力する画面入力機能をもつ入力装置(以下、タッチセンサ又はタッチパネルとも称する)を備えた表示装置は、PDAや携帯端末などのモバイル用電子機器、各種の家電製品、無人受付機等の据置型顧客案内端末に用いられている。このようなタッチによる入力装置として、タッチされた部分の抵抗値変化を検出する抵抗膜方式、あるいは容量変化を検出する静電容量結合方式、タッチにより遮蔽された部分の光量変化を検出する光センサ方式、などが知られている。
【0003】
静電容量結合方式は、抵抗膜方式や光センサ方式と比較した場合に次のような利点がある。例えば、抵抗膜方式や光センサ方式では透過率が80%程度と低いのに対し静電容量結合方式は約90%と透過率が高く表示画質を低下させない点で有利である。また、抵抗膜方式では抵抗膜の機械的接触によりタッチ位置を検知するため、抵抗膜が劣化または破損するおそれがあるのに対し、静電容量結合方式では検出用電極が他の電極などと接触するような機械的接触がなく、耐久性の点からも有利である。
【0004】
静電容量結合方式のタッチパネルとしては、例えば、特許文献1で開示されているような方式がある。この開示された方式では、縦横二次元マトリクス状に配置した検出用縦方向の電極(X電極)と検出用横方向の電極(Y電極)とを設け、入力処理部で各電極の容量を検出する。タッチパネルの表面に指などの導体が接触した場合には、各電極の容量が増加するため、入力処理部でこれを検知し、各電極が検知した容量変化の信号を基に入力座標を計算する。ここでは、検出用の電極が劣化して物理的特性である抵抗値が変化しても容量検出に及ぼす影響は少ないため、タッチパネルの入力位置検出精度に及ぼす影響が少ない。そのため、高い入力位置検出精度を実現することができる。
【0005】
【特許文献1】特表2003−511799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、静電容量結合方式のタッチパネルは、上記特許文献1のように検出用の各電極の容量変化を検出して、入力座標を検出するため、入力手段としては導電性のある物質が前提となる。そのため、抵抗膜式などで使用されている導電性の無い樹脂製スタイラスなどを静電容量結合方式のタッチパネルに接触させた場合には、電極の容量変化がほとんど発生しないため、入力座標を検出できないという課題がある。
【0007】
また、一方で導電性のある物質、例えば金属などでスタイラスを作り、それにより静電容量結合方式のタッチパネルに入力しようとした場合には、電極本数が増加する。例えば、対角4インチで縦横の寸法比が3対4の静電容量結合方式タッチパネルを、特許文献1のような菱形を基本とした電極形状で実現する場合を考える。ここで指を入力対象とする場合には最小の接触面を直径6mmと仮定し、このサイズを電極間隔として検出用電極を用意すると、電極総数は22本となる。一方でスタイラスの接触面を直径1mmと仮定し、このサイズを電極間隔として検出用電極を用意すると139本となり、約6倍まで電極本数が増加する。電極本数が増加すると入力処理部への配線引回しに必要となる額縁面積が大きくなり、また制御回路との信号接続本数が増えるため衝撃などに対する信頼性も低下する。また、入力処理部の端子数が増加するため回路面積も増え、コスト増加が懸念される。
【0008】
以上のことから、上記特許文献1に開示される静電容量結合方式タッチパネルでは、非導電性物質による入力への対応と、小さい接触面の入力手段に対応する場合の電極数削減が課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題の解決を実現するため本発明では、複数のX電極と複数のY電極と複数のZ電極を備えた静電容量タッチパネルを用いる。この静電容量タッチパネルにおいて、前記X電極と前記Y電極は、第1の絶縁層を介して交差されており、それぞれ、その延在方向にパッド部と細線部とが交互に並ぶようにして形成され、平面的に観た場合に、前記X電極のパッド部と前記Y電極のパッド部は重畳することなく配置される。また、前記Z電極は、平面的に観た場合に、隣接する前記X電極と前記Y電極の両方に重畳するように、第2の絶縁層を介して形成しており、かつ前記Z電極は互いに電気的にフローティングであることを特徴とする。このとき、前記第2の絶縁層を、タッチによる押圧により厚さが変化する材料、例えば弾性絶縁材料で形成することで、非導電性の入力手段においても前記X電極および前記Y電極と、前記Z電極間の容量変化を発生させることが可能となり、静電容量結合方式によりタッチを検出することが可能となる。
【0010】
また、前記X電極のパッド部は、該X電極と隣接するX電極の細線部付近まで延在し、平面的に観た場合に、該X電極のパッド部における形状は、前記隣接するX電極の細線部付近で面積が最小となり、該X電極の細線部付近で面積が最大となり、該X電極の細線部付近から前記隣接するX電極の細線部付近へかけて、該パッド部の面積が減少することを特徴とする。これにより、タッチ操作における接触面に比べて前記X電極の電極間隔が広い場合にも、隣接する前記X電極の検出容量成分の比からタッチ座標位置を計算することが可能となり、少ない電極本数で高精度な位置検出が可能となる。
【0011】
また、前記複数のZ電極を、隣接する前記X電極と前記Y電極との両方に重畳させて形成することで、前記X電極上にタッチによる接触面が存在した場合でも、前記Z電極を通じて隣接する前記Y電極が容量変化を検知でき、逆に前記Y電極上にタッチによる接触面が存在した場合でも、前記Z電極を通じて隣接する前記X電極が容量変化を検知できるため、タッチパネル全面において入力座標を検出することができる。また同時に前記Y電極の電極本数も削減することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、タッチパネルの電極の形状や配置を工夫することで、少ない電極本数で従来と比較して精度の高い位置検出が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
入力装置(以下、タッチパネルと呼ぶ)、及びそれを備えた表示装置の構成を、図1に示す。
【0015】
図1において、101は本発明の第1の実施形態によるタッチパネルである。タッチパネル101は、容量検出用のX電極XPとY電極YPを有する。ここでは、例えばX電極を4本(XP1からXP4)、Y電極を4本(YP1からYP4)で図示しているが、電極数はこれに限らない。タッチパネル101は表示装置106の前面に設置される。従って、表示装置に表示された画像を使用者が見る場合には、表示画像がタッチパネルを透過する必要があるため、タッチパネルは透過率が高いことが望ましい。タッチパネル101のX電極とY電極は、検出用配線によって容量検出部102に接続される。容量検出部102は、制御演算部103から出力される検出制御信号により制御され、タッチパネルに含まれる各電極(X電極、Y電極)の容量を検出し、各電極の容量値によって変化する容量検出信号を制御演算部103に出力する。制御演算部103は、各電極の容量検出信号から各電極の信号成分を計算するとともに、各電極の信号成分から入力座標を演算して求める。システム104は、タッチ操作によりタッチパネル104から入力座標が転送されると、そのタッチ操作に応じた表示画像を生成して、表示制御信号として表示制御回路105に転送する。表示制御回路105は、表示制御信号により転送される表示画像に応じて表示信号を生成し、表示装置に画像を表示する。
【0016】
図2は、容量検出部102の回路構成を示す。ここでは一例として電流積分による容量検出回路を示している。但し、容量検出方式はこれに限られるものではなく、例えば、容量とスイッチを用いたスイッチドキャパシタによる容量検出方式や、同じくスイッチと容量を用いて電荷を容量に輸送するチャージトランスファー方式など、タッチパネルの容量検出用電極の容量、或いは容量変化を検出できる方式であれば、本発明の実施形態に適用可能である。図2に示す電流積分による容量検出回路は、定電流源と、定電流源の電流をタッチパネル101のX電極及びY電極に印加するためのスイッチSW_Aと、電流積分時の容量検出用電極の電圧VINTと参照電圧VREFとを比較するコンパレータ107、および容量検出用電極の電圧をリセットするためのスイッチSW_Bから構成される。ここで、X電極XPに接続される上記スイッチSW_A、SW_B、及びその制御信号をSW_XPA、SW_XPBと記し、Y電極YPに接続される上記スイッチSW_A、SW_B、及びその制御信号をSW_YPA、SW_YPBと記している。
【0017】
図3は、図2に示した容量検出部102の動作を示すタイミングチャートである。ここでは制御信号がハイレベルの時にスイッチが接続状態となり、制御信号がロウレベルの時にスイッチが非接続状態となると仮定する。容量検出部102は、SW_XP1Bをロウレベルとしてリセット状態を解除し、そしてSW_XP1Aをハイレベルとして定電流源とXP1電極を接続する。これによりタッチパネル101の容量検出用電極XP1の電圧VINTは上昇する。参照電圧VREFはリセットの電位(ここでは、GNDと仮定)よりも高電位に設定されている。よって、SW_XP1AがハイレベルになってからVINTがVREFに到達するまでコンパレータ107の出力はロウレベルとなる。VINTが参照電圧VREF以上となると、コンパレータ107はハイレベルを出力する。その後、SW_XP1Aが非接続状態、SW_XP1Bが接続状態となってXP1電極がリセットされるまで、コンパレータ107はハイレベルを出力する。上述のXP1電極の充放電が終わると、次にXP2電極の充放電を同様に行う。この動作を繰り返し、XP1からXP4、YP1からYP4の電極の容量検出を行う。以上の動作を繰り返すことにより、連続的に入力座標を検出することが出来る。図4は、図2及び図3に示した電流積分による容量検出によって、タッチパネル101の容量検出用電極の容量が変化した場合のXP1電極の電圧VINTを示した図である。タッチパネル101のXP1電極上にタッチが無い場合はXP1電極の容量は変化しないため、参照電圧VREFに到達するまでの時間は、検出操作毎にほぼ一定となる。一方、XP1電極上にタッチがある場合には、XP1電極の容量は変化する。ここでは、例えば容量が増加したと仮定すると、定電流源の電流は一定であるため、参照電圧VREFに到達するまでの時間は長くなる。制御演算部103は、このタッチ状況による参照電圧VREFまでの到達時間の差を、容量検出信号の立ち上りタイミングの差として検知することが可能である。よって、制御演算部103は、容量検出信号の立ち上りタイミングの差を各電極の信号成分として算出し、各電極の信号成分から入力座標を計算することが可能となる。
【0018】
次に、本発明の第1の実施形態によるタッチパネル101に設けた容量検出用の電極について、図5および図6を用いて説明する。
【0019】
図5(a)は、タッチパネル101の容量検出用のX電極XPおよびY電極YP、さらにその上部に設けたZ電極ZPの電極パターンを示した図である。X電極XPとY電極YPは、検出用配線によって容量検出部102に接続される。一方、Z電極ZPは電気的に接続されておらず、フローティングの状態とする。図5(b)はX電極XPとY電極YPの電極パターンのみを図に示したものである。Y電極はタッチパネル101の横方向に伸びており、複数のY電極が縦方向に複数本並べられている。Y電極とX電極の交差部分は、各電極の交差容量を削減するためにY電極とX電極の電極幅を細くしている。この部分を仮に細線部と呼ぶ。したがって、Y電極はその延在方向に細線部と、それ以外の電極部分(以下では、パット部と呼ぶ)とを交互に配置した形状となる。隣接するY電極の間に、X電極を配置する。X電極はタッチパネル101の縦方向に延びており、複数のX電極が横方向に複数本並べられる。Y電極と同様に、X電極はその延在方向に細線部とパッド部を交互に配置した形状となる。以下で、X電極のパッド部の形状を説明する上で、仮にX電極を検出用配線に接続するための配線位置(或いはX電極の細線部)を、X電極の横方向の中心と仮定する。X電極のパッド部の電極形状は、隣接するX電極の中心に近くなるにつれて面積が小さくなり、該X電極の中心に近いほど面積が大きくなる。よって、隣接する2本のX電極、例えばXP1とXP2の間におけるX電極の面積を考えた場合には、XP1電極の中心付近ではXP1電極のパッド部の電極面積が最大となり、且つXP2電極のパッド部の電極面積は最小となる。一方、XP2電極の中心付近ではXP1電極のパッド部の電極面積が最小となり、且つXP2電極のパッド部の電極面積が最大となる。ここで、隣接する2本のX電極間におけるパッド部形状は、一方のX電極の形状が凸状であり、もう一方のX電極形状が凹状であることを特徴とする。
【0020】
図5(b)では、X電極左側のパッド部の電極形状を凸状、右側の電極形状を凹状としているが、これに限らない。例えば、X電極右側の電極形状を凸状、左側の電極形状を凹状としても良いし、X電極左右の電極形状を凸状とし、隣接するX電極の電極形状を凹状としても良い。
【0021】
次に、Z電極ZPの形状について説明する。図5(a)において、Z電極ZPは、Y電極と平行な複数のスリットと、X電極と平行な複数のスリットにより、複数の電極ZPに分割する。図5(a)においては、Y電極と平行なスリットの縦方向の位置を、各X電極上と各Y電極上とに設けており、各X電極上のスリットの縦位置はX電極形状の凸型形状の頂点付近、或いは凹形形状の谷付近とすることが望ましい。また、各Y電極上のスリットの縦位置は、Y電極の電極幅の中心付近とすることが望ましい。一方、X電極と平行なスリット数は、隣接するX電極間に複数箇所設ける。その時のX電極と平行なスリットの間隔は任意で設定できるが、想定する入力手段の最小接触面の寸法に近いことが望ましい。
【0022】
図6は、図5(a)において点Aから点Bまでのタッチパネル101の断面形状を示した図である。この断面図では、タッチパネル動作の説明に必要となる層のみ示している。タッチパネル101の各電極は透明基板上に形成する。透明基板から近い層から遠い層へ順に説明する。まず透明電極に近い箇所にX電極XPを形成し、次にX電極とY電極を絶縁するための絶縁膜を形成する。その次に、Y電極YPを形成する。ここで、X電極XPとY電極の順番を入れ換えても良い。Y電極YPの次には圧力検知用絶縁層を配置し、次にZ電極ZPと保護層を設ける。ここで圧力検知用絶縁層は、タッチ操作による押圧時に、膜厚が変化する透明な絶縁材料であれば良い。例えば、弾性絶縁材料などを用いて、圧力検知用絶縁層を形成しても良い。
【0023】
次に、本発明の第1の実施形態によるタッチパネル101におけるタッチ操作時の容量変化について、図7及び図8を用いて説明する。
【0024】
図7は、タッチ操作の入力手段が指などの導体である場合の容量変化を説明する模式図である。ここでは、タッチ時の押圧が小さくて圧力検知用絶縁層の厚さが変化しないと仮定する。また、各電極の電極容量は、隣接電極とのフリンジ容量、交差容量、その他の寄生容量との合成容量となるが、ここではZ電極との間の平行平板容量のみ着目し、その他の電極容量はタッチ操作時とタッチ操作が無い場合で変化しないと仮定した。ここで、タッチ操作が無い場合のZ電極ZPAとX電極XP1との間の容量をCxz、Z電極ZPAとY電極YP2との間の容量をCyzと仮定する。
【0025】
X電極XP1の電極容量を容量検出部102が検出する際には、Y電極YP2はリセット状態でGND電位となる。そのためX電極XP1からみた場合の合成容量は、Z電極ZPAがフローティングであるため、CxzとCyzの直列接続の容量となる。このときのX電極の合成容量Cxpは、次の式で表される。
【0026】
Cxp=Cxz・Cyz/(Cxz+Cyz) ・・・式(1)
一方、タッチ操作により指の接触がある場合には、Z電極ZPAに指の静電容量成分Cfが電気的に接続された状態とみなせる。この場合の合成容量を等価回路で描くと図7(b)となり、タッチ操作時のX電極の合成容量Cxpfは、次の式で表される。
【0027】
Cxpf=Cxz・(Cyz+Cf)/(Cxz+Cyz+Cf) ・・・式(2)
制御演算部103は、タッチ操作が無いときのXP1電極容量Cxpと、タッチ操作があるときのXP1電極容量Cxpfとの差分をXP1電極の信号成分として計算する。タッチ操作有無での電極容量の差分ΔCxpは、式(1)と式(2)から算出できる。
【0028】
ΔCxp=Cxz・Cf/{(Cxz+Cyz)(Cxz+Cyz+Cf)}
・・・式(3)
式(3)からも確認できるように、電極容量の差分ΔCxpは指の静電容量Cfに依存するため、制御演算部103によりXP1電極の信号成分として算出できる。
【0029】
図8は、タッチ操作の入力手段が非導電性であり、タッチ時の押圧により圧力検知用絶縁層の厚さが変化する場合の容量変化を説明する模式図である。タッチ操作が無い場合のXP1電極の容量は、図7で説明したように式(1)で表すことができる。図8は、タッチ時の押圧によりZ電極ZPAと容量検出用電極間の圧力検知用絶縁層が薄くなった場合の図である。この場合のZ電極ZPAとX電極XP1間の容量をCxzaとし、Z電極ZPAとY電極YP2間の容量をCyzaとした場合、平行平板容量は厚さに反比例するため次の式が成り立つ。
【0030】
Cxza>Cxz,Cyza>Cyz ・・・式(4)
X電極XP1の電極容量を容量検出部102が検出する際には、Y電極YP2はリセット状態でGND電位となる。そのためX電極XP1からみた場合の合成容量は、Z電極ZPAがフローティングであるため、CxzaとCyzaの直列接続の容量となる。このときのX電極の合成容量Cxpaは、次の式で表される。
【0031】
Cxpa=Cxza・Cyza/(Cxza+Cyza) ・・・式(5)
制御演算部103は、タッチ操作が無いときのXP1電極容量Cxpと、タッチ操作があるときのXP1電極容量Cxpaとの差分をXP1電極の信号成分として計算する。タッチ操作有無での電極容量の差分ΔCxpaは、式(1)と式(5)から算出できる。
【0032】
ΔCxpa={Cxz・Cxza(Cyza−Cyz)+Cyz・Cyza(Cxza−Cxz)}
/{(Cxz+Cyz)(Cxza+Cyza)} ・・・式(6)
式(4)と式(6)からも確認できるように、電極容量の差分ΔCxpaを容量検出部102により検出できるため、制御演算部103によりXP1電極の信号成分として算出できる。
【0033】
以上のことから、圧力検知用絶縁層とZ電極ZPを用いることで、非導電性の入力手段であっても、押圧により圧力検知用絶縁層の厚さが変化することで容量変化により入力座標を検知することが可能になる。
【0034】
次に、図9および図10を用いて、タッチ操作による接触面が小さい場合に、接触面の位置が横方向に変化した場合の各電極の信号成分について説明する。
【0035】
図9(a)は、隣接する2つのX電極であるXP2とXP3との間において、X電極上で接触面の位置が変化した様子を示している。XAはXP2の中心付近であり、XBはXP2とXP3との中間付近であり、XCはXP3の中心付近である。図9(a)では、図の簡略化のためZ電極ZPを図示していない。図9(b)は接触面の位置がXAのときの、XP2とXP3の制御演算部103が算出する信号成分を表した図である。同様に、図9(c)は位置XBのとき、図9(d)は位置XCのときのXP2とXP3の信号成分をそれぞれ表している。図8で述べた静電容量Cfや、図9で述べたZ電極ZPと容量検出用電極との間の容量変化は、接触面の面積に依存する。よって、容量検出用電極と接触面とが重なる面積が大きい場合には信号成分が大きくなり、逆に容量検出用電極と接触面とが重なる面積が小さい場合には信号成分が小さくなる。位置XAでは、接触面とXP2とが重なる部分が多く、XP3とはほとんど重ならないため、図9(b)に示すように、XP2の信号成分が大きく、XP3の信号成分は小さくなる。位置XBでは、XP2及びXP3と接触面と重なる面積がほぼ等しくなるので、図9(c)に示すように算出される信号成分はXP2とXP3でほぼ等しくなる。さらに、位置XCでは、接触面とXP3と重なる部分が多く、XP2とほとんど重ならないため、図9(d)に示すように、XP3の信号成分が大きく、XP2の信号成分は小さくなる。制御演算部103は、各電極の信号成分を用いて重心計算を行い、接触面がタッチ操作により接触した入力座標を算出する。図9(c)のようにXP2とXP3で同程度の信号成分が得られる場合には、重心位置はXP2電極とXP3電極の中間にくるため、入力座標を算出できる。一方、図9(b)や図9(d)のように一方のX電極の信号成分が非常に大きい場合には、重心位置は大きな信号成分を検出したX電極付近になるため、同様に入力座標を算出できる。
【0036】
図10は、Y電極上で図9と同様に接触面が変化したときの様子を示している。横方向の位置は、図9のXAがXA’、XBがXB’、XCがXC’に相当する。図10において接触面はX電極と直接重なっていないが、接触面が重なっているZ電極ZPは隣接するX電極XP2とXP3に重なっている。よって、Y電極上での接触による容量変化は、Z電極ZPを介した容量カップリングにより隣接するX電極でも検出できる。
【0037】
以上のように、本発明の第1の実施形態によるX電極の電極形状を用いることで、接触面に比べてX電極の電極間隔が広い場合でも重心計算が可能となり、高精度に位置を検出することが可能となる。よって、接触面に比べてX電極の電極間隔を拡げることで従来の電極パターンより電極本数を削減することが可能となる。また、X電極の電極形状がY電極を間に挟み離散的であっても、電気的にフローティングであるZ電極を隣接するX電極とY電極へ跨るように配置することで、タッチパネル全面でX方向の入力座標を検出することが可能となる。
【0038】
次に、図11を用いて、タッチ操作による接触面が小さい場合に、接触面の位置が縦方向に変化した場合の各電極の信号成分について説明する。
【0039】
図11(a)は、隣接する2つのY電極であるYP2とYP3との間において、縦方向に接触面の位置が変化した様子を示している。YAはYP2の中心付近であり、YBはYP2とYP3との中間付近であり、YCはYP3の中心付近である。接触面が位置YAの場合には接触面と重なるY電極はYP2だけであるため、制御演算部103が検出する信号成分は、図11(b)のようにYP2電極の信号成分のみとなる。同様に、接触面が位置YCの場合には接触面と重なるY電極はYP3だけであるため、図11(d)のようにYP3電極の信号成分のみとなる。一方、接触面が位置YBのようにX電極上にある場合には、接触面と重なるZ電極ZPが隣接するY電極と交差している。そのため、X電極上での接触による容量変化は、Z電極ZPを介した容量カップリングにより隣接するY電極で検出することが出来る。位置YBの場合には、YP2電極と交差するZ電極ZPで発生する容量変化と、YP3電極と交差するZ電極ZPで発生する容量変化が略等しい。よって、図11(c)に示すようにYP2とYP3で得られる信号成分が略等しくなる。制御演算部103は、X電極の入力座標算出の場合と同様に、各電極の信号成分を用いて重心計算を行い、接触面がタッチ操作により接触した入力座標を算出する。図11(c)のようにYP2とYP3で同程度の信号成分が得られる場合には、重心位置はYP2電極とYP3電極の中間にくるため、入力座標を算出できる。一方、図11(b)や図11(d)のように一方のY電極の信号成分のみの場合には、重心位置は信号成分を検出したX電極の中心付近になるため、同様に入力座標を算出できる。
【0040】
以上のように、本発明の第1の実施形態によるY電極の電極形状が、X電極を間に挟み離散的であっても、電気的にフローティングであるZ電極を隣接するX電極とY電極と跨るように配置することで、タッチパネル全面でY方向の入力座標を検出することが可能となる。また、X電極が存在する領域の縦方向の入力座標を、前述のZ電極を用いることで検出可能なことから、Y電極の本数を削減することが可能となる。また、縦方向のY座標においても重心計算による座標演算が可能となり、高精度に位置を検出することが可能となる。
【0041】
以上で述べた本発明の第1の実施形態におけるX電極、Y電極、およびZ電極の電極形状による容量検出用電極本数の削減効果を示すため、図12に示すような対角4インチ(縦横比は、3対4と仮定)のタッチパネルでの電極本数を計算した。ここでは、想定する最小の接触面を直径1.0mmと仮定し、Y電極の電極間隔を2.0mmとした。X電極の電極間隔をパラメータとしたときの電極数をまとめたグラフを図13に示す。X電極の電極間隔を拡げることでX電極本数を削減することができる。例えば、電極間隔を6.0mmとすることで、従来技術の場合の電極数139本(X電極とY電極ともに1.0mmの電極間隔で並べた場合)に対し、容量検出用の電極数を約100本削減することが可能となる。
【0042】
本発明の第1の実施形態により容量検出用の電極本数を削減することで、検出用配線引回しのための額縁寸法を小さくすることが出来る。また、タッチパネル101と容量検出部102との接続線数も少なくなることから、信頼性向上も期待できる。また、容量検出用の電極本数が少なくなることから、容量検出部の端子数も削減でき、IC化した際のコストを低減することが可能となる。
【0043】
図14及び図15は、Z電極のスリットの位置を変えた場合である。図5(a)、図14、および図15のZ電極ZPにおいて、X電極と平行なスリットは同じであり、Y電極と平行なスリットが異なっている。ただし、Z電極が隣接するX電極とY電極へ跨り交差している点は共通である。
【0044】
図14において、Y電極と平行なスリットは各Y電極の中央付近に配置される。これにより、隣接するX電極とY電極には同一のZ電極が跨って交差するため、図5(a)の場合と同様にX電極上の容量変化をカップリングでY電極が検出可能となり、逆にY電極上の容量変化をカップリングでX電極が検出可能となる。このため、図5(a)と同様の効果が期待できる。
【0045】
図15においては、Y電極と平行なスリットは各X電極の中央付近に配置される。これにより、隣接するX電極とY電極には同一のZ電極が跨って交差するため、図5(a)の場合と同様にX電極上の容量変化をカップリングでY電極が検出可能となり、逆にY電極上の容量変化をカップリングでX電極が検出可能となる。このため、図5(a)と同様の効果が期待できる。
【0046】
図16は、図5(b)に示すX電極の形状を変えた場合である。図5(b)および図16において、Y電極の形状は同じである。図5(b)ではX電極形状が凹形形状、凸形形状であったが、図16は略三角形に近い形状である。図5(b)および図16共に、隣接するX電極の中心に近くなるにつれて面積が小さくなり、該X電極の中心に近いほど面積が大きくなる特徴は同じである。そのため、図5(b)と同様の効果が期待できる。また、X電極の形状は、隣接するX電極の中心に近くなるにつれて面積が小さくなり、該X電極の中心に近いほど面積が大きくなる形状であれば、図5(b)、図16の形状に限定されない。
【0047】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、非導電性の入力手段によりタッチパネル上へ接触した場合でも、容量検出用のX電極やY電極と、その上部のZ電極との距離が変化することで容量変化を発生できるため、静電容量結合方式として入力座標を検出することが出来る。これにより、抵抗膜式で使用されている樹脂製スタイラスへも対応可能となり、抵抗膜式タッチパネルとの置き換えの障壁が低くなる。
【0048】
また、隣接するX電極間の入力位置は、隣接する2つのX電極から得られる容量変化の信号比により算出できるように電極形状を工夫することでX電極本数を削減し、またY電極はZ電極の配置を工夫することで削減することができる。これにより、検出用電極から入力処理部までの引き回し配線で必要な額縁幅を狭くすることができ、デザイン性の尤度が向上する。また、入力処理部の端子数増加を抑制することが出来るため、安価に高精度な入力位置検出ができる静電容量結合方式タッチパネルを実現することが出来る。また、接触面の小さい入力手段、例えばスタイラスなどでも精度良く入力座標の検出が出来ることから、文字入力などのアプリケーションへ適用も可能となる。
【0049】
上記で説明した本発明の第1の実施形態によるタッチパネルにおいて、X電極XPの形状は、図17に示すようにX電極の中心から最遠端の部分で、ある一定の電極幅を有する電極形状としても良い。
【0050】
図18は、図17に示す電極形状を用いたタッチパネルにおいて、タッチ操作による接触面が小さい場合に、接触面の位置が横方向に変化した場合の各電極の信号成分について説明する図である。
【0051】
図18(a)は、隣接する2つのX電極であるXP2とXP3との間において、X電極上で接触面の位置が変化した様子を示している。XAはXP2の中心付近であり、XBはXP2とXP3との中間付近であり、XCはXP3の中心付近である。図18(a)では、図の簡略化のためZ電極ZPを図示していない。図18(b)は接触面の位置がXAのときの、XP2とXP3の制御演算部103が算出する信号成分を表した図である。同様に、図18(c)は位置XBのとき、図18(d)は位置XCのときのXP2とXP3の信号成分をそれぞれ表している。前述したようにZ電極ZPと容量検出用電極との間の容量変化は、接触面の面積に依存する。よって、容量検出用電極と接触面とが重なる面積が大きい場合には信号成分が大きくなり、逆に容量検出用電極と接触面とが重なる面積が小さい場合には信号成分が小さくなる。位置XAでは、接触面とXP2とが重なる部分が多くなる。一方、XP3は遠端部においても電極幅を有する電極形状となっているため、接触面と重なる面積を得る事ができる。このため、図18(b)に示すように、XP2の信号成分は大きくなり、XP3の信号成分は接触面と重なる面積に応じた信号成分となる。位置XBでは、XP2及びXP3と接触面と重なる面積がほぼ等しくなるので、図18(c)に示すように算出される信号成分はXP2とXP3でほぼ等しくなる。さらに、位置XCでは、位置XAの場合のXP2とXP3の関係が逆となる。
【0052】
ここで、表示装置や容量検出部102周辺の影響により信号成分にノイズ成分が重畳される場合がある。ノイズ成分が重畳されると、図18(b)から図18(d)の図中に点線で示したノイズ成分以下の信号は、制御演算部103において重心計算に利用できなくなる。よって、ノイズ成分が多い場合には、図17に示すようにX電極の中心から最遠端の部分を、任意の電極幅を有する電極形状にすることで、接触面と重なる面積を存在させることができ、信号成分を得ることで精度よく接触位置を検出することができる。
【0053】
また、圧力検知用絶縁層は、空気など圧力により体積が変化する気体により構成してもよい。この場合には、非接触時の層間距離を一定に保つ為に、Z電極ZPとX電極XP及びY電極YPとの間に、スペーサなどを配置してもよい。
【0054】
また、空気以外でも、上下の電極材料などと屈折率の近い液体材料を用いて、圧力検知用絶縁層としても良い。また、圧力検知用絶縁層として、圧力により層間距離が変化するエラストマ−等の樹脂を用いても良い。
【0055】
次に、本発明の第2の実施形態によるタッチパネルについて説明する。本発明の第2の実施形態によるタッチパネルは、本発明の第1の実施形態で説明したZ電極の形状が異なる。従って、Z電極以外の構成要素は、前述した本発明の第1の実施形態と同様である。
【0056】
本発明の第2の実施形態によるタッチパネルに備えられるZ電極の形状について、図19と図20を用いて説明する。図19に示すように、Z電極ZPはスリットにより分割されず、ベタ電極の形状を有する。このベタ電極の形状のZ電極ZPも電気的にフローティング状態とする。このときの点Aから点Bの断面図が図20である。ベタ電極形状のZ電極ZPが、圧力検知用絶縁層を挟んで、X電極XPとY電極YPの上部に配置される。
【0057】
図21と図22は、ベタ電極形状のZ電極ZPを用いたときの、容量検出用電極であるX電極XPの信号成分を、シミュレーションにより求めた結果である。
【0058】
図21は、ペンなどによりタッチパネルを押圧し、圧力検知用絶縁層の層間距離が変動した場合の信号成分を、シミュレーションにより求めた結果である。シミュレーションの条件として、押圧前の圧力検知用絶縁層の層間距離を70umとし、押圧時の層間距離を10umとして計算した。グラフの横軸は、圧力検知用絶縁層の比誘電率である。比較として、第1の実施形態であるスリット有のZ電極ZPを用いた場合の信号成分も示した。この図で示されるように、ベタ電極形状のZ電極ZPを用いた場合でも、図8(a)で説明した圧力検知用絶縁層の層間距離変化による容量変化を、スリット有のZ電極ZPを用いたときと同程度に、信号成分として検出できることがわかる。
【0059】
図22は、指などの導体によりタッチパネルに触れたときの信号成分をシミュレーションにより計算した結果を示している。ここでは、指などにより軽く接触した場合を想定して、接触時に圧力検知用絶縁層の層間距離は変化せず70um一定として計算した。また、圧力検知用絶縁層の比誘電率は3.8として計算した。グラフ中には、比較データとして、点線でスリット有のZ電極を用いた場合における指接触時の信号成分をシミュレーションにより計算した結果を示した。グラフ横軸は、ベタ電極形状であるZ電極ZPのシート抵抗である。この結果から、層間距離が変化しない場合には、Z電極のシート抵抗を高くすることで、スリット有のZ電極ZPを用いた場合と同程度の信号成分を得られることを示している。Z電極のシート抵抗を高くすることで、接触した導体から距離の近い容量検出用電極のみ、その接触した導体により発生する静電容量への充放電が可能となる。このようにZ電極の抵抗を高くして、静電容量への充放電を局所的にすることで、信号成分を検出可能にした。
【0060】
以上で説明したように、スリットのないベタ電極形状のZ電極を用いることで、本発明の第1の実施形態によるタッチパネルと同様の効果を得る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態における入力装置、およびそれを備えた表示装置のシステム構成図
【図2】容量検出部102の回路構成図
【図3】容量検出部102の動作を説明するタイミングチャート
【図4】容量検出時における容量検出用電極の電圧波形図
【図5】本発明の実施形態におけるタッチパネルの電極形状を示す平面図
【図6】本発明の実施形態におけるタッチパネルの電極構造を示す断面図
【図7】本発明の実施形態におけるタッチパネルにおいて容量検出用電極の静電容量による容量変化を示す模式図
【図8】本発明の実施形態におけるタッチパネルにおいて容量検出用電極の圧力検知用絶縁層の厚さ変化による容量変化を示す模式図
【図9】本発明の実施形態においてX方向に接触面が移動した際の信号成分を示したグラフ
【図10】本発明の実施形態において接触面がY電極上に存在しX方向に移動した際の模式図
【図11】本発明の実施形態においてY方向に接触面が移動した際の信号成分を示したグラフ
【図12】タッチパネルにおける容量検出用電極の配置図
【図13】容量検出用電極本数のX電極間隔依存を示すグラフ
【図14】本発明の実施形態における、別なZ電極の形状を示す模式図
【図15】本発明の実施形態における、別なZ電極の形状を示す模式図
【図16】本発明の実施形態における、別なX電極の形状を示す模式図
【図17】本発明の実施形態における、別なX電極の形状を示す模式図
【図18】本発明の実施形態においてX方向に接触面が移動した際の信号成分を示したグラフ
【図19】本発明の第2の実施形態におけるタッチパネルの電極形状を示す平面図
【図20】本発明の第2の実施形態におけるタッチパネルの電極構造を示す断面図
【図21】本発明の実施形態におけるタッチパネルの圧力検知用絶縁層距離が変化したときの信号成分を示すグラフ
【図22】本発明の実施形態におけるタッチパネルの導体接触時の信号成分を示すグラフ
【符号の説明】
【0062】
XP 容量検出用のX電極
YP 容量検出用のY電極
101 タッチパネル
102 容量検出部
103 制御演算部
104 システム(CPU)
105 表示制御回路
106 表示装置
107 コンパレータ
SW_A,SW_B スイッチ、及びその制御信号
VINT 容量検出用電極の電流積分電圧
VREF 参照電圧
ZP,ZPA Z電極
Cf 静電容量
Cxz,Cxza X電極とZ電極との間の容量成分
Cyz,Cyza Y電極とZ電極との間の容量成分
XA,XB,XC 接触面位置
XA’,XB’,XC’ 接触面位置
YA,YB,YC 接触面位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域上におけるタッチ位置座標を静電容量結合方式にて検出する静電容量タッチパネルを備える表示装置において、
前記静電容量タッチパネルは、複数のX電極と複数のY電極と複数のZ電極を備え、
前記X電極と前記Y電極は、第1の絶縁層を介して交差されており、それぞれ、その延在方向にパッド部と細線部とが交互に並ぶようにして形成され、平面的に観た場合に、前記X電極のパッド部と前記Y電極のパッド部は重畳することなく配置され、
前記Z電極は、平面的に観た場合に、隣接する前記X電極と前記Y電極の両方に重畳するように、第2の絶縁層を介して形成されており、
前記複数のZ電極は、互いに電気的にフローティングであること
を特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第2の絶縁層は、タッチによる押圧により該第2の絶縁層の厚さが変化すること
を特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第2の絶縁層は、弾性絶縁材料により形成されること
を特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記X電極のパッド部は、該X電極と隣接するX電極の細線部付近まで延在し、
平面的に観た場合に、該X電極のパッド部における形状は、前記隣接するX電極の細線部付近で面積が最小となり、該X電極の細線部付近で面積が最大となり、
該X電極の細線部付近から前記隣接するX電極の細線部付近へかけて、該パッド部の面積が減少すること
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
平面的に見た場合に、前記Y電極のパッド部における前記X電極が延在する方向の幅が、前記Y電極の延在する方向に対して一定であり、
前記X電極のパッド部と前記Y電極のパッド部は、平面的に見た場合に、前記X電極が延在する方向に交互に配置されること
を特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
隣接する2本の前記X電極のパッド部において、一方の該パッド部の形状は凸型形状であり、もう一方の該パッド部の形状は凹形形状であること
を特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
隣接する2本の前記X電極のパッド部において、両方の該パッド部の形状は凸型形状であること
を特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項8】
前記Z電極は、前記X電極の延在方向に沿った複数のスリットにより分割され、また前記Y電極の延在方向に沿った複数のスリットにより分割されること
を特徴とする請求項6ないし請求項7のいずれかに記載の表示装置。
【請求項9】
前記Y電極が延在する方向に沿った前記Z電極のスリットは、平面的に観た場合に、前記Y電極上に1本づつ設けられ、また前記X電極上に1本づつ設けられること
を特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記Y電極が延在する方向に沿った前記Z電極のスリットは、平面的に観た場合に、前記Y電極上に1本づつ設けられること
を特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項11】
前記Y電極が延在する方向に沿った前記Z電極のスリットは、平面的に観た場合に、前記X電極上に1本づつ設けられること
を特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項12】
静電容量タッチパネルを備える表示装置において、
前記静電容量タッチパネルは、
第1方向に伸びる複数の第1電極と、前記第1方向と交差する第2方向に伸びる複数の第2電極と、前記第1の電極及び第2の電極上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成された複数の第3電極と、を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項13】
請求項12記載の表示装置において、
前記複数の第3電極は、それぞれが電気的にフローティングであり、前記第1電極および前記第2電極に平面的に重畳するように形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項14】
前記X電極のパッド部は、前記隣接するX電極の細線部付近で面積が最小となり、該X電極の細線部付近で面積が最大となり、該X電極の面積最小の部分で、ある任意の電極幅を有すること
を特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項15】
表示領域上におけるタッチ位置座標を静電容量結合方式にて検出する静電容量タッチパネルを備える表示装置において、
前記静電容量タッチパネルは、複数のX電極と複数のY電極、およびZ電極を備え、
前記X電極と前記Y電極は、第1の絶縁層を介して交差されており、それぞれ、その延在方向にパッド部と細線部とが交互に並ぶようにして形成され、平面的に観た場合に、前記X電極のパッド部と前記Y電極のパッド部は重畳することなく配置され、
前記Z電極は、平面的に観た場合に、前記複数のX電極と前記複数のY電極の両方に重畳するように、第2の絶縁層を介して形成されており、
前記Z電極は、電気的にフローティングであること
を特徴とする表示装置。
【請求項16】
前記Z電極は、
指などの導体が静電容量タッチパネルに接触した付近に生じる静電容量に対し、前記接触した付近の前記X電極および前記Y電極からのみ、前記静電容量に充放電できるように、高抵抗であること、
を特徴とする請求項15に記載の表示装置。
【請求項17】
前記Z電極は、ベタ電極であること、
を特徴とする請求項15ないし請求項16に記載の表示装置。
【請求項18】
表示領域上におけるタッチ位置座標を静電容量結合方式にて検出する静電容量タッチパネルを備える表示装置において、
前記静電容量タッチパネルは、複数のX電極と複数のY電極、及び複数または1つのZ電極を備え、
前記X電極と前記Y電極は、第1の絶縁層を介して交差されており、それぞれ、その延在方向にパッド部と細線部とが交互に並ぶようにして形成され、平面的に観た場合に、前記X電極のパッド部と前記Y電極のパッド部は重畳することなく配置され、
前記Z電極は、平面的に観た場合に、前記X電極と前記Y電極の両方に重畳するように、第2の絶縁層を介して形成されており、
前記複数または1つのZ電極は、電気的にフローティングであり、
前記第2の絶縁層は、圧力により体積が変化する気体で形成されること
を特徴とする表示装置。
【請求項19】
前記第2の絶縁層は、空気であること
を特徴とする請求項18記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−33133(P2010−33133A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191868(P2008−191868)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】