説明

入力装置および入力方法

【課題】公共の場においても、他人に情報が漏洩しないように安全にパスワードの入力が可能となることにある。
【解決手段】複数のキーを有する入力パネル像が空間上の位置に展開するようにディスプレイ11から投影しておき、ユーザの目の位置を検出し、ユーザの指先の位置を検出し、制御部10hは、検出したユーザの目の位置と、検出したユーザの指先の位置との相対的な位置関係によって、入力パネル像の複数のキーのうちどのキーが入力されたか判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他人に情報が漏洩しないように安全にパスワードの入力が可能となる入力装置および入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パスワード入力装置としては、例えば銀行やコンビニエンスストア等に設けられた一般的なATM(Automated Teller Machine;自動出納機)のように、入力装置の左右に衝立を設けておき、他人が覗き込むのを難しい状態にすることで、入力情報の漏えいを防止している。
このように、入力装置のキーボードについて、キートップの文字を他人から視認できないように構成されているものとしては、特許文献1、2が報告されている。
【0003】
特許文献1にあっては、眼鏡型表示装置を装着してキーボードを見ると、透過型表示部に表示された文字や記号等がキーボード上の対応するキーと重なって見えるため、各キーに対応する入力情報の識別を容易に行うことが可能となる。これにより、ユーザ以外の者からはキーボード上の各キーがどのような入力に対応しているかを判断することができないという利点がある。すなわち、パスワード入力の際に、眼鏡をかけたユーザだけが、キーボードのキートップの文字が視認できるので、第三者にパスワードを盗まれないように構成できる。
【0004】
特許文献2にあっては、キーボード上の表示を赤外線化したことにより不可視化し、オペレータだけは眼鏡形式でその表示を識別できることで、第三者がキーボード入力している文字、数値などを特定できないという利点がある。すなわち、特定のディスプレイを通さないとキートップの文字が読めないキーボードを構成できる。
【0005】
特許文献3にあっては、光を反射する反射部材10と、カメラを備えたメガネ型ディスプレイ20とを備えており、メガネ型ディスプレイ20のカメラによって撮影した画像において、反射部材10の領域を検出し、その領域にユーザインターフェースの画像が重畳して表示される。そして、メガネ型ディスプレイ20を装着したユーザは、その反射部材10のユーザインターフェースに入力操作を行うと、その入力操作が検出され、ユーザインターフェースにおいて入力操作を行った位置に対応する情報の入力が行われる。これにより、入力装置を有していない情報処理装置に対し、簡単に入力操作を行うことが可能となるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-211447号公報
【特許文献2】特開2010-049662号公報
【特許文献3】特開2009−129021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2に記載された技術にあっては、入力装置として物理的なキーボードが用意されており、どのキーボードを押しているか第三者に覗かれたり、第三者によりキーボードが改造されることによって、入力情報が漏洩する恐れがあるといった問題があった。また、特許文献3に記載された技術にあっては、入力装置に代わって、物理的な反射部材を必要としていた。
そこで、公共の場においても、他人に情報が漏洩しないように安全にパスワードの入力が可能となることが切望されている。
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的としては、公共の場においても、他人に情報が漏洩しないように安全にパスワードの入力が可能となる入力装置および入力方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、複数のキーを有する入力パネル像が空間上の位置に展開するように投影する投影手段と、ユーザの目の位置を検出する第1の位置検出手段と、ユーザの指先の位置を検出する第2の位置検出手段と、前記第1の位置検出手段が検出した前記ユーザの目の位置と、前記第2の位置検出手段が検出した前記ユーザの指先の位置との相対的な位置関係によって、前記入力パネル像の前記複数のキーのうちどのキーが入力されたか判定する判定手段とを有することを特徴とする入力装置である。
【0009】
請求項6記載の発明は、複数のキーを有する入力パネル像が空間上の位置に展開するように表示装置から投影する投影ステップと、ユーザの目の位置を検出する第1の位置検出ステップと、ユーザの指先の位置を検出する第2の位置検出ステップと、前記第1の位置検出ステップが検出した前記ユーザの目の位置と、前記第2の位置検出ステップが検出した前記ユーザの指先の位置との相対的な位置関係によって、前記入力パネル像の前記複数のキーのうちどのキーが入力されたか判定する判定ステップとを有することを特徴とする入力方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、公共の場においても、他人に情報が漏洩しないように安全にパスワードの入力が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係るパスワード入力装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示す情報処理装置の構成を示す図である。
【図3】図1に示す入力パネル像13を示す図である。
【図4】図1に示す入力パネル像13に対する位置調整手順について説明するための図である。
【図5】図1に示すディスプレイ11に表示された調整用の合成画像(a)と、3Dメガネを装着したユーザにのみ視認可能な入力パネル像13(調整画像)(b)である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るパスワード入力装置による位置調整手順について説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の第1実施形態に係るパスワード入力装置によるパスワード入力手順について説明するための説明図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係るパスワード入力装置によるパスワード入力手順について説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の第1実施形態に係るパスワード入力装置による位置座標の算出手順について説明するための説明図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係るパスワード入力装置による位置座標の算出手順について説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の第1実施形態に係るパスワード入力装置による入力パネル像に対する押下判定手順について説明するための説明図である。
【図12】本発明の第1実施形態に係るパスワード入力装置による押下判定手順について説明するためのフローチャートである。
【図13】本発明の第2実施形態に係るパスワード入力装置によるパスワード入力手順について説明するための説明図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係るパスワード入力装置によるパスワード入力手順について説明するためのフローチャートである。
【図15】本発明の第2実施形態に係るパスワード入力装置による入力パネル像に対する押下判定手順について説明するための説明図である。
【図16】本発明の第2実施形態に係るパスワード入力装置による押下判定手順について説明するためのフローチャートである。
【図17】本発明の第3実施形態に係るパスワード入力装置による押下判定手順について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係るパスワード入力装置について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るパスワード入力装置の構成を示す図である。
図1に示すように、パスワード入力装置は、情報処理装置10と、ディスプレイ11と、カメラ部12と、3Dメガネ14を備えている。
図2は、図1に示す情報処理装置の構成を示す図である。情報処理装置10は、図2に示すように、画像解析部10aと、位置演算部10cと、通信制御部10dと、画像表示部10eと、出力IF部10gと、制御部10hとを備えている。
【0013】
画像解析部10aは、カメラ部12aにより撮影された映像データを記憶するフレームメモリ10bを有し、フレームメモリ10bに格納された映像データの中から、ユーザの指像の基準となる予め記憶しておいた基準パターンと比較し、比較結果の中で最も相関の高い画像を抽出し、その位置を指像の位置座標として求める。
位置演算部10cは、通信制御部10dを介して取得したユーザの視線方向データ、測距部12cにより測距された距離データ等に基づいて、ユーザがどのキー像を押したかを判定する。
通信制御部10dは、3Dメガネ14に設けられた通信モジュールから無線または赤外線を介してユーザの視線方向データを受信し、位置演算部10cに出力する。
【0014】
画像表示部10eは、入力パネル像に関する左右の映像データからラインバイライン方式の3D映像を生成してディスプレイ11に出力し、3D映像の入力パネル像を表示させる。
出力IF部10gは、キー入力が確定したキーコードを外部へ出力する。
制御部10hは、ROM、RAM、CPU等を有し、ROMから読み出した制御プログラムによりパスワード入力装置に設けられた各部の機能を制御する。
【0015】
図1に戻り、ディスプレイ11は、例えば液晶ディスプレイを有し、液晶ディスプレイ上に位相差フィルムとして重ね合わせ、ライン(水平走査線)毎に直交する偏光で入力パネル像13のL(左眼映像)とR(右眼映像)を表示する。
カメラ部12は、図2に示すように、カメラ部12aと、測距部12cとを備えている。
カメラ部12aは、例えば2次元のCCDを有し、ディスプレイ11から投影された3D映像の入力パネル像13に対してユーザが行う入力操作を撮影し、撮影された映像データを情報処理装置10の画像解析部10aに出力する。
【0016】
測距部12cは、受信された反射波の電圧値の最小値を記憶するホールド部を備え、測定対象物に対して所定周期の超音波を発信し、発信された超音波が測定対象物により反射された反射波を受信し、所定周期よりも短い周期でホールド部に記憶されている最小値を読み出し、読み出された値の変化が所定期間にわたって所定値以内である場合に、超音波発信部12dより超音波が発信されたタイミングから、当該所定期間の最初に値が読み出されたタイミングまでの時間に基づき、超音波発信部12eと測定対象物との距離を算出する。測距部12cにより測距された距離データは、情報処理装置10に設けられた位置演算部10cに出力される。
【0017】
なお、上記測距部10cにおいては、測定対象物までの距離を測定したが、カメラ部12aにおいて撮影対象物まで距離を測定してもよい。
すなわち、このときレンズから被写体までの距離a、レンズから像点までの距離bは、レンズの公式により、焦点距離fから、
1/a+1/b=1/f ……(1)
同様に、X'の位置の被写体はP'点に像ができるが、スクリーン面上のP点に於いては、光軸からδだけ像が大きくボケる。
1/a'+1/b'=1/f ……(2)
δが許容錯乱円の場合、前方被写界深度a−a'のことである。
【0018】
さて、(1)と(2)は同じ1/fであるから、
1/a+1/b=1/a'+1/b'
∴ 1/a−1/a'=1/b'−1/b……(3)
通分すると(a'−a)/aa'=(b−b')/b'b……(4)
ここで、レンズから被写体までの距離Lを、aa'≒L^2(Lの2乗)とし、
b'/D=(b'−b)/δ ≒F (F値のこと)
と近似すれば、b'−b=δFとなり、(4)式は、
a'−a=δF・aa'・(1/b'b)=δF・L^2/b'b……(5)
となりる。
ここでb'b≒f^2(焦点距離の2乗)という近似をすれば、
a'−a≒δF・L^2/f^2……(6)
が求まる。この式は簡便な被写界深度の計算式であり、すなわち、被写界深度の値はおおよそFに比例し、被写体までの距離の2乗に比例し、焦点距離の2乗に反比例する。この近似式は、被写体が遠いときの近似値となる。
【0019】
3Dメガネ14は、図1に示すように、ユーザが装着するものであり、ディスプレイ11上に表示された視差画像のうち右目用画像のみを透過する右目用透過部14Rと、ディスプレイ11上に表示された視差画像のうち左目用画像のみを透過する左目用透過部14Lとを有している。そして、ユーザが3Dメガネ14を装着した際に、右目用透過部14Rがユーザの右目の前に配置され、左目用透過部14Lがユーザの左目の前に配置される。
具体的には、3Dメガネ14は、右目用透過部14Rと左目用透過部14Lとで異なる回転方向の円偏光光を透過する円偏光眼鏡であり、右目用透過部14Rがディスプレイ11から3Dメガネ14の方向に見て右回転方向の円偏光光のみを透過する円偏光板として構成されており、左目用透過部14Lがディスプレイ11から3Dメガネ14の方向に見て左回転方向の円偏光光のみを透過する円偏光板として構成されている。
【0020】
3Dメガネ14は、図1に示すように、眼球撮影カメラ14a,14bを有しており、眼球撮影カメラ14a,14bには視線方向検出部(図示しない)が設けられ、近赤外光により眼球を照明するための照明部と、眼球撮影カメラとを被験者の頭部に取り付け、近赤外光により眼球を照明するための1個または複数個の照明部を被験者の頭部から離れた位置に配置し、撮影カメラから得られる眼の画像を処理することにより、頭部に取付けた照明部からの照明光が角膜で反射して作る反射像の位置と、頭部から離れた位置に配置された照明の照明光が角膜で反射して作る反射像の位置と、瞳孔の中心座標、各照明部の座標等を検出し、空間座標における視線を演算する。また、基準座標に対する頭部の姿勢と、角膜の曲率中心を基準とした視線方向を出力する出力部を設けている。なお、眼球撮影カメラはユーザの左眼または右眼の視線方向を検出すればよく、3Dメガネ14の一方の眼のフレーム近傍に設けてもよい。
【0021】
3Dメガネ14は、方位角センサ(図示しない)を有しており、方位角センサは地磁気式センサやジャイロスコープを内蔵して方位角を検出する。方位角センサから出力された方位角により、眼球撮影カメラ14a,14bの取り付け姿勢角を補正し、視線方向を精度良く検出してもよい。
また、3Dメガネ14は、通信モジュール(図示しない)を有しており、眼球撮影カメラで検出された視線方向データを通信モジュールを介して無線や赤外線により情報処理装置10の通信制御部10dに送信する。
【0022】
図3は、ユーザが3Dメガネ14をかけた場合に、当該ユーザのみが視認可能な入力パネル像13を示す図である。図4(a),(b)は、入力パネル像13に対する位置調整手順について説明するための図である。
次に、図5(a)は調整用の合成画像であり、図5(b)は3Dメガネを装着したユーザにのみ視認可能な入力パネル像13(調整画像)を示す。
ディスプレイには、ディスプレイ画面と手前に浮かぶ入力パネル画面を表示するために必要な右眼用画像と左眼用映像が合成されて表示されている。この合成された画面は、3Dメガネ14を通して見ると入力パネル画面13が空間に浮かんで見えるように調整されているため、合成された映像を裸眼で見ると一般的には像が2重にぶれた焦点が合わないような映像となり、図5(a)に示すように、一見すると何が表示されているか視認し難い映像となる。
【0023】
3Dメガネ14は、合成された映像を正しくデコードし、ユーザにディスプレイの画面と手前に浮かぶ入力パネル像13を再現するに必要な映像をユーザの左右の眼にそれぞれ映し出す。一方、3Dメガネ14を装着しない場合、入力パネルの画面を再現するに必要な映像をユーザの左右の眼に別々に与えることができないため、ユーザは入力パネル像14を認識することができない。
なお、別の実施形態として、裸眼で映像を見たときの表示画面内容についての推測をより困難にさせる方法として、ディスプレイにスクランブル機能、メガネにデスクランブル機能を搭載することで、映像にスクランブルをかけ、裸眼では更に推測しづらい映像にしてしまうことも可能である。
【0024】
次に、図4、図5示す入力パネル像の説明図、図6に示すフローチャートを参照して、パスワード入力装置における、入力パネル像13に対応する位置調整手順について説明する。
入力パネル像13は、ユーザごとに表示位置、大きさ、見え方が異なる可能性があるため、まず、最初に位置調整作業を行う。
まず、ステップS10では、制御部10hは、位置調整用の入力パネル像の枠像を表示する。図4(a)に示すように、位置調整用の表示画面の枠像が3D画面としてディスプレイ11に表示される。
ステップS15では、制御部10hは、3Dメガネの装着と、表示した枠像を指先でなぞるように促すメッセージを表示する。3Dメガネ14の装着と、表示した枠像13aに対して、空間上において指先15でなぞるように促すメッセージをディスプレイ11に表示する。
このとき、ユーザは、3Dメガネ14を装着した後に、位置調整用の表示画面の枠像13aに対して、空間上において指15でなぞることとする。
【0025】
ステップS20では、制御部10hは、カメラ部12aにより、枠像に対する指先の空間上の移動に関する軌跡画像を取得する。カメラ部12aでは、ユーザの指15が空間上を移動することによる枠像13aに関する軌跡画像を画像解析部10aに出力し、画像解析部10aにおいてユーザの指15の軌跡画像をパターン認識手法により認識し、なぞったときの指先15の枠像13aに関する軌跡画像の座標情報を位置演算部10cに出力する。
次いで、指15の枠像13aに関する軌跡画像の座標情報から、ユーザが空間上のどの位置に入力パネル像13を見えているかが判明した。しかし、ユーザの立ち位置、姿勢、背丈には個人差があるので、ディスプレイ11の表示画面上では上記枠像13aは正方形状であるが、ユーザが視認している枠像13aは非対称な略台形状となる場合がある。
そこで、ステップS25では、制御部10hは、指先の軌跡画像から、ユーザが視認している枠像13aの4つの頂点位置を位置演算部10cに算出させる。
【0026】
ステップS30では、制御部10hは、位置演算部10cにおいて、ユーザが視認している枠像13aの4つの頂点位置から、枠像が正方形になるように位置調整する。すなわち、位置演算部10cでは、指15の枠像13aに関する軌跡画像の座標情報に基づいて、アフィン変換(Affine Transformation)処理により平行移動、拡大・縮小、回転、この3種類の変形を組み合わせた図形変換を施し、枠像13aが正方形になるように位置調整する。なお、制御部10hに設けられたROMに変換テーブルを設け、ユーザが視認している枠像13aの4つの頂点位置に基づいて、変換テーブルを参照して、キー像に対する枠像の位置座標を求めて位置調整しもよい。
【0027】
さらに、位置演算部10cでは、入力パネル像13のそれぞれのキー像に対する枠像の位置座標を算出して決定して画像表示部10eに出力する。この結果、図3に示すような3D画像の入力パネル像13がユーザに視認することができる。
なお、パスワード入力装置は、3Dメガネ14を装着したユーザだけが空間上に3D表示された入力パネル像を視認できるように構成することによって、物理的な入力デバイス無しにパスワード入力が可能な装置である。また、物理的な入力デバイスがないので、入力パネル像に含まれる各キー像の配置を任意に設定することが可能となり、秘匿性を向上することができる。
さらに、入力パネル像に含まれるそれぞれのキー像を納める枠像は、当該入力装置の利用の都度に変更可能とすることで、秘匿性を向上することができる。
【0028】
次に、図1、図2を参照して、3Dメガネ14に設けられた眼球撮影カメラ14a,14bが取得した位置情報データの情報処理装置10に転送する手法について説明する。
3Dメガネ14に設けられた視線カメラ14a又は14bは、通信モジュールを有しており、ユーザの瞳を撮影して得られた視線方向データを通信モジュールから無線や赤外線等を介して通信制御部10dに送信する。この場合、通信制御部10dからのデータ要求に応じて通信モジュールからデータを送信することが好ましい。
【0029】
次に、図7に示す説明図、図8に示すフローチャートを参照して、パスワード入力装置の動作について説明する。図7は、本発明の第1実施形態に係るパスワード入力装置によるパスワード入力手順について説明するための説明図である。図8は、本発明の第1実施形態に係るパスワード入力装置によるパスワード入力手順について説明するためのフローチャートである。
まず、ステップS50では、制御部10hは、画像表示部10fに入力パネル像を出力させ、ディスプレイ11から表示する。3Dメガネを装着したユーザには、ユーザとディスプレイ11との間の空間に入力パネル像13が視認可能となる。
【0030】
次いで、ステップS55では、制御部10hは、画像表示部10fに入力したい文字に指先を重ねるように促すメッセージを出力させ、ディスプレイ11に表示する。
ここで、ユーザは、視認中の入力パネル像13に対して、入力したいキー像の空間上の位置に指先15が重なるよう、指先15の位置を移動することとする。
次いで、ステップS60では、制御部10hは、位置演算部10cに対して、カメラ部12aからの映像と、3Dメガネ14に設けられた視線カメラ14a(又は視線カメラ14b)からの視線方向とを入力し、両者の3次元の座標軸を同一に揃えるように制御する。
【0031】
具体的には、ステップS65では、制御部10hは、通信制御部10dを介して視線カメラ14aに対して、ユーザの瞳の様子を撮影させ、視線方向を出力させることで、位置演算部10cは視線カメラ14aから取得した視線方向をベクトルCAとして算出する。
次いで、ステップS70では、制御部10hは、位置演算部10cに対して、上記ベクトルCAを用いて、視線の先の文字(例えば、「5」)位置を算出させる。
次いで、ステップS75では、制御部10hは、位置演算部10cに対して、カメラ部12aの位置とユーザの瞳の位置とを結んだ線分の方向となるベクトルOCと、カメラ部12aの位置と指先15の位置とを結んだ線分の方向となるベクトルODを算出させる。
次いで、ステップS80では、制御部10hは、位置演算部10cに対して、視線の先の文字とユーザの瞳16とを結んだ線分の方向となるベクトルCAと、指先15とユーザの瞳16とを結んだ線分の方向となるベクトルCDを比較させる。
【0032】
この比較の結果、ベクトルCAとベクトルCDとが一致した場合に、ステップS85では、制御部10hは、位置演算部10cに対して、選択されている文字の位置座標を出力させ、選択されている文字の位置座標を含むキー像の表示色を他のキー像の表示色と異なるように色反転させ、画像表示部10からディスプレイ11に表示させる。
次いで、ステップS90では、制御部10hは、上記一致状態(CA=nCD、nは任意の正の値)が一定時間(例:2秒)以上継続か判断する。
次いで、ステップS95では、制御部10hは、の状態が所定の時間(例:2秒)継続した時点で、キー入力が確定したこととみなす。そして、制御部10hは、出力IF部10gからキー入力が確定したキーコードを出力する。
【0033】
このように、一致状態の経過時間が所定時間に到達したときに、キー入力があったこととすることで、誤入力を防止することができる。
ステップS97では、制御部10hは、入力確定と判定した場合に、入力パネル像の色反転した文字の表示色を黄色に変更して表示する。
このように、視線の先の文字の位置とユーザの瞳16の位置とを結んだ線分の方向となるベクトルCAと、指先15の位置とユーザの瞳16の位置とを結んだ線分の方向となるベクトルCDとが一致した場合に、当該キー像が選択されたこととみなすように判定することで、公共の場においても、他人に情報が漏洩しないように安全にパスワードの入力が可能となる。
【0034】
次に、図9に示す説明図、図10に示すフローチャートを参照して、パスワード入力装置の動作について説明する。図9は、本発明の第1実施形態に係るパスワード入力装置による位置座標の算出手順について説明するための説明図である。図10は、本発明の第1実施形態に係るパスワード入力装置による位置座標の算出手順について説明するためのフローチャートである。
まず、ステップS100では、制御部10hは、画像解析部10aに対して、カメラ部12a自身の焦点設定によりB(0,0,z1)点の位置座標を算出させる。
【0035】
次いで、ステップS105では、制御部10hは、画像解析部10aに対して、カメラ部12aによりD'(x1,y1,z1)点の位置の指先の映像を撮影させる。
次いで、ステップS110では、制御部10hは、測距部12cにより指先(D)までの距離を測定する。
次いで、ステップS115では、制御部10hは、位置演算部10cに対して、O(0,0,0)点の位置座表、D'点の位置座表、OD間の距離に基づいて、△OBD'と△OEDが相似形であることからD(x4,y4,z4)点の位置座標を算出させる。
次いで、ステップS120では、制御部10hは、位置演算部10cに対して、同様の手法により、△OBD'と△OCFが相似形であることからC(x3,y3,z3)点の位置を算出させる。
【0036】
次に、図11に示す説明図、図12に示すフローチャートを参照して、パスワード入力装置の動作について説明する。図11は、本発明の第1実施形態に係るパスワード入力装置による入力パネル像に対する押下判定手順について説明するための説明図である。図12は、本発明の第1実施形態に係るパスワード入力装置による押下判定手順について説明するためのフローチャートである。
まず、ステップS150では、制御部10hは、キャリブレーション操作を促すメッセージとして、例えば「枠をなぞってください」というテキストを画像表示部10eからディスプレイ11に表示させる。
次いで、ステップS155では、制御部10hは、カメラ部12aにより指先の動作を撮影させる。
次いで、ステップS160では、制御部10hは、位置演算部10cに対して、入力パネル像(A1〜A12)の位置を算出する。
【0037】
次いで、ステップS165では、制御部10hは、「キー像に視線を合わせて、指先で押してください」というメッセージを画像表示部10eからディスプレイ11に表示させる。
次いで、ステップS170では、制御部10hは、画像解析部10aに対して、指先で押されているキー像の位置を算出させ、キー像の位置を位置演算部10cに出力させる。
次いで、ステップS175では、制御部10hは、位置演算部10cに対して、ユーザの瞳(C)の位置から、押されたキー像とC(x20,y20,z20)点間のベクトル(ベクトルα)を算出させる。
【0038】
次いで、ステップS180では、制御部10hは、位置演算部10cに対して、指先(D)の位置から、C点とD(x30,y30,z30)点との間のベクトル(ベクトルβ)を算出させる。
次いで、ステップS185では、制御部10hは、位置演算部10cに対して、瞳(C)の位置と、視線カメラ14aからの視線方向に基づいて、視線ベクトル(ベクトルγ)を算出させる。
【0039】
次いで、ステップS190では、制御部10hは、位置演算部10cに対して、算出されたベクトルα,β,γが一致しているか否かを判断させる。
ここで、ベクトルα,β,γが一致している場合には、ステップS195に進み、制御部10hは、ユーザがキー像上に指先15を置いていると判断する。
次いで、ステップS200では、制御部10hは、上記ベクトルα,β,γの一致状態が一定時間(例えば、2秒)以上継続か否かを判断する。
ここで、上記ベクトルα,β,γの一致状態が一定時間以上継続している場合には、ステップS205に進み、制御部10hは、キー像が押されたこととみなし、出力IF部10gからキー入力が確定したキーコードを出力する。
【0040】
このように、ユーザの瞳(C)の位置とキー像の位置との間のベクトル(ベクトルα)と、指先(D)の位置から、ユーザの瞳(C)の位置と指先の位置との間のベクトル(ベクトルβ)と、視線ベクトル(ベクトルγ)とが一致した場合に、当該キー像が選択されたこととみなすように判定することで、公共の場においても、他人に情報が漏洩しないように安全にパスワードの入力が可能となる。
また、一致状態の経過時間が所定時間に到達したときに、キー入力があったこととすることで、誤入力を防止することができる。
【0041】
<第2実施形態>
次に、図13に示す説明図、図14に示すフローチャートを参照して、パスワード入力装置の動作について説明する。図13は、本発明の第2実施形態に係るパスワード入力装置によるパスワード入力手順について説明するための説明図である。図14は、本発明の第2実施形態に係るパスワード入力装置によるパスワード入力手順について説明するためのフローチャートである。
まず、ステップS250では、制御部10hは、画像表示部10fに入力パネル像を出力させ、ディスプレイ11から表示する。3Dメガネを装着したユーザには、ユーザとディスプレイ11との間の空間に入力パネル像13が視認可能となる。
【0042】
次いで、ステップS255では、制御部10hは、視線カメラで瞳を撮影し、視線方向にあるキー像の文字を算出する。ここで、制御部10hは、通信制御部10dを介して視線カメラ14aに対して、ユーザの瞳の様子を撮影させ、視線方向を出力させることで、位置演算部10cは視線カメラ14aから取得した視線方向を求める。さらに、制御部10hは、位置演算部10cに対して、上記視線方向を用いて、視線の先の文字(例えば、「5」)位置を算出させる。
次いで、ステップS260では、制御部10hは、カメラ部12aに対して、指先15と3Dメガネ14のレンズとのなす角度αを測定させる。
次いで、ステップS265では、制御部10hは、画像表示部10fに対して、指先をキー像に向かって押し出すように促すメッセージを出力させ、ディスプレイ11に表示する。
【0043】
次いで、ステップS270では、制御部10hは、カメラ部12aに対して、指先15と3Dメガネ14のレンズとのなす角度γを測定させる。
次いで、ステップS275では、制御部10hは、γ=αか否かを判断する。
ここで、角度γ=αの場合には、ステップS280に進み、制御部10hは、距離|Y−X|>A(予め定められた特定の値)か否かを判断する。
しそて、距離|Y−X|>Aの場合には、ステップS285に進み、制御部10hは、キー入力が確定したこととみなす。そして、制御部10hは、出力IF部10gからキー入力が確定したキーコードを出力する。
【0044】
次いで、ステップS290では、制御部10hは、入力した文字色を色反転して表示する。
このように、指先15と3Dメガネ14のレンズとのなす角度αと、指先15と3Dメガネ14のレンズとのなす角度γとが一致した場合に、当該キー像が選択されたこととみなすように判定することで、公共の場においても、他人に情報が漏洩しないように安全にパスワードの入力が可能となる。
また、ユーザの指の位置と入力パネル像に含まれるいずれか1つのキー像の位置とが一致した場合に、この一致した位置が奥行き方向に所定の距離以上に移動されたときに、キー入力があったこととすることで、誤入力を防止することができる。
【0045】
次に、図15に示す説明図、図16に示すフローチャートを参照して、パスワード入力装置の動作について説明する。図15は、本発明の第2実施形態に係るパスワード入力装置による入力パネル像に対する押下判定手順について説明するための説明図である。図16は、本発明の第2実施形態に係るパスワード入力装置による押下判定手順について説明するためのフローチャートである。
なお、図16に示すフローチャートは、図12に示すフローチャートの一部を変更したものであり、共通のステップには同じ符号を割り付けており、その説明を省略する。
ステップS310では、制御部10hは、O−D間の距離が一定距離以上に変動したか否か判断する。
ここで、上記O−D間の距離が一定距離以上に変動した場合には、ステップS205に進み、制御部10hは、キー像が押されたこととみなし、出力IF部10gからキー入力が確定したキーコードを出力する。
【0046】
<第3実施形態>
次に、図11に示す説明図、図17に示すフローチャートを参照して、パスワード入力装置の動作について説明する。図17は、本発明の第2実施形態に係るパスワード入力装置による押下判定手順について説明するためのフローチャートである。
なお、図17に示すフローチャートは、図12に示すフローチャートの一部を変更したものであり、共通のステップには同じ符号を割り付けており、その説明を省略する。
本実施形態では、ユーザの目の位置と、ユーザの指先の位置との相対的な位置関係によって、入力パネル像の複数のキーのうちどのキーが入力されたか判定する。
【0047】
すなわち、ステップS350では、制御部10hは、位置演算部10cに対して、算出されたベクトルα,γが一致しているか否かを判断させる。ここで、ベクトルα,γが一致している場合には、ステップS195に進み、制御部10hは、ユーザがキー像上に指先15を置いていると判断する。
ここで、ベクトルγにおけるユーザの視線の方向と、ベクトルαにおけるユーザの目の位置と前記入力パネル像に含まれるキー像とを結ぶ直線の方向とが一致した場合に、当該キー像が選択されたこととみなすように判定する。
【0048】
このように、ユーザの視線の方向と、ユーザの目の位置と前記入力パネル像に含まれるキー像とを結ぶ直線の方向とが一致した場合に、当該キー像が選択されたこととみなすように判定することで、公共の場においても、他人に情報が漏洩しないように安全にパスワードの入力が可能となる。
また、一致状態の経過時間が所定時間に到達したときに、キー入力があったこととすることで、誤入力を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、公共の場において他人に情報が漏洩しないように安全にパスワードの入力を必要とする、ATM装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
10 情報処理装置
10a 画像解析部
10b フレームメモリ
10c 位置演算部
10d 通信制御部
10e 画像表示部
10f VRAM
10g 出力IF部
10h 制御部
11 ディスプレイ
12 カメラ部
12a カメラ部
12c 測距部
13 入力パネル像
14 3Dメガネ
14R 右目用透過部
14L 左目用透過部
14a,14b 眼球撮影カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のキーを有する入力パネル像が空間上の位置に展開するように投影する投影手段と、
ユーザの目の位置を検出する第1の位置検出手段と、
ユーザの指先の位置を検出する第2の位置検出手段と、
前記第1の位置検出手段が検出した前記ユーザの目の位置と、前記第2の位置検出手段が検出した前記ユーザの指先の位置との相対的な位置関係によって、前記入力パネル像の前記複数のキーのうちどのキーが入力されたか判定する判定手段とを有することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記判定手段は、ユーザの視線の方向と、ユーザの目の位置と前記入力パネル像に含まれるキー像とを結ぶ直線の方向とが一致した場合に、当該キー像が選択されたか否かを判定することを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記一致した場合の経過時間が所定時間に到達したときに、キー入力があったこととすることを特徴とする請求項2記載の入力装置。
【請求項4】
前記判定手段は、ユーザの指の位置と前記入力パネル像に含まれるキー像の位置とが一致した場合に、前記一致した位置が奥行き方向に所定の距離以上に移動されたときに、キー入力があったこととすることを特徴とする請求項2記載の入力装置。
【請求項5】
前記入力パネル像に含まれるキー像を納める枠像は、当該入力装置の利用の都度に変更可能であることを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【請求項6】
複数のキーを有する入力パネル像が空間上の位置に展開するように表示装置から投影する投影ステップと、
ユーザの目の位置を検出する第1の位置検出ステップと、
ユーザの指先の位置を検出する第2の位置検出ステップと、
前記第1の位置検出ステップが検出した前記ユーザの目の位置と、前記第2の位置検出ステップが検出した前記ユーザの指先の位置との相対的な位置関係によって、前記入力パネル像の前記複数のキーのうちどのキーが入力されたか判定する判定ステップとを有することを特徴とする入力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−198608(P2012−198608A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60694(P2011−60694)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(311012169)NECパーソナルコンピュータ株式会社 (116)
【Fターム(参考)】